説明

印刷装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホストコンピュータ等からの印刷情報を出力する印刷装置に係り、特に印刷動作を行うために各機構部のウォームアップ処理を実行する印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の印刷装置、特にレーザビームプリンタのようにポリゴンミラーの回転数の安定化や定着器の温度の安定化等が必要な装置では、印刷動作を行うまでに各機構部のウォームアップ動作を必要とする場合がある。
【0003】図4および図5は、従来のウォームアップ処理における起動推移を示す特性図であり、縦軸は動作状態を示し、横軸は時間を示している。
【0004】従来のウォームアップ処理は、図4に示すように、印字データのビットマップ展開が終了した時点(時刻:TM1)において、ウォームアップ処理を開始するか、あるいは図5に示すように、印刷時間の高速化を図るため、ホストコンピュータから1つでも印字データを受信した時点(時刻:TM2)において、ウォームアップ処理を開始する場合もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の図4に示す場合には、ウォームアップ処理が終了するまでファーストプリントを得ることはできず、待ち時間が長くなってしまう。
【0006】また、図5に示す場合には、ホストコンピュータ側から最初のデータを受信した後、暫くデータが入力されないと、最初にデータを受信した時点からプリンタエンジンのウォームアップ処理を開始しているため、定着器の温度が動作状態のレベルのままで待機状態になってしまい、消費電力や耐久性の面で各機器の大きな負担となる等の問題点があった。
【0007】本発明は、動作可能状態のまま無駄に待機している時間を短縮し、各機器にかかる負担を軽減しつつ、印刷処理開始待機時間を短縮できる印刷装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る印刷装置は、外部装置より入力された印刷情報を解析してビットマップメモリに展開し、このビットマップデータに基づいて印字処理を行う印刷装置において、プリンタエンジが電源オンの状態で、前記外部装置から入力された印字情報より排紙命令を検知する検知手段と、前記検知手段によって排紙命令が検知された場合に、プリンタエンジンに対してポリゴンミラーの回転数の安定化または熱定着器の定着温度の安定化を含む所定のウォームアップ処理を開始させる検知式ウォームアップ手段とを具備したことを特徴とする。
【0009】
【実施例】図1は、本発明の一実施例による印刷装置の構成を示すブロック図である。
【0010】ホストコンピュータ1は、プリントデータおよび制御コードからなる印字情報とを印刷装置2に出力するものである。
【0011】印刷装置2は、フォーマッタ制御部21と、エンジン制御部22と、プリンタエンジン部23と、検知式ウォームアップ回路部24とを有している。
【0012】フォーマッタ制御部21では、ホストコンピュータ1から受信した印刷情報を一旦プリンタバッファ2111に蓄え、コマンド解析部211で解析を行う。
【0013】そして、解析されたコマンドは、コマンド実行部212にて実行され、描画に関するコマンドは、ビットマップメモリ2121に逐次展開されていく。
【0014】出力制御部213では、ビットマップメモリ2121の内容をエンジン制御部22を通してプリンタエンジン部23に出力する。
【0015】エンジン制御部22では、プリンタエンジン部23と各種ステータスをやり取りし、プリンタエンジン部23の動作状態に合わせて印刷の送信を制御する。
【0016】プリンタエンジ部23は、ホストコンピュータ1から受け取った印字情報などに基づき、ビットマップメモリ2121に展開された結果を記録紙に永久可視画像形成するための印刷機構部である。
【0017】検知式ウォームアップ回路部24は、プリンタバッファ2111に入力される印刷情報をチェックし、印刷情報に含まれる排紙命令を検知した場合、直ちにウォームアップ起動信号をエンジン制御部22に送る。
【0018】図2は、この印刷装置におけるウォームアップ処理の起動推移を示す特性図であり、縦軸は動作状態を示し、横軸は時間を示している。
【0019】この印刷装置において、ホストコンピュータ1等より印刷情報が入力されると、そのなかに含まれる排紙命令を検知式ウォームアップ回路部24が検知し、エンジン制御部22にウォームアップ起動信号を発信してウォームアップ処理を開始し、ビットマップメモリ2121への印字データの展開終了後、直ちに印字処理が可能な状態に設定する。
【0020】図3は、検知式ウォームアップ回路部24の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0021】まず、ホストコンピュータ1より受信バッファ2111に入力される印刷情報を検知式ウォームアップ起動回路241によって1コマンドずつチェックする(S1)。
【0022】次いで、チェックしたコマンドが排紙命令(FormFeed)かどうかを判断し(S2)、排紙命令でなかった場合には、S1に戻り、排紙命令である場合には、エンジン制御部22にウォームアップ起動信号を発信し(S3)、プリンタエンジン部23のウォーミングアップ動作を起動する。
【0023】これにより、図2に示すように、ビットマップメモリ2121への印字データ展開終了時刻:TM3においては、プリンタエンジン部23もウォームアップ処理は終了しており、直ちに印刷処理を実行可能な状態を得ることができる。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、プリンタエンジが電源オンの状態において、外部装置より受信した印刷データの排紙命令に基づいて、印字データのビットマップ展開を待つことなく、ポリゴンミラーの回転数の安定化または熱定着器の定着温度の安定化を含むウォームアップ処理を開始することから、印字データの受信直後よりウォームアップ処理を開始する場合に比べて、印刷可能な状態で無駄に待機している時間が短縮でき、プリンタエンジ各部への負担を軽減できる。また、ビットマップ展開終了後にウォームアップ処理を開始する場合に比べて、ファーストプリントの時間を早くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】上記実施例におけるウォームアップ処理の起動推移を示す特性図である。
【図3】上記実施例における検知式ウォームアップ回路部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】従来の印刷装置におけるウォームアップ処理の起動推移の一例を示す特性図である。
【図5】従来の印刷装置におけるウォームアップ処理の起動推移の他の例を示す特性図である。
【符号の説明】
1…ホストコンピュータ、
2…印刷装置、
21…フォーマッタ制御部、
22…エンジン制御部、
23…プリンタエンジン部、
24…検知式ウォームアップ回路部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部装置より入力された印刷情報を解析してビットマップメモリに展開し、このビットマップデータに基づいて印字処理を行う印刷装置において、プリンタエンジが電源オンの状態で、前記外部装置から入力された印字情報より排紙命令を検知する検知手段と、前記検知手段によって排紙命令が検知された場合に、プリンタエンジンに対してポリゴンミラーの回転数の安定化または熱定着器の定着温度の安定化を含む所定のウォームアップ処理を開始させる検知式ウォームアップ手段と、を具備したことを特徴とする印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】第2859976号
【登録日】平成10年(1998)12月4日
【発行日】平成11年(1999)2月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−108850
【出願日】平成3年(1991)4月12日
【公開番号】特開平4−314567
【公開日】平成4年(1992)11月5日
【審査請求日】平成9年(1997)5月19日
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【参考文献】
【文献】特開 昭63−241631(JP,A)
【文献】特開 平3−181953(JP,A)