説明

卵巣癌査定のための尿のメソセリン/巨核球可能化因子関連ペプチド(mesothelin/megakaryocytepotentiatingfactorfamilypeptide)の検出

本発明は、メソセリン(mesothelin)、巨核球可能因子(megakaryocyte potentiating factor)と関連するアミノ酸配列(amino acid sequences)を有するペプチド(peptides)と卵巣癌患者の血清中の発生に関係する他のペプチドの女性の尿中の発生を査定するための方法とキットに関するものである。その方法とキットは、女性の卵巣癌を診断し、その他の点では、無症候の女性の卵巣癌の展開を予測し、卵巣癌治療法の効果を査定するために使用することができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
卵巣癌査定のための尿のメソセリン/巨核球可能化因子関連ペプチド(mesothelin/megakaryocyte potentiating factor family peptide)の検出。
【背景技術】
【0002】
本発明は、一般的に女性の卵巣癌の診断に関するものである。
【0003】
卵巣癌は米国における女性の癌死亡の主要な原因のひとつである。卵巣癌患者の間で死亡率が比較的高い理由のひとつは、この疾病が進行した状態になるまでしばしばそうと診断されないことにある。
【0004】
卵巣腫瘍は腫瘍が発生した細胞のタイプ、腫瘍細胞の形態学、および腫瘍の進行段階によって分類できる。
【0005】
卵巣腫瘍は次の3つの卵巣細胞のタイプのいずれからでも−上皮細胞、生殖細胞、間質細胞のいずれからでも起こりうる。上皮卵巣腫瘍(EOTs)は全卵巣腫瘍の85%以上を占める卵巣腫瘍の最も一般的なタイプである。EOTsは卵巣の外側表面を覆う上皮細胞から発生する。ある種のEOTsは良性で医学的損傷は比較的に殆どない。併し悪性のEOTsは無制御に成長し近くの細胞を侵し又は離れた身体部分に転移する。生殖細胞卵巣腫瘍は卵子生産細胞から発生し、やはり良性のものと悪性のものとがある。間質卵巣腫瘍は卵巣結合組織細胞から発生するが比較的まれである。
【0006】
EOTsは上皮卵巣腫瘍を構成する細胞の種類によってさらに特徴づけられている。確認されている細胞の種類としては血清、粘液嚢胞、子宮内膜、および明細胞がある。ある種のEOTsはこれらの細胞種のなかで明確に区別できないものがあり、これらの区別できないEOTsが明確に区別できるEOTsの種類よりもより早く成長し蔓延する傾向がある。
【0007】
EOTsはまた等級と段階によっても分類される。腫瘍の等級はその肉眼で見える外観を著すものである。等級1腫瘍は、通常の卵巣組織に近似する傾向を有し、比較的良好な予後診断がなされる傾向を有している。等級3腫瘍は異常な外観を有する傾向があり、普通、悪い予後診断がなされる。等級2の腫瘍は等級1と等級3の中間である。腫瘍の段階とは腫瘍がその元の状態から広がった度合い又は範囲を示すものである。段階1の卵巣腫瘍は1つ又は両方の卵巣に限られる。段階1の中での等級づけとしては、1つの卵巣内部に限られる腫瘍(段階1A),両卵巣内部にかぎられる腫瘍(段階1B),1つ又は両卵巣の表面に現れ、破裂したカプセルを有する1つまたはそれ以上の卵巣の状態で、或いは腹水に存在する腫瘍細胞又は腹膜洗浄で検出された腫瘍細胞と関連する腫瘍(段階1C)であらわされる。段階2卵巣腫瘍は卵巣をこえて骨盤内に広がったものである。段階2内の等級づけとしては、子宮や卵管の1つ又は両方に広がった腫瘍を段階2Aとあらわし、他の骨盤臓器に広がるか、腹水に存在するか腹膜洗浄で検出された腫瘍細胞と関連した腫瘍を段階2Bとしてあらわす。段階3卵巣腫瘍は骨盤をこえてリンパ節にひろがるか骨盤、リンパ節両方にひろがったものである。段階4卵巣腫瘍は腹膜腔をこえた臓器に広がったものである。
【0008】
卵巣腫瘍の早期診断は腫瘍の効果的治療のためにも患者の生存を伸ばすためにも重要である。卵巣癌の早期診断はこの疾病が進んだ状況に進行するまで目に見える兆候が殆どないという事実から判りにくいものである。卵巣腫瘍のための現存する診断テストには、効果的治療を与えるのに十分なほど早期な段階の卵巣癌を検出するのにあまねく成功しているといえるものはない。現存するテストが十分早期の卵巣癌を検出しない理由は完全には判っていない。例えば、いくつかのテストは腫瘍細胞から放出されるマーカーに依存しているが、その放出レベルは腫瘍の大きさが比較的大きく成長するまでは検出したと信頼できるにはあまりにも低いレベルなのである。
【0009】
人々によって卵巣癌診断に用いられたマーカーにはCA125(ハリラほか、1987、Br. J. キャンサー、56(2):153−156(Halila et al., Br. J. Cancer 56(2):153-156))、癌性胎児抗原 (carcinoembryonic antigen)(CEA;ジュエイほか、1997、ジネコルオンコル67(3):259−271(CEA; Juweid et al., 1997 Gynecol. Oncol 67(3):259-271))、血管内皮成長因子(vascular endothelial growth factor)(VEGF;キャンディド ドス レイスほか、2002、ジネコルオブステットインベスト54(3):132−136(VEGF; Candido Dos Reis et al., Gynecol. Obstet. Invest. 54(3)132-136)、尿ゴナドトロピンペプチド(urinary gonadotropin)(UGP;シュッターほか、アンチキャンサー レス19(6C):5551−5557(UGP;Schutter et al., 1999, Anticancer Res. 19(6C):5551-5557)、ネオプテリン(neopterin),ザルカほか、1988、アクタチアヒュング29(4):359−364(Szarka et al., 1988, Acta Chir. Hung. 29(4):359-364))、CD44 スプライスヴァリアント(splice variants) (ウールスタイドほか、1995、オンコロジィ52(5):400−406(Uhl-Steidl et al., 1995, Oncology 52(5):400-406)),尿システインプロテナーゼ(urinary cysteine proteinase)(UCP;ガオほか、1996、ヒュアキイイケダクェクェバオ27(3):291−294(UCP; Gao et al., 1996, Hua Xi Yi Ke Da Xue Xue Bao 27(3):291-294)), 抗マリグニン抗体(anti-malignin antibody)(ボゴッホほか1991、ランセット337:927)(Bogoch et al., Lancet 337:927)), 腫瘍関連トリプシン抑制剤(tumor-associated trypsin inhibitor)(TATI;メドルほか、1995、Br. J. キャンサー、71(5):1051−1054(TATI; Medl et al., 1995, Br. J. Cancer 71(5):1051-1054)); ハリラほか、1988、Br. J. キャンサー、57(3):304−307(Halia et al., 1988, Br. J. Cancer 57(3)304-307)). クドーほか(1999、ジネコルオブステットインベスト47(1):52−57(Kudoh et al., Gynecol. Obstet. Invest 47(1);52-57))は、乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase)(LDH)、アルファーヒドロキシ酪酸脱水素酵素(alpha-hydroxybutyrate dehydrogenase) (aHBDH)、CA19−9,組織ポリペプチド抗原(tissue polypeptide antigen)(TPA),シアリルTN(STN)を含むいくつかの他のEOTs用血清マーカーの有用性を比較した。この段落にあげられたマーカーはどれも卵巣癌患者それぞれに異常量で存在しているわけではない。
【0010】
メソセリンは少なくとも中皮細胞、中皮腫、いくつかの扁平上皮癌、及び卵巣癌の表面に発現されたタンパク質である(チャングほか、1996、プロック.ナショナル.アカデミ.サイエンス.USA93:136−140(Chang et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci USA 93:136-140))。メソセリンは文献に記載されている(例えば、米国特許第6,083,502号)。メソセリンと結合する抗体についても記載されている。例えば、K1と称される単クローン性の抗体が米国特許第5,320,956に記載されており、受入番号HB10570としてアメリカ基準培養物収集展示場(American Type Culture Collection)(ATCC;10801大学通り;マナサス、バージニア20110−2209;USA)に他の人によって預託されたハイブリドーマによって分泌される。抗体K1は卵巣癌や他の細胞の表面に見出される約40キロダルトンのタンパク質と結合することが判明されている(チャングほか、1996、プロック.ナショナル.アカデミ.サイエンス.USA93:136−140(Chung et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93(1):136-140))。メソセリンと呼ばれるそのタンパク質はより大きな(約69キロダルトン)前駆タンパク質から得られ、その配列は図1に示されている。ショラーら(1999、プロック.ナショナル.アカデミ.サイエンス.USA96(20):11531−11536(Scholler et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96(20):11531-11536))は、メソセリン(methothelin)や巨核球可能化因子(megakaryocyte potentiating factor)(MPF)のアミノ端末配列に高度に類似するアミノ酸配列を有する抗原が卵巣癌にかかった多くの患者の血清中に発生することを確認した。ショラーは、この抗原が卵巣癌の診断のための有用な血清マーカーたりうると提案している。
【0011】
有用な診断テストというものは患者のなかの卵巣癌の発生を検出できることだけであってはならず、それがまた安価、非侵襲性で使いやすいものであることが望ましい。テスト用担体として血液や血清を用いる診断テストは審査される患者から血液を抜き取らねばならず、時として抜き取った血液サンプルは更に分離、精製、または他の処理を必要とする。血液の抜き取りは訓練されたヘルスケア従事者によってなされねばならず、患者にとっては苦痛の多い侵襲的なもので、血液サンプルの貯蔵と輸送のための専門設備と試薬が必要で血液からの病原体の伝染の危険を有している。それに較べ、尿サンプルは殆ど又は全く専門的な設備を要さずに収集でき、ヘルスケア従事者によるしっかりした監視を必要とせず、患者の通常の生理上のプロセスの一部としてつくることができ、一般に伝染病の重要な原因とはならない。これらの理由から、テスト用担体として尿サンプルを用いた診断テストは血液サンプルで行われる同等のテストより好ましい。
【0012】
本発明は、尿サンプルを使って実行でき、疾病進行の早期段階での卵巣癌検出に用い得る卵巣癌診断テストを提供する。
【発明の開示】
【0013】
本発明は女性における卵巣癌(即ち、上皮、間質、生殖細胞卵巣癌の1つ又はそれ以上)の診断方法に関する。その方法は女性から採取した尿素中のメソセリン及び/又は巨核球可能化因子族(MMPFF)ペプチド(mesothelin/megakaryocyte potentiating factor family peptide)の発生を査定することを含んで構成されていることを特徴とする。尿中のMMPFFペプチドの発生はその女性が卵巣癌にかかっていることを示している。
【0014】
1つの実施形態においては特にMMPFFペプチドと結合する第1抗体と尿 (又は遠心分離した尿)を接触させることによって女性の尿のなかのMMPFFペプチドを査定する。MMPFFペプチドがこの第1抗体と結合したかを査定することによって女性の尿のなかのMMPFFペプチドの発生を査定することが出来る。例えば、第1抗体がロボット装置で自動分析するのに適合するように作製されたプラスチックのマルチウエルプレートのような基板に結び付けることが出来る。MMPFFペプチドと第1抗体の結合は、例えば第1抗体と特にMMPFFペプチドと結合する第2抗体を接触させ第1と第2の抗体が一緒に局在しているかを査定することによって評価できる。第2抗体は酵素、放射性核種、発蛍光団、及び発色団を構成する群から選定された化合物で検出可能にラベル付けすることが出来る。
【0015】
例として、この方法は結合している抗MMPFFペプチド捕獲抗体を有するプレートと女性から採取した尿とを接触させることから構成されている。尿は10分又は1時間のような任意の時間プレートで熟成することが出来る。そのプレートは次いで、捕獲抗体が結合するよりも強くMMPFFペプチドのエピトープと結合するビオチン化した第2抗体と接触することができる。ストレプタビディン(streptavidin)結合酵素はビオチン化した抗体と結合して発色性担体(例えば西洋わさびペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase)の発色性担体である3、3'、5、5’−テトラメチルベンジジン)の存在のもとに検出を可能にする。勿論、第2抗体はそれに代えて蛍光体でのラベル付け、放射能でのラベル付け、または他の方法で検出できるようにラベル付けすることが出来る。
【0016】
卵巣癌を診断するための方法についての他の実施形態において、第1の抗体が、第1の抗体と尿が接触しているラベル付けしたその担体と接触される。尿と接触した第1抗体と結合するラベルをつけた配位子の量と、尿と接触しなかった第1抗体の相当量と結合するラベルをつけた配位子の量を比較することによって尿からどのくらいの量のMMPFFが第1抗体と結合したかを査定することができる。
【0017】
ここに記載されるキットと方法が自然に発生するMMPFFペプチド(即ちメソセリンと卵巣癌患者の体から自然に造りだされるようなタンパク質の部分のような両全長タンパク質)と合成的に造られたMMPFFペプチドを含む種々のMMPFFペプチドを検出するのに用いることができる。MMPFFペプチドのアミノ酸配列は、配列ID番号1から5よりなる群から選択された1つの配列の少なくとも10(20、50、又は200)の連続する残基から構成されていることを特徴としている。その代わり、MMPFFペプチドは少なくとも20の連続アミノ酸残基の部分から構成され、その部分のアミノ酸配列は、配列ID番号1から5よりなる群から選択された1つの配列の20の連続する残基と少なくとも90%(又は95%)同じであることを特徴としている。
【0018】
ここに開示されたキットと方法は、他の卵巣癌マーカーの発生(尿または血清中での)の査定のための既知またはこれから開発されるキットや方法とともに用いることが出来る。例をあげれば、尿に発生することが知られている卵巣癌のマーカーは尿ゴナドトロピンペプチド(urinary gonadotropin peptide)、システインプロテイナーゼ(cysteine proteinase)、ネオプテリン(neopterin)、腫瘍関連トリプシン抑制剤(tumor-associated trypsin inhibitor)である。既知の血清卵巣癌マーカーにはCA125、癌性胎児抗原、血管内皮成長因子(vascular endothelial growth factor)、腫瘍関連トリプシン抑制剤(tumor-associated trypsin inhibitor)、CD44スプライス変形体(splice variants)、抗マリグニン抗体(anti-malignin antibody)、乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase)、アルファーヒドロキシ酪酸脱水素酵素(alpha-hydroxybutyrate dehydrogenase)、CA19−9、組織ポリペプチド抗原(tissue polypeptide antigen)、及びシアリルTNがあげられる。CA125は卵巣癌の発生、進行のための代理マーカーとして知られている。女性の尿中のMMPFFペプチドの発生の査定は女性の血清中のMMPFFペプチドの査定と関連して同様に行うことが出来る。
【0019】
殆ど同じキットと方法が女性の卵巣癌にかかっている可能性を査定するのに用いられる。即ち、採取された尿の中にMMPFFペプチドが発生している女性は、他の点では同じで且つ尿の中にMMPFFがない女性よりも卵巣癌にかかっている可能性が高いということを示すものである。
【0020】
殆ど同じキットや方法が女性の卵巣癌の治療の効能を査定するのに用いられる。治療後の女性から採取した尿中のMMPFFペプチドの量は治療前のその女性のMMPFFの量と比較される。治療後の尿中のMMPFFペプチドの量が少ないことはその治療の効果があったことを示している。同様に、治療後の尿中のMMPFFペプチドの量が多いことはその治療の効き目がなかったことを示している。そのようなキットや方法は種々の治療薬や養生法の効能の比較に用いることが出来る。
【0021】
別の観点において、本発明は女性から採取した尿中のMMPFFペプチドの発生を査定するキットに関するものである。そのキットはMMPFFペプチドと結合するための第1薬剤(例えば抗体)と、尿と第1薬剤との接触を記述する使用説明書とから構成されている。キットの構成は決定的なものではなくELISA、ラテックスビーズ凝集体、表面プラズモン共鳴形式のような多くの標準形式を使うことが出来る。そのキットには積極的なコントロールとして用いるためのMMPFFペプチドを含めることが出来る。勿論、そのキットに卵巣癌の他の既知のマーカーを評価するための試薬を含めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
アミノ酸配列を含んでいるすべての図において、標準単一文字アミノ酸コードはアミノ酸残基を代表するのに用いられる。
【0023】
図1はメソセリン前駆タンパク質のアミノ酸配列(配列ID番号:1)である。この配列はゲンバンク(登録商標)(GENBANK(登録商標))受入番号2207386Aにリストされているものと同じで、チャングほか、1996、プロック.ナショナル.アカデミ.サイエンス.USA93(1):136−140(Chung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93(1):136-140)に報告されている.
【0024】
図2は巨核球可能化因子(megakaryocyte potentiating factor)(MPF)前駆タンパク質のアミノ酸配列(配列ID番号:2)である。この配列はゲンバンク(登録商標)(GENBANK(登録商標))受入番号NP005814と同じで、ヤマグチほか、1994、J.ビオル.ケミ.269(2):805−808(Yamaguchi et al, 1994, J. Biol. Chem.269(2):805-808)に報告されている。
【0025】
図3はMPF前駆タンパク質の可溶性変形型で部分アミノ酸配列(配列ID番号:3)でゲンバンク(登録商標)(GENBANK(登録商標))受入番号AF180951にリストされショラーら1999、プロック.ナショナル.アカデミ.サイエンス.USA96(20):11531−11536(Scholler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96(20):11531-11536)に報告されている。
【0026】
図4Aおよび4Bからなる図4は配列ID番号1の残基294−628と配列ID番号2のほぼ同じ部分との比較である。残基の数が右の余白に表記されている。「MST」はメソセリンを意味する。「MPF」は巨核球可能化因子(megakaryocyte potentiating factor)を意味する。この配列において、同じアミノ酸残基は垂直線で示され、同類アミノ酸置換はクロス(+)で示され、ダッシュ(−)は配列を合せるために配列ID番号2に挿入した隙間を意味している。
【0027】
図5Aおよび5Bからなる図5は配列ID番号1から3の同じ部分の比較である。残基の数は右の余白にあげられている。「MST」はメソセリンを意味する。「MPF」は巨核球可能化因子(megakaryocyte potentiating factor)を意味する。「SMR」はMPFの可溶性変形型でその配列は図3にあげられている。この配列で、3つの配列で同じになっている残基は大文字の単一文字コードによって示され、3つの配列すべてにおいて同一でない残基は小文字の単一文字コードによって示され、配列を合せるために挿入した隙間はダッシュ(−)で表されている。
【0028】
図6は、図6Aおよび6Bからなる。図6Aは、アミノ酸配列(配列ID番号4)でここに記載される抗体の発生に好ましいエピトープを含んでいる。図6Bは、アミノ酸配列(配列ID番号5)でここに記載される抗体の発生に好ましいエピトープを含んでいる。配列ID番号4及び5のそれぞれにおいて、下線を引いた太字のXは何らかのアミノ酸残基を示し、アスパラギン酸塩またはアスパラギンのいずれかであることが好ましい。図6Aにおいてその他の下線を引いた太字の残基は図6Bに示される配列には存在しない残基を示している。
【0029】
図7は、CA125II抗体の血清レベル(左から右に斜め下に伸びる線条のある棒)とMMPFFペプチドの尿レベル(左から右に斜め上に伸びる線条のある棒)を示す棒グラフで、ここに開示されたように査定されたものである。査定は1から4として示されている4人の患者について卵巣癌診断時(a)と手術着手から約1ヵ月後(b)の両方で行われた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明はメソセリン(mesothelin)、巨核球可能化因子(megakaryocyte potentiating factor)(MPF)、及びMPFの可溶性変形物を含むタンパク質族と類似な重要なアミノ酸配列を有する1つ又はそれ以上のポリペプチドが卵巣癌にかかっている女性の尿の中に発生しているという発見に関係してる。これらの尿ポリペプチドはその族のタンパク質に対抗する抗体と特に結合する。患者の尿中にこれらのポリペプチドが発生しているということはその患者が卵巣癌にかかっているという診断である。ポリペプチドの量は卵巣癌の効果的な治療によって減少する。このように、尿ポリペプチドは抗卵巣癌治療の効果を査定するのにも用いられる。
【0031】
定義
【0032】
ここに用いられるように、次の用語の各々はこの章内でそれと関連する意味を有している。
【0033】
メソセリン/巨核球可能化因子族ペプチド(mesothelin/megakaryocyte potentiating factor family peptide)(MMPFFペプチド)は(i)配列ID番号1から5よりなる群から選択された1つの配列の少なくとも10の連続的な残基からなるか、(ii)少なくとも20の連続アミノ酸残基の一部からなり、その部分のアミノ酸配列は配列ID番号1から5よりなる群から選択された1つの配列の20の連続残基と少なくとも90%(好ましくは少なくとも95%又は100%)同一であるかのいずれかのアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0034】
「抗体」というのは集合的にまた個別に免疫性グロブリン分子、免疫性グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、即ち特にMMPFFペプチドと結合する抗原の結合サイトを含む分子に対して集合的及び個別に当てはまるものである。特にMMPFFペプチドと結合する分子はそのペプチドと結合するが当然ポリペプチドを含んでいる試料(例えば尿サンプル)のなかの他の分子とは殆ど結合しない分子である。免疫性グロブリン分子の免疫学的活性部分の例には、抗体がそれぞれパパイン又はペプシンのような酵素と処理されることによって発生できるF(ab)とF(ab')フラグメントが含まれている。多クーロン性と単クーロン性の一方又は両方の抗体がここに記載される方法とキットに用いられる。
【0035】
「単クーロン抗体」という語は特定のエピトープと免疫学的に反応することのできる抗原結合サイトの一種のみを含む抗体分子の集団をいう。
【0036】
「ラベル付けした」という語は抗体またはペプチドに関するもので、検出可能物質をペプチド又は抗体にカップリング(即ち物理的に結合する)することによって直接ペプチド又は抗体にラベルを付けることと、それを直接ラベル付けされる他の試薬とカップリングすることによってペプチド又は抗体を間接的にラベル付けすることを含んでいる。間接ラベル付けの例には蛍光ラベル付けした第2抗体を用い蛍光ラベル付けしたストレプタビディン(streptavidin)で検出できるようペプチドをビオチンで末端ラベル付けすることで基本の3抗体を検出することを含んでいる。
【0037】
「使用説明書」というのは刊行物、記録、図表、又はここに記載されているキットをどのように使うかを伝達するのに用いることが出来るその他の表現媒体と、卵巣癌に関係するものとして尿中のMMPFFの発生を解釈するための情報、またはその両者である。本発明のキットについての使用説明書は例えば本発明のキットを含む容器に添付されるか、キットをいれた容器と一緒に出荷することができる。代わりに、使用説明書は容器と別に出荷することが出来るが意図としては使用説明書とキットを受取人が一緒に使うようにということである。
【0038】
詳細な記載
【0039】
タンパク質族とかなりのアミノ酸配列類似性を有する1つまたはそれ以上のポリペプチド(メソセリン/巨核球可能化因子族(mesothelin/megakaryocyte potentiating factor family peptide);MMPFF)が卵巣癌にかかった女性の尿に発生する。これらの尿ペプチドは、例えばMMPFFのタンパク質に対抗する抗体で検出される。患者の尿にこのようなペプチドが発生することは、患者が卵巣癌にかかっていることを示すものである。卵巣癌の多様性、個々のなかでの遺伝子的多様性や他の要因により、MMPFFペプチドは卵巣癌にかかった全患者の尿中には現れにくく、殆ど同じ型の卵巣癌にかかった個々に対して異なった量で現れやすいのである。これらの変化を考慮にいれても、女性の尿中のMMPFFペプチドの1つ又はそれ以上の発生があれば、その女性は卵巣癌にかかっていることを示している。
【0040】
都合のよいことには、卵巣癌にかかった女性の尿にMMPFFペプチドが発生することは卵巣癌だと判る段階に依存しないようである。そのため、MMPFFペプチドの尿での発生は早期段階での卵巣癌の診断に用いることが出来て、治療が無駄となるか、無駄に近い病状段階に達する前に癌の効果的な治療が可能となるのである。
【0041】
ここに開示されたキットと方法の他の利点は卵巣癌患者の尿中のMMPFFペプチドの量と濃度が腫瘍の状態を示すものであることである。そのため、尿MMPFFペプチド発生の査定は卵巣癌の治療のための養生法の効果を査定するのに用いることが出来る。養生で腫瘍の収縮、後退がおこる分だけMMPFFペプチドの尿中濃度が減少することが期待される。同様に、卵巣癌治療の間に尿中のMMPFFペプチドが徐々にスムースに増加していることは、治療のための養生が腫瘍の成長を抑制していないことを示している。
【0042】
ここに記載されているキットや方法は種々の卵巣癌型の発生、進行を査定するのに用いることが出来る。ひとつの重要な実施形態では、キットと方法が最も普通の卵巣癌のなかの上皮卵巣癌の発生または進行を査定するのに用いられる。その他の実施形態では、このキットや方法は間質卵巣腫瘍や生殖細胞卵巣腫瘍の発生や進行を査定するのに用いられる。
【0043】
診断方法
【0044】
本発明は女性の卵巣癌の診断方法を含むものである。その方法は女性から採取した尿のなかのメソセリン/巨核球可能化因子族(mesothelin/megakaryocyte potentiating factor family peptide)(MMPFF)ペプチドの発生を査定することを含んで構成されることを特徴としている。尿中のMMPFFペプチドの発生は女性が卵巣癌にかかったことを示唆するものである。種々の型の卵巣癌(例えば上皮卵巣癌)、程度、段階がこの方法を用いて診断される。この方法はまた種々の細胞の型(例えば血清細胞、粘液細胞、子宮細胞、明細胞、及び区別できない卵巣腫瘍)によって特徴づけられる卵巣癌の診断に用いることが出来る。
【0045】
女性の尿中のMMPFFペプチドの発生を査定するのに用いられるこの方法は決定的なものではない。どんな方法でもペプチドの有無を査定するのに用いられればその方法でよいのである。尿中のMMPFFペプチドの量(例えば濃度)を査定できる方法がいくつかの実施形態では好ましく、特に、比較のために時間の経過とともになされる査定の場合に好ましい(例えば、抗癌治療の養生効果の査定の場合)。
【0046】
ひとつの実施形態において、患者の尿中でのMMPFFペプチドの発生が、特にMMPFFペプチドと結合する抗体と尿の接触により、そしてMMPFFペプチドが第1抗体と結合したかを査定することによって査定される。
【0047】
この分野では多くのMMPFF結合抗体が知られている。例えば米国特許第5,320,956に記載され、受入番号HB10570としてATCCに預託されたハイブリドーマによって分泌される抗体を使うことが出来る。その抗体はチャングほか(1996、プロック.ナショナル.アカデミ.サイエンス.USA93:136−140(Chung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93(1):136-140)に記載のように、特にメソセリンタンパク質の約40キロダルトン部と結合する。他の好適な抗体についてはショラーほか(1999、プロック.ナショナル.アカデミ.サイエンス.USA96(20):11531−11536(Scholler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96(20):11531-11536)及びPCT公報WO00/50900に記載され、そのような抗体はOV569,4H3,3G3,及び1A6と呼ばれている。
【0048】
2つの抗MMPFFペプチド抗体を用いる診断用キットと方法において、2つの抗体は同じエピトープとの結合を競わせないことが好ましい。例を挙げれば、ショラーほかによってOV569と呼ばれる抗体は4H3,3G3,及び1A6と呼ばれる抗体に結合されたエピトープと異なるエピトープの所で結合する。このように、例えばOV569は適当な抗体結合条件のもとにある担体と結合し患者の尿中に存在するMMPFFペプチドと結合する捕獲抗体として用いることが出来、抗体4H3,3G3,及び1A6のひとつが検出可能にラベル付けされ、捕獲抗体と患者の尿の接触後、捕獲抗体と接触することができる。検出可能にラベル付けした抗体と捕獲抗体との結合はMMPFFペプチドが患者の尿に存在していたことを示している。捕獲抗体と一緒に局在している検出可能なラベルの量の分析から存在していたペプチドの量を示すことが出来る。
【0049】
ここに記載されているように、MMPFFペプチドの幾つかの部分は重要なアミノ酸配列相同を共有している。図1から3は少なくとも3つのMMPFFタンパク質のアミノ酸配列の少なくともある部分を示している。図4と5はこれらの配列の直線性を示し、これらのタンパク質のなかの最大配列相同の領域を示している。これらの図から、図6Aおよび6B(それぞれ配列ID番号4と5)に示される配列がMMPFFペプチドの有用な部分をあらわしている。これらの配列のいずれかの全部分又は一部分(例えば、10、20、50、又は200の連続残基)に対抗する抗体は特に卵巣癌患者の尿中に発生するものを含むのMMPFFペプチドの広い範囲と結合することが期待される。
【0050】
MMPFF(例えばここに記載されたもの又は従来技術の中に記載されているもの)又はその一部が多クーロン及び単クーロン抗体作製のための標準技術を用いて抗体を発生させるための免疫抗原として用いることが出来る。全長MMPFFの断片は免疫抗原として用いられる場合には配列ID番号1から5までのいずれかのアミノ酸配列か他のMMPFFメンバーのアミノ酸配列の少なくとも10のアミノ酸残基(好ましくは12、15、20、50、100か200またはそれ以上)からなることが望ましい。
【0051】
ここに記載されたキットと方法に有用な抗体の発生に適切なMMPFFペプチドは、配列ID番号1から5よりなる群から選択された1つの配列の20の連続する残基と少なくとも90%(好ましくは少なくとも95%或いは100%)は同一である少なくとも20の連続したアミノ酸残基の部分から構成されているものである。
【0052】
抗体発生方法は既知でありここに簡単に要約のみを記載する。一般に免疫抗原はウサギ、ヤギ、ねずみ、その他の哺乳動物又は脊髄動物のような適当な対象(即ち免疫担当)を免疫化することによって抗体を作製するのに用いられる。好適な免疫抗原作製には例えば遺伝子組み換えと表現された、又は化学的に合成されたポリペプチドを含めることが出来る。その作製は更にフロインドの完全又は不完全補助薬又は同じ免疫活性化試薬のような補助薬を含めることが出来る。
【0053】
多クーロン抗体は免疫抗原として本発明のポリペプチドを用いて適当な対象を免疫化することによって上述のように作製することが出来る。免疫化した対象中の抗体タイターは固定したポリペプチドを用いた酵素結合免疫吸着剤査定法(ELISA)のような標準技法によって時間の経過とともに監視することが出来る。望むなら、抗体分子はその対象から収穫され又は分離され(例えば、対象の血液、血清から)、タンパク質Aクロマトグラフィーのような既知の技法によって精製されIgG留分を得ることができる。
【0054】
免疫化後適切なときに、例えば、特定の抗体タイターが最高のとき、抗体生産細胞を対象から収穫し、元来はコーラーとミルスタイン(1975)ネイチャー256:495−497(Kohler and Milstein (1975) Nature 256:495-497)に記載されたハイブリドーマ技法、人のB細胞ハイブリドーマ技法(コツボーほか(1983)イムノル.トゥデイ4:72(Kozbor et al., (1983) Immunol. Today 4:72)、EBVハイブリドーマ技法(コールほか(1985)モノクロナル アンチボディ アンド キャンサーテラピー、アランR.リス,インクpp77−96(Cole et al., 81985) Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, Inc., pp.77-96)又はトリオーマ技法のような標準技法によって単クーロン抗体を作製するのに用いることが出来る。ハイブリドーマを生産する技術はよく知られている(カレント プロトコル イン イムノロジー(1994)コリガンほか(Eds.)ジョン ウイリー&サン、インク.、ニューヨーク、NY(Current Protocols in Immunology (1994) Coligan et al., (Eds.) John Wiley & Sons, Inc., New York, NY). 本発明の単クーロン抗体を生産するハイブリドーマ細胞は、問題のポリペプチドと結合する抗体用ハイブリドーマ培養菌の上澄みを、例えば標準ELISA査定を用いて、スクリーニングすることによって検出される。
【0055】
単クーロン抗体分泌ハイブリドーマの作製の代わりに、本発明のポリペプチドに対抗する単クーロン抗体は組み換え組み合わせ免疫性グロブリンライブラリー(例えば抗体ファージ展示ライブラリ)を問題のポリペプチドでスクリーニングすることで同定され分離される。ファージ展示ライブラリを発生させスクリーニングするためのキットは市販で入手可能である。(例えば、ファーマシア リコンビナント ファージ アンチボディ システムのカタログ番号27−9400−01(Pharmacia Recombinant Phage Antibody System, Catalog No. 27-9400-01);とストラータジーンSURFZAPTMファージディスプレイキット カタログ番号240612(Stratagene SURFZAPTM Phage Display Kit, Catalog No. 240612)。また、特に、抗体展示ライブラリを発生、スクリーニングする用途に適用できる方法や試薬の例は、例えば、米国特許番号5,223,409、PCT公報番号WO92/18619,PCT公報番号WO91/17271,PCT公報番号WO92/20791,PCT公報番号WO92/15679,PCT公報番号WO93/01288,PCT公報番号WO92/01047,PCT公報番号WO92/09690,PCT公報番号WO90/02809,フックスほか、(1991)バイオ/テクノロジー9:1370−1372(Fucks et al. (1991) Bio/Technology 9:1370-1372;ヘイほかフム.アンチボド.ハイブリドマス3:81−85(Hay et al. (1992) Hum. Antibod. Hybridomas 3:81-85); フュースほか(1989)サイエンス246:1275−1281(Huse et al. (1989) Science 246:1275-1281);グリフィスほか(1993)EMBO J.12:725−734(Griffiths et al. (1993) EMBO J. 12:725-734).
【0056】
人間的な部分と非人間的な部分の両方からなる標準的な組み換えDNA技法を用いた空想的且つ人間的単クーロン抗体組み換え抗体は本発明の範囲内にあるものである。そのような空想的且つ人間的単クーロン抗体はこの分野で既知の組み換えDNA技法によって造られるが、PCT公報番号WO87/02671;ヨーロッパ特許番号184,187;ヨーロッパ特許番号171,496;ヨーロッパ特許番号173,494;PCT公報番号WO86/01533;米国特許番号4,816,567;ヨーロッパ特許番号125,023;ベターほか.(1988)サイエンス240;1041−1043(Better et al. (1988) Science 240:1041-1043;リューほか.(1987)プロック.ナット.アカド。サイエンス.USA84:3439−3443(Liu et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:3439-3443); リューほか.(1987)J.イムノル.39:3521−3526(Liu et al. (1987) J.Immunol. 139:3521-3526);サンほか.(1987)プロック.ナット.アカド。サイエンス.USA84:214−218(Sun et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:214-218);ニシムラほか.(1987)キャンサーレス.47:999−1005(Nishimura et al. (1987) Cancer Res. 47:999-1005);ウッドほか.(1985)ネイチャー314:446−449(Wood etal. (1985) Nature 314:446-449); ショウほか.(1988)J.ナット.キャンサーインスト.80:1553−1559(Shaw et al. (1988) J. Natl. Cancer Inst. 80:1553-1559);モリソン(1985)サイエンス229:1202−1207(Morrison (1985) Science 229:1202-1207);オーイほか.(1986)バイオ/テクニーク4:214(Oi et al. (1986) Bio/Techniques 4:214); 米国特許番号5,225,539;ジョンほか.(1986)ネイチャー321:552−525(Jones et al. (1986) Nature 321: 552-525);バーホーヤン(1988)サイエンス239:1534(Verhoeyan et al. (1988) Science 239:1534); バイドラほか.(1988)J.イムノル.141:4053−4060(Beidler et al. (1988) J.Immunol. 141:4053-4060)。
【0057】
抗MMPFFペプチド抗体を患者から採取した尿と接触させる実施形態において、尿はその自然に分泌された状態で用いられるか使用前に部分的に精製するか浄化して使うことが出来る。例えば、尿は標準の方法である遠心分離によってその尿を抗体と接触させる前に沈殿物をほとんど除いてもよい。代わりに、尿はその量を減らすか大きな汚染物を除くために濾過または限外濾過してもよい。何故なら、尿中に発生するMMPFFペプチドは10,000から100,000ダルトンの範囲の分子量をもつポリペプチドであると思われ、MMPFFペプチドが検出前に除かれてしまうのを防ぐために適切な濾過又は限外濾過の選定が必要である。例をあげれば、比較的大きな孔のフィルター(例えば、250,000から百万ダルトンの分子量を有する球状粒子の通過を許す様なもの)が尿から粒状物質を除くのに用いることが出来て、約5000ダルトン以上の分子量をもつタンパク質の通過を除外するような膜を装備した限外濾過装置が炉液を濃縮するのに用いることが出来る。この実施例では、限外濾過装置のなかの残留物のなかのMMPFFの発生を査定できる。
【0058】
MMPFFペプチドは卵巣癌患者の尿中に比較的多量に存在することが多く、ここに記載された多くの方法(例えば免疫学的方法)は比較的感度がよいので、通常卵巣癌患者の尿中のMMPFFペプチドの発生を検出するのに尿の濃縮は必要としない。尿の浄化が必要とされる場合、遠心分離が好ましい。何故なら、限外濾過を使えば尿中に存在するMMPFFペプチドが濾過媒体と結合したり絡まったりする可能性がないからである。
【0059】
女性の尿中のMMPFFペプチドの発生を査定する好ましい方法は通常[サンドイッチELISA]査定法として知られる処理法である(ELISAは酵素で連接した免疫性吸着剤査定法の略称である)。この方法では、抗体はガラスビーズやプラスチックのマルチウエルプレートの底面のような担体に結合される。この抗体は「捕獲」抗体と呼ばれる。女性からのそのままの、或いは浄化したり精製した尿が種々の条件のもと(例えば、塩、活性剤の濃度が低くタンパク質変性でない条件)に担体と接触され、尿中にMMPFFペプチドがあれば特に捕獲抗体と結合する。担体は任意にはMMPFFペプチドを含まない液体で洗浄して残りの尿及び結合していないMMPFFを除く。次いで担体は捕獲抗体が結合しているエピトープの所と異なるエピトープの所でMMPFFと結合する第2抗体と接触させる。第2抗体は配位子又は配位子の受容体のいずれかと検出可能にラベル付けされるか結合する。どちらにせよ、担体を第2抗体を含まない液体で洗浄した後に第2抗体の結合が検出される。第2抗体の検出はMMPFFペプチドの尿中での存在を示している。第2抗体の量が定量されれば、次いで尿中のMMPFFペプチドの量が定量できる。例えば、既知量のMMPFFを含む対照試料を用いて行った測定で検出した第2抗体の量を比較することによって定量できる。
【0060】
抗体検出は抗体を検出可能物質とカップリングすることによって可能になる。検出可能な物質の例には種々の酵素、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、及び放射性物質がある。好適な酵素の例には西洋わさびペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase)、アルカリホスフォターゼ(alkaline phoaphatase)、ベータガラクトシダーゼ(beta-galactosidase)、アセチルコリンエステラーゼ(acetylcholinesterase)を含み、好適な補欠分子族複合体はストレプタヴィディン/バイオチン(streptavidin/biotin)とアビジン/バイオチン(avidin/biotin)である。好適な蛍光物質の例はウンベリフェロン(umbelliferone)、フルオレセイン(fluorescein)、フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate)、ローダミン(rhodamine)、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセン(dichlorotriazinylamine fluorescein)、塩化ダンシル(dansyl chloride)又はフィコエリトリン(phycoerythrin)である。発光物質の例はルミノール(luminol)で、生体発光性物質の例はルシフェラーゼ(luciferase)、ルシフェリン(luciferin)、及びエクオリン(aequorin)で、好適な放射性物質の例は125I、131I、35S、又はHである。
【0061】
標準化した査定装置を使用することでここに記載された方法の自動化ができるようになる。例えば、24、48、96、384のウエルのあるプラスチックプレートのような多くの異なった標準化した査定用容器が知られている。これらの容器がロボット装置にはめ込まれるようにした所では試料の自動分析が達成され比較的短い時間で多くの試料を高処理量でスクリーニングできている。コンピュータ制御査定に使用するように作製された自動査定装置と容器はこの分野で既知でありここに記載されたキットや方法に容易に適合されている。
【0062】
女性から採取された尿中のMMPFFペプチドの発生を査定するのに用いることの出来る免疫学的査定についての他のタイプは普通「競合」査定と呼ばれる。この査定では、特にMMPFFペプチドと結合する抗体が担体に固定される。そのままの尿、浄化又は精製された尿がその担体に接触され(好ましくは数分又は数時間の間)尿中にMMPFFペプチドが存在すれば、それが抗体と結合する。特に抗体と結合するラベル付け配位子(例えば、同じMMPFFペプチド又は別のMMPFFペプチドのラベル付きのもの)が次いで担体と接触される(好ましくは数分又は数時間の間)。ラベルまたはラベル付き配位子を含まない液体で担体を洗浄した後、担体と結合したラベル付き配位子の量が査定される。担体と結合したラベルの量が患者の尿とは接触していないが他の点では同様に処理された単体に結合したラベルの量と比較される。結合したラベルのこの2つの量の差が担体に結合したMMPFFペプチドの量を示すものであり、担体に適用された尿サンプル中に存在したMMPFFペプチドの量を示唆するものである。
【0063】
免疫学的競合査定が用いられると、担体と結合した抗体のラベル付き配位子は患者の尿中に存在していると判っているか又は存在していると思われるMMPFFペプチドと出来るだけ同じでなければならない。例えば、その配位子とそのMMPFFペプチドは同じアミノ酸配列を有するか含んでいなければならない。同様に患者の尿中に発生するMMPFFペプチドがグリコシル化されたものと思われる場合、配位子も同様に同じ位置で同じ程度にグリコシル化されていなければならない。このように、配位子に対する抗体とMMPFFペプチドに対する抗体の類似性の差は最小にする事が出来て競合査定の精度を改善することが出来る。
【0064】
ここに記載されるキットや方法は人間の患者の尿のなかにあるMMPFFペプチドの発生の査定のみに用いることが出来るもので、そのような発生が女性が卵巣癌にかかっていることを示すものである。併し、もし卵巣癌の1つ以上のマーカーの発生が女性のなかで査定されれば、多くの卵巣癌が検出できて卵巣癌の診断における大きな確信が得られるのである。その他の卵巣癌マーカーも普通尿のなかで発見されるマーカーでありうるし、通常血液のなかで発見されるマーカーでありうるし、又は尿及び血液の両方で発見されるマーカーでありうる。例をあげれば、MMPFFペプチドは卵巣癌にかかった患者の血清のなかに見つかる(ショラーほか、1999、プロック.ナショナル.アカデミ.サイエンス.USA96(20):11531−11536(Scholler et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96(20):11531-11536))。このように、尿中のMMPFFペプチドの発生の査定用にここに記載されたキットや方法は、血清中の同じ又は別のMMPFFペプチドの検出のためのキットや方法と関連付けて用いることが出来る。
【0065】
尿中に発生することが知られている他の卵巣癌マーカーには尿グナドトロピンペプチド(urinary gonadotropin peptide(UGP;シュッターほか、1999、アンチキャンサー レス19(6C):5551−5557(UGP;Schutter et al., 1999, Anticancer Res. 19(6C):5551-5557)), システインプロテイナーゼ(cysteine proteinase)(UCP;ガオほか、1996、ヒュアキイイケダクェクェバオ27(3):291−294(UCP; Gao et al., 1996, Hua Xi Yi Ke Da Xue Xue Bao 27(3):291-294), ネオプテリン(neopterin)(ザルカほか、1998、アクタチアヒュング29(4):359−364(Szarka et al., 1988, Acta Chir. Hung. 29(4):359-364)) 及び腫瘍関連トリプシン抑制剤(tumor-associated trypsin inhibitor)(TATI;メドルほか、1995、Br. J. キャンサー、71(5):1051−1054(TATI; Medl et al., 1995, Br. J. Cancer 71(5):1051-1054; ハリラほか、1988、Br. J. キャンサー、57(3):304−307(Halia et al., 1988, Br. J. Cancer 57(3)304-307))がある。
【0066】
血清中に発生することが知られている他の卵巣癌マーカーにはCA125(ハリラほか、1987、Br. J. キャンサー、56(2):153−156(Halila et al., Br. J. Cancer 56(2):153-156)), 癌性胎児抗原 (carcinoembryonic antigen)(CEA;ジュエイほか、1997、ジネコルオンコル67(3):259−271(CEA; Juweid et al., 1997 Gynecol. Oncol 67(3):259-271))、血管内皮成長因子(vascular endothelial growth)(VEGF;キャンディド ドス レイスほか、2002、ジネコルオブステットインベスト54(3):132−136(VEGF; Candido Dos Reis et al., Gynecol. Obstet. Invest. 54(3)132-136)、腫瘍関連トリプシン抑制剤(tumor-associated trypsin inhibitor) (TATI;メドルほか、1995、Br. J. キャンサー、71(5):1051−1054(TATI; Medl et al., 1995, Br. J. Cancer 71(5):1051-1054; ハリラほか、1988、Br. J. キャンサー、57(3):304−307(Halia et al., 1988, Br. J. Cancer 57(3)304-307)), CD44 スプライス変形体(CD44 splice variants) (ウールスタイドほか、1995、オンコロジィ52(5):400−406(Uhl-Steidl et al., 1995, Oncology 52(5):400-406)), 抗マリグニン抗体(anti-malignin antibody)(ボゴッホほか1991、ランセット337:927)(Bogoch et al., Lancet 337:927)), 乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase)(LDH)、アルファーヒドロキシ酪酸脱水素酵素(alpha-hydroxybutyrate dehydrogenase) (aHBDH)、CA19−9,組織ポリペプチド抗原(tissue polypeptide antigen)(TPA),シアリルTN(STN; クドーほか(1999、ジネコルオブステットインベスト47(1);52−57(Kudoh et al., 1999, Gynecol. Obstet. Invest 47(1);52-57))がある。血液及び又は尿中のこれら既知のマーカーの組み合わせのいずれかを査定するためのキットや方法は、それが少なくとも尿中のMMPFFペプチドの発生を査定するキットや方法であるかぎり本発明に含むものである。
【0067】
女性から採取した尿中のMMPFFペプチドの発生を査定するためのここに記載したキットや方法は、女性が卵巣癌にかかる可能性を査定するのに使うことが出来る。女性の尿中のMMPFFペプチドの発生の検出は他の点では同じであるがその尿のなかにMMPFFが発生していない女性にくらべて一層卵巣癌にかかっているらしいことを示している。卵巣腫瘍、腫瘍成長の早期段階、腫瘍形成の初期、及び卵巣腫瘍形成の可能性の増大、との間の差が殆ど区別できないということは認められていることである。それでもなお、これらの進行各々の結果は女性の健康が傷ついてしまう卵巣腫瘍の展開発展なのである。この理由から、ここに開示されているキットや方法を用いたこれらの段階のいずれかを査定することが有用なのである。
【0068】
抗MMPFFペプチド抗体は臨床テストの手順の一部として、例えば、行った卵巣癌治療の養生の効果を測定するために尿中のMMPFFのレベルを診断的に又は予後診断的に監視するのに用いることが出来る。
【0069】
ここに記載されたキットや方法はひとつの薬剤(例えばアゴニスト、アンタゴニスト、ペプチドミメティック、タンパク質、ペプチド、核酸、小さい分子、または他の薬物候補品)は卵巣癌を緩和、抑制、後退、又は予防するために患者に与えることが出来るかどうかを決定するために用いることが出来る。例えば、そのような方法は、卵巣癌患者が特定の薬剤、または特定の種類の薬剤を用いれば効果的に治療されるかどうかを決定するのに用いられる。
【0070】
尿MMPFFペプチド発生の査定のためのキット
【0071】
本発明は哺乳類(例えば女性)から採取された尿サンプル中のMMPFFの発生を検出するためのキットも含んでいる。そのキットはMMPFFペプチドと結合する第1の薬剤、そのMMPFFペプチドとその薬剤との結合を査定するための第2の薬剤、尿と第1の薬剤を接触させることを記載した使用説明書から構成されている。これらのキットは患者が卵巣癌に苦しんでいるか癌進行の危険が高まっているかを決定するために用いることが出来る。例えば、キットは尿サンプル中のMMPFFペプチドを検出可能なラベル付き化合物又は薬剤から構成することが出来る。そのキットは又、或いはその代わりに、サンプル中のMMPFFペプチドの量を決定する手段を含むことができる。キットはMMPFFペプチドの量が通常のレベル(例えば、実施例1の方法を用いて450ナノメータでの吸光度測定値が少なくとも0.2)の上か下であるとき検査した患者が卵巣癌にかかっているか進行のリスクを負っているかを査定するための説明書を含むものである。
【0072】
抗体をベースにしたキットに関し、そのキットは、例えば、(1)特にMMPFFペプチドと結合する第1抗体(例えば、固形支持体に付けられた)とオプションとして、(2)特にMMPFFペプチド(例えば、第1抗体が結合しているところのエピトープと別のエピトープのところ)か第1抗体のどちらかと結合し検出可能な薬剤と結合している第2の別の抗体から構成することができる。代わりに、そのキットは第1抗体とその第1抗体のラベル付き配位子から構成することが出来る。その第1抗体と女性の尿サンプルを接触させた後、ラベル付き配位子と第1抗体の結合がここで記載されたような競合型査定で査定することができる。
【0073】
そのキットは更に試薬、及び又は、女性の尿又は血清中に女性の卵巣癌の発生を示唆する他のマーカーの発生を査定するための指導書を含んで構成できる。
【0074】
実施例
【0075】
本発明は次の実施例をもとにここに記載される。これらの実施例は説明の目的のためにのみ提供するものであって、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、ここに提供された教示の結果として明らかなすべての変形を含むものである。
【0076】
実施例1
【0077】
試料中のMMPFFを査定するためのサンドウィッチELISA査定
【0078】
尿中のMMPFFを検出するために用いられる代表的査定についてここに記載する。査定は、予め単クーロン抗体4H3(ショラーら1999、プロック.ナショナル.アカデミ.サイエンス.USA96(20):11531−11536(Scholler et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96(20):11531-11536)とPCT公報WO00/50900に記載されたような)が塗布してある、96のウエルのある、すっきりしたミクロ滴低定プレートのなかで行われる。ウエルの底には、炭酸塩−重炭酸塩バファー(pH9.6)1ミリリッター当たり3マイクログラムの抗体からなる懸濁液50マイクロリッターが個々のウエルに加えられることによって、抗体が塗られる。そのプレートがまわされて、ウエルの底面が塗布され次いで4℃で一夜乾燥される。個々のウエルをウシ血清アルブミン(BSA)の3%(w/v)懸濁液で満たし、2時間室温に保ち、その後BSA懸濁液をその個々のウエルから取り除く。
【0079】
人間のIg配列をエンコードしたベクトルを用いてイムノグロブリン(Ig)定常領域に溶融したMPFアミノ酸配列(即ち、44kDaメンブラン結合領域)の部分からなる溶融タンパク質(ショラーら1999、プロック.ナショナル.アカデミ.サイエンス.USA96(20):11531−11536(Scholler et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96(20):11531-11536)に記載されたように)を用いて標準カーブがつくられる(PCT公報番号WO00/50900及びホーレンバウほか、1995、J.イムノル.メス.188:1−7(Hollenbaugh et al., 1995, J. Immunol. Meth. 188:1-7に記載のように)。この溶融たんぱく質はhIgGと呼ばれる。標準カーブについて、溶融タンパク質がミリリッター当たり1.0マイクログラム、ミリリッター当たり0.1マイクログラム、及びその4連続5倍希釈液(即ち、1:5、1:25、1:125、1:625)の濃度で査定される。用いられた希釈剤はBSAの7%(w/v)懸濁液であった。
【0080】
査定を行うために、hIgG溶融タンパク質希釈液、比較例、又は尿サンプル、又は希釈尿サンプルの50マイクロリッターが個々のウエルに加えられた。そのプレートは1時間常温で培養され、ウエルは0.05%(v/v)トゥイーン(登録商標)20界面活性剤を含むトリス緩衝したサリン(pH7.8から8)で洗浄した。ビオチン化単クーロン抗体OV569(ショラーら1999、プロック.ナショナル.アカデミ.サイエンス.USA96(20):11531−11536(Scholler et al., 1999, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96(20):11531-11536)及びPCT公報番号WO00/50900に記載)のリッター当たり200ナノグラム懸濁液50マイクロリッターが個々のウエルに加えられた。常温で1時間プレートを培養し、そのあと0.05%(v/v)トゥイーン(登録商標)20界面活性剤を含むトリス緩衝したサリン(pH7.8から8)で洗浄した後、ストレプタヴィディン−西洋わさびペルオキシダーゼ(streptavidin-horseradish peroxidase)(アラバマ州バーミンガムのサウザーンバイオテクノロジーアソシエートインクのカタログ番号7100−05から得た(Southern Biotechnology Associates, Inc., Birmingham, Al. catalog no. 7100-05))の1:5000希釈液50マイクロリッターを個々のウエルに加え、そのプレートを常温で1時間培養した。50マイクロリッターの3、3’、5、5’−テトラメチルベンジジン(TMB;西洋わさびペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase)用発色体担体;メリーランド、ガイサースブルグ、キルクガード&ペリーラボラトリー、インク(Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc., Gaithersburg, MD)から得られる)を個々のウエルに加えて信号を発生する。そのプレートを常温で15分培養し50マイクロリッタのTMBストップ液(0.1規定硫酸;メリーランド、ガイサースブルグ、キルクガード&ペリーラボラトリー、インク(Kirkegaard & Perry Laboratories, Inc., Gaithersburg, MD)から得られる)を加えてペルオキシダーゼ反応を停止した。ペルオキシダーゼのTMBへの反応により出来た青色をモレキュラーディバイセススペクトラマックス(登録商標)プラス384(Molecular Devices SpectraMax Plus 384)分光光度プレートリーダー(モデル番号02523)を用いて450ナノメータでの吸光度を測定した。
【0081】
実施例2
【0082】
卵巣癌患者から得られた尿サンプル中のMMPFFの検出
【0083】
卵巣癌にかかった25人の患者から尿サンプルを得た。個々の尿サンプルを15分13000rpm(約 15,700(g)で遠心分離し沈殿を除去した。尿サンプル上澄みの各々50マイクロリッターの部分標本を実施例1で述べた査定法を用いてテストした。
【0084】
テストした25サンプルのうち、22サンプルが450ナノメータで0.2より大きい吸光度を示した。これらのデータは、尿中のMMPFF検出のための発色体サンドウィッチELISA型査定法が多くの患者の卵巣癌の発生を検出するのに信頼できる方法であることを示している。
【0085】
実施例3
【0086】
卵巣癌患者から得られた尿サンプル中のMMPFF信号の確認
【0087】
実施例2に記載された尿サンプル中のMMPFF発生に相当する擬似信号を有する非特定結合を除外するために、実施例2で比較的高い吸光度値が得られた尿サンプルが選ばれた。抗体4H3が塗布されていないことを除き実施例1に記載されたものと同じ査定用プレートが調整された。個々の尿サンプルが準備され実施例2に記載したプレートに加えられた。
【0088】
この実施例でテストされたサンプルはいずれも背景強度を超える信号は検出されなかった。
【0089】
別の実験では、実施例2に記載された尿サンプルが実施例1で述べられたように調整されたプレートを用いてテストされた。しかしこの実験で用いられた569単クーロン抗体はビオチン化されていないものであった。それ以外には、査定法は実施例1に記載の通りであった。テストされたサンプルのいずれについても背景強度を超える信号はなかった。
【0090】
他の別の実験では、ビオチン化した単クーロン抗体569の代わりに前述のMMPFFと無関係のビオチン化した抗体が用いられたこと以外には実施例1に記載された方法で査定が行われた。この方法による実施例2記載の尿サンプルの査定では、この方法でテストされたときの背景を超える信号は出なかった。
【0091】
卵巣癌の患者から得られた尿を使用した450ナノメータでのサンドウィッチELISA査定の吸光信号が増加していることが、これらのデータは患者の尿中のMMPFFペプチドの存在を示唆する真の応答であることを示している。
【0092】
実施例4
【0093】
膀胱癌と診断された31患者から得られた尿サンプル、良性の婦人病にかかった3人の女性からの尿サンプル、正常な健康成人から得られた22の尿サンプルが実施例1に記載された査定法を用いてテストされた。
【0094】
データは正常な健康な患者から得られた尿はMMPFFペプチドが非常に低いレベルであることを示している。実施例2に記載のように、25の卵巣癌患者のうちの22(88%)の尿は著しく高いMMPFFペプチドレベルを示した。膀胱癌(即ち他の泌尿生殖系疾病)患者から得られた尿サンプルは31サンプルのうち8サンプルにのみ高レベルのMMPFFペプチドが示された。良性の婦人病にかかっている女性から得られた3つの尿サンプル中には高いMMPFFペプチドレベルは検出されなかった。総合すると、56の非卵巣癌患者のうち8の尿サンプルのみしか高いMMPFFペプチドレベルを示さず、一方卵巣癌患者からの25の尿サンプルのうち22が高いMMPFFペプチドを示した。これらのデータは卵巣癌のこの査定法は正診86%であることを示している。
【0095】
実施例5
【0096】
尿MMPFFペプチドレベルと卵巣癌の段階との相関
【0097】
実施例2において尿サンプルが分析された25人の卵巣癌患者の各々について、その癌の段階についての情報が集められた。4つの段階の各々についての卵巣癌を有する患者が代表とされた。患者の癌の段階と患者の尿中に検出されたMMPFFペプチドの量には明らかな相関はなかった。ここに記載された尿MMPFFペプチド査定法は早期段階卵巣癌の発生の査定に後期段階卵巣癌と同じように効果的に使用することが出来ることがこの観察から言える。
【0098】
実施例6
【0099】
尿MMPFFペプチドレベルに対する卵巣癌治療の効果
【0100】
実施例2に記載の25人の卵巣癌患者のうち4患者に対する卵巣癌治療のMMPFFペプチドレベルについての効果が査定され、CA125と呼ばれる卵巣癌腫瘍マーカーの血清レベルと比較した。4患者のそれぞれから得られた血清サンプルにおけるCA125が治療前、治療後でCA125IITM(ペンシルバニア、マルヴァーン フジレバイオ ダイアグノスティックス、インク.(Fujirebio Diagnostics, Inc., Malvern, PA)査定と本質的に同じ免疫性査定法を用いて査定された。尿MMPFFペプチドレベルは実施例1及び2に記載の方法を用いて4患者の各々について治療前後で査定された。
【0101】
尿MMPFFペプチドレベルの治療前後での変化は図7に説明されているように4人の患者のそれぞれにおいて血清CA125レベルの変化にほぼ比例していた。何故ならCA125は卵巣癌進行の代理マーカーとしてこの分野では受け入れられており、これらのデータは尿のMMPFFペプチドレベルと疾病進行とは相関関係があることを示している。これらのデータはこのテストの臨床的価値と卵巣癌治療効果を監視する非侵襲性方法として使える可能性を立証している。
【0102】
実施例7
【0103】
MMPFFペプチドの尿レベルと血清レベルの間の相関
【0104】
実施例2で査定された尿サンプルを提供した25人の患者の各々から血液を採取した。実施例1に記載の作業標準を用いてこれらの血液サンプルの血清MMPFFペプチドレベルを測定した。血清と尿サンプルは個々の患者から同じ日に集められたものである。
【0105】
MMPFFペプチドが、いくつかの例では非常に低いレベルであったとはいえ、すべての患者から尿と血清の両方のサンプルに検出されている。尿サンプルのテストに0.2吸光度単位(450ナノメータで)をカットオフ値として用いた場合、テストした25サンプルのうち22(88%)はMMPFFは陽のテスト結果であった。血清サンプルのテストに0.1吸光度単位(450ナノメータで)をカットオフ値として用いた場合、テストした25サンプルのうち16のみ(64%)がMMPFFは陽のテスト結果であった。これらのデータから、MMPFFペプチドレベルは卵巣癌患者の血清と尿の両方において上昇することを示している。併し、尿中のMMPFFペプチドの検出はより感度が高いようで、それだけ大きい診断的価値を有しているといえよう。
【0106】
実施例8
【0107】
尿CA125レベルの査定
【0108】
CA125レベルが実施例2に記載された25の尿サンプルの各々についてCA125IITMテストキットを用いて査定された。上記査定の背景強度を超える結果は尿サンプルからは全くでなかった。これらの結果からCA125はこれらの患者の尿には存在していないことを示している。これらのデータは、CA125のような血清腫瘍マーカーは、血清の中には発生していてもその患者の尿中には必ずしも存在しないことを立証している。
【0109】
ここに記載された個々の特許、特許申請書、公報で開示されたものはすべて参照文献としてここに組み込まれる。
【0110】
本発明は特定の実施形態を参照に開示されたが本発明の他の実施形態や変形が当業者によって本発明の真の精神と範囲から逸脱することなく案出しうることは明らかである。添付の請求の範囲はそのような実施形態や相当する変形の全てを含むものである。
【図1】

【図2】

【図3】






【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性の卵巣癌の診断方法であって、女性から採取した尿中のメソセリン/巨核球可能化因子族(MMPFF)ペプチド(mesothelin/megakaryocyte potentiating factor family peptide)の発生を査定することを含んで構成され、それにより尿中のMMPFFペプチドの発生が女性の卵巣癌にかかっていることの示唆とすることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記卵巣癌は上皮卵巣癌であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記卵巣癌は間質卵巣癌であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記卵巣癌は幹細胞卵巣癌であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、尿中におけるMMPFFペプチドの発生は特にMMPFFペプチドと結合する第1抗体と尿を接触させ、MMPFFペプチドが前記第1抗体と結合したかどうかを査定することによって査定することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、尿を第1抗体と接触させる前に尿を遠心分離機にかけて沈殿物があればそれをそこから殆ど取り除くことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、第1抗体は担体と結合していることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記担体はプラスチック容器であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記容器はマルチウエルプレートであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記プレートはロボット装置による自動分析に適合するようになっているものであることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項5に記載の方法であって、MMPFFペプチドと第1抗体との結合は、尿と前記第1抗体の接触の後、特にMMPFFペプチドと結合する第2抗体と第1抗体を接触させ、第1と第2の抗体が一緒に局在しているかを査定することによって査定することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記尿は、第1抗体と第2抗体の接触前少なくとも10分間第1抗体と接触していることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法であって、前記尿は、第1抗体と第2抗体の接触前少なくとも60分間第1抗体と接触していることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、第2抗体は検出可能にラベル付けしてあることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記第2抗体は酵素、放射性核種、発蛍光団、及び発色団を構成する群から選択された化合物と連接していることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、第2抗体は配位子に連接しており、第1及び第2抗体の局在が、第2抗体と(i) 配位子と結合する受容体と(ii)検出可能ラベル、から構成される化合物との接触によって査定されることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記ラベルは酵素、放射性核種、発蛍光団、及び発色団を構成する群から選択されていることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、前記配位子はビオチンであり前記受容体はアビジンであることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記アビジンはストレプタビジン(streptavidin)であることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記ラベルは酵素であることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記酵素は西洋わさびペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase)であることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、第1及び第2抗体の局在は3、3’、5、5’−テトラメチルベンジジンであることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項5に記載の方法であって、第1抗体と尿を接触させた後に、第1抗体と第1抗体をラベル付けした担体とを接触させ、尿と接触させた第1抗体と結合するラベル付けした配位子の量と、尿と接触させなかった等量の第1抗体と結合するラベル付けした配位子の量を比較することを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、ラベル付けした配位子はMMPFFペプチドと同じアミノ酸配列を有していることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、ラベル付けした配位子のグリコシル化状態はMMPFFペプチドのグリコシル化状態と同じであることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法であって、MMPFFペプチドはグリコシル化されていることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項1に記載の方法であって、MMPFFペプチドのアミノ酸配列は、配列ID番号1から5よりなる群から選択された1つの配列の少なくとも10の連続する残基から構成されていることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、MMPFFペプチドのアミノ酸配列は、配列ID番号1から5よりなる群から選択された1つの配列の少なくとも20の連続する残基から構成されていることを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、MMPFFペプチドのアミノ酸配列は、配列ID番号1から5よりなる群から選択された1つの配列の少なくとも50の連続する残基から構成されていることを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項27に記載の方法であって、MMPFFペプチドのアミノ酸配列は、配列ID番号1から5よりなる群から選択された1つの配列の少なくとも200の連続する残基から構成されていることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項27に記載の方法であって、MMPFFペプチドのアミノ酸配列は、配列ID番号1から5よりなる群から選択された1つの配列から構成されていることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項27に記載の方法であって、MMPFFペプチドのアミノ酸配列は、配列ID番号4の少なくとも10の連続的残基から構成されていることを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項27に記載の方法であって、MMPFFペプチドのアミノ酸配列は、配列ID番号5の少なくとも10の連続的残基から構成されていることを特徴とする方法。
【請求項34】
請求項1に記載の方法であって、MMPFFペプチドは、少なくとも20の連続アミノ酸残基の部分からなり、その部分のアミノ酸配列は配列ID番号1から5よりなる群から選択された1つの配列の20の連続残基に対し少なくとも90%同じであることを特徴とする方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、MMPFFペプチドは、少なくとも20の連続アミノ酸残基の部分からなり、その部分のアミノ酸配列は配列ID番号4と5よりなる群から選択された1つの配列の20の連続残基に対し少なくとも90%同じであることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項1に記載の方法であって、更に、女性の尿中の第2卵巣癌マーカーの発生の査定を含んで構成され、尿中の前記第2マーカーの発生もまた女性が卵巣癌にかかっていることの示唆であることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、前記第2の卵巣癌マーカーは尿ゴナドトロピンペプチド(urinary gonadotropin peptide)、システインプロテイナーゼ(cysteine proteinase)、ネオプテリン(neopterin)、及び腫瘍関連トリプシン抑制剤(tumor-associated trypsin inhibitor)よりなる群から選択されたものであることを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項1に記載の方法であって、更に、女性の血清中の第2卵巣癌マーカーの発生の査定を含んで構成され、血清中の前記第2マーカーの発生もまた女性が卵巣癌にかかっていることの示唆であることを特徴とする方法。
【請求項39】
請求項38に記載の方法であって、前記第2卵巣癌マーカーはCA125、癌性胎児抗原(carcinoembryonic antigen)、血管内皮成長因子(vascular endothelial growth factor)、腫瘍関連トリプシン抑制剤(tumor-associated trypsin inhibitor)、CD44スプライス変形体(splice variants)、抗マリグニン抗体(anti-malignin antibody)、乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase)、アルファーヒドロキシ酪酸脱水素酵素 (alpha-hydroxybutyrate dehydrogenase)、CA19−9、組織ポリペプチド抗原(tissue polypeptide antigen)、及びシアリルTNよりなる群から選択されたものであることを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項38に記載の方法であって、前記第2の卵巣癌マーカーはCA125であることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項1に記載の方法はさらに女性の血清中のMMPFFペプチドの発生の査定を含んで構成され、血清中の前記MMPFFペプチドの発生もまた女性が卵巣癌にかかっていることの示唆であることを特徴とする方法。
【請求項42】
女性が卵巣癌になった可能性を査定する方法であって、その方法は女性から採取した尿中のメソセリン/巨核球可能化因子族(MMPFF)ペプチド(mesothelin/megakaryocyte potentiating factor family peptide)の発生を査定することを含んで構成され、尿中にMMPFFペプチドが発生するということは、その女性が、尿中にMMPFFの発生がなくその他では同じ女性に較べてより卵巣癌になりやすいことを示唆するものであることを特徴とする方法。
【請求項43】
女性の卵巣癌の治療の効果を査定する方法であって、治療後の女性から採取した尿中のメソセリン/巨核球可能化因子族(MMPFF)ペプチド(mesothelin/megakaryocyte potentiating factor family peptide)の量を査定し、その量と手術前その女性から採取した尿中のMMPFFペプチドの量を比較することから構成され、手術後の尿中のMMPFFペプチドの量がより少なくなっていれば手術が効果的であったことを示していることを特徴とする方法。
【請求項44】
女性から採取した尿中のメソセリン/巨核球可能化因子族(MMPFF)ペプチド(mesothelin/megakaryocyte potentiating factor family peptide)の発生を査定するキットであって、そのキットはMMPFFペプチドと結合するための第1薬剤と、尿と前記第1薬剤を接触することを記述する使用説明書から構成されていることを特徴とするキット。
【請求項45】
請求項44に記載のキットであって、前記第1薬剤は抗体であることを特徴とするキット。
【請求項46】
請求項45に記載のキットであって、前記抗体は薄い金属フィルムに結合されていることを特徴とするキット。
【請求項47】
請求項46に記載のキットであって、前記フィルムは表面プラズモン共鳴装置内の分析に用いられることを特徴とするキット。
【請求項48】
請求項44に記載のキットであって、更に、MMPFFペプチドが前記第1薬剤との結合を査定するための第2薬剤を含んで構成されていることを特徴とするキット。
【請求項49】
請求項48に記載のキットであって、前記第2薬剤は前記第1薬剤の検出可能にラベルをつけた配位子であることを特徴とするキット。
【請求項50】
請求項49に記載のキットであって、前記第1薬剤は抗体で前記配位子はMMPFFペプチドであることを特徴とするキット。
【請求項51】
請求項49に記載のキットであって、前記配位子は酵素、放射性核種、発蛍光団、及び発色団よりなる群から選択された化合物でラベル付けされていることを特徴とするキット。
【請求項52】
請求項48に記載のキットであって、前記第2薬剤は検出可能にラベル付けした抗体であることを特徴とするキット。
【請求項53】
請求項52に記載のキットであって、前記抗体はビオチン化した抗体であることを特徴とするキット。
【請求項54】
請求項52に記載のキットであって、前記抗体は酵素、放射性核種、発蛍光団、及び発色団よりなる群から選択された化合物でラベル付けされていることを特徴とするキット。
【請求項55】
請求項48に記載のキットであって、前記第1薬剤は検出可能にラベル付けされている抗体と結合するエピトープとは異なるMMPFFのエピトープと結合する抗体であることを特徴とするキット。
【請求項56】
請求項44に記載のキットであって、更に、女性から採取した尿サンプルを遠心分離する装置を含んで構成されていることを特徴とするキット。
【請求項57】
請求項44に記載のキットであって、前記第1薬剤は担体に結合されていることを特徴とするキット。
【請求項58】
請求項57に記載のキットであって、前記担体はプラスチックの容器であることを特徴とするキット。
【請求項59】
請求項58に記載のキットであって、前記容器はマルチウエルプレートであることを特徴とするキット。
【請求項60】
請求項59に記載のキットであって、前記プレートはロボット装置による自動分析に適合するように作製されたものであることを特徴とするキット。
【請求項61】
請求項58に記載のキットであって、前記第1薬剤は抗体であることを特徴とするキット。
【請求項62】
請求項61に記載のキットであって、前記第2薬剤は第2抗体であることを特徴とするキット。
【請求項63】
請求項62に記載のキットであって、前記第2抗体は配位子に連接されていることを特徴とするキット。
【請求項64】
請求項63に記載のキットであって、更に、(i)前記配位子と結合する受容体と(ii)検出可能なラベルを含んで構成されていることを特徴とするキット。
【請求項65】
請求項64に記載のキットであって、ラベルは酵素、放射性核種、発蛍光団、及び発色団よりなる群から選択された化合物でラベル付けされていることを特徴とするキット。
【請求項66】
請求項65に記載のキットであって、前記配位子はビオチンであり、前記受容体はアビジンであることを特徴とするキット。
【請求項67】
請求項66に記載のキットであって、前記アビジンはストレプタビジン(streptavidin)であることを特徴とするキット。
【請求項68】
請求項67に記載のキットであって、前記ラベルは酵素であることを特徴とするキット。
【請求項69】
請求項68に記載のキットであって、前記酵素は西洋わさびペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase)であることを特徴とするキット。
【請求項70】
請求項69に記載のキットであって、更に、3、3’、5、5’−テトラメチルベンジジンを含んで構成されていることを特徴とするキット。
【請求項71】
請求項44に記載のキットであって、更に、対照例としてのMMPFFペプチドを含んで構成され、対照例ペプチドのアミノ酸配列は配列ID番号1から5よりなる群から選ばれたひとつの配列の少なくとも10の連続する残基を含んで構成されていることを特徴とするキット。
【請求項72】
請求項71に記載のキットであって、対照例ペプチドのアミノ酸配列は配列ID番号1から5よりなる群から選ばれたひとつの配列の少なくとも20の連続する残基を含んで構成されていることを特徴とするキット。
【請求項73】
請求項71に記載のキットであって、対照例ペプチドのアミノ酸配列は配列ID番号1から5よりなる群から選ばれたひとつの配列の少なくとも50の連続する残基を含んで構成されていることを特徴とするキット。
【請求項74】
請求項71に記載のキットであって、対照例ペプチドのアミノ酸配列は配列ID番号1から5よりなる群から選ばれたひとつの配列の少なくとも200の連続する残基を含んで構成されていることを特徴とするキット。
【請求項75】
請求項71に記載のキットであって、対照例ペプチドのアミノ酸配列は配列ID番号1から5よりなる群から選ばれたひとつの配列を含んで構成されていることを特徴とするキット。
【請求項76】
請求項71に記載のキットであって、対照例ペプチドのアミノ酸配列は配列ID番号4の少なくとも10の連続する残基を含んで構成されていることを特徴とするキット。
【請求項77】
請求項71に記載のキットであって、対照例ペプチドのアミノ酸配列は配列ID番号5の少なくとも10の連続する残基を含んで構成されていることを特徴とするキット。
【請求項78】
請求項44に記載のキットであって、更に、少なくとも20の連続するアミノ酸残基の部分を含んで構成される対照例ペプチドを含み、その部分のアミノ酸配列は配列ID番号1から5よりなる群から選択された配列の20の連続する残基と少なくとも90%同一であることを特徴とするキット。
【請求項79】
請求項78に記載のキットであって、前記対照例ペプチドは少なくとも20の連続するアミノ酸残基の部分を含んで構成され、その部分のアミノ酸配列は配列ID番号4と5よりなる群から選択された配列の20の連続する残基と少なくとも90%同一であることを特徴とするキット。
【請求項80】
請求項44に記載のキットであって、更に、女性の尿中の第2卵巣癌マーカーの発生を査定する試薬を含んで構成されることを特徴とするキット。
【請求項81】
請求項80に記載のキットであって、前記第2の卵巣癌マーカーは尿ゴナドトロピンペプチド(urinary gonadotropin peptide)、システインプロテイナーゼ(cysteine proteinase)、ネオプテリン(neopterin)、腫瘍関連トリプシン抑制剤(tumor-associated trypsin inhibitor)よりなる群から選択されたものであることを特徴とするキット。
【請求項82】
請求項44に記載のキットであって、更に、女性の血清中の第2卵巣癌マーカーの発生を査定する試薬を含んで構成されることを特徴とするキット。
【請求項83】
請求項82に記載のキットであって、前記第2卵巣癌マーカーはCA125、癌性胎児抗原(carcinoembryonic antigen)、血管内皮成長因子(vascular endothelial growth factor)、腫瘍関連トリプシン抑制剤(tumor-associated trypsin inhibitor)、CD44スプライス変形体(splice variants)、抗マリグニン抗体(anti-malignin antibody)、乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase)、アルファーヒドロキシ酪酸脱水素酵素(alpha-hydroxybutyrate dehydrogenase)、CA19−9、組織ポリペプチド抗原(tissue polypeptide antigen)、及びシアリルTNよりなる群から選択されたものであることを特徴とするキット。
【請求項84】
請求項83に記載のキットであって、前記第2の卵巣癌マーカーはCA125であることを特徴とするキット。

【公表番号】特表2007−525643(P2007−525643A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507164(P2006−507164)
【出願日】平成16年3月15日(2004.3.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/007765
【国際公開番号】WO2004/083449
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505345037)フジレビオ アメリカ インク (2)
【Fターム(参考)】