説明

印刷装置

【課題】本発明はプリンタ装置等の印刷装置に係り、特に印刷装置或いは消耗品全体の寿命の長期化の為の改善動作を図るロングライフモードを実現する印刷装置を提供するものである。
【解決手段】本発明は印刷データが受信バッファに保持されると、装置の消耗品の状態を判断し、当該消耗品の状態が充分でないと判断するとき、更に装置のプロセス条件を判断し、当該プロセス条件に基づいて直ちに印刷処理を実行できると判断するとき、ロングライフモードの処理を実行し、印刷データをまとめて複数頁分印刷処理することによって、装置及び消耗品の寿命の長期化を図る印刷装置の構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリンタ装置等の印刷装置に係り、特に装置寿命の長い印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ装置等の印刷装置には、感光体や、転写ベルト、現像材、記録紙等の多く消耗品が使用されている。環境資源保護の見地から印刷装置においても、上記消耗品を有用に使用し、消耗品の寿命を延ばしつつ印刷装置自体の寿命も延ばすことが求められている。
【0003】
例えば、上記例として、従来の電子写真方式の印刷装置では、トナーの消費量を削減するため、トナーセーブモードを設け、試し印刷等において、トナー濃度の薄い印刷を行い、トナー消費量を削減している。
【0004】
また、特許文献1の発明は、スプーラに蓄積された印刷ジョブについて、実行中の印刷ジョブと同じクライアントコンピュータから指示された印刷ジョブが連続して実行されるように実行順序を変更し、受け付けた印刷ジョブを効率よくまとめて実行し、印刷物の選別作業を軽減する発明である。
【特許文献1】特開2003−288188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記トナーセーブモードを実行する場合、印刷濃度が薄く、例えばカラー印刷の試し刷りでは、充分な試し刷りの効果が得られない。また、感光体(ドラム)や、転写ベルト、定着器、本体装置等の寿命を延ばす為には、装置或いは消耗品全体の寿命の長期化を図る必要がある。
そこで本発明は、印刷装置或いは消耗品全体の寿命の長期化の為の改善動作を図るロングライフモードを実現する印刷装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は第1の発明によれば、印刷情報を保持する受信バッファと、該受信バッファに印刷情報が保持されると、装置の消耗品の状態を判断する第1の判断手段と、前記消耗品の状態が充分でないとき、装置のプロセス条件を判断する第2の判断手段と、前記プロセス条件に基づいて前記第2の判断手段が直ちに印刷処理を実行できる状態にないと判断するとき、装置及び消耗品の寿命の長期化を図る動作モードを実行する印刷制御手段とを有する印刷装置を提供することによって達成できる。
【0007】
上記課題は第2の発明によれば、前記受信バッファに保持される印刷情報は、印刷ジョブ数も含む印刷装置を提供することによって達成できる。
【0008】
上記課題は第3の発明によれば、前記装置及び消耗品の寿命の長期化を図る動作モードは、前記印刷情報が予め設定された所定値以上保持されているとき実行され、前記プロセス条件に対応した印刷準備処理を行った後、前記印刷制御手段による印刷処理を行う印刷装置を提供することによって達成できる。
【0009】
上記課題は第4の発明によれば、前記消耗品の状態が充分ではないとは、現像剤の残量が所定値以下である印刷装置を提供することによって達成できる。
上記課題は第5の発明によれば、前記消耗品の状態が充分ではないとは、転写ベルトが寿命に達している印刷装置を提供することによって達成できる。
【0010】
上記課題は第6の発明によれば、前記消耗品の状態が充分ではないとは、感光体が寿命に達している印刷装置を提供することによって達成できる。
上記課題は第7の発明によれば、前記プロセス条件とは装置がスリープ状態であり、前記印刷準備処理とはスリープ解除処理である印刷装置を提供することによって達成できる。
【0011】
上記課題は第8の発明によれば、前記プロセス条件とは装置が予熱中であり、前記印刷準備処理とは予熱処理を解除し、ウォームアップ処理を行うことである印刷装置を提供することによって達成できる。
【0012】
上記課題は第9の発明によれば、前記プロセス条件とは装置がアイドリング状態であり、前記印刷準備処理とはアイドリング状態を解除し、印刷実行用温度に加熱制御することである印刷装置を提供することによって達成できる。
上記課題は第10の発明によれば、前記プロセス条件とは前記転写ベルトが印刷待機位置であり、前記印刷準備処理とは前記転写ベルトの位置をカラー印刷位置、又はモノクロ印刷位置に設定する印刷装置を提供することによって達成できる。
【発明の効果】
【0013】
上記課題の解決手段によれば、印刷装置の最小の動作時間で印刷処理を行うことができ、消耗品の無駄を無くし、電力の無駄を省き、寿命を有する部品を効率よく使用し、装置の寿命を延ばすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1における二次転写式画像形成装置(以下、単にプリンタ装置という)の内部構成を説明する断面図である。同図に示すプリンタ装置1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、4つの画像形成部2、中間転写ベルトユニット3、給紙部4、及び両面印刷用搬送ユニット5で構成されている。
【0015】
上記4つの画像形成部2は、同図の右から左へ4個の画像形成ユニット6(6M、6C、6Y、6K)を多段式に並設した構成からなる。
上記4個の画像形成ユニット6のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット6M、6C、及び6Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット6Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0016】
上記の各画像形成ユニット6は、トナー容器に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット6Kを例にしてその構成を説明する。
【0017】
画像形成ユニット6は、最下部に感光体ドラム7を備えている。この感光体ドラム7は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム7の周面近傍を取り巻いて、クリーナ8、帯電ローラ9、光ヘッド11、及び現像器12の現像ローラ13が配置されている。
【0018】
現像器12は、上部のトナー容器に同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備え、下部には側面開口部に上述した現像ローラ13を備え、内部にトナー撹拌部材、現像ローラ13にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ13上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0019】
中間転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト14と、この転写ベルト14を掛け渡されて転写ベルト14を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ15と従動ローラ16を備えている。
【0020】
上記の転写ベルト14は、トナー像を直接ベルト面に転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送するので、ここではユニット全体を中間転写ベルトユニットとしている。
【0021】
この中間転写ベルトユニット3は、上記扁平なループ状の転写ベルト14のループ内にベルト位置制御機構17を備えている。ベルト位置制御機構17は、転写ベルト14を介して感光体ドラム7の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ18を備えている。
【0022】
ベルト位置制御機構17は、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット6M、6C、及び6Yに対応する3個の一次転写ローラ18を鉤型の支持軸を中心に同一周期で回転移動させ、ブラック(K)の画像形成ユニット6Kに対応する1個の一次転写ローラ18を上記3個の一次転写ローラ18の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて転写ベルト14を感光体ドラム7から離接させ、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ18が転写ベルト14に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット6Kに対応する一次転写ローラ18のみが転写ベルト14に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ18が転写ベルト14から離れる)に切換える。実際の離間処理については実施形態2において詳しく述べる。
【0023】
上記中間転写ベルトユニット3には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット6Mの更に上流側に、ベルトクリーナユニットが配置され、下面部のほぼ全面に沿い付けるように平らで薄型の廃トナー回収容器19が着脱自在に配置されている。
【0024】
給紙部4は、上下2段に配置された2個の給紙カセット21を備え、2個の給紙カセット21の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ22、給送ローラ23、捌きローラ24、待機搬送ローラ対25が配置されている。待機搬送ローラ対25の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト14を介して従動ローラ16に圧接する二次転写ローラ26が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0025】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着装置27が配置され、ベルト式熱定着装置27の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着装置27から搬出する搬出ローラ対28、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー29に排紙する排紙ローラ対31が配設されている。
【0026】
両面印刷用搬送ユニット5は、上記搬出ローラ対28と排紙ローラ対31との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した開始返送路32a、それから下方に曲がる中間返送路32b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路32c、及びこれらの返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対33a、33b、33c、33dを備えている。上記終端返送路32cの出口は、給紙部4の下方の給紙カセット21に対応する待機搬送ローラ対25への搬送路に連絡している。
【0027】
また、本例において中間転写ベルトユニット3の上面部には、クリーニング部35、取り込みローラ36が配置されている。クリーニング部35は、転写ベルト14の上面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、取り込みローラ36はクリーニング部35が除去した廃トナーを引き継いで、図示を省略したベルトクリーナユニットの一時貯留部に溜め込み、その溜め込まれた廃トナーを搬送スクリューにより落下筒内を上部まで搬送し、落下筒を介して廃トナー回収容器19に送り込んでいる。
【0028】
また、上記のクリーニング部35を適度の圧力で転写ベルト14に圧接させるため、中間転写ベルトユニット3側には、下方から転写ベルト14をクリーニング部35に向けて押圧する押圧ローラ37が設けられている。
【0029】
上記のように本例のプリンタ装置1は、待機搬送ローラ対25により二次転写部まで鉛直方向に搬送される用紙に中間転写ベルト14を介してトナー像を転写する方式となっている。このため、用紙の搬送路に発生する用紙ジャム等の不具合を回復するメンテナンス処理時には、同図の右側を開放するのみで対処できる構成である。
【0030】
上記構成のプリンタ装置1において、転写ベルト14には寿命があり、新品と交換される。転写ベルト14の寿命は、例えば画像形成動作に応じてカウントアップするベルト寿命カウンタによって計測され、所定値に達すると新品に交換される。また、上記カウンタはベルト交換時にリセットされる。尚、上記寿命カウンタ以外に、転写ベルト14の不図示の支持軸の回転量を計測する方法も使用できる。
【0031】
また、感光体ドラム7にも寿命があり、寿命に達すると新品に交換される。感光体ドラム7の寿命も、例えば画像形成動作をドラムカウンタでカウントし、所定値に達すると新品に交換される。尚、上記カウンタ以外に、不図示のドラム軸の回転量をエンコーダで計測する方法も使用できる。
【0032】
また、現像器12(トナー容器)内に収納されたトナーの残量もロングライフモードを実施する上で重要であり、例えばトナー容器に残留するトナー量をセンサで検知する。例えば、反射型又は透過型のフォトセンサを使用し、又はトナー攪拌機構の回転状態を識別してトナー残量を計測する。
【0033】
さらに、ベルト式熱定着装置27は、非印字時予熱状態に保持され、印刷処理の際加熱制御される。
【0034】
図2は上記制御を行う制御回路の構成を説明する図である。ホスト機器であるパーソナルコンピュータ(PC)から出力された印刷データは、プリンタ装置1の制御部38に供給される。制御部38はマイコン38a、メモリ38b、ビデオ制御回路38cで構成され、パーソナルコンピュータ(PC)から供給された印刷データはマイコン38aの制御に従ってメモリ38bに展開され、更にビデオ制御回路38cの制御に従ってビデオエンジン部39に出力される。
【0035】
また、マイコン38aからビデオエンジン部39に印刷開始指示が出力されると共に、前述のベルト式熱定着装置27に設置された定着ヒータへの電源供給のオン、オフ制御が行われる。さらに、マイコン38aは前述の転写ベルト14の寿命を計測するベルト寿命カウンタや感光体ドラム7の寿命を計測するドラムカウンタの計測制御等も行う。
【0036】
上記構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
図3は本例の処理を説明するフローチャートである。同図において、先ずプリンタ装置1の初期化処理を行う(ステップ(以下、Sで示す)1)。例えば、前述のマイコン38aの制御により、ビデオエンジン部39の各部の初期設定処理を行う。
【0037】
次に、パーソナルコンピュータ(PC)から印刷データが送信され、例えばメモリ38b内の受信バッファに印刷データが保持されているか判断する(S2)。ここで、印刷データが保持されていなければ、印刷データの入力を待つ(S2がNO)。
【0038】
その後、印刷データが入力すると(S2がYES)、消耗品環境が充分であるか判断する(S3)。例えば、センサによって検知したトナー残量が充分であるか、又はベルト寿命カウンタによって計測した転写ベルト14の寿命が充分であるか、又はドラムカウンタで測定した感光体ドラム7の寿命が充分であるか等の判断を行う。ここで、消耗品環境が充分である場合(S3がYES)、通常モードの印刷処理を行う(S4)。すなわち、直ちに印刷処理を実行する。
【0039】
一方、消耗品環境が充分でない場合(S3がNO)、即ち消耗品環境が所定の条件以下である場合、次にプロセス条件を判断する(S5)、このプロセス条件は、例えばプリンタ装置1の現在の状態であり、スリープ中であるか、又は予熱中であるか、又はアイドリング中であるか、又は記録紙を搬送するための駆動モータが回転中であるか、又は印刷処理中であるか等の判断を行う。
【0040】
すなわち、直ちに何らの切り換え動作も行うことがなく、プリンタ装置1を印刷処理状態に移行できるか判断する。そして、直ちに印刷処理状態に移行できる場合(S5がYES)、通常モードの印刷処理を行う(S4)。一方、直ちに印刷処理に移行できない場合(S5がNO)、ロングライフモードに移行する(S6)。
【0041】
図4はロングライフモードの処理を説明するフローチャートである。先ず、受信バッファに保持された印刷データが所定頁数を越えたか判断する(S6−1)。例えば、予め受信バッファに閾値(n頁)の設定を行い、受信バッファに保持された印刷データの頁数(バッファ頁数)がn頁を越えると(S6−1がYES)、印刷の準備処理を実行する(S6−2)。尚、この場合、受信バッファに保持された印刷ジョブ数(バッファJOB数)がm(個)を越えると、印刷の準備処理を実行する構成としてもよい。
【0042】
この印刷準備処理は、例えば前述のプロセス条件がスリープ中であれば、スリープ状態を解除し、予熱中であれば、ベルト式熱定着装置27を加熱(ウォームアップ)し、ベルトを印刷位置に設定する為、転写ベルト14の位置の切り換え準備を行う。その後、上記印刷準備処理が完了すると、印刷処理を開始する(S7)。
【0043】
以上のように処理することによって、プリンタ装置1は受信バッファに印刷データが所定頁(n頁)以上保持された後(又は受信バッファに印刷ジョブが所定個(m個)以上保持された後)、印刷処理を実行するので、プリンタ装置1を最小の動作時間で印刷処理を行わせることができる。この為、トナー等の消耗品の無駄を無くすこともできる。
【0044】
また、最小の動作時間で印刷処理を行うことができる為、電力の無駄を省くこともできる。さらに、寿命を有する部品を効率よく使用することができる。すなわち、本例のロングライフモードの処理によって、頻繁に稼動と停止を繰り返すことがないように制御され、無駄な通電、無駄な起動、停止による切換動作によって、部品の消耗を極力少なく抑え、プリンタ装置1の寿命を延ばすこともできる。
【0045】
尚、上記実施形態の説明では、受信バッファに供給される後続データの受信を待つが、更に所定時間の設定を行い、当該時間内に後続データが供給されない場合、印刷処理を開始する構成としてもよい。
【0046】
また、上記閾値をプリンタ装置1のオペレーションパネルを使用して設定することにより、当該プリンタ装置1が設置された使用環境や周囲環境に適合した設定を行うことができる。
【0047】
本例のロングライフモード処理によって、例えばプリンタ装置1が完全にアイドリング状態で、転写ベルト14も回転していない状態で、パーソナルコンピュータ(PC)から印刷データが供給されると、閾値であるn頁の印刷データが保持されるまで待って、印刷処理を行う。一方、転写ベルト14が回転中である場合等、直ちに印刷処理を開始できる状態にある場合には、受信バッファに保持された印刷データが僅かでも印刷処理を実行する。
【0048】
尚、プリンタ装置1がスリープ状態であり、例えば受信バッファに1頁分の印刷データしか保持されていない場合、ヒータの通電を半分にして時間をかけてレディー状態に設定し、次の印刷データが受信バッファに入力するのを待って印刷処理を行う構成としてもよい。また、この場合、受信バッファに保持される印刷データの頁数によってウォームアップの時間を切り換えるように処理してもよい。
上記制御は、トナー残量や、転写ベルト14の寿命に応じて行うようにしてもよく、また所定のレベルを越えた場合に上記処理を行う構成としてもよい。
(実施形態2)
【0049】
次に、本発明の実施形態2について説明する。尚、本例においても、前述の図1に示すプリンタ装置1の全体図を使用する。
前述のように、4つの画像形成部2は、図1の右から左へ4個の画像形成ユニット6(6M、6C、6Y、6K)を多段式に並設した構成であり、上記4個の画像形成ユニット6のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット6M、6C、及び6Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット6Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0050】
また、前述の転写ベルト14のループ内にベルト位置制御機構17が配設されており、このベルト位置制御機構17によって、転写ベルト14を感光体ドラム7と接離する。
図5は本例を説明する回路図であり、特に本例に関連する電源回路40とエンジン制御部41の構成を示す。電源回路40には主電源スイッチ42を介して商用電源43が入力し、電源回路40はエンジン制御部41にモータ駆動用の負荷電源44、ロジック制御用電源45、及び低電力電源46を供給する。
【0051】
エンジン制御部41はCPU47、電源制御回路48、モータ駆動回路49で構成され、CPU47は上記ロジック制御用電源45を使用して転写ベルト14の位置を切り換える。また、ベルト位置センサ50は上記転写ベルト14の位置を検知し、位置検知信号をCPU47に送る。CPU47はこの位置検知信号に従って転写ベルト14の位置を後述するように切り換え制御する。また、ベルト駆動モータ51は前述のモータ駆動用の負荷電源44を使用して転写ベルト14を移動させる。
【0052】
尚、電源制御回路48の制御によって電源リモート信号52が電源回路40に出力され、電源回路40はモータ駆動用の負荷電源44やロジック制御用電源45のオン、オフ処理を行う。また、低電力電源46は常時エンジン制御部41に僅かな電力を供給する電源である。さらに、常用電源スイッチ53は、ユーザによって使用されるスイッチであり、この常用電源スイッチ53の状態は、常時CPU47によって監視される。
【0053】
上記構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
図6は本例の処理動作を説明するフローチャートであり、同図(a)は電源をオンした時の処理を示し、同図(b)は電源をオフした時の処理を示す。先ず、同図(a)の処理において、電源をオンすると、CPU47は常用電源スイッチ53の状態を判断する(ステップ(以下、STで示す)1)。
【0054】
ここで、常用電源スイッチ53がオン状態であると(ST1がYES)、この状態は電源制御回路48を介して電源回路40に通知され、電源リモートをオンし、電源回路40から前述のモータ駆動用の負荷電源44及びロジック制御用電源45をエンジン制御部41に供給する(ST2)。
【0055】
この処理により、モータ駆動回路49からベルト駆動モータ51に駆動信号が供給され(ST3)、転写ベルト14の位置をカラー印刷状態、又はモノクロ印刷状態に移動する(ST4)。
【0056】
図7(a)はカラー印刷状態に転写ベルト14を移動した状態を示す。また、同図(b)はモノクロ印刷状態に転写ベルト14を移動した状態を示す。尚、同図(a)、(b)において、13Mはマゼンタの現像ロールを示し、13Cはシアンの現像ロールを示し、13Yはイエローの現像ロールを示し、13Kはブラックの現像ロールを示す。また、18Mはマゼンタの転写ロールを示し、18Cはシアンの転写ロールを示し、18Yはイエローの転写ロールを示し、18Kはブラックの転写ロールを示す。
【0057】
その後、ベルト駆動モータ51の駆動を停止する(ST5)。
次に、プリンタ装置1による印刷処理が終了し、プリンタ装置1をオフする場合には、先ず常用電源スイッチ53の状態を判断し(ST6)、常用電源スイッチ53がオン状態であると(ST6がYES)、電源回路40からエンジン制御部41にモータ駆動用の負荷電源44及びロジック制御用電源45を供給し、ベルト駆動モータ51を駆動する(ST7)。
【0058】
次に、ベルト位置センサ50からのベルト位置情報に基づいて、退避モード位置に転写ベルト14を移動する(ST8)。図7(c)は転写ベルト14を退避モード位置に移動した状態を示す。この状態は、何れの現像ロールと転写ロールも転写ベルト14を挟持しておらず、転写ベルト14にテンションが掛からない状態である。したがって、プリンタ装置1に電源が供給されていない状態で、常に転写ベルト14にはテンションが掛からず、転写ベルト14の寿命を延ばすことができる。
尚、上記転写ベルト14を退避位置に移動する処理をスリープモードにおいて実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施形態1におけるプリンタ装置の断面図である。
【図2】実施形態1における制御回路を説明する図である。
【図3】実施形態1の処理を説明するフローチャートである。
【図4】ロングライフモードの説明するフローチャートである。
【図5】実施形態2における構成を説明する回路図である。
【図6】(a)、(b)は、実施形態2の処理動作を説明するフローチャートである。
【図7】(a)は、カラー印刷状態に転写ベルトを移動した状態を示し、(b)は、モノクロ印刷状態に転写ベルト14を移動した状態を示し、(c)は、転写ベルトを退避位置に移動した状態を示す。
【符号の説明】
【0060】
1・・・プリンタ装置
2・・・画像形成部
3・・・中間転写ベルトユニット
4・・・給紙部
5・・・両面印刷用搬送ユニット
6、6M、6C、6Y、6K・・画像形成ユニット
7・・・感光体ドラム
8・・・クリーナ
9・・・帯電ローラ
11・・光ヘッド
12・・現像器
13・・現像ローラ
14・・転写ベルト
15・・駆動ローラ
16・・従動ローラ
17・・ベルト位置制御機構
18・・一次転写ローラ
19・・廃トナー回収容器
21・・給紙カセット
22・・用紙取出ローラ
23・・給送ローラ
24・・捌きローラ
25・・待機搬送ローラ対
26・・二次転写ローラ
27・・ベルト式熱定着装置
28・・搬出ローラ対
29・・排紙トレー
31・・排紙ローラ対
33a〜33d・・返送ローラ対
35・・クリーニング部
36・・取り込みローラ
37・・押圧ローラ
38・・制御部
38a・・マイコン
38b・・メモリ
38c・・ビデオ制御回路
39・・ビデオエンジン
40・・電源回路
41・・エンジン制御部
42・・主電源スイッチ
43・・商用電源
44・・モータ駆動用の負荷電源
45・・ロジック制御用電源
46・・低電力電源
47・・CPU
48・・電源制御回路
49・・モータ駆動回路
50・・ベルト位置センサ
51・・ベルト駆動モータ
52・・電源リモート信号
53・・常用電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷情報を保持する受信バッファと、
該受信バッファに印刷情報が保持されると、装置の消耗品の状態を判断する第1の判断手段と、
前記消耗品の状態が充分でないとき、装置のプロセス条件を判断する第2の判断手段と、
前記プロセス条件に基づいて前記第2の判断手段が直ちに印刷処理を実行できる状態にないと判断するとき、装置及び消耗品の寿命の長期化を図る動作モードを実行する印刷制御手段と、
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記受信バッファに保持される印刷情報は、印刷ジョブ数も含むことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記装置及び消耗品の寿命の長期化を図る動作モードは、前記印刷情報が予め設定された所定値以上保持されているとき実行され、前記プロセス条件に対応した印刷準備処理を行った後、前記印刷制御手段による印刷処理を行うことを特徴とする請求項1、又は2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記消耗品の状態が充分ではないとは、現像剤の残量が所定値以下であることを特徴とする請求項1、2、又は3記載の印刷装置。
【請求項5】
前記消耗品の状態が充分ではないとは、転写ベルトが寿命に達していることを特徴とする請求項1、2、又は3記載の印刷装置。
【請求項6】
前記消耗品の状態が充分ではないとは、感光体が寿命に達していることを特徴とする請求項1、2、又は3記載の印刷装置。
【請求項7】
前記プロセス条件とは装置がスリープ状態であり、前記印刷準備処理とはスリープ解除処理であることを特徴とする請求項3記載の印刷装置。
【請求項8】
前記プロセス条件とは装置が予熱中であり、前記印刷準備処理とは予熱処理を解除し、ウォームアップ処理を行うことであることを特徴とする請求項3記載の印刷装置。
【請求項9】
前記プロセス条件とは装置がアイドリング状態であり、前記印刷準備処理とはアイドリング状態を解除し、印刷実行用温度に加熱制御することであることを特徴とする請求項3記載の印刷装置。
【請求項10】
前記プロセス条件とは前記転写ベルトが印刷待機位置であり、前記印刷準備処理とは前記転写ベルトの位置をカラー印刷位置、又はモノクロ印刷位置に設定することを特徴とする請求項3記載の印刷装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公開番号】特開2008−284833(P2008−284833A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133987(P2007−133987)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】