説明

印刷装置

【課題】記録媒体を載置部にセットしたユーザ以外の他のユーザによる記録媒体の使用を制限できる印刷装置を提供すること。
【解決手段】給紙トレイDT1,DT2が開放されると、給紙ユーザ名U、給紙枚数K、予約枚数Y、予約有効時間Tを受け付ける画面がLCD15に表示され、ここで各種情報が入力されると、その情報に基づいて、開放された給紙トレイの印刷制限が開始される。指定給紙トレイの印刷制限中は、PCから送信された印刷データの送信者と、指定給紙トレイに設定されている給紙ユーザ名Uとが比較される。送信者と給紙ユーザ名Uとが不一致の場合、他のユーザにより送信された印刷データと判定され、その印刷が制限されるので、給紙ユーザにより給紙された記録紙が、他のユーザの印刷に使用されることを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された印刷装置は、所定の給紙カセットにセットされた用紙の使用を禁止することにより、予約印刷ジョブ実行時に必要な資源を確保できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−221469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、給紙カセットに用紙をセットしたユーザ以外の他のユーザが、勝手に印刷を予約し、給紙カセットにセットされた用紙を使って印刷を実行してしまうおそれがあるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、記録媒体を載置部にセットしたユーザ以外の他のユーザによる記録媒体の使用を制限できる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明の印刷装置は、入力された印刷指示に従い印刷を行うものであって、記録媒体がセットされる載置部の変化を検出する検出手段と、前記検出手段により前記載置部の変化が検出される場合、ユーザを識別する識別情報の入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段が受け付けた前記識別情報により識別されるユーザとは異なるユーザの識別情報である異ユーザ識別情報に対応する印刷指示が入力される場合、当該印刷指示に従う印刷を制限する制限手段とを備える。
【0007】
なお、本発明は、印刷方法、印刷装置を制御する制御装置、印刷装置を制御する制御プログラム、該プログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の印刷装置によれば、載置部の変化が検出される場合、ユーザを識別する識別情報の入力が受け付けられ、当該ユーザとは異なるユーザの識別情報である異ユーザ識別情報に対応する印刷指示が入力される場合、当該異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従う印刷が制限される。よって、記録媒体を載置部にセットしたユーザ以外の他のユーザによる記録媒体の使用を制限できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の印刷装置によれば、請求項1記載の印刷装置の奏する効果に加え、異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従う印刷が予約条件に基づいて制限されるので、他のユーザからの印刷指示に従う印刷を適切に制限できるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の印刷装置によれば、請求項2記載の印刷装置の奏する効果に加え、給紙トレイの開放が検出手段により検出された場合に、識別情報および予約条件の入力を受け付けるので、給紙トレイを開放したユーザ当人に識別情報および予約条件を入力させることができるという効果がある。
【0011】
請求項4記載の印刷装置によれば、請求項2または3に記載の印刷装置の奏する効果に加え、受付手段により受け付けた識別情報に対応する印刷指示に従って印刷した記録媒体の枚数が、予約条件で示される枚数以上になった場合、制限手段による制限が解除されるので、他のユーザにかかる迷惑を抑制できるという効果がある。
【0012】
請求項5記載の印刷装置によれば、請求項4記載の印刷装置の奏する効果に加え、残り必要枚数が、載置部にセットされた記録媒体に関する枚数よりも少ないことを条件として、異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従う印刷が許可されるので、載置部に記録媒体をセットしたユーザが必要とする枚数を確保しつつ、他のユーザに対しても印刷を許可できるという効果がある。
【0013】
請求項6記載の印刷装置によれば、請求項5記載の印刷装置の奏する効果に加え、制限手段による制限中に異ユーザ識別情報に対応する印刷指示が入力される場合、当該印刷指示に従い1枚の記録媒体に対して印刷が実行される毎に、残り必要枚数が載置枚数取得手段が取得した枚数よりも少ないかが判断され、前記残り必要枚数が前記載置枚数取得手段が取得した枚数よりも少ないと判断されることを条件として、前記異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従い印刷が実行されるので、他のユーザに対し可能な限り多数枚の印刷を許可できるという効果がある。
【0014】
請求項7記載の印刷装置によれば、請求項6記載の印刷装置の奏する効果に加え、残り必要枚数が載置枚数取得手段が取得した枚数よりも少ないと判断されない場合、異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従う印刷が中止されるので、載置部に記録媒体をセットしたユーザのために、記録媒体を確保できるという効果がある。
【0015】
請求項8記載の印刷装置によれば、請求項6または7に記載の印刷装置の奏する効果に加え、載置部に追加された記録媒体の枚数の入力を受け付けるので、載置部にセットされた記録媒体の枚数を自動検出するための構成を備えていなくても、載置部にセットされている記録媒体の枚数を適切に判断できるという効果がある。
【0016】
請求項9記載の印刷装置によれば、請求項8記載の印刷装置の奏する効果に加え、載置部に追加された記録媒体の枚数の入力が受け付けられなかった場合、異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従う印刷が中止されるので、載置部に追加された記録媒体の枚数の入力をユーザが怠った場合であっても、当該ユーザのために記録媒体を確保できるという効果がある。
【0017】
請求項10記載の印刷装置によれば、請求項6から9のいずれかに記載の印刷装置の奏する効果に加え、制限手段による制限を開始してからの経過時間が予約条件が示す時間以下であると判断される場合、異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従う印刷が中止されるので、予約条件が示す時間内は、ユーザが記録媒体をセットした載置部を、当該ユーザに優先的に使用させることができるという効果がある。
【0018】
請求項11記載の印刷装置によれば、請求項1から10のいずれかに記載の印刷装置の奏する効果に加え、複数の載置部のうち、変化が検出された載置部について、他のユーザによる記録媒体の使用が制限されるので、載置部毎に印刷を制限できるという効果がある。
【0019】
請求項12記載の印刷装置によれば、請求項1から11のいずれかに記載の印刷装置の奏する効果に加え、制限手段による制限中において、給紙トレイの開放が検出された場合、制限が解除されるので、ユーザにとっては、給紙トレイを開放するという簡単な作業により、制限を解除できるという効果がある。
【0020】
請求項13記載の印刷装置によれば、請求項2または3に記載の印刷装置の奏する効果に加え、制限手段による制限が開始されてから、予約条件が示す時間を経過するまでの間、異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従う印刷が中止されるので、予約条件が示す時間内は、ユーザが記録媒体をセットした載置部を、当該ユーザに優先的に使用させることができるという効果がある。
【0021】
請求項14記載の印刷装置によれば、請求項1から13のいずれかに記載の印刷装置の奏する効果に加え、印刷指示を外部装置から受信する場合において、記録媒体を載置部にセットしたユーザからの印刷指示であるか否かを適切に判断できるという効果がある。
【0022】
請求項15記載の印刷装置によれば、請求項1から13のいずれかに記載の印刷装置の関する効果に加え、印刷指示を入力したユーザの識別情報を、印刷指示を入力したユーザ自身に入力させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態であるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】第1給紙トレイ管理テーブルの一例を示す図である。
【図3】MFPにおいて実行される給紙ロック処理を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、MFPのLCDに表示される給紙情報入力画面の一例を示す図であり、(b)は、MFPのLCDに表示される予約条件入力画面の一例を示す図である。
【図5】MFPにおいて実行される印刷ジョブ受付処理を示すフローチャートである。
【図6】MFPにおいて実行される他ユーザ印刷処理を示すフローチャートである。
【図7】MFPにおいて実行される印刷制限解除処理を示すフローチャートである。
【図8】MFPにおいて実行されるコピー処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の印刷装置の一実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)10の電気的構成を示したブロック図である。MFP10は、プリンタ機能、コピー機能、スキャン機能などの各種機能を有する複合機であり、LAN60を介して、複数台のパーソナルコンピュータ(PC)50と通信可能に接続されている。特に、本実施形態のMFP10は、入力された印刷指示に従い印刷を行うものであり、給紙トレイに記録紙をセットしたユーザ(給紙ユーザ)以外の他のユーザによる記録紙の使用を制限できるように構成されている。以下、詳細を説明する。
【0025】
MFP10は、CPU11、フラッシュメモリ12、RAM13、操作キー14、LCD15、プリンタ16、スキャナ17、LANインターフェイス(LANI/F)18を主に有し、これらはバスライン19を介して互いに接続されている。
【0026】
CPU11は、フラッシュメモリ12に記憶される固定値やプログラム、RAM13に記憶されているデータなどに従って、MFP10が有する機能の制御や、バスライン19と接続された各部を制御する。フラッシュメモリ12は、MFP10の動作を制御する制御プログラムなどが記憶された書換可能な不揮発性のメモリである。CPU11は、この制御プログラムに従い、後述する給紙ロック処理(図3)、印刷ジョブ受付処理(図5)、印刷制限解除処理(図7)およびコピー処理(図8)を実行する。RAM13は、書換可能な揮発性のメモリであり、第1給紙トレイ管理テーブル13aと、第2給紙トレイ管理テーブル13bとが設けられる。管理テーブル13a,13bの構成については、図2を参照して後述する。
【0027】
操作キー14はハードキーであり、MFP10に各種情報や指示を入力する。LCD15は、液晶表示装置である。図示は省略するがLCD15の表示面には、タッチパネルが設けられる。プリンタ16は、記録紙に画像を印刷する装置である。プリンタ16には、第1給紙トレイDT1の変化を検出する第1給紙トレイ開閉センサ16aと、第2給紙トレイDT2の変化を検出する第2給紙トレイ開閉センサ16bとが設けられる。
【0028】
なお、本実施形態のMFP10において、各給紙トレイはMFP10に対して引き出し可能に構成されているものとする。ユーザは、給紙トレイのうちいずれかを、MFP10から引き出してトレイ内に記録紙をセットし、その後、引き出した給紙トレイを所定位置に装着する。MFP10の所定位置に装着された給紙トレイを引き出すことを、以下、給紙トレイを開放するという。また、給紙トレイをMFP10の所定位置に装着することを、以下、給紙トレイを閉じるという。各開閉センサ16a,16bは、検出対象の給紙トレイが開放された場合または閉じられた場合、その変化を検出し、その検出結果をCPU11へ出力する。
【0029】
スキャナ17は、原稿を読み取り、その読み取った原稿の画像データを生成する装置である。LANI/F18は、LAN60を介してMFP10と他の装置と通信可能に接続するためのインターフェイスである。
【0030】
図2は、第1給紙トレイ管理テーブル13aに格納されるデータの構成を模式的に示す図である。第1給紙トレイ管理テーブル13aは、第1給紙トレイDT1について受け付けた予約条件を記憶するテーブルであり、印刷制限フラグ30と、給紙情報31と、予約条件情報32とを含む。なお、第2給紙トレイ管理テーブル13bも、第1給紙トレイ管理テーブル13aと同様に、印刷制限フラグ30、給紙情報31、予約条件情報32を記憶するが、図示を省略する。
【0031】
印刷制限フラグ30は、印刷制限中か否かを示すフラグである。具体的には、第1給紙トレイ管理テーブル13aの印刷制限フラグ30がオンに設定されている状態が、第1給紙トレイDT1の印刷制限中である。同様に、第2給紙トレイ管理テーブル13bの印刷制限フラグ30がオンに設定されている状態が、第2給紙トレイDT2の印刷制限中である。
【0032】
給紙情報31は、給紙ユーザ名Uと、給紙枚数Kと、残給紙枚数Nとを含む。給紙ユーザ名Uは、第1給紙トレイDT1に記録紙をセットした給紙ユーザを識別する情報である。給紙枚数Kは、給紙ユーザが給紙トレイに追加した記録紙の枚数を示す。給紙ユーザ名Uと、給紙枚数Kとは、後述する給紙情報入力画面(図4(a))において、給紙ユーザ自身により入力される。
【0033】
残給紙枚数Nは、印刷制限開始後において印刷に使用した記録紙の枚数を、給紙枚数Kから除いた残りの枚数を示す。なお、給紙ユーザが、給紙枚数Kの記録紙を給紙トレイに追加しようとするときに、当該給紙トレイに既にα枚の記録紙がセットされている場合には、合計で(K+α)枚の記録紙がセットされた状態から、印刷制限が開始される。よって、この残給紙枚数Nは、給紙トレイに、少なくとも残給紙枚数N以上の記録紙があることを示す値であって、必ずしも、給紙トレイにセットされている記録紙の枚数を正確に示したものではない。
【0034】
予約条件情報32は、給紙ユーザ名Uに対応する印刷指示に従う印刷であって、第1給紙トレイDT1の記録紙を使用した印刷を実行させるための予約条件を示す情報であって、予約枚数Yと、予約有効時間Tとを含む。MFP10は、この予約条件情報32に基づいて、給紙ユーザ以外の他のユーザからの印刷指示に従う印刷を制限する。予約条件情報32に基づく印刷制限の詳細な内容については、図6を参照して後述する。
【0035】
図3は、MFP10が実行する給紙ロック処理を示すフローチャートである。この処理は、給紙ユーザのユーザ名と予約条件の入力を受け付けて、印刷制限を開始する処理であり、開閉センサ16a,16bにより、第1給紙トレイDT1または第2給紙トレイDT2の変化が検出された場合に実行される。
【0036】
まず、CPU11は、第1給紙トレイ開閉センサ16a、及び、第2給紙トレイ開閉センサ16bの検出結果に基づいて、開放された給紙トレイ(以下、開放給紙トレイ)を特定する(S301)。次に、CPU11は、第1給紙トレイ管理テーブル13a、及び、第2給紙トレイ管理テーブル13bのうち開放給紙トレイに対応する管理テーブルをクリアする(S302)。そして、CPU11は、給紙情報入力画面をLCD15に表示する(S303)。
【0037】
図4(a)は、給紙情報入力画面の一例を示す図である。給紙情報入力画面は、給紙ユーザ名入力エリアNE1と、給紙枚数入力エリアNE2と、OKボタンBTとを含み、給紙ユーザを識別する給紙ユーザ名Uの入力と、開放給紙トレイに追加された記録紙の枚数(給紙枚数K)の入力を操作キー14又は図示しないタッチパネルより受け付ける。この画面では、給紙ユーザ名Uの入力を必須とし、給紙枚数Kの入力を任意とする。給紙ユーザは、必要な情報の入力を完了すると、OKボタンBTを押下し、給紙情報を確定する。
【0038】
図3に戻り説明する。CPU11は、給紙情報入力画面において入力された給紙ユーザ名U、及び、給紙枚数Kを含む給紙情報31を、開放給紙トレイに対応する管理テーブルに記憶させる(S304)。すなわち、複数の給紙トレイのうち、開閉センサ16a,16bにより変化が検出された給紙トレイに対応づけて、給紙情報31を記憶させる。なお、給紙情報入力画面において、給紙枚数Kが入力された場合(S305:Yes)、その給紙枚数Kを、今回記憶した給紙情報31の残給紙枚数Nとして設定する(S306)。一方、給紙情報入力画面において、給紙枚数Kが入力されていない場合(S305:No)、S306の処理をスキップする。次に、CPU11は、予約条件入力画面をLCD15に表示することにより、予約条件の入力を受け付ける(S307)。
【0039】
図4(b)は、予約条件入力画面の一例を示す図である。予約条件入力画面は、予約枚数入力エリアNE3と、予約有効時間入力エリアNE4と、OKボタンBTとを含み、予約条件として、予約枚数Yと、予約有効時間Tとを受け付ける。この予約条件入力画面では、予約枚数Yの入力を必須とし、予約有効時間Tの入力を任意とする。給紙ユーザは、この画面で必要な情報を入力した後、OKボタンBTを押下することにより、予約条件を確定する。
【0040】
図3に戻り説明する。CPU11は、予約条件入力画面において入力された予約枚数Y、及び、予約有効時間Tを含む予約条件情報32を生成し、開放給紙トレイに対応する管理テーブルに記憶させる(S308)。開放給紙トレイの開放が継続される場合(S309:No)、CPU11は、次のステップに進まない。
【0041】
開放給紙トレイが閉じられた場合(S309:Yes)、次に、CPU11は、給紙情報入力画面または予約条件入力画面において、入力不備があったか否かを判断する。入力不備があった場合(S310:Yes)、CPU11は、開放給紙トレイに対応する管理テーブルをクリアし(S312)、本処理を終了する。入力不備の具体例としては、給紙情報入力画面において給紙ユーザ名Uが入力されなかった場合や、予約条件入力画面において予約枚数Yが入力されなかった場合が挙げられる。
【0042】
一方、入力不備がなかった場合(S310:No)、CPU11は、開放給紙トレイに対応する管理テーブルの印刷制限フラグ30をオンに設定する(S311)。これにより、開放給紙トレイについて印刷制限が開始される。なお、予約条件入力画面において予約有効時間Tが入力された場合(S313:Yes)、CPU11は、タイマーに予約有効時間Tを設定し、そのカウントダウンを開始させて(S314)、本処理を終了する。一方、予約条件入力画面において予約有効時間Tが入力されなかった場合(S313:No)、CPU11は、タイマーを設定することなく、本処理を終了する。
【0043】
給紙ロック処理によれば、第1給紙トレイDT1、又は、第2給紙トレイDT2の開放が開閉センサ16a,16bにより検出された場合に、給紙ユーザ名Uおよび予約条件の入力を受け付けるので、給紙トレイに記録紙をセットしたユーザ当人に、給紙ユーザ名U、予約条件を入力させることができる。したがって、給紙トレイに記録紙をセットした給紙ユーザが、自分の席に戻り自身のPC50から印刷指示を入力するまでの間に、他のユーザが勝手に印刷を予約したり、印刷を実行したりして、給紙ユーザがセットした記録紙を使用してしまうことを防止できる。
【0044】
また、給紙ロック処理によれば、第1給紙トレイDT1または第2給紙トレイDT2が開放されると、その開放された給紙トレイに対応する管理テーブルをクリアすることとしている(S302)。すなわち、印刷制限中の給紙トレイの開放が開閉センサ16a,16bにより検出された場合、当該給紙トレイについての印刷制限を解除する。よって、ユーザにとっては、印刷制限がかけられている給紙トレイを開放するという簡単な作業により、その印刷制限を解除できる。また、印刷制限がかけられている給紙トレイをあるユーザが開放し、新たに記録紙を追加する場合には、当該ユーザを新たな給紙ユーザとして、給紙ユーザ名Uや予約条件を入力させることができる。
【0045】
図5は、MFP10が実行する印刷ジョブ受付処理を示すフローチャートである。この処理は、給紙ユーザから印刷指示が入力される場合には印刷を実行し、給紙ユーザとは異なるユーザのユーザ名に対応する印刷指示が入力される場合、当該印刷指示に従う印刷を、所定の条件下で制限する処理である。この処理は、PC50から印刷指示を受信した場合に開始される。
【0046】
まず、CPU11は、PC50から、印刷データ、印刷設定情報、およびユーザ名を受信(取得)する(S501)。以下、S501で取得するユーザ名を印刷指示ユーザ名と称する。印刷指示ユーザ名は、具体的には、印刷指示の送信元であるPC50のPC名であって、印刷指示を入力したユーザを識別する情報である。
【0047】
次に、CPU11は、印刷設定情報により指定される給紙トレイ(指定給紙トレイ)を特定する(S502)。すなわち、今回受信した印刷指示に従う印刷を実行する場合に、使用すべき給紙トレイを特定する。
【0048】
印刷制限フラグ30がオンの給紙トレイがない場合(S503:No)、CPU11は、指定給紙トレイの記録紙を使用して印刷データを印刷し(S505)、本処理を終了する。また、印刷制限フラグ30がオンの給紙トレイが存在するが(S503:Yes)、指定給紙トレイが印刷制限中の給紙トレイではない場合(S504:No)、CPU11は、指定給紙トレイの記録紙を使用して印刷データを印刷し(S505)、本処理を終了する。
【0049】
一方、指定給紙トレイが印刷制限中の給紙トレイである場合(S504:Yes)、CPU11は、印刷指示ユーザ名と、指定給紙トレイに対応する管理テーブルの給紙ユーザ名Uとが一致するか否かを判断する(S506)。すなわち、今回の印刷指示を入力したユーザと、指定給紙トレイの給紙ユーザとが一致するか否かを判断する。
【0050】
印刷指示ユーザ名と給紙ユーザ名Uとが一致する場合(S506:Yes)、CPU11は、印刷制限中の指定給紙トレイの記録紙を使用して、記録紙1枚分の印刷を実行する(S507)。次に、CPU11は、指定給紙トレイに対応する管理テーブルに設定されている予約枚数Yおよび残給紙枚数Nをそれぞれ1減算する(S508)。すなわち、給紙ユーザのために確保すべき記録紙の枚数を示す予約枚数Y、および、給紙トレイに現在セットされている記録紙の枚数に対応した残給紙枚数Nを更新する。
【0051】
そして、今回の印刷データについて印刷が終了していない間(S509:No)、CPU11は、S507の処理に戻り、記録紙への印刷を繰り返す。一方、今回の印刷データについて印刷が終了し(S509:Yes)、且つ、指定給紙トレイに対応する管理テーブルの予約枚数Yが0以下の場合(S510:Yes)、CPU11は、指定給紙トレイに対応する管理テーブルをクリアし(S511)、本処理を終了する。すなわち、印刷制限の開始後に、給紙ユーザからの印刷指示に従って印刷した記録紙の枚数が、給紙ユーザが最初に設定した予約枚数Y以上になった場合には、印刷制限を解除するのである。このようにすれば、一人の給紙ユーザが給紙トレイを占有し続けることを防止し、他のユーザにかかる迷惑を抑制できる。
【0052】
一方、印刷終了後において(S509:Yes)、指定給紙トレイに対応する管理テーブルの予約枚数Yが0より大きい場合(S510:No)、CPU11は、S511をスキップすることにより、本処理を終了する。この場合、印刷制限が継続される。
【0053】
また、印刷指示ユーザ名と、給紙ユーザ名Uとが不一致であると判断される場合(S506:No)、CPU11は、他ユーザ印刷処理(S512)を実行し、今回入力された印刷指示に従う印刷を制限する。他ユーザ印刷処理(S512)については、図6を参照して後述する。
【0054】
印刷ジョブ受付処理によれば、指定給紙トレイが印刷制限中である場合であって(S504:Yes)、且つ、給紙ユーザ以外の他のユーザから印刷指示が入力されたと判断される場合に(S506:No)、印刷が制限されるので、給紙トレイ毎に適切に印刷を制限できる。また、PC50から受信する印刷指示ユーザ名に基づいて、給紙ユーザと他のユーザとを区別し、適切に印刷を制限できる。
【0055】
図6は、MFP10が実行する他ユーザ印刷処理を示すフローチャートである。この処理は、給紙ユーザ以外の他のユーザから印刷指示が入力される場合に、当該印刷指示に従う印刷を、管理テーブルに記憶された予約条件情報に基づいて制限するための処理である。
【0056】
なお、本実施形態において、「印刷を制限する」とは、印刷を中止すること、および、給紙ユーザにとって必要な枚数の記録紙を確保できる範囲内でのみ他のユーザからの印刷指示に従う印刷を許可すること、を意味している。
【0057】
まず、CPU11は、タイマーの時間が0より大きいか否かを判断する(S600)。予約条件として予約有効時間Tが設定されなかった場合、または、指定給紙トレイについて印刷制限が開始されてから予約有効時間T以上を経過した場合、S600の判断が否定される。この場合(S600:No)、CPU11は、指定給紙トレイに対応する管理テーブルに、給紙枚数Kが設定されているか否かを判断する(S601)。
【0058】
給紙枚数Kが設定されている場合(S601:Yes)、本実施形態では、管理テーブルに設定された予約枚数Yが残給紙枚数Nよりも少ない場合にのみ、他のユーザからの印刷指示に従う印刷を許可する。上述したように、印刷制限の開始後、給紙ユーザからの指示に基づいて1枚の記録紙に印刷を実行する毎に、予約枚数Yからは1減算される(図5のS508)。したがって、管理テーブルに設定された予約枚数Yとは、予約条件として最初に受け付けた予約枚数Yから、印刷制限の開始後に給紙ユーザからの印刷指示に従って印刷した記録紙の枚数を減算した値に相当し、給紙ユーザのために確保すべき残り必要枚数を示している。
【0059】
一方、残給紙枚数Nには、給紙ユーザが追加した記録紙の枚数である給紙枚数Kが初期値として設定され、その後、1枚の記録紙に印刷を実行する毎に、残給紙枚数Nからは1減算される(図5のS508)。したがって、残給紙枚数Nとは、給紙枚数Kから、印刷制限の開始後に印刷した記録紙の枚数を減算した値に相当し、指定給紙トレイに現在セットされている記録紙の枚数に対応している。
【0060】
よって、予約枚数Yと残給紙枚数Nとを比較することにより、残り必要枚数が、指定給紙トレイに現在セットされている記録紙の枚数よりも少ないか否かを判断できるのである。
【0061】
具体的には、CPU11は、予約枚数Yと残給紙枚数Nを、指定給紙トレイに対応する管理テーブルから取得する(S602)。そして、予約枚数Yが残給紙枚数N未満である場合(S603:Yes)、すなわち、残り必要枚数が指定給紙トレイに現在セットされている記録紙の枚数よりも少ない場合、CPU11は、印刷制限中の指定給紙トレイの記録紙を使用して、1枚の記録紙に対して印刷を実行する(S604)。そして、CPU11は、指定給紙トレイに対応する管理テーブルに設定されている残給紙枚数Nを1減算する(S605)。
【0062】
そして、今回の印刷データについて印刷が終了していない場合(S606:No)、CPU11は、S602の処理に戻り、記録紙への印刷を繰り返す。すなわち、1枚の記録紙に対して印刷を実行する毎に、残り必要枚数が指定給紙トレイにセットされている記録紙の枚数よりも少ないかを判断し(S603)、この判断が肯定される間(S603:Yes)、印刷を繰り返す。
【0063】
このようにして処理を繰り返すうちに、予約枚数Yが残給紙枚数N以上であると判断される場合、すなわち、残り必要枚数が指定給紙トレイにセットされている記録紙の枚数より少ないと判断されない場合(S603:No)、CPU11は、他のユーザからの印刷指示に従う印刷を中止する(S607)。したがって、給紙ユーザのために、予約枚数Y分の記録紙を確保できる。
【0064】
なお、S607においては、今回の印刷データを破棄することにより印刷を中止する。他のユーザから受信した印刷データを保持し続けることにより、給紙ユーザから入力される印刷データを受信できなくなることを回避するためである。
【0065】
次に、CPU11は、指定給紙トレイが印刷制限中であること、及び、指定給紙トレイの記録紙が不足していることを、LCD15に表示する(S608)。次に、CPU11は、指定給紙トレイが印刷制限中であること、及び、指定給紙トレイの記録紙が不足していることを、PCに通知し(S609)、本処理を通知する。
【0066】
なお、S603の判断が否定されることがないまま、今回の印刷データについて印刷が終了した場合(S606:Yes)、CPU11は、本処理を終了する。すなわち、他のユーザからの印刷指示であっても、全ページ分の印刷を実行して、処理を終了する。
【0067】
次に、指定給紙トレイに対応する管理テーブルに給紙枚数Kが設定されていない場合について説明する。この場合(S601:No)、すなわち、給紙情報入力画面(図4(a))において給紙枚数Kの入力を受け付けなかった場合、残り給紙枚数Nと予約枚数Yとの大小関係の判断を行わず、他のユーザからの印刷指示に従う印刷を中止する(S610)。そして、CPU11は、指定給紙トレイが印刷制限中であることをLCD15に表示し(S611)、指定給紙トレイが印刷制限中であることをPCへ通知し(S612)、本処理を終了する。このようにすれば、給紙ユーザが、給紙枚数Kの入力を怠った場合であっても、当該給紙ユーザのために記録紙を確保できる。
【0068】
なお、タイマーの時間が0より大きい場合、すなわち、予約条件として予約有効時間Tが入力され、且つ、指定給紙トレイについて印刷制限を開始してからの経過時間が予約有効時間T以下である場合においても(S600:Yes)、CPU11は、残給給紙枚数Nと予約枚数Yとの大小の判断を行わず、他のユーザからの印刷指示に従う印刷を中止する(S610)。このようにすれば、予約有効時間T内は、給紙ユーザが記録紙をセットした給紙トレイを、当該給紙ユーザに優先的に使用させることができる。
【0069】
他ユーザ印刷処理によれば、給紙ユーザ以外の他のユーザによる記録紙の使用を、予約条件に基づいて適切に制限できる。例えば、残り必要枚数(予約枚数Y)が、指定給紙トレイに現在セットされている記録紙の枚数(残給紙枚数N)よりも少ないことを条件として、他のユーザからの印刷指示に従う印刷が許可されるので、給紙ユーザが必要とする枚数を確保しつつ、他のユーザに対しても印刷を許可できる。
【0070】
また、1枚の記録紙に対して印刷が実行される毎に、予約枚数Yが残給紙枚数Nよりも少ないかが判断され、予約枚数Yが残給紙枚数N以上となるまで、他のユーザからの印刷指示に従う印刷が実行されるので、他のユーザに対して可能な限り多数枚の印刷を許可できる。
【0071】
また、給紙トレイの開放時に、給紙情報入力画面において給紙ユーザに給紙枚数Kを入力させ、これに基づいて、指定給紙トレイに現在セットされている記録紙の枚数(残給紙枚数N)をカウント(取得)しているので、給紙トレイにセットされた記録紙の枚数を自動検出するための構成を備えていなくても、給紙トレイにセットされた記録紙の枚数を適切に判断できる。
【0072】
図7は、MFP10が実行する印刷制限解除処理を示すフローチャートである。この処理は、印刷制限の開始から予約有効時間Tが経過したことを条件として、印刷制限を解除するための処理である。この処理は、定期的(例えば、1秒毎)に実行される割込処理である。
【0073】
まず、CPU11は、第1給紙トレイDT1、及び、第2給紙トレイDT2のうち一つを特定する(S701)。特定した給紙トレイについて、印刷制限フラグ30がオンに設定されていない場合(S702:No)、CPU11は、S707へ移行する。一方、特定した給紙トレイについて、印刷制限フラグ30がオンに設定され(S702:Yes)、且つ、特定した給紙トレイに予約有効時間Tが設定されていない場合(S703:No)、CPU11は、S707へ移行する。
【0074】
一方、特定した給紙トレイに予約有効時間Tが設定され(S703:Yes)、且つ、特定した給紙トレイについて、印刷制限開始時からカウントダウンされているタイマーの値が0より大きい場合(S704:No)、CPU11は、S707へ移行する。一方、タイマーの値が0以下であり(S704:Yes)、且つ、特定した給紙トレイが給紙ユーザからの印刷指示に従った印刷のために使用中である場合(S705:Yes)、CPU11は、S707へ移行する。
【0075】
一方、タイマーの値が0以下であり(S704:Yes)、且つ、特定した給紙トレイが給紙ユーザの印刷に使用されていない場合(S705:No)、CPU11は、特定した給紙トレイに対応する管理テーブルをクリアする(S706)。そして、未だ特定していない給紙トレイが存在する場合(S707:No)、CPU11は、S701の処理に戻り、未特定の給紙トレイを特定し、処理を繰り返す。一方、全ての給紙トレイを特定した場合(S707:Yes)、CPU11は、本処理を終了する。
【0076】
印刷制限解除処理によれば、印刷制限を開始してから予約有効期間Tを経過した場合に、その予約有効期間Tが設定された給紙トレイの印刷制限を解除できる。よって、給紙ユーザが長時間給紙トレイを占有することを防止し、他のユーザにかかる迷惑を抑制できる。
【0077】
ここで上述した印刷制限は、PC50から印刷データを受信する場合だけでなく、MFP10において、原稿のコピー指示が入力される場合にも適用される。次に、原稿のコピーが行われる場合の印刷制限について説明する。
【0078】
図8は、MFP10が実行するコピー処理を示すフローチャートである。この処理は、給紙ユーザ以外の他のユーザからコピー指示が入力された場合に、当該コピー指示に基づく印刷を制限する処理であり、MFP10の操作キー14からコピー指示が入力された場合に実行される。なお、コピー指示を入力するユーザは、このコピー処理の開始前に、第1給紙トレイDT1、第2給紙トレイDT2のうちいずれかを、今回のコピーに使用すべき給紙トレイ(指定給紙トレイ)として設定しているものとする。また、コピー処理(図8)に含まれるステップのうち、印刷ジョブ受付処理(図5)に含まれるステップと同一のものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】
まず、CPU11は、スキャナ17に原稿を読み取らせて原稿の画像データを生成させ、その画像データに対応する印刷データを生成する(S801)。そして、CPU11は、ユーザにより予め設定された指定給紙トレイを特定する(S802)。
【0080】
次に、指定給紙トレイが印刷制限中ではない場合(S504:No)、CPU11は、指定給紙トレイの記録紙を使用して印刷データを印刷し(S505)、本処理を終了する。すなわち、印刷制限中の給紙トレイがない場合には、コピーの実行を許可する。
【0081】
一方、指定給紙トレイが印刷制限中である場合(S504:Yes)、CPU11は、ユーザ名入力画面をLCD15に表示する(S803)。図示はしないが、ここで表示されるユーザ名入力画面は、コピー指示を入力したユーザのユーザ名(印刷指示ユーザ名)の入力を要求する画面である。本実施形態では、コピー指示を入力したユーザは、自身が主に使用するPC50に設定されているPC名を、自身のユーザ名としてユーザ名入力画面に入力するものとする。
【0082】
次に、CPU11は、ユーザ名入力画面から入力された印刷指示ユーザ名を取得する(S804)。そして、印刷指示ユーザ名と、指定給紙トレイに対応する管理テーブルに設定された給紙ユーザ名Uとが一致する場合(S506:Yes)、CPU11は、印刷データに基づく印刷を実行する(S507)。すなわち、給紙ユーザから入力されたコピー指示に基づいてコピーを実行する。そして、1枚の記録紙に印刷を実行する毎に、予約枚数Yおよび残給紙枚数Nから1減算する(S508)。
【0083】
また、印刷指示ユーザ名と給紙ユーザ名Uとが一致しない場合(S506:No)、CPU11は、他ユーザ印刷処理を実行し(S512)、本処理を終了する。すなわち、給紙ユーザ以外の他のユーザから入力されたコピー指示に基づく印刷の実行を制限する。
【0084】
コピー処理によれば、コピー指示が入力された場合に、ユーザ名入力画面を表示し、ユーザ名の入力を要求することにより(S803)、コピー指示を入力したユーザ自身に、ユーザ名(印刷指示ユーザ名)を入力させることができる。そして、入力された印刷指示ユーザ名に基づいて、印刷を制限すべきか否かを適切に判断できる。
【0085】
上記実施形態において、MFP10が印刷装置の一例である。第1給紙トレイおよび第2給紙トレイが載置部の一例である。第1給紙トレイ開閉センサ16aおよび第2給紙トレイ開閉センサ16bが検出手段の一例である。給紙ユーザ名Uが識別情報の一例である。給紙ユーザ名Uと異なる印刷指示ユーザ名が異ユーザ識別情報の一例である。印刷指示およびコピー指示が印刷指示の一例である。予約条件入力画面に入力される予約枚数Yおよび予約有効時間Tが予約条件の一例である。管理テーブルに記憶された予約枚数Yが残り必要枚数の一例である。給紙枚数Kが載置部に追加された記録媒体の枚数の一例である。残給紙枚数Nが載置部にセットされた記録媒体に関する枚数の一例である。管理テーブル13a,13bが記憶部の一例である。PC50が外部装置の一例である。LANI/F18が受信手段の一例である。
【0086】
S303,S307を実行するCPU11が受付手段の一例である。S512を実行するCPU11が制限手段の一例である。S511を実行するCPU11が第1解除手段の一例である。S602を実行するCPU11が載置枚数取得手段の一例である。S604を実行するCPU11が許可手段の一例である。S603を実行するCPU11が枚数判断手段の一例である。S607を実行するCPU11が第1中止手段の一例である。S303を実行するCPU11が追加枚数受付手段の一例である。S610を実行するCPU11が第2中止手段および第3中止手段の一例である。S600を実行するCPU11が時間判断手段の一例である。S302を実行するCPU11が第2解除手段の一例である。S501を実行するCPU11が識別情報取得手段の一例である。S803を実行するCPU11が入力要求手段の一例である。
【0087】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0088】
例えば、上記実施形態で挙げた具体的数値は一例であり、他の数値を採用することは可能である。例えば、MFP10の給紙トレイの数は、1個でも良いし、3個以上でも良い。
【0089】
また、上記実施形態では、給紙枚数Kを給紙ユーザに入力させ、これに基づいて、給紙トレイに現在セットされている記録紙の枚数(残給紙枚数N)をカウント(取得)していた。これに代えて、給紙トレイにセットされた記録紙の枚数を自動的に検出するセンサが設けられている場合には、当該センサにより検出された枚数を残給紙枚数Nとして取得すればよい。この場合、給紙ユーザによる給紙枚数Kの入力は不要である。
【0090】
また、上記実施形態では、MFP10に対して開閉可能な給紙トレイが載置部の一例であったが、載置部は固定されたものであっても良い。その場合には、例えば、載置部に載置された記録紙の重量を検出するセンサを設け、当該センサにより検出した重量の変化量が所定値以上である場合に、給紙ユーザ名Uなどの入力を受け付け、印刷制限を開始しても良い。
【0091】
また、上記実施形態では、給紙ユーザを識別する識別情報の一例として、給紙ユーザ名Uを例示したが、識別情報は、MFP10を使用する可能性がある各ユーザを識別できる情報であればよく、例えば、給紙ユーザが主に使用するPC50に割り当てられているIPアドレスなど、他の情報であっても良い。
【0092】
また、上記実施形態では、他のユーザからの印刷指示に従う印刷の実行を中止する場合に、印刷データを破棄するものとして説明した。しかしながら、印刷制限にかかる印刷データを破棄せずに保存しておき、指定給紙トレイの印刷制限が解除された場合に、当該印刷データを印刷しても良い。
【0093】
また、いずれかの給紙トレイの記録紙を用いた印刷制限中において、別の給紙トレイにおいて記録紙切れが発生した場合、印刷制限中の給紙トレイが存在することをメッセージとしてLCD15に表示しても良い。このようにすれば、印刷制限中の給紙トレイから記録紙を持ち出さないように、注意喚起できる。
【0094】
また、印刷制限の解除までの残り時間や、残り必要枚数(管理テーブルに記憶された予約枚数Y)を、給紙ユーザのPC50やMFP10のLCD15に表示させるように、上記実施形態を変形しても良い。このようにすれば、給紙ユーザや他のユーザは、印刷制限の現状を確認できる。なお、上記実施形態では、予約有効時間Yをタイマーに設定して、タイマーの時間をカウントダウンするものとして説明したが、管理テーブルに設定した予約有効時間Yそのものをカウントダウンする構成としても良い。この場合、給紙ユーザのPC50やMFP10のLCD15には、管理テーブルに現在設定されている予約有効時間Tを表示させれば良い。
【0095】
また、上記実施形態では、他のユーザからの印刷指示に従う印刷の実行中に、残給紙枚数Nが予約枚数Y以下となった場合に、印刷を途中で中止していた。しかしながら、他のユーザからの印刷指示に従う全ページの印刷を実行したとしても、給紙ユーザのための残り必要枚数を確保できる場合には、全ページの印刷を実行し、一方、他のユーザからの印刷指示に従う全ページの印刷を実行すると、給紙ユーザのための残り必要枚数を確保できなくなる場合には、1ページも印刷することなく印刷を中止するように構成しても良い。
【0096】
また、上記実施形態のMFP10にメディアカードスロットが設けられている場合には、そのスロットに挿入される外部メディア内のデータの印刷についても、同様に印刷制限をかけても良い。具体的には、コピー処理(図8)と同様に、外部メディア内のデータの印刷が指示された場合には、ユーザの識別情報の入力を要求し、その要求に基づいて取得される識別情報が、給紙ユーザの識別情報と不一致である場合には、印刷を制限すれば良い。
【0097】
また、上記実施形態では、予約条件のうち、予約枚数Yの入力を必須とし、予約有効時間Tの入力を任意とした。これに代えて、両方の入力を必須としても良いし、予約有効時間Tの入力のみを必須としても良い。
【0098】
例えば、予約有効時間Tを受け付け、予約枚数Yを受け付けなかった場合、印刷制限を開始してから、予約有効時間Tを経過するまでの間、他のユーザからの印刷指示に従う印刷を中止する。このようにすれば、予約有効時間T内は、ユーザが記録紙をセットした給紙トレイを、当該ユーザにのみ使用させることができる。したがって、例えば、給紙ユーザがセットした特殊な記録紙が、他のユーザによって使用されることを防止できる。
【0099】
また、予約条件は、必ずしも給紙ユーザ自身に入力させなくても良い。例えば、MFP10において予め設定値として記憶している予約枚数Yまたは予約有効時間Tに基づいて印刷制限を実行するように、上記実施形態を変形しても良い。
【0100】
また、上記実施形態では、印刷装置の一例として、MFP10を例示したが、スキャナ機能を備えない印刷装置についても、本発明を適用可能である。
【0101】
また、上記実施形態では、給紙トレイの開放が検出されたことを条件として、ユーザ名などを受け付け、給紙トレイが閉じられた場合に印刷制限を開始していたが、給紙トレイが開放され、その後、閉じられたことを条件として、ユーザ名などを受け付けて、印刷制限を開始しても良い。
【0102】
また、上記実施形態では、PC50から受信する印刷設定情報や、コピー指示を入力したユーザがした設定に基づいて、指定給紙トレイを特定するものとして説明した。しかしながら、例えば、ユーザが給紙トレイの指定を「Auto」と設定する場合など、指定給紙トレイが特定できない場合には、印刷制限がかけられていない給紙トレイを指定給紙トレイとして特定し、印刷を実行するように構成しても良い。
【0103】
また、上記実施形態では、開閉が検出された給紙トレイについてのみ印刷制限がかけられていた。これに加えて、さらに、開閉が検出された給紙トレイと同じサイズの記録紙がセットされた給紙トレイについても印刷制限をかけるように、上記実施形態を変形しても良い。例えば、A4サイズの記録紙がセットされた給紙トレイについて印刷制限中は、A4サイズの記録紙がセットされた他の給紙トレイも印刷制限中とする。このようにすれば、給紙ユーザが使用したいサイズの記録紙を、より多数枚確保できる。
【0104】
また、上記実施形態では、予約枚数Yが0以下となった場合、または、印刷制限開始時からの経過時間が予約有効時間T以上となった場合の、いずれかの場合が成立することを条件に、印刷制限を解除するものとして説明した。しかしながら、予約枚数Yが0以下となり、且つ、印刷制限開始時からの経過時間が予約有効時間T以上となった場合に印刷制限を解除するように、上記実施形態を変形しても良い。
【符号の説明】
【0105】
10 MFP
13a 第1給紙トレイ管理テーブル
13b 第2給紙トレイ管理テーブル
16a 第1給紙トレイ開閉センサ
16b 第2給紙トレイ開閉センサ
U 給紙ユーザ名
Y 予約枚数
T 予約有効時間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された印刷指示に従い印刷を行う印刷装置であって、
記録媒体がセットされる載置部の変化を検出する検出手段と、
前記検出手段により前記載置部の変化が検出される場合、ユーザを識別する識別情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段が受け付けた前記識別情報により識別されるユーザとは異なるユーザの識別情報である異ユーザ識別情報に対応する印刷指示が入力される場合、当該印刷指示に従う印刷を制限する制限手段とを備える印刷装置。
【請求項2】
前記受付手段は、
前記検出手段により前記載置部の変化が検出される場合、前記識別情報に加え、その識別情報に対応する印刷指示に従う印刷であって、前記載置部の記録媒体を使用した印刷を実行するための予約条件の入力を受け付けるものであり、
前記制限手段は、
前記異ユーザ識別情報に対応する印刷指示が入力される場合、前記受付手段により受け付けた前記予約条件に従って、その印刷指示に従う印刷を制限する請求項1記載の印刷装置。
【請求項3】
前記載置部は、前記印刷装置に対して開閉される給紙トレイで構成され、
前記受付手段は、前記給紙トレイの開放が前記検出手段により検出された場合、前記識別情報および前記予約条件の入力を受け付ける、請求項2記載の印刷装置。
【請求項4】
前記受付手段は、前記予約条件として記録媒体の枚数を受け付けるものであり、
前記制限手段による制限の開始後に前記受付手段により受け付けた識別情報に対応する印刷指示に従って印刷した記録媒体の枚数が、前記予約条件で示される枚数以上になった場合、前記制限手段による制限を解除する第1解除手段を備える、請求項2または3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記載置部にセットされた記録媒体に関する枚数を取得する載置枚数取得手段を備え、
前記制限手段は、
前記制限手段による制限の開始後に前記受付手段により受け付けた識別情報に対応する印刷指示に従って印刷した記録媒体の枚数を、前記予約条件として受け付けた記録媒体の枚数から減算して得られる残り必要枚数が、前記載置枚数取得手段が取得した枚数よりも少ないことを条件として、前記異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従う印刷を許可する許可手段を備える、請求項4記載の印刷装置。
【請求項6】
前記制限手段による制限中に前記異ユーザ識別情報に対応する印刷指示が入力される場合、当該印刷指示に従い1枚の記録媒体に対して印刷を実行する毎に、前記残り必要枚数が前記載置枚数取得手段が取得した枚数よりも少ないかを判断する枚数判断手段を備え、
前記許可手段は、前記枚数判断手段により前記残り必要枚数が前記載置枚数取得手段が取得した枚数よりも少ないと判断されることを条件として、前記異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従い1枚の記録媒体に対して印刷を実行する、請求項5記載の印刷装置。
【請求項7】
前記制限手段は、
前記枚数判断手段により、前記残り必要枚数が前記載置枚数取得手段が取得した枚数よりも少ないと判断されない場合、前記異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従う印刷を中止する第1中止手段を備える、請求項6記載の印刷装置。
【請求項8】
前記検出手段により前記載置部の変化が検出された場合、前記載置部に追加された記録媒体の枚数の入力を受け付ける追加枚数受付手段を備え、
前記載置枚数取得手段は、前記追加枚数受付手段により受け付けた枚数と、前記制限手段による制限を開始してから印刷を行った記録媒体の枚数とに基づいて、前記載置部にセットされている記録媒体の枚数を取得する請求項6または7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記制限手段は、
前記追加枚数受付手段により、前記載置部に追加された記録媒体の枚数の入力を受け付けなかった場合、前記枚数判断手段による判断を行わず、前記異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従う印刷を中止する第2中止手段を備える、請求項8記載の印刷装置。
【請求項10】
前記受付手段により、前記予約条件として、記録媒体の枚数と時間とを受け付けた場合、前記制限手段による制限を開始してからの経過時間が、前記予約条件が示す時間以下であるかを判断する時間判断手段を備え、
前記制限手段は、
前記時間判断手段により、前記制限手段による制限を開始してからの経過時間が前記予約条件が示す時間以下であると判断される場合、前記枚数判断手段による判断を行わず、前記異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従う印刷を中止する第3中止手段を備える、請求項6から9のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項11】
前記載置部として複数の載置部を備え、
前記複数の載置部のうち前記検出手段により変化が検出された載置部に対応づけて、前記受付手段により受け付けた識別情報を、記憶部に記憶させる記憶制御手段を備え、
前記制限手段は、前記検出手段により変化が検出された載置部を指定し、且つ当該載置部に対応づけて前記記憶部に記憶された識別情報と異なる異ユーザ識別情報に対応する印刷指示が入力される場合、当該印刷指示に従う印刷を制限する、請求項1から10のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項12】
前記載置部は、前記印刷装置に対して開閉される給紙トレイで構成され、
前記制限手段による制限中において、前記給紙トレイの開放が前記検出手段により検出された場合、前記制限手段による制限を解除する第2解除手段を備える請求項1から11のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項13】
前記受付手段は、前記予約条件として時間を受け付けるものであり、
前記制限手段は、
前記受付手段により、前記予約条件として時間を受け付けた場合、前記制限手段による制限を開始してから、前記予約条件が示す時間を経過するまでの間、前記異ユーザ識別情報に対応する印刷指示に従う印刷を中止する、請求項2または3に記載の印刷装置。
【請求項14】
前記印刷指示を外部装置から受信する受信手段と、
前記制限手段による制限中において、前記受信手段が前記印刷指示を受信することにより前記印刷指示が入力される場合、当該印刷指示を入力したユーザを識別する識別情報であって、前記外部装置から送られてくる前記識別情報を取得する識別情報取得手段とを備え、
前記制限手段は、
前記識別情報取得手段により取得した前記識別情報が、前記受付手段が受け付けた識別情報と不一致である場合、前記印刷指示に基づく印刷を制限する、請求項1から13のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項15】
前記制限手段による制限中に印刷指示が入力される場合、ユーザを識別する識別情報の入力を要求する入力要求手段を備え、
前記制限手段は、
前記識別情報取得手段により取得した前記識別情報が、前記受付手段が受け付けた識別情報と不一致である場合、前記印刷指示に基づく印刷を制限する、請求項1から13のいずれかに記載の印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−63512(P2013−63512A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201813(P2011−201813)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】