説明

印刷装置

【課題】装置の小型化及び低価格化に寄与できる印刷装置を提供する。
【解決手段】基材1に対して所定のパターンを印刷する印刷部と、パターンが印刷された基材が収納される収納部12と、パターンが印刷された基材を収納部に搬入する搬入部130と、搬入部による基材の収納部への搬入中に、基材に印刷されたパターンの検査を行う検査部133とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化型インクを用いて記録媒体に画像またはパターンを形成する液滴吐出装置が注目されている。紫外線硬化型インクは、紫外線を照射するまでは硬化が非常に遅く、紫外線を照射すると急速に硬化するという、印刷インクとして好ましい特性を有する。また、硬化にあたって溶剤を揮発させることがないので、環境負荷が小さいという利点もある。
【0003】
さらに、紫外線硬化型インクは、ビヒクルの組成により種々の記録媒体に高い付着性を発揮する。また、硬化した後は化学的に安定で、接着性、耐薬剤性、耐候性、耐摩擦性等が高く、屋外環境にも耐える等、優れた特性を有する。このため、紙、樹脂フィルム、金属箔等の薄いシート状の記録媒体の他、記録媒体のレーベル面、テキスタイル製品等、ある程度立体的な表面形状を有するものに対しても画像を形成できる。
【0004】
上記の紫外線硬化型インクを液滴吐出方式で、基板上のICに製造番号や製造会社等の属性情報等のパターンを印刷する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。上記の印刷パターンに対しては、印刷処理後に印刷品質の検査が行われることがあり、検査装置としては、例えば特許文献2に記載されたものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−080687号公報
【特許文献2】特開平10−197231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
特許文献2に記載された技術では、検査装置として、ローダ部、アンローダ部、検査部、搬送部等を印刷処理用の装置とは別に設置する必要があり、装置の大型化及び高価格化が避けられない。
【0007】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、装置の小型化及び低価格化に寄与できる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の印刷装置は、基材に対して所定のパターンを印刷する印刷部と、前記パターンが印刷された前記基材が収納される収納部と、前記パターンが印刷された前記基材を前記収納部に搬入する搬入部と、前記搬入部による前記基材の前記収納部への搬入中に、前記基材に印刷されたパターンの検査を行う検査部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
従って、本発明の印刷装置では、印刷部でパターンが形成された基材を搬入部によって収納部に搬入している最中に検査部がパターンの検査を行うため、別途検査用のローダ、アンローダ、搬送部等を設ける必要がなくなり、装置の小型化及び低価格化に寄与できる。
【0010】
上記構成においては、前記搬入部に設けられ、前記基材を所定の周期で前記搬入部に向けて送る送り部と、前記検査部に設けられ、前記送り部による前記基材の送り方向と交差する方向に走査移動して前記基材のパターン情報を取り込む取込部と、前記送り部による前記基材の送り動作と、前記取込部の走査移動とを同期制御する制御部と、を備える構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、取込部によるパターン情報の取込範囲への基材の送り動作と、送られた基材に対するパターン情報の取込動作とを連続的に行うことができ、検査効率の向上を図ることができる。
【0011】
上記構成における前記制御部としては、前記取込部の前記送り方向の取込可能長さに応じた送り量で、前記基材を送る構成を採ることが好ましい。
【0012】
また、上記構成において前記パターンが、前記基材に前記送り方向に所定のピッチで印刷される場合には、前記制御部が、前記所定のピッチに応じた周期で前記基材を送らせる構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、所定のピッチで印刷された複数のパターンを順次、連続的に検査することが可能になる。
【0013】
上記構成における前記パターンが、前記基材の表面に前記送り方向に所定のピッチで配置された複数の半導体装置のそれぞれに印刷される場合には、前記制御部が、前記半導体装置が配置された前記所定のピッチに応じた周期で前記基材を送らせる構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、所定のピッチで半導体装置のそれぞれに印刷された複数のパターンを順次、連続的に検査することが可能になる。
【0014】
前記送り部としては、パルスモータを有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、駆動パルス電力を調整するという簡単な構成で容易に基材の送り量を調整することが可能になる。
【0015】
前記取込部としては、前記パターンを所定の撮像範囲で撮像する撮像装置を有する構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、パターンを撮像した結果に基づいて、容易にパターン情報を検査することが可能になる。
【0016】
また、上記構成においては、前記印刷部が、前記基材に対して液滴を吐出して前記パターンを形成する液滴吐出装置を有する構成を好適に採用できる。この構成においては、前記液滴は、活性光線で硬化する液体の液滴である構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、安定して搬送された基材における半導体装置等の属性情報等を示す印刷パターンを所定の印刷品質及び低コストで成膜・印刷することができる。
なお、本明細書における、送り方向や直交する方向、交差する方向については、製造・組立による誤差等によってずれる範囲も含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は半導体基板を示す模式平面図、(b)は液滴吐出装置を示す模式平面図。
【図2】供給部を示す模式図。
【図3】(a)は、塗布部の構成を示す概略斜視図、(b)は、キャリッジを示す模式側面図。
【図4】(a)は、ヘッドユニットを示す模式平面図、(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を説明するための要部模式断面図。
【図5】収納部を示す模式図。
【図6】搬送部の構成を示す図。
【図7】検出装置から半導体基板1に検知光が投光されている図。
【図8】制御系を示すブロック図。
【図9】印刷方法を示すためのフローチャート。
【図10】半導体基板1の検査工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の印刷装置の実施の形態を、図1乃至図10を参照して説明する。
なお、以下の実施の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。
【0019】
(半導体基板)
まず、印刷装置を用いて描画(印刷)する対象の一例である半導体基板について説明する。
図1(a)は半導体基板を示す模式平面図である。図1(a)に示すように、基材としての半導体基板1は基板2及び半導体装置3を備えている。基板2は耐熱性があり半導体装置3を実装可能であれば良く、基板2にはガラスエポキシ基板、紙フェノール基板、紙エポキシ基板等を用いることができる。被記録媒体としての半導体装置3は、パッケージ基材であってもよいし、半導体基材であってもよい。
【0020】
基板2上には半導体装置3が実装されている。そして、半導体装置3上には会社名マーク4、機種コード5、製造番号6等のマーク(印刷パターン、所定パターン)が描画されている。これらのマークが後述する印刷装置によって描画される。
【0021】
(印刷装置)
図1(b)は印刷装置を示す模式平面図である。
図1(b)に示すように、印刷装置7は主に供給部8、前処理部9、塗布部(印刷部)10、冷却部11、収納部12、搬送部13、後処理部14及び制御部CONT(図8参照)の各種印刷に関連する処理を行う複数の処理装置から構成されている。なお、供給部8、収納部12が並ぶ方向、及び前処理部9、冷却部11、後処理部14が並ぶ方向をX方向とする。X方向と直交する方向をY方向とし、Y方向には塗布部10、冷却部11、搬送部13が並んで配置されている。そして、鉛直方向をZ方向とする。
【0022】
供給部8は、複数の半導体基板1が収納された収納容器を備えている。そして、供給部8は中継場所8aを備え、収納容器から中継場所8aへ半導体基板1を供給する。中継場所8aには、X方向に延びる一対のレール8bが、収納容器から送り出される半導体基板1の高さと略同一の高さに設けられている。
【0023】
前処理部9は、半導体装置3の表面を加熱しながら改質する機能を有する。前処理部9により半導体装置3は吐出された液滴の広がり具合及び印刷するマークの密着性が調整される。前処理部9は第1中継場所9a及び第2中継場所9bを備え、処理前の半導体基板1を第1中継場所9aまたは第2中継場所9bから取り込んで表面の改質を行う。その後、前処理部9は処理後の半導体基板1を第1中継場所9aまたは第2中継場所9bに移動して、半導体基板1を待機させる。第1中継場所9a及び第2中継場所9bを合わせて中継場所9cとする。そして、前処理部9の内部で前処理が行われる場所を処理場所9dとする。
【0024】
冷却部11は、塗布部10の中継場所に配置されており、前処理部9で加熱及び表面改質が行われた半導体基板1を冷却する機能を有している。冷却部11は、それぞれが半導体基板1を保持して冷却する処理場所11a、11bを有している。処理場所11a、11bは、適宜、処理場所11cと総称するものとする。
【0025】
塗布部10は、半導体装置3に液滴を吐出してマークを描画(印刷)するとともに、描画されたマークを固化または硬化する機能を有する。塗布部10は中継場所としての冷却部11から描画前の半導体基板1を移動させて描画処理及び硬化処理を行う。その後、塗布部10は描画後の半導体基板1を冷却部11に移動させて、半導体基板1を待機させる。
【0026】
後処理部14は、塗布部10で描画処理が施された後、冷却部11に載置された半導体基板1に対して後処理として再加熱処理を行うものである。後処理部14は、第1中継場所14a及び第2中継場所14bを備えている。第1中継場所14a及び第2中継場所14bを合わせて中継場所14cとする。
【0027】
収納部12は、半導体基板1を複数収納可能な収納容器を備えている。そして、収納部12は中継場所12aを備え、中継場所12aから収納容器へ半導体基板1を収納する。中継場所12aには、X方向に延びる一対のレール12bが、半導体基板1を収容する収納容器と略同一の高さに設けられている。操作者は半導体基板1が収納された収納容器を印刷装置7から搬出する。
【0028】
印刷装置7の中央の場所には、搬送部13が配置されている。搬送部13は2つの腕部13bを備えたスカラー型ロボットが用いられている。そして、腕部13bの先端には半導体基板1を裏面(下面)から支持しつつ、側縁を片持ちで把持する把持部13aが設置されている。中継場所8a,9c,11、14c、12aは把持部13aの移動範囲内に位置している。従って、把持部13aは中継場所8a,9c,11、14c、12a間で半導体基板1を移動することができる。制御部CONTは、印刷装置7の全体の動作を制御する装置であり、印刷装置7の各部の動作状況を管理する。そして、搬送部13に半導体基板1を移動する指示信号を出力する。これにより、半導体基板1は各部を順次通過して描画されるようになっている。
【0029】
以下、各部の詳細について説明する。
(供給部)
図2(a)は供給部を示す模式正面図であり、図2(b)及び図2(c)は供給部を示す模式側面図である。図2(a)及び図2(b)に示すように、供給部8は基台15を備えている。基台15の内部には昇降装置16が設置されている。昇降装置16はZ方向に動作する直動機構を備えている。この直動機構はボールネジと回転モーターとの組合せや油圧シリンダーとオイルポンプの組合せ等の機構を用いることができる。本実施形態では、例えば、ボールネジとステップモーターとによる機構を採用している。基台15の上側には昇降板17が昇降装置16と接続して設置されている。そして、昇降板17は昇降装置16により所定の移動量だけ昇降可能になっている。
【0030】
昇降板17の上には直方体状の収納容器18が設置され、収納容器18の中には複数の半導体基板1が収納されている。収納容器18はX方向の両面に開口部18aが形成され、開口部18aから半導体基板1が出し入れ可能となっている。収納容器18のY方向の両側に位置する側面18bの内側には凸状のレール18cが形成され、レール18cはX方向に延在して配置されている。レール18cはZ方向に複数等間隔に配列されている。このレール18cに沿って半導体基板1をX方向からまたは−X方向から挿入することにより、半導体基板1がZ方向に配列して収納される。
【0031】
基台15のX方向側には支持部材21及び支持台22を介して、押出装置23が設置されている。押出装置23には、昇降装置16と同様の直動機構によりX方向に突出して半導体基板1をレール8bに向けて押し出す押出ピン23aが設けられている。従って、押出ピン23aは、レール8bと略同一の高さに設置されている。
【0032】
図2(c)に示すように、押出装置23における押出ピン23aが+X方向に突出することにより、レール18cよりも僅かに+Z側の高さに位置する半導体基板1が収納容器18から押し出されて、レール8b上に移動して支持される。
【0033】
半導体基板1がレール8b上に移動した後に、押出ピン23aは、図2(b)に示す待機位置に戻る。次に、昇降装置16が収納容器18を降下させて、次に処理される半導体基板1を押出ピン23aと対向する高さに移動させる。この後、上記と同様にして、押出ピン23aを突出させて半導体基板1をレール8b上に移動させる。
このようにして供給部8は順次半導体基板1を収納容器18からレール8b上に移動する。収納容器18内の半導体基板1を総て中継台23上に移動した後、操作者は空になった収納容器18と半導体基板1が収納されている収納容器18とを置き換える。これにより、供給部8に半導体基板1を供給することができる。
【0034】
(前処理部)
前処理部9は、中継場所9a、9bに搬送された半導体基板1に対して、処理場所9dにおいて前処理を行う。前処理としては、加熱した状態で、例えば、低圧水銀ランプ、水素バーナー、エキシマレーザー、プラズマ放電部、コロナ放電部等による活性光線の照射を例示できる。水銀ランプを用いる場合、半導体基板1に紫外線を照射することにより、半導体基板1の表面の撥液性を改質することができる。水素バーナーを用いる場合、半導体基板1の酸化した表面を一部還元することで表面を粗面化することができ、エキシマレーザーを用いる場合、半導体基板1の表面を一部溶融固化することで粗面化することができ、プラズマ放電或いはコロナ放電を用いる場合、半導体基板1の表面を機械的に削ることで粗面化することができる。本実施形態では、例えば、水銀ランプを採用している。
前処理が終了した後、前処理部9は半導体基板1を中継場所9cに移動する。続いて、搬送部13が中継場所9cから半導体基板1を除材する。
【0035】
(冷却部)
冷却部11は、各処理場所11a、11bにそれぞれ設けられ、上面が半導体装置1の吸着保持面とされたヒートシンク等の冷却板110a、110bを有している。
処理場所11a、11b(冷却板110a、110b)は、把持部13aの動作範囲内に位置しており、処理場所11a、11bにおいて冷却板110a、110bは露出する。従って、搬送部13は容易に半導体基板1を冷却板110a、110bに載置することができる。半導体基板1に冷却処理が行われた後、半導体基板1は、処理場所11aに位置する冷却板110a上または処理場所11bに位置する冷却板110a上にて待機する。従って、搬送部13の把持部13aは容易に半導体基板1を把持して移動させることができる。
【0036】
(塗布部)
次に、半導体基板1に液滴を吐出してマークを形成する塗布部10について図3乃至図6に従って説明する。液滴を吐出する装置に関しては様々な種類の装置があるが、インクジェット法を用いた装置が好ましい。インクジェット法は微小な液滴の吐出が可能であるため、微細加工に適している。
【0037】
図3(a)は、塗布部の構成を示す概略斜視図である。塗布部10により半導体基板1に液滴が吐出される。図3(a)に示すように、塗布部10には、直方体形状に形成された基台37を備えている。液滴を吐出するときに液滴吐出ヘッドと被吐出物とが相対移動する方向を主走査方向とする。そして、主走査方向と直交する方向を副走査方向とする。副走査方向は改行するときに液滴吐出ヘッドと被吐出物とを相対移動する方向である。本実施形態ではY方向(第2方向)を主走査方向とし、X方向(第1方向)を副走査方向とする。
【0038】
基台37の上面37aには、X方向に延在する一対の案内レール38がX方向全幅にわたり凸設されている。その基台37の上側には、一対の案内レール38に対応する図示しない直動機構を備えたステージ39が取付けられている。そのステージ39の直動機構は、リニアモーターやネジ式直動機構等を用いることができる。本実施形態では、例えば、リニアモーターを採用している。そして、ステージ39は、X方向に沿って所定の速度で往動または復動するようになっている。往動と復動を繰り返すことを走査移動と称す。さらに、基台37の上面37aには、案内レール38と平行に副走査位置検出装置40が配置され、副走査位置検出装置40によりステージ39の位置が検出される。
【0039】
そのステージ39の上面には載置面41が形成され、その載置面41には図示しない吸引式の基板チャック機構が設けられている。載置面41上に半導体基板1が載置された後、半導体基板1は基板チャック機構により載置面41に固定される。
【0040】
ステージ39が、例えば、+X側に位置するときの載置面41の場所が半導体基板1のロード位置またはアンロード位置の中継場所となっている。この載置面41は把持部13aの動作範囲内に露出するように設置されている。従って、搬送部13は容易に半導体基板1を載置面41に載置することができる。半導体基板1に塗布(マーク描画)が行われた後、半導体基板1は中継場所である載置面41上にて待機する。従って、搬送部13の把持部13aは容易に半導体基板1を把持して移動することができる。
【0041】
基台37のY方向両側には一対の支持台42が立設され、その一対の支持台42にはY方向に延びる案内部材43が架設されている。案内部材43の下側にはY方向に延びる案内レール44がX方向全幅にわたり凸設されている。案内レール44に沿って移動可能に取り付けられるキャリッジ(移動手段)45は略直方体形状に形成されている。そのキャリッジ45は直動機構を備え、その直動機構は、例えば、ステージ39が備える直動機構と同様の機構を用いることができる。そして、キャリッジ45がY方向に沿って走査移動する。案内部材43とキャリッジ45との間には主走査位置検出装置46が配置され、キャリッジ45の位置が計測される。キャリッジ45の下側にはヘッドユニット47が設置され、ヘッドユニット47のステージ39側の面には図示しない液滴吐出ヘッドが凸設されている。
【0042】
図3(b)は、キャリッジを示す模式側面図である。図3(b)に示すようにキャリッジ45の半導体基板1側にはヘッドユニット47と一対の照射部としての硬化ユニット48が、Y方向に関してキャリッジ45の中心からそれぞれ等間隔で配置されている。ヘッドユニット47の半導体基板1側には液滴を吐出する液滴吐出ヘッド(吐出ヘッド)49が凸設されている。
【0043】
キャリッジ45の図中上側には収容タンク50が配置され、収容タンク50には機能液が収容されている。液滴吐出ヘッド49と収容タンク50とは図示しないチューブにより接続され、収容タンク50内の機能液がチューブを介して液滴吐出ヘッド49に供給される。
【0044】
機能液は樹脂材料、硬化剤としての光重合開始剤、溶媒または分散媒を主材料とする。この主材料に顔料または染料等の色素や、親液性または撥液性等の表面改質材料等の機能性材料を添加することにより固有の機能を有する機能液を形成することができる。本実施形態では、例えば、白色の顔料を添加している。機能液の樹脂材料は樹脂膜を形成する材料である。樹脂材料としては、常温で液状であり、重合させることによりポリマーとなる材料であれば特に限定されない。さらに、粘性の小さい樹脂材料が好ましく、オリゴマーの形態であるのが好ましい。モノマーの形態であればさらに好ましい。光重合開始剤はポリマーの架橋性基に作用して架橋反応を進行させる添加剤であり、例えば、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール等を用いることができる。溶媒または分散媒は樹脂材料の粘度を調整するものである。機能液を液滴吐出ヘッドから吐出し易い粘度にすることにより、液滴吐出ヘッドは安定して機能液を吐出することができるようになる。
【0045】
図4(a)は、ヘッドユニットを示す模式平面図である。図4(a)に示すように、ヘッドユニット47には、2つの液滴吐出ヘッド49が副走査方向(X方向)に間隔をあけて配置され、各液滴吐出ヘッド49の表面にはノズルプレート51(図4(b)参照)がそれぞれ配置されている。各ノズルプレート51には複数のノズル52が配列して形成されている。本実施形態においては、各ノズルプレート51に、15個のノズル52が副走査方向に沿って配置されたノズル列60B〜60EがY方向に間隔をあけて配置されていえる。また、2つの液滴吐出ヘッド49における各ノズル列60B〜60Eは、X方向に沿って直線上に配置されている。ノズル列60B、60Eは、Y方向に関してキャリッジ45の中心から等間隔で配置されている。同様に、ノズル列60C、60Dは、Y方向に関してキャリッジ45の中心から等間隔で配置されている。従って、+Y側の硬化ユニット48とノズル列60Bとの距離と、−Y側の硬化ユニット48とノズル列60Eとの距離とは同一となる。また、+Y側の硬化ユニット48とノズル列60Cとの距離と、−Y側の硬化ユニット48とノズル列60Dとの距離とは同一となる。
【0046】
図4(b)は、液滴吐出ヘッドの構造を説明するための要部模式断面図である。図4(b)に示すように、液滴吐出ヘッド49はノズルプレート51を備え、ノズルプレート51にはノズル52が形成されている。ノズルプレート51の上側であってノズル52と相対する位置にはノズル52と連通するキャビティ53が形成されている。そして、液滴吐出ヘッド49のキャビティ53には機能液(液体)54が供給される。
【0047】
キャビティ53の上側には上下方向に振動してキャビティ53内の容積を拡大縮小する振動板55が設置されている。振動板55の上側でキャビティ53と対向する場所には上下方向に伸縮して振動板55を振動させる圧電素子56が配設されている。圧電素子56が上下方向に伸縮して振動板55を加圧して振動し、振動板55がキャビティ53内の容積を拡大縮小してキャビティ53を加圧する。それにより、キャビティ53内の圧力が変動し、キャビティ53内に供給された機能液54はノズル52を通って吐出される。
【0048】
硬化ユニット48は、図3(b)及び図4(a)に示すように、主走査方向(相対移動方向)においてヘッドユニット47を挟んだ両側の位置に配置されている。硬化ユニット48の内部には吐出された液滴を硬化させる紫外線を照射する照射装置が配置されている。照射装置は発光ユニットと放熱板等から構成されている。発光ユニットには多数のLED(Light Emitting Diode)素子が配列して設置されている。このLED素子は、電力の供給を受けて紫外線の光である紫外光を発光する素子である。硬化ユニット48の下面には、照射口48aが形成されている。そして、照射装置が発光する紫外光が照射口48aから半導体基板1に向けて照射される。
【0049】
液滴吐出ヘッド49が圧電素子56を制御駆動するためのノズル駆動信号を受けると、圧電素子56が伸張して、振動板55がキャビティ53内の容積を縮小する。その結果、液滴吐出ヘッド49のノズル52から縮小した容積分の機能液54が液滴57となって吐出される。機能液54が塗布された半導体基板1に対しては、照射口48aから紫外光が照射され、硬化剤を含んだ機能液54を固化または硬化させるようになっている。
【0050】
(収納部)
図5(a)は収納部を示す模式正面図であり、図5(b)及び図5(c)は収納部を示す模式側面図である。図5(a)及び図5(b)に示すように、収納部12は基台74を備えている。基台74の内部には昇降装置75が設置されている。昇降装置75は供給部8に設置された昇降装置16と同様の装置を用いることができる。基台74の上側には昇降板76が昇降装置75と接続して設置されている。そして、昇降板76は昇降装置75により昇降させられる。昇降板76の上には直方体状の収納容器18が設置され、収納容器18の中には半導体基板1が収納される。収納容器18は供給部8に設置された収納容器18と同じ容器が用いられている。
【0051】
搬送部13によって中継場所としてのレール12bに載置された半導体基板1は、図5(c)に示すように、レール12bを挟んで収納容器18と逆側(レール12bの−X側)に配置された搬入部130によって収納容器18に搬入される。搬入部130は、ここではリニアステッピング型のパルスモータで構成される送り部131によってX方向に移動自在に設けられている。送り部131は、図8に示すように、制御部CONTに接続され、制御部CONTを介して出力されるパルス電力に応じた送り量で搬入部130を駆動する。また、搬入部130の+X側の先端部には、半導体基板1の端縁をクランプするクランプ部132が設けられている。
【0052】
また、レール12bと収納容器18との間には、半導体基板1の搬入経路の上方に位置して、収納容器18への搬入中に半導体基板1に印刷された会社名マーク4、機種コード5、製造番号6等のパターンを検査する検査部133が設けられている。検査部133は、例えばCCDカメラ等により上記パターン情報を取り込む取込部としての撮像装置で構成されており、制御部CONTの制御下で、図示しない駆動装置によってY方向に走査移動する。制御装置CONTは、後述するように、送り部131による搬入部130の送り動作と、検査部133のY方向への走査移動とを同期制御する。
【0053】
上記のように、半導体基板1の収納容器18への搬入・収納と、昇降装置75による収納容器18のZ方向への移動とを繰り返して、収納容器18内に所定の枚数の半導体基板1が収納された後、操作者は半導体基板1が収納された収納容器18と空の収納容器18とを置き換える。これにより、操作者は複数の半導体基板1をまとめて次の工程に持ち運ぶことができる。
【0054】
(搬送部)
次に、半導体基板1を搬送する搬送部13について図1、図6乃び図7に従って説明する。
搬送部13は、装置内の天部に設けられた支持体83を備えており、支持体83の内部にはモーター、角度検出器、減速機等から構成される回転機構が設置されている。そして、モーターの出力軸は減速機と接続され、減速機の出力軸は支持体83の下側に配置された第1腕部84と接続されている。また、モーターの出力軸と連結して角度検出器が設置され、角度検出器がモーターの出力軸のZ方向(第3方向)と平行な軸線周りの回転角度を検出する。これにより、回転機構は第1腕部84の回転角度を検出して、所望の角度まで回転させることができる。
【0055】
第1腕部84上において支持体83と反対側の端には回転機構85が設置されている。回転機構85はモーター、角度検出器、減速機等により構成され、支持体83の内部に設置された回転機構と同様の機能を備えている。そして、回転機構85の出力軸は第2腕部86と接続されている。これにより、回転機構85は第2腕部86の回転角度を検出して、所望の角度まで回転させることができる。
【0056】
第2腕部86上において回転機構85と反対側の端には昇降装置87及び回転機構(駆動部)88が配置されている。昇降装置87は直動機構を備え、直動機構を駆動することによりZ方向に伸縮することで把持部13aを第2腕部86に対して昇降させることができる。この直動機構は、例えば、供給部8の昇降装置16と同様の機構を用いることができる。回転機構88は、上記回転機構85と同様の構成を有しており、第2腕部86に対して把持部13aをZ方向と平行な軸線13c(図6(c)参照)周りに回転させる。
【0057】
図6(a)は、腕部13bの−Z側に把持部13aが設けられた正面図、図6(b)は平面図(ただし、腕部13bは図示せず)、図6(c)は左側面図である。
なお、把持部13aは、回転機構88によって腕部13bに対してθZ方向(Z軸回りの回転方向)に回転移動可能に設けられ、XY平面における位置が変動するため、以下の説明では便宜上、XY平面と平行な一方向をx方向、XY平面と平行でx方向と直交する方向をy方向として説明する(Z方向は共通)。
【0058】
把持部13aは、腕部13bに対してθZ方向には回転可能、且つ半導体基板1の把持の際に固定状態で用いられる固定部100と、固定部100に対してZ方向に移動自在に設けられた移動部110とを備えている。
【0059】
固定部100は、Z軸部材101、懸架部材102、連結部材103、連結板104、挟持板(第1把持部)105、フォーク部(支持部)106を主体として構成されている。Z軸部材101は、Z方向に延在し腕部13bにZ軸回りに回転可能に設けられている。懸架部材102は、x方向に延在する板状に形成されており、x方向の中央部においてZ軸部材101の下端に固定されている。連結板104は、懸架部材102と平行に互いに隙間をあけて配置され、当該懸架部材104とx方向両端側で連結部材103によって連結されている。挟持板105は、x方向に延在する板状に形成されており、図6(c)に示すように、+Z側の表面における+y側の端縁で連結板104の下端に固定されている。そして、挟持板105における+Z側の表面のうち、−y側の端縁側が半導体基板1を挟持する際の挟持面105aとなっている。
【0060】
フォーク部106は、挟持面105aで挟持された半導体基板1の下面(−Z側の面)を下方から支持するものであって、挟持板105の−y側の側面からy方向に延出させ、且つx方向に間隔をあけて複数(ここでは4本)設けられている。フォーク部106の配置間隔及び本数は、半導体基板1の長さが機種等に応じて変動した場合でも、少なくとも長さ方向で1箇所、好ましくは2箇所以上で支持可能に設定される。
【0061】
移動部110は、昇降部111、把持板(第2把持部)112を主体として構成されている。昇降部111は、エアシリンダ機構等で構成されており、Z軸部材101に沿って昇降する。把持板112は、昇降部111と一体的に昇降可能に設けられており、連結部材103、103間のx方向の隙間長よりも短く、懸架部材102と連結板104との間の隙間よりも小さな幅を有し、これら連結部材103、103間の隙間及び懸架部材102と連結板104との間の隙間にZ方向に移動可能に挿入された挿入部112aと、挿入部112aよりも下方に位置し、懸架部材102よりも下方で挟持板105とほぼ同じ長さでx方向に延在する挟持板112bとが一体的に形成されてなるものである。
【0062】
上記挿入部112a及び挟持板112bとからなる把持板112は、昇降部111の昇降に応じて一体的にZ方向に移動する。把持板112が下降した際には、挟持板105との間で半導体基板1の一端縁を挟持して把持可能であり、把持板112が上昇した際には、挟持板105から離間することで半導体基板1に対する把持が解除される。
【0063】
半導体基板1を把持可能なこれら挟持板105及び把持板112は、対向する隙間に当該挟持板105及び把持板112に亘る長さでx方向に連続的に延在する把持領域13dを形成する。図6(b)に示すように、挟持板105及び把持板112並びに把持領域13dの長さL1は、上記フォーク部106の長さL2よりも大きく形成されている。
【0064】
また、本実施形態では、回転機構88により把持部13aが回転する際の回転中心軸線(軸線)13cは、フォーク部106の長さ方向であるy方向に関しては、図6(c)に示されるように、フォーク部106が配置される領域に位置するように設定される。また、回転中心軸線13cは、挟持板105及び把持板112の長さ方向であるx方向に関しては、図6(a)に示すように、把持領域13dの略中央に配置されている。
【0065】
上記の搬送部13で半導体基板1を搬送する際には、フォーク部106が半導体基板1を下方から支持しているため、搬送された半導体基板1が表面に載置される前処理部9の第1、第2中継場所9a、9b、冷却部11の処理場所11a、11b、後処理部14の第1、第2中継場所14a、14b(以下、載置部140と総称する)には、搬送時のフォーク部106と対応する位置に、図7に示すように、溝部141が設けられている。また、載置部141における溝部140の近傍には、載置部140に載置された半導体基板1を吸着保持するための吸着部142が複数配設されている。
【0066】
そして、搬送部13に配置された検出器の出力を入力して把持部13aの位置と姿勢とを検出し、回転機構85等を駆動して把持部13aを所定の位置に移動させることにより、把持部13aで把持する半導体基板1を所定の処理部に搬送することができる。
【0067】
図8は、印刷装置7に係る制御系のブロック図である。
図8に示すように、制御部CONTは、上記検査部133の検査結果が入力されるとともに、上述した供給部8、前処理部9、塗布部10、後処理部14、収納部12、搬送部13、送り部131、検査部133の走査移動の動作を統括的に制御する。
【0068】
(印刷方法)
次に上述した印刷装置7を用いた印刷方法について図9にて説明する。図9は、印刷方法を示すためのフローチャートである。
図9のフローチャートに示されるように、印刷方法は、半導体基板1を収納容器18から搬入する搬入工程S1、搬入された半導体基板1の表面に対して前処理を施す前処理工程S2、前処理工程S2で温度上昇した半導体基板1を冷却する冷却工程S3、冷却された半導体基板1に対して各種マークを描画印刷する印刷工程S4、各種マークが印刷された半導体基板1に対して後処理を施す後処理工程S5、後処理が施された半導体基板1を収納容器18に収納する収納工程S6を主体に構成される。
【0069】
上記の各工程で半導体基板1を処理する際には、まず、搬送部13における把持部13aで半導体基板1の一側縁を挟持しつつ、フォーク部106で下方から支持することで半導体基板1を把持する。具体的には、図6(c)に示すように、昇降部111によって把持板112を挟持板105に対して離間させた状態で挟持板105及びフォーク部106上に半導体基板1を載置させた後に、図7(a)に示すように、昇降部111によって把持板112を下降させて挟持105との間で半導体基板1の側縁を挟持して把持させる。
【0070】
このとき、把持領域13dの長さは、フォーク部106の長さよりも大きく、また半導体基板1の長辺よりも大きいため、例えば前処理時の加熱で半導体基板1に反りが生じていた場合でも、半導体基板1の一側縁を一括的に挟持することで反りを矯正した状態で安定して把持することができる。
【0071】
そして、昇降装置87により把持部13aを所定高さに移動させた後に、回転機構85、88等の回転角度を制御して駆動することにより、把持部13aに把持された半導体基板1を所定の載置部140と対向する位置にXY平面に沿って移動させる。
【0072】
所定の載置部140と対向する位置まで半導体基板1を搬送した搬送部13は、昇降装置87の駆動により把持部13aを下降させ、図7(a)に示すように、載置部140の表面に半導体基板1を受け渡す。このとき、載置部140には、フォーク部106に対応した位置及び大きさで溝部141が形成されているため、半導体基板1の受け渡し時にフォーク部106は溝部141に入り込み、載置部140と干渉することが回避される。
【0073】
載置部140の表面に受け渡された半導体基板1は、吸着部142によって載置部140の表面に吸着保持された状態で所定の処理(例えば、冷却処理)が施されるか、塗布処理や前処理が行われるステージに搬送される。
【0074】
上述した搬送部13で搬送された半導体基板1は、前処理工程S2で半導体基板1の前処理(加熱した状態で表面の改質処理)が施され、冷却工程S3で冷却された後に、印刷工程S4で半導体装置3上に各種マークパターンの印刷処理が行われる。各種パターンの印刷処理が行われた半導体基板1は、後処理工程S5で後処理が施された後に、レール12bに載置される。レール12bに載置された半導体基板1は、搬入部130によって収納容器18に搬入されつつ、印刷されたパターンの文字・数字等の文字種や、文字列、位置等のパターン情報が検査部133によって検査される。
【0075】
以下、半導体基板1の収納容器18への収納及びパターン情報の検査について、図10を用いて説明する。なお、図10においては、半導体基板1に印刷された「(公序良俗違反につき、不掲載)」というパターンPを検査するものとして説明する。
まず、クランプ部132によって半導体基板1の−X側の端縁をクランプした後に、制御部CONTは、図10(a)に示すように、送り部131を介して搬入部130を+X側に送り、パターンPの送り方向先端側に位置する第1検査領域を検査部133の検査範囲(撮像範囲)に位置させた後に、送り部131による搬入部130及び半導体基板1の送りを停止させる。半導体基板1の送りが停止されると、制御部CONTは、図10(b)に示すように、検査部133をY方向に走査移動させつつ、パターンPを撮像させる。
【0076】
検査部133によるパターンPの第1検査領域の撮像が完了すると、制御部CONTは、図10(c)、(d)に示すように、送り部131を介して搬入部130及び半導体基板1を+X側に送り、パターンPにおける第2検査領域を検査部133の検査範囲(撮像範囲)に位置させる。このとき、検査が完了した半導体基板1の第1検査領域については、収納容器18内に搬入される。
【0077】
ここで、搬入部130及び半導体基板1の送り量の一例としては、送り方向における検査部133の検査可能範囲(撮像可能範囲)の長さが設定される。
すなわち、送り方向におけるパターンPの全検査領域の長さをPLとし、送り方向における検査部133の検査可能範囲の長さをCLとすると、
PL≦n×CLを満足する最小の整数n回の走査移動による撮像を行うことで、パターンPの全検査領域について、最短の時間で検査を行うことができる。
【0078】
この場合、最後(n回目)の送り量は、他の送り量と異なる可能性があるため、例えば、PL=n×CL’を満足する、検査可能範囲長さCLよりも短い送り量CL’を設定することで、一定の送り量CL’で搬入部130及び半導体基板1を送ることが可能になり、送りに関するシーケンスを簡略化することができる。
【0079】
そして、検査部133の二回目の走査移動によるパターンPの第2検査領域の検査(撮像)が完了すると、制御部CONTは、図10(e)、(f)に示すように、送り部131を介して搬入部130及び半導体基板1を+X側に送り、パターンPにおける第3検査領域を検査部133の検査範囲(撮像範囲)に位置させる。半導体基板1の送りが停止されると、制御部CONTは、上記と同様に、検査部133をY方向に走査移動させつつ、パターンPを撮像させる。
【0080】
検査部133によるパターンPの全検査領域についての撮像・検査が完了すると、図10(g)、(h)に示すように、搬入部130を+X側に送って、半導体基板1を収納容器18に搬入して収納させる。
【0081】
このように、搬入部130及び半導体基板1の所定周期での送り動作と、当該送り動作を停止させている間の検査部133の走査移動による撮像動作とを繰り返すことにより、半導体基板1におけるパターンPの全検査領域についてのパターン検査を行うことができるとともに、当該パターン検査の完了とともに、半導体基板1を収納容器18に収納することができる。収納容器18に収納された半導体基板1は、収納容器18を介して搬出されるが、検査部133の検査結果でパターンPに不良が検出された場合には、制御部CONTがエラー情報を発して、エラーの発生を告知することが好ましい。この場合、例えば、表示装置に対して、エラー内容と、当該エラーが生じた半導体基板1の識別情報とを対応させて表示させる構成を採ることができる。
【0082】
以上説明したように、本実施形態では、搬入部130による収納容器18への半導体基板1の搬入中にパターンPの検査を行うため、パターン検査のためにローダ、アンローダ、搬送部等を設ける必要がなくなり、装置の小型化及び低価格化に寄与できる。また、本実施形態では、検査部133を送り方向とは異なる方向に走査移動しつつ検査を行っているため、パターンPの検査領域が検察部133の検査可能範囲よりも大きい場合でも、検査可能であり、さらなる装置の小型化及び低価格化に寄与できる。
【0083】
また、本実施形態では、送り部131としてパルスモータを用い、検査部133として撮像装置を用いているため、簡単な構成で高精度の送り及び検査が可能になる。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0085】
例えば、上記実施形態では、検査部133が走査移動してパターンPを撮像する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えばY方向に関してパターンPの検査領域を撮像可能であれば、撮像可能な一定の送り速度で半導体基板1を送る構成としてもよい。この場合も、半導体基板1が検査部133の検査領域に達するまでは送り速度を高速とし、撮像処理中は、低速の送り速度とし、これらの送り速度を周期的に切り替える構成とすればよい。また、撮像処理中に、半導体基板1が停止している場合の方が検査精度の点で好適である場合には、高速の送り速度と、速度ゼロの送り速度とを周期的に切り替える構成とすればよい。
【0086】
また、上記パターンPが半導体基板1に送り方向で所定のピッチで複数印刷される場合、例えば上記実施形態で示したように、所定のピッチで複数配置された半導体装置3にパターンPを印刷する場合についても、半導体基板1が検査部133の検査領域に達するまでは送り速度を高速とし、撮像処理中は、低速の送り速度とし、これらの送り速度を周期的に切り替える構成とすればよい。
さらに、各パターンPの全検査領域を一括的に撮像・検査可能な検査部133を用いる構成を採ることも可能である。
【0087】
また、上記実施形態では、液滴吐出方式で印刷処理を行う構成を例示したが、これに限られるものではなく、他の印刷方式を採る場合にも適用可能である。
さらに、上記実施形態では、枚葉式の基材(半導体基板1)を印刷・検査対象として説明したが、これに限られるものではなく、ライン式で連続的に搬送される基材についても適用可能である。
【0088】
また、上記実施形態では、UVインクとして紫外線硬化型インクを用いたが、本発明はこれに限定されず、可視光線、赤外線を硬化光として使用することができる種々の活性光線硬化型インクを用いることができる。
また、光源も同様に、可視光等の活性光を射出する種々の活性光光源を用いること、つまり活性光線照射部を用いることができる。
【0089】
ここで、本発明において「活性光線」とは、その照射によりインク中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広く、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、活性光線硬化型インクとしては、本実施形態のように、紫外線を照射することにより硬化可能な紫外線硬化型インクを用いることが好ましい。
【0090】
上記実施形態における基材としての半導体基板1は、半導体装置3が実装された基板2であったが、シリコンなどの半導体で形成された基板であってもよい。被記録媒体としての半導体装置3は、樹脂でモールドした半導体装置であってもよいし、半導体装置そのものであってもよい。
【符号の説明】
【0091】
1…半導体基板(基材)、 3…半導体装置、 7…印刷装置、 9…前処理部、 10…塗布部(印刷部、吐出装置)、 12…収納部、 45…キャリッジ(移動手段)、 49…液滴吐出ヘッド(吐出ヘッド)、 54…機能液(液体)、 57…液滴、 130…搬入部、 133…検査部、 CONT…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に対して所定のパターンを印刷する印刷部と、
前記パターンが印刷された前記基材が収納される収納部と、
前記パターンが印刷された前記基材を前記収納部に搬入する搬入部と、
前記搬入部による前記基材の前記収納部への搬入中に、前記基材に印刷されたパターンの検査を行う検査部とを備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1記載の印刷装置において、
前記搬入部に設けられ、前記基材を所定の周期で前記搬入部に向けて送る送り部と、
前記検査部に設けられ、前記送り部による前記基材の送り方向と交差する方向に走査移動して前記基材のパターン情報を取り込む取込部と、
前記送り部による前記基材の送り動作と、前記取込部の走査移動とを同期制御する制御部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項2記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記取込部の前記送り方向の取込可能長さに応じた送り量で、前記基材を送ることを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項2または3記載の印刷装置において、
前記パターンは、前記基材に前記送り方向に所定のピッチで印刷され、
前記制御部は、前記所定のピッチに応じた周期で前記基材を送らせることを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項4記載の印刷装置において、
前記パターンは、前記基材の表面に前記送り方向に所定のピッチで配置された複数の半導体装置のそれぞれに印刷され、
前記制御部は、前記半導体装置が配置された前記所定のピッチに応じた周期で前記基材を送らせることを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の印刷装置において、
前記送り部は、パルスモータを有することを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか一項に記載の印刷装置において、
前記取込部は、前記パターンを所定の撮像範囲で撮像する撮像装置を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の印刷装置において、
前記印刷部は、前記基材に対して液滴を吐出して前記パターンを形成する液滴吐出装置を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項9】
請求項8記載の印刷装置において、
前記液滴は、活性光線で硬化する液体の液滴であることを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−213742(P2012−213742A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81664(P2011−81664)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により明細書の一部または全部を不掲載とする。
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】