印刷装置、方法及びプログラム
【課題】パスワード原稿をボックス保存する場合に、印刷装置の設定により、そのパスワード原稿が印刷できない状態に陥ることを事前に回避することが可能な印刷装置およびその制御方法ならびにプログラムを提供すること。
【解決手段】パスワード原稿をボックス保存する場合には、印刷装置の設定により、そのパスワード原稿が印刷できない状態に陥る可能性があることを、ボックス保存時にユーザーに通知する。
【解決手段】パスワード原稿をボックス保存する場合には、印刷装置の設定により、そのパスワード原稿が印刷できない状態に陥る可能性があることを、ボックス保存時にユーザーに通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスワード情報が印字された原稿を扱う印刷装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、機密情報を含む原稿画像に、複写禁止情報を含む符号画像を合成して印刷することを開示している。ユーザーがその印刷物(複写禁止原稿)を複写機の原稿台に置いて複写処理開始の指示をすると、複写機はその印刷物をスキャンし、スキャン画像から複写禁止情報を含む符号画像を発見し、複写処理を中止する。
【0003】
また、特許文献1は、機密情報を含む原稿画像に、パスワード情報を含む符号画像を合成して印刷することを開示している。ユーザーがその印刷物(パスワード原稿)を複写機の原稿台に置いて複写処理開始の指示をすると、複写機はその印刷物をスキャンし、スキャン画像からパスワード情報を含む符号画像を発見し、複写処理を中断する。そして複写機は、ユーザーにパスワードの入力要求を行い、ユーザーが正しいパスワードを入力できた場合に複写処理を再開して複写原稿の作成を行う。即ち、複写機はそのスキャン画像の印刷を行うのである。
【0004】
さらに、この特許文献1では、パスワード情報を含む符号画像を合成する設定が行われている状態でパスワード原稿を複写機の原稿台に置いて複写処理開始が指示されると、複写機はそのパスワード原稿をスキャンする。複写機はスキャン画像からパスワード情報を含む符号画像を発見すると、複写処理を中止する。中止するのは、セキュリティーが低下するのを防止するためである。つまり、1つの原稿に複数の符号画像が重なって合成されてしまうと、何れの符号画像も複写機による発見が困難となり、パスワード情報の入力なしで複写できてしまうため、そのような複写原稿ができてしまうのを防止するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−017303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は複写処理について開示しているばかりで、ボックス保存(保存処理)、及びその保存処理に伴う印刷処理については開示していない。ボックス保存とは、原稿をスキャンしてHDDやメモリなどの記憶装置にスキャン画像を保存する処理のことである。また、その保存処理に伴う印刷処理とは、記憶装置に保存されたスキャン画像に対する印刷指示がユーザーからなされた場合に、そのスキャン画像を印刷する処理のことである。
【0007】
より詳細に課題を説明しよう。スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像を合成する印刷設定が複写機にされているとしよう。そして、そうした印刷設定が行われている状況下で、複写機がパスワード原稿をスキャンしたとしよう。こうした場合、ユーザーがボックス保存を指示していると、スキャン画像は何の問題もなく記憶装置に保存されることになる。というのも、保存に印刷設定は関係が無いからである。
【0008】
しかし、保存から何日かたって、ユーザーがその記憶装置に保存されたスキャン画像を印刷指示すると、その複写機は、その印刷処理を中止せざるを得ないことになる。
【0009】
ここで、ユーザーが上記の符号画像を合成する印刷設定を解除することができれば何の問題も無い。しかし、もし上記の印刷設定が強制的なもの(つまり、全てのスキャン画像に対して適用されるように管理者により設定されている場合)、記憶装置にはスキャン画像が保存されているものの印刷はできないという事態が起きてしまうことになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る印刷装置は、保存されたスキャン画像を印刷することができる印刷装置であって、ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、原稿をスキャンするスキャン手段と、スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われているか判定する手段と、前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれているか判定する手段とを有し、スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われており、かつ、前記スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれていると判定した場合に、前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることをユーザーに通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パスワード原稿をボックス保存する場合には、印刷装置の設定により、そのパスワード原稿が印刷できない状態に陥る可能性があることを、ボックス保存時にユーザーに通知することで、無駄なボックス保存が行われることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】印刷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】パスワード情報が埋め込まれていない原稿と、パスワード情報が埋め込まれた原稿を示す図である。
【図3】印刷装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図4】ボックス保存を行う場合の印刷装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】ボックス保存を継続するか中止するかをユーザーに選択させる画面の一例である。
【図6】ユーザーからのパスワード入力を受け付ける画面の一例である。
【図7】ボックス文書の選択画面の一例である。
【図8】ボックスプリントを行う場合の印刷装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】ボックス保存を行う場合の印刷装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ボックスプリントを行う場合の印刷装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定するものではない。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係るシステムのハードウェア構成を示す図である。印刷装置0101は、中央演算装置(以下、CPU)0102、タッチパネルディスプレイ0103、スキャナ0104、プリンタ0107、メモリ0105、及び補助記憶装置0106を備えて構成される。これらの構成のそれぞれは内部バス0107で接続されている。
【0015】
CPU0102は、メモリ0105に展開されたプログラムの実行や、様々な装置の制御を行う。タッチパネルディスプレイ0103は、ディスプレイでユーザーに対する情報の提供を行うと共に、ユーザーのキー入力を受け付ける。すなわち、タッチパネルディスプレイ0103は、表示部、操作部、又は入力部として機能する。スキャナ0104は、原稿の画像を光源で照射し、反射画像をレンズで固体撮像素子上に結像する。固体撮像素子は、所定の解像度(例えば600dpi)及び所定の濃度レベル(例えば8ビット)の画像読み取り信号を生成し、画像読み取り信号からラスターデータよりなるスキャン画像を構成する。プリンタ0107は、メモリ0105上に展開されたスキャン画像を記録紙に印刷する。メモリ0105は、CPU101が実行するプログラムの展開場所であり、また、プログラムで使用するデータを保持することが出来る。補助記憶装置0106は、ハードディスクドライブなどの大容量記憶装置で構成され、スキャン画像データを保存する。また、補助記憶装置0106は、印刷装置0101で実行するアプリケーションプログラムなどの各種データも保存する。また、こうしたアプリケーションプログラムをCPU0101がメモリ0105に展開して実行することによって、CPU0101は図3に示された各手段として動作することになる。
【0016】
<ボックス保存処理について>
次に、図2に示す2種類の原稿に対するボックス保存処理について、図3から図6を使用して説明する。
図2(a)は、パスワード情報を含む符号画像が印刷されていない原稿を示し、図2(b)は、パスワード情報を含む符号画像が印刷された原稿(パスワード原稿)を示す。ここで、符号画像とは、バーコード、二次元バーコード、電子透かしといった画像であり、人間にはその情報が読めないが機械にとってはその情報が可読な状態でその情報を含んだ画像のことである。本実施例では、この符号画像の例として二次元バーコードを取り上げ、フローチャートについても二次元バーコードをベースに説明を行う。しかしながら、本実施例における各フローチャートで示す処理が二次元バーコードに限られず、他の符号画像に対しても適用可能であることは言うまでもない。
【0017】
また、ボックス保存とは、スキャナ0104により得られたスキャン画像を補助記憶装置0106に一次的に保存する機能である。ボックス保存によって保存されたスキャン画像は、ユーザーの印刷指示によりプリンタ0107によって記録紙に印刷することができる。これをボックスプリントと呼ぶことにする。
【0018】
図3は、印刷装置0101のソフトウェア構成を示すブロック図である。図4は、印刷装置0101によるボックス保存処理のフローを示すフローチャートである。
【0019】
印刷装置0101は、タッチパネルディスプレイ0103に表示したボックス保存機能がユーザーによって選択され、スキャンスタートボタンが押下されると、ボックス保存機能制御手段0301によってボックス保存処理を開始する(ステップS0401)。
【0020】
ボックス保存機能制御手段0301は、ステップS0402において、ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、スキャン処理制御手段0302によって原稿をスキャナ0104によりスキャンし、スキャン画像をメモリ0105に保存する。
【0021】
ステップS0403では、二次元バーコード解析手段0303でスキャン画像を解析し、パスワード情報を含む二次元バーコードが埋め込まれているかどうかを判定する。また、前述したように、解析する符号画像は二次元バーコードに限られず、パスワード情報を含むものであればバーコードや電子透かしなどの他の符号画像であっても良い。後述する実施例においても同様である。
【0022】
ステップS0404では、先の二次元バーコード解析手段0303の結果に応じて次の処理を決定する。スキャン画像にパスワード情報を含む二次元バーコードが埋め込まれていた場合(図2(b)の原稿の場合)には、ステップS0405へと進み、スキャン原稿にパスワードが埋め込まれていない場合(図2(a)の原稿の場合)には、ステップS0412へと進む。
【0023】
ステップS0405では、ボックス保存機能制御手段0301は、スキャン画像が1枚目の原稿の画像であるかどうかを判断する。1枚目の原稿の画像である場合、処理はステップS0406へ進む。2枚目以降の原稿の画像である場合は、処理はステップS0410へ進み、2枚目以降の原稿の画像に対してステップS0406からステップS0408の各処理が繰り返し行わないようにする。
【0024】
ステップS0406では、ボックス保存機能制御手段0301は印刷装置0101に対して、ボックスプリント時にスキャン画像にパスワード情報を含む二次元バーコードを合成する管理者設定が行われているかを判断する。ここで、当該設定は、全てのスキャン画像に対して適用されるように印刷装置0101の管理者により設定され、一般ユーザによっては変更できないものを想定している。また、前述したように、合成する画像は二次元バーコードに限られず、パスワード情報を含むものであればバーコードや電子透かしなどの他の符号画像であっても良い。後述する実施例においても同様である。なお、ボックスプリント動作の詳細については後述する。
【0025】
パスワード情報の合成設定が行われていると判断された場合には、ステップS0407へと進み、タッチパネルディスプレイ0103に、図5に示すような画面を表示する。図5に示す画面には、ユーザーに注意を促す文言(0501)と、ボックス保存処理を継続するか(0502)、中止するか(0503)、を決定するボタンが配置されている。
【0026】
すなわち、図5に示すような画面により、スキャン画像にパスワード情報が含まれていると判定され(S0404:Yes)、かつ、スキャン画像に対してパスワード情報を合成する設定が行われている(S0406:Yes)場合、ユーザに対して通知を行う。当該通知には、図5の例に示されるように、スキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることが示される。このような通知を行うことによって、パスワード原稿をボックス保存する場合、印刷装置の設定により、そのパスワード原稿が印刷できない状態に陥る可能性があることをユーザーは把握することができ、無駄なボックス保存が行われることを防ぐことができる。
【0027】
なお、当該通知の内容は図5に示した例に限られず、パスワード原稿が印刷できない状態に陥る可能性があることをユーザーが把握できるものであればよい。例えば、スキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、管理者設定の解除がされない限りは、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であるという通知であっても良い。
【0028】
さらに、図5に示すように、当該通知画面には、ボックス保存処理を継続するか(0502)、中止するか(0503)を決定するボタンが配置されているため、スキャン画像の保存処理を継続するか中止するかをユーザーに選択させることができる。印刷装置0101は、ユーザの指示(選択)に応じてスキャン画像の保存処理を継続し、または中止する。
【0029】
次に、ステップS0408において、ユーザーによって継続ボタン(0502)が押下されたことをタッチパネルディスプレイ0103が検知した場合には、ステップS0410へと進み、タッチパネルディスプレイ0103に、図6に示すような画面を表示する。
【0030】
図6に示す画面には、ユーザーにパスワード入力を促す文言(0601)と、ユーザーからのパスワード入力を受け付けるパスワード入力欄(0602)が配置されている。
【0031】
ステップS0411にて、ユーザーが入力したパスワードが正しいとボックス保存機能制御手段0301が判断した場合は、ステップS0412へと進む。なお、このステップS0410とステップS0411は、すべての原稿で行う必要は無く、直前の原稿と同じパスワード情報が付加されていたと判断した場合には、正しいパスワードはユーザーにより入力済みであるとして、処理を省略してもよい。
【0032】
ステップS0412では、スキャン画像を補助記憶装置0106にボックス文書として保存し、ステップS0413へと進む。
【0033】
ステップS0413では、次原稿が有るかどうかを判断し、次原稿が有る場合にはステップS0402へ戻る。次原稿が無い場合にはボックス保存処理を終了する(ステップS0414)。
【0034】
一方、ステップS0408においてユーザーにより中止ボタン(0503)が押下された場合、またはステップS0411において、ユーザーにより入力されたパスワードが間違っていると判断した場合には、ステップS0409に進む。ステップS0409では、すでに補助記憶装置0106に保存した前原稿に対するスキャン画像を削除して、ボックス保存処理を終了する。
【0035】
なお、本実施例では、スキャン画像にパスワード情報が含まれており(S0404:Yes)、かつ、スキャン画像にパスワード情報を合成する設定が行われている(S0406:Yes)場合、ユーザに対して通知を行うこととしているがこの例に限定されない。当該通知によりボックス保存処理の継続についてのユーザの意志を確認することなく、ボックス保存処理を中断することとしても良い。このようにすることで、印刷できないパスワード原稿に対してボックス保存処理を行ってしまうことを確実に防ぐことができる。
【0036】
以上のように、本実施例におけるボックス保存処理によれば、スキャン画像にパスワード情報が含まれており、かつ、スキャン画像に対してパスワード情報を合成する管理者設定がされている場合、ユーザに対して通知を行うか、ボックス保存処理を中断する。その結果、パスワード原稿をボックス保存する場合、印刷装置の設定により、そのパスワード原稿が印刷できない状態に陥る可能性があることをユーザーは把握することができ、無駄なボックス保存が行われることを防ぐことができる。
【0037】
<ボックスプリント処理について>
次に、図3および図7、図8を使用して、ボックスプリント処理について説明する。図7は、前述した処理によりボックス保存したスキャン画像であるボックス文書の一覧をタッチパネルディスプレイ0103に表示した一例である。図8は、印刷装置0101によるボックスプリント処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
符号0701には、ボックス文書の一覧が表示されており、3つのボックス文書(0702、0703、0704)が保存されていることを表している。また符合0703のボックス文書は表示が反転しており、ユーザーによって選択されている状態を表している。
【0039】
この状態で、プリントするボタン0705がユーザーによって押下されたことをタッチパネルディスプレイ0103が検知すると、ボックスプリント機能制御手段0304によって、ボックスプリント処理を開始する(ステップS0801)。
【0040】
ボックスプリント機能制御手段0304は、ステップS0802において、ユーザーにより選択されたボックス文書を、補助記憶装置0106からメモリ0105上に読み出す。
【0041】
ステップS0803では、ボックスプリント機能制御手段0304は印刷装置0101に対して、ボックス文書にパスワード情報を含む二次元バーコードを合成する設定が行われているかを判断する。
【0042】
パスワード情報を含む二次元バーコードの合成設定が行われている場合には、ステップS0804へと進み、メモリ0105上に読み出したボックス文書にパスワード情報が付加されていたかを、ボックスプリント機能制御手段0304が判断する。パスワード情報が付加されていないボックス文書である場合にはステップS0805へと進む。
【0043】
ステップS0805では、予め設定されたパスワード情報の合成設定に従って、二次元バーコード生成手段0306により二次元バーコードを生成する。なお、ここで生成する二次元バーコードは、パスワードの文字列そのものでも良いし、パスワードのハッシュ値を利用しても良い。
【0044】
ステップS0806では、ステップS0805で生成した二次元バーコードと、ステップS0802でメモリ0105上に読み出したボックス文書を画像合成手段0307により合成する。
【0045】
ステップS0807では、プリント処理制御手段0305によりプリントする。ステップS0808では、選択されたボックス文書をすべてプリントしたかをボックスプリント機能制御手段0304は判断し、まだプリントしていないボックス文書が有る場合にはステップS0802に戻る。すべてのプリントが終了した場合には、ボックスプリント処理を終了する(ステップS0810)。
【0046】
一方、ステップS0804において、パスワード情報が付加されたボックス文書であると判断した場合には、ステップS0809へと進む。ステップS0809では、ボックスプリント処理を中止して、すべての処理を終了する(ステップS0810)。
【実施例2】
【0047】
実施例1では、パスワード原稿に対するボックス保存/ボックスプリント処理について記述した。実施例2ではパスワード原稿に加えて、複写禁止原稿及び複写許可原稿に対するボックス保存/ボックスプリント処理について説明する。複写禁止原稿とは、文字通り複写することができない原稿である。複写許可原稿とは複写可能な原稿である。それぞれ、「複写禁止」または「複写許可」という複写動作を制御する情報が符号画像として印刷された原稿である。
【0048】
本実施例では、符号画像として二次元バーコードを用いた例をベースに説明を行うが、これに限定されず、本実施例が電子透かしなどの他の符号画像に対しても適用可能であることは、実施例1と同様である。また本実施例において、パスワード原稿、複写禁止原稿、又は複写許可原稿であることを示す、複写動作を制御するための制御情報を総称して複写制御情報と呼ぶことにする。
【0049】
<ボックス保存処理について>
複写制御情報が印刷されていない原稿と、複写制御情報が印刷された各原稿に対するボックス保存処理について、図3、図5、図6、図9を使用して説明する。
【0050】
印刷装置0101は、タッチパネルディスプレイ0103に表示したボックス保存機能がユーザーによって選択され、スキャンスタートボタンが押下されると、ボックス保存機能制御手段0301によってボックス保存処理を開始する(ステップS0901)。
【0051】
ボックス保存機能制御手段0301は、ステップS0902において、ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、スキャン処理制御手段0302によって原稿をスキャナ0104によりスキャンし、スキャン画像をメモリ0105に保存する。
【0052】
ステップS0903では、二次元バーコード解析手段0303でスキャン画像を解析し、複写制御情報を含む二次元バーコードが埋め込まれているかどうかを判定する。
【0053】
ステップS0904では、先の二次元バーコード解析手段0303の結果に応じて次の処理を決定する。スキャン画像に複写制御情報を含む二次元バーコードが埋め込まれていた場合には、ステップS0905へと進み、スキャン原稿に複写制御情報が埋め込まれていない場合には、ステップS0915へと進む。
【0054】
ステップS0905では、さらに複写制御情報の内容に応じて次の処理を決定する。複写制御情報が複写禁止原稿を示している場合には、ステップS0911へと進む。複写制御情報が複写許可原稿またはパスワード原稿を示している場合には、ステップS0906へと進む。
【0055】
ステップS0906では、ボックス保存機能制御手段0301は、スキャン画像が1枚目の原稿の画像であるかどうかを判断する。1枚目の原稿の画像である場合、処理はステップS0907へ進む。2枚目以降の原稿の画像である場合は、処理はステップS0912へ進み、2枚目以降の原稿の画像に対してステップS0907からステップS0910の各処理が繰り返し行わないようにする。
【0056】
ステップS0907では、ボックス保存機能制御手段0301は印刷装置0101に対して、ボックスプリント時にスキャン画像に複写制御情報を二次元バーコードとして合成する管理者設定が行われているかを判断する。なお、ボックスプリント動作の詳細については後述する。複写制御情報を合成するように印刷装置0101が設定されていると判定された場合には、ステップS0908へと進む。
【0057】
なお、ステップS0905で複写許可原稿又はパスワード原稿を示していると判断され、ステップS0907で複写制御情報を合成する設定がされていると判断された場合、複写制御情報が付加されたスキャン画像に対してさらに複写制御情報を合成することになる。ここで、複写制御情報が付加されたスキャン画像に対してさらに複写制御情報を合成しようとすることを二重埋め込みと呼ぶ。
【0058】
ステップS0908では、複写制御情報を合成することが二重埋め込みとなる場合におけるボックスプリント処理の設定に応じて次の処理を切り替える。
【0059】
具体的には、ボックスプリント処理が二重埋め込みとなるときはプリントボックス処理(印刷)をキャンセルするように設定されている場合にはステップS0909へと進む。また、ボックスプリント処理が二重埋め込みとなるときは複写制御情報を合成する印刷設定を無視して(複写制御情報の合成を行わずに)ボックスプリント(印刷)処理を継続するように設定されている場合には、ステップS0912へと進む。
【0060】
なお、ボックスプリント処理が二重埋め込みとなるときのボックスプリント処理の設定内容は、予め印刷装置0101の記憶部に記憶されている。なお、このボックスプリント動作の詳細については後述する。
【0061】
ステップS0909ではタッチパネルディスプレイ0103に、図5に示すような画面を表示する。図5に示す画面には、ユーザーに注意を促す文言(0501)と、ボックス保存処理を継続するか(0502)、中止するか(0503)、を決定するボタンが配置されている。
【0062】
すなわち、ステップS0908では、印刷装置0101に設定された複写制御情報の二重埋め込み時の処理の設定に応じて、ユーザーへの通知(ステップS0909)を行うか否かを決定する。当該通知には、スキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることが示されている。さらに、当該通知を受けたユーザは、保存処理を継続するか中止するかを選択することができる。
【0063】
ステップS0910において、ユーザーによって継続ボタン(0502)が押下されたことをタッチパネルディスプレイ0103が検知した場合には、ステップS0912へと進む。
【0064】
ステップS0912では、スキャン原稿に付加されていた複写制御情報の内容(パスワード原稿または複写許可原稿)に応じて次の処理を決定する。パスワード原稿であった場合には、ステップS0913へと進み、複写許可原稿であった場合には、ステップS0915へ進む。
【0065】
ステップS0913では、タッチパネルディスプレイ0103に、図6に示すような画面を表示する。図6に示す画面には、ユーザーにパスワード入力を促す文言(0601)と、ユーザーからのパスワード入力を受け付けるパスワード入力欄(0602)が配置されている。
【0066】
ステップS0914にて、ユーザーが入力したパスワードが正しいとボックス保存機能制御手段0301が判断した場合は、ステップS0915へと進む。なお、このステップS0913とステップS0914は、すべての原稿で行う必要は無く、直前の原稿と同じパスワード情報が付加されていたと判断した場合には、正しいパスワードはユーザーにより入力済みであるとして、処理を省略してもよい。
【0067】
ステップS0915では、スキャン画像を補助記憶装置0106にボックス文書として保存し、ステップS0916へと進む。ステップS0916では、次原稿が有るかどうかを判断し、次原稿が有る場合にはステップS0902へ戻る。次原稿が無い場合にはボックス保存処理を終了する(ステップS0917)。
【0068】
一方、ステップS0910においてユーザーにより中止ボタン(0503)が押下された場合、またはステップS0914において、ユーザーにより入力されたパスワードが間違っていると判断した場合には、ステップS0911に進む。ステップS0911では、すでに補助記憶装置0106に保存した前原稿に対するスキャン画像を削除して、ボックス保存処理を終了する(ステップS0917)。
【0069】
以上のように本実施例によれば、スキャン画像がパスワード原稿又は複写許可原稿をスキャンしたものであり、かつ、スキャン画像に対して複写制御情報を合成する管理者設定がされている場合、ユーザに対して通知を行うか、ボックス保存処理を継続する。
【0070】
また、ボックス保存処理を継続した場合は、後述するように、ボックスプリント処理において複写制御情報の二重埋め込みを行わない。その結果、パスワード原稿又は複写許可原稿のスキャン原稿をボックス保存する場合、そのスキャン原稿が印刷できない状態に陥ることを回避でき、無駄なボックス保存が行われることを防ぐことができる。
【0071】
<ボックスプリント処理について>
次に、図3および図7、図10を使用して、ボックスプリント処理について説明する。図7は、前述した処理によりボックス保存したスキャン画像であるボックス文書の一覧をタッチパネルディスプレイ0103に表示した一例である。図10は、印刷装置0101によるボックスプリント処理の流れを示すフローチャートである。
【0072】
ボックス文書を選択した状態で、プリントするボタン0705がユーザーによって押下されたことをタッチパネルディスプレイ0103が検知すると、ボックスプリント機能制御手段0304によって、ボックスプリント処理を開始する(ステップS1001)。
【0073】
ボックスプリント機能制御手段0304は、ステップS1002において、ユーザーにより選択されたボックス文書を、補助記憶装置0106からメモリ0105上に読み出す。
【0074】
ステップS1003では、ボックスプリント機能制御手段0304は印刷装置0101に対して、ボックス文書に複写制御情報を二次元バーコードとして合成する設定が行われているかを判断する。
【0075】
複写制御情報を二次元バーコードとして合成する設定が行われている場合には、ステップS1004へと進み、メモリ0105上に読み出したボックス文書に複写制御情報が付加されていたかを、ボックスプリント機能制御手段0304が判断する。複写制御情報が付加されていないボックス文書である場合にはステップS1005へと進む。
【0076】
ステップS1005では、予め設定されている複写制御情報の合成設定に従って、二次元バーコード生成手段0306により二次元バーコードを生成する。ステップS1006では、ステップS1005で生成した二次元バーコードと、ステップS1002でメモリ0105上に読み出したボックス文書を画像合成手段0307により合成する。
【0077】
ステップS1007では、プリント処理制御手段0305によりプリントする。ステップS1008では、選択されたボックス文書をすべてプリントしたかをボックスプリント機能制御手段0304は判断し、まだプリントしていないボックス文書が有る場合にはステップS1002に戻る。すべてのプリントが終了した場合には、ボックスプリント処理を終了する(ステップS1011)。
【0078】
一方、ステップS1004において、複写制御情報が付加されたボックス文書であると判断した場合には、ステップS1009へと進む。ステップS1009では、あらかじめ印刷装置0101に設定されたボックスプリントの動作設定に応じて、次の処理を決定する。
【0079】
複写制御情報が付加されたボックス文書に対して、さらに複写制御情報を合成してプリントする設定となっているため、二重に複写制御情報を合成することがないようにボックスプリント処理自体をキャンセルする場合にはステップS1010へと進む。ステップS1010では、ボックスプリント処理を中止して、すべての処理を終了する(ステップS1011)。
【0080】
一方、二重に複写制御情報を合成することがないように、合成処理自体を行わずにプリントする場合にはステップS1007へと進み、以降の処理を継続する。
【0081】
以上のように本実施例によれば、スキャン画像がパスワード原稿又は複写許可原稿をスキャンしたものであり、かつ、スキャン画像に対して複写制御情報を合成する管理者設定がされている場合であっても、二重に複写制御情報を合成することを防ぐことができる。さらに、スキャン原稿が印刷できない状態に陥ることを防ぐこともできる。
【0082】
[その他の実施例]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0083】
0101 印刷装置
0102 CPU
0103 タッチパネルディスプレイ
0104 スキャナ
0105 メモリ
0106 補助記憶装置
0107 プリンタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、パスワード情報が印字された原稿を扱う印刷装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、機密情報を含む原稿画像に、複写禁止情報を含む符号画像を合成して印刷することを開示している。ユーザーがその印刷物(複写禁止原稿)を複写機の原稿台に置いて複写処理開始の指示をすると、複写機はその印刷物をスキャンし、スキャン画像から複写禁止情報を含む符号画像を発見し、複写処理を中止する。
【0003】
また、特許文献1は、機密情報を含む原稿画像に、パスワード情報を含む符号画像を合成して印刷することを開示している。ユーザーがその印刷物(パスワード原稿)を複写機の原稿台に置いて複写処理開始の指示をすると、複写機はその印刷物をスキャンし、スキャン画像からパスワード情報を含む符号画像を発見し、複写処理を中断する。そして複写機は、ユーザーにパスワードの入力要求を行い、ユーザーが正しいパスワードを入力できた場合に複写処理を再開して複写原稿の作成を行う。即ち、複写機はそのスキャン画像の印刷を行うのである。
【0004】
さらに、この特許文献1では、パスワード情報を含む符号画像を合成する設定が行われている状態でパスワード原稿を複写機の原稿台に置いて複写処理開始が指示されると、複写機はそのパスワード原稿をスキャンする。複写機はスキャン画像からパスワード情報を含む符号画像を発見すると、複写処理を中止する。中止するのは、セキュリティーが低下するのを防止するためである。つまり、1つの原稿に複数の符号画像が重なって合成されてしまうと、何れの符号画像も複写機による発見が困難となり、パスワード情報の入力なしで複写できてしまうため、そのような複写原稿ができてしまうのを防止するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−017303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は複写処理について開示しているばかりで、ボックス保存(保存処理)、及びその保存処理に伴う印刷処理については開示していない。ボックス保存とは、原稿をスキャンしてHDDやメモリなどの記憶装置にスキャン画像を保存する処理のことである。また、その保存処理に伴う印刷処理とは、記憶装置に保存されたスキャン画像に対する印刷指示がユーザーからなされた場合に、そのスキャン画像を印刷する処理のことである。
【0007】
より詳細に課題を説明しよう。スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像を合成する印刷設定が複写機にされているとしよう。そして、そうした印刷設定が行われている状況下で、複写機がパスワード原稿をスキャンしたとしよう。こうした場合、ユーザーがボックス保存を指示していると、スキャン画像は何の問題もなく記憶装置に保存されることになる。というのも、保存に印刷設定は関係が無いからである。
【0008】
しかし、保存から何日かたって、ユーザーがその記憶装置に保存されたスキャン画像を印刷指示すると、その複写機は、その印刷処理を中止せざるを得ないことになる。
【0009】
ここで、ユーザーが上記の符号画像を合成する印刷設定を解除することができれば何の問題も無い。しかし、もし上記の印刷設定が強制的なもの(つまり、全てのスキャン画像に対して適用されるように管理者により設定されている場合)、記憶装置にはスキャン画像が保存されているものの印刷はできないという事態が起きてしまうことになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る印刷装置は、保存されたスキャン画像を印刷することができる印刷装置であって、ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、原稿をスキャンするスキャン手段と、スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われているか判定する手段と、前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれているか判定する手段とを有し、スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われており、かつ、前記スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれていると判定した場合に、前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることをユーザーに通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、パスワード原稿をボックス保存する場合には、印刷装置の設定により、そのパスワード原稿が印刷できない状態に陥る可能性があることを、ボックス保存時にユーザーに通知することで、無駄なボックス保存が行われることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】印刷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】パスワード情報が埋め込まれていない原稿と、パスワード情報が埋め込まれた原稿を示す図である。
【図3】印刷装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図4】ボックス保存を行う場合の印刷装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】ボックス保存を継続するか中止するかをユーザーに選択させる画面の一例である。
【図6】ユーザーからのパスワード入力を受け付ける画面の一例である。
【図7】ボックス文書の選択画面の一例である。
【図8】ボックスプリントを行う場合の印刷装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】ボックス保存を行う場合の印刷装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】ボックスプリントを行う場合の印刷装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定するものではない。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1に係るシステムのハードウェア構成を示す図である。印刷装置0101は、中央演算装置(以下、CPU)0102、タッチパネルディスプレイ0103、スキャナ0104、プリンタ0107、メモリ0105、及び補助記憶装置0106を備えて構成される。これらの構成のそれぞれは内部バス0107で接続されている。
【0015】
CPU0102は、メモリ0105に展開されたプログラムの実行や、様々な装置の制御を行う。タッチパネルディスプレイ0103は、ディスプレイでユーザーに対する情報の提供を行うと共に、ユーザーのキー入力を受け付ける。すなわち、タッチパネルディスプレイ0103は、表示部、操作部、又は入力部として機能する。スキャナ0104は、原稿の画像を光源で照射し、反射画像をレンズで固体撮像素子上に結像する。固体撮像素子は、所定の解像度(例えば600dpi)及び所定の濃度レベル(例えば8ビット)の画像読み取り信号を生成し、画像読み取り信号からラスターデータよりなるスキャン画像を構成する。プリンタ0107は、メモリ0105上に展開されたスキャン画像を記録紙に印刷する。メモリ0105は、CPU101が実行するプログラムの展開場所であり、また、プログラムで使用するデータを保持することが出来る。補助記憶装置0106は、ハードディスクドライブなどの大容量記憶装置で構成され、スキャン画像データを保存する。また、補助記憶装置0106は、印刷装置0101で実行するアプリケーションプログラムなどの各種データも保存する。また、こうしたアプリケーションプログラムをCPU0101がメモリ0105に展開して実行することによって、CPU0101は図3に示された各手段として動作することになる。
【0016】
<ボックス保存処理について>
次に、図2に示す2種類の原稿に対するボックス保存処理について、図3から図6を使用して説明する。
図2(a)は、パスワード情報を含む符号画像が印刷されていない原稿を示し、図2(b)は、パスワード情報を含む符号画像が印刷された原稿(パスワード原稿)を示す。ここで、符号画像とは、バーコード、二次元バーコード、電子透かしといった画像であり、人間にはその情報が読めないが機械にとってはその情報が可読な状態でその情報を含んだ画像のことである。本実施例では、この符号画像の例として二次元バーコードを取り上げ、フローチャートについても二次元バーコードをベースに説明を行う。しかしながら、本実施例における各フローチャートで示す処理が二次元バーコードに限られず、他の符号画像に対しても適用可能であることは言うまでもない。
【0017】
また、ボックス保存とは、スキャナ0104により得られたスキャン画像を補助記憶装置0106に一次的に保存する機能である。ボックス保存によって保存されたスキャン画像は、ユーザーの印刷指示によりプリンタ0107によって記録紙に印刷することができる。これをボックスプリントと呼ぶことにする。
【0018】
図3は、印刷装置0101のソフトウェア構成を示すブロック図である。図4は、印刷装置0101によるボックス保存処理のフローを示すフローチャートである。
【0019】
印刷装置0101は、タッチパネルディスプレイ0103に表示したボックス保存機能がユーザーによって選択され、スキャンスタートボタンが押下されると、ボックス保存機能制御手段0301によってボックス保存処理を開始する(ステップS0401)。
【0020】
ボックス保存機能制御手段0301は、ステップS0402において、ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、スキャン処理制御手段0302によって原稿をスキャナ0104によりスキャンし、スキャン画像をメモリ0105に保存する。
【0021】
ステップS0403では、二次元バーコード解析手段0303でスキャン画像を解析し、パスワード情報を含む二次元バーコードが埋め込まれているかどうかを判定する。また、前述したように、解析する符号画像は二次元バーコードに限られず、パスワード情報を含むものであればバーコードや電子透かしなどの他の符号画像であっても良い。後述する実施例においても同様である。
【0022】
ステップS0404では、先の二次元バーコード解析手段0303の結果に応じて次の処理を決定する。スキャン画像にパスワード情報を含む二次元バーコードが埋め込まれていた場合(図2(b)の原稿の場合)には、ステップS0405へと進み、スキャン原稿にパスワードが埋め込まれていない場合(図2(a)の原稿の場合)には、ステップS0412へと進む。
【0023】
ステップS0405では、ボックス保存機能制御手段0301は、スキャン画像が1枚目の原稿の画像であるかどうかを判断する。1枚目の原稿の画像である場合、処理はステップS0406へ進む。2枚目以降の原稿の画像である場合は、処理はステップS0410へ進み、2枚目以降の原稿の画像に対してステップS0406からステップS0408の各処理が繰り返し行わないようにする。
【0024】
ステップS0406では、ボックス保存機能制御手段0301は印刷装置0101に対して、ボックスプリント時にスキャン画像にパスワード情報を含む二次元バーコードを合成する管理者設定が行われているかを判断する。ここで、当該設定は、全てのスキャン画像に対して適用されるように印刷装置0101の管理者により設定され、一般ユーザによっては変更できないものを想定している。また、前述したように、合成する画像は二次元バーコードに限られず、パスワード情報を含むものであればバーコードや電子透かしなどの他の符号画像であっても良い。後述する実施例においても同様である。なお、ボックスプリント動作の詳細については後述する。
【0025】
パスワード情報の合成設定が行われていると判断された場合には、ステップS0407へと進み、タッチパネルディスプレイ0103に、図5に示すような画面を表示する。図5に示す画面には、ユーザーに注意を促す文言(0501)と、ボックス保存処理を継続するか(0502)、中止するか(0503)、を決定するボタンが配置されている。
【0026】
すなわち、図5に示すような画面により、スキャン画像にパスワード情報が含まれていると判定され(S0404:Yes)、かつ、スキャン画像に対してパスワード情報を合成する設定が行われている(S0406:Yes)場合、ユーザに対して通知を行う。当該通知には、図5の例に示されるように、スキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることが示される。このような通知を行うことによって、パスワード原稿をボックス保存する場合、印刷装置の設定により、そのパスワード原稿が印刷できない状態に陥る可能性があることをユーザーは把握することができ、無駄なボックス保存が行われることを防ぐことができる。
【0027】
なお、当該通知の内容は図5に示した例に限られず、パスワード原稿が印刷できない状態に陥る可能性があることをユーザーが把握できるものであればよい。例えば、スキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、管理者設定の解除がされない限りは、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であるという通知であっても良い。
【0028】
さらに、図5に示すように、当該通知画面には、ボックス保存処理を継続するか(0502)、中止するか(0503)を決定するボタンが配置されているため、スキャン画像の保存処理を継続するか中止するかをユーザーに選択させることができる。印刷装置0101は、ユーザの指示(選択)に応じてスキャン画像の保存処理を継続し、または中止する。
【0029】
次に、ステップS0408において、ユーザーによって継続ボタン(0502)が押下されたことをタッチパネルディスプレイ0103が検知した場合には、ステップS0410へと進み、タッチパネルディスプレイ0103に、図6に示すような画面を表示する。
【0030】
図6に示す画面には、ユーザーにパスワード入力を促す文言(0601)と、ユーザーからのパスワード入力を受け付けるパスワード入力欄(0602)が配置されている。
【0031】
ステップS0411にて、ユーザーが入力したパスワードが正しいとボックス保存機能制御手段0301が判断した場合は、ステップS0412へと進む。なお、このステップS0410とステップS0411は、すべての原稿で行う必要は無く、直前の原稿と同じパスワード情報が付加されていたと判断した場合には、正しいパスワードはユーザーにより入力済みであるとして、処理を省略してもよい。
【0032】
ステップS0412では、スキャン画像を補助記憶装置0106にボックス文書として保存し、ステップS0413へと進む。
【0033】
ステップS0413では、次原稿が有るかどうかを判断し、次原稿が有る場合にはステップS0402へ戻る。次原稿が無い場合にはボックス保存処理を終了する(ステップS0414)。
【0034】
一方、ステップS0408においてユーザーにより中止ボタン(0503)が押下された場合、またはステップS0411において、ユーザーにより入力されたパスワードが間違っていると判断した場合には、ステップS0409に進む。ステップS0409では、すでに補助記憶装置0106に保存した前原稿に対するスキャン画像を削除して、ボックス保存処理を終了する。
【0035】
なお、本実施例では、スキャン画像にパスワード情報が含まれており(S0404:Yes)、かつ、スキャン画像にパスワード情報を合成する設定が行われている(S0406:Yes)場合、ユーザに対して通知を行うこととしているがこの例に限定されない。当該通知によりボックス保存処理の継続についてのユーザの意志を確認することなく、ボックス保存処理を中断することとしても良い。このようにすることで、印刷できないパスワード原稿に対してボックス保存処理を行ってしまうことを確実に防ぐことができる。
【0036】
以上のように、本実施例におけるボックス保存処理によれば、スキャン画像にパスワード情報が含まれており、かつ、スキャン画像に対してパスワード情報を合成する管理者設定がされている場合、ユーザに対して通知を行うか、ボックス保存処理を中断する。その結果、パスワード原稿をボックス保存する場合、印刷装置の設定により、そのパスワード原稿が印刷できない状態に陥る可能性があることをユーザーは把握することができ、無駄なボックス保存が行われることを防ぐことができる。
【0037】
<ボックスプリント処理について>
次に、図3および図7、図8を使用して、ボックスプリント処理について説明する。図7は、前述した処理によりボックス保存したスキャン画像であるボックス文書の一覧をタッチパネルディスプレイ0103に表示した一例である。図8は、印刷装置0101によるボックスプリント処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
符号0701には、ボックス文書の一覧が表示されており、3つのボックス文書(0702、0703、0704)が保存されていることを表している。また符合0703のボックス文書は表示が反転しており、ユーザーによって選択されている状態を表している。
【0039】
この状態で、プリントするボタン0705がユーザーによって押下されたことをタッチパネルディスプレイ0103が検知すると、ボックスプリント機能制御手段0304によって、ボックスプリント処理を開始する(ステップS0801)。
【0040】
ボックスプリント機能制御手段0304は、ステップS0802において、ユーザーにより選択されたボックス文書を、補助記憶装置0106からメモリ0105上に読み出す。
【0041】
ステップS0803では、ボックスプリント機能制御手段0304は印刷装置0101に対して、ボックス文書にパスワード情報を含む二次元バーコードを合成する設定が行われているかを判断する。
【0042】
パスワード情報を含む二次元バーコードの合成設定が行われている場合には、ステップS0804へと進み、メモリ0105上に読み出したボックス文書にパスワード情報が付加されていたかを、ボックスプリント機能制御手段0304が判断する。パスワード情報が付加されていないボックス文書である場合にはステップS0805へと進む。
【0043】
ステップS0805では、予め設定されたパスワード情報の合成設定に従って、二次元バーコード生成手段0306により二次元バーコードを生成する。なお、ここで生成する二次元バーコードは、パスワードの文字列そのものでも良いし、パスワードのハッシュ値を利用しても良い。
【0044】
ステップS0806では、ステップS0805で生成した二次元バーコードと、ステップS0802でメモリ0105上に読み出したボックス文書を画像合成手段0307により合成する。
【0045】
ステップS0807では、プリント処理制御手段0305によりプリントする。ステップS0808では、選択されたボックス文書をすべてプリントしたかをボックスプリント機能制御手段0304は判断し、まだプリントしていないボックス文書が有る場合にはステップS0802に戻る。すべてのプリントが終了した場合には、ボックスプリント処理を終了する(ステップS0810)。
【0046】
一方、ステップS0804において、パスワード情報が付加されたボックス文書であると判断した場合には、ステップS0809へと進む。ステップS0809では、ボックスプリント処理を中止して、すべての処理を終了する(ステップS0810)。
【実施例2】
【0047】
実施例1では、パスワード原稿に対するボックス保存/ボックスプリント処理について記述した。実施例2ではパスワード原稿に加えて、複写禁止原稿及び複写許可原稿に対するボックス保存/ボックスプリント処理について説明する。複写禁止原稿とは、文字通り複写することができない原稿である。複写許可原稿とは複写可能な原稿である。それぞれ、「複写禁止」または「複写許可」という複写動作を制御する情報が符号画像として印刷された原稿である。
【0048】
本実施例では、符号画像として二次元バーコードを用いた例をベースに説明を行うが、これに限定されず、本実施例が電子透かしなどの他の符号画像に対しても適用可能であることは、実施例1と同様である。また本実施例において、パスワード原稿、複写禁止原稿、又は複写許可原稿であることを示す、複写動作を制御するための制御情報を総称して複写制御情報と呼ぶことにする。
【0049】
<ボックス保存処理について>
複写制御情報が印刷されていない原稿と、複写制御情報が印刷された各原稿に対するボックス保存処理について、図3、図5、図6、図9を使用して説明する。
【0050】
印刷装置0101は、タッチパネルディスプレイ0103に表示したボックス保存機能がユーザーによって選択され、スキャンスタートボタンが押下されると、ボックス保存機能制御手段0301によってボックス保存処理を開始する(ステップS0901)。
【0051】
ボックス保存機能制御手段0301は、ステップS0902において、ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、スキャン処理制御手段0302によって原稿をスキャナ0104によりスキャンし、スキャン画像をメモリ0105に保存する。
【0052】
ステップS0903では、二次元バーコード解析手段0303でスキャン画像を解析し、複写制御情報を含む二次元バーコードが埋め込まれているかどうかを判定する。
【0053】
ステップS0904では、先の二次元バーコード解析手段0303の結果に応じて次の処理を決定する。スキャン画像に複写制御情報を含む二次元バーコードが埋め込まれていた場合には、ステップS0905へと進み、スキャン原稿に複写制御情報が埋め込まれていない場合には、ステップS0915へと進む。
【0054】
ステップS0905では、さらに複写制御情報の内容に応じて次の処理を決定する。複写制御情報が複写禁止原稿を示している場合には、ステップS0911へと進む。複写制御情報が複写許可原稿またはパスワード原稿を示している場合には、ステップS0906へと進む。
【0055】
ステップS0906では、ボックス保存機能制御手段0301は、スキャン画像が1枚目の原稿の画像であるかどうかを判断する。1枚目の原稿の画像である場合、処理はステップS0907へ進む。2枚目以降の原稿の画像である場合は、処理はステップS0912へ進み、2枚目以降の原稿の画像に対してステップS0907からステップS0910の各処理が繰り返し行わないようにする。
【0056】
ステップS0907では、ボックス保存機能制御手段0301は印刷装置0101に対して、ボックスプリント時にスキャン画像に複写制御情報を二次元バーコードとして合成する管理者設定が行われているかを判断する。なお、ボックスプリント動作の詳細については後述する。複写制御情報を合成するように印刷装置0101が設定されていると判定された場合には、ステップS0908へと進む。
【0057】
なお、ステップS0905で複写許可原稿又はパスワード原稿を示していると判断され、ステップS0907で複写制御情報を合成する設定がされていると判断された場合、複写制御情報が付加されたスキャン画像に対してさらに複写制御情報を合成することになる。ここで、複写制御情報が付加されたスキャン画像に対してさらに複写制御情報を合成しようとすることを二重埋め込みと呼ぶ。
【0058】
ステップS0908では、複写制御情報を合成することが二重埋め込みとなる場合におけるボックスプリント処理の設定に応じて次の処理を切り替える。
【0059】
具体的には、ボックスプリント処理が二重埋め込みとなるときはプリントボックス処理(印刷)をキャンセルするように設定されている場合にはステップS0909へと進む。また、ボックスプリント処理が二重埋め込みとなるときは複写制御情報を合成する印刷設定を無視して(複写制御情報の合成を行わずに)ボックスプリント(印刷)処理を継続するように設定されている場合には、ステップS0912へと進む。
【0060】
なお、ボックスプリント処理が二重埋め込みとなるときのボックスプリント処理の設定内容は、予め印刷装置0101の記憶部に記憶されている。なお、このボックスプリント動作の詳細については後述する。
【0061】
ステップS0909ではタッチパネルディスプレイ0103に、図5に示すような画面を表示する。図5に示す画面には、ユーザーに注意を促す文言(0501)と、ボックス保存処理を継続するか(0502)、中止するか(0503)、を決定するボタンが配置されている。
【0062】
すなわち、ステップS0908では、印刷装置0101に設定された複写制御情報の二重埋め込み時の処理の設定に応じて、ユーザーへの通知(ステップS0909)を行うか否かを決定する。当該通知には、スキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることが示されている。さらに、当該通知を受けたユーザは、保存処理を継続するか中止するかを選択することができる。
【0063】
ステップS0910において、ユーザーによって継続ボタン(0502)が押下されたことをタッチパネルディスプレイ0103が検知した場合には、ステップS0912へと進む。
【0064】
ステップS0912では、スキャン原稿に付加されていた複写制御情報の内容(パスワード原稿または複写許可原稿)に応じて次の処理を決定する。パスワード原稿であった場合には、ステップS0913へと進み、複写許可原稿であった場合には、ステップS0915へ進む。
【0065】
ステップS0913では、タッチパネルディスプレイ0103に、図6に示すような画面を表示する。図6に示す画面には、ユーザーにパスワード入力を促す文言(0601)と、ユーザーからのパスワード入力を受け付けるパスワード入力欄(0602)が配置されている。
【0066】
ステップS0914にて、ユーザーが入力したパスワードが正しいとボックス保存機能制御手段0301が判断した場合は、ステップS0915へと進む。なお、このステップS0913とステップS0914は、すべての原稿で行う必要は無く、直前の原稿と同じパスワード情報が付加されていたと判断した場合には、正しいパスワードはユーザーにより入力済みであるとして、処理を省略してもよい。
【0067】
ステップS0915では、スキャン画像を補助記憶装置0106にボックス文書として保存し、ステップS0916へと進む。ステップS0916では、次原稿が有るかどうかを判断し、次原稿が有る場合にはステップS0902へ戻る。次原稿が無い場合にはボックス保存処理を終了する(ステップS0917)。
【0068】
一方、ステップS0910においてユーザーにより中止ボタン(0503)が押下された場合、またはステップS0914において、ユーザーにより入力されたパスワードが間違っていると判断した場合には、ステップS0911に進む。ステップS0911では、すでに補助記憶装置0106に保存した前原稿に対するスキャン画像を削除して、ボックス保存処理を終了する(ステップS0917)。
【0069】
以上のように本実施例によれば、スキャン画像がパスワード原稿又は複写許可原稿をスキャンしたものであり、かつ、スキャン画像に対して複写制御情報を合成する管理者設定がされている場合、ユーザに対して通知を行うか、ボックス保存処理を継続する。
【0070】
また、ボックス保存処理を継続した場合は、後述するように、ボックスプリント処理において複写制御情報の二重埋め込みを行わない。その結果、パスワード原稿又は複写許可原稿のスキャン原稿をボックス保存する場合、そのスキャン原稿が印刷できない状態に陥ることを回避でき、無駄なボックス保存が行われることを防ぐことができる。
【0071】
<ボックスプリント処理について>
次に、図3および図7、図10を使用して、ボックスプリント処理について説明する。図7は、前述した処理によりボックス保存したスキャン画像であるボックス文書の一覧をタッチパネルディスプレイ0103に表示した一例である。図10は、印刷装置0101によるボックスプリント処理の流れを示すフローチャートである。
【0072】
ボックス文書を選択した状態で、プリントするボタン0705がユーザーによって押下されたことをタッチパネルディスプレイ0103が検知すると、ボックスプリント機能制御手段0304によって、ボックスプリント処理を開始する(ステップS1001)。
【0073】
ボックスプリント機能制御手段0304は、ステップS1002において、ユーザーにより選択されたボックス文書を、補助記憶装置0106からメモリ0105上に読み出す。
【0074】
ステップS1003では、ボックスプリント機能制御手段0304は印刷装置0101に対して、ボックス文書に複写制御情報を二次元バーコードとして合成する設定が行われているかを判断する。
【0075】
複写制御情報を二次元バーコードとして合成する設定が行われている場合には、ステップS1004へと進み、メモリ0105上に読み出したボックス文書に複写制御情報が付加されていたかを、ボックスプリント機能制御手段0304が判断する。複写制御情報が付加されていないボックス文書である場合にはステップS1005へと進む。
【0076】
ステップS1005では、予め設定されている複写制御情報の合成設定に従って、二次元バーコード生成手段0306により二次元バーコードを生成する。ステップS1006では、ステップS1005で生成した二次元バーコードと、ステップS1002でメモリ0105上に読み出したボックス文書を画像合成手段0307により合成する。
【0077】
ステップS1007では、プリント処理制御手段0305によりプリントする。ステップS1008では、選択されたボックス文書をすべてプリントしたかをボックスプリント機能制御手段0304は判断し、まだプリントしていないボックス文書が有る場合にはステップS1002に戻る。すべてのプリントが終了した場合には、ボックスプリント処理を終了する(ステップS1011)。
【0078】
一方、ステップS1004において、複写制御情報が付加されたボックス文書であると判断した場合には、ステップS1009へと進む。ステップS1009では、あらかじめ印刷装置0101に設定されたボックスプリントの動作設定に応じて、次の処理を決定する。
【0079】
複写制御情報が付加されたボックス文書に対して、さらに複写制御情報を合成してプリントする設定となっているため、二重に複写制御情報を合成することがないようにボックスプリント処理自体をキャンセルする場合にはステップS1010へと進む。ステップS1010では、ボックスプリント処理を中止して、すべての処理を終了する(ステップS1011)。
【0080】
一方、二重に複写制御情報を合成することがないように、合成処理自体を行わずにプリントする場合にはステップS1007へと進み、以降の処理を継続する。
【0081】
以上のように本実施例によれば、スキャン画像がパスワード原稿又は複写許可原稿をスキャンしたものであり、かつ、スキャン画像に対して複写制御情報を合成する管理者設定がされている場合であっても、二重に複写制御情報を合成することを防ぐことができる。さらに、スキャン原稿が印刷できない状態に陥ることを防ぐこともできる。
【0082】
[その他の実施例]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0083】
0101 印刷装置
0102 CPU
0103 タッチパネルディスプレイ
0104 スキャナ
0105 メモリ
0106 補助記憶装置
0107 プリンタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保存されたスキャン画像を印刷することができる印刷装置であって、
ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、原稿をスキャンするスキャン手段と、
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われているか判定する手段と、
前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれているか判定する手段とを有し、
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われており、かつ、前記スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれていると判定した場合に、
前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることをユーザーに通知することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われており、かつ、前記スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれていると判定した場合に、
前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、前記管理者設定の解除がされない限りは、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることをユーザーに通知することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
保存されたスキャン画像を印刷することができる印刷装置であって、
ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、原稿をスキャンするスキャン手段と、
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われているか判定する手段と、
前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれているか判定する手段とを有し、
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われており、かつ、前記スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれていると判定した場合に、
スキャン画像の保存処理を中止することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われており、かつ、前記スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれていると判定した場合に、
ユーザの指示に応じて、スキャン画像の保存処理を継続又は中止することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
保存されたスキャン画像を印刷することができる印刷装置であって、
ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、原稿をスキャンするスキャン手段と、
スキャン画像に対する複写動作を制御するための制御情報を符号画像として前記スキャン画像に合成する管理者設定が行われているか判定する手段と、
前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像に前記制御情報が符号画像として含まれているか判定する手段と、
前記管理者設定が行われていると判定され、かつ、前記制御情報が符号画像として含まれていると判定された場合、前記制御情報の二重埋め込みであると判定する手段と、
前記制御情報の二重埋め込みであると判定された場合に、前記印刷装置に設定された前記制御情報の二重埋め込み時の設定に応じて、前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることをユーザーに通知するか否かを決定する手段と
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記制御情報の二重埋め込みであると判定された場合であって、前記二重埋め込み時の設定が印刷のキャンセルである場合、前記通知をすると決定することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記制御情報の二重埋め込みであると判定された場合であって、前記二重埋め込み時の設定が前記制御情報の合成を行わないことである場合、前記通知をしないと決定することを特徴とする請求項5又は6に記載の印刷装置。
【請求項8】
保存されたスキャン画像を印刷することができる印刷装置により実施される方法であって、
ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、原稿をスキャンするスキャンステップと、
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われているか判定するステップと、
前記スキャンステップでのスキャンにより得られたスキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれているか判定するステップとを有し、
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われており、かつ、前記スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれていると判定した場合に、
前記スキャンステップでのスキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることをユーザーに通知することを特徴とする方法。
【請求項9】
保存されたスキャン画像を印刷することができる印刷装置により実施される方法あって、
ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、原稿をスキャンするスキャンステップと、
スキャン画像に対する複写動作を制御するための制御情報を符号画像として前記スキャン画像に合成する管理者設定が行われているか判定するステップと、
前記スキャンステップでのスキャンにより得られたスキャン画像に前記制御情報が符号画像として含まれているか判定するステップと、
前記管理者設定が行われていると判定され、かつ、前記制御情報が符号画像として含まれていると判定された場合、前記制御情報の二重埋め込みであると判定するステップと、
前記制御情報の二重埋め込みであると判定された場合に、前記印刷装置に設定された前記制御情報の二重埋め込み時の設定に応じて、前記スキャンステップでのスキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることをユーザーに通知するか否かを決定するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
コンピュータを請求項1から7のいずれか1つに記載の印刷装置として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
保存されたスキャン画像を印刷することができる印刷装置であって、
ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、原稿をスキャンするスキャン手段と、
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われているか判定する手段と、
前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれているか判定する手段とを有し、
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われており、かつ、前記スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれていると判定した場合に、
前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることをユーザーに通知することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われており、かつ、前記スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれていると判定した場合に、
前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、前記管理者設定の解除がされない限りは、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることをユーザーに通知することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
保存されたスキャン画像を印刷することができる印刷装置であって、
ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、原稿をスキャンするスキャン手段と、
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われているか判定する手段と、
前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれているか判定する手段とを有し、
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われており、かつ、前記スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれていると判定した場合に、
スキャン画像の保存処理を中止することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われており、かつ、前記スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれていると判定した場合に、
ユーザの指示に応じて、スキャン画像の保存処理を継続又は中止することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
保存されたスキャン画像を印刷することができる印刷装置であって、
ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、原稿をスキャンするスキャン手段と、
スキャン画像に対する複写動作を制御するための制御情報を符号画像として前記スキャン画像に合成する管理者設定が行われているか判定する手段と、
前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像に前記制御情報が符号画像として含まれているか判定する手段と、
前記管理者設定が行われていると判定され、かつ、前記制御情報が符号画像として含まれていると判定された場合、前記制御情報の二重埋め込みであると判定する手段と、
前記制御情報の二重埋め込みであると判定された場合に、前記印刷装置に設定された前記制御情報の二重埋め込み時の設定に応じて、前記スキャン手段でのスキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることをユーザーに通知するか否かを決定する手段と
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
前記決定手段は、前記制御情報の二重埋め込みであると判定された場合であって、前記二重埋め込み時の設定が印刷のキャンセルである場合、前記通知をすると決定することを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記決定手段は、前記制御情報の二重埋め込みであると判定された場合であって、前記二重埋め込み時の設定が前記制御情報の合成を行わないことである場合、前記通知をしないと決定することを特徴とする請求項5又は6に記載の印刷装置。
【請求項8】
保存されたスキャン画像を印刷することができる印刷装置により実施される方法であって、
ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、原稿をスキャンするスキャンステップと、
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われているか判定するステップと、
前記スキャンステップでのスキャンにより得られたスキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれているか判定するステップとを有し、
スキャン画像に対してパスワード情報を含む符号画像を合成する管理者設定が行われており、かつ、前記スキャン画像にパスワード情報を含む符号画像が含まれていると判定した場合に、
前記スキャンステップでのスキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることをユーザーに通知することを特徴とする方法。
【請求項9】
保存されたスキャン画像を印刷することができる印刷装置により実施される方法あって、
ユーザーによるスキャン画像の保存指示に応答して、原稿をスキャンするスキャンステップと、
スキャン画像に対する複写動作を制御するための制御情報を符号画像として前記スキャン画像に合成する管理者設定が行われているか判定するステップと、
前記スキャンステップでのスキャンにより得られたスキャン画像に前記制御情報が符号画像として含まれているか判定するステップと、
前記管理者設定が行われていると判定され、かつ、前記制御情報が符号画像として含まれていると判定された場合、前記制御情報の二重埋め込みであると判定するステップと、
前記制御情報の二重埋め込みであると判定された場合に、前記印刷装置に設定された前記制御情報の二重埋め込み時の設定に応じて、前記スキャンステップでのスキャンにより得られたスキャン画像の保存は可能であるものの、保存されたスキャン画像の印刷は不可能であることをユーザーに通知するか否かを決定するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
コンピュータを請求項1から7のいずれか1つに記載の印刷装置として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−110467(P2013−110467A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251886(P2011−251886)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]