説明

印刷装置

【課題】画像データを回転させる必要が生じた場合でも、高速に印刷できる印刷装置を提供すること。
【解決手段】受付けた印刷の途中で印刷用紙の向きが変わっても(印刷用紙60→印刷用紙61)、横向きの画像データ41と、縦向きの画像データ42とが、予め作成、記憶されているので、そのどちらかを用いて印刷するかが決定される。よって、受付けた印刷の途中で印刷用紙の向きが変わっても、受付けた印刷の途中から画像データを回転させる必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、格納された画像データの方向と記録紙の方向とに基づいて、必要に応じて画像データの方向を回転して印刷する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−155063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、画像データを回転させる必要が生じた場合、画像データを回転させて印刷する必要があり、高速に印刷できないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、画像データを回転させる必要が生じた場合でも、高速に印刷できる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の印刷装置は、載置部から給紙される印刷媒体に印刷部によって画像を印刷するものであって、前記印刷媒体に印刷する画像データを取得する取得手段と、その取得手段によって取得した画像データの印刷設定を受付ける受付手段と、前記取得手段によって取得した画像データから縦向きの印刷データと、横向きの印刷データとを作成する作成手段と、その作成手段によって作成した縦向きの印刷データと、横向きの印刷データとを記憶部に記憶する記憶手段と、前記受付手段によって受付けた印刷設定に基づいて、前記記憶手段によって前記記憶部に記憶されている縦向きの印刷データと、横向きの印刷データとのうち、いずれの印刷データを用いて印刷するかを決定する決定手段と、その決定手段によって決定された印刷データを用いて印刷する印刷手段とを備えている。
【0007】
尚、作成手段によって作成する縦向きの印刷データと、横向きの印刷データとは、実際に印刷をする場合に使用する形式の画像データ、すなわち印刷データに限られず、実際に印刷をする場合に使用する形式とは別形式の画像データを含むものであり、取得手段により取得した画像データに基づいて、印刷するために作成される画像データであればその形式は問わない。
【0008】
また、本発明は、印刷制御装置、該印刷制御装置を含む印刷装置、印刷制御方法、印刷制御装置を制御するコンピュータプログラム、該コンピュータプログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で実現可能である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の印刷装置によれば、縦向きの印刷データと、横向きの印刷データとが記憶部に記憶されているので、画像データを回転させる必要が生じた場合でも、いずれの印刷データを用いて印刷するかを決定すれば良い。よって、画像データを回転させる必要が生じた場合でも、高速に印刷できるという効果がある。
【0010】
請求項2記載の印刷装置によれば、同じ画像データを複数印刷する場合に、縦向きの印刷データと、横向きの印刷データとを作成する。よって、請求項1に記載の印刷装置の奏する効果に加え、同じ画像データを印刷する度に、画像データを回転させる必要がないので、高速に印刷できるという効果がある。
【0011】
請求項3記載の印刷装置によれば、縦向きの印刷データと、横向きの印刷データとのうち、印刷に用いられる印刷データは、検出手段によって検出される印刷媒体の向きと一致する向きの印刷データに決定される。よって、請求項2記載の印刷装置の奏する効果に加え、印刷媒体の向きに拘わらず、同じ画像データを印刷する度に、画像データを回転させる必要がないので、高速に印刷できるという効果がある。
【0012】
請求項4記載の印刷装置によれば、一の載置部から給紙していた印刷媒体が無くなり、別の載置部に載置されている印刷媒体を給紙し、その別の載置部に載置されていた印刷媒体の向きが、一の載置部に載置されていた印刷媒体の向きと異なる場合、一の載置部から給紙される印刷媒体について用いた印刷データの向きとは、異なる向きの印刷データを用いて印刷する。よって、請求項3に記載の印刷装置の奏する効果に加え、受付けた印刷の途中で印刷媒体の向きが変わっても、受付けた印刷の途中で画像データを回転させる必要がないので、高速に印刷できるという効果がある。
【0013】
請求項5記載の印刷装置によれば、載置部の各々に載置されている印刷媒体の向きが全て同じ向きである場合には、印刷媒体の向きと一致する向きの印刷データのみを作成するため、請求項4に記載の印刷装置の奏する効果に加え、縦向きの印刷データと、横向きの印刷データとの両方を作成しない分、高速に印刷することができるという効果がある。
【0014】
請求項6記載の印刷装置によれば、印刷媒体の向きに対し、レイアウト指示で指示されている各画像データの向きが縦向きか、横向きかを判断し、その判断した向きと同じ向きの印刷データに決定する。よって、請求項3から5のいずれかに記載の印刷装置の奏する効果に加え、レイアウト指示に拘わらず、同じ画像データを印刷する度に、画像データを回転させる必要がないので、高速に印刷できるという効果がある。
【0015】
請求項7記載の印刷装置によれば、印刷媒体の向きに対し、配置指示で指示されている画像データの向きが縦向きか、横向きかを判断し、その判断した向きと同じ向きの印刷データに決定する。よって、請求項3から5のいずれかに記載の印刷装置の奏する効果に加え、配置指示に拘わらず、同じ画像データを印刷する度に、画像データを回転させる必要がないので、高速に印刷できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態であるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】MFPの使用例1を説明するための図である。
【図3】MFPの使用例2を説明するための図である。
【図4】MFPの使用例3を説明するための図である。
【図5】印刷処理を示すフローチャートである。
【図6】第1印刷処理を示すフローチャートである。
【図7】第2印刷処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の印刷装置の一実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1の電気的構成を示したブロック図である。
【0018】
MFP1は、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャン機能、プリンタ機能、などの各種機能を有しており、特に、コピー機能を使って画像を印刷する場合に、原稿から読取った画像データを回転させる必要が生じても、高速に印刷できる装置である。
【0019】
MFP1には、CPU10、ROM11、RAM12、フラッシュメモリ14、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、第1〜第4用紙向きセンサ22〜25、NCU26、モデム27、ネットワークI/F28が主に設けられている。
【0020】
CPU10、ROM11、RAM12、フラッシュメモリ14は、バスライン29を介して互いに接続されている。また、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、第1〜第4用紙向きセンサ22〜25、NCU26、モデム27、ネットワークI/F28、バスライン29は、入出力ポート30を介して互いに接続されている。
【0021】
CPU10は、ROM11やフラッシュメモリ14に記憶される固定値やプログラム、RAM12に記憶されているデータ、或いは、NCU26を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート30と接続された各部を制御する。
【0022】
ROM11は、印刷プログラム11aが記憶された書換不能なメモリである。CPU10は、印刷ブログラム11aに従い、印刷処理(図5)、第1印刷処理(図6)、第2印刷処理(図7)の各処理を実行する。
【0023】
フラッシュメモリ14は、書換可能な不揮発性のメモリであり、トレイ設定メモリ14aと、縦横画像データメモリ14bとが設けられている。MFP1には、印刷用紙を収容するトレイが4つ設けられており、トレイ設定メモリ14aには、各トレイ毎に収容される印刷用紙のサイズ、向き等が記憶されている。
【0024】
コピー機能の実行時には、トレイ設定メモリ14aに記憶されている情報を、各トレイ毎にLCD16に表示する。LCD16に表示する情報に基づき、ユーザから所定のトレイが指定されると、そのトレイを指定トレイとし、指定トレイに収容されている印刷用紙を使って印刷を開始する。
【0025】
縦横画像データメモリ14bには、スキャナ20で読み取った画像データから作成した縦向きの画像データと、横向きの画像データとが記憶されている。本実施形態では、スキャナ20に対し、原稿の長手方向が垂直である場合、画像データの向きを横向き、スキャナ20に対し、原稿の長手方向が平行である場合に、画像データの向きを縦向きとする。
【0026】
また、縦横画像データメモリ14bに記憶する縦向きの画像データと、横向きの画像データとは、RGB値をYMCK値に色変換した印刷データに限られない。例えば、RGB値をYCbCrに色変換して圧縮したYCbCr−JPEG形式の画像データ等、RGB値を色変換して圧縮した形式の画像データであっても良い。つまり、本実施形態において縦横画像データメモリ14bに記憶される縦向き及び横向きの画像データは、スキャナ20で読み取った画像データに基づいて、印刷するために作成される画像データであればよく、実際に印刷される印刷データの形式の画像データであっても、その印刷データを作成する過程で作成される画像データであっても良い。
【0027】
操作キー15は、ユーザからの指示を受付ける押しボタンであり、例えば、スタートキー、テンキー等で構成され、操作キー15を介してユーザからの指示を受付けることができる。
【0028】
LCD16は、液晶表示装置であり、操作手順、ユーザへのコメント等を表示する。タッチパネル17は、LCD16の画面全域に設けられ、ユーザがタッチしたLCD16の画面上の位置を検出する。CPU10は、タッチした位置に応じてユーザからの指示を受付けることができる。また、コピー機能実行時には、LCD16に印刷設定画面が表示され、印刷設定として、例えば、印刷部数、トレイ、レイアウト、画質等を、ユーザから受付ける。尚、本実施形態では、レイアウトとして、1in1,2in1,4in1、自由レイアウトのいずれかを設定することが可能である。これらレイアウトの詳細については後述する。
【0029】
スキャナ20は、ファクシミリ機能、スキャン機能、又は、コピー機能の実行時に、原稿を読み取って画像データに変換する読取動作を行う。ガラス板上に原稿が載置されると、原稿がスキャナ20によって読み取られる。
【0030】
プリンタ21は、ファクシミリ機能、プリンタ機能の実行時に、所謂レーザー方式によって印刷用紙に画像を印刷する印刷動作を行う。第1〜第4用紙向きセンサ22〜25は、各トレイに設けられ、各トレイに収容されている印刷用紙の向きを検出するセンサである。
【0031】
本実施形態では、印刷用紙がトレイからプリンタ21に向かって長手方向側から給紙される場合、その印刷用紙の向きを横向き、印刷用紙がトレイからプリンタ21に向かって短手方向側から給紙される場合、その印刷用紙の向きを縦向きとする。
【0032】
NCU26は、電話回線の制御を行うものであり、モデム27は、ファクシミリ送信時には送信信号を電話回線での伝送に適した形態に変調し、ファクシミリ受信時には電話回線から送られてきた変調信号を復調する。ネットワークI/F28は、インターネット、ローカルエリアネットワークを介して、例えば、パーソナルコンピュータと接続するためのインターフェイスである。
【0033】
図2乃至図4を参照して、MFP1の使用例1乃至3について説明する。図2は、MFP1の使用例1を説明するための図である。使用例1では、原稿から読み取った横向きの画像データ40を、第1トレイに収容されている横向きの印刷用紙60に、1in1で、4部印刷する印刷設定を、受付けた場合について説明する。尚、1in1とは、印刷用紙の向きと、画像データの向きとを一致させ、1枚の印刷用紙に1ページ分の画像データを印刷するレイアウト指示を示している。
【0034】
MFP1は、原稿から読み取った横向きの画像データ40から、横向きの画像データ41と、縦向きの画像データ42とを作成し、縦横画像データメモリ14bに記憶する。MFP1は、レイアウト指示が1in1であり、印刷用紙の向きが横向きであることに基づいて、印刷用紙の向きと一致する横向きの画像データ41を、印刷に用いることに決定し、印刷を開始する。
【0035】
そして、2部まで印刷した所で、第1トレイに用紙切れが発生すると、MFP1は、第1トレイとは別の第2トレイに収容されている印刷用紙を使って印刷を続行するが、第2トレイからは縦向きの印刷用紙が給紙される。即ち、2部目までと、3部目からとで印刷用紙の向きが異なる。
【0036】
この場合、MFP1は、レイアウト指示が1in1であり、印刷用紙の向きが縦向きであることに基づき、印刷用紙の向きと一致する縦向きの画像データ42を印刷に用いることに決定し、残り2部の印刷を行う。
【0037】
使用例1によれば、受付けた印刷の途中で印刷用紙の向きが変わっても(印刷用紙60→印刷用紙61)、横向きの画像データ41と、縦向きの画像データ42とが、予め、作成、記憶されているので、いずれの画像データを用いて印刷するかを決定すれば良く、受付けた印刷の途中で画像データを回転させる必要がない。よって、高速に印刷できる。
【0038】
図3は、MFP1の使用例2を説明するための図である。使用例2では、2枚の原稿の各々から読み取った横向きの画像データ45,46を、第1トレイに収容されている横向きの印刷用紙60に、2in1で、4部印刷する印刷設定を、受付けた場合について説明する。即ち、使用例2は、2in1である点で使用例1と異なる。尚、2in1とは、印刷用紙の向きと、画像データの向きとを直交させ、1枚の印刷用紙に2ページ分の画像データを並べて印刷するレイアウト指示を示している。
【0039】
MFP1は、画像データ45,46の各々から、横向きの画像データ47,48と、縦向きの画像データ49,50とを作成し、縦横画像データメモリ14bに記憶する。MFP1は、レイアウト指示が2in1、印刷用紙の向きが横向きであることに基づき、印刷用紙の向きと直交する縦向きの画像データ49,50を印刷に用いることに決定し、印刷を開始する。
【0040】
そして、2部目まで印刷した所で、用紙切れが発生すると、MFP1は、使用例1と同様に、縦向きの印刷用紙61がセットされている第2トレイから印刷用紙を給紙し、印刷設定が2in1、印刷用紙の向きが縦向きであることに基づき、印刷用紙の向きと直交する横向きの画像データ47,48を印刷に用いることに決定し、残り2部の印刷を行う。
【0041】
使用例2によれば、使用例1と同様に、受付けた印刷の途中で印刷用紙の向きが変わっても、高速に印刷できる。また、1枚の印刷用紙に複数の画像データを配置して印刷するレイアウト指示でも、印刷する度に、画像データを回転させる必要がないので、高速に印刷できる。
【0042】
図4は、MFP1の使用例3を説明するための図である。使用例3では、2枚の原稿の各々から読み取った横向きの画像データ51,52を、第1トレイに収容されている横向きの印刷用紙60に、1in1で、読み込み順に2部印刷する印刷設定を、受付けた場合について説明する。
【0043】
また、使用例3では、指定した第1トレイに横向きの印刷用紙60が収容されていた場合と、縦向きの印刷用紙62が収容されていた場合とについて説明する。尚、第1トレイに収容されている印刷用紙の向きは、第1用紙向きセンサ22によって検出される。
【0044】
MFP1は、印刷設定を受付けると、画像データ51,52から、横向きの画像データ53,54と、縦向きの画像データ55,56とを作成し、縦横画像データメモリ14bに記憶する。MFP1は、印刷設定で指定した第1トレイに横向きの印刷用紙60が収容されていれば、レイアウト指示が1in1、印刷用紙の向きが横向きであることに基づき、印刷用紙の向きと一致する横向きの画像データ53,54を印刷に用いることに決定し、読み込み順に2部印刷する。
【0045】
一方、MFP1は、印刷設定で指定した第1トレイに、横向きの印刷用紙60でなく、縦向きの印刷用紙62が収容されていれば、レイアウト指示が1in1、印刷用紙の向きが縦向きであることに基づき、印刷用紙の向きと一致する縦向きの画像データ55,56を用いて印刷することを決定し、読み込み順に2部印刷する。
【0046】
使用例3によれば、指定トレイに、トレイ設定メモリ14aに記憶されている印刷用紙の向き(横向きの印刷用紙60)、とは異なる向きの印刷用紙(縦向きの印刷用紙61)が収容されており、予期しない印刷用紙が給紙されても、印刷用紙の向きは、第1用紙向きセンサ22によって検出され、その検出結果に基づいて、縦向きの画像データ55,56を用いて印刷することが決定される。よって、印刷用紙の向きに拘わらず、印刷する度に、画像データを回転させる必要がないので、高速に印刷できる。
【0047】
図5は、印刷処理を示すフローチャートである。印刷処理は、原稿がセットされた場合に、MFP1のCPU10によって実行される処理である。
【0048】
CPU10は、原稿がセットされると、その原稿サイズを検出し(S501)、印刷設定を受付ける(S502)。尚、印刷設定として、例えば、印刷部数、レイアウト、トレイ、画質等を受付ける。
【0049】
CPU10は、印刷設定を受付けると、印刷設定で指定された指定トレイに印刷用紙が有るかを判断し(S503)、無ければ(S503:No)、本処理を終了し、有れば(S503:Yes)、セットされた原稿を読み取る(S504)。
【0050】
CPU10は、受付けた印刷部数が複数か(S505)、トレイは一つか(S506)、各トレイの印刷用紙は全て同じ向きかを判断する(S507)。尚、S506,S507では、トレイ設定メモリ14aに記憶されている情報から判断する。
【0051】
CPU10は、受付けた印刷部数が複数であり(S505:Yes)、トレイが一つでない(S506:No)、各トレイの印刷用紙の向きが全て同じでないと判断した場合(S507:No)、S504で読み取った画像データから、縦向きの画像データと、横向きの画像データとを作成し、縦横画像データメモリ14bに記憶する(S508)。
【0052】
そして、CPU10は、図6に示す第1印刷処理によって(S509)、S508で記憶した縦向きの画像データと、横向きの画像データとのいずれを用いて印刷するかを、印刷用紙の向きと、受付けた印刷設定とに基づいて決定し、その決定した画像データを用いて印刷し、本処理を終了する。
【0053】
一方、CPU10は、受付けた印刷部数が複数でない(S505:No)、使用可能トレイが一つである(S506:Yes)、各トレイの印刷用紙の向きが全て同じであると判断した場合には(S507:Yes)、S508の処理は行わず、図7に示す第2印刷処理によって(S510)、画像データを印刷し、本処理を終了する。
【0054】
受付けた印刷部数が複数でない、即ち、1部の場合(S505:No)、読み取った画像データを回転させる必要があっても1回である。よって、かかる場合には、S508の処理のように、予め、縦向きの画像データと、横向きの画像データとを作成しない分、高速に印刷できる。
【0055】
また、トレイが一つである場合(S506:Yes)、トレイが複数でも、各トレイの印刷用紙の向きが全て同じである場合には(S507:Yes)、受付けた印刷の途中で印刷用紙の向きが変わり、受付けた印刷の途中で画像データの向きを変える必要がない。よって、かかる場合には、S508の処理のように、予め、縦向きの画像データと、横向きの画像データとを作成しない分、高速に印刷できる。
【0056】
図6は、第1印刷処理を示すフローチャートである。第1印刷処理は、図5のS508の処理で作成、記憶した縦向きの画像データと、横向きの画像データとのうち、いずれの画像データを用いて印刷するかを決定し、その決定した画像データを用いて印刷する処理であり、MFP1のCPU10で実行される。
【0057】
CPU10は、指定トレイから給紙される印刷用紙の向きが縦向きかを判断する(S601)、印刷用紙の向きが縦向きであると判断した場合(S601:Yes)、縦横画像データメモリ14bに記憶されている縦向きの画像データを選択するか、横向きの画像データを選択するかを判断する(S602)。
【0058】
例えば、印刷設定に含まれるレイアウト指示として、1in1の指示を受付けた場合には、印刷用紙の向き(縦)と一致する縦向きの画像データを選択し(S602:Yes)、縦向きの画像データを用いて印刷し(S603)、S608の処理に移行する。2in1の指示を受付けた場合には、印刷用紙の向き(縦)と直交する横向きの画像データを選択し(S602:No)、横向きの画像データを用いて印刷し(S604)、S608の処理に移行する。4in1の指示を受付けた場合には、縦向きの画像データを選択し(S602:Yes)、印刷用紙の向き(縦)と一致する縦向きの画像データを用いて印刷し(S603)、S608の処理に移行する。尚、4in1とは、印刷用紙の向きと、画像データの向きとを一致させ、1枚の印刷用紙に4ページ分の画像データを印刷するレイアウト指示を示している。
【0059】
一方、CPU10は、S601の処理において、指定トレイから給紙される印刷用紙の向きが縦向きでない、横向きである判断した場合(S601:No)、縦横画像データメモリ14bに記憶されている縦向きの画像データを選択するか、横向きの画像データを選択するかを判断する(S605)。
【0060】
例えば、レイアウト指示として、1in1の指示を受付けた場合には、印刷用紙の向き(横)と一致する横向きの画像データを選択し(S605:Yes)、横向きの画像データを用いて印刷し(S606)、S608の処理に移行する。2in1の指示を受付けた場合には、印刷用紙の向き(横)と直交する縦向きの画像データを選択し(S605:No)、縦向きの画像データを用いて印刷し(S607)、S608の処理に移行する。4in1の指示を受付けた場合には、印刷用紙の向き(横)と一致する横向きの画像データを選択し(S605:Yes)、横向きの画像データを用いて印刷し(S606)、S608の処理に移行する。
【0061】
このように、S602、S605の処理では、S601の印刷用紙の向きと、図5のS502で受付けたレイアウト指示(1in1、2in1、4in1)とに基づいて、縦横画像データメモリ14bに記憶されている縦向きの画像データを選択するか、横向きの画像データを選択するかを判断している。よって、印刷用紙の向き、レイアウト指示に拘わらず、印刷する度に、画像データを回転させる必要がない。よって、高速に印刷できる。
【0062】
S608の処理において、CPU10は、次ページが有るかを判断し(S608)、無ければ(S608:No)、本処理を終了し、有れば(S608:Yes)、指定トレイに印刷用紙が有るかを判断し(S609)、有れば(S609:Yes)、その印刷用紙に印刷すべく、S601からの処理を繰り返す(S601)。
【0063】
一方、S609の処理において、CPU10は、指定トレイに印刷用紙が無いと判断した場合(S609:No)、別のトレイに印刷用紙が有るかを判断し(S610)、無ければ(S610:No)、S613の処理に移行する。
【0064】
S610の処理において、別のトレイに用紙が有れば(S610:Yes)、その別のトレイに収容されている印刷用紙のサイズが、受付けた印刷用紙サイズと一致するかを判断し(S611)、受付けた印刷用紙サイズと一致すれば(S611:Yes)、その別トレイを新たな指定トレイとして設定し(S612)、S601からの処理を繰り返す。
【0065】
新たな指定トレイから給紙される印刷用紙の向きが、先の指定トレイから給紙される印刷用紙の向きと異なっていても、横向きの画像データと、縦向きの画像データとは、既に記憶されているので、上述した通り、そのどちらかを用いて印刷するかを決定すれば良い(S602,S605)。よって、受付けた印刷の途中で印刷用紙の向きが変わっても、受付けた印刷の途中から画像データを回転させる必要がないので、高速に印刷できる。
【0066】
一方、CPU10は、S611の処理において、別のトレイに収容されている印刷用紙のサイズが、受付けた印刷用紙サイズと異なる場合(S611:No)、S613の処理に移行する。
【0067】
S613の処理では、CPU10は、全トレイについてS610,S611の処理をしたかを判断し(S613)、していない場合には(613:No)、S610からの処理を繰り返し、している場合には(S613:Yes)、適切な印刷用紙が無いとして、本処理を終了する。
【0068】
図7は、第2印刷処理を示すフローチャートである。第2印刷処理は、第1印刷処理とは異なり、受付けた印刷設定に基づいて、縦向きの画像データ、または、横向きの画像データを作成し、印刷する処理であり、MFP1のCPU10によって実行される。
【0069】
即ち、図6で説明した第1印刷処理は(S509)、縦向きの画像データと、横向きの画像データとを作成、記憶しておき、いずれの画像データを用いるかを決定していたのに対し、第2印刷処理は(S510)、印刷用紙の向きと、印刷設定とに基づいて、縦向きの画像データ、または、横向きの画像データを作成し、その作成した画像データに基づいて印刷する点で第1印刷処理と異なる。
【0070】
尚、図7に示すS608以降の処理は、図6で説明した第1印刷処理の処理と同様であるため、図6と同じステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0071】
CPU10は、指定トレイから給紙される印刷用紙の向きが縦向きかを判断する(S701)、印刷用紙の向きが縦向きであると判断した場合(S701:Yes)、縦向きの画像データを作成するか、横向きの画像データを作成するかを判断する(S702)。
【0072】
例えば、印刷設定に含まれるレイアウト指示として、1in1の指示を受付けた場合には、印刷用紙の向き(縦)と一致する縦向きの画像データを作成するとして(S702:Yes)、縦向きの画像データを作成し、印刷し(S703)、S608の処理に移行する。2in1の指示を受付けた場合には、印刷用紙の向き(縦)と直交する横向きの画像データを作成するとして(S702:No)、横向きの画像データを作成し、印刷し(S704)、S608の処理に移行する。
【0073】
一方、CPU10は、S701の処理において、指定トレイから給紙される印刷用紙の向きが縦向きでない、横向きである判断した場合(S701:No)、縦向きの画像データを作成するか、横向きの画像データを作成するかを判断する(S705)。
【0074】
例えば、レイアウト指示として、1in1の指示を受付けた場合には、印刷用紙の向き(横)と一致する横向きの画像データを作成するとして(S705:Yes)、横向きの画像データを作成、印刷し(S706)、S608の処理に移行する。2in1の指示を受付けた場合には、印刷用紙の向き(横)と直交する縦向きの画像データを作成するとして(S705:No)、縦向きの画像データを作成、印刷し(S707)、S608の処理に移行する。尚、S608の処理以降、CPU10は、図6で説明したのと同様の処理を行い、本処理を終了する。
【0075】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0076】
例えば、上述した実施形態では、4つのトレイを備えたMFP1について説明したが、トレイの数は4つに限定されるものではなく、手差しトレイを含め、1つ以上あれば良い。また、手差しトレイを含む2つ以上のトレイがある場合には、各トレイにおける印刷用紙の向きが異なる可能性があり、受付けた印刷の途中で印刷用紙の向きが変わる可能性がある。よって、かかる場合には、縦向きの画像データと横向きの画像データとを作成、記憶しておくことで、本実施形態で説明したのと同様な効果がある。
【0077】
また、印刷設定のレイアウトとして、複数ページ分の画像データ各々について印刷用紙に対して縦向きまたは横向きに配置するかを設定し、それら複数の画像データを1枚の印刷用紙に並べて印刷する自由レイアウトを設定可能としてもよい。自由レイアウトが指示され、縦向きの印刷用紙に対し印刷が行われる場合には、横向きに配置される画像データに対しては印刷用紙の向き(縦)と直交する横向きの画像データを選択し(S602:NO)、一方、縦向きに配置される画像データに対しては印刷用紙の向き(縦)と同じ縦向きの画像データを選択するとよい(S602:YES)。また、自由レイアウトが指示され、横向きの印刷用紙に対し印刷が行われる場合には、横向きに配置される画像データに対しては印刷用紙の向き(横)と直交する縦向きの画像データを選択し(S605:NO)、一方、縦向きに配置される画像データに対しては印刷用紙の向き(横)と同じ横向きの画像データを選択するとよい(S605:YES)なお、自由レイアウトが指示された場合には、1枚の印刷用紙に印刷される画像データの個数分だけS601〜S607の処理を繰り返し、その1枚の印刷用紙に印刷される複数の画像データすべてについて処理が完了した場合に、S608に処理を移行するとよい。
【0078】
また、本実施形態では、第1〜第4用紙センサ22〜25によって各トレイの印刷用紙の向きを検出する場合について説明したが、印刷用紙の向きを検出するセンサとしては、第1〜第4用紙センサ22〜25に限られない。例えば、第1〜第4用紙センサ22〜25に代えて、プリンタ21の手前にメディアセンサを設け、メディアセンサによってプリンタ21に搬送されてくる印刷用紙の向きを検出しても良い。
【0079】
また、本実施形態では、MFP1のコピー機能を利用して図5に示す印刷処理を実行する場合について説明したが、MFP1のプリンタ機能において、図5に示す印刷処理を適用することもできる。プリンタ機能を利用する場合、画像の向きは、例えば、MFP1とネットワークを介して接続されているPCから送信される画像データで指定されている向きとなる。
【符号の説明】
【0080】
1 MFP(印刷装置の一例)
14b 縦横画像データメモリ(記憶部の一例)
22〜25 第1〜第4用紙向きセンサ(検出手段の一例)
S502 受付手段の一例
S503 第1の媒体有無判断手段の一例
S504 取得手段の一例
S505 印刷部数判断手段の一例
S507 確認手段の一例
S508 作成手段の一例、記憶手段の一例
S601 第2の媒体向き判断手段の一例
S602,S605 決定手段の一例、画像向き判断手段の一例
S603、S604 印刷手段の一例
S606、S607 印刷手段の一例
S609 第1の媒体向き判断手段の一例、第2の媒体有無判断手段の一例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置部から給紙される印刷媒体に印刷部によって画像を印刷する印刷装置であって、
前記印刷媒体に印刷する画像データを取得する取得手段と、
その取得手段によって取得した画像データの印刷設定を受付ける受付手段と、
前記取得手段によって取得した画像データから縦向きの印刷データと、横向きの印刷データとを作成する作成手段と、
その作成手段によって作成した縦向きの印刷データと、横向きの印刷データとを記憶部に記憶する記憶手段と、
前記受付手段によって受付けた印刷設定に基づいて、前記記憶手段によって前記記憶部に記憶されている縦向きの印刷データと、横向きの印刷データとのうち、いずれの印刷データを用いて印刷するかを決定する決定手段と、
その決定手段によって決定された印刷データを用いて印刷する印刷手段とを備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記受付手段は、
同じ画像データを印刷する印刷部数を受付ける印刷部数受付手段と、
その印刷部数受付手段によって受付けられた印刷部数が複数かを判断する印刷部数判断手段とを備え、
前記作成手段は、前記印刷部数判断手段によって複数であると判断された場合に、前記縦向きの印刷データと、前記横向きの印刷データとを作成することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記載置部に載置されている印刷媒体が前記印刷部に、縦向き、または、横向きで給紙されるかを示す印刷媒体の向きを検出する検出手段を備え、
前記受付手段は、
前記画像データを印刷する印刷媒体が載置されている載置部の指定を受付ける載置部受付手段を備え、
前記決定手段は、
前記載置部受付手段によって受付けられた指定により特定される載置部に載置されている印刷媒体について、前記検出手段によって検出される前記印刷媒体の向きを判断する第1の媒体向き判断手段を備え、
その第1の媒体向き判断手段によって判断された向きと一致する向きの印刷データに決定することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記載置部は、複数備えられ、
前記検出手段は、前記複数の載置部の各々に載置されている印刷媒体について、前記印刷媒体の向きを検出し、
前記決定手段は、
前記複数の載置部のうち、前記載置部受付手段によって受付られた指定により特定される一の載置部に印刷媒体が有るかを判断する第1の媒体有無判断手段と、
その第1の媒体有無判断手段によって有ると判断された場合、その一の載置部から印刷媒体を給紙した後、前記一の載置部に印刷媒体が有るかを判断する第2の媒体有無判断手段と、
その第2の媒体有無判断手段によって無しと判断された場合に、前記一の載置部とは別の載置部に載置されている印刷媒体について、前記検出手段によって検出される前記印刷媒体の向きが、縦向きか、横向きかを判断する第2の媒体向き判断手段とを備え、
その第2の媒体向き判断手段によって判断された前記印刷媒体の向きが、前記一の載置部に載置されていた印刷媒体の向きと異なる向きであれば、前記一の載置部から給紙される印刷媒体について決定した印刷データの向きとは、異なる向きの印刷データに決定することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記載置部の各々に載置されている印刷媒体の向きが全て同じ向きかを判断する確認手段を備え、
前記作成手段は、前記確認手段によって全て同じ向きでないと判断された場合に、前記縦向きの印刷データと、前記横向きの印刷データとを作成し、前記確認手段によって全て同じ向きであると判断された場合に、前記検出手段によって検出される印刷媒体の向きと一致する向きの印刷データのみを作成することを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記受付手段は、1枚の印刷媒体に対し、複数ページ分の画像データを印刷する指示であって、印刷媒体に対する各画像データの向きを含むレイアウト指示を受付け、
前記作成手段は、前記1枚の印刷媒体に印刷される各画像データ毎に、前記縦向きの印刷データと、前記横向きの印刷データとを作成し、
前記決定手段は、
前記第1の媒体向き判断手段によって判断された前記印刷媒体の向きに対し、前記レイアウト指示で指示されている各画像データの向きが縦向きか、横向きかを判断する画像向き判断手段を備え、
その画像向き判断手段によって判断された向きと同じ向きの印刷データに決定することを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項7】
前記受付手段は、印刷媒体に対して画像データを縦向き、または、横向きに配置するかを指示する配置指示を受付け、
前記決定手段は、
前記第1の媒体向き判断手段によって判断された前記印刷媒体の向きに対し、前記配置指示で指示されている画像データの向きが縦向きか、横向きかを判断する画像向き判断手段を備え、
その画像向き判断手段によって判断された向きと同じ向きの印刷データに決定することを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−210736(P2012−210736A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76745(P2011−76745)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】