説明

原子力プラントの非常用安全システム試験方法及び原子力プラントの非常用安全システム試験装置

【課題】非常用安全システムの状態を精度良く監視できる原子力プラントの非常用安全システム試験方法を提供する。
【解決手段】非常用安全システム試験装置10は、非常用安全システムのサーベイランス試験に用いる試験ガイド制御装置12及び記憶装置13を有し、非常用安全システムの状態監視に用いるデータ採取制御装置15、データ管理装置19及び記憶装置21を有する。記憶装置13はサーベイランス試験の実施内容を手順ステップごとに格納する。データ採取の手順ステップを含むデータ採取条件の情報がデータ採取制御装置15の内部メモリ16に格納される。データ採取制御装置15は、サーベイランス試験中に、データ採取条件の情報に含まれる手順ステップにおいて入力装置11に入力されるプラントデータを採取し、データ管理装置19が採取したプラントデータを用いて表示情報を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力プラントの非常用安全システム試験方法及び原子力プラントの非常用安全システム試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の高経年化原子力プラントの増加、及び人的ミス及び組織要因によるトラブル防止、更には海外での原子力プラントの保全活動の動向を踏まえ、原子力プラントに対する新しい検査制度が平成21年に導入された。この新検査制度は、従来の時間基準保全を中心とした検査制度にかわって、施設毎に原子力プラントの設備の劣化状態等を踏まえた信頼性重視保全を取り入れた制度になっており、状態監視等の技術を用いた運転時における原子力プラントの検査が義務付けられている。
【0003】
原子力プラントにおける状態監視は、例えば、原子力プラントに設けられたモータ及びポンプなどの動的機器に対して、運転中の振動及び温度をモニタすることにより、従来のような分解点検を行うことなく異常の兆候を把握することを可能とする技術であり、既に、常用系の設備を中心に広く導入が進められている。
【0004】
一方で、原子力プラントの安全に重要な設備である非常用安全システムに対しては、上述の状態監視の適用は進んでいない。非常用安全システムは、事故などの緊急時に作動して原子力プラントを安全に停止するシステムである。その非常用安全システムは、原子力プラントの通常運転時には待機状態であって運転されることはない。このため、非常用安全システムが緊急時に正常に動作することを確認するために、非常用安全システムに対して定期試験を実施することが保安規定に定められており、所定の試験を通じて非常用安全システムの健全性を確認している。
【0005】
このような非常用安全システムに対し、原子力プラントの運転中に異常の兆候を把握するための試験装置が提案されている。
【0006】
例えば、特開2000−242328号公報に記載されたサーベイランス試験装置では、緊急時対応設備機器のサーベイランス試験において、試験手順のガイド表示及び試験データの採取・判定を実施する従来の試験装置に、試験データ及び判定結果等を試験日時情報を付加して保存する保存手段を付加した構成が設けられている。これにより、例えば現在と過去の試験結果の比較を行うことができる。
【0007】
また、特開2008−310659号公報に記載された状態監視装置では、サーベイランス試験時にしか運転しない非常用機器に対し、効率よく振動や軸受温度などの状態監視データを採取するために、データの変化を検知するための第1の閾値と、運転状態の変化からの経過時間に関する第2の閾値と、定常状態になったことを検知するための第3の閾値とに基づいて、データを保存すべき期間を自動的に判定する構成が示されている。データ保存期間を自動判定することにより、技能及び知識を持った担当者がサーベイランス試験時にタイミングを見てデータを採取する負担をなくすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−242328号公報
【特許文献2】特開2008−310659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、原子力プラントの非常用安全システムに対する状態監視を実現するには、サーベイランス試験時に非常用安全システムからデータを採取する必要がある。その際、データ採取の効率化及び作業員の負担低減を考慮した場合、サーベイランス試験時に非常用安全システムから指定されたデータを自動的に採取する装置を用いることが有効であることを、発明者らは見出した。また、状態監視データを採取する装置としては、次の2つ事項を考慮することが重要である。
【0010】
第1は、採取データの追加削除及び条件変更が容易であることである。状態監視の対象となる設備機器及び監視パラメータ、さらにデータ採取条件は、非常用安全システムの保全活動の高度化にともなって、逐次見直されるべきものであり、例えば、サーベイランス試験の合否判定データなどに固定してしまうと、見直し後の監視方法に合致しなくなる可能性がある。
【0011】
第2は、予め設定した条件でデータを採取し、必要に応じてデータ採取の条件を確認できることである。状態監視において採取したデータの異常の兆候を検知するには、周期的に採取したデータの変化傾向を比較する必要があるが、この毎回の測定データの採取条件、例えば、当該機器及び関連機器の状態、及び作動要求信号との時間的な関係などが同一であることが重要である。そのためには、個々の設備機器毎のデータ採取条件を管理でき、かつ、これらのデータ採取条件を採取データとともに記録・保存することが有効である。
【0012】
本発明の目的は、非常用安全システムの状態を精度良く監視することができる原子力プラントの非常用安全システム試験方法及び原子力プラントの非常用安全システム試験装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、原子力プラントの非常用安全システムに対するサーベイランス試験が、複数の手順ステップの試験を含む試験ガイド情報に基づいて行われ、
非常用安全システムに含まれる機器が作動する手順ステップにおける、その機器の作動により生じるプラントデータに関する採取開始情報及び採取完了情報を含むデータ採取条件の情報に基づいて、そのプラントデータを採取し、
採取されたプラントデータを用いて非常用安全システムの状態監視を行うことにある。
【0014】
非常用安全システムに含まれる機器が作動する手順ステップにおける、その機器の作動により生じるプラントデータに関する採取開始情報及び採取完了情報を含むデータ採取条件の情報に基づいて、そのプラントデータを採取するので、採取されたプラントデータを用いて非常用安全システムの状態を精度良く監視することができる。
【0015】
好ましくは、サーベイランス試験の試験ガイド情報に含まれる、少なくとも1つの手順ステップの試験に対するデータ採取条件の情報が変更されたとき、このデータ採取条件の情報に含まれる採取開始情報及び採取完了情報を修正することが望ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、原子力プラントの非常用安全システムの状態を精度良く監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の好適な実施例である実施例1の原子力プラントの非常用安全システム試験装置の構成図である。
【図2】図1に示す試験ガイド制御装置によって記憶装置から読み出される試験ガイドデータの一例を示す説明図である。
【図3】図1に示すデータ採取制御装置によって他の記憶装置から読み出されるデータ採取条件の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の他の実施例である実施例2の原子力プラントの非常用安全システム試験装置の構成図である。
【図5】本発明の他の実施例である実施例3の原子力プラントの非常用安全システム試験装置の構成図である。
【図6】本発明の他の実施例である実施例4の原子力プラントの非常用安全システム試験装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の好適な実施例である実施例1の原子力プラントの非常用安全システム試験方法を、図1を用いて以下に説明する。
【0020】
本実施例の、原子力プラントの非常用安全システム試験方法が適用される原子力プラントは、沸騰水型原子力プラントである。沸騰水型原子力プラントは、図1に示すように、原子炉圧力容器1、BOP機器2、給水配管3及び主蒸気配管22を備えている。BOP機器2はタービン(図示せず)、発電機(図示せず)及び復水器(図示せず)を有する。複数の燃料集合体が装荷された炉心(図示せず)が、原子炉圧力容器1内に設けられる。原子炉圧力容器1に接続された主蒸気配管22は、タービンに接続される。復水器がタービンの下方に配置され、復水器に接続される給水配管3が原子炉圧力容器1に接続される。給水ポンプ4が給水配管3に設けられる。
【0021】
原子炉圧力容器1と炉心との間に形成された環状領域であるダウンカマ内の冷却水は、炉心に供給される。冷却水は、炉心に装荷された燃料集合体に含まれる核燃料物質の核分裂によって加熱され、一部が蒸気になる。原子炉圧力容器1内で炉心の上方に配置される気水分離器によって、冷却水から分離された蒸気は、原子炉圧力容器1内で気水分離器の上方に配置された蒸気乾燥器でさらに水分が除去され、主蒸気配管22に排出される。この蒸気は、主蒸気配管22を通ってタービンに導かれ、このタービンを回転させる。タービンに連結された発電機(図示せず)が回転し、電力が発生する。タービンから排出された蒸気は、復水器で凝縮されて水になる。この水は、給水として、給水ポンプ4で昇圧され、給水配管3を通って原子炉圧力容器1内に供給される。
【0022】
原子炉圧力容器1内の温度、圧力及び原子炉出力のプロセスデータを検出する検出器5A、主蒸気配管22内を流れる蒸気の流量のプロセスデータを検出する検出器5B、及び給水配管4内を流れる給水の流量などのプロセスデータ及び給水ポンプ4等の機器データを検出する検出器5Cが設置されている。検出器5Aは、1つで代表しているが、実際には、原子炉圧力容器1内の温度、圧力及び原子炉出力を別々に検出する複数の検出器である。検出器5Cも、1つで代表しているが、実際には、給水配管4内の給水流量などのプロセスデータ、及び給水ポンプ4等の機器データを別々に検出する複数の検出器である。
【0023】
検出器5Aは制御装置6Aに接続され、検出器5Bは制御装置6Bに接続され、検出器5Cは制御装置6Cに接続される。制御装置6A,6B,6Cは、制御ネットワーク9に接続される。運転制御盤8及びプロセス計算機7も、制御ネットワーク9に接続される。
【0024】
本実施例の原子力プラントの非常用安全システム試験方法に用いられる、原子力プラントの非常用安全システム試験装置10は、試験ガイド制御装置12、記憶装置(第1記憶装置)13、データ採取制御装置15、データ管理装置(状態監視情報作成装置)19及び記憶装置(第2記憶装置)21を有する。非常用安全システム試験装置10の入力装置11が、制御ネットワーク9に接続され、さらに、試験ガイド制御装置12及びデータ採取制御装置15にそれぞれ接続される。記憶装置(第1記憶装置)13及び入力表示装置(第1入力表示装置)14が試験ガイド制御装置12に接続される。入力表示装置(第2入力表示装置)18及び記憶装置(第3記憶装置)21が内部メモリ(第2記憶装置)16を有するデータ採取制御装置15に接続される。データ管理装置19が入力表示装置(第3入力表示装置)20及び記憶装置21に接続される。
【0025】
非常用安全システム試験装置10において、試験ガイド制御装置12、記憶装置13及び入力表示装置14がサーベイランス試験装置を構成し、データ採取制御装置15、データ管理装置19、記憶装置21及び入力表示装置18,20が非常用安全システム状態監視装置を構成する。
【0026】
検出器5Aで測定された、原子炉圧力容器1内の温度、圧力及び原子炉出力のプロセスデータは、制御装置6Aに伝えられ、制御装置6Aによる制御に用いられる。検出器5Bで測定された蒸気流量のプロセスデータは、制御装置6Bに伝えられ、制御装置6Bによる制御に用いられる。検出器5Cで測定された、プロセスデータ及び機器データは、制御装置6Cに伝えられ、制御装置6Cが生成する制御データとともに、制御ネットワーク9により、プロセス計算機7に伝送される。制御装置6Aで生成された制御データ及び制御装置6Aに入力された各プロセスデータは、制御ネットワーク9により、プロセス計算機7に伝えられる。制御装置6Bで生成された制御データ及び制御装置6Bに入力されたプロセスデータは、制御ネットワーク9により、プロセス計算機7に伝えられる。
【0027】
プロセス計算機7は、入力した各プロセスデータ、制御データ及び制御信号を用いて監視に必要な様々な情報を作成する。プロセス計算機7で作成された情報は、前述の各プロセスデータ、機器データ、及び制御データとともに運転制御盤8に入力され、運転制御盤8の表示装置(図示せず)に表示され、運転員による監視及びプラントの操作の判断に用いられる。
【0028】
制御装置6A,6B,6Cからプロセス計算機7に出力された、各プロセスデータ、各機器データ、及び各制御データ(以下、これらのデータを総称してプラントデータと称する)は、制御ネットワーク9を通して非常用安全システム試験装置10の入力装置11に入力される。入力装置11に入力されたプラントデータは、試験ガイド制御装置12及びデータ採取制御装置15にそれぞれ入力される。
【0029】
図2に示す試験ガイドデータが記憶装置13にあらかじめ格納されている。図2に示す試験ガイドデータはある試験IDに対するものである。試験ガイド制御装置12は、入力表示装置14によって試験員が要求した試験ガイドデータを、記憶装置13から読み出して入力表示装置14に出力する。記憶装置13から読み出された試験ガイドデータは入力表示装置14に表示される。
【0030】
試験ガイドデータは、図2に示すように、サーベイランス試験における各実施内容の情報、その実施内容を実施するための非常用安全システムの機器の操作及び確認に関する情報、及び合否判定基準に関する情報を含んでおり、サーベイランス試験における試験内容を手順ステップ(ステップNo.で表記)ごとに順番に示している。
【0031】
図2に示すサーベイランス試験の手順ステップに対応するデータ採取条件の情報が、データ採取制御装置15の内部メモリ16に記憶されている。このデータ採取条件の情報は、内部メモリ16の替りに、データ採取制御装置15に接続される記憶装置(第2記憶装置)に格納しても良い。データ採取条件の情報は、図3に示すような、データを採取するステップ、採取データ、採取開始条件及び採取終了条件を含むデータ採取条件の情報を含んでいる。データの採取は、サーベイランス試験における全てのステップで行われなく、データ採取条件で規定されたステップのみで行われる。
【0032】
試験ガイド制御装置12は、入力したプラントデータに含まれる機器データ及び制御データに基づいてプラント状態の変化を検知し、試験ガイドデータに含まれる各手順ステップの完了の判断を自動的に行う。また、試験ガイド制御装置12は、プラントデータに基づいて試験合否判定のためのデータ、例えば、図2に示された手順ステップ2及び4で得られた各プラントデータに基づいて機器動作までの時間及び冷却材流量などのデータを作成して、合否判定基準と比較して自動的に合否を判定する。さらに、試験ガイド制御装置12は、現在実施中のサーベイランス試験の手順ステップ情報を、データ採取制御装置15に出力する。
【0033】
試験ガイド制御装置12から出力されてデータ採取制御装置15に入力された手順ステップの情報、及び内部メモリ16に記憶したデータ採取条件の情報に基づいて、試験ガイド制御装置12から入力した手順ステップの情報がデータ採取条件の情報に含まれる採取開始の手順ステップの情報と一致したとき、データ採取制御装置15は、その手順ステップの試験を実施しているときに入力装置11に入力されたプラントデータを採取する。このプラントデータを採取するとき、データ採取制御装置15は、データ採取条件の情報に含まれる採取開始及び採取完了の各条件に基づいて採取開始及び採取完了を判断し、自動的にプラントデータを採取する。採取されたプラントデータは、試験ID、データ採取ID及び試験日時の情報を付与して内部メモリ16及び記憶装置21にそれぞれ記憶される。
【0034】
例えば、試験ガイド制御装置12から出力されてデータ採取制御装置15に入力された手順ステップの情報が、図3に示されたデータ採取条件の情報に含まれるステップ4であるとき、データ採取制御装置15は、サーベイランス試験のステップ4の試験が行われている状態で、xxxポンプの振動データを採取する、すなわち、入力する。データ採取制御装置15は、xxxポンプの振動データの採取を、xxx弁が全開になり、xxxポンプが起動しており、xxx流量が確認されたときに開始し、60秒の間、その振動データの採取を継続する。60秒のデータ採取時間が経過したとき、データ採取制御装置15は、xxxポンプの振動データの採取を停止する。採取されたその振動データは内部メモリ16及び記憶装置21にそれぞれ記憶される。データ採取制御装置15は、採取したプラントデータを内部メモリ16及び記憶装置21に記憶させるとき、試験ID、データ採取ID及び試験日時(データ採取日時)の情報を付与する。データ採取IDは、図3に示されるように、データを採取する手順ステップごとに付与される。例えば、ステップ4の試験で得られたxxxポンプの振動データに対しては、図3に示されるように、「2」のデータ採取IDが付与される。
【0035】
内部メモリ16に格納されたデータ採取条件の情報は、サーベイランス試験を実施する前に、例えば、試験員によって入力表示装置18から入力される。データ採取条件の情報の入力の手順を以下に説明する。
【0036】
まず、試験員はデータ採取条件の情報を入力したいサーベイランス試験の試験IDを入力表示装置18に入力する。データ採取制御装置15は、入力された試験IDを読み込み、該当する試験に対して現在設定されているデータ採取条件の修正画面情報(あるいは追加入力画面情報)を入力表示装置18に表示させる。そして、試験員は、採取したいプラントデータの識別番号(例えば、図3の最終データ欄に記載された「AP0316」及び「AP1238」、及び図3の採取完了の欄の条件の欄に記載された「DP0221」など)、プラントデータの採取を行う手順ステップの情報、開始条件及び終了条件の各情報(ステップの開始/終了、プラントデータの変化、及びタイマを組み合わせたもの)、及びデータ採取IDの4つの情報を、入力表示装置18に入力する。プラントデータの識別番号は採取するデータを指定するために使用する。データ採取IDは、試験の中で採取したデータを区別するために使用し、例えば、同一試験の中で、同じ識別番号のデータ(即ち同じ物理量)を異なる条件で採取する場合は、異なるデータ採取IDを付して区別する。
【0037】
データ採取制御装置15は、入力表示装置18に入力された上記の4つの情報を読み込み、読み込んだこれらの情報を追加した(または読み込んだこれらの情報で修正した)最新のデータ採取条件の情報を内部メモリ16に格納する。このように、本実施例では、データ採取条件の情報の変更情報(修正情報、追加情報及び削除情報のうちの少なくとも1つ)を入力表示装置18から入力して、内部メモリ16に格納されているデータ採取条件の情報を変更することができる。データ採取条件の情報の変更とは、データ採取条件の情報の修正、データ採取条件の情報の追加、及びデータ採取条件の情報の削除のうち少なくとも1つを行うことである。
【0038】
例えば、サーベイランス試験の手順ステップにおける試験内容が変更されない場合でも、この手順ステップの試験に対するデータ採取条件の情報が変更される場合がある。図3に示すデータ採取IDが「2」の採取データ(×××ポンプ振動)においては、データ採取条件の情報が「×××流量確認済み」となっているが、このデータ採取条件の情報に別のデータ採取条件の情報である「×××ポンプから吐出された流体の温度確認」を追加することを想定する。「×××ポンプから吐出された流体の温度確認」の追加に対応して採取開始情報(採取開始の条件)及び採取完了情報(採取完了の条件)も追加する必要がある。
【0039】
このようなケースにおいても、試験員が上記した4つの情報を入力表示装置18に入力することによって、データ採取制御装置15は、入力した4つの情報に基づいて変更した最新のデータ採取条件の情報を内部メモリ16に格納する。データ採取制御装置15は、入力表示装置18から入力された変更情報に基づいてデータ採取条件の情報に含まれる採取開始情報及び採取完了情報を変更する情報変更装置としての機能も有している。
【0040】
データ採取条件の情報が更新された後では、データ採取制御装置15は、最新のデータ採取条件の情報に基づいて各制御装置から出力されたプラントデータを採取する。
【0041】
上記したようにデータ採取制御装置15により採取されて記憶装置21に格納されたプラントデータは、試験員の要求により次の手順で入力表示装置20に表示される。まず、試験員は、入力表示装置20に表示させたいプラントデータの試験IDを入力表示装置20に入力する。入力された試験IDがデータ管理装置19に入力される。データ管理装置19は、入力された試験IDが付与されたプラントデータのデータ採取日時及びデータ採取IDの候補情報を記憶装置21から読み出して入力表示装置20に表示させる。
【0042】
次に、試験員は入力表示装置20に表示された候補情報の中から、データ採取ID及びデータ採取日時を選択し、入力表示装置20に、データ採取ID及びデータ採取日時を1つまたは複数入力する。データ管理装置19は、試験員が選択して入力表示装置20に入力したデータ採取ID及びデータ採取日時に該当するプラントデータを記憶装置21から読み出し、読み出されたプラントデータを用いてグラフ表示情報を作成して入力表示装置20に出力する。このグラフ表示情報が入力表示装置20に表示される。表示されたグラフ表示情報(プラント監視情報)により、非常用安全システムの状態を監視することができる。このグラフ表示情報に異常の兆候が現れたとき、非常用安全システムの機器に異常が生じていないかを確認することができる。
【0043】
本実施例によれば、サーベイランス試験を実施しているときに、非常用安全システムの状態を監視するために必要なプラントデータを採取することができるので、その監視に必要なプラントデータを容易に採取することができる。非常用安全システムの状態を監視するプラントデータを採取するために、原子力プラントの定期検査の期間において、サーベイランス試験時以外で非常用安全システムを駆動させる必要がなくなる。
【0044】
サーベイランス試験に含まれる各手順ステップの試験うち、非常用安全システムに含まれる機器(例えば、弁及びポンプ等)が作動する手順ステップの試験において、その機器の作動に伴って生じるその機器の状態監視に必要なプラントデータを採取するので、本実施例は、その採取したプラントデータを用いて非常用安全システムの状態監視を行うことができ、この結果、非常用安全システムの状態を精度良く監視することができる。
【0045】
特に、非常用安全システムに含まれる機器の状態監視に必要なプラントデータの採取は、サーベイランス試験における該当する手順ステップ(非常用安全システムに含まれる機器が作動する手順ステップ)における、その機器の作動により生じるプラントデータに関する採取開始の情報(その手順ステップで得られるプラントデータの採取開始条件の情報を含む)及び採取完了の情報(そのプラントデータの採取完了条件の情報を含む)を含むデータ採取条件の情報に基づいて行われるので、非常用安全システムに含まれる機器(例えば、弁及びポンプ等)が作動する手順ステップの試験において、同じサーベイランス試験に対して同じ条件で、その機器の状態監視に必要なプラントデータを採取することができる。このため、そのように採取されたプラントデータを用いた非常用安全システムの状態監視を行うことにより、非常用安全システムの状態を精度良く監視することができる。
【0046】
原子力プラントでは、非常用安全システムの改造、非常用安全システムの制御に用いるプラントデータを検出する検出器の変更、検出器の設置位置の変更、及びプロセスデータの採取時間の変更等が行われることもある。このような改造または変更があったときには、サーベイランス試験の試験内容が変更され、サーベイランス試験に含まれる少なくとも1つの手順ステップにおける試験内容が変更される。さらには、手順ステップにおける試験内容は変更されないが、データ採取条件の情報が前述のように変更される場合もある。また、状態監視の手法改善に伴い、採取すべきデータとその条件は逐次見直されることが通例である。これらに併せて、データ採取条件の情報を変更しなければならない。本実施例では、前述したように、入力表示装置18からデータ採取条件の情報を変更する情報を入力することができ、入力した変更情報に基づいて内部メモリ16に記憶しているデータ採取条件の情報を修正することができる。このため、上記のような改造または変更に基づいてサーベイランス試験の実施内容が変更された場合には、このサーベイランス試験の実施内容の変更に併せてデータ採取条件の情報を容易に修正することができる。また、サーベイランス試験の実施内容が変更されずにデータ採取条件の情報が変更された場合には、この変更に併せて、このデータ採取条件の情報に含まれる採取開始情報及び採取完了情報を容易に修正することができる。この結果、本実施例は、非常用安全システムの状態を精度良く監視することができる。
【0047】
特に、本実施例では、サーベイランス試験時における非常用安全システムに含まれる機器の状態監視に必要なプラントデータの採取が、前述したように、サーベイランス試験での非常用安全システムに含まれる機器が作動する手順ステップにおける、プラントデータに関する採取開始の情報(その手順ステップで得られるプラントデータの採取開始条件の情報を含む)及び採取完了の情報(そのプラントデータの採取完了条件の情報を含む)を含むデータ採取条件の情報に基づいて行われる。このため、上記したようにサーベイランス試験の実施内容が変更された場合には、そのサーベイランス試験において内容が変更された手順ステップのうち、非常用安全システムに含まれる機器が作動する手順ステップに対応しているデータ採取条件の情報を修正すれば良い。また、サーベイランス試験の実施内容が変更されずにデータ採取条件の情報が変更された場合には、この変更に併せて、このデータ採取条件の情報に含まれる採取開始情報及び採取完了情報を修正すれば良い。このため、サーベイランス試験の実施内容の変更、及びサーベイランス試験の実施内容が変更されない場合におけるデータ採取条件の情報の変更に応じて、内部メモリ16に格納されている、データ採取条件の情報に含まれる採取開始情報及び採取完了情報の修正が容易になる。非常用安全システムに含まれる機器が作動する手順ステップに対応して内部メモリ16に格納されているデータ採取条件の情報を上記のように修正することにより、非常用安全システムにおける精度の良い状態監視を実現することができる。また、サーベイランス試験の実施内容の変更、またはサーベイランス試験の実施内容が変更されない場合におけるデータ採取条件の情報の変更に伴って採取開始情報及び採取完了情報を含むデータ採取条件の情報を修正する際には、その変更の対象となる手順ステップであって、非常用安全システムに含まれる機器が作動する手順ステップに対応しているデータ採取条件の情報を変更する変更情報を、非常用安全システム試験装置10の非常用安全システム状態監視装置に入力すればよい。
【0048】
本実施例は、サーベイランス試験の実施内容が変更された場合において、プラントデータを採取するデータ採取条件の情報を、サーベイランス試験の実施内容の変更に併せて修正した状態に保つことができる。
【0049】
非常用安全システムの状態を監視するために採取したプラントデータの採取条件を確認したい場合には、内部メモリ16に記憶されているデータ採取条件の情報を入力表示装置18に表示させることによって、採取したプラントデータの採取条件を確認することができる。
【0050】
本実施例の原子力プラントの非常用安全システム試験装置10において、入力表示装置18及び20をまとめて1つの入力表示装置にし、データ採取制御装置15及びデータ管理装置19をこれらの機能を備えた1つのコンピュータにし、内部メモリ16及び記憶装置21をまとめて1つの記憶装置にしても良い。
【実施例2】
【0051】
本発明の他の実施例である実施例2の原子力プラントの非常用安全システム試験方法を、図4を用いて説明する。本実施例で用いられる非常用安全システム試験装置10Aは、実施例1の非常用安全システム試験装置10においてデータ管理装置19を入力装置11に接続した構成を有している。非常用安全システム試験装置10Aの他の構成は非常用安全システム試験装置10と同じである。
【0052】
実施例1では非常用安全システム試験装置10の入力装置11が制御ネットワーク9(第1ネットワーク)に直接接続されているのに対し、本実施例では、制御ネットワーク9に接続される送信専用通信装置35に接続されるネットワーク23(第2ネットワーク)に非常用安全システム試験装置10Aの入力装置11が接続されている。また、原子炉圧力容器1が設置される原子炉建屋及びBOP設備2が設置されるタービン建屋のそれぞれの外部に設置された事務所建屋内に設けられた入力表示装置24、及び入力表示装置26が接続されたインターネット回線25が、ネットワーク23に接続されている。
【0053】
制御ネットワーク9に接続された制御装置6A,6B,6C等の複数の制御装置から出力されたプラントデータ(検出器5A,5B,5C等により測定)が、制御ネットワーク9、送信専用通信装置35及びネットワーク23を経由して入力装置11に入力される。このため、本実施例の非常用安全システム試験装置10Aも、実施例1における非常用安全システム試験装置10と同様に、非常用安全システムのサーベイランス試験を行いながら、非常用安全システムの状態を監視するために必要なプラントデータを採取することができる。
【0054】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例では、ネットワーク23に接続される非常用安全システム試験装置10Aが、送信専用通信装置35を介して原子力プラントの制御装置が接続される制御ネットワーク9に接続されているので、万が一、ネットワーク23上に不正アクセスがあった場合には、その不正アクセスの情報が制御ネットワーク9に伝えられることを送信専用通信装置35によって阻止することができる。このため、ネットワーク23上に不正アクセスがあった場合に、原子力プラントの状態はその不正アクセスによって影響を与えない。送信専用通信装置35は、制御ネットワーク9からネットワーク23へのプラントデータの伝送を阻止することはない。
【0055】
更に、非常用安全システムの試験装置10Aではデータ管理装置19が入力装置11と接続されており、ネットワーク23に接続された入力表示装置24または入力表示装置26から入力された試験ID、試験日時(データ採取日時)、及びデータ採取IDをデータ管理装置19に入力することができる。このため、データ管理装置19は、入力した上記の各情報を基に、該当するプラントデータを記憶装置21から読み出し、グラフ表示情報等の表示情報を作成してネットワーク23に接続された入力表示装置24または入力表示装置26に表示させることができる。このような非常用安全システム試験装置10Aは、採取されたプラントデータを原子力プラントの建屋外に存在する事務所建屋またはインターネットを介した環境で利用することができる。
【実施例3】
【0056】
本発明の他の実施例である実施例3の原子力プラントの非常用安全システム試験方法を、図5を用いて説明する。本実施例で用いられる非常用安全システム試験装置10Bは、実施例1の非常用安全システム試験装置10において入力表示装置18を通信インターフェース27に替えた構成を有する。非常用安全システム試験装置10Bの他の構成は非常用安全システム試験装置10と同じである。
【0057】
可搬処理装置30は、通信インターフェース27との間で、情報の双方向の通信が可能になっている。可搬処理装置30は、通信インターフェース28、採取条件管理装置17、入力表示装置18及び記憶装置29を有している。採取条件管理装置17は、通信インターフェース28、入力表示装置18及び記憶装置29にそれぞれ接続されている。通信インターフェース27及び28として、情報の伝送中においても接続及び切断が可能な、例えば、有線LAN、無線LAN、USB( ユニバーサル・シリアル・バス)、赤外線通信、近距離無線通信規格の1つであるブルートゥース(Bluetooth)(Bluetooth SIG, Inc.の登録商標)を用いることができる。
【0058】
本実施例の非常用安全システム試験装置10Bは、実施例1における実時間応答が要求される非常用安全システム試験装置10から、実時間応答の必要がない入力表示装置18及びデータ採取条件の情報の修正処理の機能を分離して、入力表示装置18及びデータ採取条件の情報の修正処理の機能を可搬処理装置30に持たせたものである。これにより、非常用安全システム試験装置10Bの負荷を低減することができ、可搬処理装置30の採取条件管理装置17の処理を簡素化することができる。
【0059】
試験員は、可搬処理装置30を非常用安全システム試験装置10Bに接続し、可搬処理装置30の入力表示装置18から、内部メモリ16に格納されているデータ採取条件の情報の追加修正が必要な試験IDを指定し、内部メモリ16に格納されているデータ採取条件の情報を、通信インターフェース27,28を介して可搬処理装置30にダウンロードする。その後、試験員は、入力表示装置18にデータ採取条件の情報に対する変更情報、すなわち、採取したいプラントデータの識別番号、プラントデータの採取を行う手順ステップの情報、開始条件及び終了条件の各情報、及びデータ採取IDの4つの情報を入力する。入力した変更情報(前述の4つの情報)は採取条件管理装置17に伝えられる。非常用安全システム試験装置10Bからダウンロードされたデータ採取条件の情報も採取条件管理装置17に入力される。採取条件管理装置17は、実施例1でデータ採取制御装置15が行ったように、入力した前述の4つの情報を追加した(または前述の4つの情報で修正した)最新のデータ採取条件の情報を記憶装置29に格納する。可搬処理装置30を、再び、非常用安全システム試験装置10Bに接続する。採取条件管理装置17が記憶装置29に格納された最新のデータ採取条件の情報を読み出し、非常用安全システム試験装置10Bにアップロードする。最新のデータ採取条件の情報は、データ採取制御装置15の内部メモリ16に格納される。非常用安全システム試験装置10Bのデータ採取制御装置15は、この最新のデータ採取条件の情報に基づいて、各制御装置から出力されたプラントデータを採取する。
【0060】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、可搬処理装置30を非常用安全システム試験装置10Bと接続可能にすることにより、非常用安全システム試験装置10Bの負荷を低減することができ、可搬処理装置30の採取条件管理装置17の処理を簡素化することができる。本実施例では、可搬処理装置30を用いているので、原子力プラントにおける非常用安全システムの状態監視に関わる情報を、参照し易い事務建屋などでデータの追加・修正作業を行うことができ、作業効率を向上することができる。
【実施例4】
【0061】
本発明の他の実施例である実施例4の原子力プラントの非常用安全システム試験方法を、図6を用いて説明する。本実施例で用いられる非常用安全システム試験装置10Cは、実施例1の非常用安全システム試験装置10に採取信号生成装置31を追加した構成を有する。採取信号生成装置31は入力装置11に接続されている。非常用安全システム試験装置10Cの他の構成は非常用安全システム試験装置10と同じである。
【0062】
本実施例は、実施例2と同様に、制御ネットワーク9に接続される送信専用通信装置35に接続されるネットワーク23(第2ネットワーク)に非常用安全システム試験装置10Cの入力装置11が接続されている。原子力プラント内に設置された、制御ネットワーク9に接続されていない状態監視のための検出器33及び測定装置34が、通信装置32を経由してネットワーク23に接続されている。検出器33が測定装置34に接続される。
【0063】
非常用安全システム試験装置10Cのデータ採取制御装置15は、内部メモリ16に格納されているデータ採取条件の情報に基づいて、検出器33で測定されるプラントデータに関する採取開始の情報(該当する手順ステップの情報、及び採取開始条件の情報を含む)、採取完了の情報(該当する手順ステップの情報、及び採取完了条件の情報を含む)及びデータ採取IDを採取信号生成装置31に出力する。これらの情報を入力した採取信号生成装置31は、該当する手順ステップが含まれる試験ID、データ採取ID、及び試験日時を付加した採取開始及び採取完了の各情報を、入力装置11、ネットワーク23及び通信装置32を経由して測定装置34に出力する。採取信号生成装置31からのこれらの情報を入力した測定装置34は、採取開始条件の情報及び採取完了条件の情報で特定された期間において検出器33により測定されたプラントデータを採取するとともに、採取したプラントデータに試験ID、データ採取ID及び試験日時の各情報を付与し、内部に保存する。採取されて、試験ID、データ採取ID及び試験日時の各情報が付与されたプラントデータは、通信装置32、ネットワーク23及び入力装置11を経由して非常用安全システム試験装置10Cのデータ採取制御装置15に入力される。データ採取制御装置15は、このプラントデータを記憶装置21に格納する。データ採取制御装置15は、各制御装置から制御ネットワーク9に出力されたプラントデータのうち、データ採取条件の情報で特定されるプラントデータを、実施例2と同様に、送信専用通信装置35及びネットワーク23を通して入力する。
【0064】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例によれば、制御ネットワーク9に接続されていない検出器33で測定されるプラントデータ、及び制御ネットワーク9に接続されている各制御装置から出力されてデータ採取制御装置15で採取されたプラントデータを記憶装置21に格納することができ、非常用安全システムの状態監視に用いることができる。本実施例は、制御ネットワーク9に接続されていない検出器33で測定されるプラントデータを用いる分、状態監視情報の拡充が可能となる。
【0065】
測定装置34に保存された、測定されたプラントデータ等の情報を、通信装置32及びネットワーク23を経由して入力装置11に入力する代わりに、試験員が、測定装置34に保存された上記の情報を電子記録媒体に登録させ、この電子記録媒体を入力装置11の位置まで運んで電子記録媒体に登録した上記の情報を入力装置11に入力させてもよい。
【0066】
前述した実施例1〜4のそれぞれの非常用安全システム試験装置は、沸騰詩型原子力プラントだけでなく、加圧水型原子力プラントに適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1…原子炉圧力容器、2…BOP設備、3…給水配管、4…給水ポンプ、5A,5B,5C,33…検出器、6A,6B,6C…制御装置、9…制御ネットワーク、10,10A,10B,10C…非常用安全システム試験装置、12…試験ガイド制御装置、13,21,29…記憶装置、14,18,240,24,26…入力表示装置、15…データ採取制御装置、19…データ管理装置、23…ネットワーク、30…可搬処理装置、31…採取信号生成装置、34…測定装置、35…送信専用通信装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力プラントの非常用安全システムに対するサーベイランス試験が、複数の手順ステップの試験を含む試験ガイド情報に基づいて行われ、
前記非常用安全システムに含まれる機器が作動する前記手順ステップにおける、前記機器の作動により生じるプラントデータに関する採取開始情報及び採取完了情報を含むデータ採取条件の情報に基づいて、前記プラントデータを採取し、
前記採取されたプラントデータを用いて前記非常用安全システムの状態監視を行うことを特徴とする原子力プラントの非常用安全システム試験方法。
【請求項2】
前記サーベイランス試験がサーベイランス試験装置により行われ、前記プラントデータの採取が非常用安全システム状態監視装置により行われる請求項1に記載の原子力プラントの非常用安全システム試験方法。
【請求項3】
前記プラントデータの採取が、前記採取開始情報及び前記採取完了情報にて特定される期間にて行われる請求項1または2に記載の原子力プラントの非常用安全システム試験方法。
【請求項4】
前記サーベイランス試験の前記試験ガイド情報に含まれる、少なくとも1つの手順ステップの試験に対するデータ採取条件の情報が変更されたとき、このデータ採取条件の情報に含まれる前記採取開始情報及び前記採取完了情報を修正する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の原子力プラントの非常用安全システム試験方法。
【請求項5】
前記プラントデータの採取が、前記原子力プラントにおける前記プラントデータが伝送される制御ネットワークに接続された送信専用通信装置を経由して行われる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の原子力プラントの非常用安全システム試験方法。
【請求項6】
前記サーベイランス試験の前記試験ガイド情報に含まれる、前記機器が作動する少なくとも1つの手順ステップの試験の内容が変更されたときにおける、前記データ採取条件の情報に含まれる、その手順ステップに対応する前記採取開始情報及び前記採取完了情報の修正が、接続状態及び非接続状態が選択できる通信手段により前記非常用安全システム状態監視装置と接続される入力装置を用いて、前記非常用安全システム状態監視装置に、前記採取開始情報及び前記採取完了情報の変更情報を入力することにより行われる請求項2に記載の原子力プラントの非常用安全システム試験方法。
【請求項7】
前記採取されたプラントデータが、前記制御ネットワークに接続されていない検出器で測定されたプラントデータを含んでいる請求項5に記載の原子力プラントの非常用安全システム試験方法。
【請求項8】
複数の手順ステップの試験を含む試験ガイド情報に基づいて、原子力プラントの非常用安全システムに対するサーベイランス試験を行うサーベイランス試験装置と、
前記非常用安全システムに含まれる機器が作動する前記手順ステップにおける、前記機器の作動により生じるプラントデータに関する採取開始情報及び採取完了情報を含むデータ採取条件の情報に基づいて、前記プラントデータを採取し、前記採取されるプラントデータを用いて前記非常用安全システムの状態監視情報を作成する非常用安全システム状態監視装置とを備えたことを特徴とする原子力プラントの非常用安全システム試験装置。
【請求項9】
前記非常用安全システム状態監視装置が、前記データ採取条件の情報に基づいて、前記プラントデータを採取するデータ採取制御装置、及び前記採取されるプラントデータを用いて前記状態監視情報を作成する状態監視情報作成装置を有する請求項8に記載の原子力プラントの非常用安全システム試験装置。
【請求項10】
前記非常用安全システム状態監視装置が、前記サーベイランス試験の前記試験ガイド情報に含まれる、少なくとも1つの手順ステップの試験に対する前記データ採取条件の情報の変更情報であって、このデータ採取条件の情報に含まれる前記採取開始情報及び前記採取完了情報の前記変更情報を入力する入力装置、及び前記入力装置から入力される前記変更情報に基づいて前記採取開始情報及び前記採取完了情報を修正する情報変更装置を有している請求項8または9に記載の原子力プラントの非常用安全システム試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−96838(P2013−96838A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239862(P2011−239862)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】