説明

危機管理方法、危機管理システム及び危機管理支援サーバ

【課題】本発明は、災害発生時に店舗に従業員を適切に配置し、迅速に店舗を開店させる危機管理方法、危機管理システム及び危機管理支援サーバを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の危機管理方法、危機管理システム及び危機管理支援サーバは、サーバが発生した災害に関する情報及び地図情報に基づいて所定の被災地域を決定し、被災地域内の店舗を被災店舗として特定し、少なくとも地図情報と従業員位置情報とに基づいて被災地域近傍の従業員を対象従業員と決定し、対象従業員の携帯端末に対して安否及び現在位置を問い合わせ、安否確認情報及び現在位置情報を受信し、被災店舗に関する情報に基づいて被災店舗のうち開店させる駆付店舗を決定し、対象従業員の安否情報及び現在位置と駆付店舗の位置に基づいて駆付店舗に向かわせる店舗駆付要員を決定し、駆付店舗に向かうように指示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、危機管理方法、危機管理システム及び危機管理支援サーバに関し、特に災害発生後において店舗を開店させるための危機管理方法、危機管理システム及び危機管理支援サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
地震等の災害が発生した後、企業の店舗や拠点を迅速に復興させることが必要である。なかでも金融機関等は、国民生活上重要な位置を占めているので、特に迅速性が求められている。具体的には、災害の発生時において金融機関等が、早期に被害の回復を図り、金融システムの機能の維持に必要な最低限度の業務を継続するために必要な措置を執ることが要求されている。
【0003】
災害発生時に、複数の事業拠点に対して適切に従業員の配置を行う危機管理方法として、事業継続計画支援方法が知られている(例えば、特許文献1)。従来の事業継続計画支援方法は、予め格納され、または他の装置から取得した事業の各拠点の住所及び各従業員の住所に基づき、拠点間の距離コスト及び各拠点と従業員個々との間の距離コストを算出し、前記拠点毎に、予め設定された事業継続条件を満たしているか否かを判定し、前記事業継続条件を満たしていない拠点について、前記距離コストに基づいて派遣すべき従業員の候補を選定して記憶し、前記候補として記憶された従業員の現所属拠点と派遣先拠点との優先度に基づいて派遣の可否を決定して出力するものである。この方法によれば、災害発生時に、複数の事業拠点の優先度に応じて従業員の再配置を行うことができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−287372
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の危機管理方法においては、従業員と拠点との間の距離によって決定されるコストに基づいて、派遣すべき従業員の配置を適切に行うことができるものの、従業員が重症を負っているか否か等の安否は勘案されておらず、従業員の安否如何によっては適切な配置を行うことができるものとはなっていなかった。
【0006】
そこで、本発明は、地震等の災害発生時に従業員の安否情報を勘案して、店舗に従業員を適切に配置し、迅速に店舗を開店させる危機管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、サーバ及び携帯端末を有するシステムを利用した、被災した店舗に対する危機管理方法であって、前記サーバは、地図情報と、店舗位置情報と、従業員位置情報とを格納しており、前記サーバは、発生した災害に関する情報を受信し、受信した前記情報及び前記地図情報に基づいて、所定の地域を被災地域と決定し、前記店舗位置情報に基づいて、前記被災地域内にある店舗を被災店舗として特定し、少なくとも前記地図情報と前記従業員位置情報とに基づいて、前記被災地域近傍に存在する従業員を対象従業員と決定し、前記対象従業員の携帯端末に対して、安否及び現在位置を問い合わせ、前記対象従業員の安否確認情報及び現在位置情報を受信し、被災店舗に関する情報に基づいて、前記被災店舗のうち開店の対象とする駆付店舗を決定し、受信した前記対象従業員の安否情報及び前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離に基づいて、前記駆付店舗の開店のために向かわせる店舗駆付要員を決定し、決定された前記店舗駆付要員に対して前記駆付店舗に向かうように指示する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の危機管理方法において、前記対象従業員の安否情報、前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離及び駆付店舗毎の必要配置人数に基づいて店舗駆付要員を決定してもよい。
【0009】
さらに、本発明の危機管理方法において、前記店舗駆付要員の決定において、駆付店舗の数と駆付店舗毎の必要配置人数との積に対する店舗駆付要員の総数の比である要員充足率を算出し、前記要員充足率が所望の値となっていない場合は、前記対象従業員の安否情報、前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離及び駆付店舗毎の必要配置人数のうち少なくとも1つを変更して店舗駆付要員を決定してもよい。
【0010】
また、本発明の危機管理方法において、前記安否確認情報及び現在位置情報に基づいて、被災状況確認のために前記店舗へ向かわせる店舗確認要員を決定し、前記店舗確認要員の携帯端末に対して、前記被災店舗の被災状況を報告するように指示し、前記店舗確認要員の携帯端末から送信された前記被災店舗の被災状況情報を受信し、前記被災状況情報に基づいて、前記被災店舗から前記駆付店舗を抽出することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明の危機管理方法において、前記店舗駆付要員に前記駆付店舗に向かうように指示を出した時点からの経過時間及び前記店舗駆付要員の移動距離に基づいて、前記店舗駆付要員の平均移動速度を算出し、前記平均移動速度及び前記駆付店舗の位置と前記店舗駆付要員の位置との間の距離に基づいて、前記駆付店舗の開店時間を予測してもよい。
【0012】
また、本発明の危機管理方法において、前記安否確認情報には前記対象従業員の家族の状況に関する情報がさらに含まれていてもよい。
【0013】
本発明の危機管理システムは、サーバ及び携帯端末を備え、被災した店舗に対する危機管理システムであって、前記サーバは、前記携帯端末と情報交換を行うルータと、制御部と、地図情報を格納した地図情報データベースと、店舗位置情報を格納した店舗位置情報データベースと、従業員位置情報を格納した従業員位置情報データベースと、前記制御部を制御する制御プログラムを格納したメモリと、を有し、前記制御部は、発生した災害に関する情報を受信し、受信した前記情報及び前記地図情報に基づいて、所定の地域を被災地域と決定し、前記店舗位置情報に基づいて、前記被災地域内にある店舗を被災店舗として特定する被災店舗決定手段と、少なくとも前記地図情報と前記従業員位置情報とに基づいて、前記被災地域近傍に存在する従業員を対象従業員と決定する対象従業員決定手段と、前記対象従業員の携帯端末に対して、安否及び現在位置を問い合わせ、前記対象従業員の安否確認情報及び現在位置情報を受信し、前記被災店舗に関する情報に基づいて、前記被災店舗のうち開店の対象とする駆付店舗を決定する駆付店舗決定手段と、受信した前記対象従業員の安否情報及び前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離に基づいて、前記駆付店舗の開店のために向かわせる店舗駆付要員を決定し、決定された前記店舗駆付要員に対して前記駆付店舗に向かうように指示する店舗駆付要員決定手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の危機管理支援サーバは、被災した店舗に対する危機管理支援サーバであって、携帯端末と情報交換を行うルータと、制御部と、地図情報を格納した地図情報データベースと、店舗位置情報を格納した店舗位置情報データベースと、従業員位置情報を格納した従業員位置情報データベースと、前記制御部を制御する制御プログラムを格納したメモリと、を有し、前記制御部は、発生した災害に関する情報を受信し、受信した前記情報及び前記地図情報に基づいて、所定の地域を被災地域と決定し、前記店舗位置情報に基づいて、前記被災地域内にある店舗を被災店舗として特定する被災店舗決定手段と、少なくとも前記地図情報と前記従業員位置情報とに基づいて、前記被災地域近傍に存在する従業員を対象従業員と決定する対象従業員決定手段と、前記対象従業員の携帯端末に対して、安否及び現在位置を問い合わせ、前記対象従業員の安否確認情報及び現在位置情報を受信し、前記被災店舗に関する情報に基づいて、前記被災店舗のうち開店の対象とする駆付店舗を決定する駆付店舗決定手段と、受信した前記対象従業員の安否情報及び前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離に基づいて、前記駆付店舗の開店のために向かわせる店舗駆付要員を決定し、決定された前記店舗駆付要員に対して前記駆付店舗に向かうように指示する店舗駆付要員決定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、地震等の災害発生時において、従業員の安否情報を勘案して被災した店舗に駆け付ける従業員を適切に抽出することができるので、迅速に被災した店舗の開店を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の危機管理方法を実施するためのシステム構成図である。
【図2】震度分布図の一例である。
【図3】第1の実施例に係る危機管理方法の処理フローを示すフローチャートである。
【図4】震度情報に基づいて作成した被災地マップの一部を示す図である。
【図5】従業員安否確認のための携帯端末の表示画面である。
【図6】従業員及び家族の安否情報に基づくグループ分けを示す図である。
【図7】従業員及び家族の安否情報と割当対象者等との対応関係を示す図である。
【図8】割当対象者等と従業員−店舗間距離に基づくグループ分けを示す図である。
【図9】第2の実施例に係る危機管理方法の処理フローを示すフローチャートである。
【図10】要員割当対象者を従業員安否情報及び従業員位置情報に基づいて変化させた場合の要員充足率のシミュレーション結果の一例である。
【図11】第3の実施例に係る危機管理方法の処理フローを示すフローチャートである。
【図12】要員割当対象者を従業員安否情報、従業員位置情報及び店舗配置人数に基づいて変化させた場合の要員充足率のシミュレーション結果の一例である。
【図13】第4の実施例に係る危機管理方法の処理フローを示すフローチャートである。
【図14】店舗状況確認のための携帯端末の表示画面である。
【図15】従業員と、従業員の自宅との位置関係を簡略的に示す平面図である。
【図16】第6の実施例に係る安否確認代行の処理フローを示すフローチャートである。
【図17】第7の実施例に係る救護支援要請の処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る危機管理方法について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【実施例1】
【0018】
まず、本発明の第1の実施例について説明する。本発明の危機管理方法を実施するためのシステム構成を図1に示す。図1(a)に示すように、本システムは、危機管理を行う災害対策本部に設置されたサーバ100と、地震情報等の災害情報を提供する気象庁300と、移動体通信網30と、これらを結ぶインターネットネットワーク20と、複数の従業員がそれぞれ携行している携帯端末200とを含んでいる。図1には、複数の携帯端末のうちの1つを代表して示している。携帯端末200は、移動体通信網30及びインターネットネットワーク20を介してサーバ100とデータの送受信を行うことができる。
【0019】
サーバ100は、ルータ101と、制御部103と、地図情報データベース104と、店舗位置情報データベース105と、従業員位置情報データベース106と、メモリ107と、これらを接続するバスライン102とを備えている。ルータ101は、インターネットネットワーク20を介して携帯端末200等との間で情報の送受信を行う。制御部103は、インターネットネットワーク20を通じて受信した情報を解析し、従業員の携帯端末200との間でメール等の送受信を行うためにルータ101等の制御を行う。さらに、図1(b)に示すように、制御部103は、被災店舗決定手段103aと、対象従業員決定手段103bと、駆付店舗決定手段103cと、店舗駆付要員決定手段103dとを備えている。また、地図情報データベース104は、主として店舗が存在する地域の地図データを格納している。店舗位置情報データベース105は、店舗の位置に関する情報を備えている。従業員位置情報データベース106は、従業員の住所や、現在位置情報を含んでいる。メモリ107は、インターネットネットワーク20を通じて受信した情報、例えば気象庁300から入手した震度情報を格納することができる。
【0020】
気象庁300は、地震の発生後に震度情報を収集し、地震情報データベース301に格納するとともに、インターネットネットワーク20を通じて外部から閲覧可能とする。震度情報には、各地震観測地点における震度1〜7までの震度分布が含まれる。震度分布の一例を図2に示す。
【0021】
図1(a)に示すように、携帯端末200は、制御部201と、表示部202と、GPS制御部203と、送受信部204と、操作部205と、記憶部206と、これらを接続するバスライン210とを備えている。制御部201は、携帯端末200の動作をコントロールする。表示部202は、例えば液晶表示装置等からなり、送受信するメールや、接続したサイトの画面を表示する。GPS制御部203は、携帯端末200の現在位置を知るためのGPS(図示せず)の機能を制御する。送受信部204は、メールの送受信や、サイトからの情報の受信や、サイト上で入力した情報の送信等を行う。操作部205は、携帯端末200を操作する従業員が情報を携帯端末に入力する際に利用するキーボード等を含んでいる。記憶部206は、サイトから受信したデータや、送受信メールや、携帯端末200の位置情報等を保存する。携帯端末200は、無線通信機能を有した端末であれば足り、携帯電話や、携帯型ノートPC等を含むが、これらには限られない。
【0022】
次に、本発明の危機管理方法について図3のフローチャートを用いて説明する。本発明の危機管理方法においては、地震発生後に、まず複数の店舗の中から被災したことが予測される店舗(被災店舗)を抽出する点を特徴としている。次に、被災店舗の抽出方法について説明する。地震が発生すると、サーバが気象庁から地震の震度分布を含む震度情報を受信する(S101)。次に、サーバは、受信した震度情報及びサーバの地図情報データベースに格納された地図情報に基づいて、所定の震度以上の地域を被災地域と決定する(S102)。例えば、震度6弱以上の地域を被災地域と決定してもよい。次に、被災店舗決定手段103a(図1(b))が、サーバの店舗位置情報データベースに格納された店舗位置情報に基づいて、被災地域内にある店舗を被災店舗として特定する(S103)。
【0023】
被災店舗の特定方法について図面を用いて具体的に説明する。図4は、店舗及び従業員の位置情報を含んだ被災地マップである。被災地マップ1には、気象庁から入手した震度情報に含まれる震度分布から求めた等震線2(白抜き破線)が示されている。等震線2は、地図上において震度が等しい地点を表しており、等震線によって震度分布を表すことができる。例えば、図4において等震線2が震度6弱の境界を表す場合には、等震線2の右側の領域1aが震度6弱の領域を表し、等震線2の左側の領域1bが震度5の領域を表すことができる。被災地域か否かの判断基準となる震度を震度6弱とすれば、震度6弱以上の地域である等震線2の右側の領域1aを被災地域と特定することができる。
【0024】
被災地マップ1上には、例として、凡例5に示すように、3軒の店舗11〜13と、6人の従業員21〜26の位置も併せて示している。ここで、3軒の店舗をα、β、γと呼び、6人の従業員をそれぞれa〜fと呼ぶことにする。そうすると、店舗α11、β12、γ13のうち被災地域1aに存在するのは店舗α11及びβ12であるので、これらを被災店舗として特定する。このように、複数の店舗の中から被災したことが予測される店舗を特定することによって、人員が限られた場合であっても、開店すべき店舗に従業員を効率よく配置させることができる。
【0025】
なお、被災店舗とは大きな被害が生じていることが考えられる地域である被災地域に存在していて、被害が発生していることが予測される店舗であって、現実に被害が生じているか否か、または従業員が安全に開店できるか否かは不明の状態の店舗をいう。従業員の配置を効率的に行うためには、被災した店舗の開店のために必要な従業員を安全に開店可能な店舗に割り当てる必要があるため、後述するように被災店舗の中から従業員が開店のために駆け付ける店舗を抽出することが好ましい。
【0026】
次に、被災した店舗の状況の確認のために被災店舗に向かわせる従業員の決定方法について説明する。図3に示したフローチャートにおいて、対象従業員決定手段103b(図1(b))が、サーバの地図情報データベースに格納された地図情報と、従業員位置情報データベースに格納された従業員位置情報とに基づいて、被災地域近傍に存在する従業員を対象従業員と決定する(S104)。
【0027】
対象従業員の決定方法について、図4を用いて説明する。被災した店舗に迅速に向かわせるためには、被災地域近傍に存在する従業員の中から選別することが望ましい。図4に示した例においては、従業員a〜fのうち、被災地域1aに存在する従業員a〜dを対象従業員とする。ここで、被災地域の近傍であって被災していない地域の従業員も含めることが好ましい。被災地域の従業員は被災したために店舗に向かうことができない可能性があるからである。その一方で、被災地域から遠く離れた場所に存在する従業員を被災店舗に向かわせることは店舗を迅速に開店させるという目的から好ましくない。そこで、一定の基準を設けて被災していない地域のうち、被災地域近傍に存在する従業員を対象従業員として決定する。この一定の基準としては、例えば、震度や、被災地からの距離とすることができる。震度を基準とする場合には、一定の震度、例えば震度3以上の地域に存在する従業員を対象従業員とすることができる。また、被災地からの距離を基準とする場合には、例えば被災地から12km圏内に存在する従業員を対象従業員とすることができる。図4の例において、従業員e25が震度4の地域に存在し、従業員f26が震度2の地域に存在したとすると、従業員e25を対象従業員に含め、従業員f26を対象従業員には含めない。このようにして、被災した店舗に向かわせる対象従業員を被災地近傍の従業員の中から選別することによって、店舗に到達するための時間を短縮でき、店舗の迅速な開店に寄与することができる。
【0028】
上記のようにして、被災地域近傍に存在する対象従業員を特定した後、対象従業員の中から店舗の開店のために被災店舗に駆け付ける店舗駆付要員を抽出する。対象従業員の中には自身が被災したり、家族が被災する等によって、店舗に向かうことが不可能な者が存在する可能性が高いと考えられるからである。以下、対象従業員の中から店舗駆付要員を決定する方法について説明する。図3のフローチャートにおいて、サーバは、対象従業員の携帯端末に対して、安否及び現在位置を問い合わせる(S105)。安否及び現在位置を知らせるように指示を受けた対象従業員は携帯端末を用いて、安否及び現在位置を登録し、サーバはこれらの安否確認情報及び位置情報を受信する(S106)。
【0029】
安否及び現在位置の登録方法について図面を用いて具体的に説明する。まず、サーバは従業員の携帯端末に対して、安否及び現在位置を入力するためのサイトを表示させるように、サイトのURLを記載したメールを対象従業員に送付し、メールを受信した対象従業員が上記URLにアクセスすることによって、対象従業員の携帯端末に安否情報登録のためのサイトの画面を表示させる。図5に、上記サイトにアクセスした際における、対象従業員の携帯端末の安否及び現在位置の登録用の表示画面の一例を示す。図5(a)が携帯端末のGPS機能を用いる場合の表示画面であり、図5(b)がGPS機能を用いない場合の表示画面である。
【0030】
まず、GPS機能を用いる場合の安否及び現在位置入力方法について説明する。図5(a)の第1画面51において、本人及び家族の安否を入力する。具体的には、本人安否選択部501で「本人の安否」を入力するとともに、家族安否選択部において「家族の安否」を入力する。「本人の安否」については、例えば、無事、軽症、重症の中から選択して入力することができる。「家族の安否」については、例えば、全員無事、不明者有り、負傷者有りの中から選択して入力することができる。ただし、これら以外の選択肢を選択できるように設定してもよい。また、「自宅の被害状況」など、本人あるいは家族の安否以外の項目に関する情報を登録するようにしてもよい。「本人の安否」及び「家族の安否」について情報を入力したのち、「次へ」と表示されている第1ボタン503にカーソルを移動し押下することで次画面である第2画面52に移動する。
【0031】
第2画面52においては、現在位置を入力する。現在位置の入力方法として、GPSを用いる方法と、GPSを用いない方法とを選択することができる。ここでは、まず、GPSを用いる場合について説明する。GPSを用いることによって、現在地の地名が不明な場合であっても迅速に現在地を入力することができる。この場合、現在地取得部504で、「自動」モードを選択する。自動モードを選択した場合は、GPS機能を用いて測定された現在地をそのまま用いることができる。具体的には、現在地取得部504で「自動」の部分にカーソル移動し押下することで表示部分をアクティブにしたのち、「次へ」と表示されている第2ボタン506にカーソルを移動し押下することで次画面である第3画面53に移動する。
【0032】
第3画面53において、これまでに入力した「本人の安否」及び「家族の安否」の各情報が表示されるとともに、GPS機能により自動モードで測定された現在位置が表示される。各表示内容に修正すべき項目があれば、「安否を修正」または「現在地を修正」を選択して第1画面51または第2画面52に戻って再度入力しなおす。表示内容に誤りがなければ「登録」と表示されている第3ボタン507にカーソルを移動し押下することで次画面である第4画面54に移動する。第4画面54では、安否及び現在地の登録が完了した旨と、連絡があるまで待機するようにとの指示内容が表示される。
【0033】
次に、現在地の登録の際にGPS機能を用いずに現在地を入力する方法について図5(b)を用いて説明する。第1画面51はGPSを用いる場合と共通であるので説明を省略する。第2画面52において、現在地を入力する方法として、現在地取得部504で「手動」モードを選択して現在地を入力する方法と、登録済み地点表示部505から予め登録してある住所または所在地等を選択する方法がある。登録済みの住所等を選択する場合には、現在地を入力する手間を省くことができる。ここでは、手動モードで現在地を登録する方法について説明する。手動モードは、携帯端末を室内で利用する場合等、GPS機能を用いても正確な現在位置測定が困難である場合に有効である。具体的には、現在地取得部504で「手動」の部分にカーソル移動し押下することで表示部分をアクティブにしたのち、「次へ」と表示されている第2ボタン506にカーソルを移動し押下することで次画面である第5画面55に移動する。
【0034】
第5画面55において、まず検索条件設定部508で現在地の検索条件を選択する。選択条件としては、住所の他、企業の名称やカテゴリー、建築物の名称等を選択することができる。検索条件を設定しキーワードを入力したのち、検索ボタン509を押下すると地域候補表示欄510に検索条件でヒットした住所のうち大まかな地域名が表示される。表示された候補の中に現在地が含まれている場合にはその住所にカーソルを合わせて押下すると、さらに詳細な住所を設定するための第6画面56が表示される。
【0035】
第6画面56においては、上記のようにして選択した大まかな地域に含まれる詳細な地域の候補が詳細候補表示欄513に表示される。例えば、まずは5km圏内、無ければ10km、15km圏内から抽出する。また、単に地名だけでなく条件設定で、交差点の名称と企業カテゴリーとしてコンビニを選ぶことにより、所定の交差点付近のコンビニを抽出させることもできる。表示された候補の中に現在地が含まれていない場合には、検索条件詳細設定部511で検索条件を設定しキーワードを入力したのち、検索ボタン512を押下すると、詳細候補表示欄513に新たな候補が表示される。表示された候補の中に現在地が含まれている場合には、選択すべき地名にカーソルを合わせて押下すると、第4画面54に移動する。第4画面54では、安否及び現在地の登録が完了した旨と、連絡があるまで待機するようにとの指示内容が表示される。
【0036】
以上のようにして、対象従業員の携帯端末から、対象従業員と家族の安否確認情報及び対象従業員の現在地情報がサーバに送信され、図3のフローチャートに示すように、サーバは、対象従業員の安否確認情報及び現在位置情報を受信する(S106)。
【0037】
次に、サーバの駆付店舗決定手段103c(図1(b))は、被災店舗に関する情報に基づいて、被災店舗の中から開店の対象とする店舗、即ち従業員を向かわせて開店させる駆付店舗を決定する(S107)。被災店舗に関する情報に基づいて、被災店舗の中から駆付店舗を選択する方法として、種々の方法が考えられる。例えば、店舗に、火災報知機、ガス検知機等のセンサや、店内及び店外の状況を映すカメラ等を設置しておき、それらのセンサやカメラ等からの信号を、インターネットを介して、あるいは無線通信によってサーバが受信できるようにする。店舗が被災した場合、このような被災店舗に関する情報を受信することにより、受信した情報に基づいて、店舗を開店することが可能か否かを遠隔的に判断することができる。このようにして、被災店舗に関する情報に基づいて、被災店舗のうち開店可能な店舗を駆付店舗と決定することができる。この場合の開店可否の判断方法として、例えば、店舗から送信される信号が通常の状態であれば開店可能とし、異常な状態であれば人による確認を待つようにすることが考えられる。さらに、本実施例においては地震の震度情報を受信して図3の処理フローを起動する例を示したが、震度情報の代わりに店舗に設置したセンサやカメラの信号異常に基づいて、図3の処理フローを起動するようにしてもよい。
【0038】
次に、サーバは、受信した対象従業員の安否情報及び対象従業員の現在位置と駆付店舗の位置との間の距離(以下、従業員−店舗間距離という。)に基づいて、駆付店舗の開店のために向かわせる店舗駆付要員を決定する(S108)。本発明においては、対象従業員の全てに対して被災した店舗の開店のために向かうように指示するのではなく、対象従業員の安否情報等を勘案して適切な従業員を選別する点を特徴としている。以下、店舗駆付要員の決定方法について具体的に説明する。
【0039】
まず、受信した対象従業員の安否情報に基づいて、店舗駆付要員としての適格性を判断するためのグループ分けを行う。具体的には、図6に示すように、従業員安否及び家族安否の各情報に基づいてグループA〜Gまでの7グループに分類する。例えば、従業員の安否が「無事」で、家族の安否も「無事」の場合はグループAに分類し、従業員の安否が「軽症」で、家族の安否が「不明者有り」の場合はグループDに分類する。なお、従業員の安否が「重症」の場合は、店舗駆付要員としての適格性を欠くので家族の安否の如何に関らず、一律にグループGに分類する。
【0040】
次に、上記のようにして分類したグループA〜Gに関して、店舗駆付要員としての適格性の観点から、グループA〜Gをさらに「割当対象者」、「割当候補者」、「割当不可能者」に分類する。割当対象者は、対象従業員のうち店舗駆付要員としての適格性を有している従業員をいう。割当候補者は、対象従業員のうち店舗駆付要員としての適格性に問題があるが、割当対象者のみでは人員が不足する際に割り当てる可能性を有する従業員をいう。割当不可能者は、店舗駆付要員としての適格性を欠いている従業員をいう。
【0041】
グループA〜Gと割当対象者等との対応関係については、例えば、グループA〜Dを割当対象者とし、グループE及びFを割当候補者とし、グループGを割当不可能者とする。このようにして分類した後の安否情報と割当対象者等との関係を図7に示す。このような分類は一例であって他の分類方法を選択するようにしてもよい。例えば、グループC及びDを割当候補者とすることによって、家族の中に不明者が有る場合にも割当候補者とするようにしてもよい。
【0042】
上記のようにして、割当対象者、または割当対象者及び割当候補者の全てを店舗駆付要員とすることも可能ではあるが、対象従業員の現在地が駆け付けるべき店舗から遠く離れている場合には、店舗の開店を迅速に行うことが困難となる恐れがあるため、従業員−店舗間距離を考慮して店舗駆付要員を選別することが好ましい。そこで、本発明においては、店舗駆付要員の選別に際して、従業員−店舗間距離を含めて店舗駆付要員を選別する点を特徴としている。
【0043】
次に、従業員−店舗間距離に基づいた対象従業員の選別方法について説明する。図4の被災地マップ1において、駆付店舗を店舗α11と仮定する。また、駆付店舗である店舗α11からの距離の基準を4km、8km、12kmとすると、店舗α11から4kmのライン3と、店舗α11から8kmのライン4を引くことができる。そうすると、店舗α11からの距離と従業員a〜fの位置関係については、従業員a〜dが店舗α11から4km以内の範囲に、従業員eが4〜8kmの範囲に、従業員fが8〜12kmの範囲にそれぞれ存在していることがわかる。このようにして、従業員が携帯端末を用いて登録した現在地に基づいて駆付店舗近傍に存在する従業員を選別することができる。
【0044】
次に、上記のようにして対象従業員の安否情報及び位置情報の両者を考慮して、店舗駆付け要員を選別する方法について説明する。図8に、割当対象者及び割当候補者と、駆付店舗と従業員との間の距離である従業員−店舗間距離とに基づいた分類表を示す。図8に示すように、安否情報に基づいて割当対象者と判断された従業員のうち、従業員−店舗間距離が4km以内または4〜8kmの範囲に存在する従業員をIグループとする。また、割当候補者であって従業員−店舗間距離が4km以内の範囲に存在する従業員をIIグループとする。以下同様にしてIII〜Vグループに分類する。本実施例においては、Iグループ〜IIIグループまでを店舗駆付要員として選別する例について説明するが、店舗の規模等に応じて店舗駆付要員として選別するグループ数を増減してもよい。このようにすることで、対象従業員の中から安否情報及び位置情報を考慮して、店舗駆付要員として適切な従業員を選別することができる。
【0045】
以上のようにして、対象従業員の中から店舗駆付要員を選択した後、図3のフローチャートに示すように、決定された店舗駆付要員に対して駆付店舗に向かうように指示する(S109)。具体的には、サーバが店舗駆付要員の携帯端末に対して、駆付店舗に向かうように指示するメールを送信する。
【0046】
以上の説明においては、店舗駆付要員の必要人数については特に限定せずに、対象従業員から店舗駆付要員を選択する例を示したが、店舗駆付要員の必要人数を予め決めておき、必要な人数のみを配置するようにしてもよい。即ち、対象従業員の中から店舗駆付要員を選別する際に、対象従業員の安否情報、対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離(従業員−店舗間距離)及び駆付店舗毎の必要配置人数に基づいて店舗駆付要員を決定するようにしてもよい。このようにすることによって、対象従業員の数が被災した店舗の数に対して少ない場合においても、被災した店舗に適切に従業員を配置することができる。
【実施例2】
【0047】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。実施例2に係る危機管理方法は、上述した対象従業員の中から被災した店舗に駆け付ける店舗駆付要員を選別する際に、駆付店舗の数と駆付店舗毎の必要配置人数との積に対する店舗駆付要員の総数の比である要員充足率を算出し、要員充足率が所望の値となっていない場合は、対象従業員の安否情報、対象従業員の現在位置と駆付店舗の位置との間の距離(従業員−店舗間距離)及び駆付店舗毎の必要配置人数のうち少なくとも1つを変更して店舗駆付要員を決定する点を特徴としている。この要員充足率の算出方法について以下に説明する。
【0048】
図9は、上記の要員充足率を算出する場合のフローチャートである。同図中のS200〜S208までは、図3で示したS100〜S108と同様であるので説明を省略する。要員充足率は、駆付店舗の数と駆付店舗毎の必要配置人数との積に対する店舗駆付要員の総数の比として算出する(S209)。
【0049】
要員充足率の算出例を図10に示す。同図においては駆付店舗毎の必要配置人数を変えずに、対象従業員の安否情報、従業員−店舗間距離を変えて要員充足率を算出している。ここで、対象従業員の安否情報、従業員−店舗間距離を変えることによって、図7及び図8に示したようにIグループからVグループまでに分類できることを利用して、算出におけるパラメータである要員割当対象者の範囲をグループ単位で設定している。例えば、初期条件として要員割当対象者の範囲をIグループとIIグループとした場合に、要員充足率が83.80%となったものとする。
【0050】
次に、このようにして算出した要員充足率が所望の値に達しているか否かを判定する(S210)。例えば、所望の要員充足率が80%である場合には、算出した要員充足率は所望の値以上になっているので、要員充足率の算出に利用した要員割当対象者の範囲(Iグループ及びIIグループ)に含まれる対象従業員を店舗駆付要員と決定し、決定した店舗駆付要員に対して駆付店舗に向かうように指示する(S212)。
【0051】
一方、上記の例で所望の要員充足率が90%である場合には、算出した要員充足率は所望の値以上とはなっていないので、要員充足率の算出に利用した要員割当対象者の範囲を拡大する。例えば、要員割当対象者の範囲をIグループからIIIグループまでの範囲に変更することによって、実質的に対象従業員の安否情報、従業員−店舗間距離を変更する(S211)。その後、再度要員充足率の算出を行う(S209)。この場合に要員充足率が図10に示すように87.30%であったとすると、要員充足率の所望の値との比較の結果(S210)、算出した要員充足率は未達であるので、再度対象従業員の安否情報、従業員−店舗間距離を変更する(S211)。例えば、要員割当対象者の範囲をIグループからIVグループまでの範囲に変更する(S211)。次に、再度要員充足率を算出した結果(S209)、図10に示すように要員充足率が92.40%となった場合には、要員充足率は所望の値以上となっているので(S210)、要員充足率の算出に利用した要員割当対象者の範囲に含まれる対象従業員を店舗駆付要員と決定し、決定した店舗駆付要員に対して駆付店舗に向かうように指示する(S212)。
【0052】
以上のようにして、店舗駆付要員の要員充足率の算出シミュレーションを予め行うことによって、店舗駆付要員の適切な選定を行うことができ、迅速な店舗の開店に寄与することができる。また、上記の説明では、要員割当対象者の範囲を種々変更して要員充足率を算出する手順を示したが、予め算出の対象とする要員割当対象者の範囲を種々用意しておき、複数の算出結果を示すようにしてもよい。例えば図10の例において、要員割当対象者の範囲を種々変えて要員充足率のシミュレーションを行った結果について、要員充足率の上位3条件を示すようにしてもよい。なお、上述した実施例においては、割当対象者の範囲を設定する際に、対象従業員の安否情報及び従業員−店舗間距離の両者を変更するようにグループの選択を行う例を示したが、対象従業員の安否情報及び従業員−店舗間距離のうちのいずれか一方を変更するようにグループの選択を行ってもよい。
【実施例3】
【0053】
次に本発明の第3の実施例について説明する。上述した実施例2においては、対象従業員の安否情報及び対象従業員の現在位置と駆付店舗の位置との間の距離(従業員−店舗間距離)を変更することにより、割当対象者の範囲を変化させて要員充足率の算出を行う例を示したが、駆付店舗毎の必要配置人数を変更するようにしてもよい。具体的には、駆付店舗の開店に必要な配置人数を当初5人に設定して要員充足率を算出した後に、必要配置人数を4人以下に変更するような場合が挙げられる。このように、駆付店舗毎の必要配置人数を変更して要員充足率を算出する例について図面を用いて説明する。
【0054】
図11に、対象従業員の安否情報及び対象従業員の現在位置と駆付店舗の位置との間の距離(従業員−店舗間距離)及び駆付店舗毎の必要配置人数を変更して要員充足率を算出する場合のフローチャートを示す。同図中のS300〜S308までは、図3で示したS100〜S108と同様であるので説明を省略する。まず、対象従業員の安否情報及び従業員−店舗間距離及び駆付店舗毎の必要配置人数を所定のデフォルト値に設定して、要員充足率を算出する(S309)。要員充足率が所望の値以上となっているか否か判断した結果(S310)、要員充足率が所望の値以上であれば、要員充足率の算出に利用した要員割当対象者の範囲に含まれる対象従業員を店舗駆付要員と決定し、決定した店舗駆付要員に対して駆付店舗に向かうように指示する(S315)。
【0055】
一方、要員充足率が所望の値に達していない場合には、要員割当対象者の範囲をグループ単位で変更することによって、実質的に対象従業員の安否情報、従業員−店舗間距離を変更し(S311)、再度要員充足率を算出する(S312)。要員充足率が所望の値以上となっているか否か判断した結果(S313)、要員充足率が所望の値以上であれば、要員充足率の算出に利用した要員割当対象者の範囲に含まれる対象従業員を店舗駆付要員と決定し、決定した店舗駆付要員に対して駆付店舗に向かうように指示する(S315)。
【0056】
一方、要員充足率が所望の値に達していない場合には、対象従業員の安否情報及び従業員−店舗間距離を一定としたまま、駆付店舗毎の必要配置人数を変更して対象従業員の範囲を拡大し(S314)、再度要員充足率を算出する(S312)。駆付店舗毎の必要配置人数を変更して要員充足率を算出する場合の例を図12に示す。例えば、割当対象者としてIグループからIIIグループまでを選択することにより、対象従業員の安否情報及び従業員−店舗間距離を所定の値に設定したうえで、駆付店舗毎の必要配置人数を減らした場合の要員充足率を算出する。図12に示した算出結果を例にとると、要員割当対象者としてI〜IIIグループを選択し、駆付店舗毎の必要配置人数のデフォルト値から0〜4人の範囲で減らした場合の要員充足率を算出する。このようにして駆付店舗毎の必要配置人数を減らして、再度要員充足率を算出し、要員充足率が所望の値以上となっているか否か判断した結果(S313)、要員充足率が所望の値以上であれば、要員充足率の算出に利用した要員割当対象者の範囲に含まれる対象従業員を店舗駆付要員と決定し、決定した店舗駆付要員に対して駆付店舗に向かうように指示する(S315)。所望の要員充足率の目標を90%とした場合、図12から、要員割当対象者としてI〜IIIグループを選択し、かつ1名減とした場合に92.3%となり、目標値を超えることがわかる。このようにして、駆付店舗毎の必要配置人数を変更して要員充足率を予めシミュレーションすることによって、対象従業員数が限られている場合であっても、適切に対象従業員を駆付店舗に配置することができ、被災した店舗の迅速な開店に寄与することができる。
【実施例4】
【0057】
次に本発明の第4の実施例について説明する。上述した実施例1においては、被災店舗の中から開店の対象とする駆付店舗の選別を遠隔的に行う例を示したが、駆付店舗の選別を従業員に行わせるようにしてもよい。図13に処理フローを示す。同図中のS400〜S406までは、図3で示したS100〜S106と同様であり、S411〜S415までは、図9で示したS208〜S212と同様であるので説明を省略する。まず、S406で受信した安否確認情報及び現在位置情報に基づいて、被災状況確認のために店舗へ向かわせる店舗確認要員を決定する(S407)。店舗確認要員の決定方法としては、実施例1〜3で説明した対象従業員から駆付店舗要員の決定方法と同様のシーケンスを用いることができる。即ち、パラメータとして従業員の安否情報、従業員−店舗間距離及び店舗確認要員の必要人数を予め設定し、最適な従業員を選択することができる。また、店舗確認要員の最適な配置のために、上記パラメータを種々設定して予めシミュレーションを行ってから店舗確認要員を決定してもよい。
【0058】
次に、上記のようにして決定した店舗確認要員の携帯端末に対して、被災店舗の被災状況を報告するように指示する(S408)。指示を受けた店舗確認要員である従業員は、図14に示すような店舗状況確認画面に示される手順に従って被災店舗の被災状況を確認する。店舗確認要員である従業員はサーバから送信されたメールに記載されたURLにアクセスすることによって、第1画面81に示すよう店舗状況確認画面を携帯端末の表示部に表示することができる。まず、外観状況確認部801で外観状況を選択して入力する。選択後、次画面移行ボタンを押下するが、外観状況が「危険を感じる」または「ガスの臭いがする」のいずれかである場合は、店舗の開店を断念し、第4画面84に移行して、従業員に退避の指示を行う。外観状況が「外観が破損」またはいずれの選択肢に当てはまらない場合は、第2画面82に移行する。第2画面82では、店舗内状況入力部803で店舗の内部の状況を入力し、次画面移行ボタン804を押下する。店舗内状況が店舗の開店が行えない状況である場合には、第4画面84に移行して、従業員に退避の指示を行う。一方、店舗内状況が店舗の開店が可能な状況である場合には、第3画面83に移行し、外観及び店舗内について入力した各状況を表示し、登録ボタン805を押下する。そうすると、第5画面85が表示され店舗内で待機するように指示がなされる。店舗確認要員は店舗に待機し、後から派遣される店舗駆付要員とともに店舗の開店作業を行う。
【0059】
以上のようにして、店舗確認要員の携帯端末から被災店舗の被災状況情報が送信されると、サーバはこれを受信し(S409)、被災状況情報に基づいて、被災店舗から駆付店舗を決定する(S410)。このようにして、被災店舗の被災状況を実際に従業員が確認することによって、開店可能な店舗を限定することができ、店舗開店のための従業員の配置を効率よく行うことができるようになる。
【実施例5】
【0060】
次に、本発明の第5の実施例について説明する。実施例5においては、店舗駆付要員に駆付店舗に向かうように指示を出した時点からの経過時間及び店舗駆付要員の移動距離に基づいて、店舗駆付要員の平均移動速度を算出し、平均移動速度及び駆付店舗の位置と店舗駆付要員の位置との間の距離に基づいて、駆付店舗の開店時間を予測する点を特徴としている。このように開店時間を予測することは、災害発生後の所定の時間以内に所定数の店舗を開店する必要がある場合等に有効である。また、開店予測時刻を知ることができれば、従業員の再配置も可能となる。即ち、例えば要員充足率100%で店舗駆付要員を決定し、駆付店舗に向かうように指示を出したところ、所望の開店時刻までの時間の半分が過ぎた時点で開店予測時間に間に合わないことが判明した場合、要員充足率を200%と変えて店舗駆付要員として割り当てる従業員の範囲を拡大することができる。このように店舗開店予測時間を算出することによって、従業員の再配置を行うことができ、所定の時間内に確実に店舗を開店することができるようになる。
【0061】
また、図10及び図12に示すように、リアルタイムで立上準備完了率を算出し画面上に表示するようにしてもよい。立上準備完了率とは、従業員を割り当てることを決定した駆付店舗数に対する、駆け付けた従業員が店舗の立ち上げ準備を完了した立上準備完了店舗数の比である。なお、店舗の立上準備完了は、店舗確認要員の被災状況報告により判断する。立上準備完了率は、店舗駆付要員に対して駆付店舗に向かうように指示した時点から、時々刻々と変化する。立上準備完了率の時間的な変化から、所望の立上準備完了率に到達するまでの時間を予測することができ、所定の時間内に所望の割合の店舗を確実に開店することができるようになる。
【0062】
なお、上記の要員充足率の実施例において、要員充足率が所望の値以上であるか否かを判断して要員充足率の算出を行う例を示したが、要員充足率が所望の範囲に収まっているか否かに基づいて各パラメータを変更して要員充足率を算出するようにしてもよい。例えば要員充足率の所望の範囲を80〜100%の範囲とするようにしてもよい。このようにすることによって、必要十分な数の従業員を店舗駆付要員として配置することができ、被災した店舗の開店を迅速に行うことができる。
【実施例6】
【0063】
次に、本発明の第6の実施例について図面を用いて説明する。実施例6においては、本人の安否確認とともに家族の安否確認情報をサーバに送信する際、家族の安否を本人が確認できない場合に、家族の安否確認を他の従業員に代行させる点を特徴としている。図15は、一例として、従業員A〜Eと、従業員Aの自宅との位置関係を簡略的に示す平面図である。例えば、従業員A90が自宅(A宅)91から遠く離れた場所(例えば20km)にいる状況下で地震等の災害が発生し、家族の安否情報を入力しようとした場合を仮定する。ここで、A宅91には家族がいる可能性が高く、かつ家族とは連絡が取れないとすると、A自身は無事でも家族の安否確認が取れないために、Aは図5に示す安否確認登録において、家族の安否として「不明者有り」を選択する。そうすると、Aの家族の安否が「全員無事」の場合に比べて、Aの割当対象としての適性は低くなる。具体的には図6に示すように、家族の安否が不明の状態ではグループCに属するが、もし仮にAの家族が無事であったならばグループAに属することとなる。この場合、現実には家族が全員無事であるとすれば、その事実を早急に確認し、Aの割当対象者としての適性を現実の家族の安否状況に即して判断することが望ましい。
【0064】
そこで、実施例6では、家族の安否確認を他の従業員に代行してもらい、Aの割当対象者としての適性を正当に評価することを目的としている。例えば、図15に示すように、従業員A90は自宅であるA宅91から遠い場所にいて、従業員B92、C93、D94、E95がA宅91から近距離(例えば2km)圏内に存在しているとする。このとき、従業員A90が安否確認を行う際の安否確認代行の処理フローについて、図16に示すフローチャートを用いて説明する。まず、従業員A90は、携帯端末で家族の安否を登録する際、自宅であるA宅91から遠距離の場所にいるために家族の安否確認が行えず、サーバ96に対して、安否確認の代行を依頼する。例えば、サーバ96は、従業員A90からの安否確認の代行を依頼するメール等による通知を受信する(S501)。
【0065】
次に、サーバ96は、A宅91から、所定の範囲内(例えば、2km圏内)に存在する従業員B〜Eに対して、A宅91で家族の安否確認を行うことが可能か否かを問い合わせる(S502)。
【0066】
ここで、サーバ96からの問い合わせを受けた従業員B〜Eのうち、従業員E95が安否確認代行可能であるとする。この場合、従業員E95はその旨をサーバ96に対して回答し、サーバ96は、従業員E95から安否確認代行が可能である旨の通知を受信する(S503)。
【0067】
次に、サーバ96は、従業員E95に対して、A宅91に向かって家族の安否確認を行うように指示し、定期的に従業員E95に対してA宅91にいる家族の安否について問い合わせる(S504)。従業員E95は、A宅91に向かってA宅91にいる家族の安否を確認し、安否確認結果をサーバ96に対して通知する。サーバ96は、従業員E95からの安否確認結果を受信し(S505)、従業員A90に対して、家族の安否確認結果を通知する(S506)。ここでは、A宅91にいる家族の無事が確認されたものとする。
【0068】
従業員A90は、サーバ96から、A宅91にいる家族の安否確認結果を受信し、安否確認登録画面において、家族の安否を「不明者有り」から「全員無事」に修正し、再登録する。サーバ96は、従業員A90から、家族の安否についての修正回答を受信し(S507)、サーバ96は、従業員Aの割当対象の決定の基礎とするグループをグループCからグループAに変更する(S508)。
【0069】
以上のようにして、家族の安否確認を本人以外の他の従業員に代行させることによって、家族の安否を確認することが可能となるので、従業員の割当対象者としての適性を正確に決定することができる。そのため、割当対象となる従業員が少ない場合においても、正当な評価に基づいて割当対象者を選別することができるので、割当対象者数を増加させることが可能となり、被災した店舗の開店を迅速に行うことができる。
【実施例7】
【0070】
次に、本発明の第7の実施例について図面を用いて説明する。実施例7においては、本人の安否確認とともに家族の安否確認情報をサーバに送信する際、家族が負傷していても本人が遠方にいる等の理由で救護できない場合に、家族の救護を他の従業員に要請する点を特徴としている。図15は、一例として、従業員A〜Eと、従業員Aの自宅との位置関係を簡略的に示す平面図である。例えば、従業員A90が自宅(A宅)91から遠く離れた場所(例えば20km)にいる状況下で地震等の災害が発生し、家族の安否情報を入力する場合を仮定する。ここで、A宅91には家族がおり、その家族が負傷を負っていたことを知ったとする。このとき、Aは図5に示す安否確認登録において、家族の安否として「負傷者有り」を選択する。そうすると、Aの家族の安否が「無事」の場合に比べて、Aの割当対象としての適性は低くなる。具体的には図6に示すように、家族の安否が「負傷者有り」の状態ではグループEに属するが、もし仮にAの家族が無事とみなせる状態であったならばグループAに属することとなる。この場合、家族が負傷してはいるが、救護により無事とみなせる状態に回復できるとすれば、その事実を早急に確認し、Aの割当対象者としての適性を現実の家族の安否状況に即して判断することが望ましい。しかしながら、従業員A90はA宅91から遠く離れた場所に存在しているので、A宅91にいる家族を救護することができない。
【0071】
そこで、実施例7では、家族の救護支援を他の従業員に要請し、Aの割当対象者としての適性を正当に評価することを目的としている。例えば、図15に示すように、従業員A90は自宅であるA宅91から遠い場所にいて、従業員B92、C93、D94、E95がA宅91から近距離(例えば2km)圏内に存在しているとする。このとき、従業員A90が救護支援要請を行う際の処理フローを図17に示すフローチャートを用いて説明する。まず、従業員A90は、携帯端末で家族の安否を登録する際、従業員A90は、自宅であるA宅91から遠距離の場所にいるために家族の救護を行えず、サーバ96に対して、救護支援を要請し、サーバ96は、従業員A90からの救護支援を要請するメール等による通知を受信する(S601)。
【0072】
次に、サーバ96は、A宅91から、所定の範囲内(例えば、2km圏内)に存在する従業員B〜Eに対して、A宅91で家族の救護支援を行うことが可能か否かを問い合わせる(S602)。
【0073】
ここで、サーバ96からの問い合わせを受けた従業員B〜Eのうち、従業員D94が救護支援可能であるとする。この場合、従業員D94はその旨をサーバ96に対して回答し、サーバ96は、従業員D94から救護支援が可能である旨の通知を受信する(S603)。
【0074】
次に、サーバ96は、従業員D94に対して、A宅91に向かって家族の救護を行うように指示し、定期的に従業員D94に対してA宅91にいる家族の救護結果について問い合わせる(S604)。従業員D94は、A宅91に向かってA宅91にいる家族を救護し、救護した結果をサーバ96に対して通知する。サーバ96は、従業員D94からの救護結果を受信し(S605)、従業員A90に対して、家族の状況を通知する(S606)。ここでは、A宅91にいる家族は、当初軽症を負っていたが、救護の結果、無事とみなせる状態にまで回復したものとする。
【0075】
従業員A90は、サーバ96から、A宅91にいる家族の救護支援結果を受信し、安否確認登録画面において、家族の安否を「負傷者有り」から「全員無事」に修正し、再登録する。サーバ96は、従業員A90から、家族の安否についての修正回答を受信し(S607)、サーバ96は、従業員Aの割当対象の決定の基礎とするグループをグループEからグループAに変更する(S608)。
【0076】
以上のようにして、負傷した家族の救護を本人以外の他の従業員に要請することによって、負傷した家族の救護が可能となるので、従業員の割当対象者としての適性を正確に決定することができる。そのため、割当対象となる従業員が少ない場合においても、正当な評価に基づいて割当対象者を選別することができるので、割当対象者数を増加させることが可能となり、被災した店舗の開店を迅速に行うことができる。
【0077】
なお、上記実施例においては、安否確認代行の依頼や安否確認代行の結果の受信等を、サーバを経由した通信によって実行する例を示したが、これらの代行処理を、サーバを経由せずに従業員の携帯端末間の通信によって実行するようにしてもよい。
また、実施例6と実施例7とを組み合わせ、図16のステップS505において、家族が負傷していることが判明し、ステップS506にて従業員Aにその旨が通知された場合、従業員Aは図17のステップS601以降の処理により救護支援を要請することも可能である。
【0078】
以上の説明において、対象従業員の安否情報として家族の安否情報を含めた場合について説明したが、家族の安否情報を含まずに従業員のみの安否情報を含むようにしてもよい。
【0079】
また、上記の実施例においては災害の発生要因として地震が発生した場合を例にとって説明したが、災害の発生要因はこれには限られず、豪雨による洪水、台風、津波等を含めた自然災害や、新型インフルエンザ等の疫病や、テロ行為等、他の要因によって災害が発生する場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 被災地マップ
2 等震線
11 店舗α
12 店舗β
13 店舗γ
20 インターネットネットワーク
21 従業員a
22 従業員b
23 従業員c
24 従業員d
25 従業員e
26 従業員f
30 移動体通信網
100 サーバ
200 携帯端末
300 気象庁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバ及び携帯端末を有するシステムを利用した、被災した店舗に対する危機管理方法であって、
前記サーバは、地図情報と、店舗位置情報と、従業員位置情報とを格納しており、
前記サーバは、
発生した災害に関する情報を受信し、
受信した前記情報及び前記地図情報に基づいて、所定の地域を被災地域と決定し、
前記店舗位置情報に基づいて、前記被災地域内にある店舗を被災店舗として特定し、
少なくとも前記地図情報と前記従業員位置情報とに基づいて、前記被災地域近傍に存在する従業員を対象従業員と決定し、
前記対象従業員の携帯端末に対して、安否及び現在位置を問い合わせ、
前記対象従業員の安否確認情報及び現在位置情報を受信し、
前記被災店舗に関する情報に基づいて、前記被災店舗のうち開店の対象とする駆付店舗を決定し、
受信した前記対象従業員の安否情報及び前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離に基づいて、前記駆付店舗の開店のために向かわせる店舗駆付要員を決定し、
決定された前記店舗駆付要員に対して前記駆付店舗に向かうように指示する、
ことを特徴とする危機管理方法。
【請求項2】
前記対象従業員の安否情報、前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離及び駆付店舗毎の必要配置人数に基づいて店舗駆付要員を決定する、
請求項1に記載の危機管理方法。
【請求項3】
前記店舗駆付要員の決定において、
駆付店舗の数と駆付店舗毎の必要配置人数との積に対する店舗駆付要員の総数の比である要員充足率を算出し、
前記要員充足率が所望の値となっていない場合は、前記対象従業員の安否情報、前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離及び駆付店舗毎の必要配置人数のうち少なくとも1つを変更して店舗駆付要員を決定する、請求項2に記載の危機管理方法。
【請求項4】
前記安否確認情報及び現在位置情報に基づいて、被災状況確認のために前記店舗へ向かわせる店舗確認要員を決定し、
前記店舗確認要員の携帯端末に対して、前記被災店舗の被災状況を報告するように指示し、
前記店舗確認要員の携帯端末から送信された前記被災店舗の被災状況情報を受信し、
前記被災状況情報に基づいて、前記被災店舗から前記駆付店舗を抽出する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の危機管理方法。
【請求項5】
前記店舗駆付要員に前記駆付店舗に向かうように指示を出した時点からの経過時間及び前記店舗駆付要員の移動距離に基づいて、前記店舗駆付要員の平均移動速度を算出し、
前記平均移動速度及び前記駆付店舗の位置と前記店舗駆付要員の位置との間の距離に基づいて、前記駆付店舗の開店時間を予測する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の危機管理方法。
【請求項6】
前記安否確認情報には前記対象従業員の家族の状況に関する情報がさらに含まれる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の危機管理方法。
【請求項7】
サーバ及び携帯端末を備え、被災した店舗に対する危機管理システムであって、
前記サーバは、
前記携帯端末と情報交換を行うルータと、
制御部と、
地図情報を格納した地図情報データベースと、
店舗位置情報を格納した店舗位置情報データベースと、
従業員位置情報を格納した従業員位置情報データベースと、
前記制御部を制御する制御プログラムを格納したメモリと、
を有し、
前記制御部は、
発生した災害に関する情報を受信し、受信した前記情報及び前記地図情報に基づいて、所定の地域を被災地域と決定し、前記店舗位置情報に基づいて、前記被災地域内にある店舗を被災店舗として特定する被災店舗決定手段と、
少なくとも前記地図情報と前記従業員位置情報とに基づいて、前記被災地域近傍に存在する従業員を対象従業員と決定する対象従業員決定手段と、
前記対象従業員の携帯端末に対して、安否及び現在位置を問い合わせ、前記対象従業員の安否確認情報及び現在位置情報を受信し、前記被災店舗に関する情報に基づいて、前記被災店舗のうち開店の対象とする駆付店舗を決定する駆付店舗決定手段と、
受信した前記対象従業員の安否情報及び前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離に基づいて、前記駆付店舗の開店のために向かわせる店舗駆付要員を決定し、決定された前記店舗駆付要員に対して前記駆付店舗に向かうように指示する店舗駆付要員決定手段と、
を有することを特徴とする危機管理システム。
【請求項8】
前記店舗駆付要員決定手段は、前記対象従業員の安否情報、前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離及び駆付店舗毎の必要配置人数に基づいて店舗駆付要員を決定する、
請求項7に記載の危機管理システム。
【請求項9】
前記店舗駆付要員決定手段は、前記店舗駆付要員の決定において、
駆付店舗の数と駆付店舗毎の必要配置人数との積に対する店舗駆付要員の総数の比である要員充足率を算出し、
前記要員充足率が所望の値となっていない場合は、前記対象従業員の安否情報、前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離及び駆付店舗毎の必要配置人数のうち少なくとも1つを変更して店舗駆付要員を決定する、請求項8に記載の危機管理システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記安否確認情報及び現在位置情報に基づいて、被災状況確認のために前記店舗へ向かわせる店舗確認要員を決定し、
前記店舗確認要員の携帯端末に対して、前記被災店舗の被災状況を報告するように指示し、
前記店舗確認要員の携帯端末から送信された前記被災店舗の被災状況情報を受信し、
前記被災状況情報に基づいて、前記被災店舗から前記駆付店舗を抽出する、
請求項7乃至9のいずれか一項に記載の危機管理システム。
【請求項11】
前記制御部は、前記店舗駆付要員に前記駆付店舗に向かうように指示を出した時点からの経過時間及び前記店舗駆付要員の移動距離に基づいて、前記店舗駆付要員の平均移動速度を算出し、
前記平均移動速度及び前記駆付店舗の位置と前記店舗駆付要員の位置との間の距離に基づいて、前記駆付店舗の開店時間を予測する、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の危機管理システム。
【請求項12】
前記安否確認情報には前記対象従業員の家族の状況に関する情報がさらに含まれる、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の危機管理システム。
【請求項13】
被災した店舗に対する危機管理支援サーバであって、
携帯端末と情報交換を行うルータと、
制御部と、
地図情報を格納した地図情報データベースと、
店舗位置情報を格納した店舗位置情報データベースと、
従業員位置情報を格納した従業員位置情報データベースと、
前記制御部を制御する制御プログラムを格納したメモリと、
を有し、
前記制御部は、
発生した災害に関する情報を受信し、受信した前記情報及び前記地図情報に基づいて、所定の地域を被災地域と決定し、前記店舗位置情報に基づいて、前記被災地域内にある店舗を被災店舗として特定する被災店舗決定手段と、
少なくとも前記地図情報と前記従業員位置情報とに基づいて、前記被災地域近傍に存在する従業員を対象従業員と決定する対象従業員決定手段と、
前記対象従業員の携帯端末に対して、安否及び現在位置を問い合わせ、前記対象従業員の安否確認情報及び現在位置情報を受信し、前記被災店舗に関する情報に基づいて、前記被災店舗のうち開店の対象とする駆付店舗を決定する駆付店舗決定手段と、
受信した前記対象従業員の安否情報及び前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離に基づいて、前記駆付店舗の開店のために向かわせる店舗駆付要員を決定し、決定された前記店舗駆付要員に対して前記駆付店舗に向かうように指示する店舗駆付要員決定手段と、
を有することを特徴とする危機管理支援サーバ。
【請求項14】
前記店舗駆付要員決定手段は、前記対象従業員の安否情報、前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離及び駆付店舗毎の必要配置人数に基づいて店舗駆付要員を決定する、
請求項13に記載の危機管理支援サーバ。
【請求項15】
前記店舗駆付要員決定手段は、前記店舗駆付要員の決定において、
駆付店舗の数と駆付店舗毎の必要配置人数との積に対する店舗駆付要員の総数の比である要員充足率を算出し、
前記要員充足率が所望の値となっていない場合は、前記対象従業員の安否情報、前記対象従業員の現在位置と前記駆付店舗の位置との間の距離及び駆付店舗毎の必要配置人数のうち少なくとも1つを変更して店舗駆付要員を決定する、請求項14に記載の危機管理支援サーバ。
【請求項16】
前記制御部は、前記安否確認情報及び現在位置情報に基づいて、被災状況確認のために前記店舗へ向かわせる店舗確認要員を決定し、
前記店舗確認要員の携帯端末に対して、前記被災店舗の被災状況を報告するように指示し、
前記店舗確認要員の携帯端末から送信された前記被災店舗の被災状況情報を受信し、
前記被災状況情報に基づいて、前記被災店舗から前記駆付店舗を抽出する、
請求項13乃至15のいずれか一項に記載の危機管理支援サーバ。
【請求項17】
前記制御部は、前記店舗駆付要員に前記駆付店舗に向かうように指示を出した時点からの経過時間及び前記店舗駆付要員の移動距離に基づいて、前記店舗駆付要員の平均移動速度を算出し、
前記平均移動速度及び前記駆付店舗の位置と前記店舗駆付要員の位置との間の距離に基づいて、前記駆付店舗の開店時間を予測する、請求項13乃至16のいずれか一項に記載の危機管理支援サーバ。
【請求項18】
前記安否確認情報には前記対象従業員の家族の状況に関する情報がさらに含まれる、請求項13乃至17のいずれか一項に記載の危機管理支援サーバ。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−224688(P2010−224688A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69032(P2009−69032)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(397077955)株式会社三井住友銀行 (120)
【出願人】(000135771)株式会社パスコ (102)
【Fターム(参考)】