印刷装置及び印刷方法
【課題】実行すべき印刷ジョブとして異なるユーザによって発行された同一の印刷ジョブがある場合、同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させる。
【解決手段】印刷装置1は、受付けられた印刷ジョブを記憶する記憶装置17と、印刷ジョブが受付けられたとき、その受付けられた印刷ジョブと記憶装置17に記憶されている印刷ジョブとを比較して、受付けられた印刷ジョブと記憶装置に記憶されている印刷ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判別する判別手段28とを備える。そして、印刷装置1は、判別手段28によって同一と判別された印刷ジョブを実行するとき、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行う。
【解決手段】印刷装置1は、受付けられた印刷ジョブを記憶する記憶装置17と、印刷ジョブが受付けられたとき、その受付けられた印刷ジョブと記憶装置17に記憶されている印刷ジョブとを比較して、受付けられた印刷ジョブと記憶装置に記憶されている印刷ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判別する判別手段28とを備える。そして、印刷装置1は、判別手段28によって同一と判別された印刷ジョブを実行するとき、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷ジョブをまとめて実行して印刷出力する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の印刷ジョブをまとめて実行して印刷出力する技術がある。例えば、特許文献1に開示された印刷装置は、受付けた印刷ジョブを蓄積する蓄積手段を備え、その蓄積手段に蓄積される印刷ジョブを所定のタイミングで順次印刷装置に出力して印刷を実行する構成である。このような構成によれば、間隔を開けて受付けた複数の印刷ジョブをまとめて印刷出力することができるので、印刷ジョブを受付ける度に印刷出力を実行する場合に比べて消費電力が低減されるというメリットがある。
【0003】
また、特許文献1に開示された印刷装置は、蓄積される印刷ジョブの実行順序が変更できるようになっている。すなわち、印刷装置は、蓄積される印刷ジョブのうち、基本的には印刷ジョブの受付順序に従って印刷ジョブを実行する。そして、印刷装置は、同一人により発行された印刷ジョブが複数ある場合には、それら複数の印刷ジョブを連続的な実行順序に変更してから実行する。これにより、各ユーザが他人の印刷物を取り違えて取得してしまうことを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−90385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の印刷装置では、印刷ジョブの実行順序は、印刷ジョブの受付順序やユーザ名に基づき決定されるため、同一の印刷ジョブが必ずしも連続して実行されるとは限らない。例えば、あるユーザによって印刷ジョブ「JOB1」が受付けられた後、別のユーザによってその印刷ジョブ「JOB1」とは異なる印刷ジョブ「JOB2」が受付けられ、更にその後に、更なる別のユーザによって印刷ジョブ「JOB1」と同一の印刷ジョブ「JOB3」が受付けられるとする。この場合、従来の印刷装置における実行順序は、受付順序に従って印刷ジョブ「JOB1」、「JOB2」、「JOB3」となる。尚、この場合、各ユーザが1つずつ印刷ジョブを発行しているのでユーザ名に基づく実行順序の変更は行われない。
【0006】
このとき、印刷ジョブ「JOB3」を発行したユーザは、印刷ジョブ「JOB2」の実行が完了するまで、印刷ジョブ「JOB3」の実行開始を待つことになる。仮に印刷ジョブ「JOB2」の情報量が多いと、その分、印刷ジョブ「JOB2」の実行に時間がかかるので、「JOB3」を発行したユーザは、自分の印刷物を取得するまで長時間待たされてしまう。
【0007】
このように、複数の印刷ジョブをまとめて実行する場合において、従来の印刷装置では、異なるユーザによって同一の印刷ジョブが複数蓄積されている場合であっても、それら同一の印刷ジョブが連続して実行されないことがある。つまり、従来の印刷装置において、複数の同一印刷ジョブの間に異なる印刷ジョブが受付けられていると、その異なる印刷ジョブの後となる印刷ジョブを発行したユーザは、先に発行された別の印刷ジョブによって待たされてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、実行すべき印刷ジョブとして異なるユーザによって発行された同一の印刷ジョブがある場合、同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させることのできる印刷装置及び印刷方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、印刷装置であって、印刷ジョブを受付ける受付手段と、前記受付手段によって受付けられた印刷ジョブが即時に実行されないとき、その印刷ジョブを待機ジョブとして記憶する記憶装置と、前記受付手段によって印刷ジョブが受付けられたとき、その受付けられた印刷ジョブと前記記憶装置に記憶されている待機ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判別する判別手段と、印刷ジョブを実行することにより印刷出力を行う印刷制御手段と、を備え、前記印刷制御手段は、前記判別手段によって同一と判別された印刷ジョブを実行するとき、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0010】
このような構成によれば、同一と判別された印刷ジョブが実行されるときに、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力が行われるので、印刷装置は、同一と判別された印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させることが可能となる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の印刷装置において、前記印刷制御手段は、同一と判別された複数の印刷ジョブのうち何れか1つを複数回実行し、他の印刷ジョブを実行しないことを特徴とする構成である。
【0012】
このような構成によれば、印刷装置は、必要部数以上の印刷物が印刷出力されてしまうような不具合を未然に防止することができる。すなわち、同一と判別された複数の印刷ジョブのうち何れか1つに基づき複数部の印刷出力が行われた後、その印刷ジョブと同一である他の印刷ジョブを更に実行してしまうと余分に印刷物が出力されてしまう可能性がある。しかし、上記構成によれば、印刷装置は、そのような不具合を生じさせないことが可能である。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載された印刷装置において、前記印刷制御手段は、同一と判別された印刷ジョブを発行したユーザの数に対応して複数部の印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0014】
このような構成によれば、同一と判別された印刷ジョブを発行したユーザの数に対応して複数部の印刷出力が行われるので、同一と判別された印刷ジョブを発行した各ユーザが漏れなく印刷物を取得することができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の印刷装置において、前記印刷制御手段は、同一と判別された各印刷ジョブの印刷設定に応じて、複数部の印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0016】
このような構成によれば、同一と判別された各印刷ジョブの印刷設定に対応して複数部の印刷出力が行われるので、同一と判別された印刷ジョブを発行したユーザは、自己の印刷設定に従って印刷出力された印刷物を取得することができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の印刷装置において、前記印刷装置の通電状態を制御する電源管理手段を更に備え、前記記憶装置は、前記電源管理手段によって制御される通電状態が省電力状態である場合に、前記受付手段によって受付けられた印刷ジョブを記憶し、前記印刷制御手段は、前記電源管理手段によって制御される通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰したときに、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0018】
このような構成によれば、印刷装置の通電状態が省電力状態である場合、入力される印刷ジョブが記記憶装置に記憶されるので、印刷ジョブを入力する毎にその印刷ジョブを実行する場合に比べて印刷装置の消費電力を節約することができる。
【0019】
請求項6に係る発明は、印刷装置によって実行される印刷方法であって、印刷ジョブを受付ける受付ステップと、前記受付ステップによって受付けられた印刷ジョブが即時に実行されないとき、その印刷ジョブを待機ジョブとして記憶する記憶ステップと、前記受付ステップによって印刷ジョブが受付けられたとき、その受付けられた印刷ジョブと待機ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判別する判別ステップと、印刷ジョブを実行することにより印刷出力を行う印刷制御ステップと、を有し、前記印刷制御ステップは、前記判別ステップによって同一と判別された印刷ジョブを実行するとき、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0020】
このような構成によれば、同一と判別された印刷ジョブが実行されるときに、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力が行われるので、印刷装置は、同一と判別された印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、実行すべき印刷ジョブとして異なるユーザによって発行された同一の印刷ジョブがある場合、同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】印刷システムの一構成例を示す図である。
【図2】印刷装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【図3】印刷装置において実行される処理の概略を示す図である。
【図4】印刷装置において実行される処理の概略を示す図である。
【図5】印刷装置における制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】案内画面の一例を示す図である。
【図7】ユーザ情報の一例を示す図である。
【図8】印刷装置において実行される全体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】印刷装置において実行される印刷ジョブ保留処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】印刷装置において実行される印刷ジョブ保留処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】関連ジョブ情報の一例を示す図である。
【図12】第2の実施形態において、印刷装置において実行される印刷ジョブ保留処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施形態において、印刷装置において実行される印刷ジョブ保留処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、印刷装置1と複数のユーザ端末6(6a〜6d)とで構成される印刷システムの全体構成例を示す図である。印刷装置1は、ネットワーク5を介して各ユーザ端末6a〜6dと接続され、それぞれと通信可能になっている。また、印刷装置1は、ユーザによる操作指示を入力するための操作パネル2と、印刷処理を実行した後、印刷出力された印刷物を出力するための排出口3と、出力された印刷物を保持しておくための排出トレイ4とを備えている。印刷装置1は、ネットワーク5を介してユーザ端末6から印刷ジョブを受付けると、その印刷ジョブを実行して印刷出力を行うように構成される。操作パネル2は、例えば、いわゆるタッチパネルで構成され、情報を表示するための表示部と、ユーザによる操作指示を入力する操作入力部とが一体的に設けられている。
【0025】
印刷装置1は、各種表示画面を作成してユーザ端末6に表示させることが可能な構成である。印刷装置1は、表示画面に対して入力された情報に基づき各種処理を実行することが可能になっている。尚、印刷装置1に含まれる各構成は、いわゆる複合機やFAX装置など、印刷処理を実行する他の装置に組み込まれるものであっても良い。
【0026】
また、印刷装置1は、この印刷装置1の通電状態を管理する図示しない電源管理部を有している。電源管理部は、一定時間を経過するまで操作パネル2が何れの操作も検知しない場合、或いは、ネットワーク5を介して何れの信号も受信しない場合には、印刷装置1の通電状態を、通常通電状態から省電力状態に移行させるように電源回路を制御する。通常通電状態は、印刷装置1において印刷出力を行なうことができるように各部に対して電力供給を行なう動作モードである。省電力状態は、一部の回路への電力供給を残して他の回路への電力供給を制限する動作モードである。省電力状態のとき、印刷出力は行われない。これにより、印刷装置1は、省電力状態に移行しているときに電力消費量を節約することが可能になっている。また、電源管理部は、省電力状態のときに操作パネル2によってユーザによる操作が検知された場合や、ネットワーク5を介して信号や情報が受信された場合などに通電状態を通常通電状態に復帰させる構成である。
【0027】
また、印刷装置1は、ユーザを特定するためのユーザ識別情報(以下「ユーザID」と称する)に基づきユーザのログインを許可することが可能な構成である。また、印刷装置1は、例えばIPアドレスなど、ユーザ端末6a〜6dを特定するための識別情報に、ユーザIDを関連づけて記憶する。これにより、印刷装置1は、ユーザと、そのユーザによって使用されるユーザ端末6とを特定する。
【0028】
ユーザ端末6は、例えば、一般的なパーソナルコンピュータである。また、ユーザ端末6は、各種情報を表示する表示部7と、ユーザによる操作指示を入力する操作入力部8とを備えている。例えば、表示部7は、液晶ディスプレイであり、また、操作入力部8は、キーボードや図示しないマウスなどで構成される。以下の説明では、ユーザ端末6aはユーザAが使用するものとし、同様に、ユーザ端末6bはユーザB、ユーザ端末6cはユーザC、ユーザ端末6dはユーザDがそれぞれ使用するものとする。
【0029】
ユーザ端末6には、プリンタードライバーがインストールされている。これにより、ユーザ端末6は、印刷ジョブを生成して印刷装置1に出力することが可能である。また、ユーザ端末6は、印刷装置1から出力される各種表示画面を表示部7に表示することが可能な構成であり、更に、その表示画面に対して操作入力部8により入力される操作指示を受付けて印刷装置1に出力することができる構成である。
【0030】
図2は、印刷装置1のハードウエア構成の一例を示す図である。印刷装置1は、この印刷装置1の動作を制御する制御部10と、ユーザ端末6などの外部機器と接続するためのネットワークインタフェース13と、印刷ジョブを実行して印刷出力を行う印刷処理部14と、ユーザによる各種操作を受付ける操作パネル2と、各種情報を記憶する記憶装置17と、を備え、それらがバス15を介して接続されることにより相互に通信可能に構成される。
【0031】
制御部10は、CPU11とメモリ12とを備えており、各部の動作を制御するものである。CPU11は、記憶装置17に記憶されているプログラム18を読み出して実行する。ここで、プログラム18は、印刷装置1に電源が投入されることに伴って、CPU11によって実行される基本的なプログラムである。例えば、プログラム18は、ユーザ端末6から送信される印刷ジョブを受信したり、その印刷ジョブを実行したりするためのプログラムであると共に、制御部10を後述する各種処理部として機能させるためのプログラムである。メモリ12は、CPU11がプログラムを実行することに伴う一時的なデータなどを記憶するものである。また、記憶装置17は、印刷ジョブを記憶する印刷ジョブ記憶部19を有している。
【0032】
ネットワークインタフェース13は、印刷装置1をネットワーク5に接続するためのものである。制御部10は、このネットワークインタフェース13を介してユーザ端末6と通信可能に接続される。
【0033】
印刷処理部14は、給紙カセットから用紙を1枚ずつ給紙する給紙部、給紙部から給紙された用紙に対して、印刷ジョブに含まれる画像データに基づき画像形成を行う画像形成部、画像形成部によって形成されるトナー像(画像)を用紙に転写させる転写部、用紙に転写されたトナー像を定着させる定着部、印刷された印刷物を排出口3まで搬送する印刷物搬送部、画像形成部にトナーを補充するトナーボトルなどを備えている。これにより、印刷処理部14は、入力する印刷ジョブを実行することが可能である。
【0034】
制御部10の後述する各処理部と、記憶装置17の少なくとも一部の記憶領域とは、通電状態が省電力状態になっているときにも起動されており、ユーザ端末6からの各種情報を受付け、その受付けた情報を記憶装置17に記憶させたり、記憶装置17に記憶されている情報を読出したりできるように構成される。
【0035】
図3,図4は、印刷装置1によって実行される処理の概略を示したものである。図3では印刷装置1は、通電状態が省電力状態になっている。この状態のときに、印刷装置1は、ユーザ端末6aから印刷ジョブA1を入力すると、ユーザ端末6aに対し通電状態が省電力状態であることを報知すると共に、印刷ジョブを即時に実行するか否かを問い合せる案内画面をユーザ端末6に表示させる。印刷装置1は、ユーザ端末6aから、印刷ジョブA1の実行を保留すべき指示を入力すると、印刷ジョブA1を待機ジョブとして記憶装置17の印刷ジョブ記憶部19に記憶して省電力状態を維持する。これにより、印刷装置1は、省電力状態から通常通電状態に復帰することに伴う電力を節約することができる。
【0036】
印刷装置1は、通電状態が省電力状態であって、且つ記憶装置17に既に待機ジョブが記憶されている状態のときに、ユーザ端末6から印刷ジョブを入力すると、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、ユーザ端末6から入力する印刷ジョブとが同一であるか否かを判断する。例えば、印刷装置1の通電状態が省電力状態であって、且つ印刷ジョブA1が待機ジョブとして記憶装置17に記憶されている状態のときに、ユーザ端末6bから印刷ジョブBを入力すると、印刷装置1は、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1と、入力する印刷ジョブBとの同一性を例えばファイル名などに基づき判断する。
【0037】
例えば、図3において、印刷ジョブBが、印刷ジョブA1が生成された文書データとは異なる文書データに基づいて生成されている場合、その印刷ジョブBは、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1とは異なる印刷ジョブと判断される。これに対し、印刷ジョブBが、印刷ジョブA1が生成された文書データと同じ文書データに基づいて生成されている場合、その印刷ジョブBは、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1と同一の印刷ジョブと判断される。尚、図3では、印刷ジョブBが、印刷ジョブA1とは異なる印刷ジョブであると判断される場合を例示している。
【0038】
このようにして印刷装置1は、受信した印刷ジョブBと待機ジョブである印刷ジョブA1との同一性の判断が終了すると、図3に示すように、上記と同様にしてユーザ端末6bに対し案内画面を表示させる。印刷装置1は、ユーザ端末6bから、印刷ジョブBの実行を保留すべき指示を入力すると、印刷ジョブBを待機ジョブとして記憶装置17に記憶して省電力状態を維持する。
【0039】
その後、印刷装置1は、ユーザ端末6cから印刷ジョブA2を入力すると、その印刷ジョブA2と、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1及び印刷ジョブBとの同一性を判断する。
【0040】
ここでの判断は、上記と同様に行われる。すなわち、印刷ジョブA2が、印刷ジョブA1又はBが生成された文書データとは異なる文書データに基づいて生成されている場合、その印刷ジョブA2は、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1及びBとは異なる印刷ジョブと判断される。これに対し、印刷ジョブA2が、印刷ジョブA1及びBの何れか一方が生成された文書データと同じ文書データに基づいて生成されている場合、その印刷ジョブA2は、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1及びBの何れか一方と同一の印刷ジョブと判断される。尚、図3では、印刷ジョブA2が、印刷ジョブA1と同一のジョブであると判断される場合を例示している。
【0041】
印刷装置1は、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1と、入力する印刷ジョブA2とが同一であると判断すると、その印刷ジョブA2を発行したユーザを特定する。そして、印刷装置1は、そのユーザに関するユーザ情報21を生成して、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1に関連づける。図3の例では、印刷装置1は、印刷ジョブA1に対してユーザCに関するユーザ情報21を関連づける。
【0042】
印刷装置1は、ユーザ情報21の関連づけが終了すると、上記と同様にしてユーザ端末6cに対し案内画面を表示させる。印刷装置1は、ユーザ端末6cから、印刷ジョブA2の実行を保留すべき指示を入力すると、印刷ジョブA2を記憶装置17に待機ジョブとして記憶して省電力状態を維持する。このようにして、記憶装置17には、印刷ジョブA1,B,A2が記憶される。また、このとき印刷ジョブA1には、ユーザCに関するユーザ情報21が関連づけられている。
【0043】
その後更に、印刷装置1は、ユーザ端末6dから印刷ジョブA3を入力すると、上記と同様にして、その印刷ジョブA3と、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1,B及びA2とが同一であるか否かを判断する。ここでの判断も上記と同様に行われる。その結果、例えば、印刷ジョブA3と印刷ジョブA1とが同一であると判断されると、印刷装置1は、印刷ジョブA3を発行したユーザDに関するユーザ情報21を印刷ジョブA1に関連づける。尚、このとき印刷ジョブA3は、印刷ジョブA2とも同一であると判断されるが、この場合は、例えば最も受付順序の早い印刷ジョブA1にユーザ情報21が関連づけられる。
【0044】
例えば、ユーザA,C,Dが同じ会議に出席するため、会議資料などの文書データに関する印刷指示をそれぞれ異なるタイミングで行った場合、印刷装置1は、それぞれ異なるタイミングで同一の印刷ジョブA1,A2,A3を受信する。また、上記のように印刷装置1は、これら同一の印刷ジョブA1,A2,A3を受信する間に、それらとは異なる他の印刷ジョブBを受信することもある。印刷装置1は、そのような場合に、同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させるため以下のように処理を行う。
【0045】
印刷装置1は、ユーザ情報21の関連づけが終了すると、上記と同様にしてユーザ端末6dに対し案内画面を表示させる。このとき、例えばユーザA,C,Dが出席する会議の開始予定時間が迫っていると、ユーザDは、ユーザ端末6dに表示される案内画面に対して即時に印刷出力を行うように指示する。印刷装置1は、ユーザ端末6dから、印刷ジョブA3を即時に実行すべき指示を入力すると、通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰させ印刷ジョブの実行を開始する。
【0046】
印刷装置1は、上述した同一性の判断において同一と判断された印刷ジョブの実行を行うとき、記憶装置17に記憶されている待機ジョブのうちユーザ情報21が関連付けられている待機ジョブを他の待機ジョブよりも優先的に実行する。図3の例では、印刷装置1は、ユーザ情報21が関連付けられている印刷ジョブA1を最初に実行する。このとき、印刷装置1は、上述した同一性の判断において同一と判断された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行う。例えば、印刷装置1は、ユーザ情報21を参照し、そのユーザ情報21に記録されているユーザの数に対応して印刷ジョブを複数回実行することにより、複数部の印刷出力を行う。
【0047】
例えば、図例では、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1には、ユーザC,Dに関するユーザ情報21が関連づけられている。この場合、図4に示すように、印刷装置1は、印刷ジョブA1を、それらユーザC,Dの数に対応して2回余分に実行する。すなわち、印刷装置1は、印刷ジョブA1を3回実行することにより合計3部の印刷物を出力する。これにより、印刷ジョブA2を発行したユーザCと、印刷ジョブA3を発行したユーザDは、印刷ジョブA2,A3よりも先に受付けられた印刷ジョブBの実行を待たずに、早期に印刷物を取得可能である。すなわち、ユーザC,Dは、印刷ジョブBの実行に要する時間を待たなくて済むので、その分待ち時間が短縮される。特に、印刷ジョブBの情報量が多く、印刷ジョブBの実行が開始されてから終了するまでに比較的長時間を要する場合でも、ユーザC,D用の印刷物は、それよりも先に印刷出力されるようになるので、会議が始まるまでに会議資料などの文書を取得することができるようになる。
【0048】
また、印刷装置1は、ユーザ情報21が関連づけられている印刷ジョブA1を実行すると、その印刷ジョブA1に関連づけられているユーザ情報21に記録されたユーザが発行した印刷ジョブA2,A3を削除する。これにより、印刷装置1は、同一内容の印刷物が、その後更に余分に印刷出力されてしまうことを未然に防止できる。
【0049】
また、印刷装置1は、ユーザ情報21が関連づけられている印刷ジョブの実行が終了すると、そのとき待機状態となっている印刷ジョブを順次実行する。これによりユーザBが印刷物を取得可能になる。以下、上記のような印刷装置1の動作を制御する制御部10の具体的な構成について説明する。
【0050】
図5は、制御部10の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部10は、上述したCPU11がプログラム18を実行することにより、指示解析部25、ジョブ管理部27、印刷制御部29、表示制御部30、及び上述した電源管理部31として機能する。指示解析部25は、通電検知部26を含み、また、ジョブ管理部27は、判別部28を含んでいる。
【0051】
次に、制御部10によって実行される処理について説明する。制御部10は、ネットワーク5を介して信号や情報を受信した場合、まず指示解析部25を機能させる。指示解析部25は、ユーザ端末6から入力する操作指示や各種情報を受付けて解析し、その解析結果に基づき各処理部に各種情報を出力する処理部である。指示解析部25がユーザ端末6から印刷ジョブを受付けると、次に指示解析部25に含まれる通電検知部26が機能する。
【0052】
通電検知部26は、電源管理部31によって制御される印刷装置1の通電状態が省電力状態であるか又は通常通電状態であるかを検知する処理部である。例えば、通電検知部26は、上述した電源管理部と通信可能に接続されており電源管理部による電力供給状態を検知できるようになっている。これにより指示解析部25は、通電検知部26による検知結果に基づき各種処理を行うことが可能である。
【0053】
指示解析部25は、通電状態が通常通電状態であるときに印刷ジョブを入力すると、その印刷ジョブを印刷制御部29に出力する。
【0054】
印刷制御部29は、印刷ジョブを印刷処理部14に対して出力する処理部である。印刷制御部29は、指示解析部25から印刷ジョブを受け取ることで機能し、その印刷ジョブを印刷処理部14に対して出力する。これにより印刷処理部14によって印刷処理が行われることで印刷物が排出口3から出力される。
【0055】
一方、指示解析部25は、通電状態が省電力状態であるときに印刷ジョブを入力すると、その印刷ジョブをジョブ管理部27に出力する。
【0056】
ジョブ管理部27は、印刷ジョブを記憶装置17に記憶させたり、その印刷ジョブに各種情報を関連づけたりすることで印刷ジョブを管理する処理部である。ジョブ管理部27は、指示解析部25から印刷ジョブを受け取ると、記憶装置17に既に記憶されている待機ジョブがあるか否かを検知する。以下においては、まず、未だ記憶装置17に何れの待機ジョブも記憶されていない場合について説明する。
【0057】
ジョブ管理部27は、記憶装置17に待機ジョブが記憶されていない場合、指示解析部25から受け取った印刷ジョブの出力先を決定するため、表示制御部30に対して案内画面を生成するように指示する。表示制御部30は、各種表示画面を生成してユーザ端末6に表示させる処理部である。表示制御部30は、ジョブ管理部27からの指示を受け取ると案内画面を生成してユーザ端末6に表示させる。
【0058】
図6は、表示制御部30によって生成される案内画面35の一例を示す図である。図例に示すように、案内画面35には、印刷装置1が省電力状態であることを報知するメッセージが表示される。これにより、ユーザは、印刷装置1が省電力状態であることを知ることができる。また、案内画面35には、印刷を実行するための実行ボタン35aと、印刷を保留するための保留ボタン35bとが設けられる。ユーザにより実行ボタン35a及び保留ボタン35bの何れかが押下されると、その操作情報は、指示解析部25によって受付けられる。
【0059】
指示解析部25は、保留ボタン35bが押下されたことを示す操作情報を受け取った場合には、その操作情報をジョブ管理部27に出力する。ジョブ管理部27は、その操作情報を受け取ると、その操作情報に基づき指示解析部25から受け取った印刷ジョブを記憶装置17に記憶させる。これにより省電力状態が維持されるので電力消費量を節約することができる。
【0060】
一方、指示解析部25は、実行ボタン35aが押下されたことを示す操作情報を受け取った場合には、電源管理部31に対して省電力状態から通常通電状態に復帰するように指示する。これにより、印刷装置1は、電源管理部31によって通電状態が制御されることにより省電力状態から通常通電状態に復帰する。そして、指示解析部25は、受け付けた操作情報をジョブ管理部27に出力する。ジョブ管理部27は、指示解析部25から操作情報を受け取ると、指示解析部25から受け取った印刷ジョブをその操作情報に基づき印刷制御部29に出力する。印刷制御部29は、ジョブ管理部27から印刷ジョブを受け取ると、その印刷ジョブを印刷処理部14に実行させる。これにより、印刷物が排出口3から出力される。
【0061】
次に、記憶装置17に待機印刷ジョブが記憶されている場合について説明する。記憶装置17に待機ジョブが記憶されている場合、図5に示すジョブ管理部27において判別部28が機能する。判別部28は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一であるか否かを判別する処理部である。
【0062】
同一性の判断は、例えば、印刷ジョブの属性に基づき行われる。印刷ジョブの属性には、印刷ジョブに含まれるファイル名、ファイルの種類、ファイルの作成日時及びファイルの作成者などが含まれる。判別部28は、それらファイル名、ファイルの種類、ファイルの作成日時及びファイルの作成者のうち少なくとも1つ以上が一致する場合に、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一の印刷ジョブであると判断する。但し、同一性の判断は、上述した基準に限られない。例えば、判別部28は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとの各ファイルに含まれるテキストデータなどを比較して、それらテキストデータの一致率などに基づき印刷ジョブが同一か否かを判断しても良い。
【0063】
また、判別部28は、複数の待機ジョブが記憶装置17に記憶されている場合、それら全ての待機ジョブについて、指示解析部25から受け取った印刷ジョブと同一であるか否かの判断を行う。そして、判別部28は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブのうち複数の待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一である場合には、受付順序が最も早い待機ジョブを抽出する。これにより、記憶装置17に記憶されている1つの待機ジョブに集中的にユーザ情報21を関連づけることが可能である。但し、記憶装置17に記憶されている1つの待機ジョブに集中的にユーザ情報21を関連づけることができれば、記憶装置17に記憶されている複数の待機ジョブのうち何れを抽出しても構わない。
【0064】
ジョブ管理部27は、判別部28による判別結果に基づき以下のように処理を行う。以下においては、まず、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが異なる場合について説明する。
【0065】
ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが異なる場合、表示制御部30に対して案内画面35を生成するように指示する。表示制御部30は、案内画面35を生成すると、その案内画面35をユーザ端末6の表示部7に表示させる。ジョブ管理部27は、保留ボタン35bが押下された場合には、上記と同様にして、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを待機ジョブとして記憶装置17に記憶させる。一方、実行ボタン35aが押下された場合には、制御部10は、待機ジョブの印刷出力を行うための処理を開始する。この処理については後述する。
【0066】
次に、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、ジョブ管理部27が指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一である場合について説明する。ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一である場合、その記憶装置17に記憶されている待機ジョブに対して既にユーザ情報21が関連付けられているか否かを判断する。そして、ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブに対して未だユーザ情報21が関連付けられていない場合には、新規にユーザ情報21を生成することにより各情報を記録する。一方、ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブに対して既にユーザ情報21が関連付けられている場合には、そのユーザ情報21を更新することにより各情報を記録する。
【0067】
図7は、ジョブ管理部27によって生成されるユーザ情報21の一例を示す図である。ユーザ情報21は、判別部28によって抽出された待機ジョブと、その待機ジョブに関連づけられるユーザID及び設定内容とが記録される情報である。ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一である場合には、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを発行したユーザを特定する。そして、ジョブ管理部27は、特定したユーザのユーザIDをユーザ情報21に記録する。また、既に記憶装置17に記憶されている1つの待機ジョブと同一となる複数の印刷ジョブが異なるユーザによって発行される場合には、それら複数の印刷ジョブを発行した各ユーザのユーザIDがユーザ情報21に記録される。図7の例では、ユーザ情報21には、ユーザIDとしてユーザC,Dが記録されている。このようにして、ユーザ情報21にはユーザに関する情報が関連づけられる。
【0068】
ここで、ユーザ情報21が関連づけられる待機ジョブは、後に実行される予定の印刷ジョブとなり、指示解析部25から受け取った印刷ジョブは、後に削除される予定の印刷ジョブとなる。ユーザ情報21には、そのような削除予定の印刷ジョブに含まれる各種印刷設定を実行予定の印刷ジョブに反映するために設定内容が記録されるようになっている。設定内容には、例えば、印刷方向やページの割付態様など、削除予定の印刷ジョブに対してなされる各種印刷設定が記録される。これにより、制御部10は、削除予定の印刷ジョブに含まれる印刷設定を実行予定の印刷ジョブが実行されるときに反映させることが可能となっている。また、既に記憶装置17に記憶されている1つの待機ジョブに、その待機ジョブと同一となる複数の待機ジョブが存在する場合には、図7に示すように、設定内容は、ユーザ情報21に関連づけられる各ユーザに対応して複数記録される。
【0069】
ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブが同一である場合、指示解析部25から受け取った印刷ジョブから印刷設定を読出し、ユーザ情報21に記録する。このようにして、ユーザ情報21には、設定内容が記録される。
【0070】
ジョブ管理部27は、ユーザ情報21への記録が終了すると、そのユーザ情報21を記憶装置17に記憶させると共に、表示制御部30に対して案内画面35を生成するように指示する。表示制御部30は、案内画面35を生成すると、その案内画面35をユーザ端末6の表示部7に表示させる。ジョブ管理部27は、保留ボタン35bが押下された場合には、上記と同様にして印刷ジョブを待機ジョブとして記憶装置17に記憶させる。一方、案内画面35において実行ボタン35aが押下された場合には、制御部10は、以下に説明するように、記憶装置17に記憶されている待機ジョブの印刷出力を行うための処理を開始する。
【0071】
以下、記憶装置17に記憶されている待機ジョブの印刷出力を行うための処理について説明する。まず、指示解析部25は、案内画面35において実行ボタン35aが押下されたことを示す操作情報を受け取ると、電源管理部31に対して省電力状態から通常通電状態に復帰するように指示する。これにより、電源管理部31による制御によって印刷装置1は、省電力状態から通常通電状態に復帰する。但し、例えば、印刷装置1の操作パネル2に対する直接の操作などによって印刷装置1の通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰する場合もある。
【0072】
次に、指示解析部25は、印刷装置1の通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰すると、印刷制御部29に対して記憶装置17に記憶されている待機ジョブを実行するように指示する。印刷制御部29は、その指示を受け取ると、記憶装置17にユーザ情報21が記憶されているか否かを検知する。印刷制御部29は、記憶装置17にユーザ情報21が記憶されている場合には、そのユーザ情報21に記録されている待機ジョブを特定する。例えば、図7の例では、ユーザ情報21には、待機ジョブとして印刷ジョブA1が記録されているので、ジョブ管理部27は、その印刷ジョブA1を特定する。このようにして、印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連づけられている待機ジョブを特定する。尚、記憶装置17に、ユーザ情報21が記憶されていない場合の処理については後述する。
【0073】
印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連づけられている待機ジョブを特定すると、その待機ジョブを記憶装置17から読出す。このとき、記憶装置17には、ユーザ情報21が関連づけられている待機ジョブと、ユーザ情報21が関連付けられていない待機ジョブとが混在して記憶されている場合がある。この場合、印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連付けられている待機ジョブを、ユーザ情報21が関連付けられていない待機ジョブよりも優先的に記憶装置17から読出す。これにより、ユーザ情報21が関連付けられている印刷ジョブが、ユーザ情報21が関連付けられていない印刷ジョブよりも優先的に実行されるので、同一の印刷ジョブを発行した各ユーザの待ち時間を短縮させることができる。
【0074】
印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連付けられている待機ジョブを記憶装置17から読出すと、そのユーザ情報21を参照して、そのユーザ情報21に関連づけられているユーザの数をユーザIDに基づき特定する。図7の例では、ユーザ情報21には、ユーザC,Dが記録されている。この場合、印刷制御部29は、ユーザ情報21に関連づけられているユーザの数が2人であることを特定する。また、印刷制御部29は、ユーザ情報21に記録されている設定内容を特定する。図7の例では、印刷制御部29は、ユーザC,Dに対応する設定内容が記録されている。この場合、印刷制御部29は、ユーザC,Dに対応する設定内容を特定する。
【0075】
印刷制御部29は、待機ジョブとして記憶装置17に記憶されている印刷ジョブを読み出すと、その印刷ジョブを、特定したユーザの数に基づき複数回実行する。例えば、印刷制御部29は、特定したユーザの数に基づき印刷ジョブを複数回連続的に繰り返して実行する。又は、印刷制御部29は、例えば、読み出した印刷ジョブに予め設定されている印刷部数に対して、特定したユーザの数を加算することで、複数部の印刷出力を行っても良い。印刷ジョブを複数回実行するための方法は適宜設計が可能であるが、印刷制御部29は、各部数が連続的に印刷出力されるように処理を行う。
【0076】
これにより、実行される印刷ジョブと同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間が短縮される。図7の例では、ユーザ情報21には、ユーザC,Dの2人が関連づけられているので、印刷制御部29は、その人数に対応して2部余分に印刷ジョブを実行する。すなわち、印刷制御部29は、合計3部の印刷出力が行われるように印刷ジョブを実行する。これにより、ユーザ情報21に関連づけられるユーザの数に対応して印刷ジョブが実行されるので、ユーザ情報21に関連づけられているユーザは、漏れなく印刷物を取得することが可能である。
【0077】
また、印刷制御部29は、ユーザ情報21に記録されている設定内容に基づき印刷ジョブを実行する。例えば、図7の例で説明すると、印刷制御部29は、印刷ジョブA1を3回実行するとき、1回目は、通常通り印刷ジョブA1の印刷設定に基づいて印刷ジョブA1を実行する。また、印刷制御部29は、2回目は、ユーザCに対応する設定内容で印刷ジョブA1を実行する。そして、印刷制御部29は、3回目は、ユーザDに対応する設定内容で印刷ジョブA1を実行する。これにより、各ユーザA,C,Dに対応する設定内容で印刷ジョブA1が3回実行される。そして、各ユーザA,C,Dに対応する設定内容で印刷出力された3部の印刷物が排出口3から出力される。
【0078】
印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連づけられている印刷ジョブを実行すると、そのユーザ情報21に関連づけられているユーザが発行した印刷ジョブを記憶装置17から削除する。
【0079】
また、このとき、記憶装置17に記憶されていない削除予定の印刷ジョブが処理待ちと
なっている場合がある。例えば、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと同一の印刷ジョブが新規に入力され、その印刷ジョブが入力されたことに伴って表示される案内画面35において実行ボタン35aが押下された場合である。この場合、入力された印刷ジョブは、その印刷ジョブを発行したユーザがユーザ情報21に関連づけられるので、削除予定となる印刷ジョブである。そして、その削除予定となる印刷ジョブは、ジョブ管理部27が指示解析部25から受け取った段階でメモリ12に格納され一時的に待機している状態である。印刷制御部29は、そのような処理待ちとなっている削除予定の印刷ジョブをメモリ12から削除する。このように、印刷制御部29は、待機ジョブとして記憶装置17に記憶されている1つの印刷ジョブを複数回実行し、その印刷ジョブと同一と判別された他の印刷ジョブを実行しない構成である。これにより同一内容の印刷物が余分に印刷出力されてしまうことを防止することができる。
【0080】
印刷制御部29は、ユーザ情報21に関連づけられているユーザが発行した印刷ジョブの削除が終了すると、そのユーザ情報21を記憶装置17から削除する。また、印刷制御部29は、記憶装置17に残っている待機ジョブがある場合には、その待機ジョブをこのタイミングで実行する。印刷制御部29は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブが複数ある場合には、それらの待機ジョブを、例えば受付順序に従って順次実行する。
【0081】
但し、このとき、記憶装置17に記憶されていない実行予定の印刷ジョブが印刷待ちとなっている場合がある。例えば、ユーザ情報21が関連付けられている待機ジョブが記憶装置17に記憶されている状態で、その待機ジョブとは異なる印刷ジョブが新規に入力されたことに伴って表示される案内画面35において、実行ボタン35aが押下された場合である。この場合、入力された印刷ジョブは、ユーザ情報21が関連づけられている待機ジョブとは異なるので、実行予定となる印刷ジョブである。そして、その実行予定となる印刷ジョブは、ジョブ管理部27が指示解析部25から受け取った段階でメモリ12に格納され一時的に待機している状態である。このような場合、印刷制御部29は、その実行予定となる印刷ジョブを記憶装置17に記憶されている待機ジョブよりも優先的に実行する。
【0082】
更には、その実行予定となる印刷ジョブを、上述した、同一の印刷ジョブを複数回実行するよりも先に実行しても構わない。これにより、案内画面35において実行ボタン35aを押下するユーザが発行した印刷ジョブを最も早く実行させることができるので、そのユーザは速やかに印刷物を取得可能になる。また、このとき、印刷制御部29は、その実行予定となる印刷ジョブの印刷所要時間をデータ量などに基づき検知し、その印刷所要時間が予め設定された所定の閾値を超えるか否かを判断する。そして、印刷制御部29は、実行予定となる印刷ジョブの印刷所要時間が上記閾値を超える場合に、その実行予定となる印刷ジョブよりも優先的に同一の印刷ジョブを複数回実行しても良い。これにより、同一の印刷ジョブを発行した各ユーザが、その実行予定となる印刷ジョブが完了するまで長時間待たされてしまうことを防止できる。
【0083】
次に、案内画面35において実行ボタン35aが押下されたとき、記憶装置17に、ユーザ情報21が記憶されていない場合の処理について説明する。ユーザ情報21は、同一となる印刷ジョブが存在する場合に生成される情報である。そのユーザ情報21が記憶装置17に記憶されていない場合、記憶装置17には、ジョブ管理部27が指示解析部25から受け取った印刷ジョブとは異なる待機ジョブが記憶されている。また、記憶装置17に複数の待機ジョブが記憶されている場合、各待機ジョブは、互いに異なった印刷ジョブである。
【0084】
このような場合、印刷制御部29は、実行ボタン35aが押下されるとジョブ管理部27から印刷ジョブを受け取って、その印刷ジョブを記憶装置17に記憶されている待機ジョブよりも優先的に実行する。そして、印刷制御部29は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブを例えば受付順序に従って順次記憶装置17から読み出して実行する。
【0085】
以上の説明は、受信した印刷ジョブと同一と判断される印刷ジョブのうち最も受付順序の早い印刷ジョブを複数回実行する場合について例示した。しかし、これに限られるものではなく、同一と判断される印刷ジョブのうち何れを複数回実行しても構わない。例えば、図3の例において、記憶装置17には、印刷ジョブA1と、この印刷ジョブA1と同一の印刷ジョブA2とが待機ジョブとして記憶されている。上記の説明では、その状態で、更に印刷ジョブA1,A2と同一の印刷ジョブA3が入力されることに伴って通電状態が通常通電状態に復帰するタイミングで、最も受付順序の早い印刷ジョブA1が3回実行されことを例示した。他の例としては、上記タイミングで印刷ジョブA2を3回実行しても構わないし、上記タイミングで印刷ジョブA3を3回実行しても構わない。但し、何れの場合であっても、ユーザ情報21には、そのとき実行予定となる印刷ジョブに、削除予定となる印刷ジョブを発行したユーザが関連づけられる。このような構成によっても、印刷ジョブBの実行を待たずに印刷ジョブA2又はA3が3回実行されるので、印刷ジョブA2,A3を発行した各ユーザの待ち時間が短縮される。
【0086】
図8,図9は、上記のように構成される印刷装置1において実行される処理手順の一例を示したフローチャートである。図8は、全体的な処理手順を示しており、また、図9は、印刷ジョブ保留処理の処理手順を示している。
【0087】
図8に示すように、指示解析部25によって印刷ジョブが受付けられると(ステップS1のYES)、通電検知部26は、印刷装置1の通電状態を検知する(ステップS2)。制御部10は、通電状態が省電力状態である場合には(ステップS3のYES)、印刷ジョブ保留処理を実行する(ステップS4)。一方、通電状態が通常通電状態である場合には(ステップS3のNO)、印刷制御部29は、ジョブ管理部27から印刷ジョブを受け取って、印刷処理部14に印刷ジョブを実行させる(ステップS5)。以上のようにして、全体的な処理は終了する。
【0088】
次に、図9を参照しつつ印刷ジョブ保留処理について説明する。この処理が開始されると、ジョブ管理部27は、記憶装置17を検索して既に記憶されている待機ジョブがあるか否かを検知する(ステップS10)そして、ジョブ管理部27は、記憶装置17を検索して既に記憶されている待機ジョブがある場合(ステップS10のYES)、その記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとの同一性を判断する(ステップS11)。ジョブ管理部27は、記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一であると判断すると(ステップS11のYES)、その指示解析部25から受け取った印刷ジョブを発行したユーザを特定する(ステップS12)。
【0089】
ジョブ管理部27は、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを発行したユーザを特定すると、ユーザIDをユーザ情報21に記録する(ステップS13)。このとき、ジョブ管理部27は、指示解析部25から受け取った印刷ジョブの印刷設定を読出して、設定内容をユーザ情報21に記録して、そのユーザ情報21を記憶装置17に記憶させる(ステップS14)。
【0090】
ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一でないと判断するか(ステップS11のNO)、又は、ユーザ情報21を記憶装置17に記憶させると(ステップS14)、表示部7に案内画面35を表示させる(ステップS15)。
【0091】
ジョブ管理部27は、案内画面35において保留ボタン35bが押下された場合(ステップS16のYES)、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを記憶装置17に記憶させる(ステップS23)。この場合、制御部10は、更に印刷ジョブが受付けられるまで待機する(図8のステップS1まで戻る)。
【0092】
一方、案内画面35において実行ボタン35aが押下された場合(ステップS16のNO)、指示解析部25は、電源管理部31を介して通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰させる(ステップS17)。次に、印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連づけられている待機ジョブが記憶装置17に記憶されていることを条件として、その待機ジョブを読出す(ステップS18)。また、印刷制御部29は、ユーザ情報21を読出して、そのユーザ情報21に記録されたユーザIDと設定内容とを特定する(ステップS19)。
【0093】
印刷制御部29は、上記のようにして記憶装置17から読出した印刷ジョブを、ユーザ情報21に関連づけられたユーザの数に対応して複数回実行する(ステップS20)。このとき、印刷制御部29は、特定した設定内容に基づき各ユーザに対応した印刷設定を反映させて印刷ジョブを実行する。印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連づけられている印刷ジョブの実行が全て終了すると、ユーザ情報21を記憶装置17から削除すると共に、ユーザ情報21に記録されているユーザが発行した印刷ジョブを削除する(ステップS21)。そして、印刷制御部29は、残りの印刷ジョブを実行する(ステップS22)。
【0094】
また、表示制御部30は、記憶装置17に何れの待機ジョブも未だ記憶されていない場合(ステップS10のNO)、図10に示すように、案内画面35を表示部7に表示させる(ステップS24)。案内画面35において保留ボタン35bが押下された場合(ステップS25のYES)、ジョブ管理部27は、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを待機ジョブとして記憶装置17に記憶させる(ステップS26)。この場合、制御部10は、更に印刷ジョブが受付けられるまで待機する(図8のステップS1まで戻る)。
【0095】
一方、案内画面35において実行ボタン35aが押下された場合(ステップS25のNO)、指示解析部25は、電源管理部31を介して通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰させる(ステップS27)。そして、印刷制御部29は、ジョブ管理部27から印刷ジョブを受け取って、その印刷ジョブを印刷処理部14に実行させる(図8のステップS5まで戻る)。以上により印刷ジョブ保留処理は終了する。
【0096】
以上のように、本実施形態では、印刷装置1は、指示解析部25によって印刷ジョブが受付けられたとき、その受付けられた印刷ジョブの属性と、記憶装置17に記憶されている待機ジョブの属性とを比較して、受付けられた印刷ジョブと記憶装置17に記憶されている待機ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判別する構成である。また、印刷装置1は、同一と判別された印刷ジョブを実行するとき、その同一と判別された印刷ジョブを複数回実行することにより印刷出力を行う構成である。
【0097】
このような構成によれば、記憶装置17に記憶されている待機ジョブが実行されるときに、その待機ジョブが複数回実行されるので、印刷装置1は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させることが可能となる。
【0098】
また、本実施形態では、印刷装置1は、同一と判別された複数の印刷ジョブのうち何れか1つを複数回実行し、同一と判別された複数の印刷ジョブのうち他の印刷ジョブを実行しないように構成される。
【0099】
このような構成によれば、印刷装置は、必要部数以上の印刷物が印刷出力されてしまうような不具合を未然に防止することができる。すなわち、同一と判別された複数の印刷ジョブのうち何れか1つが複数部実行された後、その印刷ジョブと同一である他の印刷ジョブを更に実行してしまうと余分に印刷物が出力されてしまう可能性がある。しかし、上記構成によれば、印刷装置1は、そのような不具合を生じさせないことが可能である。
【0100】
更に、本実施形態では、制御部10は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと同一であると判別された印刷ジョブを発行したユーザに関するユーザ情報21を生成するジョブ管理部27を有している。ジョブ管理部27は、生成したユーザ情報21を、指示解析部25から受け取った印刷ジョブと同一であると判別された待機ジョブに関連づける。そして、印刷装置1は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブを、ユーザ情報21に関連づけられているユーザの数に対応して複数回実行する構成である。
【0101】
このような構成によれば、ユーザ情報21に関連づけられているユーザの数に対応して印刷ジョブが複数回実行されるので、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと同一であると判別された印刷ジョブを発行した各ユーザが、漏れなく印刷物を取得することができる。
【0102】
また、本実施形態では、ユーザ情報21には、同一であると判別された印刷ジョブの印刷設定に関する設定内容が記録される。そして、印刷装置1は、待機ジョブとして記憶装置17に記憶されている印刷ジョブを実行するとき、各ユーザに対応した印刷設定に基づいて、その印刷ジョブを複数回実行する構成である。
【0103】
このような構成によれば、同一であると判別された各印刷ジョブの各印刷設定に対応して複数部の印刷出力が行われるので、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと同一であると判別された印刷ジョブを発行したユーザは、自己の印刷設定に従って印刷出力された印刷物を取得することができる。
【0104】
また、本実施形態では、印刷装置1は、該印刷装置1の通電状態が省電力状態である場合に入力する印刷ジョブを記憶装置17に記憶する構成である。このような構成によれば、印刷装置1は、印刷ジョブを入力する毎にその印刷ジョブを実行する場合に比べて印刷装置1の消費電力を節約することができる。
【0105】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、記憶装置17に記憶されている待機ジョブは、その待機ジョブと同一の印刷ジョブを発行したユーザの数に対応して複数回実行される。これに対して、本実施形態では、記憶装置17に記憶されている待機ジョブは、その待機ジョブと同一の印刷ジョブの数に対応して複数回実行される。このような構成によっても、印刷装置1は、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことが可能である。以下においては、本実施形態に関する構成について詳細に説明し、第1の実施形態と重複する構成については説明を省略する。
【0106】
図11は、記憶装置17に記憶される待機ジョブに関連づけられる関連ジョブ情報23の一例を示す図である。尚、本実施形態では、ユーザ情報21は生成されない。関連ジョブ情報23には、記憶装置17に記憶されている待機ジョブのうち判別部28により抽出された待機ジョブに関する情報と、その待機ジョブと同一である関連印刷ジョブに関する情報と、関連印刷ジョブに対してなされた印刷設定に関する設定内容とが、それぞれ記録される。
【0107】
ジョブ管理部27は、以下のようにして関連ジョブ情報23に各情報を記録する。ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一である場合、その記憶装置に記憶されている待機ジョブに対して既に関連ジョブ情報23が関連付けられているか否かを判断する。そして、ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブに対して未だ関連ジョブ情報23が関連付けられていない場合には、新規に関連ジョブ情報23を生成することにより各情報を記録する。一方、ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブに対して既に関連ジョブ情報23が関連付けられている場合には、その関連ジョブ情報23を更新することにより各情報を記録する。
【0108】
ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一である場合には、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを関連印刷ジョブであると判断し、その関連印刷ジョブに関する情報を関連ジョブ情報23に記録する。また、新規に入力される複数の関連印刷ジョブが、既に記憶装置17に記憶されている1つの待機ジョブと同一である場合には、各関連印刷ジョブに関する情報が関連ジョブ情報23に記録される。図11の例では、関連ジョブ情報23には、関連印刷ジョブX2,X3が記録されている。
【0109】
関連ジョブ情報23が関連づけられる印刷ジョブは、後に実行される予定の印刷ジョブとなり、また、関連ジョブ情報23に記録される関連印刷ジョブは、後に削除される予定の印刷ジョブとなる。関連ジョブ情報23には、そのような削除予定の関連印刷ジョブへの各種印刷設定を実行予定の印刷ジョブが実行されるときに反映するために設定内容が記録されるようになっている。また、1つの実行予定の印刷ジョブに対して削除予定となる複数の関連印刷ジョブが存在する場合もある。この場合、設定内容は、図11に示すように関連ジョブ情報23に記録される各関連印刷ジョブに対応して複数記録される。
【0110】
ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブが同一である場合、指示解析部25から受け取った印刷ジョブから印刷設定を読出し、関連ジョブ情報23に記録する。このようにして、関連ジョブ情報23には、設定内容が記録される。
【0111】
図12,図13は、第2の実施形態において制御部10によって実行される印刷ジョブ保留処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しつつ制御部10によって実行される印刷ジョブ保留処理について説明する。
【0112】
図12に示すように、この処理が開始されると、ジョブ管理部27は、記憶装置17を検索して既に記憶されている待機ジョブがあるか否かを検知する(ステップS40)そして、ジョブ管理部27は、記憶装置17を検索して既に記憶されている待機ジョブがある場合(ステップS40のYES)、その記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとの同一性を判断する(ステップS41)。ジョブ管理部27は、その記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一であると判断すると(ステップS41のYES)、指示解析部25から受け取った印刷ジョブに関する情報を関連ジョブ情報23に記録する(ステップS42)。このようにして、関連ジョブ情報23には関連印刷ジョブに関する情報が記録される。
【0113】
次に、ジョブ管理部27は、関連印刷ジョブに含まれている印刷設定を設定内容として関連ジョブ情報23に記録して、関連ジョブ情報23を記憶装置17に記憶する(ステップS43)。ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一でないと判断するか(ステップS41のNO)、又は、関連ジョブ情報23を記憶装置17に記憶させると(ステップS43)、表示部7に案内画面35を表示させる(ステップS44)。
【0114】
ジョブ管理部27は、案内画面35において保留ボタン35bが押下された場合(ステップS45のYES)、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを記憶装置17に記憶させる(ステップS52)。この場合、制御部10は、更に印刷ジョブが受付けられるまで待機する(図8のステップS1まで戻る)。
【0115】
一方、案内画面35において実行ボタン35aが押下された場合(ステップS45のNO)、指示解析部25は、電源管理部31を介して通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰させる(ステップS46)。次に、印刷制御部29は、関連ジョブ情報23が関連づけられている待機ジョブが記憶装置17に記憶されていることを条件として、その待機ジョブを読出す(ステップS47)。また、印刷制御部29は、関連ジョブ情報23を参照して、その関連ジョブ情報23に記録された関連印刷ジョブと設定内容とを特定する(ステップS48)。
【0116】
印刷制御部29は、上記のようにして記憶装置17から読出した印刷ジョブを、関連ジョブ情報23に記録された関連印刷ジョブの数に対応して複数回実行する(ステップS49)。図11に示した関連ジョブ情報23の例では、関連印刷ジョブの数は、関連印刷ジョブX2,X3の2つであるので、印刷制御部29は、印刷ジョブを合計3回連続で実行する。このとき、印刷制御部29は、特定した設定内容に基づき各関連印刷ジョブに対応した印刷設定を反映させて印刷ジョブを複数回実行する。印刷制御部29は、記憶装置17から読出した印刷ジョブの複数回の実行が終了すると、関連ジョブ情報23を記憶装置17から削除すると共に、関連ジョブ情報23に記録されている関連印刷ジョブを削除する(ステップS50)。そして、印刷制御部29は、残りの印刷ジョブを実行する(ステップS51)。
【0117】
また、記憶装置17に何れの待機ジョブも未だ記憶されていない場合(ステップS40のNO)、図13に示すように、表示制御部30は、案内画面35を表示部7に表示させる(ステップS53)。案内画面35において保留ボタン35bが押下された場合(ステップS54のYES)、ジョブ管理部27は、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを記憶装置17に記憶させる(ステップS55)。この場合、制御部10は、更に印刷ジョブが受付けられるまで待機する(図8のステップS1まで戻る)。
【0118】
一方、案内画面35において実行ボタン35aが押下された場合(ステップS54のNO)、指示解析部25は、電源管理部31を介して通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰させる(ステップS56)。そして、印刷制御部29は、ジョブ管理部27から印刷ジョブを受け取って、その印刷ジョブを印刷処理部14に実行させる(図8のステップS5まで戻る)。以上のようにして印刷ジョブ保留処理は終了する。
【0119】
以上のように、本実施形態では、印刷装置1は、関連ジョブ情報23に記録されている関連印刷ジョブの数に対応して、記憶装置17に記憶されている待機ジョブを複数回実行する構成である。このような構成によれば、印刷装置1は、関連ジョブ情報23に記録されている関連印刷ジョブを発行した各ユーザが漏れなく印刷物を取得することができる。
【0120】
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0121】
例えば、上述した第1及び第2の実施形態では、記憶装置17に記憶されている待機ジョブが複数回実行されるタイミングは、印刷装置1の通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰するときである。但し、これに限られず、例えば、予め印刷実行時刻を設定できるようにしても良いし、印刷ジョブを発行した各ユーザに対して、印刷ジョブが実行されることを報知するように構成しても良い。これにより、印刷ジョブを発行したユーザが印刷タイミングを知ることができるようになる。
【0122】
また、上述した第1及び第2の実施形態では、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、その印刷ジョブと同一の印刷ジョブとのうち何れか1つの印刷ジョブが複数回実行される構成であったが、各印刷ジョブを実行するように構成しても良い。例えば、ユーザ情報21が関連付けられている印刷ジョブと、そのユーザ情報21に記録されているユーザが発行した印刷ジョブとの優先順位を調節することにより、各印刷ジョブが連続的に実行されるように構成しても良い。また、関連ジョブ情報23を用いる場合には、関連ジョブ情報23が関連付けられている印刷ジョブと、その関連ジョブ情報23に記録されている関連印刷ジョブとの優先順位を調節することにより、各印刷ジョブが連続的に実行されるように構成しても良い。このように構成することによっても、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させることができる。
【符号の説明】
【0123】
1 印刷装置
6 ユーザ端末
17 記憶装置
25 指示解析部(受付手段)
26 通電検知部(検知手段)
27 ジョブ管理部(管理手段)
28 判別部(判別手段)
29 印刷制御部(印刷制御手段)
31 電源管理部(電源管理手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷ジョブをまとめて実行して印刷出力する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の印刷ジョブをまとめて実行して印刷出力する技術がある。例えば、特許文献1に開示された印刷装置は、受付けた印刷ジョブを蓄積する蓄積手段を備え、その蓄積手段に蓄積される印刷ジョブを所定のタイミングで順次印刷装置に出力して印刷を実行する構成である。このような構成によれば、間隔を開けて受付けた複数の印刷ジョブをまとめて印刷出力することができるので、印刷ジョブを受付ける度に印刷出力を実行する場合に比べて消費電力が低減されるというメリットがある。
【0003】
また、特許文献1に開示された印刷装置は、蓄積される印刷ジョブの実行順序が変更できるようになっている。すなわち、印刷装置は、蓄積される印刷ジョブのうち、基本的には印刷ジョブの受付順序に従って印刷ジョブを実行する。そして、印刷装置は、同一人により発行された印刷ジョブが複数ある場合には、それら複数の印刷ジョブを連続的な実行順序に変更してから実行する。これにより、各ユーザが他人の印刷物を取り違えて取得してしまうことを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−90385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の印刷装置では、印刷ジョブの実行順序は、印刷ジョブの受付順序やユーザ名に基づき決定されるため、同一の印刷ジョブが必ずしも連続して実行されるとは限らない。例えば、あるユーザによって印刷ジョブ「JOB1」が受付けられた後、別のユーザによってその印刷ジョブ「JOB1」とは異なる印刷ジョブ「JOB2」が受付けられ、更にその後に、更なる別のユーザによって印刷ジョブ「JOB1」と同一の印刷ジョブ「JOB3」が受付けられるとする。この場合、従来の印刷装置における実行順序は、受付順序に従って印刷ジョブ「JOB1」、「JOB2」、「JOB3」となる。尚、この場合、各ユーザが1つずつ印刷ジョブを発行しているのでユーザ名に基づく実行順序の変更は行われない。
【0006】
このとき、印刷ジョブ「JOB3」を発行したユーザは、印刷ジョブ「JOB2」の実行が完了するまで、印刷ジョブ「JOB3」の実行開始を待つことになる。仮に印刷ジョブ「JOB2」の情報量が多いと、その分、印刷ジョブ「JOB2」の実行に時間がかかるので、「JOB3」を発行したユーザは、自分の印刷物を取得するまで長時間待たされてしまう。
【0007】
このように、複数の印刷ジョブをまとめて実行する場合において、従来の印刷装置では、異なるユーザによって同一の印刷ジョブが複数蓄積されている場合であっても、それら同一の印刷ジョブが連続して実行されないことがある。つまり、従来の印刷装置において、複数の同一印刷ジョブの間に異なる印刷ジョブが受付けられていると、その異なる印刷ジョブの後となる印刷ジョブを発行したユーザは、先に発行された別の印刷ジョブによって待たされてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、実行すべき印刷ジョブとして異なるユーザによって発行された同一の印刷ジョブがある場合、同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させることのできる印刷装置及び印刷方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、印刷装置であって、印刷ジョブを受付ける受付手段と、前記受付手段によって受付けられた印刷ジョブが即時に実行されないとき、その印刷ジョブを待機ジョブとして記憶する記憶装置と、前記受付手段によって印刷ジョブが受付けられたとき、その受付けられた印刷ジョブと前記記憶装置に記憶されている待機ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判別する判別手段と、印刷ジョブを実行することにより印刷出力を行う印刷制御手段と、を備え、前記印刷制御手段は、前記判別手段によって同一と判別された印刷ジョブを実行するとき、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0010】
このような構成によれば、同一と判別された印刷ジョブが実行されるときに、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力が行われるので、印刷装置は、同一と判別された印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させることが可能となる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の印刷装置において、前記印刷制御手段は、同一と判別された複数の印刷ジョブのうち何れか1つを複数回実行し、他の印刷ジョブを実行しないことを特徴とする構成である。
【0012】
このような構成によれば、印刷装置は、必要部数以上の印刷物が印刷出力されてしまうような不具合を未然に防止することができる。すなわち、同一と判別された複数の印刷ジョブのうち何れか1つに基づき複数部の印刷出力が行われた後、その印刷ジョブと同一である他の印刷ジョブを更に実行してしまうと余分に印刷物が出力されてしまう可能性がある。しかし、上記構成によれば、印刷装置は、そのような不具合を生じさせないことが可能である。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載された印刷装置において、前記印刷制御手段は、同一と判別された印刷ジョブを発行したユーザの数に対応して複数部の印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0014】
このような構成によれば、同一と判別された印刷ジョブを発行したユーザの数に対応して複数部の印刷出力が行われるので、同一と判別された印刷ジョブを発行した各ユーザが漏れなく印刷物を取得することができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の印刷装置において、前記印刷制御手段は、同一と判別された各印刷ジョブの印刷設定に応じて、複数部の印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0016】
このような構成によれば、同一と判別された各印刷ジョブの印刷設定に対応して複数部の印刷出力が行われるので、同一と判別された印刷ジョブを発行したユーザは、自己の印刷設定に従って印刷出力された印刷物を取得することができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の印刷装置において、前記印刷装置の通電状態を制御する電源管理手段を更に備え、前記記憶装置は、前記電源管理手段によって制御される通電状態が省電力状態である場合に、前記受付手段によって受付けられた印刷ジョブを記憶し、前記印刷制御手段は、前記電源管理手段によって制御される通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰したときに、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0018】
このような構成によれば、印刷装置の通電状態が省電力状態である場合、入力される印刷ジョブが記記憶装置に記憶されるので、印刷ジョブを入力する毎にその印刷ジョブを実行する場合に比べて印刷装置の消費電力を節約することができる。
【0019】
請求項6に係る発明は、印刷装置によって実行される印刷方法であって、印刷ジョブを受付ける受付ステップと、前記受付ステップによって受付けられた印刷ジョブが即時に実行されないとき、その印刷ジョブを待機ジョブとして記憶する記憶ステップと、前記受付ステップによって印刷ジョブが受付けられたとき、その受付けられた印刷ジョブと待機ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判別する判別ステップと、印刷ジョブを実行することにより印刷出力を行う印刷制御ステップと、を有し、前記印刷制御ステップは、前記判別ステップによって同一と判別された印刷ジョブを実行するとき、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことを特徴とする構成である。
【0020】
このような構成によれば、同一と判別された印刷ジョブが実行されるときに、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力が行われるので、印刷装置は、同一と判別された印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、実行すべき印刷ジョブとして異なるユーザによって発行された同一の印刷ジョブがある場合、同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】印刷システムの一構成例を示す図である。
【図2】印刷装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【図3】印刷装置において実行される処理の概略を示す図である。
【図4】印刷装置において実行される処理の概略を示す図である。
【図5】印刷装置における制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図6】案内画面の一例を示す図である。
【図7】ユーザ情報の一例を示す図である。
【図8】印刷装置において実行される全体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】印刷装置において実行される印刷ジョブ保留処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図10】印刷装置において実行される印刷ジョブ保留処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図11】関連ジョブ情報の一例を示す図である。
【図12】第2の実施形態において、印刷装置において実行される印刷ジョブ保留処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】第2の実施形態において、印刷装置において実行される印刷ジョブ保留処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、印刷装置1と複数のユーザ端末6(6a〜6d)とで構成される印刷システムの全体構成例を示す図である。印刷装置1は、ネットワーク5を介して各ユーザ端末6a〜6dと接続され、それぞれと通信可能になっている。また、印刷装置1は、ユーザによる操作指示を入力するための操作パネル2と、印刷処理を実行した後、印刷出力された印刷物を出力するための排出口3と、出力された印刷物を保持しておくための排出トレイ4とを備えている。印刷装置1は、ネットワーク5を介してユーザ端末6から印刷ジョブを受付けると、その印刷ジョブを実行して印刷出力を行うように構成される。操作パネル2は、例えば、いわゆるタッチパネルで構成され、情報を表示するための表示部と、ユーザによる操作指示を入力する操作入力部とが一体的に設けられている。
【0025】
印刷装置1は、各種表示画面を作成してユーザ端末6に表示させることが可能な構成である。印刷装置1は、表示画面に対して入力された情報に基づき各種処理を実行することが可能になっている。尚、印刷装置1に含まれる各構成は、いわゆる複合機やFAX装置など、印刷処理を実行する他の装置に組み込まれるものであっても良い。
【0026】
また、印刷装置1は、この印刷装置1の通電状態を管理する図示しない電源管理部を有している。電源管理部は、一定時間を経過するまで操作パネル2が何れの操作も検知しない場合、或いは、ネットワーク5を介して何れの信号も受信しない場合には、印刷装置1の通電状態を、通常通電状態から省電力状態に移行させるように電源回路を制御する。通常通電状態は、印刷装置1において印刷出力を行なうことができるように各部に対して電力供給を行なう動作モードである。省電力状態は、一部の回路への電力供給を残して他の回路への電力供給を制限する動作モードである。省電力状態のとき、印刷出力は行われない。これにより、印刷装置1は、省電力状態に移行しているときに電力消費量を節約することが可能になっている。また、電源管理部は、省電力状態のときに操作パネル2によってユーザによる操作が検知された場合や、ネットワーク5を介して信号や情報が受信された場合などに通電状態を通常通電状態に復帰させる構成である。
【0027】
また、印刷装置1は、ユーザを特定するためのユーザ識別情報(以下「ユーザID」と称する)に基づきユーザのログインを許可することが可能な構成である。また、印刷装置1は、例えばIPアドレスなど、ユーザ端末6a〜6dを特定するための識別情報に、ユーザIDを関連づけて記憶する。これにより、印刷装置1は、ユーザと、そのユーザによって使用されるユーザ端末6とを特定する。
【0028】
ユーザ端末6は、例えば、一般的なパーソナルコンピュータである。また、ユーザ端末6は、各種情報を表示する表示部7と、ユーザによる操作指示を入力する操作入力部8とを備えている。例えば、表示部7は、液晶ディスプレイであり、また、操作入力部8は、キーボードや図示しないマウスなどで構成される。以下の説明では、ユーザ端末6aはユーザAが使用するものとし、同様に、ユーザ端末6bはユーザB、ユーザ端末6cはユーザC、ユーザ端末6dはユーザDがそれぞれ使用するものとする。
【0029】
ユーザ端末6には、プリンタードライバーがインストールされている。これにより、ユーザ端末6は、印刷ジョブを生成して印刷装置1に出力することが可能である。また、ユーザ端末6は、印刷装置1から出力される各種表示画面を表示部7に表示することが可能な構成であり、更に、その表示画面に対して操作入力部8により入力される操作指示を受付けて印刷装置1に出力することができる構成である。
【0030】
図2は、印刷装置1のハードウエア構成の一例を示す図である。印刷装置1は、この印刷装置1の動作を制御する制御部10と、ユーザ端末6などの外部機器と接続するためのネットワークインタフェース13と、印刷ジョブを実行して印刷出力を行う印刷処理部14と、ユーザによる各種操作を受付ける操作パネル2と、各種情報を記憶する記憶装置17と、を備え、それらがバス15を介して接続されることにより相互に通信可能に構成される。
【0031】
制御部10は、CPU11とメモリ12とを備えており、各部の動作を制御するものである。CPU11は、記憶装置17に記憶されているプログラム18を読み出して実行する。ここで、プログラム18は、印刷装置1に電源が投入されることに伴って、CPU11によって実行される基本的なプログラムである。例えば、プログラム18は、ユーザ端末6から送信される印刷ジョブを受信したり、その印刷ジョブを実行したりするためのプログラムであると共に、制御部10を後述する各種処理部として機能させるためのプログラムである。メモリ12は、CPU11がプログラムを実行することに伴う一時的なデータなどを記憶するものである。また、記憶装置17は、印刷ジョブを記憶する印刷ジョブ記憶部19を有している。
【0032】
ネットワークインタフェース13は、印刷装置1をネットワーク5に接続するためのものである。制御部10は、このネットワークインタフェース13を介してユーザ端末6と通信可能に接続される。
【0033】
印刷処理部14は、給紙カセットから用紙を1枚ずつ給紙する給紙部、給紙部から給紙された用紙に対して、印刷ジョブに含まれる画像データに基づき画像形成を行う画像形成部、画像形成部によって形成されるトナー像(画像)を用紙に転写させる転写部、用紙に転写されたトナー像を定着させる定着部、印刷された印刷物を排出口3まで搬送する印刷物搬送部、画像形成部にトナーを補充するトナーボトルなどを備えている。これにより、印刷処理部14は、入力する印刷ジョブを実行することが可能である。
【0034】
制御部10の後述する各処理部と、記憶装置17の少なくとも一部の記憶領域とは、通電状態が省電力状態になっているときにも起動されており、ユーザ端末6からの各種情報を受付け、その受付けた情報を記憶装置17に記憶させたり、記憶装置17に記憶されている情報を読出したりできるように構成される。
【0035】
図3,図4は、印刷装置1によって実行される処理の概略を示したものである。図3では印刷装置1は、通電状態が省電力状態になっている。この状態のときに、印刷装置1は、ユーザ端末6aから印刷ジョブA1を入力すると、ユーザ端末6aに対し通電状態が省電力状態であることを報知すると共に、印刷ジョブを即時に実行するか否かを問い合せる案内画面をユーザ端末6に表示させる。印刷装置1は、ユーザ端末6aから、印刷ジョブA1の実行を保留すべき指示を入力すると、印刷ジョブA1を待機ジョブとして記憶装置17の印刷ジョブ記憶部19に記憶して省電力状態を維持する。これにより、印刷装置1は、省電力状態から通常通電状態に復帰することに伴う電力を節約することができる。
【0036】
印刷装置1は、通電状態が省電力状態であって、且つ記憶装置17に既に待機ジョブが記憶されている状態のときに、ユーザ端末6から印刷ジョブを入力すると、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、ユーザ端末6から入力する印刷ジョブとが同一であるか否かを判断する。例えば、印刷装置1の通電状態が省電力状態であって、且つ印刷ジョブA1が待機ジョブとして記憶装置17に記憶されている状態のときに、ユーザ端末6bから印刷ジョブBを入力すると、印刷装置1は、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1と、入力する印刷ジョブBとの同一性を例えばファイル名などに基づき判断する。
【0037】
例えば、図3において、印刷ジョブBが、印刷ジョブA1が生成された文書データとは異なる文書データに基づいて生成されている場合、その印刷ジョブBは、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1とは異なる印刷ジョブと判断される。これに対し、印刷ジョブBが、印刷ジョブA1が生成された文書データと同じ文書データに基づいて生成されている場合、その印刷ジョブBは、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1と同一の印刷ジョブと判断される。尚、図3では、印刷ジョブBが、印刷ジョブA1とは異なる印刷ジョブであると判断される場合を例示している。
【0038】
このようにして印刷装置1は、受信した印刷ジョブBと待機ジョブである印刷ジョブA1との同一性の判断が終了すると、図3に示すように、上記と同様にしてユーザ端末6bに対し案内画面を表示させる。印刷装置1は、ユーザ端末6bから、印刷ジョブBの実行を保留すべき指示を入力すると、印刷ジョブBを待機ジョブとして記憶装置17に記憶して省電力状態を維持する。
【0039】
その後、印刷装置1は、ユーザ端末6cから印刷ジョブA2を入力すると、その印刷ジョブA2と、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1及び印刷ジョブBとの同一性を判断する。
【0040】
ここでの判断は、上記と同様に行われる。すなわち、印刷ジョブA2が、印刷ジョブA1又はBが生成された文書データとは異なる文書データに基づいて生成されている場合、その印刷ジョブA2は、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1及びBとは異なる印刷ジョブと判断される。これに対し、印刷ジョブA2が、印刷ジョブA1及びBの何れか一方が生成された文書データと同じ文書データに基づいて生成されている場合、その印刷ジョブA2は、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1及びBの何れか一方と同一の印刷ジョブと判断される。尚、図3では、印刷ジョブA2が、印刷ジョブA1と同一のジョブであると判断される場合を例示している。
【0041】
印刷装置1は、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1と、入力する印刷ジョブA2とが同一であると判断すると、その印刷ジョブA2を発行したユーザを特定する。そして、印刷装置1は、そのユーザに関するユーザ情報21を生成して、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1に関連づける。図3の例では、印刷装置1は、印刷ジョブA1に対してユーザCに関するユーザ情報21を関連づける。
【0042】
印刷装置1は、ユーザ情報21の関連づけが終了すると、上記と同様にしてユーザ端末6cに対し案内画面を表示させる。印刷装置1は、ユーザ端末6cから、印刷ジョブA2の実行を保留すべき指示を入力すると、印刷ジョブA2を記憶装置17に待機ジョブとして記憶して省電力状態を維持する。このようにして、記憶装置17には、印刷ジョブA1,B,A2が記憶される。また、このとき印刷ジョブA1には、ユーザCに関するユーザ情報21が関連づけられている。
【0043】
その後更に、印刷装置1は、ユーザ端末6dから印刷ジョブA3を入力すると、上記と同様にして、その印刷ジョブA3と、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1,B及びA2とが同一であるか否かを判断する。ここでの判断も上記と同様に行われる。その結果、例えば、印刷ジョブA3と印刷ジョブA1とが同一であると判断されると、印刷装置1は、印刷ジョブA3を発行したユーザDに関するユーザ情報21を印刷ジョブA1に関連づける。尚、このとき印刷ジョブA3は、印刷ジョブA2とも同一であると判断されるが、この場合は、例えば最も受付順序の早い印刷ジョブA1にユーザ情報21が関連づけられる。
【0044】
例えば、ユーザA,C,Dが同じ会議に出席するため、会議資料などの文書データに関する印刷指示をそれぞれ異なるタイミングで行った場合、印刷装置1は、それぞれ異なるタイミングで同一の印刷ジョブA1,A2,A3を受信する。また、上記のように印刷装置1は、これら同一の印刷ジョブA1,A2,A3を受信する間に、それらとは異なる他の印刷ジョブBを受信することもある。印刷装置1は、そのような場合に、同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させるため以下のように処理を行う。
【0045】
印刷装置1は、ユーザ情報21の関連づけが終了すると、上記と同様にしてユーザ端末6dに対し案内画面を表示させる。このとき、例えばユーザA,C,Dが出席する会議の開始予定時間が迫っていると、ユーザDは、ユーザ端末6dに表示される案内画面に対して即時に印刷出力を行うように指示する。印刷装置1は、ユーザ端末6dから、印刷ジョブA3を即時に実行すべき指示を入力すると、通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰させ印刷ジョブの実行を開始する。
【0046】
印刷装置1は、上述した同一性の判断において同一と判断された印刷ジョブの実行を行うとき、記憶装置17に記憶されている待機ジョブのうちユーザ情報21が関連付けられている待機ジョブを他の待機ジョブよりも優先的に実行する。図3の例では、印刷装置1は、ユーザ情報21が関連付けられている印刷ジョブA1を最初に実行する。このとき、印刷装置1は、上述した同一性の判断において同一と判断された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行う。例えば、印刷装置1は、ユーザ情報21を参照し、そのユーザ情報21に記録されているユーザの数に対応して印刷ジョブを複数回実行することにより、複数部の印刷出力を行う。
【0047】
例えば、図例では、記憶装置17に待機ジョブとして記憶されている印刷ジョブA1には、ユーザC,Dに関するユーザ情報21が関連づけられている。この場合、図4に示すように、印刷装置1は、印刷ジョブA1を、それらユーザC,Dの数に対応して2回余分に実行する。すなわち、印刷装置1は、印刷ジョブA1を3回実行することにより合計3部の印刷物を出力する。これにより、印刷ジョブA2を発行したユーザCと、印刷ジョブA3を発行したユーザDは、印刷ジョブA2,A3よりも先に受付けられた印刷ジョブBの実行を待たずに、早期に印刷物を取得可能である。すなわち、ユーザC,Dは、印刷ジョブBの実行に要する時間を待たなくて済むので、その分待ち時間が短縮される。特に、印刷ジョブBの情報量が多く、印刷ジョブBの実行が開始されてから終了するまでに比較的長時間を要する場合でも、ユーザC,D用の印刷物は、それよりも先に印刷出力されるようになるので、会議が始まるまでに会議資料などの文書を取得することができるようになる。
【0048】
また、印刷装置1は、ユーザ情報21が関連づけられている印刷ジョブA1を実行すると、その印刷ジョブA1に関連づけられているユーザ情報21に記録されたユーザが発行した印刷ジョブA2,A3を削除する。これにより、印刷装置1は、同一内容の印刷物が、その後更に余分に印刷出力されてしまうことを未然に防止できる。
【0049】
また、印刷装置1は、ユーザ情報21が関連づけられている印刷ジョブの実行が終了すると、そのとき待機状態となっている印刷ジョブを順次実行する。これによりユーザBが印刷物を取得可能になる。以下、上記のような印刷装置1の動作を制御する制御部10の具体的な構成について説明する。
【0050】
図5は、制御部10の機能構成の一例を示すブロック図である。制御部10は、上述したCPU11がプログラム18を実行することにより、指示解析部25、ジョブ管理部27、印刷制御部29、表示制御部30、及び上述した電源管理部31として機能する。指示解析部25は、通電検知部26を含み、また、ジョブ管理部27は、判別部28を含んでいる。
【0051】
次に、制御部10によって実行される処理について説明する。制御部10は、ネットワーク5を介して信号や情報を受信した場合、まず指示解析部25を機能させる。指示解析部25は、ユーザ端末6から入力する操作指示や各種情報を受付けて解析し、その解析結果に基づき各処理部に各種情報を出力する処理部である。指示解析部25がユーザ端末6から印刷ジョブを受付けると、次に指示解析部25に含まれる通電検知部26が機能する。
【0052】
通電検知部26は、電源管理部31によって制御される印刷装置1の通電状態が省電力状態であるか又は通常通電状態であるかを検知する処理部である。例えば、通電検知部26は、上述した電源管理部と通信可能に接続されており電源管理部による電力供給状態を検知できるようになっている。これにより指示解析部25は、通電検知部26による検知結果に基づき各種処理を行うことが可能である。
【0053】
指示解析部25は、通電状態が通常通電状態であるときに印刷ジョブを入力すると、その印刷ジョブを印刷制御部29に出力する。
【0054】
印刷制御部29は、印刷ジョブを印刷処理部14に対して出力する処理部である。印刷制御部29は、指示解析部25から印刷ジョブを受け取ることで機能し、その印刷ジョブを印刷処理部14に対して出力する。これにより印刷処理部14によって印刷処理が行われることで印刷物が排出口3から出力される。
【0055】
一方、指示解析部25は、通電状態が省電力状態であるときに印刷ジョブを入力すると、その印刷ジョブをジョブ管理部27に出力する。
【0056】
ジョブ管理部27は、印刷ジョブを記憶装置17に記憶させたり、その印刷ジョブに各種情報を関連づけたりすることで印刷ジョブを管理する処理部である。ジョブ管理部27は、指示解析部25から印刷ジョブを受け取ると、記憶装置17に既に記憶されている待機ジョブがあるか否かを検知する。以下においては、まず、未だ記憶装置17に何れの待機ジョブも記憶されていない場合について説明する。
【0057】
ジョブ管理部27は、記憶装置17に待機ジョブが記憶されていない場合、指示解析部25から受け取った印刷ジョブの出力先を決定するため、表示制御部30に対して案内画面を生成するように指示する。表示制御部30は、各種表示画面を生成してユーザ端末6に表示させる処理部である。表示制御部30は、ジョブ管理部27からの指示を受け取ると案内画面を生成してユーザ端末6に表示させる。
【0058】
図6は、表示制御部30によって生成される案内画面35の一例を示す図である。図例に示すように、案内画面35には、印刷装置1が省電力状態であることを報知するメッセージが表示される。これにより、ユーザは、印刷装置1が省電力状態であることを知ることができる。また、案内画面35には、印刷を実行するための実行ボタン35aと、印刷を保留するための保留ボタン35bとが設けられる。ユーザにより実行ボタン35a及び保留ボタン35bの何れかが押下されると、その操作情報は、指示解析部25によって受付けられる。
【0059】
指示解析部25は、保留ボタン35bが押下されたことを示す操作情報を受け取った場合には、その操作情報をジョブ管理部27に出力する。ジョブ管理部27は、その操作情報を受け取ると、その操作情報に基づき指示解析部25から受け取った印刷ジョブを記憶装置17に記憶させる。これにより省電力状態が維持されるので電力消費量を節約することができる。
【0060】
一方、指示解析部25は、実行ボタン35aが押下されたことを示す操作情報を受け取った場合には、電源管理部31に対して省電力状態から通常通電状態に復帰するように指示する。これにより、印刷装置1は、電源管理部31によって通電状態が制御されることにより省電力状態から通常通電状態に復帰する。そして、指示解析部25は、受け付けた操作情報をジョブ管理部27に出力する。ジョブ管理部27は、指示解析部25から操作情報を受け取ると、指示解析部25から受け取った印刷ジョブをその操作情報に基づき印刷制御部29に出力する。印刷制御部29は、ジョブ管理部27から印刷ジョブを受け取ると、その印刷ジョブを印刷処理部14に実行させる。これにより、印刷物が排出口3から出力される。
【0061】
次に、記憶装置17に待機印刷ジョブが記憶されている場合について説明する。記憶装置17に待機ジョブが記憶されている場合、図5に示すジョブ管理部27において判別部28が機能する。判別部28は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一であるか否かを判別する処理部である。
【0062】
同一性の判断は、例えば、印刷ジョブの属性に基づき行われる。印刷ジョブの属性には、印刷ジョブに含まれるファイル名、ファイルの種類、ファイルの作成日時及びファイルの作成者などが含まれる。判別部28は、それらファイル名、ファイルの種類、ファイルの作成日時及びファイルの作成者のうち少なくとも1つ以上が一致する場合に、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一の印刷ジョブであると判断する。但し、同一性の判断は、上述した基準に限られない。例えば、判別部28は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとの各ファイルに含まれるテキストデータなどを比較して、それらテキストデータの一致率などに基づき印刷ジョブが同一か否かを判断しても良い。
【0063】
また、判別部28は、複数の待機ジョブが記憶装置17に記憶されている場合、それら全ての待機ジョブについて、指示解析部25から受け取った印刷ジョブと同一であるか否かの判断を行う。そして、判別部28は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブのうち複数の待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一である場合には、受付順序が最も早い待機ジョブを抽出する。これにより、記憶装置17に記憶されている1つの待機ジョブに集中的にユーザ情報21を関連づけることが可能である。但し、記憶装置17に記憶されている1つの待機ジョブに集中的にユーザ情報21を関連づけることができれば、記憶装置17に記憶されている複数の待機ジョブのうち何れを抽出しても構わない。
【0064】
ジョブ管理部27は、判別部28による判別結果に基づき以下のように処理を行う。以下においては、まず、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが異なる場合について説明する。
【0065】
ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが異なる場合、表示制御部30に対して案内画面35を生成するように指示する。表示制御部30は、案内画面35を生成すると、その案内画面35をユーザ端末6の表示部7に表示させる。ジョブ管理部27は、保留ボタン35bが押下された場合には、上記と同様にして、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを待機ジョブとして記憶装置17に記憶させる。一方、実行ボタン35aが押下された場合には、制御部10は、待機ジョブの印刷出力を行うための処理を開始する。この処理については後述する。
【0066】
次に、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、ジョブ管理部27が指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一である場合について説明する。ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一である場合、その記憶装置17に記憶されている待機ジョブに対して既にユーザ情報21が関連付けられているか否かを判断する。そして、ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブに対して未だユーザ情報21が関連付けられていない場合には、新規にユーザ情報21を生成することにより各情報を記録する。一方、ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブに対して既にユーザ情報21が関連付けられている場合には、そのユーザ情報21を更新することにより各情報を記録する。
【0067】
図7は、ジョブ管理部27によって生成されるユーザ情報21の一例を示す図である。ユーザ情報21は、判別部28によって抽出された待機ジョブと、その待機ジョブに関連づけられるユーザID及び設定内容とが記録される情報である。ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一である場合には、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを発行したユーザを特定する。そして、ジョブ管理部27は、特定したユーザのユーザIDをユーザ情報21に記録する。また、既に記憶装置17に記憶されている1つの待機ジョブと同一となる複数の印刷ジョブが異なるユーザによって発行される場合には、それら複数の印刷ジョブを発行した各ユーザのユーザIDがユーザ情報21に記録される。図7の例では、ユーザ情報21には、ユーザIDとしてユーザC,Dが記録されている。このようにして、ユーザ情報21にはユーザに関する情報が関連づけられる。
【0068】
ここで、ユーザ情報21が関連づけられる待機ジョブは、後に実行される予定の印刷ジョブとなり、指示解析部25から受け取った印刷ジョブは、後に削除される予定の印刷ジョブとなる。ユーザ情報21には、そのような削除予定の印刷ジョブに含まれる各種印刷設定を実行予定の印刷ジョブに反映するために設定内容が記録されるようになっている。設定内容には、例えば、印刷方向やページの割付態様など、削除予定の印刷ジョブに対してなされる各種印刷設定が記録される。これにより、制御部10は、削除予定の印刷ジョブに含まれる印刷設定を実行予定の印刷ジョブが実行されるときに反映させることが可能となっている。また、既に記憶装置17に記憶されている1つの待機ジョブに、その待機ジョブと同一となる複数の待機ジョブが存在する場合には、図7に示すように、設定内容は、ユーザ情報21に関連づけられる各ユーザに対応して複数記録される。
【0069】
ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブが同一である場合、指示解析部25から受け取った印刷ジョブから印刷設定を読出し、ユーザ情報21に記録する。このようにして、ユーザ情報21には、設定内容が記録される。
【0070】
ジョブ管理部27は、ユーザ情報21への記録が終了すると、そのユーザ情報21を記憶装置17に記憶させると共に、表示制御部30に対して案内画面35を生成するように指示する。表示制御部30は、案内画面35を生成すると、その案内画面35をユーザ端末6の表示部7に表示させる。ジョブ管理部27は、保留ボタン35bが押下された場合には、上記と同様にして印刷ジョブを待機ジョブとして記憶装置17に記憶させる。一方、案内画面35において実行ボタン35aが押下された場合には、制御部10は、以下に説明するように、記憶装置17に記憶されている待機ジョブの印刷出力を行うための処理を開始する。
【0071】
以下、記憶装置17に記憶されている待機ジョブの印刷出力を行うための処理について説明する。まず、指示解析部25は、案内画面35において実行ボタン35aが押下されたことを示す操作情報を受け取ると、電源管理部31に対して省電力状態から通常通電状態に復帰するように指示する。これにより、電源管理部31による制御によって印刷装置1は、省電力状態から通常通電状態に復帰する。但し、例えば、印刷装置1の操作パネル2に対する直接の操作などによって印刷装置1の通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰する場合もある。
【0072】
次に、指示解析部25は、印刷装置1の通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰すると、印刷制御部29に対して記憶装置17に記憶されている待機ジョブを実行するように指示する。印刷制御部29は、その指示を受け取ると、記憶装置17にユーザ情報21が記憶されているか否かを検知する。印刷制御部29は、記憶装置17にユーザ情報21が記憶されている場合には、そのユーザ情報21に記録されている待機ジョブを特定する。例えば、図7の例では、ユーザ情報21には、待機ジョブとして印刷ジョブA1が記録されているので、ジョブ管理部27は、その印刷ジョブA1を特定する。このようにして、印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連づけられている待機ジョブを特定する。尚、記憶装置17に、ユーザ情報21が記憶されていない場合の処理については後述する。
【0073】
印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連づけられている待機ジョブを特定すると、その待機ジョブを記憶装置17から読出す。このとき、記憶装置17には、ユーザ情報21が関連づけられている待機ジョブと、ユーザ情報21が関連付けられていない待機ジョブとが混在して記憶されている場合がある。この場合、印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連付けられている待機ジョブを、ユーザ情報21が関連付けられていない待機ジョブよりも優先的に記憶装置17から読出す。これにより、ユーザ情報21が関連付けられている印刷ジョブが、ユーザ情報21が関連付けられていない印刷ジョブよりも優先的に実行されるので、同一の印刷ジョブを発行した各ユーザの待ち時間を短縮させることができる。
【0074】
印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連付けられている待機ジョブを記憶装置17から読出すと、そのユーザ情報21を参照して、そのユーザ情報21に関連づけられているユーザの数をユーザIDに基づき特定する。図7の例では、ユーザ情報21には、ユーザC,Dが記録されている。この場合、印刷制御部29は、ユーザ情報21に関連づけられているユーザの数が2人であることを特定する。また、印刷制御部29は、ユーザ情報21に記録されている設定内容を特定する。図7の例では、印刷制御部29は、ユーザC,Dに対応する設定内容が記録されている。この場合、印刷制御部29は、ユーザC,Dに対応する設定内容を特定する。
【0075】
印刷制御部29は、待機ジョブとして記憶装置17に記憶されている印刷ジョブを読み出すと、その印刷ジョブを、特定したユーザの数に基づき複数回実行する。例えば、印刷制御部29は、特定したユーザの数に基づき印刷ジョブを複数回連続的に繰り返して実行する。又は、印刷制御部29は、例えば、読み出した印刷ジョブに予め設定されている印刷部数に対して、特定したユーザの数を加算することで、複数部の印刷出力を行っても良い。印刷ジョブを複数回実行するための方法は適宜設計が可能であるが、印刷制御部29は、各部数が連続的に印刷出力されるように処理を行う。
【0076】
これにより、実行される印刷ジョブと同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間が短縮される。図7の例では、ユーザ情報21には、ユーザC,Dの2人が関連づけられているので、印刷制御部29は、その人数に対応して2部余分に印刷ジョブを実行する。すなわち、印刷制御部29は、合計3部の印刷出力が行われるように印刷ジョブを実行する。これにより、ユーザ情報21に関連づけられるユーザの数に対応して印刷ジョブが実行されるので、ユーザ情報21に関連づけられているユーザは、漏れなく印刷物を取得することが可能である。
【0077】
また、印刷制御部29は、ユーザ情報21に記録されている設定内容に基づき印刷ジョブを実行する。例えば、図7の例で説明すると、印刷制御部29は、印刷ジョブA1を3回実行するとき、1回目は、通常通り印刷ジョブA1の印刷設定に基づいて印刷ジョブA1を実行する。また、印刷制御部29は、2回目は、ユーザCに対応する設定内容で印刷ジョブA1を実行する。そして、印刷制御部29は、3回目は、ユーザDに対応する設定内容で印刷ジョブA1を実行する。これにより、各ユーザA,C,Dに対応する設定内容で印刷ジョブA1が3回実行される。そして、各ユーザA,C,Dに対応する設定内容で印刷出力された3部の印刷物が排出口3から出力される。
【0078】
印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連づけられている印刷ジョブを実行すると、そのユーザ情報21に関連づけられているユーザが発行した印刷ジョブを記憶装置17から削除する。
【0079】
また、このとき、記憶装置17に記憶されていない削除予定の印刷ジョブが処理待ちと
なっている場合がある。例えば、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと同一の印刷ジョブが新規に入力され、その印刷ジョブが入力されたことに伴って表示される案内画面35において実行ボタン35aが押下された場合である。この場合、入力された印刷ジョブは、その印刷ジョブを発行したユーザがユーザ情報21に関連づけられるので、削除予定となる印刷ジョブである。そして、その削除予定となる印刷ジョブは、ジョブ管理部27が指示解析部25から受け取った段階でメモリ12に格納され一時的に待機している状態である。印刷制御部29は、そのような処理待ちとなっている削除予定の印刷ジョブをメモリ12から削除する。このように、印刷制御部29は、待機ジョブとして記憶装置17に記憶されている1つの印刷ジョブを複数回実行し、その印刷ジョブと同一と判別された他の印刷ジョブを実行しない構成である。これにより同一内容の印刷物が余分に印刷出力されてしまうことを防止することができる。
【0080】
印刷制御部29は、ユーザ情報21に関連づけられているユーザが発行した印刷ジョブの削除が終了すると、そのユーザ情報21を記憶装置17から削除する。また、印刷制御部29は、記憶装置17に残っている待機ジョブがある場合には、その待機ジョブをこのタイミングで実行する。印刷制御部29は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブが複数ある場合には、それらの待機ジョブを、例えば受付順序に従って順次実行する。
【0081】
但し、このとき、記憶装置17に記憶されていない実行予定の印刷ジョブが印刷待ちとなっている場合がある。例えば、ユーザ情報21が関連付けられている待機ジョブが記憶装置17に記憶されている状態で、その待機ジョブとは異なる印刷ジョブが新規に入力されたことに伴って表示される案内画面35において、実行ボタン35aが押下された場合である。この場合、入力された印刷ジョブは、ユーザ情報21が関連づけられている待機ジョブとは異なるので、実行予定となる印刷ジョブである。そして、その実行予定となる印刷ジョブは、ジョブ管理部27が指示解析部25から受け取った段階でメモリ12に格納され一時的に待機している状態である。このような場合、印刷制御部29は、その実行予定となる印刷ジョブを記憶装置17に記憶されている待機ジョブよりも優先的に実行する。
【0082】
更には、その実行予定となる印刷ジョブを、上述した、同一の印刷ジョブを複数回実行するよりも先に実行しても構わない。これにより、案内画面35において実行ボタン35aを押下するユーザが発行した印刷ジョブを最も早く実行させることができるので、そのユーザは速やかに印刷物を取得可能になる。また、このとき、印刷制御部29は、その実行予定となる印刷ジョブの印刷所要時間をデータ量などに基づき検知し、その印刷所要時間が予め設定された所定の閾値を超えるか否かを判断する。そして、印刷制御部29は、実行予定となる印刷ジョブの印刷所要時間が上記閾値を超える場合に、その実行予定となる印刷ジョブよりも優先的に同一の印刷ジョブを複数回実行しても良い。これにより、同一の印刷ジョブを発行した各ユーザが、その実行予定となる印刷ジョブが完了するまで長時間待たされてしまうことを防止できる。
【0083】
次に、案内画面35において実行ボタン35aが押下されたとき、記憶装置17に、ユーザ情報21が記憶されていない場合の処理について説明する。ユーザ情報21は、同一となる印刷ジョブが存在する場合に生成される情報である。そのユーザ情報21が記憶装置17に記憶されていない場合、記憶装置17には、ジョブ管理部27が指示解析部25から受け取った印刷ジョブとは異なる待機ジョブが記憶されている。また、記憶装置17に複数の待機ジョブが記憶されている場合、各待機ジョブは、互いに異なった印刷ジョブである。
【0084】
このような場合、印刷制御部29は、実行ボタン35aが押下されるとジョブ管理部27から印刷ジョブを受け取って、その印刷ジョブを記憶装置17に記憶されている待機ジョブよりも優先的に実行する。そして、印刷制御部29は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブを例えば受付順序に従って順次記憶装置17から読み出して実行する。
【0085】
以上の説明は、受信した印刷ジョブと同一と判断される印刷ジョブのうち最も受付順序の早い印刷ジョブを複数回実行する場合について例示した。しかし、これに限られるものではなく、同一と判断される印刷ジョブのうち何れを複数回実行しても構わない。例えば、図3の例において、記憶装置17には、印刷ジョブA1と、この印刷ジョブA1と同一の印刷ジョブA2とが待機ジョブとして記憶されている。上記の説明では、その状態で、更に印刷ジョブA1,A2と同一の印刷ジョブA3が入力されることに伴って通電状態が通常通電状態に復帰するタイミングで、最も受付順序の早い印刷ジョブA1が3回実行されことを例示した。他の例としては、上記タイミングで印刷ジョブA2を3回実行しても構わないし、上記タイミングで印刷ジョブA3を3回実行しても構わない。但し、何れの場合であっても、ユーザ情報21には、そのとき実行予定となる印刷ジョブに、削除予定となる印刷ジョブを発行したユーザが関連づけられる。このような構成によっても、印刷ジョブBの実行を待たずに印刷ジョブA2又はA3が3回実行されるので、印刷ジョブA2,A3を発行した各ユーザの待ち時間が短縮される。
【0086】
図8,図9は、上記のように構成される印刷装置1において実行される処理手順の一例を示したフローチャートである。図8は、全体的な処理手順を示しており、また、図9は、印刷ジョブ保留処理の処理手順を示している。
【0087】
図8に示すように、指示解析部25によって印刷ジョブが受付けられると(ステップS1のYES)、通電検知部26は、印刷装置1の通電状態を検知する(ステップS2)。制御部10は、通電状態が省電力状態である場合には(ステップS3のYES)、印刷ジョブ保留処理を実行する(ステップS4)。一方、通電状態が通常通電状態である場合には(ステップS3のNO)、印刷制御部29は、ジョブ管理部27から印刷ジョブを受け取って、印刷処理部14に印刷ジョブを実行させる(ステップS5)。以上のようにして、全体的な処理は終了する。
【0088】
次に、図9を参照しつつ印刷ジョブ保留処理について説明する。この処理が開始されると、ジョブ管理部27は、記憶装置17を検索して既に記憶されている待機ジョブがあるか否かを検知する(ステップS10)そして、ジョブ管理部27は、記憶装置17を検索して既に記憶されている待機ジョブがある場合(ステップS10のYES)、その記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとの同一性を判断する(ステップS11)。ジョブ管理部27は、記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一であると判断すると(ステップS11のYES)、その指示解析部25から受け取った印刷ジョブを発行したユーザを特定する(ステップS12)。
【0089】
ジョブ管理部27は、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを発行したユーザを特定すると、ユーザIDをユーザ情報21に記録する(ステップS13)。このとき、ジョブ管理部27は、指示解析部25から受け取った印刷ジョブの印刷設定を読出して、設定内容をユーザ情報21に記録して、そのユーザ情報21を記憶装置17に記憶させる(ステップS14)。
【0090】
ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一でないと判断するか(ステップS11のNO)、又は、ユーザ情報21を記憶装置17に記憶させると(ステップS14)、表示部7に案内画面35を表示させる(ステップS15)。
【0091】
ジョブ管理部27は、案内画面35において保留ボタン35bが押下された場合(ステップS16のYES)、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを記憶装置17に記憶させる(ステップS23)。この場合、制御部10は、更に印刷ジョブが受付けられるまで待機する(図8のステップS1まで戻る)。
【0092】
一方、案内画面35において実行ボタン35aが押下された場合(ステップS16のNO)、指示解析部25は、電源管理部31を介して通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰させる(ステップS17)。次に、印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連づけられている待機ジョブが記憶装置17に記憶されていることを条件として、その待機ジョブを読出す(ステップS18)。また、印刷制御部29は、ユーザ情報21を読出して、そのユーザ情報21に記録されたユーザIDと設定内容とを特定する(ステップS19)。
【0093】
印刷制御部29は、上記のようにして記憶装置17から読出した印刷ジョブを、ユーザ情報21に関連づけられたユーザの数に対応して複数回実行する(ステップS20)。このとき、印刷制御部29は、特定した設定内容に基づき各ユーザに対応した印刷設定を反映させて印刷ジョブを実行する。印刷制御部29は、ユーザ情報21が関連づけられている印刷ジョブの実行が全て終了すると、ユーザ情報21を記憶装置17から削除すると共に、ユーザ情報21に記録されているユーザが発行した印刷ジョブを削除する(ステップS21)。そして、印刷制御部29は、残りの印刷ジョブを実行する(ステップS22)。
【0094】
また、表示制御部30は、記憶装置17に何れの待機ジョブも未だ記憶されていない場合(ステップS10のNO)、図10に示すように、案内画面35を表示部7に表示させる(ステップS24)。案内画面35において保留ボタン35bが押下された場合(ステップS25のYES)、ジョブ管理部27は、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを待機ジョブとして記憶装置17に記憶させる(ステップS26)。この場合、制御部10は、更に印刷ジョブが受付けられるまで待機する(図8のステップS1まで戻る)。
【0095】
一方、案内画面35において実行ボタン35aが押下された場合(ステップS25のNO)、指示解析部25は、電源管理部31を介して通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰させる(ステップS27)。そして、印刷制御部29は、ジョブ管理部27から印刷ジョブを受け取って、その印刷ジョブを印刷処理部14に実行させる(図8のステップS5まで戻る)。以上により印刷ジョブ保留処理は終了する。
【0096】
以上のように、本実施形態では、印刷装置1は、指示解析部25によって印刷ジョブが受付けられたとき、その受付けられた印刷ジョブの属性と、記憶装置17に記憶されている待機ジョブの属性とを比較して、受付けられた印刷ジョブと記憶装置17に記憶されている待機ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判別する構成である。また、印刷装置1は、同一と判別された印刷ジョブを実行するとき、その同一と判別された印刷ジョブを複数回実行することにより印刷出力を行う構成である。
【0097】
このような構成によれば、記憶装置17に記憶されている待機ジョブが実行されるときに、その待機ジョブが複数回実行されるので、印刷装置1は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させることが可能となる。
【0098】
また、本実施形態では、印刷装置1は、同一と判別された複数の印刷ジョブのうち何れか1つを複数回実行し、同一と判別された複数の印刷ジョブのうち他の印刷ジョブを実行しないように構成される。
【0099】
このような構成によれば、印刷装置は、必要部数以上の印刷物が印刷出力されてしまうような不具合を未然に防止することができる。すなわち、同一と判別された複数の印刷ジョブのうち何れか1つが複数部実行された後、その印刷ジョブと同一である他の印刷ジョブを更に実行してしまうと余分に印刷物が出力されてしまう可能性がある。しかし、上記構成によれば、印刷装置1は、そのような不具合を生じさせないことが可能である。
【0100】
更に、本実施形態では、制御部10は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと同一であると判別された印刷ジョブを発行したユーザに関するユーザ情報21を生成するジョブ管理部27を有している。ジョブ管理部27は、生成したユーザ情報21を、指示解析部25から受け取った印刷ジョブと同一であると判別された待機ジョブに関連づける。そして、印刷装置1は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブを、ユーザ情報21に関連づけられているユーザの数に対応して複数回実行する構成である。
【0101】
このような構成によれば、ユーザ情報21に関連づけられているユーザの数に対応して印刷ジョブが複数回実行されるので、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと同一であると判別された印刷ジョブを発行した各ユーザが、漏れなく印刷物を取得することができる。
【0102】
また、本実施形態では、ユーザ情報21には、同一であると判別された印刷ジョブの印刷設定に関する設定内容が記録される。そして、印刷装置1は、待機ジョブとして記憶装置17に記憶されている印刷ジョブを実行するとき、各ユーザに対応した印刷設定に基づいて、その印刷ジョブを複数回実行する構成である。
【0103】
このような構成によれば、同一であると判別された各印刷ジョブの各印刷設定に対応して複数部の印刷出力が行われるので、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと同一であると判別された印刷ジョブを発行したユーザは、自己の印刷設定に従って印刷出力された印刷物を取得することができる。
【0104】
また、本実施形態では、印刷装置1は、該印刷装置1の通電状態が省電力状態である場合に入力する印刷ジョブを記憶装置17に記憶する構成である。このような構成によれば、印刷装置1は、印刷ジョブを入力する毎にその印刷ジョブを実行する場合に比べて印刷装置1の消費電力を節約することができる。
【0105】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、記憶装置17に記憶されている待機ジョブは、その待機ジョブと同一の印刷ジョブを発行したユーザの数に対応して複数回実行される。これに対して、本実施形態では、記憶装置17に記憶されている待機ジョブは、その待機ジョブと同一の印刷ジョブの数に対応して複数回実行される。このような構成によっても、印刷装置1は、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことが可能である。以下においては、本実施形態に関する構成について詳細に説明し、第1の実施形態と重複する構成については説明を省略する。
【0106】
図11は、記憶装置17に記憶される待機ジョブに関連づけられる関連ジョブ情報23の一例を示す図である。尚、本実施形態では、ユーザ情報21は生成されない。関連ジョブ情報23には、記憶装置17に記憶されている待機ジョブのうち判別部28により抽出された待機ジョブに関する情報と、その待機ジョブと同一である関連印刷ジョブに関する情報と、関連印刷ジョブに対してなされた印刷設定に関する設定内容とが、それぞれ記録される。
【0107】
ジョブ管理部27は、以下のようにして関連ジョブ情報23に各情報を記録する。ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一である場合、その記憶装置に記憶されている待機ジョブに対して既に関連ジョブ情報23が関連付けられているか否かを判断する。そして、ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブに対して未だ関連ジョブ情報23が関連付けられていない場合には、新規に関連ジョブ情報23を生成することにより各情報を記録する。一方、ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブに対して既に関連ジョブ情報23が関連付けられている場合には、その関連ジョブ情報23を更新することにより各情報を記録する。
【0108】
ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一である場合には、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを関連印刷ジョブであると判断し、その関連印刷ジョブに関する情報を関連ジョブ情報23に記録する。また、新規に入力される複数の関連印刷ジョブが、既に記憶装置17に記憶されている1つの待機ジョブと同一である場合には、各関連印刷ジョブに関する情報が関連ジョブ情報23に記録される。図11の例では、関連ジョブ情報23には、関連印刷ジョブX2,X3が記録されている。
【0109】
関連ジョブ情報23が関連づけられる印刷ジョブは、後に実行される予定の印刷ジョブとなり、また、関連ジョブ情報23に記録される関連印刷ジョブは、後に削除される予定の印刷ジョブとなる。関連ジョブ情報23には、そのような削除予定の関連印刷ジョブへの各種印刷設定を実行予定の印刷ジョブが実行されるときに反映するために設定内容が記録されるようになっている。また、1つの実行予定の印刷ジョブに対して削除予定となる複数の関連印刷ジョブが存在する場合もある。この場合、設定内容は、図11に示すように関連ジョブ情報23に記録される各関連印刷ジョブに対応して複数記録される。
【0110】
ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブが同一である場合、指示解析部25から受け取った印刷ジョブから印刷設定を読出し、関連ジョブ情報23に記録する。このようにして、関連ジョブ情報23には、設定内容が記録される。
【0111】
図12,図13は、第2の実施形態において制御部10によって実行される印刷ジョブ保留処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しつつ制御部10によって実行される印刷ジョブ保留処理について説明する。
【0112】
図12に示すように、この処理が開始されると、ジョブ管理部27は、記憶装置17を検索して既に記憶されている待機ジョブがあるか否かを検知する(ステップS40)そして、ジョブ管理部27は、記憶装置17を検索して既に記憶されている待機ジョブがある場合(ステップS40のYES)、その記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとの同一性を判断する(ステップS41)。ジョブ管理部27は、その記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一であると判断すると(ステップS41のYES)、指示解析部25から受け取った印刷ジョブに関する情報を関連ジョブ情報23に記録する(ステップS42)。このようにして、関連ジョブ情報23には関連印刷ジョブに関する情報が記録される。
【0113】
次に、ジョブ管理部27は、関連印刷ジョブに含まれている印刷設定を設定内容として関連ジョブ情報23に記録して、関連ジョブ情報23を記憶装置17に記憶する(ステップS43)。ジョブ管理部27は、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、指示解析部25から受け取った印刷ジョブとが同一でないと判断するか(ステップS41のNO)、又は、関連ジョブ情報23を記憶装置17に記憶させると(ステップS43)、表示部7に案内画面35を表示させる(ステップS44)。
【0114】
ジョブ管理部27は、案内画面35において保留ボタン35bが押下された場合(ステップS45のYES)、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを記憶装置17に記憶させる(ステップS52)。この場合、制御部10は、更に印刷ジョブが受付けられるまで待機する(図8のステップS1まで戻る)。
【0115】
一方、案内画面35において実行ボタン35aが押下された場合(ステップS45のNO)、指示解析部25は、電源管理部31を介して通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰させる(ステップS46)。次に、印刷制御部29は、関連ジョブ情報23が関連づけられている待機ジョブが記憶装置17に記憶されていることを条件として、その待機ジョブを読出す(ステップS47)。また、印刷制御部29は、関連ジョブ情報23を参照して、その関連ジョブ情報23に記録された関連印刷ジョブと設定内容とを特定する(ステップS48)。
【0116】
印刷制御部29は、上記のようにして記憶装置17から読出した印刷ジョブを、関連ジョブ情報23に記録された関連印刷ジョブの数に対応して複数回実行する(ステップS49)。図11に示した関連ジョブ情報23の例では、関連印刷ジョブの数は、関連印刷ジョブX2,X3の2つであるので、印刷制御部29は、印刷ジョブを合計3回連続で実行する。このとき、印刷制御部29は、特定した設定内容に基づき各関連印刷ジョブに対応した印刷設定を反映させて印刷ジョブを複数回実行する。印刷制御部29は、記憶装置17から読出した印刷ジョブの複数回の実行が終了すると、関連ジョブ情報23を記憶装置17から削除すると共に、関連ジョブ情報23に記録されている関連印刷ジョブを削除する(ステップS50)。そして、印刷制御部29は、残りの印刷ジョブを実行する(ステップS51)。
【0117】
また、記憶装置17に何れの待機ジョブも未だ記憶されていない場合(ステップS40のNO)、図13に示すように、表示制御部30は、案内画面35を表示部7に表示させる(ステップS53)。案内画面35において保留ボタン35bが押下された場合(ステップS54のYES)、ジョブ管理部27は、指示解析部25から受け取った印刷ジョブを記憶装置17に記憶させる(ステップS55)。この場合、制御部10は、更に印刷ジョブが受付けられるまで待機する(図8のステップS1まで戻る)。
【0118】
一方、案内画面35において実行ボタン35aが押下された場合(ステップS54のNO)、指示解析部25は、電源管理部31を介して通電状態を省電力状態から通常通電状態に復帰させる(ステップS56)。そして、印刷制御部29は、ジョブ管理部27から印刷ジョブを受け取って、その印刷ジョブを印刷処理部14に実行させる(図8のステップS5まで戻る)。以上のようにして印刷ジョブ保留処理は終了する。
【0119】
以上のように、本実施形態では、印刷装置1は、関連ジョブ情報23に記録されている関連印刷ジョブの数に対応して、記憶装置17に記憶されている待機ジョブを複数回実行する構成である。このような構成によれば、印刷装置1は、関連ジョブ情報23に記録されている関連印刷ジョブを発行した各ユーザが漏れなく印刷物を取得することができる。
【0120】
以上、本発明に関する実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0121】
例えば、上述した第1及び第2の実施形態では、記憶装置17に記憶されている待機ジョブが複数回実行されるタイミングは、印刷装置1の通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰するときである。但し、これに限られず、例えば、予め印刷実行時刻を設定できるようにしても良いし、印刷ジョブを発行した各ユーザに対して、印刷ジョブが実行されることを報知するように構成しても良い。これにより、印刷ジョブを発行したユーザが印刷タイミングを知ることができるようになる。
【0122】
また、上述した第1及び第2の実施形態では、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと、その印刷ジョブと同一の印刷ジョブとのうち何れか1つの印刷ジョブが複数回実行される構成であったが、各印刷ジョブを実行するように構成しても良い。例えば、ユーザ情報21が関連付けられている印刷ジョブと、そのユーザ情報21に記録されているユーザが発行した印刷ジョブとの優先順位を調節することにより、各印刷ジョブが連続的に実行されるように構成しても良い。また、関連ジョブ情報23を用いる場合には、関連ジョブ情報23が関連付けられている印刷ジョブと、その関連ジョブ情報23に記録されている関連印刷ジョブとの優先順位を調節することにより、各印刷ジョブが連続的に実行されるように構成しても良い。このように構成することによっても、記憶装置17に記憶されている待機ジョブと同一の印刷ジョブを発行したユーザの待ち時間を短縮させることができる。
【符号の説明】
【0123】
1 印刷装置
6 ユーザ端末
17 記憶装置
25 指示解析部(受付手段)
26 通電検知部(検知手段)
27 ジョブ管理部(管理手段)
28 判別部(判別手段)
29 印刷制御部(印刷制御手段)
31 電源管理部(電源管理手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを受付ける受付手段と、
前記受付手段によって受付けられた印刷ジョブが即時に実行されないとき、その印刷ジョブを待機ジョブとして記憶する記憶装置と、
前記受付手段によって印刷ジョブが受付けられたとき、その受付けられた印刷ジョブと前記記憶装置に記憶されている待機ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判別する判別手段と、
印刷ジョブを実行することにより印刷出力を行う印刷制御手段と、
を備え、
前記印刷制御手段は、前記判別手段によって同一と判別された印刷ジョブを実行するとき、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷制御手段は、同一と判別された複数の印刷ジョブのうち何れか1つを複数回実行し、他の印刷ジョブを実行しないことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷制御手段は、同一と判別された印刷ジョブを発行したユーザの数に対応して複数部の印刷出力を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷制御手段は、同一と判別された各印刷ジョブの印刷設定に応じて、複数部の印刷出力を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷装置の通電状態を制御する電源管理手段を更に備え、
前記記憶装置は、前記電源管理手段によって制御される通電状態が省電力状態である場合に、前記受付手段によって受付けられた印刷ジョブを記憶し、
前記印刷制御手段は、前記電源管理手段によって制御される通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰したときに、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷装置によって実行される印刷方法であって、
印刷ジョブを受付ける受付ステップと、
前記受付ステップによって受付けられた印刷ジョブが即時に実行されないとき、その印刷ジョブを待機ジョブとして記憶する記憶ステップと、
前記受付ステップによって印刷ジョブが受付けられたとき、その受付けられた印刷ジョブと待機ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判別する判別ステップと、
印刷ジョブを実行することにより印刷出力を行う印刷制御ステップと、
を有し、
前記印刷制御ステップは、前記判別ステップによって同一と判別された印刷ジョブを実行するとき、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことを特徴とする印刷方法。
【請求項1】
印刷ジョブを受付ける受付手段と、
前記受付手段によって受付けられた印刷ジョブが即時に実行されないとき、その印刷ジョブを待機ジョブとして記憶する記憶装置と、
前記受付手段によって印刷ジョブが受付けられたとき、その受付けられた印刷ジョブと前記記憶装置に記憶されている待機ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判別する判別手段と、
印刷ジョブを実行することにより印刷出力を行う印刷制御手段と、
を備え、
前記印刷制御手段は、前記判別手段によって同一と判別された印刷ジョブを実行するとき、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷制御手段は、同一と判別された複数の印刷ジョブのうち何れか1つを複数回実行し、他の印刷ジョブを実行しないことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記印刷制御手段は、同一と判別された印刷ジョブを発行したユーザの数に対応して複数部の印刷出力を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記印刷制御手段は、同一と判別された各印刷ジョブの印刷設定に応じて、複数部の印刷出力を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷装置の通電状態を制御する電源管理手段を更に備え、
前記記憶装置は、前記電源管理手段によって制御される通電状態が省電力状態である場合に、前記受付手段によって受付けられた印刷ジョブを記憶し、
前記印刷制御手段は、前記電源管理手段によって制御される通電状態が省電力状態から通常通電状態に復帰したときに、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の印刷装置。
【請求項6】
印刷装置によって実行される印刷方法であって、
印刷ジョブを受付ける受付ステップと、
前記受付ステップによって受付けられた印刷ジョブが即時に実行されないとき、その印刷ジョブを待機ジョブとして記憶する記憶ステップと、
前記受付ステップによって印刷ジョブが受付けられたとき、その受付けられた印刷ジョブと待機ジョブとが同一の印刷ジョブであるか否かを判別する判別ステップと、
印刷ジョブを実行することにより印刷出力を行う印刷制御ステップと、
を有し、
前記印刷制御ステップは、前記判別ステップによって同一と判別された印刷ジョブを実行するとき、同一と判別された印刷ジョブの数に応じて複数部の印刷出力を行うことを特徴とする印刷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−250382(P2012−250382A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123050(P2011−123050)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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