説明

印刷装置及びプログラム

【課題】複数ページからなる文書ファイルの一覧印刷を行う際、ユーザがよりファイルの内容を知ることのできるインデックス画像を印刷できるようにする。
【解決手段】文書ファイルの先頭ページに対応するインデックス画像の作成時にエラーが発生した場合、そのエラーの要因をメモリに記憶する。つぎに、当該文書ファイルに含まれる複数のページの中から、その記憶したエラー要因に該当しない他のページを一覧印刷の対象として選択し、その選択した一覧印刷の対象のページに対応するインデックス画像を作成する。そして、その作成された各ファイルに対応するインデックス画像を一覧にして印刷出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のファイルのインデックス画像を一覧印刷する印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、メモリカード等の可搬型記憶媒体に格納されたファイルを、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置を利用せずに印刷できるプリンタが普及している。この種のプリンタでは、メモリカードをプリンタに接続することで、メモリカードに格納されているファイルを直接プリンタで印刷することができる。また、印刷対象となるファイルとしては、デジタルスチルカメラ等で撮影されたビットマップ画像のファイルだけでなく、PC上等で作成された文字情報や画像情報を含む文書(ドキュメント)ファイルも含まれる。さらに、このようなプリンタでは、メモリカードに格納されているファイルを確認するために、各ファイルを示す画像を所定サイズに拡大又は縮小したインデックス画像を記録用紙に並べて印刷する一覧(インデックス)印刷機能を備えている。
【0003】
また、PCの周辺機器としてのプリンタ等に同梱されるユーティリティソフトウェアのように、PC上で機能するアプリケーションにも、上述のような一覧印刷機能を備えるものがある。この種のアプリケーションで行われる一覧印刷の方法としては、例えば、特許文献1に記載のものが開示されている。
【特許文献1】特開2006−155281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、1ファイルに複数のページが含まれる文書ファイルを一覧印刷の対象とする場合、その文書ファイルの特徴を示す代表ページとして、例えば先頭ページのインデックス画像を一覧として印刷していた。その際、先頭ページに対応するインデックス画像を作成する処理で何らかのエラーが生じた場合、この先頭ページのインデックス画像を印刷する代わりに、当該文書ファイルの内容とは直接関係のない代替画像(例えば、ファイルの種類を示すシンボル等)を印刷するといった対策が行われていた。
【0005】
しかしながら、代表たる先頭ページのインデックス画像の代わりに、ファイルの内容とは直接関係のない代替画像が印刷されたのでは、ユーザは、一覧印刷された結果からファイルの内容を知ることができず、不便である。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされており、複数ページからなる文書ファイルの一覧印刷を行う際に、ユーザがよりファイルの内容を知ることのできるインデックス画像を印刷するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の印刷装置は、インデックス画像の作成時に生じるエラーの要因を記憶する記憶手段と、1つのファイルに含まれる複数のページのうち、記憶手段に記憶されているエラーの要因を含まないページを一覧印刷対象として選択するページ選択手段と、ページ選択手段により選択された一覧印刷対象のページに対応するインデックス画像を作成するインデックス画像作成手段と、インデックス画像作成手段により作成された各ファイルに対応するインデックス画像を一覧にして印刷出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
このように構成された印刷装置によれば、1つのファイルに含まれる複数のページの中から、記憶手段に記憶されているエラー要因を含まないページを選択してインデックス画像を作成するので、インデックス画像を作成する処理でのエラーを回避してファイルのインデックス画像を確実に印刷できるようになる。よって、複数ページからなる文書ファイルの一覧印刷を行う際に、ユーザがよりファイルの内容を知ることのできるインデックス画像を印刷できる。
【0009】
なお、記憶手段に記憶されるエラーの要因は、例えば、想定されるエラーの要因を予め記憶させておくことも考えられるが、インデックス画像の作成時に実際にエラーが発生した場合に、そのエラーの要因を特定して記憶することが考えられる。
【0010】
そこで、請求項2に記載のように構成するとよい。すなわち、インデックス画像作成手段によるインデックス画像の作成時にエラーが生じた場合、このエラーの要因を特定するエラー要因特定手段と、エラー要因特定手段により特定したエラーの要因を記憶手段に追加記録するエラー要因記録手段とを更に備える。そして、ページ選択手段は、インデックス画像作成手段によるインデックス画像の作成時にエラーが生じた場合、当該ファイルに含まれる複数のページのうち、記憶手段に記憶されているエラーの要因を含まない別の一覧印刷対象を新たに選択する。
【0011】
このようにすることで、あるページのインデックス画像を作成する際にエラーが発生しても、そのエラーの要因を含まない別のページのインデックス画像を作成することで、当該エラーを回避でき、ファイルのインデックス画像を確実に印刷できる。
【0012】
また、複数のページを有するファイルの一覧印刷を行う場合、予め決められた特定の代表ページ(例えば、先頭ページ)を対象にインデックス画像の作成を行うことが一般的である。そこで、請求項3に記載のように構成するとよい。すなわち、エラー要因の有無を判断する対象のページに記憶手段に記憶されているエラーの要因が含まれているか否かを判断するエラー要因判断手段を更に備える。また、インデックス画像作成手段は、複数のページを含むファイルの中から所定の初期印刷対象のページに対応するインデックス画像の作成を実行する。このとき、初期印刷対象のページに対応するインデックス画像の作成時にエラーが生じた場合、エラー要因判断手段は、当該ファイルにおける初期印刷対象のページとは異なるページを対象に、そのページに記憶手段に記憶されているエラーの要因が含まれているか否かを判断する。そして、エラー要因判断手段により、そのページにエラーの要因が含まれていると判断した場合、エラー要因判断手段による判断処理が行われていないページを対象に、エラー要因判断手段による判断処理を更に実行する一方、エラーの要因が含まれていないと判断した場合、そのページをページ選択手段による一覧印刷対象として選択し、かつ、エラー要因判断手段による判断処理を終了する。
【0013】
このように構成することで、決められた代表ページを対象とする一覧印刷でエラーになる場合であっても、同じファイル内で当該エラーの要因が含まれていない他のページを代替に一覧印刷を遂行できるので好適である。
【0014】
ところで、一覧印刷の対象となるページを選択する基準としては、エラーの要因が含まれていないことは勿論のこと、さらに、ユーザにとって有用な情報が含まれていることも重要な要素である。この場合、ユーザにとって有用な情報とは、一覧印刷されたインデックス画像を見ることで、そのファイルの内容を容易に類推できるような情報が含まれていることが望ましい。
【0015】
そこで、請求項4に記載のように構成するとよい。すなわち、エラー要因判断手段は、当該ファイルに付随する目次データに記録されている見出しが文書内に含まれているページを対象に、エラーの要因が含まれているか否かを判断する。なお、目次データとは、文書ファイルの本体データに付随して、その文書の目次等の概要を保持する属性データであり、例えばアプリケーション上で文書の概要等を取得する際に用いられるものである。
【0016】
このようにすることで、その文書の見出しが含まれたページが一覧印刷の対象として選択されることになる。そして、そのページに対応するインデックス画像に記録されている見出しをユーザが読めば、ユーザはその文書ファイルの内容を一目で類推することができるので、便利である。
【0017】
一方、一覧印刷の対象となるページを選択する基準としては、インデックス画像を作成するための処理負荷が小さいことを重視してもよい。インデックス画像を作成するための処理負荷が過大になるということは、それ自体がエラーの要因にもなる一方、インデックス画像を作成するための処理負荷が小さいということは、より高速に一覧印刷を完了できることにつながる。
【0018】
そこで、請求項5に記載のように構成するとよい。すなわち、ページ選択手段は、1ページに含まれている画像情報のデータ量が基準量以下であるページを一覧印刷対象として選択する。
【0019】
画像情報は、文字情報に比べて一般的にデータ量がかなり大きく、画像情報が含まれるページのインデックス画像を作成するには相応の処理負荷がかかる。そこで、印刷装置の処理能力に応じて、処理負荷の面で許容される範囲のデータ量の画像情報を含むページを一覧印刷対象に選択することで、インデックス画像の作成に係る処理負荷を軽減でき、一覧印刷を高速に行うことができるようになる。あるいは、画像情報が全く含まれない、すなわち文字情報だけのページを一覧印刷対象に選択するようにして、インデックス画像の作成に係る処理負荷の軽減を徹底してもよい。
【0020】
あるいは、画像情報のデータ量だけでなく、文字情報のデータ量も含むページ全体のデータ量を加味して、より処理負荷の軽いページを一覧印刷対象に選択してもよい。そこで、請求項6に記載のように構成するとよい。すなわち、ページ選択手段は、1ページ分のデータ量あるいは1ページ分のデータ量の多寡を示す所定の指標が基準値以下であるページを一覧印刷対象として選択する。なお、データ量の多寡を示す所定の指標とは、データ量そのものを示す値でなくともデータ量の多寡を類推できるような指標のことであり、より具体的には、文書内の文字情報や画像情報の構造を定義するコマンドの数等が一例として挙げられる。このように構成することで、処理負荷の面で許容される範囲のデータ量のページを一覧印刷対象に選択するができ、インデックス画像の作成に係る処理負荷を軽減できる。
【0021】
一方、一覧印刷の対象となるページを選択する基準としては、エラーの要因が含まれていないことの他に、さらに、ユーザにとって閲覧しやすいページであることを重視してもよい。例えば、一覧印刷においては通常の印刷時よりも縮小された画像が印刷される可能性があるため、小さな文字ばかりで構成されたページを一覧印刷すると、出力されたインデックス画像上では文字が小さ過ぎて読み難くなってしまうという問題がある。
【0022】
このような問題を解決するために、請求項7に記載のように構成するとよい。すなわち、ページ選択手段は、1ページに含まれている文字の大きさが基準値以上であるページを一覧印刷対象として選択する。なお、基準とする文字の大きさは、インデックス画像の拡縮比に応じて適宜設定すればよい。
【0023】
このように構成することで、エラーを回避して確実にインデックス画像を印刷可能にすると共に、インデックス画像上で文字を確かに読むことのできるページを一覧印刷対象に選択することで、ユーザにとって閲覧しやすい一覧印刷を実現できる。
【0024】
つぎに、請求項8に記載の印刷装置は、インデックス画像作成手段によって作成された一覧印刷対象のページに対応するインデックス画像に、当該ページに関するページ情報の画像を付加するページ情報付加手段を更に備えることを特徴とする。なお、ページ情報とは、一覧印刷されたインデックス画像がどのページに対応するのかを特定可能な情報である。
【0025】
このようにすることで、一覧印刷されたインデックス画像が文書ファイルのどのページに対応するのかが、ユーザに一目で分かるようなる。特に、一覧印刷の対象として予め決められたページでエラーが発生した場合、代替として選択された一覧印刷対象のページがどのページであるかをユーザが知ることができ、便利である。
【0026】
また、請求項9に記載のように、一覧印刷対象のページにページ情報に相当する内容が含まれているか否かを判断するページ情報判断手段を更に備え、ページ情報付加手段は、ページ情報判断手段によりページ情報に相当する内容が含まれていないと判断した場合、当該ページに対応するインデックス画像にページ情報を付加する一方、ページ情報に相当する内容が含まれていると判断した場合、当該ページに対応するインデックス画像にページ情報を付加しないように構成するとよい。
【0027】
つぎに、請求項10に記載のプログラムは、文字情報又は画像情報の少なくとも一方を含む文書からなる1つのファイルに含まれる複数のページのうち、記憶手段に記憶されているインデックス画像の作成時に生じるエラーの要因を含まない1ページを一覧印刷対象として選択するページ選択手順と、選択された一覧印刷対象のページに対応するインデックス画像を作成するインデックス画像作成手順と、作成された複数のファイルに対応する各インデックス画像を一覧にして印刷出力する出力手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0028】
このように構成されたプログラムを、印刷装置が備えるコンピュータへ導入することで、請求項1に記載の印刷装置と同様の効果を得ることができる。また、本プログラムを印刷装置が接続されるPCに導入することで、PC上で機能するアプリケーションとして利用することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[印刷装置1の構成の説明]
図1は、本発明の一実施形態である印刷装置1、及び印刷装置1に接続されたパーソナルコンピュータ(以下、PC)100の概略構成を示すブロック図である。
【0030】
印刷装置1は、記録用紙に画像を印刷するプリンタ機能、記録用紙に記録された画像を走査して読み込んだ情報を電子化するスキャナ機能、原稿から読み込んだ画像を記録用紙に複写するコピー機能等の機能を備える多目的複合機である。印刷装置1は、図1に示すように、CPU10、ROM12、RAM14、データ入力部16、操作部18、表示部20、印刷部22、読取部24、及び通信インタフェース(以下、通信I/F)26等を備えている。
【0031】
CPU10は、ROM12に記憶されたプログラムやデータに従って各種演算を実行する装置であり、上述のプリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能等の各種機能に係る演算処理はこのCPU10によって実行される。
【0032】
ROM12は、印刷装置1の電源を切っても記憶内容を保持する記憶装置で、上述のプリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能を制御するためのプログラムや通常であれば更新されない読み出し専用のデータ等を記憶している。
【0033】
RAM14は、CPU10から直接アクセスされるメインメモリとして利用される記憶装置である。このRAM14には、CPU10で実行される各種プログラムがROM12から読み込まれ、また、CPU10による各種演算の結果や各種データも記憶される。上述の各種機能に係る演算処理を実行する際には、各処理を実行するためのプログラムがROM12からRAM14へ読み込まれる。そして、RAM14に記憶されたプログラムに従って、CPU10が処理を実行することになる。
【0034】
データ入力部16は、フラッシュメモリを内蔵した可搬型記憶媒体であるメモリカード28を接続するためのコネクタを備え、メモリカード28に対してデータを読み書きするリーダ/ライタとしての機能を有する。
【0035】
操作部18は、テンキーや文字キー、ファンクションキー等のキースイッチ群を備え、ユーザによるキー操作に応じた指令をCPU10へ入力する。表示部20は、液晶ディスプレイ等で構成された出力装置であり、印刷装置1の動作状態や操作ガイダンス、ファイルの縮小画像等の各種情報を表示する。
【0036】
印刷部22は、CPU10からの制御に基づいて、例えばインクジェット方式あるいはレーザ方式等により、記録用紙に画像を印刷する装置である。読取部24は、記録用紙に記録された画像を走査し、読み込んだ画像をデジタルデータに変換してCPU10へ入力する装置である。
【0037】
通信I/F26は、印刷装置1と他の情報処理装置等を接続するためのハードウェアインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のリシアルバスやネットワークアダプタ等が用いられる。なお、図1においては、この通信I/F26を介して印刷装置1とPC100とが通信可能に接続された状態を示している。
【0038】
一方、PC100の構成は、周知のコンピュータ装置と同一であり、液晶ディスプレイ等で構成された表示部102、マウス及びキーボード等により構成される操作部104、各種演算処理を行うCPU106、IPLやBIOSといった一部のプログラムや読み出し専用のデータ等を記憶するROM108、CPU106から直接アクセスされるメインメモリであるRAM110、OSやアプリケーションプログラム、各種データファイルを保存しておくための補助記憶装置であるハードディスクドライブ(以下、HDD)112、PC1にプリンタやその他周辺機器を接続したり、PC1をネットワークへ接続するためのハードウェアインタフェースである通信I/F114等を備える。
【0039】
本実施形態の印刷装置1は、PC100の周辺機器として入力された印刷データに基づく印刷を実行する機能の他、デジタルカメラ等で利用されるメモリカード28をデータ入力部16に接続し、そのメモリカード28からデータを直接読み出して印刷する、いわゆるダイレクト印刷機能を備える。また、このダイレクト印刷に関連する機能として、メモリカード28に記憶されている複数の文書ファイル(例えば、PDF(Portable Document Format)形式のファイル等)から、それぞれのファイルに対応するインデックス画像作成し、そのインデックス画像を一覧印刷する。このとき、通常では、1つのファイルに含まれる複数のページのうち先頭ページを一覧印刷の対象として選択し、この先頭ページのインデックス画像を作成して一覧印刷を行う。また、印刷装置1のCPU10は、本発明における特徴的な処理として、一覧印刷の対象である先頭ページに対応するインデックス画像の作成時にエラーが生じた場合に、当該エラーに該当しない別のページを一覧印刷の対象として選択してインデックス画像の作成を行う処理を実行する。
【0040】
[一覧印刷処理の説明]
つぎに、上述の一覧印刷の事例について図2に基づいて説明する。図2は、一覧印刷の手順を模式的に示す説明図である。図2に示す事例では、メモリカード28内のフォルダに格納された3つのファイル(ファイル1,ファイル2,ファイル3)のインデックス画像を印刷する場合を想定している。その手順としては、各ファイルごとにインデックス画像を順次作成し、これらのインデックス画像を記録用紙の所定の位置に配置して印刷する。ここでは、一覧印刷の対象のファイルに含まれる複数のページのうち、先頭ページをインデックス画像作成の対象とするのを原則とする。その一方で、先頭ページのインデックス画像を作成する際にエラーが発生した場合、先頭ページの代わりに、そのエラーの要因に該当しない別のページのインデックス画像を作成する。図2に示す事例では、ファイル1,ファイル2については先頭ページのインデックス画像を作成しているが、ファイル3については先頭ページのインデックス画像の作成でエラーが発生しており、そのため別のページからインデックス画像を作成して、ファイルの一覧を印刷している。
【0041】
[インデックス画像作成処理の説明]
つぎに、上述の一覧印刷の過程において、個々のファイルからインデックス画像を作成する手順の詳細な内容を、図3,4のフローチャート及び図5,6の説明図に基づいて説明する。
【0042】
図3は、印刷装置1のCPU10が実行するインデックス画像作成処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、一覧印刷の対象となる個々のファイルに対して、それぞれ実行される処理である。
【0043】
CPU10は、まず、ファイルの先頭ページを処理対象にセットする(S100)。つぎに、セットした処理対象のページに含まれる文字データや画像データを変換して、当該ページのインデックス画像の印刷データを作成し、当該ページを処理済と設定する(S110)。ここで、処理対象のページのインデックス画像を作成した際にエラーが発生したか否かを判定し(S120)、エラーが発生したと判定した場合(S120:YES)、S130のエラー要因記憶処理を実行する。
【0044】
ここで、S130のエラー要因記憶処理の詳細な内容について、図4に基づき説明する。図4は、印刷装置1のCPU10が実行するエラー要因記憶処理の手順を示すフローチャートである。
【0045】
エラー要因記憶処理では、まず、発生したエラーの要因がフォントエラーであるか否かを判定する(S131)。ここで、フォントエラーとは、処理対象のページに含まれている文字に使用されているフォントが印刷装置1ではサポートされておらず、その文字を正しく印刷できない状態であることを示すエラーである。
【0046】
エラー要因がフォントエラーであると判定した場合(S131:YES)、当該エラーとなったフォントをエラー要因としてRAM14に記憶し(S132)、エラー要因記憶処理を終了する。
【0047】
一方、エラー要因がフォントエラーではないと判定した場合(S131:NO)、エラー要因が画像エラーであるか否かを判定する(S133)。ここで、画像エラーとは、そのページに含まれる画像のデータ形式が印刷装置1ではサポートされておらず、その画像を正しく印刷できない状態や、ページに含まれる画像のサイズが、印刷データを展開するためのメモリ容量に対して過大であり、その画像を印刷できない状態であることを示すエラーである。
【0048】
エラー要因が画像エラーであると判定した場合(S133:YES)、当該エラーとなった画像をエラー要因としてRAM14に記憶する(S134)。一方、エラー要因が画像エラーではないと判定した場合(S133:NO)、エラー要因記憶処理を終了する。
【0049】
つぎに、S135では、印刷実行時に生成される印刷データを記憶するためのメモリがフルの状態であるか否かを判定する(S135)。メモリがフルの状態であると判定した場合(S135:YES)、S133でエラー要因となった画像エラーの画像のサイズをRAM14に記憶し(S136)、エラー要因記憶処理を終了する。一方、メモリがフルの状態ではないと判定した場合(S135:NO)、例えば、エラー要因となった画像そのものに原因があった場合には、エラー要因記憶処理を終了する。
【0050】
図3のフローチャート説明に戻る。S130のエラー要因記憶処理でエラー要因の特定・記憶を行った後、当該ファイルに含まれるページのうち、未処理のページがあるか否かを判定し(S140)、未処理のページがあると判定した場合(S140:YES)、処理したページの数が所定の限度数を超えたか否かを判定する(S150)。処理ページ数が限度数を超えていないと判定した場合(S150:NO)、当該ファイルに含まれるページのうち、未処理のページ中から次の処理対象のページを選択し、処理対象にセットする(S160)。
【0051】
ここで、次の処理対象のページを選択する際の具体的な手順を図5に基づき説明する。図5は、目次データが付属するファイルの文書から処理対象のページを選択する手順を示す説明図である。
【0052】
図5(a)は、目次データが付属するファイルの構造を模式的に示す図である。このファイルには、ファイルの本体データであるところの文書データに加え、目次データが付属している。目次データとは、文書ファイルの本体データに付随して、その文書の見出しが記載された目次等の情報を保持する属性データであり、例えばアプリケーション上で文書の概要等を取得する際に用いられるものである。
【0053】
目次データが付属するファイルから処理対象のページを選択するには、まず、目次データから文書の見出し情報を取得する(1)。つぎに、その取得した見出し情報で示される見出し文が含まれるページを、ファイルの文書データから探索する(2)。そして、その探索の結果、見出し文が含まれる1つのページを取得して次の処理対象として選択する(3)。なお、見出し文が含まれるページが複数存在する場合、例えばページ番号が若いものを優先して選択する。また、ファイルに目次データが付属していない場合は、未処理のページのうち、ページ番号が若いものから順に処理対象に選択する。
【0054】
図5(b)は、処理対象として選択されたページの一例を示す図である。このページには、目次データに含まれる見出し情報に対応する見出しが記載されており、ユーザにとって文書の内容が良く分かるようになっている。この選択された処理対象のページに対して、後述のS170及びS180において、エラー要因の有無や他の選定条件との適否が判定される(4)。
【0055】
図3のフローチャートの説明に戻る。S160で次の処理対象のページを選択した後、この処理対象のページが、RAM14に記憶されているエラー要因に該当するか否かを判定する(S170)。すなわち、上述のエラー要因記憶処理(図4参照)でRAM14に記憶されたエラー要因(フォントエラー又は画像エラー)と同一のエラー要因が処理対象のページに含まれているか否かを判定する。ここで、処理対象のページがRAM14に記憶されているエラー要因に該当しないと判定した場合(S170:NO)、さらに、当該ページを一覧印刷の対象として選定するための他の選定条件に適合するか否かを判定する(S180)。
【0056】
より具体的には、当該ページを一覧印刷の対象として選定するため条件として、(1)当該ページに含まれている画像のデータ量が基準量以下(画像なしも含む)であること、(2)文書内の文字や画像の構造を定義するコマンドの数が基準値以下であること、(3)当該ページに含まれている文字の大きさが基準値以上であること、などといった選定条件を適用する。このうち、(1),(2)の選定条件は、インデックス画像の作成に係る処理負荷を軽減し、一覧印刷を高速に行うことができるページを選定することを重視した選定条件である。一方、(3)の選定条件は、一覧印刷されたインデックス画像における文字の見易さを重視した選定条件である。なお、これら(1)〜(3)の選定条件をS180の処理に全て適用してもよいし、一部のみを適用するように構成してもよい。また、選定条件(1)におけるデータの基準量や、選定条件(2)におけるコマンド数の基準値は、印刷装置1の処理能力に応じて固定の値を用いてもよいし、実時間における処理負荷に応じて各基準値を許容される範囲で動的に決定するような構成であってもよい。
【0057】
S180で、当該ページが選定条件に適合すると判定した場合(S180:YES)、S110の処理へ移行し、当該処理対象のページに含まれる文字データや画像データを変換して、当該ページのインデックス画像の印刷データを作成する。
【0058】
一方、S170で、処理対象のページがRAM14に記憶されているエラー要因に該当すると判定した場合(S170:YES)、あるいは、S180で、処理対象のページが選定条件に適合しないと判定した場合(S180:NO)、当該ページを処理済と設定し、S140の処理へ戻る。そして、S140で、未処理のページが存在しないと判定した場合(S140:NO)、あるいは、S150で処理ページ数が限度数を超えたと判定した場合(S150:YES)、予め用意されている代替画像の描画データを印刷用メモリに展開し(S210)、インデックス画像作成処理を終了する。この場合、代替画像が当該ファイルのインデックスイメージとして一覧印刷されることになる。なお、代替画像としては、例えば、ファイルのデータ形式(例えばPDF等)を示すシンボルを用いることが考えられる。
【0059】
一方、S110でインデックス画像を作成した際、エラーが発生していないと判定した場合(S120:NO)、当該処理対象のページが先頭ページであるか否かを判定する(S190)。処理対象のページが先頭ページであると判定した場合(S190:YES)、インデックス画像作成処理を終了する。この場合、S110で作成されたインデックス画像がそのまま当該ファイルのインデックスイメージとして一覧印刷されることになる。
【0060】
一方、処理対象のページが先頭ページではないと判定した場合(S190:NO)、S110で作成したインデックス画像上に、ページ番号等を示すページ情報を付加し(S200)、インデックス画像作成処理を終了する。この場合、S110で作成されたインデックス画像にページ情報が追加された画像が、当該ファイルのインデックスイメージとして一覧印刷されることになる。
【0061】
ここで、インデックス画像上にページ情報を追加する手順を図6に基づき説明する。図6に示すように、(a)のファイルに含まれる複数のページのうち、先頭ページ以外の処理対象のページ(b)からインデックス画像を作成した場合、当該ページのヘッダーあるいはフッター部分にページ番号等のページ情報が記載されていなければ、インデックス画像上のフッター部分にページ番号等のページ情報を付加する。図6(d)は、ページ情報が付加されたインデックス画像の一例である。
【0062】
一方、処理対象のページのヘッダーあるいはフッター部分にページ情報が元々記載されている場合、インデックス画像上にページ情報は付加しない。すなわち、図6(e)に示すように、作成したインデックス画像をそのまま一覧印刷する。
【0063】
[効果]
実施形態の印刷装置1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)ファイルのインデックス画像を一覧印刷する際、初期印刷対象である先頭ページのインデックス画像を作成する際にエラーが発生しても、そのエラーの要因を含まない別のページを代替に一覧印刷を遂行できるので好適である。
【0064】
(2)エラーが発生したページの代わりに、ファイルに付属する目次データに記録されている見出しが文書内に含まれているページを一覧印刷の対象に選択する。このようにすることで、そのページに対応するインデックス画像に記録されている見出しをユーザが読めば、ユーザはその文書ファイルの内容を一目で類推することができるので、便利である。
【0065】
(3)エラーが発生したページの代わりに、印刷装置の処理能力の面で許容される範囲のデータ量の画像を含むページを一覧印刷対象に選択する。このようにすることで、インデックス画像の作成に係る処理負荷を軽減でき、一覧印刷を高速に行うことができるようになる。あるいは、画像が全く含まれない、すなわち文字だけのページを一覧印刷対象に選択するようにして、インデックス画像の作成に係る処理負荷の軽減を徹底することもできる。
【0066】
(4)エラーが発生したページの代わりに、文書内の文字や画像の構造を定義するコマンドの数が基準値以下であるページを一覧印刷の対象として選択することで、インデックス画像の作成に係る処理負荷を軽減できる。
【0067】
(5)エラーが発生したページの代わりに、ページに含まれている文字の大きさが基準値以上であるページを一覧印刷対象として選択することで、エラーを回避して確実にインデックス画像を印刷可能にすると共に、ユーザにとって閲覧しやすい一覧印刷を実現できる。
【0068】
(6)先頭ページの代替として選択したページに対応するインデックス画像に、当該ページに関するページ情報の画像を付加することで、一覧印刷されたインデックス画像が文書ファイルのどのページに対応するのかがユーザに一目で分かるようなり、便利である。
【0069】
(7)エラーが発生したページ数が所定数に達した場合には、他の未処理ページを対象ページにしてインデックス画像の生成を行うのではなく、代替画像の描画データを展開するため、そのファイルに対するインデックス画像の生成により、一覧印刷の処理が遅くなるのを防止できる。
【0070】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、様々な態様にて実施することが可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態においては、印刷装置1におけるダイレクト印刷機能によってファイルの一覧印刷を実行する事例について説明した。これに対し、印刷装置1に接続されたPC100上で機能するアプリケーションソフトウェアとして、上記実施形態における一覧印刷機能をPC100に実装してもよい。この場合、PC100のCPU106が複数のファイルからそれぞれインデックス画像を作成し、そのインデックス画像の一覧を印刷装置1に対して印刷させるような構成となる。
【0072】
また、インデックス画像を作成する手順において、まず先頭ページを処理対象のページにセットしたが、これに限らず、例えば、どのページをインデックス画像の処理対象のページにするかが予めファイルの中に定義されていてもよい。
【0073】
また、エラー要因をファイルごとに記憶しているが、過去に処理を行った際に発生したエラー要因を蓄積しておき、他のファイルを処理する際に、この蓄積したエラー要因を利用して、処理対象となるページにエラー要因が含まれているかを判断してもよい。
【0074】
また、無条件に先頭ページを処理対象のページにするのではなく、先頭ページに対し、まず、エラー要因の有無や選定条件に適合する否かの判定を行い、エラー要因がなく、選定条件に適合する場合に、その先頭ページを処理対象のページとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】印刷装置1及びPC100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】一覧印刷の手順を模式的に示す説明図である。
【図3】インデックス画像作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】エラー要因記憶処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】目次データが付属するファイルの文書データから処理対象のページを選択する手順を示す説明図である。
【図6】インデックス画像上にページ情報を追加する手順を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0076】
1…印刷装置、10…CPU、12…ROM、14…RAM、16…データ入力部、18…操作部、20…表示部、22…印刷部、24…読取部、26…通信I/F、28…メモリカード、100…PC、102…表示部、104…操作部、106…CPU、108…ROM、110…RAM、112…HDD、114…通信I/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字情報又は画像情報の少なくとも一方を含む文書からなる複数のファイルから、個々のファイルに含まれる任意のページに対応するインデックス画像の一覧を印刷出力する印刷装置であって、
前記インデックス画像の作成時に生じるエラーの要因を記憶する記憶手段と、
1つのファイルに含まれる複数のページのうち、前記記憶手段に記憶されているエラーの要因を含まないページを一覧印刷対象として選択するページ選択手段と、
前記ページ選択手段により選択された一覧印刷対象のページに対応するインデックス画像を作成するインデックス画像作成手段と、
前記インデックス画像作成手段により作成された各ファイルに対応するインデックス画像を一覧にして印刷出力する出力手段とを備えること
を特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記インデックス画像作成手段によるインデックス画像の作成時にエラーが生じた場合、このエラーの要因を特定するエラー要因特定手段と、
前記エラー要因特定手段により特定したエラーの要因を前記記憶手段に追加記録するエラー要因記録手段とを更に備え、
前記ページ選択手段は、前記インデックス画像作成手段によるインデックス画像の作成時にエラーが生じた場合、当該ファイルに含まれる複数のページのうち、前記記憶手段に記憶されているエラーの要因を含まない別の一覧印刷対象を新たに選択すること
を特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
エラー要因の有無を判断する対象のページに前記記憶手段に記憶されているエラーの要因が含まれているか否かを判断するエラー要因判断手段を更に備え、
前記インデックス画像作成手段は、複数のページを含むファイルの中から所定の初期印刷対象のページに対応するインデックス画像の作成を実行し、
前記初期印刷対象のページに対応するインデックス画像の作成時にエラーが生じた場合、前記エラー要因判断手段は、当該ファイルにおける初期印刷対象のページとは異なるページを対象に、そのページに前記記憶手段に記憶されているエラーの要因が含まれているか否かを判断し、
前記エラー要因判断手段により、そのページにエラーの要因が含まれていると判断した場合、前記エラー要因判断手段による判断処理が行われていないページを対象に、前記エラー要因判断手段による判断処理を更に実行する一方、エラーの要因が含まれていないと判断した場合、そのページを前記ページ選択手段による一覧印刷対象として選択し、かつ、前記エラー要因判断手段による判断処理を終了すること
を特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印刷装置において、
前記エラー要因判断手段は、当該ファイルに付随する目次データに記録されている見出しが文書内に含まれているページを対象に、エラーの要因が含まれているか否かを判断すること
を特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の印刷装置において、
前記ページ選択手段は、1ページに含まれている画像情報のデータ量が基準量以下であるページを一覧印刷対象として選択すること
を特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の印刷装置において、
前記ページ選択手段は、1ページ分のデータ量あるいは1ページ分のデータ量の多寡を示す所定の指標が基準値以下であるページを一覧印刷対象として選択すること
を特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の何れか1に記載の印刷装置において、
前記ページ選択手段は、1ページに含まれている文字の大きさが基準値以上であるページを一覧印刷対象として選択すること
を特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の印刷装置において、
前記インデックス画像作成手段によって作成された前記一覧印刷対象のページに対応するインデックス画像に、当該ページに関するページ情報の画像を付加するページ情報付加手段を更に備えること
を特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷装置において、
前記一覧印刷対象のページに前記ページ情報に相当する内容が含まれているか否かを判断するページ情報判断手段を更に備え、
前記ページ情報付加手段は、前記ページ情報判断手段により前記ページ情報に相当する内容が含まれていないと判断した場合、当該ページに対応するインデックス画像にページ情報を付加する一方、前記ページ情報に相当する内容が含まれていると判断した場合、当該ページに対応するインデックス画像にページ情報を付加しないこと
を特徴とする印刷装置。
【請求項10】
コンピュータが読み取り可能なプログラムであって、
文字情報又は画像情報の少なくとも一方を含む文書からなる1つのファイルに含まれる複数のページのうち、記憶手段に記憶されているインデックス画像の作成時に生じるエラーの要因を含まないページを一覧印刷対象として選択するページ選択手順と、
選択された前記一覧印刷対象のページに対応するインデックス画像を作成するインデックス画像作成手順と、
作成された複数のファイルに対応する各インデックス画像を一覧にして印刷出力する出力手順と
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−46985(P2010−46985A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215410(P2008−215410)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】