説明

印刷装置システム、並びに、それに用いられる接続機器及び印刷装置

【課題】共通の機器機能を有する複数の接続機器の配置の自由度を向上させることができる印刷装置システム、並びにそれに用いられる接続機器及び印刷装置を提供すること。
【解決手段】印刷装置の装置側制御手段は、接続確認データの送信を、当該接続確認データに対応する応答データを受信しなくなるまで繰り返し実行する(A42〜46)。接続機器の機器側制御手段は、応答データを送信した後に受信した接続確認データについては、当該接続確認データに対応する応答データを送信せずに、当該接続機器に接続された他の接続機器に接続データを転送する(B46)。また、装置側制御手段が、応答データを受信したことにより複数の接続機器の何れかとの接続を確認した際に、接続が確認された接続機器の機器側制御手段が、その機器側識別子記憶手段に、印刷装置の装置側識別子記憶手段に記憶されている当該接続機器の段数に対応する識別子を記憶させる(B43)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に対して接続機器を接続可能な印刷装置システム、並びに、それに用いられる接続機器及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、印刷装置に対して複数の接続機器が接続される印刷装置システムにおいて、複数の接続機器共通の配線で、当該接続機器と印刷装置とを接続することで、印刷装置と接続機器との間の配線数を少なくすることが可能に構成されたものがある。
【0003】
上記のような印刷装置システムとして、例えば、特許文献1〜3に記載された技術では、決められた位置に接続される接続機器に固有の識別子を予め記憶させておき、印刷装置が特定の接続機器を制御する際には、その制御内容を示す制御データと共に、当該特定の接続機器の識別子を接続機器に対して送信することで、特定の接続機器のみを制御することを可能にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−205886号公報
【特許文献2】特開2001−324901号公報
【特許文献3】特開平3−154071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印刷装置システムにおいて、共通の機器機能を有する複数の接続機器を印刷装置に対して直列に多段接続(デイジーチェーン接続)して接続させる場合がある。この各接続機器に対する印刷装置の制御内容は、印刷装置と各接続機器との位置関係により異なるので、印刷装置は、各接続機器が多段接続の何段目に配置されているか把握しておく必要がある。ここで、特許文献1〜3に記載されている技術を参酌して、印刷装置と複数の接続機器との間の配線数を少なくするために、各接続機器が多段接続の何段目に配置されるものであるのか予め決めておき、その段数に対応する識別子を各接続機器に予め記憶させておく技術が考えられる。
【0006】
しかしながら、上記技術では、各接続機器は多段接続の何段目に接続されるものか予め決められており、接続機器を多段接続の任意の段に配置することができないので、接続機器の配置の自由度が低いという問題が生じる。
【0007】
そこで本発明の目的は、共通の機器機能を有する複数の接続機器の配置の自由度を向上させることができる印刷装置システム、並びにそれに用いられる接続機器及び印刷装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の印刷装置システムは、印刷装置と、前記印刷装置に対して直列に多段接続され、共通の機器機能を有する複数の接続機器とを備えた印刷装置システムであって、前記印刷装置は、前記接続機器を接続するための装置側接続部と、前記接続機器各々の接続状況を確認するための接続確認データを前記接続機器に対し前記装置側接続部を介して送信する装置側接続確認データ送信処理、及び前記装置側接続確認データ送信処理に対応して前記接続機器から送信される応答データを前記装置側接続部を介して受信する装置側受信処理を行う装置側通信手段と、前記接続機器毎に対応付けられた識別子と、当該識別子が対応付けられた前記接続機器が何段目に配置されているかを示す段数情報とを関連付けて記憶する装置側識別子記憶手段と、前記装置側通信手段及び前記装置側識別子記憶手段を制御する装置側制御手段とを備えており、前記接続機器各々は、他の前記接続機器を接続するための機器側第1接続部と、前記装置側接続部、及び他の前記接続機器の前記機器側第1接続部の何れに対しても接続可能な機器側第2接続部と、前記識別子を記憶する機器側識別子記憶手段と、前記印刷装置から送信される前記接続確認データを前記機器側第2接続部を介して受信する機器側接続確認データ受信処理、前記接続確認データに対応する前記応答データを前記印刷装置へ送信する機器側送信処理、及び前記接続確認データを当該接続機器に接続された他の接続機器に対し前記機器側第1接続部を介して転送する転送処理を行う機器側通信手段と、前記機器側通信手段及び前記機器側識別子記憶手段を制御する機器側制御手段とを備えており、前記装置側制御手段及び前記機器側制御手段は識別子関連付処理として、前記装置側制御手段が、前記装置側接続確認データ送信処理を、前記装置側受信処理が行われなくなるまで繰り返し実行させるよう前記装置側通信手段を制御する処理、前記機器側制御手段が、前記機器側送信処理の後に前記機器側接続確認データ受信処理により受信した前記接続確認データについては、当該接続確認データに対応する前記機器側送信処理を行わせないで前記転送処理を行わせるように前記機器側通信手段を制御する処理、及び、前記装置側制御手段が、前記装置側受信処理が行われたことにより前記複数の接続機器の何れかとの接続を確認した際に、前記装置側制御手段が前記装置側識別子記憶手段に、接続が確認された前記接続機器の前記識別子とその段数を記憶させる処理、または、接続が確認された前記接続機器の前記機器側制御手段が、その機器側識別子記憶手段に、前記印刷装置の前記装置側識別子記憶手段に記憶されている当該接続機器の段数に対応する前記識別子を記憶させる処理を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の印刷装置は、印刷装置と、前記印刷装置に対して直列に多段接続され、共通の機器機能を有する複数の接続機器であって、他の前記接続機器を接続するための機器側第1接続部と、前記印刷装置の前記装置側接続部、及び他の前記接続機器の前記機器側第1接続部の何れに対しても接続可能な機器側第2接続部と、前記接続機器毎に対応付けられる識別子を記憶する機器側識別子記憶手段と、前記印刷装置から送信される、前記印刷装置と前記接続機器各々との接続状況を確認するための前記接続確認データを前記機器側第2接続部を介して受信する機器側接続確認データ受信処理、前記接続確認データに対応する前記応答データを前記印刷装置へ送信する機器側送信処理、及び前記接続確認データを当該接続機器に接続された他の接続機器に対し前記機器側第1接続部を介して転送する転送処理を行う機器側通信手段と、前記機器側通信手段及び前記機器側識別子記憶手段を制御する機器側制御手段とを備え、前記機器側制御手段が識別子関連付処理として、前記機器側送信処理の後の前記機器側接続確認データ受信処理により受信した前記接続確認データについては、当該接続確認データに対応する前記機器側送信処理を行わせないで前記転送処理を行わせるように前記機器側通信手段を制御する複数の接続機器とを備えた印刷装置システムに用いられる印刷装置であって、前記接続確認データを前記接続機器に対し前記装置側接続部を介して送信する装置側接続確認データ送信処理、及び前記装置側接続確認データ送信処理に対応して前記接続機器から送信される前記応答データを前記装置側接続部を介して受信する装置側受信処理を行う装置側通信手段と、前記接続機器毎に対応付けられた前記識別子と、当該識別子が対応付けられた前記接続機器が何段目に配置されているかを示す段数情報とを関連付けて記憶する装置側識別子記憶手段と、前記装置側通信手段及び前記装置側識別子記憶手段を制御する装置側制御手段とを備えており、前記装置側制御手段は識別子関連付処理として、前記装置側接続確認データ送信処理を、前記装置側受信処理が行われなくなるまで繰り返し実行させるよう前記装置側通信手段を制御する処理、及び、前記装置側受信処理が行われたことにより前記複数の接続機器の何れかとの接続を確認した際に、前記装置側制御手段が前記装置側識別子記憶手段に、接続が確認された前記接続機器の前記識別子とその段数を記憶させる処理を行うことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の接続機器は、共通の機器機能を有する複数の接続機器と、直列に多段接続された前記接続機器を接続可能な印刷装置であって、前記接続機器を接続するための装置側接続部と、前記接続機器各々の接続状況を確認するための接続確認データを前記接続機器に対し前記装置側接続部を介して送信する装置側接続確認データ送信処理、及び前記装置側接続確認データ送信処理に対応して前記接続機器から送信される応答データを前記装置側接続部を介して受信する装置側受信処理を行う装置側通信手段と、前記接続機器毎に対応付けられた識別子と、当該識別子が対応付けられた前記接続機器が何段目に配置されているかを示す段数情報とを関連付けて記憶する装置側識別子記憶手段と、前記装置側通信手段及び前記装置側識別子記憶手段を制御する装置側制御手段と、を備え、前記装置側制御手段が識別子関連付処理として、前記装置側接続確認データ送信処理を、前記装置側受信処理が行われなくなるまで繰り返し実行させるよう前記装置側通信手段を制御する処理、及び前記装置側受信処理が行われたことにより前記複数の接続機器の何れかとの接続を確認した際に、前記装置側制御手段が前記装置側識別子記憶手段に、接続が確認された接続機器の識別子とその段数を記憶させる処理を行う印刷装置とを備えた印刷装置システムに用いられる接続機器であって、他の前記接続機器を接続するための機器側第1接続部と、前記装置側接続部、及び他の前記接続機器の前記機器側第1接続部の何れに対しても接続可能な機器側第2接続部と、前記識別子を記憶する機器側識別子記憶手段と、前記印刷装置から送信される前記接続確認データを機器側第2接続部を介して受信する機器側接続確認データ受信処理、前記接続確認データに対応する前記応答データを前記印刷装置へ送信する機器側送信処理、及び前記接続確認データを当該接続機器に接続された他の接続機器に対し機器側第1接続部を介して転送する転送処理を行う機器側通信手段と、前記機器側通信手段及び前記機器側識別子記憶手段を制御する機器側制御手段と
を備えており、前記機器側制御手段は識別子関連付処理として、前記機器側制御手段が、前記機器側送信処理の後の前記機器側接続確認データ受信処理により受信した前記接続確認データについては、当該接続確認データに対応する前記機器側送信処理を行わせないで前記転送処理を行わせるように前記機器側通信手段を制御する処理を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の印刷装置システムは、印刷装置と、前記印刷装置に対して直列に多段接続され、共通の機器機能を有する複数の接続機器とを備えた印刷装置システムであって、前記印刷装置は、前記接続機器を接続するための装置側接続部と、前記接続機器各々の接続状況を確認するための接続確認データを前記接続機器全てに対し送信する装置側接続確認データ送信処理、前記共通の機器機能を有する前記接続機器に共通の共通許可データを一つの前記接続機器に対し前記装置側接続部を介して送信する装置側共通許可データ送信処理、及び前記装置側接続確認データ送信処理に対応して前記接続機器から送信される応答データを受信する装置側受信処理を行う装置側通信手段と、前記接続機器毎に対応付けられた識別子と、当該識別子が対応付けられた前記接続機器が何段目に配置されているかを示す段数情報とを関連付けて記憶する装置側識別子記憶手段と、前記装置側通信手段及び前記装置側識別子記憶手段を制御する装置側制御手段とを備えており、前記接続機器各々は、他の前記接続機器を接続するための機器側第1接続部と、前記装置側接続部、及び他の前記接続機器の前記機器側第1接続部の何れに対しても接続可能な機器側第2接続部と、前記識別子を記憶する機器側識別子記憶手段と、前記印刷装置から送信される前記接続確認データを受信する機器側接続確認データ受信処理、前記共通許可データを前記機器側第2接続部を介して受信する機器側共通許可データ受信処理、前記印刷装置へ前記応答データを送信する機器側送信処理、及び前記共通許可データを当該接続機器に接続された他の接続機器に対し前記機器側第1接続部を介して転送する転送処理を行う機器側通信手段と、前記機器側通信手段及び前記機器側識別子記憶手段を制御する機器側制御手段とを備えており、前記装置側制御手段及び前記機器側制御手段は識別子関連付処理として、前記装置側制御手段が、前記装置側共通許可データ送信処理を実行させた後、前記装置側接続確認データ送信処理を前記装置側受信処理が行われなくなるまで繰り返し実行させるよう前記装置側通信手段を制御する処理、前記機器側制御手段が、前記機器側接続確認データ受信処理により前記接続確認データを受信したときに前記機器側共通許可データ受信処理により前記共通許可データを受信済みの場合には、当該接続確認データに対応する前記機器側送信処理及び前記転送処理を行わせ、当該機器側送信処理の後の前記機器側接続確認データ受信処理により受信した前記接続確認データについては、当該接続確認データに対応する前記機器側送信処理を行わせないように前記機器側通信手段を制御する処理、及び、前記装置側制御手段が、前記装置側受信処理が行われたことにより前記複数の接続機器の何れかとの接続を確認した際に、前記装置側制御手段が前記装置側識別子記憶手段に、接続が確認された前記接続機器の識別子とその段数を記憶させる処理、または、接続が確認された前記接続機器の前記機器側制御手段が、その機器側識別子記憶手段に、前記印刷装置の前記装置側識別子記憶手段に記憶されている当該接続機器の段数に対応する前記識別子を記憶させる処理を行うことを特徴とする。
【0012】
上記の印刷装置システム、印刷装置、及び接続機器の構成によれば、接続機器に対応付けられた識別子と、当該接続機器が配置された多段接続における段数との関連付けは、接続機器が印刷装置に対して接続された後に行うようされている。また、印刷装置から送信される接続確認データに対し、多段接続の接続順に応答データが接続機器から印刷装置へ送信されることになるので、接続機器の識別子と当該接続機器が配置された多段接続における段数との関連付けを容易に行うことができる。これにより、各接続機器が多段接続の何段目に配置されるものであるのか予め決めておく必要がないので、接続機器の配置の自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、共通の機器機能を有する複数の接続機器の配置の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態による印刷装置システムの機械的構成を示す概略側面図である。
【図2】図1に示す印刷装置システムの電気的構成を示す図である。
【図3】図1に示す印刷装置の電気的構成を示す図である。
【図4】(a)は図1に示す増設給紙機器の電気的構成を示す図であり、(b)は図2に示す増設排紙機器の電気的構成を示す図である。
【図5】図1に示す印刷装置の動作を説明するフロー図である。
【図6】図1に示す増設給紙機器の動作を説明するフロー図である。
【図7】(a)は図5に示す装置側識別子関連付処理のフロー図であり、(b)は図6に示す機器側識別子関連付処理のフロー図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る印刷装置システムの電気的構成を示す図である。
【図9】(a)は第2実施形態に係る装置側識別子関連付処理のフロー図であり、(b)は第2実施形態に係る機器側識別子関連付処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態として、印刷装置システムをインクジェットプリンタシステムに適用し、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<第1実施形態>
先ず、図1を参照し、第1実施形態に係る印刷装置システム1の全体構成について説明する。印刷装置システム1は、図1に示すように、用紙Pに画像を記録(形成)する印刷装置2と、印刷装置2に対して着脱可能に構成された接続機器である、複数の増設給紙機器50と、複数の増設排紙機器80とを備えている。複数の増設給紙機器50は、印刷装置2に対して直列に多段接続(本実施形態においては直列に3段接続)されており、各増設給紙機器50から印刷装置2に対して用紙Pを給紙可能に構成されている。また、複数の増設排紙機器80は、印刷装置2に対して直列に多段接続(本実施形態においては直列に2段接続)されており、印刷装置2から搬送されてきた用紙Pを各増設排紙機器80から排紙可能に構成されている。
【0017】
[印刷装置の機械的構成]
次に、印刷装置2の機械的構成について、図1及び図2を参照しつつ説明する。印刷装置2は、図1に示すように、直方体形状の装置筐体2aを有する。装置筐体2aの内部空間には、用紙Pを搬送方向(図1中左方から右方に向かう方向)に搬送する搬送ユニット16、搬送ユニット16により搬送されている用紙P上に画像を形成するインクジェットヘッド10(以下、単にヘッド10と称す)、搬送ユニット16に用紙Pを給紙する給紙ユニット30、画像形成された用紙Pを排紙する排紙ユニット40、及び、印刷装置2全体の動作を制御する装置制御部200等が配置されている。
【0018】
また、装置筐体2aの天板上部には、印刷装置2に対して一段目に接続される増設排紙機器80の位置決めに用いられる位置決め穴2bが形成されていると共に、接続線5〜8(図2参照)を介して装置制御部200に接続された排紙コネクタ3(装置側接続部)が設けられている。接続線5〜8各々は、排紙コネクタ3、後述の給紙コネクタ4(装置側接続部)、及び装置制御部200の各間を相互に接続する信号線である。この排紙コネクタ3に対して増設排紙機器80の後述の第2排紙コネクタ94が接続されることで、装置制御部200と、印刷装置2に対して多段接続されている各増設排紙機器80の後述の排紙機器制御部800とが通信可能に接続される。
【0019】
接続線5は、印刷装置2が、当該印刷装置2に対して一段目に接続された、増設給紙機器50及び増設排紙機器80に後述の共通許可データを送信するための共通の信号線である。接続線6は、増設給紙機器50及び増設排紙機器80から後述の応答データ、及び機器データを受信するための信号線である。接続線7は、印刷装置2が増設給紙機器50及び増設排紙機器80に、後述の接続確認データ及びコマンドデータを送信するための信号線である。また、接続線8は、印刷装置2が増設給紙機器50及び増設排紙機器80にリセットデータを送信するための信号線である。なお、コマンドデータとは、増設給紙機器50及び増設排紙機器80に対して特定の処理動作をさせるためのデータであり、機器データとは、応答データ以外の、増設給紙機器50及び増設排紙機器80から印刷装置2に対して送信されるデータである。
【0020】
一方、装置筐体2aの底板下部には、印刷装置2に対して一段目に接続される増設給紙機器50の位置決めに用いられる位置決め穴2cが形成されていると共に、接続線5〜8を介して装置制御部200に接続された給紙コネクタ4が設けられている。この給紙コネクタ4に対して増設給紙機器50の後述の第2給紙コネクタ64が接続されることで、装置制御部200と、印刷装置2に対して多段接続されている各増設給紙機器50の後述の給紙機器制御部500とが通信可能に接続される。なお、装置筐体2aには、給紙コネクタ4と第2給紙コネクタ64との接続状態を検出する接続検出センサ71(図2参照)、及び排紙コネクタ3と第2排紙コネクタ94との接続状態を検出する接続検出センサ72(図2参照)がそれぞれ設けられている。接続検出センサ71は給紙コネクタ4と第2給紙コネクタ64とが接続されている場合にのみ、接続検出センサ72は排紙コネクタ3と第2排紙コネクタ94とが接続されている場合にのみ、装置制御部200に対してそれぞれ検出信号を出力する。
【0021】
また、装置筐体2aの底板には、下方に位置する増設給紙機器50から給紙される用紙Pが通過する用紙給紙口2eが開口しており、装置筐体2aの天板には、上方に位置する増設排紙機器80に排紙される用紙Pが通過する用紙排紙口2dが開口している。
【0022】
給紙ユニット30は、装置筐体2aに対して副走査方向に着脱可能に装着される装置給紙トレイ31、及び、装置給紙ローラ32を有している。装置給紙トレイ31は、上方に開口する箱であり、複数の用紙Pを収納する。装置給紙ローラ32は、装置給紙トレイ31内で最も上方にある用紙Pを後述の用紙搬送路33へ送り出す。ここで、副走査方向とは搬送ユニット16で用紙Pを搬送するときの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。
【0023】
装置筐体2aには、装置給紙ローラ32から搬送ユニット16に向かって延出する用紙搬送路33が配されている。用紙搬送路33には、用紙Pの搬送方向上流側から順に送りローラ対37、送りローラ対38が、適宜間隔に配置されている。また、給紙ユニット30には、下方に位置する増設給紙機器50から給紙されてきた用紙Pを用紙搬送路33へと案内する用紙搬送路35が、用紙給紙口2eから用紙搬送路33に向けて延出されている。
【0024】
この構成において、装置制御部200の制御の下、装置給紙ローラ32により装置給紙トレイ31から用紙搬送路33に送り出された用紙P、又は下方に位置する増設給紙機器50から用紙搬送路35を介して用紙搬送路33に送り出された用紙Pは、送りローラ対37、及び送りローラ対38により順次挟持搬送されて搬送ユニット16に搬送される。
【0025】
搬送ユニット16は、2つのベルトローラ17、18と、搬送ベルト19と、テンションローラ20と、プラテン21と、ニップローラ22と、剥離プレート23とを有している。搬送ベルト19は、両ローラ17、18の間に巻回されたエンドレスのベルトであり、テンションローラ20によってテンションが付加されている。プラテン21は、ヘッド10に対向配置され、搬送ベルト19の上側ループを内側から支える。ベルトローラ18は、図1中時計回りに回転する駆動ローラであって、搬送ベルト19を走行させる。ベルトローラ17は、搬送ベルト19が走行すると回転する従動ローラである。搬送ベルト19の搬送面19aには、弱粘着性のシリコン層が形成されている。ニップローラ22は、装置給紙トレイ31、又は増設給紙機器50から用紙搬送路33を介して搬送されてきた用紙Pを搬送面19aに押さえ付ける。押さえ付けられた用紙Pは、シリコン層によって搬送ベルト19に保持される。剥離プレート23は、搬送ベルト19上の用紙Pを、搬送ベルト19から剥離する。
【0026】
ヘッド10は、主走査方向に長尺な略直方体形状を有するラインヘッドであり、その下面は多数の吐出口が開口した吐出面10aである。また、ヘッド10は、ヘッドホルダ13を介して装置筐体2aに支持されている。ヘッドホルダ13は、吐出面10aと搬送ベルト19の搬送面19aとの間に画像記録に適した所定の間隙が形成されるように、ヘッド10を保持している。搬送ベルト19により搬送される用紙Pがヘッド10のすぐ下方を通過する際に、ヘッド10から用紙Pの上面に向けてブラックのインク滴が順に吐出され、用紙P上に所望のモノクロ画像が形成される。画像が形成された用紙Pは、搬送ユニット16によりさらに図1右方に搬送され、剥離プレート23により搬送ベルト19から剥離されて後述の用紙搬送路41に送り出される。
【0027】
排紙ユニット40は、装置排紙ローラ対46、装置排紙トレイ47、及び装置搬送先振分機構48を有している。また、装置筐体2aには、搬送ユニット16から装置搬送先振分機構48に向かって延出する用紙搬送路41、装置搬送先振分機構48から装置排紙ローラ対46に向かって延出する用紙搬送路42、及び装置搬送先振分機構48から用紙排紙口2dに向かって延出する用紙搬送路43が配されている。用紙搬送路41には、用紙Pの搬送方向上流側から順に送りローラ対44、送りローラ対45が適宜間隔に配置されている。装置搬送先振分機構48は、可動ガイド49を有しており、当該可動ガイド49を制御することで、用紙搬送路43を通って搬送されてきた用紙Pの搬送先を、用紙搬送路42及び用紙搬送路43との間で切り替える。
【0028】
この構成において、可動ガイド49により搬送先が用紙搬送路42にされている場合には、用紙Pは、用紙搬送路42を通り、装置排紙ローラ対46により装置排紙トレイ47に排紙される。一方、可動ガイド49により搬送先が用紙搬送路43にされている場合には、用紙Pは、用紙搬送路43を通り、上方に位置する増設排紙機器80へと排紙される。
【0029】
「増設給紙機器の機械的構成」
次に、増設給紙機器50の機械的構成について説明する。増設給紙機器50は、図1に示すように、増設給紙筐体50aを有する。増設給紙筐体50aには、増設給紙筐体50aに対して着脱可能に装着される増設給紙トレイ51、増設給紙ローラ52、及び増設給紙機器50全体の動作を制御する給紙機器制御部500等が配置されている。増設給紙トレイ51は、装置給紙トレイ31と同様に、上方に開口する箱であり、複数の用紙Pを収納する。増設給紙ローラ52は、増設給紙トレイ51内で最も上方にある用紙Pを後述の用紙搬送路53へ送り出す。
【0030】
増設給紙筐体50aの底板下部における、図1中上下方向に関して、装置筐体2aに設けられた給紙コネクタ4と一致する位置には第1給紙コネクタ63(機器側第1接続部)が設けられている。また、増設給紙筐体50aの天板上部には、印刷装置2の給紙コネクタ4、及び他の増設給紙機器50の第1給紙コネクタ63の何れに対しても接続可能な第2給紙コネクタ64(機器側第2接続部)が設けられている。この第1給紙コネクタ63は接続線66〜69を介して給紙機器制御部500に接続されており、第2給紙コネクタ64は接続線65〜68を介して給紙機器制御部500に接続されている。接続線66〜68各々は、第1給紙コネクタ63、第2給紙コネクタ64、及び給紙機器制御部500の各間を相互に接続する信号線である。一方、接続線65は、第2給紙コネクタ64と給紙機器制御部500との間のみを接続する信号線であり、接続線69は、第1給紙コネクタ63と給紙機器制御部500との間のみを接続する信号線である。
【0031】
第2給紙コネクタ64が印刷装置2の給紙コネクタ4に対して接続されたときには、接続線65〜68は印刷装置2の接続線5〜8に対してそれぞれ接続される。一方、第2給紙コネクタ64が他の増設給紙機器50の第1給紙コネクタ63に対して接続されたときには、接続線66〜68が他の増設給紙機器50の接続線66〜68に対してそれぞれ接続されると共に、接続線65が他の増設給紙機器50の接続線69に対して接続される。
【0032】
上記の構成により、印刷装置2に対して2段目以降に接続されている増設給紙機器50においても、当該増設給紙機器50よりも前段にある増設給紙機器50の接続線66〜68を中継して、接続確認データ、応答データ、及びリセットデータ等の各種データの送受信を印刷装置2との間で行うことができる。一方、共通許可データ(後述)については、印刷装置2と当該印刷装置2に対して一段目に接続された増設給紙機器50との間、及び隣り合う増設給紙機器との間のみ送受信を行うことができる。なお、増設給紙筐体50aには、第1給紙コネクタ63と他の増設給紙機器50の第2給紙コネクタとの接続状態を検出する接続検出センサ73(図2参照)が設けられている。接続検出センサ73は第1給紙コネクタ63と他の増設給紙機器50の第2給紙コネクタとが接続されている場合にのみ、給紙機器制御部500に対して検出信号を出力する。
【0033】
また、増設給紙筐体50aの天板には、上方に位置する印刷装置2、又は増設排紙機器80に給紙される用紙Pが通過する用紙排紙口50dが開口しており、増設給紙筐体50aの底板には、下方に位置する増設給紙機器50から給紙される用紙Pが通過する用紙給紙口50eが開口している。
【0034】
増設給紙筐体50aの底板下部には、当該増設給紙機器50に対して接続される他の増設給紙機器50の位置決めに用いられる位置決め穴50cが形成されている。この位置決め穴50cは、図1中上下方向に関して、装置筐体2aに形成された位置決め穴2cと一致する位置に形成されている。一方、増設給紙筐体50aの天板上部には、位置決め穴50c及び印刷装置2の位置決め穴2cに対応する位置決めピン50bが形成されている。
【0035】
増設給紙筐体50aには、増設給紙ローラ52から用紙排紙口50dに向かって延出する用紙搬送路53と、用紙給紙口50eから用紙搬送路53に向かって延出する用紙搬送路55とが配されている。また、用紙搬送路53には、送りローラ対56が配置されている。この構成において、給紙機器制御部500の制御の下、増設給紙ローラ52により増設給紙トレイ51から用紙搬送路53に送り出された用紙P、又は下方に位置する増設給紙機器50から用紙搬送路55を介して用紙搬送路53に送り出された用紙Pは、送りローラ対56により挟持搬送されて、上方に位置する印刷装置2の用紙搬送路35、又は増設給紙機器50の用紙搬送路55へと給紙される。
【0036】
「増設排紙機器の機械的構成」
次に、増設排紙機器80の機械的構成について説明する。増設排紙機器80は、図1に示すように、増設排紙筐体80aを有する。増設排紙筐体80aには、増設排紙ローラ対86、増設排紙トレイ87、増設搬送先振分機構88、及び増設排紙機器80全体の動作を制御する排紙機器制御部800等が配置されている。
【0037】
増設排紙筐体80aの天板上部における、図1中上下方向に関して、装置筐体2aに設けられた排紙コネクタ3と一致する位置には、第1排紙コネクタ93(機器側第1接続部)が設けられている。また、増設排紙筐体80aの底板下部には、印刷装置2の排紙コネクタ3、及び他の増設排紙機器の第1排紙コネクタ93の何れに対しても接続可能な第2排紙コネクタ94(機器側第2接続部)が設けられている。この第1排紙コネクタ93は接続線96〜99を介して排紙機器制御部800に接続されており、第2排紙コネクタ94は接続線95〜98を介して給紙機器制御部500に接続されている。なお、第1排紙コネクタ93、第2排紙コネクタ94、及び接続線95〜99は、上述した第1給紙コネクタ63、第2給紙コネクタ64及び接続線65〜69それぞれと略同様の構成であるので、その説明を省略する。
【0038】
増設排紙筐体80aの天板には、上方に位置する増設排紙機器80に排紙される用紙Pが通過する用紙排紙口80dが開口しており、増設給紙筐体50aの底板には、下方に位置する印刷装置2又は増設排紙機器80から排紙される用紙Pが通過する用紙給紙口80eが開口している。また、増設排紙筐体80aには、第1排紙コネクタ93と他の増設給紙機器50の第2排紙コネクタ94との接続状態を検出する接続検出センサ74(図2参照)が設けられている。接続検出センサ74は第1排紙コネクタ93と他の増設給紙機器50の第2排紙コネクタ94とが接続されている場合にのみ、排紙機器制御部800に対して検出信号を出力する。
【0039】
また、増設排紙筐体80aの天板上部には、当該増設排紙機器80に対して接続される他の増設給紙機器50の位置決めに用いられる位置決め穴80bが形成されている。この位置決め穴80bは、図1中上下方向に関して、装置筐体2aに形成された位置決め穴2bと一致する位置に形成されている。一方、増設排紙筐体80aの底板下部には、位置決め穴80b及び印刷装置2の位置決め穴2bに対応する位置決めピン80cが形成されている。
【0040】
また、増設排紙筐体80aには、用紙給紙口80eから増設搬送先振分機構88に向けて延出する用紙搬送路81、増設搬送先振分機構88から増設排紙ローラ対86に向かって延出する用紙搬送路82、及び増設搬送先振分機構88から用紙排紙口80dに向かって延出する用紙搬送路83が配されている。用紙搬送路81には、送りローラ対84が配置されている。増設搬送先振分機構88は、増設可動ガイド89を有しており、当該増設可動ガイド89を制御することで、用紙搬送路81を通って搬送されてきた用紙Pの搬送先を、用紙搬送路82及び用紙搬送路83との間で切り替える。
【0041】
この構成において、増設可動ガイド89により搬送先が用紙搬送路82にされている場合には、用紙Pは、用紙搬送路82を通り、増設排紙ローラ対86により増設排紙トレイ87に排紙される。一方、増設可動ガイド89により搬送先が用紙搬送路43にされている場合には、用紙Pは、用紙搬送路83を通り、上方に位置する増設排紙機器80へと排紙される。
【0042】
[印刷装置の電気的構成]
印刷装置2は、図3に示すように装置制御部200により動作が制御されている。装置制御部200は、回路基板上に配置されたマイクロコンピュータ201を主たる構成要素とし、これに各種回路を加えて構成されている。マイクロコンピュータ201は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU(Central Processing Unit)202(装置側制御手段)、ROM(Read Only Memory)203、及び、RAM(Random Access Memory)204を有している。ROM203は、CPU202が実行する各種プログラムを格納する。
【0043】
RAM204はデータを一時的に記憶するものであり、共通許可データ記憶部204a、識別子記憶部204b(装置側識別子記憶手段)、送信回数記憶部204c、及び送信データ記憶部204dを有している。
【0044】
共通許可データ記憶部204aは、全ての増設給紙機器50に共通の共通許可データ(以下、給紙共通許可データと称す)、及び全ての増設排紙機器80に共通の共通許可データ(以下排紙共通許可データと称す)を記憶する。また、共通許可データ記憶部204aは、後述する装置側識別子関連付処理において、これら共通許可データが未送信か送信済みか示す関連付ステータス状態を記憶する。なお、給紙共通許可データと排紙共通許可データとは互いに異なるデータである。
【0045】
識別子記憶部204bは、共通許可データ記憶部204aに記憶されている給紙共通許可データに対応する下部識別子記憶部250、及び排紙共通許可データに対応する上部識別子記憶部251を有している。下部識別子記憶部250は、増設給紙機器50毎に対応付けられた識別子と、当該識別子が対応付けられた増設給紙機器50が、印刷装置2に対して多段接続の何段目に接続(配置)されているかを示す段数情報とを関連付けて記憶する。上部識別子記憶部251は、増設排紙機器80毎に対応付けられた識別子と、当該識別子が対応付けられた増設排紙機器80が、印刷装置2に対して多段接続の何段目に接続されているかを示す段数情報とを関連付けて記憶する。
【0046】
送信回数記憶部204cは、後述の装置側接続確認データ送信処理の回数n(nは自然数:以下、送信回数nとも称す)を記憶するものであり、初期状態において、送信回数nは『1』に設定されている。また、送信データ記憶部204dは、後述の装置側共通許可データ送信処理により直近に送信した共通許可データを記憶する。
【0047】
また、CPU202には、ヘッド制御回路205、搬送制御回路206、接続検出回路207、及び装置通信制御回路208(装置側通信手段)が接続されており、CPU202はこれらを制御している。
【0048】
ヘッド制御回路205は、PC等の外部装置(不図示)から転送されてきた印刷データに基づいて、用紙Pに対してインクを吐出するように、ヘッド10を制御する。
【0049】
搬送制御回路206は、給紙ユニット30から排紙ユニット40まで用紙Pが搬送されるように、搬送ユニット16、送りローラ対37,38,44,45、及び排紙ユニット40を制御する。また、搬送制御回路206は、装置排紙トレイ47に対して用紙Pを排紙する場合には、用紙Pの搬送先が用紙搬送路42となるように可動ガイド49を制御し、増設排紙機器80何れかの増設排紙機器80に対して用紙Pを排紙する場合には、用紙Pの搬送先が用紙搬送路42となるように可動ガイド49を制御する。
【0050】
接続検出回路207は、接続検出センサ71,72からの検出信号を受信する。
【0051】
装置通信制御回路208は、装置側接続確認データ送信処理(以下、接続確認データ送信処理)、コマンド送信処理、リセットデータ送信処理、装置側応答データ受信処理(以下、応答データ受信処理)、機器データ受信処理、及び共通許可データ送信処理(以下、共通許可データ送信処理)を行う。接続確認データ送信処理、及びコマンド送信処理はそれぞれ、接続確認データ及びコマンドデータを接続線7に出力することで、これらデータを増設給紙機器50及び増設排紙機器80に対して送信する処理である。リセットデータ送信処理は、リセットデータを接続線8に出力することで、当該リセットデータを増設給紙機器50及び増設排紙機器80に対して送信する処理である。なお、装置通信制御回路208により接続線7,8に出力されたデータは、給紙コネクタ4を介して全ての増設給紙機器50に対して、また排紙コネクタ3を介して全ての増設排紙機器80に対して送信される。
【0052】
また、応答データ受信処理、及び機器データ受信処理はそれぞれ、増設給紙機器50又は増設排紙機器80から送信される応答データ及び機器データを、接続線6を介して受信する処理である。
【0053】
共通許可データ送信処理は、共通許可データ記憶部204aに記憶されている共通許可データを接続線5に出力することで、当該共通許可データを増設給紙機器50及び増設排紙機器に送信する処理である。なお、装置通信制御回路208により接続線5に出力されたデータは、給紙コネクタ4を介して、印刷装置2に対して一段目に接続された増設給紙機器50に対して、また排紙コネクタ3を介して、印刷装置2に対して一段目に接続された増設排紙機器80に対してのみに送信される。
【0054】
[増設給紙機器の電気的構成]
増設給紙機器50は、図4(a)に示すように給紙機器制御部500により動作が制御されている。給紙機器制御部500は、回路基板上に配置されたマイクロコンピュータ501を主たる構成要素とし、これに各種回路を加えて構成されている。マイクロコンピュータ501は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU502(機器側制御手段)、ROM503、及び、RAM504を有している。ROM503は、CPU502が実行する各種プログラムを格納する。
【0055】
RAM504はデータを一時的に記憶するものであり、共通許可データ記憶部504a、識別子記憶部504b、及びフラグ記憶部504cを有している。共通許可データ記憶部204aは、印刷装置2の共通許可データ記憶部504aに記憶されている給紙共通許可データと同一のデータを記憶する。識別子記憶部504bには、増設給紙機器50それぞれに固有の固有識別子が予め記憶されている。また、フラグ記憶部504cは、印刷装置2からの給紙共通許可データの受信の有無を示す共通許可データフラグと、後述の転送処理が行われたか否かを示す転送フラグを記憶する。共通許可データフラグ及び転送フラグは、初期状態においてオフ状態にそれぞれされている。
【0056】
また、CPU502には、給紙制御回路505、接続検出回路506、及び機器通信制御回路507(機器側通信手段)が接続されており、CPU502はこれらを制御している。なお、CPU502の給紙制御回路505の制御は、印刷装置2から送信されてきたコマンドデータに基づいて主に実行される。
【0057】
給紙制御回路505は、用紙Pが増設給紙機器50から印刷装置2へ給紙されるように、増設給紙ローラ52、及び送りローラ対56を制御する。接続検出回路506は、接続検出センサ73からの検出信号を受信する。
【0058】
機器通信制御回路507は、機器側接続確認データ受信処理(以下、接続確認データ受信処理)、コマンドデータ受信処理、機器側応答データ送信処理(以下、応答データ送信処理)、機器データ送信処理、リセットデータ受信処理、共通許可データ受信処理(以下、共通許可データ受信処理)、及び転送処理を行う。接続確認データ受信処理、及びコマンドデータ受信処理それぞれは、印刷装置2から送信される接続確認データ及びコマンドデータを、接続線67を介して受信する処理である。また、応答データ送信処理、及び機器データ送信処理それぞれは、応答データ及び機器データを接続線66に出力することで、これらデータを印刷装置2へ送信する処理である。また、リセットデータ受信処理は、印刷装置2から送信されるリセットデータを、接続線68を介して受信する処理である。
【0059】
共通許可データ受信処理は、隣接する印刷装置2から送信される、又は隣接する前段の増設給紙機器50から転送される共通許可データを、接続線65を介してから受信する処理である。転送処理は、共通許可データを接続線69に出力することで、当該共通許可データを後段の増設給紙機器50に対して転送する処理である。なお、機器通信制御回路507により接続線69に出力されたデータは、第2給紙コネクタ64を介して、隣接する後段の増設給紙機器50に対してのみに送信される。即ち、印刷装置2に対して2段目以降に接続された増設給紙機器50については、印刷装置2から共通許可データを直接受信することはできず、隣接する前段の増設給紙機器50から転送されてきた共通許可データのみを受信することができるように構成されている。
【0060】
[増設排紙機器の電気的構成]
増設給紙機器50は、図4(b)に示すように排紙機器制御部800により動作が制御されている。排紙機器制御部800は、上述した給紙機器制御部500において、給紙制御回路505が排紙制御回路605である以外は略同様の構成であるため、給紙機器制御部500との対応部分は、給紙機器制御部500の対応部分の符号に300を加算した符号を付して、説明を省略する。なお、RAM804の共通許可データ記憶部804aには、印刷装置2の共通許可データ記憶部504aに記憶されている排紙共通許可データと同一のデータが記憶されている。また、識別子記憶部804bには、増設排紙機器80それぞれに固有の固有識別子が予め記憶されている。
【0061】
排紙制御回路605は、印刷装置2から搬送されてきた用紙Pを増設排紙トレイ87に排紙されるように、又は、印刷装置2から搬送されてきた用紙Pを上方に位置する増設排紙機器80に搬送されるように、増設可動ガイド89、送りローラ対84、及び増設排紙ローラ対86を制御する。
【0062】
[印刷装置システムの動作]
次に、図5〜図7を参照して、印刷装置システム1の動作について説明する。
【0063】
(印刷装置の動作)
まず、印刷装置2の動作に図5を参照しつつ説明する。印刷装置システム1の電源がONにされる(A1)と、まず、CPU202は、後述の図7(a)を参照して説明する装置側識別子関連付処理を行う(A2)。この装置側識別子関連付処理が行われることにより、下部識別子記憶部250には、増設給紙機器50各々に対応付けられた識別子と、当該識別子が対応付けられた増設給紙機器50が何段目に配置されているかを示す段数情報とが関連付けられて記憶される。また、上部識別子記憶部251には、増設排紙機器80各々に対応付けられた識別子と、当該識別子が対応付けられた増設排紙機器80が何段目に配置されているかを示す段数情報とが関連付けられて記憶される。
【0064】
次に、CPU202は、直近の装置側識別子関連付処理が行われてから所定時間経過したか否かを判断する(A3)。所定時間経過したと判定した場合(A3:YES)には、ステップA8の処理に移る。一方、所定時間経過していないと判断した場合(A3:NO)には、CPU202は接続検出回路207を介して入力される、接続検出センサ71,72の検出信号の出力状態が変化したか否かを判断する(A4)。接続検出センサ71,72の検出信号の出力状態が変化したと判断した場合(A4:YES)には、ステップA8の処理に移る。
【0065】
一方、ステップA4において、接続検出センサ71,72の検出信号の出力状態が変化していないと判断した場合(A4:NO)には、装置通信制御回路208が増設給紙機器50及び増設排紙機器80の何れかから機器データを受信したか否かを判断する(A5)。機器データを受信したと判断した場合(A5:YES)には、CPU202は、下部識別子記憶部250及び上部識別子記憶部251を参照して、当該機器データに含まれている識別子から送信元の増設給紙機器50又は増設排紙機器80を特定する(A6)。次に、CPU202は、受信した機器データが、接続検出センサ73又は接続検出センサ74の検出信号の出力状態が変化したことを示す接続状態遷移データであるか否かを判断する(A7)。接続状態遷移データであると判断した場合(A7:YES)には、ステップA8の処理に移る。一方、接続状態遷移データではないと判断した場合(A7:NO)には、ステップA3の処理に戻る。
【0066】
ステップA8の処理において、CPU202はリセットデータ処理が行われるように装置通信制御回路208を制御する。その後、CPU202は、共通許可データ記憶部204a、識別子記憶部204b、送信回数記憶部204c、送信データ記憶部204dの記録内容を初期化し(A9)、後述の図7(a)を参照して説明する装置側識別子関連付処理を行う(A10)。これにより、下部識別子記憶部250及び上部識別子記憶部251にそれぞれ記憶されている、各増設給紙機器50毎に対応付けられた識別子とその識別子の段数情報との関連付け、及び各増設排紙機器80毎に対応付けられた識別子とその識別子の段数情報との関連付けを更新することができる。その結果、当該関連付けを新しい状態に維持することができるとともに、正確なものにすることができる。このステップA10の処理が終了すると、ステップA3の処理に戻る。
【0067】
一方、ステップA5において、機器データを受信していないと判断した場合(A5:NO)には、CPU202は、特定の増設給紙機器50又は特定の増設排紙機器80に対して送信するコマンドデータが有るか否かを判断する(A11)。コマンドデータがないと判断した場合(A11:NO)には、ステップA3の処理に戻る。一方、コマンドデータが有ると判断した場合(A11:YES)には、下部識別子記憶部250又は上部識別子記憶部251を参照して、その特定の増設給紙機器50に対応付けられた識別子、又はその特定の増設排紙機器80に対応付けられた識別子をコマンドデータに含めて(A12)、当該コマンドデータに関するコマンド送信処理が行われるように装置通信制御回路208を制御する(A13)。このステップA13の処理が終了すると、ステップA3の処理に戻る。以上、印刷装置2の動作について説明した。
【0068】
[増設給紙機器の動作]
次に、増設給紙機器50の動作について、図6を参照しつつ説明する。なお、増設排紙機器80の動作については、増設給紙機器50の動作と略同様であるため説明は省略する。
【0069】
印刷装置システム1の電源がONにされる(B1)と、まず、CPU502は、後述の図7(b)を参照して説明する機器側識別子関連付処理を行う(B2)。
【0070】
次に、CPU502は、機器通信制御回路507がリセットデータを受信したか否かを判断する(B3)。リセットデータを受信したと判断した場合(B3:YES)には、CPU502はRAM504のフラグ記憶部504cの記録内容を初期化する(B4)。その後、CPU502は、後述の図7(b)を参照して説明する機器側識別子関連付処理を行い(B5)、ステップB3の処理に戻る。
【0071】
一方、リセットデータを受信していないと判断した場合(B3:NO)には、CPU502は、機器通信制御回路507が、印刷装置2からコマンドデータを受信したか否かを判断する(B6)。コマンドデータを受信したと判断した場合(B6:YES)には、CPU502は、識別子記憶部504bに記憶されている固有識別子と、当該コマンドデータに含まれている識別子が一致するか否かを判断する(B7)。識別子が一致すると判断した場合(B7:YES)には、当該コマンドデータを読み取り、そのデータ内容に基づいて給紙制御回路505等を制御する(B8)。このステップB8の処理が終了すると、ステップB3の処理に戻る。一方、識別子が一致しないと判断した場合(B7:NO)には、受信したコマンドデータを読み取らずに、ステップB3の処理に戻る。
【0072】
ステップB6の処理において、コマンドデータを受信していないと判断した場合(B6:NO)には、CPU502は、接続検出回路506を介して入力される、接続検出センサ73の検出信号の出力状態が変化したか否かを判断する(B9)。接続検出センサ73の検出信号の出力状態が変化したと判断した場合(B9:YES)には、機器データである接続状態遷移データに識別子記憶部504bに記憶されている固有識別子を含め(B10)、当該接続状態遷移データに関する機器データ送信処理が行われるように機器通信制御回路507を制御して(B11)、ステップB3の処理に戻る。
【0073】
一方、ステップB9の処理において、接続検出センサ73の検出信号の出力状態が変化していないと判断した場合(B9:YES)には、CPU502は、印刷装置2に対して送信する、上記接続状態遷移データ以外の機器データが有るか否かを判断する(B12)。機器データが有ると判断した場合(B12:YES)には、当該機器データに識別子記憶部504bに記憶されている固有識別子を含め(B13)、当該機器データに関する機器データ送信処理が行われるように機器通信制御回路507を制御し(B14)、ステップB3の処理に戻る。また、ステップB12において、機器データがないと判断した場合(B12:NO)には、ステップB3の処理に戻る。以上、増設給紙機器50の動作について説明した。
【0074】
(装置側識別子関連付処理)
次に、装置側識別子関連付処理について、図7(a)を参照しつつ説明する。まず、CPU202は、共通許可データ記憶部204aに記憶されている共通許可データのうち、一の共通許可データが送信されるように、装置通信制御回路208を制御する(A21)。その後、送信した共通許可データを送信データ記憶部204dに記憶するとともに、共通許可データ記憶部204aに記憶されている当該共通許可データ関する関連付ステータス状態を『未送信』から『送信済み』に遷移させる(A22)。以下においては、説明の便宜上、ステップA21の処理において、CPU202は、給紙共通許可データが送信されるように、装置通信制御回路208を制御したものとして説明する。
【0075】
ステップA22の処理の後、CPU202は、1回目の接続確認データに関する接続確認データ送信処理が行われるように、装置通信制御回路208を制御する(A23)。なお、接続確認データ送信処理において、1回目に送信される接続確認データは、多段接続の1段目となる増設給紙機器50が印刷装置2に対して接続されているか否かを確認するためのデータである。以下同様に、接続確認データ送信処理において、n回目(nは自然数)に送信される接続確認データは、多段接続におけるn段目となる増設給紙機器50が印刷装置2に対して接続されているか否かを確認するためのデータである。
【0076】
ステップA23の処理の後、CPU202は、当該接続確認データ送信処理に対応する応答データを、装置通信制御回路208が受信したか否かを判断する(A24)。具体的には、接続確認データ送信処理において印刷装置2が接続確認データ送信してから、その接続確認を行う増設給紙機器50が当該接続確認データを受信するまで掛かる時間と、接続確認データを受信した増設給紙機器50において、その接続確認データ送信処理に対応した応答データを送信するまでに掛かる時間と、増設給紙機器50が応答データを送信してから印刷装置2が当該応答データを受信するまでの時間を加算した応答必要時間とする。そして、CPU202は、接続確認データ送信処理において印刷装置2が接続確認データを送信してから上記応答必要時間を経過しても応答データを受信しなかった場合には、応答データを装置通信制御回路208が受信していないと判断する。
【0077】
ステップA24の処理において、応答データを受信したと判断した場合(A24:YES)には、CPU202は、当該応答データに含まれる識別子に対応付けられた増設給紙機器50の段数が、送信回数記憶部204cに記憶されている送信回数nの数値と同値であるとして、識別子記憶部204bに記憶する(A25)。より具体的には、CPU202は、送信データ記憶部204dに給紙共通許可データ及び排紙共通許可データのうちの何れが記憶されているかを判断する。そして、送信データ記憶部204dに給紙共通許可データが記憶されていると判断した場合には、応答データに含まれる識別子を、印刷装置2に対してn段目に接続された増設給紙機器50の識別子として、下部識別子記憶部250に記憶する。一方、送信データ記憶部204dに排紙共通許可データが記憶されていると判断した場合には、応答データに含まれる識別子を、印刷装置2に対してn段目に接続された増設排紙機器80の識別子として、上部識別子記憶部251に記憶する。従って、例えば、送信データ記憶部204dに給紙共通許可データが記憶されている際において、1回目の接続確認データ送信処理に対応する応答データに含まれていた識別子は、印刷装置2に対して1段目に接続された増設給紙機器50の識別子として下部識別子記憶部250に記憶される。
【0078】
このステップA25の処理の後、CPU202は、送信回数記憶部204cに記憶されている送信回数nに1加算(A26)して、ステップA23の処理に戻る。以降、CPU202は、ステップA23〜ステップA26の処理を、ステップA24において、接続確認データ送信処理に対応する応答データを受信していないと判断するまで繰り返す。そして、ステップA24において、接続確認データ送信処理に対応する応答データを受信していないと判断(A24:NO)には、CPU202は、印刷装置2に対して多段接続されている増設給紙機器50の段数は、印刷装置2が接続確認データ送信処理において送信した送信回数nから1を減算した値であると判断する。即ち、n回目の接続確認データ送信処理に対応する応答データを受信しなかった場合には、CPU202は、印刷装置2に対して多段接続されている増設給紙機器50の段数はn−1段であると判断する。この後、ステップS27の処理に移る。
【0079】
ステップS27の処理においては、CPU202は、共通許可データ記憶部204aに記憶されている共通許可データのうち、関連付ステータス状態が『未送信』の共通許可データがあるか否かを判断する。関連付ステータス状態が『未送信』の共通許可データがあると判断した場合(A27:YES)には、CPU202は、その『未送信』の共通許可データのうち、一の共通許可データが送信されるように、装置通信制御回路208を制御する(A28)。即ち、共通許可データ送信処理として、排紙共通許可データが送信される。その後、送信した共通許可データを送信データ記憶部204dに記憶すると共に、共通許可データ記憶部204aに記憶されている当該共通許可データ関する関連付ステータス状態を『未送信』から『送信済み』に遷移させる(A29)。次に、送信回数記憶部204cに記憶されている送信回数を『1』に初期化して(A30)、ステップA23の処理に戻る。以降、CPU202は、ステップA23〜ステップA26の処理を、ステップA24において、接続確認データ送信処理に対応する応答データを受信していないと判断するまで繰り返す。
【0080】
ステップA27の処理において、関連付ステータス状態が『未送信』の共通許可データがないと判断した場合(A27:NO)には、本処理を終了する。
【0081】
(機器側識別子関連付処理)
次に、機器側識別子関連付処理について図7(b)を参照しつつ説明する。まず、CPU502は、機器通信制御回路507が、共通許可データを受信したか否かを判断する(B21)。共通許可データを受信したと判断した場合(B21:YES)には、当該共通許可データが、共通許可データ記憶部504aに記憶されている共通許可データと一致するか否かを判断する(B22)。共通許可データと一致しないと判断した場合(B22:NO)には、ステップB21の処理に戻る。一方、共通許可データと一致すると判断した場合(B22:YES)には、CPU502は、フラグ記憶部504cに記憶されている共通許可データフラグをオン状態にして(B23)、ステップB21の処理に戻る。
【0082】
一方、ステップB21の処理において、共通許可データを受信していないと判断した場合(B21:NO)には、CPU502は、機器通信制御回路507が、所定時間以内に接続確認データを受信したか否かを判断する(B24)。所定時間以内に接続確認データを受信したと判断した場合(B24:YES)には、フラグ記憶部504cに記憶されている共通許可データフラグがオン状態であるか否かを判断する(B25)。共通許可データフラグがオン状態ではないと判断した場合(B25:NO)には、ステップB21の処理に戻る。一方、共通許可データフラグがオン状態であると判断した場合(B25:YES)には、CPU502は、フラグ記憶部504cに記憶されている転送フラグがオン状態であるか否かを判断する(B26)。転送フラグがオン状態であると判断した場合(B26:YES)には、ステップB21の処理に戻る。
【0083】
一方、転送フラグがオン状態でないと判断した場合(B26:YES)には、CPU502は、識別子記憶部504bに記憶されている固有識別子を応答データに含めて、当該応答データに関する機器側応答データ送信処理が行われるように、機器通信制御回路507を制御する(B27)。その後、CPU502は、機器通信制御回路507により受信した共通許可データを隣接する後段の増設給紙機器50へ転送する転送処理が行われるように、機器通信制御回路507を制御し(B28)、フラグ記憶部504cに記憶されている転送フラグ状態をオン状態にする(B29)。これにより、応答データ送信処理の後において、機器通信制御回路507により接続確認データを受信したとしても、当該接続確認データに対応する応答データを印刷装置2に対して送信されることはない。このステップB29の処理が終了すると、ステップB21の処理に戻る。
【0084】
一方、ステップB24の処理において、所定時間以内に接続確認データを受信していないと判断した場合(B24:NO)には、本処理を終了する。
【0085】
以上、本実施形態の印刷装置システム1によると、増設給紙機器50、及び増設排紙機器80毎対応付けられた識別子と、これらの機器が配置された多段接続における段数との関連付けは、増設給紙機器50、及び増設排紙機器80が印刷装置2に対して接続された後に行うようされている。また、印刷装置2から送信される接続確認データに対し、多段接続の接続順に応答データが増設給紙機器50及び増設排紙機器80から印刷装置2へ送信されることになるので、これら機器の識別子とその段数との関連付けを容易に行うことができる。これにより、各増設給紙機器50、及び各増設排紙機器80が多段接続の何段目に配置されるものであるのか予め決めておく必要がないので、これら機器の配置の自由度を向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態の印刷装置システム1によると、印刷装置2において装置側識別子関連付処理が、増設給紙機器50及び増設排紙機器80において機器側識別子関連付処理が行われた後は、コマンドデータ及び機器データそれぞれに識別子を含ませることにより、増設給紙機器50や増設排紙機器80の内、一の接続機器を一義的に特定することができるので、印刷装置と特定の接続機器との間で、選択的にデータの送受信を行うことができる。
【0087】
また、本実施形態の印刷装置システム1によると、増設給紙機器50から構成される接続機器群と、増設排紙機器80から構成される接続機器群が印刷装置に対して接続されているが、それぞれの機器に対応付けられた識別子と、段数との関連付けを全ての接続機器について行うことができる。また、印刷装置から個々の接続機器群毎に向けて、共通許可データを送信するための接続線を設ける必要がないので、配線数を少なくすることができる。
【0088】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態において第1実施形態と異なる点は、第1実施形態においては給紙機器制御部500の識別子記憶部504b、及び排紙機器制御部800の識別子記憶部804bには、それぞれに固有の識別子が予め記憶されていたが、第2実施形態においては、これらの識別子記憶部には初期状態においては識別子が記憶されておらず、印刷装置2から送信される接続確認データに含まれる識別子を記憶するように構成されている点である。また、第1実施形態においては、印刷装置2に対して2段目以降に接続されている接続機器においても、接続確認データに関しては、前段にある接続機器の接続線を中継して印刷装置2から直接受信可能にされていたが、第2実施形態においては、印刷装置2から直接受信可能にされておらず、前段にある接続機器の転送処理により受信するように構成されている点で異なる。またさらに第2実施形態においては、RAM204は、共通許可データ記憶部204a、及び送信データ記憶部204dを有しておらず、RAM504及びRAM804は共通許可データ記憶部504a,804aを有していない。即ち、第2実施形態においては、装置通信制御回路208は共通データ送信処理を行わず、機器通信制御回路507,807は共通データ受信処理を行わない。以下においては、上述した第1実施形態と同一の箇所については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0089】
本実施形態において、図8に示すように、接続線5は、装置制御部200、排紙コネクタ3、及び給紙コネクタ4を相互に接続する信号線ではなく、装置制御部200と排紙コネクタ3との間のみを接続する上部接続線5aと、装置制御部200と給紙コネクタ4との間のみを接続する下部接続線5bとを有している。
【0090】
また、RAM204の識別子記憶部204bは、多段接続における段数に対応する識別子が予め記憶されている。具体的には、下部識別子記憶部250には、多段接続における段数と、その段数に対応付けられた、給紙コネクタ4を介して印刷装置2に接続される接続機器(増設給紙機器50)の識別子とが予め記憶されている。また、上部識別子記憶部251には、多段接続における段数と、その段数に対応付けられた、排紙コネクタ3を介して印刷装置2に接続される接続機器(増設排紙機器80)の識別子が予め記憶されている。
【0091】
また、識別子記憶部204bは、接続確認データを接続機器に送信するために用いられる接続線5a,5bのうち、次の装置側識別子関連付処理において、接続確認データの出力先となる接続線を示す出力先ステータス情報、過去に接続確認データの出力先とされた接続線を示す出力済接続線情報、及び下部識別子記憶部250及び上部識別子記憶部251に記憶されている識別子に対応する接続機器の有無を示す接続機器有無情報を記憶している。
【0092】
印刷装置2の装置通信制御回路208が実行する接続確認データ送信処理は、増設給紙機器50に対して接続確認データを送信する際は、接続確認データを下部接続線5bに出力することで、当該接続確認データを増設給紙機器50に送信する。このように装置通信制御回路208により下部接続線5bに出力された接続確認データは、給紙コネクタ4を介して、印刷装置2に対して一段目に接続された増設給紙機器50に対してのみに送信されることになる。一方、増設排紙機器80に対して接続確認データを送信する際は、接続確認データを上部接続線5aに出力することで、当該接続確認データを増設排紙機器80に送信する。このように装置通信制御回路208により上部接続線5aに出力された接続確認データは、排紙コネクタ3を介して、印刷装置2に対して一段目に接続された増設排紙機器80に対してのみに送信されることになる。
【0093】
また、増設給紙機器50の機器通信制御回路507,807が実行する接続確認データ受信処理は、隣接する印刷装置2から送信される、又は隣接する前段の増設給紙機器50から転送される接続確認データを、接続線65,95を介してから受信する処理である。また、転送処理は、接続確認データを接続線69,99に出力することで、当該共通許可データを隣接する後段の増設給紙機器50又は増設排紙機器80に対して転送する処理である。
【0094】
(装置側識別子関連付処理)
次に、印刷装置2の装置側識別子関連付処理について、図9(a)を参照しつつ説明する。まず、CPU202は、識別子記憶部204bの出力先ステータス情報に『上部接続線5a』及び『下部接続線5b』の何れか一方を記憶するとともに、当該記憶した接続線を、識別子記憶部204bの出力済接続線情報に追加する(A41)。次に、CPU202には、識別子記憶部204bに記憶されている出力先ステータス情報、及び送信回数記憶部204cに記憶されている送信回数nに基づいて、n回目に送信される接続確認データに対して、識別子記憶部204bに記憶されている、n段目の識別子を含ませる(A42)。より具体的には、識別子記憶部204bに記憶されている出力先ステータスが『上部接続線5a』である場合には、当該上部接続線5aに対応する上部識別子記憶部251に記憶されているn段目に対応する識別子をn回目の接続確認データに含ませる。一方、識別子記憶部204bに記憶されている出力先ステータスが『下部接続線5b』である場合には、当該下部接続線5bに対応する下部識別子記憶部250に記憶されているn段目に対応する識別子をn回目の接続確認データに含ませる。
【0095】
ステップA42の処理の後、CPU202は、n回目の接続確認データ送信処理が行われるように、装置通信制御回路208を制御する(A43)。次に、CPU202は、当該接続確認データ送信処理に対応する応答データを、装置通信制御回路208が受信したか否かを判断する(A44)。応答データを受信したと判断した場合(A44:YES)には、CPU202は、n回目の接続確認データ送信処理により送信された識別子に対応する接続機器が有ると判断して、識別子記憶部204bの接続機器有無情報を更新する(A45)。そして、CPU202は、送信回数記憶部204cに記憶されている送信回数nに1加算(A46)して、ステップA42の処理に戻る。以降、CPU202は、ステップA42〜ステップA46の処理を、ステップA44において、接続確認データ送信処理に対応する応答データを受信していないと判断するまで繰り返す。
【0096】
ステップA44において、接続確認データ送信処理に対応する応答データを受信していないと判断した場合(A44:NO)には、CPU202は、接続確認データを接続機器に送信するために用いられる接続線5a,5bのうち、識別子記憶部204bの出力済接続線情報に記憶されていない接続線があるか否かを判断する(A47)。出力済接続線情報に記憶されていない接続線があると判断した場合(A47:YES)には、CPU202は、出力済接続線情報に記憶されていない接続線を識別子記憶部204bの出力先ステータス情報に記憶するとともに、当該記憶した接続線を、識別子記憶部204bの出力済接続線情報に追加する(A48)。次に、送信回数記憶部204cに記憶されている送信回数を『1』に初期化して(A49)、ステップA42の処理に戻る。以降、CPU202は、ステップA42〜ステップA46の処理を、ステップA44において、接続確認データ送信処理に対応する応答データを受信していないと判断するまで繰り返す。
【0097】
一方、ステップA47の処理において、接続線5a,5bのうち、識別子記憶部204bの出力済接続線情報に記憶されていない接続線がないと判断した場合(A47:NO)には、本処理を終了する。
【0098】
(機器側識別子関連付処理)
次に、増設給紙機器50の機器側識別子関連付処理について図9(b)を参照しつつ説明する。なお、増設排紙機器80の機器側識別子関連付処理については、増設給紙機器50の機器側識別子関連付処理と略同様なので、説明を省略する。
【0099】
まず、CPU502は、機器通信制御回路507が、所定時間以内に接続確認データを受信したか否かを判断する(B41)。接続確認データを受信したと判断した場合(B41:YES)には、CPU502は、フラグ記憶部504cに記憶されている転送フラグがオン状態であるか否かを判断する(B42)。転送フラグがオン状態ではないと判断した場合(B42:NO)には、CPU502は、当該接続確認データに含まれる識別子を識別子記憶部504bに記憶し(B43)、応答データ送信処理が行われるように、機器通信制御回路507を制御する(B44)。次に、CPU502は、フラグ記憶部504cに記憶されている転送フラグ状態をオン状態にして(B45)、ステップB41の処理に戻る。
【0100】
一方、ステップB42において、転送フラグがオン状態であると判断した場合(B42)には、受信した接続確認データを隣接する後段の増設給紙機器50に転送する転送処理が行われるように、機器通信制御回路507を制御して(B46)、ステップB41の処理に戻る。これにより、応答データ送信処理の後において、機器通信制御回路507により接続確認データを受信したとしても、当該接続確認データに対応する応答データを印刷装置2に対して送信せずに、隣接する後段の増設給紙機器50に転送されることになる。
【0101】
一方、ステップB41の処理において、所定時間以内に接続確認データを受信していないと判断した場合(B41:NO)には、本処理を終了する。
【0102】
以上、本実施形態の印刷装置システム1によると、増設給紙機器50、及び増設排紙機器80毎対応付けられた識別子と、これらの機器が配置された多段接続における段数との関連付けは、増設給紙機器50、及び増設排紙機器80が印刷装置2に対して接続された後に行うようされている。また、印刷装置2から送信される接続確認データに対し、多段接続の接続順に応答データが増設給紙機器50及び増設排紙機器80から印刷装置2へ送信されることになるので、これら機器の識別子とその段数との関連付けを容易に行うことができる。これにより、各増設給紙機器50、及び各増設排紙機器80が多段接続の何段目に配置されるものであるのか予め決めておく必要がないので、これら機器の配置の自由度を向上させることができる。
【0103】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。従って、本発明の技術思想の範囲内において、上述の実施形態を組み合わせたり、一部の構成を変更したりしてもよい。
【0104】
また、上述の第1及び第2実施形態においては、印刷装置システム1と、増設給紙機器50及び増設排紙機器80とのデータの送受信は接続線5〜8等の有線を用いて行われているが、第1実施形態においては共通許可データ以外の各種データの送受信は無線により行われてもよく、また第2実施形態においては接続確認データ以外の各種データの送受信は無線により行われてもよい。
【0105】
また、上述の第1実施形態においては、印刷装置2における装置通信制御回路208の接続確認データ送信処理により送信された全ての接続確認データを増設給紙機器50及び増設排紙機器80が受信可能にされているが、フラグ記憶部504cに記憶されている共通許可データフラグがオン状態であり、転送フラグがオフ状態である接続機器のみ接続確認データを受信可能に構成されていてもよい。
【0106】
また、上述の実施形態においては、接続機器として増設給紙機器50と増設排紙機器80を例にして説明しているが、これに限定されるものではなく、印刷装置2に対して直列に多段接続される接続機器であればよい。また、印刷装置2が装置給紙トレイ31及び装置排紙トレイ47を有していなくてもよい。
【0107】
また、上述の実施形態においては、接続検出センサ71〜74の何れかの検出信号の出力状態が変化したときに、印刷装置2に多段接続された全ての増設給紙機器50及び増設排紙機器80について、これら機器の識別子と、その段数情報との関連付けを更新するように構成されていたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、増設給紙機器50の接続状態を検出する接続検出センサ71,73の検出信号の出力状態が変化したときには、増設給紙機器50の識別子と、その段数情報との関連付けを更新するようにし、増設排紙機器80の識別子と、その段数情報との関連付けは更新しなくてもよい。また、増設給紙機器50に設けられた接続検出センサ73の検出信号の出力状態が変化したときには、当該出力状態が変化した接続検出センサ73を有する増設給紙機器50と、この増設給紙機器50よりも前段にある増設給紙機器50において、これら増設給紙機器50の識別子と、その段数情報との関連付けは更新せずに、後段にある増設給紙機器50の識別子と、その段数情報との関連付けのみ更新するようにされていてもよい。さらに、接続検出センサ71〜74を有さず、所定時間毎又は各コマンドデータを送信前に、機器の識別子と接続機器の段数情報との関連付けを更新するように構成してもよい。
【0108】
また、上述の実施形態において、印刷装置2に対して直列に多段接続される接続機器群の数は、複数の増設給紙機器50から構成される接続機器群と、複数の増設排紙機器80から構成される接続機器群の二つであったが、これに限定されるものではなく、印刷装置2に対して直列に多段接続される接続機器群の数が一つでもよく、また三つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 印刷装置システム
2 印刷装置
3 排紙コネクタ(装置側接続部)
4 給紙コネクタ(装置側接続部)
50 増設給紙機器(接続機器)
63 第1給紙コネクタ(機器側第1接続部)
64 第2給紙コネクタ(機器側第2接続部)
80 増設排紙機器(接続機器)
93 第1排紙コネクタ(機器側第1接続部)
94 第2排紙コネクタ(機器側第2接続部)
202 CPU(装置側制御手段)
208 装置通信制御回路(装置側通信手段)
204b 識別子記憶部(装置側識別子記憶手段)
502 CPU(機器側制御手段)
507 機器通信制御回路(機器側通信手段)
802 CPU(機器側制御手段)
807 機器通信制御回路(機器側通信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置と、前記印刷装置に対して直列に多段接続され、共通の機器機能を有する複数の接続機器とを備えた印刷装置システムであって、
前記印刷装置は、
前記接続機器を接続するための装置側接続部と、
前記接続機器各々の接続状況を確認するための接続確認データを前記接続機器に対し前記装置側接続部を介して送信する装置側接続確認データ送信処理、及び前記装置側接続確認データ送信処理に対応して前記接続機器から送信される応答データを前記装置側接続部を介して受信する装置側受信処理を行う装置側通信手段と、
前記接続機器毎に対応付けられた識別子と、当該識別子が対応付けられた前記接続機器が何段目に配置されているかを示す段数情報とを関連付けて記憶する装置側識別子記憶手段と、
前記装置側通信手段及び前記装置側識別子記憶手段を制御する装置側制御手段と
を備えており、
前記接続機器各々は、
他の前記接続機器を接続するための機器側第1接続部と、
前記装置側接続部、及び他の前記接続機器の前記機器側第1接続部の何れに対しても接続可能な機器側第2接続部と、
前記識別子を記憶する機器側識別子記憶手段と、
前記印刷装置から送信される前記接続確認データを前記機器側第2接続部を介して受信する機器側接続確認データ受信処理、前記接続確認データに対応する前記応答データを前記印刷装置へ送信する機器側送信処理、及び前記接続確認データを当該接続機器に接続された他の接続機器に対し前記機器側第1接続部を介して転送する転送処理を行う機器側通信手段と、
前記機器側通信手段及び前記機器側識別子記憶手段を制御する機器側制御手段と
を備えており、
前記装置側制御手段及び前記機器側制御手段は識別子関連付処理として、
前記装置側制御手段が、前記装置側接続確認データ送信処理を、前記装置側受信処理が行われなくなるまで繰り返し実行させるよう前記装置側通信手段を制御する処理、
前記機器側制御手段が、前記機器側送信処理の後に前記機器側接続確認データ受信処理により受信した前記接続確認データについては、当該接続確認データに対応する前記機器側送信処理を行わせないで前記転送処理を行わせるように前記機器側通信手段を制御する処理、及び、
前記装置側制御手段が、前記装置側受信処理が行われたことにより前記複数の接続機器の何れかとの接続を確認した際に、前記装置側制御手段が前記装置側識別子記憶手段に、接続が確認された前記接続機器の前記識別子とその段数を記憶させる処理、または、接続が確認された前記接続機器の前記機器側制御手段が、その機器側識別子記憶手段に、前記印刷装置の前記装置側識別子記憶手段に記憶されている当該接続機器の段数に対応する前記識別子を記憶させる処理を行うことを特徴とする印刷装置システム。
【請求項2】
印刷装置と、前記印刷装置に対して直列に多段接続され、共通の機器機能を有する複数の接続機器とを備えた印刷装置システムであって、
前記印刷装置は、
前記接続機器を接続するための装置側接続部と、
前記接続機器各々の接続状況を確認するための接続確認データを前記接続機器全てに対し送信する装置側接続確認データ送信処理、前記共通の機器機能を有する前記接続機器に共通の共通許可データを一つの前記接続機器に対し前記装置側接続部を介して送信する装置側共通許可データ送信処理、及び前記装置側接続確認データ送信処理に対応して前記接続機器から送信される応答データを受信する装置側受信処理を行う装置側通信手段と、
前記接続機器毎に対応付けられた識別子と、当該識別子が対応付けられた前記接続機器が何段目に配置されているかを示す段数情報とを関連付けて記憶する装置側識別子記憶手段と、
前記装置側通信手段及び前記装置側識別子記憶手段を制御する装置側制御手段と
を備えており、
前記接続機器各々は、
他の前記接続機器を接続するための機器側第1接続部と、
前記装置側接続部、及び他の前記接続機器の前記機器側第1接続部の何れに対しても接続可能な機器側第2接続部と、
前記識別子を記憶する機器側識別子記憶手段と、
前記印刷装置から送信される前記接続確認データを受信する機器側接続確認データ受信処理、前記共通許可データを前記機器側第2接続部を介して受信する機器側共通許可データ受信処理、前記印刷装置へ前記応答データを送信する機器側送信処理、及び前記共通許可データを当該接続機器に接続された他の接続機器に対し前記機器側第1接続部を介して転送する転送処理を行う機器側通信手段と、
前記機器側通信手段及び前記機器側識別子記憶手段を制御する機器側制御手段と
を備えており、
前記装置側制御手段及び前記機器側制御手段は識別子関連付処理として、
前記装置側制御手段が、前記装置側共通許可データ送信処理を実行させた後、前記装置側接続確認データ送信処理を前記装置側受信処理が行われなくなるまで繰り返し実行させるよう前記装置側通信手段を制御する処理、
前記機器側制御手段が、前記機器側接続確認データ受信処理により前記接続確認データを受信したときに前記機器側共通許可データ受信処理により前記共通許可データを受信済みの場合には、当該接続確認データに対応する前記機器側送信処理及び前記転送処理を行わせ、当該機器側送信処理の後の前記機器側接続確認データ受信処理により受信した前記接続確認データについては、当該接続確認データに対応する前記機器側送信処理を行わせないように前記機器側通信手段を制御する処理、及び、
前記装置側制御手段が、前記装置側受信処理が行われたことにより前記複数の接続機器の何れかとの接続を確認した際に、前記装置側制御手段が前記装置側識別子記憶手段に、接続が確認された前記接続機器の識別子とその段数を記憶させる処理、または、接続が確認された前記接続機器の前記機器側制御手段が、その機器側識別子記憶手段に、前記印刷装置の前記装置側識別子記憶手段に記憶されている当該接続機器の段数に対応する前記識別子を記憶させる処理を行うことを特徴とする印刷装置システム。
【請求項3】
前記接続機器各々の前記機器側識別子記憶手段には、前記接続機器それぞれに固有の識別子が予め記憶されており、
前記接続機器各々の前記機器側制御手段は、
前記機器側通信手段に前記機器側送信処理を行わせる際に、当該機器側送信処理により前記印刷装置へ送信される前記応答データに前記機器側識別子記憶手段に記憶されている前記識別子が含まれるようにし、
前記印刷装置の前記装置側制御手段は、
前記装置側通信手段の前記装置側受信処理により、n回目(nは自然数)の前記装置側接続確認データ送信処理に対応して前記接続機器から送信される前記応答データを受信したときに、当該応答データに含まれる前記識別子を前記多段接続のn段目の前記接続機器の識別子として関連付けて、前記本体側識別子記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置システム。
【請求項4】
前記印刷装置の前記装置側識別子記憶手段には、前記多段接続の段数に対応する前記識別子が予め記憶されており、
前記印刷装置の前記装置側制御手段は、
前記装置側通信手段にn回目(nは自然数)の前記装置側接続確認データ送信処理を実行させる際に、前記装置側識別子記憶手段に記憶されているn段目に対応する識別子が前記接続確認データに含まれるようにし、
前記接続機器各々の前記機器側制御手段は、
前記機器側通信手段に前記機器側接続確認データ受信処理に対応して前記機器側送信処理を実行させる際に、当該機器側接続確認データ受信処理により受信した前記接続確認データに含まれる前記識別子を前記機器側記憶手段に記憶させることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置システム。
【請求項5】
前記装置側制御手段及び前記機器側制御手段による前記識別子関連付処理を終了した後において、前記印刷装置と前記多段接続における特定の段に配置された前記接続機器との間でデータの送受信を行う際には、
前記印刷装置の前記装置側制御手段は、
前記特定の段に配置された前記接続機器にデータを送信する場合には、前記装置側識別子記憶手段を参照して、前記データに前記特定の段に対応する前記識別子を含めて前記接続機器全てに対して送信し、
前記接続機器からデータを受信した場合には、前記装置側識別子記憶手段を参照して、当該データに含まれている前記識別子から送信元の前記接続機器の特定をし、
前記接続機器各々の前記機器側制御手段は、
前記印刷装置から前記データを受信した場合には、前記機器側識別子記憶手段に記憶されている前記識別子と、当該データに含まれている前記識別子とが一致する場合にのみ、当該データを読み取り、
前記印刷装置へ前記データを送信する場合には、当該データに前記機器側識別子記憶手段に記憶されている前記識別子を含めて送信することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の印刷装置システム。
【請求項6】
前記印刷装置システムは、前記共通の機器機能を有する複数の前記接続機器を前記印刷装置に対して直列に多段接続して構成される接続機器群を複数備えており、
前記接続機器群各々を構成する複数の前記接続機器は、他の前記接続機器群の前記接続機器の機器機能とは異なる共通の機器機能を有しており、
前記印刷装置は、前記接続機器群各々の前記接続機器を接続するための前記装置側接続部を複数備え、
前記装置側接続部同士を接続する接続線と、
前記接続機器群毎に互いに異なる前記共通許可データを記憶する本体側許可データ記憶手段とを更に備えており、
前記接続機器各々は、当該接続機器の前記接続機器群に共通の前記共通許可データを記憶する機器側許可データ記憶手段を更に備えており
前記印刷装置の前記装置側制御手段は、
前記装置側接続確認データ送信処理においては、前記接続確認データを、全ての前記接続機器群の前記接続機器に対して送信されるように前記装置側通信手段を制御するものであり、
さらに、前記装置側共通許可データ送信処理を実行させた後に、前記装置側接続確認データ送信処理を前記装置側受信処理が行われなくなるまで繰り返す処理動作を、前記装置側共通許可データ送信処理において前記装置側接続部を介して送信する前記共通許可データを変えて前記機器側許可データ記憶手段に記憶されている全ての前記共通許可データについて行われるまで繰り返し実行されるように前記装置側通信手段を制御し、
前記接続機器各々の前記機器側制御手段は、
前記機器側接続確認データ受信処理により前記接続確認データを受信したときに、前記機器側共通許可データ受信処理により、前記機器側許可データ記憶手段に記憶されている前記共通許可データと一致するデータを受信済みの場合には、前記接続確認データに対応する前記機器側送信処理及び前記転送処理を行わせ、当該機器側送信処理の後の前記機器側接続確認データ受信処理により受信した前記接続確認データについては、当該接続確認データに対応する前記機器側送信処理を行わせないようにすることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置システム。
【請求項7】
前記装置側制御手段及び前記機器側制御手段による前記識別子関連付処理が終了してから所定時間経過した場合には、
前記装置側制御手段及び前記機器側制御手段は前記識別子関連付処理を新たに行い、
前記装置側識別子記憶手段に記憶されている、前記接続機器毎に対応付けられた識別子と、前記段数情報との関連付けを更新することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の印刷装置システム。
【請求項8】
前記装置側接続部と前記機器側第2接続部との接続状態、及び前記印刷装置に対して接続されている前記接続機器の前記機器側第1接続部と前記機器側第2接続部との接続状態を検出する接続状態検出手段を更に備えており、
前記装置側制御手段及び前記機器側制御手段は、前記接続状態検出手段が前記接続状態の変化を検出したときに、前記識別子関連付処理を新たに行い、
前記装置側識別子記憶手段に記憶されている、前記接続機器毎に対応付けられた識別子と、前記段数情報との関連付けを更新することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の印刷装置システム。
【請求項9】
印刷装置と、前記印刷装置に対して直列に多段接続され、共通の機器機能を有する複数の接続機器であって、他の前記接続機器を接続するための機器側第1接続部と、前記印刷装置の前記装置側接続部、及び他の前記接続機器の前記機器側第1接続部の何れに対しても接続可能な機器側第2接続部と、前記接続機器毎に対応付けられる識別子を記憶する機器側識別子記憶手段と、前記印刷装置から送信される、前記印刷装置と前記接続機器各々との接続状況を確認するための前記接続確認データを前記機器側第2接続部を介して受信する機器側接続確認データ受信処理、前記接続確認データに対応する前記応答データを前記印刷装置へ送信する機器側送信処理、及び前記接続確認データを当該接続機器に接続された他の接続機器に対し前記機器側第1接続部を介して転送する転送処理を行う機器側通信手段と、前記機器側通信手段及び前記機器側識別子記憶手段を制御する機器側制御手段とを備え、前記機器側制御手段が識別子関連付処理として、前記機器側送信処理の後の前記機器側接続確認データ受信処理により受信した前記接続確認データについては、当該接続確認データに対応する前記機器側送信処理を行わせないで前記転送処理を行わせるように前記機器側通信手段を制御する複数の接続機器とを備えた印刷装置システムに用いられる印刷装置であって、
前記接続確認データを前記接続機器に対し前記装置側接続部を介して送信する装置側接続確認データ送信処理、及び前記装置側接続確認データ送信処理に対応して前記接続機器から送信される前記応答データを前記装置側接続部を介して受信する装置側受信処理を行う装置側通信手段と、
前記接続機器毎に対応付けられた前記識別子と、当該識別子が対応付けられた前記接続機器が何段目に配置されているかを示す段数情報とを関連付けて記憶する装置側識別子記憶手段と、
前記装置側通信手段及び前記装置側識別子記憶手段を制御する装置側制御手段と
を備えており、
前記装置側制御手段は識別子関連付処理として、
前記装置側接続確認データ送信処理を、前記装置側受信処理が行われなくなるまで繰り返し実行させるよう前記装置側通信手段を制御する処理、及び、
前記装置側受信処理が行われたことにより前記複数の接続機器の何れかとの接続を確認した際に、前記装置側制御手段が前記装置側識別子記憶手段に、接続が確認された前記接続機器の前記識別子とその段数を記憶させる処理を行うことを特徴とする印刷装置。
【請求項10】
共通の機器機能を有する複数の接続機器と、直列に多段接続された前記接続機器を接続可能な印刷装置であって、前記接続機器を接続するための装置側接続部と、前記接続機器各々の接続状況を確認するための接続確認データを前記接続機器に対し前記装置側接続部を介して送信する装置側接続確認データ送信処理、及び前記装置側接続確認データ送信処理に対応して前記接続機器から送信される応答データを前記装置側接続部を介して受信する装置側受信処理を行う装置側通信手段と、前記接続機器毎に対応付けられた識別子と、当該識別子が対応付けられた前記接続機器が何段目に配置されているかを示す段数情報とを関連付けて記憶する装置側識別子記憶手段と、前記装置側通信手段及び前記装置側識別子記憶手段を制御する装置側制御手段と、を備え、前記装置側制御手段が識別子関連付処理として、前記装置側接続確認データ送信処理を、前記装置側受信処理が行われなくなるまで繰り返し実行させるよう前記装置側通信手段を制御する処理、及び前記装置側受信処理が行われたことにより前記複数の接続機器の何れかとの接続を確認した際に、前記装置側制御手段が前記装置側識別子記憶手段に、接続が確認された接続機器の識別子とその段数を記憶させる処理を行う印刷装置とを備えた印刷装置システムに用いられる接続機器であって、
他の前記接続機器を接続するための機器側第1接続部と、
前記装置側接続部、及び他の前記接続機器の前記機器側第1接続部の何れに対しても接続可能な機器側第2接続部と、
前記識別子を記憶する機器側識別子記憶手段と、
前記印刷装置から送信される前記接続確認データを機器側第2接続部を介して受信する機器側接続確認データ受信処理、前記接続確認データに対応する前記応答データを前記印刷装置へ送信する機器側送信処理、及び前記接続確認データを当該接続機器に接続された他の接続機器に対し機器側第1接続部を介して転送する転送処理を行う機器側通信手段と、
前記機器側通信手段及び前記機器側識別子記憶手段を制御する機器側制御手段と
を備えており、
前記機器側制御手段は識別子関連付処理として、
前記機器側制御手段が、前記機器側送信処理の後の前記機器側接続確認データ受信処理により受信した前記接続確認データについては、前記機器側送信処理を行わせないで前記転送処理を行わせるように前記機器側通信手段を制御する処理を行うことを特徴とする接続機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−49207(P2013−49207A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188710(P2011−188710)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】