説明

危険感知システム

【課題】 携帯端末所持者の動きが通常行動では見られない異常状態である場合には危険状態に遭遇しているものと関係者に通知する。
【解決手段】 ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きを示すデータと現在位置検出手段が検出した現在位置情報を受信するホスト装置とから成るシステムであって、
ホスト装置が、ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きを示すデータを第1のデータベースに順次記憶させる変換手段と、携帯端末所持者の行動が通常行動状態のものであるか否かを識別する閾値を記憶した第2のデータベースと、ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きが閾値を超えた場合に、第3のデータベースに記憶した行動パターンを参照し、携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せる場合には携帯端末から受信した現在位置情報と所持者が危険状態に遭遇していることを示すメッセージとを関係者の情報端末に通知する通知手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間に対する危険状態の発生時において、その携帯端末を所持する人間(携帯端末所持者)の不自然な動きを感知することで、現在の位置情報及び地図情報を保護者(携帯端末所持者が子供である場合の親、身体障害者や老人である場合のそのケアする立場の人)に送信し、携帯端末所持者が晒されている危険に対して迅速な対応を可能とする危険感知サービスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の日本では都市構造の複雑化、ライフスタイルの多様化、情報の氾濫、地域住民の連帯感の欠如などといった要因から犯罪数が増加している。その中においても、犯罪の多様化、都市交通機関の発展による子供の行動範囲の拡大という要因も重なり、子供が巻き込まれる犯罪が急激に増加してきている。
そういった背景から、最近は携帯端末とGPS(Global Positioning System)を利用して、子供の現在地情報を定期的に地図上に表示し、保護者がPC(Persoal Computer)や携帯端末で現在位置を確認する事ができる子供見守りシステムが普及しつつある。
【0003】
図7はこの一般的な子供見守りシステムの概要を示すブロック概要図である。
所持者が実際に身に着けて持ち歩く携帯端末101には、GPS衛星からの電波を受信して現在位置を検出するGPS部102が設けられている。サービス提供者(ホストシステム運営者)が管理する地図DB103及びその地図情報を閲覧する表示部104、情報入力などを行う入力部105、ホストシステムの制御を行う制御部106、子供の保護者(関係者)が子供の現在地を確認するのに使用するPC107及びその表示部108または携帯端末109から構成されている。
【0004】
このような構成のシステムでは定期的に所持者の携帯端末101の位置情報を取得する。GPS部102は衛星から電波を受信し、携帯端末101が位置する現在位置の緯度及び経度の検出を開始し、その検出結果をホストシステムの制御部106に送信する。
一方、制御部106はGPS部102から出力される現在位置の緯度及び経度情報に基づき、現在位置を中心とした所定範囲の地図を地図DB103から読み出し、その地図データを可視化した地図を表示部104に表示させる。このとき地図上には、所持者の現在位置を示す特定のシンボルも合わせて表示する。この地図情報を所持者の保護者(関係者)は公衆回線を介して、PC107の表示部108や携帯端末109で同様に表示し確認することができる。
また非常事態の際には、携帯端末101から所持者の保護者のPC107、携帯端末109にメールを送付し、直接確認することが可能であり、その逆もまた可能である。
【0005】
本発明に関連する公知技術文献としては特許文献1が挙げられる。
特許文献1には、位置監視システム、位置監視装置、位置監視方法及び移動端末が開示されている。
具体的には、監視装置に、子供が所持する移動端末及びその子供と行動を共にする同行者が所持する移動端末とを特定する端末識別情報、行動予定経路情報、行動予定時間情報を予め設定し、定期的に子供が所持する移動端末に測位指示して第一の位置情報を取得する。
第一の位置情報が行動予定経路情報に基づく位置から外れていることを検出すると、同行者が所持する移動端末に測位指示して第二の位置情報を取得し、第一の位置情報と第二の位置情報とに基づく子供と同行者の距離が予め定めた距離を越えている場合には、待機端末に異常通知を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−113184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在、子供が遭遇する危険は人為的に引き起こされるものから偶発的なものまで実に様々である。特に人為的に発生する危険には手口の多様化・高度化といった要因から誘拐や連れ去り、通り魔といった犯罪が頻繁に発生する事態になっており、自分の子供が突然、事件の被害者になりうる可能性を秘めている。また、それらの危険は最近の傾向から成人が巻き込まれるケースも増えており、子供にのみ関係する課題では無くなっている。
前述の従来における「子供見守りシステム」では、定期的に位置情報を取得し、子供の現在位置を確認することに主眼が置かれている。そのシステム内では所持者の保護者が確認できるのは、「子供が居る場所」の情報であり、その情報は確認時においては過去の情報となってしまっている。その為、子供が現在直面している危険に関して、リアルタイムで感知することができない状況であり、またそういったサービスのほとんどは子供の利用を中心に検討されている。
【0008】
本発明の目的は、誰もが簡単に身につけることができる携帯端末にジャイロセンサーを搭載し、そのジャイロセンサーにより、所持者の動きをリアルタイムに感知し、所持者の動きが通常行動では見られない異常状態である場合には危険状態に遭遇しているものと判定し、そのことを関係者の通知し、安全を確保することができる危険感知システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の危険感知システムは、所持者の動きを感知するジャイロセンサーとGPS衛星からの電波により現在地を測位する現在位置検出手段とを備えた携帯端末と、前記ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きを示すデータと前記現在位置検出手段が検出した現在位置情報を受信するホスト装置とから成るシステムであって、
前記ホスト装置が、
前記ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きを示すデータを数値データに変換して第1のデータベースに順次記憶させる変換手段と、前記携帯端末所持者の行動が通常行動状態のものであるか否かを識別する閾値を記憶した第2のデータベースと、前記閾値を超える動きをした前記携帯端末所持者の行動パターンのうち危険状態に遭遇したと看做せる行動パターンを予め記憶した第3のデータベースと、前記ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きが前記第2のデータベースに記憶された閾値を超えた場合に、前記第3のデータベースに記憶した行動パターンを参照し、携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せるかを判定し、危険状態に遭遇したと看做せる場合には前記携帯端末から受信した現在位置情報と当該携帯端末所持者が危険状態に遭遇していることを示すメッセージとを第4のデータベースに予め記憶した関係者の情報端末に通知する通知手段とを備えることを特徴とする。
また、前記通知手段が、携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せる場合、当該携帯端末に対して危険信号を発信し、当該危険信号を携帯端末所持者による解除操作が行われるまで継続して発信する手段を有し、
前記携帯端末が前記危険信号を受信し、警告音を出力する手段を備えることを特徴とする。
また、前記通知手段が、携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せる場合、前記現在位置情報と当該携帯端末所持者が危険状態に遭遇していることを示すメッセージと共に地図データを関係者の情報端末に送信して表示させる手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の危険感知システムにおける危険感知方法は、所持者の動きを感知するジャイロセンサーとGPS衛星からの電波により現在地を測位する現在位置検出手段とを備えた携帯端末と、前記ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きを示すデータと前記現在位置検出手段が検出した現在位置情報を受信するホスト装置とから成るシステムにおける危険感知方法であって、
前記ホスト装置が、
前記ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きを示すデータを数値データに変換して第1のデータベースに順次記憶させる第1のステップと、前記携帯端末所持者の行動が通常行動状態のものであるか否かを識別する閾値を記憶した第2のデータベースを参照し、前記携帯端末所持者の行動が通常行動状態のものであるか否かを判定するステップと、前記閾値を超える通常行動状態のもので無ければ前記携帯端末所持者の行動パターンのうち危険状態に遭遇したと看做せる行動パターンを予め記憶した第3のデータベースを参照し、携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せるかを判定するステップと、危険状態に遭遇したと看做せる場合には前記携帯端末から受信した現在位置情報と当該携帯端末所持者が危険状態に遭遇していることを示すメッセージとを第4のデータベースに予め記憶した関係者の情報端末に通知するステップとを備えることを特徴とする。
また、前記携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せる場合、当該携帯端末に対して危険信号を発信し、当該危険信号を携帯端末所持者による解除操作が行われるまで継続して発信し、前記携帯端末に警告音を出力させるステップとを備えることを特徴とする。
また、携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せる場合、前記現在位置情報と当該携帯端末所持者が危険状態に遭遇していることを示すメッセージと共に地図データを関係者の情報端末に送信して表示させるステップと備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の危険感知システム、危機感知方法によれば、次のような効果がある。
ジャイロセンサー付きの携帯端末を持つ所持者(以下、「所持者」と略す。)が危険に晒された時の動きをジャイロセンサーで感知し、その感知した動きのデータにより所持者が危険状態に遭遇して異常な動きの行動パターンを示しているかを判定し、異常な行動パターンを示している場合には関係者の現在位置情報を送信することにより、所持者の危険に対して迅速な対応を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の危険感知システムの実施の形態を示すブロック図である。
【図2】ジャイロセンサー付きの携帯端末の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】所持者の不自然な動きの閾値を設定する例を説明する図である。
【図4】所持者の不自然な動きの判断基準を示すデータ構造の例を示す図である。
【図5】所持者の危険時の動きのパターンを記憶したデータ構造の例を示す図ある。
【図6】不自然な動きを感知し、関係者の通知する際の処理を示すフローチャートである。
【図7】従来における子供見守りシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る危険感知システムの実施の形態を示すブロック図である。
このシステムは、地図データベース(DB)203と通常行動DB204と連絡先DB205とモーションパターンDB206に加え、位置情報や動きデータの送受信を行う送受信部207、動きデータ等の照会を行う照会部208、位置情報や動きデータの出力を行う出力部209、システム内の制御を行う制御部210.利用者の携帯端末202から送信された動きデータをモーションデータへ変換する情報変換処理部211を備えたホストシステム201と、このホストシステム201に対しGPSによる位置情報やジャイロセンサーが感知した利用者(携帯端末所持者)の動きのデータを送信する携帯端末202から構成される。
【0014】
ホストシステム201には、所持者の現在位置を確認し、また危険時に連絡を受ける保護者が使用するPC212、位置情報を確認する表示部214、215、携帯端末213が公衆回線を通じて接続される。
通常行動DB204は、サービス開始前に2〜3日間、所持者に試用してもらい、通常の行動を蓄積しておくDB(データベース)である。同一の所持者が長年利用することで情報が蓄積され、学習効果が高まって、より精度が高い判断が可能になることが期待される。
所持者の怪我などの事情で、行動様式に大きな変化が生じた場合には、その障害が取り除かれるまで、別のデータベースを用いることも考えられる。
【0015】
連絡先DB205には、携帯端末202に内蔵されたジャイロセンサーが感知し、携帯端末202の所持者が危険に晒された時に連絡を発信する連絡先が登録されている。
モーションパターンDB206は歩く、走る、転ぶ等の一般的な動きのパターンを速度や角度といった因子により近似値を算出し、その情報を一定の時間軸に基づき連続化し、危険状態に陥ったものと看做せる行動パターンが登録されている。なお、モーションパターンDB206と情報変換処理部211を携帯端末202側に配置することも可能であるが、ホストシステム201側に双方を配置する事で携帯端末202のキャリア及び端末機種による依存性を排除している。
また、モーションパターンDB206をホストシステム201側に備えることはサービス利用者やサービス開始前の実験モニターの動きのパターンを共有することを可能にし、より多くの人間の動きを収集することで、モーションパターンDB自体の精度向上に寄与するものとしている。
【0016】
図2は、本発明のジャイロセンサー付きの携帯端末202の詳細構成を示すブロック図である。
この携帯端末202はデータ処理部301に利用者の動きを感知するジャイロセンサー302が備わっている。加えて衛星から電波を受けて現在の位置を特定するGPS部303、位置情報や動きデータの送信等を行う送受信部304、実際の地図情報などを表示する表示部305、データを格納しているデータ格納部306を備えている。
ここで、携帯端末202は、携帯電話機そのものであることもできるし、PHS(簡易携帯電話。PHSは株式会社ウィルコムの登録商標)、通信機能を備えたPDA(電子手帳)など、携帯するのに適した電子機器であって、サーバコンピュータに対して端末コンピュータとして機能し得るものであればよい。
【0017】
また、ジャイロセンサーは、たとえば二足歩行するロボット用のジャイロセンサーが開発されており、縦2センチメートル、横2センチメートル、奥行1センチメートル程度のものが市場にて入手可能である。このジャイロセンサーを上述した携帯端末の筐体内部に組み込むことが可能である。あるいは、携帯端末がBluetooth(Bluetoothは、アメリカ合衆国ワシントン州の法人が所有する登録商標)のような近距離電波通信により周辺機器と結合状態を実現する機能を有するものである場合には、その周辺機器としてジャイロセンサーユニットを構成することもできる。その場合には、携帯端末それ自体を所持者が身につけなくとも、携帯端末を鞄に入れておいて、ジャイロセンサー部だけを身につけて常に携帯端末とジャイロセンサー部との間のペアリングが実現している状態を保つようにする。以下、本明細書にあっては、煩雑を避けるために、携帯端末の筐体内部にジャイロセンサー部が組み込まれている場合について説明する。
【0018】
図3は、携帯端末所持者の不自然な動きの閾値を設定する分布例を示すグラフである。図4は、携帯端末所持者の不自然な動きの判断基準を示すデータ構造の表である。図5は携帯端末所持者の不自然な動きのパターンを示すデータ構造の表である。
以下、図3及び図4及び図5を用いて所持者の「不自然な行動」を感知する仕組みについて説明する。
ジャイロセンサー302部とホストシステム201の通常行動DB204およびモーションパターンDB206がこの判断において重要な役割を果たす部分である。
通常行動DB204は所持者の通常時の動きの大きさをジャイロセンサーで感知し、情報変換処理210で変換し、ホストシステム201側で統計処理し、異常行動であるかを識別する閾値を予め登録したものである。ここで、閾値は個人別に登録される。
またモーションパターンDB206は、所持者の不自然な動きの異常行動パターンのうち危険状態に遭遇あるいは陥ったものと看做せる行動パターンを予め登録したものである。この2つのDBと比較処理を行うことで、危険の判断精度を高めている。
【0019】
所持予定者に事前に携帯端末を2〜3日、実際に身につけて所持してもらい、ジャイロセンサー302が一定間隔毎(例:所持者が活動している時間帯の15分間隔)に所持者の動きを感知し、ホストシステム201に送信する。ホストシステム201はそのデータを情報変換処理部211で変換して所持者毎に蓄積し、閾値を設定する為の統計処理を行う。なお、ホストシステム201側に情報変換処理部211を配置するのは携帯端末の機種依存を吸収するためである。
【0020】
閾値の設定例としては、標準偏差等を用いた以下の方法がある。
(1)まず、蓄積した動きの大きさの代表値である平均値(μ、以下ミューとする)を計算する。
(2)平均値だけでは、所持者の動きの大きさがどのように分布しているか分からなくなってしまうので、データのばらつきの範囲を示す散布度を求める。
(3)散布度として、ここでは標準偏差(σ、以下シグマという)を用いる。
標準偏差はデータの平均値との差(偏差)の2乗の平均を取り、平方根を求めたものである。標準偏差はデータの分布の広がり幅(バラつき)をみる1つの尺度であり、平均値と標準偏差の値が分かれば、データがどの範囲にどのような割合で散らばっているかの分布が明らかになる。ここでは所持者の通常時の動きの大きさの幅が分かるようになり、そのデータから所持者の動きの閾値を設定する。
【0021】
図3では平均値と標準偏差の範囲の一例が示されている。
図3は平均値μを中心に左右対称の釣鐘型の分布になっている正規分布と呼ばれる一般的な形状である。この図のような分布では平均値μを中心とし、そのμの値より強い動きを示した場合は+σ(プラスシグマ)側に分布し、逆に平均値μよりも弱い動きの場合を示した場合は−σ(マイナスシグマ)側に分布する。
【0022】
閾値として設定する値はより強い動きを感知した場合であり、それは+σ(プラスシグマ)側の値になるので、例えばμ+2σ〜3σの範囲を所持者の閾値と定めて、その大きさがジャイロセンサー302で感知された時に「不自然な行動」と看做すようにする。また動きの大きさは所持者毎に異なるので、動きの大きさ、分布の状況などを加味して閾値を所持者毎に設定できるようにする。
【0023】
図4は所持者の動きを記録し、通常行動DB204の閾値との比較を行い、その結果を記録するデータ構造図である。
ジャイロセンサー302が感知した動きの大きさと通常行動DB204の閾値を比較し、閾値を超えている場合にはモーションパターンDB206との比較を行うようにする。
図5は所持者の危険時の動きのパターンを記憶したデータ構造を示したものである。
これは、携帯端末所持者の動きの実績から、閾値を超えたデータが継続的に続いた時に危険状態に陥ったものと判断し、携帯端末所持者のGPS情報を取得して、所持者の保護者に通知する。ここで、保護者は、所持者が未成年者である場合には親であり、身体障害者、認知症などの保護を必要とする人の場合には、そのケアをする立場にある人である。
【0024】
図6は、携帯端末202のジャイロセンサー302が所持者の動きを感知し、ホストシステムが異常な動きを検出して関係者に通知するまでの携帯端末202のデータ処理部301及びホストシステム201の処理の概要を示すフローチャートである。
まず、携帯端末202の所持者が動くとジャイロセンサー302がその動きを感知する(ステップ701)。
ジャイロセンサー302が感知した動きは、アナログデータとして出力され、その情報をホストシステム201へ送信する(ステップ702)。
その送信された情報をホストシステム201内の送受信部206で受け取り、情報変換処理部210でコンピュータが処理することのできる適切なデジタルデータに変換する(ステップ703)。
【0025】
ホストシステム201には利用者の動きが通常行動時ののものであるかを識別する閾値を予め個人別に登録した通常行動DB204があり、情報変換処理部210が変換処理を行うと照会部208が起動し、通常行動DB204に予めと登録されている閾値と比較処理を行う。感知された所持者の動きが所持者ごとに設定してある閾値を超えるかどうかで、「不自然な動き」か否かを判断する(ステップ704)。
その動きが閾値を超える「不自然な動き」であると判断されると、継続的に動きのデータを取得し、モーションパターンDB206に登録されている危険状態時の動きのパターンと比較し、危険状態に陥ったと看做せる異常な動きかを判断する。この場合、危険度をユーザ毎に予めレベル分けすることができ、そのレベルに合わせた対処法をとる事も可能である(ステップ705)。
【0026】
危険状態に陥ったと看做せる場合、ホストシステム201はそのことを携帯端末202に送信する。携帯端末202の送受信部304がその情報を受信すると、携帯端末202のGPS部303が即座に利用者の位置情報を取得し、ホストシステム201に送信する(ステップ706)。
その後、ホストシステム201は携帯端末202から送信された位置情報をホストシステム201の地図DB203から取得した地図データ上に重畳表示し、予め登録してある連絡先DB205の保護者に送受信部207を介して、関連各所のPC212、携帯端末213にメール送信する(ステップ707)。
【0027】
保護者側は公衆回線を介して、表示部214、215または携帯端末213の表示画面等で所持者の位置情報を確認することができる。
さらにホストシステム201は、所持者の携帯端末202にも危険信号を発信する(ステップ708)。
携帯端末202側では、その危険信号を受け取ると、ビープ音などを発することで所持者に注意を喚起する。
その後、所持者側の危険解除操作(ステップ711)が行われるまで、携帯端末202はGPS部303より現在位置情報を継続的に一定周期で繰り返し取得し、ホストシステム201への送信を行い、地図DB203上に表示を行う(ステップ710)。
【0028】
図6のフローチャートでは、所持者の不自然な動きを感知することをトリガーとして監視を始めることとしたが、所持者からの自発的な通知、または保護者からの自発的な働きかけに応じて、監視状態に入ることとするのも可能である。
また、危険か否かの判定をするための閾値を図4のデータ構造では+3σとしているが、必要に応じて、保護者からホストコンピュータに働きかけて、その閾値を変更することを可能にする他の実施例も可能である。
本発明は、子供の保護の他に、認知症老人の保護、障害者の保護などのための監視システムに用いることが可能である。
【符号の説明】
【0029】
201 ホストシステム
202,213 携帯端末
203 地図DB
204 通常行動DB
205 緊急連絡先DB
206 モーションパターンDB
207 送受信部
208 照会部
209 出力部
210 制御部
211 情報変換処理部
214,215 表示部
301 データ処理部
302 ジャイロセンサー
303 GPS部
304 送受信部
305 表示部
306 データ格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末所持者の動きを感知するジャイロセンサーとGPS衛星からの電波により現在地を測位する現在位置検出手段とを備えた携帯端末と、前記ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きを示すデータと前記現在位置検出手段が検出した現在位置情報を受信するホスト装置とから成るシステムであって、
前記ホスト装置が、
前記ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きを示すデータを数値データに変換して第1のデータベースに順次記憶させる変換手段と、前記携帯端末所持者の行動が通常行動状態のものであるか否かを識別する閾値を記憶した第2のデータベースと、前記閾値を超える動きをした前記携帯端末所持者の行動パターンのうち危険状態に遭遇したと看做せる行動パターンを予め記憶した第3のデータベースと、前記ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きが前記第2のデータベースに記憶された閾値を超えた場合に、前記第3のデータベースに記憶した行動パターンを参照し、携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せるかを判定し、危険状態に遭遇したと看做せる場合には前記携帯端末から受信した現在位置情報と当該携帯端末所持者が危険状態に遭遇していることを示すメッセージとを第4のデータベースに予め記憶した関係者の情報端末に通知する通知手段とを備えることを特徴とする危険感知システム。
【請求項2】
前記通知手段が、携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せる場合、当該携帯端末に対して危険信号を発信し、当該危険信号を携帯端末所持者による解除操作が行われるまで継続して発信する手段を有し、
前記携帯端末が前記危険信号を受信し、警告音を出力する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の危険感知システム。
【請求項3】
前記通知手段が、携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せる場合、前記現在位置情報と当該携帯端末所持者が危険状態に遭遇していることを示すメッセージと共に地図データを関係者の情報端末に送信して表示させる手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の危険感知システム。
【請求項4】
所持者の動きを感知するジャイロセンサーとGPS衛星からの電波により現在地を測位する現在位置検出手段とを備えた携帯端末と、前記ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きを示すデータと前記現在位置検出手段が検出した現在位置情報を受信するホスト装置とから成るシステムにおける危険感知方法であって、
前記ホスト装置が、
前記ジャイロセンサーが感知した携帯端末所持者の動きを示すデータを数値データに変換して第1のデータベースに順次記憶させる第1のステップと、前記携帯端末所持者の行動が通常行動状態のものであるか否かを識別する閾値を記憶した第2のデータベースを参照し、前記携帯端末所持者の行動が通常行動状態のものであるか否かを判定するステップと、前記閾値を超える通常行動状態のもので無ければ前記携帯端末所持者の行動パターンのうち危険状態に遭遇したと看做せる行動パターンを予め記憶した第3のデータベースを参照し、携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せるかを判定するステップと、危険状態に遭遇したと看做せる場合には前記携帯端末から受信した現在位置情報と当該携帯端末所持者が危険状態に遭遇していることを示すメッセージとを第4のデータベースに予め記憶した関係者の情報端末に通知するステップとを備えることを特徴とする危険感知システムにおける危険感知方法。
【請求項5】
前記携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せる場合、当該携帯端末に対して危険信号を発信し、当該危険信号を携帯端末所持者による解除操作が行われるまで継続して発信し、前記携帯端末に警告音を出力させるステップとを備えることを特徴とする請求項4に記載の危険感知システムにおける危険感知方法。
【請求項6】
携帯端末所持者が危険状態に遭遇したと看做せる場合、前記現在位置情報と当該携帯端末所持者が危険状態に遭遇していることを示すメッセージと共に地図データを関係者の情報端末に送信して表示させるステップと備えることを特徴とする請求項4または5に記載の危険感知システムにおける危険感知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−97394(P2011−97394A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249867(P2009−249867)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】