説明

印刷装置

【課題】用紙上の表記情報を判別不能に印刷する際に、表記情報が浮き出ない様に印刷する印刷装置を提供することである。
【解決手段】非読処理が開始されると、文字抽出部101は、特定文字の抽出を行い、次に、文字領域決定部102は、塗りつぶし対象文字であると判断した文字を塗りつぶすための画像データを重ならないように被せることで判読不能となる領域及び塗りつぶし色を仮に決定する(S6)。そして、塗りつぶし処理部103は、塗りつぶし領域を塗りつぶす塗りつぶし処理を行い(S11)、当該処理を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に印刷を実行可能な印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、印刷媒体に印刷されている文字を判別不能にするために、印刷媒体上の文字から塗りつぶし対象となる文字を抽出し、抽出された塗りつぶし対象となる文字を含む塗りつぶし領域を、画像形成装置の印刷部にて塗りつぶす技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−010809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術は、用紙(印刷媒体)に表記されている表記情報(文字)を塗りつぶす際に、塗りつぶす対象の表記情報の上にもトナーなどの印刷剤を重ねて塗りつぶす。従って、表記情報の上の領域とそれ以外の領域とで用紙上の性質の異なる領域に、塗りつぶすための印刷剤が印刷されることで表記情報が塗りつぶされる。
【0005】
この様に、用紙上の性質が異なる領域に印刷が実行されると、それぞれ印刷された領域の印刷品質が異なるために表記情報が浮き出る可能性があり、本来目立たないように塗りつぶしたはずの表記情報が目立ってしまう問題がある。
【0006】
本発明は上記した課題を解決するためになされた発明であり、その目的とするところは、用紙上の表記情報を判別不能に印刷する際に、表記情報が浮き出ない様に印刷する印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1に記載の印刷装置は、印刷剤により用紙に印刷を実行する印刷部と、表記情報が表記されている用紙上の表記情報の縁と、当該表記情報を形成する色と、を抽出する抽出部と、前記印刷部により、前記縁の表記情報側と反対方向の周りを、前記色と同一色の印刷剤によって前記用紙に印刷するように処理する処理部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の印刷装置は、請求項1に記載の印刷装置において、前記処理部は、前記縁から表記情報側と反対方向に間隔を空けて前記印刷を実行するように処理することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の印刷装置は、請求項2に記載の印刷装置において、使用者により用紙の上の凹凸の程度を指定可能な指定部を備え、前記処理部は、前記指定部にて指定された凹凸の程度に応じて、前記間隔の大きさを変更するように処理することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の印刷装置は、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の印刷装置において、前記印刷剤としてのトナーを熱で溶かし用紙に定着させる熱定着部を備え、前記処理部による表記情報が表記されている用紙への前記印刷の際に、前記熱定着部は、前記処理部による前記印刷ではない前記印刷部による印刷よりも熱定着の温度を高く
することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
<請求項1の発明>
用紙上の表記情報の上に重ねて印刷される可能性が低いため、用紙上の表記情報を判別不能に印刷する際に、表記情報が浮き出ない様に印刷することが可能である。
【0012】
<請求項2の発明>
用紙に印刷剤を塗布する際や印刷剤を定着する際に印刷剤が用紙上で滲むなど、予め設定されている印刷領域よりも広がった印刷がなされることがある。従って、印刷の際に縁からの間隔を空けることで、表記情報の上に重ねて印刷がなされる可能性が減るため、印刷剤の広がりを考慮した印刷が可能である。
【0013】
<請求項3の発明>
用紙の上の凹凸の程度により印刷領域の広がる程度が変化する。よって、用紙の凹凸に応じて縁からの間隔を変更することで、用紙の凹凸の程度に応じて印刷剤の広がりを考慮した印刷が可能である。
【0014】
<請求項4の発明>
トナーを高い温度で定着させることで、表記情報と新たに定着するトナーとが馴染むため、表記情報をより判別不能にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1はタンデム型カラープリンタの概略構成を示す模式図である。
【図2】図2はタンデム型カラープリンタ1の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は塗りつぶし領域の様態を示す図である。
【図4】図4は文書紙の表面の凹凸に応じた塗りつぶし領域の様態を示すである。
【図5】図5非読処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は従来と本発明の塗りつぶし様態を比較する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態による印刷装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る印刷装置の一例であるタンデム型カラープリンタの概略構成を示す模式図である。
【0017】
図1に示すように、本発明に係る印刷装置の一例であるタンデム型カラープリンタ1は、本発明の用紙としての一例の記録紙11を収納する給紙部10と、本発明の表記情報が表記されている用紙としての一例の文書紙81を載置する文書トレイ80と、電子写真プロセスにより記録紙11や文書紙81上に所定のトナー像を形成する本発明の印刷部の一例としての4つの画像形成部30C,30M,30Y,30Kと、このトナー像を記録紙11や文書紙81上に定着させる本発明の熱定着部としての一例の定着部40と、給紙部10から画像形成部30Cへ記録紙11や文書紙81を搬送する用紙搬送部20と、記録紙11や文書紙81を排出する排出部50と、文書紙81の文字及び当該文字の色を読み取る読取部70と、外部メディアI/F(インターフェース)部90と、表示パネル120と、本発明の指定部の一例としての操作パネル121とを備えている。
【0018】
給紙部10は、給紙カセット13内に積層載置された記録紙11の束をフィードローラ21の回転動作によって1枚ずつ給紙カセット13の出口側に送り出し、用紙搬送部20に給紙するようになっている。用紙搬送部20は、給紙部10から給紙された記録紙11を画像形成部30C,30M,30Y,30Kに向けて搬送する。
【0019】
文書トレイ80は、表記情報が記載された文書紙81を載置するためのトレイであり、ユーザは、本発明の表記情報の一例としての塗りつぶし対象文字が印刷された文書紙81を文書トレイ80にセットする。載置された文書紙81は、搬送ローラ82に挟持されつつその駆動により用紙センサ24に搬送され、搬送されてきた文書紙81を検知する。
【0020】
用紙センサ24により文書紙81が検知されると、用紙センサ24の下流側に設置されている読取部70は、文書紙81に印刷された文字等及び当該文字等を形成している色を画像データとして読み取る。文書紙81は、読取部70を通過した後、用紙搬送部20により画像形成部30C,30M,30Y,30Kに向けて搬送される。
【0021】
上記4つの画像形成部30C,30M,30Y,30Kは、それぞれシアン、マゼンダ、イエロー、ブラックのトナーに応じて設けられており、上流側からシアントナーを有する第1画像形成部30C、マゼンダトナーを有する第2画像形成部30M、イエロートナーを有する第3画像形成部30Y、ブラックトナーを有する第4画像形成部30Kが直列に配置されている。
【0022】
これら第1〜4画像形成部30C,30M,30Y,30Kは、それぞれ円筒状の感光体ドラム31C,31M,31Y,31Kと、帯電器32C,32M,32Y,32Kと、露光器33C,33M,33Y,33Kと、現像器34C,34M,34Y,34Kと、転写ローラ35C,35M,35Y,35Kと、クリーナー36C,36M,36Y,36Kとから構成されている。
【0023】
またこれら第1〜4の感光体ドラム31C,31M,31Y,31Kと第1〜4の転写ローラ35C,35M,35Y,35Kとにより、一繋がりの用紙搬送ベルト38が狭持されている。
【0024】
用紙搬送ベルト38には、ベルト駆動ローラ62及びベルト従動ローラ61が取り付けられており、このベルト駆動ローラ62及びベルト従動ローラ61が回転することによって用紙搬送ベルト38が走行し、用紙搬送ベルト38上の記録紙11や文書紙81を上流側の第1画像形成部30Cから下流側の第4画像形成部30Kに向かって搬送する。なお、上記現像器34C,34M,34Y,34Kには、それぞれのトナータンク39C,39M,39Y,39Kから本発明の印刷剤の一例であるトナーが適宜供給される。
【0025】
上記第4画像形成部30Kの下流側には定着部40が配置される。定着部40は、画像形成部30C,30M,30Y,30Kにおいてトナー像が転写された記録紙11や文書紙81を加熱及び加圧し、記録紙11や文書紙81上にトナー像を定着させる。
【0026】
そして、定着部40を通過した記録紙11や文書紙81は、用紙搬送路15に送られ、排出部50から排出される。また、図1には図示していないが、タンデム型カラープリンタ1には後述する制御部100(図2参照)が備えられており、この制御部100からの指令によって上記各部が制御されている。
【0027】
表示パネル120は、液晶表示パネル等から構成され、液晶パネル上にタンデム型カラープリンタ1の動作状況等を表示する。また、操作パネル121は、タッチパネルから構成され、ユーザからの各種の操作が入力可能となっている。
【0028】
なお、ユーザが操作パネル121を操作することにより、表記情報である塗りつぶし対象文字が判別不能となるように塗りつぶす非読処理の開始指示が受け付けられる。そして、非読処理の開始指示が受け付けられると、搬送ローラ82による文書紙81の搬送が開
始され、読取部70は文書紙81の読み取りを開始する。
【0029】
外部メディアI/F部90は、所定データの読込を行うスロットであり、持ち運び可能な可搬記憶媒体であるメモリーカード91を着脱可能に構成される。メモリーカード91には、ユーザがコンピュータ等を用いて追加した表記情報を表す特定文字(文字、記号等を含む)が予め記憶されており、外部メディアI/F部90は、メモリーカード91に記憶されている特定文字を読み出す。メモリーカード91として、SD(Secure Digital)メモリーカード等の取り外し可能な各種メモリーカードを用いることができる。
【0030】
図2は、本発明に係る印刷装置の一例であるタンデム型カラープリンタ1の概略構成を示すブロック図である。本図に示す通り、タンデム型カラープリンタ1は、読取部70、画像記憶部71、制御部100、特定文字記憶部151、画像形成部30、定着部40、外部メディアI/F部90、表示パネル120、操作パネル121、用紙センサ24、搬送ローラモータ制御部130を備えている。
【0031】
制御部100は、ROM111に予め記憶しているタンデム型カラープリンタ1全体の動作プログラムをCPU等で実行することにより、図2に示した各構成部分を制御する。また、制御部100は、後述する本発明の抽出部の一例としての文字抽出部101,文字領域決定部102,本発明の処理部の一例としての塗りつぶし処理部103としての働きをする各部を有する。
【0032】
搬送ローラモータ制御部130は、各種ローラの回転駆動を制御する制御部である。搬送ローラモータ制御部130は、制御部100からの指令により搬送ローラ82及びベルト駆動ローラ62等を制御し、記録紙11や文書紙81を搬送可能である。
【0033】
読取部70は、CCD(電荷結合素子)等から構成され、搬送されてきた文書紙81を光学的に読み取り、文書紙81に印刷された文字等及び当該文字等を形成している色を画像データとして取得する。なお、読み取られた文書紙81の画像データは、画像記憶部71に一時的に保存される。
【0034】
特定文字記憶部151には、表記情報となる所定の文字データ(特定文字データ)が予め格納されており、この特定文字データに基づいて表記情報の非読処理が行われる。また、表示パネル120、操作パネル121、外部メディアI/F部90、PC(パーソナルコンピュータ)等を用いて、特定文字記憶部151の特定文字データを、書き換え、追加又は削除することが可能である。
【0035】
すなわち、特定文字記憶部151に記憶されていない特定文字以外の文字を塗りつぶし対象文字に設定したい場合、ユーザは直接操作パネル121により特定文字を追加して特定文字記憶部151に記憶させることができ、次回から入力した文字について再度直接入力する手間を省くことができる。
【0036】
また、外部メディアI/F部90は、各種メモリーカード91に記憶されたデータを読み込むスロットであるため、メモリーカード91に記憶されている特定文字を読み込むことで、特定文字記憶部151に記憶させることが可能である。例えば、追加したい特定文字が多数存在する場合、上記した操作パネル121上からの入力では操作が煩雑となるため、予めメモリーカード91に特定文字を記憶させておき特定文字記憶部151に所望の特定文字を追加することができる。
【0037】
また、制御部100は、後述する文書紙81から得られた画像データを基に、特定文字
を検出して非読処理を行うための塗りつぶし領域を決定することが可能である。
【0038】
制御部100の文字抽出部101は、画像記憶部71にて記憶した文書紙81の画像データから文書紙81上の特定文字である塗りつぶし対象文字を抽出する。すなわち、文字抽出部101は、画像データに対して公知の文字認識処理を実行して画像データ内に含まれる文字を認識し、特定文字記憶部151に記憶されている特定文字のフォントデータを基に、認識した文字が特定文字であるか否かを判別して画像データ内の特定文字と一致する文字を塗りつぶし対象文字として抽出する。さらに、文字抽出部101は、特定文字として抽出した塗りつぶし対象文字の縁及び色を検出する。
【0039】
制御部100の文字領域決定部102は、文字抽出部101によって抽出された特定文字に対し、その特定文字が判読不能になるように塗りつぶすための塗りつぶし領域を決定するとともに、文字抽出部101によって検出した色と同一の色を塗りつぶし領域の色として決定する。
【0040】
塗りつぶし領域としては、塗りつぶし対象文字1文字毎に塗りつぶし領域を決定したり、特定文字が複数の文字及び記号等から構成される場合、又は複数の特定文字が連続する場合、連続する文字列を一纏めにして全体を塗りつぶし可能な領域として決定したりすることができる。
【0041】
例えば、図3(1)に示す文字列「Word」が文書紙81に記載され、特定文字記憶部151の特定文字として「W」が設定されている場合において、図3(1)の文字列のうち塗りつぶし対象文字Lは「W」である。したがって、塗りつぶし対象文字Lの1文字の全体をその構成単位とした場合、実線で示した領域が塗りつぶし領域Raの範囲として決定される。また、塗りつぶし対象文字が「W」,「o」,「r」,「d」と連続して存在する場合には、図3(2)のように当該連続した塗りつぶし対象文字Lの全体を完全に取り囲む領域を1つの塗りつぶし領域Rbの範囲として決定してもよい。
【0042】
このとき、塗りつぶし領域は塗りつぶし対象文字Lと塗りつぶす領域が重ならないように、塗りつぶし対象文字Lの縁から表記情報側とは逆方向の周囲の領域(表記情報を反転した領域)が塗りつぶし領域として決定される。なお、図3(3)は、塗りつぶし領域Rbを示した例である。
【0043】
制御部100の塗りつぶし処理部103は、文字領域決定部102により決定された塗りつぶし領域を文字領域決定部102により決定された色で塗りつぶすための画像データを生成し、画像形成部30Y,30M,30C,30K等を用いて文書紙81上の特定文字に、塗りつぶすための画像データを重ならないように被せることで、結果的に図3(4)のように特定文字を塗りつぶす。
【0044】
このとき塗りつぶし処理部103は定着部40の温度を通常に印刷する際よりも高めに設定し、特定文字を塗りつぶす。これは、文書紙81に確実にトナーを熱定着させるための処理である。トナーの熱定着を確実に行うことで、文書紙81上の塗りつぶし領域と塗りつぶし対象文字の境が馴染み、より識別不能に特定文字を塗りつぶすことが可能である。
【0045】
なお、この塗りつぶし領域は塗りつぶし対象文字に対して少し間隔をあけて決定される。これは文書紙81にトナーによる印刷が実行される際に、塗りつぶし領域よりもトナーがはみ出て印刷されることを考慮してのものである。
【0046】
また、塗りつぶし領域と塗りつぶし対象文字との間隔は、後述する紙の表面の凹凸具合
の設定情報に基づいて変化する。当該文書紙81が光沢紙などの表面の滑らかな紙の場合ははがきなど表面のざらついた紙よりも、印刷を実行すると消耗品であるトナーが伸びやすく、設定された塗りつぶし領域よりも広がってしまう。これは、紙の表面の性質によるもので、一般的には表面の凹凸が滑らかな紙は、表面の凹凸が粗い紙に対してトナーが伸びやすいため、印刷領域として設定した領域よりもよりはみ出てしまう。
【0047】
よって、設定情報が滑らかな紙の場合、図4(1)のように塗りつぶし領域Rbが決定され、設定情報がざらついた紙の場合、図4(2)のように塗りつぶし領域Rbが決定される。なお、図4(3)及び図4(4)は、図4(1)及び図4(2)をそれぞれ塗りつぶし対象文字の「W」,「o」,「r」,「d」に重ならないように被せたことを示した図である。図4(3)と図(4)を比較すると、明らかに図4(3)に比べ図4(4)の塗りつぶし領域Rbと塗りつぶし対象文字Lとの間隔が狭いことが分かる。
【0048】
次に、上記のように構成されたタンデム型カラープリンタ1による非読処理について図5に示すフローチャートに従って説明する。本処理はユーザが表示パネル120及び操作パネル121を用いて、当該非読処理の開始を操作したことに応じて、制御部100によって制御される処理である。
【0049】
ユーザは非読処理の開始を操作する前に、文書紙81を文書トレイ80に載せ、操作パネル121を操作して、当該文書紙81が光沢紙などの表面の滑らかな紙、又ははがきなど表面のざらついた紙かを選択し、予め紙の表面の凹凸具合を設定情報に設定しておく。このとき、文書紙81を読み取る際に、どのような解像度や明るさで読み取るか等の一般的な設定情報も一緒に設定しておく。その後、非読処理の開始を操作する。
【0050】
非読処理が開始されると、まず設定情報が読み込まれる(S1)。次に、制御部100は、画像データの取得を行う。すなわち、制御部100は、非読処理の開始指示を受け付けると、搬送ローラモータ制御部130を用いて搬送ローラ80を駆動し、文書紙81をタンデム型カラープリンタ1内へ搬送させる。このとき、用紙センサ24が文書紙81を検出し、読取部70は、文書紙81の読込みを開始して文書紙81全体を画像データとして取り込み、取り込んだ画像データを画像記憶部71に一旦保存する(S2)。
【0051】
次に、文字抽出部101は、特定文字の抽出を行う。すなわち、文字抽出部101は、画像記憶部71から文書紙81の画像データを取り込み、公知の文字認識処理を実行して文書紙81における文字を認識する。次に、文字抽出部101は、認識した文字が特定文字記憶部151に記憶している特定文字に一致するか否かを判別し、特定文字であると判断した文字を塗りつぶし対象文字として抽出するとともに、塗りつぶし対象文字の色を検出する(S3)。
【0052】
次に、文字抽出部101は、文書紙81の全ての文字に対して特定文字の抽出処理が終了したか否かを判断し(S4)、抽出処理が終了していない場合はS3の抽出処理を繰り返し、抽出処理が終了した場合はステップS5へ処理を移行する。
【0053】
次に、文字抽出部101は、特定文字の有無を判断し(S5)、上記の特定文字の抽出処理を行った結果、文書紙81内に特定文字が存在していた場合には、S6へ処理を移行し、文書紙81内に特定文字が存在していなかった場合には、文字抽出部101は、塗りつぶし処理を行わず、文書紙81をそのままタンデム型カラープリンタ1から排出させて当該処理を終了する。
【0054】
次に、文字領域決定部102は、塗りつぶし領域の仮決定を行う。すなわち、文字領域決定部102は、塗りつぶし対象文字であると判断した文字を塗りつぶすための画像デー
タを重ならないように被せることで判読不能となる領域及び塗りつぶし色を仮に決定する(S6)。
【0055】
次に、S1で読み込んだ設定情報から当該文書紙81が滑らかな紙か否かを判断し(S7)、滑らかな紙である場合は、図4(1)及び図4(3)のように塗りつぶし領域と塗りつぶし対象文字との間隔を広めに設定し塗りつぶし領域を決定する(S8)。また、当該文書紙81が粗い紙である場合は、図4(2)及び図4(4)のように塗りつぶし領域と塗りつぶし対象文字との間隔を狭めに設定し塗りつぶし領域を決定する(S9)。
【0056】
次に、塗りつぶし処理部103は、定着部40の温度を通常よりも高く設定し(S10)、塗りつぶし領域を塗りつぶす塗りつぶし処理を行い(S11)、当該処理を終了する。
【0057】
すなわち、塗りつぶし処理部103は、文字領域決定部102により決定された塗りつぶし領域を文字領域決定部102により決定された色で塗りつぶすための画像データを生成し、当該画像データを印刷部160へ出力して文書紙81上の塗りつぶし領域を塗りつぶす。このとき、定着温度を高めに設定することで、塗りつぶし領域と塗りつぶし対象文字とが馴染み、塗りつぶし対象文字をより識別不能にすることが可能である。
【0058】
ここで、図6を参照し、従来文献のように塗りつぶし対象文字の上から重なるように塗りつぶす場合と、本発明のように塗りつぶし対象文字に重ならないように塗りつぶす場合とを比較して説明する。
【0059】
図6(1)は塗りつぶし対象文字の上から重なるように塗りつぶした場合の文書紙81の表面を横から示した図である。この場合、塗りつぶし対象文字の上に、塗りつぶすためのトナーが印刷されるため、文書紙81の塗りつぶし後の領域には凹凸が出来る。この様に印刷がなされると、塗りつぶし対象文字が浮かび上がってしまうため、塗りつぶし対象文字が識別可能となってしまう。
【0060】
しかしながら、図6(2)のように、塗りつぶし対象文字の上に、塗りつぶすためのトナーが印刷されないようにし、塗りつぶし対象文字の周囲を印刷することで、塗りつぶし対処文字と、塗りつぶし領域が馴染み、塗りつぶし対象文字が識別不能とすることが可能である。
【0061】
このように、非読処理を行えば、文書紙81は塗りつぶし対象文字が塗りつぶされてタンデム型カラープリンタ1から排出される。したがって、塗りつぶし対象文字を識別不能にすることが可能である。
【0062】
なお、本実施の形態では、タンデム型カラープリンタを例として説明したが、これに限定されるものではなく、本発明の非読処理を適用したプリンタ、コピー機、ファクシミリ及びこれらの機能を有する複合機等とすることが可能である。また、本実施の形態では、電子写真式のプリンタを例として説明したが、これに限定されるものではなく、インクジェット方式のプリンタにて本発明を適用することも可能である。
【0063】
また、本発明では表記情報としての塗りつぶし対象文字を公知の文字認識処理を用いて抽出することで塗りつぶし領域を設定しているが、例えばユーザが直接塗りつぶし領域を指定する形態であっても良い。この場合、一度文書紙81を読取部70にて読み取り画像データを作成し、作成した画像データを表示パネル120に表示させる。その後、ユーザが操作パネル121の操作により、表示パネル120に表示された画像データから、塗りつぶし領域を直接指定し、文書紙81に塗りつぶし処理を実行することも可能である。
【0064】
また、本発明では表記情報として塗りつぶし対象文字を例として説明したが、これに限定されるものではなく、例えば文字以外の画像を抽出して本発明の非読処理を適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 タンデム型カラープリンタ
24 搬送ローラ
30 画像形成部
40 定着部
70 読取部
71 画像記憶部
80 文書トレイ
81 文書紙
100 制御部
101 文字抽出部
102 文字領域決定部
103 塗りつぶし処理部
120 表示パネル
121 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷剤により用紙に印刷を実行する印刷部と、
表記情報が表記されている用紙上の表記情報の縁と、当該表記情報を形成する色と、を抽出する抽出部と、
前記印刷部により、前記縁の表記情報側と反対方向の周りを、前記色と同一色の印刷剤によって前記用紙に印刷するように処理する処理部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記処理部は、前記縁から表記情報側と反対方向に間隔を空けて前記印刷を実行するように処理することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置において、
使用者により用紙の上の凹凸の程度を指定可能な指定部を備え、
前記処理部は、前記指定部にて指定された凹凸の程度に応じて、前記間隔の大きさを変更するように処理することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の印刷装置において、
前記印刷剤としてのトナーを熱で溶かし用紙に定着させる熱定着部を備え、
前記処理部による表記情報が表記されている用紙への前記印刷の際に、前記熱定着部は、前記処理部による前記印刷ではない前記印刷部による印刷よりも熱定着の温度を高くすることを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−197550(P2010−197550A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40351(P2009−40351)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】