説明

印字装置

【課題】 変速的に移動するラベル等の印字対象物に対して確実に印字できる印字装置を提供する。
【解決手段】 プラテン201とサーマルヘッド203との間にラベル102を通過させてラベル102に印字を行う熱転写式の印字装置において、プラテン201の回転位置を検出するロータリエンコーダ241を設ける。ロータリエンコーダ241の出力パルスに基づいてサーマルヘッド203の発熱体を発熱させるためのタイミング信号を生成し、このタイミング信号に基づいてサーマルヘッド203の発熱体を発熱させて印字する。サーマルヘッド203は、支持軸211を中心に回動可能なヘッド支持体205の一端に取付けられ、ヘッド支持体205の他端にはローラー213を介してカム215が当接され、カム215をパルスモーター221によって回転させることにより、サーマルヘッド203をプラテン201に対して当接離間させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印字装置に関し、特に変速搬送される印字対象物にも印字可能な熱転写式の印字装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、製品やその包装にラベルを貼付するラベリングマシンが知られているが、ラベル貼付の前に、ラベルに所定情報(商品名、会社名、製造年月日等)を熱転写方式により印字する印字装置が使用されている。
【0003】従来の印字装置おいては、ラベルは一定速度で供給されており、印字ヘッドの発熱体への通電を製品の搬送速度に合わせて一定のタイミングで行えば、熱転写印字が行える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、生産ラインにおける多品種少量生産の傾向により、同じラインを流れる製品の搬送速度が必ずしも一定ではなく、製品に応じて変速的に搬送される傾向にある。このような製品に対してラベルを貼付する場合はラベリングマシン自体の速度も変速的になり、したっがって印字装置においても、従来のような定速の印字装置では対応できなくなったきた。
【0005】本発明は、上記の点にかんがみて成されたものであり、変速的に移動するラベル等の印字対象物に対して、確実に印字できる印字装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明においては、プラテンとサーマルヘッドとの間に印字対象物を通過させて印字を行う熱転写式の印字装置において、前記プラテンの回転位置を検出する検出部と、前記検出部からの検出信号に基づいて、前記サーマルヘッドの発熱体を発熱させるためのタイミング信号を生成するタイミング信号生成部とを備え、前記タイミング信号に基づいて前記サーマルヘッドの発熱体を発熱させるようにした。
【0007】また、前記サーマルヘッドは、前記プラテンに対して当接離間可能に設けることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の一例を示す印字装置200の斜視図、図2は印字装置200の正面図、図3はラベリングマシン100に本発明の印字装置200を組み込んだ状態を示す。
【0009】図3に示すように、ラベリングマシン100は、帯状の台紙107(剥離材)にラベル102を一定間隔で貼付したラベル付台紙101を巻回したラベル送出部103を備え、ラベル付台紙101は繰出しローラー110の回転によりラベル送出部103から繰出されてプラテン201(ゴム又は樹脂製ローラー)に掛けられ、剥離板105で折り返される。剥離板105でラベルが剥がされた後、帯状の台紙107は台紙巻取部109に巻取られる。剥離板105でラベル付台紙101から剥がされたラベル102はプレスローラー113によって製品P(被着体)に押圧貼付される。ラベル102がプラテン201を移動するときに、印字装置200によってラベル102に所定情報が印字される。
【0010】図1に示すように、印字装置200においては、複数の発熱体をライン状に配置したサーマルヘッド203がヘッド支持体205の一端に取付けられ、ヘッド支持体205は、筐体207と取付板209との間において、支持軸211に回動自在に取付けられている。ヘッド支持体205の他端にはローラー213が取付けられ、このローラー213と当接するようにカム215が配置されている。支持体205はバネ217(図2)によって時計回りに常時付勢され、これによりローラー213は、カム215に当接されカム215の回転に追従する。
【0011】図1において、カム215はタイミングベルト219を介してパルスモーター221によって回転され、カム215の回転に応じてローラー213と当接回転することによりローラー213がカム215の凹凸形状のタイミングによりサーマルヘッド203がプラテン201に対して当接離間する。カム215の取付軸223には、スリット円板225が取付けられ、スリット円板225に形成されたスリット225aの位置をセンサ227で検出してカム215の原点位置を決める。
【0012】図1のカム215が90度回転するとサーマルヘッド203がカム215の凹部により下降(ダウン)してサーマルヘッド203は印字リボン229を介してラベル102に当接し、次に90度回転するとサーマルヘッド203はカム215の凸部により上昇(アップ)してラベル102から離間する。すなわち、カム215の1回転によってサーマルヘッド203は2回アップ・ダウン動作を行う。カム215の形状は、図1の形状に限らず印字速度に応じて決めればよく、図2に示すような形状にすれば、カム215の1回転でサーマルヘッド203は1回アップ・ダウン動作を行う。
【0013】サーマルヘッド203には印字リボン229が掛けられ、印字リボン229はリボン送出部231から繰出され、リボン巻取部233で巻取られる。リボン巻取部233は、タイミングベルト235を介してパルスモーター237によって回転され、印字リボン229を巻取る。
【0014】プラテン201の回転軸239にはロータリエンコーダ241が取付けられている。ロータリエンコーダ241は、プラテン201の回転位置を検出する検出部として機能する。プラテン201はラベル付台紙101が巻回されラベリングマシン100のラベル供給モーター111の駆動によりラベル付台紙101が供給されるスピードの変化に追従して回転可能となっている。
【0015】ロータリエンコーダ241の出力パルスは、各パルスがプラテン201の回転位置と対応する。プラテン201の周速度とラベル付台紙101の搬送速度は上記した構造により同じであるから、ロータリエンコーダ241から出力された各パルスはラベル102上の特定位置と対応する。そこで、ロータリエンコーダ241の出力パルスを分周してサーマルヘッド203の印字タイミング信号を生成し、このタイミング信号に基づいてサーマルヘッド203の発熱体を発熱させれば、ラベル102の搬送速度の変化に左右されること無く、確実にラベル102上の特定位置に印字する(すなわち一定の印字密度で印字する)ことができる。
【0016】図4は印字装置200の回路構成を示すブロック図であり、ロータリエンコーダ241からの出力パルスは、タイミング信号生成部243へ出力される。タイミング信号生成部243は、例えばロータリエンコーダ241の出力パルスを分周するカウンタ及び分周したパルスを微分する微分回路等によって構成され、前記サーマルヘッド203の発熱体を発熱させるタイミング信号t(図6(d))を生成する。タイミング信号tは、CPU等からなる制御回路245へ出力される。タイミング信号生成部243においては、タイミング信号tのパルス周期は、ラベル102上のサーマルヘッド203のラベル102の搬送向における印字密度(例えば8dot/mm)に対応するように設定される。
【0017】入力操作部247は印字装置200内の諸調整値を制御回路245へ入力し、外部入力249はラベリングマシン100からの信号を制御回路245へ入力する。一方、出力側においては、パルスモーター221,237,サーマルヘッド203は、それぞれ駆動回路251,253,255によって駆動され、各駆動は制御回路245により制御される。
【0018】次に図5,6を用いて印字装置200の動作を説明する。サーマルヘッド203は1ラインに整列した複数の発熱体を有し、この発熱体を発熱させて印字リボン229のインクをラベル102に転写していくが、1ラインを連続的に印字して1ブロックの印字が完成する。図5はその1ブロックの印字動作を説明するフローチャートであり、図6は1ライン印字を説明するタイミングチャートである。1ブロックの印字が終了するとサーマルヘッド203をプラテン201から離間し印字リボン229の供給を停止して、印字リボン229の節約を図っている。
【0019】図5において、まず、本装置と併設される図示しない被着体搬送コンベアにて搬送される被着体を検出するセンサの出力に基づいて、外部入力249から印字指令が入力されると(ステップ501)、パルスモーター221が駆動されカム215が90度回転されヘッド支持体205が傾動しサーマルヘッド203が下降を開始する(ステップ502)。このとき、サーマルヘッド203とプラテン201との間には図1,3に示すようにラベル付台紙101が搬送されてきている。また、ステップ501に先立ってパルスモーター221が駆動され、カム215の回転位置がスリット板225のスリット225a及びセンサ227によって検出され、カム215は原点位置にセットされている。
【0020】その後、パルスモーター237が駆動されリボン巻取り動作が開始され(ステップ503)、サーマルヘッド203のダウン動作が完了する(ステップ504)。
【0021】次に、1ブロックの印字動作を行い(ステップ505)、印字が終了したらパルスモーター221が駆動されサーマルヘッド203がアップ動作を開始し(ステップ506)、そのタイミングでパルスモーター237を停止してリボン巻取り動作を終了させ(ステップ507)、サーマルヘッド203のアップ動作を完了する(ステップ508)。
【0022】最後に、次ブロックの印字が有るかどうか判断し(ステップ509)、あればステップ501に戻って同様の動作を繰り返し、なければ動作を終了する。
【0023】次に、ステップ505の印字動作の詳細について説明する。ロータリエンコーダ241は図6(a)(b)に示すように、一般にA相及びB相のパルスを出力するが、そのうちのA相パルスを図6(c)に示すようにカウンタ等を用いて1/2分周する。この1/2分周パルスを微分回路等を用いて微分し、図6(d)に示すようなタイミング信号tを生成する。このタイミング信号tに基づいて、図6(e)に示すようにサーマルヘッド203の発熱体を発熱させ、設定パルス数が出力された後発熱を停止し、1ラインの印字を終了する。次にタイミング信号tがくると次のラインが印字され、同様の動作が1ブロックの印字が終了するまで行われる。1ブロックの印字が終了すると図5のステップ506へ戻る。
【0024】以上のように、上記装置によれば、ロータリーエンコーダ241の出力パルスを分周して得られたタイミング信号tに基づいてサーマルヘッド203の発熱体の発熱を制御するので、ラベル102の搬送速度の変化に左右されること無く確実に所定の位置に印字することができ、また高速印字にも対応できる。さらに、サーマルヘッド203のアップダウン動作をカム機構を用いて行うようにしたので、ラベル102が高速で搬送されても、それに対応してサーマルヘッド203のアップダウン動作を高速で行うことができる。
【0025】上記例においては、ロータリエンコーダ241のほかにタイミング信号生成部243を設けたが、ロータリエンコンーダ241の特性や印字装置の印字密度等よってはロータリエンコーダ241の出力パルスをそのままタイミング信号として使用してもよい。その場合はロータリエンコーダ241がタイミング信号生成部243を兼ねることになる。また、上記説明においてはラベル102に印字する例を挙げたが、印字対象物はラベルに限らず、テープ、フィルム、カード類等であってもよい。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、プラテンに取付けたロータリエンコーダの出力パルスに基づいてサーマルヘッドの発熱体の発熱タイミングを決めたので、ラベルが変速的に搬送されてきても印字位置を確実に把握でき、変速的なラベル印字や高速ラベル印字に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】印字装置を外装カバーを外した状態で示す斜視図。
【図2】印字装置の正面図。
【図3】印字装置をラベリングマシンに組み込んだ状態で示す図。
【図4】印字装置の回路構成を示すブロック図。
【図5】1ブロックの印字動作を示すフローチャート。
【図6】1ラインの印字動作を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
100 ラベリングマシン
101 ラベル付台紙
102 ラベル
105 剥離板
107 帯状の台紙(剥離材)
200 印字装置
201 プラテン
203 サーマルヘッド
205 ヘッド支持体
215 カム
221 パルスモーター
229 印字リボン
231 リボン送出部
233 リボン巻取部
237 パルスモーター
241 ロタリーエンコーダ
P 製品(被着体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラテンとサーマルヘッドとの間に印字対象物を通過させて印字を行う熱転写式のラベル印字装置において、前記プラテンの回転位置を検出する検出部と、前記検出部からの検出信号に基づいて、前記サーマルヘッドの発熱体を発熱させるためのタイミング信号を生成するタイミング信号生成部とを備え、前記タイミング信号に基づいて前記サーマルヘッドの発熱体を発熱させることを特徴とする印字装置。
【請求項2】 前記サーマルヘッドは、前記プラテンに対して当接離間可能に設けられている請求項1に記載の印字装置。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2001−58428(P2001−58428A)
【公開日】平成13年3月6日(2001.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−234348
【出願日】平成11年8月20日(1999.8.20)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】