説明

印字装置および印字装置における用紙幅方向端部位置の検出方法

【課題】印字対象用紙の幅方向端部の位置を高速かつ短時間で検出する。
【解決手段】制御部は、第1制御により、第1間隔で用紙2の左右両端2a,2bの大まかな位置を検出してから、第2制御により、第1制御で検出された大まかな位置に係る第1間隔の範囲について、第1間隔よりも小さい第2間隔で、用紙2の有無を細かく検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字装置、および、印字装置における用紙幅方向端部位置の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリアルプリンタ等の印字装置では、印字ヘッドがそなえられ、この印字ヘッドを用紙の送り方向と直交する幅方向へ移動させながら、用紙に対する印字が行なわれる。印字ヘッドは、用紙に対しヘッドピンを突出させることにより用紙上にドットを形成し印字を行なっている。このような印字装置では、ヘッドピンが用紙幅を越えて印字することにより用紙以外の機構等に当たって折損することを防止すべく、用紙吸入時に用紙の左右両端の位置(用紙幅方向端部位置)を検出し、用紙範囲外に対する印字動作を抑止することが行なわれている。
【0003】
図10(A),図10(B)および図11を参照しながら、用紙の左右両端の位置(用紙幅方向端部位置)を検出する一般的構成および従来手順について説明する。なお、図10(A)および図10(B)は一般的な印字装置のヘッド部の構成を示すもので、図10(A)はその正面図、図10(B)はその側面図である。また、図11は、用紙の左右両端の位置(用紙幅方向端部位置)を検出する一般的構成および従来手順を説明すべく、一般的な印字装置の要部構成を模式的に示す図である。
【0004】
ここで説明する印字装置は、装置前後から用紙2を吸入可能に構成され、図10(A)および図10(B)に示すように、印字装置のヘッド部10は、印字ヘッド11と、一対のセンサ12a,12bと、カードガイド13と、キャリア14とを有している。印字ヘッド11,センサ12a,12bおよびカードガイド13は、キャリア14に搭載されている。このキャリア14を駆動部(図示略)によって駆動することで、ヘッド部10は、用紙2の幅方向(図11の左右方向)へ移動可能に構成される。
【0005】
印字対象の用紙2は、装置前方(図11の下方)または装置後方(図11の上方)から吸入され、カードガイド13により印字ヘッド11とプラテン20との間に案内される。このように案内された用紙2に対し、印字ヘッド11(ヘッド部10)は、用紙2の幅方向(図11の左右方向)へ移動しながら印字を行なう。
【0006】
センサ12a,12bは、左右一対そなえられ、それぞれ、用紙2の有無を検出する反射型センサである。センサ12a,12bは、印字ヘッド11を挟んで幅方向(図11の左右方向)に所定間隔を空けて配置されるとともに、用紙2の送り方向(図11の上下方向)に所定間隔を空けて配置される。図11では、センサ12aがセンサ12bよりも装置前方(図11の下方)に配置されている。
【0007】
上述の構成により、従来、以下の手順で、用紙2の左右両端2a,2bの位置が検出される。ここでは、用紙2が装置前方から吸入された場合について説明する。図11に示すように、用紙2の吸入時にヘッド部10はセンタポジション(実線参照)に配置され、センサ12a,12bの両方が用紙2を検知した状態つまり用紙2がセンサ12a,12bの位置まで吸入された状態で、用紙2の左右両端2a,2bの位置が検出される。
【0008】
まず、ヘッド部10は、図11に実線で示すセンタポジションから、装置前方吸入時の基準位置/原点位置である左ホームポジション(図11の二点鎖線参照)に移動される。左ホームポジションにおいて、基本的に用紙2は存在していないので、センサ12aは、用紙2の無い状態(プラテン20の色である黒色)を検出している。この後、ヘッド部10を左ホームポジションから右方向(図11の矢印A1参照)へ移動させながら、センサ12aがプラテン20の黒色と用紙2の白色とを判別することで用紙2の左端2aの位置が検出される。つまり、センサ12aが黒色から白色への変化(用紙2の無から有への変化)を検出した位置が、用紙2の左端2aの位置として検出される。
【0009】
用紙2の左端2aの位置が検出されると、ヘッド部10は、左ホームポジション経由で図11に実線で示すセンタポジションへ移動される。センタポジションにおいて、基本的に用紙2は存在しているので、センサ12aは、用紙2の有る状態(用紙2の色である白色)を検出している。この後、ヘッド部10をセンタポジションから右方向(図11の矢印A2参照)へ移動させながら、センサ12bがプラテン20の黒色と用紙2の白色とを判別することで用紙2の右端2bの位置が検出される。つまり、センサ12bが白色から黒色への変化(用紙2の有から無への変化)を検出した位置が、用紙2の右端2bの位置として検出される。
【0010】
なお、ヘッド部10を移動させる駆動部(図示略)としては、通常、ステッピングモータが用いられる。このため、ヘッド部10をセンタポジション等の所定位置に位置決めする場合、ヘッド部10は、ステッピングモータの原点位置である左ホームポジションに一旦戻ってから所定位置へ位置決めされる。
また、用紙2が装置後方から吸入される場合は、右ホームポジションが基準位置/原点位置として用いられ、装置前方吸入時とは左右を逆にした手順で、用紙2の左右両端2a,2bの位置が検出される。
【0011】
上述した従来手順では、装置前方吸入時、左ホームポジションから左端2aの位置を検出するまでの範囲とセンタポジションから右端2bの位置を検出するまでの範囲との全域に対し、センサ12aまたは12bによるスキャンを行なう必要がある。また、装置後方吸入時、右ホームポジションから右端2bの位置を検出するまでの範囲とセンタポジションから左端2aの位置を検出するまでの範囲との全域に対し、センサ12bまたは12aによるスキャンを行なう必要がある。
【0012】
このため、ヘッド部10を駆動するステッピングモータに対し1ステップ毎に移動の指示を与え、1ステップに対応する間隔だけヘッド部10を移動させて用紙2の有無の検出を行なう処理を繰り返す必要があった。このように、1ステップ毎に移動・検出を行なう場合、その移動・検出を行なう全範囲に文字を印字するのに要する時間と同等の時間がかかる。つまり、従来の手順では、1ステップ毎に移動・検出を行なうため、用紙2の左右両端2a,2bの位置を検出するのに多大な時間を要している。
【0013】
ところで、シリアルプリンタ等の印字装置にはプレプリント用紙への印字要求がある。プレプリント用紙は、例えば、事前に罫線枠やロゴ等が印字されている用紙である。
図12は、プレプリントを施された用紙2の例を示す図である。図12に示す例では、用紙2の上部に、2つのプレプリント部分2c,2dとして、反射率の低い印字(色の濃いプレプリント)が施されている。このような用紙2では、図11に示すごとくヘッド部10がセンタポジションから右方向へ移動しながらセンサ12bが用紙2の右端2bの位置を検出する際、センサ12bは、プラテン20の黒色と右側のプレプリント部分2cとを判別できなくなる場合がある。
【0014】
この場合、図14に示すように、センサ12bは、プレプリント部分2cの左端を、用紙2の右端2bの位置として誤検知してしまい、用紙2の右端2bまで印字すべき印字データがあったとしても(図13参照)、プレプリント部分2cの左端までしか印字データを印字することができない。このような状態を回避するためには、センサ12a,12bによる用紙2の左右両端2a,2bの位置検出を解除するしかなく、位置検出を解除した場合、用紙範囲外への印字が避けられずヘッドピンの折損を招くおそれがある。
なお、図13は、図12に示す用紙2に対する、所望の印字結果例を示す図である。図14は、図12に示す用紙において、プレプリントによって用紙幅方向端部位置(右端の位置)を誤検知した場合の印字結果例を示す図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2007−145540号公報
【特許文献2】特開昭62−70075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述したように、従来の手順では、1ステップ毎に移動・検出を行なうため、用紙の左右両端の位置を検出するのに多大な時間を要している。
また、プレプリント用紙の左右両端の位置を検出する場合、従来の手順では、プレプリント部分を用紙の端部位置として誤検知し、所望の範囲に印字データを印字することができなくなる。
【0017】
一つの側面で、本件は、印字対象用紙の幅方向端部の位置を高速かつ短時間で検出することを目的とする。
なお、前記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的の一つとして位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本件の印字装置は、用紙に対する印字を行なう印字ヘッドと前記用紙の有無を検出するセンサとを含むヘッド部と、前記ヘッド部を、前記用紙の送り方向と直交する幅方向に移動させる駆動部と、前記センサによる検出結果に基づき前記駆動部を制御することにより、前記印字ヘッドの前記用紙に対する位置を制御する制御部と、を有する。そして、前記制御部は、前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を基準位置から所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第1制御と、前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記所定方向と逆方向の位置から、前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔よりも小さい第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第2制御と、を実行し、前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記用紙の前記幅方向の端部位置として認識する。
【0019】
また、本件の印字装置は、上述と同様のヘッド部,駆動部および制御部を有する。そして、前記制御部は、前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を前記用紙の無い一端側基準位置から所定方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の一端部位置として認識するとともに、前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を前記用紙の無い他端側基準位置から前記所定方向と逆方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の他端部位置として認識する。
【0020】
本件の用紙幅方向端部位置の検出方法は、用紙に対する印字を行なう印字ヘッドと前記用紙の有無を検出するセンサとを含むヘッド部と、前記ヘッド部を前記用紙の送り方向と直交する幅方向に移動させる駆動部と、を有する印字装置を対象としている。そして、本件の用紙幅方向端部の検出方法は、前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を基準位置から所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第1制御を実行し、前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記所定方向と逆方向の位置から前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔よりも小さい第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第2制御を実行し、前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記用紙の前記幅方向の端部位置として認識する。
【0021】
また、本件の印字装置における用紙幅方向端部位置の検出方法は、用紙に対する印字を行なう印字ヘッドと前記用紙の有無を検出するセンサとを含むヘッド部と、前記ヘッド部を前記用紙の送り方向と直交する幅方向に移動させる駆動部と、を有する印字装置を対象としている。そして、本件の用紙幅方向端部の検出方法は、前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を前記用紙の無い一端側基準位置から所定方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の一端部位置として認識するとともに、前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を前記用紙の無い他端側基準位置から前記所定方向と逆方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の他端部位置として認識する。
【発明の効果】
【0022】
一態様によれば、印字対象用紙の幅方向端部の位置を高速かつ短時間で検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態としての印字装置のハードウエア構成および機能構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す印字装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】図1に示す印字装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】図1に示す印字装置の動作をより具体的に説明するための図である。
【図5】第2実施形態としての印字装置のハードウエア構成および機能構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示す印字装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】第3実施形態としての印字装置のハードウエア構成および機能構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示す印字装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】図7に示す印字装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】(A)および(B)は一般的な印字装置のヘッド部の構成を示すもので、(A)はその正面図、(B)はその側面図である。
【図11】用紙の左右両端の位置を検出する一般的構成および従来手順を説明すべく一般的な印字装置の要部構成を模式的に示す図である。
【図12】プレプリントを施された用紙の例を示す図である。
【図13】図12に示す用紙に対する、所望の印字結果例を示す図である。
【図14】図12に示す用紙においてプレプリントによって用紙幅方向端部位置を誤検知した場合の印字結果例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して実施の形態を説明する。
〔1〕第1実施形態
〔1−1〕第1実施形態の構成
図1は、第1実施形態としての印字装置(プリンタ)1Aのハードウエア構成および機能構成を示すブロック図である。
図1に示すプリンタ1Aは、例えば水平方式のシリアルプリンタで、装置前後から用紙2を吸入可能に構成されている。プリンタ1Aは、ヘッド部10,ステッピングモータ15,プラテン20,モータ21,CPU(Central Processing Unit;処理部)30および記憶部40を有している。
【0025】
ヘッド部10は、図10(A)および図10(B)を参照しながら前述したように、印字ヘッド11,左端センサ12a,右端センサ12b,カードガイド13およびキャリア14を有している。印字ヘッド11,センサ12a,12bおよびカードガイド13は、キャリア14に搭載されている。このキャリア14をステッピングモータ(駆動部)15によって駆動することで、ヘッド部10は、用紙2の送り方向(図11の上下方向)と直交する幅方向(図11の左右方向)へ移動可能に構成される。
【0026】
印字対象の用紙2は、装置前方(図11の下方)または装置後方(図11の上方)から吸入され、カードガイド13により印字ヘッド11とプラテン20との間に案内される。このとき、プラテン20は、ステッピングモータ等のモータ21により回転駆動され、用紙2の吸入・紙送りを行なう。プラテン20により紙送りされる用紙2に対し、印字ヘッド11(ヘッド部10)は、用紙2の幅方向(図11の左右方向)へ移動しながら印字を行なう。
【0027】
センサ12a,12bは、用紙2の有無を検出する反射型センサである。従って、センサ12a,12bが反射率の低い色(例えばプラテン20の黒色)を検出した場合、用紙2が無い状態であると判断することができる。一方、センサ12a,12bが反射率の高い色(例えば用紙2の白色)を検出した場合、用紙2が有る状態であると判断することができる。
【0028】
また、センサ12a,12bは、印字ヘッド11を挟んで幅方向(図11の左右方向)に所定間隔を空けて配置されるとともに、用紙2の送り方向(図11の上下方向)に所定間隔を空けて配置される。前述したように、センサ12aは、センサ12bよりも装置前方(図11の下方)に配置されている。従って、用紙2の吸入時にセンサ12aが用紙2を検知してからセンサ12bが用紙2を検知した場合、装置前方から用紙2が吸入されたと判断される。一方、用紙2の吸入時にセンサ12bが用紙2を検知してからセンサ12aが用紙2を検知した場合、装置後方から用紙2が吸入されたと判断される。
【0029】
CPU30は、パーソナルコンピュータ(PC)3に接続され、PC3からの指示に従って、センサ12a,12b等の検出結果に基づきプリンタ1Aの印字ヘッド11およびモータ15,21などの制御を行ない、用紙2に対する印字を実行する。特に、CPU30は、センサ12a,12bによる検出結果に基づきステッピングモータ15を制御することにより印字ヘッド11の用紙2に対する位置を制御する制御部31として機能する。制御部31は、後述するように、用紙2の左右両端2a,2bの位置を検出する動作(後述する第1制御および第2制御)を行なう。CPU30は、上述した制御機能や制御部31としての機能を所定のプログラムを実行することにより実現する。所定のプログラムは、記憶部40や、CPU30に接続された外部記憶装置(図示略)等に予め記憶されている。
【0030】
記憶部40は、RAM(Random Access Memory)等によって構成され、第1制御用ステップ数格納領域41,第1制御用検出位置格納領域42,左端位置格納領域43および右端位置格納領域44を有している。
第1制御用ステップ数格納領域41は、PC3によって設定される第1制御用ステップ数を格納保存する。第1制御用ステップ数は、制御部31の第1制御(後述)におけるヘッド部10の移動量、つまり後述する第1区間の長さ(検出幅)を規定するもので、例えば10が設定される。
【0031】
第1制御用検出位置格納領域42は、後述する第1制御に伴いセンサ12a,12bにより用紙2の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、その変化を検出した位置(例えば図4の位置P3,P6)を格納保存する。
左端位置格納領域43は、本実施形態によって検出された用紙2の左端2aの位置(例えば図4の位置P23)を格納保存し、右端位置格納領域44は、本実施形態によって検出された用紙2の右端2bの位置(例えば図4の位置P53)を格納保存する。
【0032】
なお、図1において、印字ヘッド11,センサ12a,12b,モータ15,21,記憶部40は、CPU30に対し、直接接続されるように図示されているが、実際には、バスや適当なインタフェースを介して接続される。
【0033】
制御部31は、用紙2を少なくともセンサ12a,12bの位置まで吸入した状態で、第1制御(図2,図3のステップA14〜A17,A23〜A27,A33〜A36,A42〜A46)および第2制御(図2,図3のステップA18〜A22,A28〜A32,A37〜A41,A47〜A51)を行なう。
第1制御において、制御部31は、駆動部15によりヘッド部10を基準位置から所定方向へ移動させながら、ヘッド部10が第1間隔だけ移動する都度、センサ12a,12bによる検出結果を取得する。
【0034】
第1間隔は、ステッピングモータ15の所定数(2以上)ステップに対応する間隔で、以下では「検出幅」という場合もある。本実施形態において、第1間隔は、記憶部40の第1制御用ステップ数格納領域41に設定された値によって規定される。例えば記憶部40の第1制御用ステップ数格納領域41に10が設定される場合、第1間隔は、ステッピングモータ15の10ステップ分に対応する間隔となる。
【0035】
制御部31は、第1制御に伴いセンサ12a,12bにより用紙2の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、第1制御での変化検出位置を、記憶部40の第1制御用検出位置格納領域42に保存してから、第2制御に移行する。
第2制御において、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、第1制御での変化検出位置よりも第1間隔だけ所定方向と逆方向の位置から、所定方向へ移動させる。そして、制御部31は、ヘッド部10が第2間隔だけ移動する都度、センサ12a,12bによる検出結果を取得する。第2間隔は、第1間隔よりも小さく、例えば、ステッピングモータ15の1ステップ分に対応する間隔である。
【0036】
制御部31は、第2制御に伴いセンサ12a,12bにより用紙2の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、第2制御での変化検出位置を、用紙2の幅方向の端部位置つまり用紙2の左端2aまたは右端2bの位置として認識し、左端位置格納領域43および右端位置格納領域44に保存する。
この後、CPU30は、記憶部40の領域43,44に保存された位置をそれぞれ用紙の左端2aおよび右端2bの位置として認識し、これらの位置の範囲内に印字を行なうよう、用紙2に対する印字制御を実行する。
【0037】
〔1−2〕第1実施形態の動作
次に、上述のごとく構成されたプリンタ1Aにおける、用紙2の左右両端2a,2bの位置の検出手順について、図4を参照しながら、図2および図3に示すフローチャート(ステップA11〜A51)に従って説明する。図4は、用紙2を装置前方から吸入する場合について、プリンタ1Aの動作をより具体的に説明するための図である。
【0038】
PC3からの指示によってプリンタ1Aが起動されると、まず、PC3から指定される検出幅である第1制御用ステップ数(例えば10)が、記憶部40の格納領域41に格納される(ステップA11)。この後、制御部31は、ヘッド部10を、中央基準位置であるセンタポジション(図4の位置PC参照)に移動させ、プラテン20をモータ21によって駆動し、センサ12a,12bの両方が用紙2を検知する位置、つまり用紙2をセンサ12a,12bの位置まで吸入させる(ステップA12)。
【0039】
用紙2がセンサ12a,12bの位置まで吸入されると、制御部31は、用紙2の吸入方向が、装置前方(図4,図11の下方)からか、装置後方(図4,図11の上方)からかの判定を行なう(ステップA13)。この判定は、PC3からの指示情報、もしくは、上述したようにセンサ12a,12bによる用紙2の検知順序に従って行なわれる。
【0040】
用紙2が装置前方から吸入された場合(ステップA13のYESルート)、制御部31は、まず、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、センタポジションPCから、用紙2の無い左ホームポジション(一端側基準位置;図4の位置PL参照)まで高速スキップさせる(ステップA14)。
【0041】
そして、制御部31は、左ホームポジションPLから、左端センサ12aによって用紙2が検出されるまで、検出幅単位でヘッド部10を所定方向(右方向)へ移動させる(ステップA15,A16)。つまり、左端センサ12aによって用紙2が検出されなければ(ステップA15のNOルート)、制御部31は、ステッピングモータ15によりヘッド部10を検出幅(10ステップ分)だけ右方向へ移動させ(ステップA16)、ステップA15の処理に戻る。左端センサ12aによって用紙2が検出されると(ステップA15のYESルート)、制御部31は、ステップA15で用紙2を検出した位置(例えば図4の位置P3参照)を、記憶部40の格納領域42に格納する(ステップA17)。
【0042】
この後、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、検出位置P3から左ホームポジションPLまで高速スキップさせる(ステップA18;図4の矢印a4参照)。
また、制御部31は、記憶部40の格納領域42における検出位置を参照し、この検出位置よりも検出幅(10ステップ分)だけ左ホームポジションPL側(左方向)の位置(例えば図4の位置P2参照)を求める。そして、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、左ホームポジションPLから、求められた位置P2まで高速スキップさせる(ステップA19;図4の矢印a5参照)。
【0043】
制御部31は、ステップA19で移動した位置P2から、左端センサ12aによって用紙2が検出されるまで、ステッピングモータ15のステップ単位でヘッド部10を所定方向(右方向)へ移動させる(ステップA20,A21)。つまり、左端センサ12aによって用紙2が検出されなければ(ステップA20のNOルート)、制御部31は、ステッピングモータ15によりヘッド部10を1ステップ分だけ右方向へ移動させ(ステップA21)、ステップA20の処理に戻る。左端センサ12aによって用紙2が検出されると(ステップA20のYESルート)、制御部31は、ステップA20で用紙2を検出した位置(例えば図4の位置P23参照)を、用紙2の左端(一端部位置)2aの位置として、記憶部40の左端位置格納領域43に格納する(ステップA22)。
【0044】
ついで、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、用紙2の左端2aの位置から、左ホームポジションPLまで高速スキップさせる(ステップA23;図4の矢印a6参照)。さらに、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、左ホームポジションPLから、用紙2の有るセンタポジションPCまで高速スキップさせる(ステップA24;図4の矢印a7参照)。
【0045】
そして、制御部31は、センタポジションPCから、右端センサ12bによって用紙2が検出されなくなるまで、検出幅単位でヘッド部10を所定方向(右方向)へ移動させる(ステップA25,A26)。つまり、右端センサ12bによって用紙無しが検出されなければ(ステップA25のNOルート)、制御部31は、ステッピングモータ15によりヘッド部10を検出幅(10ステップ分)だけ右方向へ移動させ(ステップA26)、ステップA25の処理に戻る。右端センサ12bによって用紙無しが検出されると(ステップA25のYESルート)、制御部31は、ステップA25で用紙無しを検出した位置(例えば図4の位置P6参照)を、記憶部40の格納領域42に格納する(ステップA27)。
【0046】
この後、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、検出位置P6から左ホームポジションPLまで高速スキップさせる(ステップA28;図4の矢印a11参照)。
また、制御部31は、記憶部40の格納領域42における検出位置を参照し、この検出位置よりも検出幅(10ステップ分)だけ左ホームポジションPL側(左方向)の位置(例えば図4の位置P5参照)を求める。そして、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、左ホームポジションPLから、求められた位置P5まで高速スキップさせる(ステップA29;図4の矢印a12参照)。
【0047】
制御部31は、ステップA29で移動した位置P5から、右端センサ12bによって用紙無しが検出されるまで、ステッピングモータ15のステップ単位でヘッド部10を所定方向(右方向)へ移動させる(ステップA30,A31)。つまり、右端センサ12bによって用紙無しが検出されなければ(ステップA30のNOルート)、制御部31は、ステッピングモータ15によりヘッド部10を1ステップ分だけ右方向へ移動させ(ステップA31)、ステップA30の処理に戻る。右端センサ12bによって用紙無しが検出されると(ステップA30のYESルート)、制御部31は、ステップA30で用紙無しを検出した位置(例えば図4の位置P53参照)を、用紙2の右端(他端部位置)2bの位置として、記憶部40の右端位置格納領域44に格納し(ステップA32)、処理を終了する。
【0048】
上述したステップA14〜A32の処理が、用紙2を装置前方から吸入した時の処理である。また、上述したステップA14〜A22の処理が、用紙2の左端2aの位置を検出する処理で、ステップA14〜A17の処理が、制御部31による上記第1制御に対応する処理で、ステップA18〜A22の処理が、制御部31による上記第2制御に対応する処理である。同様に、上述したステップA23〜A32の処理が、用紙2の右端2bの位置を検出する処理で、ステップA23〜A27の処理が、制御部31による上記第1制御に対応する処理で、ステップA28〜A32の処理が、制御部31による上記第2制御に対応する処理である。
【0049】
一方、用紙2が装置後方から吸入された場合(ステップA13のNOルート)、制御部31は、まず、駆動部15により、ヘッド部10を、センタポジションから、用紙2の無い右ホームポジション(他端側基準位置;図4の位置PR参照)まで高速スキップさせる(ステップA33)。
そして、制御部31は、右ホームポジションPRから、右端センサ12bによって用紙2が検出されるまで、検出幅単位でヘッド部10を所定方向(左方向)へ移動させる(ステップA34,A35)。つまり、右端センサ12bによって用紙2が検出されなければ(ステップA34のNOルート)、制御部31は、ステッピングモータ15によりヘッド部10を検出幅(10ステップ分)だけ左方向へ移動させ(ステップA35)、ステップA34の処理に戻る。右端センサ12bによって用紙2が検出されると(ステップA34のYESルート)、制御部31は、ステップA34で用紙2を検出した位置を、記憶部40の格納領域42に格納する(ステップA36)。
【0050】
この後、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、検出位置から右ホームポジションPRまで高速スキップさせる(ステップA37)。
また、制御部31は、記憶部40の格納領域42における検出位置を参照し、この検出位置よりも検出幅(10ステップ分)だけ右ホームポジションPR側(右方向)の位置を求める。そして、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、右ホームポジションPRから、求められた位置まで高速スキップさせる(ステップA38)。
【0051】
制御部31は、ステップA38で移動した位置P2から、右端センサ12bによって用紙2が検出されるまで、ステッピングモータ15のステップ単位でヘッド部10を所定方向(左方向)へ移動させる(ステップA39,A40)。つまり、右端センサ12bによって用紙2が検出されなければ(ステップA39のNOルート)、制御部31は、ステッピングモータ15によりヘッド部10を1ステップ分だけ左方向へ移動させ(ステップA40)、ステップA39の処理に戻る。右端センサ12bによって用紙2が検出されると(ステップA39のYESルート)、制御部31は、ステップA39で用紙2を検出した位置を、用紙2の右端(他端部位置)2bの位置として、記憶部40の右端位置格納領域44に格納する(ステップA41)。
【0052】
ついで、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、用紙2の右端2bの位置から、右ホームポジションPRまで高速スキップさせる(ステップA42)。さらに、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、右ホームポジションPRから、用紙2の有るセンタポジションPCまで高速スキップさせる(ステップA43)。
【0053】
そして、制御部31は、センタポジションPCから、左端センサ12aによって用紙2が検出されなくなるまで、検出幅単位でヘッド部10を所定方向(左方向)へ移動させる(ステップA44,A45)。つまり、左端センサ12aによって用紙無しが検出されなければ(ステップA44のNOルート)、制御部31は、ステッピングモータ15によりヘッド部10を検出幅(10ステップ分)だけ左方向へ移動させ(ステップA45)、ステップA44の処理に戻る。左端センサ12aによって用紙無しが検出されると(ステップA44のYESルート)、制御部31は、ステップA44で用紙無しを検出した位置を、記憶部40の格納領域42に格納する(ステップA46)。
【0054】
この後、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、ステップA44での検出位置から右ホームポジションPRまで高速スキップさせる(ステップA47)。
また、制御部31は、記憶部40の格納領域42における検出位置を参照し、この検出位置よりも検出幅(10ステップ分)だけ右ホームポジションPR側(右方向)の位置を求める。そして、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、右ホームポジションPRから、求められた位置まで高速スキップさせる(ステップA48)。
【0055】
制御部31は、ステップA48で移動した位置から、左端センサ12aによって用紙無しが検出されるまで、ステッピングモータ15のステップ単位でヘッド部10を所定方向(左方向)へ移動させる(ステップA49,A50)。つまり、左端センサ12aによって用紙無しが検出されなければ(ステップA49のNOルート)、制御部31は、ステッピングモータ15によりヘッド部10を1ステップ分だけ左方向へ移動させ(ステップA50)、ステップA49の処理に戻る。左端センサ12aによって用紙無しが検出されると(ステップA49のYESルート)、制御部31は、ステップA49で用紙無しを検出した位置を、用紙2の左端(一端部位置)2aの位置として、記憶部40の左端位置格納領域43に格納し(ステップA51)、処理を終了する。
【0056】
上述したステップA33〜A52の処理が、用紙2を装置後方から吸入した時の処理である。また、上述したステップA33〜A41の処理が、用紙2の右端2bの位置を検出する処理で、ステップA33〜A36の処理が、制御部31による上記第1制御に対応する処理で、ステップA37〜A41の処理が、制御部31による上記第2制御に対応する処理である。同様に、上述したステップA42〜A51の処理が、用紙2の左端2aの位置を検出する処理で、ステップA42〜A46の処理が、制御部31による上記第1制御に対応する処理で、ステップA47〜A51の処理が、制御部31による上記第2制御に対応する処理である。
【0057】
〔1−3〕第1実施形態の具体的な動作
次に、図4を参照しながら、図1に示すプリンタ1Aの動作をより具体的に説明する。図4は、上述したように、用紙2を装置前方から吸入する場合について、プリンタ1Aの動作をより具体的に説明するための図で、図2を参照しながら上述したステップA15〜A32の処理の具体例を示している。図4中の○は、センサ12aまたは12bによって用紙2の有無の検出を行なう検出動作箇所、もしくは、ヘッド部10の移動箇所を示している。
【0058】
図4に示す例では、ヘッド部10は、左ホームポジションPLから、矢印a1,a2,a3で示すように移動し、10ステップ毎の検出動作箇所PL,P1,P2,P3で、左端センサ12aにより用紙2の有無が検知される。このとき、検出動作箇所PL,P1,P2において用紙2は検出されず、左ホームポジションPLから30ステップだけ右方向へ移動した検出動作箇所P3で用紙2が検出される(ステップA15のYESルート)。そして、制御部31は、位置P3を記憶部40の格納領域42に格納する(ステップA17)。
【0059】
この後、ヘッド部10は、矢印a4で示すように、検出位置P3から左ホームポジションPLまで高速スキップする(ステップA18)。さらに、ヘッド部10は、矢印a5で示すように、左ホームポジションPLから、検出位置P3の一つ手前の検出動作箇所P2まで高速スキップする(ステップA19)。
【0060】
つづいて、ヘッド部10は、検出動作箇所P2から1ステップずつ右方向へ移動し、検出動作箇所P2,P21,P22,P23で、左端センサ12aにより用紙の2の有無が検知される。このとき、検出動作箇所P2,P21,P22において用紙2は検出されず、検出動作箇所P2から3ステップだけ右方向へ移動した検出動作箇所P23で用紙2が検出される(ステップA20のYESルート)。そして、制御部31は、用紙2が無から有に変化した検出動作箇所P23の位置を、用紙2の左端2aの位置と認識して、記憶部40の左端位置格納領域43に格納する(ステップA22)。
【0061】
従って、従来、左ホームポジションPLから、ヘッド部10を、ステップ単位で23回、右方向へ移動させることで検知されていた左端2aの位置が、本実施形態によれば、ヘッド部10を8回、移動させることによって検知される。つまり、ヘッド部10を、矢印a1〜a5で示すように5回移動させた後、ステップ単位で3回、右方向へ移動させることで検知される。
【0062】
ついで、ヘッド部10は、矢印a6で示すように、左端2aの位置P23から左ホームポジションPLまで高速スキップする(ステップA23)。さらに、ヘッド部10は、矢印a7で示すように、左ホームポジションPLから、センタポジションPCまで高速スキップする(ステップA24)。
【0063】
そして、ヘッド部10は、センタポジションPCから、矢印a8,a9,a10で示すように移動し、10ステップ毎の検出動作箇所PC,P4,P5,P6で、右端センサ12bにより用紙2の有無が検知される。このとき、検出動作箇所PC,P4,P5において用紙無しは検出されず、センタポジションPCから30ステップだけ右方向へ移動した検出動作箇所P6で用紙無しが検出される(ステップA25のYESルート)。そして、制御部31は、位置P6を記憶部40の格納領域42に格納する(ステップA27)。
【0064】
この後、ヘッド部10は、矢印a11で示すように、検出位置P6から左ホームポジションPLまで高速スキップする(ステップA28)。さらに、ヘッド部10は、矢印a12で示すように、左ホームポジションPLから、検出位置P6の一つ手前の検出動作箇所P5まで高速スキップする(ステップA29)。
【0065】
つづいて、ヘッド部10は、検出動作箇所P5から1ステップずつ右方向へ移動し、検出動作箇所P5,P51,P52,P53で、右端センサ12bにより用紙の2の有無が検知される。このとき、検出動作箇所P5,P51,P52において用紙2は検出されず、検出動作箇所P5から3ステップだけ右方向へ移動した検出動作箇所P53で用紙無しが検出される(ステップA30のYESルート)。そして、制御部31は、用紙2が有から無に変化した検出動作箇所P53の位置を、用紙2の右端2bの位置と認識して、記憶部40の右端位置格納領域44に格納する(ステップA32)。
【0066】
従って、従来、センタポジションPCから、ヘッド部10を、ステップ単位で23回、右方向へ移動させることで検知されていた右端2bの位置が、本実施形態によれば、ヘッド部10を8回、移動させることによって検知される。つまり、ヘッド部10を、矢印a8〜a12で示すように5回移動させた後、ステップ単位で3回、右方向へ移動させることで検知される。
【0067】
図4では、用紙2を装置前方から吸入する場合の具体的な動作(特に図2のステップA15〜A32の処理の具体例)について説明したが、用紙2を装置後方から吸入する場合の具体的な動作(特に図2のステップA34〜A51の処理)も、図4に示す動作例と同様に行なわれる。ただし、用紙2が装置後方から吸入される場合は、右ホームポジションPRが、ステッピングモータ15の基準位置/原点位置として用いられ、装置前方吸入時とは左右を逆にした手順で、用紙2の左右両端2a,2bの位置が検出される。
【0068】
〔1−4〕第1実施形態の効果
従来の手順では、ステッピングモータ15に対し1ステップ毎に移動の指示を与え、1ステップに対応する間隔だけヘッド部10を移動させて用紙2の有無の検出を行なう処理を繰り返していた。このため、従来の手順では、その移動・検出を行なう全範囲に文字を印字するのに要する時間と同等の時間が、用紙2の左右両端2a,2bの位置を検出するのに要していた。
【0069】
これに対し、第1実施形態のプリンタ1Aでは、まず、ステッピングモータ15に対し10ステップ単位で移動する指示を与え、10ステップに対応する検出幅(第1間隔)単位でヘッド部10を移動させ、左右両端2a,2bの大まかな位置が検出される。ついで、ヘッド部10は、ホームポジションPLまたはPRに一旦戻され、上記大まかな位置よりも検出幅だけ手前の位置へ一気に移動する。そして、ステッピングモータ15に対し1ステップ毎に移動する指示を与え、1ステップ毎に用紙2の有無が細かく検知される。
【0070】
したがって、左右両端2a,2bの大まかな位置を10ステップ単位で検出した場合、大まかな位置を検出するのに要する時間は、従来の10分の1となる。このため、用紙2の有無が変化した検出幅の範囲について1ステップ単位で用紙2の有無を検知したとしても、左右両端2a,2bの正確な位置を検出するまでに要する時間は、従来手順よりも大幅に短縮される。
【0071】
例えば図4を参照しながら上述したように、従来手順ではヘッド部10を23回移動させて左端2aまたは右端2bの位置を検出していたのに対し、第1実施形態のプリンタ1Aでは、ヘッド部10を8回移動させるだけで左端2aまたは右端2bの位置を検出することができる。従って、左右両端2a,2bの位置を検出するまでに要する時間は、従来手順よりも大幅に短縮されることは明かである。
【0072】
このように、第1実施形態のプリンタ1Aでは、ステッピングモータ15の1ステップ毎に行なわれていた検出が、間引いて実行され、第1間隔(例えば10ステップ分の間隔)で用紙2の左右両端2a,2bの大まかな位置が検出される(第1制御)。そして、用紙2の有無が変化した検出幅の範囲について、第1間隔よりも小さい第2間隔(例えば1ステップ分の間隔)で用紙2の有無が細かく検知される(第2制御)。これにより、印字対象の用紙2の左右両端2a,2bの位置を高速かつ短時間で検出することができる。また、第1実施形態のプリンタ1Aによれば、用紙サイズに関係なく不定形の用紙2についても、用紙2の左右端2a,2bの位置を高速かつ短時間で検出することができる。
【0073】
〔2〕第2実施形態
〔2−1〕第2実施形態の構成
図5は、第2実施形態としての印字装置(プリンタ)1Bのハードウエア構成および機能構成を示すブロック図である。
図5に示すプリンタ1Bは、図1に示すプリンタ1Aと同様、水平方式のシリアルプリンタで、装置前後から用紙2を吸入可能に構成されている。また、プリンタ1Bも、プリンタ1Aと同様のヘッド部10,ステッピングモータ15,プラテン20,モータ21,CPU30および記憶部40を有している。なお、図5において、既述の符号と同一の符号は、同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0074】
第2実施形態のプリンタ1Bにおいて、記憶部40は、少なくとも、第1実施形態と同様の左端位置格納領域43および右端位置格納領域44を有している。
また、第2実施形態のプリンタ1Bにおいて、制御部31は、第1実施形態と同様、センサ12a,12bによる検出結果に基づきステッピングモータ15を制御することにより印字ヘッド11の用紙2に対する位置を制御する。ただし、第2実施形態の制御部31は、以下のように、用紙2の左右両端2a,2bの位置を検出する動作を行なう。CPU30は、下記検出動作を行なう制御部31としての機能を所定のプログラムを実行することにより実現する。
【0075】
制御部31は、用紙2を少なくともセンサ12a,12bの位置まで吸入した状態で、左端位置検出処理(図6のステップB13〜B16またはB25〜B28)および右端位置検出処理(図6のステップB17〜B20またはB21〜B24)を行なう。
左端位置検出処理において、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、用紙2の無い一端側基準位置(左ホームポジション)から所定方向(右方向)へ移動させる。そして、制御部31は、ヘッド部10がステッピングモータ15の1ステップ分に対応する間隔だけ移動する都度、左端センサ12aによる検出結果を取得する。また、制御部31は、左端センサ12aにより用紙2の無から有への変化が検出されると、その変化検出位置を、用紙2の幅方向の一端部位置つまり用紙2の左端2aの位置として認識し、左端位置格納領域43に保存する。
【0076】
また、右端位置検出処理において、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、用紙2の無い他端側基準位置(右ホームポジション)から所定方向(左方向)へ移動させる。そして、制御部31は、ヘッド部10がステッピングモータ15の1ステップ分に対応する間隔だけ移動する都度、右端センサ12bによる検出結果を取得する。また、制御部31は、右端センサ12bにより用紙2の無から有への変化が検出されると、その変化検出位置を、用紙2の幅方向の他端部位置つまり用紙2の右端2bの位置として認識し、右端位置格納領域44に保存する。
【0077】
この後、CPU30は、記憶部40の領域43,44に保存された位置をそれぞれ用紙の左端2aおよび右端2bの位置として認識し、これらの位置の範囲内に印字を行なうよう、用紙2に対する印字制御を実行する。
なお、第2実施形態において、制御部31は、前方吸入時用ロジック31aおよび後方吸入時用ロジック31bを選択的に切り換えて実行可能に構成されている。そして、制御部31は、前方吸入時用ロジック31aを用いて上記左端位置検出処理を行なうことにより用紙2の左端2aの位置を認識するとともに、後方吸入時用ロジック31bを用いて上記右端位置検出処理を行なうことにより用紙2の右端2bの位置を認識する。
【0078】
ここで、前方吸入時用ロジック31aおよび後方吸入時用ロジック31bは、一般的な水平式のプリンタにおいて用いられるものである。
前方吸入時用ロジック31aは、装置前方から用紙2を吸入する場合に用いられるもので、CPU30が所定プログラムを実行することにより実行される。前方吸入時用ロジック31aは、ステッピングモータ15によりヘッド部10を左ホームポジションから右方向へ移動させながら、左端センサ12aが用紙2の無から有への変化を検出した位置を、用紙2の左端2aの位置として認識する。また、前方吸入時用ロジック31aは、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、センタポジションから右方向へ移動させながら、右端センサ12bが用紙2の有から無への変化を検出した位置を、用紙2の右端2bの位置として認識する。第2実施形態では、上記左端位置検出処理に際し、前方吸入時ロジック31aによって左端2aの位置を認識・検出する処理のみが用いられる。
【0079】
また、後方吸入時用ロジック31bは、装置後方から用紙2を吸入する場合に用いられるもので、CPU30が所定プログラムを実行することにより実行される。後方吸入時用ロジック31bは、ステッピングモータ15によりヘッド部10を右ホームポジションから左方向へ移動させながら、右端センサ12bが用紙2の無から有への変化を検出した位置を、用紙2の右端2bの位置として認識する。また、後方吸入時用ロジック31bは、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、センタポジションから左方向へ移動させながら、左端センサ12aが用紙2の有から無への変化を検出した位置を、用紙2の左端2aの位置として認識する。第2実施形態では、上記右端位置検出処理に際し、後方吸入時ロジック31bによって右端2bの位置を認識・検出する処理のみが用いられる。
【0080】
〔2−2〕第2実施形態の動作
次に、上述のごとく構成されたプリンタ1Bにおける、用紙2の左右両端2a,2bの位置の検出手順について、図6に示すフローチャート(ステップB11〜B28)に従って説明する。
PC3からの指示によってプリンタ1Bが起動されると、まず、制御部31は、ヘッド部10を、センタポジションPC(図4参照)に移動させ、プラテン20をモータ21によって駆動し、センサ12a,12bの両方が用紙2を検知する位置、つまり用紙2をセンサ12a,12bの位置まで吸入させる(ステップB11)。
【0081】
用紙2がセンサ12a,12bの位置まで吸入されると、制御部31は、用紙2の吸入方向が、装置前方からか、装置後方からかの判定を行なう(ステップB12)。この判定は、PC3からの指示情報、もしくは、上述したようにセンサ12a,12bによる用紙2の検知順序に従って行なわれる。
用紙2が装置前方から吸入された場合(ステップB12のYESルート)、制御部31は、前方吸入時用ロジック31aを用いた左端位置検出処理を開始する。つまり、制御部31は、まず、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、センタポジションPCから、用紙2の無い左ホームポジションPL(図4参照)まで高速スキップさせる(ステップB13)。
【0082】
そして、制御部31は、左ホームポジションPLから、左端センサ12aによって用紙2が検出されるまで、ステッピングモータ15のステップ単位でヘッド部10を右方向へ移動させる(ステップB14,B15)。つまり、左端センサ12aによって用紙2が検出されなければ(ステップB14のNOルート)、制御部31は、ステッピングモータ15によりヘッド部10を1ステップ分だけ右方向へ移動させ(ステップB15)、ステップB14の処理に戻る。左端センサ12aによって用紙2が検出されると(ステップB14のYESルート)、制御部31は、ステップB14で用紙2を検出した位置を、用紙2の左端2aの位置として、記憶部40の左端位置格納領域43に格納する(ステップB16)。
【0083】
ついで、制御部31は、前方吸入時用ロジック31aから後方吸入時用ロジック31bに切り換え、後方吸入時用ロジック31bを用いた右端位置検出処理を開始する。つまり、制御部31は、まず、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、ステップB14での用紙2の検出位置から、用紙2の無い右ホームポジションPR(図4参照)まで高速スキップさせる(ステップB17)。
【0084】
そして、制御部31は、右ホームポジションPRから、右端センサ12bによって用紙2が検出されるまで、ステッピングモータ15のステップ単位でヘッド部10を左方向へ移動させる(ステップB18,B19)。つまり、右端センサ12bによって用紙2が検出されなければ(ステップB18のNOルート)、制御部31は、ステッピングモータ15によりヘッド部10を1ステップ分だけ左方向へ移動させ(ステップB19)、ステップB18の処理に戻る。右端センサ12bによって用紙2が検出されると(ステップB18のYESルート)、制御部31は、ステップB18で用紙2を検出した位置を、用紙2の右端2bの位置として、記憶部40の右端位置格納領域44に格納し(ステップB20)、処理を終了する。
【0085】
上述したステップB13〜B20の処理が、用紙2を装置前方から吸入した時の処理である。また、上述したステップB14〜B16の処理が、用紙2の左端2aの位置を検出する処理で、上述したステップB17〜B20の処理が、用紙2の右端2bの位置を検出する処理である。
【0086】
一方、用紙2が装置後方から吸入された場合(ステップB12のNOルート)、制御部31は、後方吸入時用ロジック31bを用いた右端位置検出処理を開始する。つまり、制御部31は、まず、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、センタポジションPCから、用紙2の無い右ホームポジションPRまで高速スキップさせる(ステップB21)。
【0087】
そして、制御部31は、右ホームポジションPRから、右端センサ12bによって用紙2が検出されるまで、ステッピングモータ15のステップ単位でヘッド部10を左方向へ移動させる(ステップB22,B23)。つまり、右端センサ12bによって用紙2が検出されなければ(ステップB22のNOルート)、制御部31は、ステッピングモータ15によりヘッド部10を1ステップ分だけ左方向へ移動させ(ステップB23)、ステップB22の処理に戻る。右端センサ12bによって用紙2が検出されると(ステップB22のYESルート)、制御部31は、ステップB22で用紙2を検出した位置を、用紙2の右端2bの位置として、記憶部40の右端位置格納領域44に格納する(ステップB24)。
【0088】
ついで、制御部31は、後方吸入時用ロジック31bから前方吸入時用ロジック31aに切り換え、前方吸入時用ロジック31aを用いた左端位置検出処理を開始する。つまり、制御部31は、まず、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、ステップB22での用紙2の検出位置から、用紙2の無い左ホームポジションPLまで高速スキップさせる(ステップB25)。
【0089】
そして、制御部31は、左ホームポジションPLから、左端センサ12aによって用紙2が検出されるまで、ステッピングモータ15のステップ単位でヘッド部10を右方向へ移動させる(ステップB26,B27)。つまり、左端センサ12aによって用紙2が検出されなければ(ステップB26のNOルート)、制御部31は、ステッピングモータ15によりヘッド部10を1ステップ分だけ右方向へ移動させ(ステップB27)、ステップB26の処理に戻る。左端センサ12aによって用紙2が検出されると(ステップB26のYESルート)、制御部31は、ステップB26で用紙2を検出した位置を、用紙2の左端2aの位置として、記憶部40の左端位置格納領域43に格納し(ステップB28)、処理を終了する。
【0090】
上述したステップB21〜B28の処理が、用紙2を装置後方から吸入した時の処理である。また、上述したステップB21〜B24の処理が、用紙2の右端2bの位置を検出する処理で、上述したステップB25〜B28の処理が、用紙2の左端2aの位置を検出する処理である。
【0091】
〔2−3〕第2実施形態の効果
従来の手順では、前述した通り、プレプリントを施された用紙2(例えば図12参照)の左右両端2a,2bの位置を検出する場合(前方吸入時)、左端2aの位置は、用紙2の無い左ホームポジションからスキャンを開始し、正しく検出される。しかし、右端2bの位置については用紙2の中央からスキャンを開始するため、プレプリント部分2c(図12参照)の左端が、右端2bの位置として誤検知される可能性があった。
【0092】
これに対し、第2実施形態のプリンタ1Bでは、用紙2の左端2aの位置を検出する場合、制御部31は、既存の前方吸入時用ロジック31aを用い、用紙2の無い左ホームポジションから右方向へ向かって用紙2の有無の検出スキャンを行なう。一方、用紙2の右端2bの位置を検出する場合、制御部31は、既存の後方吸入時用ロジック31bを用い、用紙2の無い右ホームポジションから左方向へ向かって用紙2の有無の検出スキャンを行なう。
【0093】
これにより、第2実施形態のプリンタ1Bによれば、センタポジションから右方向または左方向へ向かって用紙2の有無の検出スキャンを行なうことなく、つまりは用紙2上のスキャンを避けながら、用紙2の左右両端2a,2bの位置を検出することができる。
したがって、用紙2にプレプリントが施されていたとしても、そのプレプリントをスキャンすることがなくなり、プレプリントの端部を用紙2の端部2a,2bとして誤認識することが確実に抑止され、印字対象用紙の幅方向端部の位置が確実に検出される。
【0094】
このため、印字データを用紙2の左右両端2a,2bまで印字することが可能になる。また、プレプリントによる誤認識を回避するためにセンサ12a,12bによる用紙2の左右両端2a,2bの位置検出を解除する必要がなく、ヘッドピンの折損を招くおそれもなくなる。
また、第2実施形態のプリンタ1Bによる検出動作は、既存の前方吸入時用ロジック31aおよび後方吸入時用ロジック31bを切り換えて用いることにより、極めて容易に実現することができる。
【0095】
〔3〕第3実施形態
〔3−1〕第3実施形態の構成
図7は、第3実施形態としての印字装置(プリンタ)1Cのハードウエア構成および機能構成を示すブロック図である。
図7に示すプリンタ1Cは、図1に示すプリンタ1Aと同様、水平方式のシリアルプリンタで、装置前後から用紙2を吸入可能に構成されている。また、プリンタ1Cも、プリンタ1Aと同様のヘッド部10,ステッピングモータ15,プラテン20,モータ21,CPU30および記憶部40を有している。なお、図7において、既述の符号と同一の符号は、同一もしくはほぼ同一の部分を示しているので、その詳細な説明は省略する。
【0096】
第3実施形態のプリンタ1Cは、第2実施形態のプリンタ1Bの機能(左端位置検出処理および右端位置検出処理)に、それぞれ、第1実施形態のプリンタ1Aの機能(第1制御および第2制御)を付加したものである。これにより、左端位置検出処理および右端位置検出処理が高速化される。
このため、第3実施形態のプリンタ1Cにおいて、記憶部40は、第1実施形態と同様の第1制御用ステップ数格納領域41,第1制御用検出位置格納領域42,左端位置格納領域43および右端位置格納領域44を有している。
【0097】
第3実施形態のプリンタ1Cにおいて、制御部31は、第1実施形態と同様、センサ12a,12bによる検出結果に基づきステッピングモータ15を制御することにより印字ヘッド11の用紙2に対する位置を制御する。ただし、第3実施形態の制御部31は、以下のように、用紙2の左右両端2a,2bの位置を検出する動作を行なう。CPU30は、下記検出動作を行なう制御部31としての機能を所定のプログラムを実行することにより実現する。
【0098】
制御部31は、用紙2を少なくともセンサ12a,12bの位置まで吸入した状態で、左端位置検出処理(図8,図9のステップC14〜C22,C41〜C49)および右端位置検出処理(図8,図9のステップC23〜C31,C32〜C40)を行なう。
左端位置検出処理において、制御部31は、第1実施形態と同様の、第1制御(図8,図9のステップC14〜C17,C41〜C44)および第2制御(図8,図9のステップC18〜C22,C45〜C49)を行なう。
【0099】
左端位置検出処理の第1制御において、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、左ホームポジションPLから右方向へ移動させる。そして、制御部31は、ヘッド部10が第1間隔、例えばステッピングモータ15の10ステップ分に対応する間隔だけ移動する都度、左端センサ12aによる検出結果を取得する。また、制御部31は、左端センサ12aにより用紙2の無から有への変化が検出されると、第1制御での変化検出位置を、記憶部40の第1制御用検出位置格納領域42に保存してから、第2制御に移行する。
【0100】
左端位置検出処理の第2制御において、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、第1制御での変化検出位置よりも第1間隔だけ左方向の位置から、右方向へ移動させる。そして、制御部31は、ヘッド部10がステッピングモータ15の1ステップ分に対応する間隔(第2間隔)だけ移動する都度、左端センサ12aによる検出結果を取得する。制御部31は、第2制御に伴いセンサ12a,12bにより用紙2の無から有への変化が検出されると、第2制御での変化検出位置を、用紙2の左端2aの位置として認識し、左端位置格納領域43に保存する。
【0101】
また、右端位置検出処理においても、制御部31は、第1実施形態と同様の、第1制御(図8,図9のステップC23〜C26,C32〜C35)および第2制御(図8,図9のステップC27〜C31,C36〜C40)を行なう。
右端位置検出処理の第1制御において、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、右ホームポジションPRから左方向へ移動させる。そして、制御部31は、ヘッド部10が第1間隔、例えばステッピングモータ15の10ステップ分に対応する間隔だけ移動する都度、右端センサ12bによる検出結果を取得する。また、制御部31は、右端センサ12bにより用紙2の無から有への変化が検出されると、第1制御での変化検出位置を、記憶部40の第1制御用検出位置格納領域42に保存してから、第2制御に移行する。
【0102】
右端位置検出処理の第2制御において、制御部31は、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、第1制御での変化検出位置よりも第1間隔だけ右方向の位置から、左方向へ移動させる。そして、制御部31は、ヘッド部10がステッピングモータ15の1ステップ分に対応する間隔(第2間隔)だけ移動する都度、右端センサ12bによる検出結果を取得する。制御部31は、第2制御に伴いセンサ12a,12bにより用紙2の無から有への変化が検出されると、第2制御での変化検出位置を、用紙2の右端2bの位置として認識し、右端位置格納領域44に保存する。
【0103】
この後、CPU30は、記憶部40の領域43,44に保存された位置をそれぞれ用紙の左端2aおよび右端2bの位置として認識し、これらの位置の範囲内に印字を行なうよう、用紙2に対する印字制御を実行する。
なお、第3実施形態において、制御部31は、前方吸入時用ロジック31a′および後方吸入時用ロジック31b′を選択的に切り換えて実行可能に構成されている。そして、制御部31は、前方吸入時用ロジック31a′を用いて上記左端位置検出処理を行なうことにより用紙2の左端2aの位置を認識するとともに、後方吸入時用ロジック31b′を用いて上記右端位置検出処理を行なうことにより用紙2の右端2bの位置を認識する。ここで、前方吸入時用ロジック31a′および後方吸入時用ロジック31b′は、それぞれ第2実施形態の前方吸入時用ロジック31aおよび後方吸入時用ロジック31bに、上述した第1制御および第2制御を付加したものである。
【0104】
〔3−2〕第3実施形態の動作
次に、上述のごとく構成されたプリンタ1Cにおける、用紙2の左右両端2a,2bの位置の検出手順について、図8および図9に示すフローチャート(ステップC11〜C49)に従って説明する。
【0105】
PC3からの指示によってプリンタ1Cが起動されると、まず、PC3から指定される検出幅である第1制御用ステップ数(例えば10)が、記憶部40の格納領域41に格納される(ステップC11)。この後、制御部31は、ヘッド部10を、中央基準位置であるセンタポジションPC(図4参照)に移動させ、プラテン20をモータ21によって駆動し、センサ12a,12bの両方が用紙2を検知する位置、つまり用紙2をセンサ12a,12bの位置まで吸入させる(ステップC12)。
【0106】
用紙2がセンサ12a,12bの位置まで吸入されると、制御部31は、用紙2の吸入方向が、装置前方からか、装置後方からかの判定を行なう(ステップC13)。この判定は、PC3からの指示情報、もしくは、上述したようにセンサ12a,12bによる用紙2の検知順序に従って行なわれる。
【0107】
用紙2が装置前方から吸入された場合(ステップC13のYESルート)、制御部31は、前方吸入時用ロジック31a′を用いた左端位置検出処理を開始する。つまり、制御部31は、まず、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、センタポジションPCから、用紙2の無い左ホームポジションPL(図4参照)まで高速スキップさせる(ステップC14)。この後、制御部31は、図8のステップC15〜C22において、それぞれ図2に示したステップA15〜A22と同様の処理を行なう。これにより、ステップC20で用紙2を検出した位置(例えば図4の位置P23参照)が、用紙2の左端2aの位置として、記憶部40の左端位置格納領域43に格納される。
【0108】
ついで、制御部31は、前方吸入時用ロジック31a′から後方吸入時用ロジック31b′に切り換え、後方吸入時用ロジック31b′を用いた右端位置検出処理を開始する。つまり、制御部31は、まず、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、ステップC20での用紙2の検出位置から、用紙2の無い右ホームポジションPR(図4参照)まで高速スキップさせる(ステップC23)。この後、制御部31は、図8のステップC24〜C31において、それぞれ図3に示したステップA34〜A41と同様の処理を行なう。これにより、ステップC29で用紙2を検出した位置が、用紙2の右端2bの位置として、記憶部40の右端位置格納領域44に格納され、制御部31は処理を終了する。
【0109】
一方、用紙2が装置後方から吸入された場合(ステップC13のNOルート)、制御部31は、後方吸入時用ロジック31b′を用いた右端位置検出処理を開始する。つまり、制御部31は、まず、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、センタポジションPCから、用紙2の無い右ホームポジションPRまで高速スキップさせる(ステップC32)。この後、制御部31は、図9のステップC33〜C40において、それぞれ図3に示したステップA34〜A41と同様の処理を行なう。これにより、ステップC38で用紙2を検出した位置が、用紙2の右端2bの位置として、記憶部40の右端位置格納領域44に格納される。
【0110】
ついで、制御部31は、後方吸入時用ロジック31b′から前方吸入時用ロジック31a′に切り換え、前方吸入時用ロジック31a′を用いた左端位置検出処理を開始する。つまり、制御部31は、まず、ステッピングモータ15により、ヘッド部10を、ステップC38での用紙2の検出位置から、用紙2の無い左ホームポジションPLまで高速スキップさせる(ステップC41)。この後、制御部31は、図8のステップC42〜C49において、それぞれ図2に示したステップA15〜A22と同様の処理を行なう。これにより、ステップC47で用紙2を検出した位置が、用紙2の左端2aの位置として、記憶部40の左端位置格納領域43に格納され、制御部31は処理を終了する。
【0111】
〔3−3〕第3実施形態の効果
このような第3実施形態のプリンタ1Cによれば、第2実施形態と同様、用紙2にプレプリントが施されていたとしても、そのプレプリントをスキャンすることがなくなり、プレプリントの端部を用紙2の端部2a,2bとして誤認識することが確実に抑止され、印字対象用紙の幅方向端部の位置が確実に検出される。このため、印字データを用紙2の左右両端2a,2bまで印字することが可能になる。また、プレプリントによる誤認識を回避するためにセンサ12a,12bによる用紙2の左右両端2a,2bの位置検出を解除する必要がなく、ヘッドピンの折損を招くおそれもなくなる。
【0112】
さらに、第3実施形態のプリンタ1Cによれば、左右端2a,2bの位置検出処理に際し、第1実施形態と同様の第1制御および第2制御を行なうことで、印字対象の用紙2の左右両端2a,2bの位置を高速かつ短時間で検出することができる。また、用紙サイズに関係なく不定形の用紙2についても、用紙2の左右端2a,2bの位置を高速かつ短時間で検出することができる。
【0113】
〔4〕その他
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形、変更して実施することができる。
なお、上述した実施形態では、第1間隔(検出幅)が、ステッピングモータ15の10ステップ分に対応する間隔とした場合について説明したが、本件は、これに限定されるものではない。
【0114】
また、上述した実施形態では、用紙2の有無を検出するセンサ12a,12bが反射型センサである場合について説明したが、本件は、これに限定されるものではない。センサ12a,12bとしては、例えば、印字ヘッド11の印字動作に伴うヘッドピンのストローク量に基づき用紙2の有無を検出するものを用いることも可能である。このような検出手法では、用紙2が有る場合は、用紙2が無い場合よりもヘッドピンのストローク量が小さくなることを利用して、用紙2の有無が検出される。したがって、上述のような検出手法を用いた場合、印字ヘッド11を用いて用紙2の有無を検出できるため、用紙2の有無を検出するために反射型センサを追加する必要がなく、装置をより簡素に構成することができる。
【0115】
〔5〕付記
以上の本実施形態を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
用紙に対する印字を行なう印字ヘッドと前記用紙の有無を検出するセンサとを含むヘッド部と、
前記ヘッド部を、前記用紙の送り方向と直交する幅方向に移動させる駆動部と、
前記センサによる検出結果に基づき前記駆動部を制御することにより、前記印字ヘッドの前記用紙に対する位置を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を基準位置から所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第1制御と、
前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記所定方向と逆方向の位置から、前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔よりも小さい第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第2制御と、を実行し、
前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記用紙の前記幅方向の端部位置として認識する、印字装置。
【0116】
(付記2)
前記制御部は、
前記第1制御において、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記基準位置としての前記用紙の無いホームポジションから、前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得し、
前記第2制御において、前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記所定方向と逆方向の位置から、前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得し、
前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記用紙の前記幅方向の一端部位置として認識する、付記1記載の印字装置。
【0117】
(付記3)
前記制御部は、前記用紙の前記幅方向の一端部位置を認識した後、
前記第1制御において、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記基準位置としての前記用紙の有る基準位置から、前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得し、
前記第2制御において、前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記逆方向の位置から、前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得し、
前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記用紙の前記幅方向の他端部位置として認識する、付記2記載の印字装置。
【0118】
(付記4)
前記駆動部は、ステッピングモータであり、
前記第1間隔は、前記ステッピングモータの所定数ステップに対応する間隔であり、
前記第2間隔は、前記ステッピングモータの一ステップに対応する間隔である、付記1〜付記3のいずれか一項に記載の印字装置。
【0119】
(付記5)
用紙に対する印字を行なう印字ヘッドと前記用紙の有無を検出するセンサとを含むヘッド部と、
前記ヘッド部を、前記用紙の送り方向と直交する幅方向に移動させる駆動部と、
前記センサによる検出結果に基づき前記駆動部を制御することにより、前記印字ヘッドの前記用紙に対する位置を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を前記用紙の無い一端側基準位置から所定方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の一端部位置として認識するとともに、
前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を前記用紙の無い他端側基準位置から前記所定方向と逆方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の他端部位置として認識する、印字装置。
【0120】
(付記6)
装置前後から前記用紙を吸入可能に構成され、
前記制御部は、
装置前方から前記用紙を吸入する場合、前記駆動部により前記ヘッド部を前記一端側基準位置から前記所定方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の一端部位置として認識するとともに、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記用紙の有る基準位置から前記所定方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の有から無への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の他端部位置として認識する、前方吸入時用ロジックと、
装置後方から前記用紙を吸入する場合、前記駆動部により前記ヘッド部を前記他端側基準位置から前記逆方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の他端部位置として認識するとともに、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記用紙の有る基準位置から前記逆方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の有から無への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の一端部位置として認識する、後方吸入時用ロジックと、
のいずれか一方を、選択的に切り換えて実行可能に構成され、
前記前方吸入時用ロジックを用いて前記用紙の前記幅方向の一端部位置を認識するとともに、前記後方吸入時用ロジックを用いて前記用紙の前記幅方向の他端部位置を認識する、付記5記載の印字装置。
【0121】
(付記7)
前記制御部は、前記用紙の前記幅方向の一端部位置を認識する際、
前記駆動部により前記ヘッド部を前記一端側基準位置から前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第1制御と、
前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記逆方向の位置から、前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔よりも小さい第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第2制御と、を実行し、
前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記一端部位置として認識する、付記5または付記6に記載の印字装置。
【0122】
(付記8)
前記制御部は、前記用紙の前記幅方向の他端部位置を認識する際、
前記駆動部により前記ヘッド部を前記他端側基準位置から前記逆方向へ移動させながら、前記ヘッド部が第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第1制御と、
前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記所定方向の位置から、前記逆方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔よりも小さい第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第2制御と、を実行し、
前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記他端部位置として認識する、付記5〜付記7のいずれか一項に記載の印字装置。
【0123】
(付記9)
前記駆動部は、ステッピングモータであり、
前記第1間隔は、前記ステッピングモータの所定数ステップに対応する間隔であり、
前記第2間隔は、前記ステッピングモータの一ステップに対応する間隔である、付記7または付記8に記載の印字装置。
【0124】
(付記10)
前記センサは、前記印字ヘッドの印字動作に伴うヘッドピンのストローク量に基づき前記用紙の有無を検出する、付記1〜付記9のいずれか一項に記載の印字装置。
【0125】
(付記11)
用紙に対する印字を行なう印字ヘッドと前記用紙の有無を検出するセンサとを含むヘッド部と、前記ヘッド部を前記用紙の送り方向と直交する幅方向に移動させる駆動部と、を有する印字装置における用紙幅方向端部の検出方法であって、
前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を基準位置から所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第1制御を実行し、
前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記所定方向と逆方向の位置から前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔よりも小さい第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第2制御を実行し、
前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記用紙の前記幅方向の端部位置として認識する、印字装置における用紙幅方向端部位置の検出方法。
【0126】
(付記12)
前記駆動部は、ステッピングモータであり、
前記第1間隔は、前記ステッピングモータの所定数ステップに対応する間隔であり、
前記第2間隔は、前記ステッピングモータの一ステップに対応する間隔である、付記11記載の印字装置における用紙幅方向端部位置の検出方法。
【0127】
(付記13)
用紙に対する印字を行なう印字ヘッドと前記用紙の有無を検出するセンサとを含むヘッド部と、前記ヘッド部を前記用紙の送り方向と直交する幅方向に移動させる駆動部と、を有する印字装置における用紙幅方向端部の検出方法であって、
前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を前記用紙の無い一端側基準位置から所定方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の一端部位置として認識するとともに、
前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を前記用紙の無い他端側基準位置から前記所定方向と逆方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の他端部位置として認識する、印字装置における用紙幅方向端部位置の検出方法。
【0128】
(付記14)
前記用紙の前記幅方向の一端部位置を認識する際、
前記駆動部により前記ヘッド部を前記一端側基準位置から前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第1制御を実行し、
前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記逆方向の位置から前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔よりも小さい第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第2制御を実行し、
前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記一端部位置として認識する、付記13記載の印字装置における用紙幅方向端部位置の検出方法。
【0129】
(付記15)
前記用紙の前記幅方向の他端部位置を認識する際、
前記駆動部により前記ヘッド部を前記他端側基準位置から前記逆方向へ移動させながら、前記ヘッド部が第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第1制御を実行し、
前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記所定方向の位置から前記逆方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔よりも小さい第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第2制御を実行し、
前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記他端部位置として認識する、付記13または付記14に記載の印字装置における用紙幅方向端部位置の検出方法。
【0130】
(付記16)
前記駆動部は、ステッピングモータであり、
前記第1間隔は、前記ステッピングモータの所定数ステップに対応する間隔であり、
前記第2間隔は、前記ステッピングモータの一ステップに対応する間隔である、付記14または付記15に記載の印字装置における用紙幅方向端部位置の検出方法。
【符号の説明】
【0131】
1A,1B,1C 印字装置(水平方式のシリアルプリンタ)
2 用紙
2a 右端
2b 左端
2c,2d プレプリント部分
3 パーソナルコンピュータ(PC)
10 ヘッド部
11 印字ヘッド
12a 左端センサ
12b 右端センサ
13 カードガイド
14 キャリア
15 ステッピングモータ(駆動部)
20 プラテン
21 モータ
30 CPU(処理部)
31 制御部
31a,31a′ 前方吸入時用ロジック
31b,31b′ 後方吸入時用ロジック
40 記憶部
41 第1制御用ステップ数格納領域
42 第1制御用検出位置格納領域
43 左端位置格納領域
44 右端位置格納領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対する印字を行なう印字ヘッドと前記用紙の有無を検出するセンサとを含むヘッド部と、
前記ヘッド部を、前記用紙の送り方向と直交する幅方向に移動させる駆動部と、
前記センサによる検出結果に基づき前記駆動部を制御することにより、前記印字ヘッドの前記用紙に対する位置を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を基準位置から所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第1制御と、
前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記所定方向と逆方向の位置から、前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔よりも小さい第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第2制御と、を実行し、
前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記用紙の前記幅方向の端部位置として認識する、印字装置。
【請求項2】
用紙に対する印字を行なう印字ヘッドと前記用紙の有無を検出するセンサとを含むヘッド部と、
前記ヘッド部を、前記用紙の送り方向と直交する幅方向に移動させる駆動部と、
前記センサによる検出結果に基づき前記駆動部を制御することにより、前記印字ヘッドの前記用紙に対する位置を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を前記用紙の無い一端側基準位置から所定方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の一端部位置として認識するとともに、
前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を前記用紙の無い他端側基準位置から前記所定方向と逆方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の他端部位置として認識する、印字装置。
【請求項3】
装置前後から前記用紙を吸入可能に構成され、
前記制御部は、
装置前方から前記用紙を吸入する場合、前記駆動部により前記ヘッド部を前記一端側基準位置から前記所定方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の一端部位置として認識するとともに、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記用紙の有る基準位置から前記所定方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の有から無への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の他端部位置として認識する、前方吸入時用ロジックと、
装置後方から前記用紙を吸入する場合、前記駆動部により前記ヘッド部を前記他端側基準位置から前記逆方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の他端部位置として認識するとともに、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記用紙の有る基準位置から前記逆方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の有から無への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の一端部位置として認識する、後方吸入時用ロジックと、
のいずれか一方を、選択的に切り換えて実行可能に、予め構成され、
前記前方吸入時用ロジックを用いて前記用紙の前記幅方向の一端部位置を認識するとともに、前記後方吸入時用ロジックを用いて前記用紙の前記幅方向の他端部位置を認識する、請求項2記載の印字装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記用紙の前記幅方向の一端部位置を認識する際、
前記駆動部により前記ヘッド部を前記一端側基準位置から前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第1制御と、
前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記逆方向の位置から、前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔よりも小さい第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第2制御と、を実行し、
前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記一端部位置として認識する、請求項2または請求項3に記載の印字装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記用紙の前記幅方向の他端部位置を認識する際、
前記駆動部により前記ヘッド部を前記他端側基準位置から前記逆方向へ移動させながら、前記ヘッド部が第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第1制御と、
前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記所定方向の位置から、前記逆方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔よりも小さい第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第2制御と、を実行し、
前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記他端部位置として認識する、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の印字装置。
【請求項6】
前記駆動部は、ステッピングモータであり、
前記第1間隔は、前記ステッピングモータの所定数ステップに対応する間隔であり、
前記第2間隔は、前記ステッピングモータの一ステップに対応する間隔である、請求項1,請求項4および請求項5のいずれか一項に記載の印字装置。
【請求項7】
用紙に対する印字を行なう印字ヘッドと前記用紙の有無を検出するセンサとを含むヘッド部と、前記ヘッド部を前記用紙の送り方向と直交する幅方向に移動させる駆動部と、を有する印字装置における用紙幅方向端部の検出方法であって、
前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を基準位置から所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が第1間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第1制御を実行し、
前記第1制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、前記駆動部により、前記ヘッド部を、前記第1制御での前記変化の検出位置よりも前記第1間隔だけ前記所定方向と逆方向の位置から前記所定方向へ移動させながら、前記ヘッド部が前記第1間隔よりも小さい第2間隔だけ移動する都度、前記センサによる検出結果を取得する第2制御を実行し、
前記第2制御に伴い前記センサにより前記用紙の有から無への変化または無から有への変化が検出されると、前記第2制御での前記変化の検出位置を前記用紙の前記幅方向の端部位置として認識する、印字装置における用紙幅方向端部位置の検出方法。
【請求項8】
用紙に対する印字を行なう印字ヘッドと前記用紙の有無を検出するセンサとを含むヘッド部と、前記ヘッド部を前記用紙の送り方向と直交する幅方向に移動させる駆動部と、を有する印字装置における用紙幅方向端部の検出方法であって、
前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を前記用紙の無い一端側基準位置から所定方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の一端部位置として認識するとともに、
前記用紙を少なくとも前記センサの位置まで吸入した状態で、前記駆動部により前記ヘッド部を前記用紙の無い他端側基準位置から前記所定方向と逆方向へ移動させながら、前記センサが前記用紙の無から有への変化を検出した位置を、前記用紙の前記幅方向の他端部位置として認識する、印字装置における用紙幅方向端部位置の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−71357(P2013−71357A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212932(P2011−212932)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】