説明

印刷装置

【課題】ユーザーの数に応じた保管トレイを備えることなく複数のユーザーからの親展印刷に対応する。
【解決手段】親展印刷がなされた用紙pを通電可能な導体108が取り付けられたクリップ100で留めてからプリンターの内部に配置された内部トレイに保管しておき、用紙pの排紙が指示されたときに排紙対象の用紙pを留めるクリップ100の導体108に導電端子72A,72Bを当接させて通電させた電流Iと永久磁石により発生させた磁場Bとにより生じるローレンツ力Fによって排紙対象の用紙pを内部トレイから引き出して排紙するから、ユーザーの数に応じた数の保管トレイを用意することなく複数のユーザーからの親展印刷に対応することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の印刷装置としては、複数のユーザー端末に接続され、印刷物を保管してロックできる三つの保管トレイを備えるものが提案されている(特許文献1参照)。この装置では、ユーザー端末から親展印刷指示を伴った印刷指示を受け付けたときには、印刷した印刷物を保管トレイにロックを掛けて保管しておきユーザー認証ができたときに保管トレイのロックを解除して印刷物を取り出し可能とすることにより、認証されたユーザー以外に印刷物が取得されるのを防止できるとしている。
【特許文献1】特開2004−338295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した印刷装置では、保管トレイのロックが解除されると、ロックが解除された保管トレイに保管されている印刷物をすべて取り出すことができるため、一つの保管トレイ内に複数のユーザーの印刷物を同時に保管することができない。このため、四人以上のユーザーからの親展印刷指示に対応するときには、保管トレイに空きが出るまで印刷待ちが生じることがある。一方で、四人以上の複数のユーザーからの親展印刷指示にスムーズに対応するためには、ユーザーの数に応じた保管トレイを備える必要があり、ユーザーの数によっては印刷装置が大型化してしまう。
【0004】
本発明の印刷装置は、ユーザーの数に応じた保管トレイを備えることなく複数のユーザーからの親展印刷に対応することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の印刷装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の印刷装置は、
通信が可能に接続されたユーザー端末から印刷ジョブを受け付けて印刷を実行する印刷装置であって、
給紙された用紙に印刷を実行する印刷手段と、
装置内部に印刷済みの用紙を保管済みの用紙に重ねて保管する保管手段と、
所定の方向に通電可能なクリップを前記保管手段に保管される印刷済みの用紙の一辺の所定の位置に前記所定の方向が該保管手段からの排紙の方向と直交するように留めるクリップ手段と、
前記クリップに通電する通電手段と、前記通電手段を前記保管手段内の所定の範囲内を移動させる移動手段と、通電されている前記クリップに前記保管手段からの排紙の方向にローレンツ力が作用するよう前記所定の方向と直交する方向に磁場を発生させる磁場発生手段とを有し、前記ローレンツ力を利用して前記クリップを移動させることにより該クリップに留められた印刷済みの用紙を引き出すと共に前記通電手段を該クリップの移動に追従させる排紙手段と、
データを記憶する記憶手段と、
前記印刷ジョブが受け付けられたとき、該受け付けられた印刷ジョブに基づいて印刷が実行されるよう前記印刷手段を制御すると共に該印刷ジョブ毎に印刷済みの用紙が前記クリップで留められるよう前記クリップ手段を制御し、前記受け付けられた印刷ジョブで指定された印刷枚数と保管済みの用紙の枚数に関する保管位置情報を該印刷ジョブの識別情報と関連付けて保管情報として前記記憶手段に記憶する印刷制御手段と、
前記印刷ジョブの識別情報を用いた認証を伴って印刷済みの用紙の排紙が指示されたとき、該識別情報に基づいて前記記憶されている保管情報から排紙対象の用紙の保管位置情報を取得し、該取得した保管位置情報に基づいて前記通電手段を該排紙対象の用紙を留めるクリップに当接する位置に移動させるよう前記移動手段を制御すると共に前記ローレンツ力により該排紙対象の用紙が前記保管手段から引き出されて排紙されるよう前記排紙手段を制御し、前記排紙が指示された印刷ジョブの識別情報に対応する保管情報を削除すると共に他の印刷ジョブの識別情報に対応する保管情報のうち保管位置情報を更新する排紙制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0007】
この本発明の印刷装置では、印刷ジョブが受け付けられたとき、受け付けられた印刷ジョブに基づいて印刷が実行されるよう印刷手段を制御すると共に印刷ジョブ毎に印刷済みの用紙が強磁性材料または磁石で形成されたクリップで留められるようクリップ手段を制御し、受け付けられた印刷ジョブで指定された印刷枚数と保管済みの用紙の枚数に関する保管位置情報を印刷ジョブの識別情報と関連付けて保管情報として記憶手段に記憶し、印刷ジョブの識別情報を用いた認証を伴って印刷済みの用紙の排紙が指示されたとき、識別情報に基づいて記憶されている保管情報から排紙対象の用紙の保管位置情報を取得し、取得した保管位置情報に基づいて通電手段を排紙対象の用紙を留めるクリップに当接する位置に移動させるよう移動手段を制御すると共にローレンツ力により排紙対象の用紙が保管手段から引き出されて排紙されるよう排紙手段を制御し、排紙が指示された印刷ジョブの識別情報に対応する保管情報を削除すると共に他の印刷ジョブの識別情報に対応する保管情報のうち保管位置情報を更新する。これにより、ユーザーの数に応じた数の保管手段を用意することなく複数のユーザーからの親展印刷に対応することができる。
【0008】
こうした本発明の印刷装置において、前記通電手段は、電源に接続された固定部と該固定部と電気的に接続された回転部とからなる回転接続部と、釣り針状に湾曲し前記回転部に接続された導電アームと、前記導電アームの外側が前記クリップの通電部分に押し付けられるよう付勢する付勢手段とを有する端子部が二つ平行に配置されてなる手段であるものとすることもできる。こうすれば、ローレンツ力により移動されるクリップに通電手段を容易に追従させることができる。
【0009】
また、本発明の印刷装置において、前記クリップ手段は、前記一辺における複数箇所をクリップ可能な手段であり、前記印刷制御手段は、前記複数箇所のうち前記受け付けられた印刷ジョブ毎に異なる箇所に前記クリップを留めるよう前記クリップ手段を制御し、該クリップが留められた位置をクリップ位置情報として該印刷ジョブの識別情報と関連付けて前記保管情報に含めて前記記憶手段に記憶する手段であり、前記排紙制御手段は、前記記憶されている保管情報から前記排紙対象の用紙の保管位置情報と前記クリップ位置情報とを取得し、該取得した保管位置情報とクリップ位置情報とに基づいて前記吸引手段を該排紙対象の用紙を留めるクリップに当接する位置に移動させるよう前記排紙手段を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、排紙手段の誤動作により排紙対象の用紙以外の用紙が排紙されるのを防止することができる。この態様の本発明の印刷装置において、前記印刷制御手段は、前記受け付けられた印刷ジョブ毎に前記一辺の一端側から他端側に向かって所定量ずつ異なる箇所に前記クリップを留めるよう前記クリップ手段を制御する手段であるものとすることもできるし、前記印刷制御手段は、前記保管手段内で前記クリップがジグザグに並ぶよう前記クリップ手段を制御する手段であるものとすることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明の印刷装置の一実施形態であるプリンター10の構成の概略を示すブロック図であり、図2はプリンター10の内部の部分的な構成の概略を示す構成図である。
【0011】
本実施形態のプリンター10は、図1または図2に示すように、装置全体の制御を司るコントローラー20と、ネットワーク90に接続された複数のコンピューター92A〜92Eとデータの入出力を司るネットワークボード27と、プリンター機能を実現するプリンター機構31やこのプリンター機構31を制御するプリンターASIC32を含んで構成されるプリンター部30と、プリンター部30で印刷された印刷済みの用紙p(以下、単に用紙pという)を一時的に載置すると共にトレイ傾斜機構45により傾斜されて載置した用紙pをプリンター10の背面側に送る仮置きトレイ40と、仮置きトレイ40に載置された用紙pをクリップ100で留めるクリップ機構60と、仮置きトレイ40よりもプリンター10の背面側の下方に外部からアクセスできないよう配置され用紙pを保管する内部トレイ50と、内部トレイ50よりもプリンター10の正面側の下方にユーザーによって引き出し可能に構成された親展用排紙トレイ55と、内部トレイ50に保管された用紙pを引出口50aから引き出して親展用排紙トレイ55に排紙する排紙機構70と、ユーザーによる指示の入力や各種情報の表示を行なう操作パネル80と、を備える。なお、図2中の左右方向をX軸方向,前後方向をY軸方向,上下方向をZ軸方向とする。
【0012】
コントローラー20は、CPU21を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、各種処理プログラムなどを記憶したROM22と、一時的にデータを記憶するRAM23と、電気的に書き換え可能で電源を切ってもデータは保持されるフラッシュメモリー24と、印刷ジョブを保存するジョブメモリー25と、計時する際に利用するタイマー26と、を備える。このコントローラー20は、バス29を介してプリンターASIC32やトレイ傾斜機構45,クリップ機構60,排紙機構70,操作パネル80と電気的に接続され、プリンターASIC32やトレイ傾斜機構45,クリップ機構60,排紙機構70からの各種動作信号や操作パネル80のボタン類84の操作に応じて発生する操作信号を入力したり、プリンターASIC32への印刷指令信号やトレイ傾斜機構45,クリップ機構60,排紙機構70への動作指令信号、操作パネル80の表示部82への表示指令信号を出力したりする。
【0013】
プリンター部30は、プリンター機構31とプリンターASIC32とを備えている。このプリンター機構31は、単一感光体方式と中間転写方式とを採用したフルカラーの電子写真方式のレーザプリンター機構として構成され、シアン(C),マゼンタ(M),イエロ(Y),ブラック(K)の4色に色分解された各色ごとの画像の静電潜像が図示しない帯電・露光器によりその上に形成される感光体33と、装着された各色のトナーカートリッジ34C,34M,34Y,34Kから供給される各色のトナーを用いて感光体33上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器34と、現像したトナー像を重ね合わせるよう一次転写する中間転写体としての転写ベルト35と、図示しない搬送ユニットにより搬送された用紙に転写ベルト35上に形成された4色のトナー像を二次転写する二次転写ユニット36と、用紙上に転写された4色のトナー像を用紙に溶融し定着させる定着ユニット37と、用紙pをプリンター10の外部に形成された図示しない排紙トレイに排紙する経路38aと仮置きトレイ40を介して内部トレイ50に搬送する経路38bとを切り替える経路切替部38と、経路38a上に配置された複数の搬送ローラー39と、を備える。プリンターASIC32は、プリンター機構31を制御する機能を備えたICチップであり、ジョブメモリー25内の印刷ジョブを1ページごとにビットマップイメージに展開した展開データが用紙に印刷されるようにプリンター機構31を制御する。
【0014】
仮置きトレイ40は、プリンター部30側から搬送されてきた用紙pを受け入れるよう後方が後壁なしで開口しており、用紙pが載置される底板41と、用紙pをガイドする側壁42と、送られた用紙pが当接して前方の所定位置で揃えられると共に用紙pの幅よりも狭い幅で開口するよう側壁42から張り出した前壁43とにより形成される。底板41は、用紙pの前方側が下方に露出するよう前壁43の開口の幅と同じ幅で部分的に切り抜かれた形状に形成されている。仮置きトレイ40には、底板41の回転軸41aを中心として傾斜させるトレイ傾斜機構45が設けられている。このトレイ傾斜機構45は、底板41の下面に当接する偏心カム46と、偏心軸46aを中心として偏心カム46を回転させる図示しないモーターとを備え、モーターの駆動により偏心カム46を回転させて仮置きトレイ40を押し上げて後方に向けて傾斜させる(図2中点線で図示)。前述したように、仮置きトレイ40は後壁がなく後方が開口しているため、傾斜されることによって用紙pを仮置きトレイ40の後方側の下方に配置される内部トレイ50に送ることができる。このとき、用紙pは、仮置きトレイ40から内部トレイ50へと導く斜面49上を通って内部トレイ50に送られ、送られた用紙pは、内部トレイ50に保管済みの用紙pに重ねて保管される。
【0015】
クリップ機構60は、仮置きトレイ40に対向するよう配置されている。図3は、クリップ機構60の構成の外観を示す外観斜視図である。図示するように、クリップ機構60は、ベース61にY軸方向に所定間隔をもって配置された3つのクリップ機構60A,60B,60Cにより構成される。このベース61は、図示しないスライド機構によりY軸方向にスライド可能に構成されており、そのスライド量は、各クリップ機構60A,60B,60Cの所定間隔の略半分の量が設定されている。このため、ベース61がY軸方向の奥側に位置するときには各クリップ機構60A,60B,60Cによりそれぞれクリップ位置(1),(3),(5)でのクリップが可能となり、ベース61が手前側に位置するときには各クリップ機構60A,60B,60Cによりそれぞれクリップ位置(2),(4),(6)でのクリップが可能となる。なお、各クリップ機構60A,60B,60Cは、同一の機構であり以下の説明では特に区別することなくクリップ機構60として説明する。クリップ機構60は、クリップ100を押し出す押出アーム62と、押出アーム62をガイドするガイド部63と、ガイド部63と一体的に形成され内部に取り付けられた鉛直棒64aにストックしたクリップ100をガイド部63内に供給可能な供給部64と、通電に伴ってロッド66を吸引する電磁部65と、ロッド66の電磁部65から露出した端面にロッド66と同軸上に配置されたスプリング67と、押出アーム62の端部にY軸方向に突出するよう形成されたピン62aが移動可能に挿入される長孔68aとロッド66の端部にY軸方向に突出するよう形成されたピン66aが移動可能に挿入される長孔68bとが形成された2枚のプレートが偏心軸68cにより組み合わされロッド66のストローク量に対して押出アーム62のストローク量が大きくなるよう変換する変換機構68と、を備える。ここで、本実施例で用いるクリップ100について説明する。クリップ100は、弾性を有する材料で形成され一つの頂点が開口する断面略三角形状のクリップであり、用紙pを一枚から挟むことができる形成されている。このクリップ100の外観斜視図を図4に示す。図示するように、用紙pの短辺を挟持する挟持部102と、挟持部102と同じ幅に形成された幅広部104aと幅広部104aよりも一段小さな幅に形成された幅狭部104bとからなる傾斜部104と、傾斜部104の幅狭部104bと同じ幅を有し挟持部102に作用する力に対して弾力による反発力を付与する背面部106と、金属材料(銅など)や炭素などの導電可能な材料で棒状に形成されクリップ100を用紙pに留めたときに用紙pの短辺の方向に沿って通電可能となるよう背面部106に取り付けられた導電体108とにより形成される。傾斜部104には、供給部64にストックされると共にストックされた状態で自重によりガイド部63内に落下できるよう鉛直棒64aの外径よりもわずかに大きな内径の貫通孔104cが形成されている。ここで、ガイド部63は、仮置きトレイ40側の端部に両側面の内壁から中央に向かって突出すると共に仮置きトレイ40に向かってV字状に拡がるV字ガイド63aが形成されている。このV字ガイド63aは、クリップ100の傾斜部104の幅広部104aは掛かるものの幅狭部104bは掛からないようその突出の幅が設定されている。ここで、クリップ機構60により用紙pの短辺をクリップする動作について、図5に基づいて説明する。初期状態(図2参照)から電磁部65に通電すると、ロッド66が吸引され変換機構68によりロッド66のストローク量よりも大きなストローク量をもって押出アーム62が移動しクリップ100を押し出す(図5(a)〜(c))。このとき、クリップ100は、傾斜部104の幅広部104aがガイド部63内にあるときにV字ガイド63aによって拡げられ、幅広部104aがガイド部63外に達するとV字ガイド63aのガイドから解放されて挟持部102で用紙pを挟む。電磁部65への通電が停止されるとスプリング67の付勢力によりロッド66が初期位置に戻されると共に押出アーム62も初期位置に戻され、供給部64にストックされるクリップ100が自重によりガイド部63内に落下して次のクリップ動作の準備が完了する(図5(d))。
【0016】
排紙機構70は、内部トレイ50の引出口50aに対向すると共に親展用排紙トレイ55の上方に配置されている。図6は排紙機構70の構成の側面側の概略を示す側面側構成図であり、図7は排紙機構70の構成のプリンター10の背面側からみた構成の概略を示す構成図である。図示するように、排紙機構70は、内部トレイ50側に向けられた通電部71と、内部トレイ50側に向けられた磁場発生部74と、通電部71をXYZ方向に移動させるX軸用移動機構77とY軸用移動機構78とZ軸用移動機構79とからなる移動機構76と、を備える。通電部71は、導電性の材料で形成された一対の導電端子72A,72Bと、導電端子72A,72Bがクリップ100の幅狭部104bの幅よりも若干狭い間隔をもって平行に配置されたケース73とにより構成されているここで、図6中の拡大図は、ケース73に取り付けられる導電端子72A,72Bの根元部分を拡大したものである。導電端子72Aは、図示しない電源に接続されると共にケース73の内壁に固定され表面に湾曲状に窪んだ接続面が形成された固定電極72aと、ケース73内にY方向に沿って固定され両端の外径が中央部よりも一段小さく形成された段付き軸73aの一端側に回動可能に巻き付けられると共にその外周面が固定電極72aの接続面と摺動可能に接続される回転電極72bと、回転電極72bと一体的に形成されケース73の内部トレイ50側の開口部73bから突出し釣り針状に湾曲したアーム部72cと、段付き軸73aの一端側に回転電極72bよりも軸端側に嵌め込まれるねじりコイルバネ72dとにより構成されている。ねじりコイルバネ72dは、その一方の足72d1がケース73の内壁に当接されると共に他方の足72d2の先端がアーム部72c側に直角に曲げられてアーム部72cの下面に当接され、アーム部72cを段付き軸73aの軸心を中心とする円弧に沿って図中上方に向けて付勢することができる。このため、導電端子72Aは、固定電極72aと回転電極72bとが接続された状態即ち通電された状態を維持したまま段付き軸73aを中心として回動することができ(図6中点線で図示)、ねじりコイルバネ72dの付勢力により初期位置(図6中実線で図示)に戻ることができる。また、導電端子72Aは、アーム部72cが描く放物線において、X軸方向における最も内部トレイ50側の位置(以下、頂点という)が引出口50a内に位置するよう移動機構76によりXYZ方向に移動される。一方、導電端子72Bは、段付き軸73aの他端側に取り付けられるが、その構成は導電端子72Aと同一であるため説明を省略する。なお、本実施例では、導電端子72Aが電源の正極に接続され導電端子72Bが電源の負極に接続されている。磁場発生部74は、導電端子72A,B間の間隔よりも若干狭い幅で用紙pの長辺の長さよりも若干長く形成されたN極74bとS極74cとを磁極同士の間隔が内部トレイ50の高さよりも若干広くなるよう内部トレイ50側に開口したU型の永久磁石74aと、回転軸74eを中心として永久磁石74aを回動可能にZ軸用移動機構79の下方に取り付けると共に内部トレイ50側に部分的に突出した取付プレート74dと、取付プレート74dの突出部分の下面と永久磁石74aの上面との間に取り付けられるスプリング74fと、を備える。磁場発生部74は、図中下方から上方に向かって磁場Bを発生するよう永久磁石74aのN極74bを図中下方側に配置されている。また、N極74bとS極74cとがちょうど内部トレイ50を上下方向に挟むことができる位置に永久磁石74aが配置されるよう取付プレート74dの寸法が設計されている。この永久磁石74aは、スプリング74fの付勢力により水平状態に維持され、下方に作用する力を受けたときに回転軸74eを中心として回動し、力の作用がなくなるとスプリング74cの付勢力により再び水平状態に戻る。X軸用移動機構77は、X軸サーボモーター77aを駆動源としてX軸ボールねじ77bを回転させる周知のボールねじ機構として構成され、Y軸用移動機構78およびZ軸用移動機構79も同様にボールねじ機構として構成される。X軸用移動機構77は、Y軸用移動機構78が搭載されたX軸サドル77cをX軸方向に導電端子72A,Bの頂点が内部トレイ50の引出口50aに到達する位置(所定位置X0とする)から用紙pの長辺よりも若干長い距離だけ離れた待機位置までの移動範囲をもって構成されている。Y軸用移動機構78は、Z軸用移動機構79が搭載されたY軸サドル78cをY軸方向に内部トレイ50の右端付近から左端付近までの移動範囲をもって構成されている。Z軸用移動機構79は、通電部71が搭載されたZ軸サドル79cをZ軸方向に内部トレイ50の上端付近から下端付近までの移動範囲をもって構成されている。なお、磁場発生部74は、前述したように、Z軸用移動機構79の下面に取り付けられるため、Z軸方向には移動できないがXY方向には移動でき、X軸用移動機構77がX軸サドル77cを所定位置X0に移動させたときに内部トレイ50の引出口50a付近に磁場Bを発生させることができる。
【0017】
操作パネル80は、表示部82とボタン類84とを備える。表示部82は、液晶ディスプレイであり、選択可能なメニューを表示するメニュー画面や各種選択設定を行なう操作画面などが表示される。ボタン類84は、ユーザーからの指示を入力可能なテンキーやカーソルキー,OKボタンなどの各種の入力ボタンを備えている。
【0018】
次に、こうして構成された本実施形態のプリンター10の動作、特に、印刷時の動作や内部トレイ50に保管された用紙pの排紙時の動作について説明する。まず、印刷時の動作について説明する。図8は、コントローラー20により実行される印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ネットワーク90に接続されたコンピューター92A〜92Eから印刷ジョブを受信したときに実行される。
【0019】
印刷処理ルーチンが実行されると、コントローラー20のCPU21は、まず、印刷ジョブを入力し(ステップS100)、プリンターASIC32に印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行する印刷指令を送信すると共に(ステップS110)、入力した印刷ジョブに親展印刷指示が含まれるか否かを判定する(ステップS120)。親展印刷指示は、ユーザー認証されない限り用紙pを取得できないよう指示するものであり、ユーザーIDやユーザーが予め設定したパスワードなども含まれる。親展印刷指示がないときには、用紙pを排紙トレイに直接排紙する経路38aに切り替える切替指示をプリンターASIC32に送信して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。
【0020】
一方、ステップS120で親展印刷指示があると判定したときには、プリンターASIC32に用紙pを内部トレイ50側に搬送する経路38bに切り替える切替指示を送信し(ステップS140)、印刷が完了するのを待つ(ステップS150)。いま、内部トレイ50側に搬送経路を切り替えているから、用紙pは仮置きトレイ40に載置される。印刷が完了すると、クリップ指示位置Ksを入力し(ステップS160)、入力したクリップ指示位置Ksで仮置きトレイ40に載置された用紙pにクリップする(ステップS170)。クリップ指示位置Ksは、クリップ位置(1)〜(6)のうちいずれの位置で用紙pにクリップをするかを指示するものであり、前回実行された本ルーチンにおいて後述するステップS240〜S270の処理で設定され、初期値は値1に設定されている。クリップ指示位置Ksの値が奇数のときにはベース61を図3中のY軸方向奥側にスライドさせると共に例えば値1であればクリップ機構60Aによりクリップするようクリップ機構60に動作指令信号を出力し、クリップ指示位置Ksが偶数のときにはベース61を図3中のY軸方向手前側にスライドさせると共に例えば値4であればクリップ機構60Bによりクリップするよう動作指令信号を出力する。用紙pにクリップすると、用紙pを内部トレイ50に保管する(ステップS180)。具体的には、仮置きトレイ40が傾いて内部トレイ50側に用紙pが送られるようトレイ傾斜機構45に動作指令信号を出力する。
【0021】
こうして用紙pを内部トレイ50に保管すると、印刷ジョブや親展印刷指示からユーザーIDやパスワード、印刷枚数nなどの情報を入力し(ステップS190)、クリップ指示位置Ksをクリップ位置kとして保管リストに登録すると共に入力した情報を保管リストに登録する(ステップS200)。続いて、保管リストに既に登録されている他の対象があるか否かを判定し(ステップS210)、他の対象があればそれらの枚数nを累積した値を下位枚数sとして登録し(ステップS220)、他の対象がなければ下位枚数sに値0を登録する(ステップS230)。ここで、用紙pは内部トレイ50に保管済みの用紙pに重ねて保管されるため、既に保管されている用紙pの枚数nを累積した値は、新たに保管された用紙pに対して自身よりも下位に保管される用紙pの総枚数となる。各情報を保管リストに登録すると、今回用いたクリップ指示位置Ksが値6であるか否かを判定し(ステップS240)、値6のときにはクリップ指示位置Ksに値1を設定し(ステップS250)、値6でないときにはクリップ指示位置Ksに値1を加えた値を新たなクリップ指示位置Ksに設定し(ステップS260)、設定したクリップ指示位置Ksを次回用のクリップ指示位置Ksとしてフラッシュメモリー24に登録して本ルーチンを終了する(ステップS270)。ここで、内部トレイ50に保管されている用紙pの様子を図9に示す。図9では、5つの印刷ジョブに基づいて印刷された用紙pが重ねて保管されており、図示するように、クリップ位置kが(1)から(5)まで順に図中右方向にずれた位置となっている。また、この場合の保管リストの一例を図10に示す。図示するように、本実施例ではフラッシュメモリー24に記憶するものとし、ユーザーIDやパスワード,クリップ位置k,下位枚数sなどの各情報が印刷ジョブ毎に付された管理番号と共に登録される。
【0022】
次に、内部トレイ50に保管された用紙pの排紙処理について説明する。図11は、コントローラー20により実行される親展印刷排紙処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、ユーザーによるボタン類84の操作により、表示部82に表示されたメニューから親展印刷排紙処理が選択されたときに実行される。親展印刷排紙処理ルーチンが実行されると、コントローラー20のCPU21は、まず、ユーザーにユーザーIDとパスワードの入力を促す図示しない認証画面を表示部82に表示し(ステップS400)、ユーザー認証を行なう(ステップS410)。ユーザー認証は、ユーザーにより入力されたユーザーIDおよびパスワードと保管リストに登録されたユーザーIDおよびパスワードとが一致するか否かを判定することにより行なわれる。認証できないときには、図示しないエラー画面を表示して(ステップS420)、再びステップS400に戻る。なお、入力エラーが複数回繰り返されたときには、本ルーチンを終了する。
【0023】
一方、ステップS410で認証できたときには、ユーザーIDおよびパスワードが一致した管理番号を排紙対象に選定すると共に(ステップS430)、排紙対象のクリップ位置kと下位枚数s,枚数nを入力し(ステップS440)、排紙対象の用紙pを引き出すための引出開始位置Ps(Xs,Ys,Zs)を設定する(ステップS450)。引出開始位置Psは、導電端子72A,Bの頂点が排紙対象の用紙pを留めるクリップ100の導電体108に当接する位置として定められるものであり、座標Xsに前述した所定位置X0を設定し、座標Ysに予めクリップ位置毎に登録されたY軸方向の座標のうち入力したクリップ位置kの中心に対応する座標を設定し、座標Zsに入力した下位枚数sに基づいて定められる座標を設定する。ここで、下位枚数sは、自身よりも下位に保管されている用紙pの総枚数でありその値によって内部トレイ50内での排紙対象の用紙pのZ方向の位置が決まるので、排紙対象の用紙pを留めるクリップ100のZ方向の位置座標を設定することができる。こうして引出開始位置Psを設定すると、引出開始位置Psに導電端子72A,Bが移動するよう排紙機構70に駆動指令を送信する(ステップS460)。具体的には、Y軸方向およびZ軸方向に移動した後にX軸方向に移動するよう駆動指令を送信する。なお、この移動に伴って、磁場発生部74の永久磁石74aも引出口50aを上下に挟む位置まで移動し引出口50a付近に磁場Bが発生する。引出開始位置Psに導電端子72A,Bが移動されると、導電端子72A,Bへの通電を開始して(ステップS470)、タイマー26を用いて用紙pの引き出しに必要な所定時間が経過するのを待つ(ステップS480)。電流Iの通電と磁場Bの発生とによりクリップ100にローレンツ力が作用する様子を図12に示す。図示するように、導電体108に導電端子72A側から導電端子72B側へ向かって流れる電流Iと下方から上方に向かって発生する磁場Bとにより用紙pを内部トレイ50から引き出す方向にローレンツ力Fがクリップ100に作用し、このローレンツ力Fにより排紙対象の用紙pが引き出される。なお、排紙対象の用紙pを留めるクリップ100以外のクリップ100は磁場Bの影響を受けても通電されていないのでローレンツ力Fが作用することはない。このローレンツ力により用紙pが引き出される様子を図13に示す。前述したように、導電端子72A,Bは回動可能に構成されると共にねじりコイルバネ72dにより付勢されるから、ローレンツ力Fとねじりコイルバネ72dによる付勢力とがちょうど釣り合う位置まで回動する。即ち、クリップ100への通電を継続しながらローレンツ力Fにより引き出される用紙pのクリップ100の動きに追従することができる(図13(a)参照)。また、永久磁石74aは、用紙pの長辺よりも長い範囲に磁場Bを発生するから、用紙pが内部トレイ50から完全に引き出されるまでクリップ100にローレンツ力Fを作用させることができる。ここで、電流Iと磁場Bの大きさは、他の用紙pが最大限重ねられている状態においても排紙対象の用紙pを引き出すローレンツ力Fを発生できるよう設定されている。これは、例えば、最大限重ねられる用紙pの重さや用紙p同士の摩擦係数などから用紙pを引き出すのに必要な力を算出しその力を上回るローレンツ力Fを発生する電流Iと磁場Bの大きさを設定し、設定した電流Iを通電可能な電源容量や通電部71の通電回路を設計すると共に設定した磁場Bを発生可能な永久磁石74aの磁束密度などを設計することにより行なわれる。用紙pが完全に引き出されると、用紙pは自重で親展用排紙トレイ55に向かって落下する(図13(b)参照)。このとき、前述したように、永久磁石74aは回転軸74eを中心として回動可能に構成されるから、用紙pの落下の動きを大きく妨げることなく用紙pを親展用排紙トレイ55に排紙することができる。これにより、ユーザーが排紙対象の用紙pを取得することができる。なお、前述した所定時間は、ローレンツ力Fにより用紙pを内部トレイ50から完全に引き出すために必要な時間として予め実験などにより求めるものとした。こうして排紙対象の用紙pを排紙すると、導電端子72A,Bへの通電を終了して(ステップS490)、導電端子72A,Bを待機位置に移動させる(ステップS500)。なお、用紙pの枚数によっては自重で落下しない場合もありうるが、その場合には通電の終了によりローレンツ力Fが消滅したときに用紙pは親展用排紙トレイ55に向かって落下することになる。続いて、保管リストから排紙対象のデータを削除して(ステップS510)、他の保管対象があるか否かを判定する(ステップS520)。他の保管対象がなければ、クリップ指示位置Ksを値1にリセットして(ステップS530)、本ルーチンを終了する。他の保管対象があれば、下位枚数sが排紙対象より大きな対象があるか否かを判定し(ステップS540)、対象があるときには、そのうち最も管理番号の大きなものを更新対象に選定し(ステップS550)、更新対象の下位枚数sから排紙対象の枚数nを減じた値を新たな下位枚数sとして更新する(ステップS560)。こうして対象がなくなるまで下位枚数sの更新処理を行なってから、本ルーチンを終了する。
【0024】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。プリンター機構31が「印刷手段」に相当し、内部トレイ50が「保管手段」に相当し、クリップ機構60が「クリップ手段」に相当し、排紙機構70が「排紙手段」に相当し、フラッシュメモリー24が「記憶手段」に相当し、図8の印刷処理ルーチンのステップS100〜120,S140〜270の処理を実行するコントローラー20や印刷指令を受けて印刷を実行するプリンターASIC32が「印刷制御手段」に相当し、図11の親展印刷排紙処理ルーチンを実行するコントローラー20が「排紙制御手段」に相当する。
【0025】
以上説明した本実施形態のプリンター10によれば、親展印刷がなされた用紙pをクリップ機構60により導体108が取り付けられたクリップ100で留めてから内部に配置された内部トレイ50に保管しておき、用紙pの排紙が指示されたときに排紙対象の用紙pを留めるクリップ100の導体108に導電端子72A,72Bを当接させて電流Iを通電すると共に永久磁石74aにより磁場Bを発生させることにより生じるローレンツ力Fによって排紙対象の用紙pを引き出して排紙するから、ユーザーの数に応じた数の保管トレイを用意することなく複数のユーザーからの親展印刷に対応することができる。
【0026】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0027】
上述した実施形態では、クリップ100に内部トレイ50内における左右方向に導体108を取り付けて左右方向に電流Iを通電させると共に内部トレイ50の上下方向に沿って磁場Bを発生させるものとしたが、電流Iと磁場Bとにより生じるローレンツ力Fを内部トレイ50から用紙pを引き出す方向に発生させるものであれば電流Iと磁場Bを如何なる方向に掛けるものとしてもよい。例えば、クリップ100に内部トレイ50内における上下方向に導体108を取り付けて上下方向に電流Iを通電させると共に内部トレイ50の左右方向に沿って磁場Bを発生させるものとしてもよい。
【0028】
上述した実施形態では、磁場発生部74に永久磁石74aを用いて磁場Bを発生させるものとしたが、電磁石を用いて磁場Bを発生させるものとしてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、導電端子72A,72BをX軸方向へ移動させることなく回動させることでクリップ100に追従させるものとしたが、X軸方向への移動を伴って回動させてクリップ100に追従させるものとしてもよい。
【0030】
上述した実施形態では、クリップ位置(1)〜(6)の順に用紙pにクリップ100を留めるものとしたが、これに限られず、ランダムの位置やジグザグの位置に留めるものとしてもよい。クリップ100をジグザグの位置に留めた場合の様子を図14に示す。図14(a)に示すようにクリップ位置(1),(6),(2),(5),(3),(4)の順に留めてクリップ100の水平方向の間隔が下方から上方に向かうにつれて狭くなるものとしてもよいし、これとは反対に図14(b)に示すようにクリップ位置(3),(4),(2),(5),(1),(6)の順に留めるものとしてもよいし、図示は省略するがクリップ位置(1),(4),(2),(5),(3),(6)の順にクリップ100を等間隔に留めるものとしてもよい。また、クリップ機構60が3つのクリップ機構60A〜Cからなりクリップ位置を6箇所としたが、3つ以上のクリップ機構を設け6箇所以上のクリップ位置を有するものとしてもよい。さらに、1つのクリップ機構をY方向の複数の位置をスライドできるよう構成し、複数箇所クリップするものとしてもよい。
【0031】
上述した実施形態では、下位枚数sの値に基づいて引出開始位置Psの座標Zsを設定するものとしたが、クリップ100の大きさによっては座標Zsに影響を与えるものとなるため自身よりも下位に保管されている用紙pを留めるクリップの数をも考慮して座標Zsを設定するものとしてもよい。
【0032】
上述した実施形態では、クリップ機構60で用紙pをクリップ100で留めてから内部トレイ50に保管するものとしたが、内部トレイ50に保管してからクリップ100で留めるものとしてもよい。この場合、内部トレイに45に保管されるときにクリップされる短辺が下位に保管される用紙pよりもクリップ機構側にずれた状態で重ねられるものなどとすればよい。
【0033】
上述した実施形態では、パスワードによりユーザー認証を行なうものとしたが、パスワードに代えて指紋などの生体情報を用いてユーザー認証を行なうものとしてもよい。この場合、例えば、プリンター10に指紋の読み取りや指紋の一致を判定可能な指紋読取装置を備えると共に予め各ユーザーの指紋をユーザーIDと関連付けてフラッシュメモリー24などに登録しておき、指紋読取装置で読み取った指紋が登録されている指紋と一致すると判定されたときにユーザー認証できたものとすればよい。
【0034】
本実施形態では、本発明の印刷装置を印刷機能のみを備えるレーザープリンターに具体化した例を示したが、スキャナー機能などを備えたプリンターとしてもよいし、インクジェットプリンターなどに本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】プリンター10の構成の概略を示すブロック図。
【図2】プリンター10の内部の部分的な構成の概略を示す構成図。
【図3】クリップ機構60の構成の外観を示す外観斜視図。
【図4】クリップ100の外観を示す外観斜視図。
【図5】クリップ機構60により用紙pの短辺をクリップする動作の説明図。
【図6】排紙機構70の構成の側面側の概略を示す側面側構成図。
【図7】排紙機構70の構成の概略を示す構成図。
【図8】印刷処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図9】内部トレイ50に保管されている用紙pの様子を示す説明図。
【図10】保管リストの一例を示す説明図。
【図11】親展印刷排紙処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図12】クリップ100にローレンツ力が作用する様子を示す説明図。
【図13】ローレンツ力により用紙pが引き出される様子を示す説明図。
【図14】クリップ100をジグザグの位置に留めた場合の様子を示す説明図。
【符号の説明】
【0036】
10 プリンター、20 コントローラー、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 フラッシュメモリー、25 ジョブメモリー、26 タイマー、27 ネットワークボード、29 バス、30 プリンター部、31 プリンター機構、32 プリンターASIC、33 感光体、34 現像器、34C,34M,34Y,34K トナーカートリッジ、35 転写ベルト、36 二次転写ユニット、37 定着ユニット、38 経路切替部、39 搬送ローラー、40 仮置きトレイ、41 底板、41a 回転軸、42 側壁、43 前壁、45 トレイ傾斜機構、46 偏心カム、46a 偏心軸、49 斜面、50 内部トレイ、50a 引出口、55 親展用排紙トレイ、60,60A,60B,60C クリップ機構、61 ベース、62 押出アーム、62a,66a ピン、63 ガイド部、63a V字状ガイド、64 供給部、64a 鉛直棒、65 電磁部、66 ロッド、67 スプリング、68 変換機構、68a,68b 長孔、68c 偏心軸、70 排紙機構、71 通電部、72A,72B 導電端子、72a 固定電極、72b 回転電極、72c アーム部、72d ねじりコイルバネ、72d1,72d2 足、73 ケース、73a 段付き軸、73b 開口部、74 磁場発生部、74a 永久磁石、74b N極、74c S極、74d 取付プレート、74e 回転軸、74f スプリング、76 移動機構、77 X軸用移動機構、77a X軸サーボモーター、77b X軸ボールねじ、77c X軸サドル、78 Y軸用移動機構、78a Y軸サーボモーター、78b Y軸ボールねじ、78c Y軸サドル、79 Z軸用移動機構、79a Z軸サーボモーター、79b Z軸ボールねじ、79c Z軸サドル、80 操作パネル、82 表示部、84 ボタン類、90 ネットワーク、92A〜92E コンピューター、100 クリップ、102 挟持部、104 傾斜部、104a 幅広部、104b 幅狭部、104c 貫通孔、106 背面部、108 導電体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信が可能に接続されたユーザー端末から印刷ジョブを受け付けて印刷を実行する印刷装置であって、
給紙された用紙に印刷を実行する印刷手段と、
装置内部に印刷済みの用紙を保管済みの用紙に重ねて保管する保管手段と、
所定の方向に通電可能なクリップを前記保管手段に保管される印刷済みの用紙の一辺の所定の位置に前記所定の方向が該保管手段からの排紙の方向と直交するように留めるクリップ手段と、
前記クリップに通電する通電手段と、前記通電手段を前記保管手段内の所定の範囲内を移動させる移動手段と、通電されている前記クリップに前記保管手段からの排紙の方向にローレンツ力が作用するよう前記所定の方向と直交する方向に磁場を発生させる磁場発生手段とを有し、前記ローレンツ力を利用して前記クリップを移動させることにより該クリップに留められた印刷済みの用紙を引き出すと共に前記通電手段を該クリップの移動に追従させる排紙手段と、
データを記憶する記憶手段と、
前記印刷ジョブが受け付けられたとき、該受け付けられた印刷ジョブに基づいて印刷が実行されるよう前記印刷手段を制御すると共に該印刷ジョブ毎に印刷済みの用紙が前記クリップで留められるよう前記クリップ手段を制御し、前記受け付けられた印刷ジョブで指定された印刷枚数と保管済みの用紙の枚数に関する保管位置情報を該印刷ジョブの識別情報と関連付けて保管情報として前記記憶手段に記憶する印刷制御手段と、
前記印刷ジョブの識別情報を用いた認証を伴って印刷済みの用紙の排紙が指示されたとき、該識別情報に基づいて前記記憶されている保管情報から排紙対象の用紙の保管位置情報を取得し、該取得した保管位置情報に基づいて前記通電手段を該排紙対象の用紙を留めるクリップに当接する位置に移動させるよう前記移動手段を制御すると共に前記ローレンツ力により該排紙対象の用紙が前記保管手段から引き出されて排紙されるよう前記排紙手段を制御し、前記排紙が指示された印刷ジョブの識別情報に対応する保管情報を削除すると共に他の印刷ジョブの識別情報に対応する保管情報のうち保管位置情報を更新する排紙制御手段と
を備える印刷装置。
【請求項2】
前記通電手段は、電源に接続された固定部と該固定部と電気的に接続された回転部とからなる回転接続部と、釣り針状に湾曲し前記回転部に接続された導電アームと、前記導電アームの外側が前記クリップの通電部分に押し付けられるよう付勢する付勢手段とを有する端子部が二つ平行に配置されてなる手段である請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の印刷装置であって、
前記クリップ手段は、前記一辺における複数箇所をクリップ可能な手段であり、
前記印刷制御手段は、前記複数箇所のうち前記受け付けられた印刷ジョブ毎に異なる箇所に前記クリップを留めるよう前記クリップ手段を制御し、該クリップが留められている位置をクリップ位置情報として該印刷ジョブの識別情報と関連付けて前記保管情報に含めて前記記憶手段に記憶する手段であり、
前記排紙制御手段は、前記記憶されている保管情報から前記排紙対象の用紙の保管位置情報と前記クリップ位置情報とを取得し、該取得した保管位置情報とクリップ位置情報とに基づいて前記吸引手段を該排紙対象の用紙を留めるクリップに当接する位置に移動させるよう前記排紙手段を制御する手段である
印刷装置。
【請求項4】
前記印刷制御手段は、前記受け付けられた印刷ジョブ毎に前記一辺の一端側から他端側に向かって所定量ずつ異なる箇所に前記クリップを留めるよう前記クリップ手段を制御する手段である請求項3記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷制御手段は、前記保管手段内で前記クリップがジグザグに並ぶよう前記クリップ手段を制御する手段である請求項3記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−155699(P2010−155699A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335079(P2008−335079)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】