説明

印刷装置および印刷方法

【課題】ステンシルの位置ずれを防止し、印刷精度を向上できる印刷装置を提供する。
【解決手段】本発明は、スキージ61を、基板W上に配置されたステンシル51の表面に沿って摺動させることによりステンシル上のペーストを拡張して基板に塗布するようにした印刷装置を対象とする。スキージ61のステンシル51に対する摺動領域の外側に、ステンシル51の下面側を吸着して保持する外側吸着手段が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、クリーム半田などのペーストを基板に対して印刷するようにした印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板にスクリーン印刷用のステンシル(マスク)を重装し、スキージをステンシルの表面に沿って摺動させて、ステンシル上に供給したクリーム半田などのペーストを拡張させることにより、ステンシルに形成された開口部(パターン孔)を介して基板の所定位置にクリーム半田を印刷(塗布)するようにしたスクリーン印刷装置は周知である。
【0003】
このような印刷装置においては、スキージをステンシル上に摺動させる際に、その摺動に伴う摩擦抵抗によってステンシルが位置ずれすることがある。
【0004】
そこで特許文献1に示すスクリーン印刷装置においては、基板を両側から保持するクランプの表面に吸引孔を設け、印刷時に吸引孔を負圧に設定し、ステンシルをクランプに吸着して固定し、ステンシルの位置ずれを防止するようにしている。
【特許文献1】特開平5−185580号(第4,5欄、図1,2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示す印刷装置では、ステンシルの吸着部が負圧により変形して窪みが形成されるため、この窪み部の上をスキージが通過する際に、スキージの表面側(掻き取り面側)に掻き寄せられるクリーム半田の一部が、窪み部を介してスキージの背面側に回り込み、その背面側のクリーム半田を引きずりながら、スキージがステンシル上を移動するようになる。このようにクリーム半田がスキージに引きずられるように移動すると、クリーム半田がステンシル上に糸状に付着して、クリーム半田の過不足の要因となり、印刷精度が低下するという問題が発生する。
【0006】
一方、上記特許文献1において仮に、吸引力を小さくした場合、ステンシルに負圧による窪みが形成されず、たとえ吸着部をスキージが通過しようとも、クリーム半田がスキージ背面側に回り込むのを防止できる。
【0007】
しかしながら、吸引力を小さくすると、ステンシルに対する保持力が低下し、スキージをステンシル上に摺動させた際に、その摺動抵抗によってステンシルが位置ずれして、印刷不良が発生するという当初の問題を解決することができない。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、ステンシルの位置ずれを防止しつつ、印刷精度を向上させることができる印刷装置および印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は下記の手段を提供する。
【0010】
[1] スキージを、基板上に配置されたステンシルの表面に沿って摺動させることによりステンシル上のペーストを拡張して基板に塗布するようにした印刷装置であって、
前記スキージのステンシルに対する摺動領域の外側に、前記ステンシルの下面側を吸着して保持する外側吸着手段が設けられたことを特徴とする印刷装置。
【0011】
[2] スキージ摺動領域の外側に吸着ブロックが配置されるとともに、その吸着ブロックの上面に前記外側吸着手段が設けられる前項1に記載の印刷装置。
【0012】
[3] 基板を両側から挟み込んで保持する一対のクランププレートが設けられ、
前記クランププレートの上面に、前記ステンシルの下面側を吸着して保持するクランプ側吸着手段が設けられる前項1または2に記載の印刷装置。
【0013】
[4] 基板上に配置されるステンシルと、
前記ステンシルの表面に沿って摺動可能なスキージと、
前記スキージのステンシルに対する摺動領域よりも外側に配置された外側吸着手段と、を準備しておき、
前記ステンシルの下面側を前記外側吸着手段により吸着して保持した状態で、前記スキージをステンシルの表面に沿って摺動させることによりステンシル上のペーストを拡張して基板に塗布するようにしたことを特徴する印刷方法。
【発明の効果】
【0014】
上記発明[1]にかかる印刷装置によると、スキージ摺動領域の外側に外側吸着手段を設けているため、外側吸着手段による吸着部をスキージが通過することがなく、その通過による不具合を確実に防止できる。従ってステンシルを外側吸着手段により十分な吸着力で保持することができ、ステンシルの位置ずれを防止できるとともに、印刷精度を向上させることができる。
【0015】
上記発明[2]にかかる印刷装置によると、吸着ブロックよって、基板周辺の機構を保護することができる。
【0016】
上記発明[3]にかかる印刷装置によると、クランププレートにクランプ側吸着手段を設けるものであるため、クランプ側吸着手段と、外側吸着手段とによって、ステンシルを広範囲にわたって吸着でき、ステンシルをより安定した状態に保持することができ、印刷精度を一層向上させることができる。
【0017】
上記発明[4]によると、上記と同様に同様の効果を奏する印刷方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態にかかるスクリーン印刷装置の側面図、図2はその装置の正面図、図3はその装置の平面図である。これらの図に示すように、このスクリーン印刷装置は、基台2上に設けられた基板支持ユニット10と、基板支持ユニット10を挟んでX軸方向(基板搬送方向)の両側に配置され、かつプリント基板Wを基板支持ユニット10に対し搬入および搬出するための上流側コンベア11および下流側コンベア12と、基板支持ユニット10の上方に設けられるステンシル保持ユニット5およびスキージユニット6と、ステンシル51を吸着するための一対の吸着ブロック7,7とを備え、後述するように基板支持ユニット10により支持された基板Wがステンシル保持ユニット5のステンシル51に重装され、その状態で、スキージユニット6のスキージ61によってスクリーン印刷が施されるようにしている。
【0019】
基板支持ユニット10は、プリント基板Wの搬入および搬出を行う基板一対のメインコンベア20,20と、プリント基板Wをバックアップピン29aを介して設置可能な基板設置テーブル29と、プリント基板Wをクランプするためのクランプユニット3と、基板Wをクランプする際に基板上面に当接して位置決めするための位置決めユニット4とを備えている。
【0020】
この基板支持ユニット10は、基台2上に移動機構によって、X軸方向、X軸方向に対し水平面内で直交するY軸方向、Z軸方向(上下方向)およびR軸方向(Z軸周りの回転方向)に移動可能に支持されている。
【0021】
すなわち基板支持ユニット10の移動機構において、基台2上には、Y軸方向に沿ってレール211が配設されるとともに、このレール211にY軸テーブル21がY軸方向にスライド自在に取り付けられる。さらにY軸テーブル21および基台2間にはボールねじ機構(図示省略)が設けられており、このボールねじ機構が駆動することによってY軸テーブル21が基台2に対しY軸方向に移動するよう構成されている。
【0022】
Y軸テーブル21の上にはX軸方向に沿ってレール221が配設されるとともに、このレール221にX軸テーブル22がX軸方向にスライド自在に取り付けられる。さらにX軸テーブル22およびY軸テーブル21間にはボールねじ機構(図示省略)が設けられており、このボールねじ機構が駆動することによってX軸テーブル22がY軸テーブル21に対しX軸方向に移動するよう構成されている。
【0023】
X軸テーブル22には回転ユニット231を介してZ軸方向の軸心周りに回転自在にR軸テーブル23が設けられている。このR軸テーブル23は、図示しない回転駆動手段によってZ軸周りに回転駆動するよう構成されている。
【0024】
R軸テーブル23の四隅にはスライド支柱241が上下方向(Z軸方向)に沿ってスライド自在に取り付けられるとともに、このスライド支柱241の上部には昇降テーブル24が取り付けられ、スライド支柱241のスライドによって昇降テーブル24がR軸テーブル23に対しZ軸方向に昇降自在に取り付けられる。さらに昇降テーブル24およびR軸テーブル23間にはボールねじ機構243が設けられており、このボールねじ機構243が駆動することによって昇降テーブル24がR軸テーブル23に対しZ軸方向(上下方向)に移動するよう構成されている。
【0025】
昇降テーブル24上にはX軸方向に沿って上記一対のメインコンベア20,20が設けられている。このメインコンベア20は、昇降テーブル24が降下した状態においては、上流側端部および下流側端部が上流側コンベア11の端部および下流側コンベア12の端部にそれぞれ対向して配置される。なおこの対向状態において、メインコンベア20と両側コンベア11,12との隙間は、コンベア間を基板Wが乗り継ぎ可能な間隔に設定されており、具体的には5mm程度と小さく設定されている。このため本実施形態において、メインコンベア20は、両側コンベア11,12との干渉を避けるために、降下状態においては、X軸およびR軸テーブル22,23の移動によるX軸およびR軸方向の移動が規制されるとともに、両側コンベア11,12に対する位置ずれを防止するために、Y軸およびR軸テーブル21,23の移動によるY軸およびR軸方向の移動が規制されている。つまり、メインコンベア20は、降下状態においては、X軸、Y軸およびR軸テーブル21〜23の移動による水平方向(X軸、Y軸およびR軸方向)の移動が規制されている。
【0026】
図1〜4に示すように、基板設置テーブル29は、一対のメインコンベア20,20間に対応して配置されている。この基板設置テーブル29は、スライド支柱291を介して昇降テーブル24に上下方向に昇降自在に設けられている。さらに基板設置テーブル29および昇降テーブル24間にはボールねじ機構(図示省略)が設けられており、このボールねじ機構が駆動することによって基板設置テーブル29が昇降テーブル24に対し上下方向に移動するよう構成されている。図4に示すようにこの基板設置テーブル29の上には、基板Wを支持するための複数のバックアップピン29aが設けられている。そしてメインコンベア20上に基板Wが配置された状態で、基板設置テーブル29が上昇していくと、メインコンベア20上の基板Wがバックアップピン29aに移載されて、基板設置テーブル29と共に上方へ移動される一方、バックアップピン29a上に基板Wが配置された状態で、基板設置テーブル29が下降していくと、バックアップピン29a上の基板Wがメインコンベア20上に移載されるよう構成されている。
【0027】
図1〜4に示すように、クランプユニット3は、昇降テーブル24に設けられている。このクランプユニット3は、一対のメインコンベア20,20の上方にX軸方向に沿って配置される一対の帯板状のクランププレート31a,31bを具備している。一方側クランププレート31aは、昇降テーブル24の構造材25(図4参照)上に固定されるとともに、他方側クランププレート31bは、昇降テーブル24の構造材25に対し、Y軸方向にスライド自在に取り付けられ、一方側クランププレート31aに対し接離自在に構成されている。
【0028】
さらに他方側クランプ31bには、ブラケット26bが設けられ、このブラケット26bと構造材25との間にはエアシリンダー33が設けられている。そしてこのシリンダー33が進出駆動(伸張駆動)することにより、他方側クランププレート31bがY軸方向に沿って一方側クランププレート31aに対し遠ざかる方向に移動して、クランププレート31a,31bが開くとともに、シリンダー33が後退駆動(短縮駆動)することにより、他方側クランプ31bがY軸方向に沿って一方側クランププレート31aに対し近づく方向に移動して、クランププレート31a,31bが閉じるよう構成されている。こうして一対のクランププレート31a,31bが開閉することにより、後述するように基板Wが保持/解除されるよう構成されている。
【0029】
図3,4に示すように両クランププレート31a,31bの上面には、複数の吸引孔35が設けられている。各吸引孔35は、図示しない吸引手段によって負圧に設定されるよう構成されている。そして後述するようにクランププレート31a,31b上にステンシル51が重装された状態において、各吸引孔35が負圧に設定されることにより、ステンシル51がクランププレート31a,31bの上面に吸着保持されるよう構成されている。ここで本実施形態においては、吸引孔35によってクランプ側吸着手段が構成されている。
【0030】
図3,4に示すように位置決めユニット4は、昇降テーブル24に設けられる。この位置決めユニット4は、両クランププレート31a,31bにそれぞれ対応して配置される一対の帯板状の位置決めプレート41a,41bを具備している。一方側位置決めプレート41aは、構造材25に平行リンク機構42を介して設けられるとともに、他方側位置決めプレート41bは、上記ブラケット26bに平行リンク機構42を介して設けられている。そして、平行リンク機構42,42の回転を伴って、両位置決めプレート41a,41bは、水平姿勢を保ったまま、図5(a)に示すように一対のクランププレート31a,31bの両側に配置される退避位置と、図5(b)に示すように一対のクランププレート31a,31bの上側に当接される位置決め位置との間で変位自在に構成される。さらに両位置決めプレート41a,41bは、退避位置においてはその上面が一対のクランププレート31a,31bの上面に対し同一水平面内に配置されるとともに、位置決め位置においては下端面の一部が一対のクランププレート31a,31bよりもY軸方向内側に突出するように配置される。
【0031】
また昇降テーブル24およびブラケット26bには、両平行リンク機構42を駆動するためのシリンダー43が設けられており、シリンダー43が進出駆動(伸長駆動)することにより、一対の位置決めプレート41a,41bが内側に進出して位置決め位置に移動されるとともに、後退駆動(短縮駆動)することにより、一対の位置決めプレート41a,41bが開放されて退避位置に移動されるよう構成されている。
【0032】
図3,4に示すように昇降テーブル24上には、外側吸着手段としての一対の吸着ブロック7,7が設けられている。この吸着ブロック7,7は、退避状態における一対の位置決めプレート41a,41bのさらに外側に配置されて、昇降テーブル24に固定されている。なお後に詳述するが、吸着ブロック7,7は、スキージ61のステンシル51に対する摺動領域の外側に配置されている。
【0033】
また両吸着ブロック7,7の上面は共に、クランププレート41a,41bの上面および退避状態の位置決めプレート41a,41bの上面に対し同一平面内に配置されるように設定されている。
【0034】
吸着ブロック7,7の上面には、複数の吸引孔75が設けられるとともに、下部外面には、吸引手段連結口76が設けられている。さらに吸着ブロック7,7内には、吸引孔75および吸引手段連結口76間を連通する吸引経路77が設けられている。そして吸引手段連結口76には、図示しない吸引手段が連結されて、その吸引手段によって、吸引孔75が、吸引手段連結口76および吸引経路77を介して負圧に設定されるよう構成されている。そして後述するように、吸着ブロック7,7上にステンシル51が重装された状態において、各吸引孔75が負圧に設定されることにより、ステンシル51が吸着ブロック7,7の上面に吸着保持されるよう構成されている。
【0035】
図1,2に示すように、基板支持ユニット10の上方に設けられるステンシル保持ユニット5は、半田塗布部分に開口部(パターン孔)を有するステンシル51を水平配置に張り渡した状態に保持できるよう構成されている。
【0036】
ステンシル保持ユニット5の上側に設けられるスキージユニット6は、Y軸方向に沿って移動自在なスキージホルダー62を有し、このスキージホルダー62に一対のスキージ61,61がそれぞれ昇降自在に設けられている。そして一方のスキージ61を降下させた状態でY軸方向一方側に移動させることにより、ステンシル51上でクリーム半田SをY軸方向一方側に向けてローリング(混練)させつつ拡張できるとともに、他方のスキージ61を降下させた状態でY軸方向他方側に移動させることにより、ステンシル51上でクリーム半田SをY軸方向他方側に向けてローリングさせつつ拡張できるよう構成されている。
【0037】
次に上記構成のスクリーン印刷装置の動作について説明する。なお初期状態は、昇降テーブル24および基板設置テーブル29はそれぞれ降下状態にあり、メインコンベア20は、上流側コンベア11および下流側コンベア12に対応して配置されている。さらにクランププレート31a,31bは開放状態にあり、位置決めプレート41a,41bは、退避状態にある。
【0038】
この状態において、上流側コンベア11からプリント基板Wがメインコンベア20に搬入され、図6(a)に示すようにその基板Wがメインコンベア20の所定位置まで搬送される。
【0039】
その後、同図(b)に示すように位置決めユニット4の位置決めプレート41a,41bが内側に移動して、位置決め位置に配置されてから、同図(c)に示すように基板設置テーブル29が上昇していく。これにより基板Wがメインコンベア20から基板設置テーブル29のバックアップピン29a上に移載される。さらに基板設置テーブル29が上昇していき、基板Wの上面が位置決めプレート41a,41bの下面に当接して、クランププレート31a,31bの上面に対し同一平面内に配置されたところで、同図(d)に示すようにクランププレート31a,31bが閉じられて、基板Wがクランププレート31a,31bにより挟み込まれて保持される。
【0040】
続いて図7(a)に示すように、位置決めプレート41a,41bが外側に移動して退避位置に配置される。このとき基板Wの上面、クランププレート31a,31bの上面、位置決めプレート41a,41bの上面、および吸着ブロック7,7の上面は全て同一平面内に配置されている。
【0041】
なお本実施形態においては、降下状態の基板支持ユニット10とステンシル保持ユニット5との間には図1に示すように、水平方向に移動自在なカメラ81と、Y軸方向に移動自在なクリーナー82が設けられている。そしてカメラ81によって、基板Wの位置や種類(品番)およびステンシル51の位置や種類などが識別されて、その識別情報に基づいて、後述するように個体差などに起因する位置の微調整(補正)などが行われるよう構成されている。さらにクリーナー82によって、所定枚数の基板Wを処理する毎などにステンシル51がクリーニングされるよう構成されている。
【0042】
次に同図(b)に示すように昇降テーブル24が少量上昇して、メインコンベア20が両側コンベア11,12に対し上方に抜け出したところで、必要に応じて、Y軸テーブル21、X軸テーブル22およびR軸テーブル23が、Y軸、X軸およびR軸方向に移動し、基板Wのステンシル51に対する水平方向の位置が調整される。
【0043】
こうして位置が調整されると、同図(c)に示すように昇降テーブル24が上昇し、基板W、クランププレート31a,31b、位置決めプレート41a,41b、および吸着ブロック7,7の各上面が、ステンシル保持ユニット5のステンシル51の下面に重ね合わされるように重装される。続いてクランププレート31a,31bの吸引孔35および吸着ブロック7,7の吸引孔45,75が負圧に設定されて、クランププレート31a,31bおよび吸着ブロック7,7の各上面にステンシル51が吸着固定される。
【0044】
その後、スキージユニット6の一方側スキージ61が降下して、ステンシル51上に沿ってY軸方向に移動することにより、ステンシル51上に供給されたペーストとしてのクリーム半田Sが拡張されて、クリーム半田Sが、ステンシル51のパターン孔を介して基板Wの所定位置に印刷(塗布)される。
【0045】
ここで本実施形態において半田塗布を行う際には、たとえば一方側スキージ61は、一方側位置決めプレート41aおよび一方側クランププレート31aに対応するステンシル51上の領域(一方側助走領域)を助走した後、基板Wの上方に対応するステンシル51上の領域(印刷領域)を摺動する。このため基板Wにクリーム半田Sを塗布する前に、助走領域においてクリーム半田Sをローリング(混練)できて粘度を低下させることができるため、クリーム半田Sをステンシル51のパターン孔に確実に充填できて、基板Wに精度良く塗布できる。
【0046】
特に実施形態においては、クランププレート31aの上方領域に加えて、位置決めプレート41aの上方領域も、助走領域として用いるものであるため、助走領域を十分に長く確保でき、クリーム半田Sを事前に十分に混練でき、より一層精度良く半田Sを基板Wに塗布することができる。
【0047】
なお他方側スキージ61によりクリーム半田Sを掻き取る場合においても、他方側スキージ61は、他方側位置決めプレート41b,他方側クランププレート31bに対応する領域(他方側助走領域)を助走した後、基板W上に対応する領域(印刷領域)を摺動するため、上記と同様に、クリーム半田Sを十分混練できて精度良く印刷することができる。
【0048】
また本実施形態においては、クランププレート31a,31bの吸引孔35と、吸着ブロック7,7の吸引孔75との双方でステンシル51を吸着保持しているため、十分な吸着力を得ることができ、ステンシル51を確実に固定することができる。このためスキージ61がステンシル51上を摺動する際に、その摺動抵抗によってステンシル51が位置ずれするのを確実に防止でき、位置精度良く印刷することができる。
【0049】
こうして基板Wにクリーム半田Sが塗布された後、昇降テーブル24が少量降下して基板Wがステンシル51から離脱(版離れ)する。その後必要に応じて、Y軸テーブル21、X軸テーブル22およびR軸テーブル23が、XYR軸方向に移動し、基板支持ユニット10の水平位置が元の位置に戻される。
【0050】
続いて昇降テーブル24が降下すると同時に、クランププレート31a,31bが開放されて基板Wへの保持が解除される。そして昇降テーブル24が初期の降下位置まで降下しつつ、基板設置テーブル29が降下して、基板設置テーブル29のバックアップピン29a上から基板Wがメインコンベア20に移載される。
【0051】
次に、メインコンベア20によって基板Wが下流側コンベア12に搬送されて、下流側コンベア12を介して次工程に送り出される。
【0052】
こうして基板Wが下流側コンベア12に搬出される一方、次の基板Wが上流側コンベア11によってメインコンベア20に搬送されて、上記と同様の印刷処理が行われる。以上の動作が繰り返されて順次、印刷処理が行われる。
【0053】
一方、本実施形態においては、印刷処理される基板W毎に、一方側および他方側スキージ61,61を交互に用いるものである。すなわち一方側スキージ61を一方側助走領域から印刷領域に向けて摺動させて基板Wに半田Sを塗布する一方向移動の印刷処理と、他方側スキージ61を、他方側位置決めプレート41bおよび他方側クランププレート31bに対応するステンシル51上の領域(他方側助走領域)から印刷領域に向けて摺動させて基板Wに半田Sを塗布する他方向移動の印刷処理とが、処理される基板W毎に交互に行われるものである。
【0054】
なお本実施形態においてスキージ摺動領域は、印刷領域および助走領域によって構成されている。
【0055】
以上のように本実施形態の印刷装置によれば、スキージ摺動領域の外側に、吸着ブロック7,7を配置して、その吸着ブロック7,7の吸引孔75によってステンシル51の両側部を吸着保持するものであるため、その吸引孔75の負圧によって仮に、ステンシル51が変形して窪みが形成されようとも、その窪み部をスキージ61,61が通過することはない。従ってスキージ61,61が窪み部を通過することによってクリーム半田Sがスキージ背面側に回り込んでステンシル上に糸状に付着するなどの不具合を確実に防止でき、高い印刷精度を確保でき、品質を向上させることができる。
【0056】
さらに本実施形態では、クランププレート31a,31bにも吸引孔35を設けて、その吸引孔35によってもステンシル51を吸着保持するものであるため、クランププレート31a,31bと、吸着ブロック7,7とによって、ステンシル51を広範囲にわたって吸着保持できる。従ってステンシル51をより安定した状態に保持することができ、スキージ61の摺動抵抗によるステンシル51の位置ずれなどの不具合を、より確実に防止でき、印刷精度をより一層向上させることができる。
【0057】
また既述したように本実施形態では、スキージ摺動領域外側に配置された吸着ブロック7,7の吸着力を十分に大きく設定することができるため、クランププレート31a,31bの吸引孔35による吸引力を必要以上に大きく設定する必要がない。このためこの吸引孔35によるステンシル51の吸着部が変形して窪みが形成されるのを防止でき、吸着部を含めてスキージ摺動領域全域を平坦面に調整することができる。従ってスキージ61が窪み部を通過することによる不具合、たとえばクリーム半田Sが窪み部を介してスキージ背面側に回り込んで引き連れられるような不具合を確実に防止でき、高い印刷精度を確実に維持することができる。
【0058】
さらにクランププレート側吸引孔35の負圧を小さく設定できるため、その負圧の影響が、基板Wとステンシル51との間に及ぶことがなく、その負圧の影響によってステンシル51と基板Wとの隙間にクリーム半田Sがにじみ出すような不具合も確実に防止することができ、なお一層印刷精度を向上できて、より高い品質を得ることができる。
【0059】
また本実施形態では、基板支持ユニット10の両側に立ち上がり状に吸着ブロック7,7が配置されるため、この吸着ブロック7,7によって、クランプユニット3、位置決めユニット4、基板設置テーブル29等の基板支持ユニット10や、基板支持ユニット10の移動機構を保護することができ、ひいては印刷装置自体の耐久性を向上させることができる。
【0060】
また本実施形態においては、一対の吸着ブロック7,7を昇降テーブル24に固定しているが、それだけに限られず、吸着ブロック7,7をY軸方向に移動自在に取り付けるようにしても良い。すなわち基板支持ユニット10の一対のメインコンベア20,20は、その一方がY軸方向に移動自在な可動側コンベアとして構成されており、可動側コンベア20の移動により、基板Wのサイズに合わせて一対のコンベア20,20の間隔を調整できるように構成されている。そこで本実施形態において、この可動側コンベア20に一方の吸着ブロック7を固定することにより、一方の吸着ブロック7を可動側コンベア10に連動して移動できるよう構成した場合、異なるサイズの基板Wを処理する際に、可動側コンベア20に連動して一方の吸着ブロック7が移動することにより、基板サイズにかかわらず、吸着ブロック7の基板Wからの距離を一定に保つことができる。このため、吸着ブロック7と基板Wとの位置関係を常に一定に設定できて、吸着位置が基板Wに対し遠過ぎたり、近過ぎたりすることがなく、ステンシル51をより一層安定した状態で吸着することができ、一段と印刷精度を向上させることができる。
【0061】
<第2実施形態>
図8,9はこの発明の第2実施形態にかかるスクリーン印刷装置の基板支持ユニット周辺を示す図である。両図に示すように、この第2実施形態の印刷装置において、位置決めユニット14は、基板支持ユニット10に装備されておらず、印刷位置の側方に配置されている。
【0062】
すなわち基板支持ユニット10は、位置決めユニットが設けられていない点を除いて、上記と同様に、クランプユニット3や、昇降テーブル24、基板設置テーブル29などが設けられ、この支持ユニット10が印刷装置の基台上に図示しない移動機構によってX軸、Y軸、Z軸およびR軸方向に移動自在に構成されている。
【0063】
一方、位置決めユニット14は、印刷位置に対しY軸方向に沿って側方に配置されている。この位置決めユニット14は、固定側位置決めプレート141aと、可動側位置決めプレート141bとを備え、両位置決めプレート141a,141bは、互いに同一の高さに設定されて、メインコンベア20およびクランププレート31a,31bに対し平行に配置されている。
【0064】
固定側位置決めプレート141aは印刷装置の基台に固定されるとともに、さらに可動側位置決めプレート141bは、基台にY軸方向に沿って移動自在に支持されている。
【0065】
また基台上には、可動側位置決めプレート141bに対応して、Y軸方向に沿ってボールねじ142が設けられ、ボールねじ駆動手段143の駆動によって、ボールねじ142が軸心周りに回転するよう構成されている。さらにボールねじ142にはY軸方向移動体144が螺着されており、この移動体144に可動側位置決めプレート141bが固定されている。そしてボールねじ142の回転駆動によって、Y軸方向移動体144と共に可動側位置決めプレート141bが固定側位置決めプレート141に対し接離する方向(Y軸方向)に移動するよう構成されている。
【0066】
また吸着ブロック7,7は、クランププレート31a,31bの外側に配置されるようにして、昇降テーブル22に固定されている。なおこの吸着ブロック7,7は、上記第1実施形態と同様に、スキージ61,61のステンシル51に対する摺動領域の外側に配置されている。
【0067】
本第2実施形態の印刷装置において、その他の構成は、上記第1実施形態の印刷装置と実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一または相当符号を付して、重複説明は省略する。
【0068】
この第2実施形態の印刷装置においては、メインコンベア20に基板Wが搬入されると、基板支持ユニット10がY軸方向に移動して、位置決めユニット14の下方に配置される。続いて、基板支持ユニット10が上昇していき、クランププレート31a,31bの上面が位置決めプレート141a,141bの下面に当接したところで停止する。
【0069】
次に基板設置テーブル29が上昇していき、基板Wがメインコンベア20から基板設置テーブル29に移載される。さらに基板設置テーブル29が上昇していき、基板Wの上面が位置決めプレート141a,141bの下面に当接することにより、クランププレート31a、31bの上面に対し同一平面内に配置されたところで、クランププレート31a,31bが閉じられて、基板Wがクランププレート31a,31bにより挟み込まれて保持される。
【0070】
こうして基板Wがクランププレート31a,31bに保持された後、基板支持ユニット10が降下するとともに、Y軸方向に沿って移動して所定の印刷位置に移動する。
【0071】
続いて基板支持ユニット10が上昇して、上記第1実施形態と同様に、ステンシル51の下面に重装されるとともに、クランププレート31a,31bの吸引孔35および吸着ブロック7,7の吸引孔75が負圧に設定されて、ステンシル51が吸着保持される。
【0072】
その後は、上記第1実施形態と同様に、スキージ61,61によって、ステンシル51上における摺動領域、つまり両クランププレート31a,31b間に対応する領域をスキージ61,61が摺動することによって、クリーム半田Sが拡張されて基板Wに印刷される。
【0073】
この第2実施形態においても、上記と同様に、スキージ摺動領域の外側に、吸着ブロック7,7を配置して、その位置で吸引孔75を介してステンシル51を吸着保持するものであるため、吸引孔75に対応する領域をスキージ61,61が通過することがなく、その通過によるクリーム半田Sのスキージ背面側への回り込みなどの不具合を確実に防止でき、高い印刷精度を維持でき、品質を向上させることができる。
【0074】
さらに本第2実施形態においても、上記と同様、クランププレート31a,31bにも吸引孔35を設けて、クランププレート31a,31bおよび吸着ブロック7,7の双方の吸引孔35,75によって、ステンシル51を広範囲にわたって吸着保持できるため、ステンシル51をより安定した状態に保持することができる。
【0075】
また上記と同様、吸着ブロック7,7の吸引孔75による吸着力を十分大きく設定することができるため、クランププレート31a,31bの吸引孔35による吸引力を必要以上に大きく設定する必要がない。このためこの吸引孔35によるステンシル51の吸着部が変形して窪みが形成されるのを防止でき、窪み変形による不具合を確実に防止することができる。
【0076】
一方、印刷が完了した後は、基板支持ユニット10が少量降下して基板Wがステンシル51から版離れし、さらに基板支持ユニット10が降下すると同時に、クランププレート31a,31bが開放されて基板Wへの保持が解除される。そして基板支持ユニット10が降下しつつ、基板設置テーブル29が降下することによって、基板設置テーブル29から基板Wがメインコンベア20に移載されて、基板支持ユニット10および基板設置テーブル29がそれぞれ初期位置に戻る。
【0077】
続いて、メインコンベア20によって基板Wが搬出される一方、次の基板Wがメインコンベア20に搬入されて、上記と同様の印刷処理が行われる。こうして、基板が順次送り込まれて順次印刷処理される。
【0078】
この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に同様の作用効果を得ることができる上さらに、クランププレート31a,31bの外側に位置決めプレート41a,41bが配置されないため、吸着ブロック7,7をクランププレート31a,31bに対し間隔をあけずに近接状態に配置することができる。このため吸着ブロック7,7によって、ステンシル51における印刷領域の近傍位置を吸着できるため、より一層安定した状態でステンシル51を保持することができる。
【0079】
また本第2実施形態においても、上記したように、一対のメインコンベア20,20のうち可動側メインコンベア20に対応する一方の吸着ブロック7を、可動側コンベア20に連動して移動するように構成した場合、基板Wのサイズにかかわらず、基板Wをより一層安定した状態に吸着保持することができる。
【0080】
なお上記各実施形態においては、基板支持ユニット10を上昇させてユニット10上の基板Wをステンシル51に重装する印刷装置を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明は、ステンシルを降下させて、ステンシルを基板支持ユニット上の基板に重装するようにしたステンシル昇降タイプの印刷装置にも適用することができる。
【0081】
また上記実施形態においては、クランププレート31a,31bおよび吸着ブロック7,7に設けた吸引孔35,75を負圧に設定して、ステンシル51を吸着させるようにしているが、本発明において、吸着手段はそれだけに限られず、例えば電磁石を用いて吸着する等、他の吸着手段を用いるよういしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明の第1実施形態にかかる印刷装置の側面図である。
【図2】上記第1印刷装置を示す正面図である。
【図3】上記第1印刷装置を概略的に示す平面図である。
【図4】上記第1印刷装置の基板支持ユニット周辺を示す側面図である。
【図5】上記第1印刷装置の位置決めプレートのクランプに対する位置関係を示す斜視図であって、同図(a)は位置決めプレート退避位置の斜視図、同図(b)は位置決めプレート進出位置の斜視図である。
【図6】上記第1印刷装置の動作を説明するための側面図であって、同図(a)は基板搬入時の側面図、同図(b)は位置決めプレート進出時の側面図、同図(c)は基板上昇時の側面図、同図(d)は基板クランプ時の側面図である。
【図7】上記第1印刷装置の動作を説明するための側面図であって、同図(a)は位置決めプレート退避時の側面図、同図(b)は昇降テーブル上昇中の側面図、同図(c)は半田拡張時の側面図である。
【図8】この発明の第2実施形態にかかる印刷装置の基板支持ユニット周辺を示す斜視図である。
【図9】上記第2実施形態の印刷装置における基板支持ユニット周辺を示す側面図である。
【符号の説明】
【0083】
31a,31b クランププレート
35 吸引孔(クランプ側吸着手段)
7 吸着ブロック
75 吸引孔(外側吸着手段)
51 ステンシル
61 スキージ
S クリーム半田(ペースト)
W プリント基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキージを、基板上に配置されたステンシルの表面に沿って摺動させることによりステンシル上のペーストを拡張して基板に塗布するようにした印刷装置であって、
前記スキージのステンシルに対する摺動領域の外側に、前記ステンシルの下面側を吸着して保持する外側吸着手段が設けられたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
スキージ摺動領域の外側に吸着ブロックが配置されるとともに、その吸着ブロックの上面に前記外側吸着手段が設けられる請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
基板を両側から挟み込んで保持する一対のクランププレートが設けられ、
前記クランププレートの上面に、前記ステンシルの下面側を吸着して保持するクランプ側吸着手段が設けられる請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
基板上に配置されるステンシルと、
前記ステンシルの表面に沿って摺動可能なスキージと、
前記スキージのステンシルに対する摺動領域よりも外側に配置された外側吸着手段と、を準備しておき、
前記ステンシルの下面側を前記外側吸着手段により吸着して保持した状態で、前記スキージをステンシルの表面に沿って摺動させることによりステンシル上のペーストを拡張して基板に塗布するようにしたことを特徴する印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−6719(P2008−6719A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−179859(P2006−179859)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】