説明

印字ラベル作成装置

【課題】印字ラベルを円滑かつ確実に排出口へと導き、排出することができるようにする。
【解決手段】ラベル作成装置1は、筐体2と、被印字テープ3Aをロール状に巻回したロールを収納するロール収納部4と、被印字テープ3Aを繰り出して搬送するプラテンローラ66と、搬送される被印字テープ3Aに対し印字を行う印字ヘッド61と、被印字テープ3Aを切断するカッターユニット8とを有する。また、排出口6Aの上縁部6a近傍に下方へ突出するように設け、排出する印字ラベルLを排出口6Aへと誘導するガイド用リブ100を有し、ガイド用リブ100は、排出口6Aへの誘導時における印字ラベルLの捕捉を抑制するとともに捕捉した場合でも捕捉箇所を捕捉部位x,yの2箇所に限定可能な捕捉制御面100Aを下部に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被印字テープに対し所望の印字を行うことにより印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被印字テープに対し所望の印字を行って印字ラベルを作成するラベル作成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このラベル作成装置は、筐体内のロール収納部に、被印字テープをロール状に巻回したロールを、ロールの下側より繰り出されるように回転可能に収納している。そして、このロールから、搬送手段によって被印字テープが繰り出される。被印字テープには、所定の大きさに予め分離されたラベル台紙が剥離紙上に配置されている。ロールから繰り出される被印字テープのラベル台紙に対して印字手段によって所定の印字が行われ、筐体に設けた排出口から筐体外部へと排出される。ユーザは、印字済のラベル台紙を剥離紙から剥がし、ラベル台紙の裏の粘着剤層を用いて適宜の箇所に貼り付け、印字ラベルとして使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−193014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、前述したように、予め分離されたラベル台紙が剥離紙上に配置され、ユーザが印字済のラベル台紙を剥離紙から剥がして使用する態様であった。一方、被印字テープとして、基材テープ層、貼り付け用粘着剤層、及び、貼り付け用粘着剤層を覆う剥離材層を積層した被印字テープが用いられる印字ラベル作成装置も既に知られている。この場合、上記のように予め分離されたラベル台紙のようなものがないため、別途設けた切断手段によってテープの切断が行われる。すなわち、印字済みの被印字テープは、搬送手段によって下流側へと搬送される。所定の切断位置まで被印字テープが搬送されたら、切断手段が当該被印字テープの切断を行うことにより、所望の長さの印字ラベルが生成される。このように切断されて生成された印字ラベルは、筐体に設けた排出口から筐体外部へと排出される。
【0005】
このような印字ラベル作成装置に対し、上記従来技術の構成、すなわちロール収納部にロールとして収納した被印字テープを繰り出して被印字ラベルを作成する構成を、適用することが考えられる。しかしながらこの場合、以下のような問題が新たに生じる。
【0006】
すなわち、上記のように被印字テープを切断して印字ラベルを作成する場合には、切断手段が被印字テープを切断したとき、その切断部位では、基材テープ層、貼り付け用粘着剤層、剥離材層が露出する。したがって、生成された一枚の印字ラベルの両端部(先端部及び後端部)には、貼り付け用粘着剤層の粘着剤が露出することとなる。そして、前述の従来技術のようにロール収納部においてロールの下側から被印字テープが繰り出される構造では、被印字テープが切断されて生成された印字ラベルは、搬送方向に沿って上向きに(言い換えれば後端部から先端部へ向かって上向きに)反った形状となる。その際、印字ラベルが排出口から排出されていくときには、上記のようにして粘着剤が露出した状態の先端部が、筐体の排出口付近の上縁部をこすりながら排出される。これにより、例えば比較的多数の印字ラベルが生成された後の排出口の上縁部近傍には、通過した多数の印字ラベルから剥がれた粘着剤が蓄積し付着する可能性がある。この結果、粘着剤の付着量が特に多くなったときには、排出されるべき印字ラベルの一部が当該粘着剤によって排出口付近に捕捉されてしまい、排出が困難又は不能となる可能性があった。
【0007】
本発明の目的は、ロールとして収納されて繰り出された被印字テープを切断して印字ラベルを生成するときに、作成した印字ラベルを排出口から円滑に排出できる印字ラベル作成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明は、装置外郭を構成する筐体と、基材テープ層、前記基材テープ層を貼り付け対象物に貼り付けるための貼り付け用粘着剤層、及び、前記貼り付け用粘着剤層を覆う剥離材層を備えた被印字テープをロール状に巻回したロールを、当該被印字テープが前記ロールの下側より繰り出されるように収納するロール収納部と、前記ロールより前記被印字テープを繰り出して搬送する搬送手段と、搬送される前記被印字テープに対し印字を行う印字手段と、前記印字手段による印字済みの前記被印字テープが搬送手段により所定の切断位置まで搬送された状態で当該被印字テープを切断することにより、印字ラベルを生成する切断手段と、前記筐体に形成され、前記切断手段により生成された前記印字ラベルを当該筐体の外部に排出するための排出口と、前記排出口の上縁部近傍に下方へ突出するように設けられ、排出される前記印字ラベルを前記排出口へと誘導する誘導部材と、を有し、前記誘導部材は、前記排出口への誘導時における前記印字ラベルの捕捉を抑制するとともに捕捉された場合でも捕捉箇所を2箇所に限定可能な捕捉制御面を下部に備えることを特徴とする。
【0009】
本願発明の印字ラベル作成装置は、ロール収納部と、搬送手段とを備えている。ロール収納部には、被印字テープのロールが収納されており、搬送手段によってロールから被印字テープが繰り出され、搬送される。この搬送される被印字テープに対し印字手段が印字を行う。印字済みの被印字テープは、切断手段の切断位置となるまでさらに搬送手段によって下流側へと搬送される。所定の切断位置まで被印字テープが搬送されたら、切断手段が当該被印字テープの切断を行うことにより、所望の長さの印字ラベルが生成される。その後、生成された印字ラベルは、筐体に設けた排出口へ導かれる。その際、切断前の被印字テープや当該被印字テープの切断後に生成された印字ラベルは、排出口の上縁部近傍に下方に突出して設けられた誘導部材の下部に上方から接触されて誘導される。これにより、印字ラベルを円滑に排出口へと導くことができる。排出口に到達した印字ラベルは、最終的に筐体外部へ排出される。
【0010】
ところで、被印字テープは、生成される印字ラベルを貼り付け対象に貼り付け可能とするために、貼り付け用粘着剤層を備えている。上述のように切断手段が被印字テープを切断したとき、その切断部位では、被印字テープを構成する基材テープ層、貼り付け用粘着剤層、剥離材層が露出する。したがって、生成された一枚の印字ラベルの両端部(先端部及び後端部)には、貼り付け用粘着剤層の粘着剤が露出することとなる。
【0011】
ここで、本願発明においては、ロール収納部から被印字テープが繰り出されるとき、ロールの下側から被印字テープが繰り出されるように構成されている。この場合、被印字テープや被印字テープが切断されて生成された印字ラベルは、搬送方向に沿って上向きに(言い換えれば後端部から先端部へ向かって上向きに)反った形状となる。この場合、上記のように被印字テープや印字ラベルが排出口へと誘導部材により誘導されていくときは、上記のようにして粘着剤が露出した状態の先端部が、上記誘導部材の下部をこすりながら排出される。この結果、例えば比較的多数の印字ラベルが生成された後の誘導部材の下部には、通過した多数の印字ラベルから剥がれた粘着剤が蓄積し付着している可能性がある。この際、仮に誘導部材の下部が単純な平面状(側断面形状でみて直線状)であった場合には、排出されるべき印字ラベルが比較的広い範囲で当該平面状の誘導部材の下部に密着する。その結果、粘着剤の付着量が特に多くなったときには、切断前の被印字テープや印字ラベルが当該粘着剤によって誘導部材の下部に捕捉されてしまい、排出が困難又は不能となる可能性があった。
【0012】
そこで本願発明においては、誘導部材の下部に捕捉制御面を設ける。捕捉制御面の形状としては、例えば側断面形状が円弧状となるような曲面形状とすることができる。このような捕捉制御面を設けることにより、排出口への誘導時における被印字テープや印字ラベルの捕捉を抑制することができる。
【0013】
また、仮に、前述の付着した粘着剤によって印字ラベルが捕捉された場合であっても、上述のような広い範囲で平面的に密着した状態での捕捉ではなく、例えば印字ラベルの先端側1箇所と、後端側1箇所との、合わせて2箇所の捕捉に限定することにより、捕捉から容易に離脱可能となる。すなわち、この2箇所での捕捉状態において、搬送手段によって当該印字ラベルに後続して被印字テープが搬送されてくると、当該被印字テープの先端部が、例えば、上記のように2箇所で捕捉された状態にある印字ラベルの、当該2箇所の間に位置する、印字ラベルの上面と誘導部材の下面との間に潜り込む。これにより、当該潜り込んだ後は、前述のように切断位置へ到達するために継続される被印字テープの搬送に伴って、上記捕捉された印字ラベルは誘導部材の下部への捕捉状態から引き剥がされ、被印字テープと一緒に搬送方向へと移動する。この結果、排出口へ確実に導くことができる。
【0014】
以上のようにして、本願発明においては、印字ラベルを円滑かつ確実に排出口へと導き、排出することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロールとして収納されて繰り出された被印字テープを切断して印字ラベルを生成するときに、作成した印字ラベルを排出口から円滑に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態のラベル作成装置の前方側上方からの外観を示す斜視図である。
【図2】ラベル作成装置の上カバーを開放し、ロールを装着した状態の前方側上方からの外観を示す斜視図である。
【図3】ラベル作成装置の上カバーを開放し、ロールを外した状態の前方側上方からの外観を示す斜視図である。
【図4】ラベル作成装置の全体構造を示す側断面図である。
【図5】フロントパネルの全体構造を背面側から見た斜視図である。
【図6】図5中のC方向からの矢視図である。
【図7】フロントパネルの側面図、及び、図6中A−A断面による横断面図である。
【図8】被印字テープ及び印字ラベルのガイド挙動を説明するための、フロントパネル側面から見た断面図である。
【図9】被印字テープ及び印字ラベルのガイド挙動を説明するための、フロントパネル側面から見た断面図である。
【図10】被印字テープ及び印字ラベルのガイド挙動を説明するための、フロントパネル側面から見た断面図である。
【図11】被印字テープ及び印字ラベルのガイド挙動を説明するための、フロントパネル側面から見た断面図である。
【図12】捕捉制御面の突出高さを異ならせた変形例を説明するための、フロントパネル側面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0018】
まず、図1を用いて、本実施形態のラベル作成装置1の外観を説明する。図1は、ラベル作成装置1の前方側上方からの外観を示す斜視図である。なお、以下の説明において前後左右方向は、図1等の各図中に適宜示す矢印方向を表すものとする。
【0019】
図1において、ラベル作成装置1は、フロントパネル6を備え装置外郭を構成する筐体2と、上カバー5とを有している。これら筐体2及び上カバー5は樹脂製である。上カバー5は、上カバー本体5Aと、略円形状の左右側カバー部材5Bとから構成されている。左右側カバー部材5Bは、上カバー本体5Aの左右にネジ止め等によって固着されている。上カバー本体5Aは、後方端部において筐体2に回動可能に接続されており、これにより上カバー5は筐体2に対し開閉可能な構造となっている。筐体2の左右の両側壁には、上方に押し上げることによって筐体2への上カバー5の係止を解除して、上カバー5を開放可能な状態にする解除つまみ17が設けられている。また筐体2の左右一方の側壁、この例では右側の側壁の前方寄りの上面位置には、ラベル作成装置1の電源ボタン7Aと、後述の図2のロール3より所定の長さ分だけ繰り出された被印字テープ3Aを排出するフィードボタン7Cと、カッターユニット8(後述の図4を参照)による被印字テープ3Aの切断を行わせるカッターボタン7Bとが配置されている。
【0020】
フロントパネル6には、排出口6Aが設けられている。この排出口6Aは、印字済の被印字テープ3Aを切断した印字ラベルL(後述の図9、図12等参照)を筐体2の内部から外部へと排出するためのものである。また上カバー5には、筐体2の内部に収納されたロール3を確認できる透明樹脂製の透明窓5Cが設けられている。
【0021】
次に、ラベル作成装置1の上カバー5を開放し、ロール3を装着した状態及び外した状態の前方側上方からの外観を図2及び図3に示す。なお、これら図2及び図3では煩雑を避けるために上カバー5の図示を省略している。
【0022】
これら図2及び図3に示すように、ラベル作成装置1は、筐体2の内部空間の後方に、凹状のロール収納部4を有している。このロール収納部4は、所定幅の被印字テープ3Aをロール状に巻回したロール3を、被印字テープ3Aがロール下側より繰り出されるように収納する。
【0023】
ロール収納部4は、幅方向右側に固定壁部4Aを有し、ロール3の幅方向一方側(この例では幅方向右側)の端面3Rを固定壁部4Aに接触させた状態でロール3を回転可能に収納する。またロール収納部4には、ロール3の幅方向他方側(この例では幅方向左側)の端面3Lに接触することにより、ロール3から繰り出される被印字テープ3Aの幅方向をガイドするガイド部材20が設けられている。このガイド部材20は、固定壁部4Aに対し、ロール3の幅方向に沿って進退可能に設けられている。これにより、収納したロール3の幅に応じてガイド部材20を進退させ位置を調整することで、任意な幅のロール3に対し、固定壁部4Aとガイド部材20とでロール3を挟み込み、被印字テープ3Aの幅方向をガイドすることができるようになっている。またガイド部材20には、ユーザの操作により、ガイド部材20の進退動作を禁止するロック状態と、ガイド部材20の進退動作を許容するアンロック状態とを切り替え可能な操作部材30が設けられている。
【0024】
図3に示すように、ロール収納部4の底面部には、図示しないプラテンローラ用モータで後述するプラテンローラ66を回転駆動してロール3より被印字テープ3Aを引き出す際に、少なくとも2つのローラがロール3の外周面に接触することにより、従動的に回転してロール3を回転可能に支持する3つのローラ51,52,53が設けられている。これら3つのローラは、ロール3に対する周方向位置がそれぞれ異なっており、前方から後方に向かってロール3の周方向に沿って第1ローラ51、第2ローラ52、及び第3ローラ53の順に配置されている(後述の図4参照)。
【0025】
また、ロール収納部4の前方側には、平坦面40が設けられている。この平坦面40には、図3に示すように、ロール3の幅方向に沿って複数の溝部41が形成されており、上述のガイド部材20の延設部22の先端部下端に設けられた不図示の爪部が上記平坦面40に設けられた溝部41のいずれにも係合可能になっている。これら爪部と溝部41とは、ガイド部材20がロック状態の際には係合し、アンロック状態の際には係合が解除される。ガイド部材20は、図2及び図3に示すように、固定壁部4Aに対し、ロール3の幅方向に沿って進退可能に設けられた本体部材21を備え、上記延設部22は本体部材21に設けられている。
【0026】
図4に示すように、上カバー本体5Aの前端部下側には、ロール収納部4に収納されたロール3より被印字テープ3Aを繰り出し搬送するプラテンローラ66(搬送手段)のローラ軸66Aが、軸方向両端に設けたブラケット65により回転自在に軸支されている。なお、図4ではロール3より繰り出され搬送される被印字テープ3Aの搬送経路を一点鎖線で示している。またローラ軸66Aの一方の軸端には、プラテンローラ66を駆動するギア(図示省略)が固定されている。上カバー5におけるプラテンローラ66の取付位置は、筐体2の印字ヘッド(印字手段)61と対応しており、上カバー5を閉じることによって、上カバー5側に設けられたプラテンローラ66と、筐体2側に設けられた印字ヘッド61とで被印字テープ3Aが挟持され、印字ヘッド61による印字が可能な状態になる。また上カバー5を閉じることによって、プラテンローラ66の上記ギアが筐体2側の図示しないギア列に噛合し、ステッピングモータ等で構成される上記プラテンローラ用モータ(図示省略)によりプラテンローラ66を回転駆動して、被印字テープ3Aの搬送が可能になる。
【0027】
印字ヘッド61は、その中間部を軸支されると共に、バネ部材64により上方に付勢された支持部材62の一端に固定されている。一方、プラテンローラ66は前述のように上カバー5に取り付けられている。よって、解除つまみ17によって上カバー5を開放状態にすると印字ヘッド61はプラテンローラ66から離間した状態となり、上カバー5を閉じることによって、バネ部材64の付勢力により印字ヘッド61は被印字テープ3Aをプラテンローラ66に押圧付勢し印字可能な状態となる。
【0028】
さらに、印字ヘッド61のテープ搬送方向下流側には、上記カッターユニット8(切断手段)が設けられている。カッターユニット8は、被印字テープ3Aの長手方向と略直交する切断方向(図4中下から上方向)に切断用モータ(図示省略)によって移動可能に配置された正面視V字形の可動刃47と、この可動刃47に対向配置された固定刃46とを備えている。
【0029】
被印字テープ3Aは、図4中部分拡大図に示すように、この例では3層構造となっており、図4中下側から上側へ向かって、自己発色性を有する感熱層3a(基材テープ層)、粘着層3b(貼り付け用粘着剤層)、剥離紙3c(剥離材層)の順で積層されている。そして、感熱層3aは、上記粘着層3bの粘着力により剥離紙3cの一方側の面に接着されている。印字が完了した被印字テープ3Aがカッターユニット8により切断されて生成された印字ラベルLは、最終的に剥離紙3cより剥がされることで所定の商品等に貼り付けられる。
【0030】
なお、ロール3は、上記感熱層3aが径方向外側となるように、被印字テープ3Aがロール状に巻回されて構成されている。その結果、図4に示すように、被印字テープ3Aは印字面である感熱層3aを下方とした状態でロール3の下側から繰り出され、被印字テープ3Aの下側に配置された印字ヘッド61によって印字されるようになっている。
【0031】
上記構成のラベル作成装置1では、上カバー5を閉じ、その後、プラテン用モータによりプラテンローラ66が回転駆動されると、被印字テープ3Aが引っ張られる。これにより、ロール3の幅方向他方側(左側)の端面3Lに接触するガイド部材20により幅方向をガイドされつつ、被印字テープ3Aがロール3から繰り出される。ロール3より繰り出された被印字テープ3Aは、ロール収納部4と前述の平坦面40との間に形成された、曲面状の壁面である曲壁面42と接触することにより、搬送経路を水平側に屈曲される。そして、平坦面40上に載置されたガイド部材20の延設部22により幅方向をガイドされつつ搬送され、その下流側に設けられた支持ローラ43によって、搬送経路を下向きに屈曲される。この支持ローラ43は、被印字テープ3Aの搬送経路が最も高位置となる部分に設けられており、従動的に回転することにより被印字テープ3Aを支持するローラである。
【0032】
その後、被印字テープ3Aは、支持ローラ43と、プラテンローラ66及び印字ヘッド61との間に形成された、壁面が屈曲した部分である屈曲部44と接触することにより、搬送経路をさらに下向きに屈曲され、プラテンローラ66と印字ヘッド61との接触位置まで搬送される。このとき、印字ヘッド61が駆動制御されることによって、被印字テープ3A上を構成する上記感熱層3aの印刷面に所定の印字が行われる。その後、被印字テープ3Aが排出口6Aからフロントパネル6上に排出される。そして、被印字テープ3Aがカッターユニット8から所定長延出された時点で、ユーザがカッターボタン7Bを操作することによって、被印字テープ3Aがカッターユニット8により切断され、印字ラベルLが生成される。生成された印字ラベルLは落下し、装置から分離される。ユーザはこの印字ラベルLの剥離紙3cを剥がすことにより粘着層3bを露出させ、所望の部位に貼り付けて使用する。
【0033】
上記したラベル作成装置1の構成において、本実施形態の最大の特徴は、フロントパネル6の排出口6Aの構成にある。以下、その詳細を、図5乃至図7を用いて順を追って説明する。
【0034】
<フロントパネルの詳細構造>
図5〜図7に示すように、フロントパネル6の排出口6Aの近傍には、被印字テープ3Aの排出方向に沿った向きに面方向が揃えられた複数のガイド用リブ(誘導部材)100が、テープ幅方向に(この例では等間隔に)並んで配列されている。各ガイド用リブ100は略三角形の側面形状を有しており、排出口6Aの上縁部6a(図7(b)参照)近傍に当該上縁部6aから下方へ(フロントパネル6の内側へ)と突出するように設けられている。これら各ガイド用リブ100は、被印字テープ3Aの印字済みでかつ切断済みとなった印字ラベルLを排出口6Aへと誘導するためのものである。
【0035】
そして、それら複数個のガイド用リブ100は、排出口6Aへの誘導時における印字ラベルLの捕捉を抑制することができるよう、その下部に捕捉制御面100Aが設けられている。この場合、複数のガイド用リブ100それぞれに備えられた捕捉制御面100Aの印字ラベルL側への突出高さは、互いに同一となっている。また、ガイド用リブ100は、捕捉制御面100Aの排出口6A側の先端部の高さ方向位置HA(後述の図8(d)参照)が、カッターユニット8によるテープ切断位置の高さ方向位置HB(後述の図8(d)参照)よりも高くなるように、構成されている。
【0036】
この捕捉制御面100Aの形状は、この例では、側断面形状が円弧状となるような曲面形状となっている。これにより、仮に、前述の付着した粘着剤によって印字ラベルLがガイド用リブ100に捕捉される場合であっても、広い範囲で平面的に密着した状態での捕捉ではなく、例えば印字ラベルLの先端側1箇所と、後端側1箇所との、合わせて2箇所の捕捉に限定することにより、捕捉から容易に離脱可能となるようにしている。
【0037】
また、捕捉制御面100Aは、排出口6Aの上縁部6aへ向かう印字ラベルLの排出方向に沿って突出高さpが徐々に減少し、排出口6Aの上縁部6aの位置においてはその突出高さpが略0となるように構成されている(図7(b)参照)。
【0038】
なお、フロントパネル6の上側には、当該フロントパネル6を筐体2のフロント側上部に係止して装着するための左右一対のフック部101が設けられている。また、フロントパネル6の下側には、当該フロントパネル6を筐体2のフロント側下部に内嵌挿等によって装着するための支持筒部102が設けられている。
【0039】
<捕捉制御面による捕捉動作>
上記構成の捕捉制御面100Aは、排出口6Aへの誘導時における印字ラベルLの捕捉を抑制する機能を果たすとともに、仮に捕捉したとしても確実に引きはがして排出口6Aへ誘導する機能を果たす。この機能を、図8〜図11により説明する。
【0040】
印字ラベル作成指示により、印字ラベルLの作成が開始されると、前述したようにして、ロール収納部4に収納されたロール3より繰り出された被印字テープ3Aに対し印字ヘッド61で印字が行われる。その後、図8(a)に示すように、プラテンローラ66によって被印字テープ3Aの先端部Pがプラテンローラ66よりも下流側に搬送されてくる。
【0041】
その後、搬送が進むと、図8(b)に示すように、被印字テープ3Aの先端部Pがガイド用リブ100の捕捉制御面100Aに到達し、さらにその後、図8(c)に示すように先端部Pが曲面形状の捕捉制御面100Aに倣ってガイドされつつ、排出口6Aの上縁部6aへとスライドする。このとき、前述したように、本実施形態では、ロール収納部4から被印字テープ3Aが繰り出されるとき、ロールの下側から被印字テープ3Aが繰り出されるように構成されている。この結果、被印字テープ3Aは、搬送方向に沿って上向きに(言い換えれば先端部Pが上向きとなるように)反った形状となる(被印字テープ3Aを切断して生成される印字ラベルLについても同様)。これにより、被印字テープ3Aが上記のように排出口6Aから排出されていくとき、先端部Pが捕捉制御面100Aをこすりながら排出される。
【0042】
ここで、被印字テープ3Aは、前述のように粘着層3bを備えているが、その先端部Pは、前回カッターユニット8が被印字テープ3Aを切断したときの切断部位である。この結果、先端部Pには、被印字テープ3Aを構成する感熱層3a、粘着層3b、及び剥離紙3cが露出している。すなわち、上記のように下流側に搬送されてきたとき、被印字テープ3Aの先端部Pには、粘着層3bの粘着剤が露出した状態である。
【0043】
この結果、比較的多数の印字ラベルLが生成されて、上記図8(b)および図8(c)のように被印字テープ3Aの先端部Pが捕捉制御面100Aをこすりながら排出されることが繰り返された場合に、当該捕捉制御面100Aには、通過した多数の印字ラベルLから剥がれた粘着剤が蓄積し付着している可能性がある。すなわち、仮にガイド用リブ100の下部が単純な平面状(側断面形状でみて直線状)であった場合には、排出されるべき被印字テープ3A(切断後の印字ラベルLも同様)が比較的広い範囲で当該ガイド用リブ100の平面状の下部に密着する可能性がある。その場合、粘着剤の付着量が特に多くなったときには、被印字テープ3A又は印字ラベルLが当該粘着剤によってガイド用リブ100の下部に捕捉されてしまい、排出が困難又は不能となる可能性がある。
【0044】
そこで本実施形態においては、上記したように、この捕捉制御面100Aの形状を側断面形状が円弧状となるような曲面形状としている。これにより、上記図8(a)及び図8(b)に示すように、被印字テープ3Aの先端部Pと捕捉制御面100Aとが比較的狭い面積でのみ接触するようにし、かつ、曲面形状によって排出口6Aの上縁部6aへとスライドさせ、円滑に排出口6Aへと導き、さらに排出口6A外へと誘導することができる。
【0045】
上記のようにして印字ラベル3Aの先端部Pが排出口6Aの外へと導かれ、被印字テープ3Aが所定の切断位置まで搬送された状態になると、図8(d)に示すように、当該被印字テープ3Aはカッターユニット8によって切断され、被印字テープ3Aの他の部分と切り離された印字ラベルLとなる。このようにして生成された印字ラベルLは、図9に示すように、排出口6Aから最終的に筐体2外部へ排出される。
【0046】
ところで、上述したように捕捉制御面100Aによって被印字テープ3Aや印字ラベルLの捕捉が抑制されるのであるが、場合によっては、上記図8(d)のようにして切断により生成された印字ラベルLが、何かのきっかけで前述の付着した粘着剤によって捕捉制御面100Aに捕捉される場合も考えられなくもない。以下、このような場合における捕捉制御面100Aの作用を説明する。
【0047】
すなわち、上記のようにして仮に印字ラベルLが捕捉制御面100A捕捉される場合を想定した場合であっても、前述した広い範囲で平面的に密着した状態での捕捉とはならない。すなわち、図10(a)に示すように、捕捉制御面100Aの曲面形状により、例えば印字ラベルLの先端側1箇所の捕捉部位xと、後端側1箇所の捕捉部位yとの、合わせて2箇所の捕捉に限定される。
【0048】
このようにして捕捉部位x,yの2箇所により印字ラベルLが捕捉された状態で、再度の印字ラベル作成指示により、次の印字ラベルLの作成が開始されると、前述と同様、印字ヘッド61により被印字テープ3Aに対して印字が行われ、プラテンローラ66によって印字後の被印字テープ3A(以下適宜、後続の被印字テープ3Aという)の先端部Pが下流側に搬送されてくる(図10(b)参照)。
【0049】
その後、プラテンローラ66により後続の被印字テープ3Aの搬送が進むが、この後続の被印字テープ3Aも前述した理由により搬送方向に沿って上向きに反っている。したがって、前述と同様、後続の被印字テープ3Aの先端部Pは捕捉制御面100Aに向かって進んだ後に捕捉制御面100Aに突き当たり(図10(c)参照)、その後、捕捉制御面100Aの曲面形状に倣って排出口6A側に向けてスライドする。
【0050】
その際、図10(d)に示すように、当該被印字テープLの先端部Pは、上記のように2箇所(捕捉部位x,y)で捕捉された状態にある印字ラベルLの、当該捕捉部位x,yの間に位置する、印字ラベルLの上面とガイド用リブ100の捕捉制御面100Aとの間に潜り込むようにして進む。
【0051】
この潜り込みにより、その後に継続される後続の被印字テープ3Aの搬送に伴って、後続の被印字テープ3Aの先端部Pは、上縁部6aに捕捉されている先行の印字ラベルLを上記の捕捉状態から引き剥がすとともに、先行の印字ラベルLの後端部Qを押し出す。これにより、捕捉されていた印字ラベルLは、後続の被印字テープ3Aと一緒に搬送方向へと移動し、最終的に、捕捉された状態から解放され、排出口6Aの前方に落下し排出される(図11参照)。
【0052】
以上説明したように、本実施形態では、捕捉制御面100Aの形状を側断面形状が円弧状となるような曲面形状とすることにより、排出口6Aへの誘導時における被印字テープ3Aや印字ラベルLの捕捉を抑制することができる。また、仮に、前述の付着した粘着剤によって印字ラベルLが捕捉制御面100Aに捕捉される場合であっても、広い範囲で平面的に密着した状態での捕捉ではなく、捕捉部位x,y2箇所の捕捉に限定される。したがって、後続の被印字テープ3Aの引き剥がし及び押し出しによって捕捉から容易に離脱可能となる。以上のようにして、本実施形態によれば、印字ラベルLを円滑かつ確実に排出口6Aへと導き、排出することができる。
【0053】
また、本実施形態では特に、捕捉制御面100Aは、排出口6Aの上縁部6aへ向かう被印字テープ3Aや印字ラベルLの排出方向に沿って、突出高さpが徐々に減少している。これにより、被印字テープ3Aや印字ラベルLの排出口6Aへの滑らかな誘導機能を確保しつつも、排出口6Aにおける被印字テープ3Aや印字ラベルLの排出動作をなるべく妨げないようにすることができる。特に、捕捉制御面100Aは、排出口6Aの上縁部6aの位置においては突出高さpが略0となるように構成されている。これにより、排出口6Aにおける被印字テープ3Aや印字ラベルLの排出動作を確実に円滑に行うことができる。
【0054】
また、本実施形態では特に、複数のガイド用リブ100に備えられた捕捉制御面100Aの被印字テープ3Aや印字ラベルL側への突出高さは、互いに同一となっている(図5参照)。すなわち、幅方向における複数のガイド用リブ100の捕捉制御面100Aの高さを揃えている。これにより、製造や組み立てを容易化できるとともに、被印字テープ3Aや印字ラベルLのひっかかりを抑制しさらに円滑かつ迅速に排出口6Aへと導くことができる。
【0055】
また、本実施形態では特に、ガイド用リブ100は、捕捉制御面100Aの排出口6A側の先端部の高さ方向位置HAが、カッターユニット8によるテープ切断位置の高さ方向位置HBよりも高くなるように、構成されている。これにより、前述のように上向きに反った状態で導かれてくる被印字テープ3Aや印字ラベルLの、持ち上がった先端部Pを確実に捕捉制御面100Aで接触し、確実に排出口6Aへと誘導することができる。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下そのような変形例を説明する。
【0057】
(1)ガイド用リブの捕捉制御面の突出高さを異ならせる場合
すなわち、例えば図12に示すように、印字ラベルLの幅方向に沿って複数個が配設されたガイド用リブ100において、当該複数のガイド用リブ100のうち、一部の(この例では幅方向の中央側に位置する)ガイド用リブ100′に備えられた捕捉制御面100Aの印字ラベルL側への突出高さを、それ以外のガイド用リブ100に備えられた捕捉制御面100A′の印字ラベルL側への突出高さよりも、大きくする場合である。
【0058】
このように、本変形例では、幅方向における複数のガイド用リブ100の捕捉制御面100Aの高さを揃えず、中央側のガイド用リブ100′の捕捉制御面100A′の突出高さを大きくしている。これにより、印字ラベルLが前述のようにしてガイド用リブ100,100′の捕捉制御面100A,100A′に仮に捕捉されたとしても、印字ラベルLの幅方向中央部が窪んだ状態での捕捉となり、より浮き上がりやすく引き剥がされやすい態様とすることができる。
【0059】
(2)その他
ガイド用リブ100(又は100′)は、前述のように略三角形の側面形状を有するほかに、排出口6Aの上縁部6aへ向かって突出高さが徐々に減少するような、略三角形の側断面形状を備えた例えば三角錐状等の突起構造であっても良い。
【0060】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0061】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0062】
1 ラベル作成装置(印字ラベル作成装置)
3 ロール
3A 被印字テープ
4 ロール収納部
6 フロントパネル
6A 排出口
6a 上縁部
8 カッターユニット(切断手段)
61 印字ヘッド(印字手段)
66 プラテンローラ(搬送手段)
100 ガイド用リブ(誘導部材)
100′ ガイド用リブ(誘導部材)
100A 捕捉制御面
100A′ 捕捉制御面
L 印字ラベル
P 先端部
Q 後端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置外郭を構成する筐体と、
基材テープ層、前記基材テープ層を貼り付け対象物に貼り付けるための貼り付け用粘着剤層、及び、前記貼り付け用粘着剤層を覆う剥離材層を備えた被印字テープをロール状に巻回したロールを、当該被印字テープが前記ロールの下側より繰り出されるように収納するロール収納部と、
前記ロールより前記被印字テープを繰り出して搬送する搬送手段と、
搬送される前記被印字テープに対し印字を行う印字手段と、
前記印字手段による印字済みの前記被印字テープが搬送手段により所定の切断位置まで搬送された状態で当該被印字テープを切断することにより、印字ラベルを生成する切断手段と、
前記筐体に形成され、前記切断手段により生成された前記印字ラベルを当該筐体の外部に排出するための排出口と、
前記排出口の上縁部近傍に下方へ突出するように設けられ、排出される前記印字ラベルを前記排出口へと誘導する誘導部材と、
を有し、
前記誘導部材は、
前記排出口への誘導時における前記印字ラベルの捕捉を抑制するとともに捕捉された場合でも捕捉箇所を2箇所に限定可能な捕捉制御面を下部に備える
ることを特徴とする印字ラベル作成装置。
【請求項2】
請求項1記載の印字ラベル作成装置において、
前記誘導部材は、
前記排出口の前記上縁部へ向かう前記印字ラベルの排出方向に沿って突出高さが徐々に減少するような、略三角形の側面形状又は側断面形状を備えている
ことを特徴とする印字ラベル作成装置。
【請求項3】
請求項2記載の印字ラベル作成装置において、
前記誘導部材は、
前記排出口の前記上縁部における突出高さが略0である
ことを特徴とする印字ラベル作成装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の印字ラベル作成装置において、
前記誘導部材は、
前記印字ラベルの幅方向に沿って複数個が配設されており
当該複数の誘導部材に備えられた前記捕捉制御面の前記印字ラベル側への突出高さは、互いに同一となっている
ことを特徴とする印字ラベル作成装置。
【請求項5】
請求項2又は請求項3記載の印字ラベル作成装置において、
前記誘導部材は、
前記印字ラベルの幅方向に沿って複数個が配設されており
当該複数の誘導部材のうち、前記幅方向の中央側に位置する前記誘導部材に備えられた前記捕捉制御面の前記印字ラベル側への突出高さが、前記幅方向の両端側に位置する前記誘導部材に備えられた前記捕捉制御面の前記印字ラベル側への突出高さよりも、大きくなっている
ことを特徴とする印字ラベル作成装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれか1項記載の印字ラベル作成装置において、
前記誘導部材は、前記捕捉制御面の前記排出口側の先端部の高さ方向位置が、前記切断手段によるテープ切断位置の高さ方向位置よりも高くなるように、構成されている
ことを特徴とする印字ラベル作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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