説明

印刷適性を向上させた晒クラフト紙

【課題】
本発明の課題は、強度が高く、印刷適性が良好な晒クラフト紙、特に多層紙袋に適した晒クラフト紙を提供することである。
【解決手段】
以下の(1)から(8)の条件を満たす晒クラフト紙である。
(1)原料パルプとして、広葉樹晒クラフトパルプを50〜70質量%、針葉樹晒クラフトパルプを30〜50質量%含む。(2)広葉樹晒クラフトパルプのフリーネスが300〜450ml、針葉樹晒クラフトパルプのフリーネスが500〜600mlである。(3)填料として炭酸カルシウム1.0%以上を添加し、灰分0.5〜5.0%とする。(4)接着剤を主成分とする表面処理剤を片面当たり0.2〜1.0g/m塗布する。(5)内添サイズ剤と表面サイズ剤を使用して、ステキヒトサイズ度30秒以上とする。(6)白色度75%以上。(7)吸油度40〜80秒。(8)平滑度30〜80秒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強度が高く、多色印刷の印刷適性に優れた晒クラフト紙に関し、特に多層紙袋に適した晒クラフト紙に関する。
【背景技術】
【0002】
重包装(多層紙袋)用のクラフト紙としては、JISP3401「クラフト紙」で規定される、クラフト紙1種(未晒)とクラフト紙4種(晒)があるが、いずれも強度(引張強さ、引裂強さ、伸び)が重視される紙であり、印刷用紙に比べて印刷適性(印刷上がり)が優れたものではなかった。これらの重包装用クラフト紙に使用されるパルプは、強度の高い針葉樹クラフトパルプを主体とするものであった。そのため、平滑性が低く、印刷適性は良くない。加えて、袋に中身を入れ、積み上げた時に滑らないことが必要であるため、表面塗工を行っていないのが普通である。したがって、このような重包装用クラフト紙は、フレキソ印刷による簡単な図柄や文字が印刷されるのみで、多色印刷には適していない。
【0003】
クラフト紙には、輸送・保管の機能のほか、袋のまま製品を陳列して販売するケースでは、袋自体に広告の機能が要求される。そのため、印刷適性が良好であることが必要になってくる。
【0004】
重包装用クラフト紙については、次のような特許文献がある。
(特許文献1)
粒子径1〜30μmの範囲の粒子割合が少なくとも80重量%以上、粒子径70μm以上の粒子割合が0.4重量%以下であり、かつ平均粒子径が5〜10μmの範囲にある製紙用水和珪酸塩からなる填料を、絶乾パルプ当り0.2〜3重量%内添したことを特徴とする重袋原紙用未晒クラフト紙。
(課題)原紙表面に防滑剤を塗布しなくても、粉体製品を充填した後に積み重ねても滑りにくい重袋を製造することができる重袋原紙用未晒クラフト紙およびその製造方法を提供する。
(特許文献2)
重量平均繊維長が2.3〜4.0mmであるクラフトパルプを用いて、JIS P−8220に規定されたパルプ離解方法で離解してJIS
P−8121に規定される方法に従い測定した離解フリーネスが600〜680ml、引張強度が縦方向で4.5kN/m以上、横方向で2.2kN/m以上、引裂強度が縦方向で760mN以上、横方向で810mN以上、JIS
P−8117に規定される透気度が10〜25秒となる紙支持体を形成していることを特徴とする重包装用クラフト紙。
(課題)紙支持体の強度をJIS規格内に維持しつつ、高い透気性を紙支持体に付与することができ、低米坪で原料費を下げられ製造コストの低減が可能となる重包装用クラフト紙の製造方法を提供することを目的とする。
また、クラフト包装紙としては、次の特許文献がある。
(特許文献3)
規格坪量が50〜120g/mである、JIS P 3401−2000で定められたクラフト紙3種の品質規格に準ずる規格を満たすクラフト包装紙であって、
全パルプに対して20〜50重量%のクラフトパルプと、古紙パルプ及び機械パルプとからなるパルプ原料に、内添サイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5〜5.0kg/t添加した完成原料を抄紙してなり、乾燥工程の中間において酸化澱粉及び/又はポリアクリルアミドからなる表面処理剤がロール転写方式により外添され、乾燥工程の後に1段以上のニップを有するカレンダーにより平坦化処理され、JIS
P 8140−1998において測定されたコッブサイズ度(g/m)と坪量(g/m)とから計算される(コッブサイズ度/坪量)の値が0.1以上0.25以下であることを特徴とするクラフト包装紙。
(課題)古紙パルプを高配合した条件においてもサイズ効果が十分に高く、印刷時の紙粉や取り扱いにおけるぼこつきの問題を解消し、包装用紙としての加工適性を備えたクラフト包装紙を提供することを目的とする。
【0005】
特許文献1については、摩擦抵抗を重視した重包装用クラフト紙であり、表面塗工はしておらず、印刷適性が良くない。
特許文献2については、繊維長が長く、比較的フリーネスの高いパルプを使用しているので、印刷適性について満足できるものではないと予想される。
特許文献3のクラフト包装紙は、古紙パルプ及び機械パルプの合計が50重量%以上であり、軽包装(角底袋)用の紙袋に使用される、強度が低いものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2739799号公報
【特許文献2】特許第4718153号公報
【特許文献3】特許第3907650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、強度が高く、印刷適性が良好な晒クラフト紙、特に多層紙袋に適した晒クラフト紙を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、晒クラフト紙に使用するパルプとそのフリーネス、填料、灰分、表面特性等を特定することにより、上記課題を解決できることを見出した。
【0009】
請求項1に係る発明は、以下の(1)から(8)の条件を満たす晒クラフト紙である。
(1)原料パルプとして、広葉樹晒クラフトパルプを50〜70質量%、針葉樹晒クラフトパルプを30〜50質量%含む。
(2)広葉樹晒クラフトパルプのフリーネスが300〜450ml、針葉樹晒クラフトパルプのフリーネスが500〜600mlである。
(3)填料として炭酸カルシウム1.0%以上を添加し、灰分0.5〜5.0%とする。
(4)接着剤を主成分とする表面処理剤を片面当たり0.2〜1.0g/m塗布する。
(5)内添サイズ剤と表面サイズ剤を使用して、ステキヒトサイズ度30秒以上とする。
(6)白色度75%以上。
(7)吸油度40〜80秒。
(8)平滑度30〜80秒。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、強度が高く、印刷適性の良好な晒クラフト紙を提供することができ、フレキソ印刷やオフセット印刷における多色印刷に対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の晒クラフト紙の製造には、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、リールパートの各工程からなる抄紙機を用いる。抄紙機の型式は特に限定はなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等を使用できる。ドライヤーパートは多筒ドライヤー、ヤンキードライヤーやこれらを組み合わせたものでもよい。
【0012】
本発明の晒クラフト紙は、原料パルプとして、クラフトパルプ、古紙パルプ、機械パルプ等が使用できる。クラフトパルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等が使用できる。また、古紙パルプとしては、新聞古紙脱墨パルプ、上質古紙脱墨パルプ等の古紙脱墨パルプ(DIP)が使用できる。機械パルプとしては、ストーングラウンドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等を使用することができる。
【0013】
本発明の晒クラフト紙は、原料パルプとして針葉樹晒クラフトパルプを30〜50質量%含有している。針葉樹晒クラフトパルプを30〜50質量%含有することで、晒クラフト紙に必要な強度を得ることができる。針葉樹晒クラフトパルプが30質量%より少ないと、強度が不足し、50質量%より多いと地合いが悪くなり、印刷適性が悪くなるほか、波打ちやボコツキの問題を生じやすくなる。配合する針葉樹晒クラフトパルプのカナダ標準ろ水度(CSF)は500〜600mlに調整されていることが好ましい。針葉樹晒クラフトパルプのカナダ標準ろ水度が500mlより低いと、嵩が出にくいため剛度が低くなり、600mlより高いと引張り強さが低くなる。
【0014】
本発明の晒クラフト紙は、原料パルプとして広葉樹晒クラフトパルプを50〜70質量%含有している。広葉樹晒クラフトパルプを50〜70質量%含有することで、晒クラフト紙の地合いが良好なものとなり、印刷適性が良くなる。広葉樹晒クラフトパルプが30質量%より少ないと、地合いが悪くなり、印刷適性が悪くなるほか、波打ちやボコツキの問題が生じやすくなる。広葉樹晒クラフトパルプが70質量%より多いと強度が不足する。配合する広葉樹晒クラフトパルプのカナダ標準ろ水度(CSF)は300〜450mlに調整されていることが好ましい。広葉樹晒クラフトパルプのカナダ標準ろ水度が300mlより低いとろ水性が悪く、生産性悪化につながり、450mlより高いと引張り強さが低くなる。
【0015】
また、本発明の晒クラフト紙は、古紙パルプを含有していてもよく、リサイクルという点でその配合率は高いほうが良いが、高過ぎると剛度や強度が不足する。使用する古紙パルプとしては、上質古紙脱墨パルプが望ましい。上質古紙脱墨パルプとは、上質系古紙を原料として、BKP代替を目的とした古紙パルプであり、代表的な上質系古紙としては、色上、ケント、模造、チラシ等がある。
【0016】
このような上質古紙脱墨パルプを使用すると、白色度が高い晒クラフト紙を得ることができる。
【0017】
本発明の晒クラフト紙には、インキ発色性、インキ着肉性、不透明度、白色度向上を目的に填料を添加する。特に白色度の高い炭酸カルシウムを1.0%以上添加し、晒クラフト紙の灰分(JISP8251)を0.5〜5.0%としている。灰分が0.5%より低いとインキ発色性、インキ着肉性が悪く、5.0%より高いと強度が不足する。
【0018】
炭酸カルシウムの添加率が1.0%より低いと、灰分が0.5%より低くなり、インキ発色性、インキ着肉性が悪くなる。炭酸カルシウムの添加率の上限は15%程度である。これより多いと、炭酸カルシウムが抄紙機の原料系内に蓄積したり、抄紙機のフェルト汚れが発生し、抄紙の操業性が悪くなったり、晒クラフト紙の強度が不足することがある。
炭酸カルシウム以外の填料の種類は特に限定されず、一般の印刷用紙に使用されている填料を使用することができる。具体的には、タルク、クレー、シリカ、二酸化チタン等の無機填料やプラスチックピグメント等の有機填料を使用することができる。
【0019】
本発明の晒クラフト紙は、白色度(JISP8148)75%以上(好ましくは80%以上)、吸油度40〜80秒の晒クラフト紙が得られる。白色度は高いほど印刷効果が高くなる。
【0020】
本発明の晒クラフト紙では、原料パルプに硫酸バンド、サイズ剤、嵩向上剤、紙力増強剤等を添加することができる。サイズ剤としては、ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸等のサイズ剤が使用できる。紙力増強剤としては、カチオン澱粉、ポリアクリルアミド系樹脂等が使用できる。その他、必要に応じ、湿潤紙力増強剤、スライムコントロール剤、ピッチコントロール剤、消泡剤、染料等の添加剤も使用することができる。
【0021】
本発明の晒クラフト紙の坪量は70〜90g/mとされている。坪量が70g/mより低いと、強度が不足し、内容物の重量が大きい袋には適さない。坪量が90g/m程度あれば十分な強度を持つ袋となるが、これより高いとこわさが高くなり過ぎて製袋加工適性が悪くなる場合がある。
【0022】
本発明の晒クラフト紙は、内添サイズ剤と表面サイズ剤を使用して、ステキヒトサイズ度が30秒以上されている。ステキヒトサイズ度が低いと、製袋時の糊付け部分の波うち発生や、使用時の水濡れによる破れの懸念がある。JISP3401「クラフト紙」では、重包装(多層紙袋)用のクラフト紙のステキヒトサイズ度は坪量により、10秒以上、あるいは15秒以上に規定されているが、本発明の晒クラフト紙は前述した理由を重視して30秒以上に強化している。坪量70〜90g/mの範囲で、ステキヒトサイズ度30秒という値は、一般的な印刷用紙のステキヒトサイズ度と比べると非常に高いものであり、内添サイズ剤、あるいは表面サイズ剤の単独使用では、サイズ剤の効果が不足気味となって不具合が生じる。すなわち、内添サイズ剤単独では添加量が過剰になって、抄紙系内の汚れや泡立ちのトラブルが発生することがある。表面サイズ剤単独ではステキヒトサイズ度を30秒以上とするのは困難である。
【0023】
本発明の晒クラフト紙は、平滑度が30〜80秒とされている。平滑度が30秒より低いと、インキ着肉が悪くなり印刷上がりが悪くなる。平滑度が80秒より高いと、摩擦係数が低過ぎて、製袋機で不揃いのトラブルを起こしたり、袋の荷崩れを起こすことがある。
【0024】
本発明の晒クラフト紙の吸油度は、40〜80秒とされている。吸油度は、印刷適性に関わってくる。吸油度が40秒に満たないと、インキの浸透が早く、発色が悪くなる。吸油度が80秒より高いと、インキ乾燥不良によりブロッキングが発生し、紙ムケやインキの剥離を起こす場合がある。
晒クラフト紙の吸油度は、使用する填料の種類や填料の添加率、表面処理剤の種類や塗布量、カレンダー処理条件等により、調整することができる。
【0025】
本発明の晒クラフト紙では、接着剤を主成分とした表面処理剤を、印刷品質向上とパイリングなどの表面強度に纏わるトラブルを回避するために塗布する。このような接着剤としては、澱粉類を含むことが好ましい。
【0026】
澱粉類は、親水性である繊維との接着能力が高く、塗布量が少ない場合において紙表面から脱落し易い微細繊維なども強力に接着するため好ましい。前記澱粉類としては、酵素変性澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、疎水化澱粉などが例示される。なお、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースなどの水溶性セルロース化合物、ポリビニルアルコール化合物やポリアクリルアミド類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類やラテックス類などの通常の塗工紙用接着剤を一種類以上併用しても良い。
【0027】
本発明では、良好な印刷作業性と印刷品質を提供する上で、表面処理剤の塗布量は片面あたり0.2〜1.0g/mとするのが好ましく、より好ましくは0.2〜0.5g/mとする。表面処理剤の塗布量が規定量より少ないと紙粉などに代表される表面強度に纏わるトラブルが起こるおそれがあり、規定量より多いと吸油度が高くなり、インキの剥離を起こす場合がある。
【0028】
表面処理剤を原紙へ塗布するための装置としては、特に限定されないが、例えばツーロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーターなどのロールコーター、ベベルタイプやベントタイプのブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、グラビアコーターなどの公知公用の装置が使用される。なお、表面処理剤を塗布後の湿潤塗布層を乾燥する方法としては、蒸気乾燥、ガスヒーター乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥などの各種方式が採用できる。
【0029】
本発明の晒クラフト紙の製造に際しては、ドライヤーで乾燥後に、カレンダー装置により平滑化処理する。カレンダー装置としては、チルドカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダー等の一般に使用されているカレンダー装置が使用できる。目標とする平滑度に応じて、ニップ数やニップ圧、ロール温度、ロール材質、ロール硬度等を設定する。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例により、本発明の効果を具体的に表す。なお、%は特に断りのない限り質量%を表し、添加量は絶乾パルプに対する固形分または有効成分で表す。
【0031】
(実施例1)
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)60質量部(320mlCSF)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)40質量部(520mlCSF)からなるパルプ分散液に、硫酸バンド3質量%(有姿)、填料として軽質炭酸カルシウム(東洋電化工業株式会社製、商品名:トヨライトTNC−S360)を6.0質量%添加し、サイズ剤(荒川化学工業株式会社製、商品名:サイズパイン811M)0.5質量%、カチオン澱粉(GSJジャパン製、商品名:ジェルトロン24)0.5質量%、紙力増強剤(星光PMC株式会社製、商品名:DS4356)0.4質量%、歩留り向上剤(ハイモ社製、商品名:ND260)を対パルプ200ppm添加して抄紙した。表面処理剤として、酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、商品名:王子エースA)を塗布量が片面当たり0.25g/m、表面サイズ剤(荒川化学工業株式会社製、商品名:ポリマロンM20)を塗布量が片面当たり0.07g/mで、表裏同一塗布量でゲートロールコーターを用いて塗布し、乾燥後、ソフトカレンダー処理(線圧10kN/m、温度80℃)し、坪量84.0g/m、水分6.0%の晒クラフト紙を得た。得られた晒クラフト紙の評価結果を表1に示す。
【0032】
(実施例2)
填料として軽質炭酸カルシウムを1.0質量%添加した以外は実施例1と同様に晒クラフト紙を得た。
(実施例3)
填料として軽質炭酸カルシウムを8.0質量%添加した以外は実施例1と同様に晒クラフト紙を得た。
(実施例4)
LBKP70質量部(430mlCSF)、NBKP30質量部(580mlCSF)とし、表面処理剤として、酸化澱粉を塗布量が片面当たり0.5g/m、表面サイズ剤を塗布量が片面当たり0.14g/mとなるように、表裏同一塗布量でゲートロールコーターを用いて塗布、乾燥した以外は実施例1と同様に晒クラフト紙を得た。
(実施例5)
LBKP50質量部(350mlCSF)、NBKP50質量部(510mlCSF)とした以外は実施例1と同様に晒クラフト紙を得た。
(実施例6)
坪量を75.0g/mとした以外は実施例5と同様に晒クラフト紙を得た。
【0033】
(比較例1)
LBKP40質量部、NBKP60質量部とし、表面処理剤を塗布しなかったこと以外は実施例1と同様に晒クラフト紙を得た。
(比較例2)
パルプ配合を、NBKP100質量部とし、填料を添加せず、表面処理剤を塗布しなかったこと以外は実施例1と同様に晒クラフト紙を得た。
(比較例3)
LBKP80質量部、NBKP20質量部とした以外は実施例1と同様に晒クラフト紙を得た。
(比較例4)
填料を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に晒クラフト紙を得た。
(比較例5)
LBKP70質量部、NBKP30質量部とし、表面処理剤として、酸化澱粉を塗布量が片面当たり1.2g/m、表面サイズ剤を塗布量が片面当たり0.14g/mとなるように、表裏同一塗布量でゲートロールコーターを用いて塗布、乾燥した以外は実施例1と同様に晒クラフト紙を得た。
【0034】
実施例、比較例で得られた晒クラフト紙の製造条件、評価結果を表1、表2に示す。試験方法と評価方法は次のとおりである。
(坪量)JISP8124:1998紙及び板紙−坪量測定方法
(灰分)JISP8251:2003紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法
(白色度)JISP8148:2001紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法
(ステキヒトサイズ度)JISP8122:2004紙及び板紙−サイズ度試験方法−ステキヒト法
(平滑度)JISP8119:1998紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法
(吸油度)旧JISP3001:1995新聞巻取紙に準じて測定した。
(印刷適性評価)
得られた晒クラフト紙を、平判断裁した後、オフセット枚葉機にかけ、プロセスインキにより、紙の表面にカラー4色印刷を行い、印刷上がりを次の基準で評価した。
◎:優れる、○:良い、×:不良
(強度評価)
晒クラフト紙の引張強さ(縦)と引裂強さ(縦)により次の基準で評価した。
◎:引張強さ(縦)5.5kN/m以上、かつ引裂強さ(縦)700mN以上
○:引張強さ(縦)5.0kN/m以上5.5kN/m未満、または引裂強さ(縦)600mN以上700mN未満
×:上記以外
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
表1に示したように、本発明の実施例1〜6では、いずれも、印刷適性評価と強度評価がともに良好であることがわかる。
【0038】
表2に示した比較例では、印刷適性評価と強度評価のいずれかが悪くなっている。
比較例1は、表面処理剤の塗工がなく、平滑度(表)が28秒と低いため、印刷適性評価が悪くなっている。比較例2は、NBKPの配合率が100%と高いが、フリーネスが610mlCSFと高いので、強度評価がやや低い。また、填料の添加がなく、表面処理剤の塗工がないので、平滑度(表)が18秒と低くなっており、印刷適性評価が悪くなっている。
比較例3は、NBKPの配合率が20%と低いので、強度評価が悪くなっている。
比較例4は、填料の添加がなく、灰分が0.1%と低いので、印刷適性評価が悪くなっている。比較例5は、表面処理剤の塗工量が片面当たり1.34g/mと多く、吸油度が92秒と高くなっているため、インキ乾燥不良によるブロッキングが発生し、インキの剥離により印刷適性評価が悪くなっている。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の晒クラフト紙は、高精彩印刷される晒クラフト紙に適しており、多層紙袋に用いられる晒クラフト紙としても十分な強度を持っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(1)から(8)の条件を満たす晒クラフト紙。
(1)原料パルプとして、針葉樹晒クラフトパルプを30〜50質量%、広葉樹晒クラフトパルプを50〜70質量%含む。
(2)針葉樹晒クラフトパルプのフリーネスが500〜600ml、広葉樹晒クラフトパルプのフリーネスが300〜450mlである。
(3)填料として炭酸カルシウム1.0%以上を添加し、灰分0.5〜5.0%とする。
(4)接着剤を主成分とする表面処理剤を片面当たり0.2〜1.0g/m塗布する。
(5)内添サイズ剤と表面サイズ剤を使用して、ステキヒトサイズ度30秒以上とする。
(6)白色度75%以上。
(7)吸油度40〜80秒。
(8)平滑度30〜80秒。

【公開番号】特開2013−100623(P2013−100623A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246049(P2011−246049)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(304040072)丸住製紙株式会社 (51)
【Fターム(参考)】