卵胆礬を含む癌予防及び治療用組成物
本発明は、卵胆礬を含む癌予防及び治療用組成物、より詳細には、胆礬を卵白に混合して製造される毒性が除去された卵胆礬を単独で含んだり、竹塩との混合物として含む癌予防治療用組成物、及びその製造方法に関するもので、本発明の卵胆礬を含む組成物は、抗癌活性に優れているので、癌の予防及び治療用薬学製剤または健康機能食品の製造に有用に用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵胆礬を含む癌予防及び治療用組成物に関するもので、より詳細には、胆礬を卵白に混合して製造される毒性が除去された卵胆礬を単独で、または竹塩との混合物として含む癌予防治療用組成物、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌とは、主に統制されない細胞の増殖から始まり、周囲の正常組織または器管に浸潤してこれらを破壊し、新しい成長場所を作ることができ、個体の生命を奪うことのできる疾患群を総称する。過去の約10年間癌を克服するために、細胞周期や細胞死滅の調節と、発癌遺伝子や癌抑制遺伝子を含む新しい標的の模索において著しい発展を遂げてきたにもかかわらず、癌の発生率は文明の発達とともに増加している。
【0003】
現在、癌患者のための治療法は、外科的手術、放射線治療、約40種類の強い細胞毒性を示す抗癌物質投与による化学療法に依存しているが、これら治療法も、ほとんどが早期癌患者や特定癌のみに限定されており、癌による死亡は継続的に増加している。
【0004】
また、抗癌剤のほとんどが強い毒性を示す化学的製剤であるので、毒性の少ない抗癌剤、特に天産物由来の抗癌剤が持続的に開発されている。
【0005】
胆礬は、硫酸銅からなる硫酸塩鉱物の一種であって、主成分としてCuSO4・5H2Oを含有しているが、天然鉱物であるため、その他に微量の天然ミネラルが混合されている青色の結晶である。胆礬は、三斜晶系に属し、ガラス光沢があり、半透明な青色を帯びており、吐剤、殺虫剤、顔料、媒染剤及び電解液などに使用されるものと知られている。胆礬は、鉱物性生薬であるため毒性の憂いがあり、実際に薬用に用いるには限界があった。そのため、胆礬の抗癌剤への用途については全く知られていない。
【0006】
竹塩は、仁山金一勳(1909〜1992)先生の発明品であって、竹と塩を合成してなるもので、これは、新しい細胞を生成させる作用をする竹と、殺菌及び腐敗を防止する塩とを炉で高熱で複数回繰り返して処理することによって、これらが持つ毒素を除去し、薬効を最大限に増進させた秘薬として知られている。
【0007】
竹塩は、人体の根源である胃腸を丈夫にし、炎症疾患の原因を治療する薬理作用があるだけでなく、血をきれいにする清血作用をし、体内に積もった老廃物除去及び解毒作用をするようになり、酸性体質を弱アルカリ性体質に変える効能を有する。また、竹塩は、一般の塩に比べて抗炎症作用及び細菌に対する殺菌力が3〜4倍以上強く、殺菌作用を通して人体内で解熱作用をするものと知られている。
【0008】
本発明者は、胆礬の毒性を卵白で中和させた卵胆礬が癌細胞のアポトーシスを誘導し、癌細胞の増殖を抑制することによって、天然抗癌剤として用いる可能性があることを確認し、卵胆礬を単独または竹塩との混合物として含む組成物が抗癌剤として広範囲に利用できることを確認した結果、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】仁山金一勳「宇宙と神薬(1980年)」
【非特許文献2】仁山金一勳「神薬(1986年)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、卵胆礬を有効成分として含む癌予防及び治療用組成物を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、卵胆礬を有効成分として含む癌予防及び改善用健康機能食品を提供することにある。
【0012】
本発明の更に他の目的は、(a)天然鉱物性生薬である胆礬を全量が灰色または褐色に変わるまで加熱して脱水させる段階;(b)脱水された胆礬を冷やした後、粉末化する段階;及び(c)前記段階(b)の胆礬粉末を卵白に混合する段階を含む、卵胆礬の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一つの様態として、本発明は、卵胆礬を有効成分として含む癌予防及び治療用組成物に関するものである。
【0014】
本発明において、「卵胆礬」は、卵の卵白と胆礬が混合されたものを意味し、胆礬(CuSO4・5H2Oを主成分とする天然鉱物)を焼いて脱水・粉末化した後、卵の卵白を混合して反応させることによって製造することが好ましい。このように製造された卵胆礬は、胆礬特有の毒性が卵白によって中和され、毒性が減少及び除去され、薬性は増強される。
【0015】
また、本発明の前記組成物は、竹塩をさらに含むことができる。
【0016】
本発明に用いられる竹塩は、市販のものを使用したり、直接製造することができる。このとき、竹塩は、竹塩発明家である仁山金一勳先生の冊子「宇宙と神薬(1980年)」と「神薬(1986年)」に記載された製造法の通りに、西海岸の天日塩を王竹の竹筒に入れ、黄土で入口を封じた後、鉄釜にきちんと積み上げ、松の薪の火にくべて焼き、このように王竹の竹筒を焼いて残った塩の柱を粉に粉砕する。その後、これを再び新しい王竹の竹筒に入れ、黄土で入口を封じた後、鉄釜で松の薪を用いて8回焼き上げた後、最後の9回目ではまつやにを添加し、火力を高めながら塩を溶かし落とした仁山先生の正統9回溶融竹塩製造法に充実した竹塩を使用することが好ましいが、これに制限されることはない。
【0017】
本発明の組成物に含まれる卵胆礬及び竹塩は、粉末状であることが好ましい。また、本発明の組成物が卵胆礬及び竹塩を全て含む場合、粉末状の卵胆礬及び竹塩は、1:99〜99:1重量比の多様な比率で混合して含むことができ、好ましくは1:5〜1:50の重量比で含み、最も好ましくは1:5、1:10、1:15、1:25及び1:30の重量比で含む。
【0018】
前記組成物が経口用製剤として用いられる場合、竹塩粉末が卵胆礬粉末と同一であるか、それより高い含量で含まれることが好ましく、幼いか、体力が弱いか、老衰・病弱なときは竹塩の比率を高め、体力が比較的良好なときは卵胆礬の比率を漸次高めてもよく、卵胆礬と竹塩の比率が約1:10及び1:5になったときにも服用が可能である。
【0019】
また、前記組成物を体に塗ったり、洗浄またはスプレーする用途の塗布用製剤として用いたり、かん腸用に用いる場合は、卵胆礬の比率が高くても構わなく、卵胆礬の単独使用も可能である。
【0020】
本発明の卵胆礬を含む組成物は、カスパーゼ3(caspase3)の活性増進を通した癌抑制能を有する。
【0021】
本発明の具体的な実施例において、卵胆礬をHepG2(肝癌細胞)、SW480(大膓癌細胞)、MCF−7(乳房癌細胞)及びNCI−H460(肺癌細胞)に処理した場合、濃度依存的に癌細胞の増殖が抑制されることを確認した。また、肝癌細胞及び肺癌細胞に卵胆礬を処理した場合、アポトーシス(apoptosis、細胞死滅)が誘導され、核分節と染色質凝縮が生じることを確認した。また、本発明の卵胆礬組成物が持つ癌細胞増殖抑制能をタンパク質水準で観察した結果、カスパーゼ3タンパク質を活性化させることによって、細胞死滅を誘導し、癌細胞の増殖を抑制することを確認した。
【0022】
本発明の卵胆礬組成物は、癌の予防及び治療用途に用いることができる。本発明において、「予防」とは、組成物の投与によって疾患の形成を抑制したり、発病を遅延させる全ての行為を意味し、「治療」とは、組成物の投与によって前記疾患の症状が好転したり、有利に変更される全ての行為を意味する。
【0023】
前記本発明の組成物は、ほとんどの癌に適用可能であり、例えば、肝癌、乳房癌、肺癌、大膓癌、胃癌、膵膓癌、子宮癌、前立腺癌、骨癌、神経膠腫及び白血病などに適用可能であり、このうち肝癌、大膓癌、乳房癌及び肺癌に適用されることが好ましいが、これに制限されることはない。
【0024】
本発明の卵胆礬を有効成分として含む組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含み、薬学的組成物として用いることができ、担体と共に製剤化することができる。また、本発明の前記組成物は、単一剤として使用したり、薬効を増強できる他の有効成分と共に複合剤として使用することができる。
【0025】
本発明の用語である「薬学的に許容可能な担体」とは、生物体を刺激せず、投与化合物の生物学的活性及び特性を阻害しない担体または希釈剤をいう。液状溶液に製剤化される組成物において許容される薬剤学的担体としては、生体に適切なものとして、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール及びこれら成分のうち1成分以上を混合して使用することができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤をさらに添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液などの注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。
【0026】
本発明の前記組成物は、これを有効成分として含むいかなる剤形にも適用可能であり、経口用または非経口用剤形に製造することができる。本発明の薬学的剤形は、口腔、直腸、鼻腔、局所、皮下、膣または非経口(筋肉内、皮下及び静脈内を含む。)投与に適した形態、または吸入や注入による投与に適した形態を含む。
【0027】
本発明の組成物を含む経口投与用剤形としては、例えば、錠剤、トローチ剤、水溶性または油性懸濁液、調剤粉末または顆粒、エマルジョン、ハードまたはソフトカプセル、シロップまたはエリキシル剤に製剤化することができる。錠剤及びカプセルなどの剤形に製剤化するために、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アミロペクチン、セルロースまたはゼラチンなどの結合剤、リン酸二カルシウムなどの賦形剤、トウモロコシ澱粉またはサツマイモ澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウムまたはポリエチレングリコールワックスなどの潤滑油を含むことができ、カプセル剤形の場合、前記言及した物質の他にも脂肪油などの液体担体をさらに含有することができる。
【0028】
本発明の組成物を含む非経口投与用剤形は、皮下注射、静脈注射または筋肉内注射などの注射用形態、坐剤注入方式または呼吸器を通して吸入可能にするエアロゾル剤などのスプレー用に製剤化することができる。注射用剤形に製剤化するためには、本発明の組成物を安定剤または緩衝剤と共に水で混合して溶液または懸濁液に製造し、これをアンプルまたはバイアルの単位投与用に製剤化することができる。坐剤として注入するためには、ココアバターまたは他のグリセリドなどの通常の坐薬ベースを含む坐薬またはかん腸剤などの直腸投与用組成物に製剤化することができる。エアロゾル剤などのスプレー用に剤形化する場合、水が分散された濃縮物または湿潤粉末が分散されるように、推進剤などを添加剤と共に配合することができる。
【0029】
更に他の様態として、本発明は、前記卵胆礬組成物を用いて癌を予防及び治療する方法に関するものである。
【0030】
本発明において、前記疾患の治療は、卵胆礬を含む薬学的組成物を投与する段階を含むことができる。本発明の用語である「投与」は、何らかの適切な方法で患者に本発明の薬学的組成物を導入することを意味する。
【0031】
本発明の組成物は、目的組織に到逹できる一つの経口または非経口の多様な経路を通して投与することができ、具体的には、口腔、直腸、局所、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、経皮、鼻腔内、吸入、眼球内または皮内経路を通して通常の方式で投与することができるが、このうち、経口投与または経皮塗布によって投与することが好ましい。
【0032】
本発明の治療方法は、本発明の組成物を薬学的有効量で投与することを含む。適切な総1日投与量は、正しい医学的判断範囲内で処置医によって決定可能であることは当業者にとって自明である。特定患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によって他の製剤が使用されるか否か、具体的組成物、患者の年齢、体重、一般の健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間、具体的組成物と共にまたは同時に使用される薬物を含めた多様な因子と医薬分野でよく知られた類似因子に従って異なるように適用することが好ましい。したがって、本発明の目的に符合した薬学的組成物の1日有効投与量は、上述した事項を考慮して決定することが好ましく、最も好ましくは、卵胆礬粉末の重量を基準にして服用時に約0.1g〜30gであって、かん腸や皮膚などへの外用剤としての使用量には制限がない。
【0033】
また、本発明の治療方法は、癌が発生可能な任意の動物に適用可能であり、動物は、人間及び霊長類のみならず、牛、豚、羊、馬、犬及び猫などの家畜を含む。
【0034】
特に、本発明の組成物を経口投与する方法としては、水や、生姜及び甘草を混合して煎じた水で飲み込む方法、楡根皮水などで飲み込む方法、唾で飲み込む方法が可能である。また、摂取方法は、そのまま食べる方法の他に、カプセルに入れて前記多様な方法で服用する方法もあるが、カプセルを唾で飲み込む方法は、水や飲料水で飲み込む方法よりも効果的であり、食物や飲料水に少量だけ混合して食べることもできる。例えば、お粥や焼いたニンニクなどに前記混合物を添加して食べる方法もあり、竹塩醤油に卵胆礬粉末を混合して服用する方法もある。
【0035】
本発明の具体的実施例において、本発明の卵胆礬を竹塩と共に癌患者に服用させ、抗癌効果を観察した結果、大膓癌、肺癌、骨癌、子宮頚部異型細胞症、甲状腺癌などに治療効能があることを確認した。
【0036】
更に他の様態として、本発明は、卵胆礬を有効成分として含む癌予防及び改善用健康機能食品に関するものである。
【0037】
本発明の前記健康機能食品は、卵胆礬と共に竹塩をさらに含んで提供することができる。
【0038】
本発明の組成物は、食品学的に許容可能な食品添加剤をさらに含んで製剤化することができ、癌予防及び治療用健康機能食品に用いることができる。本発明の健康機能食品は、錠剤、カプセル剤、丸剤、液剤などの形態を含む。
【0039】
本発明の組成物を添加できる食品としては、例えば、各種食品類、飲料水、ガム、お茶、ビタミン複合剤、健康機能性食品類などがある。
【0040】
本発明で定義される「健康機能食品」は、人体に有用な機能性を有する原料や成分を使用して製造及び加工した食品を意味し、「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節したり、生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得る目的で摂取することを意味する。
【0041】
本発明の組成物は、癌を予防または改善するための目的で食品または飲み物に添加できるが、このとき、前記組成物は、食品または飲料水中に、全体の食品重量の0.01〜10重量%で添加することができ、例えば、健康飲料組成物は、全ての組成物100を基準にして0.01〜5g、好ましくは、0.5〜1gの比率で添加することができる。
【0042】
更に他の様態として、本発明は、(a)天然鉱物性生薬である胆礬を全量が灰色または褐色に変わるまで加熱して脱水させる段階;(b)脱水された胆礬を冷やした後、粉末化する段階;及び(c)前記段階(b)の胆礬粉末を卵白に混合する段階を含む、卵胆礬の製造方法に関するものである。
【0043】
以下、本発明の卵胆礬の製造方法を段階別に説明する。
【0044】
段階(a)は、胆礬(CuSO4・5H2Oを含む天然鉱物)を加熱して脱水させる段階である。胆礬を加熱する方法としては、当業界で公知となった通常の加熱方法を用いることができ、好ましくは、釜に入れ、ガスの火、薪の火または炭火で焼く方法で加熱することができる。加熱時には3〜5時間の間隔で色が変わることを観察しながら上下に混合し、熱を均一に加えるとよい。加熱時間は1回の使用量によって調整可能であるが、約10〜24時間加熱することが適切であって、胆礬の全量の色が灰色または褐色に変わり、脱水塩状態になるまで加熱することが好ましい。
【0045】
段階(b)は、段階(a)で加熱して脱水された胆礬を冷やした後、粉末化する段階である。加熱して脱水された胆礬は、熱が完全に抜け出るまで冷やさなければならなく、このとき、胆礬の水分含量は約0%〜5%であることが好ましい。脱水された胆礬を完全に冷やした後、これをきれいに粉砕して粉末化し、粉末化した胆礬は、湿気が吸収されないようにビニール袋や密閉容器に入れて乾燥した場所に保管することが好ましい。
【0046】
段階(c)は、前記段階(b)の胆礬粉末を卵白に混合し、胆礬と卵白を反応させることによって胆礬の毒性を減少及び除去し、薬性は増強させる段階である。
【0047】
卵は、卵黄と卵白に分離して卵白のみを用い、地元産のものを使用することが好ましく、より好ましくは烏骨鶏卵を使用する。前記段階(b)で準備された脱水状態の胆礬粉末に卵白を混合するが、このとき、胆礬粉末600g当たり卵7〜20個の卵白(140〜400g)を混合することが好ましく、より好ましくは300gを混合する。混合時には状態を観察しながら卵白の量を調節し、木べらのように反応性がほとんどない道具を用いて混ぜるとよい。また、化学反応が生じない容器、例えば、土器、陶磁器、麦飯石容器を使用して混合することが好ましい。混合過程で反応熱による高い熱が発生するので、注意を要する。
【0048】
また、混合時に卵白の量が過度に少ないと、脱水された胆礬粉末の毒性を充分に中和させることが難しく、その一方、卵白の量が過度に多いと、混合時に反応熱が微弱になるか、発生しなくなり、十分な混合効果を得ることが難しいので、卵白の量を注意して調節しなければならない。前記の混合物を充分に混合させた後、反応時に生じた反応熱が完全に消えるまで熱を冷やすことが好ましい。
【0049】
また、本発明の前記卵胆礬の製造方法は、段階(c)以後に、(d)前記段階(c)の混合物を冷やした後、粉末化する段階をさらに含むことができる。
【0050】
段階(d)は、段階(c)の混合物を、熱が完全に抜け出るまで冷やした後、混合物状態の卵胆礬を細かく粉砕して粉末化する段階である。卵胆礬を粉末化することによって、薬学的または食品学的製剤に効率的に用いることができ、卵胆礬の反応性面積が増大し、疾病治療的活性を極大化できるようになる。
【0051】
このような製造方法を通して製造される卵胆礬は、胆礬の持つ毒性が除去され、薬性は増強され、癌を予防または治療するための薬学的または食品学的組成物として利用できるようになる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の卵胆礬を含む組成物は、胆礬の毒性が除去され、薬物学的活性が最大化された状態で製造され、優れた抗癌活性を示すので、癌の予防及び治療用組成物に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】微生物復帰突然変異試験のための実験過程を概略的に示した図である。
【図2】焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)をHepG2(肝癌細胞)、NCI−H460(肺癌細胞)、SW480(大膓癌細胞)及びMCF−7(乳房癌細胞)の4つの癌細胞に処理した後、各細胞に対してMTTアッセイ(assay)を施行した結果を示す図である。
【図3】焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)をHepG2(肝癌細胞)、NCI−H460(肺癌細胞)、SW480(大膓癌細胞)及びMCF−7(乳房癌細胞)の4つの癌細胞に処理した後、各細胞に対してMTTアッセイ(assay)を施行した結果を示す図である。
【図4】焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)をHepG2(肝癌細胞)、NCI−H460(肺癌細胞)、SW480(大膓癌細胞)及びMCF−7(乳房癌細胞)の4つの癌細胞に処理した後、各細胞に対してMTTアッセイ(assay)を施行した結果を示す図である。
【図5】焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)をHepG2(肝癌細胞)、NCI−H460(肺癌細胞)、SW480(大膓癌細胞)及びMCF−7(乳房癌細胞)の4つの癌細胞に処理した後、各細胞に対してMTTアッセイ(assay)を施行した結果を示す図である。
【図6】IS3及びIS4をそれぞれ50μg/mlの濃度でNCI−H460及びHepG2細胞に処理した後、これら細胞をDAPI染色した結果を示し、矢印表示は、アポトーシス核(apoptotic nuclei)を示す図である。
【図7】IS3及びIS4をそれぞれ50μg/mlの濃度でNCI−H460及びHepG2細胞に処理した後、これら細胞をDAPI染色した結果を示し、矢印表示は、アポトーシス核(apoptotic nuclei)を示す図である。
【図8】卵胆礬(IS4)を多様な濃度でNCI−H460細胞に処理した後、これら細胞のタンパク質発現水準を観察するために、ウェスタンブロットを行った結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するものに過ぎなく、本発明の内容が下記の実施例に限定されるのではない。
【0055】
(実施例1.試験物質(生胆礬、焼いた胆礬及び卵胆礬)製造)
生胆礬を火に焼いて脱水させた胆礬(焼いた胆礬)と卵胆礬を製造し、実験には生胆礬、焼いた胆礬及び卵胆礬を用いた。
【0056】
まず、焼いた胆礬は、生胆礬を加熱・脱水させて製造し、生胆礬に24時間熱を加えると、生胆礬が脱水されながら灰色または褐色の光に変わるが、このような脱水塩状態の胆礬を焼いた胆礬と言う。焼いた胆礬が完全に冷えた後、細かく粉砕して粉末化して用意する。
【0057】
卵胆礬は、焼いた胆礬粉末に卵白を混合して反応させることによって製造するが、焼いた胆礬粉末パウダー600gに地元産の卵13個の卵白のみを分離して卵白300gと混合し、焼いた胆礬が卵白中の水分と反応して高熱(反応熱)が発生し、緑色に変わりながらパウダーがもつれるようになるが、このような状態を卵胆礬と言う。
【0058】
このように製造された焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)をそれぞれの試験物質として使用するために、天秤にそれぞれ100mgを計り、D.D.Wに総量を1mlにして溶かす。試験物質が全て溶けた後、600rpmで遠心分離し、上澄液を0.8μmのシリンジフィルタ(syringe filter)でフィルタリングした(表1)。
【0059】
【表1】
【0060】
(実施例2.遺伝毒性検査のための微生物復帰突然変異試験)
【0061】
焼いた胆礬及び卵胆礬の遺伝毒性程度を調査するために、細胞突然変異原を判別できる微生物復帰突然変異試験を行った。
【0062】
実験原理は、ヒスチジン要求性菌株として、ヒスチジンがないと生育できない性質を用いたもので、突然変異実験で突然変異原によって生じる元の菌株特性であるヒスチジン利用回復を調査する実験で、無処理群(陰性対照群)に比べて2倍以上の菌数を示したり、試験物質の濃度依存的に菌数が増加する場合に陽性と判定し、突然変異原として確定されるようになる。
【0063】
微生物復帰突然変異試験を行うために、まず、前培養法として試験標準菌株であるサルモネラ・チフィリウム(Salmonella typimurium)TA98、TA100、TA1535、TA1537を対象として実験した。まず、耐性実験を行った後、胆礬に耐性を示す各菌株のうち2個の菌株であるサルモネラ・チフィリウムTA100、TA102を選択して実験菌株として使用した。サルモネラ・チフィリウムTA100は、遺伝子のうちグアニン(guanine)とサイトシン(cytocine)の復帰に対する試験菌株であって、サルモネラ・チフィリウムTA102は、アデニン(adenine)とチミン(Thymine)の復帰に対する試験菌株である。
【0064】
細胞に対する抗菌実験で、卵胆礬を5000μg/プレート、焼いた胆礬を2500μg/プレートを使用したとき、菌株に対する生育抑制が表れた。したがって、菌の抑制がない濃度である下記の濃度で遺伝毒性(復帰突然変異)試験を行った(図1)。
【0065】
処理群としては、卵胆礬の場合、最大濃度を2500μg/プレートにし、1250、625、313、156及び78μg/プレートの濃度で使用した。また、焼いた胆礬の場合、最大濃度を1250μg/プレートにし、625,313,156及び78μg/プレートの濃度で使用した。
【0066】
陽性対照群としては、アジ化ナトリウム(sodium azide)1μg/プレート(サルモネラ・チフィリウムTA100処理用)及びマイトマイシン(mitomycin)C−1μg/プレート(サルモネラ・チフィリウムTA102処理用)を使用し、陰性対照群としては蒸留水を使用した。
【0067】
それぞれの試験物質、陽性対照群化合物、蒸留水をプレートに処理した後、復帰突然変異された菌株の数を測定した。その結果は、次に示す通りである(表2〜表5)。
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
サルモネラ・チフィリウムTA100の場合、微生物生育抑制を誘発しない最大濃度で卵胆礬及び焼いた胆礬処理群の菌数が陽性対照群に比べて著しく小さく、陰性対照群と比べたときも類似する水準に表れた。また、濃度依存的にコロニー数が増加しなかった。そのため、卵胆礬及び焼いた胆礬は復帰突然変異原でないと判定した。
【0073】
サルモネラ・チフィリウムTA102の場合も、微生物生育抑制を誘発しない最大濃度で、卵胆礬及び焼いた胆礬処理群ではコロニーがほとんど生成されなく、これは、陽性対照群に比べて著しく小さい数であり、陰性対照群と比べたときも類似する水準であった。また、濃度依存的にコロニー数が増加しなかった。そのため、卵胆礬及び焼いた胆礬は復帰突然変異原でないと判定した。
【0074】
(実施例3.癌細胞培養)
NCI−H460(肺癌細胞)は、RPMI1640培地(L−グルタミン含有)に10%のFBS、100U/mlのペニシリン及び100U/mlのストレプトマイシンを入れ、5%のCO2培養器で細胞培養を施行した。
【0075】
SW480(大膓癌細胞)及びMCF−7(乳房癌細胞)細胞は、NCI−H460(肺癌細胞)と同一の条件で細胞培養を施行した。HepG2(肝癌細胞)は、DMEM培地(L−グルタミン含有)に10%のFBS、100U/mlのペニシリン及び100U/mlのストレプトマイシンを入れ、5%のCO2培養器で細胞培養を施行した。
【0076】
NCI−H460、MCF−7、SW480、HepG2細胞は、韓国細胞株銀行から分譲を受けて使用した。
【0077】
(実施例4.MTT評価法を通した細胞生存率測定)
焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)が癌細胞の増殖に及ぼす影響を調査するために、これら物質を多様な濃度で癌細胞に処理し、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)評価法を通した細胞生存率を測定することによって、癌細胞増殖の抑制可否を評価した。
【0078】
HepG2(肝癌細胞)、SW480(大膓癌細胞)、MCF−7(乳房癌細胞)及びNCI―H460(肺癌細胞)の4つの癌細胞に対してMTTアッサイを施行した。まず、それぞれの細胞を96ウェルプレートに1×105セル/mlの濃度で100μlずつ接種し、37°C、5%のCO2培養器で24時間培養した。その後、各ウェル当たりの試験物質(IS3、IS4、IS5)をそれぞれ100μlずつ濃度別に(0、3.125、6.25、12.5、25、50μg/ml)24時間処理した。
【0079】
MTT(thiazolyl blue、SIGMA Co.)を2mg/mlの濃度で準備して15μlずつ添加し、3時間〜4時間反応させた。各ウェル当たり試験物質115μlを除去し、紫色の物質30μlのみを残した後、DMSO(dimethyl sulfoxide)を150μl添加し、マイクロプレート・ミキサー上で10分間よく混合して沈殿物を溶解させた後、マイクロプレート・リーダで540nmの吸光度でOD(optical density)値を測定した。全ての実験結果は、細胞を培養しないウェルで測定された吸光度に対して補正した値を算出した。
【0080】
全ての試料で濃度が増加するとともに増殖抑制効果が表れたが、そのうちIS4(卵胆礬)を処理したとき、癌細胞の増殖を最も効果的に抑制することに表れた(図2、図3、図4及び図5)。
【0081】
(実施例5.DAPI染色を通した細胞のアポトーシス確認)
焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)が癌細胞(NCI−H460及びHepG2)のアポトーシスを生じさせることによって細胞増殖を抑制するか否かを観察するために、癌細胞に各試料を処理した後、DAPI染色をし、蛍光顕微鏡で細胞形態を観察した。具体的な実験過程は、次に示す通りである。
【0082】
8ウェルチャンバースライドに1×105セル/mlの細胞をそれぞれ400μlずつ入れて24時間培養した後、試料(50μg/mlの濃度)を処理し、24時間反応させた後、反応終了後に培地を捨て、75mMのKClを約500μl入れて5分間反応した。これは、細胞を膨らませて核の観察を容易にするためである。その次に、酢酸とメタノールを1:3で混ぜてコールドアイス状態にした後、これを約500μl入れて5分間反応させ、細胞を固定した。これを2回繰り返して施行した。固定が終了すると、空気中で完全に乾かした後、DAPI染色溶液を約100μl落として10分間染色した後、PBSで洗浄した。グリセロールでカバーガラスを覆い、蛍光顕微鏡で(×100または×200)観察した。300個の細胞を数え、このうち核の断片化と染色質の凝縮を示す細胞をアポトーシスの形態的判定基準にしたがって判読して観察した。
【0083】
アポトーシスは、予定細胞死滅(programmed cell death)であって、細胞の萎縮、染色質の凝縮、DNA分節、ミトコンドリアの機能障害、カスパーゼ・プロテアーゼ活性化などの特徴を伴うものと報告されたことがある。DAPIは、青色の蛍光染料であって、DNAのATクラスターがあるマイナー・グルーブに結合し、蛍光が増加する物質であるが、このような特性により、分節・凝縮されたアポトーシス小体を顕微鏡を通して簡単に確認し、DNA断片化程度を肉眼で観察することができる。
【0084】
50μg/mlの濃度でIS3及びIS4をそれぞれ処理したH460、HepG2細胞にDAPI染色を実施したが、対照群(胆礬試料を処理しない)と対比したとき、全ての核の分節と染色質の凝縮を観察することができた。特に、IS4(卵胆礬)グループでは、多くのアポトーシス小体を観察することができた(図6及び図7)。
【0085】
(実施例6.ウェスタンブロットを通したアポトーシス関連タンパク質発現確認)
卵胆礬が癌細胞に及ぼす影響をタンパク質水準で観察するために、アポトーシス関連タンパク質であるカスパーゼ3、Bax及びBcl−2タンパク質発現調節程度を確認した。
【0086】
baxは、サイトゾルからミトコンドリアに移動しながらミトコンドリアからシトクロムCの分泌を促進し、結局、細胞死滅を誘導する機能を有する一方、bcl−2は、細胞外や細胞内の状況の伝達を受ける重要な信号伝達体系として作用し、ミトコンドリアへのbaxの移動を抑制することによって細胞死滅を抑制させる作用をするものと知られている(Nomura et al.,1999;Murphy et al.,2000)。
【0087】
カスパーゼ−3は、細胞死滅に最も直接的に関連したカスパーゼであって、細胞死滅の初期段階に作用し、35kDa酵素前駆体(proenzyme)の分離によって誘導された17及び19kDa異種二量体(heterodimer)が活性化された形態で(Fernandes−Alnemri et al.,1994)カスパーゼ―8とカスパーゼ−9の初期信号を増幅させる。
【0088】
細胞死滅は、外因的及び内因的経路に分けられ、二つの場合、いずれもカスパーゼ−3の活性化を通して細胞死滅を誘発するようになる。カスパーゼ−3が活性化された形態で観察されるためには、不活性形態である35kDaのプロカスパーゼ−3の相対的な発現が減少したり、それらの活性型である17kDaと19kDa分子量のタンパク質が検出されなければならない(Kang et al.,2002;Ahn et al.,2004)。
【0089】
卵胆礬(IS4)が、アポトーシスを誘発するものと知られたいくつかのタンパク質(カスパーゼ3、Bax及びBcl−2タンパク質)の発現を調節するかどうかを観察するために、ウェスタンブロットを行った。これを通して、卵胆礬が細胞内でどの経路を通してアポトーシスを誘発させるかを確認した。具体的な実験過程は、次に示す通りである。
【0090】
NCI−H460(肺癌細胞)にIS4を0、25、50及び100μg/mlの濃度でそれぞれ処理した後、37°Cで24時間培養した。その後、スクレーパで細胞を集め、集めた細胞を、盛り込まれていた培地と共に1000rpmで遠心分離して上層液を捨てた後、2mのコールドPBSで2回洗浄した。これに50mMのトリスpH8.0、150mMのNaCl、0.02%のアジ化ナトリウム、0.2%のSDS、PMSF(Phenylmethylsulfonnyl fluoride)100μg/ml、アプロチニン50μl/ml、Igapel630(またはNP−40)1%、NaF100mM、デオキシコール酸ナトリウム0.5%、EDTA(Ethylnediamineetraacetic acid−−Sigma E−4884)0.5mM、EGTA(Ethylene glycol−bis(β−aminoethylether)N,N,N′,N′−四酢酸−−sigma E−4378)0.1mMで組成されたライシスバッファ(Lysis Buffer)を50〜100μlを加えてよく混合した(vortex)後、4°Cで2時間溶解した。反応の終了後、試料を1.5mlのチューブに入れて30秒間ボルテックスし、4°Cで23,000gで1時間遠心分離し、遠心分離した上澄液のみを得る。最終抽出物のタンパク質量は、バイオラッド・プロテイン・アッサイ・キット(Bio−rad protein assay kit)を使用して測定する。定量になったタンパク質にライシスバッファと5Xサンプルバッファを混ぜてタンパク質の量を同一にした後、100°Cのヒートブロックで5分間沸騰した後、しばらくの間遠心分離して試料を集める。分離ゲル(Separating gel)(12.5%)と濃縮ゲル(Stacking gel)(5%)を作った後、電気泳動をしてトランスファーした。トランスファーが終了したゲルは、染色液(staining solution)(Coomassie Blue staining soln.)溶液に10分浸漬してから脱染色溶液に移し、残ったタンパク質を確認した。また、トランスファーされたメンブレンは、TBS―T溶液で洗浄した後、少しだけ水分を除去し、TBS−T溶液で希釈した約5%のスキムミルク(skim milk)で約2時間ブロッキングした後、TBS―T溶液で複数回洗浄する。1次抗体(Bax、Bcl−2、Cleaved caspase−3;cellsignaling)及び2次抗体(Anti−Rabbit)と反応させ、ECL溶液に約1分間反応させた後、フィルムをカセットに載せて撮影した後、現像して観察した。
【0091】
H460細胞にIS4を処理した結果、Cleaved caspase−3の発現は、25μg/ml、50μg/mlで増加する傾向を示したが、100μg/mlでは少し減少する傾向を示した。これは、過度に高い濃度の試料が処理され、毒性を示したものと考えられる。IS4を処理した群でbcl−2の発現が少し増加し、baxの発現は減少した(図8)。
【0092】
これを通して、本発明の組成物の主な有効成分である卵胆礬は、癌細胞でカスパーゼ3タンパク質を活性化させることによってアポトーシスを誘導することを確認することができ、bax/bcl−2経路でない他の経路を通してカスパーゼ3タンパク質を活性化させてアポトーシスを誘発することが分かった。
【0093】
(実施例7.抗癌効果確認)
ヒト由来肺癌細胞であるNCI−H460をヌードマウスの前肢に皮下移植し、一定の大きさまで固形癌を形成した後、In vivo試験で人体由来肺癌細胞株に対する細胞殺害能力が最も良く表れた卵緑礬(IS4)を4週間経口投与し、卵緑礬の抗癌効果に対する研究を行った。すなわち、抗癌効果検索は、一週間に2回デジタルキャリパーを使用して固形癌の大きさを測定し、体重と共に経時的な変化を確認し、最終測定日には固形癌の成長抑制率を計算して比較した。試験終了日には、摘出した固形癌の重さと体積測定器(plethysmometer)を用いて固形癌の実体積を測定し、試験期間中に日々の症状観察を通して固形癌の中心怪死が表れる個体と、それぞれの固形癌大きさの測定結果で固形癌の体積が1500mm3以上になる個体とを確認し、これら二つの条件のうち一つの条件に該当する個体を死亡個体と見なし、各群ごとに平均生存日を求め、試験終了後、陽性対照群に対比して生存増加率(%)を計算した。試験終了後、剖検時には肉眼的に内部臓器の異常有無を確認した後、採血を実施して血中ALP、CRE、BUN、TG、ALT、AST、Caレベル、GLU、総コレステロールを分析し、臓器(心臓、脾臓、睾丸)を摘出し、臓器の重さを測定した。
【0094】
(<7−1>材料及び方法)
1.移植癌細胞準備
移植するヒト肺癌(Human lung carcinoma)(NCI−H460)セルは、100U/mlのペニシリン、100g/mlのストレプトマイシン、10%のヒーティングされたウシ胎仔血清(fetal calf serum)が入っているRPMI―1640(Gibco BRL)を260mlのティッシュフラスコ(tissue flasks)に盛り込み、95%のCO2、37°Cのインキューベータ(MCO−20AIC、Sanyo)で培養した。セルが癒着されると、HBSS(Hanks balanced salt solution)(Gibco BRL)で2回洗浄し、0.2%のHBSS内のトリプシンで洗浄して使用した。
【0095】
2.検疫及び順化
実験動物の入手時、全ての動物の一般健康状態に対する獣医学的検疫を実施した。試験を実施するのに相応しくかつ健康な動物を選抜し、環境に適応させるために1週間の順化期間を経た。
【0096】
3.群分離
順化期間を経た後、健康な継代群の皮下に腫瘍塊を移植し、培養した腫瘍塊を摘出し、表面に分布した血管と脂肪層を除去した後、新鮮な腫瘍組織のみを選別して無処置動物の皮下に移植した。移植後、個別腫瘍の体積が100mm3に達すると、体重と腫瘍大きさを測定し、無作為法で群分離した。
【0097】
4.個体識別
飼育箱には、試験類型、試験番号、試験物質、群番号、個体番号、性別、投与量、実験期間及び試験責任者を記載した個体識別カードを付着した。個体識別は、テールマーキング(tail marking)法を使用して行った。処理群及び投与用量を下記の表6に示した。
【0098】
【表6】
【0099】
5.投与方法
試験物質を生理食塩水に溶かし、ゾンデ(zonde)を使用して4週間1日1回強制に経口投与した。
【0100】
6.評価方法
1)体重測定
試験期間中の体重変化を観察するために、試験開始後、7日ごとに体重を測定した。
【0101】
2)腫瘍含有モデル製作
1×107セル/ヌードマウス/100μlを注入して腫瘍株を獲得した後、継代群に継代した。3回にわたった反復継代で元の固形癌の性質を回復した腫瘍塊を得た後、この腫瘍塊を5匹の継代群に移植した。
【0102】
腫瘍の中心怪死(central necrosis)が生じる前に十分な血液供給で急速に育つ段階の腫瘍を含有した動物を犠牲させ、主に急速な分裂が起きる外郭部位を一定の大きさ(3×3×3mm)に切って腫瘍切片を作った。套管針の端に腫瘍片を載せ、動物の左側後肢の前側方を約4mm切除し、ここを通して準備した套管針を挿入し、左側前肢の後方の体幹側面部に端が達するようにした。套管針を軽くかつ迅速に360度回転させながら抜き、腫瘍片を目標位置に位置させ、切除部位は消毒した。肌の上を触って腫瘍片の位置を確認し、1週間に2回以上成長を観察した。移植後、体積が100mm3に達したものに群分離した後、試験物質を投与した。
【0103】
3)抗癌試験(平均腫瘍容積、mean tumor volume)
1週間に2回ずつキャリパー(calipers)で腫瘍の長・短軸を測定し、体重を測定した。最初に薬物を投与してから28日が経過すると、実験を終了し、実験資料を整理して試験物質による固形癌抑制効果を判定した。経時的な固形癌の体積及び抑制率の計算は、下記の公式を用いて換算した。
【0104】
V(mean tumor volume)=(A×B2)/2(A=長軸長さ、B=短縮長さ)
【0105】
IR(inhibition rate)=[CV−TV/TV]×100
(CV=対照群の腫瘍容積、TV=処置群の腫瘍容積)
【0106】
4)平均生存時間と寿命のパーセント増加(%ILS)
試験期間中に各試験群の日々の症状観察を通して固形癌の中心怪死が表れる個体と固形癌大きさの測定日の結果から、固形癌の体積が1500mm3以上になる個体を確認し、二つの条件のうち一つに該当する個体を死亡個体と見なし、生存増加率を下記の公式のように計算した。
【0107】
%ILS=[(T−C)/C]×100、
(ここで、CとTは、対照群と処置群のマウスの平均生存日)
【0108】
7.血中脂質値検査と一般血液検査
剖検時に腹帯動脈を通して採血して血清を獲得し、血液生化学自動分析機(HITACHI、Tokyo、JAPAN)を用いてALP(alanine phopsphatase)、CRE(creatinine)、Ca、GLU(glucose)、ALT(alanine transferase)、AST.UNを分析した。
【0109】
8.病理組織学的検査
試験終了時、放血致死させた後、肝、腎臓、脾臓を摘出して重量を測定し、肉眼的な所見を観察した。組織を10%の中性ホルマリン液に固定した後、パラフィン包埋過程を経て4μm厚さの組織切片を製作した後、ヘマトキシリン&エオシンで染色し、光学顕微鏡で観察した。
【0110】
9.統計学的分析
各実験結果に対して分散の同質性を比較するためのリーベン検定(Levene′s test)を実施し、分散が同質性を有する場合、ANOVA(one−way analysis of variance)を実施し、有意性が観察されると、対照群との有意差がある試験群を調査するためにDunnett′s t−testを実施した(p<0.05またはp<0.01)。
【0111】
(<7−2>結果及び考察)
1.体重変化
本実験期間中における体重の変化と飼料及び飲水摂取量の変化において、NCI−H460セル単独群よりはIS4の投与群で投与初期体重と飼料の摂取量が減少したが、1週後からは正常に回復した(図9、図10、図11)。試験期間中に群間の留意すべき事項は表れなかった。
【0112】
2.腫瘍(固形癌)の体積変化
試験期間中の固形癌の体積を一週間に2回キャリパーを使用して測定した結果を見ると、NCI−H460セル単独群よりは、IS4 45、90mg/kg投与群で腫瘍容積が濃度依存的に抑制された(図12)。各群の経時的変化を見ると、IS4投与後、約12日後からNCI−H460腫瘍成長を抑制し、15日後からはNCI−H460セル単独群に比べて固形癌成長抑制の傾向を示した。固形癌抑制傾向を数値的に見ると、試験後半日である22日で、NCI−H460セル単独群2806.47mm3に比べてIS 4 45mg/kg群は2221.74mm3、IS4 45 90mg/kg群は1517.07mm3に表れた。
【0113】
3.腫瘍(固形癌)体積抑制率測定
前記の測定した固形癌の体積を、NCI−H460セル単独群の固形癌体積の100%を基準にした成長抑制率分析結果で見ると、試験物質投与群で8日後から25日まで用量依存的な抑制傾向が表れた。(IS4 45mg/kg I.R 82.47%<IS4 90mg/kg I.R 59.99% at 22day)IS4 90mg/kg投与群では、投与22日後に固形癌成長抑制率が減少したことに表れた(表7)。
【0114】
【表7】
【0115】
4.腫瘍(固形癌)の重さ及び体積測定
【0116】
試験終了日に摘出した固形癌の重さ及び体積変動記録(plethysmometer)による体積測定結果を見ると、陽性対照群であるNCI−H460セル単独の固形癌の重さ及び体積2.52±0.75gと4.67±1.18cm3に比べて、IS4 45mg/kg群では2.24±0.78g、4.03±1.28cm3に減少し、IS4 90mg/kg群では2.17±0.60g、3.79±0.85cm3に有意性のある減少(p<0.05)を示した(表8)。
【0117】
【表8】
【0118】
5.平均生存時間及び生存率増加量測定
試験期間中に各試験群の日々の症状観察を通して固形癌の中心怪死が表れる個体と、固形大きさ測定日の結果で固形癌の体積が1500mm3以上になる個体とを確認し、二つの条件に該当する個体を死亡個体と見なして得た結果で平均生存時間を計算してみると、陽性対照群であるNCI−H460セル単独群では18.29±3.59日で、IS4 45mg/kg投与群では20.71±2.61日として生存率が10.68%増加した。また、IS4 90mg/kg投与群では22.33±2.44日として生存率が22.08%増加した(表9、図13)。
【0119】
【表9】
【0120】
6.組織病理学的観察(光学顕微鏡)及び臓器重さ測定
剖検時における臓器重さ変化確認でIS4投与群(45mg/kg)間の相対重量がNCI−H460セル単独群に比べて有意性のある減少(p<0.01)を示したことを除いては、他の臓器重さで留意すべき変化は表れなかった。詳細な結果を見ると、剖検時における肝の臓器重さは、NCI−H460セル単独群の1.76±0.07gに比べて、IS445mg/kg群では1.54±0.07gとして有意性のある減少(p<0.01)を示した。しかし、IS4 90mg/kg群では1.69±0.10gに減少する傾向があるが、有意性は表れなかった(表10)。組織病理学的にも、群間の留意すべき所見は表れなかった(図14)。
【0121】
【表10】
【0122】
7.血液生化学的分析
剖検時における血液生化学分析結果を見ると、血中ALP、CA、CRE、ALT、AST数値では試験物質投与による留意すべき差は表れなかった(表11)。
【0123】
一方、血中UN数値で、全ての試験物質投与群で有意性のある減少結果が表れた(IS4 45mg/kg、IS4 90mg/kg、p<0.01)。また、IS4 45mg/kg群のPHOS数値は、7.79±0.82mg/dlとしてNCI−H460セル単独群の9.27±0.99mg/dlに比べて有意性のある減少を示した。(IS4 45mg/kg群、p<0.05)
【0124】
【表11】
【0125】
(実施例8.治療事例)
卵胆礬粉末と竹塩粉末を1:20の重量比で混合して卵胆礬竹塩を製造した後、カプセルに卵胆礬竹塩の混合粉末を0.5gずつ入れて患者に提供し、1個ずつ唾で飲み込んだり、食水で飲み込む方法で一日10個〜20個ずつ服用するようにした(日々の投与量は、成人を基準にして総量5g〜10g、または体重10kg当たりカプセル1〜3個)。患者は、前記投与量を1〜2時間の間隔で2〜10回に分けて服用し、場合によって、卵胆礬竹塩の他に通常の気力補強のための湯薬及び舎利醤油を共に服用した。
【0126】
(<8−1>事例1.子宮頚部異型細胞症治療)
名前:コ・**、年齢:35歳、性別:女、子宮頚部異型細胞症、結核薬を2年間服用し、B型肝炎保菌状態で3ヶ月間湯薬、卵胆礬竹塩及び舎利醤油を服用し、卵胆礬竹塩水を子宮に注入する治療を施行した。検査の結果、細胞がほぼ正常になっており、核のみが未だに少しだけ大きくなっている状態との診断を受けた後、服用中断による再発、再治療(湯薬と卵胆礬竹塩服用及び卵胆礬竹塩注入)後、1ヶ月ぶりに正常に完治した。
【0127】
(<8−2>事例2.大膓癌、肺癌、骨癌治療)
名前:ゾン・**、年齢:57歳、性別:男、大膓癌、肺癌、骨癌(頚椎癌)状態で、大膓癌、肺癌転移手術(当時、排尿問題で検査したとき、膀胱には異常がなかったが、神経を押すため膀胱の一部を少しだけ切除)後、脊椎に再発し、転移、頚椎癌、9回の脊椎癌細胞増殖によって脊椎が破壊され、肋骨神経を押すため痛みが激しい。抗癌治療を6回再び受けたが、結果は少しもよくならず、癌細胞がそのままの状態で治療可能性がなく、鎮痛剤で一日一日堪えながら抗癌さえも受けられない状況で、5ヶ月間湯薬、卵胆礬竹塩及び舎利醤油を服用した。その後、病院で検査した結果、完治という判定を受けた。
【0128】
(<8−3>事例3.甲状腺癌治療)
名前:キム・**、年齢:46歳、性別:男、12年前に急性肝炎で治療を受けた病歴があり、現在肝に石灰化現象があるが、甲状腺癌診断を受けた後、病院での抗癌治療なしに、湯薬、卵胆礬竹塩及び舎利醤油を服用した。服用してから一ヶ月ぶりにCT撮影をした結果、5.1mmであった癌細胞が4.6mmに減少した。服用してから6ヶ月後に完治した。
(産業上の利用可能性)
【0129】
本発明に係る卵胆礬を有効成分として含む組成物は、胆礬の毒性が除去され、薬物学的活性が最大化された状態で製造され、抗癌活性に優れているので、癌の予防及び治療用薬学製剤または健康機能食品製造に有用に用いることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵胆礬を含む癌予防及び治療用組成物に関するもので、より詳細には、胆礬を卵白に混合して製造される毒性が除去された卵胆礬を単独で、または竹塩との混合物として含む癌予防治療用組成物、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌とは、主に統制されない細胞の増殖から始まり、周囲の正常組織または器管に浸潤してこれらを破壊し、新しい成長場所を作ることができ、個体の生命を奪うことのできる疾患群を総称する。過去の約10年間癌を克服するために、細胞周期や細胞死滅の調節と、発癌遺伝子や癌抑制遺伝子を含む新しい標的の模索において著しい発展を遂げてきたにもかかわらず、癌の発生率は文明の発達とともに増加している。
【0003】
現在、癌患者のための治療法は、外科的手術、放射線治療、約40種類の強い細胞毒性を示す抗癌物質投与による化学療法に依存しているが、これら治療法も、ほとんどが早期癌患者や特定癌のみに限定されており、癌による死亡は継続的に増加している。
【0004】
また、抗癌剤のほとんどが強い毒性を示す化学的製剤であるので、毒性の少ない抗癌剤、特に天産物由来の抗癌剤が持続的に開発されている。
【0005】
胆礬は、硫酸銅からなる硫酸塩鉱物の一種であって、主成分としてCuSO4・5H2Oを含有しているが、天然鉱物であるため、その他に微量の天然ミネラルが混合されている青色の結晶である。胆礬は、三斜晶系に属し、ガラス光沢があり、半透明な青色を帯びており、吐剤、殺虫剤、顔料、媒染剤及び電解液などに使用されるものと知られている。胆礬は、鉱物性生薬であるため毒性の憂いがあり、実際に薬用に用いるには限界があった。そのため、胆礬の抗癌剤への用途については全く知られていない。
【0006】
竹塩は、仁山金一勳(1909〜1992)先生の発明品であって、竹と塩を合成してなるもので、これは、新しい細胞を生成させる作用をする竹と、殺菌及び腐敗を防止する塩とを炉で高熱で複数回繰り返して処理することによって、これらが持つ毒素を除去し、薬効を最大限に増進させた秘薬として知られている。
【0007】
竹塩は、人体の根源である胃腸を丈夫にし、炎症疾患の原因を治療する薬理作用があるだけでなく、血をきれいにする清血作用をし、体内に積もった老廃物除去及び解毒作用をするようになり、酸性体質を弱アルカリ性体質に変える効能を有する。また、竹塩は、一般の塩に比べて抗炎症作用及び細菌に対する殺菌力が3〜4倍以上強く、殺菌作用を通して人体内で解熱作用をするものと知られている。
【0008】
本発明者は、胆礬の毒性を卵白で中和させた卵胆礬が癌細胞のアポトーシスを誘導し、癌細胞の増殖を抑制することによって、天然抗癌剤として用いる可能性があることを確認し、卵胆礬を単独または竹塩との混合物として含む組成物が抗癌剤として広範囲に利用できることを確認した結果、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】仁山金一勳「宇宙と神薬(1980年)」
【非特許文献2】仁山金一勳「神薬(1986年)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、卵胆礬を有効成分として含む癌予防及び治療用組成物を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、卵胆礬を有効成分として含む癌予防及び改善用健康機能食品を提供することにある。
【0012】
本発明の更に他の目的は、(a)天然鉱物性生薬である胆礬を全量が灰色または褐色に変わるまで加熱して脱水させる段階;(b)脱水された胆礬を冷やした後、粉末化する段階;及び(c)前記段階(b)の胆礬粉末を卵白に混合する段階を含む、卵胆礬の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一つの様態として、本発明は、卵胆礬を有効成分として含む癌予防及び治療用組成物に関するものである。
【0014】
本発明において、「卵胆礬」は、卵の卵白と胆礬が混合されたものを意味し、胆礬(CuSO4・5H2Oを主成分とする天然鉱物)を焼いて脱水・粉末化した後、卵の卵白を混合して反応させることによって製造することが好ましい。このように製造された卵胆礬は、胆礬特有の毒性が卵白によって中和され、毒性が減少及び除去され、薬性は増強される。
【0015】
また、本発明の前記組成物は、竹塩をさらに含むことができる。
【0016】
本発明に用いられる竹塩は、市販のものを使用したり、直接製造することができる。このとき、竹塩は、竹塩発明家である仁山金一勳先生の冊子「宇宙と神薬(1980年)」と「神薬(1986年)」に記載された製造法の通りに、西海岸の天日塩を王竹の竹筒に入れ、黄土で入口を封じた後、鉄釜にきちんと積み上げ、松の薪の火にくべて焼き、このように王竹の竹筒を焼いて残った塩の柱を粉に粉砕する。その後、これを再び新しい王竹の竹筒に入れ、黄土で入口を封じた後、鉄釜で松の薪を用いて8回焼き上げた後、最後の9回目ではまつやにを添加し、火力を高めながら塩を溶かし落とした仁山先生の正統9回溶融竹塩製造法に充実した竹塩を使用することが好ましいが、これに制限されることはない。
【0017】
本発明の組成物に含まれる卵胆礬及び竹塩は、粉末状であることが好ましい。また、本発明の組成物が卵胆礬及び竹塩を全て含む場合、粉末状の卵胆礬及び竹塩は、1:99〜99:1重量比の多様な比率で混合して含むことができ、好ましくは1:5〜1:50の重量比で含み、最も好ましくは1:5、1:10、1:15、1:25及び1:30の重量比で含む。
【0018】
前記組成物が経口用製剤として用いられる場合、竹塩粉末が卵胆礬粉末と同一であるか、それより高い含量で含まれることが好ましく、幼いか、体力が弱いか、老衰・病弱なときは竹塩の比率を高め、体力が比較的良好なときは卵胆礬の比率を漸次高めてもよく、卵胆礬と竹塩の比率が約1:10及び1:5になったときにも服用が可能である。
【0019】
また、前記組成物を体に塗ったり、洗浄またはスプレーする用途の塗布用製剤として用いたり、かん腸用に用いる場合は、卵胆礬の比率が高くても構わなく、卵胆礬の単独使用も可能である。
【0020】
本発明の卵胆礬を含む組成物は、カスパーゼ3(caspase3)の活性増進を通した癌抑制能を有する。
【0021】
本発明の具体的な実施例において、卵胆礬をHepG2(肝癌細胞)、SW480(大膓癌細胞)、MCF−7(乳房癌細胞)及びNCI−H460(肺癌細胞)に処理した場合、濃度依存的に癌細胞の増殖が抑制されることを確認した。また、肝癌細胞及び肺癌細胞に卵胆礬を処理した場合、アポトーシス(apoptosis、細胞死滅)が誘導され、核分節と染色質凝縮が生じることを確認した。また、本発明の卵胆礬組成物が持つ癌細胞増殖抑制能をタンパク質水準で観察した結果、カスパーゼ3タンパク質を活性化させることによって、細胞死滅を誘導し、癌細胞の増殖を抑制することを確認した。
【0022】
本発明の卵胆礬組成物は、癌の予防及び治療用途に用いることができる。本発明において、「予防」とは、組成物の投与によって疾患の形成を抑制したり、発病を遅延させる全ての行為を意味し、「治療」とは、組成物の投与によって前記疾患の症状が好転したり、有利に変更される全ての行為を意味する。
【0023】
前記本発明の組成物は、ほとんどの癌に適用可能であり、例えば、肝癌、乳房癌、肺癌、大膓癌、胃癌、膵膓癌、子宮癌、前立腺癌、骨癌、神経膠腫及び白血病などに適用可能であり、このうち肝癌、大膓癌、乳房癌及び肺癌に適用されることが好ましいが、これに制限されることはない。
【0024】
本発明の卵胆礬を有効成分として含む組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含み、薬学的組成物として用いることができ、担体と共に製剤化することができる。また、本発明の前記組成物は、単一剤として使用したり、薬効を増強できる他の有効成分と共に複合剤として使用することができる。
【0025】
本発明の用語である「薬学的に許容可能な担体」とは、生物体を刺激せず、投与化合物の生物学的活性及び特性を阻害しない担体または希釈剤をいう。液状溶液に製剤化される組成物において許容される薬剤学的担体としては、生体に適切なものとして、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール及びこれら成分のうち1成分以上を混合して使用することができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤をさらに添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液などの注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。
【0026】
本発明の前記組成物は、これを有効成分として含むいかなる剤形にも適用可能であり、経口用または非経口用剤形に製造することができる。本発明の薬学的剤形は、口腔、直腸、鼻腔、局所、皮下、膣または非経口(筋肉内、皮下及び静脈内を含む。)投与に適した形態、または吸入や注入による投与に適した形態を含む。
【0027】
本発明の組成物を含む経口投与用剤形としては、例えば、錠剤、トローチ剤、水溶性または油性懸濁液、調剤粉末または顆粒、エマルジョン、ハードまたはソフトカプセル、シロップまたはエリキシル剤に製剤化することができる。錠剤及びカプセルなどの剤形に製剤化するために、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、澱粉、アミロペクチン、セルロースまたはゼラチンなどの結合剤、リン酸二カルシウムなどの賦形剤、トウモロコシ澱粉またはサツマイモ澱粉などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウムまたはポリエチレングリコールワックスなどの潤滑油を含むことができ、カプセル剤形の場合、前記言及した物質の他にも脂肪油などの液体担体をさらに含有することができる。
【0028】
本発明の組成物を含む非経口投与用剤形は、皮下注射、静脈注射または筋肉内注射などの注射用形態、坐剤注入方式または呼吸器を通して吸入可能にするエアロゾル剤などのスプレー用に製剤化することができる。注射用剤形に製剤化するためには、本発明の組成物を安定剤または緩衝剤と共に水で混合して溶液または懸濁液に製造し、これをアンプルまたはバイアルの単位投与用に製剤化することができる。坐剤として注入するためには、ココアバターまたは他のグリセリドなどの通常の坐薬ベースを含む坐薬またはかん腸剤などの直腸投与用組成物に製剤化することができる。エアロゾル剤などのスプレー用に剤形化する場合、水が分散された濃縮物または湿潤粉末が分散されるように、推進剤などを添加剤と共に配合することができる。
【0029】
更に他の様態として、本発明は、前記卵胆礬組成物を用いて癌を予防及び治療する方法に関するものである。
【0030】
本発明において、前記疾患の治療は、卵胆礬を含む薬学的組成物を投与する段階を含むことができる。本発明の用語である「投与」は、何らかの適切な方法で患者に本発明の薬学的組成物を導入することを意味する。
【0031】
本発明の組成物は、目的組織に到逹できる一つの経口または非経口の多様な経路を通して投与することができ、具体的には、口腔、直腸、局所、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、経皮、鼻腔内、吸入、眼球内または皮内経路を通して通常の方式で投与することができるが、このうち、経口投与または経皮塗布によって投与することが好ましい。
【0032】
本発明の治療方法は、本発明の組成物を薬学的有効量で投与することを含む。適切な総1日投与量は、正しい医学的判断範囲内で処置医によって決定可能であることは当業者にとって自明である。特定患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によって他の製剤が使用されるか否か、具体的組成物、患者の年齢、体重、一般の健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間、具体的組成物と共にまたは同時に使用される薬物を含めた多様な因子と医薬分野でよく知られた類似因子に従って異なるように適用することが好ましい。したがって、本発明の目的に符合した薬学的組成物の1日有効投与量は、上述した事項を考慮して決定することが好ましく、最も好ましくは、卵胆礬粉末の重量を基準にして服用時に約0.1g〜30gであって、かん腸や皮膚などへの外用剤としての使用量には制限がない。
【0033】
また、本発明の治療方法は、癌が発生可能な任意の動物に適用可能であり、動物は、人間及び霊長類のみならず、牛、豚、羊、馬、犬及び猫などの家畜を含む。
【0034】
特に、本発明の組成物を経口投与する方法としては、水や、生姜及び甘草を混合して煎じた水で飲み込む方法、楡根皮水などで飲み込む方法、唾で飲み込む方法が可能である。また、摂取方法は、そのまま食べる方法の他に、カプセルに入れて前記多様な方法で服用する方法もあるが、カプセルを唾で飲み込む方法は、水や飲料水で飲み込む方法よりも効果的であり、食物や飲料水に少量だけ混合して食べることもできる。例えば、お粥や焼いたニンニクなどに前記混合物を添加して食べる方法もあり、竹塩醤油に卵胆礬粉末を混合して服用する方法もある。
【0035】
本発明の具体的実施例において、本発明の卵胆礬を竹塩と共に癌患者に服用させ、抗癌効果を観察した結果、大膓癌、肺癌、骨癌、子宮頚部異型細胞症、甲状腺癌などに治療効能があることを確認した。
【0036】
更に他の様態として、本発明は、卵胆礬を有効成分として含む癌予防及び改善用健康機能食品に関するものである。
【0037】
本発明の前記健康機能食品は、卵胆礬と共に竹塩をさらに含んで提供することができる。
【0038】
本発明の組成物は、食品学的に許容可能な食品添加剤をさらに含んで製剤化することができ、癌予防及び治療用健康機能食品に用いることができる。本発明の健康機能食品は、錠剤、カプセル剤、丸剤、液剤などの形態を含む。
【0039】
本発明の組成物を添加できる食品としては、例えば、各種食品類、飲料水、ガム、お茶、ビタミン複合剤、健康機能性食品類などがある。
【0040】
本発明で定義される「健康機能食品」は、人体に有用な機能性を有する原料や成分を使用して製造及び加工した食品を意味し、「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調節したり、生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得る目的で摂取することを意味する。
【0041】
本発明の組成物は、癌を予防または改善するための目的で食品または飲み物に添加できるが、このとき、前記組成物は、食品または飲料水中に、全体の食品重量の0.01〜10重量%で添加することができ、例えば、健康飲料組成物は、全ての組成物100を基準にして0.01〜5g、好ましくは、0.5〜1gの比率で添加することができる。
【0042】
更に他の様態として、本発明は、(a)天然鉱物性生薬である胆礬を全量が灰色または褐色に変わるまで加熱して脱水させる段階;(b)脱水された胆礬を冷やした後、粉末化する段階;及び(c)前記段階(b)の胆礬粉末を卵白に混合する段階を含む、卵胆礬の製造方法に関するものである。
【0043】
以下、本発明の卵胆礬の製造方法を段階別に説明する。
【0044】
段階(a)は、胆礬(CuSO4・5H2Oを含む天然鉱物)を加熱して脱水させる段階である。胆礬を加熱する方法としては、当業界で公知となった通常の加熱方法を用いることができ、好ましくは、釜に入れ、ガスの火、薪の火または炭火で焼く方法で加熱することができる。加熱時には3〜5時間の間隔で色が変わることを観察しながら上下に混合し、熱を均一に加えるとよい。加熱時間は1回の使用量によって調整可能であるが、約10〜24時間加熱することが適切であって、胆礬の全量の色が灰色または褐色に変わり、脱水塩状態になるまで加熱することが好ましい。
【0045】
段階(b)は、段階(a)で加熱して脱水された胆礬を冷やした後、粉末化する段階である。加熱して脱水された胆礬は、熱が完全に抜け出るまで冷やさなければならなく、このとき、胆礬の水分含量は約0%〜5%であることが好ましい。脱水された胆礬を完全に冷やした後、これをきれいに粉砕して粉末化し、粉末化した胆礬は、湿気が吸収されないようにビニール袋や密閉容器に入れて乾燥した場所に保管することが好ましい。
【0046】
段階(c)は、前記段階(b)の胆礬粉末を卵白に混合し、胆礬と卵白を反応させることによって胆礬の毒性を減少及び除去し、薬性は増強させる段階である。
【0047】
卵は、卵黄と卵白に分離して卵白のみを用い、地元産のものを使用することが好ましく、より好ましくは烏骨鶏卵を使用する。前記段階(b)で準備された脱水状態の胆礬粉末に卵白を混合するが、このとき、胆礬粉末600g当たり卵7〜20個の卵白(140〜400g)を混合することが好ましく、より好ましくは300gを混合する。混合時には状態を観察しながら卵白の量を調節し、木べらのように反応性がほとんどない道具を用いて混ぜるとよい。また、化学反応が生じない容器、例えば、土器、陶磁器、麦飯石容器を使用して混合することが好ましい。混合過程で反応熱による高い熱が発生するので、注意を要する。
【0048】
また、混合時に卵白の量が過度に少ないと、脱水された胆礬粉末の毒性を充分に中和させることが難しく、その一方、卵白の量が過度に多いと、混合時に反応熱が微弱になるか、発生しなくなり、十分な混合効果を得ることが難しいので、卵白の量を注意して調節しなければならない。前記の混合物を充分に混合させた後、反応時に生じた反応熱が完全に消えるまで熱を冷やすことが好ましい。
【0049】
また、本発明の前記卵胆礬の製造方法は、段階(c)以後に、(d)前記段階(c)の混合物を冷やした後、粉末化する段階をさらに含むことができる。
【0050】
段階(d)は、段階(c)の混合物を、熱が完全に抜け出るまで冷やした後、混合物状態の卵胆礬を細かく粉砕して粉末化する段階である。卵胆礬を粉末化することによって、薬学的または食品学的製剤に効率的に用いることができ、卵胆礬の反応性面積が増大し、疾病治療的活性を極大化できるようになる。
【0051】
このような製造方法を通して製造される卵胆礬は、胆礬の持つ毒性が除去され、薬性は増強され、癌を予防または治療するための薬学的または食品学的組成物として利用できるようになる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の卵胆礬を含む組成物は、胆礬の毒性が除去され、薬物学的活性が最大化された状態で製造され、優れた抗癌活性を示すので、癌の予防及び治療用組成物に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】微生物復帰突然変異試験のための実験過程を概略的に示した図である。
【図2】焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)をHepG2(肝癌細胞)、NCI−H460(肺癌細胞)、SW480(大膓癌細胞)及びMCF−7(乳房癌細胞)の4つの癌細胞に処理した後、各細胞に対してMTTアッセイ(assay)を施行した結果を示す図である。
【図3】焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)をHepG2(肝癌細胞)、NCI−H460(肺癌細胞)、SW480(大膓癌細胞)及びMCF−7(乳房癌細胞)の4つの癌細胞に処理した後、各細胞に対してMTTアッセイ(assay)を施行した結果を示す図である。
【図4】焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)をHepG2(肝癌細胞)、NCI−H460(肺癌細胞)、SW480(大膓癌細胞)及びMCF−7(乳房癌細胞)の4つの癌細胞に処理した後、各細胞に対してMTTアッセイ(assay)を施行した結果を示す図である。
【図5】焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)をHepG2(肝癌細胞)、NCI−H460(肺癌細胞)、SW480(大膓癌細胞)及びMCF−7(乳房癌細胞)の4つの癌細胞に処理した後、各細胞に対してMTTアッセイ(assay)を施行した結果を示す図である。
【図6】IS3及びIS4をそれぞれ50μg/mlの濃度でNCI−H460及びHepG2細胞に処理した後、これら細胞をDAPI染色した結果を示し、矢印表示は、アポトーシス核(apoptotic nuclei)を示す図である。
【図7】IS3及びIS4をそれぞれ50μg/mlの濃度でNCI−H460及びHepG2細胞に処理した後、これら細胞をDAPI染色した結果を示し、矢印表示は、アポトーシス核(apoptotic nuclei)を示す図である。
【図8】卵胆礬(IS4)を多様な濃度でNCI−H460細胞に処理した後、これら細胞のタンパク質発現水準を観察するために、ウェスタンブロットを行った結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示するものに過ぎなく、本発明の内容が下記の実施例に限定されるのではない。
【0055】
(実施例1.試験物質(生胆礬、焼いた胆礬及び卵胆礬)製造)
生胆礬を火に焼いて脱水させた胆礬(焼いた胆礬)と卵胆礬を製造し、実験には生胆礬、焼いた胆礬及び卵胆礬を用いた。
【0056】
まず、焼いた胆礬は、生胆礬を加熱・脱水させて製造し、生胆礬に24時間熱を加えると、生胆礬が脱水されながら灰色または褐色の光に変わるが、このような脱水塩状態の胆礬を焼いた胆礬と言う。焼いた胆礬が完全に冷えた後、細かく粉砕して粉末化して用意する。
【0057】
卵胆礬は、焼いた胆礬粉末に卵白を混合して反応させることによって製造するが、焼いた胆礬粉末パウダー600gに地元産の卵13個の卵白のみを分離して卵白300gと混合し、焼いた胆礬が卵白中の水分と反応して高熱(反応熱)が発生し、緑色に変わりながらパウダーがもつれるようになるが、このような状態を卵胆礬と言う。
【0058】
このように製造された焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)をそれぞれの試験物質として使用するために、天秤にそれぞれ100mgを計り、D.D.Wに総量を1mlにして溶かす。試験物質が全て溶けた後、600rpmで遠心分離し、上澄液を0.8μmのシリンジフィルタ(syringe filter)でフィルタリングした(表1)。
【0059】
【表1】
【0060】
(実施例2.遺伝毒性検査のための微生物復帰突然変異試験)
【0061】
焼いた胆礬及び卵胆礬の遺伝毒性程度を調査するために、細胞突然変異原を判別できる微生物復帰突然変異試験を行った。
【0062】
実験原理は、ヒスチジン要求性菌株として、ヒスチジンがないと生育できない性質を用いたもので、突然変異実験で突然変異原によって生じる元の菌株特性であるヒスチジン利用回復を調査する実験で、無処理群(陰性対照群)に比べて2倍以上の菌数を示したり、試験物質の濃度依存的に菌数が増加する場合に陽性と判定し、突然変異原として確定されるようになる。
【0063】
微生物復帰突然変異試験を行うために、まず、前培養法として試験標準菌株であるサルモネラ・チフィリウム(Salmonella typimurium)TA98、TA100、TA1535、TA1537を対象として実験した。まず、耐性実験を行った後、胆礬に耐性を示す各菌株のうち2個の菌株であるサルモネラ・チフィリウムTA100、TA102を選択して実験菌株として使用した。サルモネラ・チフィリウムTA100は、遺伝子のうちグアニン(guanine)とサイトシン(cytocine)の復帰に対する試験菌株であって、サルモネラ・チフィリウムTA102は、アデニン(adenine)とチミン(Thymine)の復帰に対する試験菌株である。
【0064】
細胞に対する抗菌実験で、卵胆礬を5000μg/プレート、焼いた胆礬を2500μg/プレートを使用したとき、菌株に対する生育抑制が表れた。したがって、菌の抑制がない濃度である下記の濃度で遺伝毒性(復帰突然変異)試験を行った(図1)。
【0065】
処理群としては、卵胆礬の場合、最大濃度を2500μg/プレートにし、1250、625、313、156及び78μg/プレートの濃度で使用した。また、焼いた胆礬の場合、最大濃度を1250μg/プレートにし、625,313,156及び78μg/プレートの濃度で使用した。
【0066】
陽性対照群としては、アジ化ナトリウム(sodium azide)1μg/プレート(サルモネラ・チフィリウムTA100処理用)及びマイトマイシン(mitomycin)C−1μg/プレート(サルモネラ・チフィリウムTA102処理用)を使用し、陰性対照群としては蒸留水を使用した。
【0067】
それぞれの試験物質、陽性対照群化合物、蒸留水をプレートに処理した後、復帰突然変異された菌株の数を測定した。その結果は、次に示す通りである(表2〜表5)。
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
サルモネラ・チフィリウムTA100の場合、微生物生育抑制を誘発しない最大濃度で卵胆礬及び焼いた胆礬処理群の菌数が陽性対照群に比べて著しく小さく、陰性対照群と比べたときも類似する水準に表れた。また、濃度依存的にコロニー数が増加しなかった。そのため、卵胆礬及び焼いた胆礬は復帰突然変異原でないと判定した。
【0073】
サルモネラ・チフィリウムTA102の場合も、微生物生育抑制を誘発しない最大濃度で、卵胆礬及び焼いた胆礬処理群ではコロニーがほとんど生成されなく、これは、陽性対照群に比べて著しく小さい数であり、陰性対照群と比べたときも類似する水準であった。また、濃度依存的にコロニー数が増加しなかった。そのため、卵胆礬及び焼いた胆礬は復帰突然変異原でないと判定した。
【0074】
(実施例3.癌細胞培養)
NCI−H460(肺癌細胞)は、RPMI1640培地(L−グルタミン含有)に10%のFBS、100U/mlのペニシリン及び100U/mlのストレプトマイシンを入れ、5%のCO2培養器で細胞培養を施行した。
【0075】
SW480(大膓癌細胞)及びMCF−7(乳房癌細胞)細胞は、NCI−H460(肺癌細胞)と同一の条件で細胞培養を施行した。HepG2(肝癌細胞)は、DMEM培地(L−グルタミン含有)に10%のFBS、100U/mlのペニシリン及び100U/mlのストレプトマイシンを入れ、5%のCO2培養器で細胞培養を施行した。
【0076】
NCI−H460、MCF−7、SW480、HepG2細胞は、韓国細胞株銀行から分譲を受けて使用した。
【0077】
(実施例4.MTT評価法を通した細胞生存率測定)
焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)が癌細胞の増殖に及ぼす影響を調査するために、これら物質を多様な濃度で癌細胞に処理し、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)評価法を通した細胞生存率を測定することによって、癌細胞増殖の抑制可否を評価した。
【0078】
HepG2(肝癌細胞)、SW480(大膓癌細胞)、MCF−7(乳房癌細胞)及びNCI―H460(肺癌細胞)の4つの癌細胞に対してMTTアッサイを施行した。まず、それぞれの細胞を96ウェルプレートに1×105セル/mlの濃度で100μlずつ接種し、37°C、5%のCO2培養器で24時間培養した。その後、各ウェル当たりの試験物質(IS3、IS4、IS5)をそれぞれ100μlずつ濃度別に(0、3.125、6.25、12.5、25、50μg/ml)24時間処理した。
【0079】
MTT(thiazolyl blue、SIGMA Co.)を2mg/mlの濃度で準備して15μlずつ添加し、3時間〜4時間反応させた。各ウェル当たり試験物質115μlを除去し、紫色の物質30μlのみを残した後、DMSO(dimethyl sulfoxide)を150μl添加し、マイクロプレート・ミキサー上で10分間よく混合して沈殿物を溶解させた後、マイクロプレート・リーダで540nmの吸光度でOD(optical density)値を測定した。全ての実験結果は、細胞を培養しないウェルで測定された吸光度に対して補正した値を算出した。
【0080】
全ての試料で濃度が増加するとともに増殖抑制効果が表れたが、そのうちIS4(卵胆礬)を処理したとき、癌細胞の増殖を最も効果的に抑制することに表れた(図2、図3、図4及び図5)。
【0081】
(実施例5.DAPI染色を通した細胞のアポトーシス確認)
焼いた胆礬(IS3)、卵胆礬(IS4)及び生胆礬(IS5)が癌細胞(NCI−H460及びHepG2)のアポトーシスを生じさせることによって細胞増殖を抑制するか否かを観察するために、癌細胞に各試料を処理した後、DAPI染色をし、蛍光顕微鏡で細胞形態を観察した。具体的な実験過程は、次に示す通りである。
【0082】
8ウェルチャンバースライドに1×105セル/mlの細胞をそれぞれ400μlずつ入れて24時間培養した後、試料(50μg/mlの濃度)を処理し、24時間反応させた後、反応終了後に培地を捨て、75mMのKClを約500μl入れて5分間反応した。これは、細胞を膨らませて核の観察を容易にするためである。その次に、酢酸とメタノールを1:3で混ぜてコールドアイス状態にした後、これを約500μl入れて5分間反応させ、細胞を固定した。これを2回繰り返して施行した。固定が終了すると、空気中で完全に乾かした後、DAPI染色溶液を約100μl落として10分間染色した後、PBSで洗浄した。グリセロールでカバーガラスを覆い、蛍光顕微鏡で(×100または×200)観察した。300個の細胞を数え、このうち核の断片化と染色質の凝縮を示す細胞をアポトーシスの形態的判定基準にしたがって判読して観察した。
【0083】
アポトーシスは、予定細胞死滅(programmed cell death)であって、細胞の萎縮、染色質の凝縮、DNA分節、ミトコンドリアの機能障害、カスパーゼ・プロテアーゼ活性化などの特徴を伴うものと報告されたことがある。DAPIは、青色の蛍光染料であって、DNAのATクラスターがあるマイナー・グルーブに結合し、蛍光が増加する物質であるが、このような特性により、分節・凝縮されたアポトーシス小体を顕微鏡を通して簡単に確認し、DNA断片化程度を肉眼で観察することができる。
【0084】
50μg/mlの濃度でIS3及びIS4をそれぞれ処理したH460、HepG2細胞にDAPI染色を実施したが、対照群(胆礬試料を処理しない)と対比したとき、全ての核の分節と染色質の凝縮を観察することができた。特に、IS4(卵胆礬)グループでは、多くのアポトーシス小体を観察することができた(図6及び図7)。
【0085】
(実施例6.ウェスタンブロットを通したアポトーシス関連タンパク質発現確認)
卵胆礬が癌細胞に及ぼす影響をタンパク質水準で観察するために、アポトーシス関連タンパク質であるカスパーゼ3、Bax及びBcl−2タンパク質発現調節程度を確認した。
【0086】
baxは、サイトゾルからミトコンドリアに移動しながらミトコンドリアからシトクロムCの分泌を促進し、結局、細胞死滅を誘導する機能を有する一方、bcl−2は、細胞外や細胞内の状況の伝達を受ける重要な信号伝達体系として作用し、ミトコンドリアへのbaxの移動を抑制することによって細胞死滅を抑制させる作用をするものと知られている(Nomura et al.,1999;Murphy et al.,2000)。
【0087】
カスパーゼ−3は、細胞死滅に最も直接的に関連したカスパーゼであって、細胞死滅の初期段階に作用し、35kDa酵素前駆体(proenzyme)の分離によって誘導された17及び19kDa異種二量体(heterodimer)が活性化された形態で(Fernandes−Alnemri et al.,1994)カスパーゼ―8とカスパーゼ−9の初期信号を増幅させる。
【0088】
細胞死滅は、外因的及び内因的経路に分けられ、二つの場合、いずれもカスパーゼ−3の活性化を通して細胞死滅を誘発するようになる。カスパーゼ−3が活性化された形態で観察されるためには、不活性形態である35kDaのプロカスパーゼ−3の相対的な発現が減少したり、それらの活性型である17kDaと19kDa分子量のタンパク質が検出されなければならない(Kang et al.,2002;Ahn et al.,2004)。
【0089】
卵胆礬(IS4)が、アポトーシスを誘発するものと知られたいくつかのタンパク質(カスパーゼ3、Bax及びBcl−2タンパク質)の発現を調節するかどうかを観察するために、ウェスタンブロットを行った。これを通して、卵胆礬が細胞内でどの経路を通してアポトーシスを誘発させるかを確認した。具体的な実験過程は、次に示す通りである。
【0090】
NCI−H460(肺癌細胞)にIS4を0、25、50及び100μg/mlの濃度でそれぞれ処理した後、37°Cで24時間培養した。その後、スクレーパで細胞を集め、集めた細胞を、盛り込まれていた培地と共に1000rpmで遠心分離して上層液を捨てた後、2mのコールドPBSで2回洗浄した。これに50mMのトリスpH8.0、150mMのNaCl、0.02%のアジ化ナトリウム、0.2%のSDS、PMSF(Phenylmethylsulfonnyl fluoride)100μg/ml、アプロチニン50μl/ml、Igapel630(またはNP−40)1%、NaF100mM、デオキシコール酸ナトリウム0.5%、EDTA(Ethylnediamineetraacetic acid−−Sigma E−4884)0.5mM、EGTA(Ethylene glycol−bis(β−aminoethylether)N,N,N′,N′−四酢酸−−sigma E−4378)0.1mMで組成されたライシスバッファ(Lysis Buffer)を50〜100μlを加えてよく混合した(vortex)後、4°Cで2時間溶解した。反応の終了後、試料を1.5mlのチューブに入れて30秒間ボルテックスし、4°Cで23,000gで1時間遠心分離し、遠心分離した上澄液のみを得る。最終抽出物のタンパク質量は、バイオラッド・プロテイン・アッサイ・キット(Bio−rad protein assay kit)を使用して測定する。定量になったタンパク質にライシスバッファと5Xサンプルバッファを混ぜてタンパク質の量を同一にした後、100°Cのヒートブロックで5分間沸騰した後、しばらくの間遠心分離して試料を集める。分離ゲル(Separating gel)(12.5%)と濃縮ゲル(Stacking gel)(5%)を作った後、電気泳動をしてトランスファーした。トランスファーが終了したゲルは、染色液(staining solution)(Coomassie Blue staining soln.)溶液に10分浸漬してから脱染色溶液に移し、残ったタンパク質を確認した。また、トランスファーされたメンブレンは、TBS―T溶液で洗浄した後、少しだけ水分を除去し、TBS−T溶液で希釈した約5%のスキムミルク(skim milk)で約2時間ブロッキングした後、TBS―T溶液で複数回洗浄する。1次抗体(Bax、Bcl−2、Cleaved caspase−3;cellsignaling)及び2次抗体(Anti−Rabbit)と反応させ、ECL溶液に約1分間反応させた後、フィルムをカセットに載せて撮影した後、現像して観察した。
【0091】
H460細胞にIS4を処理した結果、Cleaved caspase−3の発現は、25μg/ml、50μg/mlで増加する傾向を示したが、100μg/mlでは少し減少する傾向を示した。これは、過度に高い濃度の試料が処理され、毒性を示したものと考えられる。IS4を処理した群でbcl−2の発現が少し増加し、baxの発現は減少した(図8)。
【0092】
これを通して、本発明の組成物の主な有効成分である卵胆礬は、癌細胞でカスパーゼ3タンパク質を活性化させることによってアポトーシスを誘導することを確認することができ、bax/bcl−2経路でない他の経路を通してカスパーゼ3タンパク質を活性化させてアポトーシスを誘発することが分かった。
【0093】
(実施例7.抗癌効果確認)
ヒト由来肺癌細胞であるNCI−H460をヌードマウスの前肢に皮下移植し、一定の大きさまで固形癌を形成した後、In vivo試験で人体由来肺癌細胞株に対する細胞殺害能力が最も良く表れた卵緑礬(IS4)を4週間経口投与し、卵緑礬の抗癌効果に対する研究を行った。すなわち、抗癌効果検索は、一週間に2回デジタルキャリパーを使用して固形癌の大きさを測定し、体重と共に経時的な変化を確認し、最終測定日には固形癌の成長抑制率を計算して比較した。試験終了日には、摘出した固形癌の重さと体積測定器(plethysmometer)を用いて固形癌の実体積を測定し、試験期間中に日々の症状観察を通して固形癌の中心怪死が表れる個体と、それぞれの固形癌大きさの測定結果で固形癌の体積が1500mm3以上になる個体とを確認し、これら二つの条件のうち一つの条件に該当する個体を死亡個体と見なし、各群ごとに平均生存日を求め、試験終了後、陽性対照群に対比して生存増加率(%)を計算した。試験終了後、剖検時には肉眼的に内部臓器の異常有無を確認した後、採血を実施して血中ALP、CRE、BUN、TG、ALT、AST、Caレベル、GLU、総コレステロールを分析し、臓器(心臓、脾臓、睾丸)を摘出し、臓器の重さを測定した。
【0094】
(<7−1>材料及び方法)
1.移植癌細胞準備
移植するヒト肺癌(Human lung carcinoma)(NCI−H460)セルは、100U/mlのペニシリン、100g/mlのストレプトマイシン、10%のヒーティングされたウシ胎仔血清(fetal calf serum)が入っているRPMI―1640(Gibco BRL)を260mlのティッシュフラスコ(tissue flasks)に盛り込み、95%のCO2、37°Cのインキューベータ(MCO−20AIC、Sanyo)で培養した。セルが癒着されると、HBSS(Hanks balanced salt solution)(Gibco BRL)で2回洗浄し、0.2%のHBSS内のトリプシンで洗浄して使用した。
【0095】
2.検疫及び順化
実験動物の入手時、全ての動物の一般健康状態に対する獣医学的検疫を実施した。試験を実施するのに相応しくかつ健康な動物を選抜し、環境に適応させるために1週間の順化期間を経た。
【0096】
3.群分離
順化期間を経た後、健康な継代群の皮下に腫瘍塊を移植し、培養した腫瘍塊を摘出し、表面に分布した血管と脂肪層を除去した後、新鮮な腫瘍組織のみを選別して無処置動物の皮下に移植した。移植後、個別腫瘍の体積が100mm3に達すると、体重と腫瘍大きさを測定し、無作為法で群分離した。
【0097】
4.個体識別
飼育箱には、試験類型、試験番号、試験物質、群番号、個体番号、性別、投与量、実験期間及び試験責任者を記載した個体識別カードを付着した。個体識別は、テールマーキング(tail marking)法を使用して行った。処理群及び投与用量を下記の表6に示した。
【0098】
【表6】
【0099】
5.投与方法
試験物質を生理食塩水に溶かし、ゾンデ(zonde)を使用して4週間1日1回強制に経口投与した。
【0100】
6.評価方法
1)体重測定
試験期間中の体重変化を観察するために、試験開始後、7日ごとに体重を測定した。
【0101】
2)腫瘍含有モデル製作
1×107セル/ヌードマウス/100μlを注入して腫瘍株を獲得した後、継代群に継代した。3回にわたった反復継代で元の固形癌の性質を回復した腫瘍塊を得た後、この腫瘍塊を5匹の継代群に移植した。
【0102】
腫瘍の中心怪死(central necrosis)が生じる前に十分な血液供給で急速に育つ段階の腫瘍を含有した動物を犠牲させ、主に急速な分裂が起きる外郭部位を一定の大きさ(3×3×3mm)に切って腫瘍切片を作った。套管針の端に腫瘍片を載せ、動物の左側後肢の前側方を約4mm切除し、ここを通して準備した套管針を挿入し、左側前肢の後方の体幹側面部に端が達するようにした。套管針を軽くかつ迅速に360度回転させながら抜き、腫瘍片を目標位置に位置させ、切除部位は消毒した。肌の上を触って腫瘍片の位置を確認し、1週間に2回以上成長を観察した。移植後、体積が100mm3に達したものに群分離した後、試験物質を投与した。
【0103】
3)抗癌試験(平均腫瘍容積、mean tumor volume)
1週間に2回ずつキャリパー(calipers)で腫瘍の長・短軸を測定し、体重を測定した。最初に薬物を投与してから28日が経過すると、実験を終了し、実験資料を整理して試験物質による固形癌抑制効果を判定した。経時的な固形癌の体積及び抑制率の計算は、下記の公式を用いて換算した。
【0104】
V(mean tumor volume)=(A×B2)/2(A=長軸長さ、B=短縮長さ)
【0105】
IR(inhibition rate)=[CV−TV/TV]×100
(CV=対照群の腫瘍容積、TV=処置群の腫瘍容積)
【0106】
4)平均生存時間と寿命のパーセント増加(%ILS)
試験期間中に各試験群の日々の症状観察を通して固形癌の中心怪死が表れる個体と固形癌大きさの測定日の結果から、固形癌の体積が1500mm3以上になる個体を確認し、二つの条件のうち一つに該当する個体を死亡個体と見なし、生存増加率を下記の公式のように計算した。
【0107】
%ILS=[(T−C)/C]×100、
(ここで、CとTは、対照群と処置群のマウスの平均生存日)
【0108】
7.血中脂質値検査と一般血液検査
剖検時に腹帯動脈を通して採血して血清を獲得し、血液生化学自動分析機(HITACHI、Tokyo、JAPAN)を用いてALP(alanine phopsphatase)、CRE(creatinine)、Ca、GLU(glucose)、ALT(alanine transferase)、AST.UNを分析した。
【0109】
8.病理組織学的検査
試験終了時、放血致死させた後、肝、腎臓、脾臓を摘出して重量を測定し、肉眼的な所見を観察した。組織を10%の中性ホルマリン液に固定した後、パラフィン包埋過程を経て4μm厚さの組織切片を製作した後、ヘマトキシリン&エオシンで染色し、光学顕微鏡で観察した。
【0110】
9.統計学的分析
各実験結果に対して分散の同質性を比較するためのリーベン検定(Levene′s test)を実施し、分散が同質性を有する場合、ANOVA(one−way analysis of variance)を実施し、有意性が観察されると、対照群との有意差がある試験群を調査するためにDunnett′s t−testを実施した(p<0.05またはp<0.01)。
【0111】
(<7−2>結果及び考察)
1.体重変化
本実験期間中における体重の変化と飼料及び飲水摂取量の変化において、NCI−H460セル単独群よりはIS4の投与群で投与初期体重と飼料の摂取量が減少したが、1週後からは正常に回復した(図9、図10、図11)。試験期間中に群間の留意すべき事項は表れなかった。
【0112】
2.腫瘍(固形癌)の体積変化
試験期間中の固形癌の体積を一週間に2回キャリパーを使用して測定した結果を見ると、NCI−H460セル単独群よりは、IS4 45、90mg/kg投与群で腫瘍容積が濃度依存的に抑制された(図12)。各群の経時的変化を見ると、IS4投与後、約12日後からNCI−H460腫瘍成長を抑制し、15日後からはNCI−H460セル単独群に比べて固形癌成長抑制の傾向を示した。固形癌抑制傾向を数値的に見ると、試験後半日である22日で、NCI−H460セル単独群2806.47mm3に比べてIS 4 45mg/kg群は2221.74mm3、IS4 45 90mg/kg群は1517.07mm3に表れた。
【0113】
3.腫瘍(固形癌)体積抑制率測定
前記の測定した固形癌の体積を、NCI−H460セル単独群の固形癌体積の100%を基準にした成長抑制率分析結果で見ると、試験物質投与群で8日後から25日まで用量依存的な抑制傾向が表れた。(IS4 45mg/kg I.R 82.47%<IS4 90mg/kg I.R 59.99% at 22day)IS4 90mg/kg投与群では、投与22日後に固形癌成長抑制率が減少したことに表れた(表7)。
【0114】
【表7】
【0115】
4.腫瘍(固形癌)の重さ及び体積測定
【0116】
試験終了日に摘出した固形癌の重さ及び体積変動記録(plethysmometer)による体積測定結果を見ると、陽性対照群であるNCI−H460セル単独の固形癌の重さ及び体積2.52±0.75gと4.67±1.18cm3に比べて、IS4 45mg/kg群では2.24±0.78g、4.03±1.28cm3に減少し、IS4 90mg/kg群では2.17±0.60g、3.79±0.85cm3に有意性のある減少(p<0.05)を示した(表8)。
【0117】
【表8】
【0118】
5.平均生存時間及び生存率増加量測定
試験期間中に各試験群の日々の症状観察を通して固形癌の中心怪死が表れる個体と、固形大きさ測定日の結果で固形癌の体積が1500mm3以上になる個体とを確認し、二つの条件に該当する個体を死亡個体と見なして得た結果で平均生存時間を計算してみると、陽性対照群であるNCI−H460セル単独群では18.29±3.59日で、IS4 45mg/kg投与群では20.71±2.61日として生存率が10.68%増加した。また、IS4 90mg/kg投与群では22.33±2.44日として生存率が22.08%増加した(表9、図13)。
【0119】
【表9】
【0120】
6.組織病理学的観察(光学顕微鏡)及び臓器重さ測定
剖検時における臓器重さ変化確認でIS4投与群(45mg/kg)間の相対重量がNCI−H460セル単独群に比べて有意性のある減少(p<0.01)を示したことを除いては、他の臓器重さで留意すべき変化は表れなかった。詳細な結果を見ると、剖検時における肝の臓器重さは、NCI−H460セル単独群の1.76±0.07gに比べて、IS445mg/kg群では1.54±0.07gとして有意性のある減少(p<0.01)を示した。しかし、IS4 90mg/kg群では1.69±0.10gに減少する傾向があるが、有意性は表れなかった(表10)。組織病理学的にも、群間の留意すべき所見は表れなかった(図14)。
【0121】
【表10】
【0122】
7.血液生化学的分析
剖検時における血液生化学分析結果を見ると、血中ALP、CA、CRE、ALT、AST数値では試験物質投与による留意すべき差は表れなかった(表11)。
【0123】
一方、血中UN数値で、全ての試験物質投与群で有意性のある減少結果が表れた(IS4 45mg/kg、IS4 90mg/kg、p<0.01)。また、IS4 45mg/kg群のPHOS数値は、7.79±0.82mg/dlとしてNCI−H460セル単独群の9.27±0.99mg/dlに比べて有意性のある減少を示した。(IS4 45mg/kg群、p<0.05)
【0124】
【表11】
【0125】
(実施例8.治療事例)
卵胆礬粉末と竹塩粉末を1:20の重量比で混合して卵胆礬竹塩を製造した後、カプセルに卵胆礬竹塩の混合粉末を0.5gずつ入れて患者に提供し、1個ずつ唾で飲み込んだり、食水で飲み込む方法で一日10個〜20個ずつ服用するようにした(日々の投与量は、成人を基準にして総量5g〜10g、または体重10kg当たりカプセル1〜3個)。患者は、前記投与量を1〜2時間の間隔で2〜10回に分けて服用し、場合によって、卵胆礬竹塩の他に通常の気力補強のための湯薬及び舎利醤油を共に服用した。
【0126】
(<8−1>事例1.子宮頚部異型細胞症治療)
名前:コ・**、年齢:35歳、性別:女、子宮頚部異型細胞症、結核薬を2年間服用し、B型肝炎保菌状態で3ヶ月間湯薬、卵胆礬竹塩及び舎利醤油を服用し、卵胆礬竹塩水を子宮に注入する治療を施行した。検査の結果、細胞がほぼ正常になっており、核のみが未だに少しだけ大きくなっている状態との診断を受けた後、服用中断による再発、再治療(湯薬と卵胆礬竹塩服用及び卵胆礬竹塩注入)後、1ヶ月ぶりに正常に完治した。
【0127】
(<8−2>事例2.大膓癌、肺癌、骨癌治療)
名前:ゾン・**、年齢:57歳、性別:男、大膓癌、肺癌、骨癌(頚椎癌)状態で、大膓癌、肺癌転移手術(当時、排尿問題で検査したとき、膀胱には異常がなかったが、神経を押すため膀胱の一部を少しだけ切除)後、脊椎に再発し、転移、頚椎癌、9回の脊椎癌細胞増殖によって脊椎が破壊され、肋骨神経を押すため痛みが激しい。抗癌治療を6回再び受けたが、結果は少しもよくならず、癌細胞がそのままの状態で治療可能性がなく、鎮痛剤で一日一日堪えながら抗癌さえも受けられない状況で、5ヶ月間湯薬、卵胆礬竹塩及び舎利醤油を服用した。その後、病院で検査した結果、完治という判定を受けた。
【0128】
(<8−3>事例3.甲状腺癌治療)
名前:キム・**、年齢:46歳、性別:男、12年前に急性肝炎で治療を受けた病歴があり、現在肝に石灰化現象があるが、甲状腺癌診断を受けた後、病院での抗癌治療なしに、湯薬、卵胆礬竹塩及び舎利醤油を服用した。服用してから一ヶ月ぶりにCT撮影をした結果、5.1mmであった癌細胞が4.6mmに減少した。服用してから6ヶ月後に完治した。
(産業上の利用可能性)
【0129】
本発明に係る卵胆礬を有効成分として含む組成物は、胆礬の毒性が除去され、薬物学的活性が最大化された状態で製造され、抗癌活性に優れているので、癌の予防及び治療用薬学製剤または健康機能食品製造に有用に用いることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵胆礬を有効成分として含む癌予防及び治療用組成物。
【請求項2】
竹塩をさらに含む、請求項1に記載の癌予防及び治療用組成物。
【請求項3】
前記卵胆礬及び竹塩は粉末状である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、卵胆礬及び竹塩を1:5〜1:50の重量比で含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記卵胆礬は、胆礬を加熱、脱水及び粉末化した後、卵白を混合して製造される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項7】
前記癌は、肝癌、乳房癌、肺癌、大膓癌、胃癌、膵膓癌、子宮癌、前立腺癌、骨癌、神経膠腫及び白血病で構成された群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、カスパーゼ3の活性増進を通した癌抑制能を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
卵胆礬を有効成分として含む癌予防及び改善用健康機能食品。
【請求項10】
竹塩をさらに含む、請求項9に記載の癌予防及び改善用健康機能食品。
【請求項11】
(a)天然鉱物性生薬である胆礬を全量が灰色または褐色に変わるまで加熱・脱水させる段階;
(b)脱水された胆礬を冷やした後、粉末化する段階;及び
(c)前記段階(b)の胆礬粉末を卵白に混合する段階を含む、卵胆礬の製造方法。
【請求項12】
前記段階(c)以後に、(d)前記段階(c)の混合物を冷やした後、粉末化する段階をさらに含む、請求項11に記載の卵胆礬の製造方法。
【請求項13】
前記段階(c)は、胆礬粉末600g当たり卵7〜20個の卵白(140〜400g)を混合する、請求項11に記載の卵胆礬の製造方法。
【請求項14】
請求項1の卵胆礬組成物を用いて癌を予防及び治療する方法。
【請求項1】
卵胆礬を有効成分として含む癌予防及び治療用組成物。
【請求項2】
竹塩をさらに含む、請求項1に記載の癌予防及び治療用組成物。
【請求項3】
前記卵胆礬及び竹塩は粉末状である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、卵胆礬及び竹塩を1:5〜1:50の重量比で含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記卵胆礬は、胆礬を加熱、脱水及び粉末化した後、卵白を混合して製造される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
薬学的に許容可能な担体をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項7】
前記癌は、肝癌、乳房癌、肺癌、大膓癌、胃癌、膵膓癌、子宮癌、前立腺癌、骨癌、神経膠腫及び白血病で構成された群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物は、カスパーゼ3の活性増進を通した癌抑制能を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
卵胆礬を有効成分として含む癌予防及び改善用健康機能食品。
【請求項10】
竹塩をさらに含む、請求項9に記載の癌予防及び改善用健康機能食品。
【請求項11】
(a)天然鉱物性生薬である胆礬を全量が灰色または褐色に変わるまで加熱・脱水させる段階;
(b)脱水された胆礬を冷やした後、粉末化する段階;及び
(c)前記段階(b)の胆礬粉末を卵白に混合する段階を含む、卵胆礬の製造方法。
【請求項12】
前記段階(c)以後に、(d)前記段階(c)の混合物を冷やした後、粉末化する段階をさらに含む、請求項11に記載の卵胆礬の製造方法。
【請求項13】
前記段階(c)は、胆礬粉末600g当たり卵7〜20個の卵白(140〜400g)を混合する、請求項11に記載の卵胆礬の製造方法。
【請求項14】
請求項1の卵胆礬組成物を用いて癌を予防及び治療する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2012−514031(P2012−514031A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544351(P2011−544351)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004508
【国際公開番号】WO2010/076937
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(511158672)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004508
【国際公開番号】WO2010/076937
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(511158672)
【Fターム(参考)】
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