説明

印刷装置、印刷方法及び印刷プログラム

【課題】 時計機能を追加せずに、印刷動作の履歴に応じて節電モードへの移行管理を行える印刷装置、印刷方法及び印刷プログラムを提供する。
【解決手段】 印刷装置10の電源がオンされてからの経過時間が所定時間間隔毎に区切られた各時間帯における印刷回数を印刷回数取得部16が取得する。この各時間帯における印刷回数は、複数回カウントされ、記憶部18に記憶されて積算データが作成される。その後、再度印刷装置10の電源がオンとされると、節電移行制御部20は、積算データに含まれる各時間帯における印刷回数に基づき、各時間帯毎の節電モード移行時間を設定する。また、節電移行制御部20は、印刷装置10が印刷動作を行ったか否かを監視し、印刷動作を行った場合はその終了後から、印刷動作を行っていない場合は、各時間帯の最初からの経過時間が上記節電モード移行時間を経過したときに印刷装置10を節電モードに移行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、節電機能を備える印刷装置、印刷方法及び印刷プログラムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、節電機能を備える印刷装置が種々提案されている。例えば、下記特許文献1には、時計機能を内蔵し、所定の時刻になると節電モードに移行する印刷装置が開示されている。
【特許文献1】特開平3−159771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の技術においては、節電モードに移行する時刻を認識するための時計が必要であり、時計機能を有さない印刷装置には適用できず、または時計機能を追加するためにコストアップとなるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、時計機能を追加せずに、印刷動作の履歴に応じて節電モードへの移行管理を行える印刷装置、印刷方法及び印刷プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、印刷装置であって、電源投入時からの時間経過を計測するタイマー手段と、前記タイマー手段により電源投入時から所定時間間隔毎に区切られた各時間帯における印刷回数を取得する印刷回数取得手段と、前記印刷回数取得手段が取得した各時間帯毎の印刷回数を履歴情報として記憶する履歴記憶手段と、前記履歴情報に基づいて、節電モードへの移行を制御する節電移行制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、上記印刷装置は、節電モードへの移行時間を設定する節電管理手段をさらに備えることを特徴とする。
【0007】
ここで、上記節電管理手段は、前記印刷回数が所定回数を超える時間帯について、ユーザが指示した節電モードへの移行時間を設定することを特徴とする。
【0008】
また、上記節電管理手段は、前記印刷回数が所定回数以下の時間帯について、ユーザが指示した節電モードへの移行時間を設定することを特徴とする。
【0009】
また、上記節電管理手段は、前記履歴情報に基づいて、節電モードへの移行時間を設定するように構成してもよい。
【0010】
また、上記節電管理手段は、前記節電モードへの移行時間を複数段階設定できることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、印刷方法であって、電源投入時からの時間経過を計測するステップと、前記電源投入時から所定時間間隔毎に区切られた各時間帯における印刷回数を取得するステップと、前記取得した各時間帯毎の印刷回数を履歴情報として記憶するステップと、前記履歴情報に基づいて、節電モードへの移行を制御するステップと、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、印刷プログラムであって、電源投入時からの時間経過を計測し、前記電源投入時から所定時間間隔毎に区切られた各時間帯における印刷回数を取得し、前記取得した各時間帯毎の印刷回数を履歴情報として記憶し、前記履歴情報に基づいて、節電モードへの移行を制御する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、印刷装置に必ず内蔵されているソフトウエアタイマー等のタイマー手段により電源投入時からの動作時間を所定時間間隔毎に区切り、その各時間帯における印刷回数を履歴情報とし、これを用いて節電モードへの移行時間を制御するので、時計機能を追加せずに、印刷動作の履歴に応じて節電モードへの移行管理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0015】
図1には、本発明にかかる印刷装置の構成例のブロック図が示される。図1において、印刷装置10には、節電制御部12が備えられている。また、節電制御部12は、タイマー部14、印刷回数取得部16、記憶部18、節電移行制御部20、節電管理部22及び通信部24を含んで構成されている。
【0016】
タイマー部14は、印刷装置10の制御を行う中央処理装置(CPU)の動作等に使用するために、予め装置に内蔵されている計時機能である。このタイマー部14は、印刷装置10の電源投入時からの時間経過を計測し、所定時間間隔毎に区切られた複数の時間帯を設定する。なお、タイマー部14は、実際の時刻を認識する時計である必要は無く、印刷装置10の電源投入時からの相対的な時間経過をカウントできるものであればよい。従って、本発明においては、コストの高い時計が無くも節電制御を行うことができる。
【0017】
印刷回数取得部16は、タイマー手段により電源投入時から所定時間間隔毎に区切られた各時間帯における印刷回数を取得する処理を実行する。
【0018】
記憶部18は、例えばCPUの作業用のRAM、不揮発性メモリとしてのフラッシュメモリ、磁気記憶媒体等で構成されており、上記印刷回数取得部16が取得した各時間帯毎の印刷回数及びこれから作成される履歴情報等のデータ及びプログラムが記憶される。
【0019】
節電移行制御部20は、記憶部18に記憶された履歴情報に基づいて、節電モードへの移行時間を制御する。ここで、節電モードとは、印刷装置10の内、節電制御部12を除いた全部または一部への電力供給を停止する動作モードをいう。
【0020】
節電管理部22は、上記各時間帯毎の節電モードへの移行時間等の節電条件を設定する。上記節電移行制御部20は、節電管理部22が設定した節電条件に基づき、節電モードへの移行を制御する。
【0021】
通信部24は、公知の方法により通信ネットワーク等を介してサーバあるいは他の端末等と通信し、印刷データその他のデータをやり取りする。
【0022】
なお、上述した節電制御部12は、CPUを中心として構成されたコンピュータであってよく、この場合、ハードディスクその他の媒体に格納されたプログラムをCPUが実行することで節電制御部12の各機能が実現される。
【0023】
図2(a)、(b)、(c)、(d)には、印刷回数取得部16が取得した各時間帯毎の印刷回数から履歴情報を作成する方法の説明図が示される。図2(a)、(b)、(c)において、例えば朝始業時に印刷装置10の電源を入れ、終業時に電源を切るとした場合、印刷装置10の電源がオンされてからオフされるまでの時間を所定時間間隔毎に区切った時間帯を複数設定する。この場合、電源がオンされてからオフされるまでの時間の経過は、上記タイマー部14により計測し、所定時間、例えば1時間毎に区切りを示す区切信号をタイマー部14が発生するように構成しておく。図2(a)、(b)、(c)では、始業から終業までの8時間を1時間毎に区切った時間帯の例が示されている。
【0024】
印刷回数取得部16は、印刷装置10による印刷動作が行われる毎に印刷回数をカウントして行き、上記区切信号毎にカウント値を記憶部18に記憶させるとともに、カウント値をリセットし、印刷回数のカウントを再開する。これにより、上記各時間帯毎の印刷回数を取得できる。記憶部18に印刷回数を記憶させる際には、印刷装置10の電源がオンされてから何回目の時間帯であるかの情報も記憶させる。この場合の記憶部18が、本発明の履歴記憶手段に相当する。
【0025】
以上の動作を印刷装置10の電源がオフとなるまで継続し、さらに、電源オンから電源オフまでの印刷回数のカウントを所定回数(所定日数分)繰り返して、各時間帯毎の印刷回数のカウント値を積算した値を記憶部18に記憶させ、積算データとする。なお、電源オンから電源オフまでの繰り返し回数は、上記3回には限らない。繰り返し回数が多くなるほど、印刷装置10の使用実態をより正確に反映させた節電管理を行うことができる。
【0026】
図2(d)には、電源オンから電源オフまでの印刷回数のカウントを、図2(a)、(b)、(c)に示されるように3回(3日分)繰り返して積算した例が示されている。ここで、図2(d)に示される、各時間帯における印刷回数の積算データが、本発明の履歴情報に相当する。
【0027】
図3(a)、(b)には、上記履歴情報としての積算データに基づき、節電モードへの移行条件を決定する方法の説明図が示される。図3(a)は、図2(d)に示された積算データであり、記憶部18に記憶されている。
【0028】
また、節電管理部22は、印刷回数の積算データに基づき節電管理を行う場合の基準となる数値(以後、基準印刷回数という)を、ユーザの指示により適宜な値に設定する。また、節電管理部22は、上記履歴情報としての積算データにおける各時間帯の印刷回数に基づき、印刷終了から節電モードに移行するまでの時間(以後、節電モード移行時間という)を設定する。この節電モード移行時間は、例えば上記積算データにおける各時間帯の印刷回数が、上記基準印刷回数を超えているか、基準印刷回数以下かにより設定することができる。図3(b)に示された例では、基準印刷回数が50回であり、上記積算データにおいて、印刷回数が50回を超えた場合は節電モード移行時間が20分であり、50回以下の場合は5分となっている。上記節電モード移行時間は、例えばユーザが指定した時間データにより節電管理部22が設定する。
【0029】
なお、節電モード移行時間は図3(b)に示されるような2段階には限られず、適宜な数の節電モード移行時間を設定できるように構成するのが好適である。これにより、印刷装置10の多用な使用方法に対応した節電管理を行うことができる。
【0030】
図4(a)、(b)、(c)、(d)には、積算データを求める方法の変形例が示される。本例において、図2(a)、(b)、(c)、(d)と異なる点は、第2回目の積算を示す図4(b)において、印刷装置10の電源オンから2時間後に電源オフとなっている点である。例えば、ペーパージャム等により、通常の使用時間帯において印刷装置10が停止されることはあり得ることであり、図4(b)では、このような状況を示している。このような場合には、電源オンから2時間までにおける各時間帯の印刷回数を積算データに含ませてもよいし、積算データから除外してもよい。なお、図4(d)には、図4(b)の印刷回数を含ませた例が示されている。
【0031】
図5(a)、(b)、(c)、(d)には、積算データを求める方法の他の変形例が示される。本例では、電源オンから電源オフまでの繰り返しを4回(4日分)行い、これらの内、新しいデータから順に3回分、すなわち第2回目から第4回目のデータから積算データを作成している。この場合、第1回目のデータは積算データから除外される。これにより、より新しいデータにより積算データを作成することができる。なお、前述したように、積算データを作成する際に、電源オンから電源オフまでの繰り返しを3回に限る必要はなく、より多くのデータにより積算データを作成するのが好適である。
【0032】
図6には、本実施形態にかかる印刷装置10における節電動作の例のフロー図が示される。なお、本例では、印刷装置10が1日8時間動作することを前提としている。
【0033】
図6において、印刷装置10の電源がオンされると、タイマー部14が電源投入時からの時間経過を計測し、所定時間間隔毎に区切信号を発生する(S1)。
【0034】
印刷回数取得部16は、上記タイマー部14が発生する区切信号により区切られた各時間帯(0〜1,1〜2…7〜8時間目)における印刷回数をカウントして取得する。この各時間帯における印刷回数を、印刷回数取得部16が記憶部18に記憶させ、図2〜図5に示されるように、この動作を所定回数繰り返して印刷回数を積算し、本発明の履歴情報としての積算データを作成する(S2)。なお、本例で作成されるのは、8時間分の積算データである。また、印刷装置10における印刷動作は、例えば通信部24により他の端末等から送られた印刷データを受信する毎に実行される。
【0035】
次に、節電管理部22が、ユーザの指示により、上述した基準印刷回数を設定し、記憶部18に記憶させる。また、節電管理部22は、上述した節電モード移行時間を、ユーザの指定または所定の演算式に基づき設定し、予め記憶部18に記憶させておく(S3)。
【0036】
上記積算データの作成及び基準印刷回数と節電モード移行時間の設定が終了すると、その後に印刷装置10の電源がオンとされたときに、節電移行制御部20は、積算データに含まれる各時間帯における印刷回数が、上記基準印刷回数を超えているか否かを判断し(S4)、超えている場合は、当該時間帯の節電モード移行時間を予め節電管理部22が設定した時間、例えば20分間に設定する(S5)。次に、節電移行制御部20は、節電モード移行時間が未設定である時間帯が残っているか否かを確認し(S6)、残っている場合はS4のステップに戻る。
【0037】
また、S4において、積算データに含まれる各時間帯における印刷回数が、上記基準印刷回数を超えない場合、節電モード移行時間を予め節電管理部22が設定した時間、例えば5分間に設定する(S7)。次に、節電移行制御部20は、節電モード移行時間が未設定である時間帯が残っているか否かを確認し(S8)、残っている場合はS4のステップに戻る。
【0038】
以上により、印刷装置10の電源がオンされてから電源オフとなるまでの間の所定時間間隔毎に区切られた各時間帯における節電条件が設定される。
【0039】
次に、節電移行制御部20が、上記S6またはS8において、節電モード移行時間が未設定である時間帯が残っていないと判断した場合、節電移行制御部20は、印刷装置10の電源オンのときにスタートしたタイマー部14により設定される各時間帯毎に印刷装置10が印刷動作を行ったか否かを監視し(S9)、印刷動作を行った場合はタイマー部14をリセット、スタートし、当該時間帯における最も最近の印刷動作終了からの経過時間を測定しながら(S10)次のS11に移行する。この場合、タイマー部14は、印刷装置10の電源オンからの経過時間と、最近の印刷動作終了からの経過時間との2種類の経過時間を測定できる機能を有する構成としておく。また、S9において、印刷動作を行っていない場合は、タイマー部14のリセット、スタートを行わずにS11に移行する。
【0040】
節電移行制御部20は、タイマー部14の計測値が節電モード移行時間を経過したか否かを監視し(S11)、経過していない場合はS9からの動作を繰り返し、経過した場合は印刷装置10を節電モードに移行させる(S12)。S9からS12までのステップは、タイマー部14により計測される電源オンからの経過時間中の各時間帯毎に実行される。なお、最近の印刷動作終了からの経過時間を計測するためのタイマー部14の機能は、時間帯が移行する毎にリセット、スタートされる。
【0041】
以上により、本実施形態にかかる印刷装置の節電動作が実行される。なお、図6に示された例では、印刷装置10が1日8時間動作するとして説明したが、1日の動作時間はこれに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明にかかる印刷装置の構成例のブロック図である。
【図2】履歴情報を作成する方法の説明図である。
【図3】節電モードへの移行条件を決定する方法の説明図である。
【図4】履歴情報を作成する方法の変形例の説明図である。
【図5】履歴情報を作成する方法の他の変形例の説明図である。
【図6】本実施形態にかかる印刷装置における節電動作の例のフロー図である。
【符号の説明】
【0043】
10 印刷装置、12 節電制御部、14 タイマー部、16 印刷回数取得部、18 記憶部、20 節電移行制御部、22 節電管理部、24 通信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源投入時からの時間経過を計測するタイマー手段と、
前記タイマー手段により電源投入時から所定時間間隔毎に区切られた各時間帯における印刷回数を取得する印刷回数取得手段と、
前記印刷回数取得手段が取得した各時間帯毎の印刷回数を履歴情報として記憶する履歴記憶手段と、
前記履歴情報に基づいて、節電モードへの移行を制御する節電移行制御手段と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置が、節電モードへの移行時間を設定する節電管理手段をさらに備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷装置において、前記節電管理手段は、前記印刷回数が所定回数を超える時間帯について、ユーザが指示した節電モードへの移行時間を設定することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項2記載の印刷装置において、前記節電管理手段は、前記印刷回数が所定回数以下の時間帯について、ユーザが指示した節電モードへの移行時間を設定することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項2記載の印刷装置において、前記節電管理手段は、前記履歴情報に基づいて、節電モードへの移行時間を設定することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5のいずれか一項記載の印刷装置において、前記節電管理手段は、前記節電モードへの移行時間を複数段階設定できることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
電源投入時からの時間経過を計測するステップと、
前記電源投入時から所定時間間隔毎に区切られた各時間帯における印刷回数を取得するステップと、
前記取得した各時間帯毎の印刷回数を履歴情報として記憶するステップと、
前記履歴情報に基づいて、節電モードへの移行を制御するステップと、
を備えることを特徴とする印刷方法。
【請求項8】
電源投入時からの時間経過を計測し、
前記電源投入時から所定時間間隔毎に区切られた各時間帯における印刷回数を取得し、
前記取得した各時間帯毎の印刷回数を履歴情報として記憶し、
前記履歴情報に基づいて、節電モードへの移行を制御する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする印刷プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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