説明

即席麺の製造方法

【課題】 喫食時に麺線が強い弾力性を有し、緻密で本物感のある優れた麺質となるような、即席麺の製造方法を提供する
【解決手段】 即席麺の製造方法において、α化処理と乾燥工程の間に、中〜高温でかつ高湿度下に麺線をさらすことで、課題とする麺質の即席麺を得ることができる。具体的には、即席麺の製造方法において、(a)生麺線を蒸し及び/又は茹でてα化処理する工程、(b)温度40〜95℃相対湿度60〜100%の高湿度下に麺線を5〜30分間さらす工程、(c)麺線を乾燥させる工程、の各工程を工程(a)(b)(c)の順で含み、好ましくは工程(b)にかける直前の麺の水分含量を35〜60重量%とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麺質が緻密で本物感の有る即席麺の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
即席麺は、熱湯を注加して数分間待つだけ、あるいは、炊いて調理しても3分程度の調理時間で喫食可能で、簡便性が高く、しかも長期間保存できる優れた食品である。しかし、短時間での復元性を実現させるために、麺線は膨化度が高く、そのため、麺線表面に張りがなく、フカフカした食感となりやすい。
【0003】
このような、即席麺の麺質、食感を改善するために種々の方法が提案されているが、従来からコシの向上等麺質の改良のために、麺帯形成後麺線の切り出しまでの間に、低温から常温の条件で1〜数時間以上の熟成工程(「ねかし」とも言う)を付加する方法は良く知られている。しかし、このような「ねかし」を行なっても、生麺を茹でて調理した時のような本格的な食感には程遠く、改良の余地があった。
【0004】
そこで、即席麺において、前記の「ねかし」を行うよりもさらに強い弾力性と、麺線に張りを与える技術として、低温乾燥によって麺を乾燥させる技術が知られている。これは、麺線を充分にα化させた後に、低温で麺を乾燥させる技術であり、例えば特許文献1、2等の技術がある。しかし、低温乾燥は、乾燥に長時間を要するために生産性が悪く、さらに、乾燥時の温度が低いために、製品中の生菌数が高いという問題があった。しかも、わずかな温度の違いや、湿度、風量の変化によって麺質が変わり易く、ロットごとに品質にばらつきが生じやすい欠点もある。特に、湿度、風量等の調整が充分でないと、熱湯注加では湯戻りしない等の不良品が生じる場合があった。
【0005】
そこで、前記した低温乾燥即席麺のレベル又はそれ以上に、即席麺でありながら優れた弾力性と張りを有し、本物感のある麺が短時間の処理で達成できないか、要するに低温ではない条件下の処理で、優れた弾力性と張りのある麺を得る方法がないか検討した。
このように即席麺の製造方法において、その製造工程中に低温でない条件で処理を行う技術として、下記の特許文献3〜5がある。
【0006】
特許文献3は乾燥後の麺質の劣化を防止するために高温乾燥した後に50〜100℃でテンパリングする方法。特許文献4は乾燥処理後に60〜100℃で数秒から20分間加熱加湿することで腰が強く湯伸びの少ない麺を得る技術、特許文献5はα化後乾燥した麺を加湿処理した後に再度乾燥することで、麺線間の結着を防止し、光沢のある麺を得る技術である。しかし、いずれの技術の場合も、前記した低温乾燥即席麺に匹敵するような高い弾力性と張りを与えるには不充分で、しかも、いずれの技術も乾燥後に加湿しているために、再乾燥する工程を必要としたり、あるいは保存性に問題が生じる可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−137946号公報
【特許文献2】特開2005−110562号公報
【特許文献3】特開昭58−216655号公報
【特許文献4】特開昭61−274657号公報
【特許文献5】特開平7−194327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のように即席麺でありながら、喫食時に麺線が強い弾力性を有し、麺質が緻密で本物感のある優れた麺となるような、即席麺の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題に対し、簡単な方法で低温乾燥麺と同等、又はそれ以上の効果を有する方法がないか検討した。その結果、生麺を蒸煮又は茹でによってα化した麺を、特定の高湿度下、中温〜高温の環境下に暫くさらし、その後乾燥処理することによって、上記課題を達成できることを見出し、本発明とした。
【0010】
すなわち、本発明は、次の工程(a)から(c)を含む即席麺の製造方法である。
(a)生麺線を蒸し及び/又は茹でてα化処理する工程、
(b)温度40〜95℃、相対湿度60〜100%の高湿度下に麺線を5〜30分間さらす工程、
(c)麺線を乾燥させる工程、
の各工程を(a)(b)(c)の順で含む即席麺の製造方法である。
【0011】
なお、当該即席麺の製造方法において、工程(b)と工程(c)の間に
(d)麺線を蒸し及び/又は茹でてα化処理する工程、の(d)工程をさらに加えることもできる。工程(d)を有することで、麺が充分にα化し、より弾力と密度感を持った麺が得られるだけでなく、麺線間の結着を起こしにくくほぐれ改良の効果がある。
【0012】
また、工程(b)に掛ける直前の蒸し麺又は茹で麺の水分含量としては、35〜60重量%、特に好ましくは40〜50重量%の範囲であることが望ましい。このような水分含量に調整するのは、工程(a)において、蒸し処理を行った後に水浸漬、水シャワー等によって水分含量を上げる方法、短時間の茹で処理を行う方法、生麺線の水分含量を上げておく等の方法がある。特に好ましくは、工程(e)として、工程(a)でα化処理した麺に冷水を吸収させて水分含量を上げて35〜60重量%、最適には40〜50重量%とする方法が好ましい。
【0013】
また、工程(b)の高湿度下に麺線をさらす工程が、温度80〜90℃で、相対湿度60〜100%の高温高湿度下に10分以上30分未満とすることで、特に麺の張りと弾力性が高くなり好ましい。
また、工程(c)の乾燥工程は、即席麺の乾燥方法として採用される、熱風乾燥方法、油揚げ乾燥方法等なんでも採用可能であるが、熱風乾燥の場合、本発明は最も優れた効果を発揮する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、即席麺でありながら、喫食時に麺線が強い粘弾性を有し、緻密で本物感のある優れた麺質の即席麺が得られ、麺線間の結着が少なくほぐれも良い。さらに、本発明によれば、低温乾燥法によって乾燥させる場合に比較して、短時間の処理で良く、低温乾燥麺のような品質のばらつきを生じにくく、麺線中の生菌数も少なくすることができる。また、従来のねかせ方法、すなわち麺帯の状態で低温〜常温熟成させる方法に比べても、製造に要する時間を短縮することができ、しかも、より弾力のある麺質の即席麺が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、製造工程に準じて本発明を具体的に説明する。
本発明においては、即席麺に使用される各種原料、副原料が使用できる。主原料としては、小麦粉の他、各種穀粉、ソバ粉、澱粉等が用いられ、副原料としては、食塩、かんすい、重合リン酸塩、グルテン、卵白、乳化剤等が使用できる。特に、本発明においては、中華麺の場合にはかんすい(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)を、それ以外の場合には各種リン酸塩を、かんすい焼けしないレベルで、多めに配合することが望ましい。具体的に熱風乾燥中華麺の場合に添加する炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムの量としては、概ね原料粉1kg当り7〜15g、好ましくは1kg当り10〜12g程度を配合するのが好ましい。
【0016】
本発明においては、これら小麦粉等主原料に、副原料を練水に溶かして、又は原料粉に直接副原料を加えた後練り水を加え、できるだけ均一になるようによく混練する。練水の量は原料粉に対し30〜40重量%程度とする。このようにして製造した麺生地を複合機等で麺帯にした後圧延し、切り出して生麺線とする。もしくはエクストルーダー等で押出して生麺線とすることもできる。
【0017】
得られた生麺線は、蒸煮又は茹でによってα化する。本発明においては、茹で又は蒸しによってα化した水分含量の高い麺を、40〜95℃、相対湿度60〜100%の環境下にさらして熟成させるものであるが、当該熟成前の麺線の水分含量としては、35〜60重量%、特に好ましくは40〜50重量%になるように調整しておくのが良い。35%以下では熟成後の麺線がべたつき、以後の工程での麺線のほぐれが悪化する場合があり、60%以上で水分が高くなりすぎると弾力性が充分に得られなくなる場合がある。一方、40〜50%において、本発明の効果が最も顕著である。
【0018】
麺のα化方法としては、通常、蒸しによってα化する場合には、麺線の水分含量は、生麺の時点での水分含量とほぼ同じか若干上がる程度のため、40重量%以上にするためには、蒸し後に水浸漬、水シャワー、着味処理等を行なって水分含量を上げておくか、蒸し中に水シャワーや短時間の熱湯浸漬等を行なって水分含量を上げておくのが好ましい。
一方、茹での場合は、長時間の茹でを行うと水分含量が上がりすぎるので、特に好ましい50重量%以下に抑えるには、茹で時間を短時間にするか、茹で後に乾燥させて水分含量を調整しても良い。本発明においては、特に好ましくは、始めに蒸し処理を行い、水浸漬等で水分含量を上げて処理し、高湿下で熟成させた後、さらにα化度を上げるために、その後再び蒸煮又は茹でを行なう方法が特に好ましい。
【0019】
このように本発明では、蒸し又は茹でによってα化し、必要に応じて水分調整した後、麺線に高い弾力性を付与するためには、前記のようにα化した麺を、40℃〜95℃の温度で相対湿度60%以上の条件に麺線をさらして熟成する。熟成させるための時間は温度によってかなり異なるが、概ね5〜30分、温度が高くなるほど短時間でよいが、温度が高くなると、原料に添加したかんすいの量等にもよるが、今度は麺に焼け(褐色に変色)が生じるので、好ましくは95℃以下としておくのが良い。概ね40〜95℃、相対湿度60〜100%の条件の場合で5〜30分程度が採用できる。特に好ましい条件としては、60〜90℃相対湿度60〜100%で10〜30分、さらに好ましくは、80〜90℃相対湿度60〜100%の条件で10〜30分程度が良い。
【0020】
なお、本発明の、乾燥前の麺線を高湿度下にさらして熟成させる工程は、麺線を飽和蒸気で蒸煮することとは異なるものである。本発明において、この熟成工程を飽和蒸気での蒸煮に置き換えてしまうと、麺線は麺焼けを起し、弾力はあるが麺線はグチャッとした食感となり、本発明の効果は充分ではない。また、蒸し又は茹での工程を行う前に、すなわち、生麺の状態で高温高湿度下にさらしても高い効果は得られない。
【0021】
このように高湿下で熟成させた麺を、熱風乾燥、油揚げ等によって乾燥させて即席麺としても良いが、前述したように、好ましくは熟成後、再び茹で又は蒸してα化処理することもできる。特に、即席麺が熱風乾燥麺である場合、生っぽくなく密度感の高い麺とするためには、熟成後茹で処理を行って充分にα化しておくのが良い。このように熟成後に蒸し又は茹でを行った場合は、水洗、冷却し、次いで乾燥する。乾燥する際は、麺線を1食分ずつにカットしてリテーナに型詰めし乾燥する。なお、1食分ずつのカットは、麺線切出し以降の工程であればいずれの工程であってもかまわない。
【0022】
乾燥方法は、即席麺の乾燥方法である、熱風乾燥、油揚げ、低温乾燥、凍結乾燥等、各種の乾燥方法が採用できるが、より弾力性があり、張りのある緻密な麺質を得るためには、熱風乾燥等が好ましい。なお、油揚げや凍結乾燥等の乾燥方法を用いた場合でも、同一の乾燥方法で製造したものと比較すれば、本発明の高湿下での熟成工程を行うことで、はるかに高い弾力性と張りを付与することができる。
【実施例】
【0023】
以下、比較実験等を示して本発明について詳述する。
<実施例1>
小麦粉1kgに対し、食塩15g、かんすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=1:1)10g、ポリリン酸ナトリウム2gを溶かした練り水340mlを加えて、真空ミキサーで15分間良く混練し、麺生地を製造した。次いで、複合機で麺帯化し、圧延ローラーを通して1.25mmまで圧延し、20番角刃で麺線を切出した。
【0024】
切出された麺線はネットコンベアが内部を移送する蒸気庫内で、蒸気流量180kg/h、100℃で1分20秒間蒸煮した後、麺線1食分100gにカットし、100g当り30mlの水を吸収するように水浸漬し、冷却した。この時の麺線の水分含量は約49重量%であった(以下、麺線の水分含量の%は重量%を示す)。
【0025】
このようにしてα化処理した麺を、庫内温度が80℃相対湿度80%の高温高湿度の庫内に15分間放置したところ水分含量は44%であった。放置後、次いで100℃の沸騰水で3分間茹で、茹で後2秒間水シャワーを通し、20℃の冷水で30秒間冷却し、リテーナに充填した。この麺線1食分の重量は約220〜230gであった。乾燥処理は、熱風乾燥機で80℃風速3m/sで90〜100分間乾燥した。麺線に特に目立ったかんすい焼け等は認められなかった。
【0026】
このようにして製造した熱風乾燥麺を冷却し、1日放置した後、容器に入れて、熱湯400mlを注加し、5分間放置して湯戻しし、箸でよく掻き混ぜて喫食した。熟練した5人のパネラーで麺線のほぐれと、麺の弾力性、麺表面の張りを確認したが、いずれのパネラーの意見も、麺線はほぐれがよく、喫食時の弾力性が非常に高く、張りのある本格的な麺との評価であった。
【0027】
<比較試験1>熟成温度と湿度の検討
前記実施例1において、温度80℃相対湿度80%、15分間の高温高湿度下での熟成工程を、表1の通り、温度を5〜90℃、相対湿度を60〜100%として、サンプルを製造し、実施例1と同様に試験を行った。なお、熟成工程を有さない以外は実施例1同様に製造した麺をコントロールとして、5人の熟練したパネラーがこのコントロールと比較することで、多数決によって評価した。
【0028】
【表1】

【0029】
表1の通り、40℃で湿度100%から効果が現れ始めたので、40℃でも長時間処理すれば麺の張りや弾力感についても効果が出るものと思われた。また、60℃を超えたあたりから特有の張りのある弾力感が顕著になり、いずれの湿度でも効果があった。特に80℃、90℃では湿度60%以上のいずれにおいても非常に高い効果が現れた。なお、本配合ではかんすいの配合量が多いために、90℃相対湿度80%以上で、やや麺線に焼けが生じたが、これはかんすいの配合量を減らしてやれば改善できると思われた。
【0030】
<比較試験2>熟成時間の検討
実施例1の製造方法において、温度80℃相対湿度80%、15分間の高温高湿度下での熟成工程を、表2の通り、温度を80℃、相対湿度80%で、熟成時間を7.5分から30分にの各時間に変更してサンプルを製造し、実施例1と同様に試験を行った。また、本比較試験2においては、水分含量を併せて測定した。なお、蒸し後水浸漬前の水分含量は34%、水浸漬後熟成前の水分含量は49%であった。
なお、熟成工程を有さない以外は同様に製造した麺をコントロールとして、比較試験1同様5人の熟練したパネラーの多数決によって決定した。
【0031】
【表2】

【0032】
表2の通り、80℃相対湿度80%の条件では、7.5分でもかなり効果が出ているので、例えば90℃程度の温度の場合は5分程度から効果が出るものと思われた。
なお、本配合ではかんすいの配合量が多いために、30分以上で、やや麺線に焼けが生じたが、これはかんすいの配合量を減らしてやれば改善できると思われた。
【0033】
<比較試験3>熟成工程のタイミングの検討
実施例1の製造方法においては、温度80℃相対湿度80%、15分間の高温高湿度下での熟成工程を、蒸煮後の水浸漬後で、かつ茹で前に行ったが、表3の通り、麺線切出し後から順に乾燥後までそれぞれの工程で行い、実施例1と同様に試験を行いその効果を確認した。
なお、熟成工程を有さない以外は同様に製造した麺をコントロールとして、比較試験1同様5人の熟練したパネラーの多数決によって決定した。
【0034】
【表3】

【0035】
表3の通り、切出し後や熱風乾燥後に高温高湿下で処理しても、わずかに、張りと弾力性について改善される傾向が見られたが、いわゆる麺帯での「ねかし」工程のレベル又はそれ以下のレベルであり、これに対して蒸煮後、乾燥までの間において高湿下にさらした処理をしたものは強い弾力性と張りを有していた。蒸煮後水浸漬前に処理したものが若干ほぐれが悪いのは、熟成時の水分含量が若干が低かったためと思われ、原料に添加する水の量を増やす等によって解決できるものと思われた。
【0036】
<比較試験4>フライ麺での実施例
小麦粉1kgに対し、食塩15g、かんすい(炭酸ナトリウム:炭酸カリウム=1:1)3g、ポリリン酸ナトリウム2gを溶かした練り水340mlを加えて、ミキサーで15分間良く混練し、麺生地を製造した。次いで、複合機で麺帯化し、圧延ローラーを通して1.1mmまで圧延し、22番丸刃で麺線を切出した。
【0037】
切出された麺はネットコンベアが庫内を移送する蒸気庫内で、蒸気流量240kg/h、100℃で2分間蒸煮してα化し、麺線1食分115gにカットした。
1食分115gにカットした蒸し麺線を、冷水に浸漬して麺線が水分を吸収するようにして冷却した。次いで、庫内温度80℃相対湿度80%の高温高湿度の庫内に15分間放置した後、水分を測定すると46%であった。この麺をリテーナに充填して145℃のパーム油で80秒間フライし、実施例2のフライ麺とした。
【0038】
実施例2のフライ麺同様に100℃2分間の蒸煮を行った麺115gを、冷水への浸漬処理及び80℃湿度80%での熟成処理を行わなかった麺の水分含量は33%であった。この麺をリテーナに充填して、実施例2同様に145℃のパーム油で80秒間フライし、コントロールのフライ麺とした。
また、実施例2のフライ麺同様に冷水への浸漬は行ったが、80℃湿度80%での熟成処理を行わなかった麺の水分含量は45%であった。この麺をリテーナに充填して145℃のパーム油で80秒間フライし、比較例2のフライ麺とした。
【0039】
実施例2のフライ麺、コントロールのフライ麺、比較例2のフライ麺のそれぞれを、沸騰水500mlで3分間茹でて調理し、箸でよく掻き混ぜて喫食した。熟練した5人のパネラーで麺線のほぐれと、麺の弾力性、麺表面の張りを確認したが、実施例2の麺はコントロールや比較例に比して、喫食時の弾力性が断然高く、張りのある本格的な麺であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)生麺線を蒸し及び/又は茹でてα化処理する工程、
(b)温度40〜95℃、相対湿度60〜100%の高湿度下に麺線を5〜30分間さらす工程、
(c)麺線を乾燥させる工程、
の前記各工程を(a)(b)(c)の順で含む即席麺の製造方法。
【請求項2】
前記工程(b)と工程(c)の間に、
(d)麺線を蒸し及び/又は茹でてα化処理する工程、をさらに含む請求項1に記載の即席麺の製造方法。
【請求項3】
前記工程(b)に掛ける直前の麺の麺線水分含量が、35〜60重量%である請求項1又は2に記載の即席麺の製造方法。
【請求項4】
前記工程(a)と工程(b)の間に、
(e)α化処理した麺に冷水を吸収させる工程、をさらに含み、該工程(e)によって麺線の水分含量を35〜60重量%に調整する請求項3に記載の即席麺の製造方法。
【請求項5】
前記工程(b)が温度80〜90℃で、相対湿度60〜100%の高温高湿度下に10〜30分間さらす工程である、請求項1ないし4のいずれかに記載の即席麺の製造方法。
【請求項6】
前記工程(c)の乾燥工程が熱風乾燥、又は油揚げによる乾燥工程である、請求項1ないし5のいずれかに記載の即席麺の製造方法。

【公開番号】特開2013−110986(P2013−110986A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258105(P2011−258105)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000226976)日清食品ホールディングス株式会社 (127)
【Fターム(参考)】