説明

印刷装置、及び印刷装置の制御方法

【課題】検知されたエラーから推測される使用環境に応じたアラートメッセージをユーザーに表示することが可能な印刷装置及び印刷装置の制御方法を提供する。
【解決手段】プリンター11は、エラーを検知するエラー検知部131と、エラーに対応するアラートメッセージが保存されたメッセージデータ145が記憶された不揮発性メモリー143と、検知されたエラーの回数を計数するエラーカウンター141と、エラーカウンター141の計数値に基づいて検知されたエラーの発生頻度を算出する発生頻度算出部133と、発生頻度算出部133によって算出された発生頻度が検知された予め定められた基準発生頻度以上であるとき、メッセージデータ145からアラートメッセージを選択するアラートメッセージ選択部134と、選択されたアラートメッセージが表示される表示部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷装置、及び印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理用プログラムには、通常、ユーザーからのヘルプ要求に対して的確なメッセージをユーザーに通知するためのヘルプ機能が搭載されている。こうしたヘルプ機能に関し、例えば特許文献1では、過去の状態が時刻順に格納された履歴バッファーを用い、ユーザーからのヘルプ機能の要求に対して現在の状態のみならず過去の状態をも参照してユーザーが知りたい情報を推論している。そして、その推論した結果に基づいて選択されたメッセージを表示手段に通じてユーザーに通知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2690996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、印刷装置では、搬送経路に記録用紙が詰まってしまう紙ジャムエラーが発生することがある。紙ジャムエラーが発生する原因の一つとして、一方の印刷面が既に印刷された記録用紙(以下、「裏紙」という)の使用が挙げられる。こうした裏紙への印刷を続けていると、当然ながら、紙ジャムエラーだけでなく、紙ジャムエラーに起因する新たなエラーまでもが印刷装置に生じやすくなる。
【0005】
しかしながら、裏紙の使用が紙ジャムエラーの原因となることを全てのユーザーが知っているわけではない。上記特許文献1の方法が適用された印刷装置であれば、紙ジャムエラーが多いと感じたユーザーがエラーに関するヘルプ要求を自ら行うことによって、その原因の一つに裏紙の使用があることを知ることが可能である。しかしながら、このようなヘルプ機能を全てのユーザーが操作できるとは限らず、また、ユーザーがヘルプ機能を操作できるとしても、結局のところ、こうしたヘルプ機能の操作をユーザーに強いることとなる。
【0006】
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、検知されたエラーから推測される使用環境に応じたアラートメッセージをユーザーに表示することが可能な印刷装置及び印刷装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の印刷装置は、エラーを検知するエラー検知手段と、前記エラーに対応するアラートメッセージを記憶するメッセージ記憶手段と、前記検知手段が検知した回数を計数するエラー計数手段と、前記エラー計数手段の計数値に基づいて前記エラーの発生頻度を算出するエラー発生頻度算出手段と、前記エラー発生頻度算出手段によって算出された発生頻度が予め定められた基準発生頻度以上であるとき前記アラートメッセージを表示する表示手段とを備える。
【0008】
ここで、特定のエラーが高い頻度で発生している印刷装置は、その特定のエラーが発生しやすいような使用環境の下で稼働しているものと推測される。本発明の印刷装置によれば、検知されたエラーの発生頻度が予め定めた基準発生頻度以上であるとき、当該エラーに関するアラートメッセージが表示される。例えば、紙ジャムエラーの発生頻度が基準発
生頻度以上である場合には記録用紙として裏紙を使用しているものと推測され、裏紙の使用を示唆するアラートメッセージを表示させる。すなわち、上記構成によれば、検知されたエラーから推測される印刷装置の使用環境に応じたアラートメッセージが表示される。そして、その表示されたアラートメッセージに基づく対応をユーザーに実行してもらうことによって、特定のエラーはもちろんのこと、当該特定のエラーに起因する新たなエラーの発生を抑えることが可能である。
【0009】
この印刷装置において、印刷された用紙の枚数を計数する印刷枚数計数手段をさらに備え、前記エラー発生頻度算出手段は、前記エラー計数手段の計数値と前記印刷枚数計数手段の計数値とに基づいて、前記検知されたエラーの発生頻度を算出する。
【0010】
この印刷装置のように、エラーの発生頻度は、印刷された用紙の枚数に対するエラーの発生回数で算出することができる。
この印刷装置において、前記エラー発生頻度算出手段は、前記印刷枚数計数手段の計数値が、前記発生頻度を算出する条件として予め定められた印刷枚数の閾値である最低印刷枚数以上である場合に前記発生頻度を算出する。
【0011】
ここで、印刷枚数計数手段の計数値が小さければ小さいほど当該計数値に対して1つのエラーが占める割合が大きくなるため、例えば偶発的なエラーが短期間で連続して発生した場合、算出された発生頻度が基準発生頻度を容易に超えてしまう虞がある。この点、上記構成によれば、エラー発生頻度算出手段は、印刷枚数計数手段の計数値が最低印刷枚数以上である場合にのみ発生頻度を算出する。言い換えれば、たとえエラーが検知されたとしても、印刷枚数計数手段の計数値が最低印刷枚数以上でなければアラートメッセージが表示されることがない。こうした最低印刷枚数を設定することによって、エラーの発生頻度を十分なサンプル数の下で算出することが可能になることから、エラーから推測される使用環境の確度を高めることができる。
【0012】
この印刷装置は、前記印刷枚数計数手段の計数値及び前記エラー計数手段の計数値をリセットするリセット手段をさらに備える。
この印刷装置によれは、例えば記録用紙の紙種など、印刷する条件が変更されたときに印刷枚数計数手段の計数値及びエラー計数手段の計数値をリセットすることができる。その結果、エラー発生頻度算出手段は、たとえ印刷する条件が変更されたとしても、その変更された条件下における印刷枚数及びエラーの発生回数に基づいて発生頻度を算出することができる。
【0013】
この印刷装置は、ユーザーによって操作され、印刷される用紙に関する情報である用紙情報が設定される用紙情報設定手段をさらに備え、前記リセット手段は、前記用紙情報設定手段によって前記用紙情報が変更されることにより、前記印刷枚数計数手段の計数値及び前記エラー計数手段の計数値をリセットする。
【0014】
ここでいう「用紙情報」とは、例えば印刷される用紙の種類やサイズに関する情報である。印刷される用紙を変更する際には、変更後の用紙に則したエラーをエラー検知手段に検知させるうえで用紙情報も変更されることが好ましい。そのため、用紙情報が変更されても印刷枚数計数手段及びエラー計数手段の計数値がリセットされないとなれば、変更後に算出される発生頻度に、変更前における印刷枚数及び変更前に検知されたエラーが含まれてしまうことになる。この点、上記構成によれば、用紙情報が変更されたときに印刷枚数計数手段及びエラー計数手段の計数値がリセットされることから、用紙情報の変更後に印刷枚数計数手段及びエラー計数手段によって計数された計数値は、用紙情報の変更後の値となる。その結果、用紙情報の変更後におけるエラーの発生頻度をより正確に算出することが可能である。
【0015】
この印刷装置は、ユーザーによって操作され、前記表示手段に表示されたアラートメッセージに対する当該ユーザーの応答が入力される入力手段をさらに備え、前記リセット手段は、前記入力手段を通じて当該アラートメッセージの内容がユーザーによって容認されると、前記印刷枚数計数手段の計数値及び前記エラー計数手段の計数値をリセットする。
【0016】
ユーザーの中には、例えば印刷される用紙として裏紙を使用することによって紙ジャムエラーの発生頻度が高くなることを認識しながらも裏紙を使用し続けるユーザーもいる。こうしたユーザーに対して、裏紙の使用を示唆するアラートメッセージを表示したとしても、当該ユーザーが煩わしく感じてしまうだけである。この点、上記構成によれば、アラートメッセージが表示されたときにその内容を容認する信号が入力されることで、印刷枚数計数手段及びエラー計数手段の計数値がリセットされる。すなわち、ユーザーの応答後、再び最低印刷枚数に到達するまではアラートメッセージが表示されることがない。その結果、アラートメッセージの内容を認識しているユーザーに対して、アラートメッセージが通知される回数を減少させることが可能となり、ユーザーが煩わしさを感じる機会を減少させることができる。
【0017】
この印刷装置は、前記入力手段を通じて前記アラートメッセージの内容がユーザーによって容認されると、前記算出された発生頻度を前記検知されたエラーの基準発生頻度に設定する基準発生頻度変更手段をさらに備える。
【0018】
この印刷装置によれば、基準発生頻度変更手段は、算出された発生頻度が変更前の基準発生頻度以上であることにともなって表示されたアラートメッセージを容認した場合に、当該算出された発生頻度を基準発生頻度に設定する。その結果、アラートメッセージの内容を認識しているユーザーに対して、アラートメッセージが通知される回数をさらに減少させることが可能となり、ユーザーが煩わしさを感じる機会をさらに減少させることができる。
【0019】
この印刷装置は、前記選択されたアラートメッセージを含んだ動作の履歴である動作履歴情報を記録する動作履歴情報記録手段をさらに備える。
この印刷装置によれば、動作履歴情報を参照することによって、当該印刷装置におけるエラーの発生状況を把握することができる。これにより、例えば、サービスマンがユーザーの下を訪問した際にその動作履歴情報に基づいて当該印刷装置の使用環境を把握することができ、その把握した使用環境に基づいた適切なメンテナンスやユーザーへのアドバイスを行うことができる。
【0020】
この印刷装置は、前記動作履歴情報記録手段が記録した前記動作履歴情報をネットワークを介してサービスセンターに送信する送信手段をさらに備える。
この印刷装置によれば、印刷装置の動作履歴情報がサービスセンターに送信されることで、例えばユーザーからエラーに関する問い合わせを受けた際に、エラーの発生状況をユーザーから説明して頂かなくとも、サービスセンターにおいて上記動作履歴情報に基づいてエラーの発生状況を把握することができる。これにより、例えばユーザーからエラーに関する問い合わせを受けた際に、動作履歴情報を考慮したうえで、発生したエラーに対する処置をユーザーに対してすばやく教示することができる。
【0021】
この印刷装置は、前記送信した動作履歴情報に関する前記サービスセンターからのメッセージを受信する受信手段をさらに備える。
この印刷装置によれば、送信した動作履歴情報に関するサービスセンターからの応答メッセージを受信することができる。これにより、例えば、動作履歴情報、特にアラートメッセージの履歴の分析結果に基づいて、エラーに対するユーザーの処置を指示する応答メ
ッセージをサービスセンターから送信することができる。これにより、印刷装置は、その応答メッセージを表示手段に表示したり、印刷可能な状態であれば印刷したりすることができる。その結果、サポートセンターへの問い合わせ等、ユーザーの負担を軽減しつつ、印刷装置の使用環境に関する分析結果に応じた処置をユーザーに教示することができる。
【0022】
本発明の印刷装置の制御方法は、エラーを検知するエラー検知手段と、前記エラーに対応するアラートメッセージを記憶するメッセージ記憶手段と、前記エラー検知手段が検知した回数を計数するエラー計数手段と、前記エラー計数手段の計数値に基づいてエラーの発生頻度を算出するエラー発生頻度算出手段と、前記アラートメッセージを表示させる表示手段とを備えた印刷装置の制御方法であって、前記エラー発生頻度算出手段によって算出された発生頻度が予め定められた基準発生頻度以上であるとき前記アラートメッセージを表示させる。
【0023】
上述したように、特定のエラーが高い頻度で発生している印刷装置においては、その特定のエラーが発生しやすいような使用環境の下で稼働しているものと推測される。本発明の印刷装置の制御方法によれば、検知されたエラーの発生頻度が予め定めた基準発生頻度以上であるとき、当該エラーに対応するアラートメッセージが表示される。その結果、検知されたエラーから推測される印刷装置の使用環境に応じたアラートメッセージを表示することができる。そして、その表示されたアラートメッセージに基づく対応をユーザーに実行してもらうことによって、特定のエラーはもちろんのこと、当該特定のエラーに起因する新たなエラーの発生を抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる複合型プリンターの斜視構造を示す斜視図。
【図2】反転ユニットが装着されたプリンター部の斜視構造を示す斜視図。
【図3】表面印刷時におけるプリンター部を示す側断面図。
【図4】裏面印刷時におけるプリンター部を示す側断面図。
【図5】複合型プリンターの電気的構成を示すブロック図。
【図6】表示部に表示されるメッセージの表示態様の一例を示す図であって、(a)紙ジャムエラーに関するエラーメッセージ、(b)紙ジャムエラーに関するアラートメッセージ、(c)お問い合わせメッセージを示す図。
【図7】メッセージ表示処理の処理手順を示すフローチャート。
【図8】印刷される媒体が普通紙に変更されたあとのプリンターにおける基本的な運転の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の印刷装置をインクジェット式複合型プリンターに具体化した一実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
図1に示されるように、インクジェット式複合型プリンター(以下、単に「プリンター11」という)は、インターネットNWを介してサービスセンター5のサーバー(図示略)に接続されたパーソナルコンピューター等のホスト装置7に電気的に接続されて印刷システム10を構成している。
【0026】
プリンター11は、一台で、スキャナー、プリンター、コピーの3つの機能を備えるカラープリンターである。プリンター11は、原稿の画像を読み取って画像データとして入力するスキャナー部12と、印刷データに基づく画像を所定の記録媒体(メディア)に印刷するプリンター部13と、操作パネル14とを備えている。コピー機能は、スキャナー部12で読み取った画像データをプリンター部13で印刷データに変換し、その印刷データに基づく画像をプリンター部13で印刷することにより実現される。
【0027】
スキャナー部12は、プリンター部13の内部が視認されるように、プリンター部13の上側に開閉可能に配置され、スキャナー部12の上部には、原稿を載置するための原稿台ガラス15と、該原稿台ガラス15を覆う原稿台カバー16とが設けられている。原稿台カバー16は、スキャナー部12に開閉可能に設けられている。
【0028】
プリンター11の下部には、プリンター部13に給送すべき用紙P(記録媒体)を収容する給紙カセット17が取り外し可能な状態で挿着されている。給紙カセット17の上側には、プリンター部13により印刷された用紙Pを排出するための排出部18が設けられている。排出部18には、排出された用紙Pが載置される3段伸縮式の排紙スタッカー20が設けられている。
【0029】
プリンター11の前面やや上段寄り位置に配置された操作パネル14は、ユーザーが操作するための操作部21と、各種表示を行うための表示部22とを備えている。表示部22は、本実施形態ではタッチパネル式のカラー液晶ディスプレイで構成されている。表示部22には、メニュー画面や、各種モードにおける設定状態、動作状態やユーザーへのメッセージを示す文字(テキスト)、印刷したい画像の選択や画面上での印刷画像の確認を行うための画像などが表示される。
【0030】
操作部21には、ユーザーが各種操作を行うための操作ボタンが設けられている。この操作ボタンとしては、例えば、電源を投入(ON)/遮断(OFF)するための電源スイッチ23(電源ボタン)や、印刷処理を開始するための印刷開始スイッチ24、コピー処理を開始するためのコピースイッチ25、後述するエラー表示を解除したりするキャンセルスイッチ26等の他、各種メニューを選択するための選択ボタン、モード選択ボタン等も設けられている。例えばレーベル印刷は、モード選択ボタンによりレーベル印刷モードを選択し、その設定画面で必要な設定項目(CDサイズ,画像の選択等)を選択した後、印刷開始スイッチ24を押すことで実行される。
【0031】
また、プリンター11の前面右側にはカードスロット27が設けられ、例えばデジタルカメラ等により撮影された画像を保存するメモリーカードMCをカードスロット27に挿着することで、メモリーカードMCの画像をホスト装置7を介さず印刷することが可能となっている。さらに、プリンター11はUSBケーブルの端子を接続するためのUSBポート(図示せず)を備え、デジタルカメラからUSBケーブルを介して画像データを直接読み込んで印刷したり、ホスト装置7のプリンタードライバーからUSBケーブルを介して受信した印刷データに基づいて印刷したりすることも可能となっている。なお、プリンター11の前部左右下側には、カバー13aに覆われた状態で複数個のインクカートリッジ28が、図示しないカートリッジホルダーに接続された状態で収容されている。
【0032】
次にプリンター部13の構成を説明する。
図2に示されるように、プリンター部13は、上側及び前側が開放された略四角箱状の本体フレーム29を備えている。本体フレーム29の同図における左右の側壁間には所定長さを有するガイド軸30が架設されており、キャリッジ31はこのガイド軸30に沿って主走査方向Xに往復移動可能に設けられている。キャリッジ31は、本体フレーム29の背板内面に取着された一対のプーリー32に巻き掛けられた無端状のタイミングベルト33に固定されており、図2における右側のプーリー32が駆動軸に取着されたキャリッジモーター(以下、「CRモーター34」という)が正逆転駆動されて、タイミングベルト33が正転・逆転することにより、キャリッジ31は主走査方向Xに往復移動するようになっている。
【0033】
キャリッジ31の下部には、インクジェット式の記録ヘッド35が設けられており、この記録ヘッド35の下面は、液体としてのインクを噴射する複数列のノズルが開口するノ
ズル形成面35a(図3及び図4参照)となっている。
【0034】
本体フレーム29内の記録ヘッド35と対向する位置には、記録ヘッド35と用紙との間隔を規定する支持台36が設けられている。また、記録ヘッド35はインク色毎の複数本のインク供給チューブが集束状態に配管されたフレキシブル配管板37を介して複数のインクカートリッジ28と接続され、例えば黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のインクが各インクカートリッジ28から記録ヘッド35へ個別に供給されるようになっている。なお、フレキシブル配管板37には記録ヘッド35を駆動させるための電気系配線も含まれている。また、キャリッジ31の背面側には、キャリッジ31の移動量に比例する数のパルスを出力するリニアエンコーダー38がガイド軸30に沿って延びるように設けられている。
【0035】
また、本体フレーム29の図2における右側下部には、紙送りモーター(以下、「PFモーター39」という)が配設されている。PFモーター39の駆動により、支持台36を搬送方向に挟んだその上流側と下流側にそれぞれ配置された搬送ローラー対40及び排出ローラー対41(図3参照)が回転駆動され、用紙Pが副走査方向Yに搬送される。なお、搬送ローラー対40は、PFモーター39の動力で回転駆動する搬送駆動ローラー40aと、搬送駆動ローラー40aに当接して連れ回りする従動ローラー40bとから構成される。
【0036】
また、プリンター11には、記録ヘッド35と支持台36との間隔(支持台ギャップ)を調整可能に、キャリッジ31を上下方向に移動させる支持台ギャップ自動調整装置(以下、「APG装置42」と称す)が装備されている。ホスト装置7から、または、操作パネル14で設定された用紙情報から取得した紙種の情報に基づきその紙種に応じた適切な支持台ギャップが確保されるようにAPG装置42は駆動され、キャリッジ31が所定のペーパーギャップ(記録ヘッド35と用紙との間隔)が確保される高さに調整される構成となっている。なお、上記用紙情報とは、印刷される媒体に関する情報であって、例えば写真の印刷に適している特殊紙や文字の印刷に適している普通紙など印刷される媒体の種類や該媒体の大きさ等が規定されている情報である。
【0037】
プリンター11は、その後部に用紙Pの搬送経路が内部に形成された延出部29aを有し、給紙カセット17(図1参照)から給送された用紙Pは延出部29a内の搬送経路を通って、記録ヘッド35による印刷が可能な支持台36上の位置へ搬送される。そして、キャリッジ31を主走査方向Xに往復動させながら記録ヘッド35のノズルから用紙Pにインクを吐出する印字動作と、用紙Pを副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する送り動作とを交互に繰り返すことで、用紙Pに画像やテキスト等の印刷が施される。本実施形態では、1枚の用紙Pに印刷が施される動作を印刷動作という。
【0038】
本実施形態では、自動両面印刷を行うときには、用紙Pの表裏を自動で反転させる機能を持つ着脱式の反転ユニット43が、図2に示すように延出部29aの後部に装着されている。この反転ユニット43は、一方の面(表面)の印刷が終わった図1及び図2に示す状態の用紙Pを、副走査方向Yの上流側へ逆送りして表裏を反転させて再び給送する機能を備えている。なお、この反転ユニット43の詳細については後述する。
【0039】
図2においてキャリッジ31の移動経路上の同図における右端位置は、記録が行われないときにキャリッジ31が待機するホーム位置(ホームポジション)となっている。ホーム位置に配置されたキャリッジ31の直下には、記録ヘッド35に対してノズルクリーニング等のメンテナンスを行うメンテナンス装置44が配設されている。
【0040】
メンテナンス装置44は、記録ヘッド35のノズル内のインクが乾燥することを防止す
る蓋体として機能するキャップ45と、ノズル形成面35aを払拭するためのワイパー46と、キャリッジ31をホーム位置にロックするためのロック部材47と、これらの部材45〜47を同期して昇降させる昇降機構44aと、吸引ポンプ48とを備える。昇降機構44aによって、各部材45〜47は記録ヘッド35と干渉しない退避位置(最下降位置)と、上昇位置との間を昇降する。上昇位置では、キャップ45がノズルを囲む状態で記録ヘッド35のノズル形成面35aに当接するとともにワイパー46がノズル形成面35aを払拭可能な高さに配置され、さらにロック部材47がキャリッジ31の側面に設けられたロック用の凹部31aに係入されて、キャリッジ31をホーム位置にロックするようになっている。
【0041】
キャップ45は、上記のノズル開口の乾燥を防ぐ目的の蓋体機能(キャッピング機能)の他、記録ヘッド35のノズル形成面35aをキャップしてそのキャップ内空間に吸引ポンプ48からの負圧を与えてノズルからインクを強制的に吸引排出させる液体吸引手段の一部としての機能も備えている。吸引ポンプ48は、例えばチューブポンプからなり、ノズルからキャップ45内へ吸引排出された廃インクは支持台36の下側に配置された廃液タンク49に排出されるようになっている。
【0042】
また、キャリッジ31のホーム位置近傍には、動力伝達切換装置50が設けられている。動力伝達切換装置50は、キャリッジ31がホーム位置近傍の切換位置に配置されることで接続から切断の状態に切り換えられ、搬送駆動ローラー40aの回転により接続先(切り換え先)を選択し、キャリッジ31が切換位置から退避することで、PFモーター39の動力伝達経路が、選択された接続先へ切り換えられるように構成されている。本実施形態では、PFモーター39は、APG装置42、メンテナンス装置44及び自動給送装置(以下、単に「給送装置52」という)(図3参照)及び等の共通の動力源となっている。そして、動力伝達切換装置50の切り換えにより、これらの装置42、44,52等のうち一つへの動力伝達経路が選択されるようになっている。なお、PFモーター39から搬送ローラー対40及び排出ローラー対41への動力伝達経路は動力伝達切換装置50の切換位置に関係なく常に接続されるようになっている。
【0043】
次にプリンター部13の詳細な構成を説明する。
プリンター部13の前面の中央下部に多数枚の用紙Pを積畳状態で収容し得る給紙カセット17が着脱可能に装着されている。給紙カセット17内に収容された用紙Pは、給送装置52によって最上位のものから順番に1枚ずつ繰り出されて後述するU字状の湾曲反転経路53に向けて給送されるようになっている。
【0044】
給送装置52は、給紙カセット17と、ピックアップローラー54と、ガイドローラ55と、分離手段56と、第1中間送りローラー57とを備えている。給紙カセット17には複数枚の用紙Pを積層状態でセット可能であり、図示しないエッジガイドによって収容された用紙Pが給送位置に位置決めされるようになっている。
【0045】
ピックアップローラー54は、揺動軸58を中心に揺動する揺動部材59に設けられており、PFモーター39(図2)を動力源として、給紙カセット17にセットされた用紙Pの最上位のものと接して回転することにより、最上位の用紙Pを給紙カセット17から送り出す。
【0046】
ピックアップローラー54の回転により送り出された用紙Pの先端が分離斜面60に摺接しつつ下流側に進むことで、次位以降の用紙Pとの予備的な分離が行われる。分離斜面60の下流側には自由回転可能なガイドローラ55が設けられ、このガイドローラ55の下流側には、分離ローラー61と駆動ローラー62とを備えて構成された分離手段56が設けられている。分離ローラー61は、その弾性材よりなる外周面が駆動ローラー62と
圧接し、且つトルクリミッタ機構により、所定の回転抵抗が与えられた状態に設けられている。従って、次位以降の用紙Pが、分離ローラー61と駆動ローラー62との間で止められるため、重送の発生が抑制されるようになっている。
【0047】
分離手段56の下流側には、駆動ローラー63と、駆動ローラー63との間で用紙Pをニップして従動回転するアシストローラー64とからなる第1中間送りローラー57が設けられており、この第1中間送りローラー57により、用紙Pが更に下流側へと送られる。なお、第1中間送りローラー57の下流側には、用紙Pが湾曲反転経路53を通過する際の負荷を軽減する従動ローラー65が設けられている。
【0048】
続いて給送装置52(従動ローラ65)の下流側には、駆動ローラー66と、駆動ローラー66との間で用紙Pをニップして従動回転するアシストローラー67とからなる第2中間送りローラー68が設けられており、この第2中間送りローラー68により、用紙Pが更に下流側へと送られる。第2中間送りローラー68の下流側には、搬送ローラー対40と、記録ヘッド35と、支持台36と、排出ローラー対41とが設けられている。
【0049】
用紙Pは搬送駆動ローラー40aと従動ローラー40bにニップされてその先端が印刷開始位置に達するまで給送(頭出し)され、印刷開始後の紙送り動作時には下流側へ精密送りされる。
【0050】
キャリッジ31は主走査方向X(図3の紙面直交方向)に延びるガイド軸30にガイドされながら、CRモーター34(図2)によって主走査方向Xに往復動するように駆動される。なお、キャリッジ31はインクカートリッジを搭載しない所謂オフキャリッジタイプであり、インクカートリッジ28(図1)からフレキシブル配管板37のインク供給チューブ(図示せず)を介して記録ヘッド35へとインクが供給される。
【0051】
記録ヘッド35と対向する位置には支持台36が設けられ、支持台36によって、用紙Pと記録ヘッド35との間のギャップが規定されるようになっている。
支持台36の搬送方向下流側にある排出ローラー対41は、駆動ローラー41aと、駆動ローラー41aに接して従動回転する従動ローラー41bとを備え、記録ヘッド35によって記録の施された用紙Pは、排出ローラー対41により、装置前方側に設けられた排紙スタッカー20(図1参照)へと排出される。なお、給送装置52を構成するピックアップローラー54、駆動ローラー62,63,66は、PFモーター39の動力により回転駆動される。以上説明した用紙Pの搬送経路(第1面にのみ記録を行う際の搬送経路)は、図3において破線及び矢印で示される。
【0052】
湾曲反転経路53は、プリンター部13の後部スペースを利用して設けられている。湾曲反転経路53は、その外側案内面53aを形成する上部ハウジング69及び搬送案内上70と、下方に位置する下部ハウジング71と、その内側案内面53bを形成する経路構成部材72とにより構成されている。
【0053】
続いて反転ユニット43について説明する。
反転ユニット43は、第2中間送りローラー68が用紙搬送方向として第2搬送方向(図4の左方向)を選択する際に、第2中間送りローラー68の下流側に位置している。
【0054】
この反転ユニット43は回転軸80aを中心に回転駆動される大径の反転ローラー80と、この反転ローラー80との間で用紙Pをニップして従動回転するアシストローラー81、82と、揺動軸83aを中心に揺動することにより用紙搬送経路を切り換える経路切換部材83と、同じく揺動軸84aを中心に揺動することにより用紙搬送経路を切り換える経路切換部材84と、を備えている。
【0055】
給紙カセット17から送り出されて第1面(表面)に記録の行われた用紙Pは、第2中間送りローラー68、搬送ローラー対40、排出ローラー対41、のこれらによる用紙逆送り動作によって、第1面に記録が実行された際に用紙後端となっていた側が先端となって、反転ローラー80とアシストローラー82との間に誘い込まれる。なお、このとき経路切換部材83、84は自重によって下方に下がった状態にあり(但し、経路切換部材83は図4、経路切換部材84は図3の状態)、用紙先端が斜め下方の経路に入り込まないよう用紙先端を反転ローラー80とアシストローラー82との間に向けて案内する。
【0056】
反転ローラー80は、PFモーター39(図2)を動力源とするが、図示しない回転方向維持装置により一定の回転方向(図3、4の反時計回り方向)が維持されるよう構成されている。反転ローラー80とアシストローラー82との間に誘い込まれた用紙Pは、反転ローラー80とアシストローラー81との間を通って、第2面(裏面)が記録面側となる向きに反転された状態で、再び第2中間送りローラー68に到達し、記録ヘッド35側へと導かれ、以降同様に記録が実行される。なお、以上説明した用紙Pの両面に記録を行う際に用紙Pを反転させる用紙搬送経路は、図4において破線矢印で示される。
【0057】
なお、搬送ローラー対40の上流側近傍には、用紙Pを検出する紙検出センサー87が設けられている。紙検出センサー87は、給送される用紙Pの先端あるいは搬送される用紙Pの後端の通過を検出する。本実施形態では、紙検出センサー87は例えば光学センサーにより構成されている。もちろん、紙検出センサー87を接触式センサーとしてもよい。
【0058】
また、紙幅センサー88は、光学式のセンサーであり、キャリッジ31における記録ヘッド35と隣接する位置に設けられている。そして、キャリッジ31が主走査方向Xへ移動するとき、紙幅センサー88から出射した光の反射光を受光し、その反射率の高低によって用紙Pの有無および端部を検出するように構成されている。これら紙検出センサー87及び紙幅センサー88は、制御装置100へ検出状態を知らせる信号を送信するように設けられている。なお、キャリッジ31の移動方向(主走査方向X)においてホーム位置側を「1桁側」と呼び、反ホーム位置側を「80桁側」と呼ぶ場合がある。
【0059】
なお、湾曲反転経路53を構成する経路構成部材72の内部空間74には、経路構成部材72と一体化された支持部材73の上面にトレイ75が支持された状態で前後方向(図3、図4における左右方向)に移動可能に設けられている。トレイ75は、同図の格納位置から、PFモーター39により回転するピニオン76とラック75aとの噛合を介してその先端部が搬送ローラー対40にニップされるまでの範囲で搬送され、それより先(搬送方向下流側)は搬送ローラー対40及び排出ローラー対41によりニップされた状態で搬送されて、排出部18(図1参照)から出退可能に構成されている。トレイ75には、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RWあるいは次世代の光ディスクとして注目されているブルーレイディスク等の光ディスクをセットしてそのレーベル面に印刷するときに用いられる。
【0060】
搬送駆動ローラー40a、駆動ローラー41a、駆動ローラー66(第2中間送りローラー68)、のこれら用紙搬送経路に設けられるローラーは、PFモーター39と一対一に連結されており、PFモーター39の回転方向切り換え(正転/逆転)に伴い、その回転方向を切り換える。すなわちPFモーター39の正転時には、上記各ローラーは用紙Pを図3及び図4の右方向に搬送し、逆転時には、用紙Pを同図左方向に搬送する。 次に上述したプリンター11の電気的構成について説明する。
【0061】
図5に示されるように、プリンター11は、外部I/F90を介してホスト装置7に接
続されている。ホスト装置7は、インターネットNWを介してサービスセンター5のサーバー(図示略)に接続されている。
【0062】
プリンター11は、当該プリンター11を統括的に制御する制御装置100を備えている。制御装置100には、入力系として、操作パネル14を構成する電源スイッチ23、印刷開始スイッチ24、コピースイッチ25及びキャンセルスイッチ26をはじめとする各種スイッチ、タッチパネル式の表示部22、カードリーダー101、リニアエンコーダー38、エンコーダー102、紙検出センサー87及び紙幅センサー88が接続されている。また、制御装置100には、出力系として、スキャナエンジン105、CRモーター34、PFモーター39及び記録ヘッド35が接続されている。
【0063】
制御装置100は、表示ドライバー111、第1モーター駆動回路112、第2モーター駆動回路113及びヘッド制御ユニット114を備えている。制御装置100は、表示ドライバー111を介して表示部22の表示制御を行う。また、制御装置100は、第1モーター駆動回路112を介してCRモーター34を駆動制御するとともに、第2モーター駆動回路113を介してPFモーター39を駆動制御する。さらに制御装置100は、ヘッド制御ユニット114を介して記録ヘッド35を駆動制御することでインク滴の吐出制御を行う。
【0064】
制御装置100は、制御部120、ROM121、RAM122、ASIC123、CRカウンター124、PFカウンター125、タイマー126を備え、これらはバス129を介して互いに接続されている。ROM121には、制御部120により実行される制御プログラムなどが記憶されている。RAM122には、制御部120の演算結果や制御プログラムを実行して処理する各種データなどが一時的に記憶される。また、RAM122は、カードリーダー101やホスト装置7、ASIC123から入力される画像データ、当該画像データに基づいてインク滴の吐出の有無や吐出するインク滴の量が規定された印刷データが一時的に格納されるバッファーとしてその一部が用いられる。ここで、1つの印刷データに対する印刷をプリンター11の印刷ジョブという。制御装置100は、1つの印刷データに関する印刷が終了する前に新たな印刷データが入力されると、後続する印刷データを印刷待ちの印刷ジョブとする所定の処理を実行する。
【0065】
スキャナエンジン105は、原稿台ガラス15に載置された原稿を光学的に読み取ってCCD(電荷結合素子)に蓄えられた電荷を、A/D変換回路によってA/D変換した画像データをASIC123に出力する。ASIC123は、制御部120の制御の下、スキャナエンジン105から入力される画像データをRAM122に転送する。制御部120は、RAM122に格納された画像データに基づいて印刷データを生成しヘッド制御ユニット114へ転送する。
【0066】
リニアエンコーダー38は、キャリッジ31の移動経路に沿って張設されてその長手方向に一定刻みでスリットが形成された黒系半透明のテープ状の符号板と、該符号板のスリットを検知可能な状態でキャリッジ31の所定位置に固定された光学センサー(いずれも図示せず)とを有する。光学センサーは、符号板を挟んで対向配置された一対の発光素子と受光素子とを有し、受光素子が発光素子から発光されて符号板上のスリットを通過した光を受光する。よって、リニアエンコーダー38は、キャリッジ31の移動距離に比例するパルス数で、かつキャリッジ31の移動速度に反比例する周期をもつパルスを出力する。制御部120は、キャリッジ31のホームシーク処理において、キャリッジ31を1桁側に移動させてキャリッジ31が1桁側のエンドに当接して、CRモーター34の駆動電流値が所定の閾値を超えると、CRカウンター124をリセットし、以後、リニアエンコーダー38からの入力するパルスエッジを計数する。そして、キャリッジ31が80桁側の方向へ移動するときにCRカウンター124の値をインクリメントし、キャリッジ31
が1桁側へ向かう方向に移動するときにCRカウンター124の値をデクリメントすることで、制御部120はCRカウンター124の計数値から、キャリッジ31の主走査方向Xにおける位置を把握する構成となっている。
【0067】
また、エンコーダー102は、PFモーター39と動力伝達可能に連結された軸部(例えば搬送駆動ローラ40aの軸部)の端部に固定された回転式の符号円板と、その符号円板の周方向に一定刻みで形成されたスリットを透過した発光素子からの光を受光素子が受光して90度位相のずれた2つのパルス信号を出力するセンサーとを有する。
【0068】
PFカウンター125は、紙検出センサー87が用紙Pの先端を検知した時にリセットされ、その後、用紙Pの先端が記録ヘッド35の最上流ノズル位置(基準位置)に達した時に再リセットされる。この再リセット後、PFカウンター125は、エンコーダー102から入力するパルス信号のパルスエッジを計数することで、制御部120はPFカウンター125の計数値(計測値)から基準位置を原点とする用紙Pの搬送位置を把握する構成となっている。
【0069】
タイマー126は、プリンター11の使用開始からの経過時間を計時する。制御部120は、タイマー126が計時する計時時間Tnに基づいて、前回のクリーニング動作から予め設定された設定時間(例えば数時間〜数日)を超えたとき、またはその超えた後の最初の電源投入時にクリーニング動作を実行する。また制御部120は、操作パネル14の操作によってクリーニング動作が指示された場合に、クリーニング動作を実行する。すなわち、制御部120はCRモーター34を駆動させてキャリッジ31をホーム位置に移動させ、次にPFモーター39を駆動させてメンテナンス装置44の昇降機構44aを駆動させてキャップ45及びロック部材47を上昇させることで記録ヘッド35をロック部材47によりホーム位置にロックする状態でキャップ45をノズル形成面35aに当接させた状態にキャッピングする。さらにPFモーター39を駆動することで、吸引ポンプ48(図2参照)をポンプ駆動させることでキャップ45の内部空間に吸引力を及ぼして、記録ヘッド35のノズルからインクを強制的に吸引する。
【0070】
なお、メンテナンス装置44の昇降機構44aは吸引ポンプ48にも動力伝達可能に構成され、その動力伝達経路上には遅延機構(図示省略)が設けられ、キャップ45及びロック部材47がキャッピング位置、ロック位置にそれぞれ上昇した後、さらにPFモーター39の正転駆動が継続されると、先のキャッピング完了及びCRロック完了時期から所定回転量だけ遅延したタイミングで吸引ポンプ48との動力伝達が接続される構成となっている。そして、吸引ポンプがポンプ駆動されている間、キャップ45及びロック部材47を上昇させる動力伝達経路の途中に設けられた歯車は空転するようになっている。そして、吸引ポンプ48による吸引動作が終了すると、PFモーター39が逆転駆動され、このとき吸引ポンプはレリース状態になるとともに、正転駆動時に空転していた前記歯車は噛み合いカムが回転してキャップ45及びロック部材47が下降するように構成されている。
【0071】
温度センサー127は、例えば熱電対で構成されており、記録ヘッド35の温度を示す検出信号を所定の周期で出力する。制御部120は、温度センサー127から入力される検出信号に基づいて記録ヘッド35の温度を把握する。
【0072】
制御部120は、上述した制御を主制御部130によって行う。また制御部120は、エラー検知部131、エラーメッセージ選択部132、発生頻度算出部133、アラートメッセージ選択部134、リセット部135、基準発生頻度変更部136、動作履歴記録部137、履歴データ送信部138、応答メッセージ処理部139を備えている。また、制御装置100は、印刷枚数カウンター140、エラーカウンター141、不揮発性メモ
リー143を備えている。
【0073】
エラー検知手段としてのエラー検知部131は、各種入力される信号や各種データに基づいて印刷動作中のプリンター11に生じた各種エラーを検知する。エラー検知部131が検知するエラーとしては、例えば次のようなものがある。
【0074】
・紙ジャムエラー
・紙無しエラー
・重送エラー
・発熱エラー
制御部120は、エラー検知部131によって上述したエラーが検知されると実行中の動作を停止し、当該エラーに関するメッセージを表示部22に表示するメッセージ表示処理を実行する。
【0075】
上記紙ジャムエラーは、搬送経路の途中で用紙Pが詰まっていることを示すエラーである。エラー検知部131は、例えば、PFモーター39の駆動電流値と、PFカウンター125の計数値に基づいて把握される用紙Pの搬送量と、紙検出センサー87からの信号とに基づいて、紙ジャムエラーを検知する。つまり、エラー検知部131は、PFモーター39への負荷が大きく、操作パネル14やホスト装置7を介して設定されたサイズの用紙Pが紙検出センサー87に検出されるのに十分な量だけ搬送されたにも関わらず、紙検出センサー87によって用紙Pが検出されない場合に紙ジャムエラーを検知する。
【0076】
紙ジャムエラーが検知されると制御部120は、表示部22に紙ジャムエラーに関するメッセージを表示させるメッセージ表示処理を実行する。この紙ジャムエラーを解消するためには、プリンター11の内部に詰まった用紙Pをユーザーに取り除いてもらう必要がある。プリンター11においては、用紙Pを除去する際のユーザーの安全性を確保するうえで紙ジャムエラーの検知直後に電源スイッチ23のOFF操作が必須の操作となるように構成されている。そのため、紙ジャムエラーのエラー表示は、プリンター11の電源スイッチ23がOFF操作されることにより解除される。
【0077】
上記紙無しエラーは、給紙カセット17に用紙Pがセットされていないことを示すエラーである。エラー検知部131は、例えば、PFモーター39の駆動電流値と、PFカウンター125の計数値に基づいて把握される用紙Pの搬送量と、紙検出センサー87からの信号とに基づいて、紙無しエラーを検知する。つまり、エラー検知部131は、例えば、PFモーター39への負荷が所定値よりも小さく、操作パネル14やホスト装置7を介して設定されたサイズの用紙Pが紙検出センサー87に検出されるのに十分な量だけ搬送されたにも関わらず、紙検出センサー87によって用紙Pが検出されない場合に紙無しエラーを検知する。
【0078】
紙無しエラーが検知されると制御部120は、表示部22に紙無しエラーに関するメッセージを表示させるメッセージ表示処理を実行する。この紙無しエラーのエラー表示は、ユーザーによってキャンセルスイッチ26が操作されることにより解除される。
【0079】
上記重送エラーは、複数の用紙Pが搬送されていることを示すエラーである。エラー検知部131は、PFカウンター125に基づいて算出される用紙Pの搬送量、紙検出センサー87からの信号に基づいて、重送エラーを検知する。また、CRカウンター124の計数値から把握されるキャリッジ31の位置、紙幅センサー88からの信号に基づいて重送エラーを検知する。つまり、PFカウンター125の計数値に基づいて把握される用紙Pの搬送量が、操作パネル14やホスト装置7を介して設定された用紙Pのサイズを超えても紙検出センサー87によって用紙Pが検出される場合に重送エラーを検知する。また
、CRカウンター124の計数値に基づいて把握されるキャリッジ31の位置が、操作パネル14やホスト装置7を介して設定された用紙Pの外側になっても紙幅センサー88によって用紙Pが検出される場合に重送エラーを検知する。
【0080】
重送エラーが検知されると制御部120は、表示部22に重送エラーに関するメッセージを表示させるメッセージ表示処理を実行する。この重送エラーのエラー表示は、ユーザーによってキャンセルスイッチ26が操作されることにより解除される。
【0081】
発熱エラーは、印字動作にともなって発熱する記録ヘッド35の温度が所定値よりも大きくなったことを示すエラーである。エラー検知部131は、温度センサー127からの検出信号に基づいて把握される記録ヘッド35の温度が上記所定値よりも大きくなることにより発熱エラーを検知する。
【0082】
エラー検知部131によって発熱エラーが検知されると制御部120は、印刷動作を停止するとともに、表示部22に発熱エラーに関するメッセージを表示させるメッセージ表示処理を実行する。この発熱エラーのエラー表示は、例えば記録ヘッド35の温度が印字動作を実行可能な温度まで低下すると解除される。なお、制御部120は、記録ヘッド35の温度が上記所定値に近づくと、記録ヘッド35の温度上昇が抑制されるように、印字動作中のキャリッジ31を主走査方向Xへの往動あるいは復動させる際に、一旦待機させてからその移動を開始させる。なお、この発熱エラーは、例えば暖房器具等からの温風が直接吹き付けられる場所にプリンター11が設置されていると生じやすくなる。
【0083】
印刷枚数計数手段としての印刷枚数カウンター140は、プリンター11によって印刷動作が実行されるたびにインクリメントされるカウンターである。制御部120は、印刷枚数カウンター140の計数値Paからプリンター11の累積印刷枚数を把握する。
【0084】
エラー計数手段としてのエラーカウンター141は、図5においては1つのみを図示したが、エラー検知部131によって検知されるエラー毎に設けられており、対応するエラーが検知されるたびにインクリメントされるカウンターである。制御部120は、エラーカウンター141の計数値Caから、各エラーの発生回数を把握する。なお、上記印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141は、後述するリセット手段によって、計数値Pa,Caがリセットされる。
【0085】
メッセージ記憶手段としての不揮発性メモリー143には、アラートメッセージの表示に関する閾値が規定された閾値データ144が格納されている。また不揮発性メモリー143には、エラー検知部131が検知する各エラーに対応する複数のエラーメッセージ及びアラートメッセージが保存されているメッセージデータ145が格納されている。また不揮発性メモリー143には、プリンター11の動作履歴が記録される動作履歴データ146が格納されている。また不揮発性メモリー143には、用紙Pに関する情報が規定された用紙データ147が格納されている。
【0086】
上記閾値データ144には、エラー検知部131によって検知されたエラーについて、その発生頻度Aを算出するか否かを判定する際の指標となる最低印刷枚数Pmが保存されている。ここで、本実施形態においては、上記発生頻度Aを印刷枚数に対するエラーの発生回数で算出する。この場合、印刷枚数が少なければ少ないほど、該印刷枚数に対して1度のエラーが占める割合が大きくなる。すなわち、印刷枚数が少なければ少ないほど、算出される発生頻度Aに対して1度のエラーが与える影響も大きくなる。そのため、例えば使用開始直後に偶発的なエラーが短期間で連続して発生した場合には、非常に高い発生頻度が算出されることになってしまう。上記最低印刷枚数Pmは、算出される発生頻度Aに対して1度のエラーが与える影響を平準化させるために必要な枚数であって、本実施形態
では最低印刷枚数Pmの初期値が1000枚に設定されている。
【0087】
また閾値データ144には、アラートメッセージを表示するか否かを判定する際の指標となる基準発生頻度Asが保存されている。基準発生頻度Asは、各エラー毎に規定されており、検知されたエラーの発生頻度からプリンター11の使用環境が推測可能な発生頻度である。
【0088】
こうした閾値データ144に関するデータは、プリンター11の製造段階における各種試験等によって得ることも可能ではあるが、ユーザーとの合意の下で当該ユーザーが実際に使用しているプリンター11で検知されたエラーを集計することによって、より正確なデータを得ることが可能である。
【0089】
上記メッセージデータ145には、各エラーに対応付けられたエラーメッセージが保存されている。図6(a)は、表示部22に表示されるエラーメッセージの表示態様の一例を示す図であって、紙ジャムエラー発生時におけるエラーメッセージ150を示している。図6(a)に示されるように、エラーメッセージ150は、エラー検知部131によって検知されたエラーの解消方法が含まれているメッセージである。
【0090】
また、メッセージデータ145には、各エラーに対応付けられたアラートメッセージが保存されている。図6(b)は、表示部22に表示される紙ジャムエラーに対応付けられたアラートメッセージ151の表示態様一例を示す図である。図6(b)に示されるように、本実施形態における紙ジャムエラーに対するアラートメッセージ151には、紙ジャムエラーの要因として裏紙の使用等が示唆されている。すなわち、アラートメッセージは、検知されたエラーから推測されるプリンター11の使用環境についての示唆がなされているメッセージである。また本実施形態の各アラートメッセージ151には、その表示部分の一部に、入力手段としての容認ボタン152及び問い合わせボタン153が設けられている。容認ボタン152は、ユーザーによって操作されるボタンであって、アラートメッセージの内容を承知の上でプリンター11を稼働させる場合に操作されるボタンである。問い合わせボタン153は、ユーザーによって操作されるボタンであって、Email機能を利用して、表示されたアラートメッセージについてサービスセンターに問い合わせする際に操作されるボタンである。
【0091】
また、メッセージデータ145には、上記問い合わせボタン153が操作されることによって表示部22に表示される問い合わせメッセージ155が保存されている。図6(c)は、表示部22に表示される問い合わせメッセージ155の表示態様の一例を示す図である。図6(c)に示されるように、問い合わせメッセージ155には、その表示部分の一部に、ホスト装置7のEmail機能を利用して動作履歴データ146をサービスセンター5のサーバーに送信するためのeMailボタン156が設けられている。すなわち、問い合わせメッセージ155は、ホスト装置7のEmail機能を利用して、動作履歴データ146をサービスセンター5に送信するためのメッセージである。
【0092】
用紙データ147は、ユーザーによって入力された用紙情報を示すデータであって、印刷される媒体の情報、すなわち例えば写真の印刷に適している特殊紙や文字の印刷に適している普通紙など印刷される媒体の種類や該媒体の大きさ等に関する情報が保存されているデータである。
【0093】
エラーメッセージ選択部132は、エラー検知部131によって検知されたエラーに対応するエラーメッセージをメッセージデータ145から選択する。制御部120は、エラー検知部131によってエラーが検知されると、エラーメッセージ選択部132でエラーメッセージを選択し、その選択したエラーメッセージを表示部22に表示する。
【0094】
エラー発生頻度算出手段としての発生頻度算出部133は、印刷枚数カウンター140の計数値Paが最低印刷枚数Pm以上であるとき、印刷枚数カウンター140の計数値Paとエラーカウンター141の計数値Caとに基づいて、エラー検知部131が検知したエラーの発生頻度Aを算出する。
【0095】
メッセージ選択手段としてのアラートメッセージ選択部134は、エラー検知部131によって検知されたエラーに対応するアラートメッセージをメッセージデータ145から選択する。制御部120は、下記条件(A)(B)がともに満たされているとき、アラートメッセージ選択部134でアラートメッセージを選択し、その選択したアラートメッセージを表示部22に表示する。すなわち、本実施形態において表示手段は、表示部22とアラートメッセージ選択部134によって構成されている。制御部120は、下記条件(A)(B)を満たすとき、エラーメッセージとアラートメッセージとを表示部22に表示させる。
(A)印刷枚数カウンター140の計数値Paが最低印刷枚数Pm以上であること
(B)発生頻度算出部133によって算出された発生頻度Aが基準発生頻度As以上であること
【0096】
なお、本実施形態において制御部120は、用紙情報に基づく用紙Pの種類が普通紙である場合にのみ、上記条件(A)(B)に関する判定を行う。すなわち、用紙Pの種類が普通紙とは異なる場合にエラーが検知されたとしても、アラートメッセージが表示部22に表示されることはない。また、本実施形態において制御部120は、上記(A)(B)が満たされたとき、選択されたエラーメッセージ及びアラートメッセージを表示部22に所定の周期で交互に表示する。
【0097】
リセット部135は、印刷枚数カウンター140の計数値Paをリセットする。またリセット部135は、エラーカウンター141の計数値Caをリセットする。リセット部135は、用紙情報が変更されることによって、印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caをリセットする。
【0098】
その他、リセット部135は、例えば部品交換等が行われたことを示す信号が入力されると、その交換された部品が関わるエラーのエラーカウンター141の計数値をリセットする。例えば、記録ヘッド35の交換が行われたときには、発熱エラーを示すエラーカウンター141の計数値Caをリセットする。すなわち、1つのエラーに対して影響力が非常に大きい部品が交換された場合には、当該エラーのエラーカウンター141がリセットされる。
【0099】
ここで、用紙情報とは、上述したように、印刷される用紙Pに関し、用紙情報設定手段としての操作パネル14あるいはホスト装置7を介して設定される情報であって、例えば印刷される用紙Pの種類やサイズ等、紙種に関する情報である。印刷される用紙Pを変更する際には、エラー検知部131に変更後の用紙Pに則したエラーを検知させるうえで用紙情報も変更することが好ましい。そのため、用紙情報が変更されても印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caがリセットされないとなれば、変更後に算出される発生頻度Aに、変更前までの印刷枚数及び変更前に検知されたエラーが含まれてしまう虞がある。すなわち、用紙情報が変更された際にリセット部135によって印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caがリセットされることによって、用紙情報を変更してから印刷された用紙Pの枚数及びエラーが検知された回数に基づいて発生頻度Aを算出することができる。なお、本実施形態のプリンター11において、用紙情報の変更は、該プリンター11が用紙Pに対して印刷動作が可能な状態であって、プリンター11に印刷待ちの印刷ジョブがない状態、すなわちプリン
ター11が待機状態にあるときに実行可能となっている。
【0100】
また、リセット部135は、アラートメッセージにおいて容認ボタン152が操作されることによって、印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caをリセットする。ユーザーの中には、例えば印刷される用紙として裏紙を使用することによって紙ジャムエラーの発生頻度が高くなることを認識しながらも裏紙を使用し続けるユーザーもいる。こうしたユーザーに対して、裏紙の使用が示唆されたアラートメッセージ151を表示したとしても、当該ユーザーが煩わしく感じてしまうだけである。上述したように、リセット部135によって印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caがリセットされることで、アラートメッセージがユーザーによって容認された後、再び最低印刷枚数Pmに到達するまではアラートメッセージが表示されることがない。その結果、アラートメッセージの内容を認識しているユーザーに対して、該アラートメッセージを通知する回数を減少させることが可能となり、ユーザーが煩わしさを感じる機会を減少させることができる。
【0101】
基準発生頻度変更手段としての基準発生頻度変更部136は、閾値データ144に保存されている基準発生頻度Asを変更する。基準発生頻度変更部136は、アラートメッセージに設けられた容認ボタン152が操作されると、不揮発性メモリー143に保存されている基準発生頻度Asを直前に算出された発生頻度Aに変更する。これによって、基準発生頻度Asが、アラートメッセージの容認ボタン152が操作される前の基準発生頻度Asよりも高い発生頻度に変更される。その結果、アラートメッセージの内容を認識しているユーザーに対して、アラートメッセージが通知される回数をさらに減少させることが可能となり、当該ユーザーが煩わしさを感じる機会をさらに減少させることができる。
【0102】
なお、本実施形態のプリンター11において、使用開始時における各エラーの基準発生頻度Asは、ROM121の所定領域に予め格納されている基準発生頻度Asの初期値に設定されている。そして、変更された基準発生頻度Asは、操作パネル14あるいはホスト装置7を介して所定の操作がなされることによって上記初期値に変更される。
【0103】
動作履歴情報記録手段としての動作履歴記録部137は、プリンター11の動作に基づいて、不揮発性メモリー143に格納されている動作履歴データ146を更新する。動作履歴データ146は、電源のON/OFF操作だけでなく、エラー検知部131が検知したエラーの種類や該エラーの要因等、さらには用紙情報の変更履歴や選択されたアラートメッセージの種類も記録されるログデータである。動作履歴記録部137は、上述したエラーの検知やエラーの解除操作等、一連のプリンター11の動作に基づき逐次動作履歴データ146を更新する。そして、この動作履歴データ146を参照することにより、プリンター11の状態を把握すること、プリンター11の使用環境を推測することが可能である。
【0104】
送信手段としての履歴データ送信部138は、問い合わせメッセージ155の一部設けられたeMailボタン156がユーザーによって押下されたときに、ホスト装置7のEmail機能を利用して、不揮発性メモリー143に格納されている動作履歴データ146をサービスセンター5に送信する。この際、履歴データ送信部138は、動作履歴データ146の内容をIDコード化し、ユーザーにその内容が分からないようにしたうえで送信する。
【0105】
サービスセンター5においては、送信された動作履歴データ146の分析が行われる。そして、その分析結果に応じた最適な対処方法を示すメッセージを、Email機能を利用して、ホスト装置7に送信する。サービスセンター5からは、動作履歴データ146を分析した結果、プリンター11の故障であると判断される場合には、プリンター11の修
理を促すメッセージが送信される。また、部品交換や用紙情報の再設定などによって解決しそうな場合には、その旨を示すメッセージが送信される。また、プリンター11の使用環境を改善することによって解決しそうな場合は、その旨を示すメッセージが送信される。ホスト装置7は、サービスセンター5からのメッセージを受信すると、その内容を示すデータである応答メッセージデータを生成し、その生成した応答メッセージデータをプリンター11に出力する。
【0106】
受信手段としての応答メッセージ処理部139は、ホスト装置7から送信された応答メッセージデータに所定の処理を実行し、その処理により取得される応答メッセージを表示部22に表示させたり、印刷可能であればその応答メッセージを印刷させたりする。サービスセンター5からの応答メッセージとしては、例えば、エラー検知部131によって検知されたエラーに対する処置を示すメッセージやプリンター11の修理を促すメッセージ、プリンター11の使用環境を改善することを促すメッセージである。
【0107】
次に、エラー検知部131によってエラーが検知されたときに実行されるメッセージ表示処理の処理手順について図7を参照して説明する。なお、このメッセージ表示処理は、エラー検知部131によってエラーが検知されると開始される。また、プリンター11は、エラーが検知されたことによって各動作が停止した状態にある。
【0108】
図7に示されるように、エラー検知部131によってエラーが検知されると、まず、検知されたエラーに対応するエラーカウンター141がインクリメントされる(ステップS101)。そして、印刷枚数カウンター140の計数値Paと閾値データ144に保存されている最低印刷枚数Pmとの比較がなされる(ステップS102)。
【0109】
印刷枚数カウンター140の計数値Paが最低印刷枚数Pmよりも小さい場合(ステップS102:NO)、検知されたエラーに対応するエラーメッセージが表示部22に表示されることで(ステップS103)一連の処理が終了する。すなわち、上記条件(A)が満たされなかった場合は、検知されたエラーに対応するエラーメッセージが表示部22に表示されることで一連の処理が終了する。
【0110】
一方、印刷枚数カウンター140の計数値Paが最低印刷枚数Pm以上であった場合(ステップS102:YES)、検知されたエラーの発生頻度Aが発生頻度算出部133によって算出される(ステップS104)。そして、該算出された発生頻度Aと閾値データ144に保存されている基準発生頻度Asとの比較がなされる(ステップS105)。
【0111】
算出された発生頻度Aが基準発生頻度Asよりも小さい場合(ステップS105:NO)、ステップS103に移行し、選択されたエラーメッセージが表示部22に表示されて一連の処理が終了する。すなわち、上記条件(A)(B)のうち、条件(A)のみが満たされた場合も、検知されたエラーに対応するエラーメッセージが表示されることで一連の処理が終了する。
【0112】
一方、算出された発生頻度Aが基準発生頻度As以上である場合(ステップS105:YES)、すなわち上記条件(A)(B)がともに満たされた場合、検知されたエラーに対応するエラーメッセージ及びアラートメッセージが選択される。そして、その選択されたエラーメッセージ及びアラートメッセージが表示部22に表示される(ステップS106)。この際、エラーメッセージとアラートメッセージは、表示部22に所定の周期で交互に表示される。
【0113】
上述したように、表示部22に表示されるアラートメッセージには、容認ボタン152と問い合わせボタン153とが設けられている。次のステップS107では、容認ボタン
152がユーザーによって押下されたか否かの判断がなされる。
【0114】
ステップS107において容認ボタン152が押下された場合(ステップS107:YES)、上記選択されたメッセージのうちエラーメッセージのみが表示部22に表示されるようになる。また、印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caがリセットされるとともに、直前に算出された発生頻度Aが基準発生頻度変更部136によって新たな基準発生頻度Asに設定されて(ステップS108)一連の処理が終了する。
【0115】
一方、ステップS107において問い合わせボタン153が押下された場合(ステップS107:NO)、図6(c)に示した問い合わせメッセージ155が表示部22に表示される(ステップS109)。これにより、一連の処理が終了する。そして、eMailボタン156が押下されると、ホスト装置7のEmail機能を利用して、動作履歴データ146がサービスセンター5に送信される。
【0116】
次に、印刷される媒体が普通紙に変更されたプリンター11における基本的な運転の流れについて図8を参照して説明する。
図8に示されるように、印刷される媒体の変更にともなって用紙情報が変更されると、まず、リセット部135によって印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caがリセットされる(ステップS201)。その後、ホスト装置7等を介した印刷データの入力等、プリンター11に印刷動作を実行させる印刷指示をユーザーから受けるまでプリンター11は待機状態に維持される(ステップS202)。やがて、ユーザーによって印刷指示がなされると(ステップS203)、1枚の用紙Pに対して印刷が施される印刷動作が実施される(ステップS204)。印刷動作を実施中のプリンター11では、各種信号及びデータに基づいて、エラー検知部131によって当該プリンター11にエラーが発生しているか否かが判断されている(ステップS205)。
【0117】
印刷動作の実施中にエラー検知部131によってエラーが検知された場合(ステップS205:YES)、印刷動作が停止されるとともにその検知されたエラーに対応するエラーカウンター141がインクリメントされる(ステップS206)。そして、上述したメッセージ表示処理が実行される(ステップS207)。
【0118】
メッセージ表示処理実行後のプリンター11においては、ユーザーによってエラーに対する処置が施された後、エラーが解消されたか否かの判定がなされる(ステップS208)。
【0119】
上記検知されたエラーが解消されなかった場合(ステップS208:NO)、プリンター11は他の処理へと移行する。一方、上記検知されたエラーが解消された場合(ステップS208:YES)、次のページあるいは次の印刷ジョブがあるか否か、すなわち連続して印刷動作を実行するか否かが判定される(ステップS209)。次のページあるいは次の印刷ジョブがある場合(ステップS209:YES)、ステップS204に移行し、続けて印刷動作が実施される。一方、次のページあるいは次の印刷ジョブがない場合(ステップS209:NO)、ステップS202に移行し、ユーザーからの印刷指示を再び受けるまでプリンター11が待機状態に維持される。
【0120】
ところで、ステップS205において、エラー検知部131によってエラーが検知されることなく用紙Pに対する印刷動作が終了すると(ステップS205:NO)、印刷枚数カウンター140がインクリメントされたのち(ステップS210)、ステップS209に移行する。
【0121】
そして、プリンター11では、ステップS208やステップS209を経由した一連の処理が、用紙情報が変更されるまで、あるいはユーザーで解消することが困難なエラーが発生するまで繰り返し実行される。
【0122】
以上説明したように、本実施の形態に係るプリンター11によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)上記実施形態のプリンター11によれば、検知されたエラーの発生頻度Aが基準発生頻度As以上であるとき、当該エラーに対応付けられたアラートメッセージが選択され、その選択されたアラートメッセージが表示部22に表示される。特定のエラーが高い頻度で発生しているプリンター11においては、その特定のエラーが発生しやすいような使用環境の下でプリンター11が稼働しているものと推測される。そのため、例えば、紙ジャムエラーの発生頻度Aが基準発生頻度As以上である場合には用紙Pとして裏紙を使用しているものと推測される。上記実施形態のプリンター11によれば、紙ジャムエラーの発生頻度が高い場合には、裏紙の使用を示唆するアラートメッセージが表示される。すなわち、検知されたエラーから推測されるプリンター11の使用環境に応じたアラートメッセージが表示される。そして、その表示されたアラートメッセージに基づく対応をユーザーに実行してもらうことによって、特定のエラーはもちろんのこと、当該特定のエラーに起因する新たなエラーの発生を抑えることが可能である。
【0123】
(2)上記実施形態のプリンター11では、印刷枚数カウンター140の計数値Paが最低印刷枚数Pm以上である場合にのみアラートメッセージが表示される。こうした構成によれば、十分なサンプル数の下で発生頻度Aが算出されることから、エラーから推測される使用環境の確度を高めることができる。
【0124】
(3)上記実施形態のプリンター11では、用紙情報が変更されると印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caがリセットされる。こうした構成によれば、用紙情報の変更後における印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caに、用紙情報の変更前における印刷枚数及びエラーの発生回数が含まれることがない。その結果、用紙情報変更後におけるエラーの発生頻度Aをより正確に算出することが可能である。
【0125】
(4)上記実施形態のプリンター11では、アラートメッセージが表示されたときに容認ボタン152が押下されることによって、印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caがリセットされる。こうした構成によれば、容認ボタン152の押下後、印刷枚数カウンター140の計数値Paが再び最低印刷枚数Pm以上となるまでは、アラートメッセージが表示されることがない。その結果、アラートメッセージの内容を認識しているユーザーに対して、該アラートメッセージを通知する回数を減少させることが可能となり、該ユーザーが煩わしさを感じる機会を減少させることができる。
【0126】
(5)上記実施形態のプリンター11では、アラートメッセージが表示されたときに容認ボタン152が押下されると、算出された発生頻度Aが基準発生頻度Asに設定される。こうした構成によれば、基準発生頻度Asが、容認ボタン152が操作される前の基準発生頻度Asよりも高い値となることから、アラートメッセージが表示されにくくなる。これにより、アラートメッセージの内容を認識しているユーザーに対して、アラートメッセージが通知される回数をさらに減少させることが可能となる。その結果、当該ユーザーが煩わしさを感じる機会をさらに減少させることができる。
【0127】
(6)上記実施形態のプリンター11には、不揮発性メモリー143に格納された動作履歴データ146を更新することによってプリンター11の動作履歴を記録する動作履歴記録部137が設けられている。こうした構成によれば、動作履歴データ146を参照す
ることによって、プリンター11の状態を把握すること、及びプリンター11の使用環境を推測することが可能である。例えば、ユーザーの下を訪問したサービスマンがこの動作履歴データ146を参照することによって、ユーザーに説明して頂かなくともプリンター11の状態、及び使用環境を把握することができる。
【0128】
(7)上記実施形態のプリンター11には、ホスト装置7のEmail機能を利用して、動作履歴データ146をサービスセンターに送信する履歴データ送信部138が設けられている。こうした構成によれば、例えばユーザーからエラーに関する問い合わせを受けた際に、ユーザーに説明して頂かなくとも、エラーの発生度合いを把握することが可能であることはもちろん、動作履歴からプリンター11の使用環境等について推測することもできる。
【0129】
(8)上記実施形態のプリンター11には、ホスト装置7を介したサービスセンター5からの応答メッセージを表示部22に表示させる応答メッセージ処理部139が設けられている。こうした構成によれば、ユーザーによるサポートセンターへの問い合わせ等、ユーザーの負担を軽減しつつ、プリンター11の使用環境に関する分析結果に応じた処置をユーザーに教示することができる。
【0130】
なお、上記実施の形態は、以下のように適宜変更して実施することも可能である。
・上記実施形態のプリンター11には、ホスト装置7を介したサービスセンター5からの応答メッセージを表示部22に表示させたり、印刷したりする応答メッセージ処理部139が設けられている。これに限らず、サービスセンター5からの応答メッセージはホスト装置7によって確認することも可能であることから、応答メッセージ処理部139は割愛されてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(7)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0131】
・上記実施形態のプリンター11には、動作履歴データ146をサービスセンター5の送信する履歴データ送信部138が設けられている。動作履歴データ146は、ユーザーの下を訪問したサービスマンによって確認することも可能である。そのため、上記プリンター11から履歴データ送信部138が割愛されていてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(6)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0132】
・上記実施形態では、ホスト装置7のEmail機能を利用してデータの送受信を行う構成となっているが、例えばプリンター11にEmail機能を持たせることで、サービスセンター5とプリンター11とにおけるデータの送受信がインターネットNWを介して直接行われるようにしてもよい。こうした構成によれば、プリンター11とサービスセンター5とのデータの送受信を円滑に行うことができる。
【0133】
・上記実施形態のプリンター11において、当該プリンター11の動作履歴を記録する動作履歴記録部137が割愛されていてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(5)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0134】
・上記実施形態のプリンター11は、アラートメッセージに設けられた容認ボタン152が押下されることによって、直前に算出された発生頻度Aを基準発生頻度Asに設定する基準発生頻度変更部136を備えている。これに限らず、基準発生頻度変更部136を割愛することによって、基準発生頻度Asを一定の値、すなわち上記基準発生頻度Asの初期値としてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(4)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0135】
・上記実施形態のプリンター11においてリセット部135は、アラートメッセージに
設けられた容認ボタン152が押下されることによって、印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caをリセットする。これに限らず、リセット部135は、容認ボタン152が押下されたとしても、印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caをリセットしなくてもよい。こうした構成であっても、上記(1)〜(3)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。そのうえ、アラートメッセージが表示されたあとの印刷枚数が最低印刷枚数Pm以下であっても、再びアラートメッセージが表示されることになる。これにより、アラートメッセージの内容を認識しているユーザーに対して、該アラートメッセージが表示される機会が増えることになる。その結果、使用環境の改善を促進させることができる。
【0136】
・上記実施形態において、アラートメッセージに対するユーザーの応答が入力される入力手段として、表示部22に表示される容認ボタン152と問い合わせボタン153とが設けられている。これに限らず、アラートメッセージに対するユーザーの応答は、操作パネル14に配置されていているボタンで入力可能であってもよいし、ホスト装置7を介して入力可能であってもよい。
【0137】
・上記実施形態のプリンター11においてリセット部135は、用紙情報が変更されることによって、印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caをリセットする。これを変更して、リセット部135は、用紙情報が変更されたとしても、印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caをリセットしなくてもよい。こうした構成であっても、上記(1)(2)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。そのうえ、例えば、印刷される用紙Pがそのサイズに関わらず常に裏紙であるユーザー、すなわち用紙情報が変更されたとしても常に裏紙を使用するユーザーに対して、アラートメッセージが表示される機会が増えることになる。その結果、使用環境の改善を促進することができる。
【0138】
・上記実施形態のプリンター11において、リセット部135が割愛されてもよい。すなわち、印刷枚数カウンター140及びエラーカウンター141の計数値Pa,Caが、プリンター11の使用開始から累積したものであってもよい。こうした構成であっても、上記(1)(2)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0139】
・上記実施形態のプリンター11では、印刷枚数カウンター140の計数値Paが最低印刷枚数Pm以上である場合にのみ、アラートメッセージが表示されるように構成されている。これを変更し、印刷枚数カウンター140の計数値Paに関わらずアラートメッセージが表示されるように構成してもよい。こうした構成であっても、上記(1)に記載した効果に準ずる効果を得ることができる。
【0140】
・上記実施形態の発生頻度算出部133は、印刷枚数カウンター140の計数値Paとエラーカウンター141の計数値Caに基づいて、発生頻度Aを算出している。これに限らず、タイマー126の計時時間Tnとエラーカウンター141の計数値Caとに基づいて発生頻度Aを算出してもよい。なお、こうした構成においてリセット部135は、タイマー126の計時時間Tnとエラーカウンター141の計数値Caとをリセットする。
【0141】
・エラー検知部131が検知するエラーは、上実施形態に挙げたものに限られるものではない。また、各エラーの検知方法も、上実施形態に挙げた方法に限られるものではない。例えば紙ジャムエラーであれば、用紙Pの搬送経路に複数の紙検出センサーを配置して、それらの紙検出センサーからの信号に基づいて紙ジャムエラーを検知するようにしてもよい。
【0142】
・上記実施形態のエラー検知部131は、印刷動作の実施中のエラーを検知する。これ
に限らず、エラー検知部131は、他のエラー、例えば、スキャナエンコードエラーやノズル詰まりエラーなど、印刷動作が実施されていないときに検知されるエラーを検知可能に構成されていてもよい。
【0143】
なお、上記エラーが検知可能なプリンター11においては、上記エラーが検知された場合、実行中の動作を直ちに停止して、上記メッセージ表示処理が実行されるように構成するとよい。
【0144】
ちなみに、スキャナエンコードエラーは、原稿台ガラス15にセットされた用紙Pをスキャンしたときに、該用紙Pの位置や原稿台ガラス15に付着した異物等によって、正しくスキャンを行えなかったときに検知されるエラーである。エラー検知部131は、例えば、ホスト装置7で設定された用紙情報に基づく用紙Pの大きさと、画像データを画像処理することによって取得された用紙Pの大きさとが異なる場合にスキャナエンコードエラーを検知する。
【0145】
上記ノズル詰まりエラーは、例えば固化したインクなどによって記録ヘッド35のノズルが詰まっていることを示すエラーである。エラー検知部131は、記録ヘッド35から試料に対してインク滴を吐出するノズルチェック動作を行う。ノズルチェック動作は、ユーザーによって操作パネル14においてノズルチェック動作を実行させる操作がなされることにより実行される。ユーザーは、試料に吐出されたインク滴にノズル抜けがあるか否かを目視にて確認し、ノズル抜けの有無を操作パネル14より入力する。これによりエラー検知部131は、ノズル詰まりエラーを検知する。
【0146】
・上記実施形態では、エラーメッセージとアラートメッセージとを所定の周期で交互に表示することによって、これらのメッセージを同時期に表示した。これを変更して、2つのメッセージは、表示部22に並ぶように表示されることによって同時期に表示されてもよい。また、アラートメッセージは、エラーメッセージと同時期に表示しなくてもよく、発生したエラーが解消された後に表示されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0147】
A…発生頻度、As…基準発生頻度、Ca…計数値、MC…メモリーカード、NW…インターネット、P…用紙、Pa…計数値、Pm…最低印刷枚数、X…主走査方向、Y…副走査方向、5…サービスセンター、7…ホスト装置、10…印刷システム、11…プリンター、12…スキャナー部、13…プリンター部、13a…カバー、14…操作パネル、15…原稿台ガラス、16…原稿台カバー、17…給紙カセット、18…排出部、20…排紙スタッカー、21…操作部、22…表示部、23…電源スイッチ、24…印刷開始スイッチ、25…コピースイッチ、26…キャンセルスイッチ、27…カードスロット、28…インクカートリッジ、29…本体フレーム、29a…延出部、30…ガイド軸、31…キャリッジ、31a…凹部、32…プーリー、33…タイミングベルト、34…CRモーター、35…記録ヘッド、35a…ノズル形成面、36…支持台、37…フレキシブル配管板、38…リニアエンコーダー、39…PFモーター、40…搬送ローラー対、40a…搬送駆動ローラー、40b…従動ローラー、41…排出ローラー対、41a…駆動ローラー、41b…従動ローラー、42…APG装置、43…反転ユニット、44…メンテナンス装置、44a…昇降機構、45…キャップ、46…ワイパー、47…ロック部材、48…吸引ポンプ、49…廃液タンク、50…動力伝達切換装置、52…給送装置、53…湾曲反転経路、53a…外側案内面、53b…内側案内面、54…ピックアップローラー、55…ガイドローラ、56…分離手段、57…第1中間送りローラー、58…揺動軸、59…揺動部材、60…分離斜面、61…分離ローラー、62…駆動ローラー、63…駆動ローラー、64…アシストローラー、65…従動ローラー、66…駆動ローラー、67…アシストローラー、68…第2中間送りローラー、69…上部ハウジング、70…搬
送案内上、71…下部ハウジング、72…経路構成部材、73…支持部材、74…内部空間、75…トレイ、75a…ラック、76…ピニオン、80…反転ローラー、80a…回転軸、81…アシストローラー、82…アシストローラー、83…経路切換部材、83a…揺動軸、84…経路切換部材、84a…揺動軸、87…紙検出センサー、88…紙幅センサー、100…制御装置、101…カードリーダー、102…エンコーダー、105…スキャナエンジン、111…表示ドライバー、112…第1モーター駆動回路、113…第2モーター駆動回路、114…ヘッド制御ユニット、120…制御部、121…ROM、122…RAM、123…ASIC、124…CRカウンター、125…PFカウンター、126…タイマー、127…温度センサー、129…バス、130…主制御部、131…エラー検知部、132…エラーメッセージ選択部、133…発生頻度算出部、134…アラートメッセージ選択部、135…リセット部、136…基準発生頻度変更部、137…動作履歴記録部、138…履歴データ送信部、139…応答メッセージ処理部、140…印刷枚数カウンター、141…エラーカウンター、143…不揮発性メモリー、144…閾値データ、145…メッセージデータ、146…動作履歴データ、147…用紙データ、150…エラーメッセージ、151…アラートメッセージ、152…容認ボタン、153…問い合わせボタン、155…問い合わせメッセージ、156…eMailボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エラーを検知するエラー検知手段と、
前記エラーに対応するアラートメッセージを記憶するメッセージ記憶手段と、
前記エラー検知手段が検知した回数を計数するエラー計数手段と、
前記エラー計数手段の計数値に基づいて前記エラーの発生頻度を算出するエラー発生頻度算出手段と、
前記エラー発生頻度算出手段によって算出された発生頻度が予め定められた基準発生頻度以上であるとき前記アラートメッセージを表示する表示手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
印刷された用紙の枚数を計数する印刷枚数計数手段をさらに備え、
前記エラー発生頻度算出手段は、
前記エラー計数手段の計数値と前記印刷枚数計数手段の計数値とに基づいて、前記検知されたエラーの発生頻度を算出する
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記エラー発生頻度算出手段は、
前記印刷枚数計数手段の計数値が、前記発生頻度を算出する条件として予め定められた印刷枚数の閾値である最低印刷枚数以上である場合に前記発生頻度を算出する
請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷枚数計数手段の計数値及び前記エラー計数手段の計数値をリセットするリセット手段をさらに備える
請求項2または3に記載の印刷装置。
【請求項5】
ユーザーによって操作され、印刷される用紙に関する情報である用紙情報が設定される用紙情報設定手段をさらに備え、
前記リセット手段は、
前記用紙情報設定手段によって前記用紙情報が変更されることにより、前記印刷枚数計数手段の計数値及び前記エラー計数手段の計数値をリセットする
請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
ユーザーによって操作され、前記表示手段に表示されたアラートメッセージに対する当該ユーザーの応答が入力される入力手段をさらに備え、
前記リセット手段は、
前記入力手段を通じて当該アラートメッセージの内容がユーザーによって容認されると、前記印刷枚数計数手段の計数値及び前記エラー計数手段の計数値をリセットする
請求項4または5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記入力手段を通じて前記アラートメッセージの内容がユーザーによって容認されると、前記算出された発生頻度を前記検知されたエラーの基準発生頻度に設定する基準発生頻度変更手段をさらに備える
請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記選択されたアラートメッセージを含んだ動作の履歴である動作履歴情報を記録する動作履歴情報記録手段をさらに備える
請求項1〜7のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記動作履歴情報記録手段が記録した前記動作履歴情報をネットワークを介してサービ
スセンターに送信する送信手段をさらに備える
請求項8に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記送信した動作履歴情報に関する前記サービスセンターからのメッセージを受信する受信手段をさらに備える
請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
エラーを検知するエラー検知手段と、
前記エラーに対応するアラートメッセージを記憶するメッセージ記憶手段と、
前記エラー検知手段が検知した回数を計数するエラー計数手段と、
前記エラー計数手段の計数値に基づいてエラーの発生頻度を算出するエラー発生頻度算出手段と、
前記アラートメッセージを表示させる表示手段と
を備えた印刷装置の制御方法であって、
前記エラー発生頻度算出手段によって算出された発生頻度が予め定められた基準発生頻度以上であるとき前記アラートメッセージを表示させる
ことを特徴とする印刷装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−183686(P2012−183686A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47270(P2011−47270)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】