説明

印刷装置管理装置及び印刷装置

【課題】印刷装置の使用数制御において、印刷装置の必要性を判断するための設備を新たに導入する必要がなく必要性が高い印刷装置と必要性が低い印刷装置を判断でき、かつ、必要性が高い印刷装置を優先的に稼働させるとともに、必要性が低い印刷装置の消費電力を最低限に抑制できる印刷装置管理装置及び印刷装置を提供する。
【解決手段】管理サーバは、PCでの印刷実行からプリンタでの認証カード当てまでの時間を算出し記録しておく。管理サーバは、その記録を基に、プリンタ毎に、稼働中の全PCの中で過去一定期間内に一定時間内で印刷したことがある台数を調べる。管理サーバは、調べた数が多いプリンタを、その近傍にPCが多く稼動している必要性の高いものと推定して優先的に、かつ合計消費電力が指定値以上を超えない範囲で最大数稼動させ、それ以外のプリンタについては、通信デバイス以外への電力供給を全て停止する状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費電力を抑制するための印刷装置管理装置及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばオフィスでは、多くの印刷装置(画像形成装置。例えば、コピー機、プリンタ、MFP:Multi Function Peripheral等)が稼動していることがある。これら全ての印刷装置が同時に画像形成動作(コピーやプリント)を行うと、消費電力のピークが大きくなってしまう。よって、電力の供給状況によっては、同時に稼動できる印刷装置の数を制限する制御(印刷装置の使用数制御)が必要となる。このような制御は、情報処理システム・情報処理装置において、印刷装置と接続されたPC(Personal Computer。情報処理装置の一例)の稼動状況が刻々と変化する中で行われる。
【0003】
印刷装置の使用数制御の一例として、その制御にあたり、個々の印刷装置の必要性を判断しない方法がある(第1の制御方法)。この方法では、全ての印刷装置の消費電力の合計が予め定められた閾値を超えそうになったら、それ以上の印刷装置については省エネモード(省エネ待機状態)に移行させる。なお、この第1の制御方法は、例えば特許文献1、2に開示されている。
【0004】
しかしながら、省エネモードでは、予熱状態を保つためにエンジンが稼働したり、コントローラもある程度稼動したりするので、電力を消費してしまう。また、省エネモードでは、ユーザが操作パネルに触れる等すれば、簡単に通常モード(通常待機状態)へ復帰できてしまうので、電力を消費するおそれがある。
【0005】
このようなことから、上記第1の制御方法では適切な制御を実現できるとは言い難い。
【0006】
そこで、印刷装置の使用数制御の別の一例として、その制御にあたり、個々の印刷装置の必要性を判断する方法がある(第2の制御方法)。この方法では、所定の観点を基に個々の印刷装置の必要性を判断し、必要性の高い印刷装置から順に稼動許可を与えていき、稼働を許可された印刷装置の消費電力の合計が予め定められた閾値を超えるおそれがあると判断したら、それ以外の印刷装置の使用を禁止するようにする(第2の制御方法)。
【0007】
この第2の制御方法において、個々の印刷装置の必要性を判断する観点の一例として、「印刷装置周辺のPCやスタッフの稼動状況」が挙げられる。すなわち、所定の印刷装置の周辺で稼働しているPCの台数やスタッフの人数を基に、その印刷装置の必要性を判断する方法である(稼働状況基準判断方法)。この方法では、印刷装置の周辺でPCやスタッフが多く稼動しているかどうかをリアルタイムに測定することで、その印刷装置の必要性を判断する。この方法によれば、オフィスの状況等を直ちに印刷装置の稼動状況に反映させるため、印刷装置周辺のPCやスタッフの稼動状況を正しく測定できれば、印刷装置の必要性を比較的正しく判断できると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した稼働状況基準判断方法では、PCやスタッフの稼働状況を把握するために、例えばICタグや無線通信を使ってPCやスタッフの位置をリアルタイムに測定する必要がある。つまり、位置測定のための設備(デバイスやシステム)を新たに導入することで、コストや手間がかかるといった問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、印刷装置の使用数制御において、印刷装置の必要性を判断するための設備を新たに導入する必要がなく必要性が高い印刷装置と必要性が低い印刷装置を判断でき、かつ、必要性が高い印刷装置を優先的に稼働させるとともに、必要性が低い印刷装置の消費電力を省エネモード時よりも低く抑制することができる印刷装置管理装置及び印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するために、本発明の印刷装置管理装置は、複数の印刷装置及び複数の情報処理装置と通信可能に接続され、前記複数の印刷装置の使用数を制限するために前記複数の印刷装置毎の状態を制御する印刷装置管理装置であって、所定の情報処理装置から、当該情報処理装置にて印刷の実行が指示された時刻である印刷開始時刻を含む印刷要求を受信した後で、当該情報処理装置と接続された印刷装置にてユーザ認証が行われた時刻であるユーザ認証時刻を示す情報を当該印刷装置から受信する受信手段と、前記印刷開始時刻と前記ユーザ認証時刻との差分を印刷時間として算出する算出手段と、前記印刷時間、前記印刷開始時刻、前記情報処理装置の識別情報、前記印刷装置の識別情報を対応付け、印刷時間データベースとして記録する記録手段と、前記複数の情報処理装置が稼動中であるかを調査し、その結果、稼働中である情報処理装置の識別情報を取得する調査手段と、前記印刷時間データベースの一レコード毎に、当該レコードに含まれる情報処理装置の識別情報が前記稼動中である情報処理装置の識別情報に該当するか、当該レコードに含まれる印刷開始時刻が予め定められた期間内であるか、当該レコードに含まれる印刷時間が予め定められた時間内であるかについて判断し、当該判断を全てのレコードに対して行う判断手段と、前記一レコードに対する判断の結果が全て真である場合、当該レコードに含まれる印刷装置の識別情報に対して所定のポイントを付加するようにし、前記印刷時間データベースに記録されている印刷装置の識別情報毎に、付加されたポイントの集計を行う集計手段と、予め定められた最大消費電力を超えない範囲で前記複数の印刷装置の中で前記集計の結果が多い印刷装置から順に使用を許可するように決定する一方で、使用を許可しない印刷装置に対しては、前記印刷管理装置との通信に必要な電力のみが供給される使用禁止状態にするように決定する決定手段と、前記決定手段での決定結果を基に印刷装置を制御するための通知を、前記複数の印刷装置へ送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の印刷装置は、本発明の印刷装置管理装置から送信される通知に従って、前記印刷管理装置との通信に必要な電力のみが供給される状態、又は、前記印刷管理装置との通信に必要な電力に加え、画像処理に係るエンジンを予熱状態するための電力も供給される状態に制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印刷装置の使用数制御において、印刷装置の必要性を判断するための設備を新たに導入する必要がなく必要性が高い印刷装置と必要性が低い印刷装置を判断でき、かつ、必要性が高い印刷装置を優先的に稼働させるとともに必要性が低い印刷装置の消費電力を省エネモード時よりも低く抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成及びソフトウェア構成の一例をそれぞれ示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る管理サーバがプリンタの使用禁止・許可を判断する方法の一例について説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るプリンタの状態遷移の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る管理サーバの全体動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係るPC、管理サーバ、プリンタの動作例を示すシーケンスチャートである。
【図6】本発明の一実施形態に係る管理サーバの印刷開始時刻記録処理、印刷時間情報記録処理の詳細例について説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る管理サーバのプリンタ使用禁止許可設定動作の詳細例について説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態の変形例1に係るPC、管理サーバ、プリンタの動作例を示すシーケンスチャートである。
【図9】本発明の一実施形態の変形例1に係る管理サーバのプリンタ使用禁止許可設定動作の詳細例について説明する図である。
【図10】本発明の一実施形態の変形例1に係る管理サーバのスキャン・コピー実行有無の優先度への反映処理の詳細例について説明する図である。
【図11】本発明の一実施形態の変形例2に係る管理サーバの印刷時間情報の算出例を説明する図である。
【図12】本発明の一実施形態の変形例3に係る管理サーバの全体動作の一例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の一実施形態の変形例4に係る管理サーバが決定する、各プリンタに対しての使用許可/使用禁止の状態の振り分けの一例を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態の変形例4に係るプリンタの状態遷移の一例を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態の変形例4に係る管理サーバのプリンタ使用禁止許可設定動作の詳細例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、印刷装置を「プリンタ」と表記する。よって、「プリンタ」は、印刷(プリント)処理を行う単体のプリンタを意味するだけでなく、コピー機、MFP、LP(Laser Printer)等の画像形成装置を意味してもよい。
【0015】
本実施形態は、例えばオフィスなどに存在する複数のプリンタの合計消費電力を予め定められた値以下に抑えるために、各プリンタについて使用の許可/禁止を制御することで使用数を制限する印刷装置管理サーバ(本発明の印刷装置管理装置の一例。以下、単に「管理サーバ」という)に関して、以下の特徴を有する。
【0016】
要するに、
(1)管理サーバの管理状態として、通常管理時と、低電力管理時の2つをもち、通常管理時にPCから印刷があったときに、PCの印刷開始からプリンタの認証カードリーダに当てるまでの「時間」を記録しておく。
(2)管理サーバは、低電力管理時には、オフィスで稼動している全PCについて、各PCが過去一定期間内において、一定「時間」内で印刷したことがあるPCの台数を調べ、PCの台数が多いほど、そのプリンタの近傍にPCが稼動していると推定して優先的に、かつ合計消費電力が指定値以上を超えない範囲で最大数稼動させ(使用を許可し)、それ以外のプリンタを使用禁止にする。このようにして本実施形態では、プリンタの必要性を判断するための設備を新たに導入する必要がなく、必要性が高いプリンタと必要性が低いプリンタとを判断できる。よって、設備の導入にかかるコストや手間などの削減に繋がる。
(3)複数のプリンタとしてMFPとLP(Laser Printer)が混在する場合、管理サーバは、LPとMFPを最低1台ずつ使用許可するようにする。その理由は、使用を許可されたプリンタが全てLPであると(MFPが一台も稼動しないと)、コピーやスキャンを行うことができなくなり、その一方で、使用を許可されたプリンタが全てMFPであると(LPが一台も稼働しないと)、それら全MFPがスキャンやコピーに使用された際に、PCからの印刷ができなくなるためである。
(4)管理サーバから使用禁止を通知されたプリンタは、管理サーバから送られる「使用許可通知」を受信するための通信デバイス以外の、プリンタやスキャナエンジンや、コントローラーボード本体、操作パネルなどへの電力供給は全て停止する。このようにして本実施形態では、エンジン、コントローラ、操作パネルに対する電力供給を全て停止させて消費電力を最低限まで抑制させる。これにより、省エネモード時よりも消費電力を抑えることができる(起動時はコールドスタートとなるため起動に時間がかかるが、消費電力の低減を優先させる)。また、本実施形態では、操作パネルに対する電力供給を停止させるので、ユーザが操作パネルを操作して容易に通常モードへ復帰することを防ぎ、消費電力を最低限まで抑制した状態を保つことができる。
【0017】
上記本実施形態の特徴について、以下具体例を用いて詳細に解説する。
【0018】
図1(a)は、本発明の一実施形態である管理サーバのハードウェア構成を示す図である。図1(a)に示すように、管理サーバは、コントローラ1、通信インターフェース2、HDD(Hard Disk Drive)3、バスライン4により構成される。
【0019】
コントローラ1は、管理サーバ全体の処理を制御する。コントローラ1は、その内部構成として、CPU(Central Processing Unit)10、CPU10を制御するプログラム等の固定的なデータを予め格納したROM(Read Only Memory)11、各種データを一時的に記憶するエリアを形成するRAM(Random Access Memory)12、とから構成される。
【0020】
通信インターフェース2は、コントローラ1によって制御され、管理サーバの外部装置(後述するPCやプリンタ)との通信を行う。通信インターフェース2は、例えば、イーサネット(登録商標)インターフェース、IEEE1284インターフェース、または、その他のインターフェースでも構成可能である。
【0021】
HDD3は、コントローラ1の制御により、各種データの書き込み及び読み出しが行われる。
【0022】
バスライン4は、コントローラ1と、通信インターフェース2、HDD3を電気的に接続する。なお、バスライン190には、例えば、アドレスバス、データバス等を利用することができる。
【0023】
次に、本実施形態の管理サーバが有する機能を、図1(b)を用いて説明する。図1(b)は、管理サーバのソフトウェア構成例を示す機能ブロック図である。図1(b)に示すように、管理サーバは、受信手段20、算出手段21、記録手段22、調査手段23、判断手段24、集計手段25、決定手段26、送信手段27を備える。
【0024】
受信手段20は、管理サーバと接続される複数のプリンタ及び複数のPCから、各種情報、通知を受信する。受信するものとしては、例えば、PCからの印刷要求通知、PCからの最新のプリンタ稼働状況要求、プリンタからの印刷実行通知やスキャンorコピー実行通知、プリンタからのユーザIDやカード当て時刻情報などが挙げられる(これらの通知や情報の詳細は後述する)。この受信手段20は、上述した通信インターフェース2により実現される。
【0025】
算出手段は、例えば、PC上で印刷の実行が指示された時刻(例えば、後述する印刷開始時刻)と、そのPCと接続されたプリンタにてユーザが認証カードの読み取りを行った時刻(例えば、後述するカード当て時刻)との差を、「印刷時間」として算出する。また、算出手段は、例えば、記録手段22により記録された一定期間内において印刷頻度が一定値以上である範囲に属する印刷時間を基に、判断手段24により判断される印刷時間を算出する(後述する変形例2)。この算出手段は、コントローラ1により実現される。
【0026】
記録手段22は、各種情報を対応付けてデータベースとして記録する。記録先は、管理サーバ自身であってもよいし、管理サーバと通信可能な他装置(例えばデータベースサーバ)であってもよい。記録手段22は、例えば、一時ジョブ情報データベース、印刷時間データベース、スキャンコピー実行データベース、PC使用者データベースの記録を行う(各データベースの詳細は後述する)。また、記録手段22は、プリンタの稼働状態の変化を記録しておく(後述する図4、図12の010)。また、記録手段22は、算出手段21により算出された印刷時間を時系列で記録しておく(後述する変形例2)。この記録手段22は、コントローラ1により実現される(記録先が管理サーバ自身である場合は、HDD3も含む)。
【0027】
調査手段23は、複数のPCと通信を行うことで、それら複数のPCが稼働中であるかを調査し、調査の結果、稼働中であるPCのアドレスを取得し、アドレスリストを作成する(後述する図7、図9、図15の002)。この調査手段23は、コントローラ1及び通信インターフェース2により実現される。
【0028】
判断手段24は、記録手段22による記録や、受信手段20により受信された情報・通知を基に、各種判断を行う。その詳細は後述するが、例えば、プリンタの状態判断(後述する図4、図12の001)、イベントの種類判断(後述する図4、図12の003、008)、プリンタ使用禁止許可設定動作における各判断(後述する図7、図9、図15の003〜006、010)、スキャン・コピー実行有無の優先度への反映処理における各判断(図10の001〜004)などが挙げられる。この判断手段24は、コントローラ1により実現される。
【0029】
集計手段25は、判断手段24の判断結果を基にポイント(例えば、後述するPCの台数やスコア)の集計を行う。集計の例としては、プリンタ使用禁止許可設定動作における集計(後述する図7、図9、図15の007、008)、スキャン・コピー実行有無の優先度への反映処理における集計(図10の005、006)などが挙げられる。なお、集計結果は、各プリンタの優先度(必要性)を示すものとして、後述する決定手段26により扱われる。この集計手段25は、コントローラ1により実現される。
【0030】
決定手段26は、集計手段25の集計結果を基に、予め定められた最大消費電力を超えない範囲で、各プリンタの使用を許可するか禁止するかを決定する。より具体的な処理例としては、プリンタ使用禁止許可設定動作における決定(後述する図7、図9、図15の009、011、012)が挙げられる。この決定手段26は、コントローラ1により実現される。
【0031】
送信手段27は、管理サーバと接続される複数のプリンタ及び複数のPCに対して、各種情報、通知を送信する。例えば、決定手段26での決定結果を基にプリンタを制御するための通知(制御信号)を、各プリンタに対して送信する(後述する図7、図9、図15の011、012)。この通知を受けたプリンタは、使用が許可されるならば通常管理状態又は省エネ待機状態となり、使用が禁止されるならば使用禁止状態A又はBとなる(各状態の詳細は後述する)。この送信手段27は、通信インターフェース2により実現される。また、送信手段は、決定手段26による決定結果を反映した各プリンタの最新の稼働状況を、PCに対して送信する(後述する図12の012)。
【0032】
なお、後述する管理サーバの動作の説明では、動作の主体を「管理サーバ」として記載するが、その動作は、上述した図1(a)のハードウェアと図1(b)のソフトウェアとが協働することで実現される。
【0033】
図2は、低電力管理状態のときに、管理サーバがプリンタの使用禁止・許可を判断する方法の一例について説明する図である。
【0034】
例えば、オフィス等において、図2(a)に示すように、プリンタ及びPC(情報処理装置の一例)が複数存在しているとする。図2(a)の例では、管理サーバにより制御される複数のプリンタは、1〜3の3台としている。また、図2(a)では図示していないが、管理サーバは、各PC及び各プリンタと接続され、通信可能である。
【0035】
図示しない管理サーバは、プリンタ1〜3毎に、予め各PCから収集した過去の記録(詳細は後述)に基づいて、各PCとの間に、過去一定期間内に一定時間内の印刷があったかどうかを集計する。図2(a)の例では、「あり」という記載で繋がれているPCとプリンタには、過去一定期間内に一定時間内の印刷があったことを示している。
【0036】
図2(a)の例でPCの台数を集計すると、図2(b)に示すようになる。プリンタ1が最も多く、プリンタ3が最も少ない。ここで、管理サーバは、最大消費電力が指定値(予め定められた値)を超えない範囲で、集計したPCの台数が最も多かったプリンタから優先的に使用許可して、その他のプリンタの使用を禁止する。例えば、図2(b)の例では、管理サーバは、プリンタ1、2、3の順で使用を許可する。このとき例えば、プリンタ3まで使用を許可すると最大消費電力が指定値を超えてしまい、プリンタ2までなら最大消費電力が指定値を超えない場合、管理サーバは、プリンタ1とプリンタ2の使用を許可し、プリンタ3の使用を禁止することになる。
【0037】
図3は、本実施形態のプリンタの状態遷移の一例について説明する図である。
【0038】
管理サーバによって使用を制御されるプリンタは、図3に示すように状態遷移する。プリンタは、電源Off状態のときにユーザにより主電源をOnされると、管理サーバへ問い合わせ(通信)を行う。この結果、使用禁止状態へ移行すべきであったら、プリンタは使用禁止状態へ移行し(1)、通常待機状態へ移行すべきであったら、プリンタは通常待機状態へ移行する(2)。通常待機状態の移行後一定時間印刷がないと、プリンタは省エネ待機状態となる。また、通常待機状態の移行後一定時間内に印刷が指示されると、プリンタは動作状態となる。
【0039】
ここで、電源Off状態とは、プリンタの主電源がオフされた状態を意味する。また、通常待機状態とは、通常モード又は通常管理状態ともいい、ユーザが印刷をすぐに行うことができる状態を意味する。また、省エネ待機状態とは、省エネモード又は低電力管理状態ともいい、エンジン、コントローラ、操作パネル以外への電力供給が停止された状態を意味する。また、動作状態とは、印刷が実行中である状態を意味する。また、使用禁止状態とは、省エネ待機状態のときの電力供給停止に加えて、エンジン、コントローラ、操作パネルへの電力供給も停止され、最低限の電力供給(管理サーバとの通信に必要な電力の供給)のみが行われる状態を意味する。すなわち、使用禁止状態とは、プリンタにおいて、省エネ待機状態よりもさらに消費電力が抑制された状態であり、かつ、ユーザによる操作を受け付けない状態を意味する。
【0040】
プリンタは、通常待機状態又は省エネ待機状態のときに、稼働状況の変化により管理サーバから使用禁止状態移行通知を受け取ったら、新たなジョブ(印刷、スキャン、コピー等)の受け付けを直ちに禁止し、既に受け付けているジョブは実行してしまうか、廃棄するかして、使用禁止状態へ移行する(3)、(3’)。
【0041】
プリンタは、使用禁止状態のときに、稼働状況の変化により管理サーバから通常待機状態移行通知を受け取ったら、通常待機状態へ移行する(4)。
【0042】
プリンタは、使用禁止状態又は通常待機状態のときに、ユーザにより主電源をOffされると、電源Off状態へ移行する(5)、(6)。
【0043】
図4は、本実施形態の管理サーバの全体動作の一例を示すフローチャートである。
【0044】
管理サーバは、起動すると(000)、通常管理状態又は低電力管理状態のいずれでプリンタを管理すべきか判断して(001)、必要な処理へ移行する(002又は007)。なお、初回起動時は通常管理状態へ移行する(002)。
【0045】
管理サーバは、通常管理状態でプリンタを管理する場合(001/通常管理状態)、イベント受信待ちを行う(002)。ここでは、プリンタからの印刷実行通知、PCからの印刷要求通知、プリンタからの低電力管理状態移行通知のいずれかの受信を待つことになる。管理サーバは、いずれかの通知を受信したらその種類を判断する(003)。
【0046】
PCから印刷要求通知を受信したら(003/印刷要求通知)、管理サーバは、印刷開始時刻の記録を行い(006)、再びイベント受信待ちとなる(002)。印刷開始時刻の記録については、図5、図6を用いて後述する。
【0047】
プリンタから印刷実行通知を受信したら(003/印刷実行通知)、管理サーバは、認証カード当て時刻と印刷開始時刻の差分である印刷時間情報の算出、記録を行い(005)、再びイベント受信待ちとなる(002)。印刷時間情報の算出、記録については、図5、図6を用いて後述する。
【0048】
プリンタから低電力管理状態移行通知を受信したら(003/低電力管理状態移行)、管理サーバは、低電力管理状態でのプリンタ管理に変更し(001/低電力管理状態)、イベント受信待ちを行う(007)。ここでは、プリンタからの定期見直し通知、プリンタからの稼動状態変化通知、プリンタからの通常管理状態移行通知のいずれかの受信を待つ。管理サーバは、いずれかの通知を受信したらその種類を判断する(008)。
【0049】
プリンタから定期見直し通知を受信したら(008/定期見直し)、管理サーバは、最新のPCの稼動状況を基に、使用許可・禁止するプリンタを設定するプリンタ使用禁止許可設定動作を行い(009)、再びイベント受信待ちとなる(007)。定期見直しとは、どのプリンタを使用許可/使用禁止にするかを定期的に見直すことである。定期見直しの間隔は予め定められているとする。プリンタ使用禁止許可設定動作については、図7を用いて後述する。
【0050】
プリンタから印刷装置の稼動状態変化通知(例えば、プリンタの電源オン(新規追加)、オフ(削除)、消耗品の残り量など)を受信したら(008/稼働状態変化通知)、管理サーバは、稼動状態の変化を記録する(010)。その後、管理サーバは、最新のPCの稼動状況を基に、使用許可・禁止するプリンタを設定するプリンタ使用禁止許可設定動作を行い(011)、再びイベント受信待ちとなる(007)。プリンタ使用禁止許可設定動作については、図7を用いて後述する。
【0051】
プリンタから通常管理状態移行通知を受信したら(008/通常管理状態移行)、管理サーバは、通常管理状態でのプリンタ管理に変更し(001/通常管理状態)、イベント受信待ちを行う(002)。
【0052】
ここで、図4における印刷開始時刻記録(006)及び印刷時間情報記録(005)の詳細について、図5、図6を用いて説明する。
【0053】
図5は、PC、管理サーバ、プリンタの動作例を示すシーケンスチャートである。
【0054】
PCは、ユーザから印刷実行指示を受け付けると、管理サーバに対し印刷要求通知を送信する。この印刷要求通知には、PCでユーザが印刷実行を指示した時刻(印刷開始時刻情報)などが含まれている。
【0055】
管理サーバは、印刷要求通知を受信すると、印刷開始時刻情報を取り出して記録する。
【0056】
ユーザは、上記指示した印刷をプリンタに行わせるために、プリンタに認証カードを当てる。プリンタは、この時の時刻(カード当て時刻。ユーザ認証時刻の一例)を記録する。なお、「当てる」とは、ユーザが、プリンタに備えられた認証カード読取部に対し、認証カードを接触させる、あるいは、認証カードをかざすことを意味する。
【0057】
そして、プリンタは、ユーザにより印刷実行ボタンを押下されたら、管理サーバに対し印刷実行通知を送信する。この印刷実行通知には、プリンタでユーザが認証カードを当てた時刻(カード当て時刻情報)などが含まれている。
【0058】
管理サーバは、印刷実行通知を受信すると、カード当て時刻情報を取り出し、先に記録しておいた印刷開始時刻情報との差分を算出する。すなわち、カード当て時刻−印刷開始時刻、すなわち印刷時間情報が算出される。
【0059】
管理サーバは、算出した印刷時間情報と、印刷要求通知を送信してきたPCのアドレス(識別情報の一例。例えばMACアドレス)と、その印刷要求通知に含まれていた印刷開始時刻情報と、印刷実行通知を送信してきたプリンタのID(識別情報の一例。例えばMACアドレス)とを対応付けて、データベースに記録する。
【0060】
その後、管理サーバは、PCから印刷要求とともに受信した印刷データを、プリンタへ送信する。
【0061】
プリンタは、管理サーバから受信した印刷データの印刷を実行する。
【0062】
図6は、図4の動作フローにおける印刷開始時刻記録処理、印刷時間情報記録処理の詳細について説明する図である。図6は、図5をさらに詳しく説明した内容となっている。
【0063】
〔印刷開始時刻記録処理〕
管理サーバは、PCから送られてくる印刷要求通知を受信すると、その中に含まれる印刷ジョブID及び印刷開始時刻(例えば、ユーザがPC上で印刷実行ボタンを押下した時刻)を取り出す(001)。
【0064】
管理サーバは、取り出した印刷ジョブID及び印刷開始時刻と、印刷要求通知を送ってきたPCのアドレスとを一組のレコードとして、「一時ジョブ情報データベース」に記録する(002)。
【0065】
〔印刷時間情報記録処理〕
管理サーバは、プリンタから送られてくる印刷実行通知を受信すると、その中に含まれる印刷ジョブID及びカード当て時刻(例えば、ユーザがプリンタに認証カードの読み取りを行わせた時刻)を取り出す。(011)
【0066】
管理サーバは、印刷実行通知から取り出した印刷ジョブIDと同じIDを一時ジョブ情報データベースから検索し、ヒットしたら、その印刷ジョブIDに対応付けられている印刷開始時刻を取得する(012、013)。
【0067】
管理サーバは、印刷実行通知から取り出したカード当て時刻と、一時ジョブ情報データベースから検索した印刷開始時刻との差分(印刷時間)を算出する(014)。
【0068】
管理サーバは、算出した印刷時間と、印刷要求通知を送ってきたPCのアドレス(PCアドレス)と、その印刷要求通知に含まれていた印刷開始時刻と、印刷実行通知を送ってきたプリンタのID(プリンタID)とを一組のレコードとして、「印刷時間データベース」に記録する(015)。
【0069】
図7は、図4の動作フローにおけるプリンタ使用禁止許可設定動作の詳細について説明する図である。
【0070】
管理サーバは、稼動中である全てのPCと通信を行って各PCのアドレスを取得し、取得したアドレスをまとめてアドレスリストを作成する(002)。
【0071】
次に、管理サーバは、印刷時間データベースから、1レコード分(印刷時間、PCアドレス、印刷開始時刻、プリンタID)を読み出す(003)。
【0072】
ここで、管理サーバは、読み出したPCアドレスがアドレスリストにあるか否か、すなわち、読み出したPCアドレスを持つPCが現在稼働中であるかを判断する(004)。
【0073】
読み出したPCアドレスがアドレスリストになければ、管理サーバは、そのPCは現在稼働中でないと判断し(004/No)、後述する009の処理へ移行する。一方、読み出したPCアドレスがアドレスリストにあれば、管理サーバは、そのPCは現在稼働中であると判断し(004/Yes)、後述する005の処理へ移行する。
【0074】
次に、管理サーバは、読み出した印刷時間が閾値以下であるか否かを判断する(005)。この閾値は、予め定められた値(指定値)であり、管理サーバが予め保有している、あるいは、管理サーバがこの005の判断処理の際に他の装置等から取得可能であるとする。
【0075】
読み出した印刷時間が閾値以下ではない場合(005/No)、管理サーバは、後述する009の処理へ移行する。一方、読み出した印刷時間が閾値以下である場合(005/Yes)、管理サーバは、後述する006の処理へ移行する。
【0076】
次に、管理サーバは、読み出した印刷開始時刻が過去一定期間内であるか否かを判断する(006)。この一定期間は、予め定められた値(指定値)であり、管理サーバが予め保有している、あるいは、管理サーバがこの006の判断処理の際に他の装置等から取得可能であるとする。
【0077】
読み出した印刷開始時刻が過去一定期間内ではない場合(006/No)、管理サーバは、後述する009の処理へ移行する。一方、読み出した印刷開始時刻が過去一定期間内である場合(006/Yes)、管理サーバは、後述する007の処理へ移行する。
【0078】
次に、004、005、006の判断にて全て真(Yes)ならば、管理サーバは、読み出したプリンタIDに対し、PC台数として数値「1」(ポイントの一例)を加算する(007)。
【0079】
次に、管理サーバは、読み出したPCアドレスとプリンタIDの組み合わせに関しては処理したため、印刷時間データベースにおいて、そのPCアドレスとプリンタIDを含むレコードは全て処理済にする(例えば、処理済みフラグをたてる)(008)。
【0080】
管理サーバは、上記003〜008の処理を、印刷時間データベースの全てのレコードが処理済になるまで繰り返す。このようにして、図1で説明したように、管理サーバが、稼働中のPCが接続されたプリンタ毎に、過去一定期間内に一定時間内の印刷があったPCの台数を集計することになる。
【0081】
印刷時間データベースの全てのレコードが処理済となったら、管理サーバは、稼動中のプリンタ(007を経たプリンタID)の中から消耗品(例えばトナー等)の残りが少ないプリンタを除いた中で、集計したPC台数が最も多いMFPとLPを1台ずつ使用許可する(009)。つまり、管理サーバは、スキャン及びコピー機能を持つ装置(例えばMFP)と、プリント(印刷)機能を持つ装置(例えばLP)とを少なくとも1台ずつ、使用許可するようにする。
【0082】
消耗品の残りが少ないプリンタがどれであるかは、例えば、管理サーバが、図4の010で記録しておいた消耗品の残り量(稼働状態変化通知に含まれる)が、予め定められた閾値以下であるか否かで判断する。この閾値も、管理サーバが予め保有している、あるいは、管理サーバがこの判断処理の際に他の装置等から取得可能であるとする。管理サーバは、判断の結果、記録しておいた消耗品の残り量が閾値以下である場合は、そのプリンタを消耗品の残りが少ないプリンタとして除くようにし、記録しておいた消耗品の残り量が閾値以下ではない場合は、そのプリンタを除かないようにする。なお、図4の010で記録される消耗品の残り量は、稼働状態変化通知においてプリンタIDと対応して含まれている。よって、管理サーバは、所定のプリンタから稼働状態変化通知を受信した際に、それに含まれるプリンタIDをキーとして印刷時間データベースを検索し、ヒットしたら、消耗品の残り量をレコードに追加するようにしてもよい。
【0083】
また、どのプリンタがMFPでありLPであるか(プリンタの種類)は、例えば、予めプリンタIDに含むようにしておき、009の判断の際に管理サーバが識別できるようにしてもよい。又は、プリンタIDとプリンタ種別情報を対応付けた情報を、管理サーバ自身が保有したり、あるいは、管理サーバが009の判断の際に他の装置から取得したりするようにしてもよい。
【0084】
ここで、管理サーバは、これ以上プリンタを使用許可すると、消費電力が予め定められた閾値をオーバーするか否かを判断する(010)。なお、管理サーバは、ここでの閾値及びプリンタ毎の消費電力値を、予め保有している、あるいは、この判断処理の際に他の装置等から取得可能であるとする。
【0085】
判断の結果、オーバーしない場合(010/No)、管理サーバは、稼動中のプリンタの中から消耗品の残りが少ないプリンタを除く中で、集計したPC台数が次に多いプリンタを1台使用許可する(011)。
【0086】
なお、011において、管理サーバは、それまで使用禁止状態であったプリンタを使用許可すると決定した場合には、そのプリンタに対して、通常管理状態(又は低電力管理状態)へ移行させるための通知を送信する。この通知を受けたプリンタは、通常管理状態(又は低電力管理状態)へ移行する。一方、それまでも使用が許可された状態(通常管理状態又は低電力管理状態)にあったプリンタの使用を引き続き許可すると決定した場合には、そのプリンタに対して管理サーバは、使用許可の旨の通知を送っても送らなくてもどちらでもよい。
【0087】
管理サーバは、上記010〜011を全てのプリンタ(007を経たプリンタID)に対して繰り返す。
【0088】
そして、010の判断の結果、消費電力が予め定められた閾値をオーバーする場合(010/Yes)、管理サーバは、最後に使用を許可したプリンタを含む、残りの(使用許可していない)プリンタを使用禁止状態に制御する(012)。すなわち、管理サーバは、使用禁止状態へ移行させるための通知を、該当するプリンタへ送信する。この通知を受けたプリンタは、使用禁止状態へ移行する。使用禁止状態とは、上述したように、低電力管理状態よりもさらに消費電力が抑制された状態(管理サーバとの通信に必要な電力のみが供給されている状態)であり、かつ、ユーザによる操作を受け付けない状態である。
【0089】
以上説明した本実施形態の管理サーバについて以下にまとめる。本実施形態の管理サーバは、通常管理状態時に、PCにおける印刷開始指示からプリンタにおける認証カード当てまでの「時間」を算出、記録しておく。そして、管理サーバは、低電力管理時には、そのとき稼動しているPCの中で、過去一定期間において一定「時間」内で印刷したことがあるPCが多いプリンタほど近傍に多くのPCが稼動していると推定して優先的に稼動させる。このとき管理サーバは、稼動プリンタの合計消費電力が指定値以上を超えない範囲で最大数稼動させて、それ以外のプリンタを使用禁止にする。
【0090】
よって、電力消費を抑えるために例えばオフィスなどで使用させるプリンタ(印刷装置)の数を制限する際に、プリンタ周辺に多くPCが稼動しているような必要性の高いプリンタを、特殊なシステムや技術を使うことなしに推定することができ、そのプリンタを優先的に使用許可することができる。
【0091】
また、本実施形態の管理サーバは、使用禁止にするプリンタに対し、使用禁止状態へ移行させるための通知を行う。その通知を受けたプリンタは、使用禁止状態すなわち、管理サーバからの使用許可通知が送られてくることのみを監視し、通信以外のプリンタやスキャナエンジン、通信デバイス以外のコントローラや、操作パネルなどのデバイスへの電力供給を全て遮断して、ユーザの操作の受け付けも禁止する状態(省エネ待機状態よりも消費電力が低い状態)に制御される。
【0092】
よって、使用禁止されるプリンタにおいて、管理サーバからの制御は保ちつつも、各種デバイスの待機動作やユーザ操作による無駄な起動動作による電力消費をなくして、消費電力を省エネ待機状態よりも少なくして必要最低限に抑えることができる。
【0093】
また、本実施形態の管理サーバは、複数のプリンタとしてMFPとLPが混在する場合、MFPとLPが最低1台は稼動するようにする。すなわち、管理サーバは、スキャン及びコピー機能を持つ装置(例えばMFP)と、プリント(印刷)機能を持つ装置(例えばLP)とを少なくとも1台ずつ、使用許可するようにする。
【0094】
よって、LPのみを稼動させることでスキャンやコピーが不可能になったり、又は、MFPのみを稼動させることで全MFPがスキャン・コピーに使用されてPCからの印刷が不可能になったりする、という状況を回避することができる。
【0095】
以下、上記実施形態の各変形例について、図面を参照しながら説明する。
【0096】
〈変形例1〉
上記実施形態の説明では、過去一定期間内に一定時間内の印刷を行ったPCの台数を基に各プリンタの使用優先度を算出したが、稼動中の各PCについて、過去一定期間内にスキャン・コピーを行ったかどうかの有無を加味するようにしてもよい。以下、具体的に動作を説明する。
【0097】
本変形例の動作は、上述した図4の動作と基本的に同じである。本変形例では、図4において、通常管理状態時における003以降の処理に追加がある。これについて図8を用いて説明する。
【0098】
まず、図8の一点鎖線の上側を説明する。このシーケンスは、図5の説明と同様に、PCにて印刷実行指示がなされた場合の動作である。なお、図8では、PCから管理サーバヘの印刷要求通知の送信後の動作について図示を省略しているが、図5で説明した動作と同様に行われる。すなわち、管理サーバは、印刷要求通知をPCから受信すると、印刷開始時刻情報を取り出して記録し、ユーザは、上記指示した印刷をプリンタに行わせるために、プリンタに認証カードを当てる。プリンタは、この時の時刻(認証カード当て時刻)を記録し、ユーザにより印刷実行ボタンを押下されたら、管理サーバに対し印刷実行通知を送信する。そして、管理サーバは、受信した印刷実行通知からカード当て時刻情報を取り出し、先に記録しておいた印刷開始時刻情報との差分を算出する。管理サーバは、算出した印刷時間情報と、印刷要求通知を送信してきたPCのアドレスと、その印刷要求通知に含まれていた印刷開始時刻情報と、印刷実行通知を送信してきたプリンタのIDとを対応付けて、データベース(印刷時間データベース)に記録する。
【0099】
本変形例では、上記動作(図5で説明した動作)において、次の動作が加わる。ユーザがプリンタに認証カードを当てた際、プリンタが、認証カードに格納されているユーザIDを読み取り、管理サーバヘ送信する。このユーザIDの送信は、印刷実行通知に含まれて送信されてもよいし、又は、印刷実行通知とは別に単独で送信されてもよい。
【0100】
管理サーバは、ユーザIDを受信すると、印刷要求通知を送信してきたPCのアドレスと対応付けて、データベース(PC使用者データベース。情報処理装置使用者データベースの一例)に記録する。この記録動作は、図4の005で行われる。なお、ここでは説明の便宜上、例として、印刷時間データベースとは別のPC使用者データベースにユーザIDを記録するとしたが、印刷時間データベースにおいてPCアドレスと対応付けて記録するようにしてもよい。
【0101】
次に、図8の一点鎖線の下側を説明する。このシーケンスは、プリンタにてスキャン又又はコピー実行指示がなされた場合の動作である。ユーザが、スキャン又はコピーをプリンタに行わせるために、プリンタに認証カードを当てると、プリンタは、認証カードに格納されているユーザIDを読み取るとともに、この時の時刻(認証カード当て時刻)を記録する。以降、この時刻は、スキャン又はコピーの実行が指示された時刻(又は、スキャン又はコピーが実施された時刻)として扱われる。そして、プリンタは、ユーザによりスキャン又はコピー実行ボタンが押下されたら、管理サーバに対しスキャン又はコピー実行通知を送信する。このスキャン又はコピー実行通知には、カード当て時刻情報及びユーザIDが含まれる。なお、ユーザIDは、スキャン又はコピー実行通知に含まれることなく、単独で管理サーバヘ送信されてもよい。
【0102】
管理サーバは、スキャン又はコピー実行通知を受信すると、カード当て時刻情報及びユーザIDを取り出す。そして、管理サーバは、取り出したカード当て時刻情報及びユーザIDと、スキャン又はコピー実行通知を送信してきたプリンタのIDとを対応付けて、データベース(スキャンコピー実行データベース)に記録する。この記録動作は、図4において、003で「スキャン又はコピー実行通知」であると判断された後で、005、006と並列の動作として行われる(記録終了後は002へ戻る)。なお、ここでは説明の便宜上、例として、印刷実行通知については印刷時間データベースへ記録し、スキャン又はコピー実行通知についてはスキャンコピー実行データベースへ別々に記録する構成としたが、2つのデータベースを統合してもよい。その場合、一のレコードにおいて、印刷であるか、スキャン又はコピーであるかを区別する必要がある。
【0103】
以上のように、本変形例の管理サーバは、印刷だけでなく、スキャンやコピーについても実行記録をとった上で、低電力管理状態時に、プリンタ使用禁止許可設定動作を行うことになる。これについて図9を用いて説明する。
【0104】
図9のフローは、上述した図7のフローと基本的に同じである。図9では、007、009、011において、使用する優先順位が決まる値として「スコア」を用いている点と、008と009の間に「スキャン・コピー実行有無の優先度への反映処理」が追加されている点とが、図7と異なる。「優先度」とは、優先的に使用を許可する度合いのことであり、「必要性」と同義である。優先度が高いプリンタほど、優先的に使用を許可される(使用禁止状態にならない)ことになる。
【0105】
本変形例で用いる「スコア」とは、プリンタ毎に、当該プリンタにて過去一定期間内に一定時間内の印刷を行ったPCの台数に加え、当該プリンタにて過去一定期間内にスキャン又はコピーを行ったユーザが使用しているPCの台数も加算可能な数値である。例えば、あるユーザが過去一定期間内において、自分のPCとプリンタ1を用いて一定時間内の印刷を行った後で、プリンタ1にてコピーを行った場合、そのユーザが使用しているPCは同じ一台であるが、印刷とコピーとで分けて集計されることになる。スコアの集計にあたっては、図9に示すように、最初に、プリンタ毎に、当該プリンタにて過去一定期間内に一定時間内の印刷を行ったPCの台数が集計される(007〜008)。その後、スキャン・コピー実行有無の優先度への反映処理において(013)、007〜008の集計結果に対して、プリンタ毎に、当該プリンタにて過去一定期間内にスキャン又はコピーを行ったユーザが使用しているPCの台数が加算され、集計される。図10を用いて013の詳細な例を説明する。
【0106】
管理サーバは、スキャンコピー実行データベースから、未処理のレコード(プリンタID、カード当て時刻情報、ユーザID)を1つ読み出す(001)。
【0107】
管理サーバは、読み出したユーザIDをキーに、PC使用者データベースを検索し、ヒットしたら、そのユーザIDに対応付けられているPCアドレスを取得する(002)。
【0108】
ここで、管理サーバは、読み出したPCアドレスがアドレスリスト(図9の002で作成)にあるか否か、すなわち、取得したPCアドレスを持つPCが現在稼働中であるかを判断する(003)。
【0109】
取得したPCアドレスがアドレスリストになければ、管理サーバは、そのPCは現在稼働中でないと判断し(003/No)、スキャンコピー実行データベースにおける全てのレコードの処理が終わるまで001へ戻る(全てのレコードの処理が終わった場合は、一連の処理を終了し、図9の009へ移行する)。一方、読み出したPCアドレスがアドレスリストにあれば、管理サーバは、そのPCは現在稼働中であると判断し(003/Yes)、後述する004の処理へ移行する。
【0110】
次に、管理サーバは、読み出したカード当て時刻情報が示す時刻(スキャン・コピーの実施時刻として捉える)が過去一定期間内であるか否かを判断する(004)。この一定期間は、予め定められた値(指定値)であり、管理サーバが予め保有している、あるいは、管理サーバがこの004の判断処理の際に他の装置等から取得可能であるとする。
【0111】
読み出したカード当て時刻が過去一定期間内ではない場合(004/No)、管理サーバは、スキャンコピー実行データベースにおける全てのレコードの処理が終わるまで001へ戻る(全てのレコードの処理が終わった場合は、一連の処理を終了し、図9の009へ移行する)。一方、読み出したカード当て時刻が過去一定期間内である場合(004/Yes)、管理サーバは、後述する005の処理へ移行する。
【0112】
次に、003、004の判断にて全て真(Yes)ならば、管理サーバは、読み出したプリンタIDと同じIDのスコア(007〜008で集計したスコア)に対し、数値「1」(ポイントの一例)を加算する(005)。
【0113】
次に、管理サーバは、このユーザIDとプリンタIDの組み合わせに関しては処理したため、スキャンコピー実行データベースにおいて、そのユーザIDとプリンタIDを含むレコードは全て処理済にする(例えば、処理済みフラグをたてる)(006)。
【0114】
管理サーバは、上記001〜006の処理を、スキャンコピー実行データベースの全てのレコードが処理済になるまで繰り返す。このようにして管理サーバは上述したスコアを集計することになる。
【0115】
このようにして集計されたスコアを用いて、管理サーバは、図9の009、011において、使用許可するプリンタを決定する。このとき、スコアが最も多いプリンタから優先して使用を許可される。
【0116】
以上のように本変形例によれば、あるプリンタの周辺の稼働状況の把握にあたり、印刷の有無だけでなく、スキャンやコピーの有無も集計の対象とすることで、そのプリンタの必要性が高いか低いかをより精度良く判断することができる。
【0117】
〈変形例2〉
上記実施形態では、過去一定期間内に一定時間内の印刷を行ったPCの台数から、各プリンタの優先度を算出したが、より正確な推定のために、過去一定期間の印刷頻度を基にPCにおける印刷要求からプリンタにおけるカード認証(カード当て)までの時間(上述した印刷時間)を算出して、その時間以内のPCの台数を求めてもよい。
【0118】
管理サーバは、例えば図11に示すように、月毎に、算出した印刷時間のログ(記録)をとっておく。そして、管理サーバは、そのログから、過去一定期間以内の印刷頻度が一定値以上の時間帯を特定し、その時間帯から以下の(a)、(b)、(c)の方法を用いて、採用する印刷時間を算出する。なお、解析するログについては、最新のものを対象とするようにする(図11の例では9月〜2月程度としている)。
(a)特定した時間帯の中で最大の印刷時間を求める。
(b)特定した時間帯における印刷時間の平均値を求める。
(c)特定した時間帯の中で最小の印刷時間を求める。
【0119】
また、印刷頻度が一定値以上の時間帯が複数ある場合、管理サーバは、それらの時間帯の単純平均を計算したり、頻度と時間の期待値を計算したりして、印刷時間を求める。
【0120】
以上のようにして本変形例で算出された印刷時間情報(PCからプリンタまでの時間)は、図7、図9の005において閾値と比較・判断される。
【0121】
以上のように本変形例によれば、算出した印刷時間のログにおいて印刷頻度が一定値以上の時間帯を基に、採用する印刷時間を算出し、その印刷時間内のPCの台数を集計することで、そのプリンタの必要性が高いか低いかをより精度良く判断することができる。
【0122】
〈変形例3〉
ユーザは、管理サーバにより使用許可されているプリンタ、使用禁止にされているプリンタはどれであるのかを知りたい場合がある。そこで、管理サーバは、「プリンタの最新の稼働状況」について、ユーザに通知するようにしてもよい。
【0123】
本変形例の動作を図12に示す。図12は、図4のフローと基本的に同じである。008においてイベント種類が「稼働状況要求」である場合がある点と、012の「最新稼働状況をユーザに通知」の処理が追加されている点が、図4と異なる。
【0124】
すなわち図12に示すように、管理サーバは、009や011にてプリンタ使用禁止許可設定動作を行った後で、最新の稼動状況(管理サーバにより使用許可されているプリンタがどれで、使用禁止にされているプリンタはどれであるのか)を、例えばユーザのPCに送信する(012)。また、図12に示すように、管理サーバは、008において、例えばユーザのPCから稼働状況要求を受信したと判断した場合(008/稼働状況要求)、最新の稼動状況を要求元のPCへ通知する(012)。
【0125】
以上のように本変形例によれば、プリンタ使用禁止許可設定動作の後で、プリンタの最新の稼働状況がユーザに通知されるので、ユーザは、どのプリンタが使用許可・使用禁止となっているのかを把握することできる。また、ユーザは、プリンタの最新の稼働状況を知りたいときに管理サーバヘ要求すれば、管理サーバからプリンタの最新の稼働状況を取得することができる。
【0126】
〈変形例4〉
上記実施形態では、プリンタの使用禁止状態を、管理サーバからの使用許可通知を受信するのに必要なデバイス以外は全て電力を遮断する状態としたが、その使用禁止状態を2種類用意することで、使用禁止から使用許可(通常管理状態)に遷移するときの起動時間を短縮するようにしてもよい。
【0127】
例えば、以下の2種類を用意する。
・使用禁止状態A→通信以外の全ての電力の供給が禁止された状態。
・使用禁止状態B→使用禁止だが、プリンタ・スキャナエンジンは予熱待機状態とし、そのための電力は供給する。すなわち、通信に必要な電力、及び、エンジンの予熱に必要な電力のみが供給された状態。
【0128】
管理サーバは、図7及び図9で説明したようにプリンタを使用禁止状態にする際に、図13に示すように、優先度(例えばPCの台数、スコア)が比較的高いプリンタは、今後使用許可される可能性が高いとして使用禁止状態Bにし、優先度が低いプリンタは、使用禁止状態Aにするという制御を行うようにしてもよい。また、管理サーバは、プリンタ使用禁止許可設定動作の実行間隔(定期見直し)が短く設定されている場合は、すぐに使用許可される可能性が高いとして、使用禁止状態Bの台数を増やし、実行間隔が長い場合は逆に使用禁止状態Bの台数を減らす、という制御を行うようにしてもよい(図13参照)。
【0129】
ここで、使用禁止状態A、Bの2種類用意した場合における、プリンタの状態遷移例について図14に示す。
【0130】
管理サーバによって使用を制御されるプリンタは、図14に示すように状態遷移する。プリンタは、電源Off状態のときにユーザにより主電源をOnされると、管理サーバへ問い合わせ(通信)を行う。この結果、使用禁止状態Aへ移行すべきであったら、プリンタは使用禁止状態Aへ移行し(1)、通常待機状態へ移行すべきであったら、プリンタは通常待機状態へ移行し(2)、使用禁止状態Bへ移行すべきであったら、プリンタは使用禁止状態Bへ移行する(1B)。通常待機状態の移行後一定時間印刷がないと、プリンタは省エネ待機状態となる。また、通常待機状態の移行後一定時間内に印刷が指示されると、プリンタは動作状態となる。
【0131】
プリンタは、使用禁止状態Aのときに、稼働状況の変化により管理サーバから通常待機状態移行通知を受け取ったら、通常待機状態へ移行する(4)。また、プリンタは、使用禁止状態A又は通常待機状態のときに、ユーザにより主電源をOffされると、電源Off状態へ移行する(5)、(6)。
【0132】
プリンタは、通常待機状態や省エネ待機状態のときに、管理サーバから使用禁止状態B移行通知が来たら、使用禁止状態Bに移行する(3B)、(3’B)。
【0133】
プリンタは、使用禁止状態Bのときに、管理サーバから使用許可通知を受け取ったら、通常待機状態へ復帰する(4B)。
【0134】
プリンタは、使用禁止状態Bのときに、ユーザにより主電源をOffされると、電源Off状態へ移行する(5B)。
【0135】
次に、本変形例における管理サーバのプリンタ使用禁止許可設定動作について、図15を参照して説明する。
【0136】
図15のフローは、図7のフローと基本的に同様である。012の処理内容と、012の後に014の処理が追加されている点とが、図7と異なる。すなわち、管理サーバは、009にてこれ以上プリンタを使用許可すると消費電力がオーバーになると判断した場合において(009/Yes)、予め定められた定期見直しの間隔を基に、使用禁止状態A、Bにする台数をそれぞれ決定する(012)。ここでは、例えば図13に示すように、2台だけ使用禁止状態Bにし、その他は使用禁止状態Aとするように決定される。
【0137】
管理サーバは、使用禁止にするプリンタのうち、優先度の高いものから011で決定した数だけ使用禁止状態Bにし、残りのものは使用禁止状態Aにする。例えば、使用禁止にするプリンタがプリンタ5〜nある場合、優先度の高いプリンタ5、6の2台を使用禁止状態Bにし、プリンタ7〜nは使用禁止状態Aにする。管理サーバは、各プリンタに対し、使用禁止状態A又はBへ移行するように通知を送信する(014)。この通知を受けた各プリンタは、通知された状態(使用禁止状態A又はB)に制御される。
【0138】
なお、上記説明では、図15の012〜014を図7の012の代わりに適用した例について説明したが、図9の012の代わりに適用してもよい。
【0139】
以上のように、本変形例によれば、供給電力の異なる使用禁止状態を2種類用意することで、使用禁止されたプリンタでも優先度の高いものについては、通信に必要な電力及びエンジンの予熱に必要な電力のみが供給された状態使用禁止状態Bに制御することで、使用禁止から使用許可(通常管理状態)に遷移するときの起動時間を短縮することができる。
【0140】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、上記記載に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。変形例同士を任意に組み合わせることも可能である。
【0141】
例えば、上述した実施形態における動作は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成によって実行することも可能である。
【0142】
ソフトウェアによる処理を実行する場合には、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ内のメモリにインストールして実行させてもよい。あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させてもよい。
【0143】
例えば、プログラムは、記録媒体としてのハードディスクやROM(Read Only Memory)に予め記録しておくことが可能である。あるいは、プログラムは、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto Optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的、あるいは、永続的に格納(記録)しておくことが可能である。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することが可能である。
【0144】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体からコンピュータにインストールする他、ダウンロードサイトから、コンピュータに無線転送してもよい。または、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送してもよい。コンピュータでは、転送されてきたプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることが可能である。
【0145】
また、上記実施形態で説明した処理動作に従って時系列的に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力、あるいは、必要に応じて並列的にあるいは個別に実行するように構築することも可能である。
【符号の説明】
【0146】
1 コントローラ
2 通信インターフェース
3 HDD
4 バスライン
10 CPU
11 ROM
12 RAM
20 受信手段
21 算出手段
22 記録手段
23 調査手段
24 判断手段
25 集計手段
26 決定手段
27 送信手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0147】
【特許文献1】特開2009−065408号公報
【特許文献2】特許第3512016号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷装置及び複数の情報処理装置と通信可能に接続され、前記複数の印刷装置の使用数を制限するために前記複数の印刷装置毎の状態を制御する印刷装置管理装置であって、
所定の情報処理装置から、当該情報処理装置にて印刷の実行が指示された時刻である印刷開始時刻を含む印刷要求を受信した後で、当該情報処理装置と接続された印刷装置にてユーザ認証が行われた時刻であるユーザ認証時刻を示す情報を当該印刷装置から受信する受信手段と、
前記印刷開始時刻と前記ユーザ認証時刻との差分を印刷時間として算出する算出手段と、
前記印刷時間、前記印刷開始時刻、前記情報処理装置の識別情報、前記印刷装置の識別情報を対応付け、印刷時間データベースとして記録する記録手段と、
前記複数の情報処理装置が稼動中であるかを調査し、その結果、稼働中である情報処理装置の識別情報を取得する調査手段と、
前記印刷時間データベースの一レコード毎に、当該レコードに含まれる情報処理装置の識別情報が前記稼動中である情報処理装置の識別情報に該当するか、当該レコードに含まれる印刷開始時刻が予め定められた期間内であるか、当該レコードに含まれる印刷時間が予め定められた時間内であるかについて判断し、当該判断を全てのレコードに対して行う判断手段と、
前記一レコードに対する判断の結果が全て真である場合、当該レコードに含まれる印刷装置の識別情報に対して所定のポイントを付加するようにし、前記印刷時間データベースに記録されている印刷装置の識別情報毎に、付加されたポイントの集計を行う集計手段と、
予め定められた最大消費電力を超えない範囲で前記複数の印刷装置の中で前記集計の結果が多い印刷装置から順に使用を許可するように決定する一方で、使用を許可しない印刷装置に対しては、前記印刷管理装置との通信に必要な電力のみが供給される使用禁止状態にするように決定する決定手段と、
前記決定手段での決定結果を基に印刷装置を制御するための通知を、前記複数の印刷装置へ送信する送信手段と、
を有することを特徴とする印刷装置管理装置。
【請求項2】
前記決定手段は、
使用を許可する印刷装置を決定する際、スキャン及びコピー機能を持つ装置と、印刷機能を持つ装置とを少なくとも1台ずつ含むように決定することを特徴とする請求項1記載の印刷装置管理装置。
【請求項3】
前記記録手段は、
前記受信手段が、前記印刷要求を受信した後で、前記ユーザ認証を行ったユーザの識別情報を受信した場合、当該印刷要求を送信してきた情報処理装置の識別情報と、前記ユーザの識別情報とを対応付け、情報処理装置使用者データベースとして記録し、
前記受信手段が、所定の印刷装置から、当該印刷装置にてスキャン又はコピーの実施時にユーザ認証が行われた時刻であるユーザ認証時刻を示す情報と、当該ユーザ認証を行ったユーザの識別情報とを受信した場合、当該印刷装置の識別情報、前記ユーザ認証時刻、前記識別情報を対応付け、スキャンコピー実行データベースとして記録し、
前記判断手段は、
前記スキャンコピー実行データベースの一レコード毎に、当該レコードに含まれるユーザの識別情報に該当する情報処理装置の識別情報を前記情報処理装置使用者データベースから検索し、当該検索した情報処理装置の識別情報が前記稼動中である情報処理装置の識別情報に該当するか、当該レコードに含まれるユーザ認証時刻が予め定められた期間内であるかについて判断し、当該判断を全てのレコードに対して行い、
前記集計手段は、
前記一レコードに対する判断の結果が全て真である場合、当該レコードに含まれる印刷装置の識別情報に対して所定のポイントを付加するようにし、前記スキャンコピー実行データベースに記録されている印刷装置の識別情報毎に、付加されたポイントを集計し、さらにその集計結果を、予め前記印刷時間データベースの記録を基に行った集計結果と前記印刷装置の識別情報毎に統合することを特徴とする請求項1又は2記載の印刷装置管理装置。
【請求項4】
前記記録手段は、
前記算出手段により算出された印刷時間を時系列で記録しておき、
前記算出手段は、
前記記録手段により記録された一定期間内において印刷頻度が一定値以上である範囲に属する印刷時間を基に、前記判断手段により判断される印刷時間を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の印刷装置管理装置。
【請求項5】
前記送信手段は、
前記決定手段により決定された前記複数の印刷装置のうちどれが使用許可されているかを示す最新の稼働状況の情報を、前記決定手段による決定が行われた後で動的に情報処理装置へ送信する、又は、情報処理装置から要求があった際に当該情報処理装置へ送信することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷装置管理装置。
【請求項6】
前記決定手段は、
使用を許可しない印刷装置に対して、前記印刷管理装置との通信に必要な電力のみが供給される使用禁止状態とは別の、前記印刷管理装置との通信に必要な電力に加え、画像処理に係るエンジンを予熱状態するための電力も供給されるもう一つの使用禁止状態にするように決定でき、
前記使用を許可しない印刷装置のうち前記集計の結果が多い印刷装置から順に予め定められた数だけ前記もう一つの使用禁止状態にし、残りの印刷装置については前記使用禁止状態にするように決定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷装置管理装置。
【請求項7】
前記調査手段、前記判断手段、前記集計手段、前記決定手段による各動作は、予め定められた間隔で行われるように設定されており、
前記決定手段は、
前記使用禁止状態及び前記もう一つの使用禁止状態にする印刷装置の数を、前記間隔を基に予め決定することを特徴とする請求項6記載の印刷装置管理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の印刷装置管理装置から送信される通知に従って、前記印刷管理装置との通信に必要な電力のみが供給される状態、又は、前記印刷管理装置との通信に必要な電力に加え、画像処理に係るエンジンを予熱状態するための電力も供給される状態に制御されることを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−16084(P2013−16084A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149537(P2011−149537)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】