説明

厚みを増す効果を有する化粧品組成物系

以下の(a)、(b)及び(c)を組み合わせて含む化粧品系:(a)長軸A及びそこから伸びている複数個の突出部を有する実質的に長手方向の茎部を含む化粧品アプリケータであって、少なくとも2つの隣接する突出部は前記茎部の基部において互いに距離Rだけ離間している、化粧品アプリケータ;(b)等価直径が少なくとも5ミクロンである第1の粒子を含む化粧品組成物;及び(c)皮膚科学的に許容可能なキャリア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつげをコーティングするための1以上の粒子の種類を含む化粧品組成物を、ケラチン繊維への化粧品の分野で使用されるために、特にまつげ及び眉毛をメークアップするために、特別に設計された成形アプリケータと組み合わせて含有する化粧品系に関する。
【背景技術】
【0002】
マスカラは化粧品産業にとって極めて重要で主要な化粧品製品である。それらは、まつげを、及びある場合には眉毛をコーティングして、主として個々のまつげを太くし、長くし、着色し、カールし、及び特徴付けることによって、人の目の美しさを高めるために使用される。
【0003】
マスカラは、ケーク又は塊、クリーム、ジェル、半固体、及び低粘度の液体を包含する種々の形態で販売されている。ケークマスカラはもともとは、石鹸ケークと共に顔料を混ぜ込まれた少なくとも50%の石鹸から成る最も普及した形態であった。濡れたブラシで、マスカラを泡立ててからまつげに塗布すると、このマスカラは個々のまつげ上に、満足できるように滑らかでありながら薄い化粧品のコーティングを有する塗布をもたらすことができた。主な欠点は、まつげ上の被膜が極めて水溶性であって、にじみやすく及び目の周辺の皮膚上に流れやすいということであった。解決策として、マスカラ組成物にワックス類を組み込み、それによってそれらの耐水性を改善した。残念なことに、塗布の滑らかさに悪影響が現れた。すなわち、マスカラ製剤の粘度が増すにつれて、次第に塗布するのが難しく、より扱いにくくなり、及びまつげの分離性を悪くした。
【0004】
マスカラアプリケータ類(以前は「自動」アプリケータ類と呼ばれていた)の出現で、マスカラのための広範な処方の選択肢を実現するための手段が生まれた。クリーム類、例えばねじれた金属ワイアブラシ又は棒の適用と組み合わされたクリーム類は、マスカラ被膜の耐擦り性及び可撓性を改善するために皮膜形成剤類の組み込みを可能にした便利な使用及び組成物を提供した。これはまた、便利な道具がまつげを分離し及び形作る(build)ことを可能にした。今日では、無水、油中水型エマルション、水中油型エマルション、及び油相をほとんど又は全く含有しない水系マスカラを包含する、幾つかのタイプのマスカラ製剤が存在する。前述したエマルション類はまた、例えば、水中油中水型エマルションがあるがこれに限定されない、多重エマルションであってもよい。多くのマスカラは、水系エマルション類であり、及び通常は水相中に顔料が分散された乳化ワックス類及びポリマー類を含有する。水はカール特性及び塗布特性を提供し、一方でワックス類及びポリマー類は、顔料によって着色されているまつげ上に、耐移動性の末端マスカラ被膜(transfer resistant end mascara film)を作り上げる。無水の、及び油中水型のマスカラ類は、それらが、特に水に対しての、優れた耐移動性を有するので、一般に耐水性マスカラと呼ばれる。それらの高い疎水性物質含有量により、水が被膜を破壊してそれをすり減らすのを可能にする物質をほとんど含有しない被膜が作り出される。油中水型マスカラ類の場合には、内部の水の液滴が、他の態様では油性相へと組み込まれることができない水溶性/水分散性物質を送達できる。水系マスカラ類は典型的には、付着及びまつげの保持を作り出すようにポリマーでゲル化された水である。これらのマスカラは、通常は着色剤類を有さないが、着色剤類を添加することはできる。
【0005】
消費者はそれらのマスカラ製品から、まつげへの接着、まつげを長くすること/カールすること、崩れたり又は剥がれたりしないこと、太いまつげ、及びまつげの塊の良好な分離といった特定の性質を期待する。詳細には、望まれるのは、長い、魅惑的な、豊かな、柔らかな、そして分離したまつげである。マスカラ類は一般に、滑らかな及び(コーティングの厚さの)比較的薄い被膜をまつげ上に分配して、そのまつげよりも黒く及び太い適度に分離されたまつげの満足できる列を生じ、目をより際立って美しくする。まつげは人の目の上下に縦列及び横列の両方で配列されているので、いくらかのまつげの凝集は自然に起こるということは十分理解される。したがって、「適度に分離された」まつげとは必ずしもすべてのまつげを単一体として想定してはいない。ユーザーによって良好に分離されることが要求されるマスカラは、あまりまつげが分離しないことを要求されるマスカラよりもより多くのまつげの凝集を残すことと見なされる。典型的にはマスカラの付着は5〜15ミクロンの厚さであるコーティングを有する。しかし、多くの「ボリュームを出す」マスカラ類は扱いにくく及び形が整わず、そして多すぎるまつげを一緒に凝集させて、まつげが少ないという外見を与える、濃くてあまり分離されていない外観をもたらす傾向にある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したことにもかかわらず、本発明者らは、十分なまつげの櫛通りに加えて、大きな粒子が移動できるような様式で設計された成形アプリケータと組み合わされた大きな粒子を含有するマスカラ組成物を、同じものを含む組成物と組み合わせる系を見出した。こうした組み合わせはまつげの直径を太くし、一方でそれらを良好に分離した状態に保ち、濃い、良好に分離した、美しいまつげの外観を残す。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は化粧品組成物のための系及びそれを使用するための方法に関する。例えば、まつげ上にマスカラのより厚みのあるコーティングを付着させ、一方でまつげが互いに凝集するのを最小限に抑えるためのマスカラ組成物のための系。具体的には、本発明は以下のものを組み合わせて含む化粧品系に関する:(a)長軸A及びそこから伸びている複数個の突出部を有する実質的に長手方向の茎部を含む化粧品アプリケータであって、少なくとも2つの隣接する突出部は前記茎部の基部において互いに距離Rだけ離間している、化粧品アプリケータ;(b)等価直径が少なくとも約5ミクロンである第1の粒子を含む化粧品組成物;及び(c)皮膚科学的に許容可能なキャリア。
【0008】
本発明の別の実施形態は以下のものを組み合わせて含む、まつげの主要部(the body of the eyelashes)に1つよりも多いマスカラの被覆を適用するための化粧品系であって:(a)長軸A及びそこから伸びている複数の突出部を有する実質的に長手方向の茎部を含む化粧品アプリケータであって、少なくとも2つの隣接する突出部は前記茎部の基部において互いに距離Rだけ離間している、化粧品アプリケータ;(b)皮膚科学的に許容可能なキャリア中に等価直径が少なくとも約5ミクロンである第1の粒子を含む化粧品組成物;及び(c)等価直径が少なくとも約5ミクロンである第1の粒子を含む化粧品組成物、前記系は、(a)と(b)との組み合わせに2次的な被覆として(c)が塗布されるように構築されている、系に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書は、本発明を特に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲をもって結論づけられるが、本発明は以下の説明からよりよく理解されると考えられる。
【0010】
本明細書で使用するとき、「含む」とは、他の工程及び成分を追加できることを意味する。この用語は「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。「から本質的に成る」という表現は、その組成物が追加成分を包含してもよいことを意味するが、その追加成分が、特許請求する組成物又は方法の基本的及び新規の特徴を実質的に変化させないものに限る。
【0011】
特に指定しない限り、百分率、割合、及び比率はすべて本発明の局所適用組成物の総重量に基づいており、測定はすべて25℃で行われる。列挙する成分に関連するこのようなすべての重量は、活性レベルに基づくので、特に指定しない限り、市販の物質に包含される場合があるキャリアや副生成物を包含しない。
【0012】
用語「比重」は、特に注記のない限り、粒子そのものによって示される質量及び体積に基づいて計算された粒子の比重である。例えば、中空粒子の比重を決定する場合、粒子の体積はその外殻の直径を用いて計算される。比重は、粒子間の空隙からの体積の寄与を包含する嵩比重ではない。それは個々の粒子の平均比重である。粒子の比重を測定するための方法は、当該技術分野で十分に開示されている。
【0013】
用語「メークアップ」は、まつげ、眉毛、頬、唇、などを包含する顔上に色を残す製品を指す。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「ケラチン繊維」とは、詳細には哺乳類(例えば、ヒト又は動物)の、頭又は体状の毛髪、眉毛及びまつげのような毛髪を指す。
【0015】
「突出部」は、本明細書で使用するとき、本発明の化粧品アプリケータの茎部から突出している表面の伸張部を言う。突出部は長軸Aに対して垂直に又は傾斜した向きで伸びていてよい。突出部が茎部上で一列に整列されている場合、突出部の角度はその列内の隣接する突出部の角度と同じであってよい。アプリケータがケラチン繊維、詳細にはまつげと交差してそれをなでる(stroke across)場合、突出部は隣接するケラチン繊維の間を貫通するように企図されている。マスカラ組成物の場合には、突出部の主な機能はまつげ上にマスカラを付着させ及びまつげを分離することである。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「皮膚科学的に許容可能な」とは、このように記載されている組成物又はその構成成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを伴うことなく、哺乳類のケラチン組織と接触させて使用するのに適していることを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「安全且つ有効な量」は、当業者の適切な判定範囲内で、本明細書に開示の利益が独立に又は組み合わせで包含される、明白な利益、好ましくはケラチン組織の外観若しくは感触の明白な利益を有意に生じるのに十分であるが、深刻な副作用を回避するように十分に少ない、すなわち合理的な利益対危険比を提供する、化合物又は組成物の量を意味する。
【0018】
本発明の組成物は以下の成分を含む。
【0019】
A.アプリケータブラシ
従来のマスカラアプリケータは典型的に、金属ワイヤと剛毛との2つのストランドを螺旋状に撚り合わせることによって形成された茎部から構成されており、剛毛は芯に放射状に植え込まれ及び巻かれた金属ストランドの間にしっかりと保持されている。このようなアプリケータの主な制限は、剛毛が無作為に配置されており、及びワイヤストランドにおいて互いに極めて接近して終端しているということである。それぞれの剛毛はそれ自身と他の剛毛との間の距離が様々であって、剛毛の長さに沿って又は茎部の長さに沿っての両方で動く。
【0020】
本発明のアプリケータは、長軸A及びそこから伸びている複数の突出部を有する実質的に長手方向の茎部を示し、ここで、少なくとも2つの隣接する突出部は前記茎部の基部において互いに距離Rだけ離間している。例えば、図1−Aは、全体としてRとして記載されるR1、R2、及びR3の他と異なる距離を示す。距離Rは1つの突出部の基部から隣接する突出部の基部まで測定される。この測定は、長軸に沿った隣接する突出部、互いに垂直に位置決めされた隣接する突出部、互いに対角線状に位置決めされた隣接する突出部、又は互いの周辺内の隣接する突出部が包含されるが、これらに限定されない。(図2)本発明では、Rは約0.2mmから、約0.5mmから、約0.75mmから、又は約0.85mmからであるが、約1mm以下、約2mm以下、又は約3mm以下のものであってよい。突出部間の間隙は、まつげの良質の分離、並びに大きな粒子及び本明細書中「組成物」のところで記載されるもののようなそれらの組成物の、アプリケータからまつげへの移動の両方を可能にするように設計される。さらに、突出部は茎部の長さに沿って列をなして配向されてもよい。例えば、突出部は、それらが長軸Aに対してほぼ平行な列、長軸Aに対してほぼ垂直な列に配向されてもよく、又はそれらは、長軸Aに対して放射状に位置決めされていてもよい。
【0021】
図1は、全体として、長手方向軸線又は長軸Aを有する実質的に長手方向の芯又は茎部260と、そこから伸びている複数個の突出部50とを含む本発明のブラシ10の実施形態を示している。各々の突出部は、茎部と関連する基部及び基部と反対側の自由端部を有する。各々の突出部は、外壁と前記突出部の長さに沿って配向された長手方向軸線Bとを有する(図5)。突出部50の壁は、凹状、丸形、平面、又は凸状(図3〜5)であることができる。
【0022】
図1の実施形態はまた、任意のロック溝30を介してハンドル(図示せず)に取り付けることができる任意の茎部20を有する。ブラシ10は、幾つかの突出部の長さを変えるために、又はそれ以外で長軸Aに垂直な横断面においてブラシ10の特定の形体を形成するために、切り込まれてもよい。例えば、図2は、突出部50が他と異なる長さを有するように丸みを帯びた又は斜めにされた角(かど)70を有するおよそ三角形の包絡曲線60を含むように、切り込み可能であることを示している。同じ効果は、同時係属出願(ダムラー(Dumler)ら、2004年10月1日出願)に記載されているように、本発明のプロセスを用いることによって、そして切り込みを用いずに、達成することができる。
【0023】
同時継続出願(ダムラー(Dumler)ら、2004年、10月1日出願)に記載されているように、一実施形態では、突出部50の少なくとも一部は、それらの壁に少なくとも1つの外部窪み120を有していてよい。(本明細書において下記の)本発明のプロセスは、少なくとも1つの外部窪みを有するために、どのような突出部が構成されるべきか設計することを可能にするので、これらの突出部は、本明細書において「被選択突出部」と称される。被選択突出部の窪みは、突出部の長手方向軸線Bに平行な方向に配向可能であるか、又は、別法として若しくは追加的に突出部の自由端部に配置可能である。
【0024】
突出部50は、概して丸型の横断面(図4及び6)を有する突出部、概して楕円形の若しくは細長い横断面(図3及び5)を有する突出部50b、又はいずれかの他の好適な概略の横断面、例えば多角形を有する突出部を含むことができる。本明細書で使用するとき、用語「楕円形」とは、相互に垂直な二方向において等しくない寸法を一般に有する幾何学的形状を指す。被選択突出部は、突出部の長手方向軸線に垂直な前記突出部の横断面において、あらゆる好適な形状を有することができる。例えば、被選択突出部は、楕円形、多角形、円形、台形、又は他のいずれかの形状を包含する横断面を有することができる。
【0025】
被選択突出部1本当りの窪み120の数は、異なっていることができる。例えば、被選択突出部は、1つ、2つ、3つ、4つ、及びそれより多くの窪み120を有することができる。1を超える窪み120を有する被選択突出部において、窪みの位置は異なっていてよい。例えば、2つの窪み120を有する被選択突出部において、窪みは、互いに対向して配置されることができる(図3及び5)。3つ、4つ、又はそれより多くの突出部120を有する被選択突出部において、窪みは、被選択突出部の長手方向軸線Bに垂直な横断面で見た時(図3〜5)、互いに実質的に等距離だけ離間されることができるか、又は互いに他と異なるように離間されることができる(図示せず)。図3〜5に示された実施形態では、窪み120は、被選択突出部の全長に渡って延在している。他の実施形態では、例えば、図7で示される通り、1又は複数の窪み120は、被選択突出部の一部分のみに渡って延在することができる。窪みは、被選択突出部の基部から延び、そして被選択突出部の自由端部に到達する前に終端することができ、又は窪みは、被選択突出部の自由端部から延び、被選択突出部の基部に到達する前に終端することができる。被選択突出部が1を超える窪みを有し、ここで、少なくとも1つの窪みは、突出部の全長に渡って延在し、及び他の1つ又は複数の窪みは、本明細書において上述したいずれかの態様で突出部の長さの一部分のみに渡って延在している実施形態が考慮されてもよい。
【0026】
突出部50は他と異なる長さを有していてもよい。一実施形態では、例えば、長軸Aに垂直なブラシの横断面で見たとき、突出部50の長さは、隣同士に連続的に配置された幾つかの突出部の末端部が、真っ直ぐである想像線を形成するような長さであってよい(図3、線60)。別の実施形態では、そのような線は、凹状(図示せず)又は凸状であることができる(図3、線70)。それ故、長軸Aに垂直なその横断面において、ブラシは、周囲方向に対称的であってもよく、そうでなくてもよい。
【0027】
突出部50は、基部から自由端部に向って徐々に先細になるように作ることができる(図1〜6)。あるいは、突出部50は、概して均一な厚みを有してもよく(その横断面が少なくとも部分的に長手方向の窪みによる影響を受けた被選択突出部を除く)、又は突出部50の自由端部から基部に向って細くなってもよい(図示せず)。
【0028】
一実施形態では、突出部50の少なくとも一部の末端部は、凹状窪み110(図4)を有していてよい。それらの凹状窪み110は、突出部50の自由端部における窪み110が突出部50の長手方向軸線Bに関して長手方向に配置されていないため、突出部の壁における窪み120とは異なっており区別される。本発明のブラシの幾つかの実施形態では、被選択突出部は、1又は複数の長手方向窪み120と被選択突出部の自由端部における凹状窪み110との両方を有することができる。
【0029】
突出部50の長手方向軸線Bとブラシ10の長軸Aとは、相互に垂直とすることができる。それらが、相互に垂直でない実施形態が考慮されてもよく、即ち、突出部50の少なくとも一部の軸線Bとブラシ10の長軸Aとは、鋭角、鈍角、それらの間の角度、及びこれらの混合を形成してもよい(図12〜15)。
【0030】
本発明のブラシは、積載円盤の構体、好適な樹脂類の光造形(SL)、又は単一/複数パート「射出成形」のような、当該技術分野において既知の種々の技術を用いることによって作製することができる。特に、射出成形は、基本的に、溶融プラスチックが所望の形状の空洞を有する閉じた型枠へと、圧力下で付着され、又は射出されて空洞を満たし、次に冷却されて空洞内で固化され、次いで空洞から取り出されるプロセスである。射出成形法を使用すると、本発明の被選択突出部を包含する実質上あらゆる所望の突出部の形体を形成することが可能であることを当業者は理解するであろう。加えて、射出成形技術は、例えば、図2に示される通り、個々の突出部の長さを制御することを可能にし、そのためにブラシのある一定の断面輪郭を形成するために完成されたブラシを切り込む必要が無い場合もある。
【0031】
本発明のブラシは、例えば、図8に模式的に示された多構成要素成形射出機200を使用して、射出成形法により作製することができる。第1に、中空茎部260が、準備される。中空茎部260は、あらゆる好適な材料、例えば、ポリプロピレンなどのプラスチック又は樹脂から作ることができ、あらゆる好適な熱可塑性又は熱硬化性材料を包含してよい。中空茎部260は、射出成形又は当該技術分野において既知の他のいずれかの手段により形成可能である。一例として、図8において、中空茎部260は、射出機200内で形成され配置される。中空茎部260は、長軸に垂直なその横断面において、あらゆる好適な形状、例えば、(図1の代表的な実施形態において示された)円筒形、長方形、三角形、円形、多角形、若しくはそれらのあらゆる組み合わせ、又は不規則な幾何学的形状(図示せず)を包含するあらゆる他の形状を含んでもよい。
【0032】
複数個の突出部形成チャネル250が、準備される。突出部形成チャネル250は、ブラシが構築された後に構築されているブラシの突出部50が配置されるべきであるあらかじめ定められた位置で、それらの入口が中空茎部260に接するように配置されている。突出部形成チャネル250の全体的な形体及び形状は、作られるブラシの所望の全体的な形状及び形体に一致する。突出部形成チャネル250の各々は、末端部で終端して、あらかじめ定められた長さを有する。−突出部形成チャネル250の寸法及び長さに応じて、突出部形成チャネル250は、当該技術分野において既知のあらゆる手段によって、例えば、従来のドリルあけ技術、レーザー、化学的浸食、ワイヤー放電加工機(EDM)、又はあらゆる他の好適な手段を使用して作ることができる。突出部形成チャネル250は、例えば、互いに隣接して連続的に配置された複数個のコーティングされたプレート300(図11)により形成可能であり、相互に隣接するプレート300は、組み合わせで、突出部形成チャネル250の所望の輪郭を形成する表面模様を有する。
【0033】
本発明によると、複数個の突出部形成チャネル250は、本明細書において上述したように、被選択突出部形成チャネル250a、即ち、その上に少なくとも1つの外部窪み120を有する被選択突出部を形成するために構成されるチャネルを包含してもよい。この目的のために、被選択突出部形成チャネル250aの各々は、その中に少なくとも1つの隆起290を有する。1つ又は複数の隆起290が、形成される被選択突出部の所望の形体に応じ、被選択突出部形成チャネル250aの長さに沿って、被選択突出部形成チャネル250aの末端部に、又はその両方に配置可能である。
【0034】
次の工程では、第2の成形可能材料270が、突出部を形成するために圧力下で中空茎部に注入される(図8)。第2の成形可能材料は、第1の成形可能材料と同一の材料を含むことができ、又は別法では、第1の成形可能材料と異なってもよい。単に例示の目的に過ぎないが、第2の成形可能材料は、例えば、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)ブロックコポリマーなどのあらゆる好適な熱可塑性エラストマー(TPE)を含むことができる。第2の成形可能材料270が注入される圧力は、中空茎部260を裂開させて突出部形成チャネル250に一致する位置に穿孔を形成するために、及び更に、第2の成形可能材料270が突出部形成チャネル250の形を帯びるように突出部形成チャネル250を第2の成形可能材料270で完全に充填するために十分であるべきである。茎部260に形成されたこれらの穿孔は、実際に、第2の成形可能材料のためのスピナレットとしての働きをする。圧力下で被選択突出部形成チャネル250を充填する第2の成形可能材料270は、本明細書において上記の外部窪みを有する被選択突出部を形成し、前記窪みは、被選択突出部形成チャネル250aの隆起290の「反転像」である。
【0035】
第2の成形可能材料270が、突出部形成チャネル250内で凝固した後、茎部260とそこから伸びている複数個の突出部50とを含むブラシは、射出機から解放可能である。複数個のプレート300が、突出部形成チャネル250を形成するために使用される場合、プレート300は、互いから離して移動可能であり、前記移動により形成された突出部50を解放する。
【0036】
必要に応じて、茎部260を充填するために第3の成形可能材料280(図8)を中空茎部260に注入する任意の工程が、使用可能である。前記プロセスが完了した時、突出部50は、茎部260を満たした第3の材料280に一体的に結合される。第3の成形可能材料は、第1の成形可能材料又は第2の成形可能材料の少なくとも1つと同一の材料を含むことができるか、又は第1の成形可能材料又は第2の成形可能材料のいずれとも異なるように選択可能である。
【0037】
B.組成物
本発明の組成物は、本明細書に開示されるアプリケータブラシと組み合わせたときに、「第1の粒子」に指定される大きな粒子又はそれを含む化粧品組成物の厚みのあるコーティングを、ケラチン繊維上に付着させる。マスカラ組成物の場合には、このような製剤はまつげのボリュームを改善するのに役立つ。
【0038】
好ましくは、本発明の組成物は、約0Pa〜約1000Pa、更に好ましくは約25Pa〜約500Pa、なお更に好ましくは約35Pa〜約200Paの降伏点を有する。好ましくは、本発明の組成物は、25℃で剪断速度200s-1で、約2Pa.s(2000センチポアズ)〜約6Pa.s(6000センチポアズ)、更に好ましくは約2.5Pa.s(2500センチポアズ)〜約5Pa.s(5000センチポアズ)、なお更に好ましくは約3Pa.s(3000センチポアズ)〜約4.5Pa.s(4500センチポアズ)の粘度を有する。
【0039】
本発明の第1の又は第2の粒子は、ケラチン繊維に使用するために刺激がなく非毒性の、無機の又は有機の物質から製造されてよい。第1の粒子は本発明において等価直径が約5ミクロンを超えることが見出されるため、第1の粒子は大きいとみなされる。本発明の粒子は、それらの「等価直径」によって測定され、ここで、「等価直径」は円形粒子の直径、又は非円形粒子の横断面が内接する円の直径を包含する。しかしながら、最初は等価直径において5ミクロン未満であってもよい、第1の粒子とみなされる本発明の粒子が存在する。いくつかの粒子は、ケラチン繊維への適用後にそれらの大きさを増大させる場合があるので、本発明に好適な第1の粒子はまた、最初は5ミクロン未満の等価直径であるが何らかの化学的又は物理的手段によって等価直径で5ミクロンを超える大きさまで膨潤する粒子を含んでもよい。例えば、マスカラ組成物が使用される場合、最初は等価直径が約5ミクロン未満である粒子が使用されてもよいが、粒子がまつげ上に付着された後の幾つかの時点で、粒子は、等価直径で約5ミクロン以上、約10ミクロン以上、又は約15ミクロン以上、及び約100ミクロン以下、約75ミクロン以下、又は約50ミクロン以下である本発明に好適な大きさへと膨潤される。したがって、少なくとも約5ミクロンである「第1の粒子」には、最初から等価直径が少なくとも約5ミクロンである第1の粒子、又は何らかの化学的又は物理的手段によって等価直径で少なくとも約5ミクロンの大きさに増大された第1の粒子が包含される。このような寸法は、等価直径において約5〜約100ミクロンのマスカラ被膜をまつげへと付着させることを可能にし、こうしたマスカラ被膜はユーザーに目立つまつげの印象を提供する。
【0040】
本明細書に開示される成形アプリケータは、粒子が濾し取られたり(filtering out)又は粒子を失ったりすることなく、保持容器からまつげへとこの大きさの粒子を移動させるように設計されている。このようなアプリケータはまた、所望の外見を達成するように十分にまつげを梳かし又は分離する。
【0041】
組成物の第1の粒子の種類は固体、中空、又は多孔質であってよい。本発明により使用される粒子が多孔質粒子である場合、それらの範囲は、例えば少なくとも約0.25m2/g、少なくとも約0.5m2/g、又は少なくとも約1m2/gの表面積に相当する。例えば、ダウ・コーニング(Dow Corning)により商標名ポリトラップ(Polytrap)Q5−6603(登録商標)で販売されているミクロ孔質粒子、又は直径が約9ミクロン及び表面積が約170m2/gである、LCWによって商標名コバビード(Covabead)LH170(登録商標)で販売されているものが、多孔質粒子の例である。本発明の第1の粒子はまた、親水性であっても又は疎水性であってもよい。それらはまた、球形、楕円形、卵形、平板形、星形、棒形、立方体形、又は不規則な形状であってもよい。本明細書で使用するとき、「不規則な形状」とは、球形、楕円形、卵型、平板形、星形、棒形、又は立方体形として包含されないあらゆる形状であると考えられる。ケラチン性の表面上に主要な効果として被膜の厚さを構築するためには、本発明に有用な粒子の寸法は少なくとも約1ミクロンとすべきである。「寸法」とは、本明細書で使用するとき、高さ、幅、長さ、及び直径を包含するがこれらに限定されない。これは、本発明の粒子が確実にケラチン基質よりも等価直径において少なくとも5ミクロン盛り上がることを意図している。マスカラ組成物の場合には、小板形は薄すぎる傾向にあり、まつげ上に厚みのあるマスカラのコーティングを作り出すように効果的に重なることはない。それ故に、本発明のマスカラ組成物に関しては、第1の粒子としての平坦な小板形は、可能であり有用ではあるが、あまり望ましい形状ではない。
【0042】
第1の粒子は、主としてワックス又はワックス類の組み合わせで構成されてよい。マスカラ組成物では、ワックス類は典型的に、マスカラコーティングに嵩高性を付与し及びまつげのカールを所定の位置に保持する疎水性物質として、約0%〜約40%である。これらのワックス類は典型的に、キャリアビヒクル中に乳化され又は分散されているが、マスカラが、凝集したワックス粒子から、互いに連結されてまつげ上に比較的滑らかな被膜を形成するかなり小さな(典型的に等価直径において5ミクロン未満であり、及びそれらがより連続した被膜を形成するため粒子として識別できないことが多い)及び典型的に小板形状のワックスのシートへと適用されると、それらの「粒子状の」性質は容易に破壊される。しかしながら、等価直径で約5ミクロン〜約2000ミクロンの大きなワックス粒子を、マスカラ製剤へと添加される前に、スプレー乾燥及び流動床加工のような当該技術分野で既知のプロセスを用いて、予め形成することができる。これらのプロセスは液体ワックスを噴霧し、ワックスの液滴を急冷し及び固化させて小さな分離性のワックス粒子を製造する。温度又は製剤中の他の物質との相互作用が原因で軟化しないように、粒子の融点は十分高くなければならず、及び粒子は十分に低い温度でマスカラ製剤へと組み込まれなければならない。該ワックス粒子は、ケラチン繊維へと適用された後でもその嵩高性を維持するように、組成物へと添加される際の及びケラチン繊維へと適用される際の目視観測によるその大きさ及び形状の少なくとも一部から大部分を保持するよう意図されている。
【0043】
ワックス粒子はその内部に組み込まれた他の物質を含有してよい。これは、溶融ワックスが噴霧され及び冷却されて固体ワックス粒子を生成する前に、他の物質を溶融ワックスと混合することによって達成される。ワックス粒子の内部に組み込まれることができる物質の例としては、顔料類、防腐剤類、充填剤類、活性成分類、ポリマー類、有機及び無機固体類、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0044】
ワックスは、室温(25℃)で固体であり、約30℃以上及び約150℃までの融点をもって、可逆性の固体−液体の状態変化を経験し、及び固体形態において異方性結晶構成を有する親油性脂肪族物質として定義される。例えば、本組成物のために好適であってもよいワックス類は約40℃よりも高い、約50℃よりも高い、又は約55℃よりも高い融点を有していてよい。ワックス類は動物ワックス類、植物ワックス類、ミネラルワックス類、合成ワックス類、及びこれらの混合物から成る群から選択されてよい。
【0045】
本発明で有用な具体的なワックス類は、蜜蝋、ラノリンワックス、セラックワックス(動物ワックス類);カルナウバ、キャンデリラ、ヤマモモ(植物ワックス類);オゾケライト、セレシン、(ミネラルワックス類);パラフィン、マイクロクリスタリンワックス類(石油ワックス類);ポリエチレン、(エチレン系ポリマー類);ポリエチレンホモポリマー類(フィッシャー・トロプシュワックス類);C24〜45アルキルメチコン類(シリコーンワックス類)、昆虫蝋、ヤマモモ、鯨蝋、マウンテンワックス(mountain wax)、コメヌカワックス、カポックワックス、ハゼ蝋、ホホバワックス、ライスワックス、コットンワックス、木蝋(Japan Wax);及びこれらの混合物から成る群から選択されてよい。非限定的にはまた、線状及び分枝状C8〜C32脂肪酸類から選択される少なくとも1つの脂肪族鎖を含む動物性、植物性、及び合成由来のものから選択される油類の触媒作用による水素添加によって得られるワックス類、例えば水素添加ホホバ油、水素添加ヒマワリ油、水素添加ヒマシ油、水素添加ココナツ油、及び水素添加ラノリン油、ヘテレネ社(the company Heterene)により商品名ヘスト(Hest)2T−4Bで販売されているビス(1,1,1−トリメチロールプロパン)テトラステアレートを挙げてもよい。非限定的にはまた、シリコーンワックス類及びフルオロワックス類、及びこれらの混合物を挙げることもできる。
【0046】
第1の粒子はまた中空の性質であってもよい。それらは外殻及び少なくとも1つの単一の閉じた空洞を有するもののような、中空のものであってよい。中空粒子のための外殻を形成する物質の例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、及び他のビニル系モノマー類、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、及び他のアクリル系モノマー類、スチレン、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼン、及びエチレングリコールジメタクリレートから選択される1種類以上のモノマーから構成されるホモポリマー類又はコポリマー類が挙げられる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのエステル類、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、及びメタクリロニトリルから選択されるモノマーのうちの2種類以上で構成されるコポリマー類のような物質を使用してもよい。これらのポリマー類は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、及びトリアクリルホルマールのような架橋剤で架橋することによって製造することができる。中空の粒子は、炭化水素(例えば、イソブテン)のような揮発性の剤を含有してもよく、及び既知の手順、例えば、米国特許第3,615,972号及び欧州特許出願0056219に記載されている手順に従って調製することができる。揮発性薬剤に対する特別な制限はなく、例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、イソブテン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ヘキサン、ネオヘキサン、ヘプタン、アセチレン、及びその他の炭化水素類、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、及びその他のハロゲン化炭化水素類、並びにテトラアルキルシラン類及びその他の低沸点化合物類が挙げられる。
【0047】
本発明の第1の粒子は少なくとも約0.02の比重を有していてよい。例えば、直径が約30〜60ミクロン及び比重が約0.02〜0.03である水分散性製品F−30Eのような粒子を包含する、マツモト(Matsumoto)F−Eシリーズのような中空粒子が一般に市販されている。アクゾ・ノベル(Akzo Nobel)もまた、約0.07+/−0.006の比重を有する約15〜25ミクロン中空球形である551DE20d70、又は約0.042+/−0.004の比重を有する約50〜80ミクロン中空球形であるエクスパンセル(Expancel)(登録商標)551DE80d42などの中空球形を販売している。ガンツ・ケミカル社(Ganz Chemical Company)もまた、約8ミクロンの粒径を有する中空球形を供給している。中空の無機粒子は、加熱されると気化する揮発性発泡剤を封入したガラスのような無機物質から形成され、この物質を加熱して膨潤させ又はそれを発泡させることによって製造される。あるいは、中空の無機粉末は、炭素(微粉末炭素)を灰化する方法によって生成されるフライアッシュである。中空の無機粒子は市販されており、例としては、約0.6の比重及び約30ミクロンの平均粒径を有するS60HS、又は約0.46の比重及び約40ミクロンの平均粒径を有するK46を包含する3Mのミクロスフェア(Microsphere)製品類が挙げられる。
【0048】
粒子は、熱可塑性の及び熱硬化性のポリマー粒子から成る群から選択される、高分子の性質である1以上の物質から構成されてよい。本発明の状況で使用できるポリマー類は約2000〜約25,000,000の分子量を有していてよい。熱可塑性のポリマー粒子が使用されるとき、Tgは約−150℃以上、具体的には約−130℃以上、及び約300℃以下、具体的には約200℃以下であってよい。ポリマーはポリマーの性質を調整するために可塑剤と組み合わされることができる。本明細書で使用するとき、用語「可塑剤」は、所与の被膜形成ポリマーに、軟化し又はその可撓性を改善するために適用される物質を言う。マスカラ組成物の場合には、可塑剤は、まつげに適用されたときに粒子を部分的に変形させ、より滑らかでより可撓性のマスカラ被膜を作り出すのに役立つ場合がある。
【0049】
本発明のポリマー粒子は好ましくは、それらがケラチン繊維へと適用されると、それらの形状及び嵩高性のほとんどを保持する。例えば、本発明のポリマー粒子は、硬く及び変形不可能なポリマー粒子であるエクスパンセル(Expancel)(登録商標)粒子のようなものであってもよい。本発明の他のポリマー粒子は、例えば、まつげに適用されたときにより滑らかで厚みのある組成物のコーティングを可能にするようにその形状が部分的に変形されることのある展性のある粒子であってもよい。本発明のポリマー粒子は、例えば、ダウ・コーニング(Dow Corning)のHMW2220又はダウ・コーニングの5−7137ジメチコン粒子エマルション類のような高分子量ジメチコンを含んでいてもよい。
【0050】
任意で、本発明の組成物は、防腐性、乳白性、コーティングの滑らかさ、色、耐移動性、レオロジー変性、まつげの分離、又はこれらの組み合わせのような他の利益を提供するために、本明細書で「第2の粒子」として使用されるような追加の粒子を含んでいてもよい。例えば、組成物は、黒いマスカラ被膜を包含するがこれに限定されない種々の色を作り出すために使用してよい、酸化鉄類のような顔料粒子を含んでいてもよい。他の例としては、マスカラに耐移動性を付与するために使用してよいラテックス粒子;より滑らかなマスカラ被膜を作り出すために等価直径20ミクロンの球形の第1の粒子と組み合わされてよい等価直径25ミクロンの小板形;及びより滑らかなマスカラ被膜を付与するように、等価直径40ミクロンの第1の粒子の間の空間を満たすために使用することができる等価直径5ミクロンの球形粒子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
粒子上のコーティング
さらに、第1の又は第2の粒子の表面は化学物質、微粒子、又は双方の組み合わせのいずれかでコーティングされてよい。粒子の表面に適用されてよい物質については特に制限はなく、物質は意図する効果によって選択されてよい。微粒子タイプのコーティングの例としては、タルク、絹雲母、雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、窒化ホウ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、及びシリカが挙げられるが、これらに限定されない。関連する例としては、マツモト(Matsumoto)からのMFLシリーズの粒子が挙げられる。30STI材料は、約0.2+/−0.05の複合比重を有する20ミクロンの球体上にTiO2のコーティングを有する。これもまたマツモト(Matsumot)からの60CA材料は、約0.13+/−0.05の複合比重を有する40〜60ミクロンの粒子上に炭酸カルシウムのコーティングを有する。化学品系のコーティングの例としては、レシチン、シリコーン類、炭化水素類、フッ素化シリコーン類、フッ素化炭化水素類、有機及び無機高分子化合物類、及び両親媒性物質類が挙げられるが、これらに限定されない。これらの処理は、物理的コーティング又は粒子表面への共有結合であってよい。
【0052】
粒子の体積分率
単一工程、単一処方の組成物として使用される場合、粒子の体積分率は、ケラチン繊維上で乾燥される前の、組成物中の粒子類の組み合わされた合計の体積と組成物の合計の体積との比と考えられる。組成物の合計に対する粒子の比率は、例えば、約1:20〜約10:1、更に、例えば約1:15〜約5:1、及び更に、例えば約1:12〜約3:1であってよい。さらに、純粋な粒子組成物、すなわち100%が粒子でキャリアを含まない組成物を含む多段階化粧品系の一部として使用される場合、粒子は追加の層として適用されてよく、この際、粒子は、本発明の最初の組成物が適用された後に第2の適用工程としてまつげに適用される。このような相補的な組成物が使用される場合、その組成物は、組成物内の粒子類の組み合わされた合計の体積に基づいて、100%の粒子、95%の粒子、85%の粒子、又は75%の粒子を含んでいてよい。組成物の残部は、結合剤、例えば組成物内で粒子を共に保持するのを助ける油を含んでいてよい。
【0053】
皮膚科学的に許容可能なキャリア
本発明の組成物は、皮膚科学的に許容可能なキャリアを含有してよい。キャリアは揮発性又は不揮発性であることができる。好適なキャリア類は本発明の粒子を溶解するか又は均一に分散するものである。それらには、水、低級アルコール類(エタノール、イソプロパノールなど)、プロピレン及びブチレングリコールなどの二価のアルコール類、グリセリンなどのポリオール類、ヒドロアルコール性混合物類、炭化水素類(イソブタン、ヘキサン、デセン、アセトン、イソドデカン、及び約8〜約20個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖炭化水素類など)、(フレオンのような)ハロゲン化炭化水素類、リナロール、炭化水素エステル類(酢酸エチル、フタル酸ジブチルなど)、揮発性流体類、フェネチルペンタメチルジシロキサン、メトキシプロピルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、クロロプロピルペンタメチルジシロキサン、ヒドロキシプロピルペンタメチルジシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン)、揮発性ジメチコン、及びこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0054】
C.任意成分
本発明の組成物は、既に言及した利益に加えて追加の利益を提供するために添加されてよい多数の任意成分を含有してよい。例えば、本発明の組成物は微生物の繁殖を阻止し及び製品の一体性を維持するための防腐剤系を含有してもよい。本発明においては、防腐剤系は組成物に有害な効果を有さない。これらの任意成分は哺乳類の皮膚への適用に好適であるべきであり、すなわち、上記組成物中に組み込まれたときに、健全な医学的判断又は配合者の判断の範囲内で過度の毒性、非適合性、不安定性、アレルギー反応などを伴わずに、ヒトの皮膚に接触させて使用するのに好適である。CTFA化粧品成分辞典及びハンドブック(CTFA Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook)、第10版(2004年)には、スキンケア業界で通常使用される多種多様な非限定的な化粧品及び医薬品の成分が記載されており、それらは本発明の組成物に用いるのに好適である。
【0055】
当業者に既知のあらゆる任意成分をまた本発明で使用してよい。任意成分の例には、雲母、タルク、ナイロン、ポリエチレン、シリカ、ポリメタクリレート、カオリン、及びテフロンを包含するがこれらに限定されない、化粧品増量剤がある。メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、ソルビン酸カリウム、EDTA三ナトリウム、フェノキシエタノール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、ジアゾリジニル尿素、イミダゾリジニル尿素、及びクオタニウム−15を包含するがこれらに限定されない好適な化粧品防腐剤類もまた包含されてよい。
【0056】
本発明において有用な任意構成成分を、それらの治療又は審美的利益、又はそれらの前提となっている作用様式によって分類することができる。しかしながら、本明細書で有用な任意構成成分が、場合によっては、1を超える治療的効果若しくは審美的効果を提供し得る、又は1を超える作用様式を介して作用し得ることを理解すべきである。したがって、本明細書の分類は、便宜上実施されたものであって、構成成分を列挙した特定の1つ又は複数の用途に制限しようとするものではない。好適な任意成分については以下に詳述する。
【0057】
被膜形成ポリマー
被膜形成ポリマー類を本発明に使用してもよい。「被膜形成」との表現は、ガラス上に広げられたときに被膜を形成させるようにするポリマー系を指すものと理解される。本発明の被膜形成ポリマー類は水溶性又は水分散性のポリマー類であってよい。水溶性ポリマー類の例としては、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrilidone)、及びポリビニルアルコールが挙げられるがこれらに限定されない。水分散性ポリマー類の例には、アンモニウムアクリレート類コポリマー及びポリウレタンがある。被膜形成ポリマー類はまた油溶性であることができる。油溶性の被膜形成ポリマー類の例は、トリメチルシロキシシリケート、ジメチコン、及び水素添加ポリシクロペンタジエンであってよいが、これらに限定されない。
【0058】
顔料
組成物中に存在する粒子は、無機顔料類、有機顔料類、及び有機レーキ顔料類、真珠光沢顔料類、及びこれらの混合物から成る群から選択される、皮膚科学的に許容可能な顔料類を含有してよい。粒子が第1の粒子である場合、その第1の粒子は部分的に着色されていてもよく、一方第2の粒子類は全体的に又は部分的に、1種以上の顔料類を含んでいてよい。使用される場合、顔料類は、生成するよう意図されている色及び色の強度によって決まる割合で存在する。組成物の固体部分における顔料類の濃度は、少なくとも約0.01%、少なくとも約1%、又は少なくとも約3%であるが約20%以下、約15%以下、又は約10%以下の濃度であってよい。顔料類は、シリコーン類、ペルフルオロ化合物類、レシチン、及びアミノ酸類を包含するがこれらに限定されない、処理剤類で表面処理されてもよい。
【0059】
本発明で有用な無機顔料類としては、ルチル二酸化チタン、アナターゼ二酸化チタン(両方ともカラーインデックスにおいて参照番号CI77891で符号化されている);黒色、黄色、及び赤色酸化鉄類(CI77499、77492、及び77491);オキシ塩化ビスマス(CI77163);マンガンバイオレット(CI77742);ウルトラマリン類(CI77007);酸化クロム(CI77288);水酸化クロム(CI77289);フェロシアン化第二鉄(CI77510);酸化亜鉛(CI77947);及びこれらの混合物から成る群から選択されるものが挙げられる。
【0060】
本発明で有用な有機顔料類としては、医薬品及び化粧品用赤6(CI15850);医薬品及び化粧品用赤7(CI15850:1);医薬品及び化粧品用赤21(CI45380:2):医薬品及び化粧品用赤22(CI45380):医薬品及び化粧品用赤27(CI45410:1);医薬品及び化粧品用赤28(CI45410);医薬品及び化粧品用赤30(CI73360);医薬品及び化粧品用赤33(CI17200);医薬品及び化粧品用赤34(CI15880:1);医薬品及び化粧品用赤36(CI12085);医薬品及び化粧品用橙4(CI15510);医薬品及び化粧品用橙5(CI45370:1)医薬品及び化粧品用橙11(CI45425);食品、医薬品及び化粧品用黄5(CI19140)、食品、医薬品及び化粧品用黄6(CI15985);医薬品及び化粧品用黄10(CI47005);食品、医薬品及び化粧品用緑3(CI42053);医薬品及び化粧品用緑5(CI61570);食品、医薬品及び化粧品用青1(CI42090);コチニールカルミン(CI75470);グアニン(CI75170);カーボンブラック;及びこれらの混合物から成る群から選択される染料類及び類似のレーキ類が挙げられる。
【0061】
本発明で有用な真珠光沢顔料類としては、以下の物質のうちのいずれかで単体で又は組み合わせてコーティングされた雲母(又は同様のプレート状基材)から成る群から選択されるものが挙げられる:二酸化チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化鉄類、フェロシアン化第二鉄、酸化クロム、水酸化クロム、及び上述した種類のいずれかの有機顔料、及びこれらの混合物。
【0062】
乳化剤
乳化剤類もまた、組成物の安定性を補助するために使用してもよい。
【0063】
これらの乳化剤類としては、石鹸類、リン酸エステル類、
エトキシル化アルコール類、エトキシル化脂肪酸類、エトキシル化脂肪酸エステル類、ポリオールエーテルエステル類、グリセロールエステル類、
スクロース又はソルビタンエステル類、グルコースエステル類、カリウム又はDEA−セチルホスフェート、トリエタノールアミン、
脂肪酸エステル類、及びこれらの混合物が挙げられるが、必ずしもそれらに限定されない。
【0064】
レオロジー剤
マスカラのレオロジーを変化させるために1種以上のレオロジー剤類を使用してよい。例えば、それらはずり減粘増粘剤類、すなわち、それを含有する組成物に、増大する剪断速度が組成物に適用されると組成物の粘度が減少するということを特徴とする、ずり減粘挙動を与えることのできる剤であってよい。
【0065】
疎水性コンディショニング剤類
本発明の組成物は任意で、1種以上の疎水性コンディショニング剤類を含有してもよい。例えば、疎水性コンディショニング剤の加重算術平均溶解度パラメータは12以下であってよい。溶解度パラメータのこの数学的定義に基づいて、例えば、2つ以上の化合物を含む疎水性コンディショニング剤に要求される加重算術平均溶解度パラメータ、即ち12以下を達成することは、化合物の1つが12より大きい個別の溶解度パラメータを有する場合、可能であることが認められる。
【0066】
溶解度パラメータは、当該技術分野の配合化学者には周知であり、配合過程において物質の適合性及び溶解度を決定する指針として日常的に使用されている。
【0067】
疎水性コンディショニング剤類の非限定的な例としては、鉱物油、ワセリン、レシチン、水素添加レシチン、ラノリン、ラノリン誘導体、C7〜C40分枝鎖炭化水素類、C1〜C30カルボン酸類のC1〜C30アルコールエステル類、C2〜C30ジカルボン酸類のC1〜C30アルコールエステル類、C1〜C30カルボン酸類のモノグリセリド類、C1〜C30カルボン酸類のジグリセリド類、C1〜C30カルボン酸類のトリグリセリド類、C1〜C30カルボン酸類のエチレングリコールモノエステル類、C1〜C30カルボン酸類のエチレングリコールジエステル類、C1〜C30カルボン酸類のプロピレングリコールモノエステル類、C1〜C30カルボン酸類のプロピレングリコールジエステル類、糖類のC1〜C30カルボン酸類モノエステル類及びポリエステル類、ポリジアルキルシロキサン類、ポリジアリールシロキサン類、ポリアルカリールシロキサン類、3〜9個のケイ素原子を有するシクロメチコン類、植物油類、硬化植物油類、ポリプロピレングリコールC4〜C20アルキルエーテル類、ジC8〜C30アルキルエーテル類、約7〜約40個の炭素原子を有する直鎖及び分枝鎖炭化水素類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるものが挙げられる。
【0068】
他の疎水性のコンディショニング剤類としては、疎水性のキレート化剤類;C1〜C30カルボン酸類及びC2〜C30ジカルボン酸類のC1〜C30アルコールエステル類;糖類及び関連物質類の種々のC1〜C30モノエステル類及びポリエステル類;ポリジアルキルシロキサン類、ポリジアリールシロキサン類、及びポリアルカリールシロキサン類のような不揮発性シリコーン類;植物油類及び硬化植物油類;並びにポリプロピレングリコール類のC4〜C20アルキルエーテル類、ポリプロピレングリコール類のC1〜C20カルボン酸エステル類、及びジ−C8〜C30アルキルエーテル類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
親水性コンディショニング剤類
本発明の組成物はまた、1種以上の親水性コンディショニング剤類を包含することができる。親水性コンディショニング剤類の非限定的な例としては、多価アルコール類、ポリプロピレングリコール類、ポリエチレングリコール類、尿素類、ピロリドンカルボン酸類、エトキシル化及び/又はプロポキシル化C3〜C6ジオール類及びトリオール類、α−ヒドロキシC2〜C6カルボン酸類、エトキシル化及び/又はプロポキシル化糖類、ポリアクリル酸コポリマー類、炭素原子数約12までの糖類、炭素原子数約12までの糖アルコール類、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0070】
構造化コンディショニング剤類
本発明の組成物はまた、構造化コンディショニング剤類を包含してもよい。好適な構造化コンディショニング剤類としては、セラミド類、リポソーム類等の小胞状構造が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
コアセルベート類
本発明の組成物はまた、コアセルベート形成性である化粧剤類を包含してもよい。例えば、コアセルベート形成化粧有益剤は、陽イオン性ポリマー、陰イオン性界面活性剤、及び該ポリマー及び界面活性剤用の皮膚科学的に許容可能なキャリアを含む。陽イオン性ポリマーは、天然主鎖の第四級アンモニウムポリマー類、合成主鎖の第四級アンモニウムポリマー類、天然主鎖の両性型ポリマー類、合成主鎖の両性型ポリマー類、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0072】
ビタミン化合物類
本組成物はまた、ビタミン化合物類、それらの前駆体類、及び誘導体類を含んでいてもよい。これらのビタミン化合物類は、天然の形状であっても合成形状であってもよい。好適なビタミン化合物類としては、ビタミンA(例えば、ベータカロチン、レチノイン酸、レチノール、レチノイド類、パルミチン酸レチニル、プロプリオ酸レチニルなど)、ビタミンB(例えば、ナイアシン、ナイアシンアミド、リボフラビン、パントテン酸など)、ビタミンC(例えば、アスコルビン酸など)、ビタミンD(例えば、エルゴステロール、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなど)、ビタミンE(例えば、トコフェロールアセテートなど)、及びビタミンK(例えば、フィトナジオン、メナジオン、フチオコールなど)化合物類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
防腐剤類
メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、ソルビン酸カリウム、EDTA三ナトリウム、フェノキシエタノール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、ジアゾリジニル尿素、イミダゾリジニル尿素、及びクオタニウム−I5を包含するがこれらに限定されない、好適な化粧品防腐剤類もまた包含されてよい。
【0074】
ワックス類
ワックス類が本発明の任意構成成分として使用される場合、ワックス類は第1の粒子とみなされるのではなく、直径約5ミクロン未満の粒子とみなされる。このような場合、適用時の縮小を計算に入れるために粒子がまつげに適用された後の粒径が考慮される。任意のワックス類は、組成物の約0重量%から、約2重量%から、又は約5重量%からであるが約20重量%以下、約30重量%以下、又は約40重量%以下の濃度で使用されてよい。ワックス類は、室温(25℃)で固体であり、約30℃以上及び約150℃までの融点をもって、可逆性の固体−液体の状態変化を経験し、及び固体形態において異方性結晶構成を有する親油性脂肪族物質として定義される。例えば、本組成物のために好適であってもよいワックス類は約40℃よりも高い、又は約50℃よりも高い融点を有してよい。本発明で有用なワックス類は、動物ワックス類、植物ワックス類、ミネラルワックス類、合成ワックス類、及びこれらの混合物から成る群から選択されてよい。
【0075】
本発明で任意成分として有用な具体的なワックス類は、蜜蝋、ラノリンワックス、セラックワックス(動物ワックス類);カルナウバ、キャンデリラ、ヤマモモ(植物ワックス類);オゾケライト、セレシン、(ミネラルワックス類);パラフィン、マイクロクリスタリンワックス類(石油ワックス類);ポリエチレン、(エチレンポリマー類);ポリエチレンホモポリマー類(フィッシャー・トロプシュワックス類);C24〜45アルキルメチコン類(シリコーンワックス類)、いぼた蝋類(Chinese insect waxes)、ライスワックス、木蝋(Japan Wax);及びこれらの混合物から成る群から選択されてよい。蜜蝋、ラノリン蝋、カルナウバ、キャンデリラ、オゾケライト、セレシン、パラフィン類、マイクロクリスタリンワックス類、ポリエチレン、C24〜C45アルキルメチコン類、及びこれらの混合物が最も好ましい。非限定的にはまた、線状及び分枝状C8〜C32脂肪酸類から選択される少なくとも1つの脂肪族鎖を含む動物性、植物性、及び合成由来の油類の触媒作用による水素添加によって得られるワックス類、例えば水素添加ホホバ油、水素添加ヒマワリ油、水素添加ヒマシ油、水素添加ココナツ油、及び水素添加ラノリン油、ヘテレネ社(the company Heterene)により商品名ヘスト(Hest)2T−4Bで販売されているビス(1,1,1−トリメチロールプロパン)テトラステアレートを挙げてもよい。非限定的にはまた、シリコーンワックス類及びフルオロワックス類、及びこれらの混合物を挙げることもできる。
【0076】
繊維類
第2の粒子はまた、マスカラの体積又はまつげを長くすることのいずれかの改善を可能にする繊維類を含んでもよい。用語「繊維」とは、本明細書で使用するとき、長さLが直径Dよりも大きくなるような、長さL及び直径Dの物体を意味し、ここで、Dはこの繊維の断面が内接する円の直径である。例えば、比率L/D(又は形状因子)は少なくとも約3.5:1から又は約5:1からであるが約500:1以下、又は約150:1以下のものであってよい。組成物に使用してよい繊維類は、合成又は天然由来の鉱物及び有機繊維類から選択されてよい。例えば、それらは短く又は長く、個別であり又は編まれるなどして組織化されており、及び中空又は固体である。それらは、意図される具体的な用途に依存して、円形又は多角形(四角形、六角形、又は八角形)断面など、いずれの形状を有していてもよい。例えば、それらの端部は損傷を防ぐために鈍くなされ及び/又は磨かれていてもよい。例えば、繊維類は、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約50ミクロン、又は少なくとも約90ミクロンであるが約100ミクロン以下、約5mm以下、又は約1mm以下の範囲の長さを有していてよい。繊維類の重量又は番手は、デニール又はデシテックスの単位で示されてよく、及び糸9km当たりの重量(g数)を表してよい。一実施形態では、繊維類は少なくとも約0.15、又は少なくとも約0.18であるが約30デニール以下、又は約18デニール以下の番手を有していてよい。
【0077】
本発明の繊維類は、表面で処理されていても又は未処理であってもよく、及びコーティングされていても又はコーティングされていなくてもよい。コーティングされた繊維類が使用される場合、非限定的に、静電気防止効果を提供する場合がある硫化銅でコーティングされたポリアミド繊維類(例えばローディア(Rhodia)からのR−スタット(R-STAT))、又は繊維の特定の組織化(特殊な表面処理)、若しくは色彩効果/ホログラム効果のような表面処理を可能にする場合のある他のポリマー(例えばシルドレックス(Sildorex)からのルレックス(Lurex)繊維)を挙げてよい。
【0078】
組成物はまた、初めは実質的に真っ直ぐであり、分散媒体中に入れられたときに形状において実質的な変化を経験せず、なおもほぼ真っ直ぐで直線状として記述してよい形状を表す、「剛性の」繊維類を含んでいてもよい。剛性の繊維類はポリエステル類、ポリウレタン類、アクリル系ポリマー類、ポリオレフィン類、非芳香族ポリアミド類のようなポリアミド類、及び芳香族ポリイミドアミド類から選択される合成ポリマーの繊維類から選択してよい。
【0079】
例えば、剛性の繊維類は、芳香族ポリイミドアミド繊維類から選択されてよい。さらに例えば、本発明の組成物に使用してよいポリイミドアミドヤーン類又は繊維類は、例えば、R.ピジョン(R. Pigeon)及びP.アラード(P. Allard)著、Chimie Macromo−lCculaire AppliquCe、40141(1974年)、139〜158頁(No.600)からの文書、又は米国特許第3,802,841号、又は文書FR−A−2 079 785、EP−A1−0 360 728及びEP−A−0 549 494に記載されている。
【0080】
実施例1
水中油型マスカラ組成物
【0081】
【表1】

【0082】
手順
相Aを加熱してワックス類を融解させカウルスブレードミキサー(Cowles Blade mixer)を用いて顔料を分散させる。相Bの材料を周囲条件で共に攪拌し、及び相Cの材料を周囲条件で共に攪拌し、次いでそれを相B(ゲル相B)に加え、そしてこの混合物を攪拌し、次に約85℃に加熱する。相A及び相B/Cを共に混合して水中油(ワックス)型エマルションを作製する。混合物を15分間攪拌し、次いで室温まで徐々に冷却する。冷却中に、相D及びEを混合物に加え及び60℃よりも低温で攪拌する。相Fは、スプレー乾燥のような当該技術分野で既知の典型的なプロセスを用いて別個に調整された球状のポリエチレンワックス粒子である。マスカラが約25℃まで冷却されたら、相Fをマスカラに加えて混合する。
【0083】
実施例2
水中油型マスカラ組成物
【0084】
【表2】

【0085】
手順
相Aを加熱してワックス類を融解させカウルスブレードミキサー(Cowles Blade mixer)を用いて顔料を分散させる。相Bの材料を周囲条件で共に攪拌し、及び相Cの材料を周囲条件で共に攪拌し、次いでそれを相B(ゲル相B)に加え、そしてこの混合物を攪拌し、次に約85℃に加熱する。相A及び相B/Cを共に混合して水中油(ワックス)型エマルションを作製する。混合物を15分間攪拌し、次いで室温まで徐々に冷却する。冷却中に、相D及びEを混合物に加え及び60℃よりも低温で攪拌する。相Fは平均直径が40μm及び20μmである球形の中空粒子である。マスカラが約25℃まで冷却されたら、相Fをマスカラに加えて混合する。
【0086】
実施例3
水中油型マスカラ組成物
【0087】
【表3】

【0088】
手順
相Aのワックス類を加熱してワックス類を融解させ、次いで顔料を加え及びワックス中に分散させる。次いでトリエタノールアミンを加えて混ぜ込む。相Bの材料を周囲条件で共に攪拌し、及び次に相Aと同じ温度(約90℃)に加熱する。相A及び相Bを組み合わせて均質になるまで混合する。次いで1分当たり1℃で50℃まで徐々に冷却しながら、相C(相Cは前もって共に予備混合される)を加えて混ぜ込み、続いて相D(前もって予備混合される)を加えて混ぜ込む。混合物を約40℃になるまで混合し、及び次に周囲条件まで徐々に安全冷却させる。工程中、ジメチコンエマルション粒子(小さな<5ミクロンポリマー粒子として出発)が合体して5ミクロンよりも大きなポリマー粒子を形成する。
【0089】
実施例4
水系マスカラ
平板状粒子及び中空粒子を含有するマスカラ:
【0090】
【表4】

【0091】
手順
カルボマーを相A水に少しずつ加え、混合物を攪拌する。相B中の水を約50℃に加熱し、その後、相Bの残りをゆっくりと加えて攪拌する。相Cの材料を相Bに加え引き続き混合する。次に相Aを相B/Cに加えて混ぜ込む。バッチをおよそ周囲温度まで冷却し次いで相Dを加えて混ぜ込む。相Eの材料を均一な混合物へと予備混合し、そしてそれをバッチの残部へと加える。この添加の間に粘度が増粘する。相Fを少しずつ添加し、バッチを攪拌して周囲条件で均質な混合物を製造する。
【0092】
実施例5
無水のマスカラ
コーティングされた中空粒子を有するマスカラ:
【0093】
【表5】

【0094】
相Aの成分を融解させ、及び低剪断攪拌で共に混合する。相Bを相Aに少しずつ添加し、その後高剪断攪拌で分散させる。次に相Cを添加し、高剪断攪拌で混ぜ込む。次に相Dを加え、及び高剪断攪拌で分散させる。バッチを周囲条件へと冷却し、そして相Eを添加して混ぜ込む。
【0095】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈されるべきではない。この文書における用語のあらゆる意味又は定義が、本明細書に参考として組み込まれる文献における用語のあらゆる意味又は定義と対立する範囲内においては、本文書における用語に与えられた意味又は定義が適用される。
【0096】
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明によるブラシの実施形態の側面図。
【図1−A】本発明によるブラシの実施形態の側面図の小部分であり、隣接した突出部の他と異なる間隔を示している。
【図2】線2−2に沿って取られた、図1のブラシの断面図。
【図3】本発明のブラシの被選択突出部の種々の実施形態の斜視図。
【図4】本発明のブラシの被選択突出部の種々の実施形態の斜視図。
【図5】本発明のブラシの被選択突出部の種々の実施形態の斜視図。
【図6】本発明のブラシの被選択突出部の種々の実施形態の斜視図。
【図7】突出部の基部と突出部の端部との中間に窪みを有する突出部の代表的な実施形態の平面図。
【図8】本発明のブラシを射出成形によって作製するために使用できる支持型枠の実施形態の概略的断面図。
【図9】概略的断面図であり、及び図8に示されている型枠の線9−9に沿って取られた部分図であり、及び中に隆起を有する被選択突出部形成チャネルの横断面。
【図10】図9の線10−10に沿って取られた概略的断面図であり、及び突出部形成チャネルの隆起の一実施形態の平面図。
【図11】突出部形成チャネルの一実施形態の概略的斜視図。
【図12】本発明によるブラシの実施形態の側面図であり、鈍角及び鋭角の突出部の混合を示している。
【図13】本発明によるブラシの実施形態の側面図であり、鈍角及び鋭角の突出部の混合を示している。
【図14】本発明によるブラシの実施形態の側面図であり、鈍角での突出部を示している。
【図15】本発明によるブラシの実施形態の側面図であり、鋭角での突出部を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)、(b)及び(c)を組み合わせて含む化粧品系:
(a)長軸A及びそこから伸びている複数個の突出部を有する実質的に長手方向の茎部を含む化粧品アプリケータであって、少なくとも2つの隣接する突出部はその茎部の基部において互いに距離Rだけ離間しており、好ましくは距離Rは0.2mm〜3.0mmであることを特徴とする化粧品アプリケータ;
(b)等価直径が少なくとも5ミクロンである第1の粒子を含み、好ましくは前記第1の粒子は等価直径が50ミクロン未満である、化粧品組成物;及び
(c)皮膚科学的に許容可能なキャリア。
【請求項2】
前記化粧品アプリケータは成形アプリケータであることを特徴とする請求項1に記載の化粧品系。
【請求項3】
前記突出部はほぼ平行な列に配向され、同じ列内の隣接する突出部は長軸Aに対して同じ角度が付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧品系。
【請求項4】
前記第1の粒子は、固体粒子、中空粒子、多孔質粒子、及びこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧品系。
【請求項5】
前記第1の粒子は、液体を吸収するように構造化され、好ましくは前記第1の粒子のうちの少なくとも一部は等価直径で少なくとも5ミクロンまで膨潤するように構築されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の化粧品系。
【請求項6】
前記第1の粒子は、40℃〜150℃の融点を有する少なくとも1種のワックス粒子を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の化粧品系。
【請求項7】
前記化粧品組成物は少なくとも1種の第2の粒子を更に含み、前記第2の粒子の等価直径が1ミクロン〜49ミクロンであり、かつ前記化粧品組成物中で前記第1の粒子の間を詰めるように構築され、好ましくは、前記第2の粒子は球形、楕円形、不規則形、小板形、及びこれらの混合からなる形状から選択され、好ましくは、前記第2の粒子は少なくとも10ミクロン〜200ミクロンの寸法を有する小板形であり、前記第1の粒子と第2の粒子とは異なる大きさであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の化粧品系。
【請求項8】
前記第1の粒子及び/又は前記第2の粒子は、その第1の粒子及び/又は第2の粒子の内部に組み込まれた他の物質を含有することを特徴とする請求項7に記載の化粧品系。
【請求項9】
前記組成物は、無水、水系、水中油型エマルション、油中水型エマルション、シリコーン中水型エマルション、水中シリコーン型エマルション、多重エマルション、及びこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の化粧品系。
【請求項10】
前記化粧品系は、単一包装及び分離した包装から選択される製品として包装されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の化粧品系。
【請求項11】
少なくとも2つの第1の粒子の種類が存在することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の化粧品系。
【請求項12】
以下の(a)、(b)及び(c)を組み合わせて含む化粧品系であって、前記系は(a)と(b)の組み合わせに2次的な被覆として(c)が塗布されるように構築されたことを特徴とする化粧品系:
(a)長軸A及びそこから伸びている複数個の突出部を有する実質的に長手方向の茎部を含む化粧品アプリケータであって、各突出部はその茎部の基部に沿って互いに距離Rだけ離間し、好ましくは距離Rは0.2mm〜3.0mmである化粧品アプリケータ;
(b)皮膚科学的に許容可能なキャリア中に、等価直径が少なくとも5ミクロンである第1の粒子を含む、化粧品組成物;及び
(c)等価直径が少なくとも5ミクロンである第1の粒子を含む化粧品組成物。

【図1】
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【図1−A】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2008−521940(P2008−521940A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544654(P2007−544654)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/019334
【国際公開番号】WO2006/125122
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】