説明

印刷管理装置および印刷管理方法並びにそのプログラム

【課題】装置外からの印刷ジョブを印刷装置で印刷可能な印刷データに変換するものにおいて、より多くのフォーマットの印刷ジョブにより容易に対応できるようにする。
【解決手段】変換プログラムに含まれる複数のコンバーターから一つのコンバーターを選択してホットフォルダー内の印刷ジョブに対応可能か否かを判定し(S120〜S140)、選択したコンバーターが印刷ジョブに対応可能なときには、そのコンバーターにより、印刷ジョブを印刷データに変換して待機フォルダー内に格納する(S150,S160)。これにより、より多くのフォーマットの印刷ジョブに対応できる。しかも、印刷ジョブに対応可能なコンバーターが変換プログラムに含まれていないときでも、対応可能なコンバーターを取得して変換プログラムに追加することにより印刷ジョブに対応できるから、より多くのフォーマットの印刷ジョブにより容易に対応できるようにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷管理装置および印刷管理方法並びにそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の印刷管理装置としては、サーバーのCPUにより、ホットホルダーへのドキュメントの保存を所定時間毎に監視し、ホットホルダーにドキュメントデータが保存されたことを検知した場合にそのドキュメントデータをジョブとして登録するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、ホットホルダーに保存されたドキュメントを自動的にジョブとして登録することにより、作業者の作業負担を軽減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−118095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした印刷管理装置では、ホットホルダーに保存されるドキュメントのフォーマットが一通りであるとは限られないため、このドキュメントをジョブとして登録すると共に登録したジョブをプリンターで印刷可能な印刷データに変換する場合、より多くのフォーマットのドキュメントにより容易に対応できるようにすることが課題の一つとされる。
【0005】
本発明の印刷管理装置および印刷管理方法並びにそのプログラムは、装置外からの印刷ジョブを印刷装置で印刷可能な印刷データに変換するものにおいて、より多くのフォーマットの印刷ジョブにより容易に対応できるようにすることを主目的とする。
【0006】
本発明の印刷管理装置および印刷管理方法並びにそのプログラムは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の印刷管理装置は、
装置外からの印刷ジョブの格納に用いられる共有フォルダーと、所定の印刷機構に出力するための印刷データの格納に用いられる待機フォルダーと、前記共有フォルダー内の印刷ジョブのフォーマットに対応可能なときに該印刷ジョブを前記所定の印刷機構で印刷可能な印刷データに変換して前記待機フォルダー内に格納する変換処理を実行する変換モジュールを複数含む変換手段と、を含む情報を記憶する記憶手段を有する印刷管理装置であって、
前記共有フォルダー内に格納された印刷ジョブを取得する取得手段と、
前記変換手段の複数の変換モジュールから前記取得手段により取得した印刷ジョブのフォーマットに対応可能な変換モジュールである対応変換モジュールを選択して該対応変換モジュールにより前記取得手段により取得した印刷ジョブに対して前記変換処理を実行する変換制御手段と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の印刷管理装置では、装置外からの印刷ジョブの格納に用いられる共有フォルダー内に格納された印刷ジョブを取得する。そして、共有フォルダー内の印刷ジョブのフォーマットに対応可能なときに印刷ジョブを所定の印刷機構で印刷可能な印刷データに変換して所定の印刷機構に出力するための印刷データの格納に用いられる待機フォルダー内に格納する変換処理を実行する変換モジュールを複数含む変換手段の複数の変換モジュールから取得した印刷ジョブのフォーマットに対応可能な変換モジュールである対応変換モジュールを選択し、その対応変換モジュールにより取得した印刷ジョブに対して変換処理を実行する。これにより、変換手段に含まれる複数の変換モジュールのいずれかで対応可能な印刷ジョブに対応することができ、より多くのフォーマットの印刷ジョブに対応することができる。しかも、対応変換モジュールが変換手段に含まれていないときには、その対応変換モジュールを変換手段に追加すればよいから、変換手段に既に含まれている変換モジュールや、待機フォルダー内の印刷データを印刷機構に出力する出力手段,印刷機構などの仕様を変更する必要がなく、より多くのフォーマットの印刷ジョブにより容易に対応できるようにすることができる。なお、変換処理には、印刷ジョブを印刷データに変換して待機フォルダー内に格納すると共に変換前の印刷データを削除する処理が含まれる。
【0009】
こうした本発明の印刷管理装置において、前記変換制御手段は、予め設定された順序に従って前記変換手段から選択した変換モジュールである選択変換モジュールが前記取得手段により取得した印刷ジョブに対応可能であるか否かを判定する判定処理を前記選択変換モジュールが前記取得手段により取得した印刷ジョブに対応可能であると判定するまで前記選択変換モジュールを変更しながら実行し、前記選択変換モジュールが前記取得手段により取得した印刷ジョブに対応可能であると判定したときには該判定時の前記選択変換モジュールを前記対応変換モジュールとして前記変換処理を実行する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、複数の変換モジュールを対応変換モジュールとしてしまうのを回避することができる。
【0010】
また、本発明の印刷管理装置において、前記取得手段により取得した印刷ジョブに対する前記変換処理として、前記取得手段により取得した印刷ジョブを前記対応変換モジュールに関連付けられた関連フォルダー内に移動させ、該関連フォルダー内に移動させた印刷ジョブを印刷データに変換して前記待機フォルダー内に格納する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、印刷ジョブを関連フォルダー内に一旦移動させてからその印刷ジョブを印刷データに変換して待機フォルダー内に格納することができる。
【0011】
さらに、本発明の印刷管理装置において、前記対応変換モジュールがないときであって該対応変換モジュールを装置外から取得可能なときには、該対応変換モジュールを該装置外から取得して前記変換手段に追加すると共に該追加した対応変換モジュールにより前記変換処理を実行する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、装置外から取得して変換手段に追加した対応変換モジュールにより変換処理を実行することができる。ここで、対応変換モジュールの装置外からの取得には、LANやインターネットなどのネットワークを介して印刷管理装置に接続されたコンピューターからの取得や、印刷管理装置に接続された外部機器(例えば、CDやDVD,USBメモリーなど)からの取得などが含まれる。
【0012】
あるいは、本発明の印刷管理装置において、前記変換制御手段は、前記対応変換モジュールがないときには、該対応変換モジュールがないことを示す未対応情報を出力する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、印刷管理装置が対応変換モジュールを取得するための操作を行なうようにユーザーに促すことができる。
【0013】
加えて、本発明の印刷管理装置において、前記複数の変換モジュールの各々は、前記変換処理を実行する際に、前記所定の印刷機構での印刷時のインク量の設定,該印刷時の色の設定,所定の画像の付加,を含む印刷設定の少なくとも1つを行なう手段である、ものとすることもできる。
【0014】
本発明の印刷管理装置において、前記変換制御手段は、前記変換手段に含まれる複数の変換モジュールの情報を管理する管理リストを用いて前記対応変換モジュールを選択して該対応変換モジュールにより前記取得手段により取得した印刷ジョブに対して前記変換処理を実行する手段である、ものとすることもできる。この場合、前記変換手段に前記変換モジュールが追加されたときに、該追加された変換モジュールに関する情報を前記管理リストに追加する追加手段を備える、ものとすることもできる。
【0015】
本発明の印刷管理方法は、
装置外からの印刷ジョブの格納に用いられる共有フォルダーと、所定の印刷機構に出力するための印刷データの格納に用いられる待機フォルダーと、前記共有フォルダー内の印刷ジョブのフォーマットに対応可能なときに該印刷ジョブを前記所定の印刷機構で印刷可能な印刷データに変換して前記待機フォルダー内に格納する変換処理を実行する変換モジュールを複数含む変換手段と、を含む情報を記憶する記憶手段を有する印刷管理装置における印刷管理方法であって、
(a)前記共有フォルダー内に格納された印刷ジョブを取得するステップと、
(b)前記変換手段の複数の変換モジュールから前記ステップ(a)で取得した印刷ジョブのフォーマットに対応可能な変換モジュールである対応変換モジュールを選択して該対応変換モジュールにより前記ステップ(a)で取得した印刷ジョブに対して前記変換処理を実行するステップと、
を含むことを要旨とする。
【0016】
この本発明の印刷管理方法では、装置外からの印刷ジョブの格納に用いられる共有フォルダー内に格納された印刷ジョブを取得する。そして、共有フォルダー内の印刷ジョブのフォーマットに対応可能なときに印刷ジョブを所定の印刷機構で印刷可能な印刷データに変換して所定の印刷機構に出力するための印刷データの格納に用いられる待機フォルダー内に格納する変換処理を実行する変換モジュールを複数含む変換手段の複数の変換モジュールから取得した印刷ジョブのフォーマットに対応可能な変換モジュールである対応変換モジュールを選択し、その対応変換モジュールにより取得した印刷ジョブに対して変換処理を実行する。これにより、変換手段に含まれる複数の変換モジュールのいずれかで対応可能な印刷ジョブに対応することができ、より多くのフォーマットの印刷ジョブに対応することができる。しかも、対応変換モジュールが変換手段に含まれていないときには、その対応変換モジュールを変換手段に追加すればよいから、変換手段に既に含まれている変換モジュールや、待機フォルダー内の印刷データを印刷機構に出力する出力手段,印刷機構などの仕様を変更する必要がなく、より多くのフォーマットの印刷ジョブにより容易に対応できるようにすることができる。
【0017】
本発明のプログラムは、本発明の印刷管理方法の各ステップを1以上のコンピューターに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターに配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピューターに実行させるか又は複数のコンピューターに各ステップを分担して実行させれば、本発明の印刷管理方法の各ステップが実行されるため、本発明の印刷管理方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】印刷システム10の構成の概略を示す構成図。
【図2】アドインリスト44の一例を示す説明図。
【図3】フォルダー群48の一例を示す説明図。
【図4】変換制御ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図5】変換処理の様子の一例を示す説明図。
【図6】印刷される記録紙Sの一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である印刷システム10の構成の概略を示す構成図である。本実施例の印刷システム10は、インターネットやLANなどのネットワーク12に接続されたユーザーパソコン(PC)20と、ネットワーク12に接続されたプリンター30と、を備える。なお、ユーザーPC20は1台に限られず、2台以上であってもよい。
【0020】
ユーザーPC20は、周知の汎用パソコンとして構成されており、各種制御を実行するCPU22と、各種制御プログラムを記憶するROM23と、データを一時記憶するRAM24と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリであるハードディスク(HDD)25と、ネットワーク12に接続された外部機器とデータのやりとりを行なうインターフェイス(I/F)26と、USBポート27aに接続された外部機器(例えば、USBメモリーなど)との間で情報の入出力が可能なUSBコントローラー27と、各種情報を表示するディスプレイ28aと、ユーザーが各種指令を入力するキーボードやマウスなどの入力装置28bと、を備え、CPU22やROM23,RAM24,HDD25,I/F26,USBコントローラー27,ディスプレイ28a,入力装置28bは、バス29によって電気的に接続されている。このユーザーPC20は、プリンター30のHDD35に記憶されているホットフォルダー50(共有フォルダー、図3参照)内に印刷ジョブを送信したりプリンター30の情報をディスプレイ28aに表示したりする機能を有する。なお、印刷ジョブは、本実施形態では、文書や画像などからなる画像データと、印刷関連の設定を定めたJDF(Job Definition Format)と、を含むものとした。ここで、JDFには、例えば、用紙サイズやレイアウト,両面印刷/片面印刷の指定などが含まれる。
【0021】
プリンター30は、ネットワーク12を介してホットフォルダー50内に格納された印刷ジョブを以下に説明する印刷機構36で印刷可能な印刷データ(印刷機構36の仕様に応じた印刷データ)に変換してその印刷データを用いて印刷機構36で記録紙Sに印刷するプリンターとして構成されており、各種制御を実行するCPU32や各種制御プログラムを記憶するROM33,データを一時記憶するRAM34を有するコントローラー31と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶するHDD35と、記録紙Sへの印刷を行なう印刷機構36と、ネットワーク12に接続された外部機器とデータのやりとりを行なうI/F37と、を備え、CPU32やROM33,RAM34,HDD35,印刷機構36,I/F37は、バス38によって電気的に接続されている。ここで、実施形態の印刷管理装置としては、主として、コントローラー31とHDD35とが相当する。印刷機構36は、図示しないが、インクカートリッジから供給される各色(例えばシアン(C),マゼンタ(M),イエロ(Y),ブラック(K)の各色)のインクを加圧してノズルから記録紙Sに吐出させることによって記録紙Sへの印刷を行なうインクジェット方式の機構として構成されている。なお、インクの加圧は、圧電素子に電圧をかけて変形させることによって行なうものとしてもよいし、発熱抵抗体(例えばヒーターなど)に電圧をかけてインクを加熱して発生する気泡により行なうものとしてもよい。HDD35には、変換プログラム42に含まれるいずれかのコンバーターによる印刷ジョブから印刷データへの変換を制御する機能を有する印刷変換制御プログラム40と、印刷ジョブ(画像データとJDFとを含む)の格納に用いられるホットフォルダー50(共有フォルダー、図3参照)内の第1のフォーマットの印刷ジョブを印刷データに変換して印刷機構36への印刷データの出力に用いられる待機フォルダー54内に格納する第1コンバーター42aやホットフォルダー50内の第2のフォーマットの印刷ジョブを印刷データに変換して待機フォルダー54内に格納する第2コンバーター42b,ホットフォルダー50内の第3のフォーマットの印刷ジョブを印刷データに変換して待機フォルダー54内に格納する第3コンバーター42cを含む変換プログラム42と、変換プログラム42に含まれる各コンバーターの情報を管理するアドインリスト44と、待機フォルダー54内の印刷データを印刷機構36に出力するスプーラー46と、ホットフォルダー50や待機フォルダー54,第1コンバーター42aに関連付けられた第1関連フォルダー52aや第2コンバーター42bに関連付けられた第2関連フォルダー52b,第3コンバーターに関連付けられた第3関連フォルダー52cを含むフォルダー群48と、が記憶されている。第1〜第3コンバーター42a〜42cは、それぞれバリアブル印刷(例えば、予め設定された画像データ(例えばロゴなど)を印刷ジョブの画像データに付加した印刷)やRAWデータの印刷,カラーマッチングを行なった印刷やカラーマッチングを行なわない印刷などを行なうために用いられるコンバーターとして構成されており、印刷ジョブを印刷データに変換する際に、各コンバーターの仕様に応じて、ロゴの付加やカラーマッチングを行なったりこれらの設定や印刷機構36の各ノズルから吐出するインクの量の設定(例えば、印刷機構36の各ノズルの特性や経年変化などを考慮した、記録紙Sに形成されるドットのサイズを調整するための設定など)などを印刷ジョブに含まれるJDFに書き込んだりする機能を有する。なお、第1〜第3コンバーター42a〜42cの各コンバーターの機能は、印刷ジョブを印刷データに変換するものであれば如何なるものとしても構わない。図2は、アドインリスト44の一例を示す説明図である。アドインリスト44は、本実施形態では、変換プログラム42に含まれる各コンバーターの「コンバーター名」、対応可能な印刷ジョブのフォーマット(例えば、印刷ジョブに含まれる画像データの拡張子など)としての「対応フォーマット」、印刷ジョブのフォーマットに対応可能か否かを判定する順序としての「チェック順」、そのチェックを行なったか否かを示す「チェック済」、の情報により構成されるものとした。図3は、フォルダー群48の一例を示す説明図である。図3の例では、第1〜第3関連フォルダー52a〜52cは、ホットフォルダー50(共有フォルダー)の下位に設けるものとしたが、ホットフォルダー50と並列に設けるものとしてもよい。なお、本実施形態では、第1〜第3コンバーター42a〜42cや第1〜第3関連フォルダー52a〜52cがHDD35に記憶されているものとしたが、これらは3つずつに限られず、2つずつとしてもよいし、4つ以上ずつとしてもよい。
【0022】
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター30の動作について、特に、ユーザーPC20からホットフォルダー50内に印刷ジョブ(画像データとJDFとを含む)が格納されたときの動作について説明する。図4は、プリンター30のコントローラー31のCPU32により実行される変換制御ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、プリンター30の電源がオンされたときに、HDD35に記憶された変換制御プログラム40が読み込まれて実行される。
【0023】
変換制御ルーチンが実行されると、コントローラー31のCPU32は、まず、ホットフォルダー50内に印刷ジョブがあるか否か(印刷ジョブを受信したか否か)を判定し(ステップS100)、ホットフォルダー50内に印刷ジョブがないときには、ホットフォルダー50内の監視を終了するか否かを判定し(ステップS230)、ホットフォルダー50内の監視を終了しないと判定したときにはステップS100に戻り、ホットフォルダー50内の監視を終了すると判定したときには、印刷管理処理ルーチンを終了する。ここで、ホットフォルダー50内の監視を終了するか否かの判定は、例えば、プリンター30の電源がオフされたか否かを調べることなどによって行なうことができる。
【0024】
ホットフォルダー50内に印刷ジョブがあると判定したときには、アドインリスト44を用いて、第1〜第3コンバーター42a〜42cのうちホットフォルダー50内の印刷ジョブに対応可能か否かを判定する処理を未だ行なっていないコンバーター(以下、未判定コンバーターという)があるか否かを判定する(ステップS110)。この判定は、変換プログラム42に含まれる全てのコンバーターについて印刷ジョブに対応可能か否かの判定を行なったか否かを判定する処理である。
【0025】
未判定コンバーターがあると判定したときには、アドインリスト44のチェック順に従って未判定コンバーターから一つのコンバーター(以下、選択コンバーターという)を設定し(ステップS120)、設定した選択コンバーターがホットフォルダー50内の印刷ジョブのフォーマットに対応可能か否かを判定し(ステップS130)、選択コンバーターが印刷ジョブのフォーマットに対応可能でないときには、その選択コンバーターに対応するアドインリスト44の「チェック済」の項目にチェックを行なってアドインリスト44を更新して(ステップS140)、ステップS110に戻る。ここで、ステップS130の処理は、例えば、選択コンバーターが印刷ジョブに含まれる画像データの拡張子などに対応しているか否かを調べることにより行なうことができる。
【0026】
ステップS130で選択コンバーターが印刷ジョブのフォーマットに対応可能なときには、選択コンバーターによって、第1〜第3関連フォルダー52a〜52cのうち選択コンバーターに関連付けられたフォルダー(以下、選択フォルダーという)にホットフォルダー50内から印刷ジョブを移動させると共に選択フォルダー内に移動させた印刷ジョブを印刷データに変換して待機フォルダー54内に格納する変換処理を実行し(ステップS150,S160)、アドインリスト44の「チェック済」の項目を全てリセットしてアドインリスト44を更新して(ステップS170)、ステップS230以降の処理を実行する。なお、変換処理では、選択フォルダー内の印刷ジョブを印刷データに変換して待機フォルダー54内に格納したときに選択フォルダー内の印刷ジョブを削除する。図5は、変換処理の様子の一例を示す説明図である。図5の例では、第2コンバーター42bにより、画像データとJDFとを含む印刷ジョブをホットフォルダー50内から第2関連フォルダー52b内に移動させ、待機フォルダー54内にフォルダー(例えば、日時などをフォルダー名とするフォルダー、以下、サブ待機フォルダー56という)を作成し、第2関連フォルダー52b内の印刷ジョブを印刷データに変換してサブ待機フォルダー56内に格納することより変換処理を行なう。ここで、本実施形態では、第2コンバーター42bによる変換処理として、バリアブル印刷を行なうために、印刷ジョブの画像データにロゴを付加するものとした。このようにして待機フォルダー54内のサブ待機フォルダー56に印刷データを作成すると、CPU32は、スプーラー46によってサブ待機フォルダー56内の印刷データ(画像データとJDFとを含む)を印刷機構36に出力すると共に印刷機構36によって印刷データに応じた記録紙Sへの印刷を行なう。こうして印刷される記録紙Sの一例を図6に示す。このように、複数のコンバーター42a〜42cのうちホットフォルダー50内の印刷ジョブに対応する対応コンバーター(選択コンバーター)によって、印刷ジョブをホットフォルダー50内から選択フォルダー内に移動させると共に選択フォルダー内に移動させた印刷ジョブを印刷データに変換して待機フォルダー54内に格納することにより、複数のコンバーターのいずれかで対応可能な印刷ジョブに対応することができ、より多くのフォーマットの印刷ジョブに対応することができる。
【0027】
ステップS120でアドインリスト44に未判定コンバーターがないと判定したときには、変換プログラム42に含まれる全てのコンバーターについて印刷ジョブに対応可能か否かの判定を行なったと判断し、対応コンバーターをプリンター30の外部から取得可能か否かを判定する(ステップS180)。この処理は、例えば、LANやインターネットなどのネットワーク12に接続されたコンピューター(ユーザーPC20を含む)や、プリンター30やコンピューターとデータをやりとりする外部機器(USBメモリーやCD,DVDなど)などからネットワーク12を介して対応コンバーターを取得可能か否かを判定することにより行なうことができる。本実施形態では、HDD35に記憶された所定のウェブサイトにアクセスしてそのウェブサイトからネットワーク12を介して対応コンバーターをダウンロードできるか否か判定することにより行なうものとした。
【0028】
対応コンバーターをプリンター30の外部から取得可能であると判定したときには、ネットワーク12を介してその対応コンバーターを取得してHDD35の変換プログラム42に追加すると共に(ステップS190)、追加した対応コンバーターをアドインリスト44に追加してアドインリスト44を更新し(ステップS200)、その対応コンバーターを選択コンバーターとして設定し(ステップS210)、ステップS150以降の処理を実行する。こうすれば、プリンター30のHDD35の変換プログラム42に対応コンバーターがないときでも、対応コンバーターをプリンター30の外部から取得して変換プログラム42に追加することによってホットフォルダー50内の印刷ジョブに対応することができるから、変換制御プログラム40や、変換プログラム42の第1〜第3コンバーター42a〜42c,スプーラー46,印刷機構36などの仕様を変更する必要がなく、ホットフォルダー50内のより多くのフォーマットの印刷ジョブにより容易に対応できるようにすることができる。
【0029】
ステップS180で対応コンバーターをプリンター30の外部から取得可能でないと判定したときには、対応コンバーターがないことを示す未対応信号をユーザーPC20に送信して(ステップS220)、ステップS230以降の処理を実行する。未対応信号を受信したユーザーPC20は、対応コンバーターがない旨をディスプレイ28aに表示する。なお、その後に、ユーザーによってユーザーPC20またはプリンター30が操作されてHDD35の変換プログラム42に対応コンバーターを追加する処理が行なわれたときには、ステップS200以降の処理を実行するものとしてもよい。ここで、ユーザーによる処理としては、例えば、対応コンバーターをウェブサイトのホームページからネットワーク12を介してダウンロードしてプリンター30のHDD35に記憶させたり、対応コンバーターが記憶された外部機器(例えば、USBメモリーなど)をユーザーPC20のUSBポート27aに接続して外部機器に記憶された対応コンバーターをプリンター30のHDD35に記憶させたりする処理などがある。
【0030】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のHDD35が本発明の記憶手段に相当し、CPU32および変換制御プログラム40が取得手段,変換制御手段に相当する。なお、本実施形態では、印刷管理装置としてのコントローラー31およびHDD35の動作を説明することにより本発明のプログラムの一例も明らかにしている。なお、本実施形態では、プリンター30の動作を説明することにより、本発明の印刷管理方法の一例も明らかにしている。
【0031】
以上説明した実施例のプリンター30によれば、変換プログラム42の複数のコンバーター42a〜42cのうちホットフォルダー50内の印刷ジョブに対応する対応コンバーターによって、ホットフォルダー50内の印刷ジョブを印刷データに変換して待機フォルダー54内に格納することにより、複数のコンバーターのいずれかで対応可能な印刷ジョブに対応することができ、より多くのフォーマットの印刷ジョブに対応することができる。しかも、変換プログラム42に対応コンバーターがないときでも、対応コンバーターをプリンター30の外部から取得して変換プログラム42に追加することによってホットフォルダー50内の印刷ジョブに対応することができるから、変換制御プログラム40や、変換プログラム42の第1〜第3コンバーター42a〜42c,スプーラー46,印刷機構36などの仕様を変更する必要がなく、ホットフォルダー50内のより多くのフォーマットの印刷ジョブにより容易に対応できるようにすることができる。
【0032】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0033】
上述した実施形態では、選択コンバーターが印刷ジョブに対応可能であるときには、選択コンバーターにより、ホットフォルダー50内の印刷ジョブを選択フォルダー内に一旦移動させてから選択フォルダー内の印刷ジョブを印刷データに変換して待機フォルダー54内に格納するものとしたが、ホットフォルダー50内の印刷ジョブを選択フォルダー内に移動させずにそのまま印刷データに変換して待機フォルダー54内に格納するものとしてもよい。また、上述した実施形態では、印刷ジョブを印刷データに変換して待機フォルダー54内に格納する際に、待機フォルダー54内に作成したサブ待機フォルダー56内に印刷データを格納するものとしたが、サブ待機フォルダー56を作成しないものとしてもよい。
【0034】
上述した実施形態では、アドインリスト44に未判定コンバーターがないときには、対応コンバーターをプリンター30の外部から取得可能か否かを判定し、対応コンバーターを取得可能なときには対応コンバーターを取得してHDD35の変換プログラム42に追加し、対応コンバーターを取得可能でないときにはその旨をユーザーに通知するものとしたが、対応コンバーターをプリンター30の外部から取得可能か否かを判定せずに対応コンバーターがない旨をユーザーに通知するものとしてもよい。この場合、対応コンバーターをプリンター30の外部から取得可能であるときでも、対応コンバーターがない旨をユーザーに通知する前には対応コンバーターをプリンター30の外部から取得しないものとしてもよい。
【0035】
上述した実施形態では、変換プログラム42の全てのコンバーターについてホットフォルダー50内の印刷ジョブに対応可能か否かの判定を行なってから対応コンバーターをプリンター30の外部から取得可能か否かを判定するものとしたが、例えば、USBポート27aに接続された外部機器(USBメモリーなど)に画像データ(RAWデータなど)と共に対応コンバーターが記憶されているときなどには、ユーザーからの指示などに応じて、変換プログラム42の各コンバーターについてホットフォルダー50内の印刷ジョブに対応可能か否かを判定する前に対応コンバーターを外部機器から取得するものとしてもよい。
【0036】
上述した実施形態では、フルカラーのインクジェット方式の印刷機構36として説明したが、フルカラーの電子写真方式の印刷機構やフルカラーの熱転写式の印刷機構、フルカラーのドットインパクト方式の印刷機構としてもよいし、これらのモノクロの印刷機構としてもよい。
【0037】
上述した実施形態では、印刷管理装置をプリンター30が備えるものとしたが、この印刷管理装置をプリンター30の外部に設けるものとしてもよい。また、上述した実施形態では、印刷機構36を有するプリンター30としたが、印刷機構36を有するFAX機やコピー機などとしてもよい。
【0038】
上述した実施形態では、印刷管理装置について説明したが、印刷管理方法の形態としてもよいし、印刷管理方法の各ステップを1以上のコンピューターに実現させるためのプログラムの形態としてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 印刷システム、12 ネットワーク、20 ユーザーPC、22 CPU、23 ROM、24 RAM、25 HDD、26,37 インターフェイス(I/F)27 USBコントローラー、27a USBポート、28a ディスプレイ、28b 入力装置、29 バス、30 プリンター、31 コントローラー、32 CPU、33 ROM、34 RAM、35 HDD、36 印刷機構、38 バス、40 変換制御プログラム、42 変換プログラム、42a 第1コンバーター、42b 第2コンバーター、42c 第3コンバーター、44 アドインリスト、46 スプーラー、48 フォルダー群、50 ホットフォルダー、52a 第1関連フォルダー、52b 第2関連フォルダー、52c 第3関連フォルダー、54 待機フォルダー、56 サブ待機フォルダー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置外からの印刷ジョブの格納に用いられる共有フォルダーと、所定の印刷機構に出力するための印刷データの格納に用いられる待機フォルダーと、前記共有フォルダー内の印刷ジョブのフォーマットに対応可能なときに該印刷ジョブを前記所定の印刷機構で印刷可能な印刷データに変換して前記待機フォルダー内に格納する変換処理を実行する変換モジュールを複数含む変換手段と、を含む情報を記憶する記憶手段を有する印刷管理装置であって、
前記共有フォルダー内に格納された印刷ジョブを取得する取得手段と、
前記変換手段の複数の変換モジュールから前記取得手段により取得した印刷ジョブのフォーマットに対応可能な変換モジュールである対応変換モジュールを選択して該対応変換モジュールにより前記取得手段により取得した印刷ジョブに対して前記変換処理を実行する変換制御手段と、
を備える印刷管理装置。
【請求項2】
前記変換制御手段は、予め設定された順序に従って前記変換手段から選択した変換モジュールである選択変換モジュールが前記取得手段により取得した印刷ジョブに対応可能であるか否かを判定する判定処理を前記選択変換モジュールが前記取得手段により取得した印刷ジョブに対応可能であると判定するまで前記選択変換モジュールを変更しながら実行し、前記選択変換モジュールが前記取得手段により取得した印刷ジョブに対応可能であると判定したときには該判定時の前記選択変換モジュールを前記対応変換モジュールとして前記変換処理を実行する手段である、請求項1記載の印刷管理装置。
【請求項3】
前記変換制御手段は、前記取得手段により取得した印刷ジョブに対する前記変換処理として、前記取得手段により取得した印刷ジョブを前記対応変換モジュールに関連付けられた関連フォルダー内に移動させ、該関連フォルダー内に移動させた印刷ジョブを印刷データに変換して前記待機フォルダー内に格納する手段である、請求項1または2記載の印刷管理装置。
【請求項4】
前記変換制御手段は、前記対応変換モジュールがないときであって該対応変換モジュールを装置外から取得可能なときには、該対応変換モジュールを該装置外から取得して前記変換手段に追加すると共に該追加した対応変換モジュールにより前記変換処理を実行する手段である、請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の印刷管理装置。
【請求項5】
前記変換制御手段は、前記対応変換モジュールがないときには、該対応変換モジュールがないことを示す未対応情報を出力する手段である、請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の印刷管理装置。
【請求項6】
前記複数の変換モジュールの各々は、前記変換処理を実行する際に、前記所定の印刷機構での印刷時のインク量の設定,該印刷時の色の設定,所定の画像の付加,を含む印刷設定の少なくとも1つを行なう手段である、請求項1ないし5のいずれか1つの請求項に記載の印刷管理装置。
【請求項7】
装置外からの印刷ジョブの格納に用いられる共有フォルダーと、所定の印刷機構に出力するための印刷データの格納に用いられる待機フォルダーと、前記共有フォルダー内の印刷ジョブのフォーマットに対応可能なときに該印刷ジョブを前記所定の印刷機構で印刷可能な印刷データに変換して前記待機フォルダー内に格納する変換処理を実行する変換モジュールを複数含む変換手段と、を含む情報を記憶する記憶手段を有する印刷管理装置における印刷管理方法であって、
(a)前記共有フォルダー内に格納された印刷ジョブを取得するステップと、
(b)前記変換手段の複数の変換モジュールから前記ステップ(a)で取得した印刷ジョブのフォーマットに対応可能な変換モジュールである対応変換モジュールを選択して該対応変換モジュールにより前記ステップ(a)で取得した印刷ジョブに対して前記変換処理を実行するステップと、
を含む印刷管理方法。
【請求項8】
請求項7記載の印刷管理方法の各ステップを1以上のコンピューターに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−208304(P2010−208304A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60084(P2009−60084)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】