説明

卵巣癌に関与するタンパク質

本発明は、卵巣癌の診断、スクリーニング、治療及び予防におけるCDCP1の新規な使用に関する。本発明はまた、ワクチン、CDCP1に免疫特異的な抗体、及びCDCP1と相互作用し又はその発現若しくは活性を修飾し、或いはCDCP1をコードする核酸の発現を修飾する作用物質を含めた、CDCP1を含む組成物も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチドCDCP1を標的とするステップを含む卵巣癌の治療及び/又は予防の方法、そのポリペプチドと相互作用し、或いはその発現又は活性を調整する作用物質、そのような作用物質の同定の方法、並びに卵巣癌の診断におけるCDCP1の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
卵巣癌は、婦人科領域の癌のうち最も致死性が高く、より一般的な上皮卵巣癌に罹患した者の約70%が後期の疾患を最初に示し、その癌は卵巣から、他の骨盤臓器及び腹部臓器、又は骨盤、鼠径部若しくは腹部内のリンパ節へと広がる可能性があり(III期)、或いは肝の外側又は腹部の外側へと、最も一般的には肺周囲の内面へと広がっている。そのような患者の生存率は、早期の疾患を示す者と比べて有意に低い。卵巣癌は、シスプラチンに基づく化学療法で一般に治療され、後天的なシスプラチン耐性によりしばしば再発し(Yahata,H.ら、2002、J.Cancer Res.Clin.Oncol.128:621〜6)、したがって新規な薬剤及び新規な治療標的が必要である。現在のマーカーは、大集団で適用可能なほど十分な感度及び特異性が欠如しているので、卵巣癌の新規なマーカーも必要である(Rai,A.ら、2002、Arch.Pathol.Lab.Med.126:1518〜26)。
【0003】
したがって、卵巣癌を治療する新規な治療用作用物質の必要性は重要である。さらに、生体対象における卵巣癌診断用の、感度がよく特異的なバイオマーカーとして使用する新規な卵巣癌関連タンパク質を同定することが明らかに必要である。
【0004】
836アミノ酸のうち834アミノ酸をCDCP1と共有するポリペプチドをコードする核酸は、WO02/70539、US2002/0142003及びWO02/04508で開示され、後者の2つの文献は、そのポリペプチドが肺癌及び結腸癌に潜在的に関与することを開示するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、CDCP1が卵巣癌の治療及び/又は予防用の新規な治療標的となるという知見に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、卵巣癌の治療及び/又は予防の方法を提供し、その方法は、CDCP1ポリペプチドと相互作用し、或いはその発現又は活性を調整する作用物質を治療有効量投与するステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
CDCP1ポリペプチドは、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含み又はそれからなり、或いは
(b)配列番号1のアミノ酸配列と比べて1個又は複数のアミノ酸の置換、変更、欠失又は挿入を有する誘導体であってCDCP1の活性を保持するものである
ポリペプチドを含む。
【0008】
「ポリペプチド」という用語には、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質が含まれる。これらは、別段の指定がない限り同義的に使用する。
【0009】
本発明の方法で使用する作用物質には、それだけに限らないが、CDCP1ポリペプチド又はCDCP1ポリペプチドをコードする核酸分子と相互作用する(例えば、それと結合し、又はそれを認識する)ことができ、或いはCDCP1ポリペプチドの相互作用、発現、活性、又はCDCP1ポリペプチドをコードする核酸分子の発現を修飾することができる作用物質がある。そのような作用物質には、それだけに限らないが、抗体、核酸(例えば、DNA及びRNA)、炭水化物、脂質、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド模倣物質、小分子及び他の薬剤がある。
【0010】
したがって、本発明はまた、卵巣癌の治療及び/又は予防用の薬物を製造するための、CDCP1ポリペプチドと相互作用し、或いはその発現又は活性を調整する作用物質の使用も提供する。
【0011】
最も好ましくは、卵巣癌の治療及び/又は予防で使用する作用物質は、CDCP1ポリペプチドと相互作用し(すなわち、それと結合し、又はそれを認識し)、或いはその活性を修飾する抗体である。したがって、卵巣癌の治療及び/又は予防で使用する薬物の製造で使用するCDCP1ポリペプチドと相互作用する抗体の使用が提供される。対象における卵巣癌の治療及び/又は予防の方法も提供され、その方法は、CDCP1と相互作用する抗体を前記対象に治療有効量投与するステップを含む。一実施形態では、CDCP1ポリペプチドと相互作用する抗体を使用して、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)を媒介させることができる。そのような場合、抗体は裸の(naked)全長抗体であることが好ましい。本発明の他の態様では、CDCP1ポリペプチドと相互作用する抗体を使用して、前記ポリペプチドの活性を阻害することができる。
【0012】
CDCP1ポリペプチドと特異的に相互作用する抗体が最も好ましい。特異的に相互作用する(例えば、認識する又は結合する)とは、抗体が他のポリペプチドよりCDCP1ポリペプチドと親和性が大きいことを意味する。
【0013】
抗体は、場合によっては治療に関する部分と結合して、治療上単独で使用することもでき、或いは(複数の)細胞傷害因子及び/又は(複数の)サイトカインと併用して使用することもできる。特に、CDCP1抗体は、細胞傷害作用物質、放射性核種や薬剤部分などの治療用作用物質と結合して、所与の生体反応を改変することができる。その治療用作用物質は、古典的な化学的治療用作用物質と解釈するべきでない。例えば、治療用作用物質は、所望の生物学的活性を有するタンパク質又はポリペプチドである可能性がある薬剤部分でもよい。そのような部分には、例えば、それだけに限らないが、アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素やジフテリア毒素などの毒素、腫瘍壊死因子、α−インターフェロン、β−インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子や組織プラスミノーゲン活性化因子などのタンパク質、血栓作用物質又は抗血管新生作用物質、例えばアンギオスタチン又はエンドスタチン、或いは、リンホカイン、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−6(IL−6)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、神経成長因子(NGF)や他の成長因子などの生体反応修飾因子がある。
【0014】
治療用作用物質には、細胞に有害な(例えばそれを死滅させる)任意の作用物質を含めた細胞毒素又は細胞傷害作用物質もある。例として、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジデオキシアンスラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びピューロマイシン並びにそのアナログ又は相同体がある。治療用作用物質には、それだけに限らないが、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシル、デカルバジン(decarbazine))、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパ(thioepa)、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)及びロムスチン(CCNU)、シクロソスファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、及びシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、アンスラマイシン(anthramycin)(AMC)、カリケアミシン(calicheamicin)又はデュオカルマイシン)、及び有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)もある。
【0015】
治療に関する他の部分には、111In及び90Y、Lu177、ビスマス213、カリホルニウム252、イリジウム192やタンステン(Tunsten)188/レニウム188などの放射性核種;又は、それだけに限らないが、アルキルホスホコリン、トポイソメラーゼI阻害剤、タキソイド(taxoid)やスラミンなどの薬剤が含まれることがある。
【0016】
そのような治療用作用物質を抗体と結合させる技術は、当技術分野で周知である(例えば、Amonら、「癌治療における薬物の免疫標的導入用のモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For immunotargeting Of Drags In Cancer Therapy)」、モノクローナル抗体及び癌治療(Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy)Reisfeldら編、1985中243〜56ページ、Alan R.Liss,Inc;Hellstromら、「薬物送達用の抗体(Antibodies For Drug Delivery)」、調節薬物送達(Controlled Drug Delivery)第2版、Robinsonら編、1987中623〜53ページ、Marcel Dekker,Inc.;Thorpe、「癌治療における細胞傷害作用物質の抗体担体:総説(Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review)」、モノクローナル抗体’84:生物学的適用及び臨床適用(Monoclonal Antibodies ’84: Biological And Clinical Applications)、Pincheraら編、1985中475〜506ページ;「癌治療における放射標識抗体の治療的使用の分析、結果、及び将来の展望(Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabelled Antibody In Cancer Therapy)」、癌の検出及び治療用のモノクローナル抗体(Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy)、Baldwinら編、1985中303〜16ページ、Academic Press;Thorpeら、1982「抗体−毒素結合体の調製及び細胞傷害特性(The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates)」、Immunol.Rev、62:119〜58、及びDubowchikら、1999、Pharmacology and Therapeutics、83、67〜123を参照)。
【0017】
本発明で使用する抗体には、例えば、それだけに限らないが、任意の型の分子の共有結合によって改変されたアナログ及び誘導体がある。好ましくは、前記の結合は、免疫特異的な結合を障害しない。一態様では、抗体を第2の抗体と結合させて、抗体ヘテロ結合体を形成させることができる(米国特許第4,676,980号を参照)。
【0018】
他の実施形態では、本発明は、抗体の融合タンパク質の治療的使用を提供し、例えば、それだけに限らないが、この抗体又はその断片は、共有結合(例えばペプチド結合)により、場合によってはそのN末端又はC末端で、他のタンパク質(又はその一部分;好ましくはタンパク質の少なくとも10、20又は50アミノ酸の部分)のアミノ酸配列と融合している。好ましくは、抗体又はその断片は、他のタンパク質と、抗体の定常ドメインのN末端で連結している。他の態様では、抗体融合タンパク質は、本明細書に記載のポリペプチドの欠乏又は精製を促進し、in vivoでの半減期を延長し、上皮の障壁を越える免疫系への抗原の送達を促進することができる。
【0019】
融合タンパク質が、エフェクター又はレポーター分子と連結した抗体断片である場合、化学的な又は組換えDNAの標準的手順によってこれを調製することができる。好ましいエフェクター基はポリマー分子であり、それを改変Fab断片に結合して、in vivoでの半減期を延長することができる。
【0020】
ポリマー分子は、一般に、合成又は天然に存在するポリマー、例えば任意選択で置換された直鎖又は分枝鎖のポリアルキレン、ポリアルケニレン(polyalkenylene)又はポリオキシアルキレンのポリマー、或いは分枝又は非分枝型の多糖類、例えばホモ又はヘテロ多糖類でよい。
【0021】
上記に挙げた合成ポリマー上に提示することができる特定の任意選択の置換基には、1個又は複数の水酸基、メチル基又はメトキシ基がある。合成ポリマーの特定の例には、任意選択で置換された直鎖又は分枝鎖のポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、又はその誘導体、特にメトキシポリ(エチレングリコール)など任意選択で置換されたポリ(エチレングリコール)又はその誘導体がある。
【0022】
天然に存在する特定のポリマーには、ラクトース、アミロース、デキストラン、グリコーゲン又はその誘導体がある。
【0023】
本明細書において「誘導体」とは、反応性誘導体、例えばマレイミドなどのチオール選択性の反応性基を含むものとする。反応性基はポリマーと直接連結してもよく、或いはリンカーセグメントを介してそれと連結してもよい。そのような基の残基が、場合によっては抗体断片とポリマーの連結基として産物の一部を形成することが理解されるであろう。
【0024】
ポリマーのサイズは、所望される通りに様々でよいが、一般には平均分子量が500Da〜50000Daであり、好ましくは5000〜40000Daであり、より好ましくは25000〜40000Daである。ポリマーのサイズは、具体的にはその産物の使用目的に基づいて選択することができる。したがって、例えば、その産物を循環中に放ち、組織に侵入させて、例えば腫瘍の治療に使用するつもりである場合、例えば分子量が約5000Daの低分子量のポリマーを使用すると有利である可能性がある。その産物を循環中に残存させる適用例では、例えば分子量が25000Da〜40000Daの高分子量のポリマーを使用すると有利である可能性がある。
【0025】
特に好ましいポリマーには、ポリ(エチレングリコール)や、特にメトキシポリ(エチレングリコール)やその誘導体など、特に分子量が約25000Da〜約40000Daのポリアルキレンポリマーがある。
【0026】
改変抗体断片と結合した各ポリマー分子は、断片中に位置するシステイン残基の硫黄原子と共有結合することができる。その共有結合は、一般にジスルフィド結合であり、具体的には硫黄と炭素の結合である。
【0027】
望ましい場合、抗体断片は、それと結合した1個又は複数のエフェクター又はレポーター分子を有してもよい。そのエフェクター又はレポーター分子は、断片中に位置する任意の利用可能なアミノ酸側鎖又は末端アミノ酸の官能基、例えば任意の遊離したアミノ基、イミノ基、水酸基又はカルボキシル基を介して抗体断片と結合することができる。
【0028】
活性化ポリマーを、上記に記載したポリマー改変抗体断片の調製での開始物質として使用することができる。活性化ポリマーは、例えばヨードアセトアミドなどのα−ハロカルボキシル酸又はエステル、例えばマレイミドなどのイミド、ビニルスルホン又はジスルフィドなどのチオール反応性基を含むどんなポリマーでもよい。そのような開始物質は、(例えばNektar Therapeutics,Inc(アラバマ州、Huntsville)から)市販のものを入手することもでき、或いは、市販されている開始物質から、従来の化学的な手順を用いて調製することもできる。
【0029】
活性化ポリマーとの反応前後に抗体断片をエフェクター又はレポーター分子と直接又は結合剤を介して連結する化学的な又は組換えDNAの標準的手順を適宜使用することができる。特定の化学的な手順には、例えば、WO93/06231、WO92/22583、WO90/09195、WO89/01476、WO99/15549及びWO03/031581に記載のものがある。或いは、そのエフェクター又はレポーター分子がタンパク質又はポリペプチドである場合、例えばWO86/01533及びEP0392745に記載の組換えDNAの手順を用いて結合を行うこともできる。
【0030】
最も好ましくは、抗体はポリ(エチレングリコール)(PEG)部分と結合している。好ましくは、例えば、EP0948544で開示されている方法に従って[「ポリ(エチレングリコール)の化学、バイオ技術的生物医学的適用」(Poly(ethyleneglycol)Chemistry,Biotechnical and Biomedical Applications)、1992、J.Milton Harris(編)、Plenum Press、New York、「ポリ(エチレングリコール)の化学及び生物学的適用」(Poly(ethyleneglycol)Chemistry and Biological Applications)、1997、J.Milton Harris及びS.Zalipsky(編)、American Chemical Society、Washington DC、並びに「生物医学での生体結合タンパク質の結合技術」(Bioconjugation Protein Coupling Techniques for the Biomedical Sciences)、1998、M.Aslam及びA.Dent、Grove Publishers、New York;Chapman,A.、2002、Advanced Drug Delivery Reviews 2002、54:531〜545も参照]、改変Fab断片をPEG化する、すなわちPEG(ポリ(エチレングリコール))と共有結合する。一実施形態では、PEG改変Fab断片は、改変ヒンジ領域内で単一のチオール基と共有結合したマレイミド基を有する。リシン残基をマレイミド基と共有結合することができる。分子量が約20,000Daのメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーを、そのリシン残基の各アミン基に結合することができる。したがって、エフェクター分子全体の総分子量は約40,000Daとなることがある。
【0031】
CDCP1ポリペプチド又は前記ポリペプチドを発現する細胞を使用して、例えば前記CDCP1ポリペプチドを特異的に認識する抗体を産生することができる。CDCP1ポリペプチドに対して生じる抗体は、周知の日常的なプロトコールを用いてそのポリペプチドを動物に、好ましくは非ヒト動物に投与することによって得ることができる。
【0032】
抗CDCP1抗体には、機能的に活性な断片、誘導体又はアナログがあり、その抗体は、それだけに限らないが、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二価抗体、三価抗体又は四価抗体、ヒト化又はキメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片、Fab’及びFab’断片、Fab発現ライブラリーによって生成される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、並びに上記のいずれかのエピトープ結合断片でもよい。ヒト化抗体とは、非ヒト種由来の1個又は複数の相補性決定領域(CDR)、及びヒトイムノグロブリン分子由来の枠組領域を有する非ヒト種由来の抗体分子である(例えば、米国特許第5,585,089号を参照)。抗体には、イムノグロブリン分子、及びイムノグロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち抗原と特異的に結合する抗原結合部位を含む分子がある。本発明のイムノグロブリン分子は、イムノグロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)又はサブクラスのものでもよい。
【0033】
ハイブリドーマ技術(Kohler及びMilstein、1975、Nature、256:495〜497)、トリオーマ(trioma)技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら、1983、Immunology Today、4:72)及びEBVハイブリドーマ技術(Coleら、「モノクローナル抗体及び癌治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)」、77〜96ページ,Alan R Liss,Inc.、1985)など、当技術分野で知られている任意の方法によってモノクローナル抗体を調製することができる。
【0034】
キメラ抗体とは、軽鎖及び重鎖の遺伝子が、異なる種に属するイムノグロブリン遺伝子セグメントから構成されるように遺伝子工学で作製されているイムノグロブリン遺伝子によってコードされる抗体である。これらのキメラ抗体は、抗原性が低い可能性が高い。二価抗体は、当技術分野で知られている方法によって作製することができる(Milsteinら、1983、Nature、305:537〜539;WO93/08829;Trauneckerら、1991、EMBO J.、10:3655〜3659)。二価、三価及び四価の抗体は、複数の特異性を含んでもよく、或いは単一特異性でもよい(例えばWO92/22853を参照)。
【0035】
本発明で使用する抗体は、Babcook,J.ら、1996、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93(15):7843〜7848及びWO92/02551に記載されているものなど、特異的な抗体の産生のために選択された単一リンパ球から生じるイムノグロブリン可変領域cDNAの分子クローニング及び発現に基づく単一リンパ球抗体法を用いて生成することができる。
【0036】
本発明で使用する抗体はまた、当技術分野で知られ、Brinkmanら(J.Immunol.Methods、1995、182:41〜50)、Amesら(J.Immunol.Methods、1995、184:177〜186)、Kettleboroughら(Eur.J.Immunol.、1994、24:952〜958)、Persicら(Gene、1997、187:9〜18)、Burtonら(Advances in Immunology、1994、57:191〜280)及びWO90/02809;WO91/10737; WO92/01047;WO92/18619;WO93/11236;WO95/15982;WO95/20401;並びに米国特許第5,698,426号;第5,223,409号;第5,403,484号;第5,580,717号;第5,427,908号;第5,750,753号;第5,821,047号;第5,571,698号;第5,427,908号;第5,516,637号;第5,780,225号;第5,658,727号;第5,733,743号及び第5,969,108号によって開示されているものを含む様々なファージディスプレイ法を用いて生成することもできる。米国特許第4,946,778号に記載のものなどの単鎖抗体を産生する技術を適合させて、CDCP1ポリペプチドに対する単鎖抗体を産生することもできる。また、トランスジェニックマウス、又は他の哺乳動物を含めた他の生物を使用して、ヒト化抗体を発現させることもできる。
【0037】
CDCP1ポリペプチドを使用して、本発明に従った治療及び/又は予防の方法で使用する作用物質を同定することができる。
【0038】
本発明のさらなる態様は、CDCP1ポリペプチドと相互作用する抗卵巣癌作用物質をスクリーニングする方法を提供し、その方法は、
(a)前記ポリペプチドを候補作用物質と接触させるステップと、
(b)その候補作用物質が前記ポリペプチドと相互作用するか否かを判定するステップとを含む。
【0039】
好ましくは、その候補作用物質とCDCP1ポリペプチドの相互作用の判定は、その候補作用物質と前記ポリペプチドの結合を定量的に検出するステップを含む。
【0040】
CDCP1ポリペプチドの発現又は活性を調整する抗卵巣癌作用物質をスクリーニングする方法がさらに提供され、その方法は、
(i)候補作用物質の存在下での前記ポリペプチドの発現又は活性を、その候補作用物質の不在下又は対照作用物質の存在下での前記ポリペプチドの発現又は活性と比較するステップと、
(ii)その候補作用物質が前記ポリペプチドの発現又は活性を変化させるかどうかを判定するステップとを含む。
【0041】
好ましくは、CDCP1ポリペプチドの発現及び/又は活性を、所定の基準範囲又は対照と比較する。
【0042】
より好ましくは、その方法は、卵巣癌の治療及び/又は予防での使用についてさらに試験するために、CDCP1ポリペプチドと相互作用し、又はCDCP1ポリペプチドの相互作用、発現又は活性を調整することができる作用物質を選択するステップをさらに含む。上記のスクリーニング法も、CDCP1核酸分子と相互作用し、或いはその発現又は活性を調整する抗卵巣癌作用物質のスクリーニングに適していることが当業者には明らかであろう。
【0043】
本発明はまた、卵巣癌の治療及び/又は予防用の作用物質の効果を確認又は検証するための創薬で使用するアッセイも提供する。これらの方法を用いて同定される作用物質は、創薬のリード作用物質として使用することもでき、或いは治療に使用することもできる。CDCP1ポリペプチドの発現について、例えば、イムノアッセイ、ゲル電気泳動後の視覚化、mRNA又はCDCP1ポリペプチド活性の検出、或いは本明細書で教示され、当業者に知られている任意の他の方法によりアッセイを行うことができる。そのようなアッセイを使用して、臨床モニタリング又は薬剤開発における候補作用物質をスクリーニングすることができる。
【0044】
作用物質は、多様な候補作用物質から選択することができる。候補作用物質の例には、それだけに限らないが、核酸(例えば、DNA及びRNA)、炭水化物、脂質、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド模倣物質、小分子及び他の薬物がある。作用物質は、生物学的なライブラリー;空間アドレス指定可能な並列固相又は液相ライブラリー(parallel solid phase or solution phase libraries);逆重畳積分を要する合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;及びアフィニティークロマトグラフィー選択を使用する合成ライブラリー法を含めて、当業者に知られているコンビナトリアルライブラリー法における多数の手法のうちいずれかを用いて得ることができる。生物学的なライブラリーの手法は、ペプチドライブラリーに適合させたものであるが、他の4種の手法は、ペプチド、非ペプチドオリゴマー、又は化合物の小分子ライブラリーに適用可能である(Lam、1997、Anticancer Drug Des.、12:145;米国特許第5,738,996号;及び米国特許第5,807,683号)。
【0045】
分子ライブラリーの合成についての本記載に基づく適切な方法の例は、当技術分野中に、例えばDeWittら、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:6909;Erbら、1994、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、91:11422;Zuckermannら、1994、J.Med.Chem.、37:2678;Choら、1993、Science、261:1303;Carrellら、1994、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、33:2059;Carellら、1994、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.、33:2061;及びGallopら、1994、J.Med.Chem.、37:1233中に認めることができる。
【0046】
化合物のライブラリーは、例えば、溶液中で(例えば、Houghten、1992、Bio/Techniques 13:412〜421)、或いはビーズ(Lam、1991、Nature、354:82〜84)、チップ(Fodor、1993、Nature、364:555〜556)、細菌(米国特許第5,223,409号)、胞子(米国特許第5,571,698号;第5,403,484号;第5,223,409号)、プラスミド(Cullら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:1865〜1869)又はファージ(Scott及びSmith、1990、Science、249:386〜390;Devlin、1990、Science、249:404〜406;Cwirlaら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:6378〜6382;及びFelici、1991、J.Mol.Biol.、222:301〜310)上で提示されるものでよい。
【0047】
一実施形態では、CDCP1ポリペプチドと相互作用する(例えば、結合する)作用物質を細胞に基づくアッセイで同定し、そのアッセイでは、CDCP1ポリペプチドを発現する細胞の集団を候補作用物質と接触させ、その候補作用物質がそのポリペプチドと相互作用できるかどうかを判定する。好ましくは、候補作用物質がCDCP1ポリペプチドと相互作用できるかどうかを基準範囲又は対照と比較する。他の実施形態では、CDCP1ポリペプチドを発現する細胞の第1及び第2の集団を、候補作用物質又は対照作用物質と接触させ、その候補作用物質がそのポリペプチドと相互作用できるかどうかを、候補作用物質と対照作用物質との間の相互作用の差を比較することによって判定する。望ましい場合、この型のアッセイを用いて、CDCP1ポリペプチドを発現する複数の細胞集団を使用して複数(例えば、ライブラリー)の候補作用物質をスクリーニングすることができる。望ましい場合、このアッセイを用いて、複数(例えば、ライブラリー)の候補作用物質をスクリーニングすることができる。細胞は、例えば、原核生物由来の(例えば、大腸菌(E.coli)の)ものでもよく、或いは真核生物由来の(例えば、酵母又は哺乳動物の)ものでもよい。さらに、その細胞は、CDCP1ポリペプチドを内因性に発現することもでき、或いは、そのポリペプチドが発現するように遺伝子工学で作製することもできる。いくつかの実施形態では、CDCP1ポリペプチド又は候補作用物質を、例えば放射活性標識(32P、35Sや125Iなど)又は蛍光標識(フルオレセインイソシアネート、ローダミン、フィコエリスリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒドやフルオレサミンなど)で標識して、ポリペプチドと候補作用物質の相互作用の検出を可能にする。
【0048】
他の実施形態では、CDCP1ポリペプチドと相互作用する(例えば、結合する)作用物質を無細胞アッセイ系で同定し、そのアッセイでは、CDCP1ポリペプチドを発現する試料を候補作用物質と接触させ、その候補作用物質がそのポリペプチドと相互作用できるかどうかを判定する。好ましくは、候補作用物質がCDCP1ポリペプチドと相互作用できるかどうかを基準範囲又は対照と比較する。好ましい実施形態では、天然又は組換えCDCP1ポリペプチドを含む第1及び第2の試料を、候補作用物質又は対照作用物質と接触させ、その候補作用物質がそのポリペプチドと相互作用できるかどうかを、候補作用物質と対照作用物質との間の相互作用の差を比較することによって判定する。望ましい場合、このアッセイを用いて、複数のCDCP1ポリペプチド試料を使用して複数(例えば、ライブラリー)の候補作用物質をスクリーニングすることができる。好ましくは、例えば、そのポリペプチドを、特異的にそれを認識しそれと結合する固定化した抗体と接触させ、又はポリペプチドの精製調製物を、タンパク質と結合するように設計された表面と接触させることによってそのポリペプチドを最初に固定化する。そのポリペプチドは、部分的に又は完全に精製した(例えば、他のポリペプチドを部分的に又は完全に含まない)ものでもよく、或いは細胞溶解液の一部でもよい。さらに、そのポリペプチドは、CDCP1ポリペプチド又はその生物学的に活性な部分と、グルタチオン−S−トランスフェラーゼなどのドメインとを含む融合タンパク質でもよい。或いは、そのポリペプチドを、当業者に周知の技術を用いてビオチン化することもできる(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals;イリノイ州、Rockford)。当業者に知られている方法によって、候補作用物質がポリペプチドと相互作用できるかどうかの判定を繰り返し行うことができる。
【0049】
一実施形態では、CDCP1ポリペプチドを2ハイブリッドアッセイ又は3ハイブリッドアッセイでの「ベイト(bait)タンパク質」として使用して、CDCP1ポリペプチドと結合又は相互作用する他のタンパク質を同定する(例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら、1993、Cell、72:223〜232;Maduraら、1993、J.Biol.Chem.、268:12046〜12054;Bartelら、1993、Bio/Techniques、14:920〜924;Iwabuchiら、1993、Oncogene、8:1693〜1696;及びWO94/10300を参照)。当業者なら理解するであろうが、そのような結合タンパク質が、CDCP1ポリペプチドによるシグナルの伝播に関与する可能性も高い。例えば、それは、CDCP1ポリペプチドが関与するシグナル伝達経路の上流の成分でもよく、或いは下流の成分でもよい。或いは、CDCP1ポリペプチドを含むタンパク質複合体を単離し(前記ポリペプチドは1個又は複数の他のポリペプチドと直接的に又は間接的に相互作用することができる)、質量分析やウェスタンブロット法など当技術分野で知られている方法を用いてその結合タンパク質を同定することによって、CDCP1ポリペプチドと相互作用するポリペプチドを同定することもできる(例えば、Blackstock,W.及びWeir,M.、1999、Trends in Biotechnology、17:121〜127;Rigaut,G.、1999、Nature Biotechnology、17:1030〜1032;Husi,H.、2000、Nature Neurosci.、3:661〜669;Ho,Y.ら、2002、Nature、415:180〜183;Gavin,A.ら、2002、Nature、415:141〜147を参照)。
【0050】
すべての場合で、当業者に知られている方法により、候補作用物質がCDCP1ポリペプチドと直接的に又は間接的に相互作用できるかどうかを判定することができる。例えば、それだけに限らないが、候補作用物質とCDCP1ポリペプチドが相互作用するかどうかを、フローサイトメトリー、シンチレーションアッセイ、活性アッセイ、質量分析、顕微鏡分析、免疫沈降、又はウェスタンブロット分析によって判定することができる。
【0051】
さらに他の実施形態では、CDCP1ポリペプチドと競合的に相互作用する(すなわち、競合的に結合する)作用物質を競合的結合アッセイで同定し、候補作用物質がCDCP1ポリペプチドと相互作用できるかどうかを判定する。好ましくは、候補作用物質がCDCP1ポリペプチドと相互作用できるかどうかを基準範囲又は対照と比較する。好ましい実施形態では、CDCP1ポリペプチドも、CDCP1ポリペプチドと相互作用することが知られているタンパク質も発現する細胞の第1及び第2の集団を、候補作用物質又は対照作用物質と接触させる。次いで、候補作用物質がCDCP1ポリペプチドと競合的に相互作用できるかどうかを、細胞の第1及び第2の集団における相互作用を比較することによって判定する。他の実施形態では、細胞の別の第2集団又はさらなる集団を、CDCP1ポリペプチドと競合的に相互作用することが知られている作用物質と接触させることができる。或いは、CDCP1ポリペプチドと競合的に相互作用する作用物質は、CDCP1ポリペプチドと、CDCP1ポリペプチドと相互作用することが知られているタンパク質とを含む第1及び第2の試料を、候補作用物質又は対照作用物質と接触させることにより無細胞アッセイ系で同定する。次いで、候補作用物質がCDCP1ポリペプチドと競合的に相互作用できるかどうかを、第1及び第2の試料における相互作用を比較することによって判定する。他の実施形態では、CDCP1ポリペプチドを含む別の第2の試料又はさらなる試料を、CDCP1ポリペプチドと競合的に相互作用することが知られている作用物質と接触させることができる。いずれの場合でも、CDCP1ポリペプチド及び既知の相互作用タンパク質は、天然に発現してもよく、或いは組換えにより発現してもよい;候補作用物質は外因性に添加してもよく、或いは、天然に又は組換えにより発現してもよい。
【0052】
他の実施形態では、CDCP1ポリペプチドと、他の作用物質、例えば、それだけに限らないがタンパク質との相互作用を修飾する作用物質は、細胞に基づくアッセイで、相互作用する既知の作用物質及び候補修飾作用物質の存在下でCDCP1ポリペプチドを発現する細胞を接触させ、その相互作用を修飾する候補作用物質を選択することによって同定することができる。或いは、CDCP1ポリペプチドと、他の作用物質、例えば、それだけに限らないがタンパク質との相互作用を修飾する作用物質は、無細胞アッセイ系で、候補作用物質の存在下でそのポリペプチドをそのポリペプチドと相互作用することが知られている作用物質と接触させることによって同定することもできる。修飾作用物質は、抗体、補因子、阻害因子、活性化因子として作用することもでき、或いは、CDCP1ポリペプチドと既知の作用物質との間の相互作用に対してアンタゴニスト効果又はアゴニスト効果をもたらすこともできる。上記に述べたように、当技術分野で知られている方法によって既知の作用物質がCDCP1ポリペプチドと相互作用できるかどうかを判定することができる。細胞に基づくアッセイであれ無細胞のアッセイであれ、これらのアッセイを用いて複数(例えば、ライブラリー)の候補作用物質をスクリーニングすることができる。
【0053】
他の実施形態では、細胞に基づくアッセイ系を使用して、CDCP1ポリペプチドの活性を修飾する(すなわち、刺激する又は阻害する)ことができる作用物質を同定する。したがって、候補作用物質の存在下で、CDCP1ポリペプチドを天然に又は組換えにより発現する細胞の集団においてCDCP1ポリペプチドの活性を測定する。好ましくは、CDCP1ポリペプチドの活性を基準範囲又は対照と比較する。好ましい実施形態では、CDCP1ポリペプチドの活性を、作用物質の存在下又は候補作用物質の不在下(例えば対照作用物質の存在下)で、CDCP1ポリペプチドを天然に又は組換えにより発現する細胞の第1及び第2の集団において測定し、CDCP1ポリペプチドの活性を比較する。次いで、その候補作用物質を、この比較に基づくCDCP1ポリペプチドの活性の修飾因子として同定することができる。或いは、CDCP1ポリペプチドの活性は、CDCP1ポリペプチドが天然の又は組換えによるものである無細胞アッセイ系で測定することもできる。好ましくは、CDCP1ポリペプチドの活性を基準範囲又は対照と比較する。好ましい実施形態では、CDCP1ポリペプチドの活性を、候補作用物質の存在下又は不在下で、第1及び第2の試料において測定し、CDCP1ポリペプチドの活性を比較する。次いで、その候補作用物質を、この比較に基づくCDCP1ポリペプチドの活性の修飾因子として同定することができる。
【0054】
当業者に知られているように、適切な場合に、下流エフェクターに対するその効果、例えば、それだけに限らないが2次メッセンジャー(例えばcAMP、細胞内Ca2+、ジアシルグリセロール、IPなど)のレベル又は活性を検出し、触媒活性又は酵素活性を検出し、レポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ)の誘導を検出し、或いは、細胞の反応、例えば増殖、分化、又は形質転換を検出することによって、CDCP1ポリペプチドの活性を評価することができる(活性の測定技術については、例えば米国特許第5,401,639号を参照)。次いで、候補作用物質の効果を対照作用物質と比較することにより、CDCP1ポリペプチドの活性の修飾因子として候補作用物質を同定することができる。適切な対照作用物質には、PBS又は通常の食塩水がある。
【0055】
他の実施形態では、CDCP1ポリペプチドの産生又は分解の役割を担う、或いはCDCP1ポリペプチドの翻訳後修飾の役割を担う酵素やその生物学的に活性な部分などの作用物質を同定することができる。初期のスクリーニングでは、そのような作用物質を同定するために、実質的に純粋な、天然の又は組換えにより発現させたCDCP1のポリペプチド、核酸、或いは、天然の又は組換えにより発現させたCDCP1のポリペプチド又は核酸を含む細胞抽出物又は他の試料を、CDCP1のポリペプチド又は核酸を処理する役割を担う可能性がある複数の候補作用物質(例えば、それだけに限らないが、ライブラリーとして提示される複数の作用物質)と接触させる。候補作用物質がCDCP1のポリペプチド又は核酸の産生、分解又は翻訳後修飾を修飾できるかどうかを、それだけに限らないが、フローサイトメトリー、放射標識、キナーゼアッセイ、ホスファターゼアッセイ、免疫沈降及びウェスタンブロット分析、又はノーザンブロット分析を含めて、当業者に知られている方法によって判定することができる。
【0056】
さらに他の実施形態では、CDCP1ポリペプチドを発現する細胞を、複数の候補作用物質と接触させる。上記に記載のように、そのような作用物質がCDCP1ポリペプチドの産生、分解又は翻訳後修飾を修飾できるかどうかを、当業者に知られている方法によって判定することができる。
【0057】
一実施形態では、CDCP1ポリペプチドの発現を修飾する(例えば、下方制御する)作用物質を、細胞に基づくアッセイ系で同定する。したがって、CDCP1のポリペプチド又は核酸を発現する細胞の集団を候補作用物質と接触させ、その候補作用物質がCDCP1のポリペプチド又は核酸の発現を変化させることができるかどうかを、基準範囲又は対照と比較することによって判定する。他の実施形態では、CDCP1ポリペプチドを発現する細胞の第1及び第2の集団を候補作用物質又は対照作用物質と接触させ、その候補作用物質がCDCP1のポリペプチド又は核酸の発現を変化させることができるかどうかを、細胞の第1の集団と第2の集団との間のCDCP1のポリペプチド又は核酸の発現レベルの差を比較することによって判定する。さらなる実施形態では、第1の集団におけるCDCP1のポリペプチド又は核酸の発現を、基準範囲又は対照とさらに比較することができる。望ましい場合、このアッセイを使用して、複数(例えば、ライブラリー)の候補作用物質をスクリーニングすることができる。細胞は、例えば、原核生物由来の(例えば、大腸菌の)ものでもよく、或いは真核生物由来の(例えば、酵母又は哺乳動物の)ものでもよい。さらに、その細胞は、CDCP1のポリペプチド又は核酸を内因性に発現することもでき、或いは、CDCP1のポリペプチド又は核酸が発現するように遺伝子工学で作製することもできる。候補作用物質がCDCP1のポリペプチド又は核酸の発現を変化させることができるかどうかを、当業者に知られている方法、例えば、それだけに限らないが、フローサイトメトリー、放射標識、シンチレーションアッセイ、免疫沈降、ウェスタンブロット分析又はノーザンブロット分析によって判定することができる。
【0058】
他の実施形態では、CDCP1のポリペプチド又は核酸の発現を修飾する作用物質を動物モデルで同定する。適切な動物の例には、それだけに限らないが、マウス、ラット、ウサギ、サル、モルモット、イヌ及びネコがある。使用する動物は卵巣癌のモデルとなることが好ましい。したがって、哺乳動物の第1及び第2の群に候補作用物質又は対照作用物質を投与し、候補作用物質がCDCP1のポリペプチド又は核酸の発現を修飾できるかどうかを、哺乳動物の第1の群と第2の群との間の発現レベルの差を比較することによって判定する。望ましい場合、哺乳動物の第1及び第2の群におけるCDCP1のポリペプチド又は核酸の発現レベルを、哺乳動物の対照群におけるCDCP1のポリペプチド又は核酸のレベルと比較することができる。候補作用物質又は対照作用物質は、当技術分野で既知の手段によって(例えば、経口で、経直腸で、又は腹腔内や静脈内など非経口で)投与することができる。ポリペプチド又は核酸の発現の変化は、上記で概略を述べた方法によって評価することができる。特定の実施形態では、疾患の症状の寛解又は改善をモニターすることにより作用物質の治療有効量を決定して、その疾患の発症を遅延させ、又はその進行を遅らせ、例えば、それだけに限らないが、腫瘍のサイズを縮小させることができる。卵巣癌に精通する医師に知られている技術を使用して、候補作用物質が、その疾患に付随する1つ又は複数の症状を変化させたかどうかを判定することができる。
【0059】
当業者なら、CDCP1ポリペプチドがまた、前記ポリペプチドの活性を修飾する(例えば、刺激又は阻害する)ように働く作用物質、特に小分子を、構造に基づいて設計する方法に使用することもでき、前記の方法が、
1)前記ポリペプチドの三次元構造を決定するステップと、
2)そのポリペプチド内で、作用物質の(複数の)反応性部位又は結合部位の可能性が高い三次元構造を推定するステップと、
3)推定された反応性部位又は結合部位と反応又は結合すると予想される候補作用物質を合成するステップと、
4)その候補作用物質が前記ポリペプチドの活性を修飾できるかどうかを試験するステップと
を含むことも理解するであろう。
【0060】
上記に記載の方法が反復のプロセスである可能性が高いことが理解されるであろう。
【0061】
本明細書で論じるように、CDCP1ポリペプチドと相互作用する作用物質から、卵巣癌の治療及び/又は予防での使用が見出される。そのような使用では、その作用物質は、薬剤組成物の形で一般に投与する。
【0062】
したがって、本発明によれば、CDCP1ポリペプチドと相互作用する作用物質と、製剤上許容される希釈剤、賦形剤及び/又は担体とを含む薬剤組成物が提供される。薬剤組成物からワクチンとしての使用を見出すこともでき、それは、ワクチンの使用に許容されるさらなる構成成分を含んでもよく、当業者に知られている1種又は複数種の適切なアジュバントをさらに含んでもよい。
【0063】
以下、本発明で使用する作用物質、治療及び/又は予防で使用するCDCP1ポリペプチド及びCDCP1核酸は、「活性作用物質」と称する。本明細書において疾患又は状態を特定の活性作用物質又は作用物質の組合せを使用して治療又は予防する方法に対して文献を参照するとき、そのような参照文献は、その疾患又は状態の治療及び/又は予防用の薬物の調製におけるその活性作用物質又は作用物質の組合せの使用を含むものとすることを理解されたい。
【0064】
その組成物は、製剤上許容される担体を通常含む無菌の薬剤組成物の一部として通常供給される。この組成物は、(それを患者に投与する所望の方法に応じて)任意の適切な形態のものでもよい。
【0065】
薬剤投与に従来から使用されている任意の経路で、本発明の活性作用物質を対象に投与することができ、例えば、非経口で、経口で、局所に(口腔内、舌下又は経皮を含む)又は吸入によってそれを投与することができる。任意の所与の場合での投与に最も適した経路は、特定の活性作用物質、対象、疾患の性質及び重症度、並びに対象の身体状態によって決まる。
【0066】
活性作用物質は、1種又は複数種の、治療上活性のある、例えば抗腫瘍性の他の化合物と併用して、例えば同時に、順次又は別々に投与することができる。
【0067】
好都合なことに、1回の投与量当たりに本発明の活性作用物質を所定の量含む単位剤形で薬剤組成物を提供することができる。そのような単位は、例えば、それだけに限らないが、治療する状態、投与経路、並びに対象の年齢、体重及び状態に応じて750mg/kg〜0.1mg/kgを含んでよい。
【0068】
本発明で使用する製剤上許容される担体は、例えば投与経路に応じて多様な形態をとることがある。
【0069】
経口投与する組成物は、液体でもよく、或いは固体でもよい。経口液体製剤は、例えば、水性若しくは油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップ剤又はエリキシル剤の形のものでもよく、或いは、使用前に水又は他の適切な溶媒で元に戻す乾燥製品として提供してもよい。経口液体製剤は、当技術分野で知られている懸濁化剤を含んでもよい。
【0070】
粉末剤、カプセル剤や錠剤などの経口固体製剤の場合では、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの担体が含まれることがある。投与が容易であるため、錠剤及びカプセル剤が最も有利な経口の単位剤形となり、その場合、固体の薬剤担体が一般に使用される。上記に示した一般の剤形に加えて、徐放の手段及び/又は送達装置により本発明の活性作用物質を投与することもできる。錠剤及びカプセル剤は、結合剤、例えば、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、又はポリビニルピロリドン;充填剤、例えば、ラクトース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール又はグリシン;錠剤化潤滑剤(tableting lubricant)、例えばステアリン酸マグネシウム、滑石、ポリエチレングリコール又はシリカ;錠剤分解物質、例えばジャガイモデンプン;又はラウリル硫酸ナトリウムなどの許容される湿潤剤などの従来の担体又は賦形剤を含んでよい。通常の薬務で周知の方法に従った標準的な水性又は非水性の技術によって、錠剤を被覆することができる。
【0071】
経口投与に適した本発明の薬剤組成物は、カプセル剤、カシェ剤や錠剤などの別個の単位として提供してもよく、それぞれが、粉末剤又は顆粒剤として、或いは水性液体、非水性液体、水中油型乳剤又は油中水型液体乳剤中の液剤又は懸濁剤として所定の量の活性作用物質を含む。任意の製薬の方法によってそのような組成物を調製することができるが、すべての方法は、1種又は複数種の必要な成分を構成する、活性作用物質を担体と結合させるステップを含む。一般に、活性作用物質を液体担体又は微粉化した固体担体又はその両方と均一によく混合し、次いで、必要なら、その産物を所望の提供品へと成形することによって組成物を調製する。例えば、場合によっては1種又は複数種の付属成分とともに圧縮又は成形することによって錠剤を調製することができる。
【0072】
非経口投与に適した薬剤組成物は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合した水中の本発明の活性作用物質の液剤又は懸濁剤として調製してもよい。グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及び油中のその混合物中で分散剤を調製することもできる。貯蔵及び使用の通常の条件下で、これらの製剤は、微生物の増殖を防止する保存剤を含む。
【0073】
注射可能な使用に適した薬剤の形態には、水性又は非水性の無菌注射液剤があり、それはその組成物を対象の受容者の血液と等張にする抗酸化剤、緩衝液、静菌剤及び溶質、並びに、懸濁化剤及び増粘剤を含むことがある水性及び非水性の無菌懸濁剤を含んでもよい。即時型の注射液剤、分散剤及び懸濁剤を、無菌の粉末剤、顆粒剤及び錠剤から調製することができる。
【0074】
当技術分野で知られている医療装置を用いて薬剤組成物を投与することができる。例えば、好ましい実施形態では、米国特許第5,399,163号;第5,383,851号; 第5,312,335号;第5,064,413号;第4,941,880号;第4,790,824号;又は第4,596,556号で開示されている装置などの無針の皮下注射装置を用いて、本発明の薬剤組成物を投与することができる。本発明で有用な周知の植え込み装置及びモジュールの例には、速度を調節して薬物を分散させる植え込み可能な微小注入ポンプを開示する米国特許第4,487,603号、皮膚を介して医薬を投与する治療装置を開示する米国特許第4,486,194号、正確な注入速度で医薬を送達する薬物注入ポンプを開示する米国特許第4,447,233号、持続的薬物送達用の植え込み可能な可変流量注入装置を開示する米国特許第4,447,224号、多重チャンバー区画を有する浸透圧薬物送達システムを開示する米国特許4,439,196号、及び浸透圧薬剤送達システムを開示する米国特許4,475,196号がある。他の多数のそのような植え込み装置、送達システム、及びモジュールは当業者に知られている。
【0075】
特定の実施形態では、in vivoで適切な分布が確実に行われるように本発明の薬剤組成物を製剤することができる。例えば、血液脳関門は高度に親水性の多数の化合物を排除するが、リポソーム中で薬剤組成物を送達することが好ましい可能性がある。したがって、本発明の一実施形態では、本発明の活性作用物質をリポソーム中で製剤する;より好ましい実施形態では、リポソームは標的送達部分を含む。最も好ましい実施形態では、リポソーム中の治療用化合物を、腫瘍に近位の部位へのボーラス投与によって送達する。リポソームを作製する方法については、例えば米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;及び第5,399,331号を参照されたい。リポソームは、特定の細胞又は臓器へと選択的に輸送され、それによって標的薬物送達が促進される1個又は複数の部分を含んでもよい(例えば、Ranade,VV.、1989、J.CIin.Pharmacol.、29:685を参照)。例示的な標的送達部分には、葉酸又はビオチン(例えば、米国特許第5,416,016号を参照);マンノシド(Umezawaら、1988、Biochem.Biophys.Res.Commun.、153:1038);抗体(Bloeman,PG.ら、1995、FEBS Lett.、357:140;M.Owaisら、1995、Antimicrob.Agents Chemother.、39:180);その異なる種のものが本発明の製剤、並びに発明分子の構成成分を含んでよいサーファクタントタンパク質A受容体(Briscoeら、1995、Am.J.Physiol.、1233:134);p120(Schreierら、1994、J.Biol.Chem.、269:9090)があり、Keinanen,K.及びLaukkanen,ML.、1994,FEBS Lett.、346:123;Killion,JJ.及びFidler,IJ.、1994、Immunomethods、4:273も参照されたい。組成物は、単位投与量又は複数投与量の容器で、例えば密封したアンプル及びバイアルで提供することができ、安定性を高めるために、凍結乾燥した(freeze−dried(lyophilized))状態で貯蔵することができ、その状態は使用直前に無菌の液体担体、例えば注射用水を添加することしか必要としない。無菌の液体担体は別々のバイアル又はアンプルで供給することができ、それは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、その適切な混合物、及び植物油を含む溶媒又は分散媒でもよい。有利には、局所麻酔剤、保存剤や緩衝化剤などの薬剤が無菌の液体担体に含まれてもよい。
【0076】
軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、粉末剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、含浸包帯剤、噴霧剤、エアロゾル剤又は油剤、経皮装置、散粉剤などとして、局所投与に適合された薬剤組成物を製剤することができる。従来の方法によって、活性作用物質を含むこれらの組成物を調製することができる。したがって、それらはまた、保存剤、薬物の浸透を支援する溶媒、クリーム剤又は軟膏剤中の軟化剤や、ローション剤用のエタノール又はオレイルアルコールなど、適合可能な従来の担体及び添加剤も含む。そのような担体は、組成物の約1%から最大約98%として存在してもよい。より一般には、それは組成物の最大約80%を形成する。例示としてに過ぎないが、クリーム剤又は軟膏剤は、十分な量の親水性物質と水を混合することによって、化合物を約5〜10重量%含み、所望の粘調度を有するクリーム剤又は軟膏剤を作製するのに十分な量で調製する。
【0077】
期間を延長するために受容者の表皮と密接させたままにすることを意図する別個の貼付剤として、経皮投与に適合された薬剤組成物を提供することができる。例えば、貼付剤からイオン導入によって活性作用物質を送達することができる。
【0078】
外側の組織、例えば口及び皮膚への適用では、組成物は局所軟膏剤又はクリーム剤として適用することが好ましい。軟膏剤で製剤する場合、活性作用物質をパラフィン系又は水混和性の軟膏基剤とともに使用することができる。或いは、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤とともに活性作用物質をクリームに製剤することもできる。
【0079】
口での局所投与に適合された薬剤組成物には、口内錠、香錠及びうがい薬がある。
【0080】
眼への局所投与に適合された薬剤組成物には点眼剤があり、活性作用物質が、適切な担体、特に水性溶媒中に溶解し又は懸濁している。それには、上記の局所軟膏剤又はクリーム剤も含まれる。
【0081】
担体が固体である直腸投与に適合された薬剤組成物は、単位投与量の坐剤として提供することが最も好ましい。適切な担体には、カカオ脂又は他のグリセリド又は当技術分野で一般に使用される物質があり、好都合なことに、その混合物と(複数の)軟化又は融解担体と混合し、その後冷却及び型成形を行うことによって坐剤を形成することができる。それは、浣腸として投与することもできる。
【0082】
膣投与に適合された薬剤組成物は、膣坐剤、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡沫又は噴霧組成物として提供することができる。これらは、当技術分野で一般に使用される軟化剤又は基剤を含んでもよい。
【0083】
活性作用物質の投与すべき量は、特定の活性作用物質、対象、疾患の性質及び重症度、対象の身体状態、並びに選択した投与経路に従って様々である;適当な投与量は、当業者によって容易に決定することができる。ヒト又は動物における卵巣癌の治療及び/又は予防では、抗体を含む薬剤組成物を、注射や、抗体に基づく臨床用製品について当技術分野で知られている他の投与経路など任意の適切な投与経路を用いて、患者(例えばヒト対象)に、治療又は予防に有効な投与量(例えば腫瘍増殖阻止及び/又は腫瘍細胞遊走阻止が生じる投与量)で投与することができる。
【0084】
組成物は、投与方法に応じて、本発明の活性作用物質を0.1重量%から、好ましくは10〜60重量%以上含んでもよい。
【0085】
本発明の活性作用物質について個々の投与の最適な量及び間隔が、治療する状態の性質及び程度、投与の形態、経路及び部位、並びに治療する特定の対象の年齢及び状態によって決定され、使用する適当な投与法を医師が最終的に決定することが当業者によって認識されるであろう。適宜何回でもこの投与を反復することができる。副作用が生じた場合、通常の臨床診療に従って投与の量及び頻度を変更し又は少なくすることができる。
【0086】
CDCP1ポリペプチドは、卵巣癌の治療及び/又は予防にも役立つ可能性がある。したがって、好ましくはワクチンとして、CDCP1ポリペプチドを含む組成物を治療有効量投与するステップを含む、卵巣癌の治療及び/又は予防の方法が提供される。卵巣癌の治療及び/又は予防用の薬物を製造するためのCDCP1ポリペプチドの使用も提供される。本発明の方法でそれらの使用が提供される場合、CDCP1は、好ましくは単離された形で提供される。より好ましくは、CDCP1ポリペプチドは、少なくともある程度まで精製されている。CDCP1ポリペプチドは、組換えの方法を用いて生成し、合成により生成し、又はこれらの方法の組合せによって生成することもできる。CDCP1ポリペプチドは、実質的に純粋な形で、すなわち実質的な程度まで他のタンパク質を含まない形で提供することができる。
【0087】
当技術分野で周知のプロセスにより、遺伝子工学で作製された、発現系を含む宿主細胞から、組換えCDCP1ポリペプチドを調製することができる。したがって、本発明はまた、CDCP1ポリペプチド又はCDCP1核酸を含む発現系、そのような発現系を用いて遺伝子工学で作製された宿主細胞、組換え技術によるCDCP1ポリペプチドの生成にも関する。無細胞翻訳系を使用して、組換えポリペプチドを生成することもできる(例えば、ウサギ網状赤血球溶解液、コムギ胚芽溶解液、英国、LewesのRoche Diagnostics Ltd.のSP6/T7 in vitro T&T及びRTS100大腸菌HY転写及び翻訳キット、並びに英国、SouthamptonのPromega UKのTNT Quick共役転写/翻訳システム)。
【0088】
組換えCDCP1ポリペプチドの生成では、宿主細胞を遺伝子工学で作製して、CDCP1核酸の発現系又はその一部を組み込むことができる。そのような組み込みは、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEADデキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション(transvection)、マイクロインジェクション、陽イオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング(scrape loading)、弾丸導入(ballistic introduction)や感染など、当技術分野で周知の方法を用いて行うことができる(例えば、Davisら、「分子生物学の基本方法(Basic Methods in Molecular Biology)」、1986、及びSambrookら、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、第2版、Cold Spring Harbour laboratory Press、ニューヨーク州、Cold Spring Harbour、1989を参照)。
【0089】
宿主細胞の代表的な例には、細菌細胞、例えば大腸菌、レンサ球菌(Streptococci)、ブドウ球菌(Staphylococci)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、及び枯草菌(Bacillus subtilis)の細胞;酵母細胞やアスペルギルス(Aspergillus)細胞などの菌類細胞;ショウジョウバエ(Drosophila)S2細胞やスポドプテラ(Spodoptera)Sf9細胞などの昆虫細胞;CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、C127細胞、3T3細胞、HEK293細胞、BHK細胞やBowesメラノーマ細胞などの動物細胞;並びに植物細胞がある。
【0090】
それだけに限らないが、染色体、エピソーム及びウイルスに由来するシステムなど、例えば細菌プラスミドに、バクテリオファージに、トランスポゾンに、酵母エピソームに、挿入エレメントに、酵母染色体エレメントに、バキュロウイルス(baculovirus)、SV40などのパポバウイルス(papova virus)、ワクシニアウイルス(vaccinia virus)、アデノウイルス(adenovirus)、鶏痘ウイルス(fowl pox virus)、仮性狂犬病ウイルス(pseudorabies virus)やレトロウイルス(retrovirus)などのウイルスに由来するベクターや、コスミドやファージミドなどのプラスミド及びバクテリオファージの遺伝性エレメントに由来するものなどその組合せに由来するベクターなど、多様な発現系を使用することができる。発現系は、発現を制御するとともにそれを引き起こす調節領域を含んでもよい。一般に、核酸を維持し、伝播し又は発現させて宿主中でポリペプチドを生成するどんな系又はベクターも使用することができる。上記のSambrookらの文献中に示されているものなどの任意の様々な周知のかつ日常的な技術によって、発現系に適当な核酸配列を挿入することができる。適当な分泌シグナルをCDCP1ポリペプチドに組み込んで、翻訳されたタンパク質を、小胞体腔、細胞膜周辺腔又は細胞外環境へと分泌させることができる。このシグナルは、CDCP1ポリペプチドに対して内因性のものでもよく、或いは異種のシグナルでもよい。
【0091】
CDCP1ポリペプチドを発現させて細胞に基づくスクリーニングアッセイで使用する場合、そのポリペプチドを細胞表面で生成することが好ましい。この場合では、スクリーニングアッセイで使用する前に細胞を収集してもよい。CDCP1ポリペプチドを培地中に分泌させる場合、前記ポリペプチドを単離するために、その培地を回収することができる。細胞内で生成する場合、CDCP1ポリペプチドを回収する前に細胞を最初に溶解しなければならない。
【0092】
組換え細胞培養物から、又は他の生物学的供給源から、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、分子篩クロマトグラフィー、遠心分離法、電気泳動法、及びレクチンクロマトグラフィーを含めた周知の方法によって、CDCP1ポリペプチドを回収し精製することができる。一実施形態では、これらの方法の組合せを使用する。他の実施形態では、高速液体クロマトグラフィーを使用する。さらなる実施形態では、CDCP1ポリペプチドと特異的に結合する抗体を使用して、前記ポリペプチドのCDCP1ポリペプチドを含む試料を除去し、又は前記ポリペプチドを精製することができる。単離及び/又は精製の間にポリペプチドが変性したとき、当技術分野で周知の技術を再折り畳みに使用して、CDCP1ポリペプチドの天然の又は活性型の構造を再生することができる。本発明においては、それだけに限らないが、卵巣組織試料や他の組織試料など、任意の供給源由来の生体試料からCDCP1ポリペプチドを得ることができる。
【0093】
CDCP1ポリペプチドは、「成熟」タンパク質の形態でもよく、或いは融合タンパク質など大きなタンパク質の一部分でもよい。分泌配列又はリーダー配列、プレタンパク質、プロタンパク質又はプレプロタンパク質の配列、或いは親和性タグ、例えば、それだけに限らないが、複数のヒスチジン残基、FLAGタグ、HAタグやmycタグなど精製を援助する配列を含有するさらなるアミノ酸配列を含むと有利であることが多い。組換えによる生成の間に安定性をもたらすことができるさらなる配列を使用することもできる。場合によっては、さらなる配列又はその一部として切断可能な配列を組み込むことにより、そのような配列を必要に応じて除去することができる。したがって、CDCP1ポリペプチドを、他のポリペプチドを含む他の部分と融合することができる。そのようなさらなる配列及び親和性タグは、当技術分野で周知である。
【0094】
アミノ酸置換は、当技術分野で知られているように保存的でもよく、或いは半保存的でもよく、好ましくはポリペプチドの所望の活性に著しく影響を及ぼさない。置換は、天然に生じるものでもよく、或いは、例えば突然変異生成を使用して導入することもできる(例えば、Hutchinsonら、1978、J.Biol.Chem.、253:6551)。したがって、アミノ酸のグリシン、アラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシンは、しばしば互いに置換することができる(脂肪族側鎖を有するアミノ酸)。これらの考えられる置換のうち、グリシン及びアラニンを使用して互いに置換し(それらが比較的短い側鎖を有するため)、バリン、ロイシン及びイソロイシンを使用して互いに置換する(それらが疎水性の大きな脂肪族側鎖を有するため)ことが好ましい。互いにしばしば置換することができる他のアミノ酸には、それだけに限らないが、
フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン(芳香族側鎖を有するアミノ酸);
リシン、アルギニン及びヒスチジン(塩基性側鎖を有するアミノ酸);
アスパラギン酸及びグルタミン酸(酸性側鎖を有するアミノ酸);
アスパラギン及びグルタミン(アミド側鎖を有するアミノ酸);
システイン及びメチオニン(含硫側鎖を有するアミノ酸)があり、
アスパラギン酸及びグルタミン酸は、ホスホセリン及びホスホスレオニンとそれぞれ置換することができる(酸性側鎖を有するアミノ酸)。
【0095】
特定の一実施形態では、(複数の)置換アミノ酸は、CDCP1ポリペプチドの活性に著しく影響を及ぼし、それを具体的に選択して、ペプチドに対するドミナントネガティブ活性を与えることができる。他の実施形態では、(複数の)置換アミノ酸を具体的に選択して、ポリペプチドを構成的に活性にすることができる。
【0096】
修飾には、それだけに限らないが、翻訳後修飾など天然に生じる修飾があり、また突然変異生成によって導入することができるような天然に生じない修飾もある。
【0097】
好ましくは、CDCP1ポリペプチドの誘導体は、図1に示すアミノ酸配列(配列番号1)との同一性が少なくとも70%であり、より好ましくは、同一性が少なくとも75%であり、少なくとも80%であり、少なくとも85%であり、少なくとも90%であり、少なくとも95%であり、又は少なくとも98%である。%同一性は当技術分野で周知の概念であり、例えば、それだけに限らないが、NCBIから利用可能なBLAST(商標)ソフトウェアを用いて算出することができる(Altschul,S.F.ら、1990、J.Mol.Biol.、215:403〜410;Gish,W.及びStates,D.J.、1993、Nature Genet.、3:266〜272;Madden,T.L.ら、1996、Meth.Enzymol.、266:131〜141;Altschul,S.F.ら、1997、Nucleic Acids Res.、25:3389〜3402;Zhang,J.及びMadden,T.L.、1997、Genome Res.、7:649〜656)。
【0098】
CDCP1ポリペプチドの断片も本発明の方法に役立つ可能性があり、それは配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドの断片を含み、その断片の長さ全体にわたる相同性が少なくとも70%である。好ましくは、前記断片は少なくとも長さが10アミノ酸であり、好ましくは、長さが少なくとも20アミノ酸であり、少なくとも30アミノ酸であり、少なくとも50アミノ酸であり、又は少なくとも100アミノ酸である。断片は、図1に示すアミノ酸配列(配列番号1)とのその長さ全体にわたる同一性が少なくとも70%であり、より好ましくは、相同性が少なくとも75%であり、少なくとも80%であり、少なくとも85%であり、少なくとも90%であり、少なくとも95%であり、又は少なくとも98%である。
【0099】
CDCP1ポリペプチドが、卵巣癌の治療及び/又は予防で使用する薬剤組成物の活性作用物質である場合、好ましくは、組換えCDCP1ポリペプチドを使用する。特定の実施形態では、細胞への融合タンパク質の侵入を促進するHIV/Tatタンパク質のタンパク質導入ドメイン(Asoh,S.ら、2002、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、99:17107〜17112)など、他のポリペプチドと融合したCDCP1ポリペプチドを提供して、卵巣癌の治療及び/又は予防用の医薬の製造で使用する。
【0100】
他の態様では、卵巣癌の対象でのCDCP1ポリペプチドの検出を使用して、本発明の方法に従った治療に適した患者集団を特に同定することができる。
【0101】
したがって、本発明は、対象における卵巣癌をスクリーニング及び/又は診断若しくは予後診断し、並びに/或いは卵巣癌治療の有効性をモニターする方法を提供し、その方法は、前記対象から得た生体試料中でCDCP1ポリペプチドを検出及び/又は定量するステップを含む。スクリーニング及び/又は診断の方法で使用するCDCP1ポリペプチドは、好ましくは、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含み、又はそれからなり、
(b)CDCP1の活性を保持する配列番号1のアミノ酸配列に対する1個又は複数のアミノ酸の置換、修飾、欠失又は挿入を有する誘導体であり、或いは、
(c)配列番号1のアミノ酸配列を有するポリペプチドの断片であり、それは少なくとも長さが10アミノ酸であり、その断片の長さ全体にわたる相同性が少なくとも70%である。
【0102】
一態様では、発現は、予め決定した基準範囲と比較する。好ましくは、検出のステップは、
(a)試料を、(a)〜(c)で定義したポリペプチドに特異的な捕捉試薬と接触させるステップと、
(b)試料中で捕捉試薬と前記ポリペプチドの間に結合が生じたかどうかを検出するステップとを含む。
【0103】
他の実施形態では、捕捉されたポリペプチドを、直接的に又は間接的に標識した検出試薬を用いて検出し、その試薬は、固相上に固定化することができる。
【0104】
CDCP1ポリペプチドを検出/定量する好都合な手段では、抗体を使用する。上記に記載のように、当技術分野で知られている方法を用いて、CDCP1ポリペプチドを免疫原として使用して、前記ポリペプチドと相互作用する(結合する又は認識する)抗体を生じさせることができる。したがって、さらなる態様では、本発明は、対象における卵巣癌をスクリーニング及び/又は診断し、或いは抗卵巣癌治療の効果をモニターするための、少なくとも1個のCDCP1ポリペプチドと特異的に結合する抗体の使用を提供する。特定の実施形態では、抗CDCP1ポリペプチド抗体を用いて診断する方法を使用して、本発明の方法に従った治療に適した患者集団を同定することができる。
【0105】
とりわけ、ヒト組織の生体試料、及び/又はその細分画、例えば、それだけに限らないが、膜、細胞質ゾル又は核の細分画中でCDCP1の発現を検出することによって、卵巣癌の診断にCDCP1抗体を使用することもできる。
【0106】
さらなる態様では、生体試料中でCDCP1ポリペプチドを検出する方法は、前記試料中で、直接的に又は間接的に標識した検出試薬を用いてCDCP1ポリペプチドの量を検出及び/又は定量するステップを含む。CDCP1ポリペプチドは、それだけに限らないが、免疫沈降後のドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動、二次元ゲル電気泳動、及びウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降法、沈降素反応、ゲル拡散沈降素反応、免疫拡散法、凝集法、補体結合法、免疫放射定量法、蛍光免疫法やプロテインAイムノアッセイなどの技術を用いた競合的及び非競合的アッセイ系を含めて、当業者に知られている任意のイムノアッセイによって検出することができる。
【0107】
抗体と抗原の相互作用の検出は、検出可能な物質、例えば、それだけに限らないが、酵素(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼなど)、接合団(ストレプトアビジン、アビジン、ビオチンなど)、蛍光物質(ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、フィコエリスリンなど)、発光物質(ルミノールなど)、生物発光物質(ルシフェラーゼ、ルシフェリン、エクオリンなど)、放射性核種(125I、131I、111In、99Tcなど)、陽電子放出金属又は非放射性常磁性金属イオン(米国特許第4,741,900号を参照)と抗体を結合することによって促進することができる。
【0108】
本発明は、上記で定義したCDCP1ポリペプチドに対する捕捉試薬(例えば、抗体)を含む診断キットも提供する。さらに、そのようなキットは、場合によっては、1つ又は複数の以下のものを含んでよい:
(1)スクリーニング、診断、予後診断、治療モニタリング、又はこれらの適用例の任意の組合せ用の捕捉試薬の使用説明書、
(2)捕捉試薬の標識した結合相手、
(3)その上に捕捉試薬が固定化された固相(試薬ストリップ(reagent strip)など)、及び
(4)スクリーニング、診断、予後診断又は治療的使用、或いはその任意の組合せの規制認可を示す標識又は挿入物。
【0109】
捕捉試薬の標識した結合相手が供給されない場合、抗CDCP1ポリペプチド捕捉試薬自体を、検出可能なマーカー、例えば、化学発光部分、酵素部分、蛍光部分、又は放射活性部分(上記を参照)で標識することができる。
【0110】
CDCP1核酸の検出及び/又は定量を、対象における卵巣癌をスクリーニング及び/又は診断若しくは予後診断し、並びに/或いは卵巣癌治療の有効性をモニターする方法に使用できることも、当業者には明らかであろう。
【0111】
場面上示されない限り、CDCP1核酸は、1つ又は複数の以下の性質を有することがある核酸分子を含み、したがって、
d)配列番号2のDNA配列又はそのRNA同等物を含み又はそれからなり、
e)d)の配列に相補的な配列を有し、
f)CDCP1ポリペプチドをコードする配列を有し、
g)d)、e)及びf)のいずれかの配列と実質的な同一性を示す配列を有し、或いは
h)長さが少なくとも10ヌクレオチドであるd)、e)、f)又はg)の断片であることがあり、1つ又は複数の以下の性質を有することがある:
1)それはDNA又はRNAであることがある;
2)それは一本鎖又は二本鎖であることがある;
3)それは実質的に純粋な形であることがある。したがって、それは混入タンパク質及び/又は他の核酸を実質的に含まない形で提供されることがある;及び
4)それはイントロンを有することもあり、或いは(例えばcDNAのように)有さないこともある。
【0112】
CDCP1核酸の断片は、好ましくは長さが少なくとも20ヌクレオチド、少なくとも30ヌクレオチド、少なくとも50ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチド又は少なくとも250ヌクレオチドである。
【0113】
本発明はまた、上記の(d)〜(h)に記載のCDCP1核酸に相補的であり、前記CDCP1核酸とハイブリダイズすることができる核酸の使用も提供する。そのような核酸分子を、「ハイブリダイジング」核酸分子と称する。例えば、それだけに限らないが、ハイブリダイジング核酸分子は、プローブ又はプライマーとして有用である可能性がある。ハイブリダイジング核酸分子は、その長さに沿って、上記の(d)〜(h)の範囲内の核酸分子と高度の配列同一性(例えば、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%の配列同一性)を有することがある。例えば、ハイブリダイジングアッセイでの、上記で論じた任意の核酸分子とハイブリダイズすることができるハイブリダイジング核酸分子の使用も、本発明によって包含されている。
【0114】
ハイブリダイゼーションアッセイを使用して、対象における卵巣癌をスクリーニングし、予後診断し、診断し、又はその治療をモニターすることができる。したがって、そのようなハイブリダイゼーションアッセイは、
i)核酸を含む、対象から得た生体試料を、CDCP1核酸分子とハイブリダイズすることができる核酸プローブと、ハイブリダイゼーションが起こり得るような条件下で接触させるステップと、
ii)生じたハイブリダイゼーションを検出又は測定するステップとを含む。
【0115】
好ましくは、そのようなハイブリダイジング分子は、長さが少なくとも10ヌクレオチドであり、好ましくは長さが少なくとも25ヌクレオチド又は少なくとも50ヌクレオチドである。より好ましくは、ハイブリダイジング核酸分子は、上記の(d)〜(h)のいずれかの範囲内の核酸と特異的にハイブリダイズする。最も好ましくは、そのハイブリダイゼーションは、厳密なハイブリダイゼーション条件下で起こる。厳密なハイブリダイゼーション条件の一例は、試みられたハイブリダイゼーションが約35℃〜約65℃の温度で、約0.9Mの塩溶液を用いて実施される場合である。しかし、当業者なら、プローブの長さ、塩基の組成、存在するイオンの型などの変数を考慮するために、そのような条件を適宜変化させることができるであろう。
【0116】
本発明は、CDCP1ポリペプチドをコードするRNAとハイブリダイズすることができる核酸プローブ、適切な試薬及び使用説明書を含む診断キットも提供する。
【0117】
さらなる実施形態では、1個又は複数の容器中に、ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、Innisら、1990、「PCRプロトコール(PCR Protocols)」、Academic Press,Inc.、カリフォルニア州、San Diegoを参照)、リガーゼ連鎖反応(EP320,308を参照)、Qβレプリカーゼの使用、循環プローブ反応(cyclic probe reaction)や、当技術分野で知られている他の方法などによって、適当な反応条件下でCDCP1核酸分子の少なくとも一部の増幅に使用することができるプライマーの対を含む診断キットが提供される。通常、プライマーは、長さが少なくとも8ヌクレオチドであり、好ましくは、長さが少なくとも10〜25ヌクレオチドであり、より好ましくは、長さが15〜25ヌクレオチドである。いくつかの場合では、長さが少なくとも30ヌクレオチド又は少なくとも35ヌクレオチドのプライマーを使用することができる。
【0118】
さらに他の実施形態では、本発明は、卵巣癌の治療及び/又は予防で使用する薬物の製造での少なくとも1種のCDCP1核酸の使用を提供する。
【0119】
特定の実施形態では、ハイブリダイジングCDCP1核酸分子をアンチセンス分子として使用して、相補的なCDCP1核酸との結合によりCDCP1ポリペプチドの発現を変化させ、卵巣癌の治療及び/又は予防若しくは阻止でそれを使用することができる。アンチセンス核酸には、CDCP1ポリペプチドをコードするRNA(好ましくはmRNA)の一部分とのある種の配列相補性によりハイブリダイズすることができるCDCP1核酸が含まれる。アンチセンス核酸は、そのようなポリペプチドをコードするmRNAのコード領域及び/又は非コード領域と相補的でもよい。最も好ましくは、CDCP1ポリペプチドの発現は、アンチセンス核酸の使用によって阻害される。したがって、本発明は、CDCP1ポリペプチドをコードする遺伝子又はcDNAに対してアンチセンスとなる少なくとも8ヌクレオチドを含む核酸の治療的又は予防的使用を提供する。
【0120】
他の実施形態では、本明細書で定義されるポリペプチドをコードする遺伝子配列を、ポリペプチドの遺伝子発現を低下させる周知の遺伝子「ノックアウト」法であるリボザイム又は三重らせん法と組み合わせて用いることにより、CDCP1ポリペプチドのレベル又は活性を低下させることによって卵巣癌の症状を寛解することができる。この手法では、リボザイム又は三重らせん分子を使用して、遺伝子の活性、発現又は合成を修飾し、それによって卵巣癌の症状を寛解する。突然変異型又は非突然変異型の標的遺伝子の発現を低下させ又は阻害するように、そのような分子を設計することができる。そのような分子を生成し使用する技術は、当業者に周知である。
【0121】
標的相同組換えを用いて、CDCP1ポリペプチドをコードする遺伝子、又はそのような遺伝子のプロモーターを不活性化又は「ノックアウト」することによって、内因性CDCP1ポリペプチド発現を低下させることもできる(例えば、Smithiesら、1985、Nature、317:230〜234;Thomas及びCapecchi、1987、Cell、51:503〜512;Thompsonら、1989、Cell、5:313〜321;及びZijlstraら、1989、Nature、342:435〜438を参照)。例えば、内因性CDCP1遺伝子(ポリペプチドをコードする遺伝子のコード領域又は制御領域)に相同なDNAに隣接する非機能的なポリペプチドをコードする突然変異遺伝子(又は全く無関係のDNA配列)を、選択マーカー及び/又は負の選択マーカーとともに或いはそれを用いずに使用して、標的遺伝子をin vivoで発現する細胞にトランスフェクトすることができる。標的相同組換えによってそのDNA構築物を挿入すると、標的遺伝子が不活性化される。
【0122】
他の実施形態では、核酸を遺伝子治療により投与する(例えば、Hoshida,T.ら、2002、Pancreas、25:111〜121;Ikuno,Y.、2002、Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.、2002、43:2406〜2411;Bollard,C.、2002、Blood、99:3179〜3187;Lee E.、2001、Mol.Med.、7:773〜782を参照)。遺伝子治療とは、発現させた又は発現可能なCDCP1核酸を対象に投与することを指す。当技術分野で利用可能な遺伝子治療のどの方法も、本発明に従って使用することができる。
【0123】
患者への治療用CDCP1核酸の送達は、直接的なin vivo遺伝子治療(すなわち、核酸又は核酸を含むベクターを患者に直接さらす)でもよく、或いは間接的なex vivo遺伝子治療(すなわち、核酸で細胞をin vitroでまず形質転換し、次いでそれを患者に移植する)でもよい。
【0124】
例えば、in vivo遺伝子治療では、CDCP1核酸を含む発現ベクターを、それが細胞内のものとなるように、すなわち、例えば、米国特許第4,980,286号、又はRobbinsら、1998、Pharmacol.Ther.、80:35〜47に記載の欠損型若しくは減弱化レトロウイルスの又は他のウイルスのベクターを用いて感染させることによって投与する。
【0125】
当業者に知られている様々なレトロウイルスベクターは、改変されて、ウイルスゲノムのパッケージング、その後の宿主細胞DNAへの組み込みに不要なレトロウイルス配列が欠失している、Millerら、(1993、Meth.Enzymol.、217:581〜599)に記載のものなどである。非分裂細胞に感染することができるため有利であるアデノウイルスベクターも使用することができ、そのような高容量のアデノウイルスベクターは、Kochanek(1999、Human Gene Therapy、10:2451〜2459)に記載されている。使用することができるキメラウイルスベクターは、Reynoldsらにより記載のもの(1999、Molecular Medicine Today、1:25〜31)である。ハイブリッドベクターを使用することもでき、それは、Jacobyらによって記載されている(1997、Gene Therapy、4:1282〜1283)。
【0126】
裸のDNAの直接注入、又は微小粒子照射(例えば、Gene Gun(登録商標);Biolistic,Dupont)の使用を介する注入、又はそれを脂質で被覆することによる注入を遺伝子治療で使用することもできる。細胞表面受容体/トランスフェクト用化合物を、或いはリポソーム、微小粒子又は微小カプセル中への被包化を介して、或いは核に侵入することが知られているペプチドと結合した核酸の投与によって、或いは受容体媒介性エンドサイトーシスを起こしやすいリガンドと結合した核酸の投与によってそれらを使用して、対象とする受容体を特異的に発現する細胞型を標的とすることができる。
【0127】
他の実施形態では、CDCP1核酸を含む核酸リガンド化合物を生成することができ、その化合物では、リガンドが、エンドソームを破壊するように設計された融合性ウイルスペプチドを含み、それによってその後のCDCP核酸のリソソーム分解が回避される。CDCP核酸は、WO92/06180、WO93/14188及びWO93/20221に記載されているものなどの特定の受容体を標的にすることによって、in vivoで細胞特異的なエンドサイトーシス及び発現の標的とすることができる。或いは、核酸を細胞内に導入し、宿主細胞ゲノム内に組み込んで、相同組換えによって発現させることもできる(Zijlstraら、1989、Nature、342:435〜428を参照)。
【0128】
ex vivo遺伝子治療では、組織培養を用いて遺伝子を細胞内にin vitroで導入し、皮下注射、皮膚移植片への細胞の塗布、造血幹細胞や造血前駆細胞などの組換え血液細胞の静脈内注射など、様々な方法によってその細胞を患者に送達する。
【0129】
遺伝子治療の目的でCDCP1核酸を導入することができる細胞には、例えば、上皮細胞、内皮細胞、ケラチン生成細胞、線維芽細胞、筋細胞、肝細胞及び血液細胞がある。使用することができる血液細胞には、例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球、造血細胞や造血前駆細胞などがある。
【0130】
一態様では、薬剤組成物はCDCP1核酸を含み、前記核酸は、適切な宿主中でCDCP1ポリペプチド又はそのキメラタンパク質を発現する発現ベクターの一部である。具体的には、そのような核酸は、ポリペプチドコード領域と作動的に連結したプロモーターを有し、前記プロモーターは、誘導性又は構成的(場合によっては、組織特異的)である。他の特定の実施形態では、コード配列及び他の任意の所望の配列が、ゲノム内で所望の部位での相同組換えを促進する領域と隣接した核酸分子を使用し、それによって核酸が染色体内で発現する(Koller及びSmithies、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:8932〜8935;Zijlstraら、1989、Nature、342:435〜438)。
【0131】
標準的なクローニング及びスクリーニングの技術を用いて、ヒト細胞中のmRNAに由来するcDNAライブラリーから、発現配列タグ(EST)分析を使用してCDCP1核酸を得ることができる(Adams,M.ら、1991、Science、252:1651〜1656;Adams,M.ら、1992、Nature、355:632〜634;Adams,M.ら、1995、Nature、377:Suppl:3〜174)。CDCP1核酸は、ゲノムDNAライブラリーなどの天然の供給源から得ることもでき、或いは、周知であり商業的に利用可能な技術を用いて合成することもできる。上記に記載のCDCP1ポリペプチドのコード配列を含むCDCP1核酸を使用して、前記ポリペプチドを組換えにより生成することができる。CDCP1核酸は、成熟ポリペプチドそれ自体のコード配列;或いはリーダー配列若しくは分泌配列、プレタンパク質、プロタンパク質若しくはプレプロタンパク質の配列、切断可能な配列、又は親和性タグや、ポリペプチドの生成中の安定性を付与するさらなる配列などの他の融合ペプチド部分をコードするものなど、他のコード配列と読み枠の合った成熟ポリペプチドのコード配列を含んでもよい。好ましい親和性タグには、複数のヒスチジン残基(例えば、Gentzら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci USA、86:821〜824を参照)、FLAGタグ、HAタグ又はmycタグがある。CDCP1核酸はまた、転写非翻訳配列、スプライシング及びポリアデニル化シグナル、リボソーム結合部位や、mRNAを安定化する配列など、5’及び3’の非コード配列を含んでもよい。
【0132】
1個又は複数のアミノ酸の置換、付加又は欠失が、コードされたタンパク質に導入されるように、1個又は複数のヌクレオチドの置換、付加又は欠失をCDCP1核酸のヌクレオチド配列に導入することによって、上記のCDCP1ポリペプチド誘導体を作製することができる。例えば、部位特異的突然変異生成及びPCR媒介突然変異生成を含めて、当業者に知られている標準的な技術を用いて突然変異を導入することができる。好ましくは、必須でないと予想される1個又は複数のアミノ酸残基で保存的アミノ酸置換を行う。
【0133】
ヒト以外の種由来の相同体及びオーソログを含めて、CDCP1ポリペプチドをコードするCDCP1核酸は、厳密なハイブリダイゼーション条件下で、上記の(d)〜(h)で記載されたCDCP1核酸の配列を有する標識プローブを用いて適当なライブラリーをスクリーニングするステップと、前記核酸配列を含む全長cDNA及びゲノムクローンを単離するステップとを含むプロセスによって得ることができる。そのようなハイブリダイゼーション技術は、当技術分野で周知である。厳密なハイブリダイゼーション条件の一例は、試みられたハイブリダイゼーションが約35℃〜約65℃の温度で、約0.9Mの塩溶液を用いて実施される場合である。しかし、当業者なら、プローブの長さ、塩基の組成、存在するイオンの型などの変数を考慮するために、そのような条件を適宜変化させることができるであろう。高度の選択性を得るには、低塩や高温の条件など比較的厳密な条件を使用して二重鎖を形成させる。高度に厳密な条件には、0.5M NaHPO、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA中、65℃でのフィルター結合DNAに対するハイブリダイゼーション、及び0.1×SSC/0.1%SDS中、68℃での洗浄がある(Ausubel F.M.ら編、1989、「分子生物学における現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」第I巻、Green Publishing Associates,Inc.、及びJohn Wiley & Sons,Inc.、New Yorkの2.10.3ページ)。いくつかの適用では、二重鎖形成に厳密性の低い条件が必要となる。中程度の厳密な条件には、0.2×SSC/0.1%SDS中、42℃での洗浄がある(Ausubelら、1989、上記)。ホルムアミドを増量して添加してハイブリッド二重鎖を不安定にすることによって、ハイブリダイゼーション条件をより厳密にすることもできる。したがって、特定のハイブリダイゼーション条件を容易に操作することができ、それは一般に適宜選択される。一般に、50%ホルムアミドの存在下で都合のよいハイブリダイゼーション温度は、本明細書で定義するポリペプチドをコードする遺伝子の断片と95〜100%同一なプローブで42℃、90〜95%の同一性で37℃、及び70〜90%の同一性で32℃である。
【0134】
当業者なら、多数の場合において、ポリペプチドをコードする領域がcDNAの5’末端で切断されて短くなっている点で、単離されたcDNA配列が不完全であることを理解するであろう。これは、もともと処理性(ポリマー化反応の間鋳型との結合を保持する酵素の能力の尺度)が低い酵素である逆転写酵素が、第1鎖cDNA合成の間にmRNA鋳型のDNA複製を完了できない結果生じる。
【0135】
全長cDNAを得、又は短いcDNAを伸長する方法は、当技術分野で周知であり、例えばRACE(cDNA末端の迅速増幅;例えば、Frohmanら、1988、Proc.Natl.Acad.Sci USA、85:8998〜9002)がある。Marathon(商標)技術(Clontech Laboratories Inc.)により例示されるその技術の最近の改変によって、長いcDNAの検索が著しく単純化された。この技術では、選択した組織から抽出したmRNAから調製したcDNAを使用し、その後各末端にアダプター配列を連結する。次いで、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドプライマーとアダプター特異的なプライマーの組合せを用いてPCRを実施して、cDNAの欠けている5’末端を増幅する。次いで、増幅産物にアニールするように設計されている入れ子型プライマー、通常はアダプター配列のさらに3’側にアニールするアダプター特異的プライマーと既知の遺伝子配列のさらに5’側にアニールする遺伝子特異的プライマーを用いてPCR反応を反復する。次いで、DNA配列決定によりこの反応の産物を分析し、その産物を既存のcDNAと直接結合して完全な配列を得、又は新たな配列情報を5’プライマーの設計に用いて別個の全長PCRを実施することにより、全長cDNAを構築することができる。
【0136】
本発明のさらなる態様は、卵巣癌の治療及び/又は予防で使用するワクチン組成物に関する。卵巣癌の治療及び/又は予防用のワクチンの作製で上記に記載のCDCP1のポリペプチド又は核酸を使用することができる。そのような物質は、抗原性及び/又は免疫原性でもよい。抗原性の物質には、抗体を生じさせるのに使用することができ、又は対象中で実際に抗体応答を誘導することができるタンパク質又は核酸が含まれる。免疫原性の物質には、対象中で免疫応答を誘発することができるタンパク質又は核酸が含まれる。したがって、後者の場合、そのタンパク質又は核酸は、抗体応答を発生させるだけでなく、さらに、抗体に基づくものではない免疫応答、すなわち細胞性又は体液性の応答をも発生させることができるものでもよい。抗原性又は免疫原性のポリペプチドの抗原性又は免疫原性の原因である前記ポリペプチドの領域、すなわち1個又は複数のエピトープを同定できることは、当技術分野で周知である。当業者に周知のアミノ酸及びペプチドの特徴を用いて、CDCP1ポリペプチドの抗原性指数(領域が抗原性である確率の尺度)を予測することができる。例えば、それだけに限らないが、「ペプチド構造(Peptidestructure)」プログラム(Jameson及びWolf、1988、CABIOS、4(1):181)、及び「スレッディング(Threading)」と呼ばれる技術(Altuvia Y.ら、1995、J.Mol.Biol.、249:244)を使用することができる。したがって、CDCP1ポリペプチドは、その抗原性/免疫原性の特性が保持されるように、1個又は複数のそのようなエピトープを含んでもよく、そのような領域と十分類似するものでもよい。
【0137】
ポリペプチド又は核酸は、胃内で分解される可能性があるので、ワクチン組成物は、非経口投与することが好ましい(例えば、皮下、筋内、静脈内又は皮内注射)。
【0138】
したがって、さらなる実施形態では、本発明は、
(a)対象中で免疫応答を誘導する際のそのようなワクチンの使用、並びに
(b)CDCP1のポリペプチド又は核酸を、好ましくはワクチンとして対象に有効量投与するステップを含む、対象中の卵巣癌を治療及び/又は予防し、或いは、卵巣癌に対して対象に予防接種する方法を提供する。
【0139】
本発明の各実施形態の好ましい特徴は、必要な変更を加えた他の各実施形態の場合と同様である。それだけに限らないが、本明細書で引用した特許及び特許出願を含めて、すべての刊行物は、個々の各刊行物が、あたかも完全に説明するものであるかのように参照により本明細書に組み込まれることを特別にかつ個々に示されたものであるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
次に、以下の実施例を参照しながら本発明を説明するが、これらの実施例は、例示的なものに過ぎず、どんな形であれ本発明の範囲を限定するものと解釈するべきでない。
【0141】
実施例1:腫瘍由来細胞系からのCDCP1タンパク質の単離
腫瘍由来細胞系の膜中のタンパク質を、SDS−PAGEによって分離し分析した。
【0142】
1a−細胞培養
ヒトの前立腺、結腸直腸の腺癌細胞(HCT−15、HT−29、LoVo、LS174T、SW620及びSW948細胞)、胸部、肝、膵及び腎の細胞(アデノウイルスDNAによって形質転換された胚性腎細胞系の293細胞、腎腺癌の786−O及びACHN細胞、腎癌のA−498及びA−704細胞、腎明細胞癌のCaki−2細胞、腎明細胞腺癌のSW839細胞)を、空気95%及び二酸化炭素5%の加湿雰囲気下で、37℃で増殖させた。
【0143】
1b−細胞の分画化、及び形質膜の生成
精製した膜調製物を細胞系から単離した。付着細胞(2×10個)をPBSで3回洗浄し、プラスチック細胞リフター(lifter)を用いて掻取した。細胞を、4℃、1000×gで5分間遠心し、細胞ペレットをホモジナイズ用緩衝液(250mMスクロース、10mM HEPES、1mM EDTA、1mMバナジウム酸塩及び0.02%アジ化物、プロテアーゼ阻害剤)中で再懸濁させた。球軸受型ホモジナイザー(8.002mm球、HGM Lab equipment)を用いて、約95%の細胞が破壊されるまで細胞を分画化した。Pasqualiらにより記載の方法(Pasquali C.ら、1999、J.Chromatography、722:89〜102ページ)を用いて膜を分画化した。分画化した細胞を、4℃、3000×gで10分間遠心し、核が沈んだ後の上清を、60%スクロースクッション上に重層し、100000×gで45分間遠心した。パスツールピペットを用いて膜を収集し、予め形成した15〜60%のスクロース濃度勾配上にそれを重層し、100000×gで17時間遠心した。分画化したスクロース濃度勾配のタンパク質を、4〜20%の1Dゲル(Novex)で泳動し、ウェスタンブロット法にかけた;アルカリホスファターゼ及びトランスフェリンの免疫活性を含むがオキシドレダクターゼIIの免疫活性もカルネキシンの免疫活性も含まない分画を貯留し、形質膜分画とした。
【0144】
1c−1Dゲル分析用の形質膜分画の調製
トランスフェリンの免疫活性を有するがオキシドレダクターゼIIの免疫活性もカルネキシンの免疫活性も有さない形質膜分画を同定し貯留した。形質膜分画に相当するこの貯留物を、10mM HEPES、1mM EDTA、1mMバナジウム酸塩、0.02%アジ化物で少なくとも4倍に希釈し、SW40又はSW60管に加え、加速と減速を遅くして100000×gで45分間遠心した。得られた膜ペレットから上清を除去し、そのペレットをPBS−CMで3回洗浄した。膜ペレットを、63mM TrisHCl、pH7.4中2%SDSで可溶化した。タンパク質アッセイを行い、その後メルカプトエタノール(終濃度2%)、グリセロール(10%)及びブロモフェノールブルー(終濃度0.0025%)を加えた。タンパク質の終濃度1μg/μlを1D−ゲルへの添加に使用した。
【0145】
1d−1D−ゲル技術
タンパク質又は膜のペレットを1D−試料用緩衝液で可溶化し(約1mg/ml)、その混合物を95℃で5分間加熱した。
【0146】
Bio−Rad(Bio−Rad Laboratories、英国、Hemel Hempstead)から購入した既製8〜16%濃度勾配ゲル上での1D−ゲル電気泳動を用いて試料を分離した。界面活性剤抽出物から得られたタンパク質混合物を30〜50μg含む試料を、マイクロピペットを用いて濃縮ゲルの穴に入れた。分子量マーカー(10、15、25、37、50、75、100、150及び250kDa)を含む穴を、内挿による画像化後の分離ゲルの較正用に含めた。約5時間、又はブロモフェノールブルーマーカー色素がゲルの下部に達するまでゲルに30mAの電流をかけることにより、タンパク質の分離を行った。
【0147】
電気泳動後ゲルプレートを開け、定着液(酢酸10%、エタノール40%、水50%)のトレイにゲルを入れ、1晩振盪した。次いで、プライマー溶液(ミリQ水中7.5%酢酸、0.05%SDS)中で振盪することによってゲルを30分間処理し、その後振盪しながら蛍光色素(7.5%酢酸中0.06%OGS色素)とともに3時間インキュベートした。好ましい蛍光色素は、米国特許第6,335,446号で開示されている。シプロレッド(Sypro Red)(Molecular Probes,Inc.、オレゴン州、Eugene)は、この目的に適した代替の色素である。
【0148】
ストームスキャナー(Storm Scanner)(Molecular Dynamics Inc、米国)で、青色蛍光モードで走査することにより、染色したゲルのデジタル画像を取得した。捕捉した画像を使用して、ゲル内タンパク質分解用に切り出すゲルの領域を決定した。
【0149】
1e−選択したタンパク質の回収及び分析
ゲルの垂直な各レーンを、ステンレス鋼の手術用メス刃を用いて切り出した。トリプシン(改変トリプシン(Modified trypsin)、Promega、米国ウィスコンシン州)でのゲル内消化を用いてタンパク質を処理して、トリプシン消化ペプチドを生成した。回収した試料を2つに分割した。MALDI分析の前に、C18 Zip Tips(商標)(Millipore、マサチューセッツ州、Bedford)を用いて試料を脱塩し濃縮した。C18SPE物質を組み込んでいるナノLCシステム(LC Packings、オランダ、Amsterdam)を用いてタンデム質量分析用の試料を精製した。回収されたペプチド貯留物を、分析の脱離及び反射モードに波長337nmのレーザーを用いてMALDI−TOF質量分析により分析した(Voyager STR、Applied Biosystems、マサチューセッツ州、Framingham)。また、Micromass四重極飛行時間(Q−TOF)型質量分析計(Micromass、英国、Altrincham)を用いて、ナノLCタンデム質量分析(LC/MS/MS)によっても貯留物を分析した。部分的なアミノ酸配列決定及び癌細胞の膜タンパクの同定では、トリプシン消化ペプチドの解釈されていないタンデム質量スペクトルを、SEQUEST検索プログラム(Engら、1994、J.Am.Soc.Mass Spectrom.、5:976〜989)v.C.1版を使用して、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/から到達可能である、米国国立バイオテクノロジー情報センター(National Centre for Biotechnology Information)(NCBI)によって保持されている重複しないデータベース中の登録タンパク質から構築される公知タンパク質のデータベースと突き合わせて検索した。データベースによる同定の基準には、トリプシンの切断特異性、データベースから返されたペプチド中の一組のa、b及びyイオンの検出、及びカルバミドメチル化を明らかにする全Cys残基の質量の増大があった。SEQUESTプログラムを用いた、スペクトルとスペクトルの相関によるタンパク質の同定の後、MALDI−TOF質量スペクトルで検出された質量を、同定したタンパク質内のトリプシン消化ペプチドに割り当てた。SEQUESTプログラムを用いてトリプシン消化ペプチドの解釈されていないMS/MSスペクトルで検索することによりアミノ酸配列を同定することができなかった場合、当技術分野で知られている方法を用いて、ペプチドのタンデム質量スペクトルを手作業で解釈した。(ペプチドイオンの低エネルギー断片化質量スペクトルを解釈する場合、Gaskellら、1992、Rapid Commun.Mass Spectrom.、6:658〜662を参照)。WO02/21139で開示されている方法も使用して、質量スペクトルを解釈した。
【0150】
7個のタンデムスペクトル(太字で示す)、及び3個の質量の整合(太字及び下線)が、癌細胞系のCDCP1に相当するGenBankアクセッション番号NM_022842と整合することが認められた(配列番号1;図1)。
【0151】
実施例2:定量的RT−PCR(Taqman)分析を用いた、卵巣癌中のCDCP1mRNAの発現上昇
Ardais Corp.(マサチューセッツ州、Lexington)から組織試料を入手した。リアルタイムRT−PCRを使用して、卵巣腫瘍組織及び正常組織におけるCDCP1発現を定量的に測定した。PCRに使用するプライマーは以下の通りであった:
センス鎖、5’−tcacagaaaggtatccacgctg−3’(配列番号3)、
アンチセンス鎖、5’−catcctctgcatcattgtactg−3’(配列番号4)。
【0152】
cDNA5ng、SYBRグリーン配列検出試薬(PE Biosystems)、並びにセンス鎖及びアンチセンス鎖プライマーを含む反応物について、ABI7700配列検出システム(PE Biosystems)でアッセイを行った。PCR条件は、50℃で2分間を1サイクル、95℃で10分間を1サイクル、及び95℃で15秒間、65℃で1分間を40サイクルであった。PCR産物の蓄積を、SYBRグリーンの蛍光の増大としてリアルタイムで測定し、配列検出器(Sequence Detector)プログラムv1.6.3(PE Biosystems)を用いてそのデータを分析した。増幅PCR産物を鋳型として用いて、最初の鋳型のコピー数に関する、蛍光及び増幅サイクルに対する標準曲線を作成し、それを使用して各試料中のCDCP1のコピー数を算出した。
【0153】
正常卵巣組織では、比較的低い発現レベルのCDCP1が認められた(図3)。それに対して、4/6例の卵巣腫瘍試料、及び卵巣腺癌細胞系中で、正常卵巣と比較してCDCP1発現のレベルは大きく上昇した(図3)。これらのデータから、CDCP1が卵巣癌における治療処置の標的であることが示唆される。
【0154】
実施例3:抗CDCP1ポリクローナル抗体の生成
配列番号1の残基30〜667を含む、(CDCP1)の予測される細胞外ドメインをコードする(複数の)組換え配列でラットを免疫感作させた。3回の免疫感作で有意な抗CDCP1応答が生じた。この時点で血液を収集し、標準的な方法を用いて、組換えCDCP1タンパク質に対するアフィニティー精製により抗CDCP1ポリクローナル抗体を調製した。
【0155】
実施例4:臨床的な正常組織及び卵巣癌組織でのCDCP1タンパク質発現の免疫組織化学分析
一連の正常組織及び複数の卵巣癌供与組織で、実施例3のポリクローナル抗体を用いて免疫組織化学分析を行った。正常組織は、Medical Solutions Plc、英国、Nottinghamから入手し、それには、胸部、肝、前立腺、甲状腺、脾、十二指腸、肺、卵巣、心臓、回腸、結腸及び膵が含まれた。卵巣腫瘍組織は、Ardais Corp.、メリーランド州から入手した。
【0156】
凍結した正常組織及び腫瘍組織の切片を、室温で15分間解凍し、次いで冷アセトン中で5分間固定した。内因性ペルオキシダーゼ活性を、ペルオキシダーゼブロッキング試薬(DakoCytomation)中で、室温で5分間インキュベートすることによって失活させ、トリス緩衝食塩水(TBS)中に液浸することによって洗浄し、次いで、無血清タンパク質ブロック(DakoCytomation)中で、室温で30分間ブロッキングを行った。次いで、抗CDCP1ポリクローナル抗体(DakoCytomationの抗体希釈液中1μg/ml)を、室温で1時間、組織上でインキュベートし、その後TBS中で2回、それぞれ5分間洗浄した。次いで、1:200に希釈した(抗体希釈液中2.5μg/ml)ビオチン結合2次抗体(ビオチン−SP結合AffiniPureロバ抗ラット抗体、Jackson ImmunoResearch)とともに組織切片を1時間インキュベートした。スライドをTBS中で3回洗浄し、組織を1:500に希釈した(抗体希釈液中1μg/ml)ストレプトアビジン−HRP(Jackson ImmunoResearch)とともに室温で30分間インキュベートし、その後、TBS中、5分間の洗浄を3回行った。抗体シグナルは、抗原部位に茶色の沈殿物を生じさせる3,3’−ジアミノベンチジン基質色素原(DAB+、DakoCytomation)の存在下で5分間インキュベートすることによって得られた。切片をヘマトキシリン(DakoCytomation)中で対比染色し、水性封入剤(Faramount、DakoCytomation)を用いてカバーガラス下に封入した。
【0157】
結腸、回腸及び膵でわずかに弱いCDCP1発現が認められ、他の正常組織はすべて陰性であった。凍結卵巣癌供与組織14例(Ardais Corp.、メリーランド州)中のCDCP1発現も調べた。供与組織の65%が十分な腫瘍組織染色を示し、明細胞型(2/2例)及び類子宮内膜型(2/3例)のサブタイプが最も強い染色を示した(表1)。
【0158】
【表1】

【0159】
実施例5:CDCP1は、CDCP1を内因性に発現している卵巣癌細胞系と抗CDCP1抗体が結合した後内在化する
卵巣癌由来のOvCar3細胞を、8穴チャンバースライドの1チャンバー当たり細胞5×10個の密度で播き、通常通り(37℃、5%CO)24時間インキュベートした。培地を除去し、冷ダルベッコPBS(Dulbecco’s PBS)(DPBS)で細胞を注意深く洗浄した。冷無血清DMEM/F12培地200μl中で1μg/mlの抗CDCP1ポリクローナル抗体(実施例3を参照)及びアイソタイプ対照抗体を調製し、それをそれぞれのチャンバーに添加し、4℃で20分間インキュベートした。DPBSで細胞を2回洗浄し、0時間目の試料を4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で10分間固定した。残っているチャンバーに温めた培地を添加し、細胞を30分間、1時間及び2時間インキュベートした後固定した。固定後、細胞をDPBSで2回洗浄し、次いで、0.1%サポニン/5%ロバ血清のDPBS溶液中で、ブロッキング/浸透化を室温(RT)で20分間行った。次いで、5%ロバ血清/PBS中で1:200に希釈した(10μg/ml)ビオチン化ヤギ抗ラットIgGを添加して室温で1時間置いた後、DPBSで3回洗浄した。0.1%サポニン/5%ロバ血清/PBS中で1:500に希釈したエクストラアビジン(Extravidin)−Cy3(Sigma−Aldrich)を加えて30分間置いた後、PBSで3回洗浄した。次いで、蛍光増強性封入剤(DakoCytomation、英国、Ely)で細胞を封入し、Leica Microsystemsの×63油浸対物レンズ付き蛍光顕微鏡を用いてそれを調べた。
【0160】
これらの研究の結果から、温めた培地を加えた後最初の1時間以内では、CDCP1抗体複合体が主に形質膜に局在したことが明らかとなった。しかし、2時間後、CDCP1抗体複合体が内在化することを示す明らかな証拠が認められ、膜が弱く染色され、細胞内(エンドソーム)が強く染色された。これらの結果から、CDCP1が、抗体を使用する、最も好ましくは抗体依存性細胞傷害の手法を使用する卵巣癌の治療に適した標的であることが示唆される。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】CDCP1ポリペプチドのアミノ酸配列(配列番号1)を示す図である。タンデム質量スペクトルは太字で示し、質量の整合は太字及び下線で示す。
【図2】CDCP1ポリペプチドをコードする核酸配列(配列番号2)を示す図である。
【図3】CDCP1mRNAの組織分布を示す図である。正常組織並びに卵巣癌の細胞系及び組織中のmRNAのレベルを、リアルタイムRT−PCRで定量した。mRNAレベルは、cDNA1ng当たりのコピー数として表す。試料CI06829T、CI06326T、CU01081T、CU06481T、CI00069T及びCI05532Tは、卵巣腺癌の試料である。試料CI214T、CU9398T及びCI6902Tは、骨肉腫に由来する。OV90、SK OV3及びTOV112Dは、ヒト卵巣腺癌の細胞系である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵巣癌の治療及び/又は予防用の薬物を製造するための、CDCP1ポリペプチドと相互作用し、或いはその発現又は活性を調整する作用物質の使用。
【請求項2】
前記作用物質が抗体、その機能的に活性な断片、誘導体又はアナログである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記抗体が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又は二重特異性抗体であり、或いは、治療に関する部分、検出可能な標識、2次抗体若しくはその断片、エフェクター若しくはレポーター分子、細胞傷害性作用物質又はサイトカインと結合している、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
卵巣癌の治療及び/又は予防用の薬物を製造するためのCDCP1ポリペプチドの使用。
【請求項5】
前記薬物がワクチンである、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記CDCP1ポリペプチドが、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含み又はそれからなり、或いは
(b)配列番号1のアミノ酸配列と比べて1個又は複数のアミノ酸の置換、変更、欠失又は挿入を有する誘導体であってCDCP1ポリペプチドの活性を保持するものである、請求項1から5までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
卵巣癌の治療及び/又は予防の方法であって、CDCP1ポリペプチドと相互作用し、或いはその発現又は活性を調整する作用物質を治療有効量投与するステップを含む方法。
【請求項8】
前記作用物質が抗体、その機能的に活性な断片、誘導体又はアナログである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗体が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又は二重特異性抗体であり、或いは、治療に関する部分、検出可能な標識、2次抗体若しくはその断片、エフェクター若しくはレポーター分子、細胞傷害性作用物質又はサイトカインと結合している、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
卵巣癌の治療及び/又は予防の方法であって、CDCP1ポリペプチドを含む組成物を治療有効量投与するステップを含む方法。
【請求項11】
前記組成物がワクチンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記CDCP1ポリペプチドが、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含み又はそれからなり、或いは
(b)配列番号1のアミノ酸配列と比べて1個又は複数のアミノ酸の置換、変更、欠失又は挿入を有する誘導体であってCDCP1ポリペプチドの活性を保持するものである、請求項7から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
CDCP1ポリペプチドと相互作用する抗卵巣癌作用物質をスクリーニングする方法であって、
(a)前記ポリペプチドを候補作用物質と接触させるステップと、
(b)前記候補作用物質が前記ポリペプチドと相互作用するか否かを判定するステップとを含む方法。
【請求項14】
前記候補作用物質とCDCP1ポリペプチドの相互作用の判定が、前記候補作用物質と前記ポリペプチドの結合を定量的に検出するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
CDCP1ポリペプチドの発現又は活性を調整する抗卵巣癌作用物質をスクリーニングする方法であって、
(i)候補作用物質の存在下での前記ポリペプチドの発現又は活性を、前記候補作用物質の不在下又は対照作用物質の存在下での前記ポリペプチドの発現又は活性と比較するステップと、
(ii)前記候補作用物質が前記ポリペプチドの発現又は活性を変化させるかどうかを判定するステップとを含む方法。
【請求項16】
前記ポリペプチドの発現又は活性を所定の基準範囲と比較する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第(ii)部が、さらなる試験のために、或いは治療的又は予防的使用のために、抗卵巣癌作用物質として、前記ポリペプチドと相互作用し、或いはその発現又は活性を調整する作用物質を選択するステップをさらに含む、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
請求項13から17までのいずれか一項に記載の方法によって同定される作用物質であって、前記ポリペプチドと相互作用し、或いはその発現又は活性を変化させる作用物質。
【請求項19】
対象における卵巣癌をスクリーニング及び/又は診断若しくは予後診断し、並びに/或いは卵巣癌治療の有効性をモニターする方法であって、前記対象から得た生体試料中でCDCP1ポリペプチドの発現を検出及び/又は定量するステップを含む方法。
【請求項20】
前記ポリペプチドの発現を、予め決定した基準範囲又は対照と比較する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記検出のステップが、
(a)前記試料を、CDCP1ポリペプチドに特異的な捕捉試薬と接触させるステップと、
(b)前記試料中で前記捕捉試薬と前記ポリペプチドの間に結合が生じたかどうかを検出するステップとを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(b)が、捕捉されたポリペプチドを、直接的に又は間接的に標識した検出試薬を用いて検出することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記捕捉試薬を固相上に固定化する、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
CDCP1ポリペプチドと特異的に結合する抗体を用いて前記ポリペプチドを検出及び/又は定量する、請求項13から17までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記抗体が、検出可能な標識、或いは2次抗体又はその断片と結合している、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
CDCP1ポリペプチドに特異的な捕捉試薬、試薬及び使用説明書を含む診断キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−513873(P2007−513873A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536183(P2006−536183)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004502
【国際公開番号】WO2005/042102
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(501460693)セルテック アール アンド ディ リミテッド (29)
【Fターム(参考)】