説明

印字装置

【課題】 ラベルへのデータ記録処理の不具合を検出した場合に、不良ラベルを速やかに除去して、運転再開することができる印字装置を提供する。
【解決手段】 RFIDラベルへのデータ記録処理を行い、該RFIDラベルを被貼付対象物に対して貼付処理する印字装置であって、該データ記録処理に異常があるか否かを判定し、異常があると判定された不良ラベルを、前記被貼付対象物に対して貼付処理せずに自動的に排出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルへのデータ記録処理を行い、該ラベルを被貼付対象物に対して貼付処理する印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップやアンテナを備え、リーダ/ライタとの無線通信により非接触で情報をリード/ライトできるRFID(Radio Frequenncy IDentification)が、バーコードに代わる商品識別技術として注目されている。RFIDによれば、大量の情報を記録できるだけでなく、複数のICチップから情報を一括取得したり、物陰に隠れた場合でも情報をリード/ライトしたりすることができるので、RFIDを商品に貼付されるレベルに内蔵したRFIDラベルの採用が拡大している。RFIDラベル用の印字装置は、ラベル表面に印字処理を行うほか、RFIDと無線通信するリーダ/ライタによりICチップの情報をリード/ライトすることができるように構成されている。
【0003】
ところで、RFIDラベルに内蔵されるICチップは、デリケートで衝撃に弱いため、リード/ライト機能が故障することも少なくないが、このような故障は外観で判断できない。そこで、ライト処理が成功したかどうかを判定し、不成功の場合には、印字内容を変更したり、印字せずにラベルを空送りしたりして、不良ラベルであることを識別できるようにすることで、その誤使用を防止するようにした印字装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0004】
また、ICチップを内蔵しないラベルの場合は、従来と同様にバーコード印字処理をすることが多いが、このバーコードが正確に印字処理されたものであるか、人間が外観で判断することは難しい。これに対して、ラベルに印字されたバーコードをスキャナでチェックして、バーコード印字処理が成功したか否かを判定し、不成功の場合には、ラベル貼付を中止するとともにエラー表示をして、オペレーターに不良ラベルの除去等を促すようにした印字装置が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2003−11939号公報
【特許文献2】特開2003−159838号公報
【特許文献3】特開2004−262541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の印字装置には、以下のような問題点がある。まず、上記印字装置では、ライト処理が成功しなかった不良ラベルを検出した場合、印字内容を変更、あるいはラベルを空送りして識別可能となるように処理するが、その不良ラベルの排除はオペレーターの操作により行われ、それまでの運転停止による時間ロスが大きい。また、RFIDへのライト処理後に印字処理を行うため、印字処理の衝撃でRFIDが故障しても検出することができない。さらに、上記印字装置では、ライト処理の成否のみを事後的に判定するために、不良の原因が、RFIDの初期故障とライト処理失敗のいずれによるものか、別途調査する必要がある。
【0006】
上記特許文献3に記載の印字装置は、バーコード印字処理に不具合があった場合、ラベル貼付を中止するとともにコンソールにエラー表示して、オペレーターによる不良ラベルの除去作業を待つだけであるから、運転再開までの時間ロスが大きい。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、ラベルへのデータ記録処理の不具合を検出した場合に、不良ラベルを速やかに除去して、運転再開することができる印字装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、 ラベルへのデータ記録処理を行い、該ラベルを被貼付対象物に対して貼付処理する印字装置であって、該データ記録処理に異常があるか否かを判定し、異常があると判定された不良ラベルを、前記被貼付対象物に対して貼付処理せずに自動的に排出することを特徴とする印字装置を提供する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印字装置であって、排出した不良ラベルに記録される予定であった情報を再発行して、該再発行情報を新しいラベルに記録するデータ記録処理を行い、該データ記録処理に異常がないと判定されたときに、前記の新しいラベルを被貼付対象物に対して貼付処理することを特徴とする印字装置を提供する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の印字装置であって、前記ラベルは、リーダ/ライタとの無線通信により情報がリード/ライトされるRFIDラベルであることを特徴とする印字装置を提供する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の印字装置であって、前記データ記録処理は、前記ラベルへのライト及び印字処理であり、リード/ライト機能に異常があると判定された不良ラベルを、前記被貼付対象物に対して貼付処理せずに自動的に排出することを特徴とする印字装置を提供する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の印字装置であって、前記データ記録処理は、前記ラベルへのライト及び印字処理であり、前記ライト処理に異常があると判定された不良ラベルを、前記被貼付対象物に対して貼付処理せずに自動的に排出することを特徴とする印字装置を提供する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の印字装置であって、前記判定は、前記印字処理後になされることを特徴とする印字装置を提供する。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は2に記載の印字装置であって、前記データ記録処理は、前記ラベルへのバーコード印字処理であり、前記バーコード印字処理に異常があると判定された不良ラベルを、前記被貼付対象物に対して貼付処理せずに自動的に排出することを特徴とする印字装置を提供する。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の印字装置であって、貼付処理部で前記不良ラベルを保持した後、前記被貼付対象物に向かう方向とは異なる方向へ前記ラベルを排出することを特徴とする印字装置を提供する。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の印字装置であって、前記貼付処理部は、保持したラベルを前記被貼付対象物に向かう方向へ吹き飛ばすエアノズルと、前記被貼付対象物に向かう方向とは異なる方向へ吹き飛ばす補助ノズルと、を備えてなり、前記不良ラベルを保持したときに、前記補助ノズルを作動させることを特徴とする印字装置を提供する。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の印字装置であって、前記貼付処理部に保持された不良ラベルを、前記被貼付対象物に向かう方向とは異なる方向へ吹き飛ばす補助ノズルが、前記貼付処理部の近傍に設けられていることを特徴とする印字装置を提供する。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項8に記載の印字装置であって、前記貼付処理部から前記被貼付対象物に向かう方向に吹き飛ばされる不良ラベルを、前記被貼付対象物に向かう方向とは異なる方向へ吹き飛ばす補助ノズルが、前記貼付処理部の近傍に設けられていることを特徴とする印字装置を提供する。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の印字装置であって、貼付処理部で前記不良ラベルを保持して、前記貼付処理部と前記被貼付対象物の間に出入するラベル廃棄部に貼付処理することを特徴とする印字装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1乃至12のいずれかに記載の印字装置によれば、以下の優れた効果を奏する。ラベルへのデータ記録処理に異常があるか否かを判定し、異常があると判定された不良ラベルを自動的に排出するので、運転停止による時間ロスが少なく、生産効率を高めることができる。
【0021】
請求項2に記載の印字装置によれば、データ記録処理に異常があった不良ラベルのデータを再発行して、その再発行データを新しいラベルに記録するデータ記録処理のやり直しを行うため、生産ラインを停止せずに済むという優れた効果を奏する。
【0022】
請求項4に記載の印字装置によれば、RFIDラベルについて、外観では判断できないリード/ライト機能の異常有無を判定して、異常があったラベルを自動的に排出するので、不良ラベルの混入を確実に防止することができるという優れた効果を奏する。
【0023】
請求項5に記載の印字装置によれば、RFIDラベルについて、外観では判断できないライト処理の失敗を判定して、失敗があったラベルを自動的に排出するので、不良ラベルの混入を確実に防止することができるという優れた効果を奏する。
【0024】
請求項6に記載の印字装置によれば、リード/ライト機能やライト処理の良否判定が印字処理後になされるため、印字処理時にRFIDラベルに加わる衝撃等で発生する不良も検出することができるという優れた効果を奏する。
【0025】
請求項7に記載の印字装置によれば、バーコードを印字処理されるラベルについて、人間では判断できないバーコード印字処理の異常有無を判定して、異常があったラベルを自動的に排出するので、不良ラベルの混入を確実に防止することができるという優れた効果を奏する。
【0026】
請求項8に記載の印字装置によれば、貼付処理部で不良ラベルを保持した後、被貼付対象物に向かう方向とは異なる方向へラベルを排出するので、不良ラベルを装置から取り除くための工程を特別に設ける必要がなく、装置制御の複雑化を避けることができるという優れた効果を奏する。
【0027】
請求項9乃至11のいずれかに記載の印字装置によれば、不良ラベルを排出するために、貼付処理部あるいはその近傍に、被貼付対象物に向かう方向と異なる方向へラベルを吹き飛ばす補助ノズルを設けるだけであるから、装置構造の複雑化を避けることができるという優れた効果を奏する。
【0028】
請求項12に記載の印字装置によれば、不良ラベルを排出するために、それをラベル廃棄部に貼付処理するようにしたので、不良ラベルが誤って飛散する恐れがないという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、本実施形態に係る印字装置1の一部断面図であって、図2は、印字装置1によってデータ記録処理されるラベルの構造を説明する斜視図であり、図3は、印字装置1による処理を示すフローチャートである。
【0031】
図1に示される印字装置1は、データ記録処理部2とラベル貼付処理部3を備えており、商品名や価格等の商品情報をラベルLにデータ記録処理した後、被貼付対象物である商品Gに対してラベルLを貼付処理する。データ記録処理部2は、ラベルLに商品情報のデータ記録処理を行い、そのラベルLを隣接配置されるラベル貼付処理部3へ供給する。ラベル貼付処理部3は、供給されたラベルLを負圧エアで一旦、吸引保持した後、正圧エアで吹き飛ばすことにより、真下を通過する商品Gに貼付処理する。商品Gは、コンベアC上で不図示のガイドにより姿勢・位置を整えられ、印字装置1の下方を、図1中の矢印X1で示されるように、左から右へ定速で通過させられるが、ラベル貼付処理部3が商品Gの通過を検出する光電センサSからのタイミング信号に従って作動することで、商品Gにおける所定位置にラベルLが貼付される。
【0032】
ラベルLは、下面に予め粘着剤が塗布されており、図2に示されるように、帯状の長尺台紙(剥離紙)P上に、所定間隔をおいて剥離可能に貼付固定されている。ラベルLは、印字装置1により商品情報の印字処理がなされる上面層Laと、粘着剤が塗布され商品Gに貼付処理される下面層Lbとを一体的に積層してなり、この二層の間に、印字装置1との無線通信により商品情報のリード/ライト処理がなされるICチップL1と、無線通信用のアンテナL2と、が内蔵されるRFIDラベルである。ラベルLを固定した長尺台紙Pはロール状に巻回されて、図1に示されるラベルロールRを形成する。なお、ラベルロールRは、長尺台紙を備えていないものや、ラベルL同士が連結されているものを使用しても良い。
【0033】
データ記録処理部2は、ラベルロールRを回転可能に保持するロール軸21、ラベルロールRから長尺台紙Pとともに繰り出されるラベルLにリード/ライト処理可能な第一リーダ/ライタ22、第一リーダ/ライタ22の下流に設けられてラベルLに印字処理可能な印字部23、印字部23の下流に設けられてラベルLにリード/ライト処理可能な第二リーダ/ライタ24、及び、ラベルLが剥離された後の長尺台紙Pを巻き取る台紙巻取軸25のほか、不図示の制御部26を備えてなる。
【0034】
第一リーダ/ライタ22は、ラベルLの搬送経路に近接して設けられ、搬送中のラベルLに内蔵されるICチップL1から無線通信で情報をリード処理し、また、ICチップL1に無線通信で情報をライト処理することができるように構成されている。第一リーダ/ライタ22は、後述する印字ローラ23aでラベルロールRから順次繰り出されるラベルLについて、予めライト処理されているラベル識別情報をリード処理するとともに制御部26から発行される商品情報をライト処理する。
【0035】
印字部23は、印字ローラ23aとサーマルヘッド23bを備えてなり、印字ローラ23aを回転駆動することにより、ロール軸21に保持されるラベルロールRからラベルLの固定された長尺台紙Pを繰り出させる。サーマルヘッド23bは、印字ローラ23aの上方に配置されており、第一リーダ/ライタ22の近傍を通過してきたラベルLの上面層Laに対して制御部26から発行される商品情報を印字処理する。
【0036】
ラベルLは、所定の剛性を有しており、長尺台紙Pが径の小さい印字ローラ23aの周りで大きく折り返されたときに、図1に矢印X2で示されるように、長尺台紙Pから剥離された状態で前進し、隣接配置されたラベル貼付処理部3の吸着パッド31に供給されることとなる。ラベルLが剥離されて印字部23から排出される長尺台紙Pは、アシストローラ27で他部品と干渉しないように導かれた後、台紙巻取軸25により巻取処理される。
【0037】
第二リーダ/ライタ24は、印字部23のラベル排出口に近接して設けられ、排出されたラベルLに内蔵されるICチップL1から無線通信で情報をリード処理し、また、ICチップL1に無線通信で情報をライト処理することができるように構成されている。第二リーダ/ライタ24は、印字部23による印字処理が終了してラベル貼付処理部3へ供給されるラベルLから、第一リーダ/ライタ22によりライト処理された商品情報のリード処理を行う。
【0038】
制御部26は、上述したようにラベルLに対してデータ記録処理(ライト及び印字処理)する商品情報を発行するほか、データ記録処理のうちライト処理に異常があるか否かの判定(ラベルLのリード/ライト機能に初期異常があるか否かの判定を含む。)を行う。より詳細に述べると、ラベルLに予めライト処理されているラベル識別情報が第一リーダ/ライタ22によりリード処理できたか否かで、ラベルLのリード/ライト機能に初期異常があるか否かの判定が行われ、第一リーダ/ライタ22によってライト処理されたとおりの商品情報が第二リーダ/ライタ24によりリード処理できたか否かで、第一リーダ/ライタ22による商品情報のライト処理に異常があるか否かの判定が行われる。
【0039】
また、制御部26は、ライト処理に異常があると判定した不良ラベル(リード/ライト機能に初期異常があると判定したラベルを含む。)を商品Gに貼付処理しないで自動的に排出するようにラベル貼付処理部3を制御し、排出した不良ラベルに記録される予定であった商品情報を再発行して、該再発行情報を新しいラベルLに記録するデータ記録処理を行うようにデータ記録処理部2を制御する。さらに、制御部26は、新しくデータ記録処理が行われたラベルLについても、ライト処理に異常があるか否かを判定し、ライト処理に異常がないと判定したラベルLを商品Gに貼付処理させることとしている。
【0040】
ラベル貼付処理部3は、データ記録処理部2の印字部23から供給されるラベルLを負圧エアで吸引保持し、保持したラベルを正圧エアで吹き飛ばすことができる吸着パッド31と、吸着パッド31に負圧エア及び正圧エアを付与する圧力発生機構32を備えてなる。吸着パッド31のラベル吸着面31aには、商品Gに正対する方向に延び、保持したラベルLを商品Gに向かう方向へ吹き飛ばすように形成されるエアノズル311と、商品Gから外れる斜め方向に延び、保持したラベルLを商品Gに向かう方向とは異なる方向に吹き飛ばすように形成される補助ノズル312と、が設けられている。
【0041】
制御部26によりラベルLへのライト処理に異常が無いと判定された場合には、エアノズル311のみに負圧エア及び正圧エアを付与する。これにより、ラベルLは、吸着パッド31に負圧エアで吸引保持された後、図1に矢印X3で示されるように、正圧エアで商品Gに向かって吹き飛ばされ、商品Gへの貼付処理が行われる。一方、制御部26によりラベルLへのライト処理に異常が有ると判定された場合には、エアノズル311と補助ノズル312の両方に負圧エア及び正圧エアを付与する。これにより、ラベルLは、吸着パッド31に負圧エアで吸引保持された後、正圧エアで吹き飛ばされる際に、補助ノズル312による噴射作用で、図1に矢印X4で示されるように、商品Gから外れる斜め方向に向かって吹き飛ばされ、商品Gに貼付処理しないように自動的に排出されることになる。
【0042】
なお、ライト処理に異常が有ると判定され、そのラベルLが商品Gから外れる斜め方向に吹き飛ばされる場合に、周囲に飛散しないようにするため、その不良ラベルが吹き飛ばされる斜め方向の位置に、不良ラベルを受け止める不良ラベル受部33が設けられている。不良ラベル受部33は、ラベルLが商品Gに貼付処理される際に邪魔にならない位置に設けられる。
【0043】
ここで、印字装置1による処理について、図3のフローチャートに基づいて説明する。印字装置1の電源がONされ、所定の初期設定が終了すると、ラベルLへのデータ記録処理及び商品Gへのラベル貼付処理を開始される。まず、ラベルLのICチップL1に予めライト処理されているラベル識別情報が、第一リーダ/ライタ22によってリード処理される(ステップA1)。制御部26は、このリード処理に異常があるか否か、すなわち、ラベルLのリード/ライト機能に初期異常があるか否かを判定し(ステップA2)、初期異常がないと判定した場合は、第一リーダ/ライタ22でICチップL1に対するライト処理を行わせ、印字部23でラベルL表面に対する印字処理を行わせる(ステップA3)。
【0044】
ラベルLに初期異常があると判定した場合は、不良ラベルとして、印字部23や第二リーダ/ライタ24による商品情報のライト及び印字処理を行うことなく、補助ノズル312による噴射作用により自動的に排出し(ステップB1)、新しいラベルにライト及び印字処理する商品情報を再発行する(ステップB2)。そして、新しいラベルLのラベル識別情報のリード処理から動作をやり直す(ステップA1)。
【0045】
ライト及び印字処理が行われたラベルLは、印字部23のラベル排出口から排出されるとともに、第二リーダ/ライタ24で、ICチップL1にライト処理されている商品情報のリード処理が行われる(ステップ4)。制御部26は、このリード処理に異常があるか否かで、第一リーダ/ライタ22による商品情報のライト処理に異常があるか否かを判定し(ステップ5)、異常がないと判定した場合は、ラベルLを商品Gに貼付処理する(ステップ6)。
【0046】
異常があると判定した場合は、ステップ2で初期異常があると判定した場合と同様に、不良ラベルの自動排出(ステップB1)及び商品情報の再発行(ステップB2)が行われ、新しいラベルLのラベル識別情報のリード処理から動作をやり直される(ステップA1)。なお、ステップ5で検出される異常としては、第二リーダ/ライタ24によるライト処理にミスが生じた場合のほか、印字部23による印字処理の衝撃でラベルLのリード/ライト機能に異常が生じた場合も検出することができる。
【0047】
上記印字装置1によれば、外観では判断できないラベルLのリード/ライト機能やライト処理に関する異常の有無を判定し、異常があると判定された不良ラベルを自動的に排出するので、不良ラベルの混入を確実に防止することができるとともに、運転停止による時間ロスが少なく、生産効率を高めることができる。また、異常があった不良ラベルの商品情報を再発行して、その再発行情報を新しいラベルに記録するデータ記録処理のやり直しを行うため、生産ラインを停止せずに済む。しかも、リード/ライト機能やライト処理の良否判定が印字処理後になされるため、印字処理時にラベルLに加わる衝撃等で発生する不良(特にICチップL1の故障)も検出することができる。
【0048】
さらに、印字装置1は、ラベル貼付処理部3で不良ラベルを保持した後、商品Gに向かう方向とは異なる方向へラベルを排出するので、不良ラベルを装置から取り除くための工程を特別に設ける必要がなく、装置制御の複雑化を避けることができる。しかも、不良ラベルを排出するための構造として、吸着パッド31に、商品Gに向かって延びるエアノズル311に加えて、商品Gに向かう方向とは異なる斜め方向へラベルを吹き飛ばす補助ノズル312を設けるだけであるから、装置構造の複雑化も避けることができるものである。
【0049】
(上記実施形態の変形例)
上記実施形態では、RFIDラベルに対するデータ記録処理のうち、内蔵されるICチップへのライト処理に異常があるか否かを判定し、その判定結果に基づいてラベルを貼付又は自動排出することとしたが、ライト処理の異常有無の判定に加えて、ラベル表面への印字処理に異常があるか否かを判定し、それらの判定結果に基づいてラベルを貼付又は自動排出することとしても良い。また、上記実施形態では、ラベルLをラベル貼付処理部3で一旦保持した後に排出することとしたが、保持せずに排出することとしても良い。また、不良ラベルを吹き飛ばす際には、補助ノズル312のみを作動させることとしても良い。
【0050】
上記実施形態では、吸着パッド31に補助ノズル312を設けたが、補助ノズル312を設ける代わりに、図4(a)〜(c)に示される他の構造を採用しても良い。(a)は、ラベルLが商品Gに向かって吹き飛ばされる方向と直交する方向へ延びて、ラベル貼付処理部3に保持された不良ラベルがエアノズル311で吹き飛ばされる際に、不良ラベルを商品Gに向かう方向と異なる方向へ吹き飛ばす補助ノズル313が、データ記録処理部2であってラベル貼付処理部3の近傍に設けられている。エアノズル311に正圧を付与することにより吸着パッド31から離れたラベルLに対して、補助ノズル313からエアを噴射することにより、不良ラベル受部33へ不良ラベルを導くように排出する。
【0051】
(b)は、ラベル貼付処理部3に保持された不良ラベルを、商品Gに向かう方向とは異なる方向へ吹き飛ばす補助ノズル314が、データ記録処理部2であってラベル貼付処理部3の近傍に設けられている。吸着パッド31で吸着されている不良ラベルに対して向けられた補助ノズル314からエアを噴射させることにより、不良ラベル受部33へ不良ラベルを導くように排出する。なお、補助ノズル314からエア噴射時には、エアノズル311に付与されている吸着用の負圧エアは、減圧、遮断、あるいは正圧エアへの切り替えが行われる。
【0052】
(c)は、ラベル貼付処理部3に保持された不良ラベルを吹き飛ばして貼付処理するためのラベル廃棄部28が、矢印X5で示されるように、ラベル貼付処理部3と商品Gの間に出入するように設けられている。エアノズル311に正圧を付与して不良ラベルを吹き飛ばす前に、ラベル廃棄部28で商品Gを覆うようにして、これに不良ラベルを貼付処理する。不良ラベルは、貼付処理されることにより確実に回収されるため、誤って周囲に飛散させる恐れがない。
【0053】
また、本発明は、RFIDラベルのみに適用されるものではなく、ICチップを内蔵しない通常のラベルに適用しても良い。例えばバーコードが印字処理されるラベルについて、バーコード印字処理の異常有無を判定して、異常があると判定された不良ラベルを、商品Gに貼付処理しないで、図1、図4に示される補助ノズルやラベル廃棄部28等の手段で自動的に排出することとしても良い。印字部23の下流側にバーコードリーダーを設置しておき、その読取結果で異常が確認された場合に、補助ノズルやラベル廃棄部等を作動させれば良い。
【0054】
上記実施形態では、ラベルLのライト/リード機能に異常がある場合は、印字/ライト処理を行わずに排出することとしたが、印字/ライト処理を実施しても差し支えない。上記実施形態では、印字部23の上流に設けられる第一リーダ/ライタ22で商品情報をライト処理し、印字部23の下流に設けられる第二リーダ/ライタ24で当該商品情報をリード処理可能か否か、判定することとして、印字処理の衝撃等でICチップL1が損傷するものを検出できるようにしたが、印字部23の上流又は下流の一方に、あるいは、それ以外の場所にリーダ/ライタを一台のみ設置して、商品情報のライト処理及びリード処理の両方を行わせるようにしても良い。
【0055】
上記の他、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態に係る印字装置の一部断面図。
【図2】本実施形態に係る印字装置でデータ記録処理されるラベルの構造を説明する斜視図。
【図3】本実施形態に係る印字装置による処理を示すフローチャート。
【図4】本実施形態に係る印字装置の変形例。
【符号の説明】
【0057】
1 印字装置
2 データ記録処理部
3 ラベル貼付処理部
21 ロール軸
22 第一リーダ/ライタ
23 印字部
23a 印字ローラ
23b サーマルヘッド
24 第二リーダ/ライタ24
25 台紙巻取軸
26 制御部
27 アシストローラ
31 吸着パッド
31a ラベル吸着面
311 エアノズル
312 補助ノズル
32 圧力発生機構
33 不良ラベル受部
313 補助ノズル
314 補助ノズル
28 ラベル廃棄部
C コンベア
G 商品
L ラベル
L1 ICチップ
L2 アンテナ
P 長尺台紙
R ラベルロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルへのデータ記録処理を行い、該ラベルを被貼付対象物に対して貼付処理する印字装置であって、
該データ記録処理に異常があるか否かを判定し、異常があると判定された不良ラベルを、前記被貼付対象物に対して貼付処理せずに自動的に排出することを特徴とする印字装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印字装置であって、
排出した不良ラベルに記録される予定であった情報を再発行して、該再発行情報を新しいラベルに記録するデータ記録処理を行い、該データ記録処理に異常がないと判定されたときに、前記の新しいラベルを被貼付対象物に対して貼付処理することを特徴とする印字装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の印字装置であって、
前記ラベルは、リーダ/ライタとの無線通信により情報がリード/ライトされるRFIDラベルであることを特徴とする印字装置。
【請求項4】
請求項3に記載の印字装置であって、
前記データ記録処理は、前記ラベルへのライト及び印字処理であり、
リード/ライト機能に異常があると判定された不良ラベルを、前記被貼付対象物に対して貼付処理せずに自動的に排出することを特徴とする印字装置。
【請求項5】
請求項3に記載の印字装置であって、
前記データ記録処理は、前記ラベルへのライト及び印字処理であり、
前記ライト処理に異常があると判定された不良ラベルを、前記被貼付対象物に対して貼付処理せずに自動的に排出することを特徴とする印字装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の印字装置であって、
前記判定は、前記印字処理後になされることを特徴とする印字装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の印字装置であって、
前記データ記録処理は、前記ラベルへのバーコード印字処理であり、
前記バーコード印字処理に異常があると判定された不良ラベルを、前記被貼付対象物に対して貼付処理せずに自動的に排出することを特徴とする印字装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の印字装置であって、
貼付処理部で前記不良ラベルを保持した後、前記被貼付対象物に向かう方向とは異なる方向へ前記ラベルを排出することを特徴とする印字装置。
【請求項9】
請求項8に記載の印字装置であって、
前記貼付処理部は、保持したラベルを前記被貼付対象物に向かう方向へ吹き飛ばすエアノズルと、前記被貼付対象物に向かう方向とは異なる方向へ吹き飛ばす補助ノズルと、を備えてなり、
前記不良ラベルを保持したときに、前記補助ノズルを作動させることを特徴とする印字装置。
【請求項10】
請求項8に記載の印字装置であって、
前記貼付処理部に保持された不良ラベルを、前記被貼付対象物に向かう方向とは異なる方向へ吹き飛ばす補助ノズルが、前記貼付処理部の近傍に設けられていることを特徴とする印字装置。
【請求項11】
請求項8に記載の印字装置であって、
前記貼付処理部から前記被貼付対象物に向かう方向に吹き飛ばされる不良ラベルを、前記被貼付対象物に向かう方向とは異なる方向へ吹き飛ばす補助ノズルが、前記貼付処理部の近傍に設けられていることを特徴とする印字装置。
【請求項12】
請求項1乃至7のいずれかに記載の印字装置であって、
貼付処理部で前記不良ラベルを保持して、前記貼付処理部と前記被貼付対象物の間に出入するラベル廃棄部に貼付処理することを特徴とする印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−118259(P2007−118259A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310505(P2005−310505)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】