説明

印字装置および印字方法

【課題】金属コイルを固縛するバンドに跨って印字することなく、固縛後の金属コイルの表面に対して、印字レイアウトの制約を遵守しつつ情報を的確に印字できること。
【解決手段】本発明の一態様にかかる印字装置1は、バンド16によって固縛された金属コイル15に印字する装置であり、検出部2および印字レイアウト決定部8を備える。検出部2は、金属コイル15の印字対象領域の中から、バンド16の位置等を含む印字不可領域と、この印字不可領域以外の印字可能領域とを検出する。印字レイアウト決定部8は、指示された制約を加味した印字レイアウトと印字可能領域との適合度を所定の評価関数によって評価して、この制約を遵守しつつ印字可能領域に文字群を印字できる印字レイアウトの候補を複数選出し、選出した複数の候補のうち、文字群の印字面積が最大となる候補を印字レイアウトとして決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル状に巻いた金属材の表面に情報を印字する印字装置および印字方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属板または金属帯をコイル状に巻いて形成される金属材(以下、金属コイルという)の表面には、コイル番号等の金属コイルの識別または出荷に必要な各種情報が印字される。一般に、鉄鋼製品の製造ラインにおいて、金属コイルは、鋼帯または鋼板をコイル状に巻き取って形成され、巻取後にバンドを掛けて固縛される。このようにして、金属コイルの緩みが防止される。一方、固縛後の金属コイルの表面には、コイル番号等の金属コイルの出荷または識別等に必要な各種情報が印字される。この金属コイルに対する印字処理は、作業者の手作業(手書き等による書き込み)によって行われる場合もあれば、印字装置によって自動的に行われる場合もある。
【0003】
手作業による印字処理では、金属コイル毎に、作業者の目視によって金属コイル表面の印字対象領域を確認しながら、印字すべき情報を書き込めばよい。このため、金属コイル表面のうちの固縛用のバンドの位置を除く領域内に、印字要求の情報を容易に印字できるという利点がある。その反面、手作業による印字処理には、作業者が金属コイルに近づかねばならないため、作業上の危険性が増加するという点、作業に手間が掛かるという点、誤字または脱字等の印字ミスが発生し易いという点等、多くの欠点がある。
【0004】
一方、印字装置は、順次搬送される金属コイル毎に、金属コイル表面の印字対象領域を決定し、予め設定された印字レイアウトに従って、この印字対象領域に印字要求の情報を自動印字する。この場合、印字装置は、印字対象領域の中から、金属コイルを固縛するバンドを検出し、この検出したバンドの位置を避けるようにして印字対象領域に印字している。これによって、印字装置は、印字処理の際、固縛用のバンド上に印字する事態を防止している。この結果、印字装置は、作業上の危険性および煩雑さ等、上述した手作業による印字処理時の欠点を解消するとともに、固縛用のバンド上またはバンドに跨って金属コイル表面に印字した場合に生じる弊害を防止する。なお、このバンドへの印字に起因する弊害とは、例えば、印字された固縛用のバンドが切断または位置ずれすることによって、本来の印字内容の読み取りが困難になるといったものである。
【0005】
このような印字装置に関連する従来技術として、例えば、印字処理対象の金属コイル表面を転動するローラを用いて金属コイルの結束フープを検出する検出装置もあれば(特許文献1参照)、画像処理によって金属コイル表面の固縛用バンドの位置を非接触に検出する検出装置もある(特許文献2参照)。あるいは、金属コイルに対して情報を印字する際、金属コイル表面に直接印字せずに、金属コイルを固縛するバンドを検出し、この検出したバンドに印字する方法もある(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−123616号公報
【特許文献2】特開平6−34322号公報
【特許文献3】特開平5−161918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、金属コイルを固縛するバンドの本数および掛け方は、納入先等の要求に応じて多種多様である。例えば、固縛用のバンドは、金属コイルの外周面を結束するように金属コイルに掛けられる場合もあれば、金属コイルのコイル軸から外周面に亘ってコイル径方向に掛けられる場合もある。あるいは、金属コイルの外周方向およびコイル径方向の双方について、バンドが掛けられる場合もある。また、これら何れのバンドの掛け方においても、そのバンドの本数は、要求に応じて、1本の場合もあれば、複数本(例えば3〜6本)の場合もある。
【0008】
このように金属コイルに対してバンドが多種多様な状態に掛けられた場合、これに起因して、金属コイルの印字対象領域内には、バンドが多種多様なパターンに張り巡らされることが多い。この結果、金属コイルの印字対象領域のうちのバンド位置を除く金属コイル表面領域の位置および広さは、金属コイルの印字対象領域毎にランダムに変化する可能性が高い。
【0009】
一方、固縛後の金属コイルに印字する情報には、印字レイアウトについて予め制約が指定されるものがある。例えば、印字の際に印字レイアウトに制約が指定される情報の一例として、金属コイルを特定または識別するための製品番号、識別番号、ロット番号、および製品名等の特定情報および識別情報が挙げられる。このような特定情報および識別情報は、各々、文字または英数字等を横一列(すなわち同一行)に並べて意味をなす一纏まりの情報である。すなわち、これらの各情報は、改行せずに一行に印字されることによって、その本来の意味を明確に示すことができる。
【0010】
しかしながら、上述した従来の印字技術では、金属コイルの印字対象領域毎に位置およびパターンが変化する固縛用のバンドを印字対象から外しつつ、印字レイアウトの制約を遵守して金属コイル表面に情報を印字することは困難である。このため、バンドに跨って印字する事態を招来するとともに、一行に印字すべき一纏まりの情報を印字行の中途位置において意図せず改行して印字するという問題点があった。
【0011】
なお、同一印字行に印字するように印字レイアウトが指示された一纏まりの情報は、印字行の中途位置において意図せず改行した場合、その本来の意味を示し難い(すなわち、読み取り難い)態様に印字されてしまう。この結果、印字後の情報の誤解または誤認を招来する可能性がある。
【0012】
一方、上述した特許文献3に記載の印字技術を用いて、金属コイル表面に直接印字せずに、金属コイルを固縛するバンドに印字し、これによって、印字レイアウトの制約を遵守しつつ、要求された情報を印字できる可能性はある。しかし、金属コイルの情報をバンドに印字する手法では、印字後のバンドが、切れ落ちる等の原因によって金属コイルから離れてしまう可能性がある。この場合、印字された情報と金属コイルとの対応がとれなくなり、この結果、金属コイルの印字内容を確認できなくなるという問題がある。このため、金属コイルの情報を金属コイル表面ではなく固縛用のバンドに印字する手法は、印字後の金属コイルの情報を管理する上で好ましくない。
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、金属コイルを固縛するバンドに跨って印字することなく、固縛後の金属コイルの表面に対して、印字レイアウトの制約を遵守しつつ情報を的確に印字することができる印字装置および印字方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる印字装置は、バンドによって固縛された金属コイルに印字する印字装置において、前記金属コイルの外周面に設定した印字対象領域の中から、少なくとも前記バンドの位置を含む印字不可領域と、前記印字不可領域以外の領域である印字可能領域とを検出する検出部と、前記印字対象領域に印字する文字群と前記文字群の印字レイアウトの制約とを入力する入力部と、前記制約を加味した前記文字群の印字レイアウトと前記印字可能領域との適合度を所定の評価関数によって評価して、前記制約を遵守しつつ前記印字可能領域に前記文字群を印字できる印字レイアウトの候補を複数選出し、選出した複数の前記候補の中から、前記文字群の印字面積が最大となる候補を前記文字群の印字レイアウトに決定する印字レイアウト決定部と、前記印字レイアウト決定部が決定した印字レイアウトに従って前記印字可能領域に前記文字群を印字する印字部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかる印字装置は、上記の発明において、前記印字レイアウト決定部は、印字レイアウトの種類毎に、前記評価関数によって評価した前記適合度が最大となる印字レイアウトを前記候補として選出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明にかかる印字装置は、上記の発明において、前記検出部は、前記印字対象領域の中から前記金属コイルの表面欠陥を検出し、検出した前記表面欠陥の位置を前記印字不可領域に含めることを特徴とする。
【0017】
また、本発明にかかる印字方法は、バンドによって固縛された金属コイルに印字する印字方法において、前記金属コイルの外周面に設定した印字対象領域の中から、少なくとも前記バンドの位置を含む印字不可領域と、前記印字不可領域以外の領域である印字可能領域とを検出し、前記印字対象領域に印字する文字群の印字レイアウトの制約を加味して、前記文字群の印字レイアウトと前記印字可能領域との適合度を所定の評価関数によって評価し、この評価結果をもとに、前記制約を遵守しつつ前記印字可能領域に前記文字群を印字できる印字レイアウトの候補を複数選出し、選出した複数の前記候補の中から、前記文字群の印字面積が最大となる候補を前記文字群の印字レイアウトに決定し、この決定した印字レイアウトに従って前記印字可能領域に前記文字群を印字することを特徴とする。
【0018】
また、本発明にかかる印字方法は、上記の発明において、印字レイアウトの種類毎に、前記候補として、前記評価関数によって評価した前記適合度が最大となる印字レイアウトを選出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、金属コイルを固縛するバンドに跨って印字することなく、固縛後の金属コイルの表面に対して、印字レイアウトの制約を遵守しつつ情報を的確に印字することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる印字装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。
【図2】図2は、固縛された金属コイルの外表面に印字対象領域が設定された状態を示す模式図である。
【図3】図3は、この印字対象領域内の印字不可領域および印字可能領域の一例を示す模式図である。
【図4】図4は、レイアウト評価関数による評価対象の印字レイアウトの一例を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態にかかる印字方法の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、本実施例におけるレイアウト候補の一具体例を示す模式図である。
【図7】図7は、本実施例における別のレイアウト候補の一具体例を示す模式図である。
【図8】図8は、本実施例における更に別のレイアウト候補の一具体例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる印字装置および印字方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態)
まず、本発明の実施の形態にかかる印字装置の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる印字装置の一構成例を模式的に示すブロック図である。本実施の形態にかかる印字装置1は、図1に示すように、バンド16によって固縛された金属コイル15の表面に各種情報を印字するためのものであり、金属コイル15表面の印字不可領域および印字可能領域を検出する検出部2と、この印字可能領域に印字する印字部3と、印字部3の動作を制御する印字制御部4とを備える。また、印字装置1は、印字する文字群等を入力する入力部5と、印字する情報等を表示する表示部6と、印字処理に必要な各種情報を記憶する記憶部7と、印字レイアウトを決定する印字レイアウト決定部8とを備える。
【0023】
検出部2は、画像処理によって金属コイル15表面の印字不可領域および印字可能領域を検出する。具体的には、検出部2は、撮像素子、レンズおよび発光素子等を用いて実現される。検出部2は、搬送装置(図示せず)によって搬送された金属コイル15の外周面の一部、例えば対向する湾曲面を照明するとともに、この照明範囲の画像を撮像する。これによって、検出部2は、この金属コイル15の外周面の一部を印字対象領域として設定し、得られた印字対象領域の画像に対して所定の画像処理を行う。検出部2は、この画像処理によって、この印字対象領域の中から、バンド16の位置を含む印字不可領域と、この印字不可領域以外の領域である印字可能領域とを検出する。
【0024】
印字部3は、インクの射出またはレーザ光の照射等によって、金属コイル15の外表面の印字対象領域に印字する。この場合、印字部3は、印字不可領域を避けつつ、印字対象領域内の印字可能領域に情報を印字する。
【0025】
印字制御部4は、上述した印字部の動作を制御する。詳細には、印字制御部4は、印字レイアウト決定部8によって決定された印字レイアウトに従って、印字指示された文字等の情報を金属コイル15の印字可能領域に印字するように印字部3を制御する。
【0026】
入力部5は、入力キーおよびマウス等の入力デバイスを用いて実現され、作業者による入力操作に対応して印字レイアウト決定部8に各種情報を入力する。具体的には、入力部5は、金属コイル15の印字対象領域に印字する文字群およびこの文字群の印字レイアウトの制約等、金属コイル15に対する印字処理に必要な各種情報を印字レイアウト決定部8に入力する。なお、この入力される文字群内の各文字内容の種類として、かな文字、漢字およびカタカナのみならず、英数字および記号が含まれる。
【0027】
表示部6は、CRTまたは液晶ディスプレイ等の情報表示が可能なディスプレイを用いて実現される。表示部6は、印字レイアウト決定部8を介して、入力部5による入力情報を取得し、この取得した入力情報を表示する。また、表示部6は、印字レイアウト決定部8によって決定された印字レイアウトと、この印字レイアウトに従って配置された文字群とを表示する。
【0028】
記憶部7は、EEPROMまたはハードディスク等の再書き込み可能な不揮発性の記憶媒体を用いて実現される。記憶部7は、印字レイアウト決定部8によって書き込み指示された各種情報を保存し、印字レイアウト決定部8によって読み出し指示された保存情報を印字レイアウト決定部8に送信する。具体的には、記憶部7は、金属コイル15に対する印字処理に必要な各種情報、例えば、入力部5によって入力された印字要求の文字群およびこの文字群の印字レイアウトの制約等を記憶する。
【0029】
また、記憶部7は、関数情報7aを記憶する。関数情報7aは、印字要求された文字群の印字レイアウトを決定するために用いられる各種関数の情報であり、例えば、レイアウト評価関数とレイアウト選択関数とを含む。レイアウト評価関数は、印字要求された文字群の印字レイアウトと印字処理対象の金属コイル15の印字可能領域との適合度を評価するための関数である。記憶部7は、関数情報7aとして、印字レイアウトの種類毎に複数のレイアウト関数を記憶する。一方、レイアウト選択関数は、これら複数のレイアウト関数に応じて求められた複数の印字レイアウトの候補の中から、実際の文字群の印字に適用する印字レイアウトを決定するための関数である。なお、このレイアウト評価関数およびレイアウト選択関数の詳細については後述する。
【0030】
印字レイアウト決定部8は、予め設定されたプログラムを実行可能なコンピュータなどを用いて実現され、印字要求された文字群の印字レイアウトを金属コイル15の印字可能領域に応じて決定する。具体的には、印字レイアウト決定部8は、入力部5によって入力された印字要求の文字群および印字レイアウトの制約の各情報を取得する。また、印字レイアウト決定部8は、記憶部7から関数情報7aを読み出し、この関数情報に含まれる複数のレイアウト関数とレイアウト選択関数とを取得する。その後、印字レイアウト決定部8は、これら複数のレイアウト関数によって、この印字レイアウトの制約を加味した文字群の印字レイアウトと金属コイル15の印字可能領域との適合度を評価する。この適合度の評価結果をもとに、印字レイアウト決定部8は、この印字レイアウトの制約を遵守しつつ金属コイル15の印字可能領域に印字要求の文字群を印字できる印字レイアウトの候補(以下、レイアウト候補という)を複数選出する。印字レイアウト決定部8は、このように選出した複数のレイアウト候補の中から、レイアウト選択関数に基づいて、金属コイル15の印字可能領域に印字した文字群の印字面積が最大となるレイアウト候補を印字要求の文字群の印字レイアウトに決定する。
【0031】
つぎに、金属コイル15の外表面に設定した印字対象領域内の印字不可領域および印字可能領域について詳細に説明する。図2は、固縛された金属コイルの外表面に印字対象領域が設定された状態を示す模式図である。図3は、この印字対象領域内の印字不可領域および印字可能領域の一例を示す模式図である。
【0032】
図2に示す金属コイル15は、金属板または金属帯をコイル状に巻いて形成される金属材であり、例えば、鉄鋼材を巻いたものでものよいし、銅またはアルミニウム等の鉄鋼材以外の金属材を巻いたものでもよい。また、金属コイル15は、図2に示すように、その外周面を結束する4本のバンド16と、そのコイル径方向に掛けられた3本のバンド16との合計7本のバンド16によって固縛される。なお、金属コイル15を固縛するためのバンド16の掛け方および本数は、図2に示すものに限らず、金属コイル15の固縛に必要な本数および掛け方であればよく、金属コイル15の納入先の要求等応じて適宜変更されてもよい。
【0033】
図2に示す固縛状態の金属コイル15は、上述したように、その外周面と検出部2とを対向させた状態になるように搬送される。この状態において、検出部2は、金属コイル15の外周面のうちの対向面、具体的には図2の破線部分によって示される金属コイル15の一湾曲面の画像を撮像する。検出部2は、このように撮像した金属コイル15の湾曲面(対向面)の領域を印字対象領域11に設定する。
【0034】
このような印字対象領域11内には、例えば図3に示すように、印字不可領域12と、印字不可領域12によって区分けされた10箇所の印字可能領域13a〜13jとが含まれる。印字不可領域12は、図2に示すように金属コイル15の外表面に掛けられたバンド16の位置および面積に対応して、印字対象領域11内に設定された領域である。このような印字不可領域12への印字は、バンド16の表面への印字を引き起こすため、禁止される。
【0035】
一方、印字可能領域13a〜13jは、印字対象領域11のうちの印字不可領域12以外の領域であり、印字不可領域12の設定とともに印字対象領域11内に設定される。この際、印字可能領域13a〜13jの各位置および各面積は、印字対象領域11内における印字不可領域12の位置および面積に応じて決められる。このような印字可能領域13a〜13jは、金属コイル15の外表面のうちのバンド16が掛からずに露出した部分であって、印字に適した滑らかな領域である。このため、印字可能領域13a〜13jへの印字は許可される。
【0036】
ここで、印字不可領域12および印字可能領域13a〜13jの各位置および各面積等の情報は、印字対象領域11の画像の画素情報、具体的には、画素の輝度情報、色情報、配列情報、アドレス情報等に基づいて算出できる。このため、検出部2は、印字対象領域11の画像の画素情報を印字レイアウト決定部8に送信し、これによって、印字レイアウト決定部8に対する印字対象領域11の情報の送信を達成する。印字レイアウト決定部8は、印字制御部4等を介して検出部2から印字対象領域11の画像の画素情報を取得し、この画素情報をもとに、印字対象領域11の情報、すなわち印字不可領域12および印字可能領域13a〜13jの各位置および各面積等の情報を取得する。
【0037】
つぎに、金属コイル15の印字対象領域11内の印字可能領域に応じて文字群の印字レイアウトを決定するためのレイアウト評価関数およびレイアウト選択関数について詳細に説明する。図4は、レイアウト評価関数による評価対象の印字レイアウトの一例を示す模式図である。
【0038】
印字対象領域11内の位置または面積等の二次元的な情報は、上述したように、印字対象領域11の画像の画素情報によって算出される。印字レイアウト決定部8は、この画素情報をもとに、印字対象領域11を二次元の座標系の領域に変換する。この結果、印字対象領域11には、図4に示すように、互いに直交するX軸およびY軸による二次元の直交座標系が設定される。この直交座標系において、X軸方向は印字対象領域11の横方向(金属コイル15の幅方向)であり、Y軸方向は印字対象領域11の縦方向(金属コイル15の周方向)である。
【0039】
なお、図4に示すように、印字対象領域11の直交座標系の原点は、印字対象領域11の左上コーナーに設定される。また、X軸の正の方向は、印字対象領域11の左から右へ向かう方向と一致し、Y軸の正の方向は、印字対象領域11の上から下へ向かう方向と一致する。
【0040】
ここで、レイアウト評価関数は、上述したように、印字要求された文字群の印字レイアウトと印字対象領域11内の印字可能領域との適合度を評価する関数である。このようなレイアウト評価関数は、この文字群内の文字間の関係を数式化した関数を用いて、複数定義される。以下では、印字要求の文字群内の各文字の定義と、この文字群内の文字間の関数とを順に説明して、その後、レイアウト評価関数の定義について説明する。
【0041】
印字要求された文字群内の1つの文字Ciは、印字対象領域11の直交座標系内にレイアウトする際に必要な座標情報を用いて定義される。具体的には、横方向の文字の始点xi、縦方向の文字の始点yi、横方向の文字の大きさwi、縦方向の文字の大きさhiの各情報を用い、次式(1)によって文字Ciは定義される。

Ci=(xi,yi,wi,hi) (iは正の整数) ・・・(1)

例えば、印字要求された文字群の文字数がN文字であれば、この文字群内の各文字C1,C2,C3,…,CNは、式(1)によって、C1=(x1,y1,w1,h1)、C2=(x2,y2,w2,h2)、C3=(x3,y3,w3,h3),…,CN=(xN,yN,wN,hN)のように各々定義される。
【0042】
なお、式(1)において、始点xiはX軸の座標値であり、始点yiはY軸の座標値である。この始点xi,yiの各座標値の大小関係(すなわち文字間の位置関係)は、図1に示した入力部5によって入力された印字レイアウトの制約によって規制されている。一方、横方向の文字の大きさwiは、文字Ciの横幅であり、文字Ciの横方向の終始点間距離を算出することによって求まる。また、縦方向の文字の大きさhiは、文字Ciの縦幅であり、文字Ciの縦方向の終始点間距離を算出することによって求まる。
【0043】
一方、印字要求された文字群内の文字間の関係を数式化した関数(以下、文字間関数という)は、遺伝的アルゴリズムに基づいて印字対象領域11内に仮にレイアウトされた各文字間の関係を数値化する関数である。文字間関数は、レイアウトされる文字間の関係を示す条件別に設定され、この設定された条件と、この遺伝的アルゴリズムによって仮に構築された文字間の関係との適合度が増大するに伴って、算出値が増大するように定義される。
【0044】
例えば、複数設定された文字間関数のうちの番号tの文字間関数gt(Lj)に「文字C2は文字C1の右にある」という文字間の関係を示す条件が設定されている場合を例示する。この場合、文字間関数gt(Lj)は、2つの文字C1,C2のレイアウトLjに対応する数値として、始点x1<始点x2の場合に「+a」(aは正の数)を算出し、始点x1<始点x2以外の場合に0以下の値を算出する。
【0045】
また、文字間関数gt(Lj)に「文字C4,C5,C6が一行(横一列)に配置され且つ互いに同じ横幅を有する」という文字間の関係を示す条件が設定されている場合を例示する。この場合、文字間関数gt(Lj)は、例えば、次式(2)によって定義される。

gt(Lj)=−(|y4−y5|+|y5−y6|+|y6−y4|)−(|w4−w5|+|w5−w6|+|w6−w4|)・・・(2)

この場合、文字間関数gt(Lj)は、3つの文字C4,C5,C6のレイアウトLjが式(2)の条件に適合するに伴って、より大きい値を算出する。
【0046】
ここで、上述した例の他に、文字間関数gt(Lj)に設定される文字間の位置関係を示す条件として、文字の行数または列数を規制する条件、行または列毎の文字数を規制する条件、印字対象領域11に対する相対的な文字群の配置(右寄せ、左寄せ、中央寄せ等)を規制する条件等、多種多様な条件が挙げられる。文字間関数gt(Lj)は、このような多種多様な条件別に複数設定され、レイアウトLjが自己の設定条件に適合する場合、大きい値(=P1)を算出する。一方、文字間関数gt(Lj)は、レイアウトLjと自己の設定条件との間に軽微な相違点がある場合、多少の減点を施した値(=P2)を算出し、致命的な相違点がある場合、極めて大きく減点した値(=P3)を算出する。なお、これらの値の大小関係は、P1>P2>>P3となる。
【0047】
また、このように複数設定された文字間関数gt(Lj)には、上述した印字レイアウトの制約を加味したものも含まれる。ここで、印字レイアウトの制約は、要求元が意図した意味をなす状態で印字対象領域11に文字群を印字できるように、この文字群の印字レイアウトを予め規制する条件である。この制約によって規制される印字レイアウトの条件として、例えば、印字文字の改行位置および印字文字間の離間距離等が挙げられる。具体的には、金属コイルを特定または識別するための製品番号、識別番号、ロット番号、および製品名等の特定情報および識別情報は、各々、文字または英数字等を同一行に並べて意味をなす一纏まりの情報である。このような情報を含む文字群に対しては、この一纏まりの情報を示す文字群が意図せず二行以上に改行されないように、印字文字の改行位置の制約が課せられる。これに対応して、複数の文字間関数gt(Lj)のうちの少なくとも1つには、文字間の関係を示す条件として印字レイアウトの制約が設定される。このように印字レイアウトの制約が設定された文字間関数gt(Lj)は、レイアウトLjが印字レイアウトの制約に違反する場合、極度に減点した値を算出する。
【0048】
一方、レイアウト評価関数は、印字レイアウト内に複数現れる文字間の関係に各々対応する複数の文字間関数gt(Lj)を線形結合した関数であり、印字レイアウトの種類毎に複数設定される。このレイアウト評価関数は、関数番号u(uは2以上の整数)を用い、次式(3)によって定義される。
【0049】
【数1】

【0050】
ここで、式(3)に定義したように、レイアウト評価関数fu(Lj)は、線形結合した複数の文字間関数gt(Lj)に各々対応する各レイアウトLjが印字レイアウトの制約を遵守し且つ印字対象領域11内の印字可能領域に文字群を配列可能なレイアウトであれば、それに応じて大きい値を算出する。すなわち、レイアウト評価関数fu(Lj)の算出値は、印字レイアウトの制約を遵守することを前提にして、印字対象領域11内の印字可能領域と印字要求の文字群の印字レイアウトとの適合度が増大するに伴って増大する。なお、この適合度は、印字要求の文字群に課せられた印字レイアウトの制約を遵守しつつ、印字対象領域11内の印字可能領域に印字要求の文字群を配列する印字レイアウトとして合っているか否かを示す数値であり、この合っている度合いが増すほど、増大する。
【0051】
例えば、「文字C2は文字C1の右にある」という文字間の関係と「文字C4,C5,C6が一行に配置され且つ互いに同じ横幅を有する」という文字間の関係とを組み合わせたレイアウトLjを例示する。このレイアウトLjに対応して設定されるレイアウト評価関数fu(Lj)は、これら2つの文字間の関係に各々対応する2つの文字間関数gt(Lj)を線形結合してなる。ここで、このレイアウトLjは、図4に示すように、「文字C2は文字C1の右にある」という文字間の関係を満足しつつ、印字対象領域11内の印字不可領域12を回避しながら印字可能領域13bに文字C1,C2を配列するものとなっている。且つ、このレイアウトLjは、「文字C4,C5,C6が一行に配置され且つ互いに同じ横幅を有する」という文字間の関係を満足しつつ、印字対象領域11内の印字不可領域12を回避しながら印字可能領域13g,13hに文字C4,C5,C6を配列するものとなっている。レイアウト評価関数fu(Lj)は、このようなレイアウトLjの評価結果として、これら2つの文字間の関係の少なくとも1つを満足していない他のレイアウトに比して大きい値を算出する。
【0052】
また、図4に示す文字群に対して「文字C4,C5,C6を一行に配列する」という印字レイアウトの制約が課せられている場合、レイアウト評価関数fu(Lj)は、この制約を文字間の関係を示す条件とする文字間関数gt(Lj)を含み、この文字間関数gt(Lj)の重み付けを大きくする。すなわち、レイアウト評価関数fu(Lj)は、この制約を満足するレイアウトLjの評価結果として、この制約に違反する他のレイアウトに比して極めて大きい値を算出する。これによって、印字レイアウトの制約を満足するレイアウトLjが優先的にレイアウト候補として選出されるようにし、且つ、この制約に違反する他のレイアウトがレイアウト候補として絶対的に選出されないようにしている。
【0053】
一方、レイアウト選択関数は、複数のレイアウト評価関数fu(Lj)の評価結果に基づいて印字レイアウトの種類毎に各々選出された複数のレイアウト候補の中から、最適な印字レイアウトを選択するための関数である。具体的には、レイアウト選択関数は、レイアウト候補に従って配置された文字群の印字面積を算出する関数であり、次式(4)によって定義される。
【0054】
【数2】

【0055】
この式(4)に示すレイアウト選択関数S(L)は、レイアウト評価関数fu(Lj)の評価結果をもとに複数のレイアウトLjの中から選出されたレイアウト候補L毎に、文字群の印字面積を算出する。このレイアウト選択関数S(L)によって算出された印字面積のうちの最大印字面積となったレイアウト候補Lが、印字対象領域11内の印字可能領域に印字要求の文字群を配置する実際の印字レイアウトとして選択される。
【0056】
なお、上述したレイアウトLj(j=1,2,3,…)は、遺伝的アルゴリズムに基づいて多種多様に構築される複数のレイアウトである。このレイアウトLjは、上述した式(1)によって定義した複数の文字Ci(i=1,2,3,…,N)の集合体と定義し、Lj=(C1,C2,C3,…,CN)のように数式化される。
【0057】
つぎに、本発明の実施の形態にかかる印字方法について説明する。図5は、本発明の実施の形態にかかる印字方法の一例を示すフローチャートである。本実施の形態にかかる印字方法は、図1,2に示したようにバンド16によって固縛された金属コイル15に対して、予め印字要求された文字群を印字するための方法である。なお、この印字要求の文字群の文字内容およびこの文字群に課せられた印字レイアウトの制約は、入力部5によって予め印字レイアウト決定部8に入力されている。
【0058】
詳細には、図5に示すように、本実施の形態にかかる印字方法において、印字装置1は、まず、印字処理対象の金属コイル15の外表面の中から印字可能領域を検出する(ステップS101)。このステップS101において、検出部2は、対向する金属コイル15の外表面の画像を撮像し、この画像に捉えた外表面の領域を印字対象領域11として設定する。ついで、検出部2は、この画像の画素情報をもとに、印字対象領域11内にかかるバンド16を検出し、この検出したバンド16の位置を印字不可領域として設定する。これとともに、検出部2は、所定の画像処理を行って、この印字対象領域11内の印字不可領域以外の領域を検出し、この検出した領域を印字可能領域として設定する。
【0059】
つぎに、印字装置1は、印字対象領域11に対する印字のレイアウト候補を複数選出する(ステップS102)。このステップS102において、印字レイアウト決定部8は、まず、記憶部7内の関数情報7aの中から、印字要求の文字群に対して想定し得る複数の印字レイアウトの種類別に設定された複数のレイアウト関数fu(Lj)を読み出す。つぎに、印字レイアウト決定部8は、これら複数のレイアウト関数fu(Lj)に対応する印字レイアウトの各種類別に、遺伝的アルゴリズムに基づき複数のレイアウトLjを求める。続いて、印字レイアウト決定部8は、印字要求の文字群に予め課せられた印字レイアウトの制約を加味しながら、複数のレイアウト関数fu(Lj)によって、これら複数のレイアウトLjと印字対象領域11内の印字可能領域との各適合度を各々評価する。この評価結果に基づいて、印字レイアウト決定部8は、レイアウト関数fu(Lj)に対応する印字レイアウトの種類別に、上述した制約を遵守しつつ金属コイル15の印字可能領域に印字要求の文字群を印字できるレイアウト候補Lを複数選出する。この場合、印字レイアウト決定部8は、印字レイアウトの種類毎、すなわち、各種類のレイアウト関数fu(Lj)毎に、上述した適合度が最大となるレイアウトLjをレイアウト候補Lとして選出する。この結果、レイアウト候補Lは、これら複数のレイアウト関数fu(Lj)の各々について1つずつ選出される。
【0060】
続いて、印字装置1は、ステップS102において選出した複数のレイアウト候補Lの中から、印字対象領域11内の印字可能領域に印字要求の文字群を印字する際の印字レイアウトを決定する(ステップS103)。このステップS103において、印字レイアウト決定部8は、まず、記憶部7内の関数情報7aの中から、レイアウト選択関数S(L)を読み出す。つぎに、印字レイアウト決定部8は、ステップS102において選出した複数のレイアウト候補Lの各々について、このレイアウト選択関数S(L)を用い、レイアウト後の文字群の印字面積を算出する。その後、印字レイアウト決定部8は、これら複数のレイアウト候補Lの中から、このように算出した印字面積が最大となるレイアウト候補Lmaxを印字要求の文字群の印字レイアウトとして決定する。
【0061】
その後、印字装置1は、ステップS103において決定した印字レイアウトに従って、金属コイル15に対する印字処理を実行し(ステップS104)、本処理を終了する。このステップS104において、印字レイアウト決定部8は、ステップS103において決定した印字レイアウトと印字要求の文字群の文字内容との各情報を印字制御部4に送信する。印字制御部4は、印字レイアウト決定部8から受信した情報をもとに印字部3を駆動制御する。印字部3は、この印字制御部4による駆動制御に基づいて、金属コイル15の印字対象領域11内の印字可能領域に対し、この決定された印字レイアウトに従って印字要求の文字群を印字する。
【0062】
なお、印字装置1は、図1に示したように印字処理対象の金属コイル15が所定の位置に搬送された場合、その都度、上述したステップS101〜S104の各処理を繰り返し実行して、金属コイル15毎に、金属コイル15の外表面に好適な印字レイアウトに従って印字要求の文字群を順次印字する。ここで、金属コイル15の外表面に好適な印字レイアウトとは、予め指示された印字レイアウトの制約を遵守しつつ、印字不可領域12に印字することなく、印字対象領域11内の印字可能領域に対し、最大の印字面積となるように印字要求の文字群を印字可能なレイアウトである。
【実施例】
【0063】
つぎに、印字レイアウトの種類を具体的に例示して、本発明の実施の形態にかかる印字装置1および印字方法の具体的な実施例を説明する。図6は、本実施例におけるレイアウト候補の一具体例を示す模式図である。図7は、本実施例における別のレイアウト候補の一具体例を示す模式図である。図8は、本実施例における更に別のレイアウト候補の一具体例を示す模式図である。
【0064】
本実施例において、印字要求された文字群は、9つの文字C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9からなる。文字C1は「1」という文字内容であり、文字C2は「2」という文字内容であり、文字C3は「3」という文字内容である。また、これら3文字は、文字C1の右横に文字C2が並び、且つ文字C2の右横に文字C3が並び、この配列によって意味をなす。一方、文字C4は「4」という文字内容であり、文字C5は「5」という文字内容であり、文字C6は「6」という文字内容である。また、これら3文字は、文字C4の右横に文字C5が並び、且つ文字C5の右横に文字C6が並び、この配列によって意味をなす。他方、文字C7は「A」という文字内容であり、文字C8は「B」という文字内容であり、文字C9は「C」という文字内容である。また、これら3文字は、文字C7の右横に文字C8が並び、且つ文字C8の右横に文字C9が並び、この配列によって意味をなす。
【0065】
また、この文字群に対して課せられた印字レイアウトの制約は、次の2つである。1つ目の制約は「文字C7,C8,C9は一纏まりの文字情報であり、これら3文字を二行以上に改行することは禁止する」というものである。2つ目の制約は「文字C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9は全て同じ大きさで印字する」というものである。
【0066】
一方、本実施例においては、3種類の印字レイアウトに対応して3つのレイアウト評価関数f1(Lj),f2(Lj),f3(Lj)を設定した。ここで、レイアウト評価関数f1(Lj)に対応する1種類目の印字レイアウトは、「文字C1,C2,C3,C4,C5,C6は、一行に配列し、文字C7,C8,C9は、文字C1,C2,C3,C4,C5,C6の下に位置し且つ一行に配列する。」というレイアウトである。一方、レイアウト評価関数f2(Lj)に対応する2種類目の印字レイアウトは、「文字C1,C2,C3は、一行に配列し、文字C4,C5,C6は、文字C1,C2,C3の下に位置し且つ一行に配列し、文字C7,C8,C9は、文字C4,C5,C6の下に位置し且つ一行に配列する。文字C4,C5,C6および文字C7,C8,C9の行方向の各中心は、文字C1,C2,C3の行方向の中心に各々近ければよい。文字C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9は、文字群全体として中央寄りに配置されればよい。」というレイアウトである。他方、レイアウト評価関数f3(Lj)に対応する3種類目の印字レイアウトは、「文字C1,C2,C3は、一行に配列し、文字C4,C5,C6は、文字C1,C2,C3の下に位置し且つ一行に配列し、文字C7,C8,C9は、文字C4,C5,C6の下に位置し且つ一行に配列する。文字C4,C5,C6および文字C7,C8,C9の行方向の各中心は、文字C1,C2,C3の行方向の中心に各々近ければよい。文字C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9は、文字群全体として右寄りに配置されればよい。」というレイアウトである。
【0067】
ここで、印字レイアウト決定部8は、上述した印字要求の文字群および印字レイアウトの制約の各情報を予め取得した後、図3に示した印字対象領域11の情報を取得した。なお、この情報には、印字対象領域11内における印字不可領域12および印字可能領域13a〜13jの各位置情報と各面積情報とが含まれる。その後、印字レイアウト決定部8は、取得した印字対象領域11に対して、図3に示したようにX軸およびY軸による直交座標系を設定し、この設定した直交座標系の範囲内において、印字対象領域11に好適な印字レイアウトを決定した。
【0068】
具体的には、印字レイアウト決定部8は、印字対象領域11の座標情報をもとに、1つ目のレイアウト評価関数f1(Lj)のレイアウト種類に応じた複数のレイアウトLjを遺伝的アルゴリズムに基づいて構築した。続いて、印字レイアウト決定部8は、これら複数のレイアウトLj(j=1,2,3,…)の各々と印字可能領域13a〜13jとの各適合度を評価した。その後、印字レイアウト決定部8は、これら複数のレイアウトLjの中から、レイアウト評価関数f1(Lj)によって算出した適合度の数値が最大となったものをレイアウト評価関数f1(Lj)に対応するレイアウト候補Lとして選出した。
【0069】
ここで、レイアウト候補Lは、上述した印字レイアウトの制約を遵守するとともに、これら複数のレイアウトLjのうちの最も印字可能領域13a〜13jに対する適合度が高かったレイアウトである。このようなレイアウト候補Lでは、印字要求の文字C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9は、図6に示すように配置された。
【0070】
すなわち、文字C1,C2,C3,C4,C5,C6は、印字不可領域12を回避しながら一行に配列された。この場合、文字C1は、印字可能領域13aに配置され、文字C2,C3,C4は、印字可能領域13bに配置された。また、文字C5,C6は、印字可能領域13c,13dに各々配置された。一方、文字C7,C8,C9は、印字不可領域12を回避しながら文字C1,C2,C3,C4,C5,C6からなる文字行の下に位置し、且つ一行に配列された。この場合、文字C7,C8,C9は、印字可能領域13b,13c,13dの下に各々位置する印字可能領域13g,13h,13iに配置された。
【0071】
一方、印字レイアウト決定部8は、印字対象領域11の座標情報をもとに、2つ目のレイアウト評価関数f2(Lj)のレイアウト種類に応じた複数のレイアウトLjを遺伝的アルゴリズムに基づいて構築した。続いて、印字レイアウト決定部8は、これら複数のレイアウトLj(j=1,2,3,…)の各々と印字可能領域13a〜13jとの各適合度を評価した。その後、印字レイアウト決定部8は、これら複数のレイアウトLjの中から、レイアウト評価関数f2(Lj)によって算出した適合度の数値が最大となったものをレイアウト評価関数f2(Lj)に対応するレイアウト候補L2として選出した。
【0072】
ここで、レイアウト候補L2は、上述した印字レイアウトの制約を遵守するとともに、これら複数のレイアウトLjのうちの最も印字可能領域13a〜13jに対する適合度が高かったレイアウトである。このようなレイアウト候補L2では、印字要求の文字C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9は、図7に示すように配置された。
【0073】
すなわち、文字C1,C2,C3および文字C4,C5,C6は、印字不可領域12を回避しながら各々一行に配列され、且つ、文字C4,C5,C6は、印字不可領域12を回避しながら文字C1,C2,C3からなる文字行の下に位置した。この場合、文字C1,C2は、印字可能領域13bの上寄りに配置され、文字C4,C5は、印字可能領域13b内であって文字C1,C2の下の位置に配置された。また、文字C3は、印字可能領域13cの上寄りに配置され、文字C6は、印字可能領域13c内であって文字C3の下の位置に配置された。一方、文字C7,C8,C9は、印字不可領域12を回避しながら文字C4,C5,C6からなる文字行の下に位置し、且つ一行に配列された。この場合、文字C7,C8は、印字可能領域13bの下に位置する印字可能領域13gに配置され、文字C9は、印字可能領域13cの下に位置する印字可能領域13hに配置された。また、これら3つの文字行において、文字C4,C5,C6および文字C7,C8,C9の行方向の各中心は、文字C1,C2,C3の行方向の中心に合わせた。さらに、文字C1,C2,C3の文字行、文字C4,C5,C6の文字行、および文字C7,C8,C9の文字行の各々は、印字対象領域11の中央寄りに配置された。
【0074】
他方、印字レイアウト決定部8は、印字対象領域11の座標情報をもとに、3つ目のレイアウト評価関数f3(Lj)のレイアウト種類に応じた複数のレイアウトLjを遺伝的アルゴリズムに基づいて構築した。続いて、印字レイアウト決定部8は、これら複数のレイアウトLj(j=1,2,3,…)の各々と印字可能領域13a〜13jとの各適合度を評価した。その後、印字レイアウト決定部8は、これら複数のレイアウトLjの中から、レイアウト評価関数f3(Lj)によって算出した適合度の数値が最大となったものをレイアウト評価関数f3(Lj)に対応するレイアウト候補L3として選出した。
【0075】
ここで、レイアウト候補L3は、上述した印字レイアウトの制約を遵守するとともに、これら複数のレイアウトLjのうちの最も印字可能領域13a〜13jに対する適合度が高かったレイアウトである。このようなレイアウト候補L3では、印字要求の文字C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9は、図8に示すように配置された。
【0076】
すなわち、文字C1,C2,C3および文字C4,C5,C6は、印字不可領域12を回避しながら各々一行に配列され、且つ、文字C4,C5,C6は、印字不可領域12を回避しながら文字C1,C2,C3からなる文字行の下に位置した。この場合、文字C1は、印字可能領域13cの上寄りに配置され、文字C4は、印字可能領域13c内であって文字C1の下の位置に配置された。文字C2は、印字可能領域13dの上寄りに配置され、文字C5は、印字可能領域13d内であって文字C2の下の位置に配置された。文字C3は、印字可能領域13eの上寄りに配置され、文字C6は、印字可能領域13e内であって文字C3の下の位置に配置された。一方、文字C7,C8,C9は、印字不可領域12を回避しながら文字C4,C5,C6からなる文字行の下に位置し、且つ一行に配列された。この場合、文字C7は、印字可能領域13cの下に位置する印字可能領域13hに配置され、文字C8は、印字可能領域13dの下に位置する印字可能領域13iに配置され、文字C9は、印字可能領域13eの下に位置する印字可能領域13jに配置された。また、これら3つの文字行において、文字C4,C5,C6および文字C7,C8,C9の行方向の各中心は、文字C1,C2,C3の行方向の中心に合わせた。さらに、文字C1,C2,C3の文字行、文字C4,C5,C6の文字行、および文字C7,C8,C9の文字行は、印字対象領域11の右寄りに配置された。
【0077】
なお、上述した3つのレイアウト候補L1,L2,L3は、図6〜8に示すように、何れも「文字C7,C8,C9は一纏まりの文字情報であり、これら3文字を二行以上に改行することは禁止する」という制約と、「文字C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9は全て同じ大きさで印字する」という制約とを遵守している。
【0078】
上述したように3つのレイアウト候補L1,L2,L3が選出された後、印字レイアウト決定部8は、式(4)に示したレイアウト選択関数S(L)を用いて、レイアウト候補L1,L2,L3の中から文字C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9の印字レイアウトを決定した。具体的には、印字レイアウト決定部8は、まず、レイアウト選択関数S(L)に基づいて、レイアウト候補L1,L2,L3の各印字面積を算出した。続いて、印字レイアウト決定部8は、得られたレイアウト候補L1,L2,L3の各印字面積同士を比較した。ここで、レイアウト選択関数S(L)によって算出される印字面積は、各文字C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9の印字面積の合計である。図6〜8を参照しつつ、このような印字面積をレイアウト候補L1,L2,L3間において比較した場合、レイアウト候補L2の印字面積が最も大きい。印字レイアウト決定部8は、レイアウト候補L1,L2,L3の中から、この印字面積が最も大きいレイアウト候補L2を印字レイアウトとして決定した。
【0079】
印字装置1は、このように決定した印字レイアウトに従って、金属コイル15の印字対象領域11に印字要求の文字群を印字した。この結果、この文字群内の各文字C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9は、上述した印字レイアウトの制約を遵守しつつ、図7に示すように、印字不可領域12を回避しながら印字対象領域11内の印字可能領域に対し、他のレイアウト候補L1,L3の場合に比して大きい文字サイズで印字された。
【0080】
その後、金属コイル15に対するバンド16の掛け方を変更して、印字装置1は、本実施例と同様の処理を実行した。すなわち、印字レイアウト決定部8は、このバンド16の掛け方に応じて印字不可領域および印字可能領域のパターンが変更された印字対象領域11の座標情報をもとに、レイアウト評価関数f1(Lj),f2(Lj),f3(Lj)の各々について、遺伝的アルゴリズムに基づき複数のレイアウトLjを構築した。ついで、印字レイアウト決定部8は、印字レイアウトの制約を遵守しつつ、この印字対象領域11と印字可能領域との適合度を評価して、レイアウト評価関数f1(Lj),f2(Lj),f3(Lj)に応じたレイアウト候補L1,L2,L3を選出した。その後、印字レイアウト決定部8は、これらのレイアウト候補L1,L2,L3の中から、レイアウト選択関数S(L)に基づく印字面積が最大のレイアウトLmaxを正式な印字レイアウトとして決定した。
【0081】
このように決定した印字レイアウトは、たとえ印字不可領域および印字可能領域のパターンが変更された場合であっても、本実施例の場合と同様に、上述した印字レイアウトの制約を遵守しつつ、印字不可領域を回避しながら印字対象領域11内の印字可能領域に対し、他のレイアウト候補の場合に比して大きい文字サイズで文字C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9を印字可能なレイアウトであった。
【0082】
なお、本実施例では、評価対象の印字レイアウトが互いに異なる3つのレイアウト評価関数f1(Lj),f2(Lj),f3(Lj)が設定された場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明にかかる印字装置1および印字方法は、評価対象の印字レイアウトが互いに異なる複数(2以上)のレイアウト評価関数fu(Lj)が設定された場合であっても、本実施例の場合と同様の作用効果を奏する。
【0083】
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、バンドによって固縛された金属コイルの外周面に印字対象領域を設定し、この設定した印字対象領域の中から、この外周面に掛かるバンドの位置を含む印字不可領域と、この印字不可領域以外の領域である印字可能領域とを検出している。また、この印字対象領域に印字するよう要求された文字群の印字レイアウトの制約を加味して、この文字群の印字レイアウトと印字可能領域との適合度をレイアウト評価関数によって評価し、この評価結果をもとに、この制約を遵守しつつ印字可能領域に文字群を印字可能な複数のレイアウト候補を選出している。さらに、これら複数のレイアウト候補の中から、この文字群の印字面積が最大となるレイアウト候補を抽出し、この抽出したレイアウト候補を印字要求の文字群の印字レイアウトとして決定するようにし、この決定した印字レイアウトに従って、この印字可能領域に印字要求の文字群を印字している。
【0084】
このため、金属コイルの幅の変更、金属コイルを固縛するバンドの掛け方の変更、バンドの掛かり部分の変更、またはバンドの位置ずれ等に伴って、印字対象領域内における印字不可領域および印字可能領域の各位置、各形状、および各面積が変更された場合であっても、常時、印字レイアウトの制約を遵守しつつ、現行パターンの印字可能領域に適合する多種多様な複数のレイアウト候補を選出できる。さらには、これら複数のレイアウト候補の中から、印字面積が最大となるものを実際の印字レイアウトとして決定できる。
【0085】
この印字レイアウトに従って印字することによって、常に一定パターンの印字可能領域に対しては勿論、金属コイル別に変更される如何なるパターンの印字可能領域に対しても、文字群に含まれる一纏まりの文字行または文字列を意図しない中途位置において崩すことなく、印字不可領域を確実に避けながら、印字可能領域内に可能な限り大きいサイズの文字群を的確に印字できる。
【0086】
この結果、たとえ金属コイルの幅が減少して印字可能領域が狭くなった場合であっても、あるいは、金属コイルを固縛するバンドの本数または幅が増えて印字可能領域が細分化された場合であっても、金属コイルの製造番号等の一纏まりの情報を読み取り困難な状態に崩すことなく、また、金属コイルを固縛するバンドに跨って印字することなく、固縛後の金属コイルの表面に対して視認し易く的確に情報を印字することができる。これによって、金属コイル表面に印字後の情報の誤認を防止するとともに、金属コイルを固縛するバンドの位置によらず、印字後の情報を容易に読み取ることができる。このように金属コイル表面に印字した情報を用いることによって、生産後の金属コイルの個別管理および個別トレースを容易且つ的確に行うことができる。
【0087】
なお、上述した実施の形態では、金属コイル15を固縛するバンド16の位置を印字不可領域12として検出していたが、これに限らず、印字不可領域12の一部として、バンド16の位置の他に、金属コイル15表面の疵、凹凸またはスケール等の表面欠陥の位置を含めてもよい。すなわち、金属コイル15の印字不可領域12は、少なくともバンド16の位置を含む領域であればよい。具体的には、検出部2は、バンド16を検出するとともに、印字対象領域11内に存在する金属コイル15の表面欠陥をさらに検出し、検出した表面欠陥およびバンド16の各位置を印字不可領域12に含まれればよい。このように検出部2によって検出された印字不可領域12は、全体としてバンド16の位置および表面欠陥の位置を含む領域であれば、バンド16の位置と表面欠陥の位置とを連続的に繋げた領域であってもよいし、バンド16の位置と表面欠陥の位置とに各々分けた領域であってもよい。
【0088】
上述したように印字不可領域12の一部として金属コイル15の表面欠陥の位置を含めることによって、文字群の印字レイアウトを選出または決定する際に、バンド16の位置のみならず、印字に支障を来たす表面欠陥の位置を回避した印字レイアウトを構築できる。この結果、上述した作用効果を享受するとともに、バンド16の位置のみならず、金属コイル15の表面欠陥の位置をも確実に避けながら、印字可能領域内に可能な限り大きいサイズの文字群を印字できる。特に、表面欠陥の位置を避けながら印字することによって、表面欠陥に阻害されず鮮明に金属コイル15に文字群を印字でき、この結果、印字後の情報の視認し易さを向上できる。
【0089】
一方、上述した実施の形態では、図3に示したように格子状の印字不可領域12を例示したが、これに限らず、印字不可領域12のパターンは、バンド16の位置の掛け方に応じたパターンであればよい。例えば、印字不可領域12は、金属コイル15に掛けられたバンド16の位置に対応して、印字対象領域11の縦方向に形成された1本以上の線状領域であってもよいし、印字対象領域11の横方向に形成された1本以上の線状領域であってもよいし、これらの線状領域を組み合わせた格子状領域であってもよい。あるいは、印字不可領域12は、金属コイル15の表面欠陥の部分を含んだ不規則な形状の領域であってもよい。
【0090】
また、上述した実施の形態では、図4等に示したように、印字対象領域11の左上コーナー部に直交座標系の原点を設定し、直交座標系の横軸として印字対象領域11の左から右に向かう方向を正方向とするX軸を設定し、直交座標系の縦軸として印字対象領域11の上から下に向かう方向を正方向とするY軸を設定していたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、印字対象領域11における直交座標系の原点の設定位置、X軸およびY軸の設定方向など、この直交座標系に関する各種設定は、所望の設定であればよく、本発明において特に問われない。
【0091】
さらに、上述した実施の形態では、印字要求の文字群に含まれる一纏まりの情報が一行(横一列)の文字行によって表されていたが、これに限らず、本発明において印字レイアウトの制約の対象となる一纏まりの情報は、縦一列の文字列によって表されてもよい。
【0092】
また、上述した実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 印字装置
2 検出部
3 印字部
4 印字制御部
5 入力部
6 表示部
7 記憶部
7a 関数情報
8 印字レイアウト決定部
11 印字対象領域
12 印字不可領域
13a〜13j 印字可能領域
15 金属コイル
16 バンド
1〜C9 文字

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンドによって固縛された金属コイルに印字する印字装置において、
前記金属コイルの外周面に設定した印字対象領域の中から、少なくとも前記バンドの位置を含む印字不可領域と、前記印字不可領域以外の領域である印字可能領域とを検出する検出部と、
前記印字対象領域に印字する文字群と前記文字群の印字レイアウトの制約とを入力する入力部と、
前記制約を加味した前記文字群の印字レイアウトと前記印字可能領域との適合度を所定の評価関数によって評価して、前記制約を遵守しつつ前記印字可能領域に前記文字群を印字できる印字レイアウトの候補を複数選出し、選出した複数の前記候補の中から、前記文字群の印字面積が最大となる候補を前記文字群の印字レイアウトに決定する印字レイアウト決定部と、
前記印字レイアウト決定部が決定した印字レイアウトに従って前記印字可能領域に前記文字群を印字する印字部と、
を備えたことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記印字レイアウト決定部は、印字レイアウトの種類毎に、前記評価関数によって評価した前記適合度が最大となる印字レイアウトを前記候補として選出することを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記印字対象領域の中から前記金属コイルの表面欠陥を検出し、検出した前記表面欠陥の位置を前記印字不可領域に含めることを特徴とする請求項1または2に記載の印字装置。
【請求項4】
バンドによって固縛された金属コイルに印字する印字方法において、
前記金属コイルの外周面に設定した印字対象領域の中から、少なくとも前記バンドの位置を含む印字不可領域と、前記印字不可領域以外の領域である印字可能領域とを検出し、前記印字対象領域に印字する文字群の印字レイアウトの制約を加味して、前記文字群の印字レイアウトと前記印字可能領域との適合度を所定の評価関数によって評価し、この評価結果をもとに、前記制約を遵守しつつ前記印字可能領域に前記文字群を印字できる印字レイアウトの候補を複数選出し、選出した複数の前記候補の中から、前記文字群の印字面積が最大となる候補を前記文字群の印字レイアウトに決定し、この決定した印字レイアウトに従って前記印字可能領域に前記文字群を印字することを特徴とする印字方法。
【請求項5】
印字レイアウトの種類毎に、前記候補として、前記評価関数によって評価した前記適合度が最大となる印字レイアウトを選出することを特徴とする請求項4に記載の印字方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−99754(P2013−99754A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243776(P2011−243776)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】