説明

厚膜レジストの現像方法、及び半導体デバイスの製造方法

【課題】生産性を低下させることなく、基板の外周部にレジスト残渣が発生することを抑制可能な厚膜レジストの現像方法、及び半導体デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】回路素子層の上面に、厚膜レジストを形成する工程と、厚膜レジストを露光する工程と、露光後に、30〜50rpmの範囲内の一定の回転速度で炭化珪素基板を回転させながら、厚膜レジストの上方から現像液を供給することで、厚膜レジストの上面に現像液よりなるパドルを形成し、該パドルにより厚膜レジストを現像して、厚膜レジストに回路素子層の上面を露出する開口部を形成する工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚膜レジストの現像方法、及び該厚膜レジストの現像方法を用いた半導体デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、半導体材料のうちの1つであり、他の半導体材料である珪素(Si)や砒化ガリウム(GaAs)等と比較して、バンドギャップが大きいことから、 炭化珪素基板を用いて、パワーデバイス、高周波デバイス、及び高温動作デバイス等の炭化珪素デバイスを形成する研究が行なわれている。
【0003】
炭化珪素基板を備えた厚さが7μm以上の厚膜レジストを現像する技術ではないが、炭化珪素基板と、該炭化珪素基板上に形成され、かつパワーデバイス素子を備えた回路素子層と、回路素子層上に形成され、かつパワーデバイス素子と電気的に接続されたパッド電極と、を有する。
【0004】
パワーデバイスを構成するパッド電極には、配線基板とパワーデバイスとを電気的に接続する際、ワイヤボンディング法により金属ワイヤが接続される。このため、パッド電極は、十分な機械的強度を有する厚さに形成する必要がある。
【0005】
また、パワーデバイスを構成するパッド電極には、大電流が流されるため、パワーデバイスが発熱しやすくい。このため、パワーデバイスの熱を、電極パッドを介して放熱する必要がある。言い換えれば、電極パッドを放熱部材として機能させる必要がある。
【0006】
上記2つの理由により、炭化珪素基板を備えた炭化珪素デバイスでは、電極パッドの厚さを6μm以上にする必要があった。
また、従来、電極パッドは、回路素子層の上面に逆テーパー形状とされた開口部を有するレジストを形成し、次いで、該レジストの上方から金属膜を蒸着し、その後、該レジストを除去するリフトオフ法により形成される。
【0007】
上記リフトオフ法を用いて、厚さが6μm以上とされた電極パッドを形成する場合、回路素子層上に、厚さが7μm以上の厚膜レジストを塗布し、その後、露光・現像処理を行なう必要がある。
また、一般的に、レジストの厚さが厚くなると基板の外周部の厚さが他の部分の厚さと比較して厚くなる。そのため、厚さが7μm以上の厚膜レジストを現像する場合、炭化珪素基板の外周部にレジスト残渣が発生することなく、十分に現像することが、パワーデバイスの歩留まりの観点から重要となる。
【0008】
特許文献1には、厚さが7μm以上の厚膜レジストを現像する技術ではないが、基板の表面に供給された現像液が基板周縁より飛散するような高速(例えば、1000rpm)で基板を回転させながら、基板表面へ小流量の現像液を吐出してフォトレジスト膜を粗現像した後、基板表面に供給された現像液が基板の表面全体に拡がる程度の低速(例えば、400rpmから100rpmへと段階的に切り替える)で基板を回転させながら、基板表面へ大流量の現像液を吐出して基板表面に現像液層を形成し、基板を低速回転させるか停止させてフォトレジスト膜を現像する技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、厚さが7μm以上の厚膜レジストを現像する技術ではないが、レジストで被覆され、回転が停止した状態の半導体ウエハ上に現像液を散布してパドルを形成し、該パドルによりレジストの一部分を溶解することによって半導体ウエハの表面上でレジストを現像し、半導体ウエハの表面上に新たな現像液を散布し、一方で、別のパドルを形成せずに半導体ウエハの表面上に存在するレジストの溶解した部分を含む現像液の濃度が減少するように半導体ウエハを回転させる工程を有することで、新たな現像液の散布によって溶解されたレジストを含む現像液を置換し、水によるリンスによって現像液に含まれるレジストが沈殿してブリッジの形成を防止する技術が開示されている。
【0010】
さらに、特許文献2には、回転が停止した状態の半導体ウエハ上に現像液を散布してパドルを形成する工程と、該パドルによりレジストの一部分を溶解して半導体ウエハの表面上でレジストを現像する工程と、を少なくとも3回行なうことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−199410号公報
【特許文献2】特開平9−326361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1では、基板表面に供給された現像液を基板の表面全体に拡げるために、基板の回転数を400rpmから100rpmへと段階的に切り替えている。
しかしながら、100〜400rpmという回転速度で基板を回転させ、基板表面に現像液を供給した場合、基板の回転速度が速すぎるため、基板の外周部を十分に現像する前に、基板の外周縁から現像液が飛散してしまう。
【0013】
このため、特許文献1に記載の方法を用いて、厚さが7μm以上の厚膜レジストの現像を行なった場合、他の部分と比較してレジストの厚さの厚い基板の外周部に、レジスト残渣が発生してしまうという問題があった。
上記レジスト残渣の問題は、厚膜レジストを粘性の高いレジストを用いて形成する場合に顕著となる。
【0014】
また、特許文献2に記載のパドル法(具体的には、回転が停止した状態の半導体ウエハ上に現像液によりパドルを形成し、該パドルによりレジストの一部分を溶解する方法)を用いて、厚さが7μm以上とされた厚膜レジストの現像を行なった場合、半導体ウエハの外周部に形成された厚膜レジスト上の現像液の厚さが他の部分と比較して薄くなる。
これにより、半導体ウエハの外周部に位置する厚膜レジストを十分に現像することが困難となり、半導体ウエハの外周部にレジスト残渣が発生してしまうという問題があった。
【0015】
また、回転が停止した状態の半導体ウエハ上に現像液を散布してパドルを形成する工程と、該パドルによりレジストの一部分を溶解して半導体ウエハの表面上でレジストを現像する工程と、を少なくとも3回行なう特許文献2に記載の現像方法を用いて、厚さが7μm以上とされた厚膜レジストの現像を行なった場合でも、半導体ウエハの外周部にレジスト残渣が発生してしまうという問題があった。
【0016】
また、パドルを形成する工程と、該パドルによりレジストの一部分を溶解して半導体ウエハの表面上でレジストを現像する工程と、を少なくとも3回行なう特許文献2に記載の現像方法では、現像工程に要する時間が長くなるため、生産性が低下してしまうという問題があった。
【0017】
さらに、パドルを形成する工程と、該パドルによりレジストの一部分を溶解して半導体ウエハの表面上でレジストを現像する工程と、を繰り返し行ったとしても、半導体ウエハの外周部にレジスト残渣が発生してしまうという問題があった。
【0018】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、生産性を低下させることなく、基板の外周部にレジスト残渣が発生することを抑制可能な厚膜レジストの現像方法、及び半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
すなわち、上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
(1) 基板上に設けられた層の上面に形成された厚膜レジストを露光後に現像する厚膜レジストの現像方法であって、前記層の上面に、前記厚膜レジストを形成する工程と、前記厚膜レジストを露光する工程と、前記露光後に、30〜50rpmの範囲内の一定の回転速度で前記基板を回転させながら、前記厚膜レジストの上方から現像液を供給することで、前記厚膜レジストの上面に前記現像液よりなるパドルを形成し、該パドルにより前記厚膜レジストを現像して、前記厚膜レジストに前記層の上面を露出する開口部を形成する工程と、を含むことを特徴とする厚膜レジストの現像方法。
(2) 前記厚膜レジストの現像が完了するまで、前記現像液を連続して供給することを特徴とする前項(1)記載の厚膜レジストの現像方法。
(3) 前記厚膜レジストを現像する工程の最初或いは途中で、前記基板の回転を停止させ、その後、前記基板を回転させることを特徴とする前項(1)または(2)記載の厚膜レジストの現像方法。
(4) 前記厚膜レジストは、7μm以上の厚さとなるように形成することを特徴とする前項(1)ないし(3)のうち、いずれか1項記載の厚膜レジストの現像方法。
(5) 前記層及び現像された前記厚膜レジストに付着した前記現像液を除去する工程と、前記現像液を除去後に、現像された前記厚膜レジストをポストベークする工程と、を含むことを特徴とする前項(1)ないし(4)のうち、いずれか1項記載の厚膜レジストの現像方法。
(6) 前記厚膜レジストを形成する工程では、ポジ−ネガ反転型レジストを形成することを特徴とする前項(1)ないし(5)のうち、いずれか1項記載の厚膜レジストの現像方法。
(7) 前記厚膜レジストを形成する工程は、前記層の上面をHMDS処理する段階と、前記HMDS処理された前記層の上面に、第1の粘性値を有した第1のポジ−ネガ反転型レジストを形成する段階と、前記第1のポジ−ネガ反転型レジスト上に、前記第1の粘性値よりも大きい第2の粘性値を有した第2のポジ−ネガ反転型レジストを形成する段階と、を有することを特徴とする前項(1)ないし(6)のうち、いずれか1項記載の厚膜レジストの現像方法。
(8) 前記厚膜レジストを露光する工程は、前記層の上面のうち、前記開口部が形成される面に照射される光を遮断する遮光部を有した露光用マスクを介して、前記厚膜レジストを露光する第1の露光段階と、前記第1の露光段階後に、前記厚膜レジスト膜をベーク処理することで、前記厚膜レジストの特性をポジからネガに反転させる段階と、前記ベーク処理後、前記厚膜レジストを全面露光する段階と、を含むことを特徴とする前項(7)記載の厚膜レジストの現像方法。
(9) 前項(1)ないし(8)のうち、いずれか1項記載の厚膜レジストの現像方法により、前記開口部を有した前記厚膜レジストを形成する工程と、前記厚膜レジストの上面側から、蒸着法により、厚膜とされた金属膜を成膜する工程と、前記金属膜を成膜後、前記厚膜レジストをリフトオフすることで、前記層の上面に前記金属膜よりなる厚膜金属電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
(10) 前記金属膜は、厚さが6μm以上となるように形成することを特徴とする前項(9)記載の半導体デバイスの製造方法。
(11) 前記基板として、炭化珪素基板を用いることを特徴とする前項(9)または(10)記載の半導体デバイスの製造方法。
(12)前記層として、パワーデバイス素子を有する回路素子層を形成することを特徴とする前項(9)または(11)のうち、いずれか1項記載の半導体デバイスの製造方法。
(13) 前記厚膜金属電極は、外部接続用電極として機能する電極パッドであり、ワイヤボンディング法により金属ワイヤが接続されることを特徴とする前項(9)ないし(12)のうち、いずれか1項記載の半導体デバイスの製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、層の上面に形成された厚膜レジストを露光後に、30〜50rpmの範囲内の一定の回転速度で基板を回転させながら、厚膜レジストの上方から現像液を供給することで、厚膜レジストの上面に現像液よりなるパドルを形成し、パドルにより厚膜レジストを現像することにより、現像液を供給時の基板の回転速度が低速なため、基板の面内に形成された厚膜レジストのうち、最も厚さの厚い基板の外周部分に、十分な量の現像液を均一に供給することが可能となる。
【0021】
これにより、例えば、厚さが7μm以上とされた厚膜レジストを現像する場合でも、基板の外周部分にレジスト残渣が発生することを抑制できる。
【0022】
また、基板を回転させながら現像液を供給することで、現像時に発生したゴミを、現像液により、基板の外周縁から基板の外部に流すことが可能となる。これにより、現像後の開口部にゴミ(例えば、溶解したレジスト屑)が付着することを抑制できる。
【0023】
さらに、基板を低速で回転させながら現像液を供給することで、新しい現像液を基板の外周部に位置する厚膜レジストに供給することが可能となる。これにより、基板の回転を停止させてパドルにより現像する場合と比較して、短時間で現像処理を行なうことが可能となるので、生産性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その1)である。
【図2】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その2)である。
【図3】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その3)である。
【図4】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その4)である。
【図5】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その5)である。
【図6】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その6)である。
【図7】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その7)である。
【図8】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その8)である。
【図9】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その9)である。
【図10】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その10)であり、本実施の形態に係る厚膜レジストの現像方法を説明するための図(その1)である。
【図11】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その11)であり、本実施の形態に係る厚膜レジストの現像方法を説明するための図(その2)である。
【図12】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その12)である。
【図13】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その13)である。
【図14】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その14)である。
【図15】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その15)である。
【図16】本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図(その16)である。
【図17】本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係る厚膜レジストの現像方法を説明するための断面図(その1)である。
【図18】本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係る厚膜レジストの現像方法を説明するための断面図(その2)である。
【図19】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る厚膜レジストの現像方法を説明するための断面図(その1)である。
【図20】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る厚膜レジストの現像方法を説明するための断面図(その2)である。
【図21】本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る厚膜レジストの現像方法を説明するための断面図(その3)である。
【図22】実施例1,2のサンプルの炭化珪素基板の外周部の光学顕微鏡写真である。
【図23】比較例1,2のサンプルの炭化珪素基板の外周部の光学顕微鏡写真である。
【図24】比較例3のサンプルの炭化珪素基板の外周部の光学顕微鏡写真である。
【図25】比較例4のサンプルの炭化珪素基板の外周部の光学顕微鏡写真である。
【図26】比較例5,6のサンプルの炭化珪素基板の外周部の光学顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の炭化珪素デバイスの寸法関係とは異なる場合がある。
【0026】
(実施の形態)
図1〜図16は、本発明の実施の形態に係る半導体デバイスの製造工程を示す断面図である。また、図11は、本実施の形態に係る厚膜レジスト27(厚さが7μm以上とされたレジスト)の現像方法を説明するための図である。
【0027】
図1〜図16を参照して、本実施の形態の半導体デバイス10の製造方法を説明する。また、本実施の形態の半導体デバイス10の製造方法を説明していく中で、図10及び図11を参照して、本実施の形態の厚膜レジスト27の現像方法について説明する。
【0028】
始めに、図1に示す工程では、基板である炭化珪素基板11の表面11aに、回路素子層12(厚膜レジスト27が形成される層)が形成された構造体14を準備する。
炭化珪素基板11としては、例えば、直径が3インチのものを用いることが可能である。図1〜図16では、一例として、直径が3インチの炭化珪素基板11を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0029】
回路素子層12は、周知の手法により形成することができる。図16に示す半導体デバイス10が、例えば、パワーデバイスの場合、回路素子層12には、パワーデバイス素子(図示せず)が形成されている。
回路素子層12の上面12aは、厚膜金属電極13(後述する図16参照)が形成される電極形成面12bを有する。電極形成面12bは、パワーデバイス素子(図示せず)と電気的に接続された図示していない導体(図15に示す厚膜金属電極13と接続される導体)の上面を露出している。
【0030】
次いで、図2に示す工程では、構造体14を構成する回路素子層12の上面12a(電極形成面12bを含む)に、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)液15を供給することで、HMDS処理(表面処理の1種)を行なう。
これにより、回路素子層12の上面12aを疎水性にすることができる。なお、後述する図3に示す液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1は、疎水性で、かつ第1の粘性値(小さい粘性値)を有したレジスト液である。第1の粘性値は、例えば、30cp以下にすることが好ましい。
【0031】
このように、HMDS処理により、回路素子層12の上面12aを疎水性にすることで、回路素子層12の上面12aに、液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1(図3参照)を滴下させた後に行なう構造体14の回転(液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1を均一な厚さにするための回転)により、粘性値の低い第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1が構造体14の外側に流れ出ることを抑制可能となる。
これにより、後述する図3に示す工程において、回路素子層12の上面12aに、液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1を均一な厚さで形成できる。
【0032】
次いで、図3に示す工程では、回転軸16の上端に接続されたステージ17上に、図2に示す構造体14を固定(例えば、吸着)し、次いで、HMDS処理された回路素子層12の上面12a側に配置されたディスペンサー18から、第1の粘性値を有し、かつ液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1を供給する。
【0033】
次いで、ステージ17上に固定された構造体14を、回転軸16を介して、所定の回転数(例えば、1200rpm)で一定時間回転させることで、炭化珪素基板11の面内において、液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1の厚さTを均一にする。
このとき、第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1の厚さTは、後述する図4に示す工程で行なうプリベークにより、硬化した第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2の厚さTが5μm以下となるように設定する。
【0034】
このように、HMDS処理された回路素子層12の上面12aに、第1の粘性値を有した第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2を形成することにより、均一な厚さとされ、かつある程度の厚さ(例えば、5μm以下)とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2を形成することが可能となる。
【0035】
また、1回の液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1の滴下、及び回転により、液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1の厚さを十分に確保できない場合には、図3で説明した処理を複数回行なってもよい。
【0036】
なお、第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1の第1の粘性値は、小さい値であるため、第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1の滴下後に行なう構造体14の回転により、構造体14の外側に流れやすい。
そのため、第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1の滴下、及び回転を複数回繰り返したとしても、図4に示す第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2の厚さTが5μmを超えるように、第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2を形成することは非常に困難である。
【0037】
次いで、図4に示す工程では、ヒーター23上に、液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1が形成された構造体14を載置し、その後、ヒーター23の熱により、液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1をプリベークして硬化させる。
具体的には、例えば、加熱温度が100℃、加熱時間が60秒の条件で、液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1をプリベーク処理する。
【0038】
これにより、厚さTが5μm以下とされ、かつ硬化した第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2(以下、単に「第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2」という)が形成される。なお、図3及び図4に示す工程が、第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2の形成工程に相当する。
【0039】
次いで、図5に示す工程では、回転軸16の上端に接続されたステージ17上に、第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2が形成された構造体14を固定(例えば、吸着)し、次いで、第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2の上面21−2a側に配置されたディスペンサー25から、第1の粘性値よりも大きい第2の粘性値を有し、かつ液状とされた第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1を供給する。
【0040】
液状とされた第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1は、第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1を滴下後に構造体14を回転させた際に、粘性値の小さい第1のポジ−ネガ反転型レジスト26−1と比較して、構造体14の外側に流れにくいレジストである。第1の粘性値が30cp以下の場合、第2の粘性値は、例えば、80cp以上にするとよい。
【0041】
次いで、ステージ17上に固定された構造体14を、回転軸16を介して、所定の回転数(例えば、2500rpm)で一定時間回転させることで、炭化珪素基板11の面内において、液状とされた第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1の厚さTを均一にする。
このとき、第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1の厚さTは、後述する図6に示す工程で行なうプリベーク処理により、硬化した第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2の厚さTが3μm以上となるように設定する。
【0042】
また、図5に示す工程では、後述する図6に示す第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2の厚さT、及び硬化した第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2の厚さTの合計の厚さTが7μm以上となるように、液状とされた第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1を形成する。
【0043】
次いで、図6に示す工程では、ヒーター23上に、液状とされた第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1が形成された構造体14を載置し、その後、ヒーター23の熱により、液状とされた第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1をプリベークして硬化させる。
具体的には、例えば、加熱温度が100℃、加熱時間が90秒の条件で、液状とされた第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1をプリベーク処理する。
【0044】
これにより、厚さTが3μm以上とされ、かつ硬化した第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2(以下、単に「第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2」という)が形成される。なお、図5及び図6に示す工程が、第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2の形成工程に相当する。
また、以下の説明では、硬化した第1及び第2のポジ−ネガ反転型レジスト21−2,26−2よりなるポジ−ネガ反転型レジストを厚膜レジスト27という。
【0045】
このように、第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2上に、第1の粘性値よりも大きい第2の粘性値(例えば、80cp以上)を有した第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2を形成することで、均一な厚さとされ、かつある程度の厚さ(例えば、3μm以上)とされた第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2を形成することが可能となる。
【0046】
これにより、第1及び第2のポジ−ネガ反転型レジスト21−2,26−2よりなり、かつ厚さが7μm以上とされた厚膜レジスト27の面内バラツキ(不均一性)を、所望の範囲内(炭化珪素基板11の直径が3インチ、エッジカットが5mmの場合、例えば、5%以内)にすることができる。
【0047】
次いで、図7に示す工程では、露光装置(図示せず)内のステージ上に、厚膜レジスト27(硬化した第1及び第2のポジ−ネガ反転型レジスト21−2,26−2)が形成された構造体14を載置する。
次いで、透明基板28(例えば、ガラス基板)、及び透明基板28に形成され、かつ電極形成面12bと対向する遮光部29(例えば、クロムマスク)を有した露光用マスク31を介して、厚膜レジスト27を露光する。遮光部29は、後述する図11に示す開口部42に露出される電極形成面12bに照射される光を遮断する。
【0048】
厚膜レジスト27の厚さT(第1及び第2のポジ−ネガ反転型レジスト21−2,26−2の合計の厚さ)が7.5μmの場合、図7に示す工程での露光量は、例えば、55mJ/cmとすることができる。
【0049】
この段階では、厚膜レジスト27は、ポジ型感光性レジストの特性を有している。そのため、光が照射された領域Aに対応する厚膜レジスト27が現像液に溶けやすくなり、光が照射されていない領域B(遮光部29と対向する領域)に対応する厚膜レジスト27が現像液に溶解されない。
【0050】
なお、図7では、遮光部29の外形と領域Bの外形とが略等しくなるように図示したが、実際には、露光装置として縮小投影型露光装置(具体的には、ステッパー)を用いて露光を行なうので、領域Bの外形は、遮光部29の外形よりも小さくなる。
【0051】
次いで、図8に示す工程では、ヒーター23上に、厚膜レジスト27が形成された構造体14を載置し、その後、ヒーター23の熱により、厚膜レジスト27をベーク処理(反転ベーク処理)することで、厚膜レジスト27の特性をポジからネガに反転させる。
具体的には、例えば、加熱温度が115℃、加熱時間が120秒の条件で、厚膜レジスト27をベーク処理する。
【0052】
これにより、ネガ型とされた厚膜レジスト27のうち、電極形成面12bの上方に位置する部分に、断面が逆テーパー形状とされ、かつ現像液に溶解しやすい領域Cが形成され、領域C以外の部分に現像液に溶解されない領域Dが形成される。
【0053】
次いで、図9に示す工程では、露光装置(図示せず)内のステージ上に、ネガ型とされた厚膜レジスト27が形成された構造体14を載置する。
次いで、遮光部が形成されていない露光用マスク33を介して、第1及び第2のポジ−ネガ反転型レジスト21−2,26−2を全面露光する。このときの露光量は、図7に示す工程での露光量の10倍程度とするとよい。
厚膜レジスト27の厚さTが7.5μmの場合、図9に示す工程での露光量は、例えば、4000mJ/cmとすることができる。
【0054】
次いで、図10に示す工程では、回転軸35の上端に接続されたステージ36上に、全面露光された厚膜レジスト27が形成された構造体14を固定(例えば、吸着)する。次いで、第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2の上面26−2a側に配置されたディスペンサー38から、厚膜レジスト27の上面27a(第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2の上面26−2a)の中心に現像液39を供給して、厚膜レジスト27の上面27aに現像液39よりなるパドル41を形成する。
【0055】
その後、30〜50rpmの範囲内の一定の回転速度で構造体14を回転させながら、厚膜レジスト27の上面27aの中心に現像液39を供給することで、厚膜レジスト27の上面27aにパドル41が形成されたままの状態を維持して、厚膜レジスト27の現像処理を行う。
【0056】
ところで、30rpmよりも遅い速度で回転する構造体14の中心(炭化珪素基板11の中心)に現像液39を供給すると、回転力不足により、炭化珪素基板11の外周部に現像液39が均一に広がらないため、炭化珪素基板11の外周部にレジスト残渣が発生してしまう。
【0057】
また、50rpmよりも速い速度で回転する構造体14の中心(炭化珪素基板11の中心)に現像液39を供給すると、現像液39が炭化珪素基板11の外周部に留まることなく、遠心力により炭化珪素基板11の外周縁から飛び出してしまうため、炭化珪素基板11の外周部にレジスト残渣が発生してしまう。
【0058】
つまり、現像液39を滴下する際の構造体の回転速度が、30rpmよりも遅いか、或いは50rpmよりも速いと、厚膜レジスト27の上面27aを覆う良好なパドル41を形成することが困難となる。
【0059】
次いで、図11に示す工程では、30〜50rpmの範囲内の一定の回転速度で構造体14を回転させながら、パドル41により、図10に示す領域Cに形成された厚膜レジスト27を溶解させることで、断面が逆テーパー形状とされ、かつ電極形成面12bを露出する開口部42を形成する。
【0060】
このように、回路素子層12の上面12aに形成された厚膜レジスト27を露光後に、30〜50rpmの範囲内の一定の回転速度で構造体14(炭化珪素基板11を含む)を回転させながら、厚膜レジスト27の上方から現像液39を供給して、厚膜レジスト27の上面27aに現像液39よりなるパドル41を形成し、パドル41により厚膜レジスト27を現像することで、現像液39を供給時の構造体14の回転速度が低速なため、炭化珪素基板11の面内に形成された厚膜レジスト27のうち、最も厚さの厚い炭化珪素基板の外周部分に、十分な量の現像液39を均一に供給することが可能となる。
【0061】
これにより、例えば、厚さが7μm以上とされた厚膜レジスト27を現像する場合でも、炭化珪素基板11の外周部分にレジスト残渣が発生することを抑制できる。
【0062】
また、構造体14を回転させながら現像液39を供給することで、現像時に発生したゴミを、現像液39により炭化珪素基板11の外周縁から外部に流すことが可能となる。これにより、現像後の開口部42にゴミ(例えば、溶解したレジスト屑)が付着することを抑制できる。
【0063】
さらに、構造体14を低速で回転させながら現像液39を供給することで、新しい現像液39を炭化珪素基板11の外周部に位置する厚膜レジスト27に供給することが可能となるので、炭化珪素基板11の回転を停止させてパドルにより現像する場合と比較して、短時間で現像処理を行うことが可能となるので、生産性の低下を抑制できる。
【0064】
また、現像液39は、厚膜レジスト27の現像処理が完了するまでの間、連続して供給し続けるとよい。
このように、厚膜レジスト27の現像処理が完了するまでの間、連続して現像液39を供給することで、厚膜レジスト27の上面27a全体に、常に新しい現像液39が供給されるため、さらに短時間で厚膜レジスト27の現像を行うことができると共に、現像後の開口部42にゴミ(例えば、溶解したレジスト屑)が付着することがさらに抑制することができる。
【0065】
なお、現像液39は、必ずしも厚膜レジスト27の現像処理が完了するまでの間、連続して供給し続ける必要はない。例えば、現像液39を一定時間供給し、一度、現像液39の供給を停止し、その後、現像液39の供給を再開してもよい。これにより、現像液39のコストを抑制することができる。
【0066】
また、回路素子層12の上面12aのうち、厚膜金属電極13が形成される電極形成面12bと対向する遮光部29を有した露光用マスク31を介して、厚膜レジスト27を露光し、次いで、厚膜レジスト27をベーク処理することで、厚膜レジスト27の特性をポジからネガに反転させ、次いで、厚膜レジスト27を全面露光し、その後、厚膜レジスト27を現像処理することで、厚膜レジスト27に、電極形成面12bを露出し、かつ良好な逆テーパー形状とされた開口部42を形成できる。
【0067】
次いで、図12に示す工程では、開口部42を有する厚膜レジスト27が形成された構造体14の上面側に、ディスペンサー43を介して、純水44を供給した状態で、所定の回転数で構造体14を回転させて、洗浄を行なう。
【0068】
次いで、図13に示す工程では、図12に示す純水44を停止させる。その後、構造体14を高速回転させることで、開口部42が形成された厚膜レジスト27を有した構造体14を乾燥させる。
【0069】
次いで、図14に示す工程では、ヒーター23上に、開口部42を有する厚膜レジスト27が形成された構造体14を載置し、その後、ヒーター23の熱により、厚膜レジスト27をポストベーク処理する。
具体的には、例えば、加熱温度が105℃、加熱時間が60秒の条件で、厚膜レジスト27をポストベーク処理する。
【0070】
次いで、図15に示す工程では、開口部42を有する厚膜レジスト27が形成された構造体14の上面側から、蒸着法により、厚膜金属電極13の母材となり、かつ厚さが6μm以上とされた金属膜45を成膜する。金属膜45としては、例えば、アルミニウム膜を用いることができる。
【0071】
これにより、第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2の上面26−2a、及び電極形成面12bに金属膜45が成膜される。このとき、開口部42の断面形状が逆テーパー形状になっているため、第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2の上面26−2aに形成された金属膜45と電極形成面12bに形成された金属膜45とは、完全に分離されており、接触していない。
【0072】
次いで、図16に示す工程では、金属膜45が形成された厚膜レジスト27をリフトオフさせる。具体的には、例えば、図15に示す構造体を、有機溶剤(例えば、アセトンやイソプロピルアルコール(IPA))に浸漬させた状態で、超音波処理することで、金属膜45が形成された厚膜レジスト27をリフトオフさせる。
【0073】
これにより、炭化珪素基板11と、炭化珪素基板11上に形成された回路素子層12と、回路素子層12の電極形成面12bに形成され、金属膜45よりなり、かつ厚さTが6μm以上とされた厚膜金属電極13(パッド電極)と、を備えた半導体デバイス10が製造される。
【0074】
このように、開口部42を形成後に、厚膜レジスト27をポストベークし、次いで、第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2の上面側26−2aから、蒸着法により、厚膜金属電極13の母材となり、かつ厚さTが6μm以上とされた金属膜45を成膜する。
その後、厚膜レジスト27をリフトオフすることで、炭化珪素基板11の面内に、厚さTが6μm以上とされ、かつ良好な形状(エッジ部にバリがない形状)とされた厚膜金属電極13を形成できる。
【0075】
厚膜金属電極10は、ワイヤボンディング法により、金属ワイヤ(図示せず)が接続される外部接続用のパッド電極である。また、回路素子層12には、パワーデバイス素子(図示せず)が形成されている。該パワーデバイス素子は、厚膜金属電極13と電気的に接続されている。
【0076】
なお、図16では、1つの厚膜金属電極13のみを図示したが、実際には、炭化珪素基板11の外周部から中央部に亘って複数の厚膜金属電極13が形成されている。また、図16では、炭化珪素基板11に対してかなり大きく厚膜金属電極13を図示したが、厚膜金属電極13は、実際には、かなり小さい。
【0077】
本実施の形態の厚膜レジストの現像方法によれば、回路素子層12の上面12aに形成された厚膜レジスト27を露光後に、30〜50rpmの範囲内の一定の回転速度で炭化珪素基板11(構造体14)を回転させながら、厚膜レジスト27の上方から現像液39を供給して、厚膜レジスト27の上面27aに現像液39よりなるパドル41を形成し、パドル41により厚膜レジスト27を現像することで、現像液39を供給時の炭化珪素基板11の回転速度が低速(30〜50rpmの範囲内の速度)となるため、炭化珪素基板11の面内に形成された厚膜レジスト27のうち、最も厚さの厚い炭化珪素基板11の外周部分に、十分な量の現像液39を均一に供給することが可能となる。
【0078】
これにより、例えば、厚さが7μm以上とされた厚膜レジスト27を現像する場合でも、炭化珪素基板11の外周部分にレジスト残渣が発生することを抑制できる。
【0079】
また、炭化珪素基板11を回転させながら現像液39を供給することで、現像時に発生したゴミを、現像液39により、炭化珪素基板11の外周縁から炭化珪素基板11の外部に流すことが可能となる。これにより、現像後の開口部42にゴミ(例えば、溶解したレジスト屑)が付着することを抑制できる。
【0080】
さらに、炭化珪素基板11を低速(30〜50rpmの範囲内の速度)で回転させながら現像液39を供給することで、新しい現像液39を炭化珪素基板11の外周部に位置する厚膜レジスト27に供給することが可能となるので、炭化珪素基板11の回転を停止させてパドル41により現像する場合と比較して、短時間で現像処理を行なうことが可能となるので、生産性の低下を抑制できる。
【0081】
また、本実施の形態の半導体デバイスの製造方法によれば、本実施の形態の厚膜レジストの現像方法を適用して、回路素子層12の電極形成面12bを露出する開口部42を有した厚膜レジスト27を形成し、次いで、厚膜レジスト27の上面27a側から、蒸着法を用いて厚膜とされた金属膜45を成膜し、その後、厚膜レジストをリフトオフすることで、回路素子層12の電極形成面12bに金属膜45よりなる厚膜金属電極13を形成することにより、良好な逆テーパー形状とされた開口部42を形成することが可能となるので、厚さTが6μm以上とされ、かつ良好な形状(エッジ部にバリがない形状)とされた厚膜金属電極13を形成できる。これにより、半導体デバイス10の信頼性及び歩留まりを向上させることができる。
【0082】
図17及び図18は、本発明の第1の実施の形態の第1変形例に係る厚膜レジストの現像方法を説明するための断面図である。図17及び図18において、先に説明した図10〜図12に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0083】
第1の実施の形態では、図1〜図16を参照して、基板である炭化珪素基板11の直径が3インチの場合を例に挙げて説明したが、炭化珪素基板11の直径が3インチよりも大口径の場合の厚膜レジスト27の現像方法について、図17及び図18を参照して説明する。
【0084】
この場合、先に説明した図1〜図9に示す工程の処理を行った後、図17に示す工程において、図9に示す構造体(具体的には、回路素子層12上に全面露光された厚膜レジスト27が形成された炭化珪素基板11)をステージ36に吸着させる。
【0085】
次いで、炭化珪素基板11を回転させない状態(つまり、図9に示す構造体をステージ36上に停止させた状態)で、ディスペンサー38から、厚膜レジスト27の上面27a(第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2の上面26−2a)の中心に現像液39を供給して、厚膜レジスト27の上面27aに現像液39よりなるパドル41を形成し、しばらくこの状態を維持する。これにより、図示してはいないが、厚膜レジスト27の現像が進行する。
【0086】
一般的に、大口径化された基板を回転させると、口径の小さい基板と比較して基板の外周縁における遠心力は大きくなり、基板の外周縁から現像液39が飛び出してしまう。このため、炭化珪素基板11の外周部に対して均一に現像液を供給することは難しい。
【0087】
そこで、炭化珪素基板11の回転を停止させた状態で、厚膜レジスト27の上面27aに現像液39よりなるパドル41を形成し、この状態をしばらく維持することで、炭化珪素基板11の外周部に位置する厚膜レジスト27に対して均一に現像液39を供給することが可能となるので、炭化珪素基板11の外周部に位置する厚膜レジスト27にレジスト残渣が発生することを抑制できる。
【0088】
また、図17に示す工程では、パドル41を形成後において、現像液39の供給を停止させてもよいし、現像液39の供給と停止とを繰り返し行ってもよいし、連続して現像液39を供給してもよい。
【0089】
次いで、図18に示す工程では、30〜50rpmの範囲内の一定の回転速度で炭化珪素基板11を回転させた状態で、パドル41の中心に現像液39を供給することで、パドル41を形成させたままの状態で、厚膜レジスト27の現像処理を継続する。つまり、第1の実施の形態の第1変形例の厚膜レジスト27の現像方法は、2段階のステップを有する。
【0090】
上記説明したように、厚膜レジスト27の現像工程の最初に、炭化珪素基板11の回転を停止させた状態でパドル41を形成して現像を行い、その後、炭化珪素基板11を回転させ、かつ現像液39を供給させながら、パドル41により現像処理を継続させることにより、3インチ以上の口径とされた炭化珪素基板11に形成され、かつ厚さが7μm以上とされた厚膜レジスト27を現像する場合でも、炭化珪素基板11の外周部分にレジスト残渣が発生することを抑制できる。
【0091】
図19〜図21は、本発明の第1の実施の形態の第2変形例に係る厚膜レジストの現像方法を説明するための断面図である。図19〜図21において、先に説明した図10〜図12に示す構造体と同一構成部分には同一符号を付す。
【0092】
第1の実施の形態では、図1〜図16を参照して、基板である炭化珪素基板11の直径が3インチの場合を例に挙げて説明したが、炭化珪素基板11の直径が3インチよりも大口径の場合の厚膜レジスト27の現像方法について、図19〜図21を参照して説明する。
【0093】
この場合、先に説明した図1〜図9に示す工程の処理を行った後、図19に示す工程では、図9に示す構造体(具体的には、回路素子層12上に全面露光された厚膜レジスト27が形成された炭化珪素基板11)をステージ36に吸着させる。
【0094】
次いで、炭化珪素基板11を30〜50rpmの範囲内の一定の回転速度で構造体14を回転させながら、第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2の上面26−2a側に配置されたディスペンサー38から、厚膜レジスト27の上面27a(第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2の上面26−2a)の中心に現像液39を供給して、厚膜レジスト27の上面27aに現像液39よりなるパドル41を形成して、しばらく現像処理を行う。
【0095】
次いで、図20に示す工程では、炭化珪素基板11の回転を停止させた後、厚膜レジスト27に形成されたパドル41により、しばらく現像処理を行う。
【0096】
次いで、図21に示す工程では、炭化珪素基板11を30〜50rpmの範囲内の一定の回転速度で構造体14を回転させながら、パドル41の中心に現像液39を供給することで、現像処理を行う。つまり、第1の実施の形態の第2変形例の厚膜レジスト27の現像方法は、3段階のステップを有する。
【0097】
このような手法により、厚膜レジスト27を現像処理する第1の実施の形態の第2変形例の厚膜レジストの現像方法は、先に説明した第1の実施の形態の第1変形例の厚膜レジストの現像方法と同様な効果を得ることができる。
【0098】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0099】
例えば、本実施の形態では、異なる粘性を有した2種類のポジ−ネガ反転型レジストを積層塗布し、該積層塗布されたポジ−ネガ反転型レジストを現像する場合を例に挙げて説明したが、本実施の形態の厚膜レジストの現像方法は、1種類のポジ−ネガ反転型レジストを塗布し、該ポジ−ネガ反転型レジストを現像する場合にも適用可能である。
【0100】
また、本実施の形態では、厚膜レジスト27が形成される基板として、炭化珪素基板11を用いる場合を例に挙げたが、厚膜レジスト27が形成される基板は、炭化珪素基板11に限定されない。例えば、半導体基板である単結晶シリコン基板に、厚膜レジスト27を形成してもよい。
【0101】
また、本実施の形態では、第1の粘性値が30cp以下の第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2を形成する場合を例に挙げて説明したが、第1の粘性値が30cp以下の第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2に替えて、第1の粘性値が50cp前後の値とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1を用いて、第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2を形成してもよい。この場合、本実施の形態の厚膜レジストの現像方法と同様な効果を得ることができる。
【0102】
また、本実施の形態では、一回の第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1の滴下、及び回転により、均一な厚さとされた第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1を形成する場合を例に挙げて説明したが、厚膜レジスト27の厚さTをさらに厚くしたい場合には、図5で説明した処理を複数回行なってもよい。
【0103】
また、本実施の形態では、半導体デバイス10の一例として、パワーデバイスを例に挙げて説明したが、本発明は、高周波デバイス、及び高温動作デバイス等にも適用可能である。
【0104】
以下、本発明の効果を、実施例を用いて具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0105】
(実施例1)
始めに、図1に示す構造体14として、パワーデバイスを備えた回路素子層12が形成された直径が3インチの炭化珪素基板11を準備した。
次いで、図2に示す工程では、回路素子層12の上面12aをHMDS処理した。次いで、図3に示す工程では、HMDS処理された回路素子層12の上面12aに、第1の粘性値が29cpとされた液状の第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1を滴下させ、構造体14を1200rpmの速度で回転させることで、均一な厚さとされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1を形成した。第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1を塗布後のエッジリンス処理として、リンス液により炭化珪素基板11の最外周から0.5mmのエリアの第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1を除去した。
【0106】
次いで、図4に示す工程では、ヒーター23を用いた加熱(加熱温度100℃、加熱時間60秒)により、液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−1を硬化させることで、第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2を形成した。第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2の厚さTは、5μmであった。
【0107】
次いで、図5に示す工程では、HMDS処理を行なうことなく、第1のポジ−ネガ反転型レジスト21−2の上面21−2aに、第2の粘性値が85cpとされた液状の第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1を滴下させ、構造体14を2500rpmの速度で回転させることで、均一な厚さとされた第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1を形成した。第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1を塗布後のエッジリンス処理として、リンス液にて炭化珪素基板11の最外周から0.5mmのエリアの第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1を除去した。
【0108】
次いで、図6に示す工程では、ヒーター23による加熱(加熱温度100℃、加熱時間90秒)により、液状とされた第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−1を硬化させることで、第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2を形成した。このとき、第2のポジ−ネガ反転型レジスト26−2の厚さTは、3μmであった。また、第1及び第2のポジ−ネガ反転型レジスト21−2,26−2よりなる厚膜レジスト27の厚さTは、8μm(7μm以上)であった。
また、エッジカットが5mmの条件で厚膜レジスト27の面内の膜厚を測定し、厚膜レジスト27の面内バラツキ(不均一性)を測定した結果、目標値である5%よりも小さい4.8%であった。
【0109】
次いで、図7に示す工程では、縮小投影型露光装置(具体的には、ステッパー)により、露光用マスク31を介して、第1及び第2のポジ−ネガ反転型レジスト21−2,26−2を露光した。このときの露光量は、55mJ/cmを用いた。
次いで、図8に示す工程では、ヒーター23により、厚膜レジスト27をベーク処理(加熱温度115℃、加熱時間120秒)することで、厚膜レジスト27を構成する第1及び第2のポジ−ネガ反転型レジスト21−2,26−2の特性をポジからネガに反転させることで、図10に示す現像液41により溶解され、かつ逆テーパー形状とされた領域Cを形成した。
【0110】
次いで、図9に示す工程では、厚膜レジスト27を全面露光した。このときの露光量は、4000mJ/cmとした。
次いで、図10及び図11に示す工程では、AZ300MIFデベロッパー(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を現像液39として用いてパドル41を形成し、30rpmの回転速度で炭化珪素基板11を回転させた状態で、AZ300MIFデベロッパー(AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を供給し続けながら、パドル41により厚膜レジスト27の現像処理を行うことで、厚膜レジスト27に開口部42を形成した。また、現像液39の供給量は、100sccmとした。
次いで、図12に示す工程では、純水44により、開口部42が形成された厚膜レジスト27を備えた構造体14に付着した現像液41を洗い流した。
【0111】
次いで、図13に示す工程では、図12に示す純水44を停止し、構造体14を高速で回転させることで、開口部42が形成された厚膜レジスト27を備えた構造体14を乾燥させることで、実施例1のサンプルを作成した。その後、光学顕微鏡を用いて、実施例1のサンプルの外周部におけるレジスト残渣の有無を確認した。このとき、撮影した実施例1のサンプルの炭化珪素基板11の外周部の写真を図22に示す。図22は、実施例1,2のサンプルの炭化珪素基板の外周部の光学顕微鏡写真である。
【0112】
(実施例2)
図10及び図11に示す厚膜レジスト27の現像工程における炭化珪素基板11の回転数を50rpmに変更した以外は、実施例1と同様な手法により、実施例2のサンプルを作成した。
【0113】
その後、光学顕微鏡を用いて、実施例2のサンプルの外周部におけるレジスト残渣の有無を確認した。このとき、撮影した実施例2のサンプルの炭化珪素基板11の外周部の写真を図22に示す。
【0114】
(比較例1)
図10及び図11に示す厚膜レジスト27の現像工程における炭化珪素基板11の回転数を0rpmに変更した(言い換えれば、炭化珪素基板11を停止させた)以外は、実施例1と同様な手法により、比較例1のサンプルを作成した。
【0115】
その後、光学顕微鏡を用いて、比較例1のサンプルの外周部におけるレジスト残渣の有無を確認した。このとき、撮影した比較例1のサンプルの炭化珪素基板11の外周部の写真を図23に示す。図23は、比較例1,2のサンプルの炭化珪素基板の外周部の光学顕微鏡写真である。
【0116】
(比較例2)
図10及び図11に示す厚膜レジスト27の現像工程における炭化珪素基板11の回転数を10rpmに変更した以外は、実施例1と同様な手法により、比較例2のサンプルを作成した。
【0117】
その後、光学顕微鏡を用いて、比較例2のサンプルの外周部におけるレジスト残渣の有無を確認した。このとき、撮影した比較例2のサンプルの炭化珪素基板11の外周部の写真を図23に示す。
【0118】
(比較例3)
図10及び図11に示す厚膜レジスト27の現像工程における炭化珪素基板11の回転数を80rpmに変更した以外は、実施例1と同様な手法により、比較例3のサンプルを作成した。
【0119】
その後、光学顕微鏡を用いて、比較例3のサンプルの外周部におけるレジスト残渣の有無を確認した。このとき、撮影した比較例3のサンプルの炭化珪素基板11の外周部の写真を図24に示す。図24は、比較例3のサンプルの炭化珪素基板の外周部の光学顕微鏡写真である。
【0120】
(比較例4)
図10及び図11に示す厚膜レジスト27の現像工程における炭化珪素基板11の回転数を100rpmに変更した以外は、実施例1と同様な手法により、比較例4のサンプルを作成した。
【0121】
その後、光学顕微鏡を用いて、比較例4のサンプルの外周部におけるレジスト残渣の有無を確認した。このとき、撮影した比較例4のサンプルの炭化珪素基板11の外周部の写真を図25に示す。図25は、比較例4のサンプルの炭化珪素基板の外周部の光学顕微鏡写真である。
【0122】
(比較例5)
図10及び図11に示す厚膜レジスト27の現像工程における炭化珪素基板11の回転数を20rpmに変更した以外は、実施例1と同様な手法により、比較例5のサンプルを作成した。
【0123】
その後、光学顕微鏡を用いて、比較例5のサンプルの外周部におけるレジスト残渣の有無を確認した。このとき、撮影した比較例5のサンプルの炭化珪素基板11の外周部の写真を図26に示す。図26は、比較例5,6のサンプルの炭化珪素基板の外周部の光学顕微鏡写真である。
【0124】
(比較例6)
図10及び図11に示す厚膜レジスト27の現像工程における炭化珪素基板11の回転数を60rpmに変更した以外は、実施例1と同様な手法により、比較例6のサンプルを作成した。
【0125】
その後、光学顕微鏡を用いて、比較例6のサンプルの外周部におけるレジスト残渣の有無を確認した。このとき、撮影した比較例6のサンプルの炭化珪素基板11の外周部の写真を図26に示す。
【0126】
(現像処理後の実施例1,2及び比較例1〜6のレジスト残渣の有無について)
図23及び図26を参照するに、比較例1,2,5のサンプルの写真データから、炭化珪素基板11の回転数が0〜20rpmの範囲内では、回転数が早くなるにつれて、レジスト残渣が減少することが確認できた。
【0127】
これは、炭化珪素基板11の回転数が遅すぎて、炭化珪素基板11の外周部に現像液39が均一に広がらないことが原因であると考えられる。
また、炭化珪素基板11の回転数が10rpmの比較例2のサンプルでは、レジスト残渣が少量あり、未だレジストが完全に除去できていなかった。また、回転数が20rpmの比較例5のサンプルでは、レジスト残渣無しが確認できた。これにより、回転数20rpmの条件は、レジスト残渣有り無しの境目に値すると思われる。
【0128】
一方、図22を参照するに、実施例1(炭化珪素基板11の回転数が30rpm)のサンプルでは、炭化珪素基板11の外周部にレジスト残渣が見られなかった。つまり、炭化珪素基板11の回転数を30rpmとして現像処理した場合、炭化珪素基板11の外周部に現像液39が均一に広がるため、レジスト残渣が発生しないことが確認できた。
【0129】
図24〜図26を参照するに、比較例3,4,6のサンプルの写真データから、炭化珪素基板11の回転数が60〜100rpmの範囲内では、回転数が早くなるにつれて、レジスト残渣が増加することが確認できた。
これは、現像液39が炭化珪素基板11の外周部に留まることなく、遠心力により炭化珪素基板11の外周縁から飛び出してしまうことが原因であると考えられる。
【0130】
一方、図22を参照するに、実施例2(炭化珪素基板11の回転数が50rpm)のサンプルでは、炭化珪素基板11の外周部にレジスト残渣が見られなかった。つまり、炭化珪素基板11の回転数を50rpmとして現像処理した場合、炭化珪素基板11の外周部に現像液39が均一に広がるため、レジスト残渣が発生しないことが確認できた。
【0131】
上記図22〜図25に示す光学顕微鏡写真から、30〜50rpmの範囲内の一定の回転速度で炭化珪素基板11を回転させながら、厚膜レジスト27の上方から現像液39を供給する(図10参照)ことで、厚膜レジスト27の上面27aに現像液39よりなるパドル41を形成し、パドル41により厚膜レジスト27を現像することで、現像処理後の炭化珪素基板11の外周部におけるレジスト残渣の発生を抑制可能なことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、生産性を低下させることなく、基板の外周部にレジスト残渣が発生することを抑制可能な厚膜レジストの現像方法、及び半導体デバイスの製造方法に利用可能である。
【0133】
10…半導体デバイス、11…炭化珪素基板、11a…表面、12…回路素子層、12a…上面、12b…電極形成面、13…厚膜金属電極、14…構造体、15…HMDS液、16,35…回転軸、17,36…ステージ、18,25,38,43…ディスペンサー、21−1…液状とされた第1のポジ−ネガ反転型レジスト、21−2…第1のポジ−ネガ反転型レジスト、21−2a,26−2a,27a…上面、23…ヒーター、26−1…液状とされた第2のポジ−ネガ反転型レジスト、26−2…第2のポジ−ネガ反転型レジスト、27…厚膜レジスト、28…透明基板、29…遮光部、31,33…露光用マスク、39…現像液、41…パドル、42…開口部、44…純水、45…金属膜、A,B,C,D…領域、T,T,T,T,T…厚さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた層の上面に形成された厚膜レジストを露光後に現像する厚膜レジストの現像方法であって、
前記層の上面に、前記厚膜レジストを形成する工程と、
前記厚膜レジストを露光する工程と、
前記露光後に、30〜50rpmの範囲内の一定の回転速度で前記基板を回転させながら、前記厚膜レジストの上方から現像液を供給することで、前記厚膜レジストの上面に前記現像液よりなるパドルを形成し、該パドルにより前記厚膜レジストを現像して、前記厚膜レジストに前記層の上面を露出する開口部を形成する工程と、
を含むことを特徴とする厚膜レジストの現像方法。
【請求項2】
前記厚膜レジストの現像が完了するまで、前記現像液を連続して供給することを特徴とする請求項1記載の厚膜レジストの現像方法。
【請求項3】
前記厚膜レジストを現像する工程の最初或いは途中で、前記基板の回転を停止させ、その後、前記基板を回転させることを特徴とする請求項1または2記載の厚膜レジストの現像方法。
【請求項4】
前記厚膜レジストは、7μm以上の厚さとなるように形成することを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の厚膜レジストの現像方法。
【請求項5】
前記層及び現像された前記厚膜レジストに付着した前記現像液を除去する工程と、
前記現像液を除去後に、現像された前記厚膜レジストをポストベークする工程と、
を含むことを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の厚膜レジストの現像方法。
【請求項6】
前記厚膜レジストを形成する工程では、ポジ−ネガ反転型レジストを形成することを特徴とする請求項1ないし5のうち、いずれか1項記載の厚膜レジストの現像方法。
【請求項7】
前記厚膜レジストを形成する工程は、前記層の上面をHMDS処理する段階と、
前記HMDS処理された前記層の上面に、第1の粘性値を有した第1のポジ−ネガ反転型レジストを形成する段階と、
前記第1のポジ−ネガ反転型レジスト上に、前記第1の粘性値よりも大きい第2の粘性値を有した第2のポジ−ネガ反転型レジストを形成する段階と、
を有することを特徴とする請求項1ないし6のうち、いずれか1項記載の厚膜レジストの現像方法。
【請求項8】
前記厚膜レジストを露光する工程は、前記層の上面のうち、前記開口部が形成される面に照射される光を遮断する遮光部を有した露光用マスクを介して、前記厚膜レジストを露光する第1の露光段階と、
前記第1の露光段階後に、前記厚膜レジスト膜をベーク処理することで、前記厚膜レジストの特性をポジからネガに反転させる段階と、
前記ベーク処理後、前記厚膜レジストを全面露光する段階と、
を含むことを特徴とする請求項7記載の厚膜レジストの現像方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のうち、いずれか1項記載の厚膜レジストの現像方法により、前記開口部を有した前記厚膜レジストを形成する工程と、
前記厚膜レジストの上面側から、蒸着法により、厚膜とされた金属膜を成膜する工程と、
前記金属膜を成膜後、前記厚膜レジストをリフトオフすることで、前記層の上面に前記金属膜よりなる厚膜金属電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項10】
前記金属膜は、厚さが6μm以上となるように形成することを特徴とする請求項9記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項11】
前記基板として、炭化珪素基板を用いることを特徴とする請求項9または10記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項12】
前記層として、パワーデバイス素子を有する回路素子層を形成することを特徴とする請求項9ないし11のうち、いずれか1項記載の半導体デバイスの製造方法。
【請求項13】
前記厚膜金属電極は、外部接続用電極として機能する電極パッドであり、ワイヤボンディング法により金属ワイヤが接続されることを特徴とする請求項9ないし12のうち、いずれか1項記載の半導体デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−55192(P2013−55192A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191699(P2011−191699)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】