説明

即席乾燥麺およびその製造方法

【課題】従来には実現ができなかった、デュラム小麦粉を主原料として使用した即席麺、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】デュラム小麦粉を主原料として、更には固形状の油脂を麺原料に添加し、且つ製麺工程において常法により得たドウを減圧下において圧力を加え小塊または板状にした後、麺線に切り出し、α化後、熱風により乾燥する。食味、食感、ほぐれにおいて非常に優れた即席乾燥パスタを製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱風を用いる即席乾燥麺、およびその製造方法に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、デュラム小麦粉を主原料として、更には固形状の油脂を麺原料に添加し、且つ製麺工程において常法により得たドウを減圧下において圧力を加え小塊または板状にした後、麺帯を作成することで、従来には達成することの出来なかった、デュラム小麦粉を主原料として実質的に100パーセント使用した、食味、食感、ほぐれにおいて非常に優れた即席乾燥パスタを作ることができる、即席乾燥麺(パスタ)、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
昨今、即席麺において消費者は、日常生活において「本格派」を志向することがその流れとなっている。例えば、即席ラーメンにおいては、とりわけ非油揚げ乾燥麺のスナック麺、すなわちノンフライカップ麺(ラーメン)において、「生麺のごとき粘弾性」を有し、且つ「生麺のようなみずみずしい食感」を実現することが望まれる。このような要請に応える観点から、各企業がしのぎを削り、ノンフライカップ麺(ラーメン)の技術革新を行っている。
【0004】
従来より、パスタはデュラム小麦粉を主原料に使用し、且つ麺線を直接押し出し機により圧力をかけ押し出すことで、緻密な構造を麺線に与えることができ、結果、パスタ本来の密度感のあるコシを実現している。
【0005】
上述のパスタを即席麺において実現するためには、以下の問題点がある。
(1)デュラム小麦粉を使用すると湯戻りが悪い。
これは、即席麺に使用する通常の小麦粉に比べると、疎蛋白値が13パーセント前後と遥かに高いためである。
【0006】
(2)麺線に押し出し機等を使用して麺線の密度を上げる必要がある。
(3)上記の(1)および(2)の改良を併せて行うと、湯戻りが更に悪くなる傾向がある。
【0007】
(4)麺線を直接に、押し出し機より押し出すと、大量生産するには、効率が悪い。
(5)パスタは通常、ストレートの形状の麺線であるために、麺線にウェーブをつけると見た目が非常に違和感がある(通常、即席麺では、麺線にウェーブをつけないと、喫食時のほぐれが悪く、商品価値がなくなる傾向がある)。
【0008】
特許文献1、2、3については、いずれも凍結乾燥方法をもちいた乾燥方法であり、特許文献1,2については、凍結乾燥の前工程においてパスタに水分を多く給水させることで凍結乾燥時に麺線内部をポーラスに乾燥することで湯戻りを良くする方法である。特許文献3については、アミラーゼを使い、麺線の強度を低下させることで、湯戻りを良くする方法が開示されている。これらの方法では、確かに上述の処理をし、凍結乾燥することで湯戻りをよくすることは可能である。しかしながら、他方、凍結乾燥方法では、処理時間が長く、コストがかかる欠点がある。更には、凍結乾燥方法では、乾燥後のパスタの色調が真っ白な状態となるために、消費者がイメージしている乾燥パスタの色調とは、乾燥状態においてはかけ離れた状態であり、非常に違和感がある。また、特許文献4については、熱風乾燥を用いた即席乾燥パスタの方法が開示されているが、この方法では、得られる麺線の厚みが制限されていること、更には、主原料においては、デュラム粉のみで作ることはできず、本格的な即席パスタとは、言いがたいものになり易い傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−330162号公報
【特許文献2】特開平08−163962号公報
【特許文献3】特開平05−328926号公報
【特許文献4】特開平08−038085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解消可能な即席麺、およびその製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の更なる目的は、従来には実現できなかった、デュラム小麦粉を主原料として使用した即席麺、およびその製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、昨今の消費者の「本格」志向の要求に応えることができるデュラム小麦粉を主原料として使用した即席乾燥パスタ、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、鋭意研究の結果、原料の一部に粉末粒状油脂を添加しつつ、真空麺帯機を使用して麺線を製造することで、麺線内部に複数の空洞が得られることを見出した。
【0014】
上記した新規な知見に基づき、更に研究を進めた結果、本発明者は更に、上記により得られる「麺線内部の複数の空洞」の存在に基づき、食味、食感における従来技術の問題点を著しく改良することが出来、しかも、麺線のほぐれを飛躍的に改良できることを見出した。すなわち、本発明者は、真空麺帯機を使用し、デュラム小麦粉を主原料として使用しつつ、「麺線内部の複数の空洞」をコントロールすることで、麺線に密度を与えつつも、食味、食感における従来技術の問題点を著しく改良することが出来、しかも、麺線のほぐれを飛躍的に改良できることを見出した。
【0015】
本発明の即席乾燥麺は、デュラム小麦粉と、固形状の油脂を少なくとも含む麺原料から作成されたドウを、押し出し成型することにより製造された即席乾燥麺であって;該即席乾燥麺が、温湯中における「ほぐれ時間」が10秒以下であることを特徴とするものである。
【0016】
本発明によれば、更に、デュラム小麦粉に対し固形状の油脂を含有する麺原料により作成したドウに圧力を加え、小塊または板状となすことにより、麺線を作製し;該麺線をα化し;次いで、該麺線を熱風により乾燥させることを特徴とする即席乾燥麺の製造方法が提供される。
【0017】
上記構成を有する本発明において上記効果が得られる理由は、本発明者の知見によれば、以下のように推定される。
【0018】
すなわち、本発明者の知見によれば、真空麺帯機を使用し、且つデュラム小麦粉を主原料に使用し、更には麺原料に粉末粒状油脂を添加することで、α化工程において、麺線内部の粉末粒状油脂が溶けることにより麺線内部及び麺線表面に微細な穴を空けることが出来るが、この際、真空麺帯機独特な緻密な構造は壊さずに、麺線の密度をコントロールし乾燥することが可能となると推定される。
【0019】
このように、本発明においては、「真空麺帯機独特な緻密な構造は壊さずに、麺線の密度コントロールが可能」であるため、湯戻し時に熱湯が麺線内部にすみやかに浸透することが出来、これにより、デュラム小麦粉を主原料に使用した即席パスタにおいても、パスタ特有の密度感のあるコシとハリを再現しつつ、従来の問題点であった、「湯戻りの悪さ」を麺線の密度を再現しつつ解決することが可能となったと推定される。
【0020】
本発明における、これらの相乗効果により、真空麺帯機の特徴を最大限に引き出すことができ、しかも、「湯戻りの良い」、「パスタ本来のハリのある食感」を得ることが出来るとともに、真空麺帯機独特な緻密な構造及び、粉末粒状油脂の元々の離型効果との相乗効果により「麺線のほぐれ」を飛躍的に向上させることができる麺線を得ることが可能性となったと推定される。更には、デュラム小麦粉が高蛋白の小麦ゆえに、デュラム小麦自体がべたつきの無い、ほぐれやすい性質を持っているために、ウェーブの少ない略直線状の麺線にした場合においても、ほぐれが良い麺線(パスタ)を得ることができる。
【0021】
本発明は、例えば、以下の態様を含むことができる。
【0022】
[1] デュラム小麦粉と、固形状の油脂を少なくとも含む麺原料から作成されたドウを、押し出し成型することにより製造された即席乾燥麺であって;
該即席乾燥麺が、温湯中における「ほぐれ時間」が10秒以下であることを特徴とする即席乾燥麺。
【0023】
[2] 麺線強度が、110〜130gである請求項1に記載の即席乾燥麺。
【0024】
[3] 前記即席乾燥麺を構成する麺線が、ドウを押し出し成型機を用いて圧力を加え小塊または板状とした後に製麺された麺線である[1]または[2]に記載の即席乾燥麺。
【0025】
[4] 前記即席乾燥麺を構成する麺線が、ドウを押し出し成型機を用いて減圧下において圧力を加え小塊または板状とした後に製麺された麺線である[2]に記載の即席乾燥麺。
【0026】
[5] デュラム小麦粉に対し固形状の油脂を含有する麺原料により作成したドウに圧力を加え、小塊または板状となすことにより、麺線を作製し;
該麺線をα化し;次いで、
該麺線を熱風により乾燥させることを特徴とする即席乾燥麺の製造方法。
【0027】
[6] 前記即席乾燥麺を構成する麺線が、減圧下において圧力を加え小塊または板状とした後に製麺された麺線である[5]に記載の即席乾燥麺の製造方法。
【0028】
[7] 前記即席麺の麺線がウェーブの少ない略直線状であることを特徴とする[5]または[6]に記載の即席乾燥麺の製造方法。
【0029】
[8] 前期即席麺の主原料が、パスタ用のデュラム小麦粉100%であることを特徴とする[5]〜[7]のいずれかに記載の即席乾燥麺の製造方法。
【0030】
[9] 固形状の油脂が、粒子径0.1mm以上の粉末粒状である[5]〜[8]のいずれかに記載の即席乾燥麺の製造方法。
【0031】
[10] 前記粉末粒状の油脂がスプレークーリング法またはドラムドライ法により製造されたものである[5]〜[9]のいずれかに記載の即席乾燥麺の製造方法。
【0032】
[11] 前記固形状の油脂または乳化剤の融点が50℃〜70℃である[5]〜[10]のいずれかに記載の即席乾燥麺の製造方法。
【0033】
[12] 前記固形状の油脂の添加量が、小麦粉に対して、0.5〜10%である[5]〜[11]のいずれかに記載の即席乾燥麺の製造方法。
【0034】
[13] 前記α化の手段として、蒸気を用いる蒸し機を使用することを特徴とする[5]〜[12]のいずれかに記載の即席乾燥麺の製造方法。
【0035】
[14] 前記即席麺を乾燥させる際の熱風が、温度60℃〜100℃の範囲の熱風を単独もしくは組み合わせたものである[5]〜[13]のいずれかに記載の即席乾燥麺の製造方法。
【0036】
[15] 前記α化の手段として、蒸気を用いる蒸し機を使用し、且つ、蒸煮工程の手前で麺線に水溶液を付着させる工程を含む[5]〜[14]のいずれかに記載の即席乾燥麺の製造方法。
【発明の効果】
【0037】
上述したように本発明によれば、昨今の消費者の「本格」志向の要求に応えることができる即席パスタ、およびその製造方法を提供することができる。
【0038】
本発明によれば、上記に加えて、例えば、以下の効果をも得ることができる。
(1)デュラム小麦粉を主原料に使用した麺線において真空麺帯機の特徴を残しつつ、従来技術における問題点が解決される。すなわち、パスタ本来の密度のある麺線を再現しつつ、「湯戻りの悪さ」、「コシの強すぎ」を解決することができる。
【0039】
(2)α化工程後及び喫食時における麺塊の「麺線のほぐれ」を飛躍的に向上させることができる。
【0040】
(3)α化工程後及び喫食時における麺塊の「麺線のほぐれ」を飛躍的に向上させることができるため、パスタ本来のウェーブの少ない略直線状の麺線を大量生産ラインにおいても得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】試験例1の各種乾燥麺の切断強度を測定した結果を示すグラフである。
【図2】試験例2において使用した「ほぐれ時間」測定装置系を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り質量基準とする。
【0043】
(即席麺)
本発明の即席麺は、デュラム小麦粉を主原料として使用し且つ、固形状の油脂を少なくとも含む麺原料から作成された即席乾燥麺であって、該即席乾燥麺が、温湯中における「ほぐれ時間」が10秒以下であることを特徴とする。
【0044】
このような即席麺は、デュラム小麦粉を主原料と使用し、且つ固形状の油脂を含有する麺原料により作成したドウを減圧下において圧力を加え小塊または板状となし、続いて常法により製麺された麺線をα化した後、当該麺線を熱風により乾燥させることにより、好適に得ることができる。
【0045】
本発明における「即席乾燥麺」は、デュラム小麦粉を主原料として使用した「即席乾燥パスタ」である。また、該「即席乾燥パスタ」は、いわゆる煮込みタイプ、熱湯を注加して調理するタイプ、等のいずれでも良い。
【0046】
(麺の好適な物性)
本発明の麺は、以下の物性を有することが好ましい。
【0047】
(ほぐれ時間)
本発明の乾燥麺は、後述する「実施例」における条件下で測定した「ほぐれ時間」が、20秒以下であることが好ましい。この「ほぐれ時間」は、更には、10秒以下、特に0秒以下であることが好ましい。ここに、上記「ほぐれ時間」とは、後述するように、測定対象たる麺塊が、仕切り板から「完全に落ちる」までの時間を言う。なお、当然ながら、麺塊が何らかの原因によって、仕切り板に不正常に「ひっかかった」結果、麺塊が落ちるまでの時間が不正確になる場合は「エラー」として扱い、該測定をやり直すこととする。
【0048】
(切断強度)
本発明の乾燥麺は、後述する「実施例」における条件下で測定した「切断強度」が、110〜130gであることが好ましい。この「切断強度」は、更には、115〜125gであることが好ましい。
【0049】
<切断強度の測定条件>
レオメータ:不動工業株式会社製、商品名NRM−2010−CW
麺線3本をプレート上に乗せ、テーブル速度、2cm/min、直径0.27mmのピアノ線一本を用いて切断強度を測定し、平均値を算出する。
【0050】
(麺の材料)
本発明においては、麺の材料は、特に制限されない。すなわち、従来より即席麺の製造に使用されている材料を、特に制限無く使用することが出来る。より具体的には、例えば、社団法人 日本即席食品工業協会監修「新・即席めん入門」第52〜62項に記載されている主原料、副原料を、本発明において使用することが出来る。
【0051】
(主原料)
本発明において使用可能な主原料は、デュラム小麦粉を主原料として使用する。デュラム小麦は、硬質小麦の一種であり、パスタを製造するために用いる小麦である。通常、即席ラーメン等に用いる小麦粉に比べると、蛋白値が非常に高く(13%前後)、パスタ特有の歯切れ、ハリ、コシを出すためには、必要不可欠な原料である。デュラム小麦は、通常製粉方法により、粒度の細かいデュラムフラワーと粒度の粗いデュラムセモリナの2タイプがあるが、本発明においては特に限定しないが、パスタ本来のコシ、ハリを追及するのであればデラムセモリナが好ましい。また、その他の原料としては、必要に応じて例えば、小麦粉、大麦粉、澱粉等をブレンドすることが可能である。中でも、好適な使用可能な主原料としては、例えば、小麦粉ではASW(オーストラリア産白色中間質小麦、蛋白質10%前後)、HRW(アメリカ産赤色硬質小麦、蛋白質11%前後)、澱粉では、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、小麦澱粉などで良く、また、これらを原料として得られるエーテル化工澱粉、エステル化工澱粉、架橋化工澱粉、酸化工澱粉等が挙げられる。
【0052】
(副原料)
本発明において、使用可能な副原料としては、例えば、リン酸塩、塩、増粘多糖類、卵、グルテン等が挙げられる。
【0053】
(油脂)
次に、本発明に使用可能な油脂について説明する。「湯戻りの良い」、及び「麺線のほぐれ」効果の点からは、この油脂は、球状または/及び粒状であることが好ましい。
【0054】
(球状または/及び粒状)
本発明に用いる油脂において、「球状及び粒状」とは、該油脂または乳化剤の粒子形状が、縦、横、厚みの大きさが比較的均等なことを言う。「麺線のほぐれ」効果の点からは、油脂の粒子径が0.1mm以上であることが好ましく、更には0.15mm以上であることが好ましい。本発明において、油脂の粒子径は、以下の方法により好適に測定することが出来る。
【0055】
<粒子径の測定方法>
音波振動式全自動フルイ分け粒度分布測定器ロボットシフターRPS−85(株式会社セイシン企業)を使い、音波ふるい方式で粒子径を自動測定した。
【0056】
(油脂または乳化剤の具体例)
本発明に使用可能な油脂の種類は、特に限定されない。すなわち、従来より食品ないし即席麺一般に使用されている各種の油脂から、適宜選択して(必要に応じて、複数種類を組み合わせて)使用することが出来る。
【0057】
上述した油脂の種類としては、例えば、ラード、パーム油、大豆油、ヤシ油、ひまわり油、綿実油、コーン油、米ぬか油、菜種油、ごま油等を上げることが出来る。それぞれ常法に従って水素添加を行うこと等により、油脂の融点を適宜コントロールすることができる。
【0058】
(油脂の製造方法)
本発明において使用可能な油脂の製造方法は特に限定されない。使用可能な方法としては、スプレークーリング方式、スプレードライ方式、ドラムドライ方式等が挙げられるが、本発明の効果の効率性の点からは、スプレークウーリング方式がより好ましい。スプレークーリング方式は、油脂を溶解し冷却塔(チラー)の中へ噴霧することで、粒子径が0.1mm以上の球状または粒状の油脂を比較的簡単に得ることが出来る。
【0059】
スプレードライ方式により得られる粉末油脂は粒子径が小さく(通常得られる粒子径で0.03mm程度)であるため、粒子径0.1mm以上にすることは、上記のスプレークーリング方式と比較すれば、やや難しい可能性がある。
【0060】
また、ドラムドライ方式は、粒子径(厚み)が0.1mm以上のものを得ようとすると得られる形状が比較的大きなフレーク状になってしまう傾向がある。このため、球状または粒状の油脂を形成するためには、ミル等の粉砕機を使い2次加工が必要な場合があり、粒子径の形状および大きさにバラツキが生じたり、歩留まりが悪くなる等、製造コストが高くなる可能性がある。
【0061】
上記した各種の粉末油脂としては、例えば、スプレークーリング法では、理研ビタミン株式会社の「スプレーファットPM」が挙げられる。ドラムドライ法に関しては、例えば不二製油株式会社の「ユニショートK」が挙げられる。
【0062】
(麺の製法)
乾燥工程の前の製麺方法としてはデュラム小麦粉を主原料として使い、且つ、粒子径0.1mm以上の球状または/及び粒状の、油脂を少なくとも含む麺原料と、水とを混捏して作成したドウを用い、エクストルーダーまたは押し出し成形機において減圧下にて圧力を加えて小塊または板状とし、複合製麺後、切刃にて麺線を切りだして連続的にα化したあと、熱風により乾燥することにより、即席乾燥パスタを製造することが好ましい。また、熱風乾燥前に、ほぐし液等を麺線に付着させることで、喫食時のほぐれを更によくすることができる。使用するほぐし剤としては、従来より使用されている乳化油脂、乳化剤や不二製油株式会社「ソヤファイブS」の大豆食物繊維を使用すればよい。
【0063】
(真空麺帯機)
本発明において使用可能な、脱気下でエクストルーダーなどによる押出し麺帯の形成装置は、特に制限されない。より具体的には、例えば、特開昭61−132132号(特願昭59−254855号)に示されている麺生地製造装置における脱気装置(以後、「真空麺帯機」という)を好適に使用することができる。
【0064】
具体的な使用条件としては、エクストルーダー(押し出しスクリュー)または押出し成型機の装置内を真空度650から760mmHgの脱気下で圧力を加え、直径5〜50mmのダイスを通して円筒状のドウ(生地)として圧送されたものを圧出時に間欠的に切断し長さ5〜300mmの小塊とする、もしくは麺帯出しにより、麺帯を得ることが出来る。
【0065】
(α化処理工程)
本発明におけるα化処理方法は、沸騰したお湯を使った茹で処理、蒸気を使った蒸処理など任意で行うことが出来るが、より好ましくは、蒸気を使用した蒸機を使用するのが良い。茹で処理では、添加した粉末粒状油脂が麺線内部から外部に溶出してしまうために、麺線内部に空間を得ることが比較的に困難となる傾向があるためである。また、得られる麺線の食感をよりよくするためには、蒸処理で使用する蒸気の質に関しても乾いた蒸気よりも湿り気の多い蒸気を使用するほうが好ましい。(また、従来の常法である)蒸処理を行う工程において、蒸煮前に麺線に水分をより与えることで、喫食時に更に麺線の湯戻りを向上することが可能であり、パスタの粉っぽさ、ぼそぼそ感を低減することが可能である。ここに「使用する水分」とは、真水、水道水や乳化剤、食用油脂等を溶かした水溶液を使用すればより良い。乳化剤としては、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等のグリセリン脂肪酸エステルを使用すればよく、単純に真水を使用した時に比べ、麺線のほぐれをよくすることが可能である。前述の水溶液を麺線に与える方法としては、噴霧、浸漬等の方法で行えばよい。噴霧する量としては、麺線100g当たり20から40ml程度がよく、湯戻り具合に応じて水分量をコントロールすればよい。(参考文献 昭56−38100)
【0066】
上述の手法により得られたα化した麺線を乾燥用バスケットに一食ずつ成形充填し、熱風乾燥工程を経て、本発明の即席乾燥パスタを得ることが出来る。また、熱風乾燥前に、ほぐし液等を麺線に付着させることで、喫食時のほぐれを更によくすることができる。使用するほぐし剤としては、従来より使用されている乳化油脂、乳化剤や不二製油株式会社「ソヤファイブS」の大豆食物繊維を使用すればよい。
【0067】
(熱風乾燥工程)
本発明における熱風乾燥方法は、麺線を好ましくは温度60〜110℃(更に好ましくは80〜90℃)、好ましくは風速1〜10m/S(更に好ましくは、3〜5m/S)に調整された熱風により、麺塊の最終水分を6〜14%(好ましくは8〜10%)に乾燥すればよい。
【0068】
乾燥温度が80℃未満であると乾燥効率が悪く、乾燥時間が長くなる傾向がある。他方、乾燥温度が100℃を超えると麺線の中の水分の沸点を越えるために、緩慢な乾燥が難しくなり、麺線の発泡が始まってしまい、緻密な麺線を得ることが困難となる傾向がある。
【0069】
乾燥時の風速が1m/S未満であると麺塊中を良好に通気することが困難となって、乾燥ムラを生じてしまう傾向が生ずる。他方、該風速が10m/Sを超えると麺塊が型枠の上部または下部に押しつけられて、結果麺塊が粗の状態にならずに、均一な乾燥が困難になり、乾燥ムラを生じ、喫食時の麺線のほぐれも低下する傾向がある。
【0070】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
【実施例】
【0071】
試験例1
下記の試験により、真空麺帯機と粉末油脂練りこみの相乗効果を確認した。
【0072】
<麺線の製造>
処方:デュラムセモリナ粉(蛋白14.5%)10kg、水3400ml
【0073】
乾燥前の条件:切刃幅1.55mm丸型、麺厚1.6mmの麺線を導管を開いて略ストレートの麺線で切り出し、0.5kg/cm2で3分間蒸煮した後、麺重100gに裁断した蒸麺にほぐし液20ml(不二製油株式会社 「ソヤファイブS」1.0%水溶液)を噴きつけ、φ120mmの乾燥用型枠にエアー成型充填し85℃で乾燥した。
【0074】
真空麺帯機を使用した場合の条件は、真空度730mmHgにて脱気しながら圧力を加えて直径20mmのダイスを通して円筒状の生地を押し出し、それを長さ50mmのチップ状にカットし、その小塊を複合製麺後、上記と同様に切刃幅1.55mm丸型、麺厚1.6mmの麺線を導管のフタを開いて略ストレートの麺線で切り出し、0.5kg/cm2で3分間蒸煮した後、麺重100gに裁断した蒸麺にほぐし液20ml(不二製油株式会社 「ソヤファイブS」1.0%水溶液)噴きつけ、φ120mmの乾燥用型枠にエアー成型充填し85℃で乾燥した。
【0075】
粉末油脂を使用した場合の条件は、融点62℃、平均粒子径0.1mmのパーム極度硬化油を使用した。
【0076】
真空麺帯機使用及び粉末油脂添加の条件:以下の3種類の条件を用いた。
【0077】
(3種類の条件)
(1) 真空麺帯機 不使用 及び 粉末油脂 無添加(最終水分10%前後)
(2) 真空麺帯機 使用 及び 粉末油脂 無添加(最終水分10%前後)
(3) 真空麺帯機 使用 及び 粉末油脂 添加(最終水分10%前後)
【0078】
<水分の測定>
水分の測定は、以下のようにして行った。
【0079】
電気乾燥機:ヤマト科学(株) 商品名:DN―41
得られた麺線 2gを電気乾燥機で105℃、2時間乾燥させ、乾燥前後の重量差により水分量を測定する。
【0080】
(麺線の切断強度の測定)
喫水容量700mlのポリスチレンカップ(厚木プラスチック株式会社製)に、その切断強度を測定すべき麺線のサンプル80gを入れ、更に該ポリスチレンカップに100℃の温湯を喫水線まで入れて、素早くアルミ箔で蓋をして5分間そのまま放置した。蓋を取って麺線を割り箸を用いてほぐし、「湯戻し後の時間」の計測を開始した。この際、時間の測定手段としては、セイコーエスヤード社製、商品名セイコーストップウォッチS052のストップウォッチを用いた。
【0081】
該ストップウォッチにより、正確に5分間カウントした後、素早く湯を麺線から分離して、該麺線の切断強度をレオメーターで測定した。
【0082】
<切断強度の測定条件>
レオメータ:不動工業株式会社製、商品名NRM−2010−CW
麺線3本をプレート上に乗せ、ピアノ線を用いて切断強度を測定し、平均値を算出する。
【0083】
上記により得られた測定結果を、図1のグラフに示す。
【0084】
図1より、条件(2)によるサンプルにおいては、真空麺帯機により、コシの強い麺線が得られることが理解できよう。また、条件(3)では、粉末油脂を併せて添加することで湯戻りが良くなっていることが理解できよう。また、グラフの傾きを見ると、(2)、(3)は、グラフの傾きが強くなっていることが分かる。すなわち、麺線の表面のハリ、コシが強いことが理解できる。このハリ、コシが、密度感あるパスタ特有の食感である。
【0085】
上記により測定した切断強度は、120g程度が、即席麺として適当であった。該切断強度が130gを超えると、「硬い」感じがした。また、条件(1)の麺線では、真空麺帯を使用していないために、密度、ハリの無い食感であった。
【0086】
また、上記により得られた麺の官能試験および製麺適正の結果を表(1)に示す。
【0087】
表(1):条件(1)から(3)の官能試験および製麺適正
【表1】

【0088】
上記表において、コシに関しては5が最良で、5より数字が大きくなるとコシがありすぎることを示す。
【0089】
表(1)より、条件3が真空麺帯機を使用することで、パスタ本来の特徴である麺の粘弾性、透明感、重みなどはスポイルすることなく、粉末粒状油脂を入れることで湯戻りを良くすることが出来、非常にバランスの良い即席パスタを得ることが出来たことが理解できよう。更には、ウェーブをつけなくとも、蒸麺のほぐれが非常に良く、且つ喫食時のほぐれが良いので、パスタ(とりわけスパゲッティタイプ)の略ストレート麺の麺線を即席パスタにおいても再現することができる。ここで、(1)においては、麺のコシが少なく、粉っぽいものなので、戻り具合に関しては、3とした。
【0090】
試験例2
<ほぐれ効果の測定>
上記により得られた条件(1)から条件(3)の麺線のほぐれ効果を、以下の方法において測定した。
【0091】
得られた乾燥麺を「食品と科学」、VOL.35、第105頁(1993年10月)に記載されている「ほぐれの測定方法」を参考に装置を作り測定を行った。測定装置の概略図を図2に示す。この図2において、参照記号1は支柱(ほぐし棒 φ6mm、長さ22mm)、記号2は仕切板(φ24mm)、記号3は底板(145×145mm)、記号4は測定容器(高さ 120mm)を示す。
【0092】
(麺線のほぐれの測定)
図2に示した、箱に100℃の温湯を1500ml注ぎ、90秒間そのまま放置した。90秒後、シントウ機の回転数を30rpmで動かし、仕切り板から麺塊が完全に落ちるまでの時間を測定した。
【0093】
上記により得られた測定結果を表(2)に示す。
【0094】
表(2):ほぐれ測定の結果(秒)
【表2】

【0095】
上記表において、条件(1)に関しては、480秒以上測定してもほぐれなかったので、480を最大値として記載した。
【0096】
条件(3)に関しては、お湯を注いで90秒経つ前に麺塊が完全に落ちてしまったので、0秒とした。
【0097】
表(2)より、条件(3)が、明らかに麺線のほぐれが良いことが理解できよう。真空麺帯機と粉末粒状油脂の相乗効果が、略直線状の麺線においても非常に優れたほぐれ効果を発揮していることが理解できよう。
【0098】
試験例3
<各種油脂の比較試験>
油脂の形状及び大きさの違いによる発明の効果を示すために、以下の(i)から(x)の各種油脂の比較試験をした。油脂の原料としてはパーム油(融点50℃)に統一し、製造方法の違いによる油脂の大きさの違いによる発明の効果を示す。
【0099】
(i)スプレードライ方式 球状 粒子径 0.03mm
(ii)ドラムドライ方式 フレーク状 粒子径 0.1×0.5×0.1mm(縦×横×厚み)
【0100】
(iii)スプレークーリング方式 球状 粒子径 0.1mm
(iv)スプレークーリング方式 球状 粒子径 0.15mm
【0101】
試験方法については、以下に示す試験方法Bに基づく。
【0102】
試験方法B
デュラムセモリナ粉1000gの粉原料に対し上記(i)から(x)の各種油脂15gをそれぞれ混合し、320mlの水で混捏し、該ドウについてエクストルーダーまたは押し出し成形機において、その中を真空度730mmHgにて脱気しながら圧力を加えて直径20mmのダイスを通して円筒状の生地を押し出し、それを長さ50mmのチップ状にカットし、その小塊を複合製麺後、切刃:20丸、麺厚:1.5mmの麺線を導管を開いて略ストレートの麺線で切り出し連続的に蒸煮したのち、麺重100gに裁断した蒸麺にほぐし液20ml(不二製油株式会社 「ソヤファイブS」1.0%水溶液)を噴きつけ、φ120mmの乾燥用型枠にエアー成型充填する。その後温度80℃、風速4m/sに調整してある乾燥機に40分間乾燥し、最終水分10%の即席パスタを得た。
【0103】
下記表(3)に、油脂形状及び大きさの違いによる発明の効果を示す。
【0104】
表3:油脂形状及び大きさの違いによる発明の効果
【表3】

【0105】
(コシに関しては5が最良で、5より数字が大きくなるとコシがありすぎることを示す。)
【0106】
表(3)の結果より、本発明に用いることの出来る粉末油脂は、その大きさが重要であることが理解できよう。粒子径が0.03mm以下のものでは効果が得られない。すなわち、スプレークーリング方式またはドラムドライ方式により得ることの出来る粒子径の大きいタイプ、具体的には0.1mm以上、好ましくは0.15 mm以上の球状の油脂が「湯戻りの悪さ」、「麺線のコシの強すぎ」を真空麺帯機の特徴を殺さずに解決できる。結果、パスタ特有の密度感ある食感を再現できる。
【0107】
試験例4
【0108】
<油脂の融点による差>
油脂の融点の違いによる発明の効果を示すために、以下のA〜Iの各種油脂を比較試験した。試験方法は、前記試験方法Bに基づき、各油脂15gを以下のA〜Dの各種油脂とし、それぞれ比較試験を行う。
【0109】
A:菜種油 液体状 粒子径
B:パーム油 ペースト状 粒子径
C:パーム油 球状 粒子径 0.1mm 融点50℃
D:菜種油 球状 粒子径 0.1mm 融点70℃
【0110】
表4:油脂の融点の違いによる発明の効果
【表4】

【0111】
表4の結果より、まず、液体状、ペースト状のものは、麺線内部に空洞を作り出すことが出来ず、本発明の効果は得られない。
【0112】
<油脂の添加量による差>
油脂の添加量における発明の効果を示すべく上記の(6)において、添加量試験を行った。試験方法は試験方法Bに基づく。使用する粉末油脂は、融点62℃、平均粒子径0.1mmのパーム極度硬化油を使用した。
【0113】
表5:油脂の添加量における発明の効果
【表5】

【0114】
表5より、油脂の添加量においては、0.5%以上の添加量で本発明の効果が得られる。しかしながら、油脂の添加量が多くなると、製麺適正、蒸後の麺強度が極端に低下し、連続生産は困難になる。
【0115】
[実施例1]
デュラムセモリナ粉1000g(蛋白14.5%)の粉原料に対し融点62度の粉末球状パーム油15g(スプレークーリング方式)をそれぞれ混合し、320mlの水で混捏し、該ドウについてエクストルーダーまたは押し出し成形機において、その中を真空度730mmHgにて脱気しながら圧力を加えて直径20mmのダイスを通して円筒状の生地を押し出し、それを長さ50mmのチップ状にカットし、その小塊を複合製麺後、切刃:20丸、麺厚:1.50mmの麺線を導管を開いて略ストレートの麺線で切り出し、連続的に蒸煮したのち、麺重100gに裁断した蒸麺にほぐし液20ml(不二製油株式会社 「ソヤファイブS」1.0%水溶液)を噴きつけ、φ120mmの乾燥用型枠にエアー成型充填する。その後温度80℃、風速4m/sに調整してある乾燥機に40分間乾燥し、最終水分10%の即席パスタ(スパゲッティタイプ)を得た。
【0116】
[実施例2]
デュラムセモリナ粉1000g(蛋白14.5%)の粉原料に対し融点62度の粉末球状パーム油15g(スプレークーリング方式)をそれぞれ混合し、320mlの水で混捏し、該ドウについてエクストルーダーまたは押し出し成形機において、その中を真空度730mmHgにて脱気しながら圧力を加えて直径20mmのダイスを通して円筒状の生地を押し出し、それを長さ50mmのチップ状にカットし、その小塊を複合製麺後、切刃:20丸、麺厚:1.50mmの麺線を導管を開いて略ストレートの麺線で切り出し、麺線1食あたりに20mlの真水を吹き着け、連続的に蒸煮したのち、麺重100gに裁断した蒸麺にほぐし液20ml(不二製油株式会社 「ソヤファイブS」1.0%水溶液)を噴きつけ、φ120mmの乾燥用型枠にエアー成型充填する。その後温度80℃、風速4m/sに調整してある乾燥機に40分間乾燥し、最終水分10%の即席パスタ(スパゲッティタイプ)を得た。
【0117】
[実施例3]
デュラムセモリナ粉1000g(蛋白14.5%)の粉原料に対し融点50度の粉末球状パーム油15g(ドラムドライ方式)をそれぞれ混合し、320mlの水で混捏し、該ドウについてエクストルーダーまたは押し出し成形機において、その中を真空度730mmHgにて脱気しながら圧力を加えて直径20mmのダイスを通して板状の生地を押し出し、その板状の生地をロール圧延後、切刃:20丸、麺厚:1.50mmの麺線を導管を開いて略ストレートの麺線で切り出し、麺線1食あたりに20mlの乳化液(モノグリセリン脂肪酸エステル0.5%、食用油脂3%水溶液)を噴きつけ、連続的に蒸煮したのち、麺重100gに裁断した蒸麺にほぐし液20ml(不二製油株式会社 「ソヤファイブS」1.0%水溶液)を噴きつけ、φ120mmの乾燥用型枠にエアー成型充填する。その後温度80℃、風速4m/sに調整してある乾燥機に40分間乾燥し、最終水分10%の即席パスタ(スパゲッティタイプ)を得た。
【0118】
[実施例4]
デュラムセモリナ粉1000g(蛋白14.5%)の粉原料に対し融点62度の粉末球状パーム油15g(スプレークーリング方式)をそれぞれ混合し、320mlの水で混捏し、該ドウについてエクストルーダーまたは押し出し成形機において、その中を真空度730mmHgにて脱気しながら圧力を加えて直径20mmのダイスを通して円筒状の生地を押し出し、それを長さ50mmのチップ状にカットし、その小塊を複合製麺後、切刃:10丸、麺厚:1.10mmの麺線を導管を開いて略ストレートの麺線で切り出し、麺線1食あたりに20mlの真水を吹きつけ、連続的に蒸煮したのち、麺重100gに裁断した蒸麺にほぐし液20ml(不二製油株式会社 「ソヤファイブS」1.0%水溶液)を噴きつけ、φ120mmの乾燥用型枠にエアー成型充填する。その後温度80℃、風速4m/sに調整してある乾燥機に40分間乾燥し、最終水分10%の即席パスタ(フェットチーネタイプ)を得た。
【0119】
[比較例1]
実施例1で使用している真空麺帯機を不使用且つ配合成分である融点62度の粉末球状パーム油(スプレークーリング方式、0.15mm)15gを不使用とし、それ以外の条件は実施例1と共通とする。
【0120】
[比較例2]
実施例2で使用している真空麺帯機を不使用且つ配合成分である融点62度の粉末球状パーム油(スプレークーリング方式、0.15mm)15gを不使用とし、それ以外の条件は実施例2と共通とする。
【0121】
[比較例3]
実施例3の配合成分である融点50度の粉末球状パーム油15g(ドラムドライ方式)15gを不使用とし、それ以外の条件は実施例3と共通とする。
【0122】
表(6)に、上述した実施例1から4の評価を示す。
【0123】
表6:実施例の評価
【表6】

【0124】
上述したように、本発明によれば、今までなし得なかった、本格即席パスタ、およびその製造方法が提供される。すなわち、デュラム小麦粉を主原料として使用し、且つ本格パスタ同様な麺線に圧力を加える工程を行っても、お湯を注ぐだけで、喫食可能な本格即席パスタを作ることが可能となる。
【符号の説明】
【0125】
1 支柱(ほぐし棒 φ6mm、長さ22mm)
2 仕切板(φ24mm)
3 底板(145×145mm)
4 測定容器(高さ 120mm)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュラム小麦粉と、固形状の油脂を少なくとも含む麺原料から作成されたドウを、押し出し成型機を用いて、減圧下において圧力を加え小塊または板状とした後に製麺された即席乾燥麺であって;
該即席乾燥麺が、温湯中における「ほぐれ時間」が10秒以下であることを特徴とする即席乾燥麺。
【請求項2】
麺線強度が、110〜130gである請求項1に記載の即席乾燥麺。
【請求項3】
前記製麺により作製された麺線をα化し;次いで、該麺線を熱風により乾燥させることにより得られた、請求項1または2に記載の即席乾燥麺。
【請求項4】
前記即席麺を構成する麺線が、ウェーブの少ない略直線状である請求項1〜3のいずれか1項に記載の即席乾燥麺。
【請求項5】
前期即席麺の主原料が、パスタ用のデュラム小麦粉100%である1〜4のいずれか1項に記載の即席乾燥麺。
【請求項6】
固形状の油脂が、粒子径0.1mm以上の粉末粒状である請求項1〜5のいずれか1項にに記載の即席乾燥麺。
【請求項7】
前記粉末粒状の油脂が、スプレークーリング法またはドラムドライ法により製造されたものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の即席乾燥麺。
【請求項8】
前記固形状の油脂の融点が50℃〜70℃である請求項1〜7のいずれか1項に記載の即席乾燥麺。
【請求項9】
前記固形状の油脂の添加量が、小麦粉に対して、0.5〜10%である請求項1〜8のいずれか1項に記載の即席乾燥麺。
【請求項10】
前記α化の手段として、蒸気を用いる蒸し機を使用する請求項3〜9のいずれか1項に記載の即席乾燥麺。
【請求項11】
前記即席麺を乾燥させる際の熱風が、温度60℃〜100℃の範囲の熱風を単独もしくは組み合わせたものである請求項3〜10のいずれか1項に記載の即席乾燥麺。
【請求項12】
前記α化の手段として、蒸気を用いる蒸し機を使用し、且つ、蒸煮工程の手前で麺線に水溶液を付着させる工程を含む請求項3〜11のいずれか1項に記載の即席乾燥麺。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−55304(P2012−55304A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97348(P2011−97348)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【分割の表示】特願2010−197711(P2010−197711)の分割
【原出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【出願人】(000106531)サンヨー食品株式会社 (17)
【Fターム(参考)】