説明

印刷装置

【課題】FFCを用いずにキャリッジの駆動制御部へと電力供給可能で、しかもコストアップを回避し得る印刷装置を提供する。
【解決手段】インクを吐出するヘッドを具備したキャリッジを有し、該キャリッジの移動中に前記ヘッドを駆動することにより媒体に向けてインクを吐出して前記媒体に画像を印刷する印刷装置である。前記キャリッジに設けられて、電力により前記ヘッドを駆動する駆動制御部と、前記キャリッジを移動する移動機構と、を有する。該移動機構は、前記キャリッジを移動する力を発生する動力源と、該動力源と前記キャリッジとに連結されて、前記動力源の前記力を前記キャリッジに伝達して該キャリッジを移動する導電性伝達部材と、を有する。前記導電性伝達部材を介して前記駆動制御部に前記電力を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置としてインクジェットプリンターが知られている。このプリンターは、インクを吐出するヘッドを保持したキャリッジを有し、該キャリッジの移動中に前記ヘッドを駆動することによりノズルからインクを吐出して、用紙等の媒体に画像を印刷する。
【0003】
このようなプリンターには、ヘッドを駆動する駆動制御部がキャリッジに搭載されているものがある。そして、その場合には、プリンター本体から駆動制御部へと印刷信号を伝送すべく、プリンター本体とキャリッジとは、屈曲性の高いフレキシブルフラットケーブル(以下、FFCとも言う)で連結されている。また、このFFCにおける別の電線を用いて、プリンター本体側の電源ユニットから駆動制御部への電力供給も行われる。
【0004】
しかし、キャリッジの移動の際に、FFCは機構上の物理的障害となり易いことや、FFCを通じて印刷信号等の制御信号にノイズが乗り易い等の問題があることから、FFC省略の要望がある。
【0005】
この点につき、特許文献1には、印刷信号などの制御信号をプリンター本体からキャリッジへと光伝送することが開示されている。また、特許文献2には、キャリッジに燃料電池を搭載して、キャリッジの駆動制御部に電力供給することが開示されている。そして、これらを組み合わせることにより、FFCを無くすことが可能と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−214869号
【特許文献2】特開2005−219288号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、後者の特許文献2の電力供給方法では、燃料電池の搭載に伴いコストアップは必至である。また、燃料電池は発電後に水を生じるために排水機構が必要であり、これもコストアップを助長する。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、FFCを用いずにキャリッジの駆動制御部へと電力供給可能で、しかもコストアップを回避し得る印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための主たる発明は、
インクを吐出するヘッドを具備したキャリッジを有し、該キャリッジの移動中に前記ヘッドを駆動することにより媒体に向けてインクを吐出して前記媒体に画像を印刷する印刷装置であって、
前記キャリッジに設けられて、電力により前記ヘッドを駆動する駆動制御部と、
前記キャリッジを移動する移動機構と、を有し、
該移動機構は、
前記キャリッジを移動する力を発生する動力源と、
該動力源と前記キャリッジとに連結されて、前記動力源の前記力を前記キャリッジに伝達して該キャリッジを移動する導電性伝達部材と、を有し、
前記導電性伝達部材を介して前記駆動制御部に前記電力を供給することを特徴とする印刷装置である。
【0010】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プリンター1のシステム構成のブロック図である。
【図2】プリンター1の内部構成の斜視図である。
【図3】同縦断面図である。
【図4】ヘッド41のノズルの配列図である。
【図5】ヘッドユニット40に係るヘッド駆動回路61の説明図である。
【図6】同説明図である。
【図7】原信号ODRV、印刷信号PRT(i)、及び駆動信号DRV(i)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
インクを吐出するヘッドを具備したキャリッジを有し、該キャリッジの移動中に前記ヘッドを駆動することにより媒体に向けてインクを吐出して前記媒体に画像を印刷する印刷装置であって、
前記キャリッジに設けられて、電力により前記ヘッドを駆動する駆動制御部と、
前記キャリッジを移動する移動機構と、を有し、
該移動機構は、
前記キャリッジを移動する力を発生する動力源と、
該動力源と前記キャリッジとに連結されて、前記動力源の前記力を前記キャリッジに伝達して該キャリッジを移動する導電性伝達部材と、を有し、
前記導電性伝達部材を介して前記駆動制御部に前記電力を供給することを特徴とする印刷装置。
このような印刷装置によれば、導電性伝達部材を介してキャリッジの駆動制御部に電力供給される。よって、FFCや燃料電池等を用いること無く前記駆動制御部へ電力供給可能であり、結果、コストアップを回避可能となる。
【0014】
かかる印刷装置であって、
前記動力源はモーターであり、
前記移動機構は、一対のプーリーと、該一対のプーリーに前記導電性伝達部材として掛け回されたタイミングベルトと、を有し、
前記タイミングベルトは前記キャリッジに固定され、
前記一対のプーリーのうちの一方のプーリーを前記モーターで駆動回転し、
前記一対のプーリーの少なくとも一方のプーリーと前記タイミングベルトとを介して前記駆動制御部に電力を供給するのが望ましい。
このような印刷装置によれば、タイミングベルトを介してキャリッジの駆動制御部に電力供給される。よって、FFCや燃料電池を用いること無く前記駆動制御部へ電力供給可能であり、結果、コストアップを回避可能となる。
【0015】
かかる印刷装置であって、
前記印刷装置は直流電源を有し、
前記一方のプーリーにおいて前記タイミングベルトと当接係合する部分は、導電性に形成され、前記当接係合する部分は、前記直流電源の電力供給用端子と電気的に接続されているのが望ましい。
このような印刷装置によれば、タイミングベルト及びプーリーによって、キャリッジの駆動制御部への電力供給経路が形成され、これにより、FFCや燃料電池等を用いずに済む。
【0016】
かかる印刷装置であって、
前記キャリッジの移動を案内するガイドレールを有し、
前記駆動制御部の回路基板は、その電力供給に係る電力供給用端子と、グランド端子とを有し、
前記電力供給用端子は、前記導電性伝達部材に電気的に接続されており、
前記グランド端子は、前記ガイドレールに電気的に接続され、該ガイドレールを通じて電気的に接地されているのが望ましい。
このような印刷装置によれば、駆動制御部はガイドレールを通じて電気的に接地されているので、接地用の配線を別途設けずに済んで、装置構成を簡略化できる。
【0017】
===印刷装置1の全体構成===
以下、本実施形態に係る印刷装置1として、シリアル式のインクジェットプリンター(以下、プリンター1と言う)を例に説明する。
【0018】
図1はプリンター1のシステム構成のブロック図である。図2Aはプリンター1の内部構成の斜視図であり、図3は同縦断面図である。
プリンター1は、筐体3と、電源ユニット5と、コントローラー10と、搬送ユニット20と、キャリッジユニット30と、ヘッドユニット40と、を有する。そして、プリンター1は、例えば、外部装置であるコンピューター110に接続して使用される。すなわち、コンピューター110から印刷データを受信すると、プリンター1は、コントローラー10によって各ユニット20,30,40を制御し、媒体としての用紙Sに画像を形成する。その際、プリンター1内の状況は検出器群50により監視され、その検出結果に基づきコントローラー10は各ユニット20,30,40を制御する。
【0019】
筐体3は、各ユニット20,30,40を収容する箱体を本体とし、例えばその内側に金属等の導電性素材からなるメカフレーム3aを有する。
【0020】
電源ユニット5は、筐体3に固設されている。そして、電気コード等を介して家庭用ACコンセント等に接続され、これにより42V等のDC電源として機能して各ユニット20,30,40に電力供給する。すなわち、電源ユニット5は、電力供給用の出力端子として42Vの正極端子と、前記メカフレームを介して電気的に接地されたグランド端子と、を有する。
【0021】
コントローラー10も、筐体3に固設されている。そして、インターフェース部11と、CPU12と、メモリー13と、ユニット制御回路14と、を有する。インターフェース部11は、コンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU12は、プリンター1全体の制御を行う演算処理装置であり、ユニット制御回路14を介して各ユニット20,30,40を制御する。メモリー13は、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保する。
【0022】
搬送ユニット20は、用紙Sを印刷可能な位置に送り込むとともに、印刷時に搬送方向に所定の搬送量で用紙Sを搬送するものであり、給紙ローラー21と、搬送モーター22と、搬送ローラー23と、プラテン24と、排紙ローラー25と、を有する。給紙ローラー21は、印刷すべき用紙Sを搬送ローラー23の位置まで送る。そして、搬送ローラー23の方へ送られた用紙Sの先端を、検出器群50の一つである紙検出センサー51が検出すると、コントローラー10は搬送ローラー23を回転させ、用紙Sを印刷開始位置に位置決めする。用紙Sが印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド41の下面41aの少なくとも一部のノズルは、用紙Sと対向している。プラテン24は、ヘッド41の下面41aと対向可能な位置に設けられ、印刷中の用紙Sを下方から支持する。
【0023】
キャリッジユニット30は、ヘッド41を搬送方向と交差する交差方向(以下、キャリッジ移動方向という)に往復移動するものであり、ヘッド41を搭載するキャリッジ32と、筐体3に支持されたガイドレール36と、動力源としてのキャリッジモーター33と、プーリー34a,34bと、タイミングベルト35と、を有する。ガイドレール36は、例えば、キャリッジ移動方向に長い軸体であり、キャリッジ32と係合して同キャリッジ32をキャリッジ移動方向に沿って往復移動可能に案内する。タイミングベルト35は、プーリー34a,34bによってキャリッジモーター33に接続されるとともに、その一部がキャリッジ32に接続されており、そして、キャリッジモーター33の駆動回転により、キャリッジ32を前記キャリッジ移動方向に往復移動させる。これにより、ヘッド41は、用紙Sに対してキャリッジ移動方向に往復移動される。
【0024】
なお、前記プーリー34a,34b及びタイミングベルト35は、キャリッジ32に搭載された後述のヘッド駆動回路61へ給電するための給電系統としても機能し、これについては後述する。
【0025】
ヘッドユニット40は、キャリッジ32に搭載されている。そして、用紙Sにインク滴を吐出するためのヘッド41と、ヘッド41のノズルからインク滴を吐出すべくヘッド41を駆動するヘッド駆動回路61と、を有する(図5を参照)。ヘッド41の下面41aには、ノズルが複数設けられ、各ノズルには、インクが入ったインク室と、インク室の容量を変化させてインク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子とが設けられている。そして、ヘッド駆動回路61が、後述の印刷信号PRT等に基づいてピエゾ素子を駆動することにより、インク滴が吐出される。
【0026】
なお、この印刷信号PRTや後述の原信号生成用パラメーター等の如きヘッド41を駆動するための制御信号は、適宜な無線通信装置によって、前記コントローラー10から、キャリッジ32の前記ヘッド駆動回路61へと無線送信される。すなわち、コントローラー10には送信機が設けられ、キャリッジ32には受信機が設けられている。そして、コントローラー10の送信機から送信される電波をキャリッジ32の受信機が受信することにより、ヘッド駆動回路61は、前記制御信号を取得する。
【0027】
検出器群50には、リニア式エンコーダー52やロータリー式エンコーダー53等が含まれる。リニア式エンコーダー52は、キャリッジ32の位置を検出する。ロータリー式エンコーダー53は、搬送ローラー23の回転量を検出する。
【0028】
このような構成のプリンター1では、キャリッジ移動方向に沿って移動するヘッド41からインク滴を断続的に吐出させ、用紙S上にドットを形成するドット形成動作と、用紙Sを搬送方向に搬送する搬送動作と、を交互に繰り返す。そうすることで、先のドット形成動作により形成されたドット列(ラスタライン)とは搬送方向の異なる位置にドット列が形成され、これにより用紙S上に画像が完成する。
【0029】
なお、このプリンター1は双方向印刷を行うこともでき、つまり、キャリッジ移動方向の往路及び復路において用紙Sに向けてインク滴を吐出して画像を形成することも可能である。その場合には、往路と復路とのドット形成動作の間に、用紙Sの搬送動作が行われる。
【0030】
===ヘッド41及びヘッド駆動回路61について===
図4は、ヘッド41のノズルの配列図である。ヘッド41の下面41aには、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の色毎にそれぞれ複数(例えば180ヶ)のノズル♯1〜♯nからなるノズル列411が設けられている。各ノズル列411の各ノズル♯1〜♯nは、用紙Sの搬送方向に沿って所定のノズルピッチP(例えば180dpi)で直線状に整列されている。また、各ノズル列411は、相互にキャリッジ移動方向に間隔を隔てて平行に配置されている。
【0031】
図5は、ヘッドユニット40に係るヘッド駆動回路61の説明図である。このヘッド駆動回路61(駆動制御部に相当)の回路基板61aはキャリッジ32内に配置されており、同図に示すように、原駆動信号発生部63と、駆動信号整形部65とを備えている。なお、どちらも電気回路で構成されている。
【0032】
ヘッド駆動回路61は、ノズル列411ごと、即ち、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロ(Y)の各色のノズル列411ごとに各々設けられている。また、ノズルごとに個別にピエゾ素子の駆動が行われるようになっている。図中に各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。
【0033】
ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインク量が、インク滴となって各色の各ノズル♯1〜♯180から吐出される。
【0034】
図6に示すように、原駆動信号発生部63には、原信号ODRVの波形形状等を規定する原信号生成用パラメーターが入力され、この原信号生成用パラメーターに基づいて、原駆動信号発生部63は、各ノズル#1〜#nに共通して用いられる原信号ODRVを生成する。ここでは、この原信号ODRVは、一画素分の期間内(キャリッジ32が一画素の間隔を横切る時間内)において、図7に示すように、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。
【0035】
他方、駆動信号整形部65には、図6に示すように、上記の原駆動信号発生部63から原信号ODRVが入力されるとともに、印刷データに基づいて印刷信号PRTが入力される。印刷信号PRTは、一画素に対して割り当てられている画素データに対応した信号である。つまり、印刷信号PRTは、印刷データに含まれる画素データに応じた信号である。そして、駆動信号整形部65では、各ノズル(i)に対応する印刷信号PRT(i)に基づいて、ノズル(i)毎に原信号ODRVを遮断したり通過させたりする。例えば、図7に示すように、印刷信号PRT(i)が2ビット信号で『00』の場合には、原信号ODRVの両パルスW1,W2を遮断し、また、印刷信号PRT(i)が同『01』の場合には、パルスW1のみを遮断してパルスW2は通過させ、印刷信号PRT(i)が同『10』の場合には、パルスW2のみを遮断してパルスW1は通過させ、印刷信号PRT(i)が同『11』の場合には、両パルスW1,W2を通過させる。そして、通過させたパルスを駆動信号DRV(i)として、各ノズル(i)のピエゾ素子に向けて出力する。各ノズル(i)のピエゾ素子は、駆動信号整形部65からの駆動信号DRV(i)に基づいて駆動してインク滴の吐出を行う。
【0036】
===ヘッド駆動回路61への給電について===
上述のヘッド駆動回路61は基本的に電気回路で構成されており、電力により作動する。また、ヘッド駆動回路61の回路基板61aはキャリッジ32に設けられている。そのため、通常は、筐体3側の電源ユニット5とキャリッジ32側の前記回路基板61aとをフレキシブルフラットケーブル(FFC)によって接続することにより、前記回路基板61aに給電している。
【0037】
しかしながら、前述したようにFFCレス化の要望がある。また、本実施形態にあっては、上述したようにヘッド駆動回路61への制御信号の送信は無線送信でなされ、つまり当該制御信号の送信についてはFFCを用いていない。よって、ヘッド駆動回路61への給電をFFC以外の方法で行えるようにすれば、FFCレス化を達成可能である。
【0038】
そこで、本実施形態では、前述したキャリッジ32の移動に係るプーリー34a,34b及びタイミングベルト35を、ヘッド駆動回路61への給電系統としても使用している。以下、詳細に説明する。
【0039】
図2に示すように、一方のプーリー34aは、キャリッジ32の往復移動経路の一端に設けられている。他方のプーリー34bは、同往復移動経路の他端に設けられたキャリッジモーター33の駆動回転軸33bに同芯に固定されている。そして、これら一対のプーリー34a,34bには無端のタイミングベルト35が掛け回されているとともに、タイミングベルト35の一部には、接続部を介してキャリッジ32が接続されている。接続部は、例えばキャリッジ32側に固設された一対の把持部材であり、この把持部材がタイミングベルト35の一部を挟み込むことにより、タイミングベルト35とキャリッジ32とは相対移動不能に物理的に連結されている。よって、タイミングベルト35を介してキャリッジモーター33の駆動力をキャリッジ32に伝達し、これによりキャリッジ32は往復移動される。
【0040】
ここで、タイミングベルト35には、導電性伝達部材の一例として鋼等の金属ベルトが使用されている。また、プーリー34aにおいてタイミングベルト35と当接係合する周面部分も、金属等の導電性素材で形成されており、更には、この周面部分には、電源ユニット5の前記正極端子と電気的に接続されたブラシ部材が摺接している。
【0041】
よって、図5に示すように、タイミングベルト35の前記接続部まで、ヘッド駆動回路61の回路基板61aの電力供給用端子62P(例えば正極端子)を延長して前記タイミングベルト35に電気的に接続するとともに、同回路基板61aのグランド端子62Gを、筐体3の前記メカフレーム3aなどを介して電気的に接地することにより、ヘッド駆動回路61への給電系統が形成される。
【0042】
なお、上述の例では、タイミングベルト35によって従動回転する方のプーリー34aに電源ユニット5を接続し、これにより当該従動プーリー34a経由でヘッド駆動回路61へ給電しているが、何等これに限るものではなく、キャリッジモーター33によって駆動回転する方のプーリー34bに電源ユニット5を接続して、当該駆動プーリー34b経由でヘッド駆動回路61へ給電しても良い。但し、どちらの場合も、電源ユニット5に接続しない方のプーリー(34a又は34b)については、絶縁性素材で形成されているのが望ましい。
【0043】
また、必要に応じて、図示例のようにDC−DCコンバーター67を設け、これにより、電源ユニット5の電圧を、ヘッド駆動回路61が必要とする適宜な電圧(図示例では3.3V)に変圧して給電しても良い。
【0044】
更には、ヘッド駆動回路61のグランド端子62Gを電気的に接地する方法として、前記ガイドレール36を利用しても良い。すなわち、ガイドレール36の少なくとも一部に、ガイドレール36の略全長に亘って導電性部分を設け、この導電性部分に、前記ヘッド駆動回路61のグランド端子62Gを、ブラシ部材等を介して摺接させるとともに、この導電性部分を、筐体3のメカフレーム3aに電気的に接続して接地しても良い。
【0045】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0046】
前述の実施形態では、印刷信号PRT等の制御信号をコントローラー10からキャリッジ32のヘッド駆動回路61へと無線送信する方法として、電波による方法を用いたが、無線送信可能であれば何等これに限るものではない。例えば、前記制御信号を光伝送しても良い。すなわち、レーザー照射部をコントローラー10側に設け、光電気変換部を、キャリッジ32側に設け、レーザー照射部から光電気変換部へと、前記制御信号をレーザー光として伝送しても良い。なお、この場合には、レーザ照射部のレーザー光は、キャリッジ移動方向と平行に照射される。これにより、キャリッジ32の往復移動経路の全範囲に亘って、レーザー照射部は光電気変換部にレーザー光を照射することができる。
前述の実施形態では、導電性伝達部材として金属ベルトを用いたが、何等これに限るものではなく、導電性のチェーンを用いても良い。なお、この場合には、前述の一対のプーリー34a,34bに代えて、一対のスプロケットが使用されることになる。
【0047】
前述の実施形態では、インクの吐出方式として、ピエゾ素子による圧電効果方式を例示したが、何等これに限るものではなく、例えば、インクを加熱して当該インク中に生じる気泡によりインクをノズルから吐出するサーマルジェット方式でも良い。
【符号の説明】
【0048】
1 プリンター(印刷装置)、
3 筐体、3a メカフレーム、
5 電源ユニット、
10 コントローラー、11 インターフェース部、
13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラー、22 搬送モーター、23 搬送ローラー、
24 プラテン、25 排紙ローラー、
30 キャリッジユニット、32 キャリッジ、
33 キャリッジモーター(動力源、モーター)、33b 駆動回転軸、
34a プーリー、34b プーリー、35 タイミングベルト(導電性伝達部材)、
36 ガイドレール、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、41a 下面、
50 検出器群、51 紙検出センサー、
52 リニア式エンコーダー、53 ロータリー式エンコーダー、
61 ヘッド駆動回路(駆動制御部)、61a 回路基板、
62G グランド端子、62P 電力供給用端子、
63 原駆動信号発生部、65 駆動信号整形部、67 DC−DCコンバーター、
110 コンピューター、
411 ノズル列、
S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するヘッドを具備したキャリッジを有し、該キャリッジの移動中に前記ヘッドを駆動することにより媒体に向けてインクを吐出して前記媒体に画像を印刷する印刷装置であって、
前記キャリッジに設けられて、電力により前記ヘッドを駆動する駆動制御部と、
前記キャリッジを移動する移動機構と、を有し、
該移動機構は、
前記キャリッジを移動する力を発生する動力源と、
該動力源と前記キャリッジとに連結されて、前記動力源の前記力を前記キャリッジに伝達して該キャリッジを移動する導電性伝達部材と、を有し、
前記導電性伝達部材を介して前記駆動制御部に前記電力を供給することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記動力源はモーターであり、
前記移動機構は、一対のプーリーと、該一対のプーリーに前記導電性伝達部材として掛け回されたタイミングベルトと、を有し、
前記タイミングベルトは前記キャリッジに固定され、
前記一対のプーリーのうちの一方のプーリーを前記モーターで駆動回転し、
前記一対のプーリーの少なくとも一方のプーリーと前記タイミングベルトとを介して前記駆動制御部に電力を供給することを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載の印刷装置であって、
前記印刷装置は直流電源を有し、
前記一方のプーリーにおいて前記タイミングベルトと当接係合する部分は、導電性に形成され、前記当接係合する部分は、前記直流電源の電力供給用端子と電気的に接続されていることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の印刷装置であって、
前記キャリッジの移動を案内するガイドレールを有し、
前記駆動制御部の回路基板は、その電力供給に係る電力供給用端子と、グランド端子とを有し、
前記電力供給用端子は、前記導電性伝達部材に電気的に接続されており、
前記グランド端子は、前記ガイドレールに電気的に接続され、該ガイドレールを通じて電気的に接地されていることを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−46118(P2011−46118A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197183(P2009−197183)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】