説明

危険予知支援システムおよび危険予知支援方法

【課題】労働災害の発生を防止するための適切な情報を提供することができる危険予知支援システムを提供する。
【解決手段】危険予知管理サーバ100は、作業の作業場所を含む作業内容と、前記危険のポイントと、その危険度と、およびその対策とを関連付けた危険予知情報2とともに、所定期間内の作業場所のヒヤリハットの実績回数であるヒヤリハット指数5Bと、を記憶する記憶部103と、危険予知入出力端末から、入力された情報を受信すると危険予知情報に登録するとともに、危険予知情報に基づいて作業内容に係る危険のポイントを抽出し、抽出された危険のポイントの危険度にヒヤリハット指数を乗算した値を実績危険度として算出し、該実績危険度の高い危険のポイントおよびその対策を記載した模範危険予知表6を作成し、該作成した模範危険予知表6を危険予知入出力端末8に送信する処理部102を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、労働災害の発生を防止するための適切な情報を提供することができる危険予知支援システムおよび危険予知支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
労働災害の発生を防止するためのひとつの方法として、KYT(危険予知訓練)がある。KYTは、建設業や製造業といった危険な作業に従事する作業者たちが、事故や災害を未然に防ぐことを目的に、その作業に潜む危険を事前に予知し、指摘しあう活動である。
【0003】
危険予知の技術として、特許文献1には、車両が危険地区を走行する場合に、どのような危険が存在し得るのかを運転者に、より具体的に報知することができる危険箇所情報表示装置を提供することが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、労働災害の発生を防止するための適切な情報を提供することができる建設工事の安全情報システムを得ることが記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、作業員の危険に対する意識を向上させるとともに安全の確保に寄与する教育用危険予知訓練採点装置を提供することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−51973号公報
【特許文献2】特開平6−44211号公報
【特許文献3】特開2008−139479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
労働災害の発生の防止のための情報提供の既存技術(例えば、特許文献2参照)によれば、過去に発生した労働災害の情報に基づいて、入力された作業について、重要度の高い災害から順に工事概要などを表示することができる。しかしながら、1件の重大事故には、300件のヒヤリハット(near-miss accidents)が隠れているというハインリッヒの法則が知られている。実際の作業現場では重大事故はめったに起こらない。そのため、実際に起きた事故を分析し、今後の防災の検討材料にしようと思ってもサンプル数が少なく思うような情報が得られない問題がある。
【0008】
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、労働災害の発生を防止するための適切な情報を提供することができる危険予知支援システムおよび危険予知支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、危険予知支援システムは、作業者が作業に潜む危険を事前に予知するための危険予知活動表の画面を表示する危険予知入出力端末と、前記危険予知活動表に入力された情報を管理する管理サーバ(例えば、危険予知管理サーバ100)とを有する危険予知支援システムであって、管理サーバは、作業の作業場所を含む作業内容と、危険のポイントと、その危険度と、およびその対策とを関連付けた危険予知情報とともに、所定期間内の作業場所のヒヤリハットの実績回数であるヒヤリハット指数(例えば、図9のヒヤリハット指数)と、を記憶する記憶部と、危険予知入出力端末から、入力された情報を受信すると危険予知情報に登録するとともに、危険予知情報に基づいて作業内容に係る危険のポイントを抽出し、抽出された危険のポイントの危険度にヒヤリハット指数を乗算した値を実績危険度として算出し、該実績危険度の高い危険のポイントおよびその対策を記載した出力表(例えば、模範危険予知表6)を作成し、該作成した出力表を危険予知入出力端末に送信する処理部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、労働災害の発生を防止するための適切な情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の危険予知支援システムの構成を示す図である。
【図2】危険予知活動表を示す図である。
【図3】危険予知活動表の入力状況を示す図である。
【図4】作業者の入力した危険予知情報に追加する情報を画面表示した様子を示す図である。
【図5】ヒヤリハット検知端末の構成を示す図である。
【図6】ヒヤリハット診断部の機能の詳細を示す図である。
【図7】ヒヤリハット情報の例を示す図である。
【図8】作業者のヒヤリハット指数の例を示す図である。
【図9】作業場所のヒヤリハット指数の例を示す図である。
【図10】作業情報の例を示す図である。
【図11】工事IDごとの作業情報の例を示す図である。
【図12】作業者IDごとの作業情報の例を示す図である。
【図13】危険予知情報の例を示す図である。
【図14】危険予知入出力端末の構成を示す図である。
【図15】模範危険予知表の作成部の処理フローを示す図である。
【図16】危険予知入出力端末の照合部の処理フローを示す図である。
【図17】ヒヤリハット情報と危険予知情報との関連情報の例を示す図である。
【図18】ヒヤリハット検知端末の外観の例を示す図である。
【図19】模範危険予知表の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態の危険予知支援システムSにおける危険予知とは、状況から将来起こりうる危険を察知することであり、建設工事や工場での作業に入る前に危険予知を行い、危険に備えることで労働災害を防ぐことを支援することを目的としている。
【0013】
図1は、本実施形態の危険予知支援システムの構成を示す図である。危険予知支援システムSは、作業者が作業時に所有するヒヤリハット検知端末1と、危険予知情報を入出力する危険予知入出力端末8と、危険予知管理サーバ100とを含んで構成される。ヒヤリハット検知端末1は、通信機10Aを介してネットワーク10に接続される。危険予知入出力端末8および危険予知管理サーバ100は、有線通信、無線通信によりネットワーク10に接続されている。なお、危険予知入出力端末8は、例えば、各作業場所あるいは事務所などに設置されている。
【0014】
危険予知管理サーバ100は、通信部101、処理部102、および記憶部103を有している。処理部102には、危険予知入出力端末8からの危険予知情報の入力に対し模範危険予知表6(出力表)を作成する模範危険予知表の作成部4を有する。記憶部103には、危険予知情報2(図13参照)、ヒヤリハット情報5(図7参照)、ヒヤリハット指数5A(図8参照),5B(図9参照)、ヒヤリハット情報と危険予知情報との関連情報3(図13参照)、模範危険予知表の作成部4が作成する模範危険予知表6(図19参照)、災害情報7、作業情報9(図10、図11、図12参照)などが記憶されている。
【0015】
災害情報7は、災害が起きた状況に関する情報であり、災害の種類(つまずき・転倒・誤動作・落下・落下物に当たる・ぶつかる)、作業内容、災害に合った人情報、災害にあった位置情報からなる。
【0016】
ヒヤリハット検知端末1は、作業者がヒヤリハットした状況を検知する作業者行動検知用の端末である。ヒヤリハット検知端末1は、作業者がヒヤリハットした状況を検知して、危険予知管理サーバ100に送信し、危険予知管理サーバ100は、そのヒヤリハット情報をヒヤリハット情報5に登録する。
【0017】
ヒヤリハットとは、すでに説明したように、災害に至らなかったが至りそうになった事象のことであり、遭遇した作業者がヒヤリとする、ハットすることからその名が付いている。しかし、作業者がヒヤリともハットもしない場合でも、災害に至らなかったが至りそうになった事象を含めるとよい。作業者の危険予知の能力が不足している場合があるからである。登録するヒヤリハット情報は、誰が、いつ、どこで、どのような作業中に、どのようなヒヤリハットがあったか、であるが、その一部でもよい。ヒヤリハット検知端末1の詳細な構成は図5を用いて後述する。
【0018】
危険予知入出力端末8は、画面を介して作業者から危険予知情報の入力を受け、模範危険予知表6(図19参照)と照合し、作業者の入力した危険予知情報に追加する情報を画面に表示することで出力する。また、作業者の入力した危険予知情報および追加する情報は、危険予知管理サーバ100が危険予知情報2に登録する。危険予知入出力端末8は、例えば、ハードウェアとしてはタブレットPC(Personal Computer)とプロジェクタを組み合わせる、あるいは、大型の表示画面とタブレットが一体化したデバイスを用いるとよい。作業者は、チームで作業することが多いため、危険予知情報を入力する際に、チームの作業員がプロジェクタで表示した画面あるいは大型の表示画面を見て議論することができる。
【0019】
危険予知管理サーバ100の模範危険予知表の作成部4は、危険予知入出力端末8から作業者が入力した危険予知情報を受けると、ヒヤリハット情報と危険予知情報との関連情報3、危険予知情報2、災害情報7、ヒヤリハット情報5を参照して、模範危険予知表6を作成し、作成した模範危険予知表6を危険予知入出力端末8に送信する。どのように模範危険予知表6を作成するかは後述する。
【0020】
図2は、危険予知活動表を示す図である。図2に示す危険予知活動表8Aは、作業の開始前に危険予知入出力端末8に表示される画面の一例である。図2に示す危険予知活動表8Aは、入力フォーマットを表示しており、危険予知入出力端末8は、画面に表示された危険予知活動表8Aを介して作業者から各項目の入力を受け付ける。
【0021】
危険予知活動表8Aの項目には、作業内容に関連する項目と作業の危険予知の項目がある。作業内容に関連する項目には、「日付」(例えば、2011年7月7日(木))、「会社名」、「グループ名」、「リーダ名」、「参加者名」、具体的な作業場所などを記載した「作業内容」の項目がある。作業の危険予知の項目には、「危険のポイント」、その危険のポイントに対する「重篤度」、「可能性」、「危険度」(重篤度と可能性の乗算した値)、その危険のポイントに対する方策である「私たちはこうする!」の項目がある。
【0022】
「重篤度」として、怪我の重篤度のポイントを選択する。例えば、致命的である場合5ポイント、重症の場合3ポイント、軽傷の場合1ポイントである。「可能性」として、怪我の可能性を選択する。例えば、よくある場合5ポイント、たまにある場合3ポイント、あまりない場合1ポイントである。「危険度」は、「重篤度」のポイントと「可能性」のポイントの乗算した値が自動的に算出される。詳細については、図3を参照して後述する。危険度は、15〜25ポイントの場合重く(高く)、9ポイントである場合は中程度、1〜5ポイントの場合、低いことを意味する。
【0023】
日付は、自動でその日の日付を入れるようにすると、入力する手間が省けてよい。「会社名」、「グループ名」、「リーダ名」、「作業内容」は、キーボードや文字認識を利用して項目各々入力してもよいが、これらがあらかじめデータ化されている場合であれば(図10,11,12を用いて後述する)、「リーダ名」を指定することで、その日の日付と合わせてほかの項目が決定されるので、決定内容を入力内容とすれば、入力する手間が省けてよい。
【0024】
また、入力内容は選択肢から選べるようにするとよい。例えば、図2の例では、「リーダ名」と「作業内容」の欄の右はじにある▼印のボタンを押すと、選択肢のリストが表示され、その中から一つ選ぶと、入力欄のその内容が入力される。
【0025】
図3は、危険予知活動表の入力状況を示す図である。図3は、図2に示した入力フォーマットの各項目欄を入力し終えた画面状態である。参加者名は、参加者各人の参加意識を促すため、各人がタブレット上に筆跡で署名を残す。例えば、年々二郎、月々花子、日々太郎、曙月子である。図3を参照すると、2011年7月7日に実施された危険予知活動表8Aであり、作業内容は、タービン建屋2Fケーブル布設工事に関するものであることがわかる。
【0026】
「危険のポイント」、「私たちはこうする!」の欄は、「リーダ名」と同様に、選択肢から選ぶようにして入力の手間を省いてもよいが、選択肢の中から選ぶと、作業者が危険について考える範囲が限定されるため、あえて選択ではなく、自由に記入するとよい。
【0027】
自由記載の場合は、入力された文字列を解釈して図13の「危険のポイント」のどの文字列に最も近いかを算出して、どれに該当するかを決定する必要がある。
【0028】
作業者は、重篤度と可能性の項目について、「私たちはこうする!」を実施前と実施後の値をそれぞれマークする。作業者は、実施前のとき実線でマークし、実施後のとき破線でマークする。なお、実施後も同じポイントの場合には、マークを付ける必要はない。
【0029】
具体的には、「危険のポイント」が「床置きしたものにつまずいて転倒」の場合、「私たちはこうする!」の「両手に荷物をもたない」の実施前の重篤度のポイントは5ポイントであるが、実施後の重篤度のポイントは3ポイントが選択されている。可能性の実施前および実施後のポイントは1ポイントである。このときには、危険度は、実施前は5ポイントと算出され、実施後は3ポイントと算出され、危険度の欄には、「5→3」が表示される。
【0030】
各項目欄を入力し終えて、画面右下の「注意」ボタンを押下すると、入力した危険予知情報が、危険予知入出力端末8から危険予知管理サーバ100に送信される。危険予知管理サーバ100の模範危険予知表の作成部4は、入力された危険予知情報に基づく模範危険予知表6(図19参照)が作成され、模範危険予知表6を危険予知入出力端末8に送信する。危険予知入出力端末8は、模範危険予知表6と入力された危険予知活動表8A(図3参照)を比較して、作業者の入力した危険予知情報に追加する情報を画面表示する。なお、なお、「注意」ボタンは、画面に表示されているソフトボタンである。
【0031】
図4は、作業者の入力した危険予知情報に追加する情報を画面表示した様子を示す図である。最近のヒヤリハット情報から起こりうる危険のポイントが追加され、その理由となったヒヤリハット情報を吹き出しにて表示している。具体的には、「危険のポイント」として、「落下物にあたる」が追加され、吹き出しには、「異音が3か所で観測されています。落下物に注意しましょう」の表記がある。
【0032】
図4に示した危険のポイントが追加されることが本実施形態の特徴であり、「落下物にあたる」などは、作業者が思いつかなかった危険のポイントであり、労働災害の発生を防止するための適切な情報を提供することができる効果がある。
【0033】
作業者は、追加された「危険のポイント」に対し、重篤度、可能性をマークし、作業者が右下の「OK」ボタンを押下すると、作業者の入力した危険予知情報および追加する情報を危険予知情報2が危険予知管理サーバ100に登録され処理は終了する。
【0034】
図4に示す吹き出しの表示には、ヒヤリハット情報5に、いつ、どこで、の情報が含まれるため、この機能を実現することができる(図7で後述する)。また、どこで、の情報に対して、現場のフロア図があれば、図4に示した吹き出しのようにフロア図とヒヤリハットが起きた位置を重ね合わせて表示するとよい。これを見る作業者は、危険予知の理解を深めることができる。見ている作業者位置も合わせてフロア図に表示すれば、ヒヤリハットが起きた作業場所にいれば、そのことが作業者にわかってよい。
【0035】
危険予知管理サーバ100の危険予知情報2(図13参照)は、環境が変わるとそれに追随して変えていく必要がある。安全指導員がいつもメンテナンスするのは労力がかかるため、日々、作業者が入力する危険予知活動表8Aを学習して更新するとよい。
【0036】
作業者が、危険予知活動表8Aを終了するため「OK」ボタンを押したタイミングで、図13に示す危険予知情報に含まれていない「危険のポイント」があれば、重みを当初低くして、0.05の初期値を危険予知情報2に登録する。また、危険予知情報2に含まれているが重みが1未満の「危険のポイント」があれば、重みに0.05を加算するなど重みを重くする。重みは、ほかの値でもよい。このようにすることで、多くの作業者の判断を危険予知情報2に反映することができる。
【0037】
図5は、ヒヤリハット検知端末の構成を示す図である。ヒヤリハット検知端末1は、作業者が身につけやすい形状の作業者端末として構成されている。GPS(Global Positioning System)または赤外線や可視光で現在位置を検知する位置検知部11、加速度を検知する加速度センサ12、気圧を測定する気圧計13、角速度を測定するジャイロ14、音声を拾うマイク15、メモリ、通信部17、処理部、押しボタン19、時計部1Aを含んで構成され、ヒヤリハット診断部18によりどのようなヒヤリハット事象が起きているかを診断する。
【0038】
ヒヤリハット診断部18の診断結果は、位置検知結果、時刻、メモリに記憶されている作業者ID16とともに通信部17により危険予知管理サーバ100に送信される。危険予知管理サーバ100は、受信した情報をヒヤリハット情報5に保存する。図5では、ヒヤリハット検知端末1でのヒヤリハット診断結果をした場合に危険予知管理サーバ100に送信しているが、一旦、メモリにヒヤリハット診断結果を保存してもよい。
【0039】
また、ヒヤリハット診断部18は、ヒヤリハット検知端末1に含めず、各センサの生データもしくは圧縮したデータを危険予知管理サーバ100に送信し、危険予知管理サーバ100側でヒヤリハット診断してもよい。この場合、ヒヤリハット診断部18をヒヤリハット検知端末1と一体化するとCPU(Central Processing Unit)などのリソースの性能に影響するが、危険予知管理サーバ100であれば、潤沢なリソースや他の事例データ分析結果を用いてヒヤリハット診断を正確に行える利点がある。
【0040】
図6は、ヒヤリハット診断部の機能の詳細を示す図である。ヒヤリハット事象は、落下、転倒、落下物(に当たる)、つまずき、ぶつかりのほか、誤動作に分類できる。図6に示すヒヤリハット診断部18は、落下診断181、転倒診断182、落下物診断183、つまずき診断184、ぶつかり診断185、誤動作診断186の機能を備える。
【0041】
落下診断181は、加速度センサ、気圧計の計測値を用い、落下時に想定される加速度、気圧の変化に対し、現在の加速度、気圧の変化がどの程度類似するかを算出して、落下らしさを得る。転倒診断182は、加速度センサの計測値を用い、転倒時に想定される加速度の変化に対し、現在の加速度の変化がどの程度類似するかを算出して、転倒らしさを得る。落下物診断183は、マイクの計測値を用い、落下物があった際に想定される音量に対し、現在の音量がどの程度類似するかを算出して、落下物らしさを得る。
【0042】
つまずき診断184は、加速度センサの計測値を用い、つまずきに想定される加速度の変化に対し、現在の加速度の変化がどの程度類似するかを算出して、つまずきらしさを得る。ぶつかり診断185は、加速度センサの計測値を用い、ぶつかりに想定される加速度の変化に対し、現在の加速度の変化がどの程度類似するかを算出して、ぶつかりらしさを得る。誤動作診断186は、加速度センサの計測値を用い、誤動作に想定される加速度の変化に対し、現在の加速度の変化がどの程度類似するかを算出して、誤動作らしさを得る。
【0043】
診断方法について具体的に説明すると、落下時以外では、鉛直方向に加速度が0である。これに対し、落下時にはその方向の加速度がG(9.8m/s)になり、その後床に落ちた際の衝撃が鉛直上向きの加速度として観測される。加速度Gが一定時間継続したのち、鉛直上向きににしきい値以上の加速度が発生すれば、落下らしさ1とする。落下らしさはしきい値以上とせずに、観測値としきい値の差をもとに落下らしさを0から1の範囲で求めてもよい。xyz方向の3次元の加速度センサであれば、ある時刻まではz方向(鉛直方向)に加速度Gが発生していて、以降、z以外の方向に加速度Gが発生していれば、転倒したと推測できる。加速度センサを身につけて通常に歩くと周期的に上下に体が揺れる加速度と、進行方向への加速度を観測できる。進行方向と反対側に大きな加速度が加わったのち、周期的に上下に揺れる加速度が乱れた場合につまずきと推測できる。
【0044】
図6に示すヒヤリハットボタン出力は、図5の押しボタン19が押下されたときに、その旨が出力される。図19の押しボタンは、作業者がヒヤリハットした際に押すボタンである。
【0045】
図18は、ヒヤリハット検知端末の外観の例を示す図である。図18に示す外観図は、図5に示すヒヤリハット検知端末1の外観の例を示している。図18(a)に示すように、安全を意味する緑色またはその他の色の十字マークの形状を取ることで、作業者が、わが身の安全のために持つ端末であることを直感的に知る効果がある。また、図18(b)に示すように、筐体の形状が十字マークでなくとも、大きく表面に十字マークを表示してもよい。
【0046】
図7は、ヒヤリハット情報の例を示す図である。図6において算出された落下らしさ、転倒らしさ、および落下物らしさの算出値がしきい値以上の事象について、ヒヤリハットIDをつけて、作業者ID,日時、作業場所(位置検知結果)と落下の算出値、転倒の算出値、落物物の算出値、ヒヤリハットボタン出力の有無を登録する。しきい値以上とせずに、一定の時間間隔で各値を保持してもよい。図7においては、つまずきらしさ、ぶつかりらしさ、および誤動作らしさの算出値の表記は省略してある。
【0047】
落下の算出値、転倒の算出値、および落下物の算出値は、0から1の値を有し、1のとき類似度が最も高いことを意味する。ヒヤリハットボタン出力の有りの場合は1、無しの場合は0である。具体的には、図7を参照すると、ヒヤリハットIDが1002の場合、作業者IDが90の作業者が2011年7月6日15時10分にヒヤリハットの事象が発生し、作業場所は、第一タービン建屋2階(2F)(位置座標(x1、y1))で、落下の算出値は0.5、転倒の算出値は0.6、落下物の算出値は0.7であり、ヒヤリハットボタン(図5の押しボタン19)が押下されていないことがわかる。
【0048】
図8は、作業者のヒヤリハット指数の例を示す図である。図9は、作業場所のヒヤリハット指数の例を示す図である。図1に示す模範危険予知表の作成部4は、ヒヤリハット情報5を参照して、図8に示す作業者ごとのヒヤリハット指数5A、および、図9に示す作業場所ごとのヒヤリハット指数5Bを算出して、ヒヤリハット情報5の関連情報としてヒヤリハット指数5A,5B(図1参照)に登録しておく。作業者ごとのヒヤリハット指数5A(図8参照)や作業場所ごとのヒヤリハット指数5B(図9参照)は、例えば、直近の一定時間あたりのヒヤリハット回数を用いる。
【0049】
具体的に説明すると、所定期間を一週間とすると、直前の一週間におけるヒヤリハット回数をヒヤリハット指数として用いる。図7に示した落下(らしさ)、転倒(らしさ)、落下物(らしさ)のいずれかの項目で、しきい値以上の事象を1回として回数をカウントする。図7の例では、0.7以上の落下(らしさ)、転倒(らしさ)、落下物(らしさ)のいずれかの項目が該当したときを1回のヒヤリハットと定める。図7の例によれば、作業者IDが90の場合、直前の一週間のヒヤリハット回数すなわちヒヤリハット指数が1回となる(図8参照)。また、作業場所が第一タービン建屋2Fの場合、直前の一週間のヒヤリハット回数すなわちヒヤリハット指数が2回となる(図9参照)。なお、別のヒヤリハット指数の求め方としては、0から1の落下らしさ、転倒らしさ、落下物らしさに重みをつけて加算してもよい。重みが1であれば、それぞれの「〜らしさ」を加算することでヒヤリハット指数を得ることができる。
【0050】
また、他の作業者、他の作業場所との平均値からの偏差を用いてもよい。ヒヤリハット指数が大きい、または、増加傾向にある場合は、災害が生じる可能性は高まりつつあると考えられるため、模範危険予知表の作成部4は、模範危険予知表6を作成する際に、ヒヤリハット指数5A,5Bの情報を用いる。
【0051】
図1に示す模範危険予知表の作成部4は、ヒヤリハット情報5を参照して、ヒヤリハットボタンが押されたヒヤリハット情報があれば、その時刻以前の一定時間でのヒヤリハット情報5を参照して、作業者が何にヒヤリハットしたかを得る。そして、模範危険予知表の作成部4は、模範危険予知表6を作成する際に、その情報を用いる。逆に、事象から見てヒヤリハットしたはずなのにボタンが押されなかった場合は、作業者が危険を認知する能力が不足しているか(前者)、面倒などの理由で押さなかった(後者)と考えられる。
【0052】
前者の場合は、教育が必要であるため、模範危険予知表の作成部4は作業者に注意喚起する。すぐに知らせるためには、ヒヤリハット検知端末1にスピーカまたは出力画面などの出力部を設け、それにより作業者に知らせるとよい。あるいは、作業者が別途携帯端末を保持しているのであれば、そちらに注意喚起情報をメールなどで送ってもよい。また、危険予知入出力端末8から危険予知情報を入力して注意ボタン(図3の「注意」)を押したタイミングで、作業者名とヒヤリハット情報を表示して注意喚起してもよい。あるいは、本人に注意喚起するのでなく、安全指導者に注意喚起情報をメールなどで送ってもよい。なお、模範危険予知表の作成部4が作業者に注意喚起する機能があるとして説明しているが、処理部102(図1参照)に注意喚起機能部として独立した機能であってもよい。
【0053】
模範危険予知表の作成部4は、危険予知入出力端末8から、作業者が入力した危険予知活動表8Aを受けると(あるいは、入力した危険予知情報を受信すると)、危険予知情報2を参照して、作業内容に合った項目の中で「私たちはこうする!」を実施する前や後での危険度が高い項目を抽出し、模範危険予知表6を作成する。また、参加者の作業者でヒヤリハット指数(図8参照)が高い、作業場所のヒヤリハット指数(図9参照)が高まっている場合には、その情報を模範危険予知表6に追加する。
【0054】
図10は、作業情報の例を示す図である。図11は、工事IDごとの作業情報の例を示す図である。図12は、作業者IDごとの作業情報の例を示す図である。図10から図12は、図1に示す作業情報9の例である。図10の作業情報9Aには工事ごとに工事IDをつけて、日付、会社名、グループ、作業内容、リーダ、作業場所が登録されている。図11の作業情報9Bには工事IDに参加する参加者の作業者IDが登録されている。図12の作業情報9Cには作業者IDの氏名の情報が登録されている。図12には氏名のみ示しているが、年齢、性別、これまでの作業履歴などと関連付けておくことで、ヒヤリハット指数の算出に反映させて算出の精度を上げることができる。これにより、図2に示す危険予知活動表8Aに対し、「リーダ名」を指定するだけで、「会社名」、「グループ名」、「リーダ名」、「作業内容」を自動で入力でき、入力の手間を省くことができる。
【0055】
図10の作業情報9Aに付随して、危険予知情報2として危険予知活動の結果の危険予知情報を登録しておく。図10では、工事IDに一つ以上の危険予知ID(危険予知ID1、危険予知ID2など)が関連付けられており、図10に示す危険予知IDは、図13に示す危険予知情報2の危険予知IDに対応する。
【0056】
図13は、危険予知情報の例を示す図である。危険予知情報2は、図2で示した危険予知活動表8Aの「作業内容」、「危険のポイント」、「私たちはこうする!」、「重篤度」、および「可能性」をデータとして保持するするとともに、重みを含んで構成される。「重篤度」および「可能性」は「私たちはこうする!」を実施しなかったときの値をB(Before)(すなわち、重篤度B、可能性B)とし、「私たちはこうする!」をした後の値をA(After)(すなわち、重篤度A、可能性A)として保持する。危険予知IDは、「危険のポイント」「私たちはこうする!」に付き付与していく。なお、図13には図示していないが、危険度Bは重篤度Bと可能性Bの乗算であり、危険度Aは重篤度Aと可能性Aの乗算である。
【0057】
重みは、初期値として、通常ありうる「危険のポイント」、「私たちはこうする!」に登録しておくとよい。あるいは、安全指導員が登録したものを1とし、日々の危険予知活動で作業者が表に入力した内容は、例えば、0.05などとし、重みを1より軽く登録し、再度入力されればまた0.05を加算するなどして、作業者が記入した内容も、頻繁であれば、重みが重くなるようにすると、現在起きている状況に追従した模範危険予知表6を作成することができる。
【0058】
具体的には、危険予知ID12001および12002は、図3に示す危険予知活動表8Aで入力されたものに対応するものである。危険予知ID12001の場合、ケーブル布設工事であり、「危険のポイント」は「床置きしたものにつまずいて転倒」、「私たちはこうする!」は「両手に荷物を持たない」が登録されている。「私たちはこうする!」を実施しなかったときの値である重篤度Bは5ポイントであり、可能性Bは1ポイントである。「私たちはこうする!」を実施した後の値である重篤度Aは3ポイントであり、可能性Aは1ポイントが登録されている。現時点の重みは0.05であり、登録から時間が経過し、再度入力されていないことがわかる。
【0059】
図17は、ヒヤリハット情報と危険予知情報との関連情報の例を示す図である。図17に示すヒヤリハット情報と危険予知情報との関連情報3は、災害(ヒヤリハット)と危険のポイントとの関連付ける関連情報である。ヒヤリハット情報5(図7参照)および図6に示すヒヤリハット診断部18の診断機能から、起こりうる災害の種類は(ヒヤリハット項目である、つまずき・転倒・誤動作・落下・落下物(に当る)・ぶつかり)に分類でき、起こりうる危険のポイントは、この分類のどれかに該当する。図17は、ヒヤリハット情報に基づく災害と、危険ポイントとの関連情報をまとめたものを示す。なお、分類は、これ以外であっても同様にできる。ヒヤリハット事象が増えているのであれば、同じ分類の災害に属する危険のポイントの可能性も増加するように次のように調整する。
【0060】
本実施形態では、ヒヤリハット情報と危険予知情報との関連情報3である、災害(ヒヤリハット)と危険ポイントとの関連情報を保持することで、図1のヒヤリハット検知端末1から出力されたヒヤリハット事象もいずれかの災害の種類に分類することができ、ヒヤリハットが頻発する分類に含まれている危険のポイントの可能性を上げることができる。
【0061】
模範危険予知表の作成部4(図1参照)は、危険予知入出力端末8から、作業者が入力した危険予知活動表8Aを受けると、危険予知情報2を参照して、作業内容に合った項目の中で「私たちはこうする!」を実施する前や後での危険度が高い項目を抽出し、模範危険予知表6を作成する。
【0062】
模範危険予知表の作成部4は、危険度が高い項目を抽出するとき、危険予知情報2の可能性A,可能性Bに対して、危険のポイントが属する災害の種類(つまずき・転倒・誤動作・落下・落下物(に当る)・ぶつかり)についてヒヤリハット情報5を参照して、現在から一定時間内のヒヤリハット事象が増えているのであれば、可能性A、可能性Bを増加させて危険度を算出する。あらかじめ、各々の分類(つまずき・転倒・誤動作・落下・落下物(に当たる)・ぶつかり)の一定時間内の事象発生頻度を求めておくと、この処理を高速にできてよい。
【0063】
本実施形態の特徴のひとつは、模範危険予知表の作成部4が、危険のポイントが属する災害の種類(つまずき・転倒・誤動作・落下・落下物(に当る)・ぶつかり)についてヒヤリハット情報5を参照して、現在から一定時間内のヒヤリハット事象が増えているのであれば、可能性A、可能性Bを増加させて危険度を算出してもよい。可能性A、可能性Bは、危険予知入出力端末8より入力された情報に基づくのではなく、ヒヤリハット情報5に基づいて算出し、ヒヤリハットの実績情報に基づく可能性を独自に評価していることが特徴となっている。その一例を図15で後述する。
【0064】
図14は、危険予知入出力端末の構成を示す図である。危険予知入出力端末8は、危険予知活動表8Aの入力部81、危険予知活動表8Aと模範危険予知表6(図19参照)との照合部82、通信部83を含んで構成される。危険予知活動表8Aは、図2〜図4に示したものである。危険予知活動表の入力部81は、危険予知活動表8Aの画面を表示して、作業者からの危険予知活動表8Aの入力を受け付け、通信部83を介して入力した危険予知活動表8Aを送信する。危険予知管理サーバ100は、受信した危険予知活動表8Aを危険予知情報2に登録するとともに、模範危険予知表の作成部4に渡す。模範危険予知表の作成部4は、受け取った危険予知活動表8Aの入力に対し、模範危険予知表6を作成する。照合部82は、通信部83を介して模範危険予知表6を得て、作業者から入力された危険予知活動表8Aと照合し、作業者から入力された危険予知活動表8Aになく模範危険予知表6にあり、かつ危険度が高い情報を、照合結果出力84として出力する。
【0065】
図15は、模範危険予知表の作成部の処理フローを示す図である。図1に示す模範危険予知表の作成部4の動作フローを、図3、図13、図19の例を用いて説明する。模範危険予知表の作成部4は、危険予知入出力端末8から、作業者が入力した危険予知活動表8A(図3参照)を受けると、入力された作業内容、入力された作業場所を取得する(ステップS41)。模範危険予知表の作成部4は、作業内容「タービン建屋2Fケーブル布設工事」の文字列を解析して、入力された作業内容として「ケーブル布設工事」、入力された作業場所として「タービン建屋2F」を得る。または、別システムにて、危険予知活動表8Aにおける作業内容と、図13の危険予知情報における作業内容、及び、作業場所を関連付けておき、その値を持ってきてもよい。
【0066】
模範危険予知表の作成部4は、危険予知情報2を参照して作業内容、作業場所が入力された作業内容、入力された作業場所と一致する危険予知IDをリストアップする(ステップS42)。そして、模範危険予知表の作成部4は、作業内容に合った項目の中で「私たちはこうする!」を実施する前や後での危険度が高い項目を抽出し、模範危険予知表6を作成し、重篤度B×可能性B×ヒヤリハット指数×重み(すなわち、実績危険度B×重み)を算出して大きい順に並べる(ステップS43)。なお、実績危険度Bとは、重篤度Bと可能性Bとを乗算した危険度Bにヒヤリハット指数を乗算した値である。実績危険度を用いることにより、作業者のヒヤリハットの実績値を考慮したことになる。
【0067】
次に、模範危険予知表の作成部4は、参加者の作業者でヒヤリハット指数が高い、作業場所のヒヤリハット指数が高まっている場合には、その情報を模範危険予知表6に追加する(ステップS44)。模範危険予知表6の例を図19に示す。なお、模範危険予知表6にはヒヤリハット指数の欄がないため、可能性Bの欄に可能性B×ヒヤリハット指数の値を設定する。
【0068】
図19は、模範危険予知表の例を示す図である。模範危険予知表の作成部4は、危険予知入出力端末8が送付した危険予知活動表8Aを基づいて作成しているが、危険のポイントは、危険予知情報2(図13参照)の情報に基づいて、該当する作業内容、作業項目に対して、危険度の高いものを選択していることが特徴となっている。図19に示す例では、危険のポイントの3行目の「落下物にあたる」は、模範危険予知表の作成部4は、危険度が高いものとして選択したものである。
【0069】
図16は、危険予知入出力端末の照合部の処理フローを示す図である。図14に示す照合部82の動作フローを、図3、図4、図19の例を用いて説明する。照合部82は、模範危険予知表6(図19参照)にあって入力された危険予知活動表8A(図3参照)に無い危険予知項目を得る(ステップS821)。図19,3の例では、危険のポイント「落下物にあたる」の行が不足しているため、この行を図4に示すように追加する。
【0070】
照合部82は、入力された危険予知活動表8Aの重篤度B×可能性B(すなわち、危険度B)の最小値より、模範危険予知表6の重篤度B×可能性B×ヒヤリハット指数(すなわち、実績危険度B)が大きい項目(危険予知ID)があるか否かを判定する(ステップS822)。ステップS822において、該当するものがあれば(ステップS822,Yes)、「危険のポイント」を追加して画面表示する(ステップS823)。また、照合部82は、重篤度B×可能性B−重篤度A×可能性Aがしきい値以上の「私たちはこうする」を大きい順に画面表示する(ステップS824)。図19の例では、1行分のみの不足のため、追加する行の順番は一通りである。なお、ステップS822において、該当するものがなければ(ステップS822,No)、照合の処理を終了する。
【0071】
作業者が、どの行が追加されたかわかりやすいように入力された危険予知活動表8A(図3参照)にすでにある行の下に追加している。あるいは、入力された危険予知活動表8A(図3参照)にすでにある行も含めて行の順を上記の方法で得て、この順に示し、追加行や天候数値を色などで強調する方法でもよい。そして、照合部82は、参加者の作業者でヒヤリハット指数が高い、作業場所のヒヤリハット指数が高まっている情報がある場合には、その旨を表示する(ステップS825)。図4の例のように、吹き出しで、フロア図に対し、ヒヤリハットが起きた場所、回数、内容を示しているが、文字列による情報提示でもよい。
【0072】
本実施形態によれば、作業者は作業の開始前に作業者が危険を予知できる適切な情報を得ることができるため、労働災害を防ぐ効果がある。また、ヒヤリハット情報5から作業者がどう行動したかをトレースできる効果がある。作業者行動からヒヤリハット情報5を用いて危険度の高い危険のポイントを出力することで、現場の状況に追随した危険のポイントを作業者に知らせることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 ヒヤリハット検知端末
2 危険予知情報
3 ヒヤリハット情報と危険予知情報との関連情報
4 模範危険予知表の作成部
5 ヒヤリハット情報
5A,5B ヒヤリハット指数
6 模範危険予知表(出力表)
7 災害情報
8 危険予知入出力端末
8A 危険予知活動表
9 作業情報
10 ネットワーク
10A 通信機
11 位置検知部
12 加速度センサ
13 気圧計
14 ジャイロ
15 マイク
16 作業者ID
17 通信部
18 ヒヤリハット診断部
19 押しボタン(ヒヤリハットボタン)
1A 時計
81 危険予知活動表の入力部
82 照合部
83 通信部
84 照合結果出力
100 危険予知管理サーバ
101 通信部
102 処理部
103 記憶部
S 危険予知支援システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が作業に潜む危険を事前に予知するための危険予知活動表の画面を表示する危険予知入出力端末と、前記危険予知活動表に入力された情報を管理する前記管理サーバとを有する危険予知支援システムであって、
前記管理サーバは、
前記作業の作業場所を含む作業内容と、前記危険のポイントと、その危険度と、およびその対策とを関連付けた危険予知情報とともに、所定期間内の作業場所のヒヤリハットの実績回数であるヒヤリハット指数と、を記憶する記憶部と、
前記危険予知入出力端末から前記入力された情報を受信した場合、前記危険予知情報に登録するとともに、前記危険予知情報に基づいて前記作業内容に係る危険のポイントを抽出し、前記抽出された危険のポイントの危険度に前記ヒヤリハット指数を乗算した値を実績危険度として算出し、該実績危険度の高い危険のポイントおよびその対策を記載した出力表を作成し、該作成した出力表を前記危険予知入出力端末に送信する処理部とを有する
ことを特徴とする危険予知支援システム。
【請求項2】
前記危険予知入出力端末は、前記出力表を受信すると、
前記危険予知活動表と前記出力表とを比較し、前記危険予知活動表にない危険ポイントを取得し、該取得した危険ポイントに関する項目を前記危険予知活動表に追加する
ことを特徴とする請求項1に記載の危険予知支援システム。
【請求項3】
前記危険予知支援システムは、さらに、
作業者が前記作業場所でヒヤリハットしたことを検知するヒヤリハット検知端末を有し、
前記管理サーバの記憶部は、さらに、前記ヒヤリハット検知端末から送信されたヒヤリハットの情報を蓄えるヒヤリハット情報と、前記ヒヤリハット情報と危険予知情報とを対応付ける関連情報とを記憶しており、
前記管理サーバの処理部は、前記抽出された危険のポイントの危険度に前記ヒヤリハット指数を乗算した値を実績危険度として算出する際に、
前記抽出された危険のポイントと関連付けられるヒヤリハット項目を前記関連情報に基づいて抽出し、前記抽出されたヒヤリハット項目に対する作業場所ごとのヒヤリハットの回数であるヒヤリハット指数を前記ヒヤリハット情報に基づいて算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の危険予知支援システム。
【請求項4】
前記ヒヤリハット検知端末は、
加速度センサからのセンサ情報に基づく加速度の変化が、所定の加速度の変化とどの程度類似するかにより、落下らしさ、転倒らしさ、つまずきらしさ、ぶつかりらしさを判定し、どのようなヒヤリハット事象が起きているかを診断するヒヤリハット診断部を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の危険予知支援システム。
【請求項5】
作業者が作業に潜む危険を事前に予知するための危険予知活動表の画面を表示する危険予知入出力端末と、前記危険予知活動表に入力された情報を管理する前記管理サーバとを有する危険予知支援システムを用いて、作業者の危険予知を支援する危険予知方法であって、
前記管理サーバは、記憶部と処理部とを有しており、
前記記憶部には、前記作業の作業場所を含む作業内容と、前記危険のポイントと、その危険度と、およびその対策とを関連付けた危険予知情報とともに、所定期間内の作業場所のヒヤリハットの実績回数であるヒヤリハット指数と、が記憶されており、
前記処理部は、前記危険予知入出力端末から前記入力された情報を受信した場合、前記危険予知情報に登録するとともに、前記危険予知情報に基づいて前記作業内容に係る危険のポイントを抽出し、前記抽出された危険のポイントの危険度に前記ヒヤリハット指数を乗算した値を実績危険度として算出し、該実績危険度の高い危険のポイントおよびその対策を記載した出力表を作成し、該作成した出力表を前記危険予知入出力端末に送信する
ことを特徴とする危険予知支援方法。
【請求項6】
前記危険予知入出力端末は、前記出力表を受信すると、
前記危険予知活動表と前記出力表とを比較し、前記危険予知活動表にない危険ポイントを取得し、該取得した危険ポイントに関する項目を前記危険予知活動表に追加する
ことを特徴とする請求項5に記載の危険予知支援方法。
【請求項7】
前記危険予知支援システムは、さらに、
作業者が前記作業場所でヒヤリハットしたことを検知するヒヤリハット検知端末を有しており、
前記管理サーバの記憶部には、さらに、前記ヒヤリハット検知端末から送信されたヒヤリハットの情報を蓄えるヒヤリハット情報と、前記ヒヤリハット情報と危険予知情報とを対応付ける関連情報とが記憶されており、
前記管理サーバの処理部は、前記抽出された危険のポイントの危険度に前記ヒヤリハット指数を乗算した値を実績危険度として算出する際に、
前記抽出された危険のポイントと関連付けられるヒヤリハット項目を前記関連情報に基づいて抽出し、前記抽出されたヒヤリハット項目に対する作業場所ごとのヒヤリハットの回数であるヒヤリハット指数を前記ヒヤリハット情報に基づいて算出する
ことを特徴とする請求項5に記載の危険予知支援方法。
【請求項8】
前記ヒヤリハット検知端末は、ヒヤリハット診断部を有しており、
前記ヒヤリハット診断部は、加速度センサからのセンサ情報に基づく加速度の変化が、所定の加速度の変化とどの程度類似するかにより、落下らしさ、転倒らしさ、つまずきらしさ、ぶつかりらしさを判定し、どのようなヒヤリハット事象が起きているかを診断する
ことを特徴とする請求項7に記載の危険予知支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−80304(P2013−80304A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218847(P2011−218847)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】