説明

印字装置、印字方法、印字制御プログラム

【課題】 ラベルを作成する印字装置において、印字テープの接着剤を熱又は光により硬化させ、粘着力を低下させることにより、切断を容易、且つ、カッターの切断力の持続を可能とした印字装置と、該印字装置においてラベルを作成する印字方法と、ラベルを作成する印字方法を印字装置に実現させるための印字制御プログラムと、を提供する。
【解決手段】 印字装置は、印字面での裏面側に熱(光)硬化型接着剤31cを有する印字テープであるテープ部材31に印字してラベルを作成する印字装置であって、印字テープに印字する印字部であるサーマルヘッド11と、テープ搬送部と、印字テープを切断する切断部と、切断部の内側に配置されて印字テープを加熱(光照射)する加熱(照射)部であるヒータ(光源)12aと、印字部による印字テープへの印字終了時に接着性低下部を作動させる接着性低下制御部であるヒータ(光源)駆動回路54と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字テープのカットの信頼性を高めてラベルを作成する印字装置と、該印字装置においてラベルを作成する印字方法と、この印字装置にラベルを作成させる印字方法を実現させるための印字制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テープ部材を収納したテープカセットを装置内にセットし、そのテープ部材の印刷テープ層に対して、キーボード等の入力部から入力された或いは他の機器から出力された文字等を任意に印字することで、固有のラベルを作成できる装置として印字装置がある。
【0003】
このような印字装置として、下記に示す本願出願人により出願された特許文献1には、切断機構を作動させた後に自動で可動刃を復帰させることができる可動刃復帰機構を備えることにより小型で軽量な印字装置が開示されている。
【0004】
この印字装置は、テープ部材に印字を行う印字機構と、搬送用モータによって動作する搬送機構と、可動刃を固定刃に向けて手動で移動させることでテープ部材を切断する切断機構と、可動刃が切断位置にいることを検出する可動刃切断位置検出スイッチと、切断位置に移動した可動刃をカッター操作部とともに初期位置に復帰させる可動刃復帰機構と、可動刃切断位置検出スイッチがオンとなった場合に搬送用モータを反転駆動させる制御部と、を備え、搬送用モータの正転駆動時には切断機構に動力を伝達し、搬送用モータの反転駆動時には可動刃復帰機構に動力を伝達する動力伝達機構を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−62986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1の印字装置は、印字テープをカットして印字装置から取り出すことを繰り返し行うと、カッターの刃に印字テープの接着剤が付着してしまい、カッターの切断力を持続させることが困難であった。
【0007】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、ラベルを作成する印字装置において、印字テープの接着剤を熱により硬化させ、カッターの切断力の持続を可能として保守を容易にする印字装置と、該印字装置においてラベルを作成する印字方法と、ラベルを作成する印字方法を印字装置に実現させるための印字制御プログラムと、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る印字装置は、接着剤を有する印字テープに印字する印字部と、前記印字テープを搬送するテープ搬送部と、前記印字テープを切断する切断部と、前記切断部の内側に配置されて前記印字テープの前記接着剤の接着性を低下させる接着性低下部と、前記印字部による前記印字テープへの印字終了時に前記接着性低下部を作動させる接着性低下制御部とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る印字装置の印字方法は、印字部により接着剤を有する印字テープに印字する印字処理と、テープ搬送部により前記印字テープを搬送するテープ搬送処理と、
切断部により前記印字テープを切断する切断処理と、前記切断部の内側に配置されて前記印字テープの前記接着剤の接着性を低下させる接着性低下処理を前記印字部による前記印字テープへの印字終了時に行い、前記切断処理は、前記接着性低下処理が行われた位置で前記印字テープの切断を行うことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明に係る印字装置の印字制御プログラムは、印字部により接着剤を有する印字テープに印字する印字処理と、テープ搬送部により前記印字テープを搬送するテープ搬送処理と、切断部により前記印字テープを切断する切断処理と、前記切断部の内側に配置されて前記印字テープの前記接着剤の接着性を低下させる接着性低下処理を前記印字部による前記印字テープへの印字終了時に行い、前記切断処理は、前記接着性低下処理が行われた位置で前記印字テープの切断を行う処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ラベルを作成する印字装置において、印字テープの接着剤を熱又は光により硬化させ、粘着力を低下させることにより、切断を容易、且つ、カッターの切断力の持続を可能として保守を容易にする印字装置と、該印字装置においてラベルを作成する印字方法と、ラベルを作成する印字方法を印字装置に実現させるための印字制御プログラムと、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る印字装置の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る印字装置の内部拡大図及びテープカセットの斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る印字装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る印字装置によるラベルを作成する流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る印字装置によるラベルを作成する流れの一例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る印字装置によるラベルを作成する流れの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る印字装置によるラベルを作成する流れの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る印字装置によるラベルを作成する流れの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る印字装置によるラベルを作成する流れの一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る印字装置によるラベルを作成する流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の実施形態に係る印字装置1の平面図であり、図2は、この印字装置1に使用するテープカセット21の外観及び印字装置1の内部構造の一部を示す斜視図である。印字装置1は、表面に印字面を備え裏面が熱硬化型接着剤による粘着面とされた印刷テープ層と、粘着面に貼付される剥離テープ層と、が積層されて形成されたテープ部材31に文字等を印字する装置である。
【0014】
印字装置1は、図1に示すように、筐体2の上面に液晶表示装置から構成されてソフトウェアキーボード機能により仮想のキーボードを表示するタッチパネル表示部3を備える。また、タッチパネル表示部3には、文字入力装置として液晶表示装置の表示画面の上面に透明な加圧スイッチであるタッチパネル入力部4が重ねて配設されている。
【0015】
そして、タッチパネル表示部3の表示画面には、アルファベット文字キー、数字キー、記号キー等の文字・記号入力キー(以下、これら総じて文字キーと呼称)や、漢字への変換キー、無変換キー及び実行キー等々の制御キーを備える仮想のキーボードを表示するキーボード領域3a及びそのキーボード領域3aから入力された文字を表示する文字編集領域3bが設けられる。キーボード領域3aは、タッチパネル入力部4の各キーを画像として表示するとともに、タッチパネル入力部4として表示画面上に表示される各キーの位置を押圧することにより、各キーの座標位置のデータを入力するようになっており、これらタッチパネル表示部3とタッチパネル入力部4からソフトウェアキーボードを構成する。
【0016】
そして、テープカセット21を装填させるために装置の背面に用意される開閉蓋の内側には、図2に示すように、テープ部材31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部8が形成されている。カセット装填部8内には、テープ印字機構45と、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受部15と、が形成されている。
【0017】
このテープ印字機構45は、縦方向に配列された印字素子と、印字ヘッドとされるサーマルヘッド11と、サーマルヘッド11との間でテープ部材31及びインクリボン35を挟み込んでこれを搬送するプラテンローラ12と、印字に使用したインクリボン35をテープカセット21内に巻取るリボン巻取軸と、を備える。
【0018】
このプラテンローラ12には、中心近傍に印字テープの接着剤を硬化させ接着性を低下させるための接着性低下部としての加熱装置であるヒータが内蔵されており、ヒータを後述するヒータ駆動回路により通電することによって数秒で100℃程度に加熱されて、印字テープを接して搬送させるプラテンローラ12を急速に加熱させて、印字テープの熱硬化型接着剤を硬化させる。熱硬化性接着剤の例としては、例えばエポキシ系の接着剤が用いられ、硬化温度としては80℃付近の比較的低温で硬化するものを用いるのが、消費電力を少なくする上で好ましい。
【0019】
なお、ヒータ12aは、プラテンローラ12内に配置されることに限定されず、例えば、切断箇所の手前であって、印字テープの所定箇所がヒータに到達したことを検出可能とする構成とすればよい。
【0020】
また、カセット装填部8の一端部に筐体2の外に通じるテープ繰出部7が形成されており、このテープ繰出部7には、テープ部材31の印刷テープ層及び剥離テープ層を幅方向に切断するフルカット部としてのフルカット機構17と、テープ部材31の印刷テープ層のみを切断するハーフカット部としてのハーフカット機構18が組み込まれている。
【0021】
さらに、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、テープ部材31が巻装されたテープコア23、未使用のインクリボン35が巻装されたリボン供給コア24、使用済みのインクリボン35を巻取るリボン巻取コア25が夫々収納されている。また、テープカセット21のカセットケース22には、カセット装填部8内にテープカセット21を装填した場合にサーマルヘッド11が位置するヘッド配置部27が形成されている。
【0022】
また、カセットケース22の隅部には、カセット装填部8のカセット受部15と係合し、このカセット受部15によって支持される被係合部29が形成されている。そして、このカセットケース22の被係合部29には、図示しないがテープカセット21の種類に応じた所定の凹凸が形成されており、カセット装填部8のカセット受部15には、テープカセット21が装填された場合にカセットケース22の被係合部29に形成された凹凸を判別するテープ幅検出スイッチ16が形成されている。
【0023】
そして、印字装置1は、カセットケース22がカセット装填部8に装填されると、カセットケース22の被係合部29とカセット装填部8のカセット受部15に形成されたテープ幅検出スイッチ16の幾つか或いは全部が係合し、係合したテープ幅検出スイッチ16が押下されて、このオン状態となったテープ幅検出スイッチ16の組み合わせによってテープ部材31のテープ幅等の種類を判別できるようになっている。
【0024】
つまり、この印字装置1は、テープカセット21の種類が内蔵するテープ部材31の幅等によって異なるため、このテープカセット21の種類を判別することによって、印字対象物であるテープ部材31の幅等を識別することができ、制御部40がテープ幅に適合した印字データを作成することができるようになっている。
【0025】
この印字装置1は、印字の指示がされると、テープ部材31及びインクリボン35がテープカセット21から繰り出され、プラテンローラ12とサーマルヘッド11との間にこれらのテープ部材31及びインクリボン35が重ね合わされた状態で挟み込まれて搬送される。
【0026】
そして、サーマルヘッド11が印字データに基づいて発熱駆動され、インクリボン35のインクがテープ部材31の印刷テープ層に熱転写されて印刷テープ層に印字が行われ、印字が終了して、切断位置がプラテンローラ12とサーマルヘッド11との間にくると搬送を停止させ、後述するプラテンローラ12内のヒータ12aを加熱して、印刷テープ層の裏面の熱硬化型接着剤を暖めて硬化させ、次に暖めた熱硬化型接着剤を自然冷却させた後、設定によりフルカット機構17又はハーフカット機構18が作動してテープ部材31が幅方向に切断され、1枚のテープ状のラベルを作成する。
【0027】
次に、印字装置1の回路構成について述べる。この印字装置1は、図3に示すように、制御部40を備える。そして、この制御部40には、記憶部としてのROM41及びRAM42が接続されている。また、制御部40には、使用者のキー操作を受けて文字データやフォントサイズ等を入力する入力部としてタッチパネル入力部4が接続されている。そして、制御部40には、入力された情報などの種々の情報を表示する表示部であるタッチパネル表示部3を駆動させるタッチパネル表示部駆動回路63が接続されている。
【0028】
さらに、制御部40には、サーマルヘッド11を駆動するヘッド駆動回路51と、テープ搬送部であるステッピングモータからなる搬送用モータ46を駆動する搬送用モータ駆動回路52と、カッターモータ48を駆動するカッターモータ駆動回路53と、が接続されている。
【0029】
また、制御部40には、加熱部であるプラテンローラ12内に内蔵される加熱装置であるヒータ12aを駆動するヒータ駆動回路54が接続されている。
【0030】
制御部40は、CPUであって、タッチパネル入力部4からのキー入力信号、又は、自動でROM41に予め記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラムなどを起動させ、RAM42をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0031】
ROM41には、設定された文字列データ等を表示し印字するためのプログラムや印刷フォント、塗り潰しに使用される斜線や網目、ドット模様等が記憶され、制御部40で読み取り可能なプログラムが記憶された記録媒体としても機能する。
【0032】
そして、ROM41は、表示用のフォントのパターンデータを記憶する表示用CG(キャラクタージェネレータ)41aを有する。また、ROM41は、印字用のパターンデータを記憶する印字用CG(キャラクタージェネレータ)41bを有する。
【0033】
RAM42には、入力された印刷情報が展開された印刷パターンデータが記憶される印字データメモリ領域42aやタッチパネル表示部3に表示させるパターンデータが記憶される表示データメモリ領域42bなどが確保されており、印字処理などに必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタ等も含めたワークエリア42cの領域も設けられている。
【0034】
ヘッド駆動回路51は、印刷情報や書式設定の情報に従って印字部であるサーマルヘッド11を制御し、テープ部材31に印刷を実行させる。搬送用モータ駆動回路52は、テープ搬送部を駆動させる回路であって、テープ搬送部であるプラテンローラ12やリボン巻取軸を回転させるステッピングモータ等の搬送用モータ46を制御し、所定の速度で長手方向にテープ部材31を搬送する。カッターモータ駆動回路53は、フルカット部及びハーフカット部等の切断部を制御する駆動回路であり、フルカット機構17で使用されるカッターモータ48としてのステッピングモータやハーフカット機構18で使用されるカッターモータ48としてのDCモータ等を制御する。
【0035】
さらに、制御部40は、テープ搬送部を制御する搬送制御部であって、印字部による印字テープへの印字終了後、テープ搬送部により印字終了端部からラベル余白を設けた印字テープ位置を加熱部の位置まで印字テープを搬送させ、且つ、加熱装置を制御する接着性低下制御部としての加熱制御部に対して作動開始信号を出力する。
【0036】
そして、制御部40は、搬送制御部として、加熱制御部に対して作動開始信号を出力すると、テープ搬送部を制御して印字テープの搬送を一時停止させる。
【0037】
また、制御部40は、加熱制御部としてのヒータ駆動回路54を駆動させて、印字部による印字テープへの印字終了時に加熱装置であるヒータ12aを所定時間、通電して作動させて加熱させる。
【0038】
そのとき、制御部40は、搬送制御部として、加熱制御部による加熱装置であるヒータ12aを通電して加熱させる作動時間よりも僅かに長い時間だけ、印字テープの搬送を停止させる。
【0039】
また、制御部40は、搬送制御部として、加熱制御部により所定時間加熱させたヒータ12aを自然冷却させるためにヒータ12aへの通電を停止させる。
【0040】
そして、制御部40は、搬送制御部として、所定時間印字テープを停止させた後、加熱部であるプラテンローラ12の位置から、切断部であるフルカット機構17の位置までの距離に等しい長さだけ印字テープを搬送させる。
【0041】
このようにして、印字装置1は、制御部40がヘッド駆動回路51、搬送用モータ駆動回路52、カッターモータ駆動回路53、及び、ヒータ駆動回路54等を制御することにより、文字列をテープ部材31に印字し、そのテープ部材31を所定位置で切断することでラベルを作成することができる。
【0042】
また、本実施形態の印字装置1は、制御部40が、テープ部材31の切断箇所における印字テープ裏面の熱硬化型接着剤をヒータで温めて硬化させることにより、カッターの刃に熱硬化型接着剤が付着するを抑止させて、切断を容易、且つ、カッターの切断力の持続を可能として保守を容易とするとともに、例えば、剥離テープ層を有するテープ部材31の熱硬化型接着剤を硬化させることにより印字テープであるテープ部材31の剥離テープ層を剥離しやすくすることができる。
【0043】
ここで、本発明の実施形態における印字装置1でラベルを作成する流れについて図を用いて詳細に説明する。図4は、ラベルを作成する流れを示すフローチャートである。図5乃至図10は、ラベルを作成する流れの一例を示す図である。
【0044】
先ず、ユーザにより印字装置1をラベル作成モードとされて印字開始を実行されると、制御部40は、印字部を制御して図5に示すようにテープ部材31の印刷テープ層31aに印字を開始する。そして、制御部40は、所定の印字処理を完了させたか否かを判定する印字処理終了判定(ステップS10)を行う。制御部40は、印字処理が途中であれば、印字処理を継続し、印字処理が終了すれば、図6に示すようにテープ部材31を搬送させる。
【0045】
次に、制御部40は、搬送制御部を制御して、テープ部材31の切断箇所でテープ搬送部であるプラテンローラ12を停止させるテープ搬送処理(ステップS20)を実行する。
【0046】
次に、制御部40は、加熱制御部として、図6に示したように、ヒータ駆動回路54を制御して加熱装置であるヒータ12aを所定時間加熱させてテープ部材31の切断箇所を暖めて、印刷テープ層31aの裏面の熱硬化型接着剤31cを硬化させる加熱処理(ステップS30)を実行する。
【0047】
そして、制御部40は、所定時間、印刷テープ層31aの裏面の熱硬化型接着剤31cを暖めて硬化させると、硬化した熱硬化型接着剤31cを安定化させるために、加熱制御部として、図7に示すようにヒータ駆動回路54を制御して通電を停止させてヒータ12aの加熱を止めて、ヒータ12aを自然冷却させる。
【0048】
制御部40は、タイマー割り込み等の機能を用いて、硬化した熱硬化型接着剤31cを安定化させるためにヒータ12aを所定時間、自然冷却させるためにテープ搬送の停止を持続させる所定時間経過(ステップS50)の処理を行う。
【0049】
所定時間経過(ステップS50)の処理において、自然冷却のための所定時間が経過したときには、ステップS60に進み、所定時間が経過していないときには、所定時間経過(ステップS50)の処理に戻って、所定時間の経過を待つ。
【0050】
硬化した熱硬化型接着剤31cにおいて、自然冷却のための所定時間が経過したときには、制御部40は、搬送制御部を制御して、図8に示すようにテープ部材31をフルカット機構17によるカッターからなる切断部の位置まで搬送させるテープ搬送処理(ステップS60)を実行する。
【0051】
そして、制御部40は、搬送制御部を制御して、図9に示すようにテープ部材31を切断部の位置まで搬送させると停止させる切断準備処理(ステップS70)を実行する。
【0052】
次に、制御部40は、切断部を制御してモータ等により、図10に示すようにフルカット機構17におけるカッターを駆動させてテープ部材31を切断させる切断処理(ステップS80)を実行する。
【0053】
なお、切断処理(ステップS80)は、テープ部材31を所定位置まで搬送させた後に、使用者による手動式でカッターを移動させる構成としても構わない。さらに、切断部は、装置におけるテープ排出口近傍に設けた固定されたカッターによって、使用者が印字テープを引っ張って、印字テープを切断させる構成としても構わない。
【0054】
また、印字テープであるテープ部材31は、印刷テープ層31a及び剥離テープ層31bからなり、印刷テープ層31aの裏面側に熱硬化型接着剤31cを有する場合に限定されず、例えば、印字用感熱ロールテープであって、印字用感熱ロールテープの裏面側に熱硬化型接着剤を有し、剥離テープ層を有さない構成としても構わない。
【0055】
以上のように、本発明の実施形態によれば、ラベルを作成する印字装置1において、印字テープの熱硬化型接着剤31cを熱により硬化させ、粘着力を低下させることにより、切断を容易、且つ、カッターの切断力の持続を可能として保守を容易にする印字装置1と、印字装置1においてラベルを作成する印字方法と、ラベルを作成する印字方法を印字装置1に実現させるための印字制御プログラムと、を提供することができる。
【0056】
また、本発明の実施形態によれば、プラテンローラ12内に加熱装置であるヒータ12aを備えることにより、切断位置を容易に且つ正確に特定して熱硬化型接着剤31cを硬化させることができる。
【0057】
さらに、本発明の実施形態によれば、印字部による印字テープへの印字終了後、搬送制御部が加熱制御部に作動開始信号を出力することにより、適切に切断位置を加熱して熱硬化型接着剤31cを加熱硬化させることができる。
【0058】
そして、本発明の実施形態によれば、搬送制御部は、加熱制御部に作動開始信号を出力することにより印字テープの搬送を一時停止させて、所定位置の熱硬化型接着剤31cを確実に硬化させることができる。
【0059】
また、本発明の実施形態によれば、搬送制御部は、加熱制御部による加熱装置の作動時間よりも僅かに長い時間だけ印字テープの搬送を停止させ、硬化させた熱硬化型接着剤31c及び当該部分のテープ位置を自然冷却させることができ、冷却後に加熱部の位置から切断部の位置までの距離に等しい長さだけ印字テープを搬送させることにより、硬化させた熱硬化型接着剤31cの切断箇所を適切に切断することができる。
【0060】
なお、上記実施形態では、印字テープの接着剤として、熱硬化性の接着剤を用い、また、接着剤を硬化させて接着性を低下させる接着性低下部として、発熱装置としてのヒータを用いた例を説明したが、接着剤として、紫外線などの光を照射することにより硬化する接着剤を用いるとともに、接着剤を硬化させる為の装置として、紫外線などを発生する光源装置をプラテンローラ12の近傍に配置、或いは、プラテンローラ12等の搬送ローラ外周面を透明に構成して、内部に上記光源装置を配置する構成を採ることにより前記実施形態と同様の接着剤低下部として作用させることもできる。
【0061】
さらに、本発明の実施形態におけるフローチャートに示した処理は、コンピュータに実現させることのできる印字制御プログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、或いは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施形態で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等で印字制御プログラムを実行させることにより、本実施形態の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、本実施形態で述べた装置に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、記憶媒体に記憶された印字制御プログラムを読み取り可能であって、読み取った印字制御プログラムに従って制御動作を行うCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0063】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 接着剤を有する印字テープに印字する印字部と、
前記印字テープを搬送するテープ搬送部と、
前記印字テープを切断する切断部と、
前記切断部の内側に配置されて前記印字テープの前記接着剤の接着性を低下させる接着性低下部と、
前記印字部による前記印字テープへの印字終了時に前記接着性低下部を作動させる接着性低下制御部と、を有することを特徴とする印字装置。
[2] 前記接着性低下部は、前記テープ搬送部とされるプラテンローラに組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
[3] 前記テープ搬送部を制御する搬送制御部をさらに備え、
前記印字部による前記印字テープへの印字終了後、前記テープ搬送部により印字終了端部からラベル余白を設けた印字テープ位置を前記接着性低下部の位置まで前記印字テープを搬送させたとき、前記搬送制御部は、前記接着性低下制御部に作動開始信号を出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印字装置。
[4] 前記搬送制御部は、前記接着性低下制御部に前記作動開始信号を出力するとき、前記テープ搬送部による前記印字テープの搬送を一時停止させることを特徴とする請求項3に記載の印字装置。
[5] 前記搬送制御部は、前記接着性低下制御部による前記接着性低下部の作動時間よりも僅かに長い時間だけ前記印字テープの搬送を停止させ、停止終了後は前記接着性低下部の位置から前記切断部の位置までの距離に等しい長さだけ前記印字テープを搬送させることを特徴とする請求項4に記載の印字装置。
[6] 前記接着性低下部は、前記接着剤を加熱する加熱装置を含む請求項1乃至請求項5の何れかに記載の印字装置。
[7] 前記接着性低下部は、前記接着剤を光照射する光照射装置を含む請求項1乃至請求項5の何れかに記載の印字装置。
[8] 印字部により接着剤を有する印字テープに印字する印字処理と、
テープ搬送部により前記印字テープを搬送するテープ搬送処理と、
切断部により前記印字テープを切断する切断処理と、
前記切断部の内側に配置されて前記印字テープの前記接着剤の接着性を低下させる接着性低下処理を前記印字部による前記印字テープへの印字終了時に行い、前記切断処理は、前記接着性低下処理が行われた位置で前記印字テープの切断を行うことを特徴とする印字方法。
[9] 前記接着性低下処理は、前記テープ搬送部のプラテンローラを用いて行うことを特徴とする請求項8に記載の印字方法。
[10] 前記印字処理終了後の前記テープ搬送処理は、印字終了端部からラベル余白を設けた印字テープ位置を前記接着性低下部の位置に合せるように前記印字テープを移動させ、前記ラベル余白を設けた位置が前記接着性低下部の位置に位置したとき、前記接着性低下処理を行うことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の印字方法。
[11] 前記テープ搬送処理は、前記接着性低下処理を行うとき、前記印字テープの搬送移動を停止させることを特徴とする請求項10に記載の印字方法。
[12] 前記テープ搬送処理における前記接着性低下処理を行う際の前記印字テープの前記停止の時間は、前記接着性低下処理の接着性低下時間よりも長い時間であることを特徴とする請求項11に記載の印字方法。
[13] 前記接着性低下処理は、前記接着剤を加熱する加熱装置を用いて行う請求項8乃至請求項12の何れかに記載の印字方法。
[14] 前記接着性低下処理は、前記接着剤を光照射する光照射装置を用いて行う請求項8乃至請求項12の何れかに記載の印字方法。
[15] 印字部により接着剤を有する印字テープに印字する印字処理と、
テープ搬送部により前記印字テープを搬送するテープ搬送処理と、
切断部により前記印字テープを切断する切断処理と、
前記切断部の内側に配置されて前記印字テープの前記接着剤の接着性を低下させる接着性低下処理を前記印字部による前記印字テープへの印字終了時に行い、前記切断処理は、前記接着性低下処理が行われた位置で前記印字テープの切断を行う処理をコンピュータに実行させることを特徴とする印字装置の印字制御プログラム。
[16] 前記接着性低下処理は、前記テープ搬送部のプラテンローラを用いて行う処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項15に記載の印字装置の印字制御プログラム。
[17] 前記印字処理終了後の前記テープ搬送処理は、印字終了端部からラベル余白を設けた印字テープ位置を前記接着性低下部の位置に合せるように前記印字テープを移動させ、前記ラベル余白を設けた位置が前記接着性低下部の位置に位置したとき、前記接着性低下処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の印字装置の印字制御プログラム。
[18] 前記テープ搬送処理は、前記接着性低下処理を行うとき、前記印字テープの搬送移動を停止させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項17に記載の印字装置の印字制御プログラム。
[19] 前記テープ搬送処理における前記接着性低下処理を行う際の前記印字テープの前記停止の時間は、前記接着性低下処理の接着性低下時間よりも長い時間とする処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項18に記載の印字装置の印字制御プログラム。
【符号の説明】
【0064】
1 印字装置 2 筐体
3 タッチパネル表示部 3a キーボード領域
3b 文字編集領域
4 タッチパネル入力部 7 テープ繰出部
8 カセット装填部 11 サーマルヘッド
12 プラテンローラ 12a ヒータ(光源)
15 カセット受部 16 テープ幅検出スイッチ
17 フルカット機構 18 ハーフカット機構
21 テープカセット 22 カセットケース
23 テープコア 24 リボン供給コア
25 リボン巻取コア 27 ヘッド配置部
29 被係合部 31 テープ部材
31a 印刷テープ層 31b 剥離テープ層
31c 熱硬化型接着剤(光硬化型接着剤)
35 インクリボン 40 制御部
41 ROM
41a 表示用CG 41b 印字用CG
42 RAM
42a 印字データメモリ領域 42b 表示データメモリ領域
42c ワークエリア
45 テープ印字機構
46 搬送用モータ 48 カッターモータ
51 ヘッド駆動回路 52 搬送用モータ駆動回路
53 カッターモータ駆動回路 54 ヒータ(光源)駆動回路
63 タッチパネル表示部駆動回路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤を有する印字テープに印字する印字部と、
前記印字テープを搬送するテープ搬送部と、
前記印字テープを切断する切断部と、
前記切断部の内側に配置されて前記印字テープの前記接着剤の接着性を低下させる接着性低下部と、
前記印字部による前記印字テープへの印字終了時に前記接着性低下部を作動させる接着性低下制御部と、を有することを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記接着性低下部は、前記テープ搬送部とされるプラテンローラに組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記テープ搬送部を制御する搬送制御部をさらに備え、
前記印字部による前記印字テープへの印字終了後、前記テープ搬送部により印字終了端部からラベル余白を設けた印字テープ位置を前記接着性低下部の位置まで前記印字テープを搬送させたとき、前記搬送制御部は、前記接着性低下制御部に作動開始信号を出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印字装置。
【請求項4】
前記搬送制御部は、前記接着性低下制御部に前記作動開始信号を出力するとき、前記テープ搬送部による前記印字テープの搬送を一時停止させることを特徴とする請求項3に記載の印字装置。
【請求項5】
前記搬送制御部は、前記接着性低下制御部による前記接着性低下部の作動時間よりも僅かに長い時間だけ前記印字テープの搬送を停止させ、停止終了後は前記接着性低下部の位置から前記切断部の位置までの距離に等しい長さだけ前記印字テープを搬送させることを特徴とする請求項4に記載の印字装置。
【請求項6】
前記接着性低下部は、前記接着剤を加熱する加熱装置を含む請求項1乃至請求項5の何れかに記載の印字装置。
【請求項7】
前記接着性低下部は、前記接着剤を光照射する光照射装置を含む請求項1乃至請求項5の何れかに記載の印字装置。
【請求項8】
印字部により接着剤を有する印字テープに印字する印字処理と、
テープ搬送部により前記印字テープを搬送するテープ搬送処理と、
切断部により前記印字テープを切断する切断処理と、
前記切断部の内側に配置されて前記印字テープの前記接着剤の接着性を低下させる接着性低下処理を前記印字部による前記印字テープへの印字終了時に行い、前記切断処理は、前記接着性低下処理が行われた位置で前記印字テープの切断を行うことを特徴とする印字方法。
【請求項9】
前記接着性低下処理は、前記テープ搬送部のプラテンローラを用いて行うことを特徴とする請求項8に記載の印字方法。
【請求項10】
前記印字処理終了後の前記テープ搬送処理は、印字終了端部からラベル余白を設けた印字テープ位置を前記接着性低下部の位置に合せるように前記印字テープを移動させ、前記ラベル余白を設けた位置が前記接着性低下部の位置に位置したとき、前記接着性低下処理を行うことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の印字方法。
【請求項11】
前記テープ搬送処理は、前記接着性低下処理を行うとき、前記印字テープの搬送移動を停止させることを特徴とする請求項10に記載の印字方法。
【請求項12】
前記テープ搬送処理における前記接着性低下処理を行う際の前記印字テープの前記停止の時間は、前記接着性低下処理の接着性低下時間よりも長い時間であることを特徴とする請求項11に記載の印字方法。
【請求項13】
前記接着性低下処理は、前記接着剤を加熱する加熱装置を用いて行う請求項8乃至請求項12の何れかに記載の印字方法。
【請求項14】
前記接着性低下処理は、前記接着剤を光照射する光照射装置を用いて行う請求項8乃至請求項12の何れかに記載の印字方法。
【請求項15】
印字部により接着剤を有する印字テープに印字する印字処理と、
テープ搬送部により前記印字テープを搬送するテープ搬送処理と、
切断部により前記印字テープを切断する切断処理と、
前記切断部の内側に配置されて前記印字テープの前記接着剤の接着性を低下させる接着性低下処理を前記印字部による前記印字テープへの印字終了時に行い、前記切断処理は、前記接着性低下処理が行われた位置で前記印字テープの切断を行う処理をコンピュータに実行させることを特徴とする印字装置の印字制御プログラム。
【請求項16】
前記接着性低下処理は、前記テープ搬送部のプラテンローラを用いて行う処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項15に記載の印字装置の印字制御プログラム。
【請求項17】
前記印字処理終了後の前記テープ搬送処理は、印字終了端部からラベル余白を設けた印字テープ位置を前記接着性低下部の位置に合せるように前記印字テープを移動させ、前記ラベル余白を設けた位置が前記接着性低下部の位置に位置したとき、前記接着性低下処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載の印字装置の印字制御プログラム。
【請求項18】
前記テープ搬送処理は、前記接着性低下処理を行うとき、前記印字テープの搬送移動を停止させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項17に記載の印字装置の印字制御プログラム。
【請求項19】
前記テープ搬送処理における前記接着性低下処理を行う際の前記印字テープの前記停止の時間は、前記接着性低下処理の接着性低下時間よりも長い時間とする処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項18に記載の印字装置の印字制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−56469(P2013−56469A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196077(P2011−196077)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】