説明

原付玩具自動車セット

【課題】 従来の永久磁石を有する原付玩具自動車セットは、走行遊戯を止め、原付玩具自動車を立体車道の金属レールから取上げ持ち歩いて、ICカードやパソコン等に長時間接触させると、これに磁気的障害を起こす場合もあり、また、原付玩具自動車が固定軸式四輪の場合、立体車道の小半径曲折部等では、横ぶれで走行障害を生じる等問題点があった。
【解決手段】 原付玩具自動車1の台車3に長方形の磁石台板穴9を設け、この磁石台板穴9に磁石台板8をはめ込み可能にし、この磁石台板8の表面に、永久磁石5とこの永久磁石5の両脇に回転コマ11を設け、裏面に、磁気ガード板12に操作軸14を固着しスブリング13を設け、この操作軸14の一端は、支持板16の貫通孔16Aに通しスプリング13と連動し回転自在にし、他端にスイッチピン17とハンドル18を設け、前記磁石台板穴9の上部に磁気ガード箱20を被せ、立体車道は、中央部に凹型のガイド溝6Aとこの底部に金属レール7を設けて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、永久磁石を有する原付玩具自動車と、これを走行させる立体車道とを備えた、原付玩具自動車セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の原付玩具自動車セットにおいて、原付玩具自動車は、台車の底面に永久磁石を固定して設け、これを走行させる立体車道の金属レールとの間で、常に吸引力を働かせながら金属レールに沿って走行させようとするものは種々あったが、これらは何れも磁気的障害については考慮されておらず、また、種々な形状の立体車道の小半径曲折部等では、走行障害が生じるという問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特許第4109312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような、従来の原付玩具自動車セットによると、原付玩具自動車の台車の底面に設けた永久磁石は固定され、磁気ガードについて考慮されていないので、原付玩具自動車の走行遊戯を止め、立体車道の金属レールから取上げると、永久磁石の磁束が台車の周辺の空間に漏洩磁束として放出されることになり、これをICカードやパソコン等に長時間接触させると、磁気的障害を与えるという問題点があった。また、原付玩具自動車が固定軸四輪式の場合、立体車道の小半径曲折部等で、走行遠心力による脱輪の走行障害等が生じるという問題点もあった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、原付玩具自動車をICカードやパソコン等に、長時間接触させても磁気的障害を与えないようにし、また、立体車道の小半径曲折部等で、走行による横ぶれ等が生じないようにした、原付玩具自動車セットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
原付玩具自動車と、これを走行させる立体車道を備えた原付玩具自動車セットにおいて、原付玩具自動車は、台車とこの台車に設けられた磁石台板穴と磁石台板と、この磁石台板に設けられた永久磁石と回転コマと磁気ガード板と操作軸とスプリングと、前記台車に設けられた磁気ガード箱とからなり、前記磁石台板穴には前記磁石台板をはめ込み、この磁石台板は表面に、前記永久磁石とその両脇に回転自在にした前記回転コマと、裏面に、前記操作軸が固着された前記磁気ガード板が前記永久磁石に対向して設けてあり、この磁気ガード板は、前記操作軸と前記台車に起立して設けた支持板を介しスプリングと連動して回転自在にし、前記磁気ガード箱は、前記台車の前記磁石台板穴の上部に被せて形成し、立体車道は、ガイド溝と金属レールとからなり、前記ガイド溝は車道の中央部に帯状で凹型のものを設け、このガイド溝の底部に前記金属レールとが設けられた、各種形状の車道を接続して立体的でループ状に形成するよう構成したものである。
【0007】
前記磁気ガード板に固着する前記操作軸は、走行方向中心線上より一方の側端に寄せて設けてあり、この操作軸の左右面で広い面と狭い面を設けることで、この操作軸の左右面で永久磁石の吸引力に差が生じるようにしたものである。
【発明の効果】
【0008】
上記のように、本発明の原付玩具自動車セットによれば、原付玩具自動車の走行遊戯を止め、原付玩具自動車を立体車道の金属レールから取上げると、永久磁石と金属レールとの吸引力がなくなるので、スプリングの圧縮力で磁石台板は自動的に回転し、永久磁石はボデー内で上向き水平に納まり、永久磁石は磁気ガード板と磁気ガード箱で閉止され、磁束はこれらの磁性体内を通過し循環するので、周囲の空間に放出される漏洩磁束は生じなくなり、ICカードやパソコン等に磁気的障害を与えることが防止できる。
また、前記立体車道に設ける前記ガイド溝は、原付玩具自動車の4個の回転コマが挿入され走行自在にしたので、走行中に遠心力で横ぶれ方向に移動しようとしても、ガイド溝の側壁に回転コマが接触することで、横ぶれによる走行障害を生ずることがなく、安定した走行を続けることができる。
【0009】
また、前記磁気ガード板に固着する前記操作軸は、走行方向の中心線上より一方の側端に寄せて設けたので、操作軸の左右面で永久磁石の吸引力に差が生じており、吸引力の強い面の方が強く金属レールに引かれ、ストッパーで止まっているので、永久磁石は金属レール上で安定して一定間隔を保ち、原付玩具自動車が横ぶれ走行等しても、永久磁石がスプリングの圧縮力で回転して走行機能を失うことはない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】は、この発明の原付玩具自動車の台車の底面組立斜視図である。
【図2】は、この発明のボデー内の磁気ガード板および磁気ガード箱等の詳細組立斜視図である。
【図3】は、この発明の原付玩具自動車の走行遊戯を中止した時、永久磁石がボデー内に自動閉止される状況斜視図である。
【図4】は、この発明の原付玩具自動車を走行させる立体車道の組立斜視図である。
【図5】は、この発明の螺旋車道、登り車道および下り車道等で、原付玩具自動車が横向き走行する状況斜視図である。
【図6】は、この発明の原付玩具自動車が螺旋車道を走行する仮想図で、X線は表面走行時、Y線は裏面走行時の立体車道との位置関係図である。
【図7】は、この発明の螺旋車道の一部斜視図である。
【図8】は、図7のA−A線走行状況断面図で、(A)は表面走行時、(B)は裏面走行時のものである。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
図は、この発明の一実施形態を示すもので、図1は、原付玩具自動車の台車の底面組立斜視図である。図2、はボデー内の磁気ガード板および磁気ガード箱等の詳細組立斜視図である。図3は、原付玩具自動車の走行遊戯を中止した時、永久磁石がボデー内に自動閉止される状況斜視図である。図4は、原付玩具自動車を走行させる立体車道の組立斜視図である。図5は、螺旋車道、登り車道および下り車道等で、原付玩具自動車が横向き走行する状況斜視図である。図6は、原付玩具自動車が螺旋車道を走行する仮想図で、X線は表面走行時、Y線は裏面走行時の立体車道との位置関係図である。図7は、螺旋車道の一部斜視図である。図8は、図7のA−A線走行状況断面図で、(A)は表面走行時、(B)は裏面走行時のものである。
【0012】
原付玩具自動車と、これを走行させる立体車道を備えた原付玩具自動車セットにおいて、非磁性体でなる原付玩具自動車1は、台車3とこの台車3に設けた長方形の磁石台板穴9と、この磁石台板穴9に非磁性体でなる長方形の磁石台板8をはめ込み可能にし、この磁石台板8の表面には、板状で長方形の永久磁石5とこの永久磁石5の両脇四つ角に、非磁性体でなるコマ軸10の先端に回転可能にした回転コマ11が設けてあり、裏面には、磁性体でなる薄板で長方形の磁気ガード板12が前記永久磁石5に対向して設けてあり、この磁気ガード板12は、細長い操作軸14を固着し、この上に重ねて非磁性体でなる電池収納箱15を設け、この電池収納箱15の側壁とボデー2の間にスプリング13が水平方向に設けてあり、前記操作軸14の一端は、前記磁石台板穴9の前後の前記台車3に設けた支持板16の貫通孔16Aに通して前記磁石台板8と一体で回転自在にし、他端にはスイッチピン17およびボデー2の外部にハンドル18が設けてあり、磁性体でなる薄板で箱型の前記磁気ガード箱20は、前記台車3の前記磁石台板穴9の上部に被せて設けて形成し、立体車道6は、非磁性体でなり中央部に帯状で凹型のガイド溝6Aと、このガイド溝6Aの底部に磁性体でなり帯状で細めの金属レール7とが設けられた,水平車道6F、曲折車道6E、登り車道6C、螺旋車道6B、下り車道6Dおよびその他形状の車道を接続し立体的でループ状に形成して構成されている。
【0013】
前記磁気ガード板12に固着する前記操作軸14は、原付玩具自動車1の走行方向中心線上より一方の側端に寄せて設けてあり、この操作軸14の左右面で面積の広い面と狭い面とを設けることで、永久磁石5の吸引力が強い面と弱い面を生じるようにし、この広い面を支えるようにストッパー21が設けてあり、前記操作軸14の他端に設けたスイッチピン17により動作する電源用のマイクロスイッチ19を設けて構成されている。
【0014】
前記永久磁石5は長方形のもの一個に代えて、円形のものを複数個並べて長方形にすれば、原付玩具自動車1の走行時の遠心力等による、横ぶれを小さくすることが出来る。
【0015】
前記磁気ガート板12は、磁石台板8が厚いもの等で効果が十分でない場合は、表面の永久磁石5の側に設けることができる。
【0016】
前記電源用のマイクロスイッチ19は、永久磁石5がボデー2内で水平の上向きとなり、閉止された位置にならないと、電源を切る動作をしないように設ける。これは、永久磁石5が完全に磁気ガードされた状態で、車輪4が停止するようにするためである。
【0017】
前記ガイド溝6Aの幅は、原付玩具自動車1の四個の回転コマ11を挿入して走行可能にし、走行時の横ぶれを防止するようにする。ただし、螺旋車道6Bの裏面走行のように永久磁石5と金属レール7が離れるような場合は、ガイド溝6Aは凸型として突出ガイド6Gの頂部に金属レール7を設け、回転コマ11で金属レール7の両脇を挟み込むことで、原付玩具自動車1の横ぶれを防止するようにする。
【0018】
上記理由により、 前記原付玩具自動車1の台車3の磁石台板8に設ける回転コマ11は、螺旋車道6Bの裏面走行をさせる場合等は、永久磁石5の表面より突出させて設ける。
【0019】
前記立体車道6の水平車道6F等で、原付玩具自動車1が表面を水平方向に走行するのみの部分では、ガイド溝6Aや金属レール7は省略することもできる。
【0020】
その他形状の立体車道としては、種々なものがあるが垂直走行、水平裏側走行およびゼットコースター走行等をさせる車道が考えられる。
【0021】
次にこ発明の原付玩具自動車セットの使用法について説明する。
原付玩具自動車1の走行遊戯を始めようとする場合は、ハンドル18を操作して反対位置に回転させると、電源用のマイクロスイッチ19が動作して電源が入り、車輪4が回転し同時に永久磁石5は台車3の外部で水平状態となり、この状態で原付玩具自動車1を、水平車道6Fの金属レール7の上に置くと、永久磁石5が吸引力を働かせて走行を始め、曲折車道6E、登り車道6C、螺旋車道6B、下り車道6D、曲折車道6Eおよびその他形状の車道等を走行して元に戻る。その間横向き走行やあらゆる姿勢での走行をさせることができる。
反対に走行遊戯を止めて、原付玩具自動車1を金属レール7から取り上げると、永久磁石5は吸引力が無くなるので、スブリング13の圧縮力で磁石台板8は自動回転し、永久磁石5はボデー2内で上向き水平に納まり、磁気ガード板12と磁気ガード箱20内に閉止されるので、外部の空間に漏洩する磁束はなくなる。それと共にマイクロスイッチ19の動作で電源が切れ車輪4は回転を停止する。また、この状態では常にスプリング13の圧縮力が働いているので、原付玩具自動車1をどのように持ち歩いても、漏洩磁束が生じることはなく磁気的障害は起こらない。それに電池収納箱15は台車3の底面外部に露出した状態になるので、容易に電池の交換ができる。
【符号の説明】
【0022】
1 原付玩具自動車 2 ボデー 3 台車
4 車輪 5 永久磁石 6 立体車道
6A ガイド溝 6B 螺旋車道 6C 登り車道
6D 下り車道 6E 曲折車道 6F 水平車道
6G 突出ガイド 7 金属レール 8 磁石台板
9 磁石台板穴 10 コマ軸 11 回転コマ
12 磁気ガード板 13 スプリング 14 操作軸
15 電池収納箱 16 支持板 16A 貫通孔
17 スイッチピン 18 ハンドル 19 マイクロスイッチ
20 磁気ガード箱 21 ストッパー 22 駆動装置
23 展望タワー 24 トンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原付玩具自動車と、これを走行させる立体車道を備えた原付玩具自動車セットにおいて、原付玩具自動車は、台車とこの台車に設けられた磁石台板穴と磁石台板と、この磁石台板に設けられた、永久磁石と回転コマと磁気ガード板と操作軸とスプリングと、前記台車に設けられた磁気ガード箱とからなり、前記磁石台板穴には前記磁石台板をはめ込み、この磁石台板は表面に、前記永久磁石とその両脇に回転自在にした前記回転コマと、裏面に、前記操作軸が固着された前記磁気ガード板が前記永久磁石に対向して設けてあり、この磁気ガード板は前記操作軸と前記台車に起立して設けた支持板を介して、前記スプリングと連動して回転自在にし、前記磁気ガード箱は、前記台車の前記磁石台板穴の上部に被せて形成し、立体車道は、ガイド溝と金属レールとからなり、前記ガイド溝は車道の中央部に帯状で凹型のものを設け、このガイド溝の底部に前記金属レールが設けられた、各種形状の車道を接続して立体的でループ状に形成するよう構成することを特徴とする原付玩具自動車セット。
【請求項2】
前記磁気ガード板に固着する前記操作軸は、走行方向中心線上より一方の側端に寄せて設けてあり、この操作軸の左右面で広い面と狭い面を設けることで、この操作軸の左右面で永久磁石の吸引力に差が生じるようにしていることを特徴とする請求項1記載の原付玩具自動車セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−5208(P2011−5208A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169506(P2009−169506)
【出願日】平成21年6月27日(2009.6.27)
【出願人】(591078099)
【Fターム(参考)】