説明

印字装置

【課題】複数のキャラクタ分、カーソルを移動させる場合に、カーソルの移動先をスムーズに決定できる印字装置を提供する。
【解決手段】キャラクタが入力されると(S11:YES)、第一サイズでキャラクタが表示される(S13)。カーソル移動に関するキーが押下されると(S14:YES)、複数のキャラクタに亘ってカーソルを移動させることを示す操作である長距離移動操作であるか否かが判断される(S17)。長距離移動操作でない場合(S17:NO)、カーソルが1つのキャラクタ分移動される(S18)。長距離移動操作である場合(S17:YES)、キャラクタが第一サイズより小さい第二サイズに切り替えられる(S19)。この状態でカーソル移動に関するキーが押下されると(S22:YES)、第二サイズでキャラクタが表示されている状態でカーソルが移動される(S23)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部にキャラクタを表示することが可能な印字装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表示部にキャラクタを表示することが可能な印字装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の文書処理装置は、入力されたキャラクタデータや指令データの入力順序をキー履歴バッファに記憶している。また、拡大表示キーを押下することで、キャラクタの大きさが拡大又は縮小するように、液晶ディスプレイ(表示部に相当)の表示を切り替えることができる。文書処理装置は、拡大表示キーが押下されて表示を切り替える場合に、キー履歴バッファに記憶されているキャラクタデータや指令データの入力頻度の重み付け解析演算を行う。そして、重み付け解析演算の最大値の結果を、文字入力操作やカーソルの移動操作等に分類し、分類された操作に応じてカーソルを液晶ディスプレイの最適な位置に発現させている。このように、文書表示装置では、拡大表示キーが押下された場合に、キャラクタのサイズを変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−140719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャラクタが大きいサイズで表示部に表示されている場合、表示部に表示されるキャラクタの数は少ない。このため、ユーザがキャラクタの編集を行う際に、複数のキャラクタ分、カーソルを移動させる場合、表示部に表示されているキャラクタの数が少ないので、カーソルを移動させる方向にどのようなキャラクタが入力されているか視認できない場合がある。このため、ユーザは、カーソルの移動先のキャラクタの入力状況を把握できず、スムーズにカーソルの移動先を決定することができないという問題点があった。
【0005】
また、前記従来の文書表示装置のように、拡大表示キーを押下することで、キャラクタの縮小を行った場合、キャラクタを縮小することで、より多くのキャラクタを表示部に表示することができる。このため、カーソルの移動先のキャラクタの入力状況を把握し易くなる。しかしながら、カーソルの移動の操作とは別に拡大表示キーを押下する必要があるため、ユーザは、キャラクタを縮小すればカーソルの移動先のキャラクタの入力状況が把握し易くなることに気付かない場合が多い。よって、結局は、ユーザは、キャラクタが大きなサイズで表示された状況で、複数のキャラクタ分、カーソルを移動させることになり、スムーズにカーソルの移動先を決定できなかった。
【0006】
本発明の目的は、複数のキャラクタ分、カーソルを移動させる場合に、カーソルの移動先をスムーズに決定できる印字装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る印字装置は、キャラクタが表示される表示部を備え、前記キャラクタを入力可能な位置を示すカーソルを移動させることが可能な印字装置であって、前記キャラクタを第一サイズで前記表示部に表示する第一表示制御手段と、前記第一表示制御手段によって前記表示部に前記第一サイズで前記キャラクタが表示されている場合に、複数の前記キャラクタに亘って前記カーソルを移動させることを示す操作である長距離移動操作を検出する第一操作検出手段と、前記第一操作検出手段によって前記長距離移動操作が検出された場合に、前記表示部に表示される前記キャラクタのサイズを、前記第一サイズから、前記第一サイズより小さい第二サイズに切り替える第二表示制御手段とを備えている。
【0008】
この場合、複数のキャラクタに亘ってカーソルを移動させることを示す操作である長距離移動操作が検出された場合に、第一サイズより小さい第二サイズでキャラクタが表示部に表示される。サイズの小さい第二サイズでキャラクタが表示されるので、表示部に表示されるキャラクタの数が多くなる。このため、ユーザは、より多くのキャラクタを視認することができる。よって、カーソルの移動先のキャラクタの入力状況を把握することができ、スムーズにカーソルの移動先を決定することができる。また、ユーザが複数のキャラクタに亘ってカーソルを移動させようとした場合に、自動的にキャラクタのサイズを小さくすることができるので、よりスムーズにカーソルの移動先を決定できる。
【0009】
前記印字装置は、前記第二表示制御手段によって前記第二サイズで前記キャラクタが表示されている場合に、前記カーソルを移動させる操作であるカーソル移動操作を検出する第二操作検出手段と、前記第二表示制御手段によって前記第二サイズで前記キャラクタが表示されている状態で、前記第二操作検出手段によって検出された前記カーソル移動操作に基づいて前記カーソルを移動させるカーソル移動手段とを備えている。この場合、第二サイズでキャラクタが表示されている状態のままカーソルを移動させることができるので、ユーザは、キャラクタの数が多く表示された画面上でカーソルを移動させることができる。よって、ユーザは、多くのキャラクタを視認しながら、所望の位置に容易にカーソルを移動させることができる。
【0010】
前記印字装置において、前記第二表示制御手段は、前記第一表示制御手段によって前記第一サイズで前記キャラクタが表示されている場合の前記カーソルの位置と、前記第二サイズで前記キャラクタを表示する場合の前記カーソルの位置とが同じ位置になるように前記カーソルを前記表示部に表示しつつ、前記キャラクタのサイズを、前記第一サイズから前記第二サイズに切り替えてもよい。この場合、キャラクタのサイズを第一サイズから第二サイズに切り替える場合に、カーソルの位置が変わらないので、ユーザは、カーソルを見失い難い。よって、ユーザは、キャラクタのサイズが第二サイズに切り替わった後に、スムーズに、カーソルの移動の操作を行うことができる。
【0011】
前記印字装置において、前記長距離移動操作は、前記カーソルを移動させる方向キーの操作を少なくとも含み、前記第二表示制御手段は、前記カーソルに対して、前記第一操作検出手段によって検出された前記長距離移動操作に含まれる前記方向キーが示す方向側の前記キャラクタの数を、前記方向キーが示す方向の反対側の前記キャラクタの数より多くしつつ、前記キャラクタのサイズを、前記第一サイズから前記第二サイズに切り替えて前記表示部に表示してもよい。この場合、キャラクタが第二サイズに切り替わった場合に、ユーザがカーソルを移動させようとしている方向側のキャラクタの数を多く表示できるので、ユーザは、より多くのキャラクタを参照して、カーソルの移動先のキャラクタの入力状況を把握することができる。よって、スムーズにカーソルの移動先を決定することができる。
【0012】
前記印字装置において、前記長距離移動操作は、前記カーソルを移動させる方向キーの操作を少なくとも含み、前記第二表示制御手段は、前記カーソルに対して、前記方向キーが示す方向側の前記キャラクタの数が、前記第二方向キーが示す方向の反対側の前記キャラクタの数より多くなるように、前記キャラクタと前記カーソルとの位置を移動させて前記表示部に表示した後、前記第一サイズで前記キャラクタが表示されている場合の前記カーソルの位置と、前記第二サイズで前記キャラクタを表示する場合の前記カーソルの位置とが同じ位置になるように前記カーソルを前記表示部に表示しつつ、前記キャラクタのサイズを、前記第一サイズから前記第二サイズに切り替えてもよい。
【0013】
この場合において、長距離移動操作が検出された場合、まず、第一サイズのまま、キャラクタとカーソルとが移動されるので、キャラクタ及びカーソルの移動と、キャラクタのサイズの変更とが同時に行われる場合に比べて、ユーザは、カーソルを見失い難い。また、ユーザがカーソルを移動させようとしている方向側のキャラクタの数を多く表示できるので、ユーザは、より多くのキャラクタを参照して、カーソルの移動先のキャラクタの入力状況を把握することができる。
【0014】
前記印字装置において、前記長距離移動操作は、前記カーソルを移動させる方向キーの操作を少なくとも含み、前記第二表示制御手段は、前記第一サイズで前記キャラクタが表示されている場合の前記カーソルの位置と、前記第二サイズで前記キャラクタを表示する場合の前記カーソルの位置とが同じ位置になるように前記カーソルを前記表示部に表示しつつ、前記キャラクタのサイズを前記第一サイズから前記第二サイズに切り替えた後、前記カーソルに対して、前記第一操作検出手段によって検出された前記長距離移動操作に含まれる前記方向キーが示す方向側の前記キャラクタの数が、前記方向キーが示す方向の反対方向の前記キャラクタの数より多くなるように前記キャラクタ及び前記カーソルを移動させてもよい。この場合において、長距離移動操作が検出された場合、まず、カーソルの位置が同じ位置にある状態で、キャラクタが第一サイズから第二サイズに切り替わる。そして、その後、キャラクタとカーソルとが移動されるので、キャラクタ及びカーソルの移動と、キャラクタのサイズの変更とが同時に行われる場合に比べて、ユーザは、カーソルを見失い難い。また、ユーザがカーソルを移動させようとしている方向側のキャラクタの数を多く表示できるので、ユーザは、より多くのキャラクタを参照して、カーソルの移動先のキャラクタの入力状況を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】カバー6が閉じられた状態の印字装置1の斜視図である。
【図2】カバー6が開かれた状態の印字装置1と印字装置1に着脱されるテープカセット30との斜視図である。
【図3】印字装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】キャラクタが第一サイズでディスプレイ5に表示された状態を示す図である。
【図5】メイン処理のフローチャートである。
【図6】キャラクタバッファに記憶されたキャラクタデータの一例を示す図である。
【図7】図4に示す状態から、カーソル97がキャラクタ1つ分左側に移動した状態を示す図である。
【図8】キャラクタが第二サイズでディスプレイ5に表示された状態を示す図である。
【図9】図8に示す状態から、カーソル97が左方向に移動した状態を示す図である。
【図10】キャラクタ「b」が追加入力された状態を示す図である。
【図11】図9に示すカーソル97の変形例のカーソル971が表示された状態を示す図である。
【図12】図9に示すカーソル97の変形例のカーソル972が表示された状態を示す図である。
【図13】キャラクタが第一サイズでディスプレイ5に表示された状態を示す図である。
【図14】第一切替処理のフローチャートである。
【図15】キャラクタが第二サイズで表示され、図13に示すカーソル97の位置と同じ位置でカーソル97が表示された状態を示す図である。
【図16】第二切替処理のフローチャートである。
【図17】キャラクタが第二サイズで表示され、カーソル97の右側のキャラクタの数が、左側のキャラクタの数より多い状態を示す図である。
【図18】第三切替処理のフローチャートである。
【図19】キャラクタが第一サイズで表示され、カーソル97の右側のキャラクタの数が、左側のキャラクタの数より多い状態を示す図である。
【図20】第四切替処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した第一実施形態について、図面を参照して説明する。図1〜図2を参照して、本実施形態に係る印字装置1の概略構成について説明する。印字装置1は、テープ状の印字媒体50(図2参照)の幅方向に、行単位でキャラクタ(文字、記号及び数字等)を印字可能である。以下の説明では、図1及び図2の右上側、左下側、右下側、左上側、上側、下側を、それぞれ、印字装置1の後側、前側、右側、左側、上側、下側とする。
【0017】
図1に示すように、印字装置1の上面には、キャラクタを入力するためのキーボード3が設けられている。キーボード3の後側(紙面右上側)には、電源キー、決定キー、印字キー等を含む機能キー群4が設けられている。以下の説明では、機能キー群4とキーボード3とを総称する場合、入力部90という。機能キー群4の後側には、入力したキャラクタ等を表示するためのディスプレイ5が設けられている。印字装置1の上面の後部には、開閉可能なカバー6が設けられている。カバー6は、カバー6の後端部の左右方向を支点として開閉自在である。印字装置1の左後角には、切断された印字済みの印字媒体50(図2参照)を受けるテープトレイ7が設けられている。
【0018】
図2に示すように、ディスプレイ5の後側には、カセット装着部8が形成されている。カセット装着部8には、テープカセット30が上下方向に着脱される。テープカセット30の内部には、印字媒体50とインクリボン(図示外)が巻回されて収納されている。印字媒体50は、例えば、片面に剥離紙が設けられ、剥離紙を剥離して他の物体に貼り付けることが可能なラベルテープである。印字装置1のカセット装着部8には、インクリボンを巻き取るリボン巻取軸9、印字媒体50を搬送するテープ駆動軸(図示外)、プラテンローラ(図示外)、インクリボンを加熱して印字を行うサーマルヘッド10(図3参照)等が設けられている。
【0019】
印字装置1が印字を実行する際には、リボン巻取軸9によってインクリボンが引き出されながら、テープ駆動軸とプラテンローラによって印字媒体50が搬送される。そして、印字媒体50とインクリボンとが、プラテンローラによってサーマルヘッド10に押し付けられながら、サーマルヘッド10によってインクリボンを介して印字媒体50に印字が行われる。印字された印字媒体50は、印字媒体50の搬送経路上に設けられた移動刃(図示外)によって切断され、印字装置1の外部に排出される。なお、テープカセット30としては、種々の種類のテープカセットを使用することができる。例えば、テープカセット30は、透明フィルムによって表面が保護されたラミネートテープを作成するためのテープカセットであってもよいし、アイロンを使用して衣類などに貼り付けることができる布製のテープを作成するためのテープカセットであってもよい。
【0020】
図3を参照して、印字装置1の電気的構成について説明する。図3に示すように、印字装置1は、各機器を制御するCPU401、ROM402、CGROM403、RAM404、及びフラッシュメモリ409を備えている。ROM402、CGROM403、RAM404、フラッシュメモリ409は、CPU401に電気的に接続されている。
【0021】
ROM402には、CPU401が印字装置1を制御するために実行する各種プログラム等が記憶されている。CGROM403には、キャラクタを印字するための印字用ドットパターンデータ等が記憶されている。
【0022】
RAM404は、キャラクタバッファ4041を少なくとも備えている。キャラクタバッファ4041には、キャラクタのデータ(以下、「キャラクタデータ」という。)が一時的に記憶される。また、RAM404には、キャラクタをディスプレイ5に表示するための座標(X,Y)が記憶される。なお、X座標はディスプレイ5の左右方向の座標であり、Y座標はディスプレイ5の上下方向の座標である。また、キャラクタの座標は、一例として、キャラクタの外形の中央の座標であるとする。後述するS13、S24、及びS19(図5参照)でキャラクタがディスプレイ5に表示される際には、キャラクタが配置されるディスプレイ5上の座標(X,Y)が決定された上で、当該座標と、キャラクタバッファ4041に記憶されたキャラクタデータとに基づいて、キャラクタがディスプレイ5に表示される。また、印字装置1は、キャラクタバッファ4041に記憶されたキャラクタデータに基づいて、印字媒体50にキャラクタを印字する。
【0023】
また、RAM404には、キャラクタを入力可能な位置を示すカーソル97のディスプレイ5上の座標が記憶される。後述するS18及びS23(図5参照)などで、カーソル97が移動される際には、カーソル97の座標が決定されてRAM404に記憶され、記憶された座標に基づいて、カーソル97がディスプレイ5に表示される。カーソル97の座標は、一例として、カーソル97の外形の中央の座標であるとする。また、RAM404には、その他、種々の一時データが記憶される。フラッシュメモリ409には、種々のデータが記憶される。
【0024】
印字装置1は、入力部90、液晶駆動回路(LCDC)405、及び駆動回路406、407、408を備えている。入力部90、液晶駆動回路(LCDC)405、及び駆動回路406、407、408は、CPU401に電気的に接続されている。駆動回路406は、サーマルヘッド10を駆動するための電子回路である。駆動回路407は、リボン巻取軸9(図2参照)及びテープ駆動軸(図示外)を回転させるテープ送りモータ24を駆動するための電子回路である。駆動回路408は、印字装置1の外部に排出される印字済みの印字媒体50を切断する移動刃(図示外)を動作させるカッターモータ25を駆動するための電子回路である。液晶駆動回路(LCDC)405は、ディスプレイ5にキャラクタ等を出力するための電子回路である。
【0025】
図4を参照して、ディスプレイ5の表示について説明する。図4に示すように、ディスプレイ5の上部には、情報表示領域81が設けられている。情報表示領域81の右部には、現在入力されているキャラクタを印字した場合の印字媒体50の必要長さの表示82が表示されている。以下では特に説明しないが、必要長さの表示82は、キャラクタの入力、改行の追加、及び改行の削除等が行われる度に更新される。情報表示領域81には、入力されるキャラクタの書式(文字の形態など)を変更するための情報など、他の情報も表示されるが、図示は省略している。
【0026】
情報表示領域81の下側の表示領域83には、ユーザによって入力されたキャラクタが表示される。表示領域83の左部(行の先頭)には、1行目であることを示す行表示91が表示されている。例えば、キャラクタが2行分入力された場合、2行目であることを示す行表示が表示される。また、ディスプレイ5には、カーソル97が表示されている。ユーザは、カーソル97を移動させて、例えば、キャラクタを入力、削除する位置を指定することができる。以下の説明では、図7に示すキャラクタのサイズを第一サイズという。後述するメイン処理のS19の処理(図5参照)では、キャラクタが第一サイズより小さい第二サイズに切り替えられる(図8参照)。
【0027】
図5を参照し、印字装置1のCPU401によるメイン処理について説明する。メイン処理では、まず、キーボード3を介して、新たにキャラクタが入力されたか否か判断される(S11)。キャラクタが入力された場合(S11:YES)、キャラクタデータがキャラクタバッファ4041に記憶される(S12)。次いで、キャラクタバッファ4041に記憶されたキャラクタデータに基づいて、キャラクタがディスプレイ5に表示される(S13)。なお、前述したように、S13では、キャラクタの座標が決定された後に、キャラクタがディスプレイ5に表示される。次いで、処理はS11に戻る。
【0028】
例えば、ユーザによって、キーボード3が操作され、「It is fine today.」のキャラクタが順次入力された場合に、図6に示すように、キャラクタバッファ4041に、「It□is□fine□today.」のキャラクタデータが記憶される(S12)。このとき、ディスプレイ5には、図4に示すように、第一サイズでキャラクタが表示される。なお、図6におけるスペースデータ70「□(四角)」は、ユーザによって、キーボード3に含まれるスペースキー(図示略)が押下された場合に入力されるデータである。このスペースデータ70が入力された位置には、図4に示すように、スペースであることを示す表示であるスペース表示98が表示される(S13)。入力されたキャラクタの数が多いので、図4に示すように、ディスプレイ5には、全てのキャラクタを一度に表示できず、キャラクタの一部「e today.」が表示されている。
【0029】
キャラクタが入力されていない場合(S11:NO)、カーソル移動に関するキーが押下されたか否かが判断される(S14)。本実施形態では、カーソル移動に関するキーは、キーボード3に含まれる上下左右の方向キーである。カーソル移動に関するキーが押下されていない場合(S14:NO)、入力部90に含まれるその他のキー(キャラクタを入力するためのキーとカーソル移動に関するキーとではないキー)が押下されたか否かが判断される(S15)。その他のキーが押下されていない場合(S15:NO)、処理はS11に戻る。
【0030】
その他のキーが押下された場合(S15:YES)、キーに応じた処理が実行される。例えば、機能キー群4に含まれる印字キー(図示略)が押下された場合、印字の処理が実行され、印字媒体50にキャラクタが印字される(S16)。次いで、処理はS11に戻る。
【0031】
S14において、カーソル移動に関するキーが押下された場合(S14:YES)、長距離移動操作がされたか否かが判断される(S17)。長距離移動操作は、複数のキャラクタに亘ってカーソル97を移動させることを示す操作である。本実施形態では、一例として、長距離移動操作は、所定時間(本実施形態では、一例として1秒)以上継続して、カーソル移動に関するキーを押下する操作であるとする。例えば、ユーザは、カーソル97を1つのキャラクタ毎に移動させたい場合、カーソル移動に関するキーを短時間(例えば、1秒以内)押下する。また、ユーザは、複数のキャラクタに亘ってカーソル97を移動させる場合、所定時間以上継続して、移動に関するキーを押下する。
【0032】
所定時間以上継続して、カーソル移動に関するキーが押下されていない場合、すなわち、長距離移動操作でない場合(S17:NO)、カーソル移動に関するキーが示す方向にカーソル97が1つのキャラクタ分移動される(S18)。例えば、図4に示すように、カーソル97がキャラクタ「.(ピリオド)」右側にある場合、入力部90に含まれる左方向キーが押下され(S14:YES)、その押下の継続時間が所定時間以内の0.2秒であった場合(S17:NO)、図7に示すように、ピリオドの左側(「y」と「.」との間)にカーソル97が移動される(S18)。次いで処理はS11に戻る。
【0033】
S17において、所定時間以上継続して、カーソル移動に関するキーが押下された場合、すなわち、長距離移動操作である場合(S17:YES)、ディスプレイ5に表示されるキャラクタのサイズが、第一サイズから、第一サイズより小さい第二サイズに切り替えられる(S19)。例えば、図4に示すように、カーソル97がキャラクタ「.(ピリオド)」右側にある場合において、ユーザが複数のキャラクタに亘ってカーソル97を左方向に移動する場合、ユーザは、左方向キーを所定時間以上押下する。つまり、長距離移動操作を行う。
【0034】
図4に示す状態で、長距離移動操作が行われると(S17:YES)、図8に示すように、キャラクタが第一サイズより小さい第二サイズに切り替えられる(S19)。図8に示すように、サイズの小さい第二サイズでキャラクタが表示されるので、第一サイズで表示されている場合(図4参照)に比べて、ディスプレイ5に表示されるキャラクタの数が多くなる。このため、ユーザは、より多くのキャラクタを視認することができる。よって、カーソル97の移動先のキャラクタの入力状況を把握することができ、カーソル97の移動先をスムーズに決定することができる。
【0035】
次いで、入力部90のキーが押下されたか否かが判断される(S20)。キーが押下されていない場合(S20:NO)、キーが押下されていない状態が所定時間(本実施形態では、一例として5秒)以上継続したか否かが判断される(S21)。キーが押下されていない状態が所定時間以上継続していない場合(S21:NO)、処理はS20に戻る。つまり、印字装置1は、所定時間の間待機する。
【0036】
S20において、入力部90のキーが押下された場合(S20:YES)、S20で検出されたキーの操作について、カーソル移動に関するキーが押下された操作であるか否かが判断される(S22)。カーソル移動に関するキーが押下された操作である場合には(S22:YES)、第二サイズでキャラクタが表示されている状態で、カーソル移動に関するキーが示す方向にカーソル97が移動される(S23)。次いで、処理はS20に戻る。
【0037】
例えば、S14でユーザが左方向キーを押下した時から、継続して左方向キーが押下され続けた場合(S14:YES、S17:YES、S19、及びS20:YES)、カーソル移動に関するキーであると判断され(S22:YES)、キャラクタ1つ分カーソル97が移動される(S23)。そして、左方向キーがさらに継続して押下されると、S20、S22、及びS23が繰り返され、カーソル97が左方向に移動していく。そして、例えば、ユーザが第二サイズでキャラクタが表示されている画面を見ながら、カーソル97の移動先をキャラクタ「f」の左側にすると判断した場合、ユーザは、カーソル97がキャラクタ「f」の左側に移動した時点で、左方向キーから指を離し、押下を止める。これによって、図9に示すように、カーソル97がキャラクタ「f」の左側で停止する。なお、例えば、図9に示す状態で、ユーザが右方向キーを押下すると、キャラクタが第二サイズのまま、カーソル97が右方向に移動される(S23)。
【0038】
ユーザがカーソル移動に関するキー以外を押下した場合、カーソル移動に関するキーでないと判断され(S22:NO)、キャラクタが第一サイズでディスプレイ5に表示される(S24)。次いで、処理はS11に戻る。
【0039】
例えば、図9に示すように、カーソル97がキャラクタ「f」の左側にある状態で、ユーザが、キャラクタ「b」を追加するために、キャラクタ「b」を入力するキーを押下した場合、カーソル移動に関するキーでないと判断される(S22:NO)。そして、キャラクタが第一サイズで表示され(S24)、キャラクタが入力されたと判断され(S11:YES)、キャラクタ「b」のキャラクタデータが、キャラクタバッファ4041に記憶される(S12)。そして、図10に示すように、キャラクタ「b」が追加されたキャラクタがディスプレイ5に表示される(S13)。このとき、キャラクタは第一サイズで表示されている。また、例えば、図9に示すように、カーソル97がキャラクタ「f」の左側にある状態で、ユーザが、キャラクタ「f」を削除するために、削除キーを押下した場合、カーソル移動に関するキーでないと判断され(S22:NO)、キャラクタが第一サイズで表示される(S24)。そして、その他のキーが押下されたと判断され(S15:YES)、キャラクタ「f」が削除される(S16)。
【0040】
キャラクタが第二サイズで表示されている状態で、キーが押下されていない状態が所定時間以上継続した場合(S21:YES)、前述したS24に進み、キャラクタが第一サイズで表示され、処理はS11に戻る。このため、例えば、図9に示すように、カーソル97がキャラクタ「f」の左側にある状態で、ユーザがいずれのキーも押下しなければ、キャラクタは、第二サイズから第一サイズに切り替わる(S24)。
【0041】
以上のように、本実施形態における処理が行われる。前述したように、本実施形態では、ユーザは、より多くのキャラクタを視認することができるので、カーソル97の移動先のキャラクタの入力状況を把握することができ、スムーズにカーソル97の移動先を決定することができる。さらに、ユーザが複数のキャラクタに亘ってカーソル97を移動させようとした場合に、自動的にキャラクタのサイズを小さくすることができるので、よりスムーズにカーソル97の移動先を決定できる。
【0042】
特に、本実施形態の長距離移動操作は、ユーザがカーソル97を移動させたい方向のキーを、所定時間以上押下する操作である。ユーザが複数のキャラクタに亘ってカーソル97を移動させようとした場合に、すなわち、連続してカーソル97を移動させる場合に、カーソル97を移動させたい方向のキーを押下し続けるのは、一般的に行われる操作である。このため、カーソル移動に関するキーを所定時間以上押下(いわゆる、長押し)するのは、ユーザが複数のキャラクタに亘ってカーソル97を移動させようとしていること示す操作であるといえる。つまり、本実施形態では、ユーザが、キャラクタのサイズを小さくすることを意図しなくても、複数のキャラクタに亘ってカーソル97を移動させようとしただけで、自動的にキャラクタのサイズを小さくすることができ、より多くのキャラクタをディスプレイ5に表示できる。また、ユーザが、キャラクタのサイズを小さくするための操作を別途行う必要がない。このため、ユーザは、カーソル97の移動先をよりスムーズに決定して、カーソル97を移動できる。
【0043】
なお、長距離移動操作は、カーソル移動に関するキーを所定時間以上押下する操作に限定されない。例えば、長距離移動操作は、所定時間内(例えば、0.5秒以内)に連続して2回以上、カーソル移動に関するキーが押下される操作であってもよい。ユーザが複数のキャラクタに亘ってカーソル97を移動させようとした場合、連続してカーソル移動に関するキーを押下することは、一般的に行われる操作である。また、従来の印字装置では、キーボード3に含まれるShiftキーと上下左右の方向キーとを押下することで、並んでいるキャラクタの押下された方向の端までカーソル97を移動できる(すなわち、複数のキャラクタに亘ってカーソル97を移動できる)機能がある。本実施形態の長距離移動操作は、この押下された方向の端までカーソル97を移動する操作であってもよい。
【0044】
また、本実施形態では、第二サイズでキャラクタが表示されている状態のままカーソル97を移動させることができる(S23)。このため、ユーザは、キャラクタの数が多く表示されたディスプレイ5の画面上で、カーソル97を移動させることができる。よって、ユーザは、多くのキャラクタを視認しながらカーソル97を移動できるので、所望の位置に容易にカーソル97を移動させることができる。
【0045】
本実施形態において、ディスプレイ5が本発明の「表示部」に相当し、S13及びS24の処理を行うCPU401が本発明の「第一表示制御手段」に相当する。S17の処理を行うCPU401が本発明の「第一操作検出手段」に相当し、S19の処理を行うCPU401が本発明の「第二表示制御手段」に相当する。カーソル移動に関するキーが押下される操作が「カーソル移動操作」に相当し、S22の処理を行うCPU401が本発明の「第二操作検出手段」に相当する。S23の処理を行うCPU401が本発明の「カーソル移動手段」に相当する。
【0046】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第二サイズでキャラクタが表示されている状態で、カーソル移動に関するキー以外のキーが押下されると(S22:NO)、キャラクタが第一サイズで表示され(S24)、キーに応じた処理が行われていた(S13及びS16参照)。しかし、これに限定されない。例えば、第二サイズでキャラクタが表示されている状態で、カーソル移動に関するキー以外のキーが押下された場合に、第二サイズでキャラクタが表示されている状態で、キーに応じた処理(例えば、キャラクタの入力)が行われてもよい。
【0047】
また、カーソル97の形状は限定されない。例えば、図11に示すカーソル971のように、カーソル971がキャラクタの下側に左右方向に長く表示されてもよい。また、図12に示すカーソル972のように、キャラクタを白黒反転するように、表示されてもよい。
【0048】
また、図7等で例示したキャラクタは、アルファベットであったが、アルファベットに限定されない。例えば、ひらがな、カタカナ、漢字等であってもよい。
【0049】
また、図7等で例示したキャラクタは、1行分であったが、これに限定されない。例えば、2行以上のキャラクタであってもよい。この場合、第一サイズでキャラクタがディスプレイ5に表示される場合には、1行のキャラクタのみが表示され、第二サイズでキャラクタが表示される場合には(S19)、キャラクタが小さいので、複数行のキャラクタが表示されるようにしてもよい。また、この場合、前述の実施形態における具体例では、左右の方向キーが押下されて長距離移動操作がされた場合にキャラクタが第二サイズに切り替えられていたが(S19)、これに限定されず、上下の方向キーが押下されて長距離移動操作がされた場合に、キャラクタが第二サイズに切り替えられてもよい。そして、キャラクタが第二サイズに切り替えられた状態で、上下左右にカーソル97が移動可能であってもよい(S23)。
【0050】
また、S19でキャラクタの大きさを切り替える場合の態様については、限定されない。以下、キャラクタのサイズを第一サイズから第二サイズに切り替える態様の変形例である第二〜第五実施形態について説明する。以下の説明では、ユーザによって、キャラクタが入力され、S12(図5参照)でキャラクタバッファ4041にキャラクタデータ「It□is□fine□today.It□will□rain□tomorrow.」が記憶されている場合を例示しながら説明する。図13は、キャラクタバッファ4041に記憶されたキャラクタデータに基づいて、ディスプレイ5に表示されたキャラクタ「today.It」が第一サイズで表示された状態を表している。また、カーソル97は、座標(134,20)の位置に表示されているとする。
【0051】
まず、第二実施形態について説明する。第二実施形態では、第一実施形態におけるS19の処理(図5参照)が、図14に示す第一切替処理に入れ替わる。このため、長距離移動操作がされた場合(図5のS17:YES)、図14に示す第一切替処理が行われる。
【0052】
図14に示すように、カーソル97のディスプレイ5における座標が検出される(S31)。S31では、RAM404に記憶されているカーソル97の座標が読み出されることで、カーソル97の座標が検出される。例えば、図13に示す位置にカーソル97が表示されている場合、カーソル97の座標が(134,20)と検出される。
【0053】
次いで、カーソル97の座標を固定した上で、ディスプレイ5に表示する第二サイズのキャラクタの座標が決定される(S32)。なお、決定された座標はRAM404に記憶される。次いで、キャラクタバッファ4041に記憶されたキャラクタデータとS32で決定された座標とに基づいて、キャラクタが第二サイズでディスプレイ5に表示される(S33)。これによって、図13に示すカーソル97の座標(134,20)が固定されたまま、図15に示すように、キャラクタが第二サイズでディスプレイ5に表示される。次いで、処理は、第一切替処理が終了され、メイン処理(図5参照)のS20に進む。
【0054】
以上のように、本実施形態における処理が実行される。本実施形態では、第一サイズでキャラクタが表示されている場合のカーソル97の位置(図13参照)と、第二サイズでキャラクタを表示する場合のカーソル97の位置(図15参照)とが、同じ位置になるように、カーソル97をディスプレイ5に表示することができる。キャラクタのサイズを第一サイズから第二サイズに切り替える場合に、カーソル97の位置が変わらないので、ユーザは、画面が切り替わった際にカーソル97を見失い難い。このため、ユーザは、キャラクタのサイズが第一サイズから第二サイズに切り替わった後に、スムーズにカーソル移動の操作を行うことができる。このため、よりスムーズにカーソル97を所望の位置に移動させることができる。
【0055】
本実施形態において、S32及びS33の処理を行うCPU401が本発明の「第二表示制御手段」に相当する。なお、本実施形態では、カーソル97のX座標とY座標とが固定されていたが、これに限定されない。少なくともX座標が固定されていればよい。X座標が固定されていれば、カーソル97の位置(より詳細には、X方向の位置)が、キャラクタのサイズの切り替え前後で変わらないので、上述の効果を得ることができる。また、カーソル97の座標は、キャラクタのサイズの切替前後で、正確に同じ座標でなくてもよい。例えば、ユーザがカーソル97が同じ位置である視認することができる範囲であれば、キャラクタのサイズの切替前後で、座標が異なっていてもよい。
【0056】
次に、第三実施形態について説明する。第三実施形態では、第一実施形態のS19の処理(図5参照)が、図16に示す第二切替処理に入れ替わる。このため、長距離移動操作がされた場合(図5のS17:YES)、図16に示す第二切替処理が行われる。
【0057】
図16に示すように、第二切替処理では、まず、長距離移動操作が行われた際に押下された方向キーが示す方向が検出される(S41)。次いで、第二サイズでキャラクタを表示する場合に、カーソル97よりも、S41で検出された方向側のキャラクタが、S41で検出された方向の反対方向側のキャラクタの数より多くなるように、キャラクタを表示する座標が決定される(S42)。決定された座標はRAM404に記憶される。
【0058】
本実施形態では、長距離移動操作がされた際の方向キーが示す方向によって、カーソル97を配置する座標は予めROM402に記憶されており、S42では、記憶されているカーソル97の座標に対して、キャラクタが左右に配置されるように座標が決定されるとする。なお、キャラクタとカーソル97との座標の決定の仕方はこれに限定されない。例えば、カーソル97よりもS41で検出された方向側に表示するキャラクタの数、又は、カーソル97よりもS41で検出された方向の反対方側に表示するキャラクタの数を、予めROM402に記憶しておく。そして、これらの数分のキャラクタが配置されるように、カーソル97の座標とキャラクタの座標とを決定してもよい。
【0059】
次いで、S42で決定された座標に基づいて、キャラクタが第二サイズでディスプレイ5に表示される(S43)。例えば、図13に示すように、カーソル97がキャラクタ「y」の左側にある場合に、右方向のキーが押下される長距離移動操作が行われたとする(図5のS17:YES)。この場合、図17に示すように、カーソル97の右方向側のキャラクタの数(図17の場合は、スペース表示98を含んで17個)が、左方向側のキャラクタの数(図17の場合は3個)より多い数になるように、ディスプレイ5にキャラクタが表示される(S41〜S43)。なお、図17では、カーソル97は、座標(50,20)の位置に表示されている。次いで、第二切替処理が終了され、処理はメイン処理(図5参照)のS20に進む。
【0060】
以上のように、本実施形態における処理が行われる。例えば、ユーザが右方向に向けて、複数のキャラクタに亘ってカーソル97を移動させようとした場合、ユーザは、右方向のキーを押下して、長距離移動操作を行う。この場合において、第二サイズに切り替えられた場合に(S43)、ユーザがカーソル97を移動させようとしている方向側(右方向側)のキャラクタの数を多く表示できる(図17参照)。このため、ユーザは、カーソル97を移動させようとしている方向のキャラクタをより多く参照することができる。よって、カーソル97の移動先のキャラクタの入力状況を容易に把握することができる。このため、カーソル97の移動先をスムーズに決定することができる。本実施形態において、S41〜S43の処理を行うCPU401が、本発明の「第二表示制御手段」に相当する。
【0061】
次に、第四実施形態について説明する。第四実施形態では、第一実施形態のS19の処理が、図18に示す第三切替処理に入れ替わる。このため、長距離移動操作がされた場合(図5のS17:YES)、図18に示す第三切替処理が行われる。
【0062】
図18に示すように、第三切替処理では、まず、S41(図16参照)と同様に、長距離移動操作が行われた際に押下された方向キーが示す方向が検出される(S51)。次いで、第一サイズでキャラクタを表示する場合に、カーソル97よりも、S51で検出された方向側のキャラクタが、S51で検出された方向の反対方向側のキャラクタの数より多くなるように、キャラクタを表示する座標が決定される(S52)。決定された座標はRAM404に記憶される。なお、カーソル97とキャラクタとの座標の決定方法は、第三実施形態のS42(図16参照)と同様にすればよい。ただし、S52においては、キャラクタのサイズは第一サイズとなる。
【0063】
次いで、S52に決定された座標に基づいて、キャラクタが第一サイズでディスプレイ5に表示される。例えば、図13に示すように、カーソル97がキャラクタ「y」の左側にある場合に、右方向のキーが押下される長距離移動操作が行われたとする(図5のS17:YES)。この場合、図19に示すように、カーソル97の左方向側のキャラクタの数(図19の場合は1個)が、右方向側のキャラクタの数(図19の場合は7個)より多い数になるように、ディスプレイ5にキャラクタが第一サイズで表示される(S51〜S53)。図19では、カーソル97は座標(50,20)の位置に表示されている。
【0064】
次いで、第一切替処理(図14参照)が実行される(S54)。第一切替処理については、前述したので、詳細の説明は省略する。第一切替処理が実行されることによって、図19に示すように、S53で第一サイズで表示されたキャラクタが、図17に示すように、第二サイズでディスプレイ5に表示される(図14のS31〜S33)。このとき、カーソル97の位置は、第一サイズから第二サイズへの切り替え前後で同じ位置(座標(50,20))となる(図19及び図17参照)。第一切替処理(図14参照)が終了されると、さらに第三切替処理が終了され、処理はメイン処理(図5参照)のS20に進む。
【0065】
以上のように、本実施形態における処理が行われる。本実施形態では、長距離移動操作が検出された場合、まず、第一サイズのまま、キャラクタとカーソル97とが移動される(図13及び図19参照)。その後、第一サイズでキャラクタが表示される場合のカーソル97の位置(図19参照)と、第二サイズでキャラクタが表示される場合のカーソル97の位置(図17参照)とが同じ位置となるように、カーソル97が表示されつつ、キャラクタが第一サイズから第二サイズに切り替えられる(図19及び図17参照)。S53の処理では、S51で検出された方向側のキャラクタの数が多くなるようにキャラクタが第一サイズのまま、カーソル97とキャラクタとが表示される(図19参照)。このため、その後に、カーソル97の位置を固定したまま、キャラクタを第二サイズに切り替えると(図14のS31〜S33)、図17に示すように、S51で検出された方向側のキャラクタの数が多くなるように、キャラクタが第二サイズで表示される。
【0066】
このように、まず、第一サイズのまま、キャラクタとカーソル97とが移動されるので(図13及び図19参照)、キャラクタ及びカーソル97の移動と、キャラクタのサイズの変更とが同時に行われる場合に比べて、ユーザは、キャラクタを見失い難い。また、第二サイズでキャラクタが表示される場合に、ユーザがカーソル97を移動させようとしている方向側のキャラクタを多く表示できるので(図17参照)、ユーザはより多くのキャラクタを参照して、カーソル97の移動先のキャラクタの入力状況を把握することができる。このため、スムーズにカーソル97の移動先を決定することができる。本実施形態において、S51〜S54の処理を行うCPU401が、本発明の「第二表示制御手段」に相当する。
【0067】
次に、第五実施形態について説明する。第五実施形態では、第一実施形態のS19の処理(図5参照)が、図20に示す第四切替処理に入れ替わる。このため、長距離移動操作がされた場合(図5のS17:YES)、図20に示す第四切替処理が行われる。
【0068】
図20に示すように、第四切替処理では、まず、第一切替処理(図14参照)が実行される(S61)。第一切替処理については、前述したので、詳細の説明は省略する。第一切替処理が実行されることによって、図13に示すように第一サイズで表示されたキャラクタが、図15に示すように、第二サイズでディスプレイ5に表示される(図14のS31〜S33)。このとき、カーソル97の位置は、第一サイズから第二サイズへの切り替え前後で同じ位置となる(図13及び図15参照)。第一切替処理が終了されると、処理は第四切替処理(図20参照)に戻り、S41(図16参照)と同様に、長距離移動操作が行われた際に押下された方向キーが示す方向が検出される(S62)。
【0069】
次いで、第二サイズでキャラクタを表示する場合に、カーソル97よりも、S62で検出された方向側のキャラクタが、S62で検出された方向の反対方向側のキャラクタの数より多くなるように、キャラクタを表示する座標が決定される(S63)。決定された座標はRAM404に記憶される。なお、カーソル97とキャラクタとの座標の決定方法は、第三実施形態のS42(図16参照)と同様にすればよい。
【0070】
次いで、S63で決定された座標に基づいて、キャラクタが第二サイズでディスプレイ5に表示される(S64)。この結果、図15に示す状態から図17に示す状態に変化する。
図17に示すように、カーソル97の右方向側のキャラクタの数(図17の場合は17個)が、左方向側のキャラクタの数(図17の場合は3個)より多い数になるように、ディスプレイ5にキャラクタが表示される(S62〜S64)。すなわち、キャラクタが第二サイズのまま、キャラクタとカーソル97とが移動される(図15及び図17参照)。次いで、処理はメイン処理(図5参照)のS20に進む。
【0071】
以上のように、本実施形態における処理が行われる。本実施形態では、長距離移動操作が検出された場合(図5のS17:YES)、まず、カーソル97の位置が同じ位置にある状態で、キャラクタが第一サイズから第二サイズに切り変わる(図13及び図15参照)。そして、その後、キャラクタとカーソル97とが移動されるので(図17参照)、キャラクタ及びカーソル97の移動と、キャラクタのサイズの変更とが同時に行われる場合に比べて、ユーザは、カーソル97を見失い難い。また、ユーザがカーソル97を移動させようとしている方向側のキャラクタの数を多く表示できるので、ユーザは、より多くのキャラクタを参照して、カーソル97の移動先のキャラクタの入力状況を把握することができる。このため、スムーズにカーソル97の移動先を決定することができる。本実施形態において、S61〜S64の処理を行うCPU401が本発明の「第二表示制御手段」に相当する。
【符号の説明】
【0072】
1 印字装置
5 ディスプレイ
97,971,972 カーソル
401 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャラクタが表示される表示部を備え、前記キャラクタを入力可能な位置を示すカーソルを移動させることが可能な印字装置であって、
前記キャラクタを第一サイズで前記表示部に表示する第一表示制御手段と、
前記第一表示制御手段によって前記表示部に前記第一サイズで前記キャラクタが表示されている場合に、複数の前記キャラクタに亘って前記カーソルを移動させることを示す操作である長距離移動操作を検出する第一操作検出手段と、
前記第一操作検出手段によって前記長距離移動操作が検出された場合に、前記表示部に表示される前記キャラクタのサイズを、前記第一サイズから、前記第一サイズより小さい第二サイズに切り替える第二表示制御手段と
を備えたことを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記第二表示制御手段によって前記第二サイズで前記キャラクタが表示されている場合に、前記カーソルを移動させる操作であるカーソル移動操作を検出する第二操作検出手段と、
前記第二表示制御手段によって前記第二サイズで前記キャラクタが表示されている状態で、前記第二操作検出手段によって検出された前記カーソル移動操作に基づいて前記カーソルを移動させるカーソル移動手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記第二表示制御手段は、前記第一表示制御手段によって前記第一サイズで前記キャラクタが表示されている場合の前記カーソルの位置と、前記第二サイズで前記キャラクタを表示する場合の前記カーソルの位置とが同じ位置になるように前記カーソルを前記表示部に表示しつつ、前記キャラクタのサイズを、前記第一サイズから前記第二サイズに切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の印字装置。
【請求項4】
前記長距離移動操作は、前記カーソルを移動させる方向キーの操作を少なくとも含み、
前記第二表示制御手段は、前記カーソルに対して、前記第一操作検出手段によって検出された前記長距離移動操作に含まれる前記方向キーが示す方向側の前記キャラクタの数を、前記方向キーが示す方向の反対側の前記キャラクタの数より多くしつつ、前記キャラクタのサイズを、前記第一サイズから前記第二サイズに切り替えて前記表示部に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の印字装置。
【請求項5】
前記長距離移動操作は、前記カーソルを移動させる方向キーの操作を少なくとも含み、
前記第二表示制御手段は、前記カーソルに対して、前記方向キーが示す方向側の前記キャラクタの数が、前記第二方向キーが示す方向の反対側の前記キャラクタの数より多くなるように、前記キャラクタと前記カーソルとの位置を移動させて前記表示部に表示した後、前記第一サイズで前記キャラクタが表示されている場合の前記カーソルの位置と、前記第二サイズで前記キャラクタを表示する場合の前記カーソルの位置とが同じ位置になるように前記カーソルを前記表示部に表示しつつ、前記キャラクタのサイズを、前記第一サイズから前記第二サイズに切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の印字装置。
【請求項6】
前記長距離移動操作は、前記カーソルを移動させる方向キーの操作を少なくとも含み、
前記第二表示制御手段は、前記第一サイズで前記キャラクタが表示されている場合の前記カーソルの位置と、前記第二サイズで前記キャラクタを表示する場合の前記カーソルの位置とが同じ位置になるように前記カーソルを前記表示部に表示しつつ、前記キャラクタのサイズを前記第一サイズから前記第二サイズに切り替えた後、前記カーソルに対して、前記第一操作検出手段によって検出された前記長距離移動操作に含まれる前記方向キーが示す方向側の前記キャラクタの数が、前記方向キーが示す方向の反対方向の前記キャラクタの数より多くなるように前記キャラクタ及び前記カーソルを移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の印字装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−111863(P2013−111863A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260495(P2011−260495)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】