説明

原子力発電プラント用コンピュータ支援トップ論理によるリスクの定量的評価方法。

【課題】確率論的リスクアセスメント(Probabilistic Risk Assessment)におけるトップダウン事象に依る故障のツリー解析は異なる事象によって発生確率も異なるので計算を一概に括れない。そのため、より精確に評価するためには他のソフトプログラムを借りて故障モデルを最小限に縮小させる必要がある。
【解決手段】本発明は、一種の標準化したコンピュータ支援リスク定量評価方法を提供し、適当な事象を系列に並びトップダウン論理による故障のツリーモデルを作り、予定値の指令を設定する。このプログラムは事象系列に含める特徴について求解し、基本事象の改名を行い、更に基本事象のパラメーターを評価モデルに代入して合理の最小カットセットやリスク結果や重要度指標を求める。また基本事象のパラメーターを調整することによって、基本事象が故障する感度分析を行い、最善の対策を練られるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電プラント用の確率論的リスクアセスメント(PRA(Probabilistic Risk Assessment))に用いるリスク確率を定量化した方法に係わり、特に一般のPRA使用者でも迅速にリスクの定量化分析を行える標準化されたリスク評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の原子力発電プラントは、コンピュータ支援確率論的リスクアセスメント(PRA(Probabilistic Risk Assessment))及びその関連技術を各プラントのリスク評価モデル開発並びにリスクマネジメントに応用してきた。リスクアセスメントとは先ずトップ事象を確認し、可能な事象系列を踏まえて事象ツリー(Event Tree)を構築して故障のツリー解析を行い、あらゆる設備故障及びヒューマンエラーの可能性を取り込み、原子力発電プラントのリスクの最小カットセットを求める。
【0003】
それぞれの事象ツリーにある特定の事象系列に対応するシステム故障の木解析モデルが必要であるため、各特定の事象系列を代表する初期条件又は境界条件、例えば運転員の操作又は維持、及び特定事象系列の為の特殊事件なども必要であるため、故障の木の構造は、前述のものに相応する基本事象を模擬し、特定の事象系列からなるリスクを反映させるべく、コンピュータ支援リスク評価解析によって、特定の事象系列の最小カットセットを求めるため、異なる事象系列に特定の条件を付与するが、あらゆる基本事象に含まれる初期条件と各々の特定の事象系列との組み合わせをすべてカバーするには膨大な数量で、かつ複雑な関係にある関連条件にそれぞれする解答に必須の入力ファイルを構築しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−26698号公報
【特許文献2】米国特許第4,632,802号公報
【0005】
特許文献1には、プロジェクトおよびフェーズの入力に基づいて、そのプロジェクトとフェーズとの組合せによる、検討項目毎の過去の全ての対策内容を出力する方法を開示している。また、特許文献2に開示されている従来のリスク評価システムには、発電プラントの炉心損傷に係わる各部品の論理パスの故障確率のデータベース、各部品の故障確率を変更することによって発電プラントにおける実際の、または可能性のリスクを示す選択装置、各部品の故障による炉心損傷のリスク変化と実際のリスク指標をリンクさせる装置、参考値に関連する実際のリスク指標を示す表示装置を有しているが、日々膨大なる資料を処理するためには、これらのための解析速度が足りなくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、定量分析には既に幾つかのソフトプログラムが開発されているが、分析過程にかかる時間や面倒なプロセスは省けない。従来のリスク分析用のコンピュータ支援コンピュータ支援トップダウン論理評価モデルが提案されていたが、その適用範囲及び条件制限が問われる上、評価分析をする為にはPRAの専門家に簡素化及び転換してもらう必要がある。これまでのリスク評価モデルでは発電プラントがオンラインの運営維持または予約セキュリティ診断を行うときに関連作業の変更又は修正がリスク評価の結果に影響を及ぼすかどうかという情報は示さない。そのため迅速にリスク評価モデルに定量的な分析を行える補助ツールが必要となる。
【0007】
上記の理由に対して、本発明は一種の標準化したコンピュータ支援リスク評価モデル構造を開発し、PRAの一般的な使用者でもコンピュータ支援トップ論理評価モデル構造の標準処理を踏まえてトップダウン論理構造によるリスク評価モデルを構築すれば、プログラムはリスクモデル、例えば開始事象BEi, (i=1,p)及び機能またはシステムSYSFAkなどの境界条件に従って高速の計算を執行して最適な最小カットセットを求める。
更に、予め分析した基本事象を入力してリスク結果及び重要度指標が得られる。また、評価者は、基本事象のパラメーターを調整することによって使用不能な状態への感度分析を行い、最適のオンライン維持または予定プランの提案を求めることが出来る。
【0008】
コンピュータ支援トップダウン論理評価モデルを構築する主要手段は、事象ツリーを故障ツリーに替わる、すなわち、トップゲート(ORゲート)ひとつによって事象ツリーたちを繋げて事象系列とし、さらにANDゲートによって各事象系列たちを繋げて開始事象及び各タイトル機能の故障ツリーとして表すことである。この大型の故障ツリーをトップダウン論理故障ツリー(Top Logic Fault Tree, TLFT)といい、この方法により即時にリスクを求める。
しかしながらこのコンピュータ支援トップダウン論理故障ツリーを解析するには強大な故障ツリーエンジンを必要とし、例え迅速に解を求めることができる能力を備えていても、不都合な失敗するカットセットの削除、ヒューマンエラーの依存性、失敗するカットセットの最小化などリスク評価結果についての機能補足、又は強化に対するニーズは分析者自身がその点に対処する専用プログラムを開発しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、標準化したコンピュータ支援リスク定量分析の評価システムを提供し、PRAの一般的な使用者でもリスク評価モデルの迅速な定量分析を行えるようにしてその分析結果をリスク評価モデルへの更なる応用に使う。この評価構造は、開始事象・タイトルの機能設定・依存性事象の改名・及び事象系列の削除などのリスク評価モデルの定量過程に係わるプロセスを評価構造の作成プロセスのコンピュータ支援トップダウン論理評価モデルの中に組み込み、定量分析を行う評価者は事象系列の関連情報を順番に従って順当なコンピュータ支援トップダウン論理評価モデルを構築したり、既定値のキーワード(すなわち基本事象)を設定したりしてキーワードの指示を踏まえれば、この定量分析するリスク評価構造によってコンピュータ支援トップダウン論理評価モデルの迅速な定量化を行えるようになり、定量的リスク指標及び定性的リスク情報を得られる。
【0010】
本発明の評価構造は、評価者が評価構造にすべての基本事象の数値情報を入力し、評価に必須のデータ記録を数値データベースの中に保存する。
発電プラントの運営維持による各基本事象の失敗状況を検討し、評価構造で対応するデータベースの基本事象を直接修正して定量的リスク指標への再分析を行って、定性的リスク情報が得られる。
更に、リスク定量化モデルにおいてリスク全体への影響を検討する。この迅速に解を求めることが出来るリスク評価構造によってリスク感度分析を行い、重要な基本事象のリスクへの高度かつ顕著な影響を窺えるだけでなく、評価構造のリスク情報に従ってより効率的な改善対策を練られる。
【0011】
リスク評価モデルを定量化するとき、最小カットセットを得る前に事象系列の定量化にまつわる条件を考慮しなければならない。各タイトル機能の成功・失敗、各事象系列の依存性、ヒューマンエラー、特殊事件の依存性による改名及び最小カットセットの組合せから運営ルールに反するものを削除する。
【0012】
従来のリスク定量化のプロセスでは、使用者は何百ものファイルを建てて前述の定量分析によって評価のプロセスを行い、関連するモデルを導入して異なるステップについて分析し、正確かつ有効なファイルマネジメントを行うことは、定量分析上大きな負担であった。
【0013】
本発明に係わる評価モデル構造は、故障ツリーを介して異なる事象系列に関連性を付けて定量分析に適するファイルフォーマットへと変換させる。分析者はモデル構築の標準処理を踏まえて、適合するキーワード・タイトル機能・基本事象・削除すべき項目などを建てれば定量化モードの設定に従って定量分析のプログラムに必須の情報を提供できるモデル構造となる。
【発明の効果】
【0014】
リスク評価指標を使用する目的とは、原子力発電プラントが正常の運営モードから逸脱すると支援システムが対処できずに炉心が溶損する虞があり、事故の早期において大量の放射能が漏洩する発生率を計算するリスク評価モデルの定量化結果を提供する。リスク評価方法は質問・分析によって(1)故障箇所はどこか、(2)故障の可能性の大小、(3)故障の結果、という三つの問題を解決する科学であり、問題の解決によって原子力産業及びその施設の安全性に潜在する弱点を検討し、その評価結果に従ってより有効な改善策を進めることができる。
【0015】
原子力産業における従来のリスク評価には事象のツリー・故障のツリーリンクの他に幾つかの定量化ツールも使われている。これらの方法を使うとリスク評価モデルの結果を提供されていても即時のリスク監視システムに導入するには各プログラムの能力差によって困難が生じる。本発明のリスク評価モデル構造はリスク評価モデルの特性に合わせて、標準化したコンピュータ支援トップダウン論理を用いる評価構造のプロセス及びモデルの特定操作に対応するキーワードを構築し、ブール代数の論理処理を通して得られた結果をプラント全体のリスク指標として統合し、最小カットセットをも含めたリスク評価モデルを定量化した結果を提供する。
【0016】
リスク評価用のコンピュータ支援トップダウン論理評価モデル構造を構築するために、まず事象系列のキーワードを入力し、事象系列の最小カットセット・依存性による基本事象の改名、及び該当事象系列が失敗する最小カットセットの削除を執行する。次に、考慮する必要がある基本事象を開始事象にする。もしも、特定の事象系列から転入してきた開始事象だとしたら、開始事象の発生直後に特定機能が失効した事象系列、あるいは事故早期の放射能漏洩の発生率を評価する事象系列を含める事象系列をその事象系列のトップダウン論理の開始基本事象として入力する。
さらに、その故障事象系列の故障機能を考慮するシステム部分にタイトル機能のキーワードをそのモデル構造に入力し、故障機能の最小カットセットを解決し、需要に応じて基本事象を改名し、及びブール代数の最小化プロセスを行う。最後に(Deltrum)のキーワードをそのモデル構造に入力する。その中には事象系列にとって成功したシステム機能部分、及び事象系列から削除すべき基本事象の組合せをも含まれている。本発明に用いるコンピュータ支援トップ論理評価モデル構造は、キーワードと事象系列の論理構造の関連性を利用してリスクを定量化する過程から機能が故障するシステムに対応する最小カットセット及び各事象系列の最小カットセットを割り出す他、炉心損傷の発生率・事故早期に放射能漏洩の発生率の最小カットセットをも提供する。
評価者はコンピュータ支援トップダウン論理評価モデル構造に従ってプロセスを構築しながら、リスクモデルの関連性を考慮して適切なキーワードを入力すれば、INERiskenプログラムはそのコンピュータ支援トップダウン論理評価モデル構造によって自動的にあらゆる計算を完成させる。この計算により故障事象系列・炉心損傷の発生率・大量の放射能の早期事故漏洩の発生率の最小カットセット及び重要度の必須の結果分析結果を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の標準化プロセスとはコピュータ支援トップダウン論理による迅速なリスク定量評価方法であって、リスク評価モデルの開始事象BEi, i=1,pまたはシステムSYSFAkの境界条件及び既知の各基本事象をコンピュータのデータベースに入力し、コンピュータによるブール代数計算を行い、一番合理的な最小カットセットと設定値を得られ、調整すべき発電プラントの配置の最小カットセットが設定値の閾値を超えた場合は、発電プラントは点検停止が必要となり、閾値を超えていない場合はその維持されることになる。
【0018】
図1は、本発明の迅速なリスク定量分析のトップダウン論理評価標準化プロセスのフローチャートである。この構造のプロセスを踏まえて各事象系列を構築して故障事象系列・炉心損傷の発生率・大量の放射能の早期事故漏洩の発生率の最小カットセットの分析計算などを同時に完成させてリスク指標の定量化結果を提供する。この構造を構築するとき、分析者はリスクモデルの事象ツリーの相関する構造に従って、本発明のコンピュータダウン支援トップ論理評価モデル構造に転換させる。
【0019】
図1は、例示的な実施形態として説明する炉心損傷の発生率を求める構造である。本発明のコンピュータ支援トップダウン論理評価モデルの構築方法は、故障ツリーのリンク及び論理を使用しているが、そのリスク評価結果は直接故障ツリーを使用する方法とは異なる。以下は、図1のコンピュータ支援トップダウン論理評価モデル構造のプロセスについて説明する。
【0020】
ステップ1:炉心溶損の発生率の頂上事象の構築及び入力。
【0021】
本発明のコンピュータ支援トップダウン論理評価モデル構造の頂上事件は一つのORゲートであり、このORゲートの下に炉心損傷に導かれる全ての事象系列及びそれに繋げる発生事象i=1-pを入力する。基本事象である設備部品のランダム或いは共通原因故障、または操作員の操作不当などによって支援機能を失効させて炉心損傷に導く事象系列i=1-pを全部頂上事象の下に入力すべきである。
【0022】
各発生事象は、ブール代数によって炉心損傷への最小カットセットを求めてからORゲートのブール代数論理に従ってプラントの炉心損傷の発生率の最小カットセットを求める。その最小カットセットに前述の基本事象から得られたデータを入力してプラントの炉心損傷の発生率が得られる。
【0023】
ステップ2:開始事象の事象系列の構築及び入力。
本発明のコンピュータ支援トップダウン論理評価モデル構造の開始事象BEi=1-pは一つのORゲートであり、このORゲートの下に炉心損傷に導く全ての事象系列及びそれに繋げる事象系列i=1-pを入力する。基本事象である設備部品のランダム或いは共通原因故障、または操作員の操作不当などによって支援機能を失効させて炉心損傷に導く事象系列i=1-pを全部頂上事象の下に入力すべきである。
各発生事象はブール代数によって炉心損傷への最小カットセットを求めてからORゲートのブール代数論理に従ってプラントの炉心損傷の発生率の最小カットセットを求める。その最小カットセットに前述の基本事象から得られたランダム失効、共通原因失効、或いはヒューマンエラーなどの基本事象データを入力してプラントの炉心損傷の発生率が得られる。
【0024】
ステップ3:特定開始事象の事象系列の発生率計算及び入力。
本発明のコンピュータ支援トップ論理評価モデル構造にある開始事象(BE) iの特定事象系列(SEQ−) jは一つのANDゲートであり、その下に全ての炉心損傷に導かれる事象系列及びそれに繋げる開始事象を入力する。その開始事象の事象系列の下に付く支援機能は四つのタイプがある:
1.事象系列のキーワードや開始事象、
2.設備部品のランダム或いは共通原因故障、または
3.操作員の操作不当による機能化システム(SYSFA) kの失敗及び
4.炉心損傷の事象系列には行われるべき削除項目(DELTRM)。
この四つのタイプを上記の順番に従ってANDゲート入力し、それぞれの事象系列の炉心損傷への最小カットセットを求めてから、開始事象BEi及び全ての機能またはシステムk失敗の最小カットセットをANDゲートのブール論理に従って計算し、更に、事象系列(SEQ−)jのキーワード処理を執行する。上記の計算によって得られた最小カットセットの中に事象系列の関連定義を違反する最小カットセットのみを削除するとその開始事象の事象系列の最小カットセット及び炉心損傷の発生率が得られる。
【0025】
事象系列のキーワードはその開始事象の特定事象系列を代表し、計算するためにはこれらのキーワードに従って事象系列を定量化させる必要がある。これには四つのプロセスがある。
1.系列の求解プロセス:事象系列またはシステムkの失敗及び開始事象iをブール代数に従って演算する。
2.削除項目プロセス:最小カットセットの中に事象系列の定義に違反する最小カットセットを削除する。予想した不都合な失効する組合せへの処理についてはステップ5にて更なる説明をする。
3.非希有事象処理プロセス:失敗した事象系列の中に比較的に失効する確率の大きいものを考慮して成功する事象系列へのデータ修正を行い、両者の確率の和を1に保持する。
4.系列の改名プロセス:同一事象系列にある操作員によるミスの依存性からなる影響程度を考慮する。
【0026】
ステップ4:事象系列の機能またはシステムが失敗する発生率の計算及び入力。
本発明のコンピュータ支援トップ論理評価モデルの開始事象iの特定事象系列jに関する機能又はシステムkの失敗は一つのANDゲートであり、その下に開始事象iの事象系列jの下に付く炉心損傷が発生するときに必須の支援機能またはシステムのシミュレーションを含む事象系列及びそれに繋げる開始事象を入力する。その開始事象の事象系列の下に付く特定の支援機能は二つのタイプがある。
1.タイトル機能のキーワード(HDG−)
2.設備部品のランダム或いは共通原因故障、または操作員の操作不当などによって機能またはシステム(SYSFA)を失敗させた。
この二つのタイプを上記の順番に従ってANDゲートに入力し、それぞれの事象系列にある機能またはシステムが失敗する最小カットセットを求めて、その事象系列にある全ての機能またはシステムが失敗する最小カットセットをANDゲートのブール論理に従って乗算して、ステップ3のANDゲートへの入力数値として提供する。
【0027】
タイトル機能のキーワード(HDG−)とはある開始事象に付く一事象系列の下にある特定機能またはシステムの求解プロセスであり、このキーワードが及ぶ機能に従ってシステム(SYSFA) kを設定し、タイトル機能の求解または改名プロセスを含める機能またはシステムの定量化プロセスを通す。タイトル機能の求解プロセスは、失敗した特定機能またはシステムのブール代数演算を行い、タイトル機能の改名プロセスは各機能またはシステムlを失敗に導くヒューマンエラー依存性の基本事象及びタイトル機能の特殊基本事象の改名プロセスを行う。
【0028】
ステップ5:特定開始事象の事象系列の削除項目プロセスの構築及び入力。
【0029】
本発明のコンピュータ支援トップダウン論理評価モデル構造の開始事象iの特定事象系列に関する削除項目は一つのORゲートであり、その下には二つのタイプがある:
1.削除項目(Deltrum)のキーワード
2.削除項目プロセス。
この二つのタイプを上記の順番に従ってORゲートに入力する。削除項目のキーワードとはある開始事象の一つの事象系列の下に付く求解プロセスであり、このキーワードに従って、ステップ6で予想した不都合な失効組合せを対照させながら排除する定量化の手続きである。ステップ6の求解によって得られた最小カットセットをORゲートのブール論理に従って加算すると、ステップ3への入力数値を得られる。削除項目プロセスとは該当開始事象iの事象系列jの下にある削除すべき項目を処理するプロセスであり、予想した不都合な組合せを削除項目プロセスで処理する詳細はステップ6にて説明する。
【0030】
ステップ6:特定開始事象系列の削除項目を構築する為に必須の入力内容。
【0031】
本発明のコンピュータ支援トップダウン論理評価モデル構造における開始事象iの特定事象系列が関する削除項目に必須の処理プロセスは一つのORゲートであり、その下に開始事象の事象系列の下にある全ての炉心溶損への支援シミュレーションに必須の機能またはシステムが成功するものを入力する。特定の故障のツリー(DAM)とは事象系列の関連定義に違反する場合の組合せを構築する特定の故障のツリーである。削除項目プロセスはその開始事象の事象系列の下にある成功した機能またはシステムの最小カットセットを計算してモデルシミュレーション及び運営規制を含める予想した不都合な最小カットセットを処理する。この二つのタイプを上記の順番に従ってORゲートに入力し、ステップ6でブール代数に従って最小カットセットを求めて、ORゲートのブール代数に従って全ての最小カットセットを加算して、ステップ3のANDゲートへの入力数値として提供する。
【0032】
ステップ7:事象系列機能またはシステム(SYSFA)
の成功した最小カットセットの計算及び入力。
【0033】
本発明のコンピュータ支援トップ論理評価モデル構造の開始事象iの特定事象系列jに関する機能またはシステムlの成功は一つのANDゲートであり、その下に入力すべきものは開始事象iの事象系列の下に付く炉心溶損への必須の支援機能またはシステムが成功するもの、すなわち、その開始事象の事象系列の下にあるタイトル機能のキーワードまたは設備部品のランダム或いは共通原因故障、または操作員の操作不当などによって機能またはシステム(SYSFA)を失敗させるという特定機能を含めて入力する。この二つのタイプを上記の順番に従ってAND ゲートに入力し、それぞれの事象系列における機能またはシステムの最小カットセットを求解してから、ANDゲートのブール代数に従って全ての最小カットセットを乗算して、ステップ6のORゲートへの入力数値として提供する。
【0034】
タイトル機能のキーワード(HDG−)とはある開始事象に付く一事象系列の下にある特定機能またはシステムの求解プロセスであり、このキーワードが及ぶ機能に従ってシステム(SYSFA) を設定し、タイトル機能の求解または改名プロセスを含めるその機能またはシステム (SYSFA)の関連定量化手続きを行う。タイトル機能の求解プロセスは失敗した特定機能またはシステムのブール代数演算を行い、タイトル機能の改名プロセスはその事象系列の下にある各機能またはシステムを失敗に導くヒューマンエラー依存性の基本事象及びタイトル機能の特殊基本事象の改名プロセスを行う。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態によるコンピュータ支援トップダウン論理によるリスク定量評価方法において行われる処理を説明するフローチャートを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ支援トップダウン論理による迅速なリスク定量的評価方法であって、リスク評価モデルの開始事象BEi, i=1,p、またはシステムSYSFAkの境界条件及び既知の各基本事象をコンピュータのデータベースに入力し、コンピュータによるブール代数計算を行い、一番合理的な最小カットセットと設定値を得られ、調整すべき発電プラント配置の最小カットセットが設定値の閾値を超えた場合は、発電プラントは点検停止が必要とされ、閾値を超えていない場合は維持され、その標準化プロセスは、
ステップ1.炉心損傷の発生率の頂上事象の構築及び入力:
(a) 一つのORゲートの下に炉心損傷に導かれる全ての事象系列及びそれに繋げる発生事象i=1-Pを入力し、
(b) 各発生事象はブール代数によって炉心損傷への最小カットセットを求め、
(c) ORゲートのブール代数論理によって前述の最小カットセットを演算してプラントの炉心損傷の発生率の最小カットセットを求め、更に、設備部品のランダム或いは共通原因故障、またはヒューマンエラーによって支援機能を失効させた基本事象の数値データを入力してプラント全体の炉心損傷発生率を得ることと、
ステップ2. 開始事象iの事象系列の構築及び入力:
(a)
開始事象i=1-Pは一つのORゲートであり、このORゲートの下に炉心損傷に導く全ての事象系列及びそれに繋げる事象系列i=1-Pを入力し、
(b) 設備部品のランダム或いは共通原因故障、またはヒューマンエラーによって炉心損傷に導く事象系列i=1-Pを全部その開始事象iの下に入力し、
(c) 各発生事象の求解によって炉心損傷への最小カットセットを求めてから、ORゲートのブール代数論理に従ってその開始事象iの事象系列における炉心損傷の発生率の最小カットセットを得て、前述のランダム失効、共通原因失効、またはヒューマンエラーによって支援機能を失効させた基本事象の数値データを入力してその開始事象iの炉心損傷発生率を得ることと、
ステップ3. 特定開始事象の事象系列jの発生率計算及び入力:
(a)事象系列のキーワードと、
(b)開始事象と、
(c)設備部品のランダム或いは共通原因故障、または操作員の操作不当による機能またはシステム(SYSFA) kの失敗と、
(d)炉心損傷の事象系列には行われるべき削除項目(DELTRM)とを含む炉心損傷に導かれる事象系列j及びそれに繋げる開始事象iをその開始事象iの特定事象系列jであるANDゲートの下に入力することと、
ステップ4.事象系列の機能またはシステムkが失敗する発生率の計算及び入力:
(a)タイトル機能のキーワードと、
(b)設備部品のランダム或いは共通原因故障、または操作員の操作不当などによって機能またはシステム(SYSFA)kを失敗させた事象と、
を含む開始事象iの事象系列jの下に付く炉心損傷が発生するときに必須の支援機能またはシステムkのシミュレーションをその開始事象iの特定事象系列jであるANDゲートの下に入力することと、
ステップ5.特定開始事象の事象系列の削除項目プロセスの構築及び入力:
(a)削除項目のキーワードと、
(b)削除項目プロセスと、
を含む必須削除項目を処理するプロセスを開始事象iの特定事象系列jに関する削除項目であるORゲートの下に入力することと、
ステップ6.特定開始事象系列の削除項目を構築する為に必須の入力:
(a) 開始事象iiの事象系列jの下にある全ての炉心損傷への支援シミュレーションに必須の機能またはシステムkが成功するものと、
(b) 特定の故障の木(DAM)と、
を含む必須の削除項目プロセスを開始事象iの特定事象系列jに関する削除項目であるORゲートの下に入力し、開始事象iの特定事象系列jの下にある成功した機能またはシステムkの最小カットセットを予め計算してから、モデルシミュレーション及び運営規制を含めて予想した不都合な最小カットセットを処理することと、
ステップ7.事象系列機能またはシステムlの成功した最小カットセットの計算及び入力:
(a) 削除項目のキーワードと、
(b) 設備部品のランダム或いは共通原因故障、または操作員の操作不当による機能またはシステムkの失敗と、
を含む開始事象iの事象系列jの下に付く特定の支援機能、すなわち炉心損傷への必須の支援機能またはシステムlが成功するものをその開始事象iの特定事象系列jであるANDゲートの下に入力すること、
を特徴とする、請求項1記載の原子力発電プラント用コンピュータ支援トップダウン論理によるリスク定量的評価方法。
【請求項2】
前記ステップ
3は、上記の順番に従ってANDゲート入力し、それぞれの事象系列jにおいて炉心損傷への最小カットセットを求めて、開始事象i及び全ての機能またはシステムkが失敗する最小カットセットをANDゲートのブール代数論理に従って乗算し、更に、事象系列のキーワード及び削除項目処理プロセスを執行して、その開始事象iの特定事象系列jの最小カットセット及び炉心損傷発生率を得られることを特徴とする, 請求項1記載の原子力発電プラント用コンピュータ支援トップダウン論理によるリスク定量評価方法。
【請求項3】
前記事象系列キーワードは、その開始事象の特定事象系列を代表し、このキーワードに従って、
事象系列またはシステムkの失敗及び開始事象iをブール代数に従って演算する系列求解プロセスと、
予想した不都合な失効する組合せを処理する削除項目プロセスと、
失敗した事象系列の中に比較的に失効する確率の大きいものに応じて成功する事象系列へのデータ修正を行い、両者の確率の和を1に維持する非希有事象プロセスと、
同一事象系列にある操作員によるミスの依存性からなる影響程度を配分する系列改名プロセスと、
を含む事象系列に関する定量化プロセスを行うことを特徴とする,
請求項1記載の原子力発電プラント用コンピュータ支援トップダウン論理によるリスク定量評価方法。
【請求項4】
前記ステップ4は、上記の順番に従ってANDゲート入力し、それぞれの事象系列jの下でブール代数の演算によって開始事象i及び全ての機能またはシステムkが失敗する最小カットセットを求めて、ANDゲートのブール代数論理に従い、その事象系列jにおいて機能またはシステムkが失敗する全ての最小カットセットを乗算させてステップ3のANDゲートへの入力に提供することを特徴とする、請求項1記載の原子力発電プラント用コンピュータ支援トップダウン論理によるリスク定量評価方法。
【請求項5】
前記ステップ4のタイトル機能のキーワードは、ある開始事象に付く一つの事象系列の下にある特定機能またはシステムkの求解プロセスであり、このキーワードが及ぶ機能に従ってシステム(SYSFA)kを設定してその機能またはシステムkに関する、タイトル機能の求解または改名プロセスを含める機能またはシステムkの定量化プロセスを行い、タイトル機能の求解プロセスは失敗した特定機能またはシステムkのブール代数演算を行い、タイトル機能の改名プロセスは各機能またはシステムlを失敗に導くヒューマンエラー依存性の基本事象及びタイトル機能の特殊基本事象の改名プロセスを行うことを更に含むことを特徴とする、請求項1記載の原子力発電プラント用コンピュータ支援トップダウン論理によるリスク定量評価方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−8744(P2012−8744A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143208(P2010−143208)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【出願人】(599171866)行政院原子能委員會核能研究所 (37)