説明

卵殻と卵殻膜との分離回収方法及びその装置

【課題】回収効率が良く、卵殻膜のタンパク質に変性を生じさせずに卵殻と卵殻膜とを分離回収することができる卵殻と卵殻膜との分離回収方法及びその装置を提供する。
【解決手段】卵殻1内から卵白を洗浄除去して乾燥させた卵殻1を個別に隔離収納する網目状の卵殻ケース3を設ける。該卵殻ケース3ごと卵殻1を炭酸水溶液Pに浸漬せしめる耐圧タンク10を構成する。耐圧タンク10を耐圧タンクにて構成する。耐圧タンク10内に貯留する水を脱気する脱気機20を設ける。脱気された水を冷却する冷却装置30を設ける。脱気及び冷却された水に炭酸ガスを充填せしめる炭酸ガスボンベ50を備える。耐圧タンク10内の圧力を加圧する加圧ポンプ40を備える。耐圧タンク10内で冷却及び加圧された炭酸水溶液Pに炭酸ガスを補充しながら該炭酸水溶液P内に前記卵殻膜2付の卵殻1を前記卵殻ケース3ごと浸漬せしめるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種卵の卵殻と卵殻膜とを分離して夫々を優れた資源として活用することができる卵殻と卵殻膜との分離回収方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
卵は、黄身、白身、卵殻、全てが人間の役に立ち、本来まったく捨てるところがない優れた資源である。しかしながら卵殻及び卵殻膜だけは、そのまま放置すると付着した卵白や卵黄が腐敗して悪臭を放つため、大半は産業廃棄物として処理されている。現在、日本全国の業界全体で6万6500トンが産業廃棄物として処理され、この処理費用は液卵工場だけでも年間11億〜16億円程度が費やされている。優れた資源である卵殻の活用が日本はおろか世界のどの国でも行われていない理由は、卵殻と卵殻膜が強固に張り付いておりこの卵殻膜の剥離が困難なことが原因に挙げられる。
【0003】
卵殻と卵殻膜とが強固に張り付いているのは、図5に示すように、卵殻1を構成している結晶状のパリセード層1Aにおける乳頭層1Bの乳頭核1Cと称する先端部分が、卵殻膜2を構成するタンパク質の網目状の繊維内部に入り込み、乳頭核1Cが卵殻膜2に連続した状態になっている卵殻特有の構造による。
【0004】
そこで、これら卵殻と卵殻膜とを分離する従来の方法として、これまで大別して二つの方法が提案されている。一つは、特許文献1に記載されている如く、卵殻を塩酸、硫酸、酢酸等の弱酸性水溶液に浸漬して卵殻膜を剥離する方法である。
【0005】
二つ目は、例えば特許文献2、3に記載されているように、卵殻を細かく砕き、卵殻と卵殻膜との比重差を利用して卵殻膜を分離する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭52‐12514号公報
【特許文献2】特公平4‐42942号公報
【特許文献3】特開2002‐263629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
卵殻膜の主要構成成分はタンパク質である。このタンパク質は、熱・酸・圧力などによって変性(化学的、物理的性質等が変化する現象)することが知られている。
【0008】
そのため、特許文献1の如く、塩酸、硫酸、酢酸等の弱酸性水溶液に卵殻を浸漬して卵殻膜を剥離する方法では、卵殻膜を構成するタンパク質が弱酸性の影響を受けて変性してしまう不都合が生じる。また、アルコール、エーテル等の有機溶剤などを使用しても、卵殻膜を効率良く分離することは困難であった。
【0009】
一方、特許文献2、3に記載されているように、卵殻を細かく砕き、卵殻と卵殻膜との比重差を利用して卵殻膜を分離する方法では、卵殻に卵殻膜が付着した部分が残るため効率の良い回収とはいえなかった。しかも、比重差を利用して分離する方法では、粉砕手段に加え、砕いた卵殻膜と卵殻とのふるい分け手段、更にふるい分けした卵殻膜と卵殻とを比重差で選別する選別手段など、多くの工程やその工程に伴う各種の装置が必要になっていた。したがって、装置全体として極めて大掛かりな構成になり、分離回収に極めて多くのコストやエネルギーが必要になる。
【0010】
そこで本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、極めて回収効率が良くエネルギーの使用が少なくて済み、しかも卵殻膜のタンパク質が変性しない卵殻と卵殻膜との分離回収方法及びその装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、卵殻1から卵殻膜2を分離回収する方法であって、卵殻1内から卵白を洗浄除去して乾燥させた後、該卵殻1を炭酸水溶液Pに浸漬して卵殻1から卵殻膜2を分離し夫々を回収することにある。
【0012】
第2の手段は、前記炭酸水溶液Pに冷却及び加圧下にて炭酸ガスを補充すると共に、該炭酸水溶液Pを撹拌しながら前記卵殻膜2付の卵殻1を浸漬する分離回収方法にある。
【0013】
第3の手段は、前記炭酸水溶液Pにて卵殻1を1回又は複数回浸漬し、卵殻1の乳頭核1Aが溶解した時点で卵殻1と卵殻膜2とを夫々回収する分離回収方法である。
【0014】
第4の手段は、前記炭酸水溶液Pにて卵殻1を1回又は複数回浸漬し、卵殻1全てが溶解した時点で残った卵殻膜2を回収し、一方、卵殻1が溶解した炭酸水溶液Pを加熱して析出した卵殻1の成分を回収する分離回収方法である。
【0015】
第5の手段は、卵殻1から卵殻膜2を分離回収する装置であって、卵殻1内から卵白を洗浄除去して乾燥させた卵殻1を個別に隔離収納する網目状の卵殻ケース3と、該卵殻ケース3ごと卵殻1を炭酸水溶液Pに浸漬せしめる耐圧タンク10とで構成された分離回収装置にある。
【0016】
第6の手段において、前記耐圧タンク10は耐圧タンクにて構成され、該耐圧タンク10内に貯留する水を脱気する脱気機20と、該脱気された水を冷却する冷却装置30と、脱気及び冷却された水に炭酸ガスを充填せしめる炭酸ガスボンベ50と、耐圧タンク10内の圧力を加圧する加圧ポンプ40と、耐圧タンク10に、該耐圧タンク10内の炭酸水溶液Pを再冷却しながら循環せしめる冷却循環装置60とを備え、該耐圧タンク10内で冷却及び加圧された炭酸水溶液Pに炭酸ガスを補充しながら該炭酸水溶液P内に前記卵殻膜2付の卵殻1を前記卵殻ケース3ごと浸漬するように構成した。
【発明の効果】
【0017】
本発明の請求項1に記載の如く、卵殻1を炭酸水溶液Pに浸漬して卵殻1から卵殻膜2を分離し夫々を回収する方法により、卵殻膜のタンパク質に変性を生じさせずに卵殻と卵殻膜とを分離回収することができる。しかも、卵殻を細かく砕き比重差を利用して分離する方法に比べて極めて回収効率が良く資源エネルギーの使用が少なくて済む。
【0018】
また、請求項2のように、炭酸水溶液Pを冷却及び加圧下にて炭酸ガスを補充し、炭酸水溶液Pを撹拌しながら前記卵殻1を浸漬することで、卵殻から卵殻膜を分離する作用を促進し、極めて効率の良い回収が可能になる。
【0019】
請求項3では、炭酸水溶液Pにて卵殻1を1回又は複数回浸漬し、卵殻1の乳頭核1Aが溶解した時点で卵殻1と卵殻膜2とを夫々回収するので、回収時間が極めて早くなる。しかも、どのような種類の卵でも、卵殻1と卵殻膜2とのいずれも原型を留めた状態で回収することができる。
【0020】
請求項4の如く、前記炭酸水溶液Pにて卵殻1を1回又は複数回浸漬し、卵殻1全てが溶解した時点で残った卵殻膜2を回収する方法によると、卵殻1が溶解した炭酸水溶液Pから卵殻1の成分を回収するので、どのような種類の卵でも、確実に卵殻1を分離することができる。
【0021】
請求項5の分離回収装置によると、卵殻1を個別に隔離収納する網目状の卵殻ケース3と、該卵殻ケース3ごと卵殻1を炭酸水溶液Pに浸漬せしめる耐圧タンク10とで構成される極めてシンプルな装置での分離回収が可能になる。
【0022】
請求項6記載の分離回収装置の如く、脱気機20、冷却装置30、炭酸ガスボンベ50、加圧ポンプ40、冷却循環装置60を備えることで、極めて効率の良い分離回収が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】本発明の収納ケースの一実施例を示す側面図である。
【図3】本発明方法において卵殻の乳頭核が溶解した時点で回収する状態を示す側面図である。
【図4】本発明方法において卵殻が溶解した時点で回収する状態を示す側面図である。
【図5】卵殻と卵殻膜の構成を示す要部拡大斜視図である。
【図6】容器内圧と温度に対する二酸化炭素の溶解度を示す図である。
【図7】炭酸ガス圧と温度に対する炭酸カルシウムの溶解度を示す図である。
【図8】本発明の収納ケースと蓋の一実施例を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明によると、極めて回収効率が良く資源エネルギーの使用が少なくて済み、しかも卵殻膜のタンパク質に変性を生じさせずに卵殻と卵殻膜とを分離回収することができるなどといった当初の目的を達成した。
【実施例】
【0025】
本発明は、鶏卵のほか、スッポン卵やウズラ卵などの各種卵の卵殻と卵殻膜とを分離回収する方法及びその装置である。
【0026】
本発明の分離回収方法は、卵殻1内から卵白を洗浄除去して乾燥させた後、該卵殻1を炭酸水溶液Pに浸漬することで卵殻1から卵殻膜2を分離させ、夫々を回収することにある。すなわち、炭酸水溶液P内に卵殻1を浸漬すると、次のような反応が起こり、炭酸カルシウムは水と炭酸ガスと結び付き、「炭酸水素カルシウム」となる。この炭酸水素カルシウムが水溶性であるため、水は「炭酸水素カルシウム水溶液」となるので、卵殻1は水に溶解し、卵殻膜2は残ることになる。
「CaCO3+H2O+CO2→Ca(HCO32
なお浸漬させる炭酸水溶液Pは、炭酸ガスボリューム2.0v/v以上であることが好ましく、より好ましくは炭酸ガスボリューム4.0v/v以上である。
【0027】
卵殻1を浸漬する炭酸水溶液Pは、冷却及び加圧下にて炭酸ガスを補充すると、炭酸ガスの溶解度が高くなる(図6参照)。しかも、カルシウムと反応する際に減少する炭酸ガスを補うことになるので、炭酸水溶液Pの炭酸ガスボリュームを高めた状態に保つことができる。但し、水温0℃以下では氷結するので炭酸水溶液Pを作れない。一方、圧力は高い方が炭酸ガスの溶解度が高くなるが、この圧力に耐え得る圧力タンクが必要になるので、圧力が高くなるほどタンクが大型化することになる。そのため、これまでの実験による最適条件として、水温4℃以下、圧力5.0Kg/cm2の条件下で、炭酸ガスボリューム8.55v/vを目安に調整するのが好ましい。
【0028】
また、炭酸ガスは、低温下で水と撹拌して混ぜるほど水に溶け込む性質を有している、そのため、浸漬させる炭酸水溶液Pを撹拌させることで、濃度の高い炭酸水溶液Pを効率良く使用することが可能になる。
【0029】
卵殻1と卵殻膜2とを夫々回収するには、炭酸水溶液Pにて卵殻1を1回又は複数回浸漬し、卵殻1の乳頭核1Aが溶解した時点で回収する方法と、卵殻1全てが溶解した時点で回収する方法とがある。炭酸水溶液Pに卵殻1を複数回浸漬する場合は、浸漬した卵殻1を一旦乾燥させた後、改めて浸漬するものである。このように浸漬を繰り返すことで、乳頭核1Aの溶解や卵殻1全ての溶解をより促進させることが可能である。
【0030】
卵殻1の乳頭核1Aが溶解した時点で回収する方法では、比較的短時間で回収することができる。例えば、炭酸ガスボリューム4v/v(水温4℃、圧力2.0Kg/cm2)の条件では、スッポン卵1〜2日間、ウズラ卵2〜3日間、鶏卵3〜5日間炭酸水溶液Pに浸漬する。また、炭酸ガスボリューム8v/v(水温4℃、圧力5.0Kg/cm2)の条件下での浸漬日数は、スッポン卵約1日間、ウズラ卵1〜2日間、鶏卵2〜3日間となる。浸漬後、図3(イ)のように、耐圧タンク10から卵殻ケース3と卵殻1を取り出して乾燥させると、同図(ロ)の如く、卵殻膜2が卵殻1から自然に剥離して分離するので、夫々回収する。
【0031】
一方、卵殻1全てが溶解した時点で回収する方法では、卵殻ケース3から卵殻膜2を回収した後、卵殻1が溶解している水を加熱すると、炭酸水素カルシウムの溶解度が低下し、炭酸水素カルシウムは、水と炭酸ガスと炭酸カルシウムに分離する。
「Ca(HCO32→CaCO3+H2O+CO2
水に溶けない炭酸カルシウムは沈殿するので、この沈殿物を回収する(図4参照)。この回収方法では浸漬させる炭酸水溶液の圧力・温度・炭酸ガスボリュームによって溶解できる卵殻量が決まる(図7参照)。そのため、予め計算した上で溶解可能量の卵殻を浸漬させることになる。例えば、水温10℃で炭酸ガス圧1×105 Paの炭酸水溶液に浸漬させる場合には、炭酸カルシウムの溶解度は 1.11g / 水 1dm3なので、炭酸水溶液1Lに対して1gの卵殻という割合を目安に浸漬させると良い(表1参照)。なお所要日数は、卵の厚みやサイズ、種類によって異なるが、炭酸ガスボリューム4v/v(水温4℃、圧力3.0Kg/cm2)の条件では、スッポン卵なら約4日、鶏卵なら約10日で卵殻は完全に溶解する。
【表1】

【0032】
本発明装置は、前記回収方法を実施する装置であり、卵殻1内から卵白を洗浄除去して乾燥させた卵殻1を個別に隔離収納する網目状の卵殻ケース3と、該卵殻ケース3ごと卵殻1を炭酸水溶液Pに浸漬せしめる耐圧タンク10とを使用する分離回収装置である(図1参照)。
【0033】
卵殻ケース3は、洗浄し、乾燥させた卵殻1を設置するケースである。好ましくは、この卵殻ケース3の中に、卵の内面側を下に向けて卵殻1を設置する(図2参照)。逆に内面側を上に向けて卵殻1を設置すると、溶解及び剥離した卵殻が水の攪拌に伴い卵殻内に入って卵殻膜に付着したり溜まったりしてしまう。内面側を下にして卵殻1を設置すればこのような不都合が解消され、卵殻膜2が卵殻1から分離するので卵殻膜2の回収に都合がよくなる。このとき、卵殻1同士が重なり合っていると、接触面は炭酸水溶液Pに触れることができずに分離効率が低下する。そのため、卵殻ケース3は、網目状に形成され、卵殻1を個別に収納できるように仕切3Aが設けられている(図8参照)。図示例では、卵殻ケース3の開口上部に蓋4を施蓋すると共に、卵殻ケース3の下端部に脚3Bを設けて重ねた際に、網同士が重なって網目が密にならないように調整している。また、実験によると、卵殻ケース3や蓋4の網目は28メッシュ程度が好ましい。
【0034】
耐圧タンク10は耐圧タンクにて構成され、この耐圧タンク10内で冷却及び加圧された炭酸水溶液Pに炭酸ガスを補充しながら該炭酸水溶液P内に前記卵殻膜2付の卵殻1を前記卵殻ケース3ごと浸漬するように構成している(図1参照)。
【0035】
この耐圧タンク10には、次のような装置が装着されている。脱気機20は、耐圧タンク10内に貯留する水から脱気する装置である。酸素や窒素などの気体も炭酸ガスのように水に溶けるので、耐圧タンク10に注入する前の水を脱気機20によって予め脱気することで、炭酸ガスの溶解度を高めることができる。図示例では、水道5の水を浄水器6にて浄化した後、脱気している。
【0036】
冷却装置30は、該脱気された水を冷却する装置で、図示例では、脱気後の水を耐圧タンク10に送る際に、冷凍機31で冷却した冷媒が循環する冷却管33に接することで水を冷却している。
【0037】
加圧ポンプ40は、炭酸水溶液Pの圧力を高めることで、炭酸ガスの溶解度を高くするものである。通常、炭酸ガスの溶解度は、ガス流量計51にて確認しながら調整する。このとき、炭酸ガスの圧力で不足する場合に、この加圧ポンプ40を使用する。図示の加圧ポンプ40は、冷却後の水を加圧するように設置している。
【0038】
炭酸ガスボンベ50は、耐圧タンク10内で冷却及び加圧された炭酸水溶液Pに炭酸ガスを補充する際に使用する。図示の炭酸ガスボンベ50使用時は、ガス流量計51で炭酸ガスの溶解量を確認しながら脱気及び冷却された水に炭酸ガスを充填せしめるものである。
【0039】
また、炭酸ガスは、低温下で水と撹拌して混ぜるほど水に溶け込む性質を有している、そのため、適温に冷却した水を耐圧タンク10内に循環せしめる冷却循環装置60を備えている。図示の冷却循環装置60は、耐圧タンク10内の炭酸水溶液Pを循環ポンプ66にて循環せしめるもので、冷凍機63の冷媒が循環して冷却された冷却コイル62の周囲を撹拌モーター61により攪拌された炭酸水溶液Pが通過する際に冷却され、水ノズル64から耐圧タンク10内に戻されることで耐圧タンク10内の炭酸水溶液Pを撹拌するものである。このとき、冷凍機63の冷却温度は、耐圧タンク10内に設置した水温計65にリンクして調整される。
【0040】
尚、図中符号7はドレン、13は安全弁、14はガス放出管、15はガスノズル、17は棚、である。また、符号52は炭酸ミキサー、53はレギュレーターを示している。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明分離回収方法及びその装置により得られた卵殻1は、肥料等の土壌改造剤、食品のカルシウム補強剤、台所用品などとして利用可能である。また、特殊な分野では、人工プラスチック、きのこの培地、超大型ポスター紙、生分解性物質などへの利用も可能である。
【0042】
一方、卵殻膜2は、一般的な分野で人工皮膚、栄養剤、光学フィルター、可食性包装材などに利用され、専門的分野として、廃液浄化(脱色)、重金属(金、銀、白金、ウラン、パラジウム)の回収(吸着)、ペプチドの生産などに利用することが可能である。
【0043】
また、本発明の構成は図示例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で自由な設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
P 炭酸水溶液
1 卵殻
2 卵殻膜
3 卵殻ケース
3A 仕切
3B 脚
4 蓋
5 水道
6 浄水器
7 ドレン
10 耐圧タンク
11 水ノズル
12 圧力計
13 安全弁
14 ガス放出管
15 ガスノズル
16 耐圧タンク蓋
17 棚
20 脱気機
30 冷却装置
31 冷凍機
33 冷却管
40 加圧ポンプ
50 炭酸ガスボンベ
51 ガス流量計
52 炭酸ミキサー
53 レギュレーター
54 ガスパージ
60 冷却循環装置
61 撹拌モーター
62 冷却コイル
63 冷凍機
64 水ノズル
65 水温計
66 循環ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵殻から卵殻膜を分離回収する方法であって、卵殻内から卵白を洗浄除去して乾燥させた後、該卵殻を炭酸水溶液に浸漬して卵殻から卵殻膜を分離し夫々を回収することを特徴とする卵殻と卵殻膜との分離回収方法。
【請求項2】
前記炭酸水溶液に、冷却及び加圧下にて炭酸ガスを補充すると共に、該炭酸水溶液を撹拌しながら前記卵殻膜付の卵殻を浸漬する請求項1記載の卵殻と卵殻膜との分離回収方法。
【請求項3】
前記炭酸水溶液にて卵殻を1回又は複数回浸漬し、卵殻の乳頭核が溶解した時点で卵殻と卵殻膜とを夫々回収する請求項1又は2記載の卵殻と卵殻膜との分離回収方法。
【請求項4】
前記炭酸水溶液にて卵殻を1回又は複数回浸漬し、卵殻全てが溶解した時点で残った卵殻膜を回収し、一方、卵殻が溶解した炭酸水溶液を加熱して析出した卵殻の成分を回収する請求項1又は2記載の卵殻と卵殻膜との分離回収方法。
【請求項5】
卵殻から卵殻膜を分離回収する装置であって、卵殻内から卵白を洗浄除去して乾燥させた卵殻を個別に隔離収納する網目状の卵殻ケースと、該卵殻ケースごと卵殻を炭酸水溶液に浸漬せしめる耐圧タンクとで構成されたことを特徴とする卵殻と卵殻膜との分離回収装置。
【請求項6】
前記耐圧タンク内に貯留する水を脱気する脱気機と、該脱気された水を冷却する冷却装置と、脱気及び冷却された水に炭酸ガスを充填せしめる炭酸ガスボンベと、耐圧タンク内の圧力を加圧する加圧ポンプと、耐圧タンク内の炭酸水溶液Pを再冷却しながら循環せしめる冷却循環装置とを備え、該耐圧タンク内で冷却及び加圧された炭酸水溶液に炭酸ガスを補充しながら該炭酸水溶液内に前記卵殻膜付の卵殻を前記卵殻ケースごと浸漬するように構成した請求項5記載の卵殻と卵殻膜との分離回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−139205(P2012−139205A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1189(P2011−1189)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(506104932)株式会社ドーモコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】