説明

印刷装置、印刷装置の制御方法及びコンピュータプログラム

【課題】 情報処理装置で生成された印刷データを印刷装置に格納して、ユーザが削除事前通知を確認していない場合に格納された印刷データが削除されることを防止する印刷装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、情報処理装置で生成された印刷データを印刷装置に格納して、印刷装置に格納された印刷データの削除事前通知をユーザが確認できる状態であるかを判定し、削除事前通知をユーザが確認できない状態を判定した場合は、格納された印刷データの削除期間を延長することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置に格納された印刷データに対する印刷指示が一定期間行われなかった場合に印刷データを削除する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現状、セキュアプリントを行う場合、印刷装置が印刷データを記憶装置に格納するが、ユーザが格納させたまま忘れてしまうことがある。印刷指示が行われない限り、記憶装置には印刷データが記憶され続けることになるので、多くの場合は一定時間経過後、印刷データを削除することが行われている。しかし、印刷データが削除されることについてユーザに対して通知を行わないことが多く、ユーザが、印刷データが削除されることを認識できないという問題が発生していた。
【0003】
この問題を解決するために特許文献1が提案されている。すなわち、印刷装置に格納された印刷データが自動的に消去されるまでの時間、ポップアップ表示を続ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−344024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、印刷装置に格納された印刷データが自動的に削除されるまでの時間を、ユーザに対して通知している。
【0006】
しかしながら、印刷データの削除延長処理が出来ないため、削除される時間が分かっていても何らかの理由で印刷できなかった場合は、再度印刷データを送信する必要がある。また、特許文献1では、ユーザが印刷データの削除事前通知を受けられない場合については何ら考慮されていなく、このようなことを考慮しないと、ユーザが削除事前通知を受けていない状態で印刷データが削除されてしまう可能性は残ってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、印刷装置に格納された印刷データの削除事前通知をユーザが受けられない状態にある場合に、格納された印刷データの削除期間を延長し、削除されることを防止する印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の印刷装置は、情報処理装置と接続可能な印刷装置であって、前記情報処理装置から印刷データを受信して格納する印刷データ格納手段と前記印刷データ格納手段で格納された印刷データを一定期間保持するために保持期間を設定する保持期間設定手段と前記印刷データの保持期間の事前通知時間前に前記印刷データの送信元に削除される旨の通知をする削除通知手段と、前記印刷データの保持期間を経過した印刷データを削除する削除制御手段と前記情報処理装置の状態を判定する状態判定手段と、前記状態判定手段によって前記削除通知手段による削除事前通知が前記情報処理装置で受けられない状態である場合に、前記保持時間期間手段で設定された前記印刷データの保持期間を変更する保持期間変更手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが記憶装置に記憶された印刷データに対する削除事前通知を確認できない状態にある場合に、当該印刷データが削除されることを防止するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の印刷システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】図1で示した情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】図1で示した印刷装置のハードウェア構成を示す図である。
【図4】図1で示した印刷装置で管理するユーザマスタリストを表として示した図である。
【図5】図1で示した印刷装置で管理する印刷データ制御設定情報を表として示した図である。
【図6】図1で示した印刷装置で管理する印刷データリストを表として示した図である。
【図7】図1で示した情報処理装置と印刷装置の機能ブロック図である。
【図8】本発明に係る印刷装置で印刷データを受信して格納する処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る印刷装置に格納された印刷データの削除事前通知、および削除制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る印刷装置の印刷データの保持期間変更処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明に係る印刷装置のパネルインターフェイスにおける印刷データの指示受付処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】本発明に係る印刷装置のパネルインターフェイス表示の一例を示す図である。
【図13】本発明に係る印刷装置で読み取り可能な各種データ処理プログラムを格納する記録媒体(記憶媒体)のメモリマップを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の一例について説明する。
【0012】
図1は、本発明に係る印刷システムの構成を示すシステム構成図の一例である。
【0013】
図1は、1又は複数の情報処理装置101と、1又は複数の印刷装置102とがネットワーク103を介して接続される構成となっている。
【0014】
以下、図2を用いて、図1に示した情報処理装置101のハードウェア構成について説明する。
図2は、図1に示した情報処理装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0015】
図2において、201はCPUで、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。また、ROM202あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。
【0016】
203はRAMで、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM202あるいは外部メモリ211からRAM203にロードして、該ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0017】
また、205は入力コントローラで、キーボード209や不図示のマウス等のポインティングデバイス等からの入力を制御する。206はビデオコントローラで、ディスプレイ210等の表示器への表示を制御する。なお、図2では、ディスプレイ(CRT)210と記載しているが、表示器はCRTだけでなく、液晶ディスプレイ等の他の表示器であってもよい。これらは必要に応じてユーザが使用するものである。
【0018】
207はメモリコントローラで、ブートプログラム,各種のアプリケーション,フォントデータ,ユーザファイル,編集ファイル,各種データ等を記憶する外部記憶装置(ハードディスク(HD))や、フレキシブルディスク(FD)、或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
【0019】
208は通信I/Fコントローラで、ネットワーク103を介して外部機器と接続・通信するものであり、ネットワーク103での通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いた通信等が可能である。
【0020】
なお、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ210上での表示を可能としている。また、ディスプレイ210は、ディスプレイ210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
【0021】
本発明を実現するための後述する各種プログラムは、外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。
【0022】
次に、図3を用いて、本発明の情報処理装置としての印刷装置102を制御するコントローラユニットのハードウェア構成について説明する。
【0023】
図3は、図1に示した印刷装置102のコントローラユニットのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0024】
図3において、316はコントローラユニットで、画像入力デバイスとして機能するスキャナ部314や、画像出力デバイスとして機能するプリンタ部312と接続する一方、ネットワーク103と接続することで、画像データやデバイス情報の入出力を行う。
【0025】
コントローラユニット316において、301はCPUで、システム全体を制御するプロセッサである。302はRAMで、CPU301が動作するためのシステムワークメモリであり、プログラムを記録するためのプログラムメモリや、画像データを一時記録するための画像メモリでもある。
【0026】
303はROMで、システムのブートプログラムや各種制御プログラムが格納されている。304はハードディスクドライブ(HDD)で、システムを制御するための各種プログラム,画像データ等を格納する記憶装置である。
【0027】
307は操作部インタフェース(操作部I/F)で、操作部UI308とのインタフェース部であり、操作部UI308に表示する画像データを操作部UI308に対して出力する。また、操作部I/F307は、操作部UI308から本システム使用者が入力した情報(例えば、ユーザ情報等)をCPU301に伝える役割をする。なお、操作部UI308はタッチパネルを有する表示部を備え、該表示部に表示されたボタンを、ユーザが押下(指等でタッチ)することにより、各種指示を行うことができる。
【0028】
305はネットワークインタフェース(Network I/F)で、ネットワーク103に接続し、データの入出力を行う。306はモデム(MODEM)で、公衆回線に接続し、FAXの送受信等のデータの入出力を行う。
【0029】
318は外部インタフェース(外部I/F)で、USB、IEEE1394,プリンタポート,RS−232C等の外部入力を受け付けるI/F部であり、本実施形態においては認証で必要となるICカードの読み取り用のカードリーダ319が外部I/F318に接続されている。そして、CPU301は、この外部I/F318を介してカードリーダ319によるICカードからの情報読み取りを制御し、該ICカードから読み取られた情報を取得可能である。なお、ICカードに限らず、ユーザを特定することが可能な記憶媒体であればよい。この場合、記憶媒体にはユーザを識別するための識別情報が記憶される。この識別情報は、記憶媒体の製造番号でも、ユーザが企業内で与えられるユーザコードであってもよい。
以上のデバイスがシステムバス309上に配置される。
【0030】
320はイメージバスインタフェース(IMAGE BUS I/F)であり、システムバス309と画像データを高速で転送する画像バス315とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。
【0031】
画像バス315は、PCIバスまたはIEEE1394で構成される。画像バス315上には以下のデバイスが配置される。
【0032】
310はラスタイメージプロセッサ(RIP)で、例えば、PDLコード等のベクトルデータをビットマップイメージに展開する。311はプリンタインタフェース(プリンタI/F)で、プリンタ部312とコントローラユニット316を接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。また、313はスキャナインタフェース(スキャナI/F)で、スキャナ部314とコントローラユニット316を接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
【0033】
317は画像処理部で、入力画像データに対し補正、加工、編集を行い、プリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等を行う。また、これに加えて、画像処理部317は、画像データの回転や、多値画像データに対してはJPEG、2値画像データはJBIG、MMR、MH等の圧縮伸張処理を行う。
【0034】
スキャナ部314は、原稿となる紙上の画像を照明し、CCDラインセンサで走査することで、ラスタイメージデータとして電気信号に変換する。原稿用紙は原稿フィーダのトレイにセットし、装置使用者が操作部UI308から読み取り起動指示することにより、CPU301がスキャナ部314に指示を与え、フィーダは原稿用紙を1枚ずつフィードし原稿画像の読み取り動作を行う。
【0035】
プリンタ部312は、ラスタイメージデータを用紙上の画像に変換する部分であり、その方式は感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に直接画像を印字するインクジェット方式等があるが、どの方式でも構わない。プリント動作の起動は、CPU301からの指示によって開始する。なお、プリンタ部312には、異なる用紙サイズまたは異なる用紙向きを選択できるように複数の給紙段を持ち、それに対応した用紙カセットがある。
【0036】
操作部UI308は、LCD表示部を有し、LCD上にタッチパネルシートが貼られており、システムの操作画面を表示するとともに、表示してあるキーが押されるとその位置情報を操作部I/F307を介してCPU301に伝える。また、操作部UI308は、各種操作キーとして、例えば、スタートキー、ストップキー、IDキー、リセットキー等を備える。
【0037】
操作部UI308のスタートキーは、原稿画像の読み取り動作を開始する時などに用いる。スタートキーの中央部には、緑と赤の2色LEDがあり、その色によってスタートキーが使える状態にあるかどうかを示す。また、操作部UI308のストップキーは、稼働中の動作を止める働きをする。また、操作部UI308のIDキーは、使用者のユーザIDを入力する時に用いる。リセットキーは、操作部からの設定を初期化する時に用いる。
【0038】
図4は、ユーザマスタリスト400の一例を表として示した図である。また、ユーザマスタリスト400は印刷装置102のHDD304に記憶されている。なお、ユーザマスタリスト400は情報処理装置101の外部メモリ211に記憶されてもいい。
ユーザマスタリスト400では、ユーザマスタID401ごとにユーザID402、メールアドレス403、IPアドレス404を対応付けて管理しており、複数のユーザのユーザ情報を記憶している。なお、ユーザマスタリスト400の項目を管理しているのであれば、データベースやユーザ情報管理サーバ(Active Directory(登録商標)サーバ、LDAPサーバ等)で管理しても良いもよい。
【0039】
図5は、印刷データ制御設定情報500の構成の一例を表として示した図である。印刷データ制御設定情報500は、監視開始時間、監視間隔、保持期間、保持延長時間、事前通知時間、最長保持期間、等の項目で構成され、印刷データの監視時間や保持期間等に関する設定値を保有している。また、印刷データ制御設定情報500は印刷装置102のHDD304に記憶されている。
【0040】
なお、印刷データ制御設定情報500の項目を管理されているのであれば、データベースや設定ファイル等で管理してもよい。
【0041】
ここで、図5の印刷データ制御設定情報500の項目について説明する。監視開始時間とは、情報処理装置から印刷装置に送信された印刷データを印刷装置が監視する開始時刻である。監視間隔とは、印刷装置が前回印刷データの監視後、次の監視までの間隔時間である。保持期間とは、印刷装置に格納された印刷データを保存している期間である。この保持期間と、印刷データの受付時間とを用いて、後述する削除予定時間が産出される。保持延長時間とは、印刷データの削除予定時刻から延長する時間である。事前通知時間とは、印刷データの削除予定時間のどれぐらい前にユーザに対する印刷データの削除事前通知を送信するかを示す時間である。最長保持期間とは、印刷装置が印刷データを格納している期間の最大の時間である。
【0042】
図6は、印刷データリスト600の構成の一例を表として示した図である。印刷データリスト600では、印刷ID601、送信元IPアドレス602、ユーザID603、受付時刻604、印刷データ名605、削除予定時刻606を項目として有する。この印刷データリスト600は、印刷データを管理する為に使用され、印刷データに対して印刷または削除が実行された場合は対象の印刷データが削除されるので、それに伴い印刷データリスト600から当該削除された印刷データに関する情報が削除される。また、印刷データに対して、削除時間の延長処理が実行された場合、対象の印刷データの削除予定時間が更新される。なお、印刷が実行された場合には印刷データの削除を行わず、削除指示を受け付けてはじめて対象の印刷データを削除するという手法を採用してももちろん構わない。
【0043】
図7は、図1に示した情報処理装置101、印刷装置102の機能ブロック図である。情報処理装置101は、通信I/F部701、印刷データ生成部702、通知受信部703を備えている。印刷装置102は、通信I/F部711、印刷制御部712、印刷データリスト制御部713、ユーザ情報制御部714、通知制御部715、保持期間制御部716、削除制御部717を備えている。
【0044】
701の通信I/F部は、ネットワーク103を介して図1に示した印刷装置102の通信I/F部711と通信を行う。
【0045】
702の印刷データ生成部は、印刷装置102で印刷する印刷データを生成し、印刷装置102へ送信する処理を実行する。
【0046】
703の通知受信部は、印刷装置102から送信された削除事前通知を受信し、ディスプレイ210に削除事前通知を表示する。
【0047】
711の通信I/F部は、ネットワーク103を介して図1に示した情報処理装置101と通信を行う。
【0048】
712の印刷制御部は、情報処理装置101から送信された印刷データを受信してHDD304に格納する。そして、印刷データに対する印刷指示を受け付けた場合、印刷物を出力する。
【0049】
713の印刷データリスト制御部は、印刷制御部が情報処理装置101から送信された印刷データをHDD304に格納すると、当該印刷データに係る情報を印刷データリスト600に追加登録する。また、印刷データ制御設定情報500の監視間隔のサイクルで、印刷データリスト600に、次回監視時に削除対象の印刷データのデータが含まれているかを確認する。
そして、次回削除対象の印刷データが存在した場合は、当該印刷データを生成した情報処理装置101がネットワーク103上に存在するかを確認することで、削除事前通知を受信可能な状態であるかを確認し、削除事前通知を受信可能な状態ではないと判定した場合には当該印刷データの削除の延長処理を実行し、削除事前通知を受信可能な状態である場合は、当該印刷データを次回削除対象の印刷データリストに追加する処理を実行する。
【0050】
714のユーザ情報制御部は、印刷装置102のHDD304に記憶されている印刷データリスト600の送信元IPアドレス602と、図4に示すユーザマスタリスト400のIPアドレス404をマッチングし、ユーザマスタリスト400のマッチング対象のユーザ情報を取得する。なお、印刷データリスト600とユーザマスタリスト400のマッチングはユーザIDを使用してもよい。
【0051】
715の通知制御部は、印刷データリスト制御部713が作成した次回削除対象の印刷データリストと、ユーザ情報制御部714が取得したユーザ情報を元に、ユーザ情報の宛先にメッセージ送信を実行する。なお、印刷データリスト600の送信元IPアドレス602を宛先として印刷装置102から情報処理装置101へメッセージ送信を実行してもよい。
【0052】
716の保持期間制御部は、情報処理装置101のディスプレイ210、もしくは印刷装置102のパネルインターフェイス1200で延長指示を受け付けた印刷データの削除予定時刻606を、印刷データの削除予定時刻606と印刷データ制御設定情報500の保持延長時間により算出した新たな削除予定時刻に更新する。
【0053】
717の削除制御部は、印刷データリスト600に含まれる削除予定時刻606を過ぎた印刷データの削除と、印刷データ制御設定情報500の最長保持期間を超えた印刷データの削除を実行する。また、削除指示を受け付けた印刷データも削除する。
【0054】
なお、各機能ブロックが処理する詳細な制御については、後述する図8〜図11のフローチャートにて説明する。
【0055】
図8では、印刷装置102が情報処理装置101から送信された印刷データを受信して格納する処理を示すフローチャートを示す。
【0056】
情報処理装置101は、印刷対象のデータに対する印刷指示を受け付けると、プリンタドライバを用いて印刷装置102で解釈可能な印刷データを生成し(ステップS801)、生成した印刷データを印刷装置102に送信する処理を行う(ステップS802)。
【0057】
印刷装置102は、ステップS802で送信された印刷データを受信し(ステップS811)、受信した印刷データをHDD304に格納して、印刷データの印刷ID601、送信元IPアドレス602、ユーザID603、受付時刻604、印刷データ名605、削除予定時刻606を印刷データリスト600に登録する(ステップS812)。なお、当該の印刷データの印刷ID601はユニークな値を設定し、削除予定時刻606は、印刷データ制御設定情報500の保持期間と当該の印刷データの受付時刻604から算出した値を設定する。
【0058】
次に図9では、印刷データリストの制御と削除事前通知の送信のフローチャートを示す。
【0059】
印刷装置102は、印刷データ制御設定情報500に設定されている監視開始時間、監視間隔、保持期間、保持延長時間、事前通知時間、最長保持期間の項目の設定値を取得する(ステップS901)。
【0060】
印刷装置102は、現在時刻と印刷データ制御設定情報500の監視開始時間と監視間隔によって、監視のタイミングを判断する(ステップS902)。
監視のタイミングに達したと場合、印刷装置102は、印刷データリスト600の削除予定時刻606を過ぎた印刷データと印刷データ制御設定情報500の最長保持期間を過ぎた印刷データを削除し、印刷データリスト600の該当するレコードを削除する(ステップS903)。
印刷装置102は、ステップS902の判断処理を行った時刻と印刷データ制御設定情報500の監視間隔から算出した次回監視時刻のときに削除対象となる印刷データが印刷データリスト600に存在するかを確認する(ステップS904)。
印刷装置102は、ステップS904で確認した次回削除対象の印刷データの送信元IPアドレス602を確認し、送信元IPアドレス602が設定された情報処理装置がネットワーク103上に存在するかを確認して判断する(ステップS905)。
【0061】
情報処理装置101がネットワーク103上に存在するかの判断は、例えば、印刷装置102から送信元IPアドレス602が設定された対象の情報処理装置101に対して文字列を送信して、情報処理装置101からの返信の有無を確認することで行う(返信があれば存在する、返信がなければ存在しない)。この処理により、情報処理装置が削除事前通知を受けられる状態であるか否かを判断することができる。
【0062】
印刷装置102は、ステップS905においてネットワーク103上に存在しないことを確認した情報処理装置101から送信された印刷データのうち、次回削除予定である印刷データの新たな削除予定時刻を、既にその印刷データに設定されている削除予定時間と印刷データ制御設定情報500の保持延長時間とを用いて算出し(ステップS906)、算出した新たな削除予定時刻で、印刷データリスト600の該当レコードの削除予定時刻606を更新する(ステップS907)。この処理により、ユーザが削除事前通知を確認できない状況である場合に、印刷データの削除予定時刻を自動延長できるという効果を奏する。
【0063】
なお、印刷装置102がトナーなしや用紙なし等で印刷できない状態である場合は、印刷データの削除予定時刻を自動延長されてもよい。また、印刷装置102の電源がOFFのために削除されるべき印刷データが削除できなかった場合は、電源がON時に印刷データの削除予定時刻を自動延長されてもよい。
【0064】
印刷装置102は、次回削除対象の印刷データのリストである次回削除対象印刷データリストをユーザごとに作成し(ステップS908)、作成した次回削除対象印刷データリストの送信元IPアドレス602と、ユーザマスタリスト400のIPアドレス404をマッチングし、当該のユーザマスタリスト400のユーザ情報を削除事前通知の宛先として取得する(ステップS909)。なお、ステップS909の印刷データリスト600とユーザマスタリスト400のマッチングはユーザIDを使用してもよい。
その後、印刷装置102は、ステップS908で作成された次回削除対象印刷データリストに含まれる印刷データの削除予定時刻606と印刷データ制御設定情報500の事前通知時間によって算出された事前通知時刻に達すると、次回削除対象印刷データリストを送信することで、ユーザに対して削除事前通知を送信する(ステップS910)。
そして上記の処理をステップS911で監視終了(YES)と判定するまで繰り返すことになる。例えば、印刷装置102は、印刷装置102の電源がOFFなど指示を受け付けると、ステップS911で監視終了(YES)と判定することになる。
【0065】
なお、ステップS905の情報処理装置101の存在確認は、印刷データを生成したユーザが情報処理装置を使用中であるかを確認してもよい。例えば、印刷装置102から印刷データの送信元IPアドレス602が設定された対象の情報処理装置101にログインユーザを確認するコマンドを送信して、情報処理装置101にログインしているユーザを取得することによりユーザが印刷装置から送信された削除事前通知を確認できる状況であるかを判定するようにしても良い。
【0066】
なお、削除事前通知はメールでもよく、ユーザマスタリスト400のメールアドレスを宛先としてメール送信してもよい。また、メール送信には、配信確認や開封通知の機能を設定してもよい。この確認機能により、ステップS910にて印刷装置から送信された削除事前通知をユーザが確認したかを判断することができる。なお、ユーザが削除事前通知を確認していない場合は、印刷データの削除予定時刻を自動延長してもよい。
【0067】
次に図10では、情報処理装置101での印刷データの削除延長要求と印刷装置102での印刷データリストの更新処理を示す。
【0068】
情報処理装置101が、ステップS910で送信された削除事前通知を受信してディスプレイ210に表示し(ステップS1001)、印刷データの削除延長要求を指示するための印刷データ保持期間変更画面(不図示)を表示する(ステップS1002)。
【0069】
情報処理装置101のディスプレイ210に表示された印刷データ保持期間変更画面で印刷データの保持期間の延長指示を受け付けた場合(ステップS1003)、情報処理装置101は、印刷データの保持期間の延長要求を印刷装置102に送信する(ステップS1004)。なお、印刷データ保持期間変更画面で印刷データの削除指示を受け付け可能にしてもよい。
【0070】
情報処理装置101から送信された印刷データの保持期間の延長要求を印刷装置102が受信し(ステップS1011)、印刷装置102は、印刷データリスト600から保持期間の延長要求を受け付けた印刷データの情報が登録されているレコードを取得する(ステップS1012)。
【0071】
印刷装置102は、ステップS1012で取得したレコードの削除予定時刻と印刷データ制御設定情報500の保持延長時間により、当該延長要求対象の印刷データの新たな削除予定時刻を算出し(ステップS1013)、算出した新たな削除予定時刻を印刷データリスト600の該当レコードの削除予定時刻に登録する(ステップS1014)。
【0072】
図11では、印刷装置102での印刷装置のパネルインターフェイスで印刷、消去、延長処理の指示を受け付けた処理の一例のフローチャートを示す。
【0073】
ここで、図12について説明する。図12は、印刷装置102のパネルインターフェイス表示の一例を示す図である。パネルインターフェイス1200には、印刷データリスト指定部1211、印刷データ操作指示部1212が設定されている。印刷データリスト指定部1211は、印刷ID1201、受付時刻1202、ユーザID1203、印刷データ名1204、削除予定時刻1205を印刷データリストの項目として有し、印刷データリストをレコードで表示する。印刷データリストのレコードを押下指示して受け付けた場合、当該のレコードが選択される。印刷データ操作指示部1212は、全選択ボタン1206、選択解除ボタン1207、印刷ボタン1208、消去ボタン1209、削除延長ボタン1210を備えている。全選択ボタン1206に対する押下指示を受け付けると、印刷データリスト指定部1211の全てのレコードが選択される。選択解除ボタン1207に対する押下指示を受け付けると、印刷データリスト指定部1211の全てのレコードが選択解除される。印刷ボタン1208に対する押下指示を受け付けると、印刷データリスト指定部1211で選択されたレコードが示す印刷データの印刷を行う。消去ボタン1209に対する押下指示を受け付けると、印刷データリスト指定部1211で選択されたレコードが示す印刷データが削除される。印刷実行、削除が行われた印刷データに係る印刷データリスト600中のレコードが削除されることになる。削除延長ボタン1210に対する押下指示を受け付けると、印刷データリスト指定部1211で選択されたレコードの削除予定時間が延長される。
【0074】
図11の説明に戻る。印刷装置102はパネルインターフェイス1200に印刷データリスト600を表示し(ステップS1101)、表示された印刷データリストから印刷データの選択を受け付ける(ステップS1102)。
【0075】
印刷データの選択を受付後、パネルインターフェイス1200に表示された印刷ボタン1208、消去ボタン1209、削除延長ボタン1210のいずれかの押下指示を受け付ける(ステップS1103)。
【0076】
印刷ボタン1208の押下指示を受け付けた場合は、ステップS1102で選択された印刷データの印刷を実行し、当該印刷データを削除し、印刷データリスト600の当該レコードを削除する(ステップS1104)。なお、印刷データの実行後、当該印刷データを削除しないような仕様にしても構わない。その場合、印刷データリスト600の当該レコードの削除は行われない。
【0077】
消去ボタン1209の押下指示を受け付けた場合は、ステップS1102で選択された印刷データを削除し、印刷データリスト600の当該レコードを削除する(ステップS1105)。
【0078】
削除延長ボタン1210の押下指示を受け付けた場合は、ステップS1102で選択された印刷データの削除予定時刻606と印刷データ制御設定情報500の保持延長時間により、当該印刷データの新たな削除予定時刻を算出し、算出した新たな削除予定時刻を印刷データリスト600の該当レコードの削除予定時刻に登録する(ステップS1106)。
【0079】
ステップS1104またはステップS1105またはステップS1106の処理後、印刷装置102はパネルインターフェイス1200に表示された印刷データリストを更新する(ステップS1107)。
【0080】
パネルインターフェイス1200で印刷データの指示がなければ、終了する。(ステップS1108)。
【0081】
本発明では以上のような構成をとることで、印刷装置102に格納された印刷データの削除事前通知をユーザが受けられない状態にある場合に、格納された印刷データの削除期間を延長し、削除されることを防止することが可能となる。
【0082】
以下、図13に示すメモリマップを参照して本発明に係る印刷装置で読み取り可能なデータ処理プログラムの構成について説明する。
【0083】
図10は、本発明に係る印刷装置で読み取り(読み出し)可能な各種データ処理プログラムを格納する記録媒体(記憶媒体)のメモリマップを説明する図である。
【0084】
なお、特に図示しないが、記録媒体に記憶されるプログラム群を管理する情報、例えばバージョン情報,作成者等も記憶され、かつ、プログラム読み出し側のOS等に依存する情報、例えばプログラムを識別表示するアイコン等も記憶される場合もある。
【0085】
さらに、各種プログラムに従属するデータも上記記録媒体に管理されている。また、インストールするプログラムやデータが圧縮されている場合に、解凍するプログラム等も記憶される場合もある。
【0086】
本実施形態における図8〜図11に示す処理が外部からインストールされるプログラムによって、各クライアントにより遂行されていてもよい。そして、その場合、CD−ROMやフラッシュメモリやFD等の記録媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記録媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
【0087】
以上のように、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0088】
この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0089】
プログラムコードを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,DVD−ROM,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM,EEPROM,シリコンディスク等を用いることができる。
【0090】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0091】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0092】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合にも適応できることは言うまでもない。この場合、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムを格納した記録媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【0093】
さらに、本発明を達成するためのソフトウェアによって表されるプログラムをネットワーク上のサーバ,データベース等から通信プログラムによりダウンロードして読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
【符号の説明】
【0094】
101 情報処理装置
102 印刷装置
103 ネットワーク
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 システムデバイス
205 入力コントローラ
206 ビデオコントローラ
207 メモリコントローラ
208 通信I/Fコントローラ
209 キーボード
210 ディスプレイ
211 外部メモリ
301 CPU
302 RAM
303 ROM
304 HDD
305 Network I/F
306 MODEM
307 操作部I/F
308 操作部UI
309 システムバス
310 RIP
311 プリンタI/F
312 プリンタ部
313 スキャナI/F
314 スキャナ部
315 画像バス
316 コントローラユニット
317 画像処理部
318 外部I/F
319 カードリーダ
320 IMAGE BUS I/F
400 ユーザマスタリスト
500 印刷データ制御設定情報
600 印刷データリスト
701 通信I/F部
702 印刷データ生成部
703 通知受信部
711 通信I/F部
712 印刷制御部
713 印刷データリスト制御部
714 ユーザ情報制御部
715 通知制御部
716 保持期間制御部
717 削除制御部
1200 パネルインターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置と接続可能な印刷装置であって、
前記情報処理装置から印刷データを受信して格納する印刷データ格納手段と、
前記印刷データ格納手段で格納された印刷データを一定期間保持するために保持期間を設定する保持期間設定手段と、
前記印刷データの保持期間の事前通知時間前に前記印刷データの送信元に削除される旨の通知をする削除通知手段と、
前記印刷データの保持期間を経過した印刷データを削除する削除制御手段と、
前記情報処理装置の状態を判定する状態判定手段と、
前記状態判定手段によって前記削除通知手段による削除事前通知が前記情報処理装置で受けられない状態を判定した場合に、前記保持期間設定手段で設定された前記印刷データの保持期間を変更する保持期間変更手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。

【請求項2】
前記印刷データ格納手段で格納された前記印刷データの保持期間を監視する監視手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。

【請求項3】
前記印刷データ格納手段で格納された前記印刷データの保持期間の変更指示を前記情報処理装置から受け付ける第1の受付手段と、
前記第1の受付手段で保持時間の変更指示を受け付けた前記印刷データの保持期間を変更する変更手段と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。

【請求項4】
前記印刷データ格納手段で格納された前記印刷データの削除指示を前記情報処理装置から受け付ける第2の受付手段と、
前記第2の受付手段で印刷指示を受け付けた前記印刷データを削除する削除手段と、
を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷装置。

【請求項5】
情報処理装置と接続可能な印刷装置の制御方法であって、
前記情報処理装置から印刷データを受信して格納する印刷データ格納ステップと、
前記印刷データ格納ステップで格納された印刷データを一定期間保持するために保持期間を設定する保持期間設定ステップと、
前記印刷データの保持期間の事前通知時間前に前記印刷データの送信元に削除される旨の通知をする削除通知ステップと、
前記印刷データの保持期間を経過した印刷データを削除する削除制御ステップと、
前記情報処理装置の状態を判定する状態判定ステップと、
前記状態判定ステップによって前記削除通知ステップによる削除事前通知が前記情報処理装置で受けられない状態を判定した場合に、前記保持期間設定ステップで設定された前記印刷データの保持期間を変更する保持期間変更ステップと、
を有することを特徴とする印刷装置の制御方法。

【請求項6】
情報処理装置と接続可能な印刷装置で実行されるコンピュータプログラムであって、
前記印刷装置を、
前記情報処理装置から印刷データを受信して記憶装置に格納する印刷データ格納手段と、
前記印刷データ格納手段で格納された印刷データを一定期間保持するために保持期間を設定する保持期間設定手段と、
前記印刷データの保持期間の事前通知時間前に前記印刷データの送信元に削除される旨の通知をする削除通知手段と、
前記印刷データの保持期間を経過した印刷データを削除する削除制御手段と、
前記情報処理装置の状態を判定する状態判定手段と、
前記状態判定手段によって前記削除通知手段による削除事前通知が前記情報処理装置で受けられない状態を判定した場合に、前記保持期間設定手段で設定された前記印刷データの保持期間を変更する保持期間変更手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−22762(P2013−22762A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156971(P2011−156971)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【出願人】(312000206)キヤノンMJアイティグループホールディングス株式会社 (259)
【出願人】(301015956)キヤノンソフトウェア株式会社 (364)
【Fターム(参考)】