説明

印刷装置および印刷装置の制御方法

【課題】上位装置と印刷装置との間のデータ転送の高速化を図るとともに、データの転送を制御するデータ転送制御部が故障した場合でも、稼動を継続する。
【解決手段】印刷装置は、上位装置から転送される画像データを、対応する記憶部に格納する複数のデータ転送制御部と、格納された画像データのそれぞれを複数のデータ転送制御部のそれぞれに対応して設けられ、画像データを印刷する複数の出力部のうち指示された出力部に出力する出力制御部と、データ転送制御部に異常が生じた場合に、異常が生じたデータ転送制御部が転送すべき第1画像データの転送指示を、異常が生じておらず、かつ、対応する記憶部の空き容量が第1画像データのサイズより大きいデータ転送制御部に送出し、異常が生じたデータ転送制御部に対応する出力部に対して第1画像データを出力することを出力制御部に指示する印刷制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上位装置から転送された印刷画像データに従い印刷を行う印刷装置および印刷装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成システムとして、画像形成装置と、この画像形成装置に印刷データを渡し印刷指示をする上位装置であるDFE(Digital Front End Processor)サーバとから構成されているシステムが知られている。描画機能を備えたDFEサーバは、例えば、上位装置から送信されたページ記述言語PDLで記述された印刷データからラスタイメージを生成するRIP(Raster Image Process)処理を実行し、生成したラスタイメージを画像形成装置に転送するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、上記画像形成装置とは異なり、プリンタコントローラ、プリンタエンジン、および、プリンタコントローラとプリンタエンジンとの間を接続するデータ線を備えるプリンタ装置が知られている(例えば、特許文献2)。このプリンタ装置では、データ転送を高速化するために、各種制御情報を送受信する制御線と印刷データを送受信するデータ線とを分離し、データ転送の高速化を図っている。
【0004】
特許文献2には、プリンタ装置全体の印刷速度を向上する目的で、プリンタコントローラとプリンタエンジンとの間の制御線およびデータ線を分離して設ける構成が開示されている。さらには、プリンタコントローラとプリンタエンジンとの間のデータ線を色毎に分離することで、色成分の印刷データを並列に転送することが可能となり、データ転送の高速化が図られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような画像形成システムに、特許文献2のように制御線およびデータ線を分離し、さらにデータ線を色ごとに分離するという構成を採用すれば、DFEサーバと画像形成装置との間のデータ転送の高速化は可能と考えられる。
【0006】
しかしながら、このような構成の画像形成システムでは、データの転送を制御する制御部(データ転送制御部)に障害が発生した場合には、データ転送制御部の下流の出力部(例えば、ヘッド)にデータを転送することができなくなる。このため、画像形成システムの稼動を中断して、データ転送制御部の修正(ハード的な問題であればデータ転送制御部の交換、ソフト的な問題であればソフトウェアの再インストール等)を行う必要が生じる。すなわち、データ転送制御部の障害に対して、画像形成システムの稼動を中断せずに効果的に対応する方法はないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、上位装置と印刷装置との間のデータ転送の高速化を図るとともに、データの転送を制御するデータ転送制御部が故障した場合でも、稼動を継続することができる印刷装置および印刷装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる印刷装置は、複数の記憶部のそれぞれに対応して設けられ、上位装置から転送される画像データを、対応する前記記憶部に格納する複数のデータ転送制御部と、複数の前記記憶部に格納された前記画像データのそれぞれを、複数の前記データ転送制御部のそれぞれに対応して設けられ、前記画像データを印刷する複数の出力部のうち指示された前記出力部に出力する出力制御部と、いずれかの前記データ転送制御部に異常が生じた場合に、異常が生じた前記データ転送制御部が転送すべき第1画像データの転送指示を、異常が生じておらず、かつ、対応する前記記憶部の空き容量が前記第1画像データのサイズより大きい前記データ転送制御部に送出し、異常が生じた前記データ転送制御部に対応する前記出力部に対して前記第1画像データを出力することを前記出力制御部に指示する印刷制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかる印刷装置の制御方法は、複数のデータ転送制御部が、複数の記憶部のそれぞれに対応して設けられ、上位装置から転送される画像データを、対応する前記記憶部に格納する複数のデータ転送制御ステップと、複数の前記記憶部に格納された前記画像データのそれぞれを、複数の前記データ転送制御部のそれぞれに対応して設けられ、前記画像データを印刷する複数の出力部のうち指示された前記出力部に出力する出力制御ステップと、いずれかの前記データ転送制御部に異常が生じた場合に、異常が生じた前記データ転送制御部が転送すべき第1画像データの転送指示を、異常が生じておらず、かつ、対応する前記記憶部の空き容量が前記第1画像データのサイズより大きい前記データ転送制御部に送出し、異常が生じた前記データ転送制御部に対応する前記出力部に対して前記第1画像データを出力することを前記出力制御部に指示する印刷制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上位装置と印刷装置との間のデータ転送の高速化を図るとともに、データの転送を制御するデータ転送制御部が故障した場合でも、稼動を継続することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施形態に適用可能な印刷システムの一例の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、上位装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、上位装置の機能を示す一例の機能ブロック図である。
【図4】図4は、プリンタ装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、プリンタコントローラの一例の構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、データ転送制御部の一例の構成を概略的に示すブロック図である。
【図7】図7は、データ転送制御部の一例の構成をより詳細に示すブロック図である。
【図8】図8は、画像出力部の一例の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、本実施形態に適用可能な用紙の搬送系を含めたプリンタ装置の一例の構造を概略的に示す略線図である。
【図10】図10は、上位装置とプリンタ装置のプリンタコントローラとの間で送受信される制御情報の一例を示す略線図である。
【図11】図11は、データ転送制御部が正常である場合のメモリの管理方法を示す図である。
【図12】図12は、本実施形態に適用される印刷管理テーブルの一例を示す図である。
【図13】図13は、メモリの状態の一例を示す図である。
【図14】図14は、空き容量の算出方法を説明するための図である。
【図15】図15は、Kのデータ転送制御部に異常が発生した場合のメモリの管理方法を示す図である。
【図16】図16は、Kのデータ転送制御部に異常が発生した場合のメモリの管理方法を示す図である。
【図17】図17は、Kのデータ転送制御部に異常が発生した場合のメモリの管理方法を示す図である。
【図18】図18は、Kのデータ転送制御部に異常が発生した場合のメモリの管理方法を示す図である。
【図19】図19は、転送先決定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図20】図20は、更新処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図21】図21は、取得処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図22】図22は、格納処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【図23】図23は、本実施形態による印刷処理の一例を示すシーケンス図である。
【図24】図24は、本実施形態による印刷処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る印刷装置および印刷装置の制御方法の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
本実施形態の印刷装置は、上位装置から画像データを転送する複数のデータ転送制御部を備えることにより、上位装置と印刷装置との間のデータ転送を高速化する。さらに、複数のデータ転送制御部のいずれかに異常が発生したときに、異常が発生していない他のデータ転送制御部により画像データの転送を代替する。これにより、データの転送を制御するデータ転送制御部が故障した場合でも、稼動を継続できる。
【0014】
先ず、理解を容易とするために、各実施形態による印刷システムが適用されるプロダクションプリンティングについて、概略的に説明する。プロダクションプリンティングでは、短時間に大量の印刷を行うことを基本的な考え方としている。そのために、プロダクションプリンティングでは、印刷の高速化を図ると共に、ジョブ管理や印刷データの管理などを効率的に行うために、印刷データの作成から印刷物の分配までの管理を行うワークフローのシステムを構築する。
【0015】
各実施形態による印刷システムは、プロダクションプリンティングのワークフローにおける、印刷を実行する部分に関わるもので、RIP(Raster Image Processor)処理と、RIP処理により得られたビットマップデータの印刷とを別の装置で行う。RIP処理は、印刷処理の中でも最も処理時間を要し、RIP処理を行う装置と、印刷処理を行う装置とを分離することで、印刷の高速化が可能となる。
【0016】
(各実施形態に適用可能な印刷システムの概要)
図1は、本実施形態に適用可能な印刷システムの一例の構成を示す。この印刷システムは、上位装置10と、画像形成装置としてのプリンタ装置13とが、複数のデータ線11と、制御線12とで接続されて構成される。ホスト装置5は、例えばコンピュータであって、印刷画像データと、印刷設定情報とを含む印刷ジョブデータを生成する。
【0017】
印刷ジョブデータは、例えばページ記述言語(PDL)によるデータ(以下、PDLデータと呼ぶ)を含む。このPDLデータを解釈することで、印刷を行うビットマップイメージからなる印刷画像データと、印刷の際のページ情報、レイアウト情報、印刷部数を示す情報など、印刷の設定に関わる印刷設定情報とが生成される。
【0018】
上位装置10は、ホスト装置5から供給される印刷ジョブデータに従ってRIP処理を行い、印刷画像データである各色毎のビットマップデータを作成する。それと共に、上位装置10は、当該印刷ジョブデータやホスト装置5からの情報などに基づき、印刷動作を制御するための制御情報を作成する。
【0019】
上位装置10で作成された各色毎の印刷画像データは、複数のデータ線11をそれぞれ介してプリンタ装置13の図示されないプリンタエンジン部に供給される。また、上位装置10とプリンタコントローラ14との間で、制御線12を介して、印刷を制御するための制御情報の送受信が行われる。プリンタコントローラ14は、この制御情報の送受信に基づきプリンタエンジン部を制御して印刷媒体に対する画像形成を行い、印刷ジョブに従った印刷を実行する。なお、この制御情報の具体的な例については、図10を用いて後述する。
【0020】
印刷方式は特に限定されないが、各実施形態では、印刷媒体として印刷用紙を用い、インクジェット方式により印刷用紙に対して印刷画像を形成する。これに限らず、各実施形態を、トナーを用いて印刷用紙に対して印刷画像を形成する印刷装置にも適用可能である。また、印刷用紙は、切断可能なミシン目が所定間隔で打たれた連続紙である連帳紙(連続帳票)を用いるものとする。プロダクションプリンティングでは、印刷用紙としてこの連帳紙を用いることが多い。勿論、これに限らず、A4サイズ、B4サイズなど、サイズが固定的とされたカット紙を印刷用紙として用いてもよい。なお、連帳紙において、ページは、例えば所定間隔で打たれたミシン目で挟まれる領域をいうものとする。
【0021】
なお、各実施形態による印刷システムが印刷対象とする印刷媒体は、紙の印刷用紙に限定されない。すなわち、各実施形態に適用される印刷方式により印刷が可能で、且つ、ロールとして提供可能な印刷媒体であれば、他の印刷媒体を用いてもよい。例えば、プラスチックフィルムや布などを印刷媒体として用いてもよい。
【0022】
(上位装置)
図2は、上位装置10の一例の構成を示す。バス100に対してCPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ハードディスクドライブ(HDD)104が接続される。バス100に対して、さらに、外部I/F110、制御情報用I/F111および印刷画像データ用I/F112、表示装置115が接続される。バス100に接続されたこれら各部は、バス100を介して互いに通信可能とされている。
【0023】
ROM102およびHDD104は、CPU101が動作するためのプログラムが予め格納される。RAM103は、CPU101のワークメモリとして用いられる。すなわち、CPU101は、ROM102およびHDD104に格納されるプログラムに従い、RAM103をワークメモリとして用いて、この上位装置10の全体の動作を制御する。表示装置115は、CPU101等により各種画面を表示する。
【0024】
外部I/F110は、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に対応し、ホスト装置5との通信を制御する。制御情報用I/F111は、制御情報の通信を制御する。また、印刷画像データ用I/F112は、印刷画像データの通信を制御するもので、複数のチャネルを有する。例えば、上位装置10において作成された、色Y(Yellow)、C(Cyan)、M(Magenta)およびK(Black)による各色の印刷画像データは、これら複数のチャネルからそれぞれ出力される。印刷画像データ用I/F112は、高速な転送速度が要求されるため、例えばPCI Express(Peripheral Component Interconnect Bus Express)が用いられる。制御情報用I/F111の方式は特に限定されないが、ここでは、印刷画像データ用I/F112と同様に、PCI Expressを用いるものとする。
【0025】
このような構成において、ホスト装置5から送信された印刷ジョブデータが、上位装置10の外部I/F110に受信され、CPU101を介してHDD104に格納される。CPU101は、HDD104から読み出した印刷ジョブデータに基づきRIP処理を行い、各色のビットマップデータを生成してRAM103にそれぞれ書き出す。例えば、CPU101は、RIP処理によりPDL(Page Description Language)データをレンダリングして各色のビットマップデータを生成してRAM103に書き出す。CPU101は、RAM103に書き出された各色のビットマップデータを圧縮符号化してHDD104に一旦格納する。
【0026】
CPU101は、例えばプリンタ装置13において印刷動作が開始される際に、HDD104から圧縮符号化された各色のビットマップデータを読み出して圧縮符号を復号し、伸張された各色のビットマップデータをRAM103にそれぞれ書き込む。そして、CPU101は、RAM103からこれら各色のビットマップデータを読み出して、各色の印刷画像データとして印刷画像データ用I/F112の各チャネルからそれぞれ出力させ、プリンタ装置13に対して供給する。また、CPU101は、印刷動作の進行などに応じて、印刷を制御するための制御情報の送受信を、プリンタ装置13との間で制御情報用I/F111を介して行う。
【0027】
図3は、上位装置10の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。上位装置10は、インターフェイス(I/F)120、123a〜123dおよび125、RIP部121、記憶部122、ならびに、制御部124を含む。インターフェイス120、123a〜123dおよび125は、それぞれ図2における外部I/F110、印刷画像データ用I/F112および制御情報用I/F111に対応する。RIP部121および制御部124は、図2におけるCPU101上で動作するプログラムにより構成される。また、記憶部122は、図2におけるRAM103またはHDD104のうち少なくとも一方に対応する。
【0028】
ホスト装置5でPDLデータを含む印刷ジョブデータが作成され、上位装置10に対して送信される。この印刷ジョブデータは、インターフェイス120に受信されてRIP部121に供給される。RIP部121は、供給された印刷ジョブデータに含まれるPDLデータに基づきレンダリングを行い、Y、C、M、K各色のビットマップデータによる印刷画像データを生成する。RIP部121は、生成したY、C、M、K各色の印刷画像データを、記憶部122に順次格納する。
【0029】
制御部124は、インターフェイス125を介してプリンタ装置13のプリンタコントローラ14と通信を行う。例えば、制御部124は、ホスト装置5からインターフェイス120を介して供給された印刷ジョブデータに基づき、プリンタ装置13における印刷を制御するための制御情報を生成する。この制御情報は、制御部124からインターフェイス125を介してプリンタコントローラ14に送信される。
【0030】
インターフェイス123a〜123dは、記憶部122に記憶されるY、C、M、K各色の印刷画像データにそれぞれ独立してアクセスできるようになっている。また、インターフェイス123a〜123dは、Y、C、M、K各色に対応する複数のデータ線11a〜11dを介してプリンタ装置13に接続され、この複数のデータ線11a〜11dを介して、プリンタ装置13との間でY、C、M、K各色の印刷画像データ転送に関する制御情報のやりとりや、Y、C、M、K各色の印刷画像データの転送を行う。
【0031】
(プリンタ装置)
図4は、プリンタ装置13の一例の構成を示す。プリンタ装置13は、プリンタコントローラ14およびプリンタエンジン15を有する。プリンタコントローラ14は、制御線12が接続され、上位装置10との間で制御線12を介して制御情報の送受信を行って印刷動作の制御を行う。プリンタエンジン15は、複数のデータ線11a、11b、11cおよび11dがそれぞれ接続され、プリンタコントローラ14の制御に従い、これらデータ線11a、11b、11cおよび11dをそれぞれ介して上位装置10から転送された各色の印刷画像データによる印刷処理を行う。
【0032】
プリンタコントローラ14およびプリンタエンジン15について、より詳細に説明する。図5は、プリンタコントローラ14の一例の構成を示す。プリンタコントローラ14は、CPU321、印刷制御部322、RAM323およびROM324を有する。CPU321、印刷制御部322、RAM323およびROM324は互いに通信可能にバス320に接続される。バス320には、図示されない通信I/Fを介して制御線12も接続される。CPU321は、ROM324に格納されるプログラムに従いRAM323をワークメモリとして用いて動作し、プリンタ装置13の全体の動作を制御する。
【0033】
印刷制御部322は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)により構成され、内部にマイクロプロセッサや複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)などがバスにより互いに通信可能に接続されている。印刷制御部322は、後述するデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのそれぞれと、エンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dにより接続される。印刷制御部322は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとの間で、それぞれ個別に制御信号の送受信を行う。また、印刷制御部322は、後述する搬送制御部51と搬送制御線41により接続され、搬送制御部51との間で用紙搬送を制御するための制御信号の送受信を行う。
【0034】
図4の説明に戻り、プリンタエンジン15は、同一の構成による複数のデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを有すると共に、印刷画像データに基づく画像を用紙に出力し画像形成を行う画像出力部50と、印刷用紙の搬送を制御する搬送制御部51とを有する。
【0035】
データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれデータ線11a、11b、11cおよび11dが接続される。また、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれメモリ31a、31b、31cおよび31dを含み、上位装置10から、データ線11a、11b、11cおよび11dを介して転送された各色の印刷画像データを、それぞれメモリ31a、31b、31cおよび31dに格納する。
【0036】
これらメモリ31a、31b、31cおよび31dは、例えば同一のメモリ容量と、アドレス構成とを有する。また、メモリ31a、31b、31cおよび31dのそれぞれは、好ましくは少なくとも3ページ分の印刷画像データを格納可能な容量を有する。3ページ分の印刷画像データは、例えば、上位装置10から転送中のページの印刷画像データと、現在出力中のページの印刷画像データと、次のページの印刷画像データとに対応する。これに限らず、メモリ31a、31b、31cおよび31dのそれぞれは、2ページ分以下の印刷画像データを格納可能であってもよい。
【0037】
さらに、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、それぞれエンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dにより印刷制御部322と接続される。印刷制御部322は、これらエンジンI/F制御線40a、40b、40cおよび40dを介して、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dとの間でそれぞれ個別に制御信号の送受信を行うことができる。
【0038】
図6は、データ転送制御部30aの一例の構成を概略的に示す。なお、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、共通の構成が適用されるので、図6では、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを代表してデータ転送制御部30aの構成を示す。
【0039】
データ転送制御部30aは、メモリ31aおよびロジック回路32aを含む。ロジック回路32aに対して、エンジンI/F制御線40aおよびデータ線11aが接続される。ロジック回路32aは、印刷制御部322からエンジンI/F制御線40aを介して受け取った制御信号に従い、上位装置10からデータ線11aを介して転送された印刷画像データをメモリ31aに対して格納する。同様に、ロジック回路32aは、印刷制御部322からエンジンI/F制御線40aを介して受け取った制御信号に従い、メモリ31aから印刷画像データを読み出して、出力線33aを介して後述する画像出力部50に供給する。
【0040】
なお、論理回路などの組み合わせによりハードウェア的に構成されたロジック回路32aによる制御は、プログラムに対する割り込みにより処理を分岐させる、CPUを用いた制御に対してより高速な処理が可能であるという利点がある。ロジック回路32aは、例えば、エンジンI/F制御線40aを介して受け取った、ビット列による制御信号に対して論理判定を行い、実行する処理を決定する。これに限らず、ロジック回路32aと同等の機能を、CPUを用いてソフトウェア的に実現してもよい。
【0041】
データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dからそれぞれ出力された各色の印刷画像データは、画像出力部50に供給される。画像出力部50は、各色の印刷画像データによる印刷を実行する。なお、各実施形態では、印刷画像データによる印刷を、ヘッドに設けられたノズルからインクを射出して印刷を行う、インクジェット方式により行う。勿論、印刷方式はインクジェット方式に限られず、例えばレーザプリンタ方式などを用いてもよい。
【0042】
図7は、データ転送制御部30aの一例の構成をより詳細に示す。なお、図7において、上述した図6と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。データ転送制御部30aは、メモリ31a、メモリコントローラ132a、データ転送DMA(Direct Memory Access)133aおよび134a、ならびに、データ転送制御部コントローラ135aを有する。これらのうち、メモリコントローラ132a、データ転送DMA(Direct Memory Access)133aおよび134a、ならびに、データ転送制御部コントローラ135aが、図6におけるロジック回路32aに含まれる。
【0043】
メモリコントローラ132aは、メモリ31aに対するアクセスを制御する。データ転送DMA133aは、上位装置10から印刷画像データを受信し、メモリコントローラ132aを介してメモリ31aに書き込む。データ転送DMA134aは、メモリコントローラ132aを介してメモリ31aからデータを読み出し、出力線33aを介して画像出力部50に転送する。データ転送制御部コントローラ135aは、プリンタコントローラ14内の印刷制御部322からエンジンI/F制御線40aを介して送信される制御情報を受信し、受信した制御情報に従いデータ転送DMA133aおよび134aを制御する。
【0044】
例えば、印刷制御部322から送信されたデータ転送の開始要求が、エンジンI/F制御線40aを介してデータ転送制御部コントローラ135aに受信されると、データ転送制御部コントローラ135aは、この要求に従い、データ転送DMA133aに対してデータ転送の開始を指示する。データ転送DMA133aは、この指示に従い、データ転送要求をデータ線11aを介して上位装置10に送信する。この要求に従い上位装置10から送信されたデータは、例えばデータ転送DMA133aに受信され、メモリコントローラ132aを介して、メモリ31aの所定のアドレスに書き込まれる。
【0045】
また、印刷制御部322から送信された印刷指示が、エンジンI/F制御線40aを介してデータ転送制御部コントローラ135aに受信されると、データ転送制御部コントローラ135aは、データ転送DMA134aに対して、メモリ31aからのデータ読み出しを指示する。データ転送DMA134aは、この指示に応じて、メモリコントローラ132aを介してメモリ31aからデータを読み出す。そして、データ転送DMA134aは、読み出したデータを、出力線33aを介して画像出力部50に転送する。
【0046】
図8は、画像出力部50の一例の構成を示す。画像出力部50は、ヘッド56a、56b、56cおよび56dと、出力制御部55とを備えている。出力制御部55は、選択部131a、131b、131cおよび131dと、出力I/F部57a、57b、57cおよび57dと、接続線58−1、58−2、58−3および58−4と、を含む。なお、説明の便宜のため、図8では、選択部131cと接続する接続線58−1、58−2、58−3および58−4のみを記載している。他の選択部131a、131b、および131dに対しても、それぞれ接続線58−1、58−2、58−3および58−4が接続される。
【0047】
選択部131a、131b、131cおよび131dは、それぞれ、データ転送制御部30a〜30dのそれぞれの印刷画像データが出力される各出力線33a、33b、33cおよび33dに接続されている。出力I/F部57a、57b、57cおよび57dは、それぞれ、ヘッド56a、56b、56cおよび56dに接続されている。
【0048】
出力制御部55は、選択部131a、131b、131cおよび131dと、出力I/F部57a、57b、57cおよび57dとの間の接続を制御する。すなわち、出力制御部55は、各ヘッド56a、56b、56cおよび56dに対して、それぞれ各出力線33a、33b、33cおよび33dと接続する接続線58−1、58−2、58−3および58−4のいずれかを選択して経路を設定することができる。
【0049】
例えば、出力制御部55は、各出力線33a、33b、33cおよび33dと、各ヘッド56a、56b、56cおよび56dとを、1対1に接続するように接続線58−1、58−2、58−3および58−4を設定できる。また例えば、出力線33aに対して、各ヘッド56a、56b、56cおよび56dを接続する、というように、出力線33a、33b、33cおよび33dと、ヘッド56a、56b、56cおよび56dとを、1対多に接続するように接続線58−1、58−2、58−3および58−4を設定できる。出力制御部55は、印刷制御部322からの設定情報42に応じて、接続線58−1、58−2、58−3および58−4を設定する。設定情報42は、例えば後述する印刷管理テーブルが用いられる。
【0050】
各出力線33a、33b、33cおよび33dと各ヘッド56a、56b、56cおよび56dとを接続する経路は、例えばディップスイッチなどを用いてユーザ操作により設定することができる。これに限らず、当該経路を、印刷制御部322からの制御信号により設定してもよい。
【0051】
上述したように、各実施形態によるプリンタ装置13では、上位装置10からの印刷画像データの転送と、当該印刷画像データによる印刷を制御する制御信号の上位装置10とプリンタ装置13との間の送受信とが、異なる経路を介して行われる。また、上位装置10から、各色の印刷画像データがそれぞれ異なるデータ線11a、11b、11cおよび11dを介して転送されると共に、これらデータ線11a、11b、11cおよび11dを介して転送された各色の印刷画像データが、互いに独立して制御され、共通の構成を持つデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dにそれぞれ供給される。さらに、画像出力部50において、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの出力と各色のヘッド56a、56b、56cおよび56dとの接続経路をユーザ操作などにより設定可能とされている。
【0052】
したがって、各実施形態によるプリンタ装置13は、印刷画像データの色数(Y、C、MおよびKの4色、または、K色のみ、など)や、画像出力部50において用いるヘッド数に応じて、プリンタエンジン15の構成を容易に変更することが可能である。このとき、プリンタエンジン15に対して、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのうち、要求される構成に応じて必要とされるものだけを設けるようにできる。
【0053】
例えば、色Y、C、MおよびKの4色でフルカラーの印刷を行いたい場合は、プリンタエンジン15に対してデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを全て設け、出力制御部55において、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの各出力を、それぞれヘッド56a、56b、56cおよび56dに接続すればよい。また例えば、色Kの1色で印刷を行う場合において、装置コスト優先として、それぞれ1のデータ転送制御部30aおよびヘッド56aのみを設け、出力制御部55においてデータ転送制御部30aの出力をヘッド56aに接続することができる。さらに例えば、色Kの1色で印刷を行う場合において、印刷速度優先として、1のデータ転送制御部30aと4のヘッド56a、56b、56cおよび56dとを設け、出力制御部55においてデータ転送制御部30aの出力をヘッド56a、56b、56cおよび56dにそれぞれ接続することができる。この場合、同一色を複数回、重ねて印刷することになるため、例えば、各ヘッド56a、56b、56cおよび56dでのインクの噴出時間を通常の1/4とし、印刷用紙の搬送速度を通常の4倍として高速印刷を行うことが考えられる。
【0054】
(印刷用紙の搬送系)
図4を参照し、搬送制御部51は、印刷制御部322と搬送制御線41により接続され、画像出力部50により印刷画像データに基づく画像が形成される用紙の搬送を制御する。図9は、各実施形態に適用可能な、用紙の搬送系を含めたプリンタ装置200の一例の構造を概略的に示す。既に述べたように、各実施形態では、プリンタ装置200は、印刷用紙として連帳紙を用いる。
【0055】
印刷用紙201は、印刷用紙補給部210から電源操作ボックス220を介して第1搬送部230に供給される。印刷用紙201は、第1搬送部230において、搬送制御部51の搬送制御により複数のローラなどを介して搬送されて位置合わせなどがなされ、上述のプリンタエンジン15に対応するプリンタエンジン部240および250に供給される。
【0056】
プリンタエンジン部240および250は、上述の画像出力部50に対応する印刷部241において、第1搬送部230から供給された印刷用紙201に対して印刷画像データに従った印刷を行う。印刷が終了した印刷用紙201は、搬送制御部51の搬送制御によりプリンタエンジン部250から排出され、第2搬送部260に供給される。印刷後の印刷用紙201は、第2搬送部260の内部で所定に搬送されて排出され、裁断部270に供給される。印刷後の印刷用紙201は、裁断部270によりミシン目に従い裁断され各ページを分離される。
【0057】
ここで、プリンタ装置200は、ページが連続した連続紙である印刷用紙201に印刷を行うため、プリンタエンジン部240および250における印刷用紙201への印刷後、当該印刷用紙201が第2搬送部260から排出されるまでの経路にも、印刷用紙201が絶えず存在することになる。
【0058】
なお、第1搬送部230、プリンタエンジン部240および250、ならびに、第2搬送部260からなる構成をもう一組用意して、前側の第2搬送部260から排出された印刷後の印刷用紙201を表裏反転して後側の第1搬送部230に供給することで、印刷用紙201に対する両面印刷が可能となる。
【0059】
(各実施形態に適用可能な印刷処理の詳細)
次に、各実施形態に適用可能な印刷処理について、より詳細に説明する。図10は、上位装置10とプリンタ装置13のプリンタコントローラ14との間で、制御線12を介して送受信される制御情報の一例を示す。なお、図10において、上位装置10をDFE(Digital Front End Processor)、プリンタコントローラ14をPCTLとして示している。制御情報は、大まかには、(1)ジョブ(JOB)情報と、(2)プリンタ状態および印刷プロセスを示す情報と、(3)印刷条件を示す情報と、(4)接続を示す情報とが含まれる。
【0060】
(1)のジョブ情報は、ジョブ(JOB)開始とジョブ終了とを通知する。ジョブ開始は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対するジョブ開始の通知と、当該通知に対するプリンタ装置13から上位装置10への応答が含まれる。ジョブ終了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する、ジョブ開始により要求した全印刷プロセスの終了の通知と、当該通知に対するプリンタコントローラ14から上位装置10への応答が含まれる。これらジョブ開始およびジョブ終了における応答の際に、ジョブを識別するためのジョブ識別子(JOBID)がプリンタコントローラ14から上位装置10に対して送信される。
【0061】
(2)のプリンタ状態および印刷プロセスを示す情報には、印刷プロセス受け付け開始と、プリンタ情報の要求および通知と、印刷プロセス開始と、印刷プロセス要求と、データ転送完了と、データ受信完了と、印刷プロセス完了と、プロセス状態報告と、SC(Service Control)通知と、エラー発生および解除とを通知する。
【0062】
印刷プロセス受け付け開始は、プリンタコントローラ14が印刷プロセスの受け付けが可能となったことをプリンタ装置13から上位装置10に対して通知する。プリンタ情報の要求および通知は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する必要なプリンタ情報の要求と、当該要求に対するプリンタコントローラ14から上位装置10に対する応答とが含まれる。
【0063】
印刷プロセス開始は、印刷画像データの準備が完了した旨の上位装置10からプリンタコントローラ14に対する通知と、当該通知に対するプリンタ装置13から上位装置10に対する応答を含む。印刷画像データの準備完了通知は、印刷画像データの出力順およびページ(プロセス)単位に行われる。ページは、一連の印刷動作で印刷が行われる印刷単位であるといえる。
【0064】
印刷プロセス要求は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対する印刷プロセスの通知と、当該通知に対する上位装置10からプリンタコントローラ14に対する応答とが含まれる。プリンタコントローラ14は、この印刷プロセス要求により、印刷を行う色Y、C、MおよびKをそれぞれ示す色情報(Yellow, Cyan, Magenta or Black)、プロセス識別番号processIDおよびプレーン識別番号を上位装置10に対して通知する。なお、プレーンは、1ページに印刷される各色の印刷画像データによる画像それぞれに対応するものとする。プリンタコントローラ14は、プレーン単位およびエンジンすなわちデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの要求順に従い、これらの情報を通知する。すなわち、ビットマップデータからなる印刷画像データは、プリンタエンジン15側から上位装置10に取りに行くことになる。
【0065】
データ転送完了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して要求されたプレーンの印刷画像データの転送完了が通知される。データ受信完了は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対して、要求したプレーンの印刷画像データの受信完了が通知される。印刷プロセス完了は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して、全ページ(プロセス)の印刷要求の完了が通知される。プロセス状態報告は、プリンタコントローラ14から上位装置10に対して、ページ(プロセス)の印刷状態が通知される。このとき、プリンタコントローラ14は、プリンタエンジン15から給紙、排紙および印刷開始に関する情報を取得し、取得したこれらの情報を当該通知に付加して上位装置10に送信する。
【0066】
SC通知は、上位装置10からプリンタコントローラ14に対してプリンタ装置13の障害情報の取得が要求されると共に、当該要求に対して取得された障害情報がプリンタコントローラ14から上位装置10に対して通知される。エラー発生および解除は、上位装置10側でのエラー発生および当該エラーの解除が上位装置10からプリンタコントローラ14に対して通知される。
【0067】
(3)の印刷条件を示す情報は、印刷条件の設定、すなわち、上位装置10からプリンタコントローラ14に対する印刷条件の通知と、当該通知に対するプリンタコントローラ14の応答とを含む。印刷条件の例としては、印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、印刷データサイズ、解像度および階調、ならびに、色情報などを含む。
【0068】
印刷形態は、例えば印刷用紙201に対して両面印刷および片面印刷のうち何れを行うかを示す。印刷種別は、印刷画像データが存在しておりそれを印刷するのか、印刷画像データが存在しておらず白紙ページとするのかを示す。給排紙情報は、印刷用紙201の給紙元および排紙先のスタッカなどの識別情報を示す。印刷面順は、印刷用紙201に対して表面から裏面へと印刷するのか、裏面から表面へと印刷するのかを示す。印刷用紙サイズは、例えば印刷用紙201として連帳紙を用いる場合、印刷を行うページの印刷用紙201の搬送方向の長さを示す。印刷データサイズは、印刷画像データのデータサイズを示す。すなわち、印刷データサイズは、1ページ分の印刷画像データのサイズを示す。解像度および階調は、印刷画像データを印刷用紙201に印刷する際の解像度および階調を示す。また、色情報は、例えば印刷を色Y、C、MおよびK各色を用いたフルカラーで行うのか、色Kのみを用いた単色で行うかを示す。
【0069】
(4)の接続を示す情報は、登録および解除を含み、上位装置10およびプリンタコントローラ14のそれぞれで、互いの情報の登録および登録された情報の解除を行う。
【0070】
次に、本実施形態による印刷処理について説明する。以下では、主にK(Black)のデータ転送制御部30dが故障した場合を例に説明する。印刷制御部322は、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのメモリ31a、31b、31cおよび31dの空き容量を確認し、画像データを転送するデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを決定する。例えば、Kに対応するデータ転送制御部30dが故障した場合、データ転送制御部30a、30bおよび30cにそれぞれY,C,Mを割り当て、Kをデータ転送制御部30cに割り当てる。Kを割り当てるデータ転送制御部は、メモリ31の空き容量に応じて決定される。印刷制御部322が画像データの転送先を決定する転送先決定処理の詳細については後述する。
【0071】
印刷時、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、印刷制御部322の指示に従い、出力制御部55に印刷を指示する。出力制御部55は、画像データを各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのメモリ31a、31b、31cおよび31dから呼び出し、ヘッド56a、56b、56cおよび56dのうち指定された色に対応するヘッド56に画像を出力する。
【0072】
本実施形態では、図4のように、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの色をそれぞれY,C,M,Kに決定しているが、これに限られるものではない。データ転送制御部30a、30b、30cおよび30d、並びに、データ線11a、11b、11cおよび11dに対応づける色は、印刷システムを起動する際に動的に決定される。
【0073】
すなわち、印刷制御部322は、起動時に、接続している各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dの接続順序、正常・異常の状態、および、ヘッドの搭載順を取得し、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dで出力する色情報を決定する。接続順序、および、出力する色情報などの情報は、例えばハードウェアの構成を認識する機能(例えばDIPスイッチなど)を参照して決定すればよい。なお、接続順序は、例えば印刷用紙補給部210に近い順から昇順で取得する。これにより印刷出力の早い順を得られる。印刷制御部322は、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dごとに取得した情報を保持する。
【0074】
図11は、全てのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dが正常である場合のメモリの管理方法を示す図である。各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、印刷制御部322の指示に従い、上位装置10から送られる画像データをメモリ31a、31b、31cおよび31dに格納する。印刷制御部322は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対応する画像データ管理キューを用いて、メモリ31a、31b、31cおよび31dの使用状態を管理する。画像データ管理キューに保持する内容は、アドレス、データサイズ、格納色およびPBIDである。PBIDは、印刷ページを識別するための識別子(ページ識別子)を表す。それぞれ、図12に示す印刷管理テーブルのPBID、Color識別子、データ格納先アドレス、および画像データサイズと対応する。格納する情報は、上記の4つでもよいし、印刷管理テーブルの情報そのものを利用して保持しても良い。なお、画像データ管理キューは例えばFIFOで実現する。
【0075】
(印刷管理テーブル)
ここで、印刷処理で用いられる印刷管理テーブルについて説明する。図12は、本実施形態に適用される印刷管理テーブルの一例を示す図である。印刷管理テーブルは、C、M、Y、K各色に共通の情報と、各色毎の情報とを含む。また、各色共通の情報および各色毎の情報は、それぞれ、上位装置10からの印刷画像データの転送のために用いるデータ転送用の情報と、画像出力部50に対する印刷指示に関する情報である印刷用の情報とを含む。なお、印刷管理テーブルに含まれる各情報は、テーブル形式で管理されるのに限られず、他のデータ管理形式で管理されるようにしてもよい。
【0076】
本実施形態による各色共通の情報について説明する。各色共通の情報において、データ転送用および印刷用以外の情報として、ページ識別子PBIDおよび1ページ当たりのデータ数が含まれる。ページ識別子PBIDは、印刷ページを識別するためのページ識別子であり、当該印刷管理テーブルは、このページ識別子PBIDにより識別される。1ページ当たりのデータ数は、ページ識別子PBIDで識別されるページに用いられる色数であり、例えばモノクロの場合は値が「1」、フルカラーの場合は値が「4」とされる。
【0077】
本実施形態に適用される各色共通の情報における印刷用の情報について説明する。印刷用の情報は、印刷を行う印刷画像データの情報として解像度および階調を含み、印刷対象に関する情報として用紙幅、用紙送り長、印刷面(表/裏)、印刷不可領域(上/下/左/右)および画像情報を含む。画像情報は、X方向有効サイズおよびY方向有効サイズを含む。
【0078】
印刷を行う印刷画像データの情報において、解像度は、主走査および副走査方向それぞれの印刷解像度を示す。また、階調は、1画素当たりのビット数を示す。用紙幅は、印刷用紙の幅方向の長さをドット数で示す。用紙送り長は、印刷用紙の送り方向における1ページ分の長さをドット数で示す。印刷面は、当該ページが印刷用紙の表面および裏面の何れに印刷されるかを示す。
【0079】
印刷不可領域上、下、左、右は、印刷を禁止する印刷不可領域を、ページ領域の上端(用紙送り方向の先頭)、下端(用紙送り方向の後端)、左端(用紙幅方向の用紙送り方向に向けて左端)、右端(用紙幅方向の用紙送り方向に向けて右端)それぞれからのドット数で示す。
【0080】
画像情報のうち、X方向有効サイズは、X方向(用紙幅方向)のバウンダリ調整領域を含まないサイズをドット数で示す。バウンダリ調整領域は、1ラスタデータのデータサイズが所定単位(例えばバイト単位)以下の端数を含む場合に、データサイズを所定単位に揃えるために設けられる。また、Y方向有効サイズがY方向(用紙送り方向)のサイズをドット数で示す。すなわち、X方向有効サイズは、1のラスタデータにより印刷される有効なサイズを示し、Y方向有効サイズは、X方向有効サイズで印刷されるラスタ数(ライン数)を示す。
【0081】
すなわち、X方向有効サイズおよびY方向有効サイズで示される領域が、印刷領域となる。また、印刷領域のうち、印刷不可領域と重なる領域は、印刷されないことになる。
【0082】
本実施形態による各色毎の情報について説明する。各色毎の情報において、データ転送先、データ転送用および印刷用以外の情報として、C、M、Y、K各色のうち何れの印刷色に関する情報が記述されるかを示すColor識別子が含まれる。各色毎の情報は、構成が共通するので、以下では、Color識別子が「シアン」の情報について説明する。印刷管理テーブルには、各色毎の情報がC、M、Y、K各色についてそれぞれ含まれる。
【0083】
本実施形態に適用される各色毎の情報におけるデータ転送先の情報は、上位装置10から画像データを転送するデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを特定する情報を示す。通常印刷時は、Color識別子と同じ値となる。縮退印刷時は、印刷制御部322がメモリ31a、31b、31cおよび31dの空き容量等により決定したデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのいずれかを特定する値が設定される。
【0084】
ここで、縮退印刷とは、いずれかのデータ転送制御部30a、30b、30c、30dで異常が発生した場合、異常が発生したデータ転送制御部以外の残りのデータ転送制御部により印刷を継続することを意味する。このような縮退印刷では、異常が発生したデータ転送制御部を代替えするデータ転送制御部により印刷を継続するため、使用するデータ転送制御部の数が通常の印刷処理より少なくなる。したがって、縮退印刷での印刷速度は、通常の印刷速度より遅くなる。このため、通常の印刷速度より遅い印刷速度でも縮退印刷を実行するか否かは、最終的にはユーザの判断に従って決定されるように構成してもよい。
【0085】
例えば、Kのデータ転送制御部30dに異常が発生し、Kの画像データをMのデータ転送制御部30bに転送することが決定された場合を考える。この場合、Kのデータ転送制御部30dに渡す印刷管理テーブルのデータ転送先には、Mのデータ転送制御部30bを特定する値が設定される。また、この場合、Mのデータ転送制御部30bに渡す印刷管理テーブルには、色Mについての色毎の情報だけでなく、色Kについての色毎の情報も設定される。例えば、Color識別子=Kの色毎の情報のデータ転送先に、Mのデータ転送制御部30bを特定する値が設定される。これにより、Mのデータ転送制御部30bに対して、MだけでなくKの画像データも転送することを通知できる。なお、通知方法はこれに限られるものではない。例えば、他の色の画像データも転送すること、および、他の色の画像データのデータ転送用の情報を通知可能な方法であればあらゆる方法を適用できる。
【0086】
本実施形態に適用される各色毎の情報におけるデータ転送用の情報は、データ転送要否、データ転送元アドレス、画像データサイズ、およびデータ格納先アドレスを含む。データ転送要否は、当該印刷色の印刷画像データの転送の要否を示す。例えば、白紙すなわち印刷を行わない場合は、C、M、Y、Kの全色について、データ転送要否を「否」とする。また、Color(Cyan、Magenta、Yellow、Black)で指示される色以外は、データ転送要否を「否」に設定する。
【0087】
データ転送元アドレスは、上位装置10においてページ識別子PBIDで示されるページの印刷画像データが格納されるアドレスを示す。データ転送元アドレスは、例えばラスタ(ライン)単位で印刷画像データを指定する。
【0088】
なお、本実施形態の場合、各色の印刷画像データに対し、同一のアドレスが転送元アドレスとして用いられることになる。一例として、上位装置10において、図3に示される記憶部122に対して、各色の印刷画像データをそれぞれ格納する。より具体的には、例えば、図2に示されるRAM103に対し、各データ線11a〜11dまたは各色で識別されるアドレスに、各色の印刷画像データをそれぞれ格納する。
【0089】
画像データサイズは、印刷画像データのサイズを所定単位(例えばバイト単位)で揃えるためのバウンダリ調整サイズを含む。1ページが印刷される際には、各メモリ31a〜31dに対して、この画像データサイズで示されるデータサイズの印刷画像データが格納されることになる。例えば、図10を用いて説明した、(3)印刷条件を示す情報中の「印刷データサイズ」にバウンダリ調整サイズを加えた値が、この画像データサイズになる。
【0090】
データ格納先アドレスは、上位装置10から転送される画像データを格納するアドレス(入力アドレス)である。したがって、入力アドレスが更新される度に、データ格納先アドレスも更新される。画像データサイズは、データ転送制御部30a〜30dの要求により転送される印刷画像データのデータサイズを示し、例えばページ識別子PBIDで示されるページの印刷画像データのデータサイズである。
【0091】
本実施形態に適用される各色毎の情報における印刷用の情報は、印刷要否を含む。印刷要否は、当該印刷色の印刷画像データの印刷の要否を示す。例えば、白紙すなわち印刷を行わない場合は、C、M、Y、Kの全色について、印刷要否を「否」とする。また、Color識別子で指示される色以外は、印刷要否を「否」に設定する。
【0092】
図11に戻り説明を続ける。上位装置10は、1ページ目の画像データの転送準備を完了すると、印刷制御部322に対し、準備完了を通知する。この際、上位装置10は、各色の画像のデータサイズを印刷制御部322へ通知する。
【0093】
印刷制御部322は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのメモリ31a、31b、31cおよび31dの空き容量を確認する。メモリ31a、31b、31cおよび31dの空き容量は、入力アドレスと出力アドレスとから計算する。出力アドレスは、出力制御部55へ出力する画像データのアドレスを示す。
【0094】
印刷制御部322は、各メモリ31a、31b、31cおよび31dが、上位装置10から受信する各画像データのサイズ分の空き容量があるか判定する。メモリ31a、31b、31cおよび31dに画像データを格納可能な空き容量が存在する場合は、印刷制御部322は、印刷管理テーブルのデータ転送用の情報であるデータ格納先アドレスを更新する。
【0095】
印刷制御部322は、印刷管理テーブルの更新を完了すると、画像データの情報を保持するため、アドレス、データサイズ、格納色およびPBIDの情報を画像データ管理キューへ保存する。その後、印刷制御部322は、入力アドレスを画像データサイズ分更新する。入力アドレスは例えば以下の(1)式のように更新される。なお、バッファサイズは、メモリ31a、31b、31cおよび31dのサイズを表す。
入力アドレス=(入力アドレス+画像データサイズ)%バッファサイズ ・・・(1)
【0096】
次に、データ転送処理について説明する。印刷制御部322は、上位装置10に対し、印刷管理テーブルに従い、各色の画像データの転送要求を行う。印刷制御部322は、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対し、印刷管理テーブルの情報に従い、印刷順序の早い順に各色のデータ転送開始を要求する。
【0097】
各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、印刷管理テーブルの情報に従い上位装置10から受信した画像データをメモリ31a、31b、31cおよび31dへ格納する。データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、データ転送先で指定された色に対応するいずれかのメモリ31に対して、印刷管理テーブルのデータ格納先アドレスによって示されるアドレスから、画像データサイズ分、画像データを保存する。データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、データ転送が終了すると印刷制御部322へ転送完了を通知する。
【0098】
全ページの転送が完了すると、印刷制御部322は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dへ印刷指示を行う。印刷制御部322は、搬送制御部51から排紙完了を受け取った後、出力アドレスを更新する。印刷制御部322は、画像データ管理キューからアドレス、画像データサイズ、色、および、PBIDを取り出し、例えば以下の(2)式により出力アドレスを更新する。
出力アドレス=(出力アドレス+画像データサイズ)%バッファサイズ ・・・(2)
【0099】
なお、図11は、1ページ目の画像データの転送完了後の状態の一例を示している。図13は、さらに2ページ目の画像データの転送完了した後のメモリ31の状態の一例を示す図である。
【0100】
次に、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに備えるメモリ31a、31b、31cおよび31dの空き容量を算出する方法を説明する。図14は、空き容量の算出方法を説明するための図である。
【0101】
図14に示すように、本実施形態では、メモリ31a、31b、31cおよび31dは、リングバッファであり、循環的に画像データを保持する機構を備える。画像データ管理キューが空の場合、バッファサイズそのものが空き容量となる。画像データ管理キューが空でない場合、空き容量は、以下の(3)式により算出される。
空き容量=バッファサイズ−(入力アドレス−出力アドレス) ・・・(3)
【0102】
図15〜図18は、Kのデータ転送制御部30dに異常が発生し、Kのデータ転送制御部30dのメモリ31dへ画像データを転送できない場合のメモリの管理方法を示す図である。図15は、1ページ目の画像データを転送する前の状態を示す。図16は、Kの1ページ目の画像データの転送先が決定した状態を示す。図17は、YMCの1ページ目の画像データの転送先が決定した状態を示す。図18は、1ページ目の画像データの転送が完了した後の状態を示す。
【0103】
上位装置10は、1ページ目のデータの転送準備を完了すると、印刷制御部322に対し、準備完了を通知する。この際、上位装置10は、各色の画像のデータサイズを印刷制御部322へ通知する。
【0104】
印刷制御部322は、正常に動作しているY,C,Mのデータ転送制御部30a、30b、および30cのメモリ31a、31b、および31cの空き容量を確認する。印刷制御部322は、Y,C,Mのメモリ31a、31b、および31cへ上位装置10から受信するデータを転送したと仮定し、メモリ31a、31b、および31cの空き容量を大きい順で保持する。
【0105】
図15に示す例では、M,C,Yの順でメモリ31a、31b、および31cの空き容量が大きいと決定される。なお、空き容量が同じとなった場合は、印刷順序の遅いデータ転送制御部30を上位とすることで、印刷効率の向上を図る。印刷制御部322は、印刷出力順に従い、最大の空き容量であるMのメモリ31bへKの画像データが格納可能かを確認する。格納可能な場合、印刷制御部322は、Kの印刷管理テーブルのデータ転送先の情報をMに更新する。印刷制御部322は、印刷管理テーブルの更新を完了すると、画像データの情報を保持するため、アドレス、画像データサイズ、色、および、PBIDの情報を画像データ管理キューへ保存し、入力アドレスを更新する。図16の下部には、このようにして更新された画像データ管理キューの例が示されている。
【0106】
さらに、印刷制御部322は、Y,C,Mそれぞれの印刷管理テーブルを更新し、画像データ管理キューを保存し、入力アドレスを更新する。図17の下部には、このようにして更新された画像データ管理キューの例が示されている。
【0107】
この後のデータ転送処理について説明する。印刷制御部322は、上位装置10に対し、印刷管理テーブルに従い、各色の画像データの転送要求を行う。印刷制御部322は、データ転送制御部30a、30b、および30cに対し、印刷管理テーブルの情報に従い、印刷順序の早い順に各色のデータ転送開始要求を行う。各データ転送制御部30a、30b、および30cは、印刷管理テーブルの情報に従い上位装置10から画像データの転送を実施する。データ転送制御部30a、30b、および30cは、データ転送先で指定された色に対応するいずれかのメモリ31に対して、印刷管理テーブルのデータ格納先アドレスによって示されるアドレスから、画像データサイズ分、画像データを保存する。データ転送制御部30a、30b、および30cは、データ転送が終了すると印刷制御部322へ転送完了を通知する。
【0108】
全ページの転送が完了すると、印刷制御部322は、各データ転送制御部30a、30b、および30cへ印刷指示を行う。印刷制御部322は、搬送制御部51から排紙完了を受け取った後、出力アドレスを更新する。
【0109】
縮退印刷の場合、出力制御部55は、データ転送を代替したデータ転送制御部30から画像データを読み出して、読み出した画像データの色に対応するヘッド56に画像データを印刷する必要がある。そこで、出力制御部55は、設定情報42(図8参照)として印刷管理テーブルを参照することで、接続線58−1、58−2、58−3および58−4を選択する。例えば、印刷管理テーブル上のColor識別子がKであり、そのデータ転送先にMが設定されている場合、Mに対応するヘッド56b、および、Kに対応するヘッド56dを、Mに対応する接続線58−3、および、Kに対応する接続線58−4を接続できるように選択部131を設定すればよい。
【0110】
各データ転送制御部30a、30b、30c、および30dから各ヘッド56a、56b、56c、および56dへ画像データを転送する際は、出力制御部55は、印刷管理テーブル上の各Color識別子のデータ転送先とデータ格納先アドレスを参照し、データ転送先から該当する出力線33を選択する。また、出力制御部55は、データ格納先アドレスから必要な画像データをColor識別子に該当するヘッド56へ転送する。印刷管理テーブルを参照して画像データの転送先を決定するため、通常印刷時、および、縮退印刷時にかかわらず転送先を決定できる。
【0111】
次に、転送先決定処理の詳細について説明する。図19は、転送先決定処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。転送先決定処理は、例えば、上位装置10が1ページ分の転送準備を完了したときに印刷制御部322により実行される。
【0112】
印刷制御部322は、各データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dが正常であるか、異常であるかを示す情報を更新する更新処理を実行する(ステップS11)。印刷制御部322は、各色のデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのメモリ31a、31b、31cおよび31dの空き容量を取得する取得処理を実行する(ステップS12)。印刷制御部322は、転送する画像データを格納できるメモリが存在しないことを示すバッファフルの状態か否かを判断する(ステップS13)。バッファフルの場合(ステップS13:Yes)、印刷制御部322は、ステップS11に戻り処理を繰り返す。バッファフルでない場合(ステップS13:No)、印刷制御部322は、印刷管理テーブルに、画像データの転送先(データ転送先)を格納する格納処理を実行し(ステップS14)、転送先決定処理を終了する。
【0113】
次に、ステップS11の更新処理について説明する。図20は、更新処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【0114】
印刷制御部322は、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのいずれかを選択し、選択したデータ転送制御部30が正常に稼働しているか否かを判断する(ステップS21)。
【0115】
例えば、印刷制御部322は、選択したデータ転送制御部30から異常が生じたことの通知を受けているか否かにより、正常に稼働しているか否かを判断する。この場合、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dは、異常が生じた場合に印刷制御部322に異常が生じたことを通知する機能を備える。例えば、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dが、PCI Expressのリンクトレーニングを実行して接続状態を判定し、切断されている場合に異常の発生を印刷制御部322に通知するように構成してもよい。なお、正常に稼働しているか否かの判定方法はこれに限られるものではない。例えば、データ転送のタイムアウトの回数、および、データの誤り検出回数などにより判定するように構成してもよい。
【0116】
データ転送制御部30が正常に稼働していない場合(ステップS21:No)、印刷制御部322は、選択したデータ転送制御部30が異常であることを示す情報を例えばRAM323に保持する(ステップS22)。データ転送制御部30が正常に稼働している場合(ステップS21:Yes)、印刷制御部322は、選択したデータ転送制御部30が正常であることを示す情報を例えばRAM323に保持する(ステップS23)。
【0117】
印刷制御部322は、すべてのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを処理(判定)したか否かを判断する(ステップS24)。すべてのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを処理していない場合(ステップS24:No)、ステップS21に戻り処理を繰り返す。すべてのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを処理した場合(ステップS24:Yes)、更新処理を終了する。
【0118】
次に、ステップS12の取得処理について説明する。図21は、取得処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【0119】
印刷制御部322は、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのいずれかを選択し、選択したデータ転送制御部30のメモリ31の空き容量を計算する(ステップS31)。上述のように、印刷制御部322は、空き容量を例えば(3)式により計算する。
【0120】
印刷制御部322は、計算した空き容量が転送する画像データのサイズ以上であるかを判断する(ステップS32)。空き容量が転送する画像データのサイズ以上でない場合(ステップS32:No)、印刷制御部322は、バッファフルであると判断し(ステップS33)、取得処理を終了する。空き容量が転送する画像データのサイズ以上の場合(ステップS32:Yes)、印刷制御部322は、画像データを転送および格納した後の「メモリの空き容量」が大きい順に、メモリ31の空き容量をRAM323等に保持する(ステップS34)。
【0121】
印刷制御部322は、すべてのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを処理したか否かを判断する(ステップS35)。すべてのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを処理していない場合(ステップS35:No)、ステップS31に戻り処理を繰り返す。すべてのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを処理した場合(ステップS35:Yes)、取得処理を終了する。
【0122】
次に、ステップS14の格納処理について説明する。図22は、格納処理の全体の流れの一例を示すフローチャートである。
【0123】
印刷制御部322は、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dのいずれかを選択し、選択したデータ転送制御部30が正常に動作しているか否かを判断する(ステップS41)。印刷制御部322は、例えば更新処理(図19のステップS11)内で保持した情報を参照して、データ転送制御部30が正常に動作しているかを判断する。
【0124】
正常に動作していない場合(ステップS41:No)、印刷制御部322は、「メモリの空き容量」の最大値が転送する画像データのサイズ以上であるか否かを判断する(ステップS42)。「メモリの空き容量」の最大値が転送する画像データのサイズ以上でない場合(ステップS42:No)、印刷制御部322は、バッファフルであると判断し(ステップS43)、格納処理を終了する。
【0125】
「メモリの空き容量」の最大値が転送する画像データのサイズ以上である場合(ステップS42:Yes)、印刷制御部322は、「メモリの空き容量」の最大値を持つデータ転送制御部30のColor識別子を、印刷管理テーブルのデータ転送先に設定する(ステップS44)。印刷制御部322は、「メモリの空き容量」の最大値の情報を削除する(ステップS45)。
【0126】
ステップS41で正常に動作していると判断された場合(ステップS41:Yes)、印刷制御部322は、印刷管理テーブルのデータ転送先に、選択されたデータ転送制御部30に対応する色と同じColor識別子を設定する(ステップS46)。
【0127】
ステップS45またはステップS46の後、印刷制御部322は、すべてのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを処理したか否かを判断する(ステップS47)。すべてのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを処理していない場合(ステップS47:No)、ステップS41に戻り処理を繰り返す。すべてのデータ転送制御部30a、30b、30cおよび30dを処理した場合(ステップS47:Yes)、取得処理を終了する。
【0128】
(印刷シーケンス)
次に、本実施形態による印刷処理の詳細について説明する。図23、図24は、本実施形態による印刷処理の一例を示すシーケンス図である。なお、図23、図24において、符号A〜Hは、異なる図面間で対応する符号に処理が移行することを示す。
【0129】
以下では、印刷ジョブは、全2ページの印刷を行うものとする。また、以下では、色Yのデータ転送制御部30aにエラーが発生し(すなわち、色Yのデータ転送制御部30aが故障し)、縮退印刷を実行するモード(縮退印刷モード)に変更された場合を例に説明する。さらに、この例では、1ページ目の印刷では、色Cのデータ転送制御部30bが色Yのデータ転送制御部30aを代替えし、2ページ目の印刷では、色Mのデータ転送制御部30cが色Yのデータ転送制御部30aを代替えするものとする。すなわち、1ページ目の印刷では、色Cのデータ転送制御部30bのメモリ31bの空き容量が最大であり、2ページ目の印刷では、色Mのデータ転送制御部30cのメモリ31cの空き容量が最大であったものとする。
【0130】
まず、上位装置10からプリンタコントローラ14に対して制御線12を介してジョブ開始の制御情報が送信される(ステップS101)。プリンタコントローラ14は、この制御情報に対して、例えばジョブ識別子を応答する制御情報を、制御線12を介して上位装置10に送信する(ステップS102)。それと共に、プリンタコントローラ14は、ジョブの開始に伴いジョブを実行するためのリソースを獲得する。
【0131】
プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して、印刷条件等を含む印刷情報の要求を、制御線12を介して送信する(ステップS103)。上位装置10は、プリンタコントローラ14に対して、印刷条件を設定する制御情報を制御線12を介して送信する(ステップS104)。プリンタコントローラ14に対して設定される印刷条件は、例えば、印刷形態、印刷種別、給排紙情報、印刷面順、印刷用紙サイズ、印刷画像データのデータサイズ、解像度および階調、ならびに、色情報を含む。また、印刷を行うページ数の情報も、印刷条件に含ませることができる。この制御情報がプリンタコントローラ14で受信されると、受信した制御情報に含まれる各種の印刷条件が、例えばプリンタコントローラ14のレジスタなどに書き込まれ、印刷条件が設定される。
【0132】
次に、プリンタコントローラ14は、印刷用紙サイズなどの条件を参照し、搬送制御部51に対して用紙送り長を設定する(ステップS105)。用紙送り長は、例えば搬送方向における1ページのサイズである。
【0133】
図19に示す転送先決定処理は、例えばこの後、上位装置10が1ページ分の転送準備を完了したときに実行される。
【0134】
次に、プリンタコントローラ14は、印刷制御部322を介して、1ページ目の印刷管理テーブルを故障していないデータ転送制御部30b、30c、30dに送信する(ステップS301,S302,S303)。印刷管理テーブルを参照することにより、各データ転送制御部30b、30c、30dは、故障したデータ転送制御部30aの代替えとして使用されるかを把握することが可能となる。
【0135】
また、各データ転送制御部30b,30c,30dは、各色の印刷画像データのデータ転送元アドレスを印刷管理テーブルから取得することができる。例えば、1ページ目で故障したデータ転送制御部30aを代替えするデータ転送制御部30bは、色Yのデータ転送元アドレスから、色Cの印刷画像データを読み出すことができる。
【0136】
ここで、印刷管理テーブルの送信は、プリンタコントローラ14が各データ転送制御部30b、30c、30dに対してページ#1のデータ転送開始要求を送信する前までに行われれば任意のタイミングに行ってもよい。
【0137】
次に、プリンタコントローラ14は、色Yの1ページ目の印刷画像データを要求する制御情報を、上位装置10に対して制御線12を介して送信する(ステップS106)。この制御情報は、上位装置10から通知されたプロセスを指定するプロセス識別番号と、色Yを指定する色情報とを含む。上位装置10は、この制御情報に対する応答として、画像識別番号を含む制御情報をプリンタコントローラ14に返す(ステップS107)。
【0138】
この制御情報を受信すると、プリンタコントローラ14は、色Yのデータ転送制御部30aにエラーが発生していることから、データ転送制御部30aではなく、印刷管理テーブルに設定された色Cのデータ転送制御部30bに対して、色Yの印刷画像データの転送を開始するよう要求する(ステップS108)。
【0139】
データ転送制御部30bは、この要求を受けて、ステップS109にて、データ線11bを介して上位装置10に対して色Yのプレーンの印刷画像データを要求し、この要求に応じて、上位装置10からデータ転送制御部30bに対して、色Yの印刷画像データが転送される(ステップS109)。転送された印刷画像データは、データ転送制御部30bのメモリ内の、1ページ目の印刷画像データのために割り当てられた領域に格納される。
【0140】
データ転送制御部30bは、上位装置10からデータ線11bを介しての印刷画像データの転送が終了すると、その旨示す通知をプリンタコントローラ14に対して送信する(ステップS110)。
【0141】
以下、他の各色C、MおよびKについても、ステップS106〜ステップS110と同様の処理が繰り返され、各色の印刷画像データが上位装置10から各データ線11b、11cおよび11dを介してデータ転送制御部30b、30cおよび30dにそれぞれ転送される(ステップS111〜ステップS125)。ただし、この例では、色C、MおよびKのデータ転送制御部30b、30cおよび30dにエラーが発生していないため、データ転送制御部30b、30cおよび30dは、それぞれ対応する色の印刷画像データを上位装置10から取得する。
【0142】
プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30b、30cおよび30dの全てから1ページ目のデータ転送終了の通知を受信したら、搬送制御部51に対して用紙搬送開始を要求する(ステップS126)。搬送制御部51は、この要求に応じて印刷用紙の所定速度での搬送を開始する。また、プリンタコントローラ14は、搬送制御部51に対して用紙搬送開始の要求を行うと共に、各データ転送制御部30b、30cおよび30dに対して、1ページ目の印刷の開始を指示する。
【0143】
この例では、プリンタコントローラ14は、まず、色Yの指定を含む1ページ目の印刷指示をデータ転送制御部30bに送信する(ステップS127)。さらに、プリンタコントローラ14は、色Cの指定を含む1ページ目の印刷指示をデータ転送制御部30bに送信する(ステップS128)。同様に、色Mおよび色Kの指定を含む1ページ目の印刷指示を、それぞれデータ転送制御部30cおよび30dに送信する(ステップS129、ステップS130)。
【0144】
一方、プリンタコントローラ14は、1ページ目の印刷画像データの転送が終了したことの通知にそれぞれ応答して、データ転送制御部30a、30b、30cおよび30dに対してそれぞれ2ページ目(ページ#2)のデータ転送を開始するように要求する。
【0145】
この例では、まずプリンタコントローラ14は、印刷制御部322を介して、2ページ目の印刷管理テーブルを故障していないデータ転送制御部30b、30c、30dに送信する(ステップS303,S304,S305)。プリンタコントローラ14は、色Yの2ページ目の印刷画像データを要求する制御情報を、上位装置10に対して制御線12を介して送信する(ステップS131)。上位装置10は、この制御情報に対する応答として、画像識別番号を含む制御情報をプリンタコントローラ14に返す(ステップS132)。
【0146】
この制御情報を受信すると、プリンタコントローラ14は、色Yのデータ転送制御部30aが故障していることから、データ転送制御部30aではなく、印刷管理テーブルに設定された色Mのデータ転送制御部30cに対して、色Yの印刷画像データの転送を開始するよう要求する(ステップS133)。
【0147】
データ転送制御部30cは、この要求を受けて、ステップS134にて、データ線11bを介して上位装置10に対して色Yのプレーンの印刷画像データを要求し、この要求に応じて、上位装置10からデータ転送制御部30cに対して、色Yの印刷画像データが転送される(ステップS134)。データ転送制御部30cは、上位装置10からデータ線11bを介しての印刷画像データの転送が終了すると、その旨を示す通知をプリンタコントローラ14に対して送信する(ステップS135)。
【0148】
以下、他の各色C、MおよびKについても、ステップS131〜ステップS135と同様の処理が繰り返され、各色の印刷画像データが上位装置10から各データ線11b、11cおよび11dを介してデータ転送制御部30b、30cおよび30dにそれぞれ転送される(ステップS136〜ステップS150)。
【0149】
また、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30b、30cおよび30dに対して、2ページ目の印刷の開始を指示する。
【0150】
この例では、プリンタコントローラ14は、まず、色Yの指定を含む2ページ目の印刷指示をデータ転送制御部30cに送信する(ステップS151)。さらに、プリンタコントローラ14は、色Cの指定を含む2ページ目の印刷指示をデータ転送制御部30bに送信する(ステップS152)。同様に、色Mおよび色Kの指定を含む2ページ目の印刷指示を、それぞれデータ転送制御部30cおよび30dに送信する(ステップS153、ステップS154)。
【0151】
搬送制御部51は、例えば印刷用紙201が所定位置に到達したら、印刷可能状態である旨をプリンタコントローラ14に対して通知する(ステップS155)。プリンタコントローラ14は、この搬送制御部51からの印刷可能状態報告に応じて、まず色Yに対応する出力制御部55に対して印刷指示を送信する(ステップS156)。
【0152】
一方、プリンタコントローラ14は、各データ転送制御部30b、30c、30dに対して印刷の先頭位置を指示する(ステップS157、ステップS159、ステップS161)。各データ転送制御部30b、30c、30dは、印刷先頭指示に応じて出力制御部55に対して印刷を指示する(ステップS158、ステップS160、ステップS162)。
【0153】
この後、印刷指示を受信したことから、出力制御部55は、印刷管理テーブルを参照して、データ転送制御部30aではなくデータ転送制御部30bに対して1ページ目の印刷画像データの読み出しを要求する(ステップS163)。すなわち、出力制御部55は、データ転送制御部30bに接続される選択部131bと、ヘッド56aに接続される出力I/F部57aとを接続するように接続線58のいずれか(例えば接続線58−1)を選択する。出力制御部55は、印刷画像データをデータ転送制御部30bから取得し(ステップS164)、印刷用紙201に転写する(ステップS165)。出力制御部55は、1ページ目の印刷終了をプリンタコントローラ14に送信する(ステップS166)。この後、出力制御部55は、データ転送制御部30cに対して2ページ目の印刷画像データの読み出しを要求する(ステップS167)。
【0154】
一方、色Y、M、Kについては、出力制御部55は、それぞれ対応するデータ転送制御部30b、30cおよび30dから印刷画像データを読み出して印刷用紙201に転写する。
【0155】
例えば、色Yについては、出力制御部55が、データ転送制御部30bに対して1ページ目の印刷画像データの読み出しを要求する(ステップS168)。出力制御部55は、印刷画像データをデータ転送制御部30bから取得し(ステップS169)、印刷用紙201に転写する(ステップS170)。出力制御部55は、1ページ目の印刷終了をデータ転送制御部30bに送信する(ステップS171)。データ転送制御部30bは、1ページ目の印刷終了をプリンタコントローラ14に送信する(ステップS172)。以下、他の各色MおよびKについても、ステップS168〜ステップS172と同様の処理が繰り返される(ステップS173〜ステップS182)。
【0156】
このようにして1ページ目のすべての色の印刷が終了すると、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して1ページ目の印刷が終了したことを通知する(ステップS183)。
【0157】
ステップS167で2ページ目の印刷画像データの読み出しを要求されたデータ転送制御部30cは、要求に応答して2ページ目の印刷画像データを読み出して出力制御部55に送信する(ステップS184)。出力制御部55は、読み出した印刷画像データを印刷用紙201に転写し(ステップS185)、2ページ目の印刷終了をプリンタコントローラ14に送信する(ステップS186)。
【0158】
以下、2ページ目の色C、MおよびKの印刷処理であるステップS187〜ステップS201は、ステップS168〜ステップS182と同様であるため説明を省略する。
【0159】
2ページまでのすべての印刷が終了すると、プリンタコントローラ14は、搬送制御部51に対して印刷用紙の搬送の停止を要求する(ステップS202)。搬送制御部51は、この要求に応じて印刷用紙の搬送を停止させ、その旨をプリンタコントローラ14に対して報告する(ステップS203)。2ページ目のすべての色の印刷が終了すると、プリンタコントローラ14は、上位装置10に対して2ページ目の印刷が終了したことを通知する(ステップS204)。
【0160】
上位装置10は、例えばステップS104で送信した制御情報に含まれる、印刷ページ数を示す情報に対応する排紙報告をプリンタコントローラ14から受信した場合に、ステップS101で開始を通知したジョブによる印刷が終了したと判断して、当該ジョブを終了する制御情報をプリンタコントローラ14に対して送信する(ステップS205)。プリンタコントローラ14は、この制御情報を受信すると、指定されたジョブの識別番号等を含む応答の制御情報を上位装置10に送信する(ステップS206)。これにより、一連の印刷処理が終了する。
【0161】
このように本実施形態の印刷装置によれば、データ転送制御部のいずれかが故障したとしても、または、上位装置からのデータ線(データ通信路)のいずれかが故障したとしても、故障していないデータ転送制御部または故障していないデータ線を利用し、出力制御部を通して印刷データの転送を可能としている。これにより、印刷を中断することなく、稼動を継続できる印刷システムを提供できる。
【0162】
また、本実施形態では、プリンタコントローラ(印刷制御部)が、故障した色の画像データを、故障していない色のデータ転送制御部のメモリのうち空き容量が大きいメモリに動的に格納するように上位装置に対して指示する。このため、各色のデータサイズが可変な画像データを各色のデータ転送制御部のメモリに格納することを前提としたシステムであっても、メモリの空き容量を均一化し、効率的に印刷処理を実行可能となる。
【0163】
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0164】
10 上位装置
11,11a,11b,11c,11d データ線
12 制御線
13 プリンタ装置
14 プリンタコントローラ
15 プリンタエンジン
30a,30b,30c,30d データ転送制御部
31a,31b,31c,31d メモリ
40a,40b,40c,40d エンジンI/F制御線
41 搬送制御線
50 画像出力部
51 搬送制御部
55 出力制御部
56a,56b,56c,56d ヘッド
【先行技術文献】
【特許文献】
【0165】
【特許文献1】特開2004−287519号公報
【特許文献2】特開2002−254763号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記憶部のそれぞれに対応して設けられ、上位装置から転送される画像データを、対応する前記記憶部に格納する複数のデータ転送制御部と、
複数の前記記憶部に格納された前記画像データのそれぞれを、複数の前記データ転送制御部のそれぞれに対応して設けられ、前記画像データを印刷する複数の出力部のうち指示された前記出力部に出力する出力制御部と、
いずれかの前記データ転送制御部に異常が生じた場合に、異常が生じた前記データ転送制御部が転送すべき第1画像データの転送指示を、異常が生じておらず、かつ、対応する前記記憶部の空き容量が前記第1画像データのサイズより大きい前記データ転送制御部に送出し、異常が生じた前記データ転送制御部に対応する前記出力部に対して前記第1画像データを出力することを前記出力制御部に指示する印刷制御部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷制御部は、いずれかの前記データ転送制御部に異常が生じた場合に、前記第1画像データの転送指示を、異常が生じておらず、かつ、対応する前記記憶部の空き容量が前記第1画像データのサイズより大きく、かつ、前記空き容量が最大の前記データ転送制御部に送出すること、
を特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
複数のデータ転送制御部が、複数の記憶部のそれぞれに対応して設けられ、上位装置から転送される画像データを、対応する前記記憶部に格納する複数のデータ転送制御ステップと、
複数の前記記憶部に格納された前記画像データのそれぞれを、複数の前記データ転送制御部のそれぞれに対応して設けられ、前記画像データを印刷する複数の出力部のうち指示された前記出力部に出力する出力制御ステップと、
いずれかの前記データ転送制御部に異常が生じた場合に、異常が生じた前記データ転送制御部が転送すべき第1画像データの転送指示を、異常が生じておらず、かつ、対応する前記記憶部の空き容量が前記第1画像データのサイズより大きい前記データ転送制御部に送出し、異常が生じた前記データ転送制御部に対応する前記出力部に対して前記第1画像データを出力することを前記出力制御部に指示する印刷制御ステップと、
を含むことを特徴とする印刷装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−63594(P2013−63594A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203669(P2011−203669)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】