厚み計測装置および厚み計測方法
【課題】一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測装置および厚み計測方法において、薄膜の光学的特性に影響されることなく、基材の厚みを高精度に計測する。
【解決手段】対物レンズ455の合焦位置FPを、ブランケットBLの下面BLtよりも下方位置Zminから上面BLfよりも上方位置Zmaxまで、一定の刻みΔZでステップ的に上昇させながらその都度撮像を行う。撮像位置と受光強度との関係において、ブランケットBLの上面BLfおよび下面BLtに対応するピーク間の距離から、ブランケットBLの厚みDzを求める。
【解決手段】対物レンズ455の合焦位置FPを、ブランケットBLの下面BLtよりも下方位置Zminから上面BLfよりも上方位置Zmaxまで、一定の刻みΔZでステップ的に上昇させながらその都度撮像を行う。撮像位置と受光強度との関係において、ブランケットBLの上面BLfおよび下面BLtに対応するピーク間の距離から、ブランケットBLの厚みDzを求める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測装置および厚み計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの製造技術において、互いに対向配置された2枚の平板状部材をそれらの相対位置を精密に調整した上で重ね合わせる技術がある。例えば特許文献1に記載の技術では、樹脂を塗布したガラス基板を真空吸着保持しておき、転写対象であるモールドとの間を負圧に維持しつつ、ガラス基板に対する吸着力を順次弱めていくことで、ガラス基板をモールドに押し付けてパターン転写を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−134368号公報(例えば、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような技術においては、パターン転写を優れた位置精度で行うためには、両部材間のギャップを厳密に管理することが重要であり、この点において、部材の厚みを精度よく求めることのできる技術が求められる。例えばレーザー変位計を用いることにより、高精度な厚み計測を実現する技術が種々提案されている。しかしながら、計測対象物の光学的特性により、レーザー変位計による計測が不可能な場合がある。例えば対象物の一方面に光学的に不透明な膜が形成されている場合である。このような場合に精度よく部材の厚みを計測する技術については、これまで確立されるに至っていない。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測装置および厚み計測方法において、薄膜の光学的特性に影響されることなく、基材の厚みを高精度に計測することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一の態様は、一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測装置において、上記目的を達成するため、前記基材を保持する保持手段と、前記基材の前記一方主面とは反対の他方主面側に設けられ、しかも前記他方主面と直交する方向を光軸方向とする撮像手段と、前記基材に対し、前記撮像手段を前記光軸方向に相対移動させる移動手段と、前記撮像手段の撮像結果に基づき前記基材の厚みを求める厚み導出手段とを備え、前記移動手段は、前記光軸方向において前記基材の前記一方主面よりも遠い位置および前記他方主面よりも近い位置を共に含む範囲で前記撮像手段の合焦位置を多段階に変更設定し、その都度前記撮像手段が撮像した複数の画像間の画像コントラストまたは画像濃度の変化に基づいて、前記厚み導出手段が前記基材の厚みを導出することを特徴としている。
【0007】
また、この発明の他の態様は、一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測方法において、上記目的を達成するため、前記基材の前記一方主面と反対側の他方主面側に、前記他方主面と直交する方向を光軸方向として撮像手段を配置する配置工程と、前記基材に対して相対的に、前記撮像手段を前記光軸方向に多段階に移動位置決めしながら、各位置で前記撮像手段により前記基材を撮像する撮像工程と、撮像した画像に基づいて前記基材の厚みを求める厚み導出工程とを備え、前記撮像工程では、前記光軸方向において前記基材の前記一方主面よりも遠い位置と、前記他方主面よりも近い位置とを含む範囲で前記撮像手段の合焦位置を移動させ、前記厚み導出工程では、撮像した複数の画像間の画像コントラストまたは画像濃度の変化に基づいて前記基材の厚みを求めることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、薄膜が形成された透明基材の薄膜形成面(一方主面)とは反対側の他方主面側から基材を撮像し、得られた画像に基づいて基材の厚み計測を行う。具体的には、基材に対し相対的に、基材の厚み方向と直交する方向に撮像手段を移動させ撮像を行う。このとき、撮像手段の合焦位置の移動範囲を、基材の両主面を共に含んだものとする。
【0009】
基材は透明であるため、その内部に合焦位置があるときには撮像結果に特定の構造は現れないと考えられる一方、一方主面および他方主面に焦点が合った状態では、表面の微細な構造や表面に接する物質との屈折率の違い等に起因して、基材内部を撮像したものとは異なる光学的特徴を有する画像が得られる。したがって、厚み方向に合焦位置を変えて撮像した複数の画像からこのような特徴的な画像が現れる間隔を把握して、基材の厚みを求めることができる。これは基材の一方主面に形成された薄膜が光透過性を有しないものであっても同じである。そして、基材に対する撮像手段の位置決め精度および画像処理の内容を適宜に設定することで高精度な厚み計測が可能であり、特に被写界深度が浅い光学系を有する撮像手段を用いると、厚み方向における分解能の高さから高い計測精度が得られる。
【0010】
具体的には、例えば、光軸方向位置に対する画像コントラストまたは画像濃度の変化におけるピーク位置に基づいて、基材の厚みを導出することができる。基材のいずれかの主面に存在する光学的な構造の像は、合焦位置が当該主面にあるときに画像コントラストが最大となる。画像濃度についても同様である。そのため、厚み方向の位置に対して画像コントラストまたは画像濃度をプロットすると、合焦位置が一方主面、他方主面にそれぞれ一致するときに対応する2つのピークが現れる。これらのピーク間の間隔が、基材の厚みを示すものとなる。
【0011】
また例えば、撮像手段の合焦位置を変更設定する際、基材に対する撮像手段の相対移動方向を一定とするようにしてもよい。こうすることで、基材と撮像手段との相対位置を調整するための機構におけるバックラッシュにより、計測精度が低下するのを効果的に防止することが可能である。
【0012】
また、この発明にかかる厚み計測装置では、例えば、保持手段は、表面が平坦な基材保持面となった保持ステージを有し、該保持ステージの基材保持面に基材の他方主面を当接させて基材を保持するようにしてもよい。このような構成では、単独では姿勢を保持しにくい薄い基材や柔軟性を有する基材についても、基材保持面に当接させて姿勢を保持することにより、安定して計測を行うことができる。
【0013】
さらに例えば、保持ステージの少なくとも一部が透明窓となっており、撮像手段が保持ステージを挟んで基材とは反対側に設けられて、透明窓に望む基材を透明窓を介して撮像するようにしてもよい。こうすることで、基材の姿勢をさらに安定させて、安定的な計測が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、基材の主面のうち、薄膜が形成された一方主面とは反対の他方主面から、該他方主面と直交する方向に位置を変えて撮像した複数の画像に基づき基材の厚みを求めるので、例えば薄膜が光透過性を有しない場合であっても基材の厚みを精度よく求めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる印刷装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1の印刷装置に装備される搬送部を示す斜視図である。
【図4】図1の印刷装置に装備される上ステージ部を示す斜視図である。
【図5】図1の印刷装置に装備されるアライメント部および下ステージ部を示す斜視図である。
【図6】アライメント部の撮像部を示す斜視図である。
【図7】下ステージ部に装備されるリフトピン部を示す図である。
【図8】図1の印刷装置に装備される押さえ部を示す図である。
【図9】図1の印刷装置に装備されるプリアライメント部を示す斜視図である。
【図10】図1の印刷装置に装備される除電部を示す斜視図である。
【図11】図1の印刷装置の全体動作を示すフローチャートである。
【図12】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図13】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図14】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図15】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図16】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図17】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図18】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図19】精密アライメントのための撮像部の構成およびその動作を示す図である。
【図20】この実施形態におけるブランケット厚み計測の原理を示す図である。
【図21】この実施形態におけるブランケット厚み計測動作を示すフローチャートである。
【図22】この動作によりブランケット厚みを求める方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここでは、まず本発明にかかる転写装置の一実施形態としての印刷装置の全体構成を説明した後、装置各部の構成および動作を詳しく説明する。この実施形態は基板表面に所定のパターンを転写により形成する転写装置であってその一部に本発明にかかる厚み計測技術が適用されたものであるが、以下に説明するように、版PPを用いてブランケットBL上に所定パターンのパターニングを行い、これを基板SBに転写するという印刷技術と同様のプロセスを採用していることから、本明細書ではこの装置を「印刷装置」と称している。
【0017】
A.装置の全体構成
図1は、本発明にかかる印刷装置の一実施形態を示す斜視図であり、装置内部の構成を明示するために、装置カバーを外した状態の装置構成を図示している。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この印刷装置100は、装置の左側面側より装置内部に搬入される版の下面に対して、装置の正面側より装置内部に搬入されるブランケットの上面を密着させた後で剥離することで、版の下面に形成されたパターンによりブランケット上の塗布層をパターニングしてパターン層を形成する(パターニング処理)。また、印刷装置100は、装置の右側面側より装置内部に搬入される基板の下面に対して、パターニング処理されたブランケットの上面を密着させた後で剥離することで、そのブランケットに形成されたパターン層を基板の下面に転写する(転写処理)。なお、図1および後で説明する各図では、装置各部の配置関係を明確にするために、版および基板の搬送方向を「X方向」とし、図1の右手側から左手側に向かう水平方向を「+X方向」と称し、逆方向を「−X方向」と称する。また、X方向と直交する水平方向のうち、装置の正面側を「+Y方向」と称するとともに、装置の背面側を「−Y方向」と称する。さらに、鉛直方向における上方向および下方向をそれぞれ「+Z方向」および「−Z方向」と称する。
【0018】
この印刷装置100では、バネ方式の除振台11の上に本体ベース12が載置され、さらに本体ベース12上に石定盤13が取り付けられている。また、この石定盤13の上面中央に2本のアーチ状フレーム14L、14Rが互いにX方向に離間しながら立設されている。これらのアーチ状フレーム14L、14Rの(−Y)側上端部には、2本の水平プレート15が連結されて第1フレーム構造体が構成されている。また、この第1フレーム構造体により覆われるように、第2フレーム構造体が石定盤13の上面に設けられている。より詳しくは、図1に示すように、各アーチ状フレーム14L、14Rの直下位置でフレーム14L、14Rよりも小型のアーチ状フレーム16L、16Rが石定盤13に立設されている。また、X方向に延設される複数の水平プレート17が各フレーム16L、16Rで柱部位同士を接続し、またY方向に延設される複数の水平プレート17がフレーム16L、16R同士を接続している。
【0019】
このように構成されたフレーム構造体の間では、フレーム14L、16Lの梁部位の間、ならびにフレーム14R、16Rの梁部位の間に搬送空間が形成されており、当該搬送空間を介して版及び基板を水平姿勢に保持した状態で搬送可能となっている。本実施形態では、第2フレーム構造体の後側、つまり(−Y)側に搬送部2が設けられて版および基板をX方向に搬送可能となっている。
【0020】
また、第1フレーム構造体を構成する水平プレート15に対して上ステージ部3が固定されて搬送部2により搬送される版および基板の上面を吸着保持可能となっている。つまり、搬送部2の版用シャトルによって版が図1の左手側から搬送空間を介して上ステージ部3の直下位置に搬送された後、上ステージ部3の吸着プレートが下降して版を吸着保持する。逆に、版用シャトルが上ステージ部3の直下位置に位置した状態で版を吸着した吸着プレートが吸着を解除すると、版が搬送部2に移載される。こうして、搬送部2と上ステージ部3との間で、版の受渡しが行われる。
【0021】
また、基板についても版と同様にして上ステージ部3に保持される。すなわち、搬送部2の基板用シャトルによって基板が図1の右手側から搬送空間を介して上ステージ部3の直下位置に搬送された後、上ステージ部3の吸着プレートが下降して基板を吸着保持する。逆に、基板用シャトルが上ステージ部3の直下位置に位置した状態で基板を吸着した上ステージ部3の吸着プレートが吸着を解除すると、基板が搬送部2に移載される。こうして、搬送部2と上ステージ部3との間で、基板の受渡しが行われる。
【0022】
上ステージ部3の鉛直方向の下方(以下「鉛直下方」あるいは「(−Z)方向」という)では、石定盤13の上面にアライメント部4が配置されている。そして、アライメント部4のアライメントステージ上に下ステージ部5が載置されて下ステージ部5の上面が上ステージ部3の吸着プレートと対向している。この下ステージ部5の上面はブランケットを吸着保持可能となっており、制御部6がアライメントステージを制御することで下ステージ部5上のブランケットを高精度に位置決め可能となっている。
【0023】
このように、本実施形態では、上ステージ部3と下ステージ部5とが鉛直方向Zにおいて互いに対向配置されている。そして、それらの間に、下ステージ部5上に載置されるブランケットを上方より押さえる押さえ部7と、版、基板およびブランケットのプリアライメントを行うプリアライメント部8とがそれぞれ配置され、第2フレーム構造体に固定されている。
【0024】
プリアライメント部8では、プリアライメント上部およびプリアライメント下部が鉛直方向Zに2段で積層配置されている。このプリアライメント上部は上ステージ部3の吸着プレートの直下位置に位置決めされた版用シャトルに保持される版にアクセスして版用シャトル上で版の位置合せを行う(版のプリアライメント処理)。また、吸着プレートの直下位置に位置決めされた基板用シャトルに保持される基板SBにアクセスして基板用シャトル上で基板の位置合せを行う(基板のプリアライメント処理)。さらに、プリアライメント下部は下ステージ部5の吸着プレート上に載置されたブランケットにアクセスして当該吸着プレート上でブランケットの位置合せを行う(ブランケットのプリアライメント処理)。
【0025】
ブランケット上のパターン層を基板に精密に転写するためには、基板のプリアライメント処理以外に、精密なアライメント処理が必要となる。このため、本実施形態では、アライメント部4は4台のCCD(Charge Coupled Device)カメラCMa〜CMdを有しており、各CCDカメラCMa〜CMdにより上ステージ部3に保持される基板と、下ステージ部5に保持されるブランケットとの各々に形成されるアライメントマークを読み取り可能となっている。そして、CCDカメラCMa〜CMdによる読取画像に基づいて制御部6がアライメントステージを制御することで、上ステージ部3で保持される基板に対し、下ステージ部5で吸着されるブランケットを精密に位置合せすることが可能となっている。
【0026】
また、ブランケット上のパターン層を基板に転写した後、ブランケットを基板から剥離するが、その剥離段階で静電気が発生する。また、版によりブランケット上の塗布層をパターニングした後、ブランケットを版から剥離した際にも、静電気が発生する。そこで、本実施形態では、静電気を除電するために、除電部9が設けられている。この除電部9は、第1フレーム構造体の左側、つまり(+X)側より上ステージ部3と下ステージ部5で挟まれた空間に向けてイオンを照射するイオナイザ91を有している。
【0027】
なお、図1への図示を省略しているが、装置カバーのうち(+X)側カバーには版を搬入出するための開口が設けられるとともに、版用開口を開閉する版用シャッター(後の図13中の符号18)が設けられている。そして、制御部6のバルブ制御部64が版用シャッター駆動シリンダCL11に接続されるバルブの開閉を切り替えることで、版用シャッター駆動シリンダCL11を作動させて版用シャッターを開閉駆動する。なお、この実施形態では、シリンダCL11を駆動するための駆動源として加圧エアーを用いており、その正圧供給源として工場の用力を用いているが、装置100がエアー供給部を装備し、当該エアー供給部によりシリンダCL11を駆動するように構成してもよい。この点については、後で説明するシリンダについても同様である。
【0028】
また、本実施形態では、(−X)側カバーおよび(+Y)側カバーにも、それぞれ基板およびブランケットを搬入出するための開口が設けられるとともに、基板用開口に対して基板用シャッター(後の図13中の符号19)およびブランケット用開口に対してブランケット用シャッター(図示省略)がそれぞれ設けられている。そして、バルブ制御部64によるバルブ開閉により基板用シャッター駆動シリンダCL12およびブランケット用シャッター駆動シリンダCL13がそれぞれ開閉駆動される。
【0029】
このように、本実施形態では、3つのシャッターと3つのシャッター駆動シリンダCL11〜CL13によりシャッター部10が構成されており、版、基板およびブランケットをそれぞれ独立して印刷装置100に対して搬入出可能となっている。なお、本実施形態では、図1への図示を省略しているが、版の搬入出のために版用搬入出ユニットが装置100の左手側に並設されるとともに、基板の搬入出のために基板用搬入出ユニットが装置100の右手側に並設されているが、版を搬送するための搬送ロボット(図示省略)が直接的に搬送部2の版用シャトルにアクセスして版の搬入出を行うように構成してもよく、この場合、版用搬入出ユニットの設置は不要となる。この点に関しては、基板側でも同様である。つまり、基板を搬送するための搬送ロボット(図示省略)が直接的に搬送部2の基板用シャトルにアクセスして基板の搬入出を行うように構成することで、基板用搬入出ユニットの設置は不要となる。
【0030】
一方、本実施形態では、ブランケットの搬入出については、ブランケットを搬送するための搬送ロボットを用いて行っている。すなわち、当該搬送ロボットが下ステージ部5に対してアクセスして処理前のブランケットを直接的に搬入し、また使用後のブランケットを受け取り搬出する。もちろん、版や基板と同様に、専用の搬入出ユニットを装置正面側に配置してもよいことは言うまでもない。
【0031】
B.装置各部の構成
B−1.搬送部2
図3は図1の印刷装置に装備される搬送部を示す斜視図である。この搬送部2は、鉛直方向Zに延設された2本のブラケット21L、21Rを有している。図1に示すように、ブラケット21Lは左側フレーム14Lの後側柱部位の左隣で石定盤13の上面より立設され、ブラケット21Rは右側フレーム14Rの後側柱部位の右隣で石定盤13の上面より立設されている。そして、図3に示すように、これら2本のブラケット21L、21Rの上端部を互いに連結するようにボールねじ機構22が左右方向、つまりX方向に延設されている。このボールねじ機構22においては、ボールねじ(図示省略)がX方向に延びており、その一方端には、シャトル水平駆動用のモータM21の回転軸(図示省略)が連結されている。また、ボールねじの中央部に対して2つのボールねじブラケット23、23が螺合されるとともに、それらのボールねじブラケット23、23の(+Y)側面に対してX方向に延設されたシャトル保持プレート24が取り付けられている。
【0032】
このシャトル保持プレート24の(+X)側端部に版用シャトル25Lが鉛直方向Zに昇降可能に設けられる一方、(−X)側端部に基板用シャトル25Rが鉛直方向Zに昇降可能に設けられている。これらのシャトル25L、25Rは、ハンドの回転機構を除き、同一構成を有しているため、ここでは、版用シャトル25Lの構成を説明し、基板用シャトル25Rについては同一符号または相当符号を付して構成説明を省略する。
【0033】
シャトル25Lは、X方向に版PPの幅サイズ(X方向サイズ)と同程度、あるいは若干長く延びる昇降プレート251と、昇降プレート251の(+X)側端部および(−X)側端部からそれぞれ前側、つまり(+Y)側に延設された2つの版用ハンド252、252とを有している。昇降プレート251はボールねじ機構253を介してシャトル保持プレート24の(+X)側端部に昇降可能に取り付けられている。すなわち、シャトル保持プレート24の(+X)側端部に対し、ボールねじ機構253が鉛直方向Zに延設されている。このボールねじ機構253の下端には、版用シャトル昇降モータM22Lに回転軸(図示省略)が連結されている。また、ボールねじ機構253に対してボールねじブラケット(図示省略)が螺合されるとともに、そのボールねじブラケットの(+Y)側面に対して昇降プレート251が取り付けられている。このため、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて版用シャトル昇降モータM22Lが作動することで、昇降プレート251が鉛直方向Zに昇降駆動される。
【0034】
各ハンド252、252の前後サイズ(Y方向サイズ)は版PPの長さサイズ(Y方向サイズ)よりも長く、各ハンド252、252の先端側(+Y側)で版PPを保持可能となっている。
【0035】
また、こうして版用ハンド252、252で版PPが保持されたことを検知するために、昇降プレート251の中央部から(+Y)側にセンサブラケット254が延設されるとともに、センサブラケット254の先端部に版検知用のセンサSN21が取り付けられている。このため、両ハンド252上に版PPが載置されると、センサSN21が版PPの後端部、つまり(−Y)側端部を検知し、検知信号を制御部6に出力する。
【0036】
さらに、各版用ハンド252、252はベアリング(図示省略)を介して昇降プレート251に取り付けられ、前後方向(Y方向)に延びる回転軸YA2を回転中心として回転自在となっている。また、昇降プレート251のX方向両端には、回転アクチュエータRA2、RA2が取り付けられている。これらの回転アクチュエータRA2、RA2は加圧エアーを駆動源として動作するものであり、加圧エアーの供給経路に介挿されたバルブ(図示省略)の開閉により180゜単位で回転可能となっている。このため、制御部6のバルブ制御部64による上記バルブの開閉を制御することで、版用ハンド252、252の一方主面が上方に向いてパターニング前の版PPを扱うのに適したハンド姿勢(以下「未使用姿勢」という)と、他方主面が上方を向いてパターニング後の版PPを扱うのに適したハンド姿勢(以下「使用済姿勢」という)との間で、ハンド姿勢を切替え可能となっている。このようにハンド姿勢の切替え機構を有している点が、版用シャトル25Lが基板用シャトル25Rと唯一相違する点である。
【0037】
次に、シャトル保持プレート24に対する版用シャトル25Lおよび基板用シャトル25Rの取り付け位置について説明する。この実施形態では、図3に示すように、版用シャトル25Lおよび基板用シャトル25Rは、版PPや基板SBの幅サイズ(なお実施形態では、版PPと基板SBの幅サイズは同一である)よりも長い間隔だけX方向に離間してシャトル保持プレート24に取り付けられている。そして、シャトル水平駆動モータM21の回転軸を所定方向に回転させると、両シャトル25L、25Rは上記離間距離を保ったままX方向に移動する。例えば図3では、符号XP23が上ステージ部3の直下位置を示しており、シャトル25L、25Rは、位置XP23からそれぞれ(+X)方向および(−X)方向に等距離(この距離を「ステップ移動単位」という)だけ離れた位置XP22、XP24に位置している。なお、本実施形態では、図3に示す状態を「中間位置状態」と称する。
【0038】
また、この中間位置状態からシャトル水平駆動モータM21の回転軸を所定方向に回転させてシャトル保持プレート24をステップ移動単位だけ(+X)方向に移動させると、基板用シャトル25Rが(+X)方向に移動して上ステージ部3の直下位置XP23まで移動して位置決めされる。このとき、版用シャトル25Lも一体的に(+X)方向に移動して版用搬入出ユニットに近接した位置XP21に位置決めされる。
【0039】
逆に、シャトル水平駆動モータM21の回転軸を所定方向と逆の方向に回転させてシャトル保持プレート24をステップ移動単位だけ(−X)方向に移動させると、版用シャトル25Lが中間位置状態から(−X)方向に移動して上ステージ部3の直下位置XP23まで移動して位置決めされる。このとき、基板用シャトル25Rも一体的に(−X)方向に移動して基板用搬入出ユニットに近接した位置XP25に位置決めされる。このように、本明細書では、X方向におけるシャトル位置として5つの位置XP21〜XP25が規定されている。つまり、版受渡し位置XP21は、版用シャトル25Lが位置決めされる3つの位置XP21〜XP23のうち最も版用搬入出ユニットに近接位置であり、版用搬入出ユニットとの間で版PPの搬入出が行われるX方向位置を意味している。この基板受渡し位置XP25は、基板用シャトル25Rが位置決めされる3つの位置XP23〜XP25のうち最も基板用搬入出ユニットに近接位置であり、基板用搬入出ユニットとの間で基板SBの搬入出が行われるX方向位置を意味している。また、位置XP23は上ステージ部3の吸着プレート37が鉛直方向Zに移動して版PPや基板SBを吸着保持するX方向位置を意味しており、版用シャトル25LがX方向位置XP23に位置している際には、当該位置XP23を「版吸着位置XP23」と称する一方、基板用シャトル25RがX方向位置XP23に位置している際には、当該位置XP23を「基板吸着位置XP23」と称する。また、このようにシャトル25L、25Rにより版PPや基板SBを搬送する鉛直方向Zでの位置、つまり高さ位置を「搬送位置」と称する。
【0040】
また、本実施形態では、パターニング時での版PPとブランケットとのギャップ量、ならびに転写時での基板SBとブランケットとのギャップ量を正確に制御するため、版PPおよび基板SBの厚みを計測する必要がある。そこで、版厚み計測センサSN22および基板厚み計測センサSN23が設けられている。
【0041】
より具体的には、図3に示すように、前側、(+Y)側に延設されたセンサブラケット26Lが左側ブラケット21Lに取り付けられてセンサブラケット26Lの先端部が位置XP21に位置決めされる版PPの上方まで延びている。そして、センサブラケット26Lの先端部に対し、版厚み計測センサSN22が取り付けられている。このセンサSN22は投光部と受光部とを有しており、版PPの上面で反射された光に基づいてセンサSN22から版PPの上面までの距離を計測するとともに、版PPの下面で反射された光に基づいてセンサSN22から版PPの下面までの距離を計測し、それらの距離に関する情報を制御部6に出力している。したがって、制御部6では、これらの距離情報から版PPの厚みを正確に求めることが可能となっている。
【0042】
また、基板側についても版側と同様にして、基板厚み計測センサSN23が設けられている。すなわち、センサブラケット26Rが右側ブラケット21Rに取り付けられてセンサブラケット26Rの先端部が位置XP25に位置決めされる基板SBの上方まで延びている。そして、センサブラケット26Rの先端部に対し、基板厚み計測センサSN23が取り付けられ、基板SBの厚みが計測される。
【0043】
B−2.上ステージ部3
図4は図1の印刷装置に装備される上ステージ部を示す斜視図である。この上ステージ部3は位置XP23(図3参照)に位置決めされる版PPや基板SBの上方に配置されており、支持フレーム31が水平プレート15と連結されることによって第1フレーム構造体に支持されている。この支持フレーム31は、図4に示すように、鉛直方向Zに延設されたフレーム側面を有しており、鉛直方向Zに延設されたボールねじ機構32を当該フレーム側面で支持している。また、ボールねじ機構32の上端部には、第1ステージ昇降モータM31の回転軸(図示省略)が連結されるとともに、ボールねじ機構32に対してボールねじブラケット321が螺合している。
【0044】
このボールねじブラケット321には、別の支持フレーム33が固定されており、ボールねじブラケット321と一体的に鉛直方向Zに昇降可能となっている。さらに、当該支持フレーム33のフレーム面で、別のボールねじ機構34が支持されている。このボールねじ機構34には、上記ボールねじ機構32のボールねじよりも狭ピッチのボールねじが設けられ、その上端部には、第2ステージ昇降モータM32の回転軸(図示省略)が連結されるとともに、中央部にはボールねじブラケット341が螺合している。
【0045】
このボールねじブラケット341には、ステージホルダ35が取り付けられている。ステージホルダ35は、鉛直方向Zに延設された3枚の鉛直プレート351〜353で構成されている。そのうちの鉛直プレート351はボールねじブラケット341に固着され、残りの鉛直プレート352、353はそれぞれ鉛直プレート351の左右側に固着されている。そして、鉛直プレート351〜353の鉛直下方端に対して水平支持プレート36が取り付けられ、さらに当該水平支持プレート36の下面に、例えばアルミニウム合金などの金属製の吸着プレート37が取り付けられている。
【0046】
したがって、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じてステージ昇降モータM31、M32が作動することで、吸着プレート37が鉛直方向Zに昇降移動させられる。また、本実施形態では、異なるピッチを有するボールねじ機構32、34を組み合わせ、第1ステージ昇降モータM31を作動させることで比較的広いピッチで吸着プレート37を昇降させる、つまり吸着プレート37を高速移動させることができるとともに、第2ステージ昇降モータM32を作動させることで比較的狭いピッチで吸着プレート37を昇降させる、つまり吸着プレート37を精密に位置決めすることができる。
【0047】
この吸着プレート37の下面、つまり版PPや基板SBを吸着保持する吸着面に複数本の吸着溝371が設けられている。また、吸着プレート37の外周縁に設けた複数の切欠部373および吸着プレート37の中央部には、複数の吸着パッド38が配置されている。なお、吸着パッド38は、先端面が吸着プレート37の下面と面一になった状態で吸着パッド38を支持するノズル本体が水平支持プレート36やノズル支持プレート39等の支持部材で支持されている。また、吸着パッド38のうち吸着プレート37の中央部に配置されるもの(図示省略)は、吸着強度を向上させるための補助的なものであり、このような補助的な吸着パッドを設けないことも可能である。
【0048】
このように、本実施形態では、版PPや基板SBを吸着保持するための吸着手段として、吸着溝371および吸着パッド38が設けられるとともに、それぞれに対して負圧を独立して供給するための負圧供給経路を介して負圧供給源に接続されている。そして、制御部6のバルブ制御部64からの開閉指令に応じて吸着溝用の負圧供給経路に介挿されるバルブV31(図2)を開閉制御することで吸着溝371による版PPや基板SBの吸着が可能となる。また、バルブ制御部64からの開閉指令に応じて吸着パッド用の負圧供給経路に介挿されるバルブV32(図2)を開閉制御することで吸着パッド38による版PPや基板SBの吸着が可能となる。なお、本実施形態では、上記した吸着手段および後述するようにブランケットを吸着保持する吸着手段は、負圧供給源として工場の用力を用いているが、装置100が真空ポンプなどの負圧供給部を装備し、当該負圧供給部から吸着手段に負圧を供給するように構成してもよい。
【0049】
B−3.アライメント部4
図5は図1の印刷装置に装備されるアライメント部および下ステージ部を示す斜視図である。アライメント部4および下ステージ部5は、図1に示すように、上ステージ部3の鉛直下方側に配置されている。アライメント部4は、カメラ取付ベース41、4本の柱部材42、中央部に開口が設けられた額縁状のステージ支持プレート43、アライメントステージ44および撮像部45を有している。このカメラ取付ベース41は、図1に示すように、石定盤13の上面中央部に形成された凹部の内底面に固定されている。また、カメラ取付ベース41の前後端部の各々から2本ずつ柱部材42が鉛直方向Zの上方(以下「鉛直上方」あるいは「(+Z)方向」という)に立設されており、これらによってカメラ取付ベース41のハンドリング性を向上させている。
【0050】
ステージ支持プレート43は、図1に示すように、石定盤13の凹部を跨ぐように水平姿勢で配置され、ステージ支持プレート43の中央開口とカメラ取付ベース41とが対向した状態で石定盤13の上面に固定されている。また、このステージ支持プレート43の上面にアライメントステージ44が固定されている。
【0051】
アライメントステージ44は、ステージ支持プレート43上に固定されるステージベース441と、ステージベース441の鉛直上方に配置されて下ステージ部5を支持するステージトップ442とを有している。これらステージベース441およびステージトップ442はいずれも中央部に開口を有する額縁形状を有している。また、これらステージベース441およびステージトップ442の間には、鉛直方向Zに延びる回転軸を回転中心とする回転方向、X方向およびY方向の3自由度を有する、例えばクロスローラベアリング等の支持機構(図示省略)がステージトップ442の各角部近傍に配置されている。
【0052】
これらの支持機構のうち、前左角部に配置される支持機構に対してY軸ボールねじ機構443aが設けられるとともに、当該Y軸ボールねじ機構443aにY軸駆動モータM41が取り付けられている。また、前右角部に配置される支持機構に対してX軸ボールねじ機構443bが設けられるとともに、当該X軸ボールねじ機構443bにX軸駆動モータM42が取り付けられている。また、後右角部に配置される支持機構に対してY軸ボールねじ機構443cが設けられるとともに、当該Y軸ボールねじ機構443cの駆動源としてY軸駆動モータM43が取り付けられている。さらに、後左角部に配置される支持機構に対してX軸ボールねじ機構(図示省略)が設けられるとともに、当該X軸ボールねじ機構にX軸駆動モータM44(図2)が取り付けられている。このため、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて各駆動モータM41〜M44を作動させることで、アライメントステージ44の中央部に比較的大きな空間を設けながら、ステージトップ442を水平面内で移動させるとともに、鉛直軸を回転中心として回転させて下ステージ部5の吸着プレートを位置決め可能となっている。
【0053】
本実施形態において中空空間を有するアライメントステージ44を用いた理由のひとつは、下ステージ部5の上面に保持されるブランケットおよび上ステージ部3の下面に保持される基板SBに形成されるアライメントマークを撮像部45により撮像するためである。以下、図5および図6を参照しつつ撮像部45の構成について説明する。
【0054】
図6はアライメント部の撮像部を示す斜視図である。撮像部45は、ブランケットの4箇所にそれぞれ形成されるアライメントマーク、ならびに基板SBの4箇所にそれぞれ形成されるアライメントマークを撮像するものであり、4つの撮像ユニット45a〜45dを有している。各撮像ユニット45a〜45dの撮像対象領域は、
撮像ユニット45a:ブランケットおよび基板SBの前左角部の近傍領域、
撮像ユニット45b:ブランケットおよび基板SBの前右角部の近傍領域、
撮像ユニット45c:ブランケットおよび基板SBの後右角部の近傍領域、
撮像ユニット45d:ブランケットおよび基板SBの後左角部の近傍領域、
であり、互いに異なっているが、ユニット構成は同一である。したがって、ここでは、撮像ユニット45aの構成を説明し、その他の構成については同一または相当符号を付して説明を省略する。
【0055】
撮像ユニット45aでは、XYテーブル451が、図6に示すように、カメラ取付ベース41の前左角部の近傍上面に配置されている。このXYテーブル451のテーブルベースがカメラ取付ベース41に固定されており、調整つまみ(図示省略)をマニュアルで操作することでXYテーブル451のテーブルトップがX方向およびY方向に精密に位置決めされる。このテーブルトップ上に、精密昇降テーブル452が取り付けられている。この精密昇降テーブル452には、Z軸駆動モータM45a(図2)が設けられており、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じてZ軸駆動モータM45aが作動することで精密昇降テーブル452のテーブルトップが鉛直方向Zに昇降移動する。
【0056】
この精密昇降テーブル452のテーブルトップの上面には、鉛直方向Zに延設されたカメラブラケット453の下端部が固定される一方、上端部がステージ支持プレート43の中央開口、アライメントステージ44の中央開口およびステージベースの長孔開口(これについては後で詳述する)を通過して下ステージ部5の吸着プレート51の直下近傍まで延設されている。そして、このカメラブラケット453の上端部に対し、撮像面を鉛直上方側に向けた状態でCCDカメラCMa、鏡筒454および対物レンズ455がこの順序で積層配置されている。また、鏡筒454の側面には光源456が取り付けられており、光源駆動部46により点灯駆動される。本実施形態では、光源456としては赤色LED(Light Emitting Diode)を用いているが、ブランケットや基板SBの材質などに応じた光源を用いることができる。また、鏡筒454の上方には対物レンズ455が取り付けられている。さらに、鏡筒454の内部には、ハーフミラー(図示省略)が配置されており、光源456から射出された照明光を(+Z)方向に折り曲げ、対物レンズ455および吸着プレート51の前左角部の近傍領域に設けられた石英窓52aを介して下ステージ部5上のブランケットに照射する。また、照明光の一部はさらに当該ブランケットを介して上ステージ部3の吸着プレート37に吸着保持される基板SBに照射する。なお、本実施形態では、ブランケットは透明部材で構成されているため、上記したように照明光はブランケットを透過して基板SBの下面に到達する。
【0057】
また、ブランケットや基板SBから射出される光のうち(−Z)側に進む光は、石英窓52a、対物レンズ455および鏡筒454を介してCCDカメラCMaに入射し、CCDカメラCMaが石英窓52aの鉛直上方に位置するアライメントマークを撮像する。このように撮像ユニット45aでは、石英窓52aを介して照明光を照射するとともに石英窓52aを介してブランケットおよび基板SBの前左角部の近傍領域の画像を撮像し、その像に対応する画像信号を制御部6の画像処理部65に出力する。一方、他の撮像ユニット45b〜45dは、撮像ユニット45aと同様にして、それぞれ石英窓52b〜52dを介して画像を撮像する。
【0058】
B−4.下ステージ部5
次に、図5に戻って下ステージ部5の構成について詳述する。この下ステージ部5は、吸着プレート51と、上記した4つの石英窓52a〜52dと、4本の柱部材53と、ステージベース54と、リフトピン部55とを有している。ステージベース54には、左右方向Xに延びる長孔形状の開口が前後方向Yに3つ並んで設けられている。そして、これらの長孔開口と、アライメントステージ44の中央開口とが上方からの平面視でオーバーラップするように、ステージベース54がアライメントステージ44上に固定されている。また、前側の長孔開口には、撮像ユニット45a、45bの上方部(CCDカメラ、鏡筒および対物レンズ)が遊挿されるとともに、後側の長孔開口には、撮像ユニット45c、45dの上方部(CCDカメラ、鏡筒および対物レンズ)が遊挿されている。また、ステージベース54の上面角部から柱部材53が(+Z)に立設され、各頂部が吸着プレート51を支持している。
【0059】
この吸着プレート51は例えばアルミニウム合金などの金属プレートであり、その前左角部、前右角部、後右角部および後左角部の近傍領域には、石英窓52a〜52dがそれぞれ設けられている。また、吸着プレート51の上面には、石英窓52a〜52dを取り囲むように溝511が設けられるとともに、溝511により囲まれる内部領域では、石英窓52a〜52dを除き、左右方向Xに延びる複数の溝512が前後方向Yに一定間隔で設けられている。
【0060】
これら溝511、512の各々に対して正圧供給配管(図示省略)の一方端が接続されるとともに、他方端が加圧用マニホールドに接続されている。さらに、各正圧供給配管の中間部に加圧バルブV51(図2)が介挿されている。この加圧用マニホールドに対しては、工場の用力から供給される加圧エアーをレギュレータで調圧することで得られる一定圧力のエアーが常時供給されている。このため、制御部6のバルブ制御部64からの動作指令に応じて所望の加圧バルブV51が選択的に開くと、その選択された加圧バルブV51に繋がる溝511、512に対して調圧された加圧エアーが供給される。
【0061】
また、溝511、512の各々に対しては、加圧エアーの選択供給のみならず、選択的な負圧供給も可能となっている。すなわち、溝511、512の各々に対して負圧供給配管(図示省略)の一方端が接続されるとともに、他方端が負圧用マニホールドに接続されている。さらに、各負圧供給配管の中間部に吸着バルブV52(図2)が介挿されている。この負圧用マニホールドには、負圧供給源がレギュレータを介して接続されており、所定値の負圧が常時供給されている。このため、制御部6のバルブ制御部64からの動作指令に応じて所望の吸着バルブV52が選択的に開くと、その選択された吸着バルブV52に繋がる溝511、512に対して調圧された負圧が供給される。
【0062】
このように本実施形態では、バルブV51、52の開閉制御によって吸着プレート51上にブランケットを部分的あるいは全面的に吸着させたり、吸着プレート51とブランケットとの間にエアーを部分的に供給してブランケットを部分的に膨らませて上ステージ部3に保持された版PPや基板SBに押し遣ることが可能となっている。
【0063】
図7は下ステージ部に装備されるリフトピン部を示す図であり、同図(a)はリフトピン部の平面図であり、同図(b)は側面図である。リフトピン部55では、リフトプレート551が吸着プレート51とステージベース54との間で昇降自在に設けられている。このリフトプレート551には、4箇所の切欠部551a〜551dが形成されて撮像ユニット45a〜45dとの干渉が防止されている。つまり、撮像ユニット45a〜45dがそれぞれ切欠部551a〜551dに入り込む状態で、リフトプレート551は鉛直方向Zに昇降可能となっている。また、このように4箇所の切欠部551a〜551dを設けることでリフトプレート551には6本のフィンガー部551e〜551jが形成され、各フィンガー部551e〜551jの先端部から鉛直上方にリフトピン552e〜552jがそれぞれ立設されている。また、リフトピン552e、552fの間に別のリフトピン552kが立設されるとともに、リフトピン552i、552jの間にさらに別のリフトピン552mが立設されており、合計8本のリフトピン552(552e〜552k、552m)がリフトプレート551に立設されてブランケットの下面全体を支持可能となっている。これらのリフトピン552は吸着プレート51の外周縁に対して鉛直方向Zに穿設された貫通孔(図示省略)よりも細く、図5に示すように、貫通孔を鉛直下方側より挿通可能となっている。
【0064】
また、各リフトピン552の上端側から圧縮ばね553およびハウジング554がこの順序で外挿され、圧縮ばね553の下端部がリフトプレート551で係止されるとともに、その上端部に対してハウジング554が覆い被さっている。なお、ハウジング554の上面は、吸着プレート51の貫通孔の内径よりも大きな外径を有する円形形状を有しており、次に説明するようにピン昇降シリンダCL51によりリフトプレート551を上昇させた際、ハウジング554の上面は吸着プレート51の下面で係止され、リフトプレート551とで圧縮ばね553を挟み込んで収縮させてリフトプレート551の上昇速度をコントロールする。また、リフトプレート551の下降にも、圧縮ばね553の圧縮力を利用してリフトプレート551の下降速度をコントロールする。
【0065】
このピン昇降シリンダCL51は、下面がカメラ取付ベース41に固定されたガイドブラケット555の側面に固定されており、ピン昇降シリンダCL51のピストン先端がスライドブロック556を介してリフトプレート551を支持している。したがって、制御部6のバルブ制御部64がピン昇降シリンダCL51に接続されるバルブの開閉を切り替えることで、ピン昇降シリンダCL51を作動させてリフトプレート551を昇降させる。その結果、吸着プレート51の上面、つまり吸着面に対し、全リフトピン552が進退移動させられる。例えば、リフトピン552が吸着プレート51の上面から(+Z)方向に突出することで、ブランケット搬送ロボットによりブランケットがリフトピン552の頂部に載置可能となる。そして、ブランケットの載置に続いて、リフトピン552が吸着プレート51の上面よりも(−Z)方向に後退することで、ブランケットが吸着プレート51の上面に移載される。その後、適当なタイミングで、アライメント部4の撮像機能を利用して後述する方法によりブランケットの厚みが計測される。
【0066】
B−5.押さえ部7
図8は図1の印刷装置に装備される押さえ部を示す図である。同図(a)は押さえ部7の構成を示す斜視図であり、同図(b)は吸着プレート51に吸着保持されるブランケットBLを押さえ部7により押さえた状態(以下「ブランケット押さえ状態」という)を示し、同図(c)は押さえ部7によるブランケットBLを解除した状態(以下「ブランケット押さえ解除状態」という)を示している。この押さえ部7は、吸着プレート51の鉛直上方側に設けられる押さえ部材71を切替機構72によって鉛直方向Zに昇降することでブランケット押さえ状態とブランケット押さえ解除状態とを切り替える。
【0067】
この切替機構72では、第2フレーム構造体の水平プレート17に対し、それぞれシリンダブラケット721〜723によって押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73が、ピストン724を鉛直下方側に進退自在に、取り付けられている。これらのピストン724の先端部では、押さえ部材71がぶら下がり状態で遊嵌されている。
【0068】
押さえ部材71は、支持プレート711と、4つのブランケット押さえプレート712とを有している。支持プレート711は、ブランケットBLと同一の平面サイズを有し、その中央部が開口しており、全体として額縁形状を有している。この支持プレート711の下面に対し、4枚のブランケット押さえプレート712が固定されて支持プレート711の下面全部を覆っている。
【0069】
また、支持プレート711には、図8(b)、(c)に示すように、押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73に対応する位置にピストン724の外径よりも広い内径を有する貫通孔716が穿設されている。そして、各貫通孔716の下方側より締結部材717が貫通孔716を介してピストン724の先端部に接続されている。これによって、押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73のピストン724は支持プレート711に遊嵌された状態で押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73に連結される。つまり、押さえ部材71は押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73に対してフローティング状態で支持されている。
【0070】
そして、制御部6のバルブ制御部64が押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73に接続されるバルブの開閉を切り替えることで、押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73を作動させて押さえ部材71を下ステージ部5の吸着プレート51に対して当接または離間させる。例えば、押さえ部材71がブランケットBLを保持している吸着プレート51に下降してブランケット押さえ状態となり、ブランケットBLの周縁部を全周にわたって吸着プレート51とで挟み込んでホールドする。また、アライメントのために吸着プレート51が移動した際にも、押さえ部材71は吸着プレート51とともに水平方向(X方向、Y方向)に移動し、ブランケットBLを安定して保持する。
【0071】
B−6.プリアライメント部8
図9は図1の印刷装置に装備されるプリアライメント部を示す斜視図である。プリアライメント部8は、プリアライメント上部81と、プリアライメント下部82とを有している。これらのうちプリアライメント上部81は、プリアライメント下部82よりも鉛直上方側に配置され、ブランケットBLとの密着に先立って、位置XP23で版用シャトル25Lにより保持される版PPおよび基板用シャトル25Rにより保持される基板SBをアライメントする。一方、プリアライメント下部82は、版PPや基板SBとの密着に先立って、下ステージ部5の吸着プレート51に載置されるブランケットBLをアライメントする。なお、プリアライメント上部81と、プリアライメント下部82とは基本的に同一構成を有している。そこで、以下においては、プリアライメント上部81の構成について説明し、プリアライメント下部82については同一または相当符号を付して構成説明を省略する。
【0072】
プリアライメント上部81は、4つの上ガイド移動部811〜814を有している。各上ガイド移動部811〜814は第2フレーム構造体を構成する複数の水平プレートのうち上段側に配置された水平プレート17に設けられている。すなわち、前後方向Yに延設された2本の水平プレートのうちの左側水平プレート17aに対し、その中央部に上ガイド移動部811が取り付けられるとともに、その前側端部に上ガイド移動部812が取り付けられている。また、もう一方の右側水平プレート17bに対し、その中央部に上ガイド移動部813が取り付けられるとともに、その後側端部に上ガイド移動部814が取り付けられている。なお、上ガイド移動部811、813は同一構成を有し、また上ガイド移動部812、814は同一構成を有している。したがって、以下においては、上ガイド移動部811、812の構成を詳述し、上ガイド移動部813、814について同一または相当符号を付して構成説明を省略する。
【0073】
上ガイド移動部811では、ボールねじ機構811aが左右方向Xに延設された状態で左側水平プレート17aの中央部に固定されている。そして、ボールねじ機構811aのボールねじに対してボールねじブラケットが螺合されるとともに、当該ボールねじブラケットに上ガイド811bが上ガイド移動部813に対向して取り付けられている。また、ボールねじ機構811aの左端部に上ガイド駆動モータM81aの回転軸(図示省略)が連結されており、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて上ガイド駆動モータM81aが作動することで上ガイド811bが左右方向Xに移動する。
【0074】
また、上ガイド移動部812では、ボールねじ機構812aが前後方向Yに延設された状態で左側水平プレート17aの前側端部に固定されている。そして、ボールねじ機構812aのボールねじに対してボールねじブラケットが螺合されるとともに、当該ボールねじブラケットに対し、左右方向に延設されたガイドホルダ812cの左端部が固定されている。このガイドホルダ812cの右端部は、水平プレート17a、17bの中間位置に達しており、その右端部に上ガイド812bが上ガイド移動部814に対向して取り付けられている。また、ボールねじ機構812aの後端部に上ガイド駆動モータM81bの回転軸(図示省略)が連結されており、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて上ガイド駆動モータM81bが作動することで上ガイド812bが前後方向Yに移動する。
【0075】
このように4つの上ガイド811b〜814bが位置XP23の鉛直下方位置で版PPや基板SB(同図中の一点鎖線)を取り囲んでおり、各上ガイド811b〜814bが独立して版PPなどに対して近接および離間可能となっている。したがって、各上ガイド811b〜814bの移動量を制御することによって版PPおよび基板SBをシャトルのハンド上で水平移動あるいは回転させてアライメントすることが可能となっている。
【0076】
B−7.除電部9
図10は図1の印刷装置に装備される除電部を示す斜視図である。除電部9では、ベースプレート92が下ステージ部5の左側で石定盤13の上面に固定されている。また、ベースプレート92から柱部材93が立設されており、その上端部は下ステージ部5よりも高い位置まで延設されている。そして、ベースプレート92の上端部に対して固定金具94を介してイオナイザブラケット95が取り付けられている。このイオナイザブラケット95は右方向(−X)に延設され、その先端部は吸着プレート51の近傍に達している。そして、その先端部にイオナイザ91が取り付けられている。
【0077】
B−8.制御部6
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)61、メモリ62、モータ制御部63、バルブ制御部64、画像処理部65および表示/操作部66を有しており、CPU61はメモリ62に予め記憶されたプログラムにしたがって装置各部を制御して、図11ないし図18に示すように、パターニング処理および転写処理を実行する。
【0078】
C.印刷装置の全体動作
図11は、図1の印刷装置の全体動作を示すフローチャートである。また、図12ないし図18は、図1の印刷装置の動作を説明するための図であり、図中のテーブルは制御部6による制御内容(制御対象および動作内容)を示し、また図中の模式図は装置各部の状態を示している。この印刷装置100の初期状態では、図12(a)に示すように、版用シャトル25Lおよび基板用シャトル25Rはそれぞれ中間位置XP22、XP24に位置決めされており、版用搬入出ユニットへの版PPのセットを待って版PPの投入工程(ステップS1)、ならびに基板用搬入出ユニットへの基板SBのセットを待って基板SBの投入工程(ステップS2)を実行する。なお、版用シャトル25Lおよび基板用シャトル25Rが一体的に左右方向Xに移動するという搬送構造を採用しているため、版PPの搬入を行った(ステップS1)後、基板SBの搬入を行う(ステップS2)が、両者の順序を入れ替えてもよい。
【0079】
C−1.版搬入工程(ステップS1)
図12(b)の「ステップS1」の欄に示すように、サブステップ(1−1)〜(1−7)を実行する。すなわち、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を所定方向に回転させ、シャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させる(1−1)。これによって、版用シャトル25Lが版受渡し位置XP21に移動して位置決めされる。また、回転アクチュエータRA2、RA2が動作し、版用ハンド252、252を180゜回転させて原点位置に位置決めする(1−2)。これによって、ハンド姿勢が使用済姿勢から未使用姿勢に切り替わり、使用前の版PPの投入準備が完了する。
【0080】
そして、版用シャッター駆動シリンダCL11が動作し、版用シャッター18を鉛直下方に移動させる、つまりシャッター18を開く(1−3)。それに続いて、制御部6からの動作指令に応じて版用搬入出ユニットが版PPを印刷装置100の内部に搬入し、版用シャトル25Lのハンド252,252上に載置する(1−4)。こうして版PPの投入が完了すると、上記バルブの開閉状態を元に戻すことで版用シャッター駆動シリンダCL11が逆方向に作動して版用シャッター18を元の位置に戻す、つまりシャッター18を閉じる(1−5)。
【0081】
版PPの投入完了時点では、版PPは版受渡し位置XP21に位置している。そこで、このタイミングで、版厚み計測センサSN22が作動して版PPの上面および下面の高さ位置(鉛直方向Zにおける位置)を検出し、それらの検出結果を示す高さ情報を制御部6に出力する。そして、これらの高さ情報に基づいてCPU61は版PPの厚みを求め、メモリ62に記憶する。こうして、版PPの厚み計測が実行される(1−6)。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を逆回転させてシャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させ、中間位置XP22に位置決めする(1−7)。
【0082】
C−2.基板投入工程(ステップS2)
図12(b)の「ステップS2」の欄に示すように、サブステップ(2−1)〜(2−6)を実行する。すなわち、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を所定方向と逆方向に回転させ、シャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させる(2−1)。これによって、基板用シャトル25Rが基板受渡し位置XP25に移動して位置決めされる。なお、基板用ハンド252、252については回転機構が設けられておらず、サブステップ(2−1)が完了した時点で基板SBの投入準備が完了する。
【0083】
そして、基板用シャッター駆動シリンダCL12が動作し、基板用シャッター19を鉛直下方に移動させる、つまりシャッター19を開く(2−2)。それに続いて、制御部6からの動作指令に応じて基板用搬入出ユニットが基板SBを印刷装置100の内部に搬入し、基板用シャトル25Rのハンド252,252上に載置する(2−3)。こうして基板SBの投入が完了すると、上記バルブの開閉状態を元に戻すことで基板用シャッター駆動シリンダCL12が逆方向に作動して基板用シャッター19を元の位置に戻す、つまりシャッター19を閉じる(2−4)。
【0084】
基板SBの投入完了時点では、基板SBは基板受渡し位置XP25に位置している。そこで、このタイミングで、基板厚み計測センサSN23が作動して基板SBの上面および下面の高さ位置を検出し、それらの検出結果を示す高さ情報を制御部6に出力する。そして、これらの高さ情報に基づいてCPU61は、版PPに続いて、基板SBの厚みを求め、メモリ62に記憶する。こうして、基板SBの厚み計測が実行される(2−5)。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を所定方向に回転させてシャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させ、中間位置XP24に位置決めする(2−6)。
【0085】
このように、本実施形態では、図12(c)に示すように、パターニング処理を実行する前に、版PPのみならず、基板SBをも準備しておき、後で詳述するように、パターニング処理および転写処理を連続して実行する。これによって、ブランケットBL上でパターニングされた塗布層が基板SBに転写されるまでの時間間隔を短縮することができ、安定した処理が実行される。
【0086】
C−3.版吸着(ステップS3)
図13(a)の「ステップS3」の欄に示すように、サブステップ(3−1)〜(3−7)を実行する。すなわち、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させる(3−1)。これによって、版用シャトル25Lが版吸着位置XP23に移動して位置決めされる。そして、版用シャトル昇降モータM22Lが回転軸を回転させ、昇降プレート251を下方向(−Z)に移動させる(3−2)。これによって、版用シャトル25Lに支持されたまま版PPが搬送位置よりも低いプリアライメント位置に移動して位置決めされる。
【0087】
次に、上ガイド駆動モータM81a〜M81dが回転軸を回転させ、上ガイド811b、813bが左右方向Xに移動するとともに、上ガイド812b、814bが前後方向Yに移動し、各上ガイド811b〜814bが版用シャトル25Lに支持される版PPの端面と当接して版PPを予め設定した水平位置に位置決めする。その後、各上ガイド駆動モータM81a〜M81dが回転軸を逆方向に回転させ、各上ガイド811b〜814bが版PPから離間する(3−3)。
【0088】
こうして、版PPのプリアライメント処理が完了すると、ステージ昇降モータM31が回転軸を所定方向に回転させ、吸着プレート37を下方向(−Z)に下降させて版PPの上面と当接させる。それに続いて、バルブV31,V32が開き、これによって吸着溝371および吸着パッド38により版PPが吸着プレート37に吸着される(3−4)。
【0089】
吸着検出センサSN31(図2)により版PPの吸着が検出されると、ステージ昇降モータM31が回転軸を逆方向に回転させ、吸着プレート37が版PPを吸着保持したまま鉛直上方に上昇して版吸着位置XP23の鉛直上方位置に版PPを移動させる(3−5)。そして、版用シャトル昇降モータM22Lが回転軸を回転させ、昇降プレート251を鉛直上方に移動させ、版用シャトル25Lをプリアライメント位置から搬送位置、つまり版吸着位置XP23に移動して位置決めする(3−6)。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させ、空になった版用シャトル25Lを中間位置XP22に位置決めする(3−7)。
【0090】
C−4.ブランケット吸着(ステップS4)
図13(a)の「ステップS4」の欄に示すように、サブステップ(4−1)〜(4−9)を実行する。すなわち、X軸駆動モータM42,M44およびY軸駆動モータM41,M43が作動してアライメントステージ44を初期位置に移動させる(4−1)。これによって、毎回スタートが同じ位置となる。それに続いて、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート551を上昇させ、リフトピン552を吸着プレート51の上面から鉛直上方に突出させる(4−2)。こうして、ブランケットBLの投入準備が完了すると、ブランケット用シャッター駆動シリンダCL13が動作し、ブランケット用シャッター(図示省略)を移動させて当該シャッターを開く(4−3)。そして、ブランケット搬送ロボットが、装置100にアクセスしてブランケットBLをリフトピン552の頂部に載置した後、装置100から退避する(4−4)。これに続いて、ブランケット用シャッター駆動シリンダCL13が動作し、ブランケット用シャッターを移動させて当該シャッターを閉じる(4−5)。
【0091】
次に、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート551を下降させる。これによって、リフトピン552がブランケットBLを支持したまま下降してブランケットBLを吸着プレート51に載置する(4−6)。すると、下ガイド駆動モータM82a〜M82dが回転軸を回転させ、下ガイド821b、823bが左右方向Xに移動するとともに、下ガイド822b、824bが前後方向Yに移動し、各下ガイド821b〜824bが吸着プレート51に支持されるブランケットBLの端面と当接してブランケットBLを予め設定した水平位置に位置決めする(4−7)。
【0092】
こうしてブランケットBLのプリアライメント処理が完了すると、吸着バルブV52が開き、これによって溝511、512に対して調圧された負圧が供給されてブランケットBLが吸着プレート51に吸着される(4−8)。さらに、各下ガイド駆動モータM82a〜M82dが回転軸を逆方向に回転させ、各下ガイド821b〜824bをブランケットBLから離間させる(4−9)。これによって、図13(b)に示すように、パターニング処理の準備が完了する。
【0093】
C−5.パターニング(ステップS5)
ここでは、ブランケット厚みが計測された後で、パターニングが実行される。この実施形態では、精密アライメント動作のための撮像部45を用いてブランケット厚みの計測が行われる。その詳細については後述するが、図14(a)の「ステップS5」の欄に示すように、撮像部45を厚み計測用の初期位置に移動させる(5−1)。そして、撮像部45を上下方向(Z方向)に移動させながら撮像を行い、撮像された画像からブランケットBLの厚みが導出される(5−2)。撮像が終了すると、撮像部45を元の待機位置に戻す(5−3)。
【0094】
次に、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を所定方向に回転させ、吸着プレート37を下方向(−Z)に下降させて版PPをブランケットBLの近傍に移動させる。さらに、第2ステージ昇降モータM32が回転軸を回転させ、狭いピッチで吸着プレート37を昇降させて鉛直方向Zにおける版PPとブランケットBLの間隔、つまりギャップ量を正確に調整する(5−4)。なお、このギャップ量は版PPおよびブランケットBLの厚み計測結果に基づいて制御部6により決定される。
【0095】
そして、押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73が動作し、押さえ部材71を下降させてブランケットBLの周縁部を全周にわたって押さえ部材71で押さえ付ける(5−5)。それに続いて、バルブV51、52が動作して吸着プレート51とブランケットBLとの間にエアーを部分的に供給してブランケットBLを部分的に膨らませる。この浮上部分が上ステージ部3に保持された版PPに押し遣られる(5−6)。その結果、図15(b)に示すように、ブランケットBLの中央部が版PPに密着して版PPの下面に予め形成されたパターン(図示省略)がブランケットBLの上面に予め塗布された塗布層と当接して当該塗布層をパターニングしてパターン層を形成する。
【0096】
C−6.版剥離(ステップS6)
図14(c)の「ステップS6」の欄に示すように、サブステップ(6−1)〜(6−5)を実行する。すなわち、第2ステージ昇降モータM32が回転軸を回転させて吸着プレート37が上昇して版PPをブランケットBLから剥離させる(6−1)。また、剥離処理を行うために版PPを上昇させるのと並行して適時、バルブV51、V52の開閉状態を切替え、ブランケットBLに負圧を与えて吸着プレート37側に引き寄せる。その後、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、吸着プレート37を上昇させて版PPをイオナイザ91とほぼ同一高さの除電位置に位置決めする(6−2)。また、押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73が動作し、押さえ部材71を上昇させてブランケットBLの押さえ付けを解除する(6−3)。それに続いて、イオナイザ91が作動して上記版剥離処理時に発生する静電気を除電する(6−4)。この除去処理が完了すると、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、図14(d)に示すように、版PPを吸着保持したまま吸着プレート37が初期位置(版吸着位置XP23よりも高い位置)まで上昇する(6−5)。
【0097】
C−7.版退避(ステップS7)
図15(a)の「ステップS7」の欄に示すように、サブステップ(7−1)〜(7−7)を実行する。すなわち、回転アクチュエータRA2、RA2が動作し、版用ハンド252、252を180゜回転させて原点位置から反転位置に位置決めする(7−1)。これによって、ハンド姿勢が未使用姿勢から使用済姿勢に切り替わり、使用済みの版PPの受取準備が完了する。そして、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させる(7−2)。これによって、版用シャトル25Lが版吸着位置XP23に移動して位置決めされる。
【0098】
一方、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、版PPを吸着保持したまま吸着プレート37が版用シャトル25Lのハンド252、252に向けて下降してハンド252、252上に版PPを位置させた後、バルブV31,V32が閉じ、これによって吸着溝371および吸着パッド38による版PPの吸着が解除されて搬送位置での版PPの受け渡しが完了する(7−3)。そして、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を逆回転させ、吸着プレート37を初期位置まで上昇させる(7−4)。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させる(7−5)。これによって、版用シャトル25Lが使用済み版PPを保持したまま中間位置XP22に移動して位置決めされる。
【0099】
C−8.基板吸着(ステップS8)
図15(a)の「ステップS8」の欄に示すように、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させる(8−1)。これによって、処理前の基板SBを保持する基板用シャトル25Rが基板吸着位置XP23に移動して位置決めされる。そして、版PPのプリアライメント処理(3−2、3−3)および吸着プレート37による版PPの吸着処理(3−4)と同様にして、基板SBのプリアライメント処理(8−2、8−3)および基板SBの吸着処理(8−4)が実行される。
【0100】
その後、吸着検出センサSN31(図2)により基板SBの吸着が検出されると、ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、基板SBを吸着保持したまま吸着プレート37を鉛直上方に上昇させて基板吸着位置XP23より高い位置に基板SBを移動させる(8−5)。そして、基板用シャトル昇降モータM22Rが回転軸を回転させ、昇降プレート251を鉛直上方に移動させ、基板用シャトル25Rをプリアライメント位置から搬送位置に移動させて位置決めする(8−6)。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させ、図15(b)に示すように、空になった基板用シャトル25Rを中間位置XP24に位置決めする(8−7)。
【0101】
C−9.転写(ステップS9)
図16(a)の「ステップS9」の欄に示すように、ここでは、ブランケット厚みが計測され、さらに精密アライメントが実行された後で、転写処理が実行される。すなわち、図16(a)の「ステップS9」の欄に示すように、パターニング処理(ステップS5)のサブステップ(5−1〜5−3)と同様にして、ブランケットBLの厚みが計測される(9−1〜9−3)。なお、このようにパターニング直前のみならず、転写直前においてもブランケットBLの厚みを計測する主たる理由は、ブランケットBLの一部が膨潤することでブランケットBLの厚みが経時変化するためであり、転写直前でのブランケット厚みを計測することで高精度な転写処理を行うことが可能となる。
【0102】
次に、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を所定方向に回転させ、吸着プレート37を下方向(−Z)に下降させて基板SBをブランケットBLの近傍に移動させる。さらに、第2ステージ昇降モータM32が回転軸を回転させ、狭いピッチで吸着プレート37を昇降させて鉛直方向Zにおける基板SBとブランケットBLの間隔、つまりギャップ量を正確に調整する(9−4)。このギャップ量については、基板SBおよびブランケットBLの厚み計測結果に基づいて制御部6により決定される。次のサブステップ(9−5)では、パターニング(ステップS5)と同様に、押さえ部材71によるブランケットBLの周縁部の押さえ付けを行う。
【0103】
こうして、基板SBとブランケットBLとはいずれもプリアライメントされ、しかも転写処理に適した間隔だけ離間して位置決めされるが、ブランケットBLに形成されたパターン層を基板SBに正確に転写するためには、両者を精密に位置合せする必要がある。そこで、本実施形態では、サブステップ(9−6〜9−8)が実行される(精密アライメント)。
【0104】
ここでは、アライメント部4のZ軸駆動モータM45a〜45dが作動して各撮像ユニット45a〜45dでブランケットBLにパターニングされたアライメントマークに対して焦点が合うようにピント調整が実行される(9−6)。そして、各撮像ユニット45a〜45dで撮像される画像が制御部6の画像処理部65に出力される(9−7)。そして、それらの画像に基づいて制御部6は基板SBに対してブランケットBLを位置合せするための制御量を求め、さらにアライメント部4のX軸駆動モータM42、M44およびY軸駆動モータM41、M43の動作指令を作成する。そして、X軸駆動モータM42、M44およびY軸駆動モータM41、M43が上記制御指令に応じて作動して吸着プレート51を水平方向に移動させるとともに鉛直方向Zに延びる仮想回転軸回りに回転させてブランケットBLを基板SBに精密に位置合せする(9−8)。
【0105】
そして、バルブV51、52が動作して吸着プレート51とブランケットBLとの間にエアーを部分的に供給してブランケットBLを部分的に膨らませる。この浮上部分が上ステージ部3に保持された基板SBに押し遣られる(9−9)。その結果、図16(b)に示すように、ブランケットBLが基板SBに密着する。これによって、ブランケットBL側のパターン層が基板SBの下面のパターンと精密に位置合せされながら、基板Bに転写される。
【0106】
C−10.基板剥離(ステップS10)
図17(a)の「ステップS10」の欄に示すように、サブステップ(10−1)〜(10−5)を実行する。すなわち、版剥離(ステップS6)と同様に、ブランケットBLからの基板SBの剥離(10−1)、除電位置への基板SBの位置決め(10−2)、押さえ部材71によるブランケットBLの押付解除(10−3)、除電(10−4)を実行する。その後、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、図17(b)に示すように、基板SBを吸着保持したまま吸着プレート37が初期位置(搬送位置よりも高い位置)まで上昇する(10−5)。
【0107】
C−11.基板退避(ステップS11)
図18(a)の「ステップS11」の欄に示すように、サブステップ(11−1)〜(11−4)を実行する。すなわち、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させる(11−1)。これによって、基板用シャトル25Rが基板吸着位置XP23に移動して位置決めされる。
【0108】
一方、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、基板SBを吸着保持したまま吸着プレート37を基板用シャトル25Rのハンド252、252に向けて下降させる。その後、バルブV31,V32が閉じ、これによって吸着溝371および吸着パッド38による基板SBの吸着が解除される(11−2)。そして、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を逆回転させ、吸着プレート37を初期位置まで上昇させる(11−3)。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させて当該基板SBを保持したまま基板用シャトル25を中間位置XP22に移動させて位置決めする(11−4)。
【0109】
C−12.ブランケット取り出し(ステップS12)
図18(a)の「ステップS12」の欄に示すように、サブステップ(12−1)〜(12−6)を実行する。すなわち、バルブV51、52が動作して吸着プレート51によるブランケットBLの吸着を解除する(12−1)。そして、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート551を上昇させ、使用済みのブランケットBLを吸着プレート51から鉛直上方に持ち上げる(12−2)。
【0110】
次に、ブランケット用シャッター駆動シリンダCL13が動作し、ブランケット用シャッター(図示省略)を移動させて当該シャッターを開く(12−3)。そして、ブランケット搬送ロボットが、装置100にアクセスして使用済みのブランケットBLをリフトピン552の頂部から受け取り、装置100から退避する(12−4)。これに続いて、ブランケット用シャッター駆動シリンダCL13が動作し、ブランケット用シャッターを移動させて当該シャッターを閉じる(12−5)。さらに、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート551を下降させ、リフトピン552を吸着プレート51よりも下方向(−Z)に下降させる(12−6)。
【0111】
C−13.版取り出し(ステップS13)
図18(a)の「ステップS13」の欄に示すように、サブステップ(13−1)〜(13−5)を実行する。すなわち、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24が(+X)方向に移動する(13−1)。これによって、版用シャトル25Lが版受渡し位置XP21に移動して位置決めされる。また、版用シャッター駆動シリンダCL11が動作し、シャッター18を開く(13−2)。それに続いて、制御部6からの動作指令に応じて版用搬入出ユニットが使用済みの版PPを印刷装置100から取り出す(13−3)。こうして版PPの搬出が完了すると、上記バルブの開閉状態を元に戻すことで版用シャッター駆動シリンダCL11が逆方向に作動して版用シャッター18を元の位置に戻してシャッター18を閉じる(13−4)。そして、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させ、版用シャトル25Lを中間位置XP22に位置決めする(13−5)。
【0112】
C−14.基板取り出し(ステップS14)
図18(a)の「ステップS14」の欄に示すように、サブステップ(14−1)〜(14−5)を実行する。すなわち、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させる(14−1)。これによって、基板用シャトル25Rが基板受渡し位置XP25に移動して位置決めされる。また、基板用シャッター駆動シリンダCL12が動作し、シャッター19を開く(14−2)。それに続いて、制御部6からの動作指令に応じて基板用搬入出ユニットが転写処理を受けた基板SBを印刷装置100から取り出す(14−3)。こうして基板SBの搬出が完了すると、基板用シャッター駆動シリンダCL12が逆方向に作動して基板用シャッター19を元の位置に戻してシャッター19を閉じる(14−4)。そして、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させ、基板用シャトル25Rを中間位置XP23に位置決めする(14−5)。これにより、印刷装置100は、図18(b)に示すように、初期状態に戻る。
【0113】
D.アライメント部の詳細構造
図19は精密アライメントのための撮像部の構成およびその動作を示す図である。前記したように、この実施形態のアライメント部4は4組の撮像部45を有しているが、それらは同一構造であるので、ここではそのうち1つの撮像部45aの動作について説明する。
【0114】
基板SBには所定の第1アライメントパターンAP1が形成され、上ステージ部3の吸着プレート37の下面にそのアライメントマーク形成面を下向きにして吸着保持されている。一方、ブランケットBLには第2アライメントパターンAP2が形成され、下ステージ部5の吸着プレート51にそのアライメントマーク形成面を上向きにして吸着保持されている。したがって、基板SBとブランケットBLとは、それぞれのアライメントマーク形成面同士が互いに対向するように配置される。これにより、鉛直方向(Z方向)における両アライメントマーク間の距離を小さくすることができる。基板SBとブランケットBLとの間の間隔Gsbについては、これをできるだけ小さくすることが望ましいが、装置各部の寸法精度や基板SBおよびブランケットBLの撓み等を考慮すると、基板SBとブランケットBLとの予定しない接触を防ぐためにはある程度離さざるを得ない。ここでは例えば間隔Gsbを300μmとする。
【0115】
ブランケットBL表面の第2アライメントパターンAP2は、下ステージ部5の吸着プレート51に設けられた石英窓52aの直上に配置される。これと対応する位置に設けられた基板SB側の第1アライメントパターンAP1も、石英窓52aに臨む位置に配置される。
【0116】
ブランケットBLは、ガラス板または透明樹脂板の表面に例えばシリコンゴムによる薄い弾性層が形成されたものであり、光透過性を有する。したがって、下ステージ部5の下方からは、石英窓52aおよびブランケットBLを介して第1アライメントパターンAP1および第2アライメントパターンAP2とが同時に見通せる状態となっている。なお、基板に転写すべきパターンおよび第2アライメントパターンAP2は、ブランケットBLの弾性層の表面に形成される。すなわち、ブランケットBLの主面のうち、弾性層が形成された側の一方主面が、パターンおよびアライメントマークの形成面となっている。
【0117】
石英窓52aの下方(−Z)には、撮像部45aが配置されている。具体的には、石英窓52aの直下位置に、対物レンズ455、ハーフミラー457およびCCDカメラCMaの受光面458がこの順番で配置されている。対物レンズ455の光軸は略鉛直方向と一致しており、該光軸上に石英窓52aおよび受光面458がそれぞれ配置されている。ハーフミラー457には側方から光源456からの光が入射しており、該光はハーフミラー457で反射されて石英窓52aに向けて出射され、石英窓52aを介して第1および第2アライメントパターンを照射する。CCDカメラ受光面458は、石英窓52aに臨んで配された第1アライメントパターンAP1および第2アライメントパターンAP2を同一視野内で一括して撮像する。
【0118】
対物レンズ455、ハーフミラー457、受光面458および光源456は一体的に、XYテーブル451によってXY平面に沿った方向に、また精密昇降テーブル452によって鉛直方向(Z方向)に移動可能となっている。対物レンズ455の前側焦点は、精密昇降テーブル452によってブランケットBLのアライメントマーク形成面に合わせられる。一方、後側焦点は予めCCDカメラの受光面458に合わせられている。このため、CCDカメラ受光面458には、ブランケットBLに形成された第2アライメントパターンAP2にピントが合った光学像が結像され、CCDカメラCMaによりこの光学像が撮像される。
【0119】
このようにして撮像された画像に基づく精密アライメント動作については特に限定されず、任意の技術を適用して精密アライメントを行うことができる。この種のアライメント技術については公知例も多いため、ここではアライメント動作についての詳しい説明は省略する。
【0120】
E.ブランケット厚み計測
次に、上記動作のうちサブステップ(5−2)および(9−2)におけるブランケットBLの厚み計測動作について、図20ないし図22を参照しながら説明する。前記した通り、この実施形態では、基板SBに対するブランケットBLの相対位置合わせを行うためのアライメント部4、より詳しくは撮像部45を用いてブランケットBLの厚みを計測している。版PPや基板SBの厚み計測と同様、例えばレーザー変位計のような計測手段を用いてブランケットBLの厚みを計測することは可能である。しかしながら、次のような問題がある。
【0121】
前記したようにブランケットBL自体は光透過性を有する。しかしながら、この実施形態において装置に搬入されるブランケットBLは、その表面(上面)にパターニング用の塗布層が予め形成されたものである。このような塗布層としては種々の材料が用いられ、その中には光透過性を有しないものも含まれる。また、液体を塗布することにより形成された塗布層が未乾燥で光学的特性が不安定な状態での計測が必要なケースもある。例えばレーザー変位計を利用した上方からの計測では、これらのケースに対応できない場合があり得る。
【0122】
そこで、この実施形態では、ブランケットBLを保持する吸着プレート51の下方に設けられてブランケットBLと基板SBとの精密アライメント(位置合わせ)に用いられるアライメント部4を利用して、ブランケットBLの厚み計測を行う。吸着プレート51の下方からブランケットBLを撮像しその画像に基づいて厚み計測を行うことで、塗布層の状態に影響を受けることなくブランケットBLの厚みを計測することができる。特に、数μm単位での精密アライメントを可能とするための高分解能の光学系および駆動機構を有するアライメント部4を用いることで、高精度な厚み計測が可能となる。
【0123】
E−1.ブランケット厚み計測の原理
図20はこの実施形態におけるブランケット厚み計測の原理を示す図である。この実施形態では、吸着プレート51に保持されたブランケットBLの下方(−Z方向)に設けられた撮像部45の対物レンズ455が、ブランケットBL裏面に向けて、かつその光軸がブランケットBL裏面と直交するように配置されている。対物レンズ455は高精度なアライメントを可能とするために5倍程度の倍率を有し、その被写界深度は例えば数十μm程度である。精密昇降テーブル452(図6)により鉛直(Z)方向に昇降自在となっている。
【0124】
ブランケットBLの厚みが例えば数百μm程度である場合、対物レンズ455の焦点をブランケットBLの両主面に同時に合わせることは不可能である。すなわち、図20左側に示すように、対物レンズ455の焦点位置FPがブランケットBLの下面BLtにあるとき、ブランケットBLの上面BLfには焦点は合わない。ここで、図20右側に示すように、対物レンズ455を(+Z)方向にDzだけ移動させることで対物レンズ455の焦点がブランケットBLの上面BLfに来るとき、対物レンズ455の移動量DzがブランケットBLの厚みDbを表すことになる。
【0125】
対物レンズ455の焦点位置FPは、その上下方向位置によって、
(1)ブランケットBLの上面BLfまたは下面BLtのいずれかに一致した状態、
(2)ブランケットBLの内部にある状態、
(3)ブランケットBLの外部にある状態、
のいずれかの状態を取る。このうち(1)の状態での撮像では、ブランケットBLの上面BLfまたは下面BLtにピントが合っており、そこに凹凸や傷等の微小な構造があればそれらが高い画像コントラストで撮像される。また、(2)の状態での撮像では、透明で特別の構造を持たないブランケットBLの内部にピントが合うが表面の構造にはピントが合っていないため、不鮮明な画像しか得られない。また、(3)の状態ではブランケットBLに全くピントが合わない状態での画像が得られる。
【0126】
したがって、対物レンズ455(撮像部45)のZ方向位置を多段階に変更設定しながら、各位置でCCDカメラCMa等による撮像を行えば、それらの画像から(1)の状態となる位置を見出し、ブランケットBLの厚みを導出することが可能である。具体的には、例えば次のようにすることができる。
【0127】
E−2.ブランケット厚み計測の具体例
図21はこの実施形態におけるブランケット厚み計測動作を示すフローチャートである。また、図22はこの動作によりブランケット厚みを求める方法を説明する図である。まず、精密昇降テーブル452を作動させて、撮像部45を所定の計測初期位置に位置決めする(ステップS101)。この動作は、図14(a)におけるサブステップ(5−1)、図16(a)におけるサブステップ(9−1)に示したものに相当する。
【0128】
具体的には、対物レンズ455の焦点位置FPのZ方向座標が、ブランケットBLの下面BLtよりも(−Z)方向に十分離れた値Zminとなるように、対物レンズ455の位置を設定する。ブランケットBLの下面BLtの位置は吸着プレート51の上面とほぼ同じであり、装置各部のサイズから予め把握される位置である。そして、例えばブランケット下面BLtよりも150μm下方に、対物レンズ455の焦点位置FPのZ方向座標Zminを設定することができる。ここでは、ブランケットBLの厚さは500μm程度を標準厚さとし、膨潤やばらつき等に起因する厚さの変化が±50μm程度あることを想定している。
【0129】
この状態で、CCDカメラCMa等により撮像を行う(ステップS102)。そして、焦点位置FPのZ座標値が所定の最終値Zmaxとなるまで(ステップS103)、該Z座標値を所定の刻みΔZで1ステップずつ増加させながら(ステップS104)、各位置で同様にCCDカメラCMa等による撮像を行う。
【0130】
ここで、刻みΔZについては、この方法による厚み計測結果に許容される計測誤差と同程度とすることが好ましい。高い計測精度を求める場合には刻みΔZの値を小さくすればよいが、繰り返しの撮像に時間がかかることとなる。分解能の点からは、対物レンズ455の被写界深度と同程度またはそれ以下が好ましいと考えられる。また、焦点位置FPの最終値Zmaxについては、ブランケットBLの上面BLfから上方(+Z方向)に150μm離れた位置に設定する。以上より、この実施形態では、標準厚さ500μmのブランケットBLに対して、想定される下面BLtの位置よりも150μm下方から上面BLfの位置よりも150μm上方までの範囲で、撮像部45のZ方向位置を20μmずつ増加させながら、各位置でCCDカメラCMaによる撮像を行う。これにより、対物レンズ455の移動量は計800μm、撮像される画像の枚数は計41枚となる。
【0131】
このとき、撮像部45の移動は(−Z)方向から(+Z)方向への一方向とする。これにより、精密昇降テーブル452およびこれを駆動するZ軸駆動モータM45a等のガタやバックラッシュに起因して移動ピッチが不均一となるのを防止して、各画像から求めるブランケット厚さの精度低下を抑えている。
【0132】
こうして得られた複数の画像に対し適宜の画像処理を行い、受光強度、画像濃度および画像コントラストのいずれかを算出しZ方向位置に対してプロットすると、前記した原理から、図22に示すように、少なくともブランケットBLの上面BLfに対応する座標値Zfと、下面BLtに対応する座標値Ztとにピークが現れる。CPU61は画像処理部46による画像処理結果からこのピーク位置を算出し(ステップS105)、それらのピーク間の距離を求めてその値をブランケットBLの厚みDzとする(ステップS106)。
【0133】
なお、状況によっては3つ以上のピークが検出されることも考えられるが、このような計測方法においては、検出される最も顕著な光学的特徴はブランケットBLの上下面のそれぞれに集中していると考えられる。したがって、このような場合でも、検出されたピークのうち上位2つのものの距離からブランケットBLの厚みを求めるようにすればよい。また、ブランケットBLの上面BLfに形成された塗布層の薄膜TFが不透明で、例えば反射性を有するものであった場合、薄膜TFからの反射光がCMカメラCMa等に写り込むことが考えられる。しかしながら、ブランケットBLの上下面にピントが合ったときの画像が最も鮮明である点には変わりがないため、図22のグラフにおいて破線で示すようにピークの裾が反射の影響を受けることがあったとしても、ピーク位置そのものが大きく変動することは考えにくい。
【0134】
予想されるピーク位置、つまりブランケットBLの上面BLfおよび下面BLtの想定位置を含んでこれよりも十分に大きな範囲で撮像部45のステップ移動を行うようにすることで、上記のような外乱に起因する計測精度の低下を防止することができる。本願発明者らの実験によれば、ピーク位置よりも外側に少なくとも3〜4点の撮像データがあることが好ましく、この実施形態では、ブランケットBLの上下に対してそれぞれ150μm、つまり7〜8移動ステップ分のマージンを設けることで、十分な計測精度を確保するようにしている。また、ブランケットBLが膨潤により最大限(+50μm)まで厚くなった状態でも、100μm、つまり5移動ステップ分のマージンが確保されている。
【0135】
撮像部45を利用したブランケットBLの厚み計測については、4箇所に設けられた撮像部45a〜45dによりそれぞれ行われてもよく、また代表的にいずれかの撮像部のみによって行われてもよい。また、複数個所で行われた計測結果については、それぞれ各部の厚みとして以後の処理に利用されてもよく、それらの平均値が利用されてもよい。
【0136】
F.その他
以上のように、この実施形態では、下ステージ部5の吸着プレート51に吸着保持されたブランケットBLの厚みを計測するのに際して、基板SBとの精密アライメントのために設けられたアライメント部4(より詳しくは撮像部45)によって撮像される画像に基づく厚み算出を行っている。このような計測方法によれば、ブランケットBL上面に形成された薄膜の状態に影響されずに計測が可能であるため、薄膜が光透過性を有するか否か、また薄膜を構成する塗布層が乾燥したか否かに関わらず、安定した計測が可能である。また、パターニング後のブランケットBL上面に担持されるパターンの形状による影響も受けない。
【0137】
精密アライメント用の撮像部45としては比較的高倍率で被写界深度の浅い光学系が用いられることが望ましく、このことは、ブランケットBL厚みの計測精度を向上させる点においても有利に作用する。そして、精密アライメントのための構成を厚み計測にも用いることで、厚み計測のための専用の構成を設ける必要がなくなり、装置のコンパクト化および低コスト化にも大きく寄与する。
【0138】
なお、CCDカメラ等を有するアライメント部4を用いた精密アライメント動作については特に限定されず任意であり、例えば公知の技術を適用することが可能である。そのため、ここでは詳しい説明を省略するが、例えばブランケットBLの上面BLfに形成されたアライメントマークの撮像を含む処理である場合、この実施形態では上記のようにブランケットBLの厚みが求められたことでその上面BLfのZ方向位置が把握されているから、撮像部45の焦点をブランケットBL上のアライメントマークに合わせる際にその位置情報を利用することが可能である。
【0139】
以上説明したように、この実施形態においては、ブランケットBLが本発明の「基材」に相当している。そして、その上面BLfが薄膜TFを担持する本発明の「一方主面」に相当し、下面BLtが本発明の「他方主面」に相当している。
【0140】
また、下ステージ部5が本発明の「保持手段」として機能し、そのうち特に吸着プレート51が、その上面が平坦な「基材保持面」となった本発明の「保持ステージ」として機能している。また、上記実施形態では、撮像部45のうち対物レンズ455、CCDカメラCMa等が一体として本発明の「撮像手段」として機能する一方、精密昇降テーブル452が本発明の「移動手段」として機能している。また、CPU61および画像処理部65が一体として本発明の「厚み導出手段」として機能している。
【0141】
また、本実施形態におけるステップS4(図11)およびステップS101(図21)が本発明の「配置工程」に相当し、ステップS102ないしS104が本発明の「撮像工程」に相当している。さらに、ステップS105およびS106が本発明の「厚み導出工程」に相当している。
【0142】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態のブランケット厚み計測動作では、ブランケットBLの下方から上方に向けて撮像部45の合焦位置をステップ的に上昇させながら撮像を行っているが、これに限定されない。例えば、これとは逆に撮像部45の合焦位置を次第に下げるようにしても同様の結果が得られる。ただし、想定されるブランケットの上面位置および下面位置を含んでこれより広い範囲で合焦位置が変更されることが好ましく、その移動方向は一方向であることがさらに好ましい。
【0143】
また、上記実施形態ではブランケットBLを略水平の吸着プレート51上面に載置し、石英窓52aを介して吸着プレート51の下方から撮像を行っているが、本発明の厚み計測技術の対象となる基材の姿勢としては、水平のものに限定されるものではなく任意である。
【0144】
また、上記実施形態の厚み計測動作では、吸着プレート51に保持されたブランケットBLに対して対物レンズ455等が上下動することでブランケットBLと撮像部45との相対移動を実現しているが、吸着プレート51を撮像部45に対し上下動することでこの相対移動を実現するようにしても構わない。
【0145】
また、上記実施形態では、ブランケットBLの両主面に残留する偶発的な傷等も含めた構造を撮像しているが、例えばブランケットBLの両面に計測用の何らかのマークを予め形成しておくようにしてもよい。
【0146】
また、上記実施形態は、基板SBに所定のパターンを形成する装置において、版PPによってパターニングされたパターンを一時的に担持するとともにこれを基板SBに転写するブランケットBLの厚み計測に本発明を適用したものであるが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、透明な基材の厚みを計測する技術全般に対して本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0147】
この発明は、透明な基材の厚みを計測することが必要な技術分野、特に一方主面に薄膜が形成された基材の厚みを精度よく求めることが要求される技術分野に対して、好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0148】
5 下ステージ部(保持手段)
51 吸着プレート(保持ステージ)
61 CPU(厚み導出手段)
65 画像処理部(厚み導出手段)
452 精密昇降テーブル(移動手段)
455 対物レンズ(撮像手段)
BL ブランケット(基材)
BLf (ブランケットBLの)上面(一方主面)
BLt (ブランケットBLの)下面(他方主面)
CMa〜CMd CCDカメラ(撮像手段)
SB 基板
【技術分野】
【0001】
この発明は、一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測装置および厚み計測方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスの製造技術において、互いに対向配置された2枚の平板状部材をそれらの相対位置を精密に調整した上で重ね合わせる技術がある。例えば特許文献1に記載の技術では、樹脂を塗布したガラス基板を真空吸着保持しておき、転写対象であるモールドとの間を負圧に維持しつつ、ガラス基板に対する吸着力を順次弱めていくことで、ガラス基板をモールドに押し付けてパターン転写を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−134368号公報(例えば、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような技術においては、パターン転写を優れた位置精度で行うためには、両部材間のギャップを厳密に管理することが重要であり、この点において、部材の厚みを精度よく求めることのできる技術が求められる。例えばレーザー変位計を用いることにより、高精度な厚み計測を実現する技術が種々提案されている。しかしながら、計測対象物の光学的特性により、レーザー変位計による計測が不可能な場合がある。例えば対象物の一方面に光学的に不透明な膜が形成されている場合である。このような場合に精度よく部材の厚みを計測する技術については、これまで確立されるに至っていない。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測装置および厚み計測方法において、薄膜の光学的特性に影響されることなく、基材の厚みを高精度に計測することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一の態様は、一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測装置において、上記目的を達成するため、前記基材を保持する保持手段と、前記基材の前記一方主面とは反対の他方主面側に設けられ、しかも前記他方主面と直交する方向を光軸方向とする撮像手段と、前記基材に対し、前記撮像手段を前記光軸方向に相対移動させる移動手段と、前記撮像手段の撮像結果に基づき前記基材の厚みを求める厚み導出手段とを備え、前記移動手段は、前記光軸方向において前記基材の前記一方主面よりも遠い位置および前記他方主面よりも近い位置を共に含む範囲で前記撮像手段の合焦位置を多段階に変更設定し、その都度前記撮像手段が撮像した複数の画像間の画像コントラストまたは画像濃度の変化に基づいて、前記厚み導出手段が前記基材の厚みを導出することを特徴としている。
【0007】
また、この発明の他の態様は、一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測方法において、上記目的を達成するため、前記基材の前記一方主面と反対側の他方主面側に、前記他方主面と直交する方向を光軸方向として撮像手段を配置する配置工程と、前記基材に対して相対的に、前記撮像手段を前記光軸方向に多段階に移動位置決めしながら、各位置で前記撮像手段により前記基材を撮像する撮像工程と、撮像した画像に基づいて前記基材の厚みを求める厚み導出工程とを備え、前記撮像工程では、前記光軸方向において前記基材の前記一方主面よりも遠い位置と、前記他方主面よりも近い位置とを含む範囲で前記撮像手段の合焦位置を移動させ、前記厚み導出工程では、撮像した複数の画像間の画像コントラストまたは画像濃度の変化に基づいて前記基材の厚みを求めることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明では、薄膜が形成された透明基材の薄膜形成面(一方主面)とは反対側の他方主面側から基材を撮像し、得られた画像に基づいて基材の厚み計測を行う。具体的には、基材に対し相対的に、基材の厚み方向と直交する方向に撮像手段を移動させ撮像を行う。このとき、撮像手段の合焦位置の移動範囲を、基材の両主面を共に含んだものとする。
【0009】
基材は透明であるため、その内部に合焦位置があるときには撮像結果に特定の構造は現れないと考えられる一方、一方主面および他方主面に焦点が合った状態では、表面の微細な構造や表面に接する物質との屈折率の違い等に起因して、基材内部を撮像したものとは異なる光学的特徴を有する画像が得られる。したがって、厚み方向に合焦位置を変えて撮像した複数の画像からこのような特徴的な画像が現れる間隔を把握して、基材の厚みを求めることができる。これは基材の一方主面に形成された薄膜が光透過性を有しないものであっても同じである。そして、基材に対する撮像手段の位置決め精度および画像処理の内容を適宜に設定することで高精度な厚み計測が可能であり、特に被写界深度が浅い光学系を有する撮像手段を用いると、厚み方向における分解能の高さから高い計測精度が得られる。
【0010】
具体的には、例えば、光軸方向位置に対する画像コントラストまたは画像濃度の変化におけるピーク位置に基づいて、基材の厚みを導出することができる。基材のいずれかの主面に存在する光学的な構造の像は、合焦位置が当該主面にあるときに画像コントラストが最大となる。画像濃度についても同様である。そのため、厚み方向の位置に対して画像コントラストまたは画像濃度をプロットすると、合焦位置が一方主面、他方主面にそれぞれ一致するときに対応する2つのピークが現れる。これらのピーク間の間隔が、基材の厚みを示すものとなる。
【0011】
また例えば、撮像手段の合焦位置を変更設定する際、基材に対する撮像手段の相対移動方向を一定とするようにしてもよい。こうすることで、基材と撮像手段との相対位置を調整するための機構におけるバックラッシュにより、計測精度が低下するのを効果的に防止することが可能である。
【0012】
また、この発明にかかる厚み計測装置では、例えば、保持手段は、表面が平坦な基材保持面となった保持ステージを有し、該保持ステージの基材保持面に基材の他方主面を当接させて基材を保持するようにしてもよい。このような構成では、単独では姿勢を保持しにくい薄い基材や柔軟性を有する基材についても、基材保持面に当接させて姿勢を保持することにより、安定して計測を行うことができる。
【0013】
さらに例えば、保持ステージの少なくとも一部が透明窓となっており、撮像手段が保持ステージを挟んで基材とは反対側に設けられて、透明窓に望む基材を透明窓を介して撮像するようにしてもよい。こうすることで、基材の姿勢をさらに安定させて、安定的な計測が可能となる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、基材の主面のうち、薄膜が形成された一方主面とは反対の他方主面から、該他方主面と直交する方向に位置を変えて撮像した複数の画像に基づき基材の厚みを求めるので、例えば薄膜が光透過性を有しない場合であっても基材の厚みを精度よく求めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明にかかる印刷装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の印刷装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図1の印刷装置に装備される搬送部を示す斜視図である。
【図4】図1の印刷装置に装備される上ステージ部を示す斜視図である。
【図5】図1の印刷装置に装備されるアライメント部および下ステージ部を示す斜視図である。
【図6】アライメント部の撮像部を示す斜視図である。
【図7】下ステージ部に装備されるリフトピン部を示す図である。
【図8】図1の印刷装置に装備される押さえ部を示す図である。
【図9】図1の印刷装置に装備されるプリアライメント部を示す斜視図である。
【図10】図1の印刷装置に装備される除電部を示す斜視図である。
【図11】図1の印刷装置の全体動作を示すフローチャートである。
【図12】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図13】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図14】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図15】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図16】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図17】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図18】図1の印刷装置の動作を説明するための図である。
【図19】精密アライメントのための撮像部の構成およびその動作を示す図である。
【図20】この実施形態におけるブランケット厚み計測の原理を示す図である。
【図21】この実施形態におけるブランケット厚み計測動作を示すフローチャートである。
【図22】この動作によりブランケット厚みを求める方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここでは、まず本発明にかかる転写装置の一実施形態としての印刷装置の全体構成を説明した後、装置各部の構成および動作を詳しく説明する。この実施形態は基板表面に所定のパターンを転写により形成する転写装置であってその一部に本発明にかかる厚み計測技術が適用されたものであるが、以下に説明するように、版PPを用いてブランケットBL上に所定パターンのパターニングを行い、これを基板SBに転写するという印刷技術と同様のプロセスを採用していることから、本明細書ではこの装置を「印刷装置」と称している。
【0017】
A.装置の全体構成
図1は、本発明にかかる印刷装置の一実施形態を示す斜視図であり、装置内部の構成を明示するために、装置カバーを外した状態の装置構成を図示している。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この印刷装置100は、装置の左側面側より装置内部に搬入される版の下面に対して、装置の正面側より装置内部に搬入されるブランケットの上面を密着させた後で剥離することで、版の下面に形成されたパターンによりブランケット上の塗布層をパターニングしてパターン層を形成する(パターニング処理)。また、印刷装置100は、装置の右側面側より装置内部に搬入される基板の下面に対して、パターニング処理されたブランケットの上面を密着させた後で剥離することで、そのブランケットに形成されたパターン層を基板の下面に転写する(転写処理)。なお、図1および後で説明する各図では、装置各部の配置関係を明確にするために、版および基板の搬送方向を「X方向」とし、図1の右手側から左手側に向かう水平方向を「+X方向」と称し、逆方向を「−X方向」と称する。また、X方向と直交する水平方向のうち、装置の正面側を「+Y方向」と称するとともに、装置の背面側を「−Y方向」と称する。さらに、鉛直方向における上方向および下方向をそれぞれ「+Z方向」および「−Z方向」と称する。
【0018】
この印刷装置100では、バネ方式の除振台11の上に本体ベース12が載置され、さらに本体ベース12上に石定盤13が取り付けられている。また、この石定盤13の上面中央に2本のアーチ状フレーム14L、14Rが互いにX方向に離間しながら立設されている。これらのアーチ状フレーム14L、14Rの(−Y)側上端部には、2本の水平プレート15が連結されて第1フレーム構造体が構成されている。また、この第1フレーム構造体により覆われるように、第2フレーム構造体が石定盤13の上面に設けられている。より詳しくは、図1に示すように、各アーチ状フレーム14L、14Rの直下位置でフレーム14L、14Rよりも小型のアーチ状フレーム16L、16Rが石定盤13に立設されている。また、X方向に延設される複数の水平プレート17が各フレーム16L、16Rで柱部位同士を接続し、またY方向に延設される複数の水平プレート17がフレーム16L、16R同士を接続している。
【0019】
このように構成されたフレーム構造体の間では、フレーム14L、16Lの梁部位の間、ならびにフレーム14R、16Rの梁部位の間に搬送空間が形成されており、当該搬送空間を介して版及び基板を水平姿勢に保持した状態で搬送可能となっている。本実施形態では、第2フレーム構造体の後側、つまり(−Y)側に搬送部2が設けられて版および基板をX方向に搬送可能となっている。
【0020】
また、第1フレーム構造体を構成する水平プレート15に対して上ステージ部3が固定されて搬送部2により搬送される版および基板の上面を吸着保持可能となっている。つまり、搬送部2の版用シャトルによって版が図1の左手側から搬送空間を介して上ステージ部3の直下位置に搬送された後、上ステージ部3の吸着プレートが下降して版を吸着保持する。逆に、版用シャトルが上ステージ部3の直下位置に位置した状態で版を吸着した吸着プレートが吸着を解除すると、版が搬送部2に移載される。こうして、搬送部2と上ステージ部3との間で、版の受渡しが行われる。
【0021】
また、基板についても版と同様にして上ステージ部3に保持される。すなわち、搬送部2の基板用シャトルによって基板が図1の右手側から搬送空間を介して上ステージ部3の直下位置に搬送された後、上ステージ部3の吸着プレートが下降して基板を吸着保持する。逆に、基板用シャトルが上ステージ部3の直下位置に位置した状態で基板を吸着した上ステージ部3の吸着プレートが吸着を解除すると、基板が搬送部2に移載される。こうして、搬送部2と上ステージ部3との間で、基板の受渡しが行われる。
【0022】
上ステージ部3の鉛直方向の下方(以下「鉛直下方」あるいは「(−Z)方向」という)では、石定盤13の上面にアライメント部4が配置されている。そして、アライメント部4のアライメントステージ上に下ステージ部5が載置されて下ステージ部5の上面が上ステージ部3の吸着プレートと対向している。この下ステージ部5の上面はブランケットを吸着保持可能となっており、制御部6がアライメントステージを制御することで下ステージ部5上のブランケットを高精度に位置決め可能となっている。
【0023】
このように、本実施形態では、上ステージ部3と下ステージ部5とが鉛直方向Zにおいて互いに対向配置されている。そして、それらの間に、下ステージ部5上に載置されるブランケットを上方より押さえる押さえ部7と、版、基板およびブランケットのプリアライメントを行うプリアライメント部8とがそれぞれ配置され、第2フレーム構造体に固定されている。
【0024】
プリアライメント部8では、プリアライメント上部およびプリアライメント下部が鉛直方向Zに2段で積層配置されている。このプリアライメント上部は上ステージ部3の吸着プレートの直下位置に位置決めされた版用シャトルに保持される版にアクセスして版用シャトル上で版の位置合せを行う(版のプリアライメント処理)。また、吸着プレートの直下位置に位置決めされた基板用シャトルに保持される基板SBにアクセスして基板用シャトル上で基板の位置合せを行う(基板のプリアライメント処理)。さらに、プリアライメント下部は下ステージ部5の吸着プレート上に載置されたブランケットにアクセスして当該吸着プレート上でブランケットの位置合せを行う(ブランケットのプリアライメント処理)。
【0025】
ブランケット上のパターン層を基板に精密に転写するためには、基板のプリアライメント処理以外に、精密なアライメント処理が必要となる。このため、本実施形態では、アライメント部4は4台のCCD(Charge Coupled Device)カメラCMa〜CMdを有しており、各CCDカメラCMa〜CMdにより上ステージ部3に保持される基板と、下ステージ部5に保持されるブランケットとの各々に形成されるアライメントマークを読み取り可能となっている。そして、CCDカメラCMa〜CMdによる読取画像に基づいて制御部6がアライメントステージを制御することで、上ステージ部3で保持される基板に対し、下ステージ部5で吸着されるブランケットを精密に位置合せすることが可能となっている。
【0026】
また、ブランケット上のパターン層を基板に転写した後、ブランケットを基板から剥離するが、その剥離段階で静電気が発生する。また、版によりブランケット上の塗布層をパターニングした後、ブランケットを版から剥離した際にも、静電気が発生する。そこで、本実施形態では、静電気を除電するために、除電部9が設けられている。この除電部9は、第1フレーム構造体の左側、つまり(+X)側より上ステージ部3と下ステージ部5で挟まれた空間に向けてイオンを照射するイオナイザ91を有している。
【0027】
なお、図1への図示を省略しているが、装置カバーのうち(+X)側カバーには版を搬入出するための開口が設けられるとともに、版用開口を開閉する版用シャッター(後の図13中の符号18)が設けられている。そして、制御部6のバルブ制御部64が版用シャッター駆動シリンダCL11に接続されるバルブの開閉を切り替えることで、版用シャッター駆動シリンダCL11を作動させて版用シャッターを開閉駆動する。なお、この実施形態では、シリンダCL11を駆動するための駆動源として加圧エアーを用いており、その正圧供給源として工場の用力を用いているが、装置100がエアー供給部を装備し、当該エアー供給部によりシリンダCL11を駆動するように構成してもよい。この点については、後で説明するシリンダについても同様である。
【0028】
また、本実施形態では、(−X)側カバーおよび(+Y)側カバーにも、それぞれ基板およびブランケットを搬入出するための開口が設けられるとともに、基板用開口に対して基板用シャッター(後の図13中の符号19)およびブランケット用開口に対してブランケット用シャッター(図示省略)がそれぞれ設けられている。そして、バルブ制御部64によるバルブ開閉により基板用シャッター駆動シリンダCL12およびブランケット用シャッター駆動シリンダCL13がそれぞれ開閉駆動される。
【0029】
このように、本実施形態では、3つのシャッターと3つのシャッター駆動シリンダCL11〜CL13によりシャッター部10が構成されており、版、基板およびブランケットをそれぞれ独立して印刷装置100に対して搬入出可能となっている。なお、本実施形態では、図1への図示を省略しているが、版の搬入出のために版用搬入出ユニットが装置100の左手側に並設されるとともに、基板の搬入出のために基板用搬入出ユニットが装置100の右手側に並設されているが、版を搬送するための搬送ロボット(図示省略)が直接的に搬送部2の版用シャトルにアクセスして版の搬入出を行うように構成してもよく、この場合、版用搬入出ユニットの設置は不要となる。この点に関しては、基板側でも同様である。つまり、基板を搬送するための搬送ロボット(図示省略)が直接的に搬送部2の基板用シャトルにアクセスして基板の搬入出を行うように構成することで、基板用搬入出ユニットの設置は不要となる。
【0030】
一方、本実施形態では、ブランケットの搬入出については、ブランケットを搬送するための搬送ロボットを用いて行っている。すなわち、当該搬送ロボットが下ステージ部5に対してアクセスして処理前のブランケットを直接的に搬入し、また使用後のブランケットを受け取り搬出する。もちろん、版や基板と同様に、専用の搬入出ユニットを装置正面側に配置してもよいことは言うまでもない。
【0031】
B.装置各部の構成
B−1.搬送部2
図3は図1の印刷装置に装備される搬送部を示す斜視図である。この搬送部2は、鉛直方向Zに延設された2本のブラケット21L、21Rを有している。図1に示すように、ブラケット21Lは左側フレーム14Lの後側柱部位の左隣で石定盤13の上面より立設され、ブラケット21Rは右側フレーム14Rの後側柱部位の右隣で石定盤13の上面より立設されている。そして、図3に示すように、これら2本のブラケット21L、21Rの上端部を互いに連結するようにボールねじ機構22が左右方向、つまりX方向に延設されている。このボールねじ機構22においては、ボールねじ(図示省略)がX方向に延びており、その一方端には、シャトル水平駆動用のモータM21の回転軸(図示省略)が連結されている。また、ボールねじの中央部に対して2つのボールねじブラケット23、23が螺合されるとともに、それらのボールねじブラケット23、23の(+Y)側面に対してX方向に延設されたシャトル保持プレート24が取り付けられている。
【0032】
このシャトル保持プレート24の(+X)側端部に版用シャトル25Lが鉛直方向Zに昇降可能に設けられる一方、(−X)側端部に基板用シャトル25Rが鉛直方向Zに昇降可能に設けられている。これらのシャトル25L、25Rは、ハンドの回転機構を除き、同一構成を有しているため、ここでは、版用シャトル25Lの構成を説明し、基板用シャトル25Rについては同一符号または相当符号を付して構成説明を省略する。
【0033】
シャトル25Lは、X方向に版PPの幅サイズ(X方向サイズ)と同程度、あるいは若干長く延びる昇降プレート251と、昇降プレート251の(+X)側端部および(−X)側端部からそれぞれ前側、つまり(+Y)側に延設された2つの版用ハンド252、252とを有している。昇降プレート251はボールねじ機構253を介してシャトル保持プレート24の(+X)側端部に昇降可能に取り付けられている。すなわち、シャトル保持プレート24の(+X)側端部に対し、ボールねじ機構253が鉛直方向Zに延設されている。このボールねじ機構253の下端には、版用シャトル昇降モータM22Lに回転軸(図示省略)が連結されている。また、ボールねじ機構253に対してボールねじブラケット(図示省略)が螺合されるとともに、そのボールねじブラケットの(+Y)側面に対して昇降プレート251が取り付けられている。このため、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて版用シャトル昇降モータM22Lが作動することで、昇降プレート251が鉛直方向Zに昇降駆動される。
【0034】
各ハンド252、252の前後サイズ(Y方向サイズ)は版PPの長さサイズ(Y方向サイズ)よりも長く、各ハンド252、252の先端側(+Y側)で版PPを保持可能となっている。
【0035】
また、こうして版用ハンド252、252で版PPが保持されたことを検知するために、昇降プレート251の中央部から(+Y)側にセンサブラケット254が延設されるとともに、センサブラケット254の先端部に版検知用のセンサSN21が取り付けられている。このため、両ハンド252上に版PPが載置されると、センサSN21が版PPの後端部、つまり(−Y)側端部を検知し、検知信号を制御部6に出力する。
【0036】
さらに、各版用ハンド252、252はベアリング(図示省略)を介して昇降プレート251に取り付けられ、前後方向(Y方向)に延びる回転軸YA2を回転中心として回転自在となっている。また、昇降プレート251のX方向両端には、回転アクチュエータRA2、RA2が取り付けられている。これらの回転アクチュエータRA2、RA2は加圧エアーを駆動源として動作するものであり、加圧エアーの供給経路に介挿されたバルブ(図示省略)の開閉により180゜単位で回転可能となっている。このため、制御部6のバルブ制御部64による上記バルブの開閉を制御することで、版用ハンド252、252の一方主面が上方に向いてパターニング前の版PPを扱うのに適したハンド姿勢(以下「未使用姿勢」という)と、他方主面が上方を向いてパターニング後の版PPを扱うのに適したハンド姿勢(以下「使用済姿勢」という)との間で、ハンド姿勢を切替え可能となっている。このようにハンド姿勢の切替え機構を有している点が、版用シャトル25Lが基板用シャトル25Rと唯一相違する点である。
【0037】
次に、シャトル保持プレート24に対する版用シャトル25Lおよび基板用シャトル25Rの取り付け位置について説明する。この実施形態では、図3に示すように、版用シャトル25Lおよび基板用シャトル25Rは、版PPや基板SBの幅サイズ(なお実施形態では、版PPと基板SBの幅サイズは同一である)よりも長い間隔だけX方向に離間してシャトル保持プレート24に取り付けられている。そして、シャトル水平駆動モータM21の回転軸を所定方向に回転させると、両シャトル25L、25Rは上記離間距離を保ったままX方向に移動する。例えば図3では、符号XP23が上ステージ部3の直下位置を示しており、シャトル25L、25Rは、位置XP23からそれぞれ(+X)方向および(−X)方向に等距離(この距離を「ステップ移動単位」という)だけ離れた位置XP22、XP24に位置している。なお、本実施形態では、図3に示す状態を「中間位置状態」と称する。
【0038】
また、この中間位置状態からシャトル水平駆動モータM21の回転軸を所定方向に回転させてシャトル保持プレート24をステップ移動単位だけ(+X)方向に移動させると、基板用シャトル25Rが(+X)方向に移動して上ステージ部3の直下位置XP23まで移動して位置決めされる。このとき、版用シャトル25Lも一体的に(+X)方向に移動して版用搬入出ユニットに近接した位置XP21に位置決めされる。
【0039】
逆に、シャトル水平駆動モータM21の回転軸を所定方向と逆の方向に回転させてシャトル保持プレート24をステップ移動単位だけ(−X)方向に移動させると、版用シャトル25Lが中間位置状態から(−X)方向に移動して上ステージ部3の直下位置XP23まで移動して位置決めされる。このとき、基板用シャトル25Rも一体的に(−X)方向に移動して基板用搬入出ユニットに近接した位置XP25に位置決めされる。このように、本明細書では、X方向におけるシャトル位置として5つの位置XP21〜XP25が規定されている。つまり、版受渡し位置XP21は、版用シャトル25Lが位置決めされる3つの位置XP21〜XP23のうち最も版用搬入出ユニットに近接位置であり、版用搬入出ユニットとの間で版PPの搬入出が行われるX方向位置を意味している。この基板受渡し位置XP25は、基板用シャトル25Rが位置決めされる3つの位置XP23〜XP25のうち最も基板用搬入出ユニットに近接位置であり、基板用搬入出ユニットとの間で基板SBの搬入出が行われるX方向位置を意味している。また、位置XP23は上ステージ部3の吸着プレート37が鉛直方向Zに移動して版PPや基板SBを吸着保持するX方向位置を意味しており、版用シャトル25LがX方向位置XP23に位置している際には、当該位置XP23を「版吸着位置XP23」と称する一方、基板用シャトル25RがX方向位置XP23に位置している際には、当該位置XP23を「基板吸着位置XP23」と称する。また、このようにシャトル25L、25Rにより版PPや基板SBを搬送する鉛直方向Zでの位置、つまり高さ位置を「搬送位置」と称する。
【0040】
また、本実施形態では、パターニング時での版PPとブランケットとのギャップ量、ならびに転写時での基板SBとブランケットとのギャップ量を正確に制御するため、版PPおよび基板SBの厚みを計測する必要がある。そこで、版厚み計測センサSN22および基板厚み計測センサSN23が設けられている。
【0041】
より具体的には、図3に示すように、前側、(+Y)側に延設されたセンサブラケット26Lが左側ブラケット21Lに取り付けられてセンサブラケット26Lの先端部が位置XP21に位置決めされる版PPの上方まで延びている。そして、センサブラケット26Lの先端部に対し、版厚み計測センサSN22が取り付けられている。このセンサSN22は投光部と受光部とを有しており、版PPの上面で反射された光に基づいてセンサSN22から版PPの上面までの距離を計測するとともに、版PPの下面で反射された光に基づいてセンサSN22から版PPの下面までの距離を計測し、それらの距離に関する情報を制御部6に出力している。したがって、制御部6では、これらの距離情報から版PPの厚みを正確に求めることが可能となっている。
【0042】
また、基板側についても版側と同様にして、基板厚み計測センサSN23が設けられている。すなわち、センサブラケット26Rが右側ブラケット21Rに取り付けられてセンサブラケット26Rの先端部が位置XP25に位置決めされる基板SBの上方まで延びている。そして、センサブラケット26Rの先端部に対し、基板厚み計測センサSN23が取り付けられ、基板SBの厚みが計測される。
【0043】
B−2.上ステージ部3
図4は図1の印刷装置に装備される上ステージ部を示す斜視図である。この上ステージ部3は位置XP23(図3参照)に位置決めされる版PPや基板SBの上方に配置されており、支持フレーム31が水平プレート15と連結されることによって第1フレーム構造体に支持されている。この支持フレーム31は、図4に示すように、鉛直方向Zに延設されたフレーム側面を有しており、鉛直方向Zに延設されたボールねじ機構32を当該フレーム側面で支持している。また、ボールねじ機構32の上端部には、第1ステージ昇降モータM31の回転軸(図示省略)が連結されるとともに、ボールねじ機構32に対してボールねじブラケット321が螺合している。
【0044】
このボールねじブラケット321には、別の支持フレーム33が固定されており、ボールねじブラケット321と一体的に鉛直方向Zに昇降可能となっている。さらに、当該支持フレーム33のフレーム面で、別のボールねじ機構34が支持されている。このボールねじ機構34には、上記ボールねじ機構32のボールねじよりも狭ピッチのボールねじが設けられ、その上端部には、第2ステージ昇降モータM32の回転軸(図示省略)が連結されるとともに、中央部にはボールねじブラケット341が螺合している。
【0045】
このボールねじブラケット341には、ステージホルダ35が取り付けられている。ステージホルダ35は、鉛直方向Zに延設された3枚の鉛直プレート351〜353で構成されている。そのうちの鉛直プレート351はボールねじブラケット341に固着され、残りの鉛直プレート352、353はそれぞれ鉛直プレート351の左右側に固着されている。そして、鉛直プレート351〜353の鉛直下方端に対して水平支持プレート36が取り付けられ、さらに当該水平支持プレート36の下面に、例えばアルミニウム合金などの金属製の吸着プレート37が取り付けられている。
【0046】
したがって、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じてステージ昇降モータM31、M32が作動することで、吸着プレート37が鉛直方向Zに昇降移動させられる。また、本実施形態では、異なるピッチを有するボールねじ機構32、34を組み合わせ、第1ステージ昇降モータM31を作動させることで比較的広いピッチで吸着プレート37を昇降させる、つまり吸着プレート37を高速移動させることができるとともに、第2ステージ昇降モータM32を作動させることで比較的狭いピッチで吸着プレート37を昇降させる、つまり吸着プレート37を精密に位置決めすることができる。
【0047】
この吸着プレート37の下面、つまり版PPや基板SBを吸着保持する吸着面に複数本の吸着溝371が設けられている。また、吸着プレート37の外周縁に設けた複数の切欠部373および吸着プレート37の中央部には、複数の吸着パッド38が配置されている。なお、吸着パッド38は、先端面が吸着プレート37の下面と面一になった状態で吸着パッド38を支持するノズル本体が水平支持プレート36やノズル支持プレート39等の支持部材で支持されている。また、吸着パッド38のうち吸着プレート37の中央部に配置されるもの(図示省略)は、吸着強度を向上させるための補助的なものであり、このような補助的な吸着パッドを設けないことも可能である。
【0048】
このように、本実施形態では、版PPや基板SBを吸着保持するための吸着手段として、吸着溝371および吸着パッド38が設けられるとともに、それぞれに対して負圧を独立して供給するための負圧供給経路を介して負圧供給源に接続されている。そして、制御部6のバルブ制御部64からの開閉指令に応じて吸着溝用の負圧供給経路に介挿されるバルブV31(図2)を開閉制御することで吸着溝371による版PPや基板SBの吸着が可能となる。また、バルブ制御部64からの開閉指令に応じて吸着パッド用の負圧供給経路に介挿されるバルブV32(図2)を開閉制御することで吸着パッド38による版PPや基板SBの吸着が可能となる。なお、本実施形態では、上記した吸着手段および後述するようにブランケットを吸着保持する吸着手段は、負圧供給源として工場の用力を用いているが、装置100が真空ポンプなどの負圧供給部を装備し、当該負圧供給部から吸着手段に負圧を供給するように構成してもよい。
【0049】
B−3.アライメント部4
図5は図1の印刷装置に装備されるアライメント部および下ステージ部を示す斜視図である。アライメント部4および下ステージ部5は、図1に示すように、上ステージ部3の鉛直下方側に配置されている。アライメント部4は、カメラ取付ベース41、4本の柱部材42、中央部に開口が設けられた額縁状のステージ支持プレート43、アライメントステージ44および撮像部45を有している。このカメラ取付ベース41は、図1に示すように、石定盤13の上面中央部に形成された凹部の内底面に固定されている。また、カメラ取付ベース41の前後端部の各々から2本ずつ柱部材42が鉛直方向Zの上方(以下「鉛直上方」あるいは「(+Z)方向」という)に立設されており、これらによってカメラ取付ベース41のハンドリング性を向上させている。
【0050】
ステージ支持プレート43は、図1に示すように、石定盤13の凹部を跨ぐように水平姿勢で配置され、ステージ支持プレート43の中央開口とカメラ取付ベース41とが対向した状態で石定盤13の上面に固定されている。また、このステージ支持プレート43の上面にアライメントステージ44が固定されている。
【0051】
アライメントステージ44は、ステージ支持プレート43上に固定されるステージベース441と、ステージベース441の鉛直上方に配置されて下ステージ部5を支持するステージトップ442とを有している。これらステージベース441およびステージトップ442はいずれも中央部に開口を有する額縁形状を有している。また、これらステージベース441およびステージトップ442の間には、鉛直方向Zに延びる回転軸を回転中心とする回転方向、X方向およびY方向の3自由度を有する、例えばクロスローラベアリング等の支持機構(図示省略)がステージトップ442の各角部近傍に配置されている。
【0052】
これらの支持機構のうち、前左角部に配置される支持機構に対してY軸ボールねじ機構443aが設けられるとともに、当該Y軸ボールねじ機構443aにY軸駆動モータM41が取り付けられている。また、前右角部に配置される支持機構に対してX軸ボールねじ機構443bが設けられるとともに、当該X軸ボールねじ機構443bにX軸駆動モータM42が取り付けられている。また、後右角部に配置される支持機構に対してY軸ボールねじ機構443cが設けられるとともに、当該Y軸ボールねじ機構443cの駆動源としてY軸駆動モータM43が取り付けられている。さらに、後左角部に配置される支持機構に対してX軸ボールねじ機構(図示省略)が設けられるとともに、当該X軸ボールねじ機構にX軸駆動モータM44(図2)が取り付けられている。このため、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて各駆動モータM41〜M44を作動させることで、アライメントステージ44の中央部に比較的大きな空間を設けながら、ステージトップ442を水平面内で移動させるとともに、鉛直軸を回転中心として回転させて下ステージ部5の吸着プレートを位置決め可能となっている。
【0053】
本実施形態において中空空間を有するアライメントステージ44を用いた理由のひとつは、下ステージ部5の上面に保持されるブランケットおよび上ステージ部3の下面に保持される基板SBに形成されるアライメントマークを撮像部45により撮像するためである。以下、図5および図6を参照しつつ撮像部45の構成について説明する。
【0054】
図6はアライメント部の撮像部を示す斜視図である。撮像部45は、ブランケットの4箇所にそれぞれ形成されるアライメントマーク、ならびに基板SBの4箇所にそれぞれ形成されるアライメントマークを撮像するものであり、4つの撮像ユニット45a〜45dを有している。各撮像ユニット45a〜45dの撮像対象領域は、
撮像ユニット45a:ブランケットおよび基板SBの前左角部の近傍領域、
撮像ユニット45b:ブランケットおよび基板SBの前右角部の近傍領域、
撮像ユニット45c:ブランケットおよび基板SBの後右角部の近傍領域、
撮像ユニット45d:ブランケットおよび基板SBの後左角部の近傍領域、
であり、互いに異なっているが、ユニット構成は同一である。したがって、ここでは、撮像ユニット45aの構成を説明し、その他の構成については同一または相当符号を付して説明を省略する。
【0055】
撮像ユニット45aでは、XYテーブル451が、図6に示すように、カメラ取付ベース41の前左角部の近傍上面に配置されている。このXYテーブル451のテーブルベースがカメラ取付ベース41に固定されており、調整つまみ(図示省略)をマニュアルで操作することでXYテーブル451のテーブルトップがX方向およびY方向に精密に位置決めされる。このテーブルトップ上に、精密昇降テーブル452が取り付けられている。この精密昇降テーブル452には、Z軸駆動モータM45a(図2)が設けられており、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じてZ軸駆動モータM45aが作動することで精密昇降テーブル452のテーブルトップが鉛直方向Zに昇降移動する。
【0056】
この精密昇降テーブル452のテーブルトップの上面には、鉛直方向Zに延設されたカメラブラケット453の下端部が固定される一方、上端部がステージ支持プレート43の中央開口、アライメントステージ44の中央開口およびステージベースの長孔開口(これについては後で詳述する)を通過して下ステージ部5の吸着プレート51の直下近傍まで延設されている。そして、このカメラブラケット453の上端部に対し、撮像面を鉛直上方側に向けた状態でCCDカメラCMa、鏡筒454および対物レンズ455がこの順序で積層配置されている。また、鏡筒454の側面には光源456が取り付けられており、光源駆動部46により点灯駆動される。本実施形態では、光源456としては赤色LED(Light Emitting Diode)を用いているが、ブランケットや基板SBの材質などに応じた光源を用いることができる。また、鏡筒454の上方には対物レンズ455が取り付けられている。さらに、鏡筒454の内部には、ハーフミラー(図示省略)が配置されており、光源456から射出された照明光を(+Z)方向に折り曲げ、対物レンズ455および吸着プレート51の前左角部の近傍領域に設けられた石英窓52aを介して下ステージ部5上のブランケットに照射する。また、照明光の一部はさらに当該ブランケットを介して上ステージ部3の吸着プレート37に吸着保持される基板SBに照射する。なお、本実施形態では、ブランケットは透明部材で構成されているため、上記したように照明光はブランケットを透過して基板SBの下面に到達する。
【0057】
また、ブランケットや基板SBから射出される光のうち(−Z)側に進む光は、石英窓52a、対物レンズ455および鏡筒454を介してCCDカメラCMaに入射し、CCDカメラCMaが石英窓52aの鉛直上方に位置するアライメントマークを撮像する。このように撮像ユニット45aでは、石英窓52aを介して照明光を照射するとともに石英窓52aを介してブランケットおよび基板SBの前左角部の近傍領域の画像を撮像し、その像に対応する画像信号を制御部6の画像処理部65に出力する。一方、他の撮像ユニット45b〜45dは、撮像ユニット45aと同様にして、それぞれ石英窓52b〜52dを介して画像を撮像する。
【0058】
B−4.下ステージ部5
次に、図5に戻って下ステージ部5の構成について詳述する。この下ステージ部5は、吸着プレート51と、上記した4つの石英窓52a〜52dと、4本の柱部材53と、ステージベース54と、リフトピン部55とを有している。ステージベース54には、左右方向Xに延びる長孔形状の開口が前後方向Yに3つ並んで設けられている。そして、これらの長孔開口と、アライメントステージ44の中央開口とが上方からの平面視でオーバーラップするように、ステージベース54がアライメントステージ44上に固定されている。また、前側の長孔開口には、撮像ユニット45a、45bの上方部(CCDカメラ、鏡筒および対物レンズ)が遊挿されるとともに、後側の長孔開口には、撮像ユニット45c、45dの上方部(CCDカメラ、鏡筒および対物レンズ)が遊挿されている。また、ステージベース54の上面角部から柱部材53が(+Z)に立設され、各頂部が吸着プレート51を支持している。
【0059】
この吸着プレート51は例えばアルミニウム合金などの金属プレートであり、その前左角部、前右角部、後右角部および後左角部の近傍領域には、石英窓52a〜52dがそれぞれ設けられている。また、吸着プレート51の上面には、石英窓52a〜52dを取り囲むように溝511が設けられるとともに、溝511により囲まれる内部領域では、石英窓52a〜52dを除き、左右方向Xに延びる複数の溝512が前後方向Yに一定間隔で設けられている。
【0060】
これら溝511、512の各々に対して正圧供給配管(図示省略)の一方端が接続されるとともに、他方端が加圧用マニホールドに接続されている。さらに、各正圧供給配管の中間部に加圧バルブV51(図2)が介挿されている。この加圧用マニホールドに対しては、工場の用力から供給される加圧エアーをレギュレータで調圧することで得られる一定圧力のエアーが常時供給されている。このため、制御部6のバルブ制御部64からの動作指令に応じて所望の加圧バルブV51が選択的に開くと、その選択された加圧バルブV51に繋がる溝511、512に対して調圧された加圧エアーが供給される。
【0061】
また、溝511、512の各々に対しては、加圧エアーの選択供給のみならず、選択的な負圧供給も可能となっている。すなわち、溝511、512の各々に対して負圧供給配管(図示省略)の一方端が接続されるとともに、他方端が負圧用マニホールドに接続されている。さらに、各負圧供給配管の中間部に吸着バルブV52(図2)が介挿されている。この負圧用マニホールドには、負圧供給源がレギュレータを介して接続されており、所定値の負圧が常時供給されている。このため、制御部6のバルブ制御部64からの動作指令に応じて所望の吸着バルブV52が選択的に開くと、その選択された吸着バルブV52に繋がる溝511、512に対して調圧された負圧が供給される。
【0062】
このように本実施形態では、バルブV51、52の開閉制御によって吸着プレート51上にブランケットを部分的あるいは全面的に吸着させたり、吸着プレート51とブランケットとの間にエアーを部分的に供給してブランケットを部分的に膨らませて上ステージ部3に保持された版PPや基板SBに押し遣ることが可能となっている。
【0063】
図7は下ステージ部に装備されるリフトピン部を示す図であり、同図(a)はリフトピン部の平面図であり、同図(b)は側面図である。リフトピン部55では、リフトプレート551が吸着プレート51とステージベース54との間で昇降自在に設けられている。このリフトプレート551には、4箇所の切欠部551a〜551dが形成されて撮像ユニット45a〜45dとの干渉が防止されている。つまり、撮像ユニット45a〜45dがそれぞれ切欠部551a〜551dに入り込む状態で、リフトプレート551は鉛直方向Zに昇降可能となっている。また、このように4箇所の切欠部551a〜551dを設けることでリフトプレート551には6本のフィンガー部551e〜551jが形成され、各フィンガー部551e〜551jの先端部から鉛直上方にリフトピン552e〜552jがそれぞれ立設されている。また、リフトピン552e、552fの間に別のリフトピン552kが立設されるとともに、リフトピン552i、552jの間にさらに別のリフトピン552mが立設されており、合計8本のリフトピン552(552e〜552k、552m)がリフトプレート551に立設されてブランケットの下面全体を支持可能となっている。これらのリフトピン552は吸着プレート51の外周縁に対して鉛直方向Zに穿設された貫通孔(図示省略)よりも細く、図5に示すように、貫通孔を鉛直下方側より挿通可能となっている。
【0064】
また、各リフトピン552の上端側から圧縮ばね553およびハウジング554がこの順序で外挿され、圧縮ばね553の下端部がリフトプレート551で係止されるとともに、その上端部に対してハウジング554が覆い被さっている。なお、ハウジング554の上面は、吸着プレート51の貫通孔の内径よりも大きな外径を有する円形形状を有しており、次に説明するようにピン昇降シリンダCL51によりリフトプレート551を上昇させた際、ハウジング554の上面は吸着プレート51の下面で係止され、リフトプレート551とで圧縮ばね553を挟み込んで収縮させてリフトプレート551の上昇速度をコントロールする。また、リフトプレート551の下降にも、圧縮ばね553の圧縮力を利用してリフトプレート551の下降速度をコントロールする。
【0065】
このピン昇降シリンダCL51は、下面がカメラ取付ベース41に固定されたガイドブラケット555の側面に固定されており、ピン昇降シリンダCL51のピストン先端がスライドブロック556を介してリフトプレート551を支持している。したがって、制御部6のバルブ制御部64がピン昇降シリンダCL51に接続されるバルブの開閉を切り替えることで、ピン昇降シリンダCL51を作動させてリフトプレート551を昇降させる。その結果、吸着プレート51の上面、つまり吸着面に対し、全リフトピン552が進退移動させられる。例えば、リフトピン552が吸着プレート51の上面から(+Z)方向に突出することで、ブランケット搬送ロボットによりブランケットがリフトピン552の頂部に載置可能となる。そして、ブランケットの載置に続いて、リフトピン552が吸着プレート51の上面よりも(−Z)方向に後退することで、ブランケットが吸着プレート51の上面に移載される。その後、適当なタイミングで、アライメント部4の撮像機能を利用して後述する方法によりブランケットの厚みが計測される。
【0066】
B−5.押さえ部7
図8は図1の印刷装置に装備される押さえ部を示す図である。同図(a)は押さえ部7の構成を示す斜視図であり、同図(b)は吸着プレート51に吸着保持されるブランケットBLを押さえ部7により押さえた状態(以下「ブランケット押さえ状態」という)を示し、同図(c)は押さえ部7によるブランケットBLを解除した状態(以下「ブランケット押さえ解除状態」という)を示している。この押さえ部7は、吸着プレート51の鉛直上方側に設けられる押さえ部材71を切替機構72によって鉛直方向Zに昇降することでブランケット押さえ状態とブランケット押さえ解除状態とを切り替える。
【0067】
この切替機構72では、第2フレーム構造体の水平プレート17に対し、それぞれシリンダブラケット721〜723によって押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73が、ピストン724を鉛直下方側に進退自在に、取り付けられている。これらのピストン724の先端部では、押さえ部材71がぶら下がり状態で遊嵌されている。
【0068】
押さえ部材71は、支持プレート711と、4つのブランケット押さえプレート712とを有している。支持プレート711は、ブランケットBLと同一の平面サイズを有し、その中央部が開口しており、全体として額縁形状を有している。この支持プレート711の下面に対し、4枚のブランケット押さえプレート712が固定されて支持プレート711の下面全部を覆っている。
【0069】
また、支持プレート711には、図8(b)、(c)に示すように、押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73に対応する位置にピストン724の外径よりも広い内径を有する貫通孔716が穿設されている。そして、各貫通孔716の下方側より締結部材717が貫通孔716を介してピストン724の先端部に接続されている。これによって、押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73のピストン724は支持プレート711に遊嵌された状態で押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73に連結される。つまり、押さえ部材71は押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73に対してフローティング状態で支持されている。
【0070】
そして、制御部6のバルブ制御部64が押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73に接続されるバルブの開閉を切り替えることで、押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73を作動させて押さえ部材71を下ステージ部5の吸着プレート51に対して当接または離間させる。例えば、押さえ部材71がブランケットBLを保持している吸着プレート51に下降してブランケット押さえ状態となり、ブランケットBLの周縁部を全周にわたって吸着プレート51とで挟み込んでホールドする。また、アライメントのために吸着プレート51が移動した際にも、押さえ部材71は吸着プレート51とともに水平方向(X方向、Y方向)に移動し、ブランケットBLを安定して保持する。
【0071】
B−6.プリアライメント部8
図9は図1の印刷装置に装備されるプリアライメント部を示す斜視図である。プリアライメント部8は、プリアライメント上部81と、プリアライメント下部82とを有している。これらのうちプリアライメント上部81は、プリアライメント下部82よりも鉛直上方側に配置され、ブランケットBLとの密着に先立って、位置XP23で版用シャトル25Lにより保持される版PPおよび基板用シャトル25Rにより保持される基板SBをアライメントする。一方、プリアライメント下部82は、版PPや基板SBとの密着に先立って、下ステージ部5の吸着プレート51に載置されるブランケットBLをアライメントする。なお、プリアライメント上部81と、プリアライメント下部82とは基本的に同一構成を有している。そこで、以下においては、プリアライメント上部81の構成について説明し、プリアライメント下部82については同一または相当符号を付して構成説明を省略する。
【0072】
プリアライメント上部81は、4つの上ガイド移動部811〜814を有している。各上ガイド移動部811〜814は第2フレーム構造体を構成する複数の水平プレートのうち上段側に配置された水平プレート17に設けられている。すなわち、前後方向Yに延設された2本の水平プレートのうちの左側水平プレート17aに対し、その中央部に上ガイド移動部811が取り付けられるとともに、その前側端部に上ガイド移動部812が取り付けられている。また、もう一方の右側水平プレート17bに対し、その中央部に上ガイド移動部813が取り付けられるとともに、その後側端部に上ガイド移動部814が取り付けられている。なお、上ガイド移動部811、813は同一構成を有し、また上ガイド移動部812、814は同一構成を有している。したがって、以下においては、上ガイド移動部811、812の構成を詳述し、上ガイド移動部813、814について同一または相当符号を付して構成説明を省略する。
【0073】
上ガイド移動部811では、ボールねじ機構811aが左右方向Xに延設された状態で左側水平プレート17aの中央部に固定されている。そして、ボールねじ機構811aのボールねじに対してボールねじブラケットが螺合されるとともに、当該ボールねじブラケットに上ガイド811bが上ガイド移動部813に対向して取り付けられている。また、ボールねじ機構811aの左端部に上ガイド駆動モータM81aの回転軸(図示省略)が連結されており、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて上ガイド駆動モータM81aが作動することで上ガイド811bが左右方向Xに移動する。
【0074】
また、上ガイド移動部812では、ボールねじ機構812aが前後方向Yに延設された状態で左側水平プレート17aの前側端部に固定されている。そして、ボールねじ機構812aのボールねじに対してボールねじブラケットが螺合されるとともに、当該ボールねじブラケットに対し、左右方向に延設されたガイドホルダ812cの左端部が固定されている。このガイドホルダ812cの右端部は、水平プレート17a、17bの中間位置に達しており、その右端部に上ガイド812bが上ガイド移動部814に対向して取り付けられている。また、ボールねじ機構812aの後端部に上ガイド駆動モータM81bの回転軸(図示省略)が連結されており、制御部6のモータ制御部63からの動作指令に応じて上ガイド駆動モータM81bが作動することで上ガイド812bが前後方向Yに移動する。
【0075】
このように4つの上ガイド811b〜814bが位置XP23の鉛直下方位置で版PPや基板SB(同図中の一点鎖線)を取り囲んでおり、各上ガイド811b〜814bが独立して版PPなどに対して近接および離間可能となっている。したがって、各上ガイド811b〜814bの移動量を制御することによって版PPおよび基板SBをシャトルのハンド上で水平移動あるいは回転させてアライメントすることが可能となっている。
【0076】
B−7.除電部9
図10は図1の印刷装置に装備される除電部を示す斜視図である。除電部9では、ベースプレート92が下ステージ部5の左側で石定盤13の上面に固定されている。また、ベースプレート92から柱部材93が立設されており、その上端部は下ステージ部5よりも高い位置まで延設されている。そして、ベースプレート92の上端部に対して固定金具94を介してイオナイザブラケット95が取り付けられている。このイオナイザブラケット95は右方向(−X)に延設され、その先端部は吸着プレート51の近傍に達している。そして、その先端部にイオナイザ91が取り付けられている。
【0077】
B−8.制御部6
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)61、メモリ62、モータ制御部63、バルブ制御部64、画像処理部65および表示/操作部66を有しており、CPU61はメモリ62に予め記憶されたプログラムにしたがって装置各部を制御して、図11ないし図18に示すように、パターニング処理および転写処理を実行する。
【0078】
C.印刷装置の全体動作
図11は、図1の印刷装置の全体動作を示すフローチャートである。また、図12ないし図18は、図1の印刷装置の動作を説明するための図であり、図中のテーブルは制御部6による制御内容(制御対象および動作内容)を示し、また図中の模式図は装置各部の状態を示している。この印刷装置100の初期状態では、図12(a)に示すように、版用シャトル25Lおよび基板用シャトル25Rはそれぞれ中間位置XP22、XP24に位置決めされており、版用搬入出ユニットへの版PPのセットを待って版PPの投入工程(ステップS1)、ならびに基板用搬入出ユニットへの基板SBのセットを待って基板SBの投入工程(ステップS2)を実行する。なお、版用シャトル25Lおよび基板用シャトル25Rが一体的に左右方向Xに移動するという搬送構造を採用しているため、版PPの搬入を行った(ステップS1)後、基板SBの搬入を行う(ステップS2)が、両者の順序を入れ替えてもよい。
【0079】
C−1.版搬入工程(ステップS1)
図12(b)の「ステップS1」の欄に示すように、サブステップ(1−1)〜(1−7)を実行する。すなわち、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を所定方向に回転させ、シャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させる(1−1)。これによって、版用シャトル25Lが版受渡し位置XP21に移動して位置決めされる。また、回転アクチュエータRA2、RA2が動作し、版用ハンド252、252を180゜回転させて原点位置に位置決めする(1−2)。これによって、ハンド姿勢が使用済姿勢から未使用姿勢に切り替わり、使用前の版PPの投入準備が完了する。
【0080】
そして、版用シャッター駆動シリンダCL11が動作し、版用シャッター18を鉛直下方に移動させる、つまりシャッター18を開く(1−3)。それに続いて、制御部6からの動作指令に応じて版用搬入出ユニットが版PPを印刷装置100の内部に搬入し、版用シャトル25Lのハンド252,252上に載置する(1−4)。こうして版PPの投入が完了すると、上記バルブの開閉状態を元に戻すことで版用シャッター駆動シリンダCL11が逆方向に作動して版用シャッター18を元の位置に戻す、つまりシャッター18を閉じる(1−5)。
【0081】
版PPの投入完了時点では、版PPは版受渡し位置XP21に位置している。そこで、このタイミングで、版厚み計測センサSN22が作動して版PPの上面および下面の高さ位置(鉛直方向Zにおける位置)を検出し、それらの検出結果を示す高さ情報を制御部6に出力する。そして、これらの高さ情報に基づいてCPU61は版PPの厚みを求め、メモリ62に記憶する。こうして、版PPの厚み計測が実行される(1−6)。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を逆回転させてシャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させ、中間位置XP22に位置決めする(1−7)。
【0082】
C−2.基板投入工程(ステップS2)
図12(b)の「ステップS2」の欄に示すように、サブステップ(2−1)〜(2−6)を実行する。すなわち、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を所定方向と逆方向に回転させ、シャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させる(2−1)。これによって、基板用シャトル25Rが基板受渡し位置XP25に移動して位置決めされる。なお、基板用ハンド252、252については回転機構が設けられておらず、サブステップ(2−1)が完了した時点で基板SBの投入準備が完了する。
【0083】
そして、基板用シャッター駆動シリンダCL12が動作し、基板用シャッター19を鉛直下方に移動させる、つまりシャッター19を開く(2−2)。それに続いて、制御部6からの動作指令に応じて基板用搬入出ユニットが基板SBを印刷装置100の内部に搬入し、基板用シャトル25Rのハンド252,252上に載置する(2−3)。こうして基板SBの投入が完了すると、上記バルブの開閉状態を元に戻すことで基板用シャッター駆動シリンダCL12が逆方向に作動して基板用シャッター19を元の位置に戻す、つまりシャッター19を閉じる(2−4)。
【0084】
基板SBの投入完了時点では、基板SBは基板受渡し位置XP25に位置している。そこで、このタイミングで、基板厚み計測センサSN23が作動して基板SBの上面および下面の高さ位置を検出し、それらの検出結果を示す高さ情報を制御部6に出力する。そして、これらの高さ情報に基づいてCPU61は、版PPに続いて、基板SBの厚みを求め、メモリ62に記憶する。こうして、基板SBの厚み計測が実行される(2−5)。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を所定方向に回転させてシャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させ、中間位置XP24に位置決めする(2−6)。
【0085】
このように、本実施形態では、図12(c)に示すように、パターニング処理を実行する前に、版PPのみならず、基板SBをも準備しておき、後で詳述するように、パターニング処理および転写処理を連続して実行する。これによって、ブランケットBL上でパターニングされた塗布層が基板SBに転写されるまでの時間間隔を短縮することができ、安定した処理が実行される。
【0086】
C−3.版吸着(ステップS3)
図13(a)の「ステップS3」の欄に示すように、サブステップ(3−1)〜(3−7)を実行する。すなわち、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させる(3−1)。これによって、版用シャトル25Lが版吸着位置XP23に移動して位置決めされる。そして、版用シャトル昇降モータM22Lが回転軸を回転させ、昇降プレート251を下方向(−Z)に移動させる(3−2)。これによって、版用シャトル25Lに支持されたまま版PPが搬送位置よりも低いプリアライメント位置に移動して位置決めされる。
【0087】
次に、上ガイド駆動モータM81a〜M81dが回転軸を回転させ、上ガイド811b、813bが左右方向Xに移動するとともに、上ガイド812b、814bが前後方向Yに移動し、各上ガイド811b〜814bが版用シャトル25Lに支持される版PPの端面と当接して版PPを予め設定した水平位置に位置決めする。その後、各上ガイド駆動モータM81a〜M81dが回転軸を逆方向に回転させ、各上ガイド811b〜814bが版PPから離間する(3−3)。
【0088】
こうして、版PPのプリアライメント処理が完了すると、ステージ昇降モータM31が回転軸を所定方向に回転させ、吸着プレート37を下方向(−Z)に下降させて版PPの上面と当接させる。それに続いて、バルブV31,V32が開き、これによって吸着溝371および吸着パッド38により版PPが吸着プレート37に吸着される(3−4)。
【0089】
吸着検出センサSN31(図2)により版PPの吸着が検出されると、ステージ昇降モータM31が回転軸を逆方向に回転させ、吸着プレート37が版PPを吸着保持したまま鉛直上方に上昇して版吸着位置XP23の鉛直上方位置に版PPを移動させる(3−5)。そして、版用シャトル昇降モータM22Lが回転軸を回転させ、昇降プレート251を鉛直上方に移動させ、版用シャトル25Lをプリアライメント位置から搬送位置、つまり版吸着位置XP23に移動して位置決めする(3−6)。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させ、空になった版用シャトル25Lを中間位置XP22に位置決めする(3−7)。
【0090】
C−4.ブランケット吸着(ステップS4)
図13(a)の「ステップS4」の欄に示すように、サブステップ(4−1)〜(4−9)を実行する。すなわち、X軸駆動モータM42,M44およびY軸駆動モータM41,M43が作動してアライメントステージ44を初期位置に移動させる(4−1)。これによって、毎回スタートが同じ位置となる。それに続いて、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート551を上昇させ、リフトピン552を吸着プレート51の上面から鉛直上方に突出させる(4−2)。こうして、ブランケットBLの投入準備が完了すると、ブランケット用シャッター駆動シリンダCL13が動作し、ブランケット用シャッター(図示省略)を移動させて当該シャッターを開く(4−3)。そして、ブランケット搬送ロボットが、装置100にアクセスしてブランケットBLをリフトピン552の頂部に載置した後、装置100から退避する(4−4)。これに続いて、ブランケット用シャッター駆動シリンダCL13が動作し、ブランケット用シャッターを移動させて当該シャッターを閉じる(4−5)。
【0091】
次に、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート551を下降させる。これによって、リフトピン552がブランケットBLを支持したまま下降してブランケットBLを吸着プレート51に載置する(4−6)。すると、下ガイド駆動モータM82a〜M82dが回転軸を回転させ、下ガイド821b、823bが左右方向Xに移動するとともに、下ガイド822b、824bが前後方向Yに移動し、各下ガイド821b〜824bが吸着プレート51に支持されるブランケットBLの端面と当接してブランケットBLを予め設定した水平位置に位置決めする(4−7)。
【0092】
こうしてブランケットBLのプリアライメント処理が完了すると、吸着バルブV52が開き、これによって溝511、512に対して調圧された負圧が供給されてブランケットBLが吸着プレート51に吸着される(4−8)。さらに、各下ガイド駆動モータM82a〜M82dが回転軸を逆方向に回転させ、各下ガイド821b〜824bをブランケットBLから離間させる(4−9)。これによって、図13(b)に示すように、パターニング処理の準備が完了する。
【0093】
C−5.パターニング(ステップS5)
ここでは、ブランケット厚みが計測された後で、パターニングが実行される。この実施形態では、精密アライメント動作のための撮像部45を用いてブランケット厚みの計測が行われる。その詳細については後述するが、図14(a)の「ステップS5」の欄に示すように、撮像部45を厚み計測用の初期位置に移動させる(5−1)。そして、撮像部45を上下方向(Z方向)に移動させながら撮像を行い、撮像された画像からブランケットBLの厚みが導出される(5−2)。撮像が終了すると、撮像部45を元の待機位置に戻す(5−3)。
【0094】
次に、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を所定方向に回転させ、吸着プレート37を下方向(−Z)に下降させて版PPをブランケットBLの近傍に移動させる。さらに、第2ステージ昇降モータM32が回転軸を回転させ、狭いピッチで吸着プレート37を昇降させて鉛直方向Zにおける版PPとブランケットBLの間隔、つまりギャップ量を正確に調整する(5−4)。なお、このギャップ量は版PPおよびブランケットBLの厚み計測結果に基づいて制御部6により決定される。
【0095】
そして、押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73が動作し、押さえ部材71を下降させてブランケットBLの周縁部を全周にわたって押さえ部材71で押さえ付ける(5−5)。それに続いて、バルブV51、52が動作して吸着プレート51とブランケットBLとの間にエアーを部分的に供給してブランケットBLを部分的に膨らませる。この浮上部分が上ステージ部3に保持された版PPに押し遣られる(5−6)。その結果、図15(b)に示すように、ブランケットBLの中央部が版PPに密着して版PPの下面に予め形成されたパターン(図示省略)がブランケットBLの上面に予め塗布された塗布層と当接して当該塗布層をパターニングしてパターン層を形成する。
【0096】
C−6.版剥離(ステップS6)
図14(c)の「ステップS6」の欄に示すように、サブステップ(6−1)〜(6−5)を実行する。すなわち、第2ステージ昇降モータM32が回転軸を回転させて吸着プレート37が上昇して版PPをブランケットBLから剥離させる(6−1)。また、剥離処理を行うために版PPを上昇させるのと並行して適時、バルブV51、V52の開閉状態を切替え、ブランケットBLに負圧を与えて吸着プレート37側に引き寄せる。その後、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、吸着プレート37を上昇させて版PPをイオナイザ91とほぼ同一高さの除電位置に位置決めする(6−2)。また、押さえ部材昇降シリンダCL71〜CL73が動作し、押さえ部材71を上昇させてブランケットBLの押さえ付けを解除する(6−3)。それに続いて、イオナイザ91が作動して上記版剥離処理時に発生する静電気を除電する(6−4)。この除去処理が完了すると、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、図14(d)に示すように、版PPを吸着保持したまま吸着プレート37が初期位置(版吸着位置XP23よりも高い位置)まで上昇する(6−5)。
【0097】
C−7.版退避(ステップS7)
図15(a)の「ステップS7」の欄に示すように、サブステップ(7−1)〜(7−7)を実行する。すなわち、回転アクチュエータRA2、RA2が動作し、版用ハンド252、252を180゜回転させて原点位置から反転位置に位置決めする(7−1)。これによって、ハンド姿勢が未使用姿勢から使用済姿勢に切り替わり、使用済みの版PPの受取準備が完了する。そして、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させる(7−2)。これによって、版用シャトル25Lが版吸着位置XP23に移動して位置決めされる。
【0098】
一方、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、版PPを吸着保持したまま吸着プレート37が版用シャトル25Lのハンド252、252に向けて下降してハンド252、252上に版PPを位置させた後、バルブV31,V32が閉じ、これによって吸着溝371および吸着パッド38による版PPの吸着が解除されて搬送位置での版PPの受け渡しが完了する(7−3)。そして、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を逆回転させ、吸着プレート37を初期位置まで上昇させる(7−4)。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させる(7−5)。これによって、版用シャトル25Lが使用済み版PPを保持したまま中間位置XP22に移動して位置決めされる。
【0099】
C−8.基板吸着(ステップS8)
図15(a)の「ステップS8」の欄に示すように、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させる(8−1)。これによって、処理前の基板SBを保持する基板用シャトル25Rが基板吸着位置XP23に移動して位置決めされる。そして、版PPのプリアライメント処理(3−2、3−3)および吸着プレート37による版PPの吸着処理(3−4)と同様にして、基板SBのプリアライメント処理(8−2、8−3)および基板SBの吸着処理(8−4)が実行される。
【0100】
その後、吸着検出センサSN31(図2)により基板SBの吸着が検出されると、ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、基板SBを吸着保持したまま吸着プレート37を鉛直上方に上昇させて基板吸着位置XP23より高い位置に基板SBを移動させる(8−5)。そして、基板用シャトル昇降モータM22Rが回転軸を回転させ、昇降プレート251を鉛直上方に移動させ、基板用シャトル25Rをプリアライメント位置から搬送位置に移動させて位置決めする(8−6)。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させ、図15(b)に示すように、空になった基板用シャトル25Rを中間位置XP24に位置決めする(8−7)。
【0101】
C−9.転写(ステップS9)
図16(a)の「ステップS9」の欄に示すように、ここでは、ブランケット厚みが計測され、さらに精密アライメントが実行された後で、転写処理が実行される。すなわち、図16(a)の「ステップS9」の欄に示すように、パターニング処理(ステップS5)のサブステップ(5−1〜5−3)と同様にして、ブランケットBLの厚みが計測される(9−1〜9−3)。なお、このようにパターニング直前のみならず、転写直前においてもブランケットBLの厚みを計測する主たる理由は、ブランケットBLの一部が膨潤することでブランケットBLの厚みが経時変化するためであり、転写直前でのブランケット厚みを計測することで高精度な転写処理を行うことが可能となる。
【0102】
次に、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を所定方向に回転させ、吸着プレート37を下方向(−Z)に下降させて基板SBをブランケットBLの近傍に移動させる。さらに、第2ステージ昇降モータM32が回転軸を回転させ、狭いピッチで吸着プレート37を昇降させて鉛直方向Zにおける基板SBとブランケットBLの間隔、つまりギャップ量を正確に調整する(9−4)。このギャップ量については、基板SBおよびブランケットBLの厚み計測結果に基づいて制御部6により決定される。次のサブステップ(9−5)では、パターニング(ステップS5)と同様に、押さえ部材71によるブランケットBLの周縁部の押さえ付けを行う。
【0103】
こうして、基板SBとブランケットBLとはいずれもプリアライメントされ、しかも転写処理に適した間隔だけ離間して位置決めされるが、ブランケットBLに形成されたパターン層を基板SBに正確に転写するためには、両者を精密に位置合せする必要がある。そこで、本実施形態では、サブステップ(9−6〜9−8)が実行される(精密アライメント)。
【0104】
ここでは、アライメント部4のZ軸駆動モータM45a〜45dが作動して各撮像ユニット45a〜45dでブランケットBLにパターニングされたアライメントマークに対して焦点が合うようにピント調整が実行される(9−6)。そして、各撮像ユニット45a〜45dで撮像される画像が制御部6の画像処理部65に出力される(9−7)。そして、それらの画像に基づいて制御部6は基板SBに対してブランケットBLを位置合せするための制御量を求め、さらにアライメント部4のX軸駆動モータM42、M44およびY軸駆動モータM41、M43の動作指令を作成する。そして、X軸駆動モータM42、M44およびY軸駆動モータM41、M43が上記制御指令に応じて作動して吸着プレート51を水平方向に移動させるとともに鉛直方向Zに延びる仮想回転軸回りに回転させてブランケットBLを基板SBに精密に位置合せする(9−8)。
【0105】
そして、バルブV51、52が動作して吸着プレート51とブランケットBLとの間にエアーを部分的に供給してブランケットBLを部分的に膨らませる。この浮上部分が上ステージ部3に保持された基板SBに押し遣られる(9−9)。その結果、図16(b)に示すように、ブランケットBLが基板SBに密着する。これによって、ブランケットBL側のパターン層が基板SBの下面のパターンと精密に位置合せされながら、基板Bに転写される。
【0106】
C−10.基板剥離(ステップS10)
図17(a)の「ステップS10」の欄に示すように、サブステップ(10−1)〜(10−5)を実行する。すなわち、版剥離(ステップS6)と同様に、ブランケットBLからの基板SBの剥離(10−1)、除電位置への基板SBの位置決め(10−2)、押さえ部材71によるブランケットBLの押付解除(10−3)、除電(10−4)を実行する。その後、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、図17(b)に示すように、基板SBを吸着保持したまま吸着プレート37が初期位置(搬送位置よりも高い位置)まで上昇する(10−5)。
【0107】
C−11.基板退避(ステップS11)
図18(a)の「ステップS11」の欄に示すように、サブステップ(11−1)〜(11−4)を実行する。すなわち、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させる(11−1)。これによって、基板用シャトル25Rが基板吸着位置XP23に移動して位置決めされる。
【0108】
一方、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を回転させ、基板SBを吸着保持したまま吸着プレート37を基板用シャトル25Rのハンド252、252に向けて下降させる。その後、バルブV31,V32が閉じ、これによって吸着溝371および吸着パッド38による基板SBの吸着が解除される(11−2)。そして、第1ステージ昇降モータM31が回転軸を逆回転させ、吸着プレート37を初期位置まで上昇させる(11−3)。その後、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させて当該基板SBを保持したまま基板用シャトル25を中間位置XP22に移動させて位置決めする(11−4)。
【0109】
C−12.ブランケット取り出し(ステップS12)
図18(a)の「ステップS12」の欄に示すように、サブステップ(12−1)〜(12−6)を実行する。すなわち、バルブV51、52が動作して吸着プレート51によるブランケットBLの吸着を解除する(12−1)。そして、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート551を上昇させ、使用済みのブランケットBLを吸着プレート51から鉛直上方に持ち上げる(12−2)。
【0110】
次に、ブランケット用シャッター駆動シリンダCL13が動作し、ブランケット用シャッター(図示省略)を移動させて当該シャッターを開く(12−3)。そして、ブランケット搬送ロボットが、装置100にアクセスして使用済みのブランケットBLをリフトピン552の頂部から受け取り、装置100から退避する(12−4)。これに続いて、ブランケット用シャッター駆動シリンダCL13が動作し、ブランケット用シャッターを移動させて当該シャッターを閉じる(12−5)。さらに、ピン昇降シリンダCL51が動作してリフトプレート551を下降させ、リフトピン552を吸着プレート51よりも下方向(−Z)に下降させる(12−6)。
【0111】
C−13.版取り出し(ステップS13)
図18(a)の「ステップS13」の欄に示すように、サブステップ(13−1)〜(13−5)を実行する。すなわち、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24が(+X)方向に移動する(13−1)。これによって、版用シャトル25Lが版受渡し位置XP21に移動して位置決めされる。また、版用シャッター駆動シリンダCL11が動作し、シャッター18を開く(13−2)。それに続いて、制御部6からの動作指令に応じて版用搬入出ユニットが使用済みの版PPを印刷装置100から取り出す(13−3)。こうして版PPの搬出が完了すると、上記バルブの開閉状態を元に戻すことで版用シャッター駆動シリンダCL11が逆方向に作動して版用シャッター18を元の位置に戻してシャッター18を閉じる(13−4)。そして、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させ、版用シャトル25Lを中間位置XP22に位置決めする(13−5)。
【0112】
C−14.基板取り出し(ステップS14)
図18(a)の「ステップS14」の欄に示すように、サブステップ(14−1)〜(14−5)を実行する。すなわち、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させ、シャトル保持プレート24を(−X)方向に移動させる(14−1)。これによって、基板用シャトル25Rが基板受渡し位置XP25に移動して位置決めされる。また、基板用シャッター駆動シリンダCL12が動作し、シャッター19を開く(14−2)。それに続いて、制御部6からの動作指令に応じて基板用搬入出ユニットが転写処理を受けた基板SBを印刷装置100から取り出す(14−3)。こうして基板SBの搬出が完了すると、基板用シャッター駆動シリンダCL12が逆方向に作動して基板用シャッター19を元の位置に戻してシャッター19を閉じる(14−4)。そして、シャトル水平駆動モータM21が回転軸を回転させてシャトル保持プレート24を(+X)方向に移動させ、基板用シャトル25Rを中間位置XP23に位置決めする(14−5)。これにより、印刷装置100は、図18(b)に示すように、初期状態に戻る。
【0113】
D.アライメント部の詳細構造
図19は精密アライメントのための撮像部の構成およびその動作を示す図である。前記したように、この実施形態のアライメント部4は4組の撮像部45を有しているが、それらは同一構造であるので、ここではそのうち1つの撮像部45aの動作について説明する。
【0114】
基板SBには所定の第1アライメントパターンAP1が形成され、上ステージ部3の吸着プレート37の下面にそのアライメントマーク形成面を下向きにして吸着保持されている。一方、ブランケットBLには第2アライメントパターンAP2が形成され、下ステージ部5の吸着プレート51にそのアライメントマーク形成面を上向きにして吸着保持されている。したがって、基板SBとブランケットBLとは、それぞれのアライメントマーク形成面同士が互いに対向するように配置される。これにより、鉛直方向(Z方向)における両アライメントマーク間の距離を小さくすることができる。基板SBとブランケットBLとの間の間隔Gsbについては、これをできるだけ小さくすることが望ましいが、装置各部の寸法精度や基板SBおよびブランケットBLの撓み等を考慮すると、基板SBとブランケットBLとの予定しない接触を防ぐためにはある程度離さざるを得ない。ここでは例えば間隔Gsbを300μmとする。
【0115】
ブランケットBL表面の第2アライメントパターンAP2は、下ステージ部5の吸着プレート51に設けられた石英窓52aの直上に配置される。これと対応する位置に設けられた基板SB側の第1アライメントパターンAP1も、石英窓52aに臨む位置に配置される。
【0116】
ブランケットBLは、ガラス板または透明樹脂板の表面に例えばシリコンゴムによる薄い弾性層が形成されたものであり、光透過性を有する。したがって、下ステージ部5の下方からは、石英窓52aおよびブランケットBLを介して第1アライメントパターンAP1および第2アライメントパターンAP2とが同時に見通せる状態となっている。なお、基板に転写すべきパターンおよび第2アライメントパターンAP2は、ブランケットBLの弾性層の表面に形成される。すなわち、ブランケットBLの主面のうち、弾性層が形成された側の一方主面が、パターンおよびアライメントマークの形成面となっている。
【0117】
石英窓52aの下方(−Z)には、撮像部45aが配置されている。具体的には、石英窓52aの直下位置に、対物レンズ455、ハーフミラー457およびCCDカメラCMaの受光面458がこの順番で配置されている。対物レンズ455の光軸は略鉛直方向と一致しており、該光軸上に石英窓52aおよび受光面458がそれぞれ配置されている。ハーフミラー457には側方から光源456からの光が入射しており、該光はハーフミラー457で反射されて石英窓52aに向けて出射され、石英窓52aを介して第1および第2アライメントパターンを照射する。CCDカメラ受光面458は、石英窓52aに臨んで配された第1アライメントパターンAP1および第2アライメントパターンAP2を同一視野内で一括して撮像する。
【0118】
対物レンズ455、ハーフミラー457、受光面458および光源456は一体的に、XYテーブル451によってXY平面に沿った方向に、また精密昇降テーブル452によって鉛直方向(Z方向)に移動可能となっている。対物レンズ455の前側焦点は、精密昇降テーブル452によってブランケットBLのアライメントマーク形成面に合わせられる。一方、後側焦点は予めCCDカメラの受光面458に合わせられている。このため、CCDカメラ受光面458には、ブランケットBLに形成された第2アライメントパターンAP2にピントが合った光学像が結像され、CCDカメラCMaによりこの光学像が撮像される。
【0119】
このようにして撮像された画像に基づく精密アライメント動作については特に限定されず、任意の技術を適用して精密アライメントを行うことができる。この種のアライメント技術については公知例も多いため、ここではアライメント動作についての詳しい説明は省略する。
【0120】
E.ブランケット厚み計測
次に、上記動作のうちサブステップ(5−2)および(9−2)におけるブランケットBLの厚み計測動作について、図20ないし図22を参照しながら説明する。前記した通り、この実施形態では、基板SBに対するブランケットBLの相対位置合わせを行うためのアライメント部4、より詳しくは撮像部45を用いてブランケットBLの厚みを計測している。版PPや基板SBの厚み計測と同様、例えばレーザー変位計のような計測手段を用いてブランケットBLの厚みを計測することは可能である。しかしながら、次のような問題がある。
【0121】
前記したようにブランケットBL自体は光透過性を有する。しかしながら、この実施形態において装置に搬入されるブランケットBLは、その表面(上面)にパターニング用の塗布層が予め形成されたものである。このような塗布層としては種々の材料が用いられ、その中には光透過性を有しないものも含まれる。また、液体を塗布することにより形成された塗布層が未乾燥で光学的特性が不安定な状態での計測が必要なケースもある。例えばレーザー変位計を利用した上方からの計測では、これらのケースに対応できない場合があり得る。
【0122】
そこで、この実施形態では、ブランケットBLを保持する吸着プレート51の下方に設けられてブランケットBLと基板SBとの精密アライメント(位置合わせ)に用いられるアライメント部4を利用して、ブランケットBLの厚み計測を行う。吸着プレート51の下方からブランケットBLを撮像しその画像に基づいて厚み計測を行うことで、塗布層の状態に影響を受けることなくブランケットBLの厚みを計測することができる。特に、数μm単位での精密アライメントを可能とするための高分解能の光学系および駆動機構を有するアライメント部4を用いることで、高精度な厚み計測が可能となる。
【0123】
E−1.ブランケット厚み計測の原理
図20はこの実施形態におけるブランケット厚み計測の原理を示す図である。この実施形態では、吸着プレート51に保持されたブランケットBLの下方(−Z方向)に設けられた撮像部45の対物レンズ455が、ブランケットBL裏面に向けて、かつその光軸がブランケットBL裏面と直交するように配置されている。対物レンズ455は高精度なアライメントを可能とするために5倍程度の倍率を有し、その被写界深度は例えば数十μm程度である。精密昇降テーブル452(図6)により鉛直(Z)方向に昇降自在となっている。
【0124】
ブランケットBLの厚みが例えば数百μm程度である場合、対物レンズ455の焦点をブランケットBLの両主面に同時に合わせることは不可能である。すなわち、図20左側に示すように、対物レンズ455の焦点位置FPがブランケットBLの下面BLtにあるとき、ブランケットBLの上面BLfには焦点は合わない。ここで、図20右側に示すように、対物レンズ455を(+Z)方向にDzだけ移動させることで対物レンズ455の焦点がブランケットBLの上面BLfに来るとき、対物レンズ455の移動量DzがブランケットBLの厚みDbを表すことになる。
【0125】
対物レンズ455の焦点位置FPは、その上下方向位置によって、
(1)ブランケットBLの上面BLfまたは下面BLtのいずれかに一致した状態、
(2)ブランケットBLの内部にある状態、
(3)ブランケットBLの外部にある状態、
のいずれかの状態を取る。このうち(1)の状態での撮像では、ブランケットBLの上面BLfまたは下面BLtにピントが合っており、そこに凹凸や傷等の微小な構造があればそれらが高い画像コントラストで撮像される。また、(2)の状態での撮像では、透明で特別の構造を持たないブランケットBLの内部にピントが合うが表面の構造にはピントが合っていないため、不鮮明な画像しか得られない。また、(3)の状態ではブランケットBLに全くピントが合わない状態での画像が得られる。
【0126】
したがって、対物レンズ455(撮像部45)のZ方向位置を多段階に変更設定しながら、各位置でCCDカメラCMa等による撮像を行えば、それらの画像から(1)の状態となる位置を見出し、ブランケットBLの厚みを導出することが可能である。具体的には、例えば次のようにすることができる。
【0127】
E−2.ブランケット厚み計測の具体例
図21はこの実施形態におけるブランケット厚み計測動作を示すフローチャートである。また、図22はこの動作によりブランケット厚みを求める方法を説明する図である。まず、精密昇降テーブル452を作動させて、撮像部45を所定の計測初期位置に位置決めする(ステップS101)。この動作は、図14(a)におけるサブステップ(5−1)、図16(a)におけるサブステップ(9−1)に示したものに相当する。
【0128】
具体的には、対物レンズ455の焦点位置FPのZ方向座標が、ブランケットBLの下面BLtよりも(−Z)方向に十分離れた値Zminとなるように、対物レンズ455の位置を設定する。ブランケットBLの下面BLtの位置は吸着プレート51の上面とほぼ同じであり、装置各部のサイズから予め把握される位置である。そして、例えばブランケット下面BLtよりも150μm下方に、対物レンズ455の焦点位置FPのZ方向座標Zminを設定することができる。ここでは、ブランケットBLの厚さは500μm程度を標準厚さとし、膨潤やばらつき等に起因する厚さの変化が±50μm程度あることを想定している。
【0129】
この状態で、CCDカメラCMa等により撮像を行う(ステップS102)。そして、焦点位置FPのZ座標値が所定の最終値Zmaxとなるまで(ステップS103)、該Z座標値を所定の刻みΔZで1ステップずつ増加させながら(ステップS104)、各位置で同様にCCDカメラCMa等による撮像を行う。
【0130】
ここで、刻みΔZについては、この方法による厚み計測結果に許容される計測誤差と同程度とすることが好ましい。高い計測精度を求める場合には刻みΔZの値を小さくすればよいが、繰り返しの撮像に時間がかかることとなる。分解能の点からは、対物レンズ455の被写界深度と同程度またはそれ以下が好ましいと考えられる。また、焦点位置FPの最終値Zmaxについては、ブランケットBLの上面BLfから上方(+Z方向)に150μm離れた位置に設定する。以上より、この実施形態では、標準厚さ500μmのブランケットBLに対して、想定される下面BLtの位置よりも150μm下方から上面BLfの位置よりも150μm上方までの範囲で、撮像部45のZ方向位置を20μmずつ増加させながら、各位置でCCDカメラCMaによる撮像を行う。これにより、対物レンズ455の移動量は計800μm、撮像される画像の枚数は計41枚となる。
【0131】
このとき、撮像部45の移動は(−Z)方向から(+Z)方向への一方向とする。これにより、精密昇降テーブル452およびこれを駆動するZ軸駆動モータM45a等のガタやバックラッシュに起因して移動ピッチが不均一となるのを防止して、各画像から求めるブランケット厚さの精度低下を抑えている。
【0132】
こうして得られた複数の画像に対し適宜の画像処理を行い、受光強度、画像濃度および画像コントラストのいずれかを算出しZ方向位置に対してプロットすると、前記した原理から、図22に示すように、少なくともブランケットBLの上面BLfに対応する座標値Zfと、下面BLtに対応する座標値Ztとにピークが現れる。CPU61は画像処理部46による画像処理結果からこのピーク位置を算出し(ステップS105)、それらのピーク間の距離を求めてその値をブランケットBLの厚みDzとする(ステップS106)。
【0133】
なお、状況によっては3つ以上のピークが検出されることも考えられるが、このような計測方法においては、検出される最も顕著な光学的特徴はブランケットBLの上下面のそれぞれに集中していると考えられる。したがって、このような場合でも、検出されたピークのうち上位2つのものの距離からブランケットBLの厚みを求めるようにすればよい。また、ブランケットBLの上面BLfに形成された塗布層の薄膜TFが不透明で、例えば反射性を有するものであった場合、薄膜TFからの反射光がCMカメラCMa等に写り込むことが考えられる。しかしながら、ブランケットBLの上下面にピントが合ったときの画像が最も鮮明である点には変わりがないため、図22のグラフにおいて破線で示すようにピークの裾が反射の影響を受けることがあったとしても、ピーク位置そのものが大きく変動することは考えにくい。
【0134】
予想されるピーク位置、つまりブランケットBLの上面BLfおよび下面BLtの想定位置を含んでこれよりも十分に大きな範囲で撮像部45のステップ移動を行うようにすることで、上記のような外乱に起因する計測精度の低下を防止することができる。本願発明者らの実験によれば、ピーク位置よりも外側に少なくとも3〜4点の撮像データがあることが好ましく、この実施形態では、ブランケットBLの上下に対してそれぞれ150μm、つまり7〜8移動ステップ分のマージンを設けることで、十分な計測精度を確保するようにしている。また、ブランケットBLが膨潤により最大限(+50μm)まで厚くなった状態でも、100μm、つまり5移動ステップ分のマージンが確保されている。
【0135】
撮像部45を利用したブランケットBLの厚み計測については、4箇所に設けられた撮像部45a〜45dによりそれぞれ行われてもよく、また代表的にいずれかの撮像部のみによって行われてもよい。また、複数個所で行われた計測結果については、それぞれ各部の厚みとして以後の処理に利用されてもよく、それらの平均値が利用されてもよい。
【0136】
F.その他
以上のように、この実施形態では、下ステージ部5の吸着プレート51に吸着保持されたブランケットBLの厚みを計測するのに際して、基板SBとの精密アライメントのために設けられたアライメント部4(より詳しくは撮像部45)によって撮像される画像に基づく厚み算出を行っている。このような計測方法によれば、ブランケットBL上面に形成された薄膜の状態に影響されずに計測が可能であるため、薄膜が光透過性を有するか否か、また薄膜を構成する塗布層が乾燥したか否かに関わらず、安定した計測が可能である。また、パターニング後のブランケットBL上面に担持されるパターンの形状による影響も受けない。
【0137】
精密アライメント用の撮像部45としては比較的高倍率で被写界深度の浅い光学系が用いられることが望ましく、このことは、ブランケットBL厚みの計測精度を向上させる点においても有利に作用する。そして、精密アライメントのための構成を厚み計測にも用いることで、厚み計測のための専用の構成を設ける必要がなくなり、装置のコンパクト化および低コスト化にも大きく寄与する。
【0138】
なお、CCDカメラ等を有するアライメント部4を用いた精密アライメント動作については特に限定されず任意であり、例えば公知の技術を適用することが可能である。そのため、ここでは詳しい説明を省略するが、例えばブランケットBLの上面BLfに形成されたアライメントマークの撮像を含む処理である場合、この実施形態では上記のようにブランケットBLの厚みが求められたことでその上面BLfのZ方向位置が把握されているから、撮像部45の焦点をブランケットBL上のアライメントマークに合わせる際にその位置情報を利用することが可能である。
【0139】
以上説明したように、この実施形態においては、ブランケットBLが本発明の「基材」に相当している。そして、その上面BLfが薄膜TFを担持する本発明の「一方主面」に相当し、下面BLtが本発明の「他方主面」に相当している。
【0140】
また、下ステージ部5が本発明の「保持手段」として機能し、そのうち特に吸着プレート51が、その上面が平坦な「基材保持面」となった本発明の「保持ステージ」として機能している。また、上記実施形態では、撮像部45のうち対物レンズ455、CCDカメラCMa等が一体として本発明の「撮像手段」として機能する一方、精密昇降テーブル452が本発明の「移動手段」として機能している。また、CPU61および画像処理部65が一体として本発明の「厚み導出手段」として機能している。
【0141】
また、本実施形態におけるステップS4(図11)およびステップS101(図21)が本発明の「配置工程」に相当し、ステップS102ないしS104が本発明の「撮像工程」に相当している。さらに、ステップS105およびS106が本発明の「厚み導出工程」に相当している。
【0142】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態のブランケット厚み計測動作では、ブランケットBLの下方から上方に向けて撮像部45の合焦位置をステップ的に上昇させながら撮像を行っているが、これに限定されない。例えば、これとは逆に撮像部45の合焦位置を次第に下げるようにしても同様の結果が得られる。ただし、想定されるブランケットの上面位置および下面位置を含んでこれより広い範囲で合焦位置が変更されることが好ましく、その移動方向は一方向であることがさらに好ましい。
【0143】
また、上記実施形態ではブランケットBLを略水平の吸着プレート51上面に載置し、石英窓52aを介して吸着プレート51の下方から撮像を行っているが、本発明の厚み計測技術の対象となる基材の姿勢としては、水平のものに限定されるものではなく任意である。
【0144】
また、上記実施形態の厚み計測動作では、吸着プレート51に保持されたブランケットBLに対して対物レンズ455等が上下動することでブランケットBLと撮像部45との相対移動を実現しているが、吸着プレート51を撮像部45に対し上下動することでこの相対移動を実現するようにしても構わない。
【0145】
また、上記実施形態では、ブランケットBLの両主面に残留する偶発的な傷等も含めた構造を撮像しているが、例えばブランケットBLの両面に計測用の何らかのマークを予め形成しておくようにしてもよい。
【0146】
また、上記実施形態は、基板SBに所定のパターンを形成する装置において、版PPによってパターニングされたパターンを一時的に担持するとともにこれを基板SBに転写するブランケットBLの厚み計測に本発明を適用したものであるが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、透明な基材の厚みを計測する技術全般に対して本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0147】
この発明は、透明な基材の厚みを計測することが必要な技術分野、特に一方主面に薄膜が形成された基材の厚みを精度よく求めることが要求される技術分野に対して、好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0148】
5 下ステージ部(保持手段)
51 吸着プレート(保持ステージ)
61 CPU(厚み導出手段)
65 画像処理部(厚み導出手段)
452 精密昇降テーブル(移動手段)
455 対物レンズ(撮像手段)
BL ブランケット(基材)
BLf (ブランケットBLの)上面(一方主面)
BLt (ブランケットBLの)下面(他方主面)
CMa〜CMd CCDカメラ(撮像手段)
SB 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測装置において、
前記基材を保持する保持手段と、
前記基材の前記一方主面とは反対の他方主面側に設けられ、しかも前記他方主面と直交する方向を光軸方向とする撮像手段と、
前記基材に対し、前記撮像手段を前記光軸方向に相対移動させる移動手段と、
前記撮像手段の撮像結果に基づき前記基材の厚みを求める厚み導出手段と
を備え、
前記移動手段は、前記光軸方向において前記基材の前記一方主面よりも遠い位置および前記他方主面よりも近い位置を共に含む範囲で前記撮像手段の合焦位置を多段階に変更設定し、その都度前記撮像手段が撮像した複数の画像間の画像コントラストまたは画像濃度の変化に基づいて、前記厚み導出手段が前記基材の厚みを導出する
ことを特徴とする厚み計測装置。
【請求項2】
前記厚み導出手段は、前記光軸方向位置に対する画像コントラストまたは画像濃度の変化におけるピーク位置に基づいて前記基材の厚みを導出する請求項1に記載の厚み計測装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記撮像手段の合焦位置を変更設定する際の前記基材に対する前記撮像手段の相対移動方向を一定とする請求項1または2に記載の厚み計測装置。
【請求項4】
前記保持手段は、表面が平坦な基材保持面となった保持ステージを有し、該保持ステージの前記基材保持面に前記基材の前記他方主面を当接させて前記基材を保持する請求項1ないし3のいずれかに記載の厚み計測装置。
【請求項5】
前記保持ステージの少なくとも一部が透明窓となっており、前記撮像手段は、前記保持ステージを挟んで前記基材とは反対側に設けられて、前記透明窓に望む前記基材を前記透明窓を介して撮像する請求項4に記載の厚み計測装置。
【請求項6】
一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測方法において、
前記基材の前記一方主面と反対側の他方主面側に、前記他方主面と直交する方向を光軸方向として撮像手段を配置する配置工程と、
前記基材に対して相対的に、前記撮像手段を前記光軸方向に多段階に移動位置決めしながら、各位置で前記撮像手段により前記基材を撮像する撮像工程と、
撮像した画像に基づいて前記基材の厚みを求める厚み導出工程と
を備え、
前記撮像工程では、前記光軸方向において前記基材の前記一方主面よりも遠い位置と、前記他方主面よりも近い位置とを含む範囲で前記撮像手段の合焦位置を移動させ、
前記厚み導出工程では、撮像した複数の画像間の画像コントラストまたは画像濃度の変化に基づいて前記基材の厚みを求める
ことを特徴とする厚み計測方法。
【請求項7】
前記撮像工程では、前記撮像手段の合焦位置を変更設定する際の前記基材に対する前記撮像手段の相対移動方向を一定とする請求項6に記載の厚み計測方法。
【請求項1】
一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測装置において、
前記基材を保持する保持手段と、
前記基材の前記一方主面とは反対の他方主面側に設けられ、しかも前記他方主面と直交する方向を光軸方向とする撮像手段と、
前記基材に対し、前記撮像手段を前記光軸方向に相対移動させる移動手段と、
前記撮像手段の撮像結果に基づき前記基材の厚みを求める厚み導出手段と
を備え、
前記移動手段は、前記光軸方向において前記基材の前記一方主面よりも遠い位置および前記他方主面よりも近い位置を共に含む範囲で前記撮像手段の合焦位置を多段階に変更設定し、その都度前記撮像手段が撮像した複数の画像間の画像コントラストまたは画像濃度の変化に基づいて、前記厚み導出手段が前記基材の厚みを導出する
ことを特徴とする厚み計測装置。
【請求項2】
前記厚み導出手段は、前記光軸方向位置に対する画像コントラストまたは画像濃度の変化におけるピーク位置に基づいて前記基材の厚みを導出する請求項1に記載の厚み計測装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記撮像手段の合焦位置を変更設定する際の前記基材に対する前記撮像手段の相対移動方向を一定とする請求項1または2に記載の厚み計測装置。
【請求項4】
前記保持手段は、表面が平坦な基材保持面となった保持ステージを有し、該保持ステージの前記基材保持面に前記基材の前記他方主面を当接させて前記基材を保持する請求項1ないし3のいずれかに記載の厚み計測装置。
【請求項5】
前記保持ステージの少なくとも一部が透明窓となっており、前記撮像手段は、前記保持ステージを挟んで前記基材とは反対側に設けられて、前記透明窓に望む前記基材を前記透明窓を介して撮像する請求項4に記載の厚み計測装置。
【請求項6】
一方主面に薄膜が形成された透明で平板状の基材の厚みを計測する厚み計測方法において、
前記基材の前記一方主面と反対側の他方主面側に、前記他方主面と直交する方向を光軸方向として撮像手段を配置する配置工程と、
前記基材に対して相対的に、前記撮像手段を前記光軸方向に多段階に移動位置決めしながら、各位置で前記撮像手段により前記基材を撮像する撮像工程と、
撮像した画像に基づいて前記基材の厚みを求める厚み導出工程と
を備え、
前記撮像工程では、前記光軸方向において前記基材の前記一方主面よりも遠い位置と、前記他方主面よりも近い位置とを含む範囲で前記撮像手段の合焦位置を移動させ、
前記厚み導出工程では、撮像した複数の画像間の画像コントラストまたは画像濃度の変化に基づいて前記基材の厚みを求める
ことを特徴とする厚み計測方法。
【請求項7】
前記撮像工程では、前記撮像手段の合焦位置を変更設定する際の前記基材に対する前記撮像手段の相対移動方向を一定とする請求項6に記載の厚み計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−113767(P2013−113767A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261826(P2011−261826)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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