印刷装置
【課題】装置内部の印刷状況を可視化できる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷装置では、入力部で印刷が指示されると、ディスプレイ5に、ヘッドマーク71と、カッターマーク72と、排出口マーク73とが表示される。マーク71〜73は、装置内におけるサーマルヘッドと、カッター機構と、排出口との互いの位置関係にそれぞれ対応して表示される。ラベルテープのイメージ画像80の開始端がヘッドマーク71に合わせられ、ディスプレイ5にイメージ画像80が初期表示される。サーマルヘッドによる1ライン毎の印刷動作に合わせ、1ライン毎にイメージ画像80をテープ送り方向と同方向に送りながら表示する。これにより印刷装置の内部の印刷状況がディスプレイ5において再現されるので、使用者は装置内部の印刷状況を具体的に知ることができる。
【解決手段】印刷装置では、入力部で印刷が指示されると、ディスプレイ5に、ヘッドマーク71と、カッターマーク72と、排出口マーク73とが表示される。マーク71〜73は、装置内におけるサーマルヘッドと、カッター機構と、排出口との互いの位置関係にそれぞれ対応して表示される。ラベルテープのイメージ画像80の開始端がヘッドマーク71に合わせられ、ディスプレイ5にイメージ画像80が初期表示される。サーマルヘッドによる1ライン毎の印刷動作に合わせ、1ライン毎にイメージ画像80をテープ送り方向と同方向に送りながら表示する。これにより印刷装置の内部の印刷状況がディスプレイ5において再現されるので、使用者は装置内部の印刷状況を具体的に知ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷中の記録媒体のイメージ画像を表示部に表示しながら、印刷ヘッドにより記録媒体に印刷を行うことができる印刷装置が知られている。例えば、文書の印刷途中で印刷を一時停止し、印刷済み領域と印刷されていない領域とを識別して表示し、文書を印刷途中で編集し、編集終了後、印刷を続行できる文書印刷編集方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−160688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、印刷装置の内部構造は筐体に隠れて見えないため、表示部にイメージ画像を表示しながら印刷しているにも関わらず、記録媒体のどの部分が印刷ヘッドを通過し、どの部分が排出口を通過しているのかは分からない。それ故、装置内部における印刷状況をリアルタイムで把握することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、装置内部の印刷状況を可視化できる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る印刷装置は、印刷データに基づき、記録媒体に対して印刷画像の印刷を行う印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドによる印刷後の前記記録媒体を外部に排出する排出口と、各種画像を表示する表示部と、前記表示部に、前記印刷ヘッドの位置を示すヘッドマークと、前記排出口の位置を示す排出口マークとを、前記印刷ヘッドと前記排出口との位置関係に対応して表示するマーク表示制御手段と、前記印刷ヘッドによる印刷時において、前記表示部に、前記印刷画像が印刷される前記記録媒体のイメージ画像をリアルタイムに表示するイメージ画像表示制御手段とを備え、前記イメージ画像表示制御手段は、前記印刷ヘッドによる印刷開始時に、前記イメージ画像の開始端を、前記ヘッドマークに合わせた状態で、前記イメージ画像を前記表示部に初期表示する初期表示制御手段と、前記印刷ヘッドの印刷の進捗に合わせ、前記初期表示制御手段によって初期表示された前記イメージ画像の位置を、前記排出口マークに向かう方向に移動させる表示位置変化手段とを備えている。
【0007】
第1態様に係る印刷装置では、マーク表示制御手段は、ヘッドマークと、排出口マークとを表示する。初期表示制御手段は、イメージ画像の開始端を、ヘッドマークに合わせた状態で、イメージ画像を表示部に初期表示する。表示位置変化手段は、印刷ヘッドの印刷の進捗に合わせ、初期表示制御手段によって初期表示されたイメージ画像の位置を排出口マークに向かう方向に移動させる。これにより装置内部における記録媒体の位置と印刷状況とを可視化できる。そして表示部上において、記録媒体のイメージ画像と、印刷ヘッドと、排出口との位置関係を認識できるので、リアリティのある記録媒体のイメージ画像を表示部に表示できる。
【0008】
また第1態様において、前記印刷ヘッドと前記排出口との間に設けられ、前記印刷ヘッドによって印刷された前記記録媒体を幅方向に切断する切断部を備え、前記マーク表示制御手段は、前記表示部に、前記ヘッドマーク及び前記排出口に加え、前記切断部の位置を示す切断マークを、前記印刷ヘッド、前記切断部、及び前記排出口の位置関係に対応してさらに表示するようにしてもよい。マーク表示制御手段は、表示部に切断マークをさらに表示する。故に使用者は切断部によって記録媒体がどの位置で切断されるかを容易かつ速やかに認識できる。
【0009】
また第1態様において、前記記録媒体の終端を検出する終端検出部と、前記終端検出部によって前記終端が検出された場合に、前記イメージ画像上における前記終端の位置である終端位置を特定する終端位置特定手段とを備え、前記イメージ画像表示制御手段は、前記終端位置特定手段によって特定された前記終端位置に、前記終端であることを示す終端マークを反映させた前記イメージ画像を、前記表示部にリアルタイムに表示するようにしてもよい。イメージ画像表示制御手段は、終端マークを反映させたイメージ画像を表示部にリアルタイムに表示するので、例えばあとどの部分まで印刷可能であるかを推測することができる。また記録媒体が終わる前に、記録媒体を交換できる。
【0010】
また本発明の第2態様に係る印刷装置は、印刷データに基づき、記録媒体に対して印刷画像の印刷を行う印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドによる印刷後の前記記録媒体を外部に排出する排出口と、各種画像を表示する表示部と、前記印刷ヘッドによる印刷時において、前記表示部に、前記印刷画像が印刷された前記記録媒体のイメージ画像をリアルタイムに表示するイメージ画像表示制御手段とを備え、前記表示部には、前記印刷ヘッドの位置を示すヘッドマークと、前記排出口の位置を示す排出口マークとが、前記印刷ヘッドと前記排出口との位置関係に対応して設けられ、前記イメージ画像表示制御手段は、前記印刷ヘッドによる印刷開始時に、前記イメージ画像の開始端を、前記ヘッドマークに合わせた状態で、前記イメージ画像を前記表示部に初期表示する初期表示制御手段と、前記印刷ヘッドの印刷の進捗に合わせ、前記初期表示制御手段によって初期表示された前記イメージ画像の位置を、前記排出口マークに向かう方向に移動させる表示位置変化手段とを備えている。
【0011】
第2態様に係る印刷装置では、表示部には、ヘッドマークと、排出口マークとが予め設けられている。初期表示制御手段は、イメージ画像の開始端を、ヘッドマークに合わせた状態で、イメージ画像を表示部に初期表示する。表示位置変化手段は、印刷ヘッドの印刷の進捗に合わせ、初期表示制御手段によって初期表示されたイメージ画像の位置を排出口マークに向かう方向に移動させる。これにより装置内部における記録媒体の位置と印刷状況とを可視化できる。そして表示部上において、記録媒体のイメージ画像と、印刷ヘッドと、排出口との位置関係を認識できるので、リアリティのある記録媒体のイメージ画像を表示部に表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】印刷装置1の斜視図である。
【図2】カセット装着部8にテープカセット40が装着される印刷装置1の斜視図である。
【図3】サーマルヘッド10、カッター機構17、排出口7の位置関係を示す図である。
【図4】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】リアルタイム表示印刷処理のフローチャートである。
【図6】図5の続きを示すフローチャートである。
【図7】テープエンド検出処理のフローチャートである。
【図8】ディスプレイ5に表示されるイメージ画像80が送られる状態を示すステップ図である。
【図9】図8の続きを示すステップ図である。
【図10】ディスプレイ5においてイメージ画像80のテープエンド領域に終端マーク87が重ねて表示された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態である印刷装置1について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本開示が採用し得る技術的特徴を説明する為に用いるものである。記載している装置の構成等はそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例である。
【0014】
以下説明において、図1,図2の左斜め下方、右斜め上方、右斜め下方、左斜め上方を、印刷装置1の前方、後方、右方、左方とする。また図1において、右斜め下方から左斜め上方に向けてラベルテープ41が送られる方向をテープ送り方向とする。図3の右側、左側を印刷装置1の右側、左側とする。図3のサーマルヘッド10から排出口7に向かう方向をテープ送り方向とする。なおテープ送り方向の後方を上流側、テープ送り方向の前方を下流側とする。また印刷装置1においてラベルテープ41を搬送する動作をテープ送りと呼ぶ。
【0015】
先ず、印刷装置1の構造について簡単に説明する。図1に示すように、印刷装置1の上面の前側部分にはキーボード3が設けられている。キーボード3はキャラクタを入力する為の入力装置である。キャラクタは、例えば、文字、記号、図形、及び数字等である。キーボード3の後方には機能キー群4が設けられている。機能キー群4は、電源キーと、決定キーと、印刷キーとを含む入力装置である。なお以下説明においてキーボード3と機能キー群4とを総称する場合は入力部50と呼ぶ。
【0016】
そして、機能キー群4の後方には左右の側方から見た形状が略三角形状の台座部20が設けられている。台座部20の前面21は横長の長方形状である。前面21にはディスプレイ5が設けられている。ディスプレイ5は印刷装置1のテープ送り方向に対して平行に延設した横長の長方形状である。ディスプレイ5のサイズについては限定しないが、本実施形態ではラベルテープ41のサイズよりも大きい。前面21は印刷装置1の前方に対して斜め上方に傾斜している。故に使用者が印刷装置1の前側に位置すると、ディスプレイ5は使用者に対向するため、使用者にとって見え易い位置となる。ディスプレイ5には、各種画像の他、印刷中のラベルテープのイメージ画像がリアルタイムで表示される。
【0017】
また、印刷装置1の上面の後方部分にはカバー6が設けられている。カバー6は平面視略長方形状である。カバー6の後端部は印刷装置1の上面の後部に軸支されている。図2に示すように、カバー6は後端部を中心に開閉可能である。カバー6を上方に開くと、カセット装着部8が露出する。カセット装着部8にはテープカセット40が着脱可能である。テープカセット40は、ラベルテープ41と、図示しないインクリボンとを収納している。使用者はカバー6を開いた状態で、カセット装着部8にテープカセット40を装着する。印刷装置1の右側面の後方にはUSB接続部16が設けられている。USB接続部16には図示外のUSBケーブルの端子が接続可能である。印刷装置1はUSBケーブルを介してPC装置200(図4参照)を接続可能である。
【0018】
また、図2に示すように、印刷装置1の左側面の後方側には排出口7が設けられている。排出口7は後述するカッター機構17(図3参照)で切断された印刷済みのラベルテープ41を外部に排出する。排出口7の近傍にはテープトレイ22が設けられている。テープトレイ22は排出口7から送出された印刷済みのラベルテープ41を受けることができる。
【0019】
次に、カセット装着部8の内部構造について説明する。カセット装着部8は、印刷機構と、テープ送り機構とを備えている。これらの機構は周知の機構である。図3に示すように、印刷機構は、サーマルヘッド10と、プラテンホルダ11とを備えている。サーマルヘッド10はカセット装着部8の前側に設けられている。サーマルヘッド10は発熱素子を有し、テープカセット40から引き出されたラベルテープ41の印刷面に画像を印刷する。プラテンホルダ11はサーマルヘッド10の前方に設けられている。プラテンホルダ11はアーム状である。プラテンホルダ11は、左端側に、プラテンローラ13と、搬送ローラ14とを回転可能に保持している。プラテンホルダ11は右端側の軸支部11Aを中心に回動可能である。プラテンホルダ11が後方に回動すると、プラテンローラ13はサーマルヘッド10に圧接され、搬送ローラ14はテープカセット40のテープ駆動ローラ37に圧接される。
【0020】
また、テープ送り機構は、リボン巻取軸9と、テープ駆動軸23とを備えている。リボン巻取軸9は、テープ送りモータ15(図4参照)の駆動により図示しない駆動機構を介して回転する。リボン巻取軸9は、テープカセット40の図示しないリボンスプールから引き出されて印刷に使用された後のインクリボンを巻き取る。テープ駆動軸23も、テープ送りモータ15(図4参照)の駆動により図示しない駆動機構を介して回転する。故にリボン巻取軸9と、テープ駆動軸23とは互いに同期して駆動する。テープ駆動軸23にはテープカセット40のテープ駆動ローラ37が嵌挿される。印刷装置1は、テープ駆動ローラ37と搬送ローラ14との協働により、ラベルテープ41をテープカセット40から引き出し、サーマルヘッド10で印刷されたラベルテープ41を後述する排出口7に向けて搬送する。
【0021】
さらに、図3に示すように、サーマルヘッド10と排出口7との間であるラベルテープ41の送り経路の途中には、カッター機構17が設けられている。カッター機構17は、移動刃18と、固定刃19と、カッターモータ12(図4参照)とを備えている。移動刃18はラベルテープ41の送り経路の上側に、固定刃19は送り経路の下側に位置する。移動刃18と固定刃19の位置は逆でもよい。使用者の入力部50の操作により、カッターモータ12が駆動すると、移動刃18が固定刃19に向けて移動する。これにより移動刃18と固定刃19との間に位置する印刷済みのラベルテープ41が幅方向に切断される。
【0022】
また、カッター機構17の下流側であって、印刷装置1の左側面の後方側には排出口7が設けられている。排出口7はカッター機構17で切断された印刷済みのラベルテープ41を外部に排出する。排出口7の近傍にはテープトレイ22が設けられている。テープトレイ22は排出口7から送出された印刷済みのラベルテープ41を受けることができる。
【0023】
また、カセット装着部8にはマークセンサ25(図4参照)が設けられている。マークセンサ25は周知の光センサであり、発光素子と受光素子とを有する。マークセンサ25は、テープカセット40内のラベルテープ41に印刷された図示しない黒色のエンドマークを検出する。エンドマークは例えばラベルテープ41の終端から所定長の範囲に印刷されている。マークセンサ25は、発光素子から照射されてラベルテープ41に反射した光を受光素子が検出し、その受光した光の強度を検出する。マークセンサ25は、例えばテープカセット40に設けられた図示しない窓部に対向する位置に設けられる。マークセンサ25は窓部から露出するラベルテープ41に印刷されたエンドマークを検出する。
【0024】
次に、印刷装置1の電気的構成について説明する。図4に示すように、印刷装置1は、CPU31と、ROM32と、CGROM33と、RAM34と、フラッシュメモリ35とを備えている。CPU31は、印刷装置1の動作を制御する。ROM32と、CGROM33と、RAM34と、フラッシュメモリ35とは、CPU31に電気的に接続されている。CPU31には、さらに上述の入力部50と、LCDC51と、駆動回路52〜54と、上述のマークセンサ25と、USB接続部16とが接続されている。LCDC51はディスプレイ5を駆動する。駆動回路52はサーマルヘッド10を駆動する。駆動回路53はテープ送りモータ15を駆動する。駆動回路54はカッターモータ12を駆動する。
【0025】
ROM32はプログラム記憶領域321を備えている。プログラム記憶領域321には、印刷装置1を制御する為の各種プログラム、リアルタイム表示印刷を実行する為のリアルタイム表示印刷プログラム等が記憶されている。
【0026】
CGROM33はキャラクタをディスプレイ5に表示させる為のサイズ情報、キャラクタを印字する為の印字用ドットパターンデータ等を記憶している。
【0027】
RAM34は、印刷バッファ341と、イメージ画像記憶領域342と、印刷ライン数記憶領域343と、カウンタ値記憶領域344と、エンドフラグ記憶領域345と、センサ値記憶領域346と、を少なくとも備えている。印刷バッファ341には、印刷時に使用される印刷データが一時的に記憶される。イメージ画像記憶領域342には、印刷データに基づいて画像が印刷された状態のラベルテープ41のイメージ画像のデータが記憶される。印刷ライン数記憶領域343には印刷ライン数Nが記憶される。印刷ライン数Nは、これから印刷する予定の印刷データをサーマルヘッド10で印刷する際のテープ送りに必要な全ライン数である。
【0028】
カウンタ値記憶領域344には、印刷済みライン数のカウンタ値(n)と、移動済みライン数のカウンタ値(m)とが記憶される。印刷済みライン数は、印刷中のテープ送りのライン数である。移動済みライン数は、印刷後のテープ送りのライン数である。印刷済みライン数と、移動済みライン数とは、各種カウンタによって計数され、印刷済みライン数のカウンタ値(n)、移動済みライン数のカウンタ値(m)としてカウンタ値記憶領域344に記憶される。エンドフラグ記憶領域345にはエンドフラグが記憶される。エンドフラグは後述するテープエンド検出処理(図7参照)において、ラベルテープ41のエンドマークが検出されるとオンされる。センサ値記憶領域346にはマークセンサ25によって検出された光の強度がセンサ値として記憶される。
【0029】
フラッシュメモリ35は、印刷データ記憶領域351と、印刷後移動ライン数記憶領域352とを少なくとも備えている。印刷データ記憶領域351は印刷データを記憶している。印刷データはラベルテープ41に印刷する画像のデータである。例えば使用者が入力部50によって作成した各種パターンの印刷データは、印刷データ記憶領域351に記憶される。またPC装置200から受信した印刷データは、印刷データ記憶領域351に記憶される。印刷後移動ライン数記憶領域352には印刷後移動ライン数Mが記憶される。印刷後移動ライン数Mは、印刷完了後に、サーマルヘッド10からカッター機構17の切断位置までのテープ送りに必要なライン数である。
【0030】
次に、CPU31によって実行されるリアルタイム表示印刷処理について、図5〜図7のフローチャートと、図8,図9のステップ図とを参照して説明する。本処理は、使用者が入力部50で選択した印刷データの印刷開始を指示したときに、ROM32のプログラム記憶領域321に記憶された「リアルタイム表示印刷プログラム」が読み出されて実行される。
【0031】
CPU31は、先ず、図8のステップAに示すように、ディスプレイ5に「Printing Start」のメッセージを中央に表示する(S1)。CPU31はRAM34のカウンタ値記憶領域344に記憶されたカウンタ値(n)と、カウンタ値(m)とを共に0にリセットする(S2,S3)。CPU31は使用者が入力部50で選択した印刷データの種類に基づき、その印刷データが印刷された状態のラベルテープ41のイメージ画像80を作成する(S4)。CPU31は作成したイメージ画像80のデータをRAM34のイメージ画像記憶領域342に記憶する。
【0032】
CPU31は、ディスプレイ5において、ヘッドマーク71と、カッターマーク72と、排出口マーク73とをそれぞれ表示する(S5)。図8のステップBに示すように、ヘッドマーク71はディスプレイ5を上下方向に横断する直線で表示されている。カッターマーク72は上下一対の三角形のマークで表示されている。排出口マーク73は白抜きの縦長の長方形のマークで表示されている。ヘッドマーク71と、カッターマーク72と、排出口マーク73と(以下総称する場合はマーク71〜73と呼ぶ)はディスプレイ5の左側に表示される。マーク71〜73は、図3に示すサーマルヘッド10、カッター機構17の切断位置、排出口7の互いの位置関係にそれぞれ対応している。即ち、ヘッドマーク71は右側に、排出口マーク73は左側に、カッターマーク72はそれらの間に表示される。
【0033】
例えば、図3において、サーマルヘッド10からカッター機構17の切断位置までの距離をX1、カッター機構17の切断位置から排出口7までの距離をX2とする。図8のステップBにおいて、ヘッドマーク71からカッターマーク72までの距離をY1、カッターマーク72から排出口マーク73までの距離をY2とする。ここでY1とY2の比率は、X1とX2の比率と同じである。なお本実施形態では、X1とY1、X2とY2はそれぞれ同じ距離である。
【0034】
CPU31はディスプレイ5において、ラベルテープ41のイメージ画像80を初期表示する(S6)。図8のステップCに示すように、イメージ画像80はラベルテープ41と同じ形状で表示され、実際のテープ送り方向に対して平行に配置される。イメージ画像80の枠内には、例えば「むかしむかし〜。」という一文が文頭を左側にして右方向に表示される。このときCPU31はイメージ画像80の開始端をヘッドマーク71に合わせて初期表示する。
【0035】
CPU31は印刷ライン数Nを算出する(S7)。印刷ライン数Nはイメージ画像80の上述の一文を印刷する為に必要なテープ送りの全ライン数である。CPU31はRAM34の印刷バッファ341に記憶された印刷データに基づき、印刷ライン数Nを算出する。CPU31は算出した印刷ライン数NをRAM34の印刷ライン数記憶領域343に記憶する。
【0036】
CPU31は1ラインの印刷を実行する(S8)。サーマルヘッド10が1ライン分の印刷を実行すると、上述のテープ送り機構はラベルテープ41を1ライン分だけ排出口7側に送る。さらにCPU31はディスプレイ5において、イメージ画像80を1ライン分左方向に移動させる(S9)。これによりイメージ画像80は実際のラベルテープ41のテープ送り方向と同方向に同じ距離だけ移動したことになる。CPU31はテープエンド検出処理を実行する(S10)。
【0037】
ここでテープエンド検出処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。CPU31は、先ずマークセンサ25のセンサ値を読み込む(S31)。CPU31は読み込んだセンサ値をRAM34のセンサ値記憶領域346に記憶する(S32)。センサ値はマークセンサ25によって検出された光の強度を電圧(V)に変換した値である。
【0038】
CPU31はRAM34のセンサ値記憶領域346に記憶されたセンサ値が過去S回(例えば3回)全て黒色か否か判断する(S33)。CPU31は例えばセンサ値が所定レベル以下の場合を黒色と判断する。過去S回のセンサ値が全て黒色となっていない場合(S33:NO)、エンドマークと断定せず、処理をそのまま図5のS11に進める。
【0039】
一方、過去S回のセンサ値が全て黒色であった場合(S33:YES)、エンドマークと断定できる。故にCPU31はRAM34のエンドフラグ記憶領域345に記憶されているエンドフラグをオンする(S34)。CPU31は処理を図5のS11に進める。
【0040】
次いでCPU31はエンドフラグがオンか否か判断する(S11)。CPU31はRAM34のエンドフラグ記憶領域345に記憶されているエンドフラグがオフされていると
判断した場合(S11:NO)、今回のラインはテープエンド領域か否か判断する(S13)。
【0041】
テープエンド領域について説明する。印刷装置1のフラッシュメモリ35には、マークセンサ25からサーマルヘッド10までの距離が予め記憶されている。例えば、マークセンサ25によってエンドマークが検出されると、CPU31はそのときのイメージ画像80上の印刷位置をRAM34に記憶する。CPU31はフラッシュメモリ35に予め記憶された上述の距離をライン数に変換し、RAM34に記憶された印刷位置に加算する。それ故CPU31はイメージ画像80上においてどのラインからテープエンド(終端)となるかを特定できる。そしてイメージ画像80上においてテープエンドよりも上流側の領域がテープエンド領域となる。
【0042】
CPU31は今回のラインはテープエンド領域ではないと判断した場合(S13:NO)、図6のフローに示すように、RAM34のカウンタ値記憶領域344に記憶されたカウンタ値(n)に1加算する(S15)。さらにCPU31はカウンタ値記憶領域344に記憶されたカウンタ値(n)は印刷ライン数N以上か否か判断する(S16)。CPU31はカウンタ値(n)は印刷ライン数N未満であると判断した場合(S17:NO)、処理を図5のS8に戻し、印刷ライン数Nに達するまで上述の処理を繰り返す(S8〜S16)。それ故、ディスプレイ5には、図8のステップD、E、Fに示すように、イメージ画像80が実際のラベルテープ41のテープ送りと同じ方向に同じ速度で移動して表示される。
【0043】
なお、イメージ画像80の終端がディスプレイ5の右端に来たときは、それに続けて何も印刷されていない白紙のラベルテープ41のイメージ画像81が続けて表示される。イメージ画像81は例えばグレー表示されるので、イメージ画像80と区別できる。
【0044】
CPU31はカウンタ値(n)は印刷ライン数N以上であると判断した場合(S16:YES)、サーマルヘッド10による印刷は終了したので、フラッシュメモリ35の印刷後移動ライン数記憶領域352から印刷後移動ライン数Mを取得する(S17)。CPU31はラベルテープ41を1ライン分送る(S18)。さらにCPU31はディスプレイ5においてイメージ画像80を1ライン分だけ左方向に移動させる(S19)。これによりイメージ画像80は実際のラベルテープ41のテープ送り方向と同方向に同じ距離移動したことになる。
【0045】
CPU31はRAM34のカウンタ値記憶領域344に記憶されたカウンタ値(m)に1加算する(S20)。さらにCPU31はカウンタ値記憶領域344に記憶されたカウンタ値(m)は印刷後移動ライン数M以上か否か判断する(S21)。CPU31はカウンタ値(m)は印刷後移動ライン数M未満であると判断した場合(S21:NO)、処理をS18に戻し、印刷後移動ライン数Mに達するまで、上述の処理を繰り返す。これによりディスプレイ5には、図9のステップGに示すように、イメージ画像80が実際のラベルテープ41のテープ送りと同じ方向に同じ速度で移動して表示される。
【0046】
CPU31はカウンタ値(m)は印刷後移動ライン数M以上であると判断した場合(S21:YES)、テープ送りモータ15の駆動を停止する(S22)。このときラベルテープ41は、印刷面に印刷された「むかしむかし〜。」の一文の終わる位置がカッター機構17の切断位置に達するまで送られている。一方、ディスプレイ5では、図9のステップHに示すように、イメージ画像80はその終端がカッターマーク72の切断位置に達するまで送られている。
【0047】
CPU31はカッターモータ12を駆動する(S23)。カッターモータ12が駆動すると、移動刃18が固定刃19に向けて移動する。故に移動刃18と固定刃19との間に位置する印刷済みのラベルテープ41が幅方向に切断される。さらにCPU31はディスプレイ5において、カットアニメーションを表示する(S24)。カットアニメーションの一例として、図9のステップIに示すように、先ずカッターマーク72の位置にハサミマーク85を表示する。その後、ステップJに示すように、イメージ画像80とイメージ画像81とを境界線にて分断し隙間を空けて表示する。これによりラベルテープ41が切断される様子についてリアリティのある表示を行うことができる。
【0048】
CPU31はイメージ画像80が排出口マーク73から消えるまでイメージ画像80の送り表示を行う(S25)。図9のステップK、Lに示すように、ディスプレイ5ではイメージ画像81はそのままの位置に残ってグレー表示され、イメージ画像80のみが送られる。故に実際の印刷装置1の内部における印刷状況を忠実に再現することができる。こうしてCPU31は本処理を終了する。
【0049】
ところで、CPU31は、図5のS11において、RAM34のエンドフラグ記憶領域345に記憶されているエンドフラグがオンされていると判断した場合(S11:YES)、テープエンド領域を特定する(S11)。テープエンド領域の特定方法は上述の通りである。そしてCPU31は今回のラインがテープエンド領域と判断した場合(S13:YES)、イメージ画像80において特定したテープエンド領域の表示を変更する(S14)。例えば、テープエンドに相当する位置がディスプレイ5の右端に来たら、それ以降の領域がテープエンド領域となる。そのテープエンド領域に縞模様の終端マーク87を重ねて表示する(図10参照)。これにより使用者は印刷途中でラベルテープ41が終わってしまうことをディスプレイ5上で認識できる。この場合、例えば使用者は印刷を中止し、新たなテープカセットと交換して、印刷をやり直す等の対応を速やかにとることができる。
【0050】
なお、上記説明において、マークセンサ25が本発明の「終端検出部」の一例である。カッター機構17が本発明の「切断部」の一例である。S4の処理を実行するCPU31が本発明の「マーク表示制御手段」の一例である。S5の処理を実行するCPU31が本発明の「初期表示制御手段」の一例である。S8、S19の処理を実行するCPU31が本発明の「表示位置変化手段」の一例である。S11の処理を実行するCPU31が本発明の「終端位置特定手段」の一例である。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の印刷装置1では、入力部50で印刷が指示されると、ディスプレイ5に、ヘッドマーク71と、カッターマーク72と、排出口マーク73とが表示される。マーク71〜73は、サーマルヘッド10、カッター機構17、排出口7の互いの位置関係にそれぞれ対応して表示される。ラベルテープ41のイメージ画像80の開始端がヘッドマーク71に合わせられ、ディスプレイ5にイメージ画像80が初期表示される。サーマルヘッド10による1ライン毎の印刷動作に合わせ、1ライン毎にイメージ画像80をテープ送り方向と同方向に送りながら表示する。これにより印刷装置1の内部の印刷状況がディスプレイ5において再現されるので、使用者は装置内部の印刷状況をディスプレイ5のリアリティのある表示でより具体的に知ることができる。また印刷中に、ラベルテープ41のどの部分がサーマルヘッド10により印刷され、どの部分が排出口7を通過しているかがわかるので、装置内部における印刷状況をより具体的に知ることができる。
【0052】
また上記実施形態では、ディスプレイ5にカッターマーク72を表示するので、カッター機構17を動作させた場合に、どこの部分で切断されるかを容易に知ることができる。
【0053】
また上記実施形態では、ラベルテープ41の終端に印刷されたエンドマークをマークセンサ25で検出し、ラベルテープ41のテープエンド領域を特定して、そのテープエンド領域に縞模様の終端マークを重ねて表示する。これにより印刷中のラベルテープ41がイメージ画像80のどの部分まで印刷可能であるかを知ることができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、使用者により印刷が指示されると、CPU31はディスプレイ5に先ずマーク71〜73を表示し、その後、イメージ画像80を表示しているが、ディスプレイ5の画面上、又はその枠に、マーク71〜73を予め設けておいてもよい。
【0055】
また上記実施形態では、テープカセット40が収納するラベルテープ41はインクリボンによって画像が転写されるレセプタータイプであるが、この他にも感熱式タイプ、ラミネートタイプでもよく、ラベルテープの構造については限定されない。
【符号の説明】
【0056】
1 印刷装置
5 ディスプレイ
7 排出口
10 サーマルヘッド
17 カッター機構
25 マークセンサ
31 CPU
40 テープカセット
41 ラベルテープ
71 ヘッドマーク
72 カッターマーク
73 排出口マーク
80 イメージ画像
87 終端マーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷中の記録媒体のイメージ画像を表示部に表示しながら、印刷ヘッドにより記録媒体に印刷を行うことができる印刷装置が知られている。例えば、文書の印刷途中で印刷を一時停止し、印刷済み領域と印刷されていない領域とを識別して表示し、文書を印刷途中で編集し、編集終了後、印刷を続行できる文書印刷編集方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−160688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、印刷装置の内部構造は筐体に隠れて見えないため、表示部にイメージ画像を表示しながら印刷しているにも関わらず、記録媒体のどの部分が印刷ヘッドを通過し、どの部分が排出口を通過しているのかは分からない。それ故、装置内部における印刷状況をリアルタイムで把握することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、装置内部の印刷状況を可視化できる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る印刷装置は、印刷データに基づき、記録媒体に対して印刷画像の印刷を行う印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドによる印刷後の前記記録媒体を外部に排出する排出口と、各種画像を表示する表示部と、前記表示部に、前記印刷ヘッドの位置を示すヘッドマークと、前記排出口の位置を示す排出口マークとを、前記印刷ヘッドと前記排出口との位置関係に対応して表示するマーク表示制御手段と、前記印刷ヘッドによる印刷時において、前記表示部に、前記印刷画像が印刷される前記記録媒体のイメージ画像をリアルタイムに表示するイメージ画像表示制御手段とを備え、前記イメージ画像表示制御手段は、前記印刷ヘッドによる印刷開始時に、前記イメージ画像の開始端を、前記ヘッドマークに合わせた状態で、前記イメージ画像を前記表示部に初期表示する初期表示制御手段と、前記印刷ヘッドの印刷の進捗に合わせ、前記初期表示制御手段によって初期表示された前記イメージ画像の位置を、前記排出口マークに向かう方向に移動させる表示位置変化手段とを備えている。
【0007】
第1態様に係る印刷装置では、マーク表示制御手段は、ヘッドマークと、排出口マークとを表示する。初期表示制御手段は、イメージ画像の開始端を、ヘッドマークに合わせた状態で、イメージ画像を表示部に初期表示する。表示位置変化手段は、印刷ヘッドの印刷の進捗に合わせ、初期表示制御手段によって初期表示されたイメージ画像の位置を排出口マークに向かう方向に移動させる。これにより装置内部における記録媒体の位置と印刷状況とを可視化できる。そして表示部上において、記録媒体のイメージ画像と、印刷ヘッドと、排出口との位置関係を認識できるので、リアリティのある記録媒体のイメージ画像を表示部に表示できる。
【0008】
また第1態様において、前記印刷ヘッドと前記排出口との間に設けられ、前記印刷ヘッドによって印刷された前記記録媒体を幅方向に切断する切断部を備え、前記マーク表示制御手段は、前記表示部に、前記ヘッドマーク及び前記排出口に加え、前記切断部の位置を示す切断マークを、前記印刷ヘッド、前記切断部、及び前記排出口の位置関係に対応してさらに表示するようにしてもよい。マーク表示制御手段は、表示部に切断マークをさらに表示する。故に使用者は切断部によって記録媒体がどの位置で切断されるかを容易かつ速やかに認識できる。
【0009】
また第1態様において、前記記録媒体の終端を検出する終端検出部と、前記終端検出部によって前記終端が検出された場合に、前記イメージ画像上における前記終端の位置である終端位置を特定する終端位置特定手段とを備え、前記イメージ画像表示制御手段は、前記終端位置特定手段によって特定された前記終端位置に、前記終端であることを示す終端マークを反映させた前記イメージ画像を、前記表示部にリアルタイムに表示するようにしてもよい。イメージ画像表示制御手段は、終端マークを反映させたイメージ画像を表示部にリアルタイムに表示するので、例えばあとどの部分まで印刷可能であるかを推測することができる。また記録媒体が終わる前に、記録媒体を交換できる。
【0010】
また本発明の第2態様に係る印刷装置は、印刷データに基づき、記録媒体に対して印刷画像の印刷を行う印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドによる印刷後の前記記録媒体を外部に排出する排出口と、各種画像を表示する表示部と、前記印刷ヘッドによる印刷時において、前記表示部に、前記印刷画像が印刷された前記記録媒体のイメージ画像をリアルタイムに表示するイメージ画像表示制御手段とを備え、前記表示部には、前記印刷ヘッドの位置を示すヘッドマークと、前記排出口の位置を示す排出口マークとが、前記印刷ヘッドと前記排出口との位置関係に対応して設けられ、前記イメージ画像表示制御手段は、前記印刷ヘッドによる印刷開始時に、前記イメージ画像の開始端を、前記ヘッドマークに合わせた状態で、前記イメージ画像を前記表示部に初期表示する初期表示制御手段と、前記印刷ヘッドの印刷の進捗に合わせ、前記初期表示制御手段によって初期表示された前記イメージ画像の位置を、前記排出口マークに向かう方向に移動させる表示位置変化手段とを備えている。
【0011】
第2態様に係る印刷装置では、表示部には、ヘッドマークと、排出口マークとが予め設けられている。初期表示制御手段は、イメージ画像の開始端を、ヘッドマークに合わせた状態で、イメージ画像を表示部に初期表示する。表示位置変化手段は、印刷ヘッドの印刷の進捗に合わせ、初期表示制御手段によって初期表示されたイメージ画像の位置を排出口マークに向かう方向に移動させる。これにより装置内部における記録媒体の位置と印刷状況とを可視化できる。そして表示部上において、記録媒体のイメージ画像と、印刷ヘッドと、排出口との位置関係を認識できるので、リアリティのある記録媒体のイメージ画像を表示部に表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】印刷装置1の斜視図である。
【図2】カセット装着部8にテープカセット40が装着される印刷装置1の斜視図である。
【図3】サーマルヘッド10、カッター機構17、排出口7の位置関係を示す図である。
【図4】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】リアルタイム表示印刷処理のフローチャートである。
【図6】図5の続きを示すフローチャートである。
【図7】テープエンド検出処理のフローチャートである。
【図8】ディスプレイ5に表示されるイメージ画像80が送られる状態を示すステップ図である。
【図9】図8の続きを示すステップ図である。
【図10】ディスプレイ5においてイメージ画像80のテープエンド領域に終端マーク87が重ねて表示された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態である印刷装置1について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本開示が採用し得る技術的特徴を説明する為に用いるものである。記載している装置の構成等はそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例である。
【0014】
以下説明において、図1,図2の左斜め下方、右斜め上方、右斜め下方、左斜め上方を、印刷装置1の前方、後方、右方、左方とする。また図1において、右斜め下方から左斜め上方に向けてラベルテープ41が送られる方向をテープ送り方向とする。図3の右側、左側を印刷装置1の右側、左側とする。図3のサーマルヘッド10から排出口7に向かう方向をテープ送り方向とする。なおテープ送り方向の後方を上流側、テープ送り方向の前方を下流側とする。また印刷装置1においてラベルテープ41を搬送する動作をテープ送りと呼ぶ。
【0015】
先ず、印刷装置1の構造について簡単に説明する。図1に示すように、印刷装置1の上面の前側部分にはキーボード3が設けられている。キーボード3はキャラクタを入力する為の入力装置である。キャラクタは、例えば、文字、記号、図形、及び数字等である。キーボード3の後方には機能キー群4が設けられている。機能キー群4は、電源キーと、決定キーと、印刷キーとを含む入力装置である。なお以下説明においてキーボード3と機能キー群4とを総称する場合は入力部50と呼ぶ。
【0016】
そして、機能キー群4の後方には左右の側方から見た形状が略三角形状の台座部20が設けられている。台座部20の前面21は横長の長方形状である。前面21にはディスプレイ5が設けられている。ディスプレイ5は印刷装置1のテープ送り方向に対して平行に延設した横長の長方形状である。ディスプレイ5のサイズについては限定しないが、本実施形態ではラベルテープ41のサイズよりも大きい。前面21は印刷装置1の前方に対して斜め上方に傾斜している。故に使用者が印刷装置1の前側に位置すると、ディスプレイ5は使用者に対向するため、使用者にとって見え易い位置となる。ディスプレイ5には、各種画像の他、印刷中のラベルテープのイメージ画像がリアルタイムで表示される。
【0017】
また、印刷装置1の上面の後方部分にはカバー6が設けられている。カバー6は平面視略長方形状である。カバー6の後端部は印刷装置1の上面の後部に軸支されている。図2に示すように、カバー6は後端部を中心に開閉可能である。カバー6を上方に開くと、カセット装着部8が露出する。カセット装着部8にはテープカセット40が着脱可能である。テープカセット40は、ラベルテープ41と、図示しないインクリボンとを収納している。使用者はカバー6を開いた状態で、カセット装着部8にテープカセット40を装着する。印刷装置1の右側面の後方にはUSB接続部16が設けられている。USB接続部16には図示外のUSBケーブルの端子が接続可能である。印刷装置1はUSBケーブルを介してPC装置200(図4参照)を接続可能である。
【0018】
また、図2に示すように、印刷装置1の左側面の後方側には排出口7が設けられている。排出口7は後述するカッター機構17(図3参照)で切断された印刷済みのラベルテープ41を外部に排出する。排出口7の近傍にはテープトレイ22が設けられている。テープトレイ22は排出口7から送出された印刷済みのラベルテープ41を受けることができる。
【0019】
次に、カセット装着部8の内部構造について説明する。カセット装着部8は、印刷機構と、テープ送り機構とを備えている。これらの機構は周知の機構である。図3に示すように、印刷機構は、サーマルヘッド10と、プラテンホルダ11とを備えている。サーマルヘッド10はカセット装着部8の前側に設けられている。サーマルヘッド10は発熱素子を有し、テープカセット40から引き出されたラベルテープ41の印刷面に画像を印刷する。プラテンホルダ11はサーマルヘッド10の前方に設けられている。プラテンホルダ11はアーム状である。プラテンホルダ11は、左端側に、プラテンローラ13と、搬送ローラ14とを回転可能に保持している。プラテンホルダ11は右端側の軸支部11Aを中心に回動可能である。プラテンホルダ11が後方に回動すると、プラテンローラ13はサーマルヘッド10に圧接され、搬送ローラ14はテープカセット40のテープ駆動ローラ37に圧接される。
【0020】
また、テープ送り機構は、リボン巻取軸9と、テープ駆動軸23とを備えている。リボン巻取軸9は、テープ送りモータ15(図4参照)の駆動により図示しない駆動機構を介して回転する。リボン巻取軸9は、テープカセット40の図示しないリボンスプールから引き出されて印刷に使用された後のインクリボンを巻き取る。テープ駆動軸23も、テープ送りモータ15(図4参照)の駆動により図示しない駆動機構を介して回転する。故にリボン巻取軸9と、テープ駆動軸23とは互いに同期して駆動する。テープ駆動軸23にはテープカセット40のテープ駆動ローラ37が嵌挿される。印刷装置1は、テープ駆動ローラ37と搬送ローラ14との協働により、ラベルテープ41をテープカセット40から引き出し、サーマルヘッド10で印刷されたラベルテープ41を後述する排出口7に向けて搬送する。
【0021】
さらに、図3に示すように、サーマルヘッド10と排出口7との間であるラベルテープ41の送り経路の途中には、カッター機構17が設けられている。カッター機構17は、移動刃18と、固定刃19と、カッターモータ12(図4参照)とを備えている。移動刃18はラベルテープ41の送り経路の上側に、固定刃19は送り経路の下側に位置する。移動刃18と固定刃19の位置は逆でもよい。使用者の入力部50の操作により、カッターモータ12が駆動すると、移動刃18が固定刃19に向けて移動する。これにより移動刃18と固定刃19との間に位置する印刷済みのラベルテープ41が幅方向に切断される。
【0022】
また、カッター機構17の下流側であって、印刷装置1の左側面の後方側には排出口7が設けられている。排出口7はカッター機構17で切断された印刷済みのラベルテープ41を外部に排出する。排出口7の近傍にはテープトレイ22が設けられている。テープトレイ22は排出口7から送出された印刷済みのラベルテープ41を受けることができる。
【0023】
また、カセット装着部8にはマークセンサ25(図4参照)が設けられている。マークセンサ25は周知の光センサであり、発光素子と受光素子とを有する。マークセンサ25は、テープカセット40内のラベルテープ41に印刷された図示しない黒色のエンドマークを検出する。エンドマークは例えばラベルテープ41の終端から所定長の範囲に印刷されている。マークセンサ25は、発光素子から照射されてラベルテープ41に反射した光を受光素子が検出し、その受光した光の強度を検出する。マークセンサ25は、例えばテープカセット40に設けられた図示しない窓部に対向する位置に設けられる。マークセンサ25は窓部から露出するラベルテープ41に印刷されたエンドマークを検出する。
【0024】
次に、印刷装置1の電気的構成について説明する。図4に示すように、印刷装置1は、CPU31と、ROM32と、CGROM33と、RAM34と、フラッシュメモリ35とを備えている。CPU31は、印刷装置1の動作を制御する。ROM32と、CGROM33と、RAM34と、フラッシュメモリ35とは、CPU31に電気的に接続されている。CPU31には、さらに上述の入力部50と、LCDC51と、駆動回路52〜54と、上述のマークセンサ25と、USB接続部16とが接続されている。LCDC51はディスプレイ5を駆動する。駆動回路52はサーマルヘッド10を駆動する。駆動回路53はテープ送りモータ15を駆動する。駆動回路54はカッターモータ12を駆動する。
【0025】
ROM32はプログラム記憶領域321を備えている。プログラム記憶領域321には、印刷装置1を制御する為の各種プログラム、リアルタイム表示印刷を実行する為のリアルタイム表示印刷プログラム等が記憶されている。
【0026】
CGROM33はキャラクタをディスプレイ5に表示させる為のサイズ情報、キャラクタを印字する為の印字用ドットパターンデータ等を記憶している。
【0027】
RAM34は、印刷バッファ341と、イメージ画像記憶領域342と、印刷ライン数記憶領域343と、カウンタ値記憶領域344と、エンドフラグ記憶領域345と、センサ値記憶領域346と、を少なくとも備えている。印刷バッファ341には、印刷時に使用される印刷データが一時的に記憶される。イメージ画像記憶領域342には、印刷データに基づいて画像が印刷された状態のラベルテープ41のイメージ画像のデータが記憶される。印刷ライン数記憶領域343には印刷ライン数Nが記憶される。印刷ライン数Nは、これから印刷する予定の印刷データをサーマルヘッド10で印刷する際のテープ送りに必要な全ライン数である。
【0028】
カウンタ値記憶領域344には、印刷済みライン数のカウンタ値(n)と、移動済みライン数のカウンタ値(m)とが記憶される。印刷済みライン数は、印刷中のテープ送りのライン数である。移動済みライン数は、印刷後のテープ送りのライン数である。印刷済みライン数と、移動済みライン数とは、各種カウンタによって計数され、印刷済みライン数のカウンタ値(n)、移動済みライン数のカウンタ値(m)としてカウンタ値記憶領域344に記憶される。エンドフラグ記憶領域345にはエンドフラグが記憶される。エンドフラグは後述するテープエンド検出処理(図7参照)において、ラベルテープ41のエンドマークが検出されるとオンされる。センサ値記憶領域346にはマークセンサ25によって検出された光の強度がセンサ値として記憶される。
【0029】
フラッシュメモリ35は、印刷データ記憶領域351と、印刷後移動ライン数記憶領域352とを少なくとも備えている。印刷データ記憶領域351は印刷データを記憶している。印刷データはラベルテープ41に印刷する画像のデータである。例えば使用者が入力部50によって作成した各種パターンの印刷データは、印刷データ記憶領域351に記憶される。またPC装置200から受信した印刷データは、印刷データ記憶領域351に記憶される。印刷後移動ライン数記憶領域352には印刷後移動ライン数Mが記憶される。印刷後移動ライン数Mは、印刷完了後に、サーマルヘッド10からカッター機構17の切断位置までのテープ送りに必要なライン数である。
【0030】
次に、CPU31によって実行されるリアルタイム表示印刷処理について、図5〜図7のフローチャートと、図8,図9のステップ図とを参照して説明する。本処理は、使用者が入力部50で選択した印刷データの印刷開始を指示したときに、ROM32のプログラム記憶領域321に記憶された「リアルタイム表示印刷プログラム」が読み出されて実行される。
【0031】
CPU31は、先ず、図8のステップAに示すように、ディスプレイ5に「Printing Start」のメッセージを中央に表示する(S1)。CPU31はRAM34のカウンタ値記憶領域344に記憶されたカウンタ値(n)と、カウンタ値(m)とを共に0にリセットする(S2,S3)。CPU31は使用者が入力部50で選択した印刷データの種類に基づき、その印刷データが印刷された状態のラベルテープ41のイメージ画像80を作成する(S4)。CPU31は作成したイメージ画像80のデータをRAM34のイメージ画像記憶領域342に記憶する。
【0032】
CPU31は、ディスプレイ5において、ヘッドマーク71と、カッターマーク72と、排出口マーク73とをそれぞれ表示する(S5)。図8のステップBに示すように、ヘッドマーク71はディスプレイ5を上下方向に横断する直線で表示されている。カッターマーク72は上下一対の三角形のマークで表示されている。排出口マーク73は白抜きの縦長の長方形のマークで表示されている。ヘッドマーク71と、カッターマーク72と、排出口マーク73と(以下総称する場合はマーク71〜73と呼ぶ)はディスプレイ5の左側に表示される。マーク71〜73は、図3に示すサーマルヘッド10、カッター機構17の切断位置、排出口7の互いの位置関係にそれぞれ対応している。即ち、ヘッドマーク71は右側に、排出口マーク73は左側に、カッターマーク72はそれらの間に表示される。
【0033】
例えば、図3において、サーマルヘッド10からカッター機構17の切断位置までの距離をX1、カッター機構17の切断位置から排出口7までの距離をX2とする。図8のステップBにおいて、ヘッドマーク71からカッターマーク72までの距離をY1、カッターマーク72から排出口マーク73までの距離をY2とする。ここでY1とY2の比率は、X1とX2の比率と同じである。なお本実施形態では、X1とY1、X2とY2はそれぞれ同じ距離である。
【0034】
CPU31はディスプレイ5において、ラベルテープ41のイメージ画像80を初期表示する(S6)。図8のステップCに示すように、イメージ画像80はラベルテープ41と同じ形状で表示され、実際のテープ送り方向に対して平行に配置される。イメージ画像80の枠内には、例えば「むかしむかし〜。」という一文が文頭を左側にして右方向に表示される。このときCPU31はイメージ画像80の開始端をヘッドマーク71に合わせて初期表示する。
【0035】
CPU31は印刷ライン数Nを算出する(S7)。印刷ライン数Nはイメージ画像80の上述の一文を印刷する為に必要なテープ送りの全ライン数である。CPU31はRAM34の印刷バッファ341に記憶された印刷データに基づき、印刷ライン数Nを算出する。CPU31は算出した印刷ライン数NをRAM34の印刷ライン数記憶領域343に記憶する。
【0036】
CPU31は1ラインの印刷を実行する(S8)。サーマルヘッド10が1ライン分の印刷を実行すると、上述のテープ送り機構はラベルテープ41を1ライン分だけ排出口7側に送る。さらにCPU31はディスプレイ5において、イメージ画像80を1ライン分左方向に移動させる(S9)。これによりイメージ画像80は実際のラベルテープ41のテープ送り方向と同方向に同じ距離だけ移動したことになる。CPU31はテープエンド検出処理を実行する(S10)。
【0037】
ここでテープエンド検出処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。CPU31は、先ずマークセンサ25のセンサ値を読み込む(S31)。CPU31は読み込んだセンサ値をRAM34のセンサ値記憶領域346に記憶する(S32)。センサ値はマークセンサ25によって検出された光の強度を電圧(V)に変換した値である。
【0038】
CPU31はRAM34のセンサ値記憶領域346に記憶されたセンサ値が過去S回(例えば3回)全て黒色か否か判断する(S33)。CPU31は例えばセンサ値が所定レベル以下の場合を黒色と判断する。過去S回のセンサ値が全て黒色となっていない場合(S33:NO)、エンドマークと断定せず、処理をそのまま図5のS11に進める。
【0039】
一方、過去S回のセンサ値が全て黒色であった場合(S33:YES)、エンドマークと断定できる。故にCPU31はRAM34のエンドフラグ記憶領域345に記憶されているエンドフラグをオンする(S34)。CPU31は処理を図5のS11に進める。
【0040】
次いでCPU31はエンドフラグがオンか否か判断する(S11)。CPU31はRAM34のエンドフラグ記憶領域345に記憶されているエンドフラグがオフされていると
判断した場合(S11:NO)、今回のラインはテープエンド領域か否か判断する(S13)。
【0041】
テープエンド領域について説明する。印刷装置1のフラッシュメモリ35には、マークセンサ25からサーマルヘッド10までの距離が予め記憶されている。例えば、マークセンサ25によってエンドマークが検出されると、CPU31はそのときのイメージ画像80上の印刷位置をRAM34に記憶する。CPU31はフラッシュメモリ35に予め記憶された上述の距離をライン数に変換し、RAM34に記憶された印刷位置に加算する。それ故CPU31はイメージ画像80上においてどのラインからテープエンド(終端)となるかを特定できる。そしてイメージ画像80上においてテープエンドよりも上流側の領域がテープエンド領域となる。
【0042】
CPU31は今回のラインはテープエンド領域ではないと判断した場合(S13:NO)、図6のフローに示すように、RAM34のカウンタ値記憶領域344に記憶されたカウンタ値(n)に1加算する(S15)。さらにCPU31はカウンタ値記憶領域344に記憶されたカウンタ値(n)は印刷ライン数N以上か否か判断する(S16)。CPU31はカウンタ値(n)は印刷ライン数N未満であると判断した場合(S17:NO)、処理を図5のS8に戻し、印刷ライン数Nに達するまで上述の処理を繰り返す(S8〜S16)。それ故、ディスプレイ5には、図8のステップD、E、Fに示すように、イメージ画像80が実際のラベルテープ41のテープ送りと同じ方向に同じ速度で移動して表示される。
【0043】
なお、イメージ画像80の終端がディスプレイ5の右端に来たときは、それに続けて何も印刷されていない白紙のラベルテープ41のイメージ画像81が続けて表示される。イメージ画像81は例えばグレー表示されるので、イメージ画像80と区別できる。
【0044】
CPU31はカウンタ値(n)は印刷ライン数N以上であると判断した場合(S16:YES)、サーマルヘッド10による印刷は終了したので、フラッシュメモリ35の印刷後移動ライン数記憶領域352から印刷後移動ライン数Mを取得する(S17)。CPU31はラベルテープ41を1ライン分送る(S18)。さらにCPU31はディスプレイ5においてイメージ画像80を1ライン分だけ左方向に移動させる(S19)。これによりイメージ画像80は実際のラベルテープ41のテープ送り方向と同方向に同じ距離移動したことになる。
【0045】
CPU31はRAM34のカウンタ値記憶領域344に記憶されたカウンタ値(m)に1加算する(S20)。さらにCPU31はカウンタ値記憶領域344に記憶されたカウンタ値(m)は印刷後移動ライン数M以上か否か判断する(S21)。CPU31はカウンタ値(m)は印刷後移動ライン数M未満であると判断した場合(S21:NO)、処理をS18に戻し、印刷後移動ライン数Mに達するまで、上述の処理を繰り返す。これによりディスプレイ5には、図9のステップGに示すように、イメージ画像80が実際のラベルテープ41のテープ送りと同じ方向に同じ速度で移動して表示される。
【0046】
CPU31はカウンタ値(m)は印刷後移動ライン数M以上であると判断した場合(S21:YES)、テープ送りモータ15の駆動を停止する(S22)。このときラベルテープ41は、印刷面に印刷された「むかしむかし〜。」の一文の終わる位置がカッター機構17の切断位置に達するまで送られている。一方、ディスプレイ5では、図9のステップHに示すように、イメージ画像80はその終端がカッターマーク72の切断位置に達するまで送られている。
【0047】
CPU31はカッターモータ12を駆動する(S23)。カッターモータ12が駆動すると、移動刃18が固定刃19に向けて移動する。故に移動刃18と固定刃19との間に位置する印刷済みのラベルテープ41が幅方向に切断される。さらにCPU31はディスプレイ5において、カットアニメーションを表示する(S24)。カットアニメーションの一例として、図9のステップIに示すように、先ずカッターマーク72の位置にハサミマーク85を表示する。その後、ステップJに示すように、イメージ画像80とイメージ画像81とを境界線にて分断し隙間を空けて表示する。これによりラベルテープ41が切断される様子についてリアリティのある表示を行うことができる。
【0048】
CPU31はイメージ画像80が排出口マーク73から消えるまでイメージ画像80の送り表示を行う(S25)。図9のステップK、Lに示すように、ディスプレイ5ではイメージ画像81はそのままの位置に残ってグレー表示され、イメージ画像80のみが送られる。故に実際の印刷装置1の内部における印刷状況を忠実に再現することができる。こうしてCPU31は本処理を終了する。
【0049】
ところで、CPU31は、図5のS11において、RAM34のエンドフラグ記憶領域345に記憶されているエンドフラグがオンされていると判断した場合(S11:YES)、テープエンド領域を特定する(S11)。テープエンド領域の特定方法は上述の通りである。そしてCPU31は今回のラインがテープエンド領域と判断した場合(S13:YES)、イメージ画像80において特定したテープエンド領域の表示を変更する(S14)。例えば、テープエンドに相当する位置がディスプレイ5の右端に来たら、それ以降の領域がテープエンド領域となる。そのテープエンド領域に縞模様の終端マーク87を重ねて表示する(図10参照)。これにより使用者は印刷途中でラベルテープ41が終わってしまうことをディスプレイ5上で認識できる。この場合、例えば使用者は印刷を中止し、新たなテープカセットと交換して、印刷をやり直す等の対応を速やかにとることができる。
【0050】
なお、上記説明において、マークセンサ25が本発明の「終端検出部」の一例である。カッター機構17が本発明の「切断部」の一例である。S4の処理を実行するCPU31が本発明の「マーク表示制御手段」の一例である。S5の処理を実行するCPU31が本発明の「初期表示制御手段」の一例である。S8、S19の処理を実行するCPU31が本発明の「表示位置変化手段」の一例である。S11の処理を実行するCPU31が本発明の「終端位置特定手段」の一例である。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の印刷装置1では、入力部50で印刷が指示されると、ディスプレイ5に、ヘッドマーク71と、カッターマーク72と、排出口マーク73とが表示される。マーク71〜73は、サーマルヘッド10、カッター機構17、排出口7の互いの位置関係にそれぞれ対応して表示される。ラベルテープ41のイメージ画像80の開始端がヘッドマーク71に合わせられ、ディスプレイ5にイメージ画像80が初期表示される。サーマルヘッド10による1ライン毎の印刷動作に合わせ、1ライン毎にイメージ画像80をテープ送り方向と同方向に送りながら表示する。これにより印刷装置1の内部の印刷状況がディスプレイ5において再現されるので、使用者は装置内部の印刷状況をディスプレイ5のリアリティのある表示でより具体的に知ることができる。また印刷中に、ラベルテープ41のどの部分がサーマルヘッド10により印刷され、どの部分が排出口7を通過しているかがわかるので、装置内部における印刷状況をより具体的に知ることができる。
【0052】
また上記実施形態では、ディスプレイ5にカッターマーク72を表示するので、カッター機構17を動作させた場合に、どこの部分で切断されるかを容易に知ることができる。
【0053】
また上記実施形態では、ラベルテープ41の終端に印刷されたエンドマークをマークセンサ25で検出し、ラベルテープ41のテープエンド領域を特定して、そのテープエンド領域に縞模様の終端マークを重ねて表示する。これにより印刷中のラベルテープ41がイメージ画像80のどの部分まで印刷可能であるかを知ることができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、使用者により印刷が指示されると、CPU31はディスプレイ5に先ずマーク71〜73を表示し、その後、イメージ画像80を表示しているが、ディスプレイ5の画面上、又はその枠に、マーク71〜73を予め設けておいてもよい。
【0055】
また上記実施形態では、テープカセット40が収納するラベルテープ41はインクリボンによって画像が転写されるレセプタータイプであるが、この他にも感熱式タイプ、ラミネートタイプでもよく、ラベルテープの構造については限定されない。
【符号の説明】
【0056】
1 印刷装置
5 ディスプレイ
7 排出口
10 サーマルヘッド
17 カッター機構
25 マークセンサ
31 CPU
40 テープカセット
41 ラベルテープ
71 ヘッドマーク
72 カッターマーク
73 排出口マーク
80 イメージ画像
87 終端マーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づき、記録媒体に対して印刷画像の印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドによる印刷後の前記記録媒体を外部に排出する排出口と、
各種画像を表示する表示部と、
前記表示部に、前記印刷ヘッドの位置を示すヘッドマークと、前記排出口の位置を示す排出口マークとを、前記印刷ヘッドと前記排出口との位置関係に対応して表示するマーク表示制御手段と、
前記印刷ヘッドによる印刷時において、前記表示部に、前記印刷画像が印刷される前記記録媒体のイメージ画像をリアルタイムに表示するイメージ画像表示制御手段と
を備え、
前記イメージ画像表示制御手段は、
前記印刷ヘッドによる印刷開始時に、前記イメージ画像の開始端を、前記ヘッドマークに合わせた状態で、前記イメージ画像を前記表示部に初期表示する初期表示制御手段と、
前記印刷ヘッドの印刷の進捗に合わせ、前記初期表示制御手段によって初期表示された前記イメージ画像の位置を、前記排出口マークに向かう方向に移動させる表示位置変化手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷ヘッドと前記排出口との間に設けられ、前記印刷ヘッドによって印刷された前記記録媒体を幅方向に切断する切断部を備え、
前記マーク表示制御手段は、前記表示部に、前記ヘッドマーク及び前記排出口に加え、前記切断部の位置を示す切断マークを、前記印刷ヘッド、前記切断部、及び前記排出口の位置関係に対応してさらに表示することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記記録媒体の終端を検出する終端検出部と、
前記終端検出部によって前記終端が検出された場合に、前記イメージ画像上における前記終端の位置である終端位置を特定する終端位置特定手段と
を備え、
前記イメージ画像表示制御手段は、
前記終端位置特定手段によって特定された前記終端位置に、前記終端であることを示す終端マークを反映させた前記イメージ画像を、前記表示部にリアルタイムに表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
印刷データに基づき、記録媒体に対して印刷画像の印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドによる印刷後の前記記録媒体を外部に排出する排出口と、
各種画像を表示する表示部と、
前記印刷ヘッドによる印刷時において、前記表示部に、前記印刷画像が印刷された前記記録媒体のイメージ画像をリアルタイムに表示するイメージ画像表示制御手段と
を備え、
前記表示部には、前記印刷ヘッドの位置を示すヘッドマークと、前記排出口の位置を示す排出口マークとが、前記印刷ヘッドと前記排出口との位置関係に対応して設けられ、
前記イメージ画像表示制御手段は、
前記印刷ヘッドによる印刷開始時に、前記イメージ画像の開始端を、前記ヘッドマークに合わせた状態で、前記イメージ画像を前記表示部に初期表示する初期表示制御手段と、
前記印刷ヘッドの印刷の進捗に合わせ、前記初期表示制御手段によって初期表示された前記イメージ画像の位置を、前記排出口マークに向かう方向に移動させる表示位置変化手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項1】
印刷データに基づき、記録媒体に対して印刷画像の印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドによる印刷後の前記記録媒体を外部に排出する排出口と、
各種画像を表示する表示部と、
前記表示部に、前記印刷ヘッドの位置を示すヘッドマークと、前記排出口の位置を示す排出口マークとを、前記印刷ヘッドと前記排出口との位置関係に対応して表示するマーク表示制御手段と、
前記印刷ヘッドによる印刷時において、前記表示部に、前記印刷画像が印刷される前記記録媒体のイメージ画像をリアルタイムに表示するイメージ画像表示制御手段と
を備え、
前記イメージ画像表示制御手段は、
前記印刷ヘッドによる印刷開始時に、前記イメージ画像の開始端を、前記ヘッドマークに合わせた状態で、前記イメージ画像を前記表示部に初期表示する初期表示制御手段と、
前記印刷ヘッドの印刷の進捗に合わせ、前記初期表示制御手段によって初期表示された前記イメージ画像の位置を、前記排出口マークに向かう方向に移動させる表示位置変化手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷ヘッドと前記排出口との間に設けられ、前記印刷ヘッドによって印刷された前記記録媒体を幅方向に切断する切断部を備え、
前記マーク表示制御手段は、前記表示部に、前記ヘッドマーク及び前記排出口に加え、前記切断部の位置を示す切断マークを、前記印刷ヘッド、前記切断部、及び前記排出口の位置関係に対応してさらに表示することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記記録媒体の終端を検出する終端検出部と、
前記終端検出部によって前記終端が検出された場合に、前記イメージ画像上における前記終端の位置である終端位置を特定する終端位置特定手段と
を備え、
前記イメージ画像表示制御手段は、
前記終端位置特定手段によって特定された前記終端位置に、前記終端であることを示す終端マークを反映させた前記イメージ画像を、前記表示部にリアルタイムに表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
印刷データに基づき、記録媒体に対して印刷画像の印刷を行う印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドによる印刷後の前記記録媒体を外部に排出する排出口と、
各種画像を表示する表示部と、
前記印刷ヘッドによる印刷時において、前記表示部に、前記印刷画像が印刷された前記記録媒体のイメージ画像をリアルタイムに表示するイメージ画像表示制御手段と
を備え、
前記表示部には、前記印刷ヘッドの位置を示すヘッドマークと、前記排出口の位置を示す排出口マークとが、前記印刷ヘッドと前記排出口との位置関係に対応して設けられ、
前記イメージ画像表示制御手段は、
前記印刷ヘッドによる印刷開始時に、前記イメージ画像の開始端を、前記ヘッドマークに合わせた状態で、前記イメージ画像を前記表示部に初期表示する初期表示制御手段と、
前記印刷ヘッドの印刷の進捗に合わせ、前記初期表示制御手段によって初期表示された前記イメージ画像の位置を、前記排出口マークに向かう方向に移動させる表示位置変化手段と
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−10316(P2013−10316A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145609(P2011−145609)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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