説明

卵胞刺激ホルモン減少剤

南瓜子、紅花、オオバコ及びスイカズラからなる本発明組成物は、卵胞刺激ホルモン減少作用を有することから、当該作用に基づく疾患、例えば更年期障害、原発性性腺機能低下症(卵巣機能低下症及び精巣機能低下症を含む)、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、ゴナドトロピン産生腫瘍、睾丸炎、或いは原発性卵巣性無月経及び/又はホルモン産生腫瘍の予防又は治療剤、健康食品、或いは機能性食品として、使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラの4種の生薬を含有することを特徴とする卵胞刺激ホルモン減少剤に関する。
【背景技術】
卵胞刺激ホルモン(FSH:follicle stimulating hormone)は性腺刺激ホルモン(GTH:gonadotropic hormone)の一つであり、精巣においては精細管の発育及び精子形成の促進に関与し、卵巣においては卵胞の発育と成熟に関与している。
血中におけるFSH量が高い状態に関与する疾患として、更年期障害があげられる(例えば標準産婦人科学、株式会社医学書院、加齢による性機能と性器の形態の変化、p.23−25、1997)。その他にも原発性性腺機能低下症、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、ゴナドトロピン産生腫瘍、睾丸炎(例えば、内科診断学、ホルモン検査、p.843−887、西村書店、新潟、1997)、原発性卵巣性無月経、ホルモン産生腫瘍などがある(例えば標準産婦人科学、株式会社医学書院、月経異常 B 無月経、p.34−44、1997)。
これら疾患の一つの更年期障害につき説明する。
更年期に関する定義はまちまちであるが、更年期とは閉経前後の数年間を指し、この時期に生じる身体的症状や精神症状に耐えられず治療を必要とするものを更年期障害(climacteric disturbance(disorder))という(例えば水野正彦、心身症、更年期障害と中・高年婦人の健康管理、標準産婦人科学、株式会社 医学書院、東京、1997、p.170−175)。
更年期障害の症状は多種多様であるが、大別すると▲1▼内分泌障害(不正出血、又は萎縮性膣炎など)、▲2▼血管運動神経系障害(ほてり、又は心悸亢進など)、▲3▼精神神経系障害(頭重、頭痛、又はめまいなど)、▲4▼運動器系障害(肩こり、又は腰痛など)、▲5▼消化器系障害(便秘、食欲不振、又は嘔気など)、▲6▼泌尿器系障害(頻尿、又は残尿感など)、▲7▼皮膚内科泌尿器系障害(発汗、又は口内乾燥感など)、▲8▼新陳代謝障害(るいそう、又は肥満など)、▲9▼知覚器系障害(しびれ感など)、▲10▼その他の障害、である(例えば標準産婦人科学、株式会社 医学書院、東京、1997)。この中で更年期障害の代表的な症状として、めまい、全身倦怠感、頭痛、及び動悸等が知られている。また、更年期障害でよくみられる精神症状には、うつ病、仮面うつ病、全般性不安障害、パニックディスオーダー、身体表現障害、エストロゲン失調障害、又は卵巣欠落症候群などが挙げられる。
更年期障害の治療法には、各種薬物療法が挙げられる。
当該各種薬物としては、ホルモン補充療法(HRT)、抗不安薬及び抗うつ薬が中心であり、一方閉経前で月経周期がある程度保たれている症例や,閉経後でもHRTが禁忌かHRTを希望しない症例に漢方薬が使用されることもある。主要な漢方薬としては当帰芍薬散、加味逍遥散及び桂枝茯苓丸が挙げられる(今日の診療12版)。また、更年期障害の 血を去るためにのみ使用される通導散には紅花が少量含まれているが、主成分は当帰である(例えば、谿 忠人、漢方薬の薬能と薬理、第17章 月経異常を改善する生薬、p.159−168、1992、株式会社南山堂、東京、及び小山誠次、古典に基づくエキス漢方方剤学、通導散、p.453−457、1998、株式会社メディカルユーコン、京都参照)。内分泌機能への期待されるものに、当帰芍薬散(FSH、LH及びProgesteroneの増加作用剤)、桂枝茯苓丸(FSH及びLHの増加作用剤)、芍薬甘草湯(Progesterone及びTestosterone増加作用剤)、温経湯(LH−RH増加作用剤及びProgesterone減少剤)などがあることが知られている(例えば漢方治療指針、産科・婦人科疾患、産科・婦人科疾患の総論、p.375−426、株式会社緑書房、東京)。
一方、南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラについては、それぞれ以下のような効果が報告されている。例えば、南瓜子、オオバコ、スイカズラの1種以上(とりわけ3種の生薬)を飼料に添加することにより、寄生虫、細菌及びウイルス病の特に自然感染を防ぎ、生体防御力の強化と共に肉質、卵質を改善する旨が開示されている。更には、南瓜子、オオバコ、スイカズラ、紅花の4種の生薬を配合した飼料について、採卵鶏の健康状態、生存率、卵質の向上、抗ロイコチトゾーン病効果、ウズラの抗ニューカッスル病効果、腸内コクシジウム、ブドウ球菌数抑制効果が開示されている(例えば、米国特許第5,882,672号明細書参照)。
ニホンカボチャ等のウリ科植物からインターフェロン誘起剤の製造方法が開示されている(例えば、米国特許第4,421,746号明細書参照)。紅花から抽出したインターフェロン誘起剤の抗ウイルス活性及び抗腫瘍活性が開示されている(例えば、米国特許第4,456,597号明細書参照)。また、金銀花(スイカズラ)、或いは車前子(オオバコ)等からインターフェロン誘起剤が抽出され、ヒト及び動物のウイルス感染症の予防及び治療に有用であることが開示されている(例えば、米国特許第4,469,685号明細書参照)。南瓜子と紅花の2種の生薬を配合することからなるマクロファージ活性化剤が開示されている(例えば、特開平11−116498号公報参照)。南瓜子、紅花、オオバコ及びスイカズラの4種の生薬を配合することからなる好球活性化剤が開示されている(例えば、特開2000−281584号公報参照)。
しかしながら、これらの先行技術には、本発明の有効成分である各生薬についてインターフェロン誘起作用、マクロファージ活性化作用、好中球活性化作用、或いはIgE抗体産生抑制作用などが開示されているが、血液中高FSH濃度の減少(低下)作用については何ら開示も示唆もない。
【発明の開示】
本発明の課題は、生薬を利用した、特に南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラを有効成分とする卵胞刺激ホルモン減少剤を提供することである。
本発明者等は、植物性生薬につき鋭意検討した結果、閉経後の女性に南瓜子、紅花、オオバコ及びスイカズラからなる組成物を投与した結果、投与開始時においては、血液中FSH量が高値であったが、投与6ヵ月後には有意な減少をしていたことを見出した。更に驚くべきことに更年期障害と診断される女性の自覚症状を改善すること、及び医師の診断による不定愁訴を改善することを見出し、本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラを有効成分とする卵胞刺激ホルモン減少剤に関する。特に、同卵胞刺激ホルモン減少剤の更年期障害予防又は治療剤、不定愁訴予防又は治療剤、卵巣機能低下症(若年性更年期障害)の予防又は治療剤、精巣機能低下症の予防又は治療剤、及び無月経の予防又は治療剤としての利用、並びに、更年期障害の予防若しくは症状改善或いは軽減用健康食品又は機能性食品、卵巣機能低下症(若年性更年期障害)の予防若しくは症状改善或いは軽減用健康食品又は機能性食品、精巣機能低下症の予防若しくは症状改善或いは軽減用健康食品又は機能性食品、及び無月経の予防若しくは症状改善或いは軽減用健康食品又は機能性食品としての利用に関する。更に、前記有効成分からなる卵胞刺激ホルモン減少剤の調製方法に関する。
なお、本発明は、上記のような疾病などの従来の治療薬との併用可能な組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明における卵胞刺激ホルモン減少剤とは、卵胞刺激ホルモン減少作用を示す、医薬組成物、又は食品、特に健康食品、或いは機能性食品(サプリメント)を意味する。
本発明において使用される生薬について説明する。
南瓜子はウリ科の植物南瓜(和名:ニホンカボチャCucurbita moschata Duch.)の種子であるが、本発明においては、本発明の目的を達成することができるその類縁植物の種子も含む。南瓜子は、生のまま使用してもよいが、乾燥品の方が医薬、健康食品として保存上好ましく、また、種皮のみを用いてもよい。成分としてククルビチン、タンパク質、ビタミンA、B、B、Cを含み、またカロチン等も含まれている。
紅花(Carthamus tinctorius L.)は、キク科植物の管状花を乾燥したものである。成分としてはカルサミン、サフラーイエロー、リグナン、ステロールを含む。
オオバコ(Plantago asiatica L.)はオオバコ科の植物で成熟した種子(車前子)または全草(車前)が用いられる。成分としては多糖類、Plantenolic acid.、コハク酸、アデニン、Aucubin、PlantagininやビタミンA、B等を含む。
スイカズラ(Lonicera japonica THUNB.)はスイカズラ科の花若しくは蕾(金銀花)、葉、茎或いは全草(忍冬)が用いられる。成分としては蝋様物質、イノシトール、タンニン、サポニン、ロニセリン等を含む。
本発明ではこれらの生薬を原末或いは水又は有機溶媒抽出エキスとして用いることができる。即ち、原末、溶媒製剤、粉剤、成型剤、浸出剤等として用いる。
生薬を原末として使用するときは、その生鮮、陰干し、或いは乾燥したものを用い細断或いは粉末として用いる。有機溶媒としてはエタノール、アセトン等が用いられ、これらは水或いは2種以上の有機溶媒と混合して用いてもよい。抽出は生薬に対し数倍量の溶媒を加え常温乃至加温下に抽出或いは浸出を行う。各生薬単独で抽出したエキスを配合してもよく、或いは、予め複数の生薬の原末を配合したものを抽出してエキスを得ても良い。
上記生薬の原末或いは水又は有機溶媒抽出エキスは、そのまま又は自体公知の方法で各種の形態にして医薬組成物、又は食品、特に健康食品或いは機能性食品(サプリメント)として利用できる。
例えば、医薬組成物或いは機能性食品(サプリメント)は通常の製剤化方法により経口用の錠剤、散剤、細粒剤、カプセル剤、丸剤、シロップ剤として提供される。製剤化の為に、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、緩衝剤、矯味剤、安定剤等を必要に応じて添加することもできる。少なくとも一つの不活性な希釈剤、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと混合される。組成物は、常法に従って、不活性な希釈剤以外の添加剤、例えばステアリン酸マグネシウム、スターチ、タルクのような潤滑剤や繊維素グリコール酸カルシウムのような崩壊剤、ラクトースのような安定化剤、グルタミン酸又はアスパラギン酸のような溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要によりショ糖、ゼラチン、寒天、ペクチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
また、本発明の有効成分である生薬に影響を与えない程度での水溶性ビタミン(カフェイン、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビオチン、カルニチン、パントテン酸、及びニコチン酸とその誘導体など)、脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンEとその誘導体など)、アミノ酸(タウリン、アルギニンなどの)、東洋ハーブ(紫蘇、甘草、イチョウ、蒲公英、菊花、人参、桂皮など)、あるいは西洋ハーブ(ノコギリヤシ、セイヨウオトギリソウ、エキナシア、アニシード、アニュアルカモミル(カミツレ)、ローズマリー、ミント、ユーカリプタス、ラベンダー、ローズ(バラ)、ハイビスカス、アロエなど)を配合することもできる。
その他の有効成分として、ラクツロースなどのオリゴ糖等または乳酸菌(ビフィズス菌)等を配合することもできる。
経口投与の為の液体組成物は、製薬学的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エタノールを含む。この組成物は不活性な希釈剤以外に湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
また、健康食品としては、飲料、或いはゼリー、ビスケット、クッキー、キャンディー等菓子の形態で提供することができる。
本発明に係る組成物は、南瓜子及び紅花、更にオオバコ或いはスイカズラの生薬を有効成分として含有するが、特に南瓜子は20〜60%、紅花は10〜40%、その他の生薬については、各々5〜70%の範囲で含むのが好ましい。
本発明に用いられる有効成分の投与法は、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定されるが、通常、成人60kg体重1日当たり生薬総量として0.5〜5g、好ましくは1〜3gを経口投与である。
【実施例】
以下に参考例及び実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(参考例1)
南瓜子5.0g、紅花3.0g、オオバコ1.0g、スイカズラ3.0gと乳糖67g及びデンプン16gを混合機にて均一に混合し、先にハイドロキシプロピルセルロース2g、カプリン酸トリグリセライド5gを85%エタノール40gに溶解したものを練合溶媒とし、上記混合物を練合したのち、バスケット型製粒機(スクリーン径1mm)にて造粒後、14メッシュ篩を通過させ乾燥後、円柱状顆粒とする。上記成分とマンニット、ヒドロキシプロピルセルロース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、アスパルテーム及び香料を均一に混合し、顆粒剤12包を得た(特開2000−231584号公報参照)。
以下、参考例1と同様に各種配合比(重量%)の組成物を調製することができる。

(参考例2)
本発明組成物に含まれる商品インターパンチ(登録商標;(株)サンウエル製)。南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラの生薬原末を配合し、10倍量の熱湯(95±5℃)で30分間抽出し、抽出液をろ過後濃縮し、還元麦芽糖、乳糖、デンプンなどの賦形剤・香料を添加し、造粒工程にかけて細粒とした。

【実施例1】
閉経後の不定愁訴患者に対する臨床試験
更年期不定愁訴例における臨床効果とその免疫系への作用について検討した。32名の閉経後不定愁訴患者(平均年齢53.0±5.1歳:48−66歳)に参考例2で得られた組成物を6ヶ月(6g/日)投与し、LH、及びFSHの血中濃度を測定し更に服用中Greeneの更年期指数(climacteric scale)及びVAS(Visual Analog Scale)での症状の評価した。
なお、GreeneやKuppermanなどの更年期指数は、更年期障害例のQOLへの影響と各種症状の重症度を判定して重症度の判定の目安としている。Greeneの更年期指数は閉経中に女性の徴候を評価するため開発され、不愉快な徴候の厳しさの緩和に向けられる反応を評価するために臨床において使用しているものである(例えば、Greene JG.Constructing a standard climacteric scale.Maturitas.1998;29:25−31)。
試験結果:
血液中FSH濃度を摂取前と摂取6ヵ月後に比較したところ、投与後ではLH濃度は変動はなかったが、FSH濃度は投与前値が平均64.05±20.1mIU/mlであったのが投与6ヵ月後には平均52.51±18.0mIU/mlと有意な減少が認められた(P<0.05)。更年期にはFSH濃度が高値になることが知られており、その減少をもたらしたことは注目に値する。即ち、閉経後は、FSH濃度は生理的に高値を示し、その増加に伴って不定愁訴の症状が悪化することが知られており、本発明品の投与によって、FSH濃度が有意に低下することは、症状の改善に寄与していることを物語るものである。
グリーン(Greene)の更年期指数による評価結果は投与前値の指数(合計)が平均20.1±9.44であったのが投与6ヵ月後には平均12.1±8.46と60.2%(P=0.0007)に有意に低下した。
VASによる自覚症状の評価は、患者自身に0から100までの自由な評価(0は健康、100はこれ以上ない最大の苦痛)を投与前と投与6ヵ月後に記録して比較した。投与前値が平均79.2±12.8であったのが、投与6ヵ月後には平均32.7±14.1と41.3%(P=0.0001)に有意に低下した。
本発明に係る組成物(参考例2)の6ヶ月服用により、更年期指数およびVASが投与前値のそれぞれ60.2%および41.2%と顕著に低下した。即ち、これらの指標が統計学的にも、危険率0.07%あるいは0.01%で、明快に回復したことは、患者のQOLが明快な改善をしたことを物語るものである。
従って、本発明組成物(参考例3)はFSH減少剤であることが証明され、かつ更年期障害若しくは不定愁訴の治療に有効であることが確認された。
【実施例2】
健康食品のヒトにおける安全性
本発明組成物処方A:
成分(配合比):南瓜子(50%)、紅花(20%)、オオバコ(15%)及びスイカズラ(15%)
健常成人男性7名に2週間にわたり1日2回(1回あたり原生薬換算1.0g)摂取させた。摂取開始前、開始後1及び2週目に採血を行い、一般臨床検査(血液学的検査(白血球数、赤血球数、ヘモグロビン量、ヘマトクリット値、MCV、MCH、MCHC、血小板数、白血球像)、血液生化学的検査(総蛋白、アルブミン、A/G、総ビリルビン、MCV、MCH、MCHC、AST、ALT、アルカリフォスファターゼ、γ−GTP、総コレステロール、中性脂肪、尿素窒素、尿酸、クレアチニン)及び免疫生化学検査(非特異的IgE、非特異的IgG、トランスフェリン)並びに医師による問診・聴打診、理学的検査(体温、脈拍、血圧)を実施し、本発明組成物処方A摂食の安全性を検討した。また、細胞機能(単球(血液中マクロファージ)貪食能,好中球貪食能、NK細胞活性)並びにサイトカイン(IL−2、4、6、8、10、12、INF−β、TNF−α)を測定することにより、本健康食品の有効性を検討した。
その結果、2週間の摂取による試験実施期間中、自覚症状、他覚所見並びに免疫生化学検査を含む臨床検査値について、試験食品摂取に起因すると考えられる有害事象は認められず、安全性に問題のないことが確認された。細胞機能並びにサイトカインに関しては顕著な変化は認められず、健常成人男性に対しては、本投与量・投与期間においては、測定可能な変化は捉えられないことが判明した。
【実施例3】
健康食品としての安全性
本発明の健康食品を健常成人男性に8年間摂取させた(摂取開始時は31歳)。最初の2年間は、処方例Aの配合生薬原末を1日当り平均1g、その後は実施例処方Aの健康食品を平均1日当り原末換算1g摂取した。その結果、摂取期間中一般血液性状、健康状態等に悪影響は認められなかった。
【産業上の利用可能性】
本発明は、卵胞刺激ホルモン(FSH:follicle stimulating hormone)量を減少する作用を有するため、高FSH量に基づく各種疾患、例えば更年期障害(例えば標準産婦人科学、株式会社医学書院、加齢による性機能と性器の形態の変化、p.23−25、1997)、原発性性腺機能低下症(卵巣機能低下症及び精巣機能低下症を含む)、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、ゴナドトロピン産生腫瘍、睾丸炎(例えば、内科診断学、ホルモン検査、p.843−887、西村書店、新潟、1997)、或いは原発性卵巣性無月経及び/又はホルモン産生腫瘍(例えば標準産婦人科学、株式会社医学書院、月経異常 B 無月経、p.34−44、1997)の治療に有用である。
特にFSH量が高いと言われている閉経後の女性の疾患、例えば更年期障害あるいは不定愁訴の治療に有用である。
更に本発明FSH減少剤は、当該疾患を有する患者の自覚症状を改善すること、及び医師の診断による不定愁訴を改善した。即ち、当該更年期障害若しくは不定愁訴の症状である、疲れやすさ、疲労感、脱力感、不眠、神経質、肩こり、頭痛、腰痛、及び/又は倦怠感などを改善した。
更年期障害は、女性のQOLを著しく低下させ、閉経以後の女性の人生に大きな影響を与えることが報告されている(例えば、後山尚久:更年期・老年期女性の身体機能の特性とその障害、中山書店、東京、2001、p.37−76)。閉経後の30年を女性が健やかに過ごす為には、この時期に見られる更年期症状(不定愁訴)をいかに乗り越えられるかが鍵となるといっても過言ではないため(例えば後山尚久、特集・中高年女性の健康管理 A.更年期障害 15.わが教室における更年期外来の実際 婦人科心療・更年期・閉経外来として、産婦人科治療、vol.76、p.206−213、1998)、本発明FSH減少剤は優れた予防又は治療剤となりうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
南瓜子、紅花、オオバコ、及びスイカズラを有効成分とする卵胞刺激ホルモン減少剤。
【請求項2】
更年期障害予防又は治療剤である請求項1記載の卵胞刺激ホルモン減少剤。
【請求項3】
不定愁訴予防又は治療剤である請求項1記載の卵胞刺激ホルモン減少剤。
【請求項4】
卵巣機能低下症(若年性更年期障害)の予防又は治療剤である請求項1記載の卵胞刺激ホルモン減少剤。
【請求項5】
精巣機能低下症の予防又は治療剤である請求項1記載の卵胞刺激ホルモン減少剤。
【請求項6】
無月経の予防又は治療剤である請求項1記載の卵胞刺激ホルモン減少剤。
【請求項7】
更年期障害の予防若しくは症状改善或いは軽減用健康食品又は機能性食品である請求項1記載の卵胞刺激ホルモン減少剤。
【請求項8】
卵巣機能低下症(若年性更年期障害)の予防若しくは症状改善或いは軽減用健康食品又は機能性食品である請求項1記載の卵胞刺激ホルモン減少剤。
【請求項9】
精巣機能低下症の予防若しくは症状改善或いは軽減用健康食品又は機能性食品である請求項1記載の卵胞刺激ホルモン減少剤。
【請求項10】
無月経の予防若しくは症状改善或いは軽減用健康食品又は機能性食品である請求項1記載の卵胞刺激ホルモン減少剤。

【国際公開番号】WO2004/091641
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505373(P2005−505373)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005104
【国際出願日】平成16年4月9日(2004.4.9)
【出願人】(504335116)オリジナル・イメージ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】