説明

厚み検出装置および検知ローラ

【課題】紙様類の厚みを高精度に検出することが可能な厚み検出装置および検知ローラを提供すること
【解決手段】本発明の厚み検出装置は、基準ローラと、検知ローラと、センサとを具備する。基準ローラは、第1の回転軸を回転中心とする。検知ローラは、基準ローラに押圧され、第1の回転軸と平行に設けられた第2の回転軸を回転中心とする。センサは、第2の回転軸に対する検知ローラの変位を検出する。さらに、検知ローラは、第2の回転軸に固定されたローラ内周部とローラ内周部に支持された円筒形状を有するローラ外周部とを有し、ローラ内周部は、減衰係数tanδが0.2以上0.6以下である弾性材料を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣等の紙葉類の厚みを検出する厚み検出装置および当該厚み検出装置に用いられる検知ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
現金自動預払機(ATM)、現金自動支払機(CD)において、預入される紙幣または支払われる紙幣の枚数確定ならびに紙幣金種および真偽の判定のために、回転駆動される回転ローラと、基準ローラ外輪が押圧され外輪と回転軸との間に充填された弾性部材で接続し従動回転する検知ローラと、基準ローラと検知ローラの間に紙葉類を搬送させて、検知ローラ外輪の変位を磁場変位センサで検出し、その変位量から媒体の凹凸を検出する手段が認知されている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしこの従来技術においては、紙幣端点ではノイズが発生するため厚みデータとして利用できないという問題がある。端点で発生するノイズには大別して媒体搬送方向と、それに垂直な方向との二種類がある。搬送方向に垂直な方向では、媒体の一部のみが検知ローラに掛かると、検知ローラが片浮き状態になり、媒体厚みよりも大きく変位して見えてしまう問題が挙げられる。これに対しては、検知ローラの重心を軸芯方向へ寄せることで片浮き量を小さくする方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
媒体搬送方向のノイズには、媒体突入時の検知ローラ跳ねノイズが挙げられる。媒体突入時の衝撃により、本来は媒体厚みに従動すべき検知ローラが跳ね上がってしまい、検知ローラ変位が不安定な状態となる。これは媒体端点だけでなく、媒体上の異物や凹凸でも起こるが、従来ではこのローラ不安定箇所の厚みデータを捨てるなどの対応がとられており、厚み検出分布を狭める問題となっている。特にATMでは紙幣取扱いを早めるために媒体を高速で搬送しているが、搬送速度が速くなるほど衝撃は大きくなり、将来的に、この問題はますます大きくなることが予想される。また、検知速度を保つ、あるいは向上させるためには、検知ローラが媒体厚みに従動するまでに掛かる時間を短縮させることが不可欠である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−226859号公報
【特許文献2】特開2006−84274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2の厚み検出装置において、検知ローラに紙幣の一部だけが掛かり、検知ローラが片浮き状態となっても紙幣厚みに従動する検知ローラを提供したものとなっている。
【0007】
しかし、媒体搬送方向の端点は検知ローラが媒体厚みにうまく従動せず、厚みデータとして扱えない問題が未解決であった。また、媒体搬送中に発生する振動によって検知ローラの飛び跳ねが起こり、厚み検出精度が悪くなる問題があった。さらに、巧妙な偽札が多数見られるようになり、より緻密な真偽判定が必要となってきている。
【0008】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、紙葉類の厚みを高精度に検出することが可能な厚み検出装置および検知ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明の一形態に係る厚み検出装置は、基準ローラと、検知ローラと、センサとを具備する。
上記基準ローラは、第1の回転軸を回転中心とする。
上記検知ローラは、上記基準ローラに押圧され、上記第1の回転軸と平行に設けられた第2の回転軸を回転中心とする。
上記センサは、上記第2の回転軸に対する上記検知ローラの変位を検出する。
上記検知ローラは、上記第2の回転軸に固定されたローラ内周部と上記ローラ内周部に支持された円筒形状を有するローラ外周部とを有し、上記ローラ内周部は、減衰係数tanδが0.2以上0.6以下である弾性材料を含有する。
【0010】
この構成によれば、基準ローラと検知ローラの間に紙葉類が搬送されると、紙葉類の厚みによってローラ内周部が弾性変形し、ローラ外周部が第2の回転軸に対して変位する。この変位をセンサが検出することにより、紙葉類の厚みが測定される。ローラ内周部の減衰係数tanδを上記範囲とすることにより、ローラ外周部が紙葉類に接触した際の跳ね上げが防止される。また、紙葉類の搬送の際に機械的振動が生じた場合であっても、この振動によるノイズが低減される。即ち、紙葉類の厚みを高精度に検出することが可能となる。
【0011】
上記検知ローラは、上記第2の回転軸方向に複数配置されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、各検知ローラのローラ外周部が第2の回転軸に対して独立に変位するため、紙葉類の厚みの面内分布を検出することが可能となる。これは、例えば、紙幣においてテープ等が貼付された変造券の検出に利用することができる。
【0013】
上記弾性材料は、有機基がメチル基、フェニル基およびビニル基であるポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーンゴムであってもよい。
【0014】
有機基としてメチル基を有するポリオルガノシロキサンはシリコーンゴムとして一般的であり、メチル基およびフェニル基を有するポリオルガノシロキサンは防振効果を有するものである。ビニル基は架橋点であり、その含有率によって減衰係数tanδが変化する。具体的には、ビニル基の比率が多くなると架橋点が増えて硬度が上昇し、減衰係数tanδが低下する。即ち、これらの有機基を有するポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーンゴムにより、減衰係数tanδが上記範囲となる弾性材料を作製することが可能である。
【0015】
上記ポリオルガノシロキサンは、全有機基に対するフェニル基の割合が10モル%以上50モル%以下、ビニル基の割合が0.01モル%以上0.08モル%以下であってもよい。
【0016】
フェニル基およびビニル基の、上記有機基に対する割合を上記範囲とすることにより、減衰係数tanδが0.2以上0.6以下である弾性材料を作製することが可能である。
【0017】
上記弾性材料は、上記ポリオルガノシロキサンに、比表面積100m/g以上350m/g以下の乾式シリカが混合されていてもよい。
【0018】
乾式シリカは、シリコーンゴムの減衰係数tanδを大きくする効果があり、特に比表面積が大きいものが効果的である。一方、比表面積が大きすぎると、シリコーンゴムにベタ付きが生じ加工に不適となる。したがって、上記ポリオルガノシロキサンに上記範囲の比表面積を有する乾式シリカを混合することにより減衰係数tanδを調整することが可能である。
【0019】
上記弾性材料は、上記ポリオルガノシロキサンにさらに、ジフェニルシランジオールまたはジメチルシランジオールが混合されていてもよい。
【0020】
シランジオールは、シリコーンゴムと乾式シリカの相溶性(親和性)を向上させる。特に、上記ポリオルガノシロキサンがメチル基およびフェニル基を有するので、ジメチルシランジオールおよびジフェニルシランジオールが効果的である。したがって、上記ポリオルガノシロキサンにジフェニルシランジオールまたはジメチルシランジオールを混合することにより減衰係数tanδを調整することが可能である。
【0021】
上述の課題を解決するため、本発明の一形態に係る検知ローラは、回転軸を回転中心とする検知ローラであって、上記検知ローラは、上記回転軸に固定されたローラ内周部と上記ローラ内周部に支持された円筒形状を有するローラ外周部とを有し、上記ローラ内周部は、減衰係数tanδが0.2以上0.6以下である弾性材料を含有する。
【0022】
上記検知ローラは、上記回転軸方向に複数配置されていてもよい。
【0023】
上記弾性材料は、有機基がメチル基、フェニル基及びビニル基であるポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーンゴムであってもよい。
【0024】
上記ポリオルガノシロキサンは、全有機基に対するフェニル基の割合が10モル%以上50モル%以下、ビニル基の割合が0.01モル%以上0.08モル%以下であってもよい。
【0025】
上記弾性材料は、上記ポリオルガノシロキサンに、比表面積100m/g以上350m/g以下の乾式シリカが混合されていてもよい。
【0026】
上記弾性材料は、上記ポリオルガノシロキサンにさらに、ジフェニルシランジオール又はジメチルシランジオールが混合されていてもよい。
【0027】
上述の課題を解決するため、本発明の一形態に係る厚み検出装置は、基準ローラと、検知ローラと、センサとを具備する。
上記基準ローラは、第1の回転軸を回転中心とする。
上記検知ローラは、上記基準ローラに押圧され、上記第1の回転軸と平行に設けられた第2の回転軸を回転中心とする。
上記センサは、上記第2の回転軸に対する上記検知ローラの変位を検出する。
上記検知ローラは、上記第2の回転軸に固定されたローラ内周部と上記ローラ内周部に支持された円筒形状を有するローラ外周部とを有し、上記ローラ内周部は、有機基がメチル基、フェニル基及びビニル基であるポリオルガノシロキサンを主成分とし、上記ポリオルガノシロキサンは、全有機基に対するフェニル基の割合が10モル%以上50モル%以下、ビニル基の割合が0.01モル%以上0.08モル%以下であるシリコーンゴム組成物を含有する。
【0028】
上記シリコーンゴム組成物は、上記ポリオルガノシロキサンに、比表面積100m/g以上350m/g以下の乾式シリカと、ジフェニルシランジオール又はジメチルシランジオールと、を混合して形成されてもよい。
【発明の効果】
【0029】
以上のように、本発明によれば、紙葉類の厚みを高精度に検出することが可能な厚み検出装置および検知ローラを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】紙幣搬送装置の内部構成図。
【図2】識別部の内部構成図。
【図3】検知ローラと変位検知センサとの配置関係を示す正面図。
【図4】検知ローラの変位状態の一例を示す要部正面図。
【図5】(a)検知ローラ内蔵の弾性部材の構造説明図。(b)検知ローラの外輪および内蔵する弾性部材の断面図。
【図6】(a)振動減衰機構を持たない場合における、紙幣が検知ローラおよび基準ローラに突入する際の検知ローラ跳ねノイズの説明図。(b)振動減衰機構を持つ場合における、紙幣が検知ローラおよび基準ローラに突入する際の検知ローラ跳ねノイズの説明図。(c)厚み検出値と紙幣厚みの比較説明図。(d)紙幣厚みを検出できない部分の説明図。
【図7】(a)振動減衰機構を持たない場合における、紙幣に異物が付着している際の検知ローラ跳ねノイズの説明図。(b)振動減衰機構を持つ場合における、紙幣に異物が付着している際の検知ローラ跳ねノイズの説明図。(c)厚み検出値と紙幣に付着した異物厚みの比較説明図。(d)紙幣に付着した異物厚みを検出できない部分の説明図。
【図8】本発明の効果を検証した実施例における実験結果を示す説明図。
【図9】(a)本発明の効果を検証した実験結果のゴム硬度結果の説明図。(b)本発明の効果を検証した実験結果の減衰効果結果の説明図。
【図10】(a)フェニルシリコーンに含有されるフェニル基含有量とゴム硬度および減衰係数tanδとの関係を示す図。(b)フェニルシリコーンに含有されるビニル基含有量とゴム硬度および減衰係数tanδとの関係を示す図。
【図11】(a)本発明効果の検証として、減衰係数tanδ=0.4の検知ローラを用いた場合の厚み検出値の実験結果を示す説明図。(b)本発明効果の検証として、減衰係数tanδ=0.2の検知ローラを用いた場合の厚み検出値の実験結果を示す図。(c)本発明効果の検証として、減衰効果不十分な例として減衰係数tanδ=0.15の検知ローラを用いた場合の厚み検出値の実験結果を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1はこの発明の一実施形態であるATMに内部構成される紙幣搬送装置を示し、この紙幣搬送装置において、1は計数した紙幣を一時的に集積する一時保留部、2は紙幣の金種、真偽、向き、損傷の程度を識別する識別部、3a〜3dは紙幣を種類別に集積する収納部、4は識別部2によってリジェクトされた紙幣を収納する回収部、5は入金口20、識別部2、一時保留部1、シャッタ付き出金口21、返却口22をループして紙幣を搬送する上部搬送路、6は上部搬送路5から収納部3a〜3dおよび回収部4の上を経由して再び上部搬送路5へと紙幣を搬送する下部搬送路、7は入金口20から上部搬送路5へと紙幣を搬送する入金口搬送路、8は上部搬送路5からシャッタ付き出金口21へと紙幣を搬送する出金口搬送路、9は上部搬送路5から返却口22へと紙幣を搬送する返却口搬送路、10は上部搬送路5から一時保留部1へと紙幣を搬送する一時保留部収納搬送路、11は一時保留部1から上部搬送路5へと紙幣を搬送する一時保留部繰出搬送路、12a〜12dは下部搬送路6から収納部3a〜3dへと紙幣を搬送する収納部収納搬送路、13a〜13dは収納部3a〜3dから下部搬送路6へと紙幣を搬送する収納部繰出搬送路、14は下部搬送路6から回収部4へと紙幣を搬送する回収部搬送路、15は紙幣が通過するのを検知する通過センサ、16は紙幣を搬送する方向を切り替えるゲート、17は入金口20に紙幣があるか否かを検知する入金口紙幣検知センサ、18はシャッタ付き出金口21に紙幣があるか否かを検知する出金口紙幣検知センサ、19は返却口22に紙幣があるか否かを検知する返却口紙幣検知センサである。
【0032】
図2は識別部2の主要構成を示す概略図である。この識別部2は、ここに導かれた紙幣30を搬送しながら識別する紙幣搬送機構31が備えられている。この紙幣搬送機構31には搬送路幅に架設されて上下に対向する上搬送ローラ23aと下搬送ローラ23bとを備えた搬送ローラ部23が設置されている。これらの上下搬送ローラ23a,23bは図示しない搬送モータからの回転力が伝達されて回転し、ここに紙幣30が横長の水平状態で導かれ、該紙幣30を上下より挟持して1枚ずつ搬送する。また、折れた紙幣や切れた紙幣などの損傷した流通紙幣に対してもスムーズに搬送できるように、重送を可能にした搬送許容性の高い構成を有している。
【0033】
また、識別部2では搬送ローラ部23に続いて、紙幣30の透過量やインクの透過量をチェックするカラーリニアセンサ24と、紙幣30に塗られている磁気インクの磁性を識別する磁気センサ25と、紙幣30の厚み、テープの有無、スレッドなどの凹凸を検知する厚みセンサ26と、上記紙幣搬送機構31での搬送駆動に基づく紙幣30の搬送距離に同期してクロック信号を出力するエンコーダ27と、上記厚みセンサ26の検知データから金種、枚数、真偽を判定する制御部28とが備えられている。したがって、識別部2ではここに導かれてきた紙幣30がどの金種であるかを識別し、さらに真券であるか偽券であるかを識別し、さらに一枚か二枚かもしくは三枚以上の紙幣30であるかを識別して、取引利用される紙幣30を管理している。なお、紙幣搬送機構31は往復どちらの方向から紙幣30が搬送されてきても識別できるように構成されている。
【0034】
次に、識別部2に備えられる厚みセンサ26の具体的な構成について図3を参照して説明する。この厚みセンサ26は、紙幣搬送機構31の搬送駆動系から回転力が伝達される回転軸としての基準ローラ軸37と、この基準ローラ軸37の同一軸方向に狭幅間隔で例えば6個配置される基準ローラ36と、該6個の基準ローラ36に対向して検知ローラ軸38上に配置される6個の検知ローラ34a〜34fと、これらの6個の検知ローラ34a〜34fが基準ローラ36に押し付けられて従動回転する検知ローラ群34と、上記検知ローラ34a〜34f毎に例えば2個ずつ対向させて配置される合計12個の変位検知センサ33a〜33lと、各変位検知センサ33a〜33lのコイルから発生させた磁界が変化することに基づき、上記検知ローラ34a〜34fが弾性変位したローラ変位量を検知する変位検知センサ群33と、該変位検知センサ群33からの入力データを処理するセンサ処理部35とが配置されている。
【0035】
検知ローラ軸38は基準ローラ軸37に平行であり、かつ検知ローラ軸38は基準ローラ軸37に対して相対位置が固定されている。即ち、検知ローラ34a〜34fのローラ変位量は、検知ローラ軸38の変位によるものではなく、検知ローラ34a〜34fの弾性変位量(後述)である。
【0036】
なお、本実施形態において検知ローラ34a〜34fは6個が配置されるものとしており、これにより紙幣の厚みの面内分布を検出することが可能となる。これに対し検知ローラ数を1個ずつとすることも可能であり、この場合、紙幣の厚みの面内分布を検出することはできないが、紙幣の厚みが一様である場合に紙幣の厚みを検出することは可能である。
【0037】
上記基準ローラ36は搬送幅方向に6個配置した例を示したが、1本の長いローラ軸で構成することもできる。図4は厚みセンサ26の一部を拡大して示す要部説明図である。ここでは厚みセンサ26の説明上、上下方向に2つの変位検知センサ33a,33bと検知ローラ34aと基準ローラ36とからなる左検知部と、その右側の上下方向に2つの変位検知センサ33c,33dと検知ローラ34bと基準ローラ36とからなる右検知部との2組を例にとって説明する。
【0038】
上記検知ローラ34a,34bは、金属などの円筒状の部材からなる外輪32aと、その中心軸となる検知ローラ軸38との間に、弾性変形可能な中ゴム39a,39b…を充填して構成している。外輪32aは、例えばSUS304(ステンレス)に硬質クロムメッキを施したものとすることができる。外輪32aの材料はこの他にも、非弾性材料を用いることができる。基準ローラ36は金属で構成され、外周面が変位しない基準面として設けられ、ここに上記検知ローラ34a,34bが対接される。
【0039】
これにより、左右両側の基準ローラ36,36と左右両側の検知ローラ34a,34bとの2組のローラ面間に紙幣30が噛み込まれると、中ゴム39a,39bが紙幣30の厚み分だけ変形して外輪32a,32bが上方向に変位する。この変位量を左側の2つの変位検知センサ33a,33bと右側の2つの変位検知センサ33c,33dとで検知して、紙幣30の厚みに応じた検知信号を出力する。
【0040】
検知信号は、センサ処理部35で信号を処理し、その変位分について、デジタル信号を制御部28に送る。制御部28では、送られてきた紙幣30の厚みデータから紙幣30が二枚以上重なって搬送されていないか、テープ等が貼られた変造券でないか、真券か偽券でないかを判定する。また、1つの検知ローラ34aに対して、両端に2つの変位検知センサ33a,33bを対向させて配置することにより、例えば紙面にテープTAが貼られている場合は(図4参照)、該テープTAの両端部が左右の検知ローラ34a,34bに渡って接触し、該テープTA上を両検知ローラ34a,34bが同時に片乗りして相反する方向に傾くので、検知ローラ34a,34bの変位を検知することができる。
【0041】
図5に検知ローラ34内蔵の中ゴムローラ39a、39bの構造を示す。図5(a)は検知ローラ外観図である。検知ローラ34は検知ローラ回転軸38に外接して中ゴム39が充填されており、回転軸38と中ゴム39は一体となって回転する。中ゴムローラ軸39は二つの歯車形リングからなる中ゴムローラ39a、39bを有し、これら中ゴム39は一体成形されている。さらに中ゴムローラ39a、39bと接して金属外輪32がはめ込まれており、金属外輪32および中ゴムローラを止め輪41で挟みこみ、金属外輪32が検知ローラ回転軸軸方向にずれないように固定している。なお、中ゴムローラ39a、39bの形状は歯車型形状に限られず、円柱型形状とすることも可能である。
【0042】
中ゴム39の弾性材料はゴム硬度が大きくなりすぎると、検知ローラ回転軸38が荷重で曲がってしまう問題がある。これを避けるためには、ゴム硬度(DuroA)30°Hs以下が望ましい。また、高減衰性を持たせ、検知ローラの振動ノイズを減衰させたい。このためには、中ゴム39を構成する弾性材料の減衰係数tanδを0.2以上としている。また、減衰係数tanδが0.6を超えると、中ゴム39のへたりによって検知ローラ34の応答性が悪くなるため、中ゴム39を構成する弾性材料の減衰係数tanδを0.6以下としている。
【0043】
なお、ここでいう減衰性とは検知ローラ外周部である金属外輪32の振動減衰性を指し、振動振幅が小さく振動安定までに要する時間が短い状態を、高減衰性を持つ状態と意味する。振動安定したかどうかについては、検出した厚みにおいて、振動ピークと平均厚みとの差が5μm以下となった状態を振動安定したと判断する。
【0044】
また、ゴム硬度は、JIS K6253に準拠したデュロメータタイプA(DuroA)を用いて温度23℃で測定される値を意味し、減衰係数tanδはJIS K6394に準拠した動的粘弾性測定装置を用いて測定される値を意味する。なお、減衰係数tanδは、初期荷重100g、変位1%、周波数30Hz、温度23℃の条件下で測定する。
【0045】
上述のように、中ゴム39は減衰係数tanδが0.2以上0.6以下である各種弾性材料からなるものとすることができる。その中でも特に、シリコーンゴムがその高い化学的安定性から好適であり、具体的には、メチル基、フェニル基およびビニル基を有するポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーンゴムを用いることができる。
【0046】
有機基としてメチル基を有するポリオルガノシロキサンはシリコーンゴムとして一般的であり、メチル基およびフェニル基を有するポリオルガノシロキサンは防振効果を有するものである。ビニル基は架橋点であり、その含有率によって減衰係数tanδが変化する。具体的には、ビニル基の比率が多くなると架橋点が増えて硬度が上昇し、減衰係数tanδが低下する。これらの有機基を有するポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーンゴムにより、減衰係数tanδが0.2以上0.6以下となる弾性材料を作製することが可能である。
【0047】
具体的には、上記ポリオルガノシロキサンを主成分として、ゴム硬度(DuroA)30°Hs以下、減衰係数tanδが0.2以上0.6以下のシリコーンゴムを作製するためには、次のようにすることができる。
【0048】
まず、ポリオルガノシロキサンは、ケイ素に結合する全有機基に対して、フェニル基の割合が10モル%以上50モル%以下、ビニル基の割合が0.01モル%以上0.08モル%以下であり、残りがメチル基となるように配合する。フェニル基の割合は15モル%以上45モル%以下がさらに好適であり、ビニル基の割合は0.025モル%以上0.08モル%以下がさらに好適である(実施例1、2参照)。
【0049】
また、上記ポリオルガノシロキサンに、乾式シリカを混合することができる。乾式シリカは、シリコーンゴムの減衰係数tanδを大きくする効果があり、特に比表面積が大きいものが効果的である。一方、比表面積が大きすぎると、シリコーンゴムにベタ付きが生じ加工に不適となる。したがって、上記ポリオルガノシロキサンに比表面積100m/g以上350m/g以下の乾式シリカを混合することにより減衰係数tanδを調整することが可能である。乾式シリカの表面積は、130m/g以上300m/g以下がさらに好適である(実施例3参照)。
【0050】
さらに、上記ポリオルガノシロキサンに、ジメチルシランジオールまたはジフェニルシランジオールを混合することができる。シランジオールは、シリコーンゴムと乾式シリカの相溶性(親和性)を向上させる。特に、上記ポリオルガノシロキサンがメチル基およびフェニル基を有するので、ジメチルシランジオールおよびジフェニルシランジオールが効果的である。したがって、上記ポリオルガノシロキサンにジフェニルシランジオールまたはジメチルシランジオールを混合することにより減衰係数tanδを調整することが可能である(実施例4参照)。
【0051】
このようにして作製されたポリオルガノシロキサンをベースポリマーとする弾性材料は、硬化後のゴム硬度(Duro A)が5°以上30°以下、減衰係数tanδが0.2以上0.6以下の範囲となる。
【0052】
中ゴム39が減衰係数tanδが0.2以上の高減衰性を発揮することで、検知ローラ34それぞれが振動減衰機構を有する構造となる。図4を参照して説明する。検知ローラ34a、34bがそれぞれ紙幣30に従動して変位できるようにそれぞれ弾性体からなる中ゴムローラ39a、39bを内蔵していると説明した。この中ゴムローラ39a、39bの形状、材質、充填剤を上述の構成とすることで、検知ローラ34a、34bがそれぞれ弾性体からなる振動減衰機構を内蔵することができ、検知ローラおよび基準ローラの外部におくことなく振動減衰機構を有する構造としている。
【0053】
次に振動減衰機構を持つ場合と持たない場合のノイズの違いを図6の模式図を参照して説明する。図6(a)は本発明の振動減衰機構を持たない場合の媒体搬送時の検知ローラ34の変位、図6(b)は本発明の振動減衰機構がある場合の変位、図6(c)は紙幣30の実際の厚みを示す。検知ローラ34の変位をセンサ処理部35で厚みデータとして処理するため、検知ローラ34の変位は厚みデータに等しい。図6(d)は紙幣30をローラ挟持面から見た図を示す。媒体突入時に検知ローラ34は跳ね上がり、ローラ跳ねノイズ70aが発生する。検知ローラ34は振動しながらノイズ発生時間72aだけ掛かって媒体厚み変位71に収束・従動する。
【0054】
図6(a)に見られるようにローラ跳ねノイズ70aが発生している部分は媒体先端が盛り上がり、なだらかに勾配した形に見えており、実際の媒体厚み30aと異なる厚みが検出されてしまう。本発明の振動機構がある場合の変位は、ない場合に対してローラ跳ねノイズ発生時間72bが短くなっている。同じ搬送速度ならば、ノイズ発生時間が短いほど、検出する紙幣厚みにノイズがのっている長さが短くなることになる。ノイズがのっている部分は厚みデータとして使用しないため、これは厚み検出範囲が拡がることに等しい。
【0055】
異物74のついた紙幣30が搬送されてきたときについて、同様に本発明の振動減衰機構を持つ場合と、本発明の振動減衰機構を持つ場合の検知ローラ34の変位を図7の模式図を用いて説明する。まず異物74とは、紙幣30に本来含まれないものを指す。想定されるものとしては、テープ、ホッチキスの針などである。異物74のついた紙幣30が搬送されると、振動減衰機構を持たない場合、検知ローラの変位は図7(a)のようになる。紙幣30突入時と同じく検知ローラ34の変位が振動し、ローラ跳ねノイズ70cが発生し、ノイズ発生時間72cだけ掛かって振動が収束する。
【0056】
異物74の厚みは、検知ローラ34の振動収束後に検知ローラ34が媒体厚みに従動してはじめて正確に検出できる。本発明の検知ローラの金属外輪それぞれが振動減衰機構を有する場合は、図7(b)のようにローラ跳ねノイズ発生時間72dが短くなり、図7(c)に示す異物74の厚みに対して検知ローラ34が短時間で従動している。図7(d)斜線部の厚みデータを捨てなければならない範囲は、振動減衰機構を持つ場合は小さくなる。
【0057】
検知ローラ34の変位を厚みデータとして検出するための変位検知センサ33として、本実施形態では渦電流磁場変位センサを用いている。あらかじめ検知ローラ34に磁場を印加しておき、検知ローラ金属外輪32が変位するときの磁場の変位を読み取り厚みデータとして検出するものである。磁場の変位検出できるものとしては、MR(磁気抵抗)素子、MI(磁気インピーダンス)素子でもよい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例に基づき、本発明の有効性について検討した結果を述べる。図8にはフェニル基含有シリコーンゴム組成物からなる弾性部材の実験例1〜9および比較例1、ジメチルシリコーン組成物からなる弾性部材を含めた比較例2の各組成比における特性を、互いに比較できるように示した。尚、図8では、実験例1は実−1等と、比較例1は比−1等と示している。
【0059】
また、以下に示す各実施例でのシリコーンゴム組成物は、例えば、主成分として所定量のフェニル基およびビニル基含有シリコーン生ゴムと、所定量のフェニル基またはメチル基を含有するウェッター(ジフェニルシランジオールまたはジメチルシランジオール)と、所定量の乾式シリカとを、混練することで製造した。尚、かかるシリコーンゴム組成物の製造に関しては、例えば、上記主成分以外に耐熱性向上剤、着色剤等を適宜混合しているが、図8では主成分のみを表示している。
【0060】
(実施例1)
実験例1、2および比較例1では、フェニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して比表面積が300m/gの乾式シリカを30質量部、ジフェニルシランジオールを10質量部配合している。この配合において、フェニル基含有シリコーン生ゴムのケイ素に結合する全有機基に対してフェニル基の割合が40モル%、ビニル基の割合が実験例1では0.025モル%、実験例2では0.05モル%、比較例では0.10%の含有量のものを用いて製造し、それぞれ特性を調べた。
【0061】
ビニル基の割合が多いほど硬度が高くなり、また、減衰係数tanδが小さくなるため、減衰効果も低くなり、比較例1のシリコーンゴム組成物からなる弾性部材の特性は、図8に示すようにゴム硬度が40°と、ゴム硬度30°を上回り、減衰係数tanδは0.15と、0.2を下回っていることが確認された。また、ビニル基が0.01モル%では金型から脱型できなくなり、成型物として成り立たなかった。以上のように、実施例1からはビニル基の割合が多くとも0.05モル%以下、少なくとも0.025モル%以上でならば好ましい結果が得られることが分かった。
(実施例2)
【0062】
同様に、実験例2、3、4では実験例2の配合でビニル基の割合が0.05モル%で、それぞれフェニル基の割合を変えた配合で製造し、ゴム特性を確認した。フェニル基の割合が、実験例2では40モル%、実験例3では30モル%、実験例4では15%のものを用いた。さらに実験例2の配合でフェニル基含有シリコーン生ゴムをジメチルシリコーン生ゴムに置き換えたものを比較例2とした。
【0063】
図8に示すように、フェニル基の量が多いほどゴム硬度が高くなり、また、減衰係数tanδが大きくなるため、同じ配合ではフェニル基含有シリコーン生ゴムの方がジメチルシリコーン生ゴムよりも減衰効果が高くなり、比較例2では減衰係数tanδが0.12と、減衰係数tanδ0.2を下回っていることが確認された。以上のように、実施例2からはフェニル基の割合が少なくとも15モル%以上、多くとも40モル%以下ならば好ましい結果が得られることが分かった。
【0064】
(実施例3)
実験例1の配合例において、乾式シリカの比表面積だけを変え、実験例7では比表面積200m/g、実験例8では比表面積130m/gの充填剤を配合して製造した。図8に示すように、比表面積が大きくなるほど乾式シリカとポリマーとの摩擦が大きくなるため、減衰係数tanδは大きくなり、比表面積130m/gでも減衰係数tanδが0.33と、0.2を上回ることを確認した。また、比表面積380m/gでは製造時のベタつきがひどく、加工に適さなかった。以上のように、実施例3からは乾式シリカの比表面積が少なくとも130m/g以上ならば好ましい結果が得られ、加工性の面から多くとも350m/g以下が望ましく、300m/g以下がより望ましい事が分かった。
【0065】
(実施例4)
実験例1の配合例において、乾式シリカの配合量、ジフェニルシランジオールおよびジメチルシランジオールの配合量を変え、実験例5ではフェニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して比表面積が300m/gの乾式シリカを15質量部、ジフェニルシランジオールを5質量部配合した。実験例6では乾式シリカおよびジフェニルシランジオールを混合せずに製造した。実験例9ではフェニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して比表面積が300m/gの乾式シリカを30質量部、ジメチルシランジオールを10質量部配合した。さらに、比較例3ではフェニル基含有シリコーン生ゴム100質量部に対して比表面積が300m/gの乾式シリカを60質量部、ジフェニルシランジオールを20質量部配合した。
【0066】
図8に示すように、乾式シリカおよびジフェニルシランジオールの配合量が少なくなるほどゴム硬度、減衰係数tanδともに小さくなるが、実験例5では減衰係数tanδが0.25、実験例6では減衰係数tanδが0.2と、減衰係数tanδが0.2以上となることを確認した。また、実験例9に示すように、ジフェニルシランジオールに替わりジメチルシランジオールが配合されても、減衰係数tanδが0.28と、減衰係数tanδが0.2以上となることを確認した。比較例3では、ゴム硬度が55°と、ゴム硬度30°を上回ってしまうことを確認した。
【0067】
以上のように、実施例4からは乾式シリカの配合量は多すぎると不適で、多くとも30質量部以下、少なくとも15質量部の範囲で好適な結果が得られることが分かった。また、ジフェニルシランジオールまたはジメチルシランジオールを加えた方が好適な結果が得られるが、多すぎると不適となり、1質量部以上10質量部程度で好ましい結果が得られることが分かった。
【0068】
図9および図10に実験例を整理したグラフを示す。図9(a)は実験例を減衰係数tanδの順に整理したグラフ、図9(b)は実験例をゴム硬度の順に整理したグラフである。さらに図10(a)は配合条件のうち、フェニルシリコーンに含有されるフェニル基の割合だけを変えて、フェニル基含有量によるゴム硬度および減衰係数tanδの変化を表したグラフである。また、図10(b)は配合条件のうち、フェニルシリコーンに含有するビニル基の割合だけを変えて、ビニル基含有量によるゴム硬度および減衰係数tanδの変化を表したグラフである。
【0069】
これらの結果から厚み検出装置用の検知ローラに内蔵の弾性部材を形成するシリコーンゴムについて、ゴム硬度が30°以下かつ減衰係数tanδが0.2以上となるような配合条件を、有機基がメチル基、フェニル基及びビニル基であるポリオルガノシロキサンを主成分とし、ポリオルガノシロキサンは、全有機基に対するフェニル基の割合が10モル%以上50モル%以下、ビニル基の割合が0.01モル%以上0.08モル%以下とし、ポリオルガノシロキサンに、比表面積100m/g以上350m/g以下の乾式シリカを混合し、ポリオルガノシロキサンに、ジフェニルシランジオール又はジメチルシランジオールを混合することと定める。
【0070】
また、かかる配合条件において、ゴム硬度が30°以下となる配合条件のうち、減衰係数tanδが0.4と最も大きい実験例1の配合を最適条件とする。図11に本実施例に基づく厚み検出装置において、厚みが100μmの媒体を搬送し厚み検出した結果を示す。なお、基準ローラ36に対する検知ローラ34の押し付け量を0.2mmとし、また、媒体の突入速度を1600mm/secとした。
【0071】
図11(a)が最適条件による厚み検出装置の上記弾性部材を用いた実験結果、図11(b)が実験例6の配合で製造した弾性部材を用いた実験結果、図11(c)が比較例1の配合で製造した弾性部材を用いた実験結果である。グラフ縦軸が厚み検出値、横軸が媒体厚み検出距離である。
【0072】
媒体が検知ローラおよび基準ローラに突入し、媒体厚みを検出し始めた直後は、厚み検出値が実際の媒体厚みより大きくなっている。これが振動ノイズである。この振動ノイズを、最適条件と比較例1で比較する。最適条件では、振動ノイズ振幅および媒体厚み検出距離(振動ノイズ発生時間)ともに減少できており、振動ノイズ振幅は約69%減少、媒体厚み検出距離(振動ノイズ発生時間)は約75%減少となった。
【0073】
また、上記振動ノイズを、実験例6と比較例1で比較する。振動ノイズ振幅は約38%減少、媒体厚み検出距離(振動ノイズ発生時間)は約61%減少となった。以上の結果から、本実施例に基づく検知ローラが、厚み検出装置において媒体突入時の振動ノイズを減じるために有効であることが確認された。
【0074】
このように、実験例6(減衰係数tanδ=0.2)の場合であっても、媒体厚み検出距離(振動ノイズ発生時間)は比較例1と比較して約61%減少しているため、主に媒体厚み検出距離(振動ノイズ発生時間)の短縮化の観点から、本発明においては、減衰係数tanδを0.2以上と規定した。
【符号の説明】
【0075】
2・・・識別部
26・・・厚みセンサ
27・・・エンコーダ
28・・・制御部
30・・・紙幣
32…検知ローラ金属外輪
33 ・・・変位検知センサ
34・・・検知ローラ
35・・・センサ処理部
36・・・基準ローラ
37・・・基準ローラ回転軸
38・・・検知ローラ回転軸
39・・・弾性部材軸
41・・・検知ローラ止め輪
70・・・検知ローラ跳ねノイズ
71・・・紙幣厚み検出値
72・・・検知ローラ跳ねノイズ発生時間
73・・・異物厚み検出値
74・・・異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転軸を回転中心とする基準ローラと、
前記基準ローラに押圧され、前記第1の回転軸と平行に設けられた第2の回転軸を回転中心とする検知ローラと、
前記第2の回転軸に対する前記検知ローラの変位を検出するセンサと、
を有する厚み検出装置であって、
前記検知ローラは、前記第2の回転軸に固定されたローラ内周部と前記ローラ内周部に支持された円筒形状を有するローラ外周部とを有し、
前記ローラ内周部は、減衰係数tanδが0.2以上0.6以下である弾性材料を含有することを特徴とする厚み検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の厚み検出装置であって、
前記検知ローラが前記第2の回転軸方向に複数配置されていることを特徴とする厚み検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の厚み検出装置であって、
前記弾性材料は、有機基がメチル基、フェニル基及びビニル基であるポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーンゴムであることを特徴とする厚み検出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の厚み検出装置であって、
前記ポリオルガノシロキサンは、全有機基に対するフェニル基の割合が10モル%以上50モル%以下、ビニル基の割合が0.01モル%以上0.08モル%以下であることを特徴とする厚み検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の厚み検出装置であって、
前記弾性材料は、前記ポリオルガノシロキサンに、比表面積100m/g以上350m/g以下の乾式シリカが混合されていることを特徴とする厚み検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の厚み検出装置であって、
前記弾性材料は、前記ポリオルガノシロキサンにさらに、ジフェニルシランジオール又はジメチルシランジオールが混合されていることを特徴とする厚み検出装置。
【請求項7】
回転軸を回転中心とする検知ローラであって、
前記検知ローラは、前記回転軸に固定されたローラ内周部と前記ローラ内周部に支持された円筒形状を有するローラ外周部とを有し、
前記ローラ内周部は、減衰係数tanδが0.2以上0.6以下である弾性材料を含有することを特徴とする検知ローラ。
【請求項8】
請求項7に記載の検知ローラが
前記回転軸方向に複数配置されていることを特徴とする検知ローラ。
【請求項9】
請求項8に記載の検知ローラであって、
前記弾性材料は、有機基がメチル基、フェニル基及びビニル基であるポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーンゴムであることを特徴とする検知ローラ。
【請求項10】
請求項9に記載の検知ローラであって、
前記ポリオルガノシロキサンは、全有機基に対するフェニル基の割合が10モル%以上50モル%以下、ビニル基の割合が0.01モル%以上0.08モル%以下であることを特徴とする検知ローラ。
【請求項11】
請求項10に記載の検知ローラであって、
前記弾性材料は、前記ポリオルガノシロキサンに、比表面積100m/g以上350m/g以下の乾式シリカが混合されていることを特徴とする検知ローラ。
【請求項12】
請求項11に記載の検知ローラであって、
前記弾性材料は、前記ポリオルガノシロキサンにさらに、ジフェニルシランジオール又はジメチルシランジオールが混合されていることを特徴とする検知ローラ。
【請求項13】
第1の回転軸を回転中心とする基準ローラと、
前記基準ローラに押圧され、前記第1の回転軸と平行に設けられた第2の回転軸を回転中心とする検知ローラと、
前記第2の回転軸に対する前記検知ローラの変位を検出するセンサと、
を有する厚み検出装置であって、
前記検知ローラは、前記第2の回転軸に固定されたローラ内周部と前記ローラ内周部に支持された円筒形状を有するローラ外周部とを有し、
前記ローラ内周部は、有機基がメチル基、フェニル基及びビニル基であるポリオルガノシロキサンを主成分とし、
前記ポリオルガノシロキサンは、全有機基に対するフェニル基の割合が10モル%以上50モル%以下、ビニル基の割合が0.01モル%以上0.08モル%以下であるシリコーンゴム組成物を含有することを特徴とする厚み検出装置。
【請求項14】
請求項13に記載の厚み検出装置であって、
前記シリコーンゴム組成物は、前記ポリオルガノシロキサンに、比表面積100m/g以上350m/g以下の乾式シリカと、ジフェニルシランジオール又はジメチルシランジオールと、を混合して形成されることを特徴とする厚み検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−246107(P2012−246107A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119789(P2011−119789)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【出願人】(000136354)株式会社フコク (97)
【Fターム(参考)】