説明

印刷装置およびその制御方法

【課題】簡単な構成で、用紙搬送経路上の検出位置におけるラベルの有無、検出マークの有無および連続用紙の有無を検出することができる。
【解決手段】台紙3に複数のラベル2が貼着されブラックマーク4が付された連続用紙1を、用紙搬送経路Rに沿って搬送する用紙搬送部13と、各ラベルに印刷処理を施す印刷部14と、マーク検出センサー38の受光量に応じて連続用紙1上のブラックマーク4の有無を判断するマーク判別用閾値を有するマーク検出部34、38と、ラベル検出センサー37の受光量に応じて連続用紙1上のラベル2の有無を判断するラベル判別用閾値を有するラベル検出部34、37と、を備え、マーク検出部34、38およびラベル検出部34、37の少なくとも一方は、更に連続用紙1の有無を判断する連続用紙判別用閾値を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状の台紙に複数のラベルが貼着されて構成されると共に検出マークが付された連続用紙を印刷対象とする印刷装置およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置として、長尺状の台紙に所定間隔でラベルを貼り付けた連続用紙(ラベル紙)を搬送経路に沿って所定の搬送方向に搬送する搬送機構と、各ラベルに印刷処理を行うインクジェットヘッドと、搬送経路上の検出位置を通過するラベルを検出する紙検出部と、を備えたものが知られている(特許文献1参照)。紙検出部は、搬送経路に面して配設されたフォトセンサーにより構成されており、検出位置におけるラベルの有無を判別して、ラベルの位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−189157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような印刷装置において、検出位置における連続用紙の有無を検出する反射型の紙検出部を配設して、用紙切れ(テープエンド)を検出することが考えられる。すなわち、ラベルの有無を検出する第1の紙検出部と、連続用紙の有無を検出する第2の紙検出部とにより、ラベル位置および用紙切れを検出する構成である。そして、この構成において、さらにニアエンドを検出することが求められている。
ニアエンドの検出方法としては、ニアエンドを示す位置にブラックマークを付しておき、上記第2の紙検出部で、用紙切れおよびニアエンドを検出することが考えられる。すなわち、第2の紙検出部により、連続用紙の非ブラックマーク部分から反射した反射光を受光したか否かを検出し、これに基づいて、用紙切れおよびニアエンドを検出する構成である。かかる場合、第1の紙検出部によりラベル「有」が検出された際に上記反射光を受光してないのであれば、ブラックマーク部分であるので、ニアエンドであることが分かるが、第1の紙検出部によりラベル「無」が検出された際に上記反射光を受光してない場合、ニアエンドであるか、用紙切れであるかを判別することができなかった。そこで、紙検出部を、ラベルの有無の検出、ブラックマークの有無の検出および連続用紙の有無の検出のそれぞれに対し、1つずつ設けることが考えられる。
しかしながら、このような構成では、紙検出部(フォトセンサー)を3つ設ける必要があるため、装置構成が複雑になってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、簡単な構成で、用紙搬送経路上の検出位置におけるラベルの有無、検出マークの有無、連続用紙の有無およびニアエンドを検出することができる印刷装置およびその制御方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷装置は、長尺状の台紙に複数のラベルが貼着されて構成されると共に検出マークが付された連続用紙を、用紙搬送経路に沿って搬送する用紙搬送部と、各ラベルに印刷処理を施す印刷部と、用紙搬送経路に臨んで検出マークを検出するマーク検出センサーを含み、その検出光の受光量に応じて連続用紙上の検出マークの有無を判断するマーク判別用閾値を有するマーク検出部と、用紙搬送経路に臨んでラベルを検出するラベル検出センサーを含み、その検出光の受光量に応じて連続用紙上のラベルの有無を判断するラベル判別用閾値を有するラベル検出部と、を備え、マーク検出部およびラベル検出部の少なくとも一方は、更に連続用紙の有無を判断する連続用紙判別用閾値を有することを特徴とする。
【0007】
この場合、連続用紙のニアエンドを示すニアエンド信号を出力するニアエンド出力部を、更に備え、検出マークは、連続用紙上のニアエンドの位置を示し、ニアエンド出力部は、マーク検出部による検出マークが有と判断された場合、ニアエンド信号を出力することが好ましい。
【0008】
本発明の印刷装置の制御方法は、長尺状の台紙に複数のラベルが貼着されて構成されると共に検出マークが付された連続用紙を、用紙搬送経路に沿って搬送し、各ラベルに印刷処理を施す印刷装置の制御方法であって、用紙搬送経路に臨んだマーク検出センサーを含むと共にマーク判別用閾値を有するマーク検出部により、マーク検出センサーの検出光の受光量に応じて検出マークの有無を判断するステップと、用紙搬送経路に臨んだラベル検出センサーを含むと共にラベル判別用閾値を有するラベル検出部により、ラベル検出センサーの検出光の受光量に応じてラベルの有無を判断するステップと、更に連続用紙判別用閾値を有するマーク検出部およびラベル検出部の少なくとも一方により、連続用紙の有無を判断するステップと、を実行することを特徴とする。
【0009】
この場合、マーク検出部により検出マークが有と判断された場合、ニアエンド信号を出力するステップをさらに実行することが好ましい。
【0010】
これらの構成によれば、マーク検出部およびラベル検出部の少なくとも一方に、2つの閾値を設定して、連続用紙の有無を検出することによって、マーク検出部およびラベル検出部により、用紙搬送経路上の検出位置におけるラベルの有無、検出マークの有無および連続用紙の有無を検出することができる。よって、簡単な構成でこれらを検出することができる。
【0011】
上記の印刷装置において、連続用紙の用紙切れを示す紙無しエラーを出力する紙無し出力部を、更に備え、紙無し出力部は、マーク検出部による連続用紙が無と判断され、且つラベル検出部によるラベルが無と判断された場合、紙無しエラーを出力することが好ましい。
【0012】
上記の印刷装置の制御方法において、マーク検出部により連続用紙が無と判断され、且つラベル検出部によりラベルが無と判断された場合、前記紙無しエラーを出力するステップをさらに実行することが好ましい。
【0013】
これらの構成によれば、マーク検出部によって、連続用紙が無いものと誤検出した場合にも、ラベルが有る状態において、誤って紙無しエラーを出力してしまうことがない。すなわち、用紙切れをより精度良く検出することができる。
【0014】
また、マーク検出センサーは、検出光として反射光を受光する反射型センサーであることが好ましい。
【0015】
検出マーク(特にブラックマーク)が有る位置から反射した反射光の光量と、検出マークが無い位置から反射した反射光の光量とでは、光量が著しく異なる。
上記の構成によれば、反射型センサー(反射型フォトセンサー)を用い、この反射光の光量を検出することで、検出マークの有無を精度良く検出することができる。
【0016】
さらに、ラベル検出センサーは、検出光として透過光を受光する透過型センサー、または検出光として反射光を受光する反射型センサーであることが好ましい。
【0017】
ラベルが有る位置を透過した透過光の光量と、ラベルが無い位置を透過した透過光の光量とでは、光量が著しく異なる。また、ラベルが有る位置から反射した反射光の光量と、ラベルが無い位置から反射した反射光の光量とでは、光量が著しく異なる。
上記の構成によれば、透過型センサー(透過型フォトセンサー)または反射型センサーを用い、この透過光や反射光の受光量を検出することで、ラベルの有無を精度良く検出することができる。
【0018】
また、マーク検出センサーは、連続用紙のラベルが貼着される面とは反対の面に、複数のラベルに跨って形成される検出マークを検出することが好ましい。
【0019】
この構成によれば、マーク検出部およびラベル検出部の少なくとも一方に、2つの閾値を設定して、連続用紙の有無を検出することで、検出マークが複数のラベルに跨って形成されている場合にも、検出マークや連続用紙の有無を簡単な構成で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】印刷対象となる連続用紙の側面図(a)、平面図(b)および裏面図(c)である。
【図2】実施形態に係る印刷装置の模式図である。
【図3】印刷装置の制御ブロック図である。
【図4】ラベル検出センサーおよびマーク検出センサー周りを示した平面図である。
【図5】(a)は、ラベル判別用閾値を示した図であり、(b)は、マーク判別用閾値および連続用紙判別用閾値を示した図である。
【図6】ラベル、ニアエンド、用紙切れの検出動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照し、本発明の一実施形態に係る印刷装置について説明する。この印刷装置は、主としてクーポンの発行等を行うインクジェットプリンターであり、ホストコンピューターに接続されて用いられる。ここで、印刷装置について説明するまでに、印刷対象となる連続用紙について説明する。
【0022】
図1に示すように、連続用紙1は、長尺状の台紙3と、台紙3の長手方向(用紙搬送方向)に所定間隔で貼着した複数のラベル2と、により構成されている。台紙3の裏面には、台紙3の長手方向に延在したブラックマーク(検出マーク)4が付されており、このブラックマーク4が、連続用紙1上のニアエンドの位置を示している。ニアエンドとは、連続用紙1が所定の残量まで減少した状態である。また、ブラックマーク4は、連続用紙1の幅方向の一部分に付され、且つニアエンドの開始位置から連続用紙1の後端まで連続用紙1の長手方向に延在して付されている。一方、各ラベル2は、粘着剤により台紙3の表面に貼着され、台紙3から剥離可能になっている。そして、印刷装置11では、各ラベル2に印刷処理を施しつつ、隣接するラベル2の間で台紙3を切断することで、印刷済みのラベル2毎に台紙3を分断する。ラベル2は、この状態でユーザーに提供される。
【0023】
図2に示すように、印刷装置11は、ロール状にして収容された収容部から繰り出された連続用紙1を、用紙搬送経路Rに沿って搬送する用紙搬送部13と、用紙搬送経路Rに臨み、各ラベル2にインクジェット方式で印刷処理を施す印刷部14と、印刷部14の下流側で用紙搬送経路Rに臨み、連続用紙1(台紙3部分)を切断する切断部15と、用紙搬送経路Rに臨み、連続用紙1のラベル検出、ニアエンド検出および用紙切れ検出を行う検出部16と、これらを制御する制御部17と、を備えている。また、印刷装置11は、各部を覆う装置ケース18を備えており、装置ケース18には、未使用の連続用紙1を装着するための開閉カバーである用紙カバー(図示省略)が形成されている。なお、切断部15の下流側に、印刷済みのラベル2を台紙3から剥離する剥離部を設けても良い。また、ロール状の連続用紙1は収容部に転動可能に収容されるが、印刷装置11は。連続用紙1を繰出し可能に巻回した用紙供給ローラーを備えてもよい。
【0024】
用紙搬送部13は、収容部から斜め上方に繰り出した連続用紙1の経路を、排出口20に向かって水平に経路変更する経路変更ガイド21と、経路変更ガイド21の下流側に配設され、連続用紙1を印刷部14に送る搬送ローラー22と、印刷部14の下流側に配設され、連続用紙1を印刷部14から排出口20に送り出す排紙ローラー23と、を備えている。搬送ローラー22は、駆動ローラーおよび従動ローラーを有したニップローラーで構成されており、印刷動作時において印刷部14の駆動に同期して駆動し、連続用紙1を、駆動ローラーと従動ローラーとの間に挟持しつつ回転送りする(副走査)。排紙ローラー23は、駆動ローラーで構成されており、適宜スリップ回転して、印刷部14に臨む連続用紙1に適度な張りを与える。
【0025】
印刷部14は、連続用紙1にインク吐出によりドット印刷を行うインクジェットヘッド31と、キャリッジ(図示省略)を介してインクジェットヘッド31を紙幅方向に往復動させるヘッド移動機構(図示省略)と、を有している。また、印刷部14は、インクジェットヘッド31に所定のギャップを存して平行に対峙するプラテン33を有している。ヘッド移動機構により往復動するインクジェットヘッド31に同期して、インクジェットヘッド31を吐出駆動することにより、各ラベル2に印刷が行われる(主走査)。なお、インクジェットヘッド31は、搬送方向に延在する色別複数のノズル列(図示省略)を有しており、各色のインクを吐出駆動することで、カラー印刷が行われる。また、ノズル列が紙幅のほぼ全幅に延びるライン型のインクジェットヘッド31の場合は、キャリッジを介するヘッド移動機構は不要となる。
【0026】
切断部15は、例えば連続用紙1に下側から臨んで台紙3部分を切断するモーター駆動のカッターを有し、ラベル2の間の台紙3部分を切断することで、ラベル2毎に連続用紙1を分断する。
【0027】
検出部16は、キャリッジ上に搭載された紙幅検出センサー36と、経路変更ガイド21と搬送ローラー22との間に配設されたラベル検出センサー37およびマーク検出センサー38を有している。紙幅検出センサー36は、ヘッド移動機構によるキャリッジの移動に伴って駆動することで、紙幅方向に走査し、連続用紙1の紙幅および紙幅方向の位置を検出する。
【0028】
図3に示すように、制御部17は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を有した制御回路34と、インクジェットヘッド31の駆動制御を行うヘッドドライバー35と、を有している。制御回路34には、ラベル検出センサー37およびマーク検出センサー38が接続されており、制御回路34は、これらの検出結果に基づいて、インクジェットヘッド31を制御する。すなわち、制御部17は、各ラベル2への印刷を制御する。また、制御回路34は、インターフェース等を介して、ホストコンピューターHCに接続されており、各種信号や印刷データの通信を可能としている。
【0029】
ここで図2および図4を参照して、ラベル検出センサー37およびマーク検出センサー38について説明する。図4は、ラベル検出センサー37およびマーク検出センサー38が設置された部分の用紙搬送経路Rの拡大図である。図2および図4に示すように、経路変更ガイド21と搬送ローラー22との間において、ラベル検出センサー37およびマーク検出センサー38は、用紙搬送経路Rに臨んで配設されており、且つ紙幅方向に且つ用紙搬送方向に相互に位置ずれして配設されている。また、ラベル検出センサー37は、紙幅方向において、連続用紙1のラベル2の中央に対応する位置に配設されており、マーク検出センサー38は、紙幅方向において、連続用紙1のブラックマーク4に対応する位置に配設されている。
【0030】
ラベル検出センサー37は、用紙搬送経路Rを上下から挟むように臨む発光部41および受光部42を有した透過型フォトセンサーである。すなわち、発光部41から発光され、透過した透過光を検出光とし、その透過光を受光した受光量を受光部42により検出する。そして、制御回路34は、この検出した受光量に基づいて、ラベル検出センサー37に対峙するラベル2の有無を検出する。具体的には、図5(a)に示すように、ラベル判別用閾値が設定されており、受光量がラベル判別用閾値を超えているか否かに基づいて、検出位置におけるラベル2の有無を検出する。このラベル2の有無の検出結果に基づいて、用紙搬送経路Rにおけるラベル2の位置を検出する。そして、ラベル2の検出タイミングに基づいて搬送ローラー22による用紙送り量を調整して、各ラベル2に対する印刷処理が行われる。このように、ラベル検出部は、ラベル検出センサー37および制御回路34により構成されている。
【0031】
マーク検出センサー38は、用紙搬送経路Rに下側から臨む発光部43および受光部44を有した反射型フォトセンサーである。すなわち、発光部43から発光され、反射した反射光を検出光として、その反射光を受光した受光量を受光部44により検出する。そして、制御回路34は、検出した受光量に基づいて、マーク検出センサー38に対峙するブラックマーク4および連続用紙1の有無を検出する。具体的には、図5(b)に示すように、マーク判別用閾値および連続用紙判別用閾値が設定されており、受光量がマーク判別用閾値を超えているか否かに基づいて、検出位置におけるブラックマーク4の有無を検出し、受光量が連続用紙判別用閾値を超えているか否かに基づいて、検出位置における連続用紙1の有無を検出する。詳細は後述するが、このブラックマーク4の有無の検出結果、および連続用紙1の有無の検出結果に基づいて、連続用紙1のニアエンドおよび用紙切れ(テープエンド)の判定が行われる。このように、マーク検出部は、マーク検出センサー38および制御回路34により構成されている。
【0032】
ラベル判別用閾値は、台紙3のみを透過した際の透過光の受光量と、ラベル2および台紙3を透過した際の透過光の受光量と(いずれも想定値や想定範囲)を考慮し、これらの境界となる値に設定されている(図5(a)参照)。一方、マーク判別用閾値および連続用紙用閾値は、台紙3(非ブラックマーク4部分)を反射した際の反射光の受光量と、ブラックマーク4を反射した際の反射光の受光量と、連続用紙1が無く、連続用紙1上で反射しなかった際の受光量と(いずれも想定値や想定範囲)を考慮し、これらの境界となる値に設定されている(図5(b)参照)。図5(a)の本検出動作では、ラベル検出センサー37の台紙3のみを透過した際の透過光の受光量は、ラベル2(および台紙3)を透過した際の透過光の受光量より大きく、受光量がラベル判別用閾値を超える場合は、ラベル2が無いと判断可能である。また、図5(b)の本検出動作では、マーク検出センサー38のブラックマーク4で反射した際の反射光の受光量は、連続用紙1上を反射しなかった際の反射光の受光量より大きく、台紙3(非ブラックマーク部分)を反射した際の反射光の受光量はより小さくなる。また、マーク検出センサー38の受光量が、連続用紙判別用閾値を超える場合は、連続用紙1が有ると判断可能であり、マーク判別用閾値を超える場合は、ブラックマーク4が無いと判断可能である。なお、連続用紙1上で反射しなかった際の受光量が、ブラックマーク4を反射した際の反射光の受光量により格段に低くなるように、発光部43の、用紙搬送経路Rを超えた出光先に、スペースや低反射部材を配置することが好ましい。
【0033】
ここで図6を参照して、ラベル2、ニアエンドおよび用紙切れの検出動作について説明する。本検出動作は、用紙カバーが閉塞している間、連続的に(例えば、0.5秒間隔で)行われるものである。
【0034】
図6に示すように、まず、制御回路34は、動作時点におけるラベル検出センサー37およびマーク検出センサー38の検出結果(検出した受光量)を読み出す(S1)。そして、制御回路34は、ラベル検出センサー37の受光量がラベル判別用閾値を超えており、且つマーク検出センサー38の受光量が連続用紙判別閾値以下であるか否かを判定する(S2)。ラベル検出センサー37の受光量がラベル判別用閾値を超えており、且つマーク検出センサー38の受光量が連続用紙判別閾値以下である場合(S2:Yes)、ラベル「無」が検出され(ラベル2が検出されず)、且つ連続用紙「無」が検出される(連続用紙1が検出されない)ので、動作時点で連続用紙1が用紙切れ状態であると判断する(S3)。そして、制御回路34は、ホストコンピューターHCに、連続用紙1の用紙切れを示す紙無しエラーを出力して(S4:紙無しエラー出力)、本動作を終了する。
【0035】
一方、ラベル検出センサー37の受光量がラベル判別用閾値以下である、またはマーク検出センサー38の受光量が連続用紙判別閾値を超えている場合(S2:No)、ラベル検出センサー37の受光量がラベル判別用閾値を超えているか否かを判定する(S5)。ラベル検出センサー37の受光量がラベル判別用閾値を超えている場合(S5:Yes)には、ラベル「無」が検出されるので、動作時点で検出位置に台紙3部分があるものと判断し、この情報を記憶する(S6)。また、ラベル検出センサー37の受光量がラベル判別用閾値以下である場合(S5:No)には、ラベル「有」が検出される(ラベル2が検出される)ので、動作時点で検出位置にラベル2部分があるものと判断し、この情報を記憶する(S7)。
【0036】
ラベル2または台紙3の判断(S6、S7)が終了したら、マーク検出センサー38の受光量がマーク判別用閾値以下であるか否かを判定する(S8)。マーク検出センサー38の受光量がマーク判別用閾値以下である場合(S8:Yes)には、ブラックマーク「有」が検出される(ブラックマーク4が検出される)ので、動作時点で連続用紙1がニアエンドであると判断し、この情報を記憶する(S9)。そして、制御回路34は、ホストコンピューターHCに、連続用紙1のニアエンドを示すニアエンド信号を出力する(S10:ニアエンド出力部)。一方、マーク検出センサー38の受光量がマーク判別用閾値を超えている場合(S8:No)には、動作時点でブラックマーク「無」が検出される(ブラックマーク4が検出されない)ので、動作時点で連続用紙1がニアエンドでないと判断し(S11)、本動作を終了する。
なお、上記説明においては、各検出光の受光量およびそれに対応する各閾値を用いて、各判別を行うと記載したが、各検出光の受光量および各閾値には、それから変換される値も含むものとして記載している。例えば、受光部42および44で受光した受光量は、電流値または電圧値に変換され、その電流値または電圧値が、それぞれに対応する閾値(電流値または電圧値)と比較され、各判別がなされる。
【0037】
以上のような構成によれば、マーク検出部(制御回路34およびマーク検出センサー38)に、2つの閾値を設定して、連続用紙1の有無も検出することによって、マーク検出部およびラベル検出部(制御回路34およびラベル検出センサー37)により、用紙搬送経路R上の検出位置におけるラベル2の有無、ブラックマーク4の有無および連続用紙1の有無を検出することができる。よって、簡単な構成でこれらを検出することができる。
【0038】
また、マーク検出部による連続用紙「無」が検出され、且つラベル検出部によるラベル「無」が検出された場合に、紙無しエラーを出力することによって、マーク検出部により、連続用紙1が無いものと誤検出した場合にも、ラベル2が有る状態において、誤って紙無しエラーを出力してしまうことがない。すなわち、用紙切れをより精度良く検出することができる。なお、マーク検出部だけの判別で、連続用紙1が無いものと誤検出する場合として、ブラックマーク4の形成状態により、このブラックマーク4で反射した検出光の受光量が連続用紙判別用閾値以下になる場合がある。例えば、図1に示したように、連続用紙1の裏面(ラベル2の貼着面とは反対側の面)には、ブラックマーク4が、ニアエンドの開始位置から連続用紙1の後端まで連続用紙1の長手方向に延在して付され、複数のラベル2に跨って形成される。すなわち、ブラックマーク4の形成領域に対応する連続用紙1は、台紙3のみの部分と台紙3およびラベル2の両方の部分があることになる。台紙3のみの部分のブラックマーク4と台紙3およびラベル2の両方の部分のブラックマーク4とでは、反射率が異なるため、台紙3およびラベル2の両方の部分のブラックマーク4からの反射した反射光の受光量を使って、各閾値を設定してしまうと、台紙3のみの部分のブラックマーク4から反射した反射光の受光量が、連続用紙判別用閾値以下になってしまう。その結果、誤検出する場合がある。
また、マーク検出部およびラベル検出部の少なくとも一方に、2つの閾値を設定して、連続用紙の有無を検出することによって、マーク検出部およびラベル検出部により、簡単な構成で連続用紙のニアエンドを精度良く検出することができる。
【0039】
さらに、マーク検出に、反射型センサー(反射型フォトセンサー)を用い、この反射光の光量を検出することにより、ブラックマーク4の有無を精度良く検出することができる。
【0040】
またさらに、ラベル検出に、透過型センサー(透過型フォトセンサー)を用い、この透過光の光量を検出することにより、ラベル2の有無を精度良く検出することができる。
【0041】
なお、本実施形態においては、ラベル検出部に、透過型センサーを用いたが、ラベル検出部に、反射型センサーを用いても良い。かかる場合、ラベル判別用閾値は、ラベル2を反射した際の反射光の受光量と、台紙3を反射した際の反射光の受光量とを考慮し、これらの境界となる値に設定する。
【0042】
また、本実施形態においては、想定される受光量が、連続用紙1上で反射しなかった際の受光量より、ブラックマーク4を反射した反射光の受光量のほうが高くなっており、連続用紙判別用閾値より、マーク判別用閾値を高くする構成であったが、ブラックマーク4の反射率や、連続用紙1上で反射しなかった際の受光量の変化によって、想定される受光量が、連続用紙1上で反射しなかった際の受光量より、ブラックマーク4を反射した反射光の受光量のほうが低くなることも考えられる。かかる場合、連続用紙判別用閾値より、マーク判別用閾値を低くする構成であっても良い。
【0043】
また、本実施形態においては、マーク検出部において、2つの閾値を設定し、ブラックマーク4の有無の検出と、連続用紙1の有無の検出とを行う構成であったが、ラベル検出部において、2つの閾値(ラベル判別用閾値および連続用紙判別用閾値)を設定し、ラベル2の有無の検出と、連続用紙1の有無の検出とを行う構成であっても良い。すなわち、連続用紙1の有無の検出を、ラベル検出部側で行っても良い。または、両検出部で連続用紙1の有無の検出を行い、検出結果を確認する構成であっても良い。なお、ラベル検出部において、2つの閾値を設定する場合、ラベル判別用閾値および連続用紙判別用閾値は、ラベル2および台紙3を透過した際の透過光の受光量と、台紙3のみを透過した際の透過光の受光量と、連続用紙1が無く、連続用紙1を透過しなかった場合の受光量と、を考慮し、これらの境界となる値に設定する。
【0044】
さらに、本実施形態においては、ニアエンド出力部として、ニアエンド信号を外部機器(ホストコンピューターHC)に出力するものを用いたが、ニアエンドであることをユーザーに報知するために、印刷装置11が、ニアエンドを示す音声や画像を出力する構成であっても良い。
【0045】
なお、本実施形態においては、インクジェット方式の印刷部14を備えたインクジェット印刷装置に本発明を適用したが、これに限るものではなく、例えば、サーマル方式の印刷部を備えたサーマル印刷装置に本発明を適用しても良いし、ドットインパクト方式の印刷部を備えたドットインパクト印刷装置に本発明を適用しても良い。
【符号の説明】
【0046】
1:連続用紙、 2:ラベル、 3:台紙、 4:ブラックマーク、 13:用紙搬送部、 14:印刷部、 34:制御回路、 37:ラベル検出センサー、 38:マーク検出センサー、 R:用紙搬送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の台紙に複数のラベルが貼着されて構成されると共に検出マークが付された連続用紙を、用紙搬送経路に沿って搬送する用紙搬送部と、
前記各ラベルに印刷処理を施す印刷部と、
前記用紙搬送経路に臨んで前記検出マークを検出するマーク検出センサーを含み、その検出光の受光量に応じて前記連続用紙上の前記検出マークの有無を判断するマーク判別用閾値を有するマーク検出部と、
前記用紙搬送経路に臨んで前記ラベルを検出するラベル検出センサーを含み、その検出光の受光量に応じて前記連続用紙上の前記ラベルの有無を判断するラベル判別用閾値を有するラベル検出部と、を備え、
前記マーク検出部および前記ラベル検出部の少なくとも一方は、更に前記連続用紙の有無を判断する連続用紙判別用閾値を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記連続用紙のニアエンドを示すニアエンド信号を出力するニアエンド出力部を、更に備え、
前記検出マークは、前記連続用紙上の前記ニアエンドの位置を示し、
前記ニアエンド出力部は、前記マーク検出部により前記検出マークが有と判断された場合、前記ニアエンド信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記連続用紙の用紙切れを示す紙無しエラーを出力する紙無し出力部を、更に備え、
前記紙無し出力部は、前記マーク検出部により前記連続用紙が無と判断され、且つ前記ラベル検出部により前記ラベルが無と判断された場合、前記紙無しエラーを出力することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記マーク検出センサーは、前記検出光として反射光を受光する反射型センサーであることを特徴する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記ラベル検出センサーは、前記検出光として透過光を受光する透過型センサー、または前記検出光として反射光を受光する反射型センサーであることを特徴する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記マーク検出センサーは、前記連続用紙の前記ラベルが貼着される面とは反対の面に、複数の前記ラベルに跨って形成される前記検出マークを検出することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
長尺状の台紙に複数のラベルが貼着されて構成されると共に検出マークが付された連続用紙を、用紙搬送経路に沿って搬送し、前記各ラベルに印刷処理を施す印刷装置の制御方法であって、
前記用紙搬送経路に臨んだマーク検出センサーを含むと共にマーク判別用閾値を有するマーク検出部により、前記マーク検出センサーの検出光の受光量に応じて前記検出マークの有無を判断するステップと、
前記用紙搬送経路に臨んだラベル検出センサーを含むと共にラベル判別用閾値を有するラベル検出部により、前記ラベル検出センサーの検出光の受光量に応じて前記ラベルの有無を判断するステップと、
更に連続用紙判別用閾値を有する前記マーク検出部および前記ラベル検出部の少なくとも一方により、前記連続用紙の有無を判断するステップと、を実行することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項8】
前記マーク検出部により前記検出マークが有と判断された場合、前記ニアエンド信号を出力するステップをさらに実行することを特徴とする請求項7に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項9】
前記マーク検出部により前記連続用紙が無と判断され、且つ前記ラベル検出部により前記ラベルが無と判断された場合、前記紙無しエラーを出力するステップをさらに実行することを特徴とする請求項7または8に記載の印刷装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−63834(P2013−63834A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204296(P2011−204296)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】