印刷装置
【課題】
サーマル印刷装置の休止率を低減し、また、印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンとの比較照合する計算を単純化することにより、処理能力の高いCPUを用いず、安価にして印刷異常を検知する。
【解決手段】
搬送路上を搬送される媒体に印刷する印刷部と、媒体に印刷されたコードを画像データとして入力する画像入力部と、画像データから印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンを作成する画像処理部と、作成されたそれぞれの図形パターンを比較照合し、印刷の良否判定を行う画像比較部と、を有し、印刷直後に印刷内容を画像データとして取得し、コードを生成する必須部分について印刷異常有無を検知するように構成する。
サーマル印刷装置の休止率を低減し、また、印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンとの比較照合する計算を単純化することにより、処理能力の高いCPUを用いず、安価にして印刷異常を検知する。
【解決手段】
搬送路上を搬送される媒体に印刷する印刷部と、媒体に印刷されたコードを画像データとして入力する画像入力部と、画像データから印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンを作成する画像処理部と、作成されたそれぞれの図形パターンを比較照合し、印刷の良否判定を行う画像比較部と、を有し、印刷直後に印刷内容を画像データとして取得し、コードを生成する必須部分について印刷異常有無を検知するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置に係り、特にサーマル印刷装置の休止率を低減できる印刷アラーム検知に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷装置において、印刷されたバーコードや2次元コード、文字コード等の不良印刷物の検出することが行なわれる。例えば、特許文献1(特開2003−305927公報)には、不良印刷物を検出して、それを排除して高品質な印刷が行なえるプリンタ検査装置が開示されている。
【0003】
不良印刷物の検出は、例えば、印刷面全体をカメラやラインセンサを用いて画像データとして入力する。数字、ひらがな、カタカナ、英語、漢字などは、得られた画像データから文字認識により、文字コードへ変換する。1次元、2次元コードでは、コード自体の認識処理により、通常の文字コードへ変換する。画像データから変換された文字コードと印刷すべき文字コードとの比較照合を行い印刷の良否判定を行う。文字コードへ変換するために、文字認識やコード自体の認識処理といった非常に複雑な処理を行っている。また、処理時間改善のため、簡易的に不良印刷物の検知を一部の基準テストパタンデータと比較し、印刷の適切さをチェックすることで画素抜けなどを検知している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−305927公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来技術によれば、文字コードへ変換するために、文字認識やコード自体の認識処理といった非常に複雑な処理を行うため、処理能力の高いCPUを使用する必要が生じる。しかし、処理能力の高いCPUを使用すれば、処理速度は速くなるが、返って高価な装置となってしまう。一方、処理能力の低いCPUを使用すれば、処理速度が低下してしまい高速印刷に対応できなくなってしまう。
【0006】
また、2次元コード(QRコード)を文字コードに変換していることから、認識処理を行っていると考えられる。そのことにより、QRコードが有する誤り訂正機能によりコードの一部に汚れや破損(ドット抜け等)があった場合においてもデータの復元がされているため、正確な良否判定が行われないことがある。データの復元は8ビット単位で、最大レベルで約30%が訂正可能である。印刷されたコードをデコード変換した文字コードと印刷すべき文字コードとを比較照合を行った場合に、良判定であったとしても誤り訂正機能のため、印刷されたコードに汚れや破損がある可能性があり、それを検出することは困難である。そのため、通常の印刷物を扱うプリンタであれば汚れや破損に対しては大きな問題とはならないが、換金を行うくじ券(ナンバーズ、競馬、競艇、競輪等)を印刷する場合には、印刷されたくじ券についた汚れや破損をプリンタ側で検出できなければ、その券はそのまま流通してしまう。その結果、くじ券の読取り装置で読取られた結果に誤読が生じてしまう恐れがあり、非常に大きな問題となる。
【0007】
従来、通常印刷物に対し印刷の良否判定を行っているため、印刷物前面をラインセンサにより画像データを取得しているが、換金を行うくじ券では、くじ券面上には購入したときの販売店、開催場や当り予想番号などの文字とその情報をコード化したバーコードやQRコード等が印刷されている。しかし、それらくじ券の文字部分は人が見てすぐに情報を読取れる文字部分は補助的なものであり。運用において最も重要な部分は、バーコードやQRコードの部分である。その部分を窓口機や自動機などの読取り装置に読取らせ、くじ券面上の情報を使用し当せん照合を行うためバーコードやQRコード部分の印刷品質の良否確認が必要となるため、印刷面全体ではなくバーコードやQRコード部分のみに重点を置くことにより、全体の処理速度の向上及びラインセンサの小型化により装置の大きさ並びに低価格化をすることが可能である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、サーマル印刷装置の休止率を低減できる印刷異常検知技術を提供することにある。
本発明のより具体的な目的は、印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンとの比較照合する計算を単純化することにより、処理能力の高いCPUを用いず、安価にして印刷異常を検知することができる印刷装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、搬送路上を搬送される媒体に印刷する印刷部と、媒体に印刷されたコードを画像データとして入力する画像入力部と、画像データから印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンを作成する画像処理部と、作成されたそれぞれの図形パターンを比較照合し、印刷の良否判定を行う画像比較部と、を有し、印刷直後に印刷内容を画像データとして取得し、コードを生成する必須部分について印刷異常有無を検知するように構成した印刷装置である。
好ましい例では、サーマル式の印刷装置において、上記印刷内容は2次元コードと含み、2次元コードの誤り訂正レベルによって異常印刷と判定する判定レベルを変化させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サーマル印刷装置の休止率を低減できる。また、印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンとの単純な比較照合することにより、計算方法が単純であるため処理能力の高いCPUを用いなくても、印刷異常の検知処理を行うことができるので、安価な装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、一実施形態について説明する。
本実施例では、印刷面全体の画像データを入力するのではなく、印刷された券面の情報を含むコード部分に絞り、ラインセンサにより画像データを取得する。このとき、コードを文字コードに変換する認識処理を行い印刷すべき文字コードと比較照合を行うのではなく、印刷したコードの黒画素数と白画素数を対象にした簡単な図形パターンと、印刷すべき黒画素数と白画素数の簡単な図形パターンとの比較照合を行い印刷の良否判定を行う。
【0012】
図1に示すように、得られた画像データから白画素の部分を“0”、黒画素の部分を“1”とし印刷されたコードの図形パターンを作成する。また、画像データを直接図形パターンにするのではなく、図2に示すように、黒画素数の累積を計算した射影の図形パターンを作成する。これらの方法により印刷されたコードの図形パターンの作成を行う。次にプリンタは印刷すべきコードの印刷データを持っているため、その印刷データから図形パターンの作成を行う。これらの印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンとを比較照合し、図形パターンが一致しているか否かを判断する。全てが一致していれば問題なく正常に印刷が行えたと判断される。
【0013】
一方、もし一致していない個所があれば、その部分は正常に印刷が行えていないと判断されて、印刷不良の対象となる。印刷されたコードを文字コードに変換し認識処理を行う場合には、コードの汚れ、破損やドット抜けがあった場合には、誤り訂正機能によりそれらを検出することは困難である。しかし、簡単な図形パターンにより比較照合を行うことにより、検出が可能となる。このことにより印刷品質を確保するとともに、コード自体の複雑な認識処理を行うよりも非常に簡単な処理のみで印刷の良否判定を行うことができるため、処理能力の低いCPUでも十分に処理を行うことができ安価な装置を実現できる。また、印刷面全体の処理を行っていないことから、処理時間の高速化を図ることができる。また、印刷品質に異常があると判断された場合には、エラー警告を表示する。
【0014】
次に、図3に示す印刷装置の構成について説明する。
31は、装置の各部を制御する制御部、32はくじ券等の印刷物の搬送を行う搬送部、33は印刷媒体に感熱式の印刷を施す印刷部、34は印刷物に印刷されたコードを画像データとして入力する画像入力部、35は画像データから印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンを作成する画像処理部、36は、作成されたそれぞれの図形パターンを比較照合し、印刷の良否判定を行う画像比較部、である。
【0015】
図3に示すように、印刷部33は、搬送路32上に配置されたプラテンローラ41、サーマル印字ヘッド42、サーマル印字ヘッド42による印刷直後に印刷物を画像データとして入力するラインセンサ43を有して構成される。
【0016】
次に、図5のフローチャートを参照して印刷処理動作について説明する。
サーマル印字ヘッド42により印刷物にコードを印刷すると(502)、印刷された印刷されたコードは画像データとしてラインセンサ43で読取られて、取得される(503)。ラインセンサ43に読取られる範囲は、図6の範囲Aであり、この範囲A内にコード部分Bが含まれる。
【0017】
取得された画像データは、所定のしきい値により2値化処理され(504)、白黒の画像データとされる。その後、図6のコード部分Bが切出し処理される(505)。
切出された画像Bに対してスキューしているか判断し(506)、スキューと判断された場合、上下のスキュー量の検出を行う(507)。この処理によりコード部分の左上端と右上端の位置を検出する。その検出された画素分だけ上下方向にスキューをしていることがわかる。
【0018】
次に、コードを等分に分割しスキュー補正を行う(509)。得られたコード部分をスキュー量検出画素数+1画素分で縦に等分割を行う。固定位置を決めその隣の部分から1画素ずつずらしていくことによりスキュー補正を行う。
【0019】
図7に示すように、例えばコード部分の左上端が右上端に比べ3画素分下がっていた場合は、コード部分を3画素+1画素分で縦に4等分に分割する。その後左部分を固定とした場合には、左から2番目の分割部分を1画素分下にずらす。同様に3、4番目の分割部分は2、3画素分を下にずらすことにより上端の位置を整えスキュー補正を行う。
【0020】
スキュー補正の処理が終了した場合、又はスキューしていない場合は、左右・上下の1セルの平均サイズを検出する(508)。セル単位で比較照合を行うため、得られた画像データから1セル分の上下・左右のサイズを取得する。QRコードでは上下・左右のセル数が決まっているためそのセル数を使用し、得られた画像データの左右方向の画素数をカウントすることにより左右方向全体のサイズが検出できる。その左右全体の画素数をセル数で割ることにより1セル分の左右方向のサイズを取得する。同様に上下方向に対しても行い、上下方向の1セル分のサイズを取得する。
【0021】
次に、画像データから白黒画素の変化点を検出する(510)。白の部分を“0”、黒の部分を“1”とした場合にそれぞれ横方向に得られた画像データから1、2行目に対しxorの計算を行う。そのことにより1、2行目で変化していない部分は“0”となり、変化している部分では“1”となる。同様に2、3行目と繰り返し処理を行う。このことにより変化している行と行との間では“1”の数が多くなることでそれぞれのセルごとの行変化点を検出することができる。このとき、変化点の間隔が1セル分でない場合は(511)、1セルのサイズと変化点の関係から中心となる点を検出する(513)。
【0022】
次に、黒白セルの連続している個数をカウントする(512)。安定した場所で連続性をカウントすることで1セルあたりの左右方向のサイズがわかっているため、その値で割ることにより何個分のセルが連続しているかがわかりることから、1セルごとの図形パターンの作成を行う(514)。同様に処理を繰り返して行っていくことにより、印刷されたコードの図形パターンの生成を行う。また、この処理は印刷されたコードだけではなく、印刷するコードも同様に行うことにより(501)、比較照合するための図形パターンを作成する。
【0023】
次に、上記の処理により得られた2種類の図形パターンを比較照合して、一致しているか確認する(515)。印刷されたコードの図形パターンと印刷するコードの図形パターンを比較することで印刷の良否判定を行う。一致していなければ、印刷されたコードに汚れや破損等が生じ、正常に印刷が行えていないと考えられることから、エラー警告を行う(517)。全てが一致していれば、印刷されたコードには汚れや破損が無いこととなり、正常終了する(518)。
このとき運用上でマージンを持たせてある場合には、その不一致率を誤り訂正機能の範囲内で設定することにより、ある程度融通の利く装置が実現できる。
【0024】
以上の方法により、従来の技術に比べ比較的簡単な処理で印刷の良否判断を行い、印刷品質の確保を行うことが可能である。また、上記の方法の図形パターンの比較だけでなく黒画素の累積により良否判断を行うことも可能である。以下にその方法を示す。
【0025】
図8は印刷すべきコードの黒画素部分の累積した図形パターンである。同様に、図9のように黒画素部分を累積した図形パターンを作成する。図形パターンを作成する際にスキューを検出した場合には、図10のように、左右方向に移動して前者のスキュー補正を行い、射影した図形パターンを作成する。
【0026】
図11、図12、図13はドット抜け印刷、汚れのあるコード、破損のあるコードの射影した図形パターンである。
印刷すべきコードの黒画素数の射影パターンは、印刷コード情報のため横方向のずれることはない。また、黒画素と白画素の境界部分がはっきりしているため、射影パターンのエッジは鮮明である。しかし、印刷されたコードをラインセンサにより画像データとした場合には、センサの光量や、スキュー等の影響により、黒画素と白画素の境界部分がはっきりしないことや、横方向のずれが生じてしまう。
【0027】
そのため、射影パターンを比較した場合に画素数の不一致部分が1セル分以下(任意)の場合には、印刷すべきコードと印刷されたコードが一致していると考え、印刷品質が確保されていると判断する。印刷されたコードに汚れがある場合に、コード自体の認識を行うとコードの訂正機能により、正常に認識を行うことができる。しかし、印刷されたコードの射影パターンを作成すると、コードの汚れた部分の黒画素数が増加することにより、印刷すべきコードの射影パターンと比較した場合には、不一致の部分が生じる。その不一致の部分が1セル以上の場合には印刷品質の異常として検知することが可能となる。同様に印刷されたコードに破損がある場合もコード自体の認識処理を行うと正常に認識してしまう。しかし、印刷すべきコードの射影パターンと、印刷されたコードの射影パターンを比較した場合、汚れとは逆に、コードが破損している部分の黒画素数が減少するため、不一致の部分が生じるため、印刷品質の異常を検知することが可能となる。
【0028】
以上説明したように、本実施例によれば、印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンとの比較照合することにより、認識処理を行なわないので誤り訂正機能を有するコード等においても有効に利用することができる。
【0029】
また、誤り訂正機能を有するQRコードに対しては、コードの図形パターンを比較照合することから汚れや破損がどの部分に発生しているかがわかる。その訂正が可能な範囲内でQRコードの形成率を制御することが可能となる。このことによりサーマル印字ヘッドにドット抜けが生じた場合その状態を警告するとともに、運用上問題がない程度であればそのまま発券を継続することができる。運用ができないような場合であれば、その時点で使用を停止することができる。
【0030】
また、2次元コードでは、コード印刷時に誤り訂正レベルを設定している。このレベルに応じて判定基準を変更することにより、コードや印刷されたコードを読み取るリ−ダで読み取れるレベルの印刷異常の場合には、印刷装置のアラームを検知する。これにより印刷異常で装置を止めない運用とすることで、休止率を低減することができる。印刷されたコードを読み取る装置や、コードの読取性能に合わせて印刷時の異常検出レベルを変えることにより、休止率を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一実施形態における図形パターンの作成を説明するための図、
【図2】一実施形態における射影の図形パターンの作成を説明するための図、
【図3】一実施形態における印刷装置の構成を示す図、
【図4】一実施形態における印刷部33を示す図、
【図5】一実施形態における印刷処理動作を示すフローチャート、
【図6】一実施形態における読取り範囲を示す図、
【図7】一実施形態におけるスキューの補正処理を説明するための図、
【図8】一実施形態における印刷コードと射影の図形パターンの関係を示す図、
【図9】一実施形態における正常に印刷されたコードと射影図形パターンの関係を示す図、
【図10】一実施形態におけるスキュー補正と補正後の射影図形パターンの関係を示す図、
【図11】一実施形態におけるドット抜け印刷されたコードと射影図形パターンの関係を示す図、
【図12】一実施形態における汚れたコードと射影図形パターンの関係を示す図、
【図13】一実施形態における破損したコードと射影図形パターンの関係を示す図。
【符号の説明】
【0032】
31:制御部 32:搬送部 33:印刷部 34:画像入力部
35:画像処理部 36:画像比較部。
【技術分野】
【0001】
本発明は印刷装置に係り、特にサーマル印刷装置の休止率を低減できる印刷アラーム検知に関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷装置において、印刷されたバーコードや2次元コード、文字コード等の不良印刷物の検出することが行なわれる。例えば、特許文献1(特開2003−305927公報)には、不良印刷物を検出して、それを排除して高品質な印刷が行なえるプリンタ検査装置が開示されている。
【0003】
不良印刷物の検出は、例えば、印刷面全体をカメラやラインセンサを用いて画像データとして入力する。数字、ひらがな、カタカナ、英語、漢字などは、得られた画像データから文字認識により、文字コードへ変換する。1次元、2次元コードでは、コード自体の認識処理により、通常の文字コードへ変換する。画像データから変換された文字コードと印刷すべき文字コードとの比較照合を行い印刷の良否判定を行う。文字コードへ変換するために、文字認識やコード自体の認識処理といった非常に複雑な処理を行っている。また、処理時間改善のため、簡易的に不良印刷物の検知を一部の基準テストパタンデータと比較し、印刷の適切さをチェックすることで画素抜けなどを検知している。
【0004】
【特許文献1】特開2003−305927公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来技術によれば、文字コードへ変換するために、文字認識やコード自体の認識処理といった非常に複雑な処理を行うため、処理能力の高いCPUを使用する必要が生じる。しかし、処理能力の高いCPUを使用すれば、処理速度は速くなるが、返って高価な装置となってしまう。一方、処理能力の低いCPUを使用すれば、処理速度が低下してしまい高速印刷に対応できなくなってしまう。
【0006】
また、2次元コード(QRコード)を文字コードに変換していることから、認識処理を行っていると考えられる。そのことにより、QRコードが有する誤り訂正機能によりコードの一部に汚れや破損(ドット抜け等)があった場合においてもデータの復元がされているため、正確な良否判定が行われないことがある。データの復元は8ビット単位で、最大レベルで約30%が訂正可能である。印刷されたコードをデコード変換した文字コードと印刷すべき文字コードとを比較照合を行った場合に、良判定であったとしても誤り訂正機能のため、印刷されたコードに汚れや破損がある可能性があり、それを検出することは困難である。そのため、通常の印刷物を扱うプリンタであれば汚れや破損に対しては大きな問題とはならないが、換金を行うくじ券(ナンバーズ、競馬、競艇、競輪等)を印刷する場合には、印刷されたくじ券についた汚れや破損をプリンタ側で検出できなければ、その券はそのまま流通してしまう。その結果、くじ券の読取り装置で読取られた結果に誤読が生じてしまう恐れがあり、非常に大きな問題となる。
【0007】
従来、通常印刷物に対し印刷の良否判定を行っているため、印刷物前面をラインセンサにより画像データを取得しているが、換金を行うくじ券では、くじ券面上には購入したときの販売店、開催場や当り予想番号などの文字とその情報をコード化したバーコードやQRコード等が印刷されている。しかし、それらくじ券の文字部分は人が見てすぐに情報を読取れる文字部分は補助的なものであり。運用において最も重要な部分は、バーコードやQRコードの部分である。その部分を窓口機や自動機などの読取り装置に読取らせ、くじ券面上の情報を使用し当せん照合を行うためバーコードやQRコード部分の印刷品質の良否確認が必要となるため、印刷面全体ではなくバーコードやQRコード部分のみに重点を置くことにより、全体の処理速度の向上及びラインセンサの小型化により装置の大きさ並びに低価格化をすることが可能である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、サーマル印刷装置の休止率を低減できる印刷異常検知技術を提供することにある。
本発明のより具体的な目的は、印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンとの比較照合する計算を単純化することにより、処理能力の高いCPUを用いず、安価にして印刷異常を検知することができる印刷装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、搬送路上を搬送される媒体に印刷する印刷部と、媒体に印刷されたコードを画像データとして入力する画像入力部と、画像データから印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンを作成する画像処理部と、作成されたそれぞれの図形パターンを比較照合し、印刷の良否判定を行う画像比較部と、を有し、印刷直後に印刷内容を画像データとして取得し、コードを生成する必須部分について印刷異常有無を検知するように構成した印刷装置である。
好ましい例では、サーマル式の印刷装置において、上記印刷内容は2次元コードと含み、2次元コードの誤り訂正レベルによって異常印刷と判定する判定レベルを変化させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サーマル印刷装置の休止率を低減できる。また、印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンとの単純な比較照合することにより、計算方法が単純であるため処理能力の高いCPUを用いなくても、印刷異常の検知処理を行うことができるので、安価な装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、一実施形態について説明する。
本実施例では、印刷面全体の画像データを入力するのではなく、印刷された券面の情報を含むコード部分に絞り、ラインセンサにより画像データを取得する。このとき、コードを文字コードに変換する認識処理を行い印刷すべき文字コードと比較照合を行うのではなく、印刷したコードの黒画素数と白画素数を対象にした簡単な図形パターンと、印刷すべき黒画素数と白画素数の簡単な図形パターンとの比較照合を行い印刷の良否判定を行う。
【0012】
図1に示すように、得られた画像データから白画素の部分を“0”、黒画素の部分を“1”とし印刷されたコードの図形パターンを作成する。また、画像データを直接図形パターンにするのではなく、図2に示すように、黒画素数の累積を計算した射影の図形パターンを作成する。これらの方法により印刷されたコードの図形パターンの作成を行う。次にプリンタは印刷すべきコードの印刷データを持っているため、その印刷データから図形パターンの作成を行う。これらの印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンとを比較照合し、図形パターンが一致しているか否かを判断する。全てが一致していれば問題なく正常に印刷が行えたと判断される。
【0013】
一方、もし一致していない個所があれば、その部分は正常に印刷が行えていないと判断されて、印刷不良の対象となる。印刷されたコードを文字コードに変換し認識処理を行う場合には、コードの汚れ、破損やドット抜けがあった場合には、誤り訂正機能によりそれらを検出することは困難である。しかし、簡単な図形パターンにより比較照合を行うことにより、検出が可能となる。このことにより印刷品質を確保するとともに、コード自体の複雑な認識処理を行うよりも非常に簡単な処理のみで印刷の良否判定を行うことができるため、処理能力の低いCPUでも十分に処理を行うことができ安価な装置を実現できる。また、印刷面全体の処理を行っていないことから、処理時間の高速化を図ることができる。また、印刷品質に異常があると判断された場合には、エラー警告を表示する。
【0014】
次に、図3に示す印刷装置の構成について説明する。
31は、装置の各部を制御する制御部、32はくじ券等の印刷物の搬送を行う搬送部、33は印刷媒体に感熱式の印刷を施す印刷部、34は印刷物に印刷されたコードを画像データとして入力する画像入力部、35は画像データから印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンを作成する画像処理部、36は、作成されたそれぞれの図形パターンを比較照合し、印刷の良否判定を行う画像比較部、である。
【0015】
図3に示すように、印刷部33は、搬送路32上に配置されたプラテンローラ41、サーマル印字ヘッド42、サーマル印字ヘッド42による印刷直後に印刷物を画像データとして入力するラインセンサ43を有して構成される。
【0016】
次に、図5のフローチャートを参照して印刷処理動作について説明する。
サーマル印字ヘッド42により印刷物にコードを印刷すると(502)、印刷された印刷されたコードは画像データとしてラインセンサ43で読取られて、取得される(503)。ラインセンサ43に読取られる範囲は、図6の範囲Aであり、この範囲A内にコード部分Bが含まれる。
【0017】
取得された画像データは、所定のしきい値により2値化処理され(504)、白黒の画像データとされる。その後、図6のコード部分Bが切出し処理される(505)。
切出された画像Bに対してスキューしているか判断し(506)、スキューと判断された場合、上下のスキュー量の検出を行う(507)。この処理によりコード部分の左上端と右上端の位置を検出する。その検出された画素分だけ上下方向にスキューをしていることがわかる。
【0018】
次に、コードを等分に分割しスキュー補正を行う(509)。得られたコード部分をスキュー量検出画素数+1画素分で縦に等分割を行う。固定位置を決めその隣の部分から1画素ずつずらしていくことによりスキュー補正を行う。
【0019】
図7に示すように、例えばコード部分の左上端が右上端に比べ3画素分下がっていた場合は、コード部分を3画素+1画素分で縦に4等分に分割する。その後左部分を固定とした場合には、左から2番目の分割部分を1画素分下にずらす。同様に3、4番目の分割部分は2、3画素分を下にずらすことにより上端の位置を整えスキュー補正を行う。
【0020】
スキュー補正の処理が終了した場合、又はスキューしていない場合は、左右・上下の1セルの平均サイズを検出する(508)。セル単位で比較照合を行うため、得られた画像データから1セル分の上下・左右のサイズを取得する。QRコードでは上下・左右のセル数が決まっているためそのセル数を使用し、得られた画像データの左右方向の画素数をカウントすることにより左右方向全体のサイズが検出できる。その左右全体の画素数をセル数で割ることにより1セル分の左右方向のサイズを取得する。同様に上下方向に対しても行い、上下方向の1セル分のサイズを取得する。
【0021】
次に、画像データから白黒画素の変化点を検出する(510)。白の部分を“0”、黒の部分を“1”とした場合にそれぞれ横方向に得られた画像データから1、2行目に対しxorの計算を行う。そのことにより1、2行目で変化していない部分は“0”となり、変化している部分では“1”となる。同様に2、3行目と繰り返し処理を行う。このことにより変化している行と行との間では“1”の数が多くなることでそれぞれのセルごとの行変化点を検出することができる。このとき、変化点の間隔が1セル分でない場合は(511)、1セルのサイズと変化点の関係から中心となる点を検出する(513)。
【0022】
次に、黒白セルの連続している個数をカウントする(512)。安定した場所で連続性をカウントすることで1セルあたりの左右方向のサイズがわかっているため、その値で割ることにより何個分のセルが連続しているかがわかりることから、1セルごとの図形パターンの作成を行う(514)。同様に処理を繰り返して行っていくことにより、印刷されたコードの図形パターンの生成を行う。また、この処理は印刷されたコードだけではなく、印刷するコードも同様に行うことにより(501)、比較照合するための図形パターンを作成する。
【0023】
次に、上記の処理により得られた2種類の図形パターンを比較照合して、一致しているか確認する(515)。印刷されたコードの図形パターンと印刷するコードの図形パターンを比較することで印刷の良否判定を行う。一致していなければ、印刷されたコードに汚れや破損等が生じ、正常に印刷が行えていないと考えられることから、エラー警告を行う(517)。全てが一致していれば、印刷されたコードには汚れや破損が無いこととなり、正常終了する(518)。
このとき運用上でマージンを持たせてある場合には、その不一致率を誤り訂正機能の範囲内で設定することにより、ある程度融通の利く装置が実現できる。
【0024】
以上の方法により、従来の技術に比べ比較的簡単な処理で印刷の良否判断を行い、印刷品質の確保を行うことが可能である。また、上記の方法の図形パターンの比較だけでなく黒画素の累積により良否判断を行うことも可能である。以下にその方法を示す。
【0025】
図8は印刷すべきコードの黒画素部分の累積した図形パターンである。同様に、図9のように黒画素部分を累積した図形パターンを作成する。図形パターンを作成する際にスキューを検出した場合には、図10のように、左右方向に移動して前者のスキュー補正を行い、射影した図形パターンを作成する。
【0026】
図11、図12、図13はドット抜け印刷、汚れのあるコード、破損のあるコードの射影した図形パターンである。
印刷すべきコードの黒画素数の射影パターンは、印刷コード情報のため横方向のずれることはない。また、黒画素と白画素の境界部分がはっきりしているため、射影パターンのエッジは鮮明である。しかし、印刷されたコードをラインセンサにより画像データとした場合には、センサの光量や、スキュー等の影響により、黒画素と白画素の境界部分がはっきりしないことや、横方向のずれが生じてしまう。
【0027】
そのため、射影パターンを比較した場合に画素数の不一致部分が1セル分以下(任意)の場合には、印刷すべきコードと印刷されたコードが一致していると考え、印刷品質が確保されていると判断する。印刷されたコードに汚れがある場合に、コード自体の認識を行うとコードの訂正機能により、正常に認識を行うことができる。しかし、印刷されたコードの射影パターンを作成すると、コードの汚れた部分の黒画素数が増加することにより、印刷すべきコードの射影パターンと比較した場合には、不一致の部分が生じる。その不一致の部分が1セル以上の場合には印刷品質の異常として検知することが可能となる。同様に印刷されたコードに破損がある場合もコード自体の認識処理を行うと正常に認識してしまう。しかし、印刷すべきコードの射影パターンと、印刷されたコードの射影パターンを比較した場合、汚れとは逆に、コードが破損している部分の黒画素数が減少するため、不一致の部分が生じるため、印刷品質の異常を検知することが可能となる。
【0028】
以上説明したように、本実施例によれば、印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンとの比較照合することにより、認識処理を行なわないので誤り訂正機能を有するコード等においても有効に利用することができる。
【0029】
また、誤り訂正機能を有するQRコードに対しては、コードの図形パターンを比較照合することから汚れや破損がどの部分に発生しているかがわかる。その訂正が可能な範囲内でQRコードの形成率を制御することが可能となる。このことによりサーマル印字ヘッドにドット抜けが生じた場合その状態を警告するとともに、運用上問題がない程度であればそのまま発券を継続することができる。運用ができないような場合であれば、その時点で使用を停止することができる。
【0030】
また、2次元コードでは、コード印刷時に誤り訂正レベルを設定している。このレベルに応じて判定基準を変更することにより、コードや印刷されたコードを読み取るリ−ダで読み取れるレベルの印刷異常の場合には、印刷装置のアラームを検知する。これにより印刷異常で装置を止めない運用とすることで、休止率を低減することができる。印刷されたコードを読み取る装置や、コードの読取性能に合わせて印刷時の異常検出レベルを変えることにより、休止率を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一実施形態における図形パターンの作成を説明するための図、
【図2】一実施形態における射影の図形パターンの作成を説明するための図、
【図3】一実施形態における印刷装置の構成を示す図、
【図4】一実施形態における印刷部33を示す図、
【図5】一実施形態における印刷処理動作を示すフローチャート、
【図6】一実施形態における読取り範囲を示す図、
【図7】一実施形態におけるスキューの補正処理を説明するための図、
【図8】一実施形態における印刷コードと射影の図形パターンの関係を示す図、
【図9】一実施形態における正常に印刷されたコードと射影図形パターンの関係を示す図、
【図10】一実施形態におけるスキュー補正と補正後の射影図形パターンの関係を示す図、
【図11】一実施形態におけるドット抜け印刷されたコードと射影図形パターンの関係を示す図、
【図12】一実施形態における汚れたコードと射影図形パターンの関係を示す図、
【図13】一実施形態における破損したコードと射影図形パターンの関係を示す図。
【符号の説明】
【0032】
31:制御部 32:搬送部 33:印刷部 34:画像入力部
35:画像処理部 36:画像比較部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路上を搬送される媒体に印刷する印刷部と、該媒体に印刷されたコードを画像データとして入力する画像入力部と、該画像データから印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンを作成する画像処理部と、作成されたそれぞれの図形パターンを比較照合し、印刷の良否判定を行う画像比較部と、を有し、印刷直後に印刷内容を画像データとして取得し、コードを生成する必須部分について印刷異常有無を検知することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
印刷内容は2次元コードと含み、該2次元コードの誤り訂正レベルによって異常印刷と判定する判定レベルを変化させることを特徴とする請求項1のサーマル式の印刷装置。
【請求項3】
該画像データから白黒画素の変化点を検出して、それぞれのセルごとの行変化点を検出すると共に、黒白セルの連続している個数をカウントすることにより、1セルごとの図形パターンを作成することを特徴とする請求項1又は2の印刷装置。
【請求項1】
搬送路上を搬送される媒体に印刷する印刷部と、該媒体に印刷されたコードを画像データとして入力する画像入力部と、該画像データから印刷されたコードの図形パターンと印刷すべきコードの図形パターンを作成する画像処理部と、作成されたそれぞれの図形パターンを比較照合し、印刷の良否判定を行う画像比較部と、を有し、印刷直後に印刷内容を画像データとして取得し、コードを生成する必須部分について印刷異常有無を検知することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
印刷内容は2次元コードと含み、該2次元コードの誤り訂正レベルによって異常印刷と判定する判定レベルを変化させることを特徴とする請求項1のサーマル式の印刷装置。
【請求項3】
該画像データから白黒画素の変化点を検出して、それぞれのセルごとの行変化点を検出すると共に、黒白セルの連続している個数をカウントすることにより、1セルごとの図形パターンを作成することを特徴とする請求項1又は2の印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−38473(P2007−38473A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223854(P2005−223854)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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