説明

厚い褐色フィルム

本発明は、a)ASTM D792に従って決定される、0.90g/cm3から0.955g/cm3の範囲の密度、およびASTM D1238(2.16kg、190℃)に従って決定される、0.01g/10minから10g/10minの範囲のメルトインデックスを有する標的ポリエチレン樹脂を選択し、b)前記標的ポリエチレンとアルコキシアミン誘導体を全ポリエチレン樹脂100万重量部当たり誘導体900部未満の量で、標的ポリエチレン樹脂の溶融強度を増大させるのに十分な条件下に反応させ、c)改変された標的樹脂から厚いフィルムを形成するプロセスで作製されたポリエチレンポリマーを10から100重量パーセント含む、100ミクロンを超える厚さを有するフィルムである。本フィルムとしては、調合物におけるLDPE樹脂が少なくとも10%少ないにもかかわらず、改変されていない線状ポリエチレンを含むものと同様の加工性を実現することができるものが挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年1月11日出願の米国特許出願第12/685,148号の優先権を主張するものであり、その開示内容は、米国実務上、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンは望ましい特性を有するものであり、それらの特性は最大製造量のポリマーとなるのに役立ってきた。ポリエチレンは、様々な特性を付与するために様々なプロセスで作製することができる。公知のポリエチレンファミリーとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、および高圧反応器を使用して作製された低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。広範なこれらのクラス内で、様々なタイプのポリオレフィンプロセス技術(例えば、溶液、スラリー、または気相)によってまたは様々な触媒(例えば、チーグラーナッタまたは幾何拘束型触媒)の使用によって生ずる変形が多数存在する。所望の用途には、レオロジー特性のバランスを注意深く取る必要があり、当業者に、別のタイプのポリエチレンよりもあるタイプのポリエチレンを選択させることになる。ブロー成形やブローンフィルム用途などの多くの用途において、ポリマーの伸長粘度としてしばしば測定される、ポリエチレンの溶融強度は重要なパラメータである。
【0003】
溶融強度は、伸長変形を受けたときの材料の性能を予測することができる実用的な測定値である。溶融加工において、良好な溶融強度は、被覆、ブローンフィルム生成、紡糸および部品の発泡などの加工中に安定性を維持するのに重要である。
【0004】
溶融強度は、ブローンフィルム生成時の気泡安定性、したがって厚みの変動;ブロー成形時のパリソン形成;異形押出時の垂れ下り;発泡時の気泡形成;シート/フィルム熱成形時のより安定な厚みの分布など、複数の加工パラメータと関係付けられる。
【0005】
この特性は、分子量のより大きい樹脂を使用することによって向上させることができるが、このような樹脂は押出加工時により高い押出圧を発生する傾向があるので、より頑強な設備およびより大きなエネルギーの使用を一般に必要とすることになる。したがって、特性は、物理的諸特性と加工性の組合せが許容できるものとなるようにバランスを取らなければならない。
【発明の概要】
【0006】
サイレージ用途で使用するためなどの厚いフィルム用途において、LDPEとLLDPEのブレンドは、典型的には加工性(押出機アンペアおよび圧力)とフィルム機械的特性のバランスを得るために使用される。このブレンドにおいて、LDPE成分は加工性成分であり、一方LLDPEは、機械的目的成分である。したがって、ブレンドのLDPE部分を低減する能力は、ブレンドの機械的諸特性を増大させるはずである。本発明により、LLDPE成分の溶融強度を増大させる能力は、ブレンドにおいてより高い百分率のLLDPEの使用を可能にし、したがって加工性を犠牲にすることなく、機械的諸特性が増大する。
【0007】
したがって、本発明の一態様は、厚いフィルム用途に特に好都合なフィルムである。本発明において、「厚いフィルム」は、少なくとも100ミクロンの平均厚さを有するものであり、多くの用途では200ミクロンを超える平均厚さを有するものである。本発明のフィルムは、通常の押出加工によりアルコキシアミン誘導体と反応したポリエチレンを含む。
【0008】
したがって、本発明の一態様は、まず、ASTM D792に従って決定される、0.90g/cm3から0.955g/cm3の範囲の密度、およびASTM D1238(2.16kg、190℃)に従って決定される、0.01g/10minから10g/10minの範囲のメルトインデックスを有する標的ポリエチレン樹脂を選択するプロセスで作製されたポリエチレンポリマーを含む、200ミクロンを超える厚さを有するフィルムである。次いで、標的ポリエチレンとアルコキシアミン誘導体を全ポリエチレン樹脂100万重量部当たり誘導体900部未満の量で、標的ポリエチレン樹脂の溶融強度を増大させるのに十分な条件下に反応させる。次いで、この改変された標的樹脂を、高圧プロセスで調製された低密度ポリエチレンの量と組み合わせ、次いでブレンドされた樹脂を使用して、フィルムを作製する。
【0009】
本発明において使用するための改変させた標的樹脂は、低いせん断速度(0.1s−1)では伸長粘度を増大させ、典型的な押出条件で材料の加工しやすさが維持されるようなより高いせん断速度(>100s−1)では粘度を維持する。本発明の一態様は、同じ操作条件で本発明の樹脂を加工すると、押出機圧力が、比較樹脂の10%を超えて増大しないことである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】添加剤濃度増加と共に、溶融強度曲線対延伸速度を示す図である。
【図2】TA Instruments「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」で1回の周波数掃引で190℃の一定温度で測定された粘度対せん断速度周波数を示す図である。
【図3】本発明樹脂と比較樹脂のブレンドの溶融強度対LDPE樹脂Fの量を示す図である。
【0011】
各図中、「Comparative Resin」は「比較樹脂」、「Resin」は「樹脂」を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
最も広い意味で、本発明は、200ミクロンを超える厚さを有するフィルムであって、
a)10から100重量パーセントの以下のプロセスで作製されたポリエチレンポリマーと、
i)ASTM D792に従って決定される、0.90g/cm3から0.955g/cm3の範囲の密度、およびASTM D1238(2.16kg、190℃)に従って決定される、0.01g/10minから10g/10minの範囲のメルトインデックスを有する標的ポリエチレン樹脂を選択し、
ii)前記標的ポリエチレンとアルコキシアミン誘導体を全ポリエチレン樹脂100万重量部当たり誘導体900部未満の量で、標的ポリエチレン樹脂の溶融強度を増大させるのに十分な条件下に反応させる;
b)0から90重量パーセントの低密度ポリエチレン組成物と
を含むフィルムである。
【0013】
ポリエチレン樹脂としては、少なくとも50重量%がエチレンモノマー単位に由来するすべてのポリマーまたはポリマーブレンドが挙げられる。これには、当技術分野において、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)(チーグラーナッタ線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセンポリエチレン、およびマルチプルリアクターポリエチレン(米国特許第6,545,088号(Kolthammerら);第6,538,070号(Cardwellら);第6,566,446号(Parikhら);第5,844,045号(Kolthammerら);第5,869,575号(Kolthammerら);および第6,448,341号(Kolthammerら)に開示された生成物など、チーグラーナッタPEとメタロセンPEの「インリアクター」ブレンドを含む)、ならびに高圧反応器を使用して作製された低密度ポリエチレン(LDPE)として公知である材料が含まれる。
【0014】
選択された標的ポリエチレン樹脂は、ASTM D792に従って決定される、0.865g/cm3から0.962g/cm3、より好ましくは0.905g/cm3から0.957g/cm3の範囲の密度、およびASTM D1238(2.16kg、190℃)に従って決定される、0.01g/10minから100g/10min、より好ましくは0.1g/10minから15g/10minの範囲のメルトインデックスを有するべきである。好適な標的ポリエチレン樹脂は、従来のチーグラーナッタまたはクロム触媒を用いて生成することができるが、メタロセンまたはシングルサイト触媒を用いても生成することができる。このような樹脂は、単峰性または多峰性の分子量分布を有するものであり得る。
【0015】
標的ポリエチレン樹脂が選択されれば、アルコキシアミン誘導体と反応させる。本発明の目的では、「アルコキシアミン誘導体」はニトロキシド誘導体を包含する。アルコキシアミン誘導体は、ポリエチレン樹脂の溶融強度を増大させるのに十分な量および条件下で添加される。アルコキシアミン誘導体は、次式:
(R)(R)N−O−R
に対応するものであり、式中、RおよびRはそれぞれ互いに独立して、水素、C〜C42アルキルもしくはC〜C42アリール、またはOおよび/もしくはNを含む置換炭化水素基であり、RとRは一緒になって環構造を形成してもよく、Rは、水素、炭化水素、またはOおよび/もしくはNを含む置換炭化水素基である。Rの好ましい基としては、−C〜C19アルキル;−C〜C10アリール;−C〜C19アケニル;−O−C〜C19アルキル;−O−C〜C10アリール;−NH−C〜C19アルキル;−NH−C〜C10アリール;−N−(C〜C19アルキル)が挙げられる。Rは、アシル基を含むことが最も好ましい。
【0016】
好ましい化合物は、分解または熱分解後にニトロキシルラジカル(R1)(R2)N−Oまたはアミニルラジカル(R1)(R2)Nを形成することができる。
【0017】
アルコキシアミン誘導体の特に好ましい種は、9−(アセチルオキシ)−3,8,10−トリエチル−7,8,10−トリメチル−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカ−3−イル]メチルオクタデカノアートであり、以下の化学構造を有するものである。
【化1】

【0018】
本発明において使用するのに好ましいいくつかの種の例としては、以下のものが挙げられる。
【化2】

【0019】
一般に、ヒドロキシルアミンエステルがより好ましく、特に好ましい1つのヒドロキシルアミンエステルは、9−(アセチルオキシ)−3,8,10−トリエチル−7,8,10−トリメチル−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカ−3−イル]メチルオクタデカノアートである。
【0020】
アルコキシアミン誘導体は、溶融強度および/または粘度を所望のレベルに増大させるのに十分な量で添加する。一般に、アルコキシアミン誘導体は、ポリエチレンポリマーの全重量の1から900重量ppm(すなわち、標的樹脂にキャリヤー樹脂がある場合それを加算して100万部当たりアルコキシアミン誘導体1から900重量部)、好ましくは15から600重量ppm、より好ましくは25から400重量ppm、さらにより好ましくは30から200重量ppmの量で添加される。
【0021】
ポリエチレンポリマーへの添加は、慣例のあらゆる混合機で実施することができる。その中で、ポリマーは溶融し、添加剤と混合される。好適な混合機は当業者に公知である。それらは、主にミキサー、ニーダー、および押出機である。
【0022】
このプロセスは、押出機中で、加工時に添加剤を導入することによって実施されることが好ましい。特に好ましい加工機は、単軸押出機、異方向回転および同方向回転二軸押出機、遊星ギア押出機、リング押出機、またはコニーダーである。好適な押出機およびニーダーについては、例えばHandbuch der Kunststoftextrusion, Vol 1Grundlagen, Editors F. Hensen, W. Knappe, H. Potente, 1989, pp. 3-7, ISBN.3-446-14339-4(Vol 2 Extrusionsanlagen 1986, ISBN 3-446-14329-7)に記載されている。例えば、スクリューの長さは、スクリューの直径の1〜60倍、好ましくはスクリューの直径の35〜48倍とすることができる。スクリューの回転速度は、好ましくは1分当たり10〜600回転(rpm)、より好ましくは25〜300rpmである。まず、好ましくはポリエチレンキャリヤー樹脂中の添加剤1,000から10,000ppmの濃縮された混合物を調製し、次いでこの濃縮体または「マスターバッチ」を、押出機経由で溶融ポリエチレンに導入し、スタティックミキサーを使用して、この2つの材料を、好ましくは溶融樹脂中の濃縮体1から20重量%としてブレンドすることも可能である。濃縮体は、押出機中において、好ましくは180から240℃の温度で加工することができる。スタティックミキサー中の温度は200から250℃の範囲とすることができ、ミキサーにおける滞留時間は1から10分間の範囲とすることができる。
【0023】
最大処理量は、スクリューの直径、回転速度、および駆動力に依存している。本発明のプロセスは、上記のパラメータを変更すること、または注入量を送達する計量機を使用することによって最大処理量より低いレベルで実施することもできる。
【0024】
複数の成分を添加する場合は、予混合してもよく、または個々に添加してもよい。
【0025】
ポリマーには、所望の変化が生ずるように十分な時間高温をかける必要がある。この温度は、通常ポリマーの軟化点を超える。本発明のプロセスの好ましい実施形態において、280℃未満、特に約160℃から280℃の温度範囲が使用される。特に好ましいプロセス変形において、約200℃から260℃の温度範囲が使用される。
【0026】
反応に必要な時間は、温度、反応させる材料の量、および例えば使用される押出機のタイプに応じて変わり得る。通常、約10秒から30分間、特に20秒から20分間である。
【0027】
マスターバッチを使用することによって、アルコキシアミン誘導体を混合デバイスに添加できることは有利である。当業者によって理解されるように、マスターバッチ用のキャリヤー樹脂は、改変対象の樹脂と相溶性があるように選択されるべきである。予想外なことに、LDPE高圧法低密度ポリエチレンポリマー(業界で「LDPE」と呼ばれる)は、マスターバッチ生成時に押出圧の変動がほとんどないことによって明らかなように、反応性がより低いため、好ましいキャリヤーであることがわかった。HDPEには第三級炭素がなく、三置換不飽和単位/C1,000,000個が非常に少ないため、HDPEははるかに反応しないようになるので、よりよいキャリヤーであり得る。
【0028】
本発明の別の利点は、ポリプロピレンが、典型的な加工温度で分解する傾向があるのでこの添加剤の良好なキャリヤーではないという発見である。別の発見は、酸化防止添加剤には添加剤の活性を抑制する傾向があるので、キャリヤー樹脂にいずれの酸化防止添加剤も実質的に含めるべきでないということであり、好ましくは酸化防止添加剤を1,000ppm未満しか含めるべきでない。
【0029】
好ましいキャリヤー樹脂は、目下の用途と適合性があるべきであり、ブレンドされることになっている標的ポリエチレン樹脂と同様の粘度を有するべきである。好ましくは、三置換不飽和単位を最小限度、好ましくは炭素1,000,000個当たり70未満含むLDPEまたはHDPE樹脂とするべきである。好ましいキャリヤー樹脂は、押出機による圧力低下によって示されるように、加工が容易になるように50,000未満の分子量(Mn)を有するべきである。キャリヤー樹脂には、加工助剤用の他の添加剤を組み込むことができるが、酸化防止化合物を実質的に含めるべきでなく、いずれの酸化防止化合物も好ましくは1,000重量ppm未満、好ましくは500重量ppm未満、より好ましくは100重量ppm未満しか含めるべきでない。
【0030】
標的ポリエチレン樹脂は、エチレンと、3から12個の炭素を含む任意のアルケンモノマーとのコポリマーとすることができる。好ましくは、標的ポリエチレン樹脂は、三置換不飽和単位レベルが炭素1,000,000個当たり200から450の範囲とするべきである。標的ポリエチレン樹脂は、メルトインデックス(g/10min)で示した、キャリヤー樹脂より若干低い分子量を有するべきである。好ましくは、標的ポリエチレン樹脂のメルトインデックスは、所望の最終樹脂より0.2〜0.5単位(g/10min)高くあるべきである。好ましくは、ポリエチレン樹脂には、酸化防止添加剤を最小限しかまたは全く含めるべきでなく、いずれの添加剤も、キャリヤー樹脂とブレンドする前に樹脂によく分散させておくべきである。
【0031】
キャリヤー樹脂中の活性アルコキシアミン誘導体材料の量は、0.1から30重量%の範囲、好ましくは0.1から5重量%、より好ましくは0.2から1重量%の範囲とするべきである。マスターバッチの量は、アルコキシアミン誘導体が、標的生成物に10から900ppm、好ましくは15から600ppm、より好ましくは25から400ppm、さらにより好ましくは30から200ppmの範囲で添加されるように添加される。最終生成物中のアルコキシアミン誘導体の量は、この化合物が標的およびキャリヤーポリエチレンと反応するので、低減されることは、当業者によって容易に理解されるであろう。
【0032】
好ましくは、活性成分の量は、1000ppm未満に維持して、最終生成物がさらなる加工で安定なままであるように、キャリヤー樹脂中での反応を最小限に抑え、最終生成物においてゲルを生じる可能性を低減し、最終生成物において実質的になくなるまで反応させるべきである。アルコキシアミン誘導体を標的樹脂と反応させた後、1つまたは複数の酸化防止添加剤を添加して、改変された標的樹脂の特性を保護することが望ましいことがあると理解されたい。これを行う1つの方式は、アルコキシアミン誘導体と反応した後の樹脂を、酸化防止剤に富んでいる別の樹脂とブレンドする方式である。
【0033】
改変された標的ポリエチレンは、フィルムの10から約100重量%を構成するべきである。フィルムの第2の任意選択成分は、LDPE樹脂であり、フィルムの0から90%を構成することができる。本発明の利点の1つは、フィルムの所望の機械的諸特性をやはり維持しながら、LDPEの量を低減する能力であり、したがって好ましい実施形態において、フィルムは、LDPEを25重量%未満、好ましくは10重量%未満、さらにはより好ましくは5重量%未満しか含まないであろう。
【0034】
このような低密度ポリエチレン組成物は、0.910g/cmから0.940g/cmの範囲;例えば、0.915g/cmから0.935g/cmの密度、および0.1から5g/10分の範囲;例えば、0.2から2g/10分のメルトインデックス(I)を有することができる。標的樹脂(それ自体、LDPEを含むブレンドでもよい)は、まずアルコキシアミン誘導体と反応させ、次いでLDPEとブレンドできることが有利である。
【0035】
使用
エチレン系ポリマーを、従来の様々な熱可塑性二次加工プロセスで使用して、単層フィルム、またはキャスト、ブローン、カレンダード、もしくは押出コーティングプロセスによって調製された多層フィルムの少なくとも1層などの少なくとも1つのフィルム層を含む物体を含めて、有用な物品を生成することができる。
【0036】
添加剤およびアジュバントを、エチレン系ポリマー後成形体に添加することができる。好適な添加剤としては、粘土、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、粉末金属を含めて、有機または無機粒子、炭素繊維、窒化ケイ素繊維、鋼線またはメッシュ、およびナイロンまたはポリエステルコーディングを含めて、有機または無機繊維、ナノサイズ粒子、粘土などの充填剤;粘着付与剤、パラフィン系またはナプテレン系油を含めてエクステンダー油;ならびに本実施形態の方法に従って作製されるまたは作製することができる他のポリマーを含めて、他の天然および合成ポリマーが挙げられる。
【0037】
フィルムは、エチレン系ポリマーと他のポリオレフィンのベンド(bends)または混合物を含むように、追加成分も含むことができる。上述されたエチレン系ポリマーとブレンドするのに好適なポリマーとしては、天然および合成ポリマーを含めて熱可塑性および非熱可塑性ポリマーが挙げられる。ブレンドするポリマーの例としては、高圧ラジカル法低密度ポリエチレン(LDPE)、チーグラーナッタ線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含めて、様々なタイプのポリエチレン、マルチプルリアクターPE(米国特許第6,545,088号(Kolthammerら);第6,538,070号(Cardwellら);第6,566,446号(Parikhら);第5,844,045号(Kolthammerら);第5,869,575号(Kolthammerら);および第6,448,341号(Kolthammerら)に開示された生成物など、チーグラーナッタPEとメタロセンPEの「インリアクター」ブレンド)を含めて、メタロセンPEが挙げられる。
【0038】
エチレン系ポリマーは、厚いフィルム用樹脂として使用することができる。驚くべきことに、添加剤は、材料をフィルムに加工する際に押出機において必要とされるエネルギーによって示唆されるのと同様の溶融強度を有する樹脂より良好な加工性を有しながら、本発明の樹脂の溶融強度を改善することがわかった。このエチレン系ポリマーは、LDPE樹脂とブレンドすると、添加剤を含有しない等価なブレンドより高い溶融強度を示す。
【0039】
試験方法
密度
密度を測定する試料を、ASTM D 1928に従って調製する。測定は、試料をプレスして1時間以内に、ASTM D792、方法Bを用いて行う。
【0040】
メルトインデックス
メルトインデックス、MIまたはIは、ASTM D1238に従って、条件190℃/2.16kgで測定され、10分当たりに溶出されるグラム数で報告される。I10は、ASTM D1238に従って、条件190℃/10kgで測定され、10分当たりに溶出されるグラム数で報告される。
【0041】
溶融強度
溶融強度は、Goettfert Rheotens 71.97(Goettfert Inc.;Rock Hill, SC)を使用して190℃で測定される。溶融物は、長さ30mmおよび直径2mmのフラット流入角(180度)を装備したGoettfert Rheotester 2000キャピラリーレオメーターを使用してフィードされる。ペレットをバレル(L=300mm、直径=12mm)にフィードし、圧縮し、10分間溶融させた後、所与のダイ直径において壁せん断速度38.2s−1に相当する一定のピストン速度0.265mm/sで押出を行う。押出物は、ダイ出口の100mm下に配置されているRheotensのホイールを通過し、ホイールによって加速度2.4mm/sで下方へ引っ張られる。ホイールに加えられた力(単位:cN)を、ホイールの速度(単位:mm/s)の関数として記録する。ストランドが破断する前の溶融強度をプラトー力(cN)として記録する。
【0042】
動的機械的分光法
動的機械的分光(DMS)法を用いて、伸長粘度を測定する。動的振動せん断の測定は、TA Instruments(New Castle,DE)のARESシステムで、25mmの平行板を2.0mmの間隔で使用して、不活性窒素雰囲気下に190℃、一定歪み10%で行う。周波数間隔は、対数的に等間隔な10当たり5点で0.1から100ラジアン/秒である。応力応答を振幅および位相によって分析し、それから、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、複素弾性率(G*)、tanδ、位相角δおよび複素粘度(η*)が算出される。歪み振幅は、10%で一定である。応力応答を振幅および位相によって分析し、それから、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、複素弾性率(G*)、動的粘度(□*)、およびtan(□)またはタンデルタが算出される。試料調製では、樹脂を、177℃で5分間、空気中10MPaの圧力下で厚さ3mm×直径25mmの円形プラックに圧縮成形し、次いで冷却する。
【0043】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
トリプル検出器ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(3D−GPCまたはTD−GPC)システムは、Waters(Milford,Mass)150℃ 高温クロマトグラフからなる(他の好適な高温GPC装置としては、内蔵示差屈折計(RI)を装備したPolymer Laboratories(Shropshire,UK)モデル210およびモデル220が挙げられる。追加の検出器として、Polymer ChAR(Valencia,Spain)製のIR4赤外検出器、Precision Detectors(Amherst,Mass.)2角レーザー光散乱(LS)検出器モデル2040、およびViscotek(Houston,Tex.)150R 4−キャピラリー溶液粘度計を挙げることができる。これら後者の独立した検出器2台および前者の検出器のうちの少なくとも1台を備えたGPCは、「3D−GPC」または「TDGPC」と呼ばれることもあり、「GPC」という用語は単独では、一般に従来のGPCを指す。試料にもよるが、算出には光散乱検出器の散乱角15°または90°が使用される。Viscotek TriSECソフトウェア、バージョン3、および4チャンネルViscotek Data Manager DM400を使用して、データ収集を行う。このシステムには、Polymer Laboratories(Shropshire,United Kingdom)製のオンライン溶媒脱気デバイスも装備されている。
【0044】
Shodex HT803 13ミクロンカラム(長さ30cm)4本または20ミクロン混合孔径充填物のPolymer Labsカラム(30cm)4本(MixA LS、Polymer Labs)など、好適な高温GPCカラムを使用することができる。試料のカルーセルコンパートメントは140℃で操作し、カラムコンパートメントは150℃で操作する。試料は、溶媒50ミリリットルにポリマー0.1グラムの濃度で調製する。クロマトグラフフィー用溶媒および試料調製用溶媒は、トリクロロベンゼン(TCB)中200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒を窒素でスパージする。このポリエチレン試料を160℃で4時間穏やかに撹拌する。注入量は200マイクロリットルである。GPCに通す流量を1ml/minに設定する。
【0045】
GPCカラムセットは、狭い分子量分布のポリスチレン標準物質21個を流すことによって較正する。標準物質の分子量(MW)は580から8,400,000の範囲であり、標準物質は6つの「カクテル」混合物に含められる。各標準物質混合物については、個々の分子量間に少なくとも1桁の隔たりがある。標準物質混合物は、Polymer Laboratoriesから購入される。ポリスチレン標準物質は、1,000,000以上の分子量の場合、溶媒50mL中0.025gで調製され、1,000,000未満の分子量の場合、溶媒50mL中0.05gで調製される。ポリスチレン標準物質を、穏やかに撹拌しながら80℃で30分間溶解した。分布の狭い標準物質混合物を最初に流し、最大分子量成分が減少する量の順に流して、分解を最小限に抑制する。
【0046】
ポリスチレン標準物質のピーク分子量は、次式:
Mポリエチレン=A(Mポリスチレン)B (1)
を用いてポリエチレン分子量に変換された(Williams and Ward, J. Polym. Sci., Polym. Letters, 6,621(1968)に記載)。
【0047】
ここで、Bは1.0の値を有し、実験により決定された値Aは0.38である。
【0048】
一次多項式を使用して、式(1)から得られたそれぞれのポリエチレン−等価較正点をそれらの測定された溶離容量にフィットさせた。各ポリスチレン標準物質について、ポリエチレン等価分子量の対数が測定された溶離容量(および関連する検出力)を関連付けられるように、実際の多項式フィットを得た。
【0049】
数、重量、およびz−平均分子量を、次式に従って算出した。
【数1】

【0050】
式中、Wfiはi番目の成分の重量分率であり、Miはi番目の成分の分子量である。
【0051】
MWDは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比として表した。
【0052】
A値は、式(3)および対応する保持容量多項式を用いて算出された重量平均分子量Mwが、既知の重量平均分子量115,000g/molを有する線状ホモポリマー参照物質に従って得られるMwの独立して決定された値と一致するまで、式(1)のA値を調整することによって決定された。
【0053】
三置換不飽和基決定方法(FTIR)
ペレットを、まずプレスして、0.25mmの厚いフィルムを作製し、次いで再びプレスして、0.125mmの薄膜を作製する。次いで、フィルムをスキャンカードに固定し、次いで両側をサンドペーパーで磨いた後、Nicolet 6700 FTIR装置に載せる。分解能2cm−1で64回スキャンを行って、909cm−1におけるピーク下面積を積分して、1,000,000C当たりの三置換不飽和単位数の値を得る。この技法は、既知の吸光度および濃度を使用して較正され、試料の濃度を決定するためにフィルムの厚さを補正する。
【0054】
フィルム試験条件
生成されるフィルムについて、以下の物理的諸特性が測定される。
【0055】
2%割線モジュラス−MD(機械方向)およびCD(横方向):ASTM D882−10(各方向においてフィルム試料5枚の平均;各試料「1インチ×6インチ」)。
【0056】
MDおよびCDエルメンドルフ引裂強さ:ASTM D1922−09(各方向においてフィルム試料15枚の平均;各試料「3インチ×2.5インチ」半月形状)。本発明のフィルムは、好ましくは100gより高く、より好ましくは200gより高いMD引裂を有し、700gより高いCD引裂を有する。
【0057】
MDおよびCD引張強さ:ASTM D882−10(各方向においてフィルム試料5枚の平均;各試料「1インチ×6インチ」)。
【0058】
落槍衝撃強さ:ASTM D1709−09(50%破損を実現するのに最小限20滴;典型的には「10インチ×36インチ」細片10枚)。
【0059】
破壊強さ:破壊は、SINTECH TESTWORKS SOFTWAREバージョン3.10を備えたINSTRONモデル4201で測定される。試験片サイズは「6インチ×6インチ」であり、測定を6回行って、平均破壊値を決定する。フィルムを、フィルム生成した後40時間状態調節し、ASTM制御実験室(23℃および相対湿度50%)で少なくとも24時間状態調節する。直径4インチの丸形試験片ホルダーを備えた「100ポンド」ロードセルを使用する。破壊プローブは、「最大行程長7.5インチ」の「直径1/2インチ」の研磨ステンレス鋼ボール(2.5インチのロッド上)である。
【0060】
ゲージ長はなく、プローブは可能な限り試験片に近いが、触れてはいない(プローブは、試験片に触れるまでプローブを上げることによって設定される)。次いで、プローブを、試験片に触らなくなるまで徐々に下げる。次いで、クロスヘッドを0に設定する。最大の行程距離を考慮すれば、その距離は約0.10インチになるはずである。クロスヘッド速度は10インチ/分である。厚さは、試験片の真ん中で測定される。フィルムの厚さ、クロスヘッドの行程距離、およびピーク荷重を用いて、破壊をソフトウェアで決定する。破壊プローブは、各試験片の後に「KIM−WIPE」を使用して清浄する。
【実施例】
【0061】
以下に記載する2つの実施例は、2組の樹脂に関するものであり、樹脂はそれぞれ、同様の分子量を有するが、アルコキシアミン誘導体添加剤の濃度が異なる。使用される特定の添加剤は、9−(アセチルオキシ)−3,8,10−トリエチル−7,8,10−トリメチル−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカ−3−イル]メチルオクタデカノアートであり、これは、添加剤を1重量パーセント未満有する、この実施例では添加剤を0.56重量パーセント有する、LDPE(樹脂D)マスターバッチとして添加される。以下に報告されるppmレベルは、アルコキシアミン誘導体の添加量を指すものであって、添加されるマスターバッチ全体の量ではないことに留意されたい。
【0062】
LDPE樹脂Dおよびアルコキシアミン誘導体添加剤を、30mmの同方向回転噛合Coperion Werner−Pfleiderer ZSK−30(ZSK−30)二軸押出機で混合して、マスターバッチを生成する。ZSK−30のバレル区分は10個で、全長960mmであり、長さと直径の比(L/D)は32である。ブレーカープレートもスクリーンパックもない2穴ストランドダイを使用する。押出機は、Vベルトによってギアボックスに連結されているDCモーターからなる。15Hpモーターは、制御キャビネットに配置されているGE可変速駆動を動力源とする。スクリュー軸速度の制御範囲は1:10である。最大スクリュー軸速度は、1分当たり500回転である。圧力変換器をダイの前に配置して、ダイ圧力を測定する。
【0063】
押出機は、30mmのスペーサーに沿って8個の加熱/冷却バレル区分を設け、5つの温度制御部を構成する。押出機は、冷却された唯一の供給区分および加熱された唯一のダイ区分を有し、引棒によって一緒に保持され、機械フレームに支持されている。各区分は、角張ったハーフシェル構造の加熱装置を使用して電気で加熱し、特殊な冷却水路系で冷却することができる。
【0064】
スクリューは、スクリューネジ山構成要素と特殊な混練エレメントがいずれかの所要の順序で設置されている連続した軸からなる。エレメントは、放射状にはキーとキー溝によって、また軸方向にはねじ込み式ネジチップによって一緒に保持されている。スクリュー軸は、軸継ぎ手によってギア軸に連結されており、スクリューバレルから容易に引き出して、分解することができる。
【0065】
Conairペレタイザーを使用して、ブレンドをペレット化する。これは、220ボルトの変速型ソリッドカッターユニットである。変速モーターが一体機械加工のカッティングホイールを駆動し、これが、固定された金属ローラーを駆動する。可動ゴムローラーが、固定されたローラーをプレスし、ストランドを摩擦によってカッティングホイールに引き込む助けとなる。可動ローラー上の張力は、必要に応じて調整することができる。
【0066】
供給部、押出機の4つのゾーン、およびダイの温度を以下のように設定する:
供給部 :80℃
ゾーン1:160℃
ゾーン2:180℃
ゾーン3:185℃
ゾーン4:190℃
ダイ :210℃
スクリュー軸速度を1分当たり276回転(RPM)と設定すると、押出量が52ポンド/hとなる。
【0067】
アルコキシアミン誘導体の濃度を、表1に示す標的樹脂において所望のレベルにするために、以上に定義されるマスターバッチと様々な量のLDPE樹脂Dをドライブレンドする。以下のステップを使用して、マスターバッチまたはドライブレンドされたその材料とLLDPE樹脂BまたはCをブレンドする:以上に記載されたマスターバッチまたはドライブレンドされた材料をホッパーに通して、3200psigの破裂板を備えたサイドアーム式のコンベヤとして使用されるSterlingの2 1/2インチの単軸押出機にフィードする。単軸押出機の4つの加熱部を、220℃に設定する。
【0068】
LLDPE樹脂B(実施例1)またはC(実施例2)を別のホッパーに通して、Century−ZSK−40押出機にフィードする(長さと直径の比が37.13の押出機、40mmの同方向回転噛合二軸押出機、駆動150Hp、電機子244アンペア(最大)、およびスクリュー1200rpm(最大))。押出機の9つの加熱部を以下の通り設定する:第1の加熱部25℃、第2の加熱部100℃および残りの加熱部200℃。
【0069】
ポリマーメルトポンプは、100cc/回転のMaagポンプであり、溶融ポリマーを押出機から下流の機器を通して運搬するのに役立つ。20.55/1減速ギアを備えた15hpモーターを動力源とする。ポンプには、圧力伝送器、ならびに入口および出口尾筒に5200psiの破裂板が装備されている。メルトポンプならびに入口および出口尾筒には加熱装置部があり、220℃に設定されている。
【0070】
メルトポンプは押出機に取り付けられており、単軸押出機の流れが、サイドアーム式単軸押出機からインジェクターを通ってポリマー流に入る。インジェクターは、メルトポンプに取り付けられている内径3.1インチのパイプの中心線に突出している1インチの3/4のチューブである。
【0071】
押出機からのポリマーは、内径3.1インチのパイプの内側に18のKenics混合要素が入っているスタティックミキサーを通って流れるので、単軸押出機の樹脂とブレンドされる。混合要素は、長さと直径の比が1.3である。スタティックミキサーには、加熱部が7つあり、すべて220℃に設定されている。
【0072】
次いで、合わさった流れは、Galaペレタイザーシステムを流れる。Galaには、12穴(直径2.36mmの穴)のGalaダイが装備され、その穴のうち4つは塞がっている。カッターは4つ羽のハブを有し、約800ppmで作動する。ペレタイザー中の水温を30℃に保持する。
【0073】
マスターバッチまたはドライブレンドされたマスターバッチと樹脂Dの量は、樹脂全量の約3重量パーセントである。マスターバッチのサイドアーム式押出機における滞留時間は約20分間であり、ポリマーのスタティックミキサーにおける滞留時間は約3分間である。
【0074】
これら実施例のそれぞれについて、Gottfert Rheotester 2000を使用して190℃で溶融強度を測定する。粘度は、TA Instruments「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」で1回の周波数掃引で190℃の一定温度で測定される。メルトインデックスは、Tinius−Olsen Extrusion PlastometerモデルMP987を使用して190℃でASTM方法D−1238を用いて測定される。分子量は、以上の試験方法に記載の方法で決定される。
【0075】
樹脂の説明:
樹脂A(Dowlex XUX 61528.20)は、チーグラーナッタ触媒を用いて、溶液プロセスで作製された、メルトインデックス0.5g/10min(190℃で2.16kg、ASTM D−1238)および密度0.917g/cm(ASTM D792)のポリエチレン樹脂である。
樹脂B(Dowlex TG 2085B)は、チーグラーナッタ触媒を用いて、溶液プロセスで作製された、メルトインデックス0.95g/10min(190℃で2.16kg、ASTM D−1238および密度0.919g/cm(ASTM D792)のポリエチレン樹脂である。
樹脂C(Dowlex NG 5085B)は、チーグラーナッタ触媒を用いて、スラリープロセスで作製された、メルトインデックス1.3g/10min(190℃で2.16kg、ASTM D−1238)および密度0.918g/cm(ASTM D792)のポリエチレンである。
樹脂D(LDPE 208C/206M)は、高圧管型反応器で作製された、メルトインデックス0.7g/10min(190℃で2.16kg、ASTM D−1238)および密度0.925g/cm(ASTM D792)のホモポリマーエチレン樹脂である。
樹脂Eは、チーグラーナッタ触媒を用いて、溶液プロセスで作製された、メルトインデックス1.0g/10min(190℃で2.16kg、ASTM D−1238)および密度0.920g/cm(ASTM D792)のポリエチレン樹脂である。
樹脂F(LDPE 132i)は、高圧管型反応器で作製された、メルトインデックス0.25g/10min(190℃で2.16kg、ASTM D−1238)および密度0.922g/cm(ASTM D792)のホモポリマーエチレン樹脂である。
樹脂G(LDPE 204M)は、高圧管型反応器で作製された、メルトインデックス0.3g/10min(190℃で2.16kg、ASTM D−1238)および密度0.920g/cm(ASTM D792)のホモポリマーエチレン樹脂である。
白色マスターバッチは、高圧管型反応器で作製された、白色顔料として60重量パーセントのTi0を含む、メルトインデックス13g/10min(190℃で2.16kg、ASTM D−1238)のホモポリマーエチレン樹脂である。
黒色マスターバッチは、高圧管型反応器で作製された、黒色薬剤として60重量パーセントのカーボンブラックを含む、メルトインデックス13g/10min(190℃で2.16kg、ASTM D−1238)のホモポリマーエチレン樹脂である。
【0076】
フィルムの生成
実施例3
上記の実施例1および2で生成された樹脂を使用して、長さと直径の比が30:1である直径3.5インチのSterling押出機、ならびに6インチのダイ、線状低密度(LLDPE)型スクリュー、内部および外部冷却を用いて、フィルムを作製する。この実施例では、試料100%でフィルムを作製する。
【0077】
LLDPEがリッチなフィルム用のブローンフィルムを生成するのに使用されるブローンフィルム押出機の一般的パラメータを表1に示す。示された樹脂はすべて、3重量%の樹脂Dを含有する。表1の温度は、ポリマーがダイ(上側ダイ)を通って押し出されるときのペレットホッパー(バレル1)に最も近い温度を昇順に示す。いくつかの樹脂(対照および本発明の各樹脂)のフィルム特性を表2に示す。
【0078】
実施例4
標的樹脂は、2段階プロセスでアルコキシアミン誘導体添加剤を組み込むことによって生成される。使用される特定の添加剤は、9−(アセチルオキシ)−3,8,10−トリエチル−7,8,10−トリメチル−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカ−3−イル]メチルオクタデカノアートであり、これは、添加剤を1重量パーセント未満しか含まないLDPE(樹脂D)マスターバッチとして添加される。この実施例では、0.1520重量パーセントの添加剤が含まれている。
【0079】
まず、30mmの同方向回転噛合Coperion Werner−Pfleiderer ZSK−30(ZSK−30)二軸押出機において、LDPE樹脂Dおよびアルコキシアミン誘導体添加剤で濃縮体を作製して、マスターバッチを生成する。ZSK−30のバレル区分は10個で、全長960mmであり、長さと直径の比(L/D)は32である。ブレーカープレートもスクリーンパックもない2穴ストランドダイを使用する。押出機は、Vベルトによってギアボックスに連結されているDCモーターからなる。15Hpモーターは、制御キャビネットに配置されているGE可変速駆動を動力源とする。スクリュー軸速度の制御範囲は1:10である。最大スクリュー軸速度は、1分当たり500回転である。圧力変換器をダイの前に配置して、ダイ圧力を測定する。
【0080】
押出機は、30mmのスペーサーに沿って8個の加熱/冷却バレル区分を設け、5つの温度制御部を構成する。押出機は、冷却された唯一の供給区分および加熱された唯一のダイ区分を有し、引棒によって一緒に保持され、機械フレームに支持されている。各区分は、角張ったハーフシェル構造の加熱装置を使用して電気で加熱し、特殊な冷却水路系で冷却することができる。
【0081】
スクリューは、スクリューネジ山構成要素と特殊な混練エレメントがいずれかの所要の順序で設置されている連続した軸からなる。エレメントは、放射状にはキーとキー溝によって、また軸方向にはねじ込み式ネジチップによって一緒に保持されている。スクリュー軸は、軸継ぎ手によってギア軸に連結されており、スクリューバレルから容易に引き出して、分解することができる。
【0082】
Conairペレタイザーを使用して、ブレンドをペレット化する。これは、220ボルトの変速型ソリッドカッター装置である。変速モーターが一体機械加工のカッティングホイールを駆動し、これが、固定された金属ローラーを駆動する。可動ゴムローラーが、固定されたローラーをプレスし、ストランドを摩擦によってカッティングホイールに引き込む助けとなる。可動ローラー上の張力は、必要に応じて調整することができる。
【0083】
供給部、押出機の4つのゾーン、およびダイの温度を以下のように設定する:
供給部 :80℃
ゾーン1:160℃
ゾーン2:160℃
ゾーン3:160℃
ゾーン4:160℃
ダイ :160℃
スクリュー軸速度を1分当たり275回転(RPM)と設定すると、押出量が50ポンド/hとなる。
【0084】
4重量パーセントの濃縮体を使用して、100万当たり60重量部の添加剤を含む標的樹脂Eを生成して、上記の濃縮体を樹脂Eにさらに組み込む。この混合ステップでは、長さと直径の比40およびスクリュー直径75mmの同方向回転二軸Leistritz押出機を使用する。最大押出量は、1時間当たり600kgである。押出機には8つの加熱装置部およびダイ部には2つの加熱部が以下の通り設けられている:
供給部 :80℃
ゾーン1:180℃
ゾーン2:190℃
ゾーン3:200℃
ゾーン4:200℃
ゾーン5:210℃
ゾーン6:220℃
ゾーン7:220℃
ゾーン8:220℃
ダイ部1:220℃
ダイ部2:220℃
【0085】
Gala水中ペレタイザーを2500rpmおよび水温30℃で使用して、樹脂をペレット化する。
【0086】
上述のように混合された標的樹脂は、60ppmの添加剤を含む樹脂Eと呼ばれる。
【0087】
典型的なサイロバッグ押出機、および層分布55%/27%/18%、対応するスクリュー直径150/120/90mmの3層ブローンフィルムラインを使用して、フィルムを作製する。中央のスクリューは、典型的なLDPE用設計であり、ダイ直径は43インチである。バブル内部冷却方式および機械の押出量950から1050kg/hで、BURは2.5:1である。フィルムの厚さは235ミクロンである。始動調合物は、全体的な割合が52.02%の樹脂G(LDPE204M)および33.20%の樹脂Eであり、調合物の残部(14.78%)は、白色または黒色マスターバッチおよびプロセスに由来するスクラップから構成される。材料のマスターバッチもしくはスクラップのタイプまたはそれらの割合は、試行中に変更しない。
【0088】
材料は、以下の通り3層上に分布される。
層A(55%):54%樹脂G+35%樹脂E+11%白色マスターバッチ
層B(27%):57%樹脂G+15%樹脂E+28%スクラップ
層C(18%):38.5%樹脂G+55%樹脂E+6.5%黒色マスターバッチ
標準LLDPE樹脂Eを高溶融強度の標的LLDPE(樹脂E+60ppmの添加剤)に代えて、実験を実施する。ケース1を対照として使用する。ケース2および3は、LLDPE樹脂の量を増加させて、バブル安定性を試験するように設計されている。
【0089】
ケース#1:外部スキン(層A)における樹脂Eのすべてを、235℃で60ppmの添加剤と混合させた標的樹脂Eに代える。アンペア数が、この押出機では一時的に増加するが、元のレベルに円滑に低下し、良好なバブル安定性が得られる。これは対照のケースであり、標準LLDPEのケースに比べて変化がないことを検証するのに使用される。
【0090】
ケース#2:樹脂Eを、60ppmの添加剤が混合された樹脂Eに代え、この樹脂を15%増大し、それに応じて樹脂Gを低減することによって、層Aにおいて調合物を変更する。アンペア数は81から100に増大し、この押出機の安全性限界を越える。温度プロファイルは10〜15℃増大して、アンペア数が低減する。これは、樹脂Eの一部分を3層のうちの1層で代えるときこの押出機の限界を決定するための中間ステップとして使用される。
【0091】
ケース#3:さらに層Cにおける樹脂Eの10%を、60ppmの添加剤が混合された樹脂Eに代える点以外は、ケース#2の場合と同じ調合物。機械の限界に到達するまで圧力が増大し、これが最終調合物である。新規調合物で、良好なバブル安定性が実現する。改善された最終調合物は、以下である。
層A(55%):39%樹脂G+50%樹脂E+60ppm添加剤+11%白色マスターバッチ
層B(27%):57%樹脂G+15%樹脂E+28%スクラップ
層C(18%):38.5%樹脂G+45%樹脂E+10%(樹脂E+60ppm添加剤)+6.5%黒色マスターバッチ
【0092】
LLDPE部分の増加量が及ぼす影響は、機械的諸特性の測定によって認めることができる。結果を表3に記載する。エルメンドルフMD引裂は、塗布にクリティカルな特性であり、ブレンド中のLLDPEとLDPEの比が増大するにつれて13%増大する。最後に、試行の結果は、添加剤が混合されたLLDPEであれば、バブル安定性を緩めることなく、したがって同じ機械の押出量を維持しながら、よりよい機械的諸特性をもたらすことができることを実証するものである。
【0093】
図1は、添加剤濃度増加と共に、溶融強度曲線対延伸速度を示す。添加剤の組込みによって、樹脂Bの挙動が変化し、溶融ポリマーを延伸するのに必要とされる力が増大する。試料はすべて、指示された樹脂と3重量%の樹脂Dが混合されたものである。
【0094】
図2は、TA Instruments「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」で1回の周波数掃引で190℃の一定温度で測定された粘度対せん断速度周波数を示す。添加剤の組込みによって、樹脂Eに比べて低せん断速度における樹脂Cの挙動が変化する。樹脂はすべて、3重量%の樹脂Dを含有するものである。
【0095】
図3は、本発明樹脂と比較樹脂のブレンドの溶融強度対LDPE樹脂Fの量を示す。ブレンド中のLDPE量が50重量%未満である場合、添加剤を含む本発明の樹脂は、添加剤を含まない比較樹脂より高い溶融強度を示す。樹脂試料は両方とも、3重量%のLDPE樹脂Dを含有する。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
以下の実施形態は、各実施形態を個別に特許請求することはできないが、本発明の一部分であると明らかに考えられる。
【0100】
本発明を前述の説明および実施例でかなり詳細に説明してきたが、この詳細は例示するためのものであって、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されている。以上で特定された米国特許、特許出願公開、および許可された特許出願はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
100ミクロンを超える厚さを有するフィルムであって、
a)10から100重量パーセントの以下のプロセスで作製されたポリエチレンポリマーと、
i)ASTM D792に従って決定される、0.90g/cmから0.955g/cmの範囲の密度、およびASTM D1238(2.16kg、190℃)に従って決定される、0.01g/10分から10g/10分の範囲のメルトインデックスを有する標的ポリエチレン樹脂を選択し、
ii)前記標的ポリエチレンとアルコキシアミン誘導体を全ポリエチレン樹脂100万重量部当たり誘導体900部未満の量で、標的ポリエチレン樹脂の溶融強度を増大させるのに十分な条件下で反応させる;
b)0から90重量パーセントの低密度ポリエチレン組成物と
を含むフィルム。
【請求項2】
前記アルコキシアミン誘導体が、次式:
(R)(R)N−O−R
に対応するものであり、
式中、RおよびRはそれぞれ互いに独立して、水素、C〜C42アルキルもしくはC〜C42アリール、またはOおよび/もしくはNを含む置換炭化水素基であり、RとRは一緒になって環構造を形成してもよく、Rは、水素、炭化水素、またはOおよび/もしくはNを含む置換炭化水素基である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記標的ポリエチレンが、0.908から0.935g/cmの範囲の密度を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記標的ポリエチレンが、0.01から3g/10分の範囲のメルトインデックスを有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記標的ポリエチレンが、約5未満の分子量分布M/Mを有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記フィルムが、100gを超えるMD引裂性および700g超えるCD引裂性を有する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
前記標的ポリエチレンのメルトフロー比I10/Iが、8.9を超える、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記標的ポリエチレンの190℃で測定された[0.1rad/sにおける粘度]/[100rad/sにおける粘度]が、6.5を超える、請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
前記標的ポリエチレンの、190℃で測定された0.1rad/sにおけるタンデルタが、5.5未満である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
前記標的ポリエチレンの190℃で測定された溶融強度が、4.5cNを超える、請求項1に記載のフィルム。
【請求項11】
前記フィルムが、ブローンフィルム押出プロセスで生成される、請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
前記標的ポリエチレンが、アルコキシアミン誘導体との反応後に、アルコキシアミン誘導体と反応してはいない比較樹脂より高い溶融強度を提供する、請求項1に記載のフィルム。
【請求項13】
前記標的ポリエチレンが、様々な割合のLDPE、HDPEおよびLLDPEの2つ以上のブレンドを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項14】
LDPE、HDPEおよびLLDPEの2つ以上のブレンドを含み、ブレンド成分の少なくとも1つが、アルコキシアミン誘導体と反応してはいない、請求項1に記載のフィルム。
【請求項15】
LDPEの濃度が、アルコキシアミン誘導体と反応したいかなる線状ポリエチレンも含まない同様の溶融強度を有するブレンドより少なくとも10重量%低い、請求項13に記載のフィルム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2013−516545(P2013−516545A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548231(P2012−548231)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【国際出願番号】PCT/US2011/020850
【国際公開番号】WO2011/085377
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【出願人】(512171629)ダウ ブラジル エス.エー. (5)
【Fターム(参考)】