説明

印刷装置

【課題】主走査方向に移動する吐出ヘッドを備えるものにおいて、装置本体をより小型化する。
【解決手段】主走査方向の幅がヘッドキャリッジ23よりも広いインクキャリッジ33が、ヘッドキャリッジ移動機構によるヘッドキャリッジ23の移動に連動して移動すると共にヘッドキャリッジ23に対して主走査方向への位置ずれが可能に構成されている。このため、ヘッドキャリッジ23とインクキャリッジ33とを別々に移動させるものとしてもインクキャリッジ33用の移動機構の設置スペースを設ける必要がなく、また、ヘッドキャリッジ23の移動端でインクキャリッジ33を主走査方向に位置ずれさせることにより比較形態に比してインクキャリッジ33の移動範囲を位置ずれ分少なくすることができる。この結果、インクジェットプリンター20をより小型化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出ヘッドからインク滴を吐出して印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の印刷装置としては、インクを吐出する記録ヘッドが搭載されたヘッドキャリッジと、ヘッドキャリッジを主走査方向に摺動可能に支持するヘッドキャリッジ用スライドレールと、ヘッドキャリッジを移動させるヘッドキャリッジ駆動系と、記録ヘッドにインクを供給するインクタンクが搭載されたインクタンクキャリッジと、インクタンクキャリッジを主走査方向に摺動可能に支持するインクタンクキャリッジ用スライドレールと、インクタンクキャリッジを移動させるインクタンクキャリッジ駆動系とを備えて、ヘッドキャリッジとインクタンクキャリッジとをそれぞれ別々に主走査方向に移動させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、記録ヘッドとインクタンクとを別々のキャリッジに搭載し各キャリッジの移動範囲をそれぞれに必要な範囲とすることで、記録ヘッドとインクタンクとを同じキャリッジに搭載するものに比して、装置本体の主走査方向の幅を小さくすることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−182985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した印刷装置では、ヘッドキャリッジ駆動系とインクタンクキャリッジ駆動系とをそれぞれ備える必要があるため、駆動系の設置スペースとして比較的大きなスペースが必要となる。このため、各キャリッジの移動範囲を必要な範囲としても、装置の小型化を十分に図れないことがある。
【0005】
本発明の印刷装置は、主走査方向に移動する吐出ヘッドを備えるものにおいて、装置本体をより小型化することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の印刷装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の印刷装置は、
吐出ヘッドからインク滴を吐出して印刷する印刷装置であって、
前記吐出ヘッドが搭載されるヘッドキャリッジと、
該ヘッドキャリッジを主走査方向に摺動可能にガイドするヘッドキャリッジ用ガイドと、
該ヘッドキャリッジ用ガイドによるガイドを伴って前記ヘッドキャリッジを主走査方向に往復動するよう移動させる移動手段と、
前記吐出ヘッドに供給されるインクを貯留するインクタンクが搭載され、主走査方向の幅が前記ヘッドキャリッジよりも広いインクキャリッジと、
を備え、
前記インクキャリッジは、前記移動手段による前記ヘッドキャリッジの移動に連動して主走査方向に移動すると共に該ヘッドキャリッジに対して主走査方向への位置ずれが可能に構成されてなる
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の印刷装置では、主走査方向の幅がヘッドキャリッジよりも広いインクキャリッジが、移動手段によるヘッドキャリッジの移動に連動して主走査方向に移動すると共にヘッドキャリッジに対して主走査方向への位置ずれが可能に構成されてなる。これにより、インクキャリッジ用の移動手段を設けることなく、ヘッドキャリッジの移動端でインクキャリッジを主走査方向に位置ずれさせることによりインクキャリッジの移動範囲を位置ずれ分小さくすることができる。この結果、装置本体をより小型化することができる。
【0009】
また、本発明の印刷装置において、前記インクキャリッジは、前記ヘッドキャリッジの移動経路上に配置される構成部材を有し、該構成部材が該ヘッドキャリッジに押されることで該ヘッドキャリッジの移動に連動して移動するものとすることもできる。こうすれば、複雑な機構を用いることなく、インクキャリッジをヘッドキャリッジに連動して移動させることができる。この態様の本発明の印刷装置において、前記インクキャリッジは、前記構成部材が弾性部材を介して前記ヘッドキャリッジに押されることで前記ヘッドキャリッジの移動に連動して移動するものとすることもできる。こうすれば、インクキャリッジを押す際に、衝撃が生じるのを防止することができる。
【0010】
さらに、本発明の印刷装置において、前記インクキャリッジは、筐体に当接することで停止するものとすることもできる。こうすれば、移動を停止させるための専用の部材を配置する必要がなく、主走査方向の幅を抑えることができる。なお、筐体としては、印刷装置本体の筐体や印刷用の各構成を収容する筐体などとすることができる。
【0011】
そして、本発明の印刷装置において、前記インクキャリッジを主走査方向に摺動可能にガイドするインクキャリッジ用ガイドを備えるものとすることもできる。こうすれば、インクキャリッジの移動を安定させることができる。この態様の本発明の印刷装置において、前記インクキャリッジ用ガイドは、筐体に支持されてなるものとすることもできるし、前記インクキャリッジ用ガイドは、前記ヘッドキャリッジに支持されてなるものとすることもできる。前者の場合には、移動手段に掛かる負荷を低減することができ、後者の場合には、インクキャリッジ用ガイドを筐体に取り付ける必要がなく装置本体をさらに小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】インクジェットプリンター20の構成の概略を示す構成図。
【図2】ヘッドキャリッジ23とインクキャリッジ33の構成の概略を示す構成図。
【図3】ヘッドキャリッジ23とインクキャリッジ33とがセットされた説明図。
【図4】ヘッドキャリッジ23とインクキャリッジ33の移動の様子の説明図。
【図5】実施形態と比較形態とのメカフレーム21aの幅の違いを示す説明図。
【図6】変形例の各キャリッジの構成と移動の様子の説明図。
【図7】変形例の各キャリッジの構成と移動の様子の説明図。
【図8】変形例の各キャリッジの構成と移動の様子の説明図。
【図9】変形例の各キャリッジの構成の概略を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態であるインクジェットプリンター20の構成の概略を示す構成図である。本実施形態のインクジェットプリンター20は、図示するように、紙送りモーター43による紙送りローラー45の駆動により用紙Pを図中搬送方向に搬送する紙送り機構41と、紙送り機構41によりプラテン54上に搬送された用紙Pに主走査方向の移動を伴って印刷ヘッド22のノズルからインク滴を吐出して印刷を行なうプリンター機構21とを備える。なお、プラテン54の主走査方向の端部(図1中の右端)には、印刷ヘッド22のノズル面を封止するキャッピング装置52が設置されている。
【0014】
プリンター機構21は、図示しないインク室内のインクに加圧して複数のノズルからインク滴を吐出する印刷ヘッド22が搭載されたヘッドキャリッジ23と、メカフレーム21aに取り付けられヘッドキャリッジ23を主走査方向に摺動可能にガイドするヘッドキャリッジ用ガイド26と、ヘッドキャリッジ23を主走査方向に往復動するよう移動させるヘッドキャリッジ移動機構27と、溶媒としての水に着色剤としての染料または顔料を含有したシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)のCMYKの各色のインクを個別に収容したインクカートリッジ32と、これらのインクカートリッジ32が搭載され主走査方向の幅(長さ)がヘッドキャリッジ23よりも広いインクキャリッジ33と、メカフレーム21aに配置されインクキャリッジ33を主走査方向に摺動可能にガイドするインクキャリッジ用ガイド36と、インクカートリッジ32に収容されているインクを印刷ヘッド22に供給するためのフレキシブルなインクチューブ39とを備える。ヘッドキャリッジ移動機構27は、メカフレーム21aの図中右側に配置されたキャリッジモーター28aと、メカフレーム21aの図中左側に配置された従動ローラー28bと、キャリッジモーター28aと従動ローラー28bとに架設されたキャリッジベルト29とを有している。なお、ヘッドキャリッジ23の背面には、ヘッドキャリッジ23の移動に伴ってパルス状の信号を出力するリニア式エンコーダー56が配置されており、このリニア式エンコーダー56の出力によりヘッドキャリッジ23のポジションが管理されている。
【0015】
ここで、ヘッドキャリッジ23とインクキャリッジ33の詳細について説明する。まず、各キャリッジの構成について説明する。図2は、ヘッドキャリッジ23とインクキャリッジ33の構成の概略を示す構成図であり、図3は、インクジェットプリンター20にヘッドキャリッジ23とインクキャリッジ33とがセットされた説明図である。なお、説明の便宜上、図2ではインクキャリッジ33の図1中の下面が前面となるように図示し、図3では説明に必要な構成以外の図示は省略した。
【0016】
図2に示すように、ヘッドキャリッジ23は、長手方向(図1中の主走査方向)に貫通しヘッドキャリッジ用ガイド26が摺動可能な内径に形成された貫通孔23aと、印刷ヘッド22の図示しないインク室に連通しインクチューブ39が接続される4つの接続口23bとが形成されている。また、ヘッドキャリッジ23の上面における長手方向の両端に上方に突出した突出部24が形成され、その突出部24の長手方向の外側となる側面に円形状に窪んだ窪み部25が形成されている。
【0017】
一方、インクキャリッジ33は、長手方向に貫通しインクキャリッジ用ガイド36が摺動可能な内径に形成された貫通孔33aと、インクカートリッジ32に繋がる図示しないインク供給路に連通しインクチューブ39が接続される4つの接続口33bとが形成されている。また、インクキャリッジ33は、その下面(図2中の前面)に、矩形状に開口して深さがヘッドキャリッジ23の突出部24の高さと略同等の開口部34が形成されている。この開口部34を囲む内壁34aのうち長手方向の両内壁面には、コイル状のスプリング35が1つずつ取り付けられている。この2つのスプリング35は、バネ定数および自然長が同一のものとした。また、スプリング35とヘッドキャリッジ23の窪み部25とは、ヘッドキャリッジ23の突出部24がインクキャリッジ33の開口部34内に配置されたときに互いに対向する位置になるよう形成されている。なお、窪み部25の内径は、スプリング35の外径よりも若干大きな径に形成されている。
【0018】
図3に示すように、インクジェットプリンター20にインクキャリッジ33とヘッドキャリッジ23とがセットされた状態では、インクキャリッジ33がヘッドキャリッジ23を覆うように被せられている。このとき、ヘッドキャリッジ23の突出部24がインクキャリッジ33の開口部34内に配置され、スプリング35が窪み部25内に嵌り込んでいる。このため、インクキャリッジ33の内壁34aは、ヘッドキャリッジ23の突出部24の移動経路上に配置されることになる。なお、図1に示すように、インクキャリッジ33とヘッドキャリッジ23とがセットされた状態で、接続口23bと接続口33bとにインクチューブ39が接続される。このようにしてセットされたヘッドキャリッジ23とインクキャリッジ33とは、スプリング35とインクチューブ39とによって互いの移動が制限されるものの完全に固定されてはいないから、主走査方向に互いにスライドすることができる。上述したように、ヘッドキャリッジ23のポジションは管理されることから、ヘッドキャリッジ23の位置を基準にすると、インクキャリッジ33はヘッドキャリッジ23に対して主走査方向の位置ずれが可能に構成されることになる。
【0019】
次に、各キャリッジの移動について説明する。図4は、ヘッドキャリッジ23とインクキャリッジ33との移動の様子の説明図である。図示するように、ヘッドキャリッジ23が停止しているときには(図4(a))、スプリング35の付勢力の釣り合いにより、主走査方向における中心がヘッドキャリッジ23の中心と略一致する位置でインクキャリッジ33も停止している。そして、ヘッドキャリッジ移動機構27の駆動によりヘッドキャリッジ23が移動を開始すると(図4(b))、移動方向側のスプリング35が収縮すると共に反対側のスプリング35が伸張する。これらのスプリング35の付勢力がインクキャリッジ33とインクキャリッジ用ガイド36との摺動抵抗による最大静止摩擦力を超えると、移動方向側のスプリング35を介してインクキャリッジ33の内壁34aがヘッドキャリッジ23の突出部24に押されることで、インクキャリッジ33がヘッドキャリッジ23の移動に連動して主走査方向に移動を開始する(図4(c))。このように、スプリング35を介して押すことで、内壁34aを突出部24で直接押すものに比して、インクキャリッジ33が移動を開始する際に衝撃が生じるのを防止することができる。即ち、スプリング35は、衝撃防止用の部材として機能している。そして、ヘッドキャリッジ23が主走査方向の所定の移動端(図中左端側)まで移動して停止すると(図4(d))、インクキャリッジ33もメカフレーム21aに当接して停止する。ここで、上述したように、インクキャリッジ33は、ヘッドキャリッジ23に対して主走査方向の位置ずれが可能に構成されている。このため、メカフレーム21aに当接したインクキャリッジ33は、メカフレーム21aに押し戻されるように移動方向側のスプリング35が収縮すると共に反対側のスプリング35が伸張して停止する。このとき、インクキャリッジ33の主走査方向における中心は、ヘッドキャリッジ23の中心よりも移動方向とは反対側(図4中右側)となっており、インクキャリッジ33の主走査方向の移動範囲が位置ずれ分だけ小さくなることがわかる。なお、図4では、主走査方向の左端側への移動を示したが、キャッピング装置52が形成された右端側への移動でも同様である。
【0020】
ここで、図5に、実施形態と比較形態とのメカフレーム21aの幅の違いを示す。図5(a)では、主走査方向の左端と右端の停止位置で実施形態のヘッドキャリッジ23とインクキャリッジ33とが停止している様子を示し、図5(b)では、ヘッドキャリッジとインクキャリッジとが一体的に形成された比較形態のキャリッジが図5(a)と同じ停止位置で停止している様子を示す。図示するように、実施形態では、比較形態に比してインクキャリッジ33(インクキャリッジに相当する部分)の移動範囲を小さくすることができるから、メカフレーム21aの主走査方向における幅を狭くすることができる。また、インクキャリッジ33用の移動機構を備えずにインクキャリッジ33を移動させるから、両キャリッジ用の移動機構をそれぞれ備えるものに比して、移動機構の設置スペースを小さくすることができる。これらのことから、インクジェットプリンター20を小型化することができる。
【0021】
こうして構成された本実施形態のインクジェットプリンター20では、図示しないユーザーコンピューターから印刷指令を伴って画像データを受け付けると、受け付けた画像(RGB)データをリサイズしてCMYKデータに色変換し、色変換後のCMYKデータにハーフトーン処理を施して2値化することにより印刷データを生成する。そして、紙送り機構41により用紙Pをプラテン54上に搬送し、ヘッドキャリッジ移動機構27によりヘッドキャリッジ23を移動させると共にその移動に連動してインクキャリッジ33を移動させる。このときに、リニア式エンコーダー56からの信号に基づくタイミングで、印刷データに従って印刷ヘッド22のノズルから各色インクを吐出することにより、用紙P上に画像を印刷する。実施形態では、上述したように、スプリング35が衝撃防止用の部材として機能するから、ヘッドキャリッジ23の移動中の負荷が急激に増加して移動速度が急変するのを抑えてリニア式エンコーダー56からの信号の出力間隔が大きく変動するのを防止することができる。このため、インクキャリッジ33をヘッドキャリッジ23の移動に連動して移動させるものとしても、印刷の精度に影響が及ぶのを防止することができる。
【0022】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のヘッドキャリッジ23が本発明の「ヘッドキャリッジ」に相当し、ヘッドキャリッジ用ガイド26が「ヘッドキャリッジ用ガイド」に相当し、キャリッジモータ28aと従動ローラー28bとキャリッジベルト29とを有するヘッドキャリッジ移動機構27が「移動手段」に相当し、インクキャリッジ33が「インクキャリッジ」に相当する。また、内壁34aが「構成部材」に相当し、スプリング35が「弾性部材」に相当し、インクキャリッジ用ガイド36が「インクキャリッジ用ガイド」に相当する。
【0023】
以上説明した実施形態のインクジェットプリンター20によれば、主走査方向の幅がヘッドキャリッジ23よりも広いインクキャリッジ33が、ヘッドキャリッジ移動機構27によるヘッドキャリッジ23の移動に連動して主走査方向に移動すると共にヘッドキャリッジ23に対して主走査方向への位置ずれが可能に構成されている。このため、インクキャリッジ33用の移動機構を設けることなく、ヘッドキャリッジ23の移動端でインクキャリッジ33を主走査方向に位置ずれさせることによりインクキャリッジ33の移動範囲を位置ずれ分小さくすることができる。この結果、インクジェットプリンター20をより小型化することができる。
【0024】
また、インクキャリッジ33は、開口部34の内壁34aがヘッドキャリッジ23の突出部24に押されることにより移動するから、複雑な機構を用いることなくインクキャリッジ33をヘッドキャリッジ23の移動に連動して移動させることができる。さらに、スプリング35を介してインクキャリッジ33が押されるから、インクキャリッジ33を押す際に衝撃が生じるのを防止することができる。そして、インクキャリッジ33は、メカフレーム21aに当接して停止するから、停止させるための専用の部材を配置する必要がなく、フレーム幅を抑えることができる。また、インクキャリッジ33は、インクキャリッジ用ガイド36により主走査方向に摺動可能にガイドされるから、インクキャリッジ33の移動を安定させることができる。さらに、インクキャリッジ用ガイド36がメカフレーム21aに取り付けられるから、インクキャリッジ33の重量をインクキャリッジ用ガイド36を介してメカフレーム21aで受けることができ、ヘッドキャリッジ移動機構27(キャリッジモーター28a)の負荷を低減することができる。
【0025】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0026】
上述した実施形態では、ヘッドキャリッジ23の上方にインクキャリッジ33を配置するものとしたが、これに限られず、用紙Pの搬送方向に対してヘッドキャリッジ23の後方や前方に配置するものとしてもよい。この変形例の各キャリッジの構成の概略を図6に示す。なお、図6以降の変形例では、実施形態と同等の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。図6では、ヘッドキャリッジ23の後方にインクキャリッジ33が配置される場合を示す。この場合、ヘッドキャリッジ23の上方にインクキャリッジ33を配置するものに比して、前後方向にスペースが必要となるが、上下方向のスペースを抑えることができる。
【0027】
上述した実施形態では、インクキャリッジ用ガイド36がメカフレーム21aに支持されるものとしたが、これに限られず、インクキャリッジ用ガイドがヘッドキャリッジ23に支持されるものとしてもよい。この変形例の各キャリッジの構成の概略を図7,図8に示す。図7では、インクキャリッジ133の内壁34aに取り付けられたインクキャリッジ用ガイド136が、ヘッドキャリッジ123の突出部124に形成された図示しない貫通孔を貫通している。そして、この貫通孔を介してインクキャリッジ用ガイド136がヘッドキャリッジ123に支持されている。また、図8では、ヘッドキャリッジ223の突出部224に取り付けられたインクキャリッジ用ガイド236が、インクキャリッジ233の下面から突出した突出部234に形成された図示しない貫通孔を貫通しており、図7と同様にインクキャリッジ用ガイド236がヘッドキャリッジ223に支持されている。図7,8に示すように、いずれの形態においても、実施形態と同様に、インクキャリッジ133,233の主走査方向の移動範囲を小さくすることができる。また、インクキャリッジ用ガイド136,236をメカフレーム21aに取り付ける必要がないため、インクジェットプリンター20をより小型化することができる。
【0028】
上述した実施形態では、ヘッドキャリッジ23の突出部24にインクキャリッジ33の内壁34aが押されることでインクキャリッジ33が移動するものとしたが、これに限られず、ヘッドキャリッジ23の移動に連動して移動すると共にヘッドキャリッジ23に対して位置ずれが可能に構成されるものであれば如何なるものとしてもよい。例えば、インクキャリッジ33がヘッドキャリッジ23に紐やワイヤーなどで引かれるものとしてもよいし、インクキャリッジ33をヘッドキャリッジ23に載置して両者の間に生じる摩擦力を利用するものなどとしてもよい。後者の場合の変形例の各キャリッジの構成の概略を図9に示す。図示するように、ヘッドキャリッジ323の上面に主走査方向の全幅に亘って上方に突出した凸部324を形成し、インクキャリッジ333の下面に主走査方向の全幅に亘って凸部324が嵌合可能な凹部334を形成し、凸部324と凹部334とを嵌め合わせた状態でインクジェットプリンター20に両キャリッジをセットするものとしてもよい。この場合、インクキャリッジ333は、凸部324と凹部334との嵌合部分の静止摩擦力によりヘッドキャリッジ323の移動に連動して移動すると共にヘッドキャリッジ323の移動端でメカフレーム21aと当接して嵌合部分の静止摩擦力を超える押圧力を受けることによりヘッドキャリッジ323に対して位置ずれするから、実施形態と同様の効果を奏するものとなる。また、各キャリッジに凹凸を形成すればよいから、簡易な構成とすることができる。なお、ヘッドキャリッジ323に凹部を形成し、インクキャリッジ333に凸部を形成するものとしてもよい。また、単純な凹凸の形状に限られず、インクキャリッジ333の脱落を防止できるような凹凸の形状(例えば、凸部の断面形状が鉄道用レールのように突出端側で広がるものなど)に形成するものとしてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、衝撃防止用の部材としてバネ定数や自然長が同一の2つのスプリング35を取り付けるものとしたが、これに限られず、バネ定数や自然長が異なる2つのスプリングを取り付けるものとしてもよい。また、スプリングに限られず、スポンジやゴム,エアークッションなど弾性変形が可能であれば如何なる部材を取り付けるものとしてもよい。あるいは、これらの衝撃防止用の部材を取り付けないものとして、ヘッドキャリッジ23でインクキャリッジ33を直接押すものとしてもよい。なお、このような弾性部材を、インクキャリッジ33の外側のメカフレーム21aとの当接面に取り付けるものとしてもよいし、メカフレーム21aのインクキャリッジ33との当接面に取り付けるものとしてもよい。
【0030】
上述した実施形態では、インクキャリッジ33に搭載されるインクカートリッジ32のインク色をシアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K)の4色としたが、これに限られず、ライトシアン(LC)やライトマゼンタ(LM)などを含んで5色や6色としたり、それ以上の複数色としたりしてもよい。
【0031】
上述した実施形態では、本発明の印刷装置の一例としてインクジェットプリンター20を示したが、本発明は吐出ヘッドからインク滴を吐出して印刷するものであればこれに限定されるものではなく、例えばファクシミリ装置や複合機などのOA機器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0032】
20 インクジェットプリンター、21 プリンター機構、21a メカフレーム、22 印刷ヘッド、23,123,223,323 ヘッドキャリッジ、23a 貫通孔、23b 接続口、24,124,224,234 突出部、25 窪み部、26 ヘッドキャリッジ用ガイド、27 ヘッドキャリッジ用移動機構、28a キャリッジモーター、28b 従動ローラー、29 キャリッジベルト、32 インクカートリッジ、33,133,233,333 インクキャリッジ、33a 貫通孔、33b 接続口、34 開口部、34a 内壁、35 スプリング、36 インクキャリッジ用ガイド、41 紙送り機構、43 紙送りモーター、45 紙送りローラー、52 キャップ装置、54 プラテン、56 リニア式エンコーダー、324 凸部、334 凹部、P 用紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出ヘッドからインク滴を吐出して印刷する印刷装置であって、
前記吐出ヘッドが搭載されるヘッドキャリッジと、
該ヘッドキャリッジを主走査方向に摺動可能にガイドするヘッドキャリッジ用ガイドと、
該ヘッドキャリッジ用ガイドによるガイドを伴って前記ヘッドキャリッジを主走査方向に往復動するよう移動させる移動手段と、
前記吐出ヘッドに供給されるインクを貯留するインクタンクが搭載され、主走査方向の幅が前記ヘッドキャリッジよりも広いインクキャリッジと、
を備え、
前記インクキャリッジは、前記移動手段による前記ヘッドキャリッジの移動に連動して主走査方向に移動すると共に該ヘッドキャリッジに対して主走査方向への位置ずれが可能に構成されてなる
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記インクキャリッジは、前記ヘッドキャリッジの移動経路上に配置される構成部材を有し、該構成部材が該ヘッドキャリッジに押されることで該ヘッドキャリッジの移動に連動して移動する請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記インクキャリッジは、前記構成部材が弾性部材を介して前記ヘッドキャリッジに押されることで前記ヘッドキャリッジの移動に連動して移動する請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記インクキャリッジは、筐体に当接することで停止する請求項1ないし3いずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記インクキャリッジを主走査方向に摺動可能にガイドするインクキャリッジ用ガイドを備える請求項1ないし4いずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記インクキャリッジ用ガイドは、筐体に支持されてなる請求項5記載の印刷装置。
【請求項7】
前記インクキャリッジ用ガイドは、前記ヘッドキャリッジに支持されてなる請求項5記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−56462(P2013−56462A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195745(P2011−195745)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】