説明

原子力施設で使用される溶接装置、先端工具案内装置および溶接方法

【課題】溶接電極に対し、溶接ワイヤを好適な供給位置へ変更することが可能な原子力施設で使用される溶接装置、先端工具案内装置および溶接方法を提供する。
【解決手段】溶接部分へ向けてアーク放電を生じさせる溶接電極50と、溶接電極50からのアーク放電によって溶融可能な溶接ワイヤWと、溶接電極50に対する溶接ワイヤWの供給位置を変更可能なワイヤノズル反転機構43と、を備え、ワイヤノズル反転機構43は、溶接部分に沿って移動する溶接電極50に対し、溶接ワイヤWが先行するように、溶接ワイヤWの供給位置を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力施設で使用される溶接装置、この溶接装置を取り付けた先端工具案内装置、および溶接装置または先端工具案内装置を用いた溶接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような溶接装置として、例えば、回転装置により、母管を円周方向に回転させることで、母管の上下を適宜反転させながら、母管と管台とを溶接する自動溶接装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この自動溶接装置は、レール上を移動可能な台車と、台車上に搭載された旋回テーブルと、旋回テーブル上に立設されたアームと、アームの先端に取り付けられた溶接ワイヤおよび溶接トーチと、を備えている。なお、本発明の溶接装置に相当する部分が、アームの先端に取り付けられた溶接ワイヤおよび溶接トーチであり、本発明の先端工具案内装置に相当する部分が、自動溶接装置である。そして、自動溶接装置では、管台が母管の真横に位置する状態で、管台の上部外周の1/2周の部分を立向き上進溶接により、真横から真上へ1/4周ずつ左右交互に溶接している。この後、上部外周の1/2周の溶接が完了したら、回転装置により、母管の上下を反転させて、溶接されていない管台の1/2周の部分を立向き上進溶接により、真横から真上へ1/4周ずつ左右交互に溶接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−55266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、自動溶接装置により、真横から真上に至る1/4周の部分の溶接を左右交互に行う場合は、台車によりアームを左右方向に移動させると共に、旋回テーブルを旋回させることにより、溶接ワイヤおよび溶接トーチを、管台を挟んで左右対称な位置とすることができる。しかしながら、例えば、自動溶接装置のアームが移動・旋回可能な空間を確保できない場合や、アームが固定されている場合、従来の自動溶接装置によれば、アームの移動や旋回が不能となるため、溶接ワイヤおよび溶接トーチを左右対称な位置とすることができない。これにより、従来の自動溶接装置では、母管と管台とを上進溶接することが困難となる。
【0005】
そこで、本発明は、溶接電極に対し、溶加体を好適な供給位置へ変更することが可能な原子力施設で使用される溶接装置、先端工具案内装置および溶接方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の原子力施設で使用される溶接装置は、溶接部分へ向けてアーク放電を生じさせる溶接電極と、溶接電極からのアーク放電によって溶融可能な溶加体と、溶接電極に対する溶加体の供給位置を相対的に変更可能な供給位置変更手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、上進溶接や下進溶接等の各種溶接を行う際、供給位置変更手段により、溶接電極に対する溶加体の供給位置を適宜変更することができる。このため、供給位置変更手段は、溶接電極に対し、溶加体を適切な供給位置とすることができる。これにより、溶接部分に対して溶接を行う場合、溶加体は、溶接電極に対し適切な供給位置となっているため、溶融した溶加体は、溶接部分に好適に流れ込むことができ、溶接後の溶接部分を好適なものとすることができる。なお、溶加体としては、溶加棒や溶接ワイヤが用いられる。
【0008】
この場合、供給位置変更手段は、溶接部分に沿って移動する溶接電極に対し、溶加体が先行するように、溶加体の供給位置を変更することが、好ましい。
【0009】
この構成によれば、溶接電極に対して溶加体を先行させることができるため、例えば、上進溶接を行う場合、溶加体を最適な供給位置とすることができる。
【0010】
この場合、供給位置変更手段は、溶接電極を中心として回転可能な溶加体回転軸と、溶加体と溶加体回転軸と連結する連結部材と、溶加体回転軸を回転させる駆動手段と、を有し、駆動手段により溶加体回転軸を、溶接電極を中心に回転させることで、溶加体の供給位置を変更させることが、好ましい。
【0011】
この構成によれば、駆動手段により溶加体回転軸を回転させることで、溶接電極を中心に溶加体を回転させることができる。つまり、溶接電極の位置を変えることなく、溶加体の供給位置を変えることができ、また、溶加体の供給位置の変更前後において、溶接電極と溶加体との間の距離を一定とすることができる。これにより、溶加体の供給位置の変更前後において、溶接電極と溶加体との間の距離を調整する必要がなく、また、溶加体の供給位置の変更を簡易な構成とすることができる。
【0012】
この場合、供給位置変更手段は、溶加体を中心として回転可能な溶接電極回転軸と、溶接電極と溶接電極回転軸と連結する連結部材と、溶接電極回転軸を回転させる駆動手段と、を有し、駆動手段により溶接電極回転軸を、溶加体を中心に回転させることで、溶接電極の溶接位置を変更させることを特徴とする請求項1または2に記載の原子力施設で使用されることが、好ましい。
【0013】
この構成によれば、駆動手段により溶接電極回転軸を回転させることで、溶加体を中心に溶接電極を回転させることができる。つまり、溶加体の位置を変えることなく、溶接電極の溶接位置を変えることができ、また、溶接電極の溶接位置の変更前後において、溶接電極と溶加体との間の距離を一定とすることができる。これにより、溶接電極の溶接位置の変更前後において、溶接電極と溶加体との間の距離を調整する必要がなく、また、溶接電極の溶接位置の変更を簡易な構成とすることができる。
【0014】
この場合、溶接部分を照らす照明と、溶接部分を撮像する撮像手段と、溶接部分に沿って溶接電極を移動させる移動制御を行うために用いられる検出センサと、少なくとも照明、撮像手段および検出センサのいずれか1つの周囲に、冷却水を流通させて冷却する水冷手段と、を更に備えたことが、好ましい。
【0015】
この構成によれば、水冷手段により、照明、撮像手段または検出センサを冷却することができるため、高温環境下においても、照明、撮像手段または検出センサを好適に作動させることができる。
【0016】
この場合、溶接部分は、原子力施設に設けられた配管であることが、好ましい。
【0017】
この構成によれば、原子力施設に用いられる配管を好適に溶接することができるため、溶接後の配管を、信頼性の高いものとすることができる。
【0018】
この場合、配管は、蒸気発生器の水室に設けられた管台に接続される丸管であることが、好ましい。
【0019】
この構成によれば、蒸気発生器の水室に設けられた管台に接続される丸管を好適に溶接することができるため、溶接後の管台と丸管との接続部分を、信頼性の高いものとすることができる。
【0020】
本発明の先端工具案内装置は、上記の原子力施設で使用される溶接装置と、先端部に溶接装置を着脱自在に取り付け可能なマニピュレーターと、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、マニピュレーターにより溶接装置を溶接部分に沿って移動させながら、溶接装置により溶接部分を好適に溶接することができる。
【0022】
本発明の溶接方法は、上記の原子力施設で使用される溶接装置または上記の先端工具案内装置を用いて、原子力施設に設けられた配管の内周を溶接する溶接方法であって、配管の軸方向に対して直交方向に切った断面において、配管の中心を通る鉛直方向に引いた中心線を挟んで、一方側の内周を第1半周とし、他方側の内周を第2半周とした場合、供給位置変更手段によって、第1半周の下方側から上方側へ向かって移動する溶接電極に対し、溶加体が先行する第1供給位置へ相対的に変更する第1供給位置変更工程と、第1供給位置変更工程後、第1半周の下方側から上方側へ向かって、溶接電極および溶加体を移動させながら上進溶接を行う第1上進溶接工程と、第1溶接工程後、供給位置変更手段によって、第2半周の下方側から上方側へ向かって移動する溶接電極に対し、溶加体が先行する第2供給位置へ相対的に変更する第2供給位置変更工程と、第2供給位置変更工程後、第2半周の下方側から上方側へ向かって、溶接電極および溶加体を移動させながら上進溶接を行う第2上進溶接工程と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、溶接電極に対する溶加体の相対的な供給位置を、第1半周に適した第1供給位置とすることができ、この状態で、第1半周の上進溶接を行うことができる。また、溶接電極に対する溶加体の相対的な供給位置を、第2半周に適した第2供給位置とすることができ、この状態で、第2半周の上進溶接を行うことができる。これにより、配管の内周を好適に溶接することができるため、溶接後の配管を、信頼性の高いものとすることができる。
【0024】
本発明の他の溶接方法は、上記の原子力施設で使用される溶接装置または上記の先端工具案内装置を用いて、原子力施設に設けられた配管の内周を溶接する溶接方法であって、配管の軸方向に対して直交方向に切った断面において、配管の中心を通る鉛直方向に引いた中心線を挟んで、一方側の内周を第1半周とし、他方側の内周を第2半周とした場合、供給位置変更手段によって、第1半周の上方側から下方側へ向かって移動する溶接電極に対し、溶加体が先行する第1供給位置へ相対的に変更する第1供給位置変更工程と、第1供給位置変更工程後、第1半周の上方側から下方側へ向かって、溶接電極および溶加体を移動させながら下進溶接を行う第1下進溶接工程と、第1下進溶接工程後、供給位置変更手段によって、第2半周の上方側から下方側へ向かって移動する溶接電極に対し、溶加体が先行する第2供給位置へ相対的に変更する第2供給位置変更工程と、第2供給位置変更工程後、第2半周の上方側から下方側へ向かって、溶接電極および溶加体を移動させながら下進溶接を行う第2下進溶接工程と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、溶接電極に対する溶加体の相対的な供給位置を、第1半周に適した第1供給位置とすることができ、この状態で、第1半周の下進溶接を行うことができる。また、溶接電極に対する溶加体の相対的な供給位置を、第2半周に適した第2供給位置とすることができ、この状態で、第2半周の下進溶接を行うことができる。これにより、配管の内周を好適に溶接することができるため、溶接後の配管を、信頼性の高いものとすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の原子力施設で使用される溶接装置、先端工具案内装置および溶接方法によれば、供給位置変更手段によって、溶接電極に対し溶加体を適切な供給位置へ移動させることができるため、溶接部分に対し、信頼性の高い溶接を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、本実施例に係る溶接装置を装着した先端工具案内装置の外観斜視図である。
【図2】図2は、本実施例に係る溶接装置の外観斜視図である。
【図3】図3は、溶接ワイヤが第1供給位置に移動した場合における溶接装置の要部の破断図である。
【図4】図4は、溶接ワイヤが第2供給位置に移動した場合における溶接装置の要部の破断図である。
【図5】図5は、本実施例に係る溶接方法の第1上進溶接工程の説明図である。
【図6】図6は、本実施例に係る溶接方法の第2上進溶接工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係る原子力施設で使用される溶接装置、先端工具案内装置および溶接方法について説明する。なお、以下の実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0029】
先ず、図1を参照して、本実施例に係る溶接装置17aを先端工具17として装着した先端工具案内装置10について説明する。先端工具案内装置10は、加圧水型軽水炉原子力発電設備に設けられた蒸気発生器の水室1内に設置されるものである。そして、先端工具案内装置10は、水室1の下部に設けられた管台2と管台2に接続した円筒管(丸管)3との接続部分の内周面4に、検査、切削や溶接等の各種処理を施すものである。
【0030】
先端工具案内装置10は、水室1の底面から天面にかけて立設する旋回支持部14と、スライド機構を有すると共に旋回支持部14に着脱自在に連結されたスライドテーブル15と、スライドテーブル15に着脱自在に装着されるマニピュレーター16と、マニピュレーター16の先端に着脱自在に装着される先端工具17とを備えている。そして、先端工具案内装置10は、旋回支持部14、スライドテーブル15、マニピュレーター16および先端工具17に、それぞれ解体可能に構成されると共に、組立可能に構成されている。また、先端工具案内装置10には制御装置18が接続されており、制御装置18により先端工具案内装置10の各種動作が制御されている。
【0031】
旋回支持部14は、水室1の底面に設置される下部ベース20と、下部ベース20の上部に設けられ、下部ベース20に対して旋回移動可能な柱状の旋回部21と、旋回部21の上部に設けられ、旋回部21に設けた昇降機構により下部ベース20に対して昇降移動可能な上部支持部22とを有している。
【0032】
旋回支持部14を設置する場合は、先ず、下部ベース20を水室1の底面に設置し、この後、昇降機構により上部支持部22を鉛直方向に上昇させて水室1の天面に押し付ける。これにより、旋回支持部14は、水室1の底面および天面に対し、鉛直方向に突っ張った状態で固定される。
【0033】
スライドテーブル15は、基端部を旋回部21の上部に連結するテーブル部30と、テーブル部30上をスライド移動するスライド部31と、テーブル部30の先端部に回動軸24を介して回動自在に連結された支持部23とを有しており、スライド部31は、図示しない駆動部によって、スライド移動可能となっている。スライド部31には、マニピュレーター16を着脱自在に装着可能な第1ツールチェンジャー32が設けられている。また、支持部23は、その基端部が回動軸24を中心に、収容位置と支持位置との間で移動可能となっており、支持部23の基端部は、旋回部21の下部に連結される。
【0034】
スライドテーブル15を旋回支持部14に設置する場合は、テーブル部30の基端部を旋回部21の上部に連結した後、支持部23の基端部を、収容位置から支持位置に回動させ、支持部23の基端部を旋回部21の下部に連結する。
【0035】
マニピュレーター16は、いわゆる7軸マニピュレーターであり、その基端部は、スライド部31の第1ツールチェンジャー32に着脱自在に連結されている。マニピュレーター16の先端部には、先端工具17を着脱自在に装着する第2ツールチェンジャー35が設けられている。なお、マニピュレーター16は、上記の制御装置18により、その動作が制御されている。
【0036】
従って、蒸気発生器の水室1内で組み立てられた先端工具案内装置10は、管台2と管台2に接続した円筒管3との接続部分の内周面4に対し、装着した先端工具17によって各種処理を行うことができる。また、先端工具案内装置10は、制御装置18によりマニピュレーター16を制御することにより、先端工具17を内周面4に倣って案内することができ、内周面4の全周に亘って各種処理を行うことができる。
【0037】
ここで、先端工具17は、例えば、上記の内周面4にショットピーニング処理を行う先端工具17、上記の内周面4を検査する先端工具17や、上記の内周面4に溶接処理を行う先端工具17等が用意されている。なお、以下の説明では、溶接処理を行うことが可能な先端工具17を用いた場合について説明する。
【0038】
図2ないし図4に示すように、この先端工具17は、いわゆる管台2と円筒管3との接続部分における内周面4に溶接を行うことが可能な溶接装置17aであり、マニピュレーター16は、この溶接装置17aを内周面4に倣って周方向に移動させている。溶接装置17aは、装置フレーム70と、装置フレーム70の先端側に取り付けられた溶接を行うトーチヘッド部71と、装置フレーム70の後端側に取り付けられた溶接ワイヤ(溶加体)Wを供給するワイヤリール部72と、を備えている。なお、本実施例では、溶加体として溶接ワイヤWを用いたが、溶加棒を適用してもよい。
【0039】
装置フレーム70には、トーチヘッド部71とワイヤリール部72との間に配置されたジョイントプレート75が設けられており、このジョイントプレート75は、第2ツールチェンジャー35に着脱自在に構成されている。また装置フレーム70は、ジョイントプレート75を挟んで、その先端側に設けられた先端側装置フレーム76と、その後端側に設けられた後端側装置フレーム77とを有している。そして、先端側装置フレーム76には、トーチヘッド部71が取り付けられ、後端側装置フレーム77には、ワイヤリール部72が取り付けられる。このとき、後端側装置フレーム77は、第2ツールチェンジャー35と干渉しないように、第2ツールチェンジャー35の側方に延在して設けられる。
【0040】
トーチヘッド部71は、溶接電極50を有する溶接トーチ40と、AVC軸41と、ワイヤノズル42と、ワイヤノズル反転機構(供給位置変更手段)43と、溶接監視カメラ(撮像手段)44と、第1照明45および第2照明46と、倣い用センサ(検出センサ)47と、を備えており、これらは先端側装置フレーム76に取り付けられている。また、トーチヘッド部71には、第1照明45、第2照明46、溶接監視カメラ44および倣い用センサ47を冷却する冷却装置48が設けられている。
【0041】
溶接トーチ40は、アーク溶接として、例えば、TIG溶接を実行可能に構成され、タングステン等で構成された溶接電極50と、溶接電極50を覆う溶接ノズル51とを備えている。溶接電極50は、その軸方向が内周面に対し垂直となっており、溶接ノズル51の内部はシールドガスで満たされている。なお、本実施例の溶接トーチ40では、TIG溶接を実行可能に構成したが、これに限らず、MIG溶接等の他の溶接を実行可能に構成してもよい。
【0042】
AVC(Arc Voltage Control)軸41は、溶接トーチ40を溶接電極50の軸方向に移動させるものであり、制御装置18によって軸方向への移動が制御されている。AVC軸41は、溶接電極50と内周面4との間における電圧が一定となるように、内周面4に対する溶接電極50の高さを制御することで、内周面4に対する溶接電極50の高さを一定としている。
【0043】
ワイヤノズル42は、ワイヤリール部72から供給された溶接ワイヤWを、溶接電極50に対し、所定の供給位置となるように位置決めしている。そして、このワイヤノズル42の後端部には、ワイヤリール部72から供給される溶接ワイヤWの供給経路となるワイヤ管53の一端が接続されており、ワイヤ管53を介して供給された溶接ワイヤWが、ワイヤノズル42の先端部から溶接電極50へ向けて適宜供給される。
【0044】
ワイヤノズル反転機構43は、ワイヤノズル42を、第1供給位置T1(図3参照)と第2供給位置T2(図4参照)との間で、溶接電極50を中心に、180°反転させるものである。なお、第1供給位置T1および第2供給位置T2は、溶接装置17aにより内周面4を溶接するときの溶接方向に応じて異ならせたときに設定される供給位置であり、詳細は、後述する溶接方法において説明する。そして、ワイヤノズル反転機構43は、溶接トーチ40の上方に設けられたワイヤノズル反転軸(溶加体回転軸)55と、ワイヤノズル反転軸55と上記のワイヤ管53とを連結する連結部材56(図3および図4参照)と、ワイヤノズル反転軸55を反転させる駆動源となる駆動部57と、を備えている。
【0045】
ワイヤノズル反転軸55は、その軸方向が溶接電極50の軸方向と同軸となるように、溶接トーチ40の直上に配設されている。このため、ワイヤノズル反転軸55は、連結部材56を介してワイヤノズル42を反転させた場合、溶接電極50を中心として、ワイヤノズル42が円弧を描くように移動する。これにより、ワイヤノズル42の反転前後において、ワイヤノズル42から供給される溶接ワイヤWの供給位置と溶接電極50との間の距離は、一定とすることができる。
【0046】
図3および図4に示すように、連結部材56は、その一方の端部がワイヤ管53に接続され、その他方の端部がワイヤノズル反転軸55に接続されている。つまり、ワイヤノズル42は、連結部材56とワイヤ管53の一部とによって、ワイヤノズル反転軸55に連結され、換言すれば、連結部材56は、ワイヤノズル42とワイヤノズル反転軸55とを間接的に連結している。このとき、ワイヤノズル反転軸55の下方端部と溶接トーチ40の上方端部との間は離間しており、連結部材56の他方の端部は、ワイヤノズル反転軸55の下方端部に連結されている。また、連結部材56には、溶接監視カメラ44を取り付けるためのカメラ固定フレーム60が連結されており、カメラ固定フレーム60は、ワイヤノズル反転軸55により連結部材56と一体となって反転する。
【0047】
駆動部57は、例えば、モータ等のアクチュエータにより構成されており、ワイヤノズル反転軸55の直上側に配設され、ワイヤノズル反転軸55を180°反転移動させている。そして、駆動部57は、制御装置に接続され、制御装置18によってその駆動を制御されている。
【0048】
従って、駆動部57により、ワイヤノズル反転軸55を駆動させると、ワイヤノズル42は、第1供給位置T1から、溶接電極50を挟んで反対側に位置する第2供給位置T2へ180°反転する。すなわち、ワイヤノズル反転軸55は、溶接電極50を中心にして、ワイヤノズル42を180°左回りに反転させることで、ワイヤノズル42を第1供給位置T1から第2供給位置T2へ移動させることができる。また、ワイヤノズル反転軸55は、溶接電極50を中心にして、ワイヤノズル42を180°右回りに反転させることで、ワイヤノズル42を第2供給位置T2から第1供給位置T1へ移動させることができる。
【0049】
溶接監視カメラ44は、溶接トーチ40により溶接される内周面4を撮像するものであり、溶接トーチ40が内周面4に沿って適切に溶接を行っているか否かを監視するために用いられる。この溶接監視カメラ44は、その撮像方向が、溶接トーチ40により溶接される溶接部分の内周面4へ向かうように、連結部材56に接続したカメラ固定フレーム60に取り付けられている。つまり、カメラ固定フレーム60は、連結部材56を介してワイヤノズル反転軸55に接続されているため、ワイヤノズル反転軸55を反転させると、溶接監視カメラ44は、ワイヤノズル42と共に、第1撮像位置S1(図3参照)から、溶接電極50を挟んで反対側に位置する第2撮像位置S2(図4参照)へ180°反転する。すなわち、ワイヤノズル反転軸55は、溶接電極50を中心にして、溶接監視カメラ44を180°左回りに反転させることで、溶接監視カメラ44を第1撮像位置S1から第2撮像位置S2へ移動させることができる。また、ワイヤノズル反転軸55は、溶接電極50を中心にして、溶接監視カメラ44を180°右回りに反転させることで、溶接監視カメラ44を第2撮像位置S2から第1撮像位置S1へ移動させることができる。これにより、反転前後において、溶接監視カメラ44は、溶接電極50との間の距離を一定とすることができる。
【0050】
第1照明45および第2照明46は、溶接トーチ40により溶接される内周面4を照らすものであり、これにより、溶接監視カメラ44による撮像を適切に行うことができる。第1照明45および第2照明46は、それぞれの照射方向が、溶接トーチ40により溶接される溶接部分の内周面4へ向かうように、先端側装置フレーム76に取り付けられている。ここで、第1照明45は、ワイヤノズル42が第1供給位置T1にあり、また、溶接監視カメラ44が第1撮像位置S1にある場合に点灯される。このため、第1照明45は、溶接電極50を挟んで、第1供給位置T1にあるワイヤノズル42の反対側に配設されている。また、第2照明46は、ワイヤノズル42が第2供給位置T2にあり、また、溶接監視カメラ44が第2撮像位置S2にある場合に点灯される。このため、第2照明46は、溶接電極50を挟んで、第2供給位置T2にあるワイヤノズル42の反対側に配設されている。
【0051】
倣い用センサ47は、制御装置18に接続されており、マニピュレーター16により溶接装置17aを内周面4に倣って案内する際に、溶接装置17aの姿勢制御を行うために用いられている。倣い用センサ47は、例えば、内周面4との間の距離を測定する複数の距離測定センサを有しており、各距離測定センサにより測定した内周面との距離を、制御装置18に出力する。そして、制御装置18は、取得した内周面4と各距離測定センサとの間の距離から、溶接装置17aが所定の姿勢となるように、マニピュレーター16を制御している。
【0052】
冷却装置48は、第1照明45、第2照明46、溶接監視カメラ44および倣い用センサ47の周囲に、冷却水を流通させることで、これらを冷却している。具体的に、冷却装置48は、第1照明45の筐体内部に形成された冷却水が流通する冷却水流通経路に、冷却水を循環させることで、第1照明45に与えられる熱を取り去っている。同様に、冷却装置48は、第2照明46、溶接監視カメラ44および倣い用センサ47の筐体内部に形成された冷却水が流通する冷却水流通経路に、冷却水を循環させることで、第2照明46、溶接監視カメラ44および倣い用センサ47に与えられる熱を取り去っている。これにより、溶接装置17aは、高温環境下においても、冷却装置48により熱耐性の低い機器を冷却することができるため、熱による不具合を生じさせることなく、溶接装置17aを好適に作動させることができる。
【0053】
続いて、図2を参照して、ワイヤリール部72について説明する。ワイヤリール部72は、溶接ワイヤWが巻回された巻取りドラム65と、巻取りドラム65から繰り出される溶接ワイヤWをワイヤノズル42へ向けて供給するワイヤ供給機構66と、を備えており、後端側装置フレーム77に取り付けられている。
【0054】
巻取りドラム65は、ワイヤ供給機構66に対し、後端側に配設されており、ワイヤ供給機構66によって巻回された溶接ワイヤWが引き出されることで、回転するように構成されている。巻取りドラム65は、その回転軸が後端側装置フレーム77に立設しており、片持ちで軸支されている。
【0055】
ワイヤ供給機構66には、ワイヤ管53の他端が接続されており、ワイヤ供給機構66は、巻取りドラム65に対し、先端側に配設されている。そして、ワイヤ供給機構66は、巻取りドラム65から引き出した溶接ワイヤWを、ワイヤ管53を介してワイヤノズル42に供給している。つまり、巻取りドラム65に巻回された溶接ワイヤWは、ワイヤ供給機構66によって引き出され、ワイヤ管53を通過して、ワイヤノズル42の後端部に供給される。これにより、溶接により溶接ワイヤWが消費されたとしても、溶接ワイヤWは、ワイヤ供給機構66によりワイヤノズル42へ向けて適宜供給される。
【0056】
従って、溶接装置17aにより内周面4に対して溶接を行う場合、ワイヤノズル42から溶接ワイヤWを供給し、溶接トーチ40からアーク放電を発生させて、溶接ワイヤWを溶融しながら、内周面4に溶接を行う。そして、溶接時において、溶接装置17aは、第1照明45または第2照明46により内周面4を照らすと共に、溶接監視カメラ44を介して内周面4を監視しながら溶接トーチ40よる溶接を行う。
【0057】
ここで、上記のように構成した溶接装置17aを装着した先端工具案内装置10により、管台2と管台2に接続した円筒管3との接続部分の内周面4を溶接する場合、溶接後の内周面の信頼性を確保すべく、上進溶接により溶接を行っている。なお、上進溶接は、溶接面に沿って、鉛直方向の下方側から上方側へ向けて溶接を行う溶接方法である。以下、先端工具案内装置10による円筒管3の接続部分の内周面4を溶接する溶接方法について、具体的に説明する。
【0058】
先ず、図5および図6に示すように、内周の中心を通る鉛直方向に引いた中心線Iを挟んで、一方側(図示右側)を第1半周4aとし、他方側(図示左側)を第2半周4bとする。このとき、第1半周4aを上進溶接する場合と、第2半周4bを上進溶接する場合とでは、溶接装置17aの溶接方向が、正逆反対方向となる。つまり、第1半周4aを上進溶接する場合、溶接装置17aは、周方向の正方向が溶接方向となり、第2半周4bを上進溶接する場合、溶接装置17aは、周方向の逆方向が溶接方向となる。
【0059】
このため、先端工具案内装置10は、第1半周4aの溶接に先立ち、溶接電極50に対する溶接ワイヤWの供給位置を適切なものとする第1供給位置変更工程を行う。第1供給位置変更工程を行った後、先端工具案内装置10は、第1半周4aを上進溶接する第1上進溶接工程を行う。続いて、先端工具案内装置10は、第2半周4bの溶接に先立ち、溶接電極50に対する溶接ワイヤWの供給位置を適切なものとする第2供給位置変更工程を行う。そして、第2供給位置変更工程を行った後、先端工具案内装置10は、第2半周4bを上進溶接する第2上進溶接工程を行う。以下、先端工具案内装置10による溶接方法の各工程について具体的に説明する。
【0060】
第1供給位置変更工程では、第1半周4aの内周面4に沿って下方側から上方側へ向かって移動する溶接電極50に対して、溶接ワイヤWが先行するように、ワイヤノズル反転機構43により、ワイヤノズル42を第1供給位置T1に移動させる(図5参照)。また、ワイヤノズル42を第1供給位置T1に移動させると、この移動に伴って、溶接監視カメラ44も第1撮像位置S1に移動する。
【0061】
第1上進溶接工程では、第1照明45を点灯させると共に溶接監視カメラ44を作動させた状態で、マニピュレーター16により溶接装置17aを第1半周4aの内周面4に沿って下方側から上方側へ向けて移動させる。すると、溶接装置17aは、先行する位置にある溶接ワイヤWを溶融しながら、円筒管3の接続部分に上進溶接を行う。
【0062】
第2供給位置変更工程では、第2半周4bの内周面4に沿って下方側から上方側へ向かって移動する溶接トーチ40に対し、溶接ワイヤWが先行するように、ワイヤノズル反転機構43によりワイヤノズル42を第2供給位置T2に移動させる(図6参照)。また、ワイヤノズル42を第2供給位置T2に移動させると、この移動に伴って、溶接監視カメラ44も第2撮像位置S2に移動する。
【0063】
第2上進溶接工程では、第2照明46を点灯させると共に溶接監視カメラ44を作動させた状態で、マニピュレーター16により溶接装置17aを第2半周4bの内周面4に沿って下方側から上方側へ向けて移動させる。すると、溶接装置17aは、先行する位置にある溶接ワイヤWを溶融しながら、円筒管3の接続部分に上進溶接を行う。
【0064】
これにより、溶接装置17aを装着した先端工具案内装置10は、第1上進溶接工程において第1半周4aを上進溶接し、第2上進溶接工程において第2半周4bを上進溶接することにより、円筒管3の接続部分における内周面4の全周に亘って上進溶接を行うことができる。
【0065】
以上の構成によれば、ワイヤノズル反転機構43により、溶接電極50に対する溶接ワイヤWの供給位置を、第1供給位置T1と第2供給位置T2との間で変更することができる。このため、例えば、円筒管3の内周面4の第1半周4aおよび第2半周4bに対し、上進溶接を行う場合、溶接電極50に対し、溶接ワイヤWが先行するように、溶接ワイヤWの供給位置を変更することができる。このため、溶接装置17aは、溶融した溶接ワイヤWを、溶接部分である内周面4に対し、好適に流し込むことができるため、上進溶接後の内周面4を信頼性の高い溶接とすることができる。
【0066】
また、ワイヤノズル反転機構43は、溶接電極50を中心にして、ワイヤノズル42を反転させることができるため、溶接電極50と溶接ワイヤWの供給位置との距離を一定とすることができる。このため、ワイヤノズル反転機構43は、ワイヤノズル42の反転前後において、溶接電極50と溶接ワイヤWの供給位置との距離を調整する必要がないため、ワイヤノズル反転機構43の構成を簡易なものとすることができる。
【0067】
さらに、以上のような溶接方法を行えば、円筒管3の内周面4の全周に対し、上進溶接を好適に行うことができるため、上進溶接後の円筒管3の接続部分を、信頼性の高い溶接とすることができる。
【0068】
なお、本実施例の溶接方法では、円筒管3の内周面4の溶接を行う場合について説明したが、これに限らず、例えば、円筒管3の外周面の溶接を行う場合に適用してもよい。すなわち、中心線Iを挟んで図示右側の外周を第1半周とし、図示左側の外周を第2半周とし、先端工具案内装置10は、ワイヤノズル反転機構43により溶接電極50に対して溶接ワイヤWの供給位置を適宜変更し、溶接トーチ40により第1半周および第2半周に上進溶接を行ってもよい。
【0069】
また、本実施例の溶接方法では、円筒管3の内周面4に対し、上進溶接を行ったが、これに限らず、下進溶接を行ってもよい。なお、下進溶接は、溶接面に沿って、鉛直方向の上方側から下方側へ向けて溶接を行う溶接方法である。簡単に説明すると、この溶接方法では、第1供給位置変更工程と、第1下進溶接工程と、第2供給位置変更工程と、第2下進溶接工程とを行っている。
【0070】
第1供給位置変更工程では、第1半周4aの内周面4に沿って上方側から下方側へ向かって移動する溶接電極50に対して、溶接ワイヤWが先行する位置(溶接電極を挟んで、第1供給位置T1とは、逆側の位置)に、ワイヤノズル42を移動させる。第1下進溶接工程では、マニピュレーター16により溶接電極50を第1半周4aの内周面4に沿って上方側から下方側へ向けて移動させる。
【0071】
第2供給位置変更工程では、第2半周4bの内周面4に沿って上方側から下方側へ向かって移動する溶接電極50に対して、溶接ワイヤWが先行する位置(溶接電極を挟んで、第2供給位置T2とは、逆側の位置)に、ワイヤノズル42を移動させる。第2下進溶接工程では、マニピュレーター16により溶接電極50を第2半周4bの内周面4に沿って上方側から下方側へ向けて移動させる。
【0072】
以上のような溶接方法においても、円筒管3の内周面4の全周に対し、下進溶接を好適に行うことができるため、下進溶接後の円筒管3の接続部分を、信頼性の高い溶接とすることができる。
【0073】
また、本実施例の溶接装置17aでは、ワイヤノズル42を、第1供給位置T1と第2供給位置T2との間で、溶接電極50を中心に、180°反転させるワイヤノズル反転機構43を適用した。しかしながら、ワイヤノズル反転機構43に代えて、溶接電極50を、第1溶接位置と第2溶接位置との間で、ワイヤノズル42を中心に、180°反転させる溶接電極反転機構を溶接装置17aに適用しても良い。つまり、溶接装置17aに溶接電極反転機構を適用する場合、溶接装置17aには、ワイヤノズル42に代えて溶接電極50が配設され、溶接電極50に代えてワイヤノズル42が配設される。そして、溶接電極反転機構は、ワイヤノズル42を中心として回転可能な溶接電極回転軸と、溶接電極回転軸と溶接電極とを連結する連結部材と、溶接電極回転軸を反転させる駆動源となる駆動部とで構成される。これにより、溶接電極反転機構は、溶接電極50に対する溶接ワイヤWの供給位置を、相対的に変更することができる。この構成に合わせて、上進溶接または下進溶接における上記の溶接方法において、第1供給位置変更工程および第2供給位置変更工程では、ワイヤノズル42を中心に、溶接電極50を移動させることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上のように、本発明に係る原子力施設で使用される溶接装置、先端工具案内装置および溶接方法は、水室の管台と管台に接続した配管との接続部分の内周面を溶接する場合において有用であり、特に、先端工具案内装置の先端部に溶接装置を装着する場合に適している。
【符号の説明】
【0075】
1 水室
2 管台
3 円筒管
4 内周面
4a 第1半周
4b 第2半周
10 先端工具案内装置
14 旋回支持部
15 スライドテーブル
16 マニピュレーター
17 先端工具
17a 溶接装置
18 制御装置
32 第1ツールチェンジャー
35 第2ツールチェンジャー
40 溶接トーチ
41 AVC軸
42 ワイヤノズル
43 ワイヤノズル反転機構
44 溶接監視カメラ
45 第1照明
46 第2照明
47 倣い用センサ
48 冷却装置
50 溶接電極
51 溶接ノズル
53 ワイヤ管
55 ワイヤノズル反転軸
56 連結部材
57 駆動部
60 カメラ固定フレーム
65 巻取りドラム
66 ワイヤ供給機構
70 装置フレーム
71 トーチヘッド部
72 ワイヤリール部
75 ジョイントプレート
W 溶接ワイヤ
T1 第1供給位置
T2 第2供給位置
I 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接部分へ向けてアーク放電を生じさせる溶接電極と、
前記溶接電極からのアーク放電によって溶融可能な溶加体と、
前記溶接電極に対する前記溶加体の供給位置を相対的に変更可能な供給位置変更手段と、を備えたことを特徴とする原子力施設で使用される溶接装置。
【請求項2】
前記供給位置変更手段は、前記溶接部分に沿って移動する前記溶接電極に対し、前記溶加体が先行するように、前記溶加体の供給位置を変更することを特徴とする請求項1に記載の原子力施設で使用される溶接装置。
【請求項3】
前記供給位置変更手段は、
前記溶接電極を中心として回転可能な溶加体回転軸と、
前記溶加体と前記溶加体回転軸と連結する連結部材と、
前記溶加体回転軸を回転させる駆動手段と、を有し、
前記駆動手段により前記溶加体回転軸を、前記溶接電極を中心に回転させることで、前記溶加体の供給位置を変更させることを特徴とする請求項1または2に記載の原子力施設で使用される溶接装置。
【請求項4】
前記供給位置変更手段は、
前記溶加体を中心として回転可能な溶接電極回転軸と、
前記溶接電極と前記溶接電極回転軸と連結する連結部材と、
前記溶接電極回転軸を回転させる駆動手段と、を有し、
前記駆動手段により前記溶接電極回転軸を、前記溶加体を中心に回転させることで、前記溶接電極の溶接位置を変更させることを特徴とする請求項1または2に記載の原子力施設で使用される溶接装置。
【請求項5】
前記溶接部分を照らす照明と、
前記溶接部分を撮像する撮像手段と、
前記溶接部分に沿って前記溶接電極を移動させる移動制御を行うために用いられる検出センサと、
少なくとも前記照明、前記撮像手段および前記検出センサのいずれか1つの周囲に、冷却水を流通させて冷却する水冷手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の原子力施設で使用される溶接装置。
【請求項6】
前記溶接部分は、前記原子力施設に設けられた配管であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の原子力施設で使用される溶接装置。
【請求項7】
前記配管は、蒸気発生器の水室に設けられた管台に接続される丸管であることを特徴とする請求項6に記載の原子力施設で使用される溶接装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の原子力施設で使用される溶接装置と、
先端部に前記溶接装置を着脱自在に取り付け可能なマニピュレーターと、を備えたことを特徴とする先端工具案内装置。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の原子力施設で使用される溶接装置または請求項8に記載の先端工具案内装置を用いて、前記原子力施設に設けられた配管の内周を溶接する溶接方法であって、
前記配管の軸方向に対して直交方向に切った断面において、前記配管の中心を通る鉛直方向に引いた中心線を挟んで、一方側の内周を第1半周とし、他方側の内周を第2半周とした場合、
前記供給位置変更手段によって、前記第1半周の下方側から上方側へ向かって移動する前記溶接電極に対し、前記溶加体が先行する第1供給位置へ相対的に変更する第1供給位置変更工程と、
前記第1供給位置変更工程後、前記第1半周の下方側から上方側へ向かって、前記溶接電極および前記溶加体を移動させながら上進溶接を行う第1上進溶接工程と、
前記第1溶接工程後、前記供給位置変更手段によって、前記第2半周の下方側から上方側へ向かって移動する前記溶接電極に対し、前記溶加体が先行する第2供給位置へ相対的に変更する第2供給位置変更工程と、
前記第2供給位置変更工程後、前記第2半周の下方側から上方側へ向かって、前記溶接電極および前記溶加体を移動させながら上進溶接を行う第2上進溶接工程と、を備えたことを特徴とする溶接方法。
【請求項10】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の原子力施設で使用される溶接装置または請求項8に記載の先端工具案内装置を用いて、前記原子力施設に設けられた配管の内周を溶接する溶接方法であって、
前記配管の軸方向に対して直交方向に切った断面において、前記配管の中心を通る鉛直方向に引いた中心線を挟んで、一方側の内周を第1半周とし、他方側の内周を第2半周とした場合、
前記供給位置変更手段によって、前記第1半周の上方側から下方側へ向かって移動する前記溶接電極に対し、前記溶加体が先行する第1供給位置へ相対的に変更する第1供給位置変更工程と、
前記第1供給位置変更工程後、前記第1半周の上方側から下方側へ向かって、前記溶接電極および前記溶加体を移動させながら下進溶接を行う第1下進溶接工程と、
前記第1下進溶接工程後、前記供給位置変更手段によって、前記第2半周の上方側から下方側へ向かって移動する前記溶接電極に対し、前記溶加体が先行する第2供給位置へ相対的に変更する第2供給位置変更工程と、
前記第2供給位置変更工程後、前記第2半周の上方側から下方側へ向かって、前記溶接電極および前記溶加体を移動させながら下進溶接を行う第2下進溶接工程と、を備えたことを特徴とする溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−143456(P2011−143456A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6868(P2010−6868)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】